JP2014128756A - 反応装置、及び化学反応生成物の製造方法 - Google Patents

反応装置、及び化学反応生成物の製造方法 Download PDF

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桂一 金子
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Abstract

【課題】化学反応を効率よく進行させる反応容器を備える反応装置、及び当該反応容器を用いた化学反応生成物の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくともその内壁に炭素材料を含有する反応容器を備え、前記反応容器は、1種又は2種以上の反応物質を前記反応容器内に供給する供給部、前記反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有部材を備え、且つ、前記反応容器の内壁に電位が付与され且つ前記供給部から前記反応物質が供給されることにより、少なくとも前記内壁及び前記炭素含有部材表面において、前記反応物質による電気化学反応を進行させる反応部、並びに前記電気化学反応により生成する反応生成物を前記反応容器外へ排出する排出部、を備えることを特徴とする、反応装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、化学反応を効率よく進行させる反応容器を備える反応装置、及び当該反応容器を用いた化学反応生成物の製造方法に関する。
燃料電池は、燃料及び酸化剤を電気的に接続された2つの電極にそれぞれ供給し、電気化学的に燃料を酸化させることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないため、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。
従来、燃料電池のアノード及びカソードの電極触媒として、担持白金及び白金合金材料が採用されてきた。しかし、今日の電極触媒に必要とされる量の白金は、燃料電池の大量生産を商業的に実現するには依然として高価である。したがって、白金をより安価な金属と組み合わせることにより、燃料電池カソード及びアノードに含まれる白金の量を低減させる研究がなされてきた。
上記課題の解決を目的とした技術の1つとして、中心粒子及び当該中心粒子を被覆する最外層を備える構造(いわゆるコア−シェル構造)を有する触媒微粒子に関する技術が知られている。当該触媒微粒子においては、中心粒子に比較的安価な材料を用いることにより、触媒反応にほとんど関与しない粒子内部のコストを低く抑えることができる。このような研究を応用した技術として、非特許文献1には、カーボンに担持されたパラジウム粒子に対して白金単原子層が被覆された電気化学触媒(Pt/Pd/C)に関する、スケールアップ合成法が開示されている。
K.Sasaki et al.,Electrochimica Acta 55(2010)2645−2652
非特許文献1には、スケールアップ合成法として、内壁に酸化ルテニウム(RuO)を被覆したチタン製円筒型容器を作用極とし、当該円筒型容器の中にカーボン担持パラジウム粒子及び硫酸銅(CuSO)水溶液を加え且つ電位を付与することによって、銅アンダーポテンシャル析出法(Cu under potential deposition method;以下、Cu−UPDと称する場合がある)によりパラジウム粒子に銅単原子層を被覆する旨が記載されている(非特許文献1の第2647頁目の「2.1 Scale−up synthesis」)。しかし、本発明者らが検討した結果、このように内壁のみを作用極とした槽型反応容器においては、反応終了までに多大な時間が費やされることが明らかとなった。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、化学反応を効率よく進行させる反応容器を備える反応装置、及び当該反応容器を用いた化学反応生成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の反応装置は、少なくともその内壁に炭素材料を含有する反応容器を備え、前記反応容器は、1種又は2種以上の反応物質を前記反応容器内に供給する供給部、前記反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有部材を備え、且つ、前記反応容器の内壁に電位が付与され且つ前記供給部から前記反応物質が供給されることにより、少なくとも前記内壁及び前記炭素含有部材表面において、前記反応物質による電気化学反応を進行させる反応部、並びに前記電気化学反応により生成する反応生成物を前記反応容器外へ排出する排出部、を備えることを特徴とする。
本発明の反応装置は、中心粒子及び当該中心粒子を被覆する金属層を備える、触媒微粒子の前駆体を製造する装置であって、前記供給部は、前記反応物質として、前記中心粒子を構成する原料及び金属イオン溶液を含む触媒微粒子原料を前記反応容器内に供給し、前記反応部は、前記反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有部材を備え、且つ、前記反応容器の内壁に電位が付与され且つ前記供給部から前記触媒微粒子原料が供給されることにより、少なくとも前記内壁及び前記炭素含有部材表面において、前記金属イオンが還元された金属層を前記中心粒子に被覆する電気化学反応を進行させ、且つ、前記排出部は、前記電気化学反応により生成する触媒微粒子の前駆体を前記反応容器外へ排出することが好ましい。
本発明の反応装置においては、前記反応部における前記反応容器の内壁の総面積と前記炭素含有部材の全表面積との和である面積(S)を、前記炭素含有部材が前記反応部に占める総体積を前記反応部の総体積から減じた体積(V)により除した値(S/V)が、50m−1以上であることが好ましい。
本発明の反応装置において、前記炭素含有部材は、前記反応部に充填率50〜99体積%で充填され、且つ、前記反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有粒子であってもよい。
本発明の反応装置において、前記炭素含有部材は、前記供給部に接続され、且つ、前記反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有管であってもよい。
本発明の反応装置において、前記炭素含有部材は、前記反応容器の内壁の一部又は全部と一体となっており、且つ、当該炭素含有部材内部に、前記反応物質及び前記反応生成物のうち少なくともいずれか一方のための流路を1又は2以上有してもよい。
本発明の反応装置においては、窒素ガス及びアルゴンガスからなる群より選ばれる少なくとも1つの不活性ガスを前記反応容器内に供給する不活性ガス供給管を備えることが好ましい。
本発明の反応装置において、前記供給部は、前記反応物質を前記反応容器内に供給する供給管であることが好ましい。
本発明の反応装置において、前記排出部は、前記反応生成物を前記反応容器外へ排出する排出管であることが好ましい。
本発明の化学反応生成物の製造方法は、少なくともその内壁に炭素材料を含有し、且つ、(1)供給部、(2)前記内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有部材を備える反応部、及び(3)排出部を備える反応容器を用い、前記供給部から前記反応容器内に1種又は2種以上の反応物質を供給する供給工程、前記反応容器の内壁に電位を付与することにより、少なくとも前記反応部の内壁及び前記炭素含有部材表面において、前記反応物質による電気化学反応を進行させる電気化学反応工程、並びに前記電気化学反応により生成する反応生成物を、前記排出部から前記反応容器外へ排出する排出工程、を有することを特徴とする。
本発明の化学反応生成物の製造方法は、中心粒子及び当該中心粒子を被覆する金属層を備える、触媒微粒子の前駆体を製造する方法であって、前記供給工程は、前記反応物質として、前記中心粒子を構成する原料及び金属イオン溶液を含む触媒微粒子原料を、前記供給部から前記反応容器内に供給する工程であり、前記電気化学反応工程は、前記反応容器の内壁に電位を付与することにより、少なくとも前記反応部の内壁及び前記炭素含有部材表面において、前記金属イオンが還元された金属層を前記中心粒子に被覆する電気化学反応を進行させる工程であり、且つ、前記排出工程は、前記電気化学反応により生成する触媒微粒子の前駆体を、前記排出部から前記反応容器外へ排出する工程であることが好ましい。
本発明の化学反応生成物の製造方法においては、前記反応部における前記反応容器の内壁の総面積と前記炭素含有部材の全表面積との和である面積(S)を、前記炭素含有部材が前記反応部に占める総体積を前記反応部の総体積から減じた体積(V)により除した値(S/V)が、50m−1以上であることが好ましい。
本発明の化学反応生成物の製造方法において、前記炭素含有部材は、前記反応部に充填率50〜99体積%で充填され、且つ、前記反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有粒子であってもよい。
