JP2014127265A - レドックスフロー電池の制御装置 - Google Patents

レドックスフロー電池の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014127265A
JP2014127265A JP2012281328A JP2012281328A JP2014127265A JP 2014127265 A JP2014127265 A JP 2014127265A JP 2012281328 A JP2012281328 A JP 2012281328A JP 2012281328 A JP2012281328 A JP 2012281328A JP 2014127265 A JP2014127265 A JP 2014127265A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ion concentration
battery
pump
valve
electrolyte
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012281328A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshio Tagawa
嘉夫 田川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Motors Corp filed Critical Mitsubishi Motors Corp
Priority to JP2012281328A priority Critical patent/JP2014127265A/ja
Publication of JP2014127265A publication Critical patent/JP2014127265A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T90/00Enabling technologies or technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02T90/10Technologies relating to charging of electric vehicles
    • Y02T90/16Information or communication technologies improving the operation of electric vehicles

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Abstract

【課題】エネルギ効率を向上させるとともに、電解液のイオン濃度を全体的に均一化させることができるようにした、レドックスフロー電池の制御装置を提供する。
【解決手段】移動体に設けられ、電極14を内蔵する電極格納容器11と、電解液を貯蔵し電極格納容器11と独立して設けられた電解液格納容器12と、電極格納容器11と電解液格納容器12とを連通する連通経路18と、連通経路18とは別体で設けられ電極格納容器11と電解液格納容器12とを連通し、電解液を圧送するポンプ17を有するポンプ流路16と、を有するレドックスフロー電池10の制御装置である。
電極格納容器11内の電解液のイオン濃度である電極側イオン濃度及び電解液格納容器12に貯蔵された電解液のイオン濃度である貯蔵側イオン濃度と、レドックスフロー電池10に作用する慣性力とに応じて、ポンプ17の作動状態を制御する制御手段25を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両,船舶等の乗物やポータブル機器などの移動体に設けられるレドックスフロー電池の制御装置に関する。
従来、ノートパソコン,携帯電話機などのポータブル機器や自動車,電車などの車両には、様々な種類の二次電池が利用されている。例えば、希硫酸の電解液を用いた鉛蓄電池や、アルカリ水溶液の電解液を用いたアルカリ二次電池などが広く知られている。また、電力貯蔵用の二次電池として、酸化還元反応の前後で活物質をイオンの状態としたまま、そのイオンの価数を変化させることにより充放電を行うレドックスフロー電池も知られている。
このような鉛蓄電池やアルカリ二次電池,レドックスフロー電池のように電解液に水溶液を用いた水溶液系二次電池は、化学反応が進行するに連れて電解液に濃度差を生じることがある。一方このような濃度差は、電池容量の低下や充放電効率の悪化など電池性能の低下を招く要因となるため、電解液を循環させて濃度を均一化する構造が採用されたものがある。例えば、電池容器内にポンプ等の強制循環装置を設けて電解液の濃度差を解消するものがある。
また、車両に搭載される二次電池に対して、ポンプのような装置を用いることなく電解液を循環させる構造が提案されている。例えば特許文献1に記載の二次電池は、電極板及び電解液が内蔵された電池容器の下部に、車両の進行方向に可動自在に配設されたピストンと、ピストンを収納するシリンダとが設けられている。このシリンダの両端部には、逆止弁を介して一対の導入管が接続されており、導入管の逆止弁とは逆側の端部は開放されている。この二次電池が搭載された車両が加速及び減速すると、車両の増加速度及び減加速度に対応してシリンダ内のピストンが前後に移動する。このようなピストンの動きによって、電解液は一方の導入管からシリンダ内に導かれるとともに他方の導入管から排出され、電池容器内で攪拌される。これにより、電池容器内の電解液の均一化が行われるとされている。
特開平2−94255号公報
ところで、二次電池の一種であるレドックスフロー電池は、不活性電極が内蔵されて充放電が行われるセルと電解液を貯蔵する外部タンクとが分離して設けられる二次電池であり、電解液に価数の異なる金属イオンが用いられる。電解液としては、例えば鉄(Fe2+/Fe3+)−クロム(Cr3+/Cr2+)系やバナジウム(V3+/V2+,VO2+/VO2 +)系が知られている。
レドックスフロー電池は、電解液の貯蔵量を増大させることで(すなわち、タンク容量を増大させることで)電池容量を増大させることが可能であり、現在は電力貯蔵用として用いられるのが一般的である。しかし、レドックスフロー電池は、構造が単純でありサイクル寿命が長いという利点を有しているため、車両,船舶等の乗物やポータブル機器などの移動体に設けて、このような移動体の電力源として利用することも考えられる。
また、レドックスフロー電池のレドックス反応(酸化還元反応)は、セルにおいて正負の電解液にそれぞれ含まれるイオンの価数変化により生じる。そのため、反応が進行するに連れてセル内の電解液は、反応前のイオンが減少する一方、反応後のイオンが増加するためイオン濃度は変化する。これに対して、外部タンク内の電解液のイオン濃度は変化しないため、セルと外部タンクとの間で電解液に含まれるイオンの濃度に差が生じる。セル内の電解液に含まれる反応前のイオンが減少すると充放電効率の悪化や出力低下を招くおそれがあるため、外部タンク内の電解液に反応前のイオンが多いのであれば、電解液のイオン濃度を均一にすることが望まれる。
通常レドックスフロー電池には、セル内の電解液と外部タンク内の電解液とを循環させるためのポンプが正極側と負極側とにそれぞれ設けられており、ポンプの出力を変化させて電解液の流量を変化させている。しかしながら、レドックスフロー電池を移動体に設けた場合は、移動体の消費電力が移動状態によって変化するため、循環させる電解液の流量を変化させることができても、その流量が適切かどうかはわからず、電解液のイオン濃度を全体的に均一化できるとは限らない。また、この場合、ポンプを作動させるための動力(エネルギ)は移動体から確保する必要があり、移動体のエネルギ消費量が増大するおそれがあるため、エネルギ消費量を抑制する必要がある。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、エネルギ効率を向上させるとともに、電解液のイオン濃度を全体的に均一化させることができるようにした、レドックスフロー電池の制御装置を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示するレドックスフロー電池の制御装置は、移動体に設けられ、電極を内蔵する電極格納容器と、電解液を貯蔵し前記電極格納容器と独立して設けられた電解液格納容器と、前記電極格納容器と前記電解液格納容器とを連通する連通経路と、前記連通経路とは別体で設けられ前記電極格納容器と前記電解液格納容器とを連通し、前記電解液を圧送するポンプを有するポンプ流路と、を有するレドックスフロー電池の制御装置であって、前記電極格納容器内の前記電解液のイオン濃度である電極側イオン濃度及び前記電解液格納容器に貯蔵された前記電解液のイオン濃度である貯蔵側イオン濃度と前記レドックスフロー電池に作用する慣性力とに応じて、前記ポンプの作動状態を制御する制御手段を備える。「前記ポンプの作動状態を制御する」とは、少なくとも前記ポンプの作動非作動の制御を意味し、前記ポンプの出力の増減制御が含まれていてもよい。