本発明の化学反応生成物の製造方法において、前記炭素含有部材は、前記供給部に接続され、且つ、前記反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有管であってもよい。
本発明の化学反応生成物の製造方法において、前記炭素含有部材は、前記反応容器の内壁の一部又は全部と一体となっており、且つ、当該炭素含有部材内部に、前記反応物質及び前記反応生成物のうち少なくともいずれか一方のための流路を1又は2以上有してもよい。
本発明の化学反応生成物の製造方法において、前記反応容器は、窒素ガス及びアルゴンガスからなる群より選ばれる少なくとも1つの不活性ガスを前記反応容器内に供給する不活性ガス供給管をさらに備えることが好ましい。
本発明の化学反応生成物の製造方法において、前記供給部は、前記反応物質を前記反応容器内に供給する供給管であることが好ましい。
本発明の化学反応生成物の製造方法において、前記排出部は、前記反応生成物を前記反応容器外へ排出する排出管であることが好ましい。
本発明によれば、反応容器が、炭素材料を含有する内壁に加えて、当該内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有部材をさらに備えるため、単に内壁のみが電極となる従来の反応容器と比較して、電極として使用できる表面積を広く確保できる結果、化学反応を従来よりも高い効率で進行させることができる。
本発明に係る反応装置の第1の実施形態を示した断面模式図等である。 本発明に係る反応装置の第2の実施形態を示した断面模式図である。 本発明に係る反応装置の第3の実施形態を示した断面模式図等である。 実施例1に使用した反応装置を示した斜視模式図である。 実施例1及び比較例1の燃料電池用触媒の電気化学表面積を比較した線グラフ、及びこれらの燃料電池用触媒の質量活性を比較した棒グラフを重ねて示したグラフである。 槽型反応容器を備える従来の反応装置を示した斜視模式図である。
1.反応装置
本発明の反応装置は、少なくともその内壁に炭素材料を含有する反応容器を備え、前記反応容器は、1種又は2種以上の反応物質を前記反応容器内に供給する供給部、前記反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有部材を備え、且つ、前記反応容器の内壁に電位が付与され且つ前記供給部から前記反応物質が供給されることにより、少なくとも前記内壁及び前記炭素含有部材表面において、前記反応物質による電気化学反応を進行させる反応部、並びに前記電気化学反応により生成する反応生成物を前記反応容器外へ排出する排出部、を備えることを特徴とする。
上述した非特許文献1の第2647頁目に記載されているように、従来、電解めっき及び無電解めっきは、槽型反応容器で実施されるのが一般的であった。図6は、槽型反応容器を備える従来の反応装置を示した斜視模式図である。図6中の従来の反応装置500は、反応容器41及び作用極42を備える。反応容器41中には、反応混合物49が加えられている。反応容器41は導電性材料からなり、且つ、当該反応容器41は作用極42と電気的に導通が取れているため、当該反応容器41の内壁が電極の役割を果たす。
電解めっきの中でも、例えば、コア−シェル構造を有する触媒微粒子の製造方法においては、中心粒子(コア)を構成する材料に金属アンダーポテンシャル析出法を適用することにより、中心粒子に当該金属をめっきする。その際、一定電位に保持した電極に中心粒子を構成する材料を接触させることにより、当該材料に所望の電位を定常的に付与する必要がある。したがって、中心粒子を構成する材料全てを均一に帯電させるためには、電極との接触頻度(接触確率)を向上させる必要がある。
しかし、図6に示した従来の反応装置においては、中心粒子を構成する材料の多くが槽中に漂っているため、電極(すなわち槽の内壁)と中心粒子を構成する材料との接触状態が悪く、金属アンダーポテンシャル析出法が均一に進行しない。そのため、得られる触媒微粒子の触媒性能の向上が見込めないという課題があった。
また、従来の反応装置においては、中心粒子を構成する材料の密度、粘度、及び分散状態によっても、内壁への衝突状態が違い、当該材料の帯電状態が異なってくる。当該材料を含む反応混合物の攪拌速度を上げたり、当該攪拌に用いる攪拌装置を改良したりすることにより、当該材料と電極との衝突頻度の向上は見込めるものの、反応混合物内の当該材料全てを均一に帯電させるためには、長時間が費やされる。そのため、槽型反応容器を用いた金属アンダーポテンシャル析出法は、高コストプロセスとなっている。
本発明者らは、鋭意努力の結果、反応容器の内壁に炭素材料を含有させ、且つ、当該反応容器の内部に、当該反応容器の内壁と電気的に導通可能な炭素含有部材を配置することにより、当該反応容器の内壁及び当該炭素含有部材により形成される電極の面積が飛躍的に増加する結果、電極と反応混合物との接触面積をより広く確保できると共に、反応容器内部を常に所望の一定電位に保持できることを見出した。本発明者らは、そのような反応容器を用いて化学反応を行うことにより、槽型反応容器を用いた従来の化学反応と比較して、化学反応収率が格段に向上する結果、得られる反応生成物の収率や、当該反応生成物が触媒微粒子である場合には触媒性能が向上し、且つ、化学反応の反応時間を短縮でき、化学反応プロセスの低コスト化が図れることを見出し、本発明を完成させた。
本発明に使用される反応容器は、少なくともその内壁に炭素材料を含有していればよく、その他の部分の材質、例えば、反応容器外部の材質は特に限定されない。また、当該反応容器においては、内壁において導電性が確保できれば、内壁における炭素材料以外の材料の種類は特に限定されない。
当該反応容器は、炭素材料からなるものであってもよく、炭素材料と他の材料との混合物からなるものであってもよい。当該反応容器に含まれる炭素材料としては、導電性を有する炭素材料が好ましく、例えば、黒鉛、石墨等のグラファイト;カーボンブラック、活性炭等のアモルファスカーボン;無定形炭素;等が挙げられる。
当該反応容器に含まれる炭素材料以外の他の材料としては、例えば、銅、ニッケル、白金、アルミニウム、鉄、銀、金等の導電性金属;酸化チタン(TiO)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)等の導電性非金属;等が挙げられる。
特に、本発明の反応装置が、中心粒子及び当該中心粒子を被覆する金属層を備える、触媒微粒子の前駆体を製造する装置である場合には、当該反応容器は、上記炭素材料からなることがより好ましい。
TiO等を用いた従来の不溶性金属電極を備える反応装置は、主に酸素雰囲気下で使用され、電極表面に酸化皮膜が形成されるため、電極の腐食が予め防止される。しかし、当該反応装置を用いたアンダーポテンシャル析出工程(好適にはCu−UPD工程)においては、酸素雰囲気下において、中心粒子表面に形成された単原子層(好適には銅単原子層)が、当該反応装置内の電位上昇により剥離するおそれがある。不溶性金属電極表面にコーティングを施すことにより、当該剥離を防止する一定の効果は期待できるものの、長期間にわたり装置を使用することにより、当該コーティングが物理的に剥離する結果、剥離したコーティング剤が触媒微粒子内に混入するおそれもある。
一方、上記炭素材料からなる反応容器を用いることにより、アンダーポテンシャル析出法における通常の電位条件においては、反応容器が腐食するおそれがない。また、上記炭素材料からなる反応容器を用いることにより、炭素材料表面へのメタル析出が非常に起こりにくいため、反応容器自体がアンダーポテンシャル析出工程を阻害するおそれもない。さらに、上記炭素材料からなる反応容器を用いることにより、コーティングが不要となるため、反応容器からコーティング剤が剥離し、触媒微粒子内に混入するおそれもない。
したがって、上記炭素材料からなる反応容器を用いることにより、反応容器が腐食するという課題、反応容器自体がアンダーポテンシャル析出工程を阻害するという課題、及びコーティング剤が触媒微粒子内に混入するという課題をいずれも解決できる。
当該反応容器の形状は、化学反応が効率よく進行し、後述する供給部から反応部、排出部にかけての反応物質、反応混合物、及び/又は反応生成物の流れを妨げないものであれば、特に限定されない。当該反応容器の形状としては、例えば、円筒型、円筒の両端に半球がそれぞれ接続したいわゆるカプセル型、卵型、円錐型、角柱型、及び角錐型等が挙げられる。
当該反応容器は、(1)供給部、(2)反応部、及び(3)排出部を備える。従来の電解めっき及び無電解めっきにおいては、上述した槽型反応容器を使用するのが一般的であり、供給部と排出部を備えるような、いわゆる流通式の反応容器を用いるめっきの技術は、これまで知られていない。
当該反応容器は、必ずしも上記3つの要素のみを有するものに限られず、上記3つの要素以外にも、例えば、後述するような不活性ガス供給部等の他の要素を有していてもよい。
以下、上記工程(1)〜(3)及びその他の要素について、順に説明する。
1−1.供給部
本発明に使用される供給部は、上述した反応容器内に1種又は2種以上の反応物質を供給する部位である。
当該供給部は、反応容器の一部を占めるものであり、反応容器外部から反応容器内に反応物質を滞りなく供給できるものであれば、特に限定されない。当該供給部としては、例えば、反応物質を供給する供給管や、反応物質を供給するための供給口、反応物質を反応部の直前で一時貯蔵する貯蔵空間等が挙げられる。これらの中でも、当該供給部は、反応物質を反応容器内に供給する供給管であることが好ましく、反応容器内に均一に反応物質を供給できるという観点から、当該供給部は、その先端を2以上有し、反応物質を当該2以上の先端から供給できる多岐管であることが好ましい。
なお、当該供給部から供給される反応物質は、後述する反応部における電気化学反応において反応する化学物質であれば、特に限定されない。
特に、本発明の反応装置が、中心粒子及び当該中心粒子を被覆する金属層を備える、触媒微粒子の前駆体を製造する装置である場合には、供給部は、反応物質として、前記中心粒子を構成する原料及び金属イオン溶液を含む触媒微粒子原料を供給してもよい。
触媒微粒子原料中の中心粒子を構成する原料は、後述する最外層に用いられる材料と格子不整合を生じない金属材料であることが好ましい。また、コストを抑える観点から、中心粒子を構成する原料は、最外層に用いられる材料よりも安価な金属材料であることが好ましい。さらに、中心粒子を構成する原料は、電気的導通がとれる金属材料であることが好ましい。
この様な観点から、中心粒子を構成する原料は、パラジウム、イリジウム、ロジウム若しくは金等の金属、又は2種以上の当該金属からなる合金を含むことが好ましい。これらの金属材料のうち、パラジウム、又は上記金属材料を含むパラジウム合金を当該原料に用いることがより好ましい。
中心粒子を構成する原料は、担体に担持されていてもよい。特に、当該原料を用いて製造される触媒微粒子を燃料電池の電極触媒層に使用した際、電極触媒層に導電性を付与するという観点から、担体が導電性材料であることが好ましい。
担体として使用できる導電性材料の具体例としては、ケッチェンブラック(商品名:ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製)、バルカン(商品名:Cabot社製)、ノーリット(商品名:Norit社製)、ブラックパール(商品名:Cabot社製)、アセチレンブラック(商品名:Chevron社製)等の炭素粒子や、炭素繊維等の導電性炭素材料;金属粒子や金属繊維等の金属材料;が挙げられる。
触媒微粒子原料中の金属イオン溶液としては、電気化学反応として例えば金属アンダーポテンシャル析出法を行う場合、当該析出法により析出させる金属のイオンを含む溶液であることが好ましい。その中でも、例えば、Cu−UPDを行う場合には、硫酸銅(II)水溶液等の銅イオン溶液を用いることが好ましい。Cu−UPDは、中心粒子に銅を被覆する際に、各中心粒子への銅析出量を均一にできる点で好ましい。
1−2.反応部
本発明に使用される反応部は、反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有部材を備え、且つ、反応容器の内壁に電位が付与され且つ供給部から反応物質が供給されることにより、少なくとも前記内壁及び炭素含有部材表面において、反応物質による電気化学反応を進行させる部位である。
反応容器の反応部とは、上述した供給部及び後述する排出部以外の反応容器内の空間をいい、電気化学反応に実際に寄与する部分のことを指す。電極と反応物質との接触により電気化学反応が開始することから鑑みると、当該反応部は、厳密には、反応容器の内壁又は炭素含有部材表面と、反応物質とが接触している部分であると定義できる。しかし、本発明においては、炭素含有部材が存在する反応容器の部分全体をもって反応部としてもよい。
本発明に使用される炭素含有部材は、反応容器の内壁と電気的に導通可能である。ここで、「炭素含有部材が反応容器の内壁と電気的に導通可能である」とは、反応容器の内壁に電位が付与された場合、炭素含有部材にも同程度の電位が付与されることを意味する。このように、炭素含有部材と反応容器の内壁との間に電気的導通が取れることにより、反応容器の内壁に電位を付与することによって、炭素含有部材も電気を帯びることとなり、反応物質を炭素含有部材表面に引き付けやすくなる。その結果、電気化学反応が促進され、所望の反応生成物を高い反応効率で得ることができる。「炭素含有部材が反応容器の内壁と電気的に導通可能である」ことの具体的な態様としては、炭素含有部材が反応容器の内壁の一部又は全部と一体化している態様、炭素含有部材が直接反応容器の内壁と接触している態様、炭素含有部材が他の炭素含有部材を介して間接的に反応容器の内壁と接触している態様等が挙げられる。
例えば、本発明の反応装置が、中心粒子及び当該中心粒子を被覆する金属層を備える、触媒微粒子の前駆体を製造する装置である場合には、反応容器の内壁に電位を付与することによって、炭素含有部材も電気を帯びることとなり、カーボンに担持されたパラジウムのような中心粒子を構成する材料を、反応容器の内壁及び炭素含有部材表面に引き付けやすくなる。その結果、中心粒子表面における金属のアンダーポテンシャル析出が効率よく進行し、中心粒子に対する金属層の被覆率の高い触媒微粒子の前駆体が得られると共に、当該前駆体から製造される触媒微粒子の触媒活性を向上させることができる。
反応部に使用される炭素含有部材は、反応装置に使用される上述した材料と同様の材料を含むことが好ましい。当該炭素含有部材は、反応装置に使用される材料と同じ材料からなることがより好ましく、特に、本発明の反応装置が、中心粒子及び当該中心粒子を被覆する金属層を備える、触媒微粒子の前駆体を製造する装置である場合には、当該炭素含有部材は、上述した炭素材料からなることがさらに好ましい。
当該炭素含有部材の形状は、反応容器の内壁と電気的に導通可能であり、電気化学反応のために反応物質の接触面積を広く確保できる形状であれば、特に限定されない。当該炭素含有部材の形状の例としては、例えば、粒子状、管状等が挙げられる他、当該炭素含有部材の中に反応物質等が流通するための流路が確保されるような形状を挙げることもできる。
粒子状の炭素含有部材としては、例えば、反応容器の反応部に充填率50〜99体積%で充填され、且つ、反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有粒子が挙げられる。
管状の炭素含有部材としては、例えば、反応容器の供給部にその一端が接続され、且つ、反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有管が挙げられる。
反応物質のための流路を確保する炭素含有部材としては、例えば、反応容器の内壁の一部又は全部と一体となっており、且つ、当該炭素含有部材内部に、反応物質及び反応生成物のうち少なくともいずれか一方のための流路を1又は2以上有する態様が挙げられる。
以上3種類の炭素含有部材については、後に図を用いて詳細に説明する。
本発明においては、反応部における反応容器の内壁の総面積(S)と炭素含有部材の全表面積(S)との和である面積(S)を、炭素含有部材が反応部に占める総体積(V)を前記反応部の総体積(V)から減じた体積(V)により除した値(S/V)が、50m−1以上であることが好ましい。
上記面積S、面積S、面積S、体積V、体積V、及び体積Vの関係は、下記式(1)の通りである。
S/V=(S+S)/(V−V) 式(1)
上記式(1)から明らかなように、体積Vは反応容器の内壁と炭素含有部材との間隙の体積、及び炭素含有部材間の間隙の総体積の和を、すなわち、反応部内において反応物質や反応生成物が存在できる総体積を示す。
このうち、反応部における反応容器の内壁の総面積(S)及び反応部の総体積(V)は、上述した反応容器における反応部の定義により決定される。
反応部における炭素含有部材の全表面積(S)、及び炭素含有部材が反応部に占める総体積(V)は、炭素含有部材の形状に従い算出できる。なお、反応物質等が流通するための流路を確保する炭素含有部材の場合には、表面積(S)は流路の全表面積とほぼ等しい。
上記値(S/V)が50m−1未満である場合には、槽型反応容器を用いた従来の反応装置の値(S/V)とあまり差が生じない。一般的に、従来の反応装置のS/Vは20m−1以下程度であるため、反応容器内壁(すなわち電極)への反応物質の衝突頻度が小さい。したがって、上記値(S/V)が50m−1未満である場合には、電気化学反応が速やかに効率よく進行せず、プロセスコストが増大するおそれがある。特に、本発明の反応装置が、中心粒子及び当該中心粒子を被覆する金属層を備える、触媒微粒子の前駆体を製造する装置である場合、上記値(S/V)が50m−1未満であるとすると、中心粒子に対する金属層の被覆率の比較的低い触媒微粒子の前駆体が得られ、当該前駆体から製造される触媒微粒子の触媒活性が低下するおそれがある。
上記値(S/V)は、70m−1以上であることがより好ましく、100m−1以上であることがさらに好ましい。上記値(S/V)の上限には特に制限はないものの、例えば、上記値(S/V)は10,000m−1以下としてもよい。
特に、本発明の反応装置が、中心粒子及び当該中心粒子を被覆する金属層を備える、触媒微粒子の前駆体を製造する装置である場合には、反応部は、反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有部材を備え、且つ、反応容器の内壁に電位が付与され且つ供給部から触媒微粒子原料が供給されることにより、少なくとも反応容器の内壁及び炭素含有部材表面において、前記金属イオンが還元された金属層を中心粒子に被覆する電気化学反応を進行させてもよい。