なお、ここでいう「慣性力」とは、例えば前記レドックスフロー電池が車両やポータブル機器等の移動し得る物体及び移動され得る物体(これらを総称して移動体と呼ぶ)に設けられた場合、この移動体の加速時や減速時の加速度によって前記レドックスフロー電池に発生する慣性力や、移動体が右左折やカーブ,Uターンするときにレドックスフロー電池に発生する慣性力(遠心力),前記レドックスフロー電池が設けられた移動体が振動した時に前記レドックスフロー電池に発生する慣性力を意味する。
(2)前記レドックスフロー電池の充放電状態に基づき、前記ポンプを作動させるか否かを判定する判定手段を備えることが好ましい。
(3)前記判定手段は、前記レドックスフロー電池の放電において、前記電極側イオン濃度のうち前記レドックスフロー電池の充電率に対して正の相関を有する第一イオン濃度が、前記貯蔵側イオン濃度のうち前記レドックスフロー電池の充電率に対して正の相関を有する第二イオン濃度未満のときに、前記ポンプを作動させると判定することが好ましい。
(4)また、前記判定手段は、前記レドックスフロー電池の充電において、前記電極側イオン濃度のうち前記レドックスフロー電池の充電率に対して正の相関を有する第一イオン濃度が、前記貯蔵側イオン濃度のうち前記レドックスフロー電池の充電率に対して正の相関を有する第二イオン濃度よりも大きいときに、前記ポンプを作動させると判定することが好ましい。
(5)前記制御手段は、前記判定手段により前記ポンプを作動させると判定された場合に、前記慣性力の大きさに応じて前記ポンプの出力を増減制御することが好ましい。
(6)前記判定手段は、前記レドックスフロー電池に対する放電後の充電要求又は充電後の放電要求の予定の有無を判定し、前記制御手段は、前記判定手段により前記充電要求又は前記放電要求の予定があると判定された場合は前記ポンプを非作動に制御することが好ましい。
(7)また、前記連通経路上には弁が設けられ、前記制御手段は、前記電極側イオン濃度及び前記貯蔵側イオン濃度に応じて、前記弁の開閉を制御することが好ましい。
(8)また、前記制御手段は、前記弁の開放後の前記電極側イオン濃度に基づいて前記ポンプの作動状態を制御することが好ましい。
(9)また、前記電極格納容器及び前記電解液格納容器の少なくとも何れか一方には、その内部に圧縮性流体が封入されていることが好ましい。
開示のレドックスフロー電池の制御装置によれば、電極側イオン濃度及び貯蔵側イオン濃度と慣性力とに応じてポンプの作動状態を制御するため、電解液のイオン濃度を適切に均一化させることができる。これにより、レドックスフロー電池の容量低下の抑制,充放電効率の悪化防止や出力維持を図ることができる。また、慣性力によって電解液が移動して、電極格納容器内の電解液と電解液格納容器内の電解液のイオン濃度差が小さくなることでポンプの作動を最小限としたり、ポンプの出力を弱めたりすることができ、エネルギ消費量を抑制することができる。これにより、エネルギ効率を向上させることができる。
一般的なレドックスフロー電池の動作原理を説明する概略図である。 各実施形態に係るレドックスフロー電池の制御装置を搭載した車両の模式的な側面図である。 図2の車両の模式的な上面図である。 イオン濃度と充電率との関係を示す概略図である。 本制御装置に係る判定部での判定をマップ化したものであり、(a)はレドックスフロー電池の放電時、(b)はレドックスフロー電池の充電時のものである。 (a)〜(f)は図5(a)のマップの一部を抜粋したものであり、本制御装置に係る制御部での各条件に応じた放電時の弁制御の内容を説明するものである。 (a)〜(f)は図5(b)のマップの一部を抜粋したものであり、本制御装置に係る制御部での各条件に応じた充電時の弁制御の内容を説明するものである。 第一実施形態に係るレドックスフロー電池の制御装置で実施される放電時の弁制御の制御内容を説明するためのフローチャートである。 第一実施形態に係るレドックスフロー電池の制御装置で実施される充電時の弁制御の制御内容を説明するためのフローチャートである。 第一実施形態の変形例に係る制御装置で実施される制御内容を説明するためのフローチャートであり、(a)は放電時の弁制御、(b)は充電時の弁制御である。 図8の変形例に係るフローチャートである。 図9の変形例に係るフローチャートである。 第二実施形態に係るレドックスフロー電池の制御装置で実施される放電時のポンプ制御の制御内容を説明するためのフローチャートである。 第二実施形態に係るレドックスフロー電池の制御装置で実施される充電時のポンプ制御の制御内容を説明するためのフローチャートである。 各実施形態に係る他のレドックスフロー電池を搭載した車両の模式的な上面図である。
以下、図面を用いて実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
[1.レドックスフロー電池の基本構造]
最初に、図1を用いて一般的なレドックスフロー電池(以下、RF電池という)40の基本的な構造について説明する。図1に示すように、RF電池40は、電極44が内蔵された充放電セル41と、電解液を貯蔵するタンク42とが分離して設けられた二次電池である。ここでは、正負の電解液がともにバナジウムイオン(V3+/V2+,VO2+/VO2 +)である全バナジウム系のRF電池40について説明する。RF電池40の反応は、充放電セル41において正負の電解液にそれぞれ含まれるバナジウムイオン(以下、Vイオンとも表す)の価数変化により生じる。なお、以下の説明において、正極側の要素と負極側の要素とを区別する場合には、正極側の要素の符号にpを付し、負極側の要素の符号にnを付して説明する。
充放電セル41は、電気エネルギと化学エネルギとの変換に用いられる要素であり、内部が隔膜43により二つの空間45p,45nに仕切られている。充放電セル41の二つの空間45p,45nには、電極44として正極44p,負極44nがそれぞれ配置される。正極44p及び負極44nは不活性電極であり、それぞれ炭素繊維で形成される。正極44p及び負極44nにはそれぞれ導線が接続され、導線の先には例えば電気負荷50が接続される。
隔膜43は、充放電セル41の中央に配置され、充放電セル41を正極空間45pと負極空間45nとに仕切るものであり、水素イオンは通すがVイオンは通さないイオン交換膜である。なおここでは、RF電池40の充放電セル41が一つの場合を例示しているが、通常は複数の充放電セル41が直列に接続されてセル群を構成し、電池の出力電圧が高められる。
タンク42には、正極の電解液を貯蔵する正極タンク42pと、負極の電解液を貯蔵する負極タンク42nとがある。正極タンク42pは、流路46pを介して正極空間45pと連通され、内部に正極の電解液である4価のバナジウムイオン(V4+,VO2+とも表記する)及び5価のバナジウムイオン(V5+,VO2 +とも表記する)が貯蔵される。以下、正極の電解液をVO2+/VO2 +と表記する。負極タンク42nは、流路46nを介して負極空間45nと連通され、内部に負極の電解液である3価のバナジウムイオン(V3+とも表記する)及び2価のバナジウムイオン(V2+とも表記する)が貯蔵される。以下、負極の電解液をV3+/V2+と表記する。
流路46p,46nは、電解液が流通する配管であり、これら流路46p,46nにはそれぞれ電解液を圧送するためのポンプ47が介設される。ポンプ47は、例えば図示しないコントローラによってその作動が制御され、ポンプ作動時には電解液が充放電セル41とタンク42との間で循環され、ポンプ停止時には電解液の循環が停止される。
このように構成されたRF電池40の電極反応を式(1),(2)に示す。式(1)は正極の電池反応を示し、式(2)は負極の電池反応を示す。また、左から右への反応が放電時の電池反応を表し、右から左への反応が充電時の電池反応を表す。
Figure 2014127265
放電時には、セル内の負極で2価のVイオンが3価のVイオンに酸化され、正極で5価のVイオンが4価のVイオンに還元される。これにより、負極空間45nでは3価のVイオン濃度が高くなり、2価のVイオン濃度が低くなる。また、正極空間45pでは、4価のVイオン濃度が高くなり、5価のVイオン濃度が低くなる。このとき、負極で生成される電子(e-)は導線を通って正極側に移動することで電力が取り出されると同時に、水素イオン(H+)は隔膜43を通って正極側に移動する。
一方、充電時には、セル内の正極で4価のVイオンが5価のVイオンに酸化され、負極で3価のVイオンが2価のVイオンに還元される。これにより、正極空間45pでは5価のVイオン濃度が高くなり、4価のVイオン濃度が低くなる。また、負極空間45nでは、2価のVイオン濃度が高くなり、3価のVイオン濃度が低くなる。このとき、正極で生成される電子(e-)は導線を通って負極側に移動することで電力が貯蔵されると同時に、水素イオン(H+)は隔膜43を通って負極側に移動する。このようにして、電解液の電気的中性が保たれながら、供給された電力は価数の異なるVイオンの形態変化として電解液に貯蔵され、放電時に取り出すことができる。