本発明に使用できる触媒微粒子原料は、上述したように、中心粒子を構成する原料及び金属イオン溶液を含む。反応部において、中心粒子を構成する原料及び金属イオン溶液が反応容器の内壁及び/又は炭素含有部材表面に接触することにより、中心粒子を構成する原料が帯電し、帯電した当該原料表面において金属イオンが還元される結果、中心粒子表面において金属層が好適には一層被覆された触媒微粒子前駆体が合成される。
1−3.排出部
本発明に使用される排出部は、上述した電気化学反応により生成する反応生成物を反応容器外へ排出する部位である。
当該排出部は、反応容器の一部を占めるものであり、反応容器内部から反応容器外へ反応生成物を滞りなく排出できるものであれば、特に限定されない。当該排出部としては、例えば、反応生成物を排出する排出管や、反応生成物を排出するための排出口、反応生成物を一時貯蔵する貯蔵空間等が挙げられる。これらの中でも、当該排出部は、反応生成物を反応容器外へ排出する排出管であることが好ましい。
特に、本発明の反応装置が、中心粒子及び当該中心粒子を被覆する金属層を備える、触媒微粒子の前駆体を製造する装置である場合には、排出部は、電気化学反応により生成する触媒微粒子の前駆体を反応容器外へ排出することが好ましい。また、このような構成においては、得られる前駆体を用いて触媒微粒子を製造するという観点から、当該排出部は、当該前駆体を触媒微粒子に変換できる他の装置に接続され、当該排出部を通じて、当該他の装置に触媒微粒子の前駆体を供給できることが好ましい。
1−4.その他の要素
本発明においては、窒素ガス及びアルゴンガスからなる群より選ばれる少なくとも1つの不活性ガスを反応容器内に供給する不活性ガス供給装置を備えることが好ましい。
このように、不活性ガスを供給できる装置を備えることにより、不活性ガスにより反応物質及び当該反応物質を含む混合物を攪拌できると共に、反応物質の流通速度を調節でき、さらに反応容器内の酸素等を追い出すことができる。
不活性ガスの供給速度や供給方向は、電気化学反応を滞りなく進行できる速度及び方向であれば、特に限定されない。特に、反応物質と不活性ガスの流れ方向は、同じであってもよいし(並流型)、互いに逆であってもよい(向流型)。なお、本発明の反応装置を並流型とする場合には、反応部から見て、不活性ガス供給装置は供給部側に配置される。また、本発明の反応装置を向流型とする場合には、反応部から見て、不活性ガス供給装置は排出部側に配置される。
不活性ガス供給装置の例としては、反応容器外部の不活性ガス供給源に接続された不活性ガス供給管等が挙げられる。
なお、本発明の反応装置は、不活性ガス供給装置の他に、スターラー等の攪拌装置を適宜備えていてもよい。
従来の気液向流型の反応装置は、主に気液反応に用いられ、管型反応容器内部に触媒層が充填され、当該反応装置の一方より反応ガス、他方より反応液を供給し、触媒層内において反応を進行させるものである。しかし、本発明のように、反応容器内部に触媒機能を有しない炭素含有材料を配置し、当該炭素含有材料表面において電気化学反応を行う例はこれまでに知られていない。
図1(a)は、本発明に係る反応装置の第1の実施形態を示す図であって、供給部と排出部とをつなぐ線に平行な方向に切断した断面を模式的に示した図である。なお、二重波線は図の省略を意味する。
反応装置の第1の実施形態100は、カプセル型の反応容器1を備える。反応容器1の内壁1aは炭素材料を含有し、導電性を有する。反応容器1内部全体を一定の電位に保持することができるという観点から、反応容器の内壁1aが炭素材料製であることが好ましく、反応容器1が炭素材料製であることがより好ましい。
反応容器1の大きさは反応スケールによって適宜調節できるが、例えば、胴部(円筒部)の直径を0.5〜5m、高さ(カプセルの長さ)を1〜10mとすることができる。
当該第1の実施形態100は、供給部として供給管2を備える。供給管2は、反応物質を供給する1本の管が反応容器1外から延び、反応容器1内において当該反応物質を満遍なく供給するための複数の管を有する、いわゆる多岐管である。
当該第1の実施形態100は、反応容器1の胴部(円筒部)を反応部3とする。反応部3の底には多孔板4が配置され、且つ、当該多孔板4に支持された複数の炭素含有粒子5(炭素含有部材)が充填されている。
多孔板4は、反応容器1の胴部(円筒部)の内径とほぼ等しい直径を有し、且つ、炭素含有粒子5の粒径よりは小さいが、反応生成物を含む反応混合物が通過できる程度には大きい孔が1又は2以上空いている板である。
炭素含有粒子5は、反応容器の内壁1aと電気的に導通可能である。すなわち、炭素含有粒子5のうち一部は、反応容器の内壁1aと直接接触しており、炭素含有粒子5の残りは、他の炭素含有粒子5を介して反応容器の内壁1aと間接的に接触している。反応容器1内部全体を一定の電位に保持できるという観点から、炭素含有粒子5は炭素材料製であることが好ましい。
炭素含有粒子5の直径は、反応容器1の大きさによって適宜調節できるが、例えば、0.5〜10cmとすることができる。また、図1(a)には等しい粒径の炭素含有粒子5しか描かれていないが、互いに異なる粒径の炭素含有粒子を2種以上組み合わせて用いてもよい。
炭素含有粒子5の個数は、反応容器1の大きさや充填率の要請によって適宜調節できるが、例えば、10〜10,000個とすることができる。
炭素含有粒子5の充填率は上述した通り50〜99体積%であることが好ましい。当該充填率が50体積%未満である場合には、炭素含有粒子が反応部に占める割合が小さすぎるため、反応物質と炭素含有粒子との接触確率が低くなりすぎて、反応物質当たりの反応効率が低下するおそれがある。また、当該充填率が99体積%を超える場合には、炭素含有粒子が反応部に占める割合が大きすぎるため、反応物質が反応部を十分な量通過できず、全体的な製造効率が低下するおそれがある。
図1(b)は、炭素含有粒子をいわゆる六方最密構造で充填した場合の斜視模式図である。なお、ここで「六方最密構造」とは、反応部内における炭素含有粒子の充填構造を、炭素含有粒子を原子に見立てた場合の結晶構造に例えたものである。六方最密構造の場合には、反応部3内における炭素含有粒子5の充填率は74%となる。互いに異なる粒径の炭素含有粒子を2種以上組み合わせて用いることにより、炭素含有粒子5の充填率を99%まで上げることもできる。
反応容器1内の容積及び炭素含有粒子の粒径にもよるが、炭素含有粒子5を反応容器1内に最密充填させることにより、上述した値(S/V)を100〜1,000とすることが可能である。このように高い値(S/V)を有することにより、当該第1の実施形態100は、反応容器1内部を一定電位に制御でき、且つ槽型反応容器を有する従来の反応装置と比較して、反応物質と電極(すなわち反応容器内壁及び炭素含有粒子表面)との単位体積当たりの接触面積を格段に広く確保できるため、反応時間を飛躍的に短縮することが可能となる。
当該第1の実施形態100は、排出部として排出管6を備える。また、当該第1の実施形態100は、反応部3から見て、不活性ガス供給装置としての不活性ガス供給管7を排出管6側に備える(向流型)。矢印8は不活性ガスの供給方向を指す。なお、当該第1の実施形態100は、反応部3から見て、不活性ガス供給装置としての不活性ガス供給管7を供給管2側に配置してもよい(並流型)。
当該第1の実施形態100を用いることにより、反応時間の大幅短縮や、プロセスコストの低下が達成できるのみならず、反応生成物を含む反応混合物を、排出管6から容易に回収することができる。また、炭素含有粒子5を反応部3内に充填するという比較的簡潔なモジュール構成のため、設備投資も比較的小さいという利点を有する。
当該第1の実施形態100を用いた化学反応生成物の製造方法については後述する。
図2は、本発明に係る反応装置の第2の実施形態を示す図であって、供給部と排出部とをつなぐ線に平行な方向に切断した断面を模式的に示した図である。なお、二重波線は図の省略を意味する。
反応装置の第2の実施形態200は、カプセル型の反応容器11を備える。反応容器11の大きさや、反応容器の内壁11aの素材については、上述した第1の実施形態100の反応容器1の大きさ及び反応容器の内壁1aの素材と同様である。
当該第2の実施形態200は、多岐管12を備える。多岐管12の管の内の一本は、反応容器11外に延びて、供給部としての供給管12aとなる。また、多岐管12の残りの管は、炭素含有管12bとなり、反応部13に配置される。当該第2の実施形態200においては、多岐管12の管のうち供給管12aのみを異なる材料で形成してもよいが、多岐管12の管を全て同じ材料(炭素含有材料)で形成することが好ましい。
当該第2の実施形態200は、反応容器11の胴部(円筒部)を反応部13とする。当該第2の実施形態200においては、反応部13の底から2以上の炭素含有管12b(炭素含有部材)が排出管16に向かって延びている。炭素含有管12bの延伸方向は、図2に示すように排出管16に向かって略直線状に延びていてもよいが、蛇行していてもよい。また、炭素含有管12bは、反応容器の内壁11aと電気的に導通可能である。すなわち、図2に示すように、複数の炭素含有管12bは、供給管12aを通じて間接的に反応容器の内壁11aと接触している。反応容器11内部全体を一定の電位に保持することができるという観点から、供給管12a及び炭素含有管12bは、いずれも炭素材料製であることが好ましい。
炭素含有管12bの大きさは、反応容器11の大きさによって適宜調節できるが、例えば、平均直径0.5〜15cm、平均長さ20〜200cmとすることができる。なお、ここでいう平均直径とは、反応容器1内の全ての炭素含有管12bの直径の平均を指す。また、ここでいう平均長さとは、反応容器1内の全ての炭素含有管12bの長さの平均を指す。なお、炭素含有管12bの長さとは、炭素含有管12bの両端の距離を必ずしも意味するものではなく、反応物質及び/又は反応生成物の実質的な流路となる長さを指す。
炭素含有管12bの管の厚さは、できるだけ単位体積当たりの表面積を稼ぐという観点から薄い方が好ましく、例えば、平均厚さ0.1〜5mmとすることができる。なお、ここでいう平均厚さとは、反応容器1内の全ての炭素含有管12bの厚さの平均を指す。
また、図2には等しい直径且つ等しい長さの炭素含有管12bしか描かれていないが、互いに異なる直径及び/又は長さの炭素含有管12bを2種以上組み合わせて用いてもよい。また、炭素含有管12bの断面形状は、円であってもよいし、四角形等の多角形であってもよい。さらに、炭素含有管12bの直径や断面形状は、その延伸方向に沿って変化してもよい。また、炭素含有管12bの内壁に適度な凹凸形状を付与してもよい。当該凹凸形状が炭素含有管12b内の反応物質の流れを適度に乱し、炭素含有管12bの内壁と反応物質との接触効率をさらに向上させることができる。
炭素含有管12bの本数は、反応容器11の大きさによって適宜調節できるが、例えば、10〜10,000本とすることができる。
反応容器11内の容積と、炭素含有管12bの直径及び長さにもよるが、炭素含有管12bを反応容器11内に適切に配置することにより、上述した値(S/V)を50〜1,000とすることが可能である。このように高い値(S/V)を有することにより、当該第2の実施形態200は、反応容器11内部を一定電位に制御でき、且つ槽型反応容器を有する従来の反応装置と比較して、反応物質と電極(すなわち、主に炭素含有管内部の表面)との単位体積当たりの接触面積を格段に広く確保できるため、反応時間を飛躍的に短縮することが可能となる。
当該第2の実施形態200は、排出部として排出管16を備える。また、当該第2の実施形態200は、反応部13から見て、不活性ガス供給装置としての不活性ガス供給管17を排出管16側に備える(向流型)。矢印18は不活性ガスの供給方向を指す。なお、当該第2の実施形態200は、反応部13から見て、不活性ガス供給装置としての不活性ガス供給管17を供給管12側に配置してもよい(並流型)。並流型を採用する場合には、供給管12に不活性ガス供給装置としての役割も担わせ、供給管12から反応物質と共に不活性ガスを供給してもよい。
炭素含有管12bを備える当該第2の実施形態200を用いることにより、体積当たりの電極の表面積を極めて高く保つことができ、且つ、炭素含有管12bの直径及び長さを適宜調節することにより、炭素含有管12b内における反応物質の滞留時間を均一に制御できるため、各反応物質における反応のばらつきを抑えることが可能である。
当該第2の実施形態200を用いた化学反応生成物の製造方法については後述する。
図3(a)は、本発明に係る反応装置の第3の実施形態を示す図であって、供給部と排出部とをつなぐ線に平行な方向に切断した断面を模式的に示した図である。なお、二重波線は図の省略を意味する。
反応装置の第3の実施形態300は、カプセル型の反応容器21を備える。反応容器21の大きさや、反応容器の内壁21aの素材については、上述した第1の実施形態100の反応容器1の大きさ及び反応容器の内壁1aの素材と同様である。
当該第3の実施形態300は、供給部として供給管22を備える。供給管22は、反応物質を供給する1本の管であり、反応容器21外から反応容器21内部に向かって延びる管である。なお、供給管22は、図3(a)に示すように後述する炭素含有部材25と連結していてもよいし、炭素含有部材25と直接連結していなくてもよい。また、供給管22が炭素含有部材25と連結する場合には、炭素含有部材内部の流路25aに当該反応物質を満遍なく供給するため、供給管22が複数の管を有するいわゆる多岐管であってもよい。さらに、供給管22が炭素含有部材25と連結する場合には、供給管22のみが異なる材料で形成されていてもよいが、供給管22及び炭素含有部材25がいずれも共通の材料(炭素含有材料)で形成されていることが好ましい。
当該第3の実施形態300は、反応容器21の胴部(円筒部)を反応部23とする。当該第3の実施形態300においては、反応部23の全域を炭素含有部材25が占める。したがって、炭素含有部材25は、反応容器の内壁21aの一部と一体となっている。なお、本発明において、炭素含有部材25は、反応容器の内壁21aの全部と一体となり、反応容器21内部の全体が炭素含有部材25で占められていてもよい。また、炭素含有部材25は、反応容器の内壁21aと電気的に導通可能である。反応容器21内部全体を一定の電位に保持することができるという観点から、炭素含有部材25は炭素材料製であることが好ましい。
図3(b)は、第3の実施形態300の反応部23を、図3(a)に示した一点鎖線Aに示す部分において切断した断面を模式的に示した図である。なお、図3(a)及び図3(b)をつなぐ一点鎖線は、図3(a)及び図3(b)における反応容器21、炭素含有部材25、並びに、反応物質及び/又は反応生成物が流通するための流路25a(以下、当該流路25aと称する場合がある。)の位置関係を示し、特に、当該流路25aが供給管22から排出管26に向かって直線状に延びる様子を示す。
図3(b)から分かるように、反応部23においては、反応容器の内壁21aと炭素含有部材25の外表面は接して一体となっている。また、炭素含有部材25の内部には当該流路25aが確保され、当該流路25aは供給管22から排出管26に向かって延びている。当該流路25aの延伸方向は、図3(a)及び図3(b)に示すように排出管26に向かって略直線状に延びていてもよいが、蛇行していてもよいし、反応物質が滞りなく流れるのであれば、2本以上の当該流路25a同士が互いに合流して1本の当該流路25aとなったり、1本の当該流路25aが分岐して2本以上の当該流路25aとなったりしてもよい。また、炭素含有部材25の内部が緻密な多孔質状構造となっており、当該流路25a同士の区別がつかない構造であってもよい。
当該流路25aの大きさは、反応容器21の大きさによって適宜調節できるが、例えば、平均直径0.5〜15cm、平均長さ20〜200cmとすることができる。なお、ここでいう平均直径とは、反応容器21内の全ての当該流路25aの直径の平均を指す。また、ここでいう平均長さとは、反応容器1内の全ての当該流路25aの長さの平均を指す。なお、当該流路25aの長さとは、当該流路25aの両端の距離を必ずしも意味するものではなく、反応物質及び/又は反応生成物の実質的な流路となる長さを指す。
当該流路25a同士の間の隔壁の厚さは、当該流路25aの形状が維持できる程度であれば特に限定されず、例えば、平均厚さ0.1〜5mmとすることができる。なお、ここでいう平均厚さとは、反応容器21内の当該流路25a同士の間の全ての隔壁の厚さの平均を指す。
なお、炭素含有部材25の内部を多孔質状構造とする場合には、必ずしも上記平均直径、平均長さ、及び平均厚さを適用する必要はない。
また、図3(a)及び(b)には等しい直径且つ等しい長さの当該流路25aしか描かれていないが、互いに異なる直径及び/又は長さの当該流路25aを2種以上組み合わせて用いてもよい。また、当該流路25aの断面形状は、図3(b)に示すように四角形等の多角形であってもよいし、円であってもよい。炭素含有部材25の断面形状はハニカム形状であってもよい。さらに、当該流路25aの直径や断面形状は、その延伸方向に沿って変化してもよい。また、当該流路25aの内壁に適度な凹凸形状を付与してもよい。当該凹凸形状が当該流路25a内の反応物質の流れを適度に乱し、当該流路25aの内壁と反応物質との接触効率をさらに向上させることができる。
反応容器21内の容積と、当該流路25aの直径及び長さにもよるが、炭素含有部材25内に当該流路25aを適切に配置することにより、上述した値(S/V)を50〜1,000とすることが可能である。このように高い値(S/V)を有することにより、当該第3の実施形態300は、反応容器21内部を一定電位に制御でき、且つ槽型反応容器を有する従来の反応装置と比較して反応物質と電極(すなわち、主に当該流路内部の表面)との単位体積当たりの接触面積を格段に広く確保できるため、反応時間を飛躍的に短縮することが可能となる。
当該第3の実施形態300は、排出部として排出管26を備える。また、当該第3の実施形態300は、反応部23から見て、不活性ガス供給装置としての不活性ガス供給管27を排出管26側に備える(向流型)。矢印28は不活性ガスの供給方向を指す。なお、当該第3の実施形態300は、反応部23から見て、不活性ガス供給装置としての不活性ガス供給管27を供給管22側に配置してもよい(並流型)。並流型を採用する場合には、供給管22に不活性ガス供給装置としての役割も担わせ、供給管22から反応物質と共に不活性ガスを供給してもよい。