RF電池40は、充放電動作によって充放電セル41内の電解液に含まれる活物質それぞれのVイオン濃度が変化する。そのため、ポンプ47を用いてタンク42に蓄えられた電解液を充放電セル41に送り、充放電セル41とタンク42との間で電解液を循環させ、充放電セル41内の電解液をタンク42へ排出させる。これにより、充放電セル41内の電解液とタンク42内の電解液とを入れ替えて、電気分解による電気的出力を維持する。
[2.第一実施形態]
[2−1.全体構造]
次に、図2及び図3を用いて、第一実施形態に係るRF電池10の制御装置について説明する。本実施形態では、図2に示すように、RF電池10が車両1の床下に搭載されている場合を例示する。車両1は、RF電池10の電力でモータ2が作動することによって走行するとともに、モータ2の回生発電によりRF電池10を充電しながら走行する電気自動車である。
ここでは、RF電池10は外部充電も可能なものを例示している。また、車両1にはモータ2の動力源としてRF電池10のみが搭載されている場合を示しているが、この他にも例えばリチウムイオン二次電池やリチウムイオンポリマー二次電池等の走行用バッテリが搭載されていてもよく、走行用バッテリを外部充電可能な構成とされていてもよい。
なお、RF電池10は、電気自動車である車両1に搭載されるものに限られず、例えばハイブリッド車や電車等の車両や船舶,航空機,ロケット等の乗物全般や、携帯電話機,携帯ゲーム機等のモバイル機器など、移動し得る物体及び移動され得る物体(移動体)に設けられる。
モータ2とRF電池10とを接続する給電回路上には、インバータ3が設けられる。インバータ3よりもRF電池10側で授受される電流は直流電流であり、インバータ3よりもモータ2側で授受される電流は交流電流であり、インバータ3はこれらの電流の直流,交流の変換を実施する。
RF電池10は、上記の一般的なRF電池40の基本的な構造を有する全バナジウム系RF電池である。RF電池10に関する以下の説明では、一般的なRF電池40と同様の機能,構造を有する要素については上記の名称と同一の名称で呼び、重複する説明は省略する。
図3に示すように、本実施形態に係るRF電池10は、電極14(正極14p,負極14n)を内蔵する充放電セル(電極格納容器)11と、正負の電解液をそれぞれ貯蔵する二つのタンク(電解液格納容器)12と、充放電セル11及び二つのタンク12をそれぞれ接続する連通経路18とを備えている。ここでのRF電池10は、充放電セル11の後面の後方に二つのタンク12が配置され、連通経路18が車両1の進行方向(すなわち、前後方向)に沿って配置されている。
充放電セル11は、車両前後方向に沿って設けられた隔膜13によって内部が二つの空間15に仕切られている。一方の空間15には正極14pが配置され、他方の空間15には負極14nが配置される。以下、正極14pが配置される空間15を正極空間15pと呼び、負極14nが配置される空間15を負極空間15nと呼ぶ。これら正極空間15pと負極空間15nとは、充放電セル11内において車両1の進行方向に向かって並列に(すなわち、車幅方向に並んで)配置される。なお、二つの空間15には圧縮性流体が封入されていてもよい。この圧縮性流体は、窒素ガスやアルゴンガスのような不活性ガスであることが好ましい。さらに、不活性ガスと電解液とが直接触れることがないように、可動隔壁やガスバッグによって区切られることがより好ましい。
二つのタンク12には、それぞれ正極の電解液VO2+/VO2 +と負極の電解液V3+/V2+とが貯蔵されている。以下、正極の電解液VO2+/VO2 +が貯蔵されるタンク12を正極タンク(正極電解液格納容器)12pと呼び、負極の電解液V3+/V2+が貯蔵されるタンク12を負極タンク(負極電解液格納容器)12nと呼ぶ。なお、二つのタンク12には圧縮性流体が封入されていてもよい。この圧縮性流体は、窒素ガスやアルゴンガスのような不活性ガスであることが好ましい。さらに、不活性ガスと電解液とが直接触れることがないように、可動隔壁やガスバッグによって区切られることがより好ましい。このように、充放電セル11及び二つのタンク12中に圧縮性流体が存在すると、後述する電解液の移動を助け、電解液の流動性が向上する。
連通経路18には、正極空間15pと正極タンク12pとを連通する正極連通経路18pと、負極空間15nと負極タンク12nとを連通する負極連通経路18nとがある。正極連通経路18p及び負極連通経路18nは、電解液が流通する配管であり、車両前後方向に延設されている。これら正極連通経路18p及び負極連通経路18nは、二つずつ設けられている。
各連通経路18には、電解液の流通を調節する開閉弁19が一つずつ介設されている。開閉弁19は、その開閉(オンオフ)によって電解液の流通を開放又は遮断するものであり、開弁時の開度によって電解液の流量を増減させるものである。開閉弁19は、例えば電気で作動する電磁弁や、モータ,アクチュエータ,人力等を用いて機械的に作動する弁など、外部から何らかの力が付与されることで開閉する弁である。
開閉弁19の作動状態(開閉及び開度調節)は、後述するECU20の制御部25によって制御され、制御部25から開放指示がない限りは閉弁状態を維持する。ここでは、開閉弁19の開度は三段階(大,中,小)に制御可能であり、最も開度を大きくしたときを開度Lと表し、最も開度を小さくしたときを開度Sと表し、中間の開度を開度Mと表す。開閉弁19は、最初に開放されるときの開度(初期開度)が開度Mに設定されている。
充放電セル11は、これら連通経路18とは別体で設けられたポンプ流路16を介してタンク12と連通されている。ポンプ流路16には、電解液を圧送するポンプ17が設けられている。つまり、正極空間15pと正極タンク12pとは、二つの正極連通経路18pとは別に、正極ポンプ17pが設けられた一つの正極ポンプ流路16pによっても連通状態にされている。同様に、負極空間15nと負極タンク12nとは、二つの負極連通経路18nとは別に、負極ポンプ17nが設けられた一つの負極ポンプ流路16nによっても連通状態にされている。これら正極ポンプ17p及び負極ポンプ17nは、ポンプ用モータ(図示略)によって駆動される。ポンプ用モータの作動状態は、ECU20によって制御される。
電子制御装置20(Electronic Control Unit,ECU20という)は、各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUでの演算結果等が一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入出力するための入出力ポート、時間をカウントするタイマー等を備えたコンピュータである。
[2−2.制御構成]
本実施形態に係るECU20では、RF電池10の充放電により生じる充放電セル11内の電解液とタンク12内の電解液のイオン濃度差を小さくし、電解液のイオン濃度を全体的に均一化させる制御が実施される。具体的には、ECU20は、RF電池10の充放電状態と、充放電セル11内の電解液のイオン濃度及びタンク12内の電解液のイオン濃度と、RF電池10に作用する慣性力とに応じて、開閉弁19の開閉状態の制御(以下、弁制御という)を実施する。なお、ここでいう弁制御とは、開閉弁19の開閉制御と、開閉弁19の開放時の開度制御とを意味する。ECU20は、このような弁制御を実施するために、イオン濃度取得部21と、慣性力取得部22と、充放電要求推定部23,判定部24と、制御部25とを機能要素として備える。
イオン濃度取得部21は、充放電セル11内の正負各極の電解液のイオン濃度(電極側イオン濃度)と、正極タンク12p及び負極タンク12n内の各電解液のイオン濃度(貯蔵側イオン濃度)とを取得するものである。正極空間15p及び負極空間15nには、正負それぞれの電極側イオン濃度を検出するためのイオン濃度センサ27が設けられ、正極タンク12p及び負極タンク12nには、正負それぞれの貯蔵側イオン濃度を検出するためのイオン濃度センサ27が設けられる。
イオン濃度取得部21は、電極側イオン濃度のうち、RF電池10の充電率に対して正の相関を有する第一イオン濃度を取得する。また、イオン濃度取得部21は、貯蔵側イオン濃度のうち、RF電池10の充電率に対して正の相関を有する第二イオンの濃度を取得する。RF電池10の充電率に対して正の相関を有するイオン濃度とは、充電率の高低とイオン濃度の高低とが対応するVイオンを意味し、正極側では5価のVイオンの濃度,負極側では2価のVイオンの濃度のことである。つまり、充電率が高い状態で電解液に多く含まれるVイオンのことを意味する。
すなわち、イオン濃度取得部21は、正極空間15p内の電解液の5価のVイオン濃度(第一イオン濃度)と、負極空間15n内の電解液の2価のVイオン濃度(第一イオン濃度)と、正極タンク12p内の電解液の5価のVイオン濃度(第二イオン濃度)と、負極タンク12n内の電解液の2価のVイオン濃度(第二イオン濃度)とを取得する。
なお、以下の説明では、5価のVイオン濃度と2価のVイオン濃度とは同一であるとする。また、正極空間15p又は負極空間15n内の電解液の5価のVイオン濃度又は2価のVイオン濃度(すなわち、第一イオン濃度)をセル側イオン濃度Ccと呼び、正極タンク12p又は負極タンク12n内の電解液の5価のVイオン濃度又は2価のVイオン濃度(すなわち、第二イオン濃度)をタンク側イオン濃度Ctと呼ぶ。