炭素含有部材25を備える当該第3の実施形態300を用いることにより、体積当たりの表面積を極めて高く保つことができ、且つ、炭素含有部材内部の当該流路25aの直径及び長さを適宜調節することにより、電極に対する反応物質の時間当たりの衝突頻度を向上させることができ、化学反応の進行をより迅速かつ確実に進めることができる。
当該第3の実施形態300を用いた化学反応生成物の製造方法については後述する。
2.化学反応生成物の製造方法
本発明の化学反応生成物の製造方法は、少なくともその内壁に炭素材料を含有し、且つ、(1)供給部、(2)前記内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有部材を備える反応部、及び(3)排出部を備える反応容器を用い、前記供給部から前記反応容器内に1種又は2種以上の反応物質を供給する供給工程、前記反応容器の内壁に電位を付与することにより、少なくとも前記反応部の内壁及び前記炭素含有部材表面において、前記反応物質による電気化学反応を進行させる電気化学反応工程、並びに前記電気化学反応により生成する反応生成物を、前記排出部から前記反応容器外へ排出する排出工程、を有することを特徴とする。
本発明の製造方法に使用される反応容器は、上述した本発明に係る反応装置における反応容器と同一のものである。すなわち、本発明の製造方法に使用される反応容器の供給部、反応部、及び排出部は、上述した本発明に係る反応装置における供給部、反応部、及び排出部と同様である。したがって、本発明の製造方法における供給工程、電気化学反応工程、及び排出工程は、上述した本発明に係る反応装置における供給部、反応部、及び排出部の各機能にそれぞれ対応する。
以下、中心粒子及び当該中心粒子を被覆する金属層を備える、触媒微粒子の前駆体を製造する場合を例にとり、上述した本発明に係る反応装置の第1の実施形態100、第2の実施形態200、及び第3の実施形態300を用いた、本発明に係る製造方法への応用について説明する。
まず、図1(a)を参照しながら、本発明に係る反応装置の第1の実施形態100を、本発明に係る製造方法に応用する典型例について説明する。
まず、供給管2から、反応物質として、中心粒子を構成する原料及び/又は金属イオン溶液を含む触媒微粒子原料9aを供給する(供給工程)。触媒微粒子原料9aは、中心粒子を構成する原料及び金属イオン溶液を必ずしも同時に含んでいなくてもよい。すなわち、供給管2から、中心粒子を構成する原料と金属イオン溶液とを同時に供給してもよいし、別々に供給してもよい。
反応容器の内壁1aに電位を付与することにより、少なくとも反応部3の内壁1a及び炭素含有部材5の表面において、金属イオンが還元された金属層を中心粒子に被覆する電気化学反応を進行させる(電気化学反応工程)。本典型例の電気化学反応工程においては、上述した金属アンダーポテンシャル法により、中心粒子に対し金属層を被覆する。反応容器内部の電位を均一に保ち、電極に接触した中心粒子に対し即座に金属層を被覆できるようにするという観点から、反応容器の内壁1aへの電位の付与は、供給工程よりも先に行うことが好ましい。
電気化学反応工程においては、反応物質が反応部を通過する時間が、反応物質が反応に関与する時間とほぼ等しいことが好ましい。反応物質が反応部を通過する時間が、反応物質が反応に関与する時間よりも長すぎると、生成後の反応生成物が余った時間の分だけさらに電極反応に関与することとなり、副生成物が生成するおそれがある。また、反応物質が反応部を通過する時間が、反応物質が反応に関与する時間よりも短すぎると、化学反応が完全に進行しないまま反応物質が反応容器外に排出されてしまうこととなり、反応生成物の収率が下がるおそれがある。
反応物質が反応に関与する時間は、例えば、後述する図4のような模擬装置により測定できる。当該模擬装置において、電位の付与を開始した時間を反応開始時間とし、付与した電位に対して流れる電流がほぼ一定値となり、電流が平衡状態となった時間を反応終了時間とみなすことができる、すなわち、反応物質が反応に関与する時間は、当該反応開始時間から当該反応終了時間までの間である。
反応物質が反応部を通過する時間は、炭素含有粒子5の個数や充填状態、触媒微粒子原料9aの供給速度、及び不活性ガス供給管7から供給される不活性ガスの流速により調節できる。
反応部3を通過した反応混合物9bは、多孔質板4を通過し、排出管6へと至る。電気化学反応により生成した触媒微粒子の前駆体を含む反応混合物9cは、排出管6を介して反応容器1外へ排出される(排出工程)。
なお、図1(a)においては、供給管2が排出管6よりも上になるように描かれているが、当該第1の実施形態100においては、供給管2から排出管6への反応物質の流れが正常に確保できる限りにおいては、装置の上下(天地)は特に限定されない。したがって、当該第1の実施形態100においては、供給管2が排出管6よりも鉛直方向で上であってもよいし、供給管2が排出管4よりも鉛直方向で下であってもよいし、供給管2及び排出管4が水平に配置されていてもよい。
次に、図2を参照しながら、本発明に係る反応装置の第2の実施形態200を、本発明に係る製造方法に応用する典型例について説明する。
まず、供給管12aから、反応物質として、中心粒子を構成する原料及び/又は金属イオン溶液を含む触媒微粒子原料を供給する(供給工程)。供給する触媒微粒子原料については、上述した第1の実施形態100を用いた典型例と同様である。
反応容器の内壁11aに電位を付与することにより、少なくとも反応部13の内壁11a及び炭素含有管12bの表面(管内部の表面を含む)において、金属イオンが還元された金属層を中心粒子に被覆する電気化学反応を進行させる(電気化学反応工程)。本典型例の電気化学反応工程においては、上述した金属アンダーポテンシャル法により、中心粒子に対し金属層を被覆する。反応容器内部の電位を均一に保ち、電極に接触した中心粒子に対し即座に金属層を被覆できるようにするという観点から、反応容器の内壁11aへの電位の付与は、供給工程よりも先に行うことが好ましい。
反応物質が反応部を通過する時間が、反応物質が反応に関与する時間とほぼ等しいことが好ましい点、及び反応物質が反応に関与する時間の測定方法については、上述した第1の実施形態100を用いた典型例と同様である。反応物質が反応部を通過する時間は、炭素含有管12bの直径、長さ、形状、及び本数や、触媒微粒子原料の供給速度、並びに不活性ガス供給管17から供給される不活性ガスの流速により調節できる。
反応部13を通過した反応混合物19aは、排出管16へと至る。電気化学反応により生成した触媒微粒子の前駆体を含む反応混合物19bは、排出管16を介して反応容器11外へ排出される(排出工程)。装置の上下が特に限定されない点は、上述した第1の実施形態100を用いた典型例と同様である。
続いて、図3を参照しながら、本発明に係る反応装置の第3の実施形態300を、本発明に係る製造方法に応用する典型例について説明する。
まず、供給管22から、反応物質として、中心粒子を構成する原料及び/又は金属イオン溶液を含む触媒微粒子原料を供給する(供給工程)。供給する触媒微粒子原料については、上述した第1の実施形態100を用いた典型例と同様である。
反応容器の内壁21aに電位を付与することにより、少なくとも反応部23の内壁21a及び炭素含有部材25の表面(炭素含有部材25内部の流路を含む)において、金属イオンが還元された金属層を中心粒子に被覆する電気化学反応を進行させる(電気化学反応工程)。本典型例の電気化学反応工程においては、上述した金属アンダーポテンシャル法により、中心粒子に対し金属層を被覆する。反応容器内部の電位を均一に保ち、電極に接触した中心粒子に対し即座に金属層を被覆できるようにするという観点から、反応容器の内壁21aへの電位の付与は、供給工程よりも先に行うことが好ましい。
反応物質が反応部を通過する時間が、反応物質が反応に関与する時間とほぼ等しいことが好ましい点、及び反応物質が反応に関与する時間の測定方法については、上述した第1の実施形態100を用いた典型例と同様である。反応物質が反応部を通過する時間は、炭素含有部材25内部の流路の直径、長さ、形状、及び本数や、触媒微粒子原料の供給速度、並びに不活性ガス供給管27から供給される不活性ガスの流速により調節できる。
反応部23を通過した反応混合物29aは、排出管26へと至る。電気化学反応により生成した触媒微粒子の前駆体を含む反応混合物29bは、排出管26を介して反応容器21外へ排出される(排出工程)。装置の上下が特に限定されない点は、上述した第1の実施形態100を用いた典型例と同様である。
本発明に係る製造方法により好適に製造される触媒微粒子の前駆体は、中心粒子を被覆する金属層を、触媒活性を有する層(最外層)に置換することにより、触媒微粒子へと変換される。以下、最外層として白金層を形成する場合について主に説明する。
まず、KPtCl等の白金化合物を、硫酸等の酸に適宜溶かして、白金イオン溶液を調製する。白金イオン溶液には、窒素等の不活性ガスを予めバブリングさせることが好ましい。
次に、上記製造方法により得られる触媒微粒子の前駆体を含む反応混合物を、調製した白金イオン溶液と混合する。この操作により、中心粒子表面の金属層を白金単原子層に置換することができる。なお、置換めっき時間は、試料の量にもよるが、10分間〜10時間程度である。