イオン濃度取得部21は、各イオン濃度センサ27で検出された値をその位置(充放電セル11又はタンク12)でのVイオンの濃度として取得する。なお、ここでは直接的にVイオンの濃度を検出する機能を有する検出手段としてイオン濃度センサ27を設ける場合を例示したが、イオン濃度を取得する手法はこれに限られない。さらにここでは、イオン濃度センサ27が正極空間15p,負極空間15n,正極タンク12p及び負極タンク12nの四箇所にそれぞれ設けられ、四箇所のVイオン濃度を検出しているが、イオン濃度センサ27は少なくとも二個設けられ、充放電セル11内の電解液のVイオン濃度とタンク12内の電解液のVイオン濃度とが検出できればよい。
例えば、イオン濃度センサ27を正極側のみに設け、正極側のセル側イオン濃度Cc及びタンク側イオン濃度Ctを検出してもよい。つまり、正極空間15p内の5価のVイオン濃度と正極タンク12p内の5価のVイオン濃度とを検出してもよい。反対にイオン濃度センサ27を負極側のみに設け、負極側のセル側イオン濃度Cc及びタンク側イオン濃度Ctを検出してもよい。
あるいは、イオン濃度センサ27を正極空間15p及び負極タンク12nの二箇所に設け、正極空間12pの5価のVイオン濃度と負極タンク12nの2価のVイオン濃度を検出してもよい。反対に、イオン濃度センサ27を負極空間15n及び正極タンク12pの二箇所に設け、負極空間12nの2価のVイオン濃度と正極タンク12pの5価のVイオン濃度を検出してもよい。これは、5価のVイオン濃度の増減量と2価のVイオン濃度の増減量とが一定であるため、例えば負極タンク12n内の2価のVイオン濃度を検出し、そのときの正極タンク12p内の5価のVイオン濃度を演算して取得することができるからである。
イオン濃度取得部21は、例えば充放電時に発生する電流値に基づいてイオン濃度を推定してもよい。この推定手法について、図4を用いて説明する。図4は、充電率とイオン濃度との関係を示す概略図であり、ここでは充電率とイオン濃度とが線形の比例関係を有している場合を例示している。図4に示すように、RF電池10は、その設計段階において充電率とイオン濃度との関係が決定される。例えば、RF電池10を設計する場合、各充電率に対応する5価のVイオン濃度(VO2 +)と2価のVイオン濃度(V2+)とが決定され、この関係を予め記憶しておく。そして、イオン濃度取得部21は、図示しない電流計により測定した充放電時の電流値を取得し、この電流値を積算して現時点の充電率を推定する。そして、この充電率から5価のVイオン濃度及び2価のVイオン濃度をそれぞれ推定する。
またこの他に、イオン濃度取得部21は、充放電とは関係なくRF電池10に最大負荷を与え、この時の電流値に基づいてイオン濃度を推定してもよい。この推定手法について説明する。RF電池10の出力電圧が一定であるとすると、RF電池10の最大電流値はイオン濃度に支配される。これは、イオンが多く含まれている方が電荷を運ぶ存在(いわゆるキャリア)が多いということになるため、多くの電流が流れるからである。
そこで、RF電池10の設計段階において、最大電流値と5価のVイオン濃度及び2価のVイオン濃度との関係を予め取得して記憶しておく。そして、イオン濃度取得部21は、図示しない電流計によって、RF電池10に最大負荷を与えた時の電流値を測定し、その値(すなわち最大電流値)を取得して、この最大電流値から5価のVイオン濃度及び2価のVイオン濃度をそれぞれ推定する。イオン濃度取得部21により取得されたイオン濃度の情報は、判定部24へ伝達される。
慣性力取得部22は、RF電池10に作用する慣性力の大きさ及び向き(すなわち、慣性力のベクトル)を取得するものである。ここで取得される慣性力とは、例えば車両1が加速又は減速するときにRF電池10に作用する慣性力や、車両1が右左折やカーブ,UターンするときにRF電池10に作用する慣性力(遠心力)を意味する。
慣性力取得部22は、このような慣性力を例えば以下のように取得する。車両1の加減速時にRF電池10に作用する慣性力は、図示しない加速度センサで検出された加速度又は車速センサで検出した車速を微分して得られる加速度に基づいて演算される。また、車両1の右左折時やカーブ,Uターン時にRF電池10に作用する慣性力は、図示しないカーナビに記憶された地図情報(道路情報)と車速センサで検出された車速とに基づいて演算される。なお、カーナビの道路情報の代わりに、角速度や左右方向の加速度を検出する機能を有するセンサを用いて慣性力を取得してもよい。慣性力取得部22で取得された慣性力の情報は、判定部24へ伝達される。
充放電要求推定部23は、RF電池10の運用状態や車両1の運転状態,周囲の環境状況(気温や天気,道路状態等)などの様々な要因に基づいて、RF電池10に対する充電要求及び放電要求を推定するものである。充放電要求推定部23は、RF電池10の放電時には、放電後に充電要求が予定されているかを推定し、RF電池10の充電時には、充電後に放電要求が予定されているかを推定する。
充放電要求推定部23は、例えばカーナビの地図情報から、この後車両1が下り坂を走行するという情報を取得し、走行中に回生充電されることがわかれば「放電後、充電要求が予定されている」と推定する。また、回生充電が終了する直前には、今後は「充電後、放電要求が予定されている」と推定する。なお、充放電要求推定部23での推定手法は特に限られず、例えばRF電池10の充電率や車両1の車速,車両1に対する要求トルクなどに基づいて充放電要求を推定してもよい。充放電要求推定部23で推定された充放電要求は、判定部24へ伝達される。
判定部(判定手段)24は、イオン濃度取得部21,慣性力取得部22及び充放電要求推定部23から伝達された各情報に基づいて、弁制御に関する六つの判定を実施するものである。判定部24は、第一に、セル側イオン濃度Ccの増減状態からRF電池10の充放電状態を判定する。そして、RF電池10の充放電状態に応じて放電時の判定と充電時の判定とを実施する。なお、判定部24は、モータ2の作動状態に基づいて第一の判定を実施してもよい。
判定部24は、第二に、RF電池10の放電時であれば、放電を継続することができるか否かを判定し、RF電池10の充電時であれば、充電を継続することができるか否かを判定する。判定部24は、放電時に以下の条件(1D)及び(2D)が成立する場合に放電終了と判定し、何れか一つでも不成立の場合に放電を継続可能と判定する。
(1D)セル側イオン濃度Ccが放電限界値D3未満である(Cc<D3)
(2D)タンク側イオン濃度Ctが放電限界値D3未満である(Ct<D3)
RF電池10には、予め使用(運用)可能な充電率の範囲(以下、この範囲を運用充電率範囲という)が設定されており、電池使用時には、電池の充電率がこの運用充電率範囲内か否かが常時監視される。運用充電率範囲とは、例えば電池の耐久性や電池の運用上の要請等によって定められた電池内部の充電量の変動範囲であり、例えば上限が充電率100%,下限が充電率30%に設定されている。放電限界値D3は、放電終了を判定するための閾値であり、運用充電率範囲の下限値である充電率30%に対応するイオン濃度に予め設定されている。
一方、判定部24は、充電時に以下の条件(1E)及び(2E)が成立する場合に充電終了と判定し、何れか一つでも不成立の場合に充電を継続可能と判定する。
(1E)セル側イオン濃度Ccが充電限界値E3以上である(Cc≧E3)
(2E)タンク側イオン濃度Ctが充電限界値E3以上である(Ct≧D3)
ここで、充電限界値E3は、充電完了(満充電)を判定するための閾値であり、運用充電率範囲の上限値である充電率100%に対応するイオン濃度に予め設定されている。
判定部24は、第二の判定で放電を継続可能又は充電を継続可能と判定した場合は、第三に、イオン濃度取得部21で取得されたセル側イオン濃度Cc及びタンク側イオン濃度Ctに基づいて、開閉弁19の開放可能性(開弁する可能性があるか否か)を判定する。なお、第二の判定で放電終了又は充電終了と判定した場合は、第三以降の判定は実施しない。
判定部24は、RF電池10の放電時には、第三の判定として、以下の条件(3D)及び(4D)が成立するか否かを判定し、両方成立した場合は開閉弁19を開放する可能性があると判定し、何れか一つでも不成立であれば開閉弁19を開放しない(閉弁状態のままとする)と判定する。
(3D)セル側イオン濃度Ccが第一放電閾値D1未満である(Cc<D1)
(4D)セル側イオン濃度Ccがタンク側イオン濃度Ct未満である(Cc<Ct)
ここで、第一放電閾値D1は、放電時に弁制御を実施すべきか否かを判定するための閾値であり、運用充電率範囲内であって、例えば充電率50%に対応するイオン濃度に予め設定されている。条件(3D)が成立する場合はセル側イオン濃度Ccが放電によってある程度低下していることを意味する。言い換えると、条件(3D)が不成立の場合(セル側イオン濃度Ccが第一放電閾値D1以上である場合)は、弁制御を行うことなく放電を継続することができることを意味する。