触媒微粒子の前駆体を含む反応混合物と白金イオン溶液との混合方法は、特に限定されない。例えば、上述した反応装置の排出部と、白金イオン溶液を保持した容器とを接続し、当該反応装置から排出された反応混合物が自動的に当該容器に移送されることにより、当該反応混合物と白金イオン溶液とを混合するようにしてもよい。また、上述した反応装置の排出部に、白金イオン溶液を保持した容器、及び第3の容器を接続した上で、当該第3の容器中において、当該反応装置から排出された反応混合物と白金イオン溶液とを混合してもよい。
最外層を構成する材料は、触媒活性が高いことが好ましい。ここでいう触媒活性とは、触媒の用途にもよるが、例えば、燃料電池用触媒としての活性のことを指す。
当該最外層は白金を含むことが好ましい。白金は、触媒活性、特に酸素還元反応活性に優れている。また、白金の格子定数は3.92Åであるのに対し、中心粒子に含まれる材料において例示したパラジウムの格子定数は3.89Åであり、パラジウムの格子定数は白金の格子定数の±5%の範囲内の値である。したがって、中心粒子にパラジウム又はパラジウム合金を、最外層に白金をそれぞれ用いた場合には、中心粒子と最外層の間で格子不整合が生じず、白金による中心粒子の被覆が十分に行われる。
なお、最外層には、白金以外に、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、又は金が含まれていてもよい。最外層に白金合金を用いる場合には、当該白金合金には白金の他に金属が1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
中心粒子の溶出をより抑制できるという観点から、中心粒子に対する最外層の被覆率が、0.8〜1であることが好ましい。中心粒子に対する最外層の被覆率が0.8未満である場合、電気化学反応において中心粒子が溶出し、その結果、触媒微粒子が劣化するおそれがある。
なお、ここでいう「中心粒子に対する最外層の被覆率」とは、中心粒子の全表面積を1とした時の、最外層により被覆されている中心粒子の面積の割合のことである。当該被覆率を算出する方法の一例を以下説明する。まず、誘導結合プラズマ質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry:ICP−MS)等により、触媒微粒子中の最外層金属含有量(A)を測定する。一方で、透過型電子顕微鏡(TEM)等により、触媒微粒子の平均粒径を測定する。測定した平均粒径から、その粒径の粒子が表面に有する原子の数を推定し、粒子表面の1原子層が最外層に含まれる金属に置き換わった場合の最外層金属含有量(B)を推定する。最外層金属含有量(A)を最外層金属含有量(B)で除した値が、「中心粒子に対する最外層の被覆率」となる。
中心粒子を被覆する最外層は、単原子層であることが好ましい。このような構造を有する触媒微粒子は、2原子層以上の最外層を有する触媒微粒子と比較して、最外層における触媒性能が極めて高いという利点、及び、最外層の被覆量が少ないため材料コストが低いという利点がある。
なお、触媒微粒子の平均粒径は、その下限が好適には4nm以上、より好適には5nm以上であり、その上限が好適には40nm以下、より好適には10nm以下である。
金属層を最外層に置換した後には、触媒微粒子のろ過、洗浄、及び乾燥等が行われてもよい。
触媒微粒子のろ過及び洗浄は、製造された触媒微粒子の被覆構造を損なうことなく、不純物を除去できる方法であれば特に限定されない。当該ろ過及び洗浄の例としては、水、過塩素酸、希硫酸、希硝酸等を用いて吸引ろ過をする方法が挙げられる。
触媒微粒子の乾燥は、溶媒等を除去できる方法であれば特に限定されない。当該乾燥の例としては、室温下の真空乾燥を0.5〜2時間行った後、不活性ガス雰囲気下、60〜80℃の温度条件で1〜4時間乾燥させるという方法が挙げられる。
なお、上記はいわゆる金属アンダーポテンシャル法に関する例であるが、本発明の製造方法はこれのみに特に限定されず、幅広い用途に応用可能である。本発明の製造方法は、例えば、水素アンダーポテンシャル法や、一般的な電解めっき及び非電解めっき等にも応用できる。なお、一般的な電解めっきにおいては、例えば、炭素含有部材表面に所定の方法により予め金属を被覆した後、当該金属を所望の反応物質表面にめっきするという態様をとることもできる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
1.燃料電池用触媒の製造
以下、本発明における反応容器を模擬した反応容器を使用した実施例1、及び従来の槽型反応容器を使用した比較例1において、それぞれパラジウム粒子に対しCu−UPDを行い、燃料電池用触媒を製造した。
[実施例1]
まず、パラジウム粒子に対しCu−UPDを行った。図4は実施例1に用いた反応装置400の斜視模式図である。反応装置400は、反応容器31及び作用極32を備える。反応容器31は、直径140mm、高さ240mmのカーボン製円筒型容器である。反応容器31中には、直径28mmのカーボンビーズ35が200個、充填率65%で充填されている。なお、図4中の縦に並ぶ三点(・・・)は、カーボンビーズ35の描画の省略を意味する。また、図4はあくまで模式図であり、反応容器31とカーボンビーズ35の縮尺は、必ずしも実際に使用した装置の縮尺と一致するとは限らない。
反応装置400において、反応容器31、作用極32、及びカーボンビーズ35は互いに電気的に導通している。作用極32には、電位制御装置としてポテンショスタット等(図示せず)を接続し、反応容器31の電位を制御した。
まず、電位制御装置により、反応容器31の電位を0.4V(vsRHE)に保持した。次に、パラジウム担持カーボン(以下、単にPd/Cと称する場合がある。)10g、及び硫酸銅(II)(CuSO)水溶液1.3Lの混合物39を、反応容器31に加えた。
なお、上記混合物39が接する反応容器31の内壁の総面積及びカーボンビーズ35の全表面積の和(すなわち、総電極面積S)は、0.5mであった。また、上記混合物が存在する反応容器31内の空隙の全体積Vは、硫酸銅(II)水溶液の体積とほぼ等しいため、1.3Lである。したがって、実施例1においては、比(S/V)=0.5(m)/{1.3×10−3(m)}=3.8×10(m−1)である。
0.4V(vsRHE)に電位を保持し、銅単原子層をパラジウム粒子表面に電解めっきした(Cu−UPD)。0.9時間後に銅被覆反応が平衡状態となり、反応電流がほぼ0となったため、この時間をCu−UPDの終了時間とした。
PtClを0.05M硫酸に溶かし、白金イオン溶液を調製した。白金イオン溶液には、予め窒素バブリングさせた。
反応容器31内のカーボンビーズ35を取り出し、反応混合物を適宜攪拌しながら、調製した白金イオン溶液を反応容器31に徐々に投入した。この操作により、パラジウム粒子表面の銅単原子層を白金単原子層に置換した。Cu−UPD開始から白金単原子層の形成までの工程は、反応容器31内の反応混合物を窒素でバブリングさせながら行った。
反応混合物をろ過することにより、パラジウム粒子表面に白金単原子層が被覆されてなる触媒微粒子、及び当該触媒微粒子が担持されたカーボン担体を備える燃料電池用触媒を得た。その後、常温(15〜30℃)の純水を約4L、燃料電池用触媒に対し10回に分けて加え、その都度ろ過し、洗浄した。
洗浄後の燃料電池用触媒を、60℃の温度条件下、12時間乾燥させた。乾燥後の燃料電池用触媒を、メノウ乳鉢と乳棒により適宜粉砕し、実施例1の燃料電池用触媒を製造した。
[比較例1]
まず、パラジウム粒子に対しCu−UPDを行った。図6は比較例1に用いた反応装置500の斜視模式図である。反応装置500は、反応容器41及び作用極42を備える。反応容器41は、直径140mm、高さ100mmのカーボン製円筒型容器である。
反応装置500において、反応容器41及び作用極42は互いに電気的に導通している。作用極42には、電位制御装置としてポテンショスタット等(図示せず)を接続し、反応容器41の電位を制御した。
まず、電位制御装置により、反応容器41の電位を0.4V(vsRHE)に保持した。次に、Pd/C 10g、及び硫酸銅(II)(CuSO)水溶液1.3Lの混合物49を、反応容器41に加えた。
なお、上記混合物49が接する反応容器41の内壁の面積(すなわち、総電極面積S)は、0.015mであった。また、上記混合物49が存在する反応容器41内の体積Vは、硫酸銅(II)水溶液の体積とほぼ等しいため、1.3Lである。したがって、比較例1においては、比(S/V)=0.015(m)/1.3×10−3(m)=12(m−1)である。
0.4V(vsRHE)に電位を保持し、銅単原子層をパラジウム粒子表面に電解めっきした(Cu−UPD)。13.5時間後に銅被覆反応が平衡状態となり、反応電流がほぼ0となったため、この時間をCu−UPDの終了時間とした。
あとは、実施例1と同様に、銅単原子層から白金単原子層への置換、ろ過、洗浄、及び粉砕を行い、比較例1の燃料電池用触媒を製造した。
2.電気化学表面積及び質量活性の測定
実施例1及び比較例1の燃料電池用触媒について、回転ディスク電極(Rotating Disk Electrode:RDE)法により電気化学表面積及び質量活性を測定した。
図5は、実施例1及び比較例1の燃料電池用触媒の電気化学表面積(ECSA)を比較した線グラフ、及びこれらの燃料電池用触媒の質量活性(MA)を比較した棒グラフを重ねて示したグラフである。図5は、右の縦軸に電気化学表面積(m/gPt)、左の縦軸に質量活性(A/gPt)をとり、線グラフは右の縦軸に、棒グラフは左の縦軸に、それぞれ従う。