また、条件(4D)は、セル側イオン濃度Ccとタンク側イオン濃度Ctとを比較し、電解液を循環させてイオン濃度を均一化させる必要があるか否かを判定するための条件である。つまり、放電時にCc<Ctが成立する場合は、タンク12内の電解液の方が充放電セル11内の電解液よりも多くの5価のVイオン及び2価のVイオンを含んでいることになるため、イオン濃度を均一化させる必要があると判定し、これにより出力を維持する。
また、判定部24は、RF電池10の充電時には、第三の判定として、以下の条件(3E)及び(4E)が成立するか否かを判定し、両方成立した場合は開閉弁19を開放する可能性があると判定し、何れか一つでも不成立であれば開閉弁19を開放しない(閉弁状態のままとする)と判定する。
(3E)セル側イオン濃度Ccが第一充電閾値E1以上である(Cc≧E1)
(4E)セル側イオン濃度Ccがタンク側イオン濃度Ctよりも大きい(Cc>Ct)
ここで、第一充電閾値E1は、充電時に弁制御を実施するか否かを判定するための閾値であり、上記の運用充電率範囲内であって、例えば充電率80%に対応するイオン濃度に予め設定されている。条件(3E)が成立する場合はセル側イオン濃度Ccが充電によってある程度上昇していることを意味する。言い換えると、条件(3E)が不成立の場合(セル側イオン濃度Ccが第一充電閾値E1未満である場合)は、充電が不十分であるため弁制御を行わずに充電を継続すべきであることを意味する。
また、条件(4E)は、セル側イオン濃度Ccとタンク側イオン濃度Ctとを比較し、電解液を循環させてイオン濃度を均一化させる必要があるか否かを判定するための条件である。つまり、充電時にCc>Ctが成立する場合は、充放電セル11内の電解液の方がタンク12内の電解液よりも多くの5価のVイオン及び2価のVイオンを含んでいることになるため、イオン濃度を均一化させる必要があると判定し、これにより、より多くの電力を蓄電する。
以上の判定部24における第二及び第三の判定をマップ化したものを図5(a)及び(b)に示す。図5(a)は放電時の判定を示すマップであり、図5(b)は充電時の判定を示すマップである。
図5(a)に示すように、条件(1D)及び(2D)を満たす場合は、領域R1に該当する。この領域R1は放電終了領域である。また、条件(1D)及び(2D)を満たさず、条件(3D)及び(4D)を満たす場合は、領域R2に該当する。この領域R2は、開閉弁19を開放する可能性のある開弁領域である。ただし、この開弁領域に入れば開閉弁19は常に開弁されるわけではなく、判定部24での他の判定結果によって開閉状態が決定される。また、領域R1及びR2に該当しない領域R3は、開閉弁19を開放しない(閉弁状態とする)閉弁領域である。
図5(b)に示すように、条件(1E)及び(2E)を満たす場合は、領域R4に該当する。この領域R4は充電終了領域である。実際には、Cc=E3且つCt=E3となったとき(図中星印)に充電終了となる。また、条件(1E)及び(2E)を満たさず、条件(3E)及び(4E)を満たす場合は、領域R5に該当する。この領域R5は、開閉弁19を開放する可能性のある開弁領域である。ただし、この開弁領域に入れば開閉弁19は常に開弁されるわけではなく、判定部24での他の判定結果によって開閉状態が決定される。い。また、領域R4及びR5に該当しない領域R6は、開閉弁19を開放しない(閉弁状態とする)閉弁領域である。
つまり、判定部24は、RF電池10の充放電状態を判定した後(第一の判定の後)、図5(a)のマップ又は図5(b)のマップを用いて、何れの領域に該当するかを判定する。
判定部24は、第三の判定で領域R2又は領域R5に該当すると判定した場合は、第四に、充放電要求推定部23から伝達された情報に基づいて開閉弁19を開放するか否かを判定する。なお、領域R2及び領域R5以外の領域に該当すると判定した場合は、第四の判定は実施しない。
判定部24は、RF電池10の放電時に、第三の判定で領域R2に該当すると判定した場合は、以下の条件(5D)が成立するか否かを判定する。条件(5D)が成立した場合は充電要求の予定があるため開閉弁19を開放しないと判定し、不成立であれば充電要求の予定がないため開閉弁19を開放すると判定する。
(5D)「放電後、充電要求が予定されている」と推定された
同様に、判定部24は、RF電池10の充電時に、第三の判定で領域R5に該当すると判定した場合は、以下の条件(5E)が成立するか否かを判定する。条件(5E)が成立した場合は放電要求の予定があるため開閉弁19を開放しないと判定し、不成立であれば放電要求の予定がないため開閉弁19を開放すると判定する。
(5E)「充電後、放電要求が予定されている」と推定された
このように判定する理由について説明する。RF電池10の放電時に開閉弁19を閉弁し電解液の移動を停止させると、タンク側イオン濃度Ctは変化しないがセル側イオン濃度Ccは低下するため、充放電セル11側とタンク12側との間でイオン濃度差が生じる。つまり、放電時では5価のVイオンと2価のVイオンとが減少するため、充放電セル11内の5価のVイオン濃度と2価のVイオン濃度がタンク12側に比べて低い状態となる。この状態は、充電を実施するには適した状態であるため、この放電の後に充電要求が予定されていることが予め把握されているならば、開閉弁19を閉弁状態のまま維持し、あえて電解液のイオン濃度差がある状態のまま保つ(イオン濃度を不均一な状態とする)。これにより、その後の充電要求に備えることで充電効率を向上させ、余計なエネルギ消費を抑制することができる。
さらに判定部24は、第四の判定で開閉弁19を開放すると判定した場合は、第五に、慣性力の有無と大きさとを判定する。なお、第三の判定で領域R2及び領域R5以外の領域に該当すると判定した場合は、第五の判定は実施しない。判定部24は、第五の判定として、充放電状態に関わらず以下の条件(6),(7)及び(8)の何れに該当するか否かを判定する。
(6)慣性力があり、且つ、その大きさが大きい(慣性力≧所定値F)
(7)慣性力があり、且つ、その大きさが小さい(慣性力<所定値F)
(8)慣性力なし
なお、条件(6),(7)の所定値Fは、慣性力の大きさの大小を判定するための閾値であり、予め設定されている。
最後に判定部24は、第三の判定又は第四の判定で開閉弁19を閉鎖すると判定した場合、又は、第五の判定で条件(6)又は(7)に該当すると判定したとき(すなわち、慣性力ありの場合)は、第六に、セル側イオン濃度Ccに基づきRF電池10の充電率を判定する。判定部24は、放電時には以下の条件(9D)の成否を判定し、(9D)が成立した場合は低電力状態であると判定し、(9D)が不成立であれば放電を継続することが可能であると判定する。一方、充電時には以下の条件(9E)の成否を判定して、(9E)が成立した場合は高電力状態であると判定し、(9E)が不成立であれば充電を継続することが可能であると判定する。
(9D)セル側イオン濃度Ccが第二放電閾値D2未満である(Cc<D2)
(9E)セル側イオン濃度Ccが第二充電閾値E2以上である(Cc≧E2)
ここで、第二放電閾値D2は、放電時にセル側イオン濃度Ccを早急に高める必要があるか否かを判定するための閾値である。第二放電閾値D2は、上記の運用充電率範囲内で第一放電閾値D1よりも小さい値であり、例えば充電率40%に対応するイオン濃度に予め設定されている。また、第二充電閾値E2は、充電によってセル側イオン濃度Ccが十分高まったか否かを判定するための閾値である。第二充電閾値E2は、上記の運用充電率範囲内で第一充電閾値E1よりも大きい値であり、例えば充電率90%に対応するイオン濃度に予め設定されている。
以上の判定部24での判定内容の概略を以下の表1に示す。判定部24での判定結果は、制御部25へ伝達される。
Figure 2014127265
制御部(制御手段)25は、判定部24から伝達された情報に基づいて、開閉弁19の弁制御を実施するものである。制御部25における放電時の制御内容を図6(a)〜(f)に示し、充電時の制御内容を図7(a)〜(f)に示す。図6(b)〜(f)は、図5(a)のマップのうち、開閉弁19を開放する可能性のある開弁領域R2を抜粋したものであり、判定結果に応じた制御内容を示す。図7(b)〜(f)は、図5(b)のマップのうち、開閉弁19を開放する可能性のある開弁領域R5を抜粋したものであり、判定結果に応じた制御内容を示す。
制御部25は、第一の判定結果からRF電池10の充放電状態を把握する。RF電池10の放電時の場合、第二の判定によりRF電池10の放電終了(領域R1)と判定されると、弁制御を終了し、放電自体も終了する。そして、制御部25は、図6(a)に示すように使用者に対してRF電池10の充電切れであるといった内容を報知する報知制御を実施する(要充電報知)。この報知手段は、例えばモニタ表示や音声等による報知である。
制御部25は、第三の判定により開閉弁19の開放可能性なし(領域R3)と判定された場合は、開閉弁19を閉鎖する。さらに、第六の判定によりRF電池10が低電力状態であると判定されたときは、図6(a)に示すように使用者に対して電力が低下していることを報知する報知制御を実施する(電力低下報知)。以上の領域R1及び領域R3における制御部25での制御内容を以下の表2に示す。
Figure 2014127265
制御部25は、第三の判定により開閉弁19の開放可能性あり(領域R2)と判定された場合は、第四〜第六の判定結果に応じて図6(b)〜(f)に示す何れかの弁制御を実施する。制御部25は、判定部24により開弁領域R2に該当すると判定された場合に、第四の判定で充電要求の予定ありと判定された場合は、図6(b)に示すように開弁領域R2であっても開閉弁19を閉鎖する。これにより、放電後の充電要求に備えることができる。さらに、第六の判定によりRF電池10が低電力状態であると判定されたときは、使用者に対して電力が低下していることを報知する報知制御を実施する(電力低下報知)。
反対に、制御部25は、第四の判定で充電要求の予定なしと判定された場合は、図6(c)に示すように開閉弁19を開放する。このときの開度は中間の開度Mとする。さらに制御部25は、開閉弁19を開放する場合は、第五の判定結果に応じて図6(d)〜(f)に示す何れかの制御内容を選択し、さらに第六の判定結果に応じた制御を実施する。第五の判定で条件(6)に該当すると判定された(つまり大きい慣性力が取得された)場合は図6(d)を選択し、条件(7)に該当すると判定された(つまり小さい慣性力が取得された)場合は図6(e)を選択し、条件(8)に該当すると判定された(慣性力がない)場合は図6(f)を選択する。
図6(d)及び(e)に示すように、慣性力が取得された場合は、開閉弁19を開放することで電解液が連通経路18を通じて充放電セル11とタンク12との間を移動して混合する。つまり、この場合はポンプ17を作動させなくても、開閉弁19が開放された連通経路18を通じて電解液が攪拌され、電解液のイオン濃度差が小さくなる。このとき、第六の判定によりRF電池10が低電力状態であると判定されたときは、早急に電解液を循環させる必要があるため、開閉弁19の開度を最も大きな開度Lとする。
一方、第六の判定によりRF電池10が低電力状態でないと判定されたときは、慣性力の大きさによって開度を変更する。図6(d)に示すように、慣性力が大きいときは開度を最も小さな開度Sとし、緩やかに電解液を移動させる。また、図6(e)に示すように、慣性力が小さいときは開度を絞りすぎると電解液の移動する流量が少なくなりすぎてしまうため、中間の開度Mを維持する。
また、図6(f)に示すように、慣性力がない場合は開閉弁19を中間の開度Mを維持し、RF電池10が低電力状態であれば強制制御を併せて実施する。ここでいう強制制御とは、例えばポンプ17を作動させて強制的に電解液を循環させる制御や、他のバッテリシステムに切り換える制御など、車両1の使用を継続するための最終手段である。これにより、RF電池10が放電終了となる(領域R1に変移する)ことを抑制する。以上の領域R2における制御部25での制御内容を以下の表3に示す。
Figure 2014127265
制御部25は、RF電池10の充電時の場合、第二の判定によりRF電池10の充電終了(領域R4)と判定されると、弁制御を終了し、充電自体も終了する。そして、制御部25は、図7(a)に示すように使用者に対してRF電池10の充電が完了したといった内容を報知する報知制御を実施する(充電完了報知)。一方、制御部25は、第三の判定により開閉弁19の開放可能性なし(領域R6)と判定された場合は、開閉弁19を閉鎖する。さらに、第六の判定によりRF電池10が高電力状態であると判定されたときは、図7(a)に示すように使用者に対して充電完了が間近であることを報知する報知制御を実施する(完了間近報知)。以上の領域R4及び領域R6における制御部25での制御内容を以下の表4に示す。
Figure 2014127265
制御部25は、第三の判定により開閉弁19の開放可能性あり(領域R5)と判定された場合は、第四〜第六の判定結果に応じて図7(b)〜(f)に示す何れかの弁制御を実施する。制御部25は、判定部24により開弁領域R5に該当すると判定された場合に、第四の判定で放電要求の予定ありと判定された場合は、図7(b)に示すように開弁領域R5であっても開閉弁19を閉鎖する。これにより、充電後の放電要求に備えることができる。さらに、第六の判定によりRF電池10が高電力状態であると判定されたときは、使用者に対して充電完了が間近であることを報知する報知制御を実施する(完了間近報知)。
反対に、制御部25は、第四の判定で放電要求の予定なしと判定された場合は、図7(c)に示すように開閉弁19を開放する。このときの開度は中間の開度Mとする。さらに制御部25は、開閉弁19を開放する場合は、第五の判定結果に応じて図7(d)〜(f)に示す何れかの制御内容を選択し、さらに第六の判定結果に応じた制御を実施する。第五の判定で条件(6)に該当すると判定された(つまり大きい慣性力が取得された)場合は図7(d)を選択し、条件(7)に該当すると判定された(つまり小さい慣性力が取得された)場合は図7(e)を選択し、条件(8)に該当すると判定された(慣性力がない)場合は図7(f)を選択する。
図7(d)及び(e)に示すように、慣性力が取得された場合は、開閉弁19を開放することで電解液が連通経路18を通じて充放電セル11とタンク12との間を移動して混合する。つまり、この場合はポンプ17を作動させなくても、開閉弁19が開放された連通経路18を通じて電解液が攪拌され、電解液のイオン濃度差が小さくなる。このとき、第六の判定によりRF電池10が高電力状態であると判定されたときは、早急に電解液を循環させる必要があるため、開閉弁19の開度を最も大きな開度Lとする。
一方、第六の判定によりRF電池10が高電力状態でないと判定されたときは、慣性力の大きさによって開度を変更する。図7(d)に示すように、慣性力が大きいときは開度を最も小さな開度Sとし、緩やかに電解液を移動させる。また、図7(e)に示すように、慣性力が小さいときは開度を絞りすぎると電解液の移動する流量が少なくなりすぎてしまうため、中間の開度Mを維持する。
また、図7(f)に示すように、慣性力がない場合は開閉弁19を中間の開度Mを維持し、RF電池10が高電力状態であれば強制制御を併せて実施する。これにより、RF電池10の充電容量を増大させる。以上の領域R5における制御部25での制御内容を以下の表5に示す。
Figure 2014127265
[2−3.フローチャート]
次に、図8及び図9を用いてECU20で実行される弁制御の手順の例を説明する。図8は放電時の弁制御の内容を示し、図9は充電時の弁制御の内容を示す。判定部24によりRF電池10が放電状態であると判定されると図8のフローチャートが選択され、充電状態であると判定されると図9のフローチャートが選択される。これらのフローチャートは所定の周期で繰り返し動作する。
まず、RF電池10の放電時の弁制御について説明する。図8に示すように、RF電池10の放電時では、ステップS10において、イオン濃度取得部21によりセル側イオン濃度Ccが取得される。ステップS20では、判定部24によりセル側イオン濃度Ccが第一放電閾値D1未満であるか否かが判定される。Cc<D1の場合は、ステップS30においてタンク側イオン濃度Ctが取得され、ステップS40へ進む。一方、Cc≧D1の場合は、RF電池10の充電率が十分に高いため、ステップS65に進み、開閉弁19が閉弁状態に制御され、ステップS120へ進む。
ステップS40では、判定部24によりセル側イオン濃度Ccが放電限界値D3未満であるか否かが判定される。Cc<D3の場合はステップS42へ進み、タンク側イオン濃度Ctが放電限界値D3未満であるか否かが判定される。Ct<D3の場合は、充電率が低すぎてRF電池10の放電ができない状態であるため、ステップS44へ進んで充電が必要である旨が報知される(要充電報知)。そして、ステップS45において開閉弁19が閉弁状態に制御されて、放電を終了する。反対に、Ct≧D3の場合は、タンク12内の電解液には電力がまだ残っているため、ステップS55へ進む。
一方、ステップS40の判定でCc≧D3の場合はステップS50へ進み、セル側イオン濃度Ccがタンク側イオン濃度Ct未満であるか否かが判定される。Cc<Ctの場合はステップS55へ進み、Cc≧Ctの場合はステップS65へ進む。ステップS55では、放電後に充電要求が予定されているか否かが判定される。充電要求が予定されている場合は何もしなくてももうすぐ充電率が回復すると予想されるため、ステップS65において開閉弁19が閉弁状態に制御され、ステップS120へ進む。一方、充電要求の予定がない場合はステップS60へ進む。
ステップS60では、開閉弁19が開放されて中間の開度(開度M)に制御される。これにより、RF電池10の電解液に慣性力が作用すれば電解液の移動が可能となる。続くステップS70では、慣性力取得部22により慣性力が取得されたか否かが判定され、慣性力ありの場合はステップS80へ進みセル側イオン濃度Ccが第二放電閾値D2未満であるか否かが判定される。一方慣性力なしの場合はステップS110へ進む。