図5から分かるように、実施例1の燃料電池用触媒の電気化学表面積が137m/gPtであるのに対し、比較例1の燃料電池用触媒の電気化学表面積は120m/gPtである。また、図5より、実施例1の燃料電池用触媒の質量活性が750A/gPtであるのに対し、比較例1の燃料電池用触媒の質量活性は620A/gPtである。
以上より、パラジウム粒子に対するCu−UPDを効率よく進行させる反応装置を用いて製造された実施例1の燃料電池用触媒は、槽型反応容器を備える従来の反応装置を用いて製造された比較例1の燃料電池用触媒よりも14%大きい電気化学表面積を有することとなり、その結果、質量活性が21%向上したことが証明された。
1 反応容器
1a 反応容器の内壁
2 供給管
3 反応部
4 多孔板
5 炭素含有粒子
6 排出管
7 不活性ガス供給管
8 不活性ガスの供給方向を示す矢印
9a 触媒微粒子原料の流れ方向を示す矢印
9b,9c 反応混合物の流れ方向を示す矢印
11 反応容器
11a 反応容器の内壁
12 多岐管
12a 供給管
12b 炭素含有管
13 反応部
16 排出管
17 不活性ガス供給管
18 不活性ガスの供給方向を示す矢印
19a,19b 反応混合物の流れ方向を示す矢印
21 反応容器
21a 反応容器の内壁
22 供給管
23 反応部
25 炭素含有部材
25a 反応物質及び/又は反応生成物が流通する流路
26 排出管
27 不活性ガス供給管
28 不活性ガスの供給方向を示す矢印
29a,29b 反応混合物の流れ方向を示す矢印
31 反応容器
32 作用極
35 カーボンビーズ
39 反応混合物
41 反応容器
42 作用極
49 反応混合物
100 反応装置の第1の実施形態
200 反応装置の第2の実施形態
300 反応装置の第3の実施形態
400 実施例1に使用した反応装置
500 槽型反応容器を備える従来の反応装置

Claims (18)

  1. 少なくともその内壁に炭素材料を含有する反応容器を備え、
    前記反応容器は、
    1種又は2種以上の反応物質を前記反応容器内に供給する供給部、
    前記反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有部材を備え、且つ、前記反応容器の内壁に電位が付与され且つ前記供給部から前記反応物質が供給されることにより、少なくとも前記内壁及び前記炭素含有部材表面において、前記反応物質による電気化学反応を進行させる反応部、並びに
    前記電気化学反応により生成する反応生成物を前記反応容器外へ排出する排出部、
    を備えることを特徴とする、反応装置。
  2. 前記反応装置が、中心粒子及び当該中心粒子を被覆する金属層を備える、触媒微粒子の前駆体を製造する装置であって、
    前記供給部は、前記反応物質として、前記中心粒子を構成する原料及び金属イオン溶液を含む触媒微粒子原料を前記反応容器内に供給し、
    前記反応部は、前記反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有部材を備え、且つ、前記反応容器の内壁に電位が付与され且つ前記供給部から前記触媒微粒子原料が供給されることにより、少なくとも前記内壁及び前記炭素含有部材表面において、前記金属イオンが還元された金属層を前記中心粒子に被覆する電気化学反応を進行させ、且つ、
    前記排出部は、前記電気化学反応により生成する触媒微粒子の前駆体を前記反応容器外へ排出する、請求項1に記載の反応装置。
  3. 前記反応部における前記反応容器の内壁の総面積と前記炭素含有部材の全表面積との和である面積(S)を、前記炭素含有部材が前記反応部に占める総体積を前記反応部の総体積から減じた体積(V)により除した値(S/V)が、50m−1以上である、請求項1又は2に記載の反応装置。
  4. 前記炭素含有部材は、前記反応部に充填率50〜99体積%で充填され、且つ、前記反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有粒子である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の反応装置。
  5. 前記炭素含有部材は、前記供給部に接続され、且つ、前記反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有管である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の反応装置。
  6. 前記炭素含有部材は、前記反応容器の内壁の一部又は全部と一体となっており、且つ、当該炭素含有部材内部に、前記反応物質及び前記反応生成物のうち少なくともいずれか一方のための流路を1又は2以上有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の反応装置。
  7. 窒素ガス及びアルゴンガスからなる群より選ばれる少なくとも1つの不活性ガスを前記反応容器内に供給する不活性ガス供給管を備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の反応装置。
  8. 前記供給部は、前記反応物質を前記反応容器内に供給する供給管である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の反応装置。
  9. 前記排出部は、前記反応生成物を前記反応容器外へ排出する排出管である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の反応装置。
  10. 少なくともその内壁に炭素材料を含有し、且つ、(1)供給部、(2)前記内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有部材を備える反応部、及び(3)排出部を備える反応容器を用い、
    前記供給部から前記反応容器内に1種又は2種以上の反応物質を供給する供給工程、
    前記反応容器の内壁に電位を付与することにより、少なくとも前記反応部の内壁及び前記炭素含有部材表面において、前記反応物質による電気化学反応を進行させる電気化学反応工程、並びに
    前記電気化学反応により生成する反応生成物を、前記排出部から前記反応容器外へ排出する排出工程、
    を有することを特徴とする、化学反応生成物の製造方法。
  11. 中心粒子及び当該中心粒子を被覆する金属層を備える、触媒微粒子の前駆体を製造する方法であって、
    前記供給工程は、前記反応物質として、前記中心粒子を構成する原料及び金属イオン溶液を含む触媒微粒子原料を、前記供給部から前記反応容器内に供給する工程であり、
    前記電気化学反応工程は、前記反応容器の内壁に電位を付与することにより、少なくとも前記反応部の内壁及び前記炭素含有部材表面において、前記金属イオンが還元された金属層を前記中心粒子に被覆する電気化学反応を進行させる工程であり、且つ、
    前記排出工程は、前記電気化学反応により生成する触媒微粒子の前駆体を、前記排出部から前記反応容器外へ排出する工程である、請求項10に記載の化学反応生成物の製造方法。
  12. 前記反応部における前記反応容器の内壁の総面積と前記炭素含有部材の全表面積との和である面積(S)を、前記炭素含有部材が前記反応部に占める総体積を前記反応部の総体積から減じた体積(V)により除した値(S/V)が、50m−1以上である、請求項10又は11に記載の化学反応生成物の製造方法。
  13. 前記炭素含有部材は、前記反応部に充填率50〜99体積%で充填され、且つ、前記反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有粒子である、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の化学反応生成物の製造方法。
  14. 前記炭素含有部材は、前記供給部に接続され、且つ、前記反応容器の内壁と電気的に導通可能な1又は2以上の炭素含有管である、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の化学反応生成物の製造方法。
  15. 前記炭素含有部材は、前記反応容器の内壁の一部又は全部と一体となっており、且つ、当該炭素含有部材内部に、前記反応物質及び前記反応生成物のうち少なくともいずれか一方のための流路を1又は2以上有する、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の化学反応生成物の製造方法。
  16. 前記反応容器は、窒素ガス及びアルゴンガスからなる群より選ばれる少なくとも1つの不活性ガスを前記反応容器内に供給する不活性ガス供給管をさらに備える、請求項10乃至15のいずれか一項に記載の化学反応生成物の製造方法。
  17. 前記供給部は、前記反応物質を前記反応容器内に供給する供給管である、請求項10乃至16のいずれか一項に記載の化学反応生成物の製造方法。
  18. 前記排出部は、前記反応生成物を前記反応容器外へ排出する排出管である、請求項10乃至17のいずれか一項に記載の化学反応生成物の製造方法。
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