ステップS80の判定でCc≧D2のときはステップS90に進み、慣性力の大きさが所定値F以上か否かが判定される。つまり、ステップS80の判定でNOルートからステップS90に進んだ場合は、RF電池10が低電力状態ではないため、慣性力の大きさに応じて開閉弁19の開度を調節する。ステップS90において慣性力の大きさが所定値F以上であれば開閉弁19の開度が小さい開度(開度S)に制御され、このフローをリターンする。一方ステップS90において慣性力の大きさが所定値F未満であれば開閉弁19の開度が開度Mに維持され、このフローをリターンする。
一方、ステップS80の判定でCc<D2のときは、RF電池10が低電力状態のため早期にイオン濃度を均一化させるべく、ステップS100において開閉弁19の開度が大きい開度(開度L)に制御され、このフローをリターンする。
また、ステップS70の判定において慣性力なしと判定された場合は、ステップS110においてセル側イオン濃度Ccが第二放電閾値D2未満であるか否かが判定される。Cc<D2のときは、ステップS115に進み、開閉弁19が開度Mに維持されるとともに強制制御が実施され、このフローをリターンする。これは、RF電池10が低電力状態であって慣性力も作用していない場合は、放電を継続するための最終手段を実施する必要があるためである。一方、ステップS110の判定でCc≧D2であれば、開閉弁19が開度Mに維持され、このフローをリターンする。
ステップS20,ステップS50又はステップS55からステップS65へ進み、ステップS65において開閉弁19が閉弁状態に制御されたときは、続くステップS120において、セル側イオン濃度Ccが第二放電閾値D2未満であるか否かが判定される。そして、Cc<D2のときは、ステップS125において電力が低下している旨が報知され(電力低下報知)、このフローをリターンする。反対にCc≧D2のときは、そのままこのフローをリターンする。フローをリターンした場合は、ステップS10から繰り返し実施される。
続いて、RF電池10の充電時の弁制御について説明する。図9に示すように、RF電池10の充電時では、ステップT10において、イオン濃度取得部21によりセル側イオン濃度Ccが取得される。ステップT20では、判定部24によりセル側イオン濃度Ccが第一充電閾値E1以上であるか否かが判定される。Cc≧E1場合は、ステップT30においてタンク側イオン濃度Ctが取得され、ステップT40へ進む。一方、Cc<E1の場合は、ステップT65に進み、開閉弁19が閉弁状態に制御され、ステップT120へ進む。
ステップT40では、判定部24によりセル側イオン濃度Ccが充電限界値E3以上であるか否かが判定される。Cc≧E3の場合はステップT42へ進み、タンク側イオン濃度Ctが充電限界値E3以上であるか否かが判定される。Ct≧E3の場合は、RF電池10の充電が完了した状態であるため、ステップT44へ進んで充電が完了した旨が報知される(充電完了報知)。そして、ステップT45において開閉弁19が閉弁状態に制御されて、充電を終了する。反対に、Ct<E3の場合は、タンク12内の電解液にはまだ電力を蓄えることができるため、ステップT55へ進む。
一方、ステップT40の判定でCc<E3の場合はステップT50へ進み、セル側イオン濃度Ccがタンク側イオン濃度Ctよりも大きいか否かが判定される。Cc>Ctの場合はステップT55へ進み、Cc≧Ctの場合はステップT65へ進む。ステップT55では、充電後に放電要求が予定されているか否かが判定される。放電要求が予定されている場合はステップT65へ進み、開閉弁19が閉弁状態に制御され、ステップT120へ進む。一方、放電要求の予定がない場合はステップT60へ進む。
ステップT60では、開閉弁19が開放されて中間の開度(開度M)に制御される。これにより、RF電池10の電解液に慣性力が作用すれば電解液の移動が可能となる。ステップT70において、慣性力取得部22により慣性力が取得されたか否かが判定され、慣性力ありの場合はステップT80へ進み、セル側イオン濃度Ccが第二充電閾値E2以上であるか否かが判定される。一方、慣性力なしの場合はステップT110へ進む。
ステップT80の判定でCc<E2のときはステップT90に進み、慣性力の大きさが所定値F以上か否かが判定される。つまり、ステップT80の判定でNOルートからステップT90に進んだ場合は、満充電まで余裕があるため、慣性力の大きさに応じて開閉弁19の開度を調節する。ステップT90において慣性力の大きさが所定値F以上であれば、ステップT95において開閉弁19の開度が小さい開度(開度S)に制御され、このフローをリターンする。一方ステップT90において慣性力の大きさが所定値F未満であれば、開閉弁19の開度が開度Mに維持され、このフローをリターンする。
一方、ステップT80の判定でCc≧E2のときは、セル側イオン濃度Ccが十分上昇し、満充電に近い状態になっているため、早期にイオン濃度を均一化させるべく、ステップT100において開閉弁19の開度が大きい開度(開度L)に制御され、このフローをリターンする。
また、ステップT70の判定において慣性力なしと判定された場合は、ステップT110においてセル側イオン濃度Ccが第二充電閾値E2以上であるか否かが判定される。Cc≧E2のときは、ステップT115に進み、開閉弁19が開度Mに維持されるとともに強制制御が実施され、このフローをリターンする。これは、充電完了状態に近付いており、且つ慣性力も作用していない場合は、タンク側イオン濃度Ctを高めて充電容量を増大させるための最終手段を実施する必要があるためである。一方、ステップT110の判定でCc<E2であれば、開閉弁19が開度Mに維持され、このフローをリターンする。
ステップT20,ステップT50又はステップT55からステップT65へ進み、ステップT65において開閉弁19が閉弁状態に制御されたときは、続くステップT120において、セル側イオン濃度Ccが第二充電閾値E2以上であるか否かが判定される。そして、Cc≧E2のときは、ステップT125において充電完了に近い状態である旨が報知され(完了間近報知)、このフローをリターンする。反対にCc<E2のときは、そのままこのフローをリターンする。フローをリターンした場合は、ステップT10から繰り返し実施される。
[2−4.効果]
(1)このように、本実施形態に係るRF電池10の制御装置によれば、セル側イオン濃度Ccとタンク側イオン濃度Ctとに応じて開閉弁19の開閉状態を制御するため、電解液のイオン濃度差を小さくして、電解液全体のイオン濃度を均一化させることができる。これにより、RF電池10の容量低下の抑制,充放電効率の悪化防止や出力維持を図ることができる。また、慣性力を利用して電解液を移動させて攪拌させるため、電解液を循環させるためのポンプ17を省略することが可能であり、ポンプ17を省略した場合はその分RF電池10全体の重量を低減することができる。また、ポンプ17を省略することで、ポンプ作動に必要なエネルギを抑制することができるため、エネルギ効率を向上させることができる。
(2)また、判定部24は、RF電池10の充放電状態に基づいて開閉弁19を開放するか否かを判定するため、RF電池10の充放電状態を考慮して適切な判定を実施することができ、充放電状態に応じた弁制御が可能となる。
(3)また、判定部24は、RF電池10の充電率に対してそれぞれ正の相関を有するセル側イオン濃度Cc及びタンク側イオン濃度Ctを用い、RF電池10の放電時では、セル側イオン濃度Ccがタンク側イオン濃度Ct未満のときに開閉弁19を開放すると判定するため、電解液全体のイオン濃度を均一化させることができるとともに、電池の容量低下を抑制することができ、出力を維持することができる。
(4)同様に、判定部24は、RF電池10の充電率に対してそれぞれ正の相関を有するセル側イオン濃度Cc及びタンク側イオン濃度Ctを用い、RF電池10の充電時では、セル側イオン濃度Ccがタンク側イオン濃度Ctよりも大きいときに開閉弁19を開放すると判定するため、電解液全体のイオン濃度を均一化させることができるとともに、電池の充電容量を増大させることができる。
(5)また、制御部25は、判定部24により開閉弁19を開放すると判定された場合に、慣性力の大きさに応じて開閉弁19の開度を調節する開度制御を実施する。慣性力は、その大きさが大きいほど電解液の移動量が大きくなるため、慣性力の大きさに応じて弁の開度を増減させることで、電解液を早期に攪拌させたり緩やかに攪拌させたりすることができる。そのため、慣性力の大きさに加え、セル側イオン濃度Ccの大きさに応じて開度を調節することで、適切に電解液のイオン濃度差を均一化させることができる。
(6)また、制御部25は、判定部24により充放電要求の予定があると判定された場合は開閉弁19を閉弁状態に制御する。つまり、開弁領域R2に該当すると判定された場合であっても、充放電要求から電解液を充放電セル11とタンク12との間で移動させない方がよい場合は、弁を閉弁状態に制御して、あえてイオンの濃度変化を大きくしておく。これにより、次の充放電に備えて、充放電セル11内のイオン濃度を充放電に適した状態にしておくことができ、充放電時の電解液の移動(移動量や移動時間)を少なくすることができる。したがって、電解液を移動させるために必要なエネルギを低減することができ、エネルギ効率を向上させることができる。
(7)また、ここでは、連通経路18には外力によって開閉される開閉弁19が設けられているため、弁制御を容易に、且つ確実に行うことができ、制御性を向上させることができる。
(8)さらに、本実施形態では、開閉弁19を開放する条件として(3D)及び(3E)が設けられている。つまり、放電時であればセル側イオン濃度Ccがある程度低い状態になったら初めて開閉弁19が開放され、充電時であればセル側イオン濃度Ccがある程度高い状態になったら初めて開閉弁19が開放される。そのため、常に弁制御を実施する必要がなく、制御構成を簡素化することができる。
(9)また、セル側イオン濃度Cc及びタンク側イオン濃度Ctに応じて報知制御が実施されるため、RF電池10を搭載した車両1を使用する者の利便性を向上させることができる。
(10)また、ここでのRF電池10は、充放電セル11の後面の後方に二つのタンク12が配置され、連通経路18が車両1の進行方向に沿って配置されているため、電解液が加減速によって生じる慣性力により移動しやすくなっている。そのため、車両1の走行時に開閉弁19が開弁されていれば、連通経路18を通じて電解液を充放電セル11とタンク12との間で移動させて循環させることができる。
(11)また、充放電セル11及び二つのタンク12内に圧縮性流体が封入されている場合は、二つの空間15やタンク12の容積を慣性力(圧力)によって大きく変動させることができる。これにより、車両1の加減速による電解液の移動がしやすくなり、電解液の流動性を向上させることができる。言い換えると、慣性力による電解液の循環作用をより大きくすることができる。
[2−5.変形例]
まず、第一実施形態に係るRF電池10の制御装置の第一変形例について説明する。本変形例は、上記した実施形態のECU20の機能要素のうち、慣性力取得部22及び充放電要求推定部23が省略されている。また、判定部24による判定は、第一の判定,第二の判定の一部,第三の判定の一部のみが実施される。また、制御部25は、開閉弁19の開閉制御のみ実施し、開閉弁19の開度制御及び報知制御は実施しない。したがって、本変形例に係るRF電池10の制御装置は、最も簡略化されたものである。
これについて、図10(a)及び(b)のフローチャートを用いて説明する。図10(a)は図8のフローチャートを最も簡略化したものであり、図10(b)は図9のフローチャートを最も簡略化したものである。判定部24によりRF電池10が放電状態であると判定されると、図10(a)のフローチャートが選択され、充電状態であると判定されると図10(b)のフローチャートが選択される。これらのフローチャートは所定の周期で繰り返し動作する。なお、図8,図9と同一のステップについては、同一の符号を付し、説明は簡略化する。
まず、RF電池10の放電時の弁制御について説明する。図10(a)に示すように、RF電池10の放電時では、ステップS10において、イオン濃度取得部21によりセル側イオン濃度Ccが取得され、ステップS30において、タンク側イオン濃度Ctが取得される。続くステップS50では、セル側イオン濃度Ccがタンク側イオン濃度Ct未満であるか否かが判定される。Cc<Ctの場合は、ステップS60へ進み、開閉弁19が開放されて中間の開度(開度M)に制御される。これにより、RF電池10の電解液に慣性力が作用すれば電解液の移動が可能となる。一方、Cc≧Ctの場合は、ステップS65へ進み、開閉弁19が閉弁状態に制御される。
ステップS60又はS65において弁の開閉が制御されると、続くステップS40において、セル側イオン濃度Ccが放電限界値D3未満であるか否かが判定される。Cc<D3の場合は放電を終了する。反対に、Cc≧D3の場合は、充放電セル11内の電解液には電力がまだ残っているため、このフローをリターンする。フローをリターンした場合は、ステップS10から繰り返し実施される。
つまり、本変形例に係る制御装置では、Cc<Ctであれば、セル側イオン濃度Ccの大きさに関わらず常に開閉弁19は開放される。そのため、この間に電解液に慣性力が作用すれば、電解液が移動して混合することが可能である。また、Cc<D3となれば、速やかに放電が終了される。
続いて、RF電池10の充電時の弁制御について説明する。図10(b)に示すように、RF電池10の充電時では、ステップT10において、イオン濃度取得部21によりセル側イオン濃度Ccが取得され、ステップT30においてタンク側イオン濃度Ctが取得される。続く、ステップT50では、セル側イオン濃度Ccがタンク側イオン濃度Ctよりも大きいか否かが判定される。Cc>Ctの場合は、ステップT60へ進み、開閉弁19が開放されて中間の開度(開度M)に制御される。これにより、RF電池10の電解液に慣性力が作用すれば電解液の移動が可能となる。一方、Cc≦Ctの場合は、ステップS65へ進み、開閉弁19が閉弁状態に制御される。
ステップT60又はT65において弁の開閉が制御されると、続くステップT40において、セル側イオン濃度Ccが充電限界値E3以上であるか否かが判定される。Cc≧E3の場合は充電を終了する。反対に、Cc<E3の場合は、充放電セル11内の電解液にはまだ電力を蓄えることができるため、このフローをリターンする。フローをリターンした場合は、ステップT10から繰り返し実施される。
つまり、本変形例に係る制御装置では、Cc>Ctであれば、セル側イオン濃度Ccの大きさに関わらず常に開閉弁19は開放される。そのため、この間に電解液に慣性力が作用すれば、電解液が移動して混合することが可能である。また、Cc≧E3となれば、速やかに充電が終了される。
このように、第一変形例に係るRF電池10の制御装置によれば、制御構成をより簡素化することができる。また、本変形例では、条件(3D)及び(3E)を省略し、放電時であればCc<Ctの場合に、充電時であればCc>Ctの場合に、開閉弁19が開放される。そのため、常にセル側イオン濃度Ccとタンク側イオン濃度Ctとのイオン濃度差を小さくし、セル側イオン濃度Ccを充放電に適した状態にすることができる。なお、第一実施形態と同一の構成からは、上記した第一実施形態で得られる効果と同一の効果を得ることができる。
次に、第一実施形態に係るRF電池10の制御装置の第二変形例について説明する。本変形例は、上記した実施形態のECU20の制御部25による制御内容の一部を除いて、上記の実施形態の構成と同様である。以下、第一実施形態と同様の構成については、第一実施形態と同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
制御部25は、RF電池10の放電時において、判定部24により開弁領域R2に該当すると判定され、第四の判定で充電要求の予定なしと判定された場合は、上記実施形態と同様に開閉弁19を開度Mで開放する。さらに、上記実施形態と同様、慣性力の有無及びその大きさと第六の判定結果とに応じて、制御内容を選択する。本変形例では、取得された慣性力が小さい場合であって、第六の判定で低電力状態であると判定された場合に、開閉弁19を開度Mに維持したままポンプを作動させる。また、慣性力が取得されなかった場合であって、第六の判定で低電力状態であると判定された場合に、開閉弁19を開度Mに維持したままポンプを作動させる。このように、ポンプを作動させることで、電解液を充放電セル11とタンク12との間で確実に循環させ、イオン濃度を均一化させる。
同様に、制御部25は、RF電池10の充電時において、判定部24により開弁領域R5に該当すると判定され、第四の判定で放電要求の予定なしと判定された場合は、上記実施形態と同様に開閉弁19を開度Mで開放する。さらに、上記実施形態と同様、慣性力の有無及びその大きさと第六の判定結果とに応じて、制御内容を選択する。本変形例では、取得された慣性力が小さい場合であって、第六の判定で高電力状態であると判定された場合に、開閉弁19を開度Mに維持したままポンプを作動させる。また、慣性力が取得されなかった場合であって、第六の判定で高電力状態であると判定された場合に、開閉弁19を開度Mに維持したままポンプを作動させる。このように、ポンプを作動させることで、電解液を充放電セル11とタンク12との間で確実に循環させ、イオン濃度を均一化させる。
以上の本変形例に係る制御部25での放電時及び充電時の制御内容を以下の表6にまとめて示す。なお、他の制御内容は上記実施形態と同一であるため、表6では一部を抜粋して示す。
Figure 2014127265
次に、図11及び図12を用いて、本変形例に係るECU20で実行される弁制御及びポンプ17の作動非作動(オンオフ)の制御の手順の例を説明する。図11は放電時の制御内容を示し、図12は充電時の制御内容を示す。判定部24によりRF電池10が放電状態であると判定されると図11のフローチャートが選択され、充電状態であると判定されると図12のフローチャートが選択される。これらのフローチャートは所定の周期で繰り返し動作する。なお、以下の説明では、図8及び図9のフローチャートと同様の内容については、重複する説明は省略する。
まず、RF電池10の放電時の制御内容について説明する。図11に示すように、RF電池10の放電時では、図8のフローチャートにおけるステップS10〜S55と同様のステップW10〜W55が実施され、ステップW60において開閉弁19が開度Mで開弁される。続くステップW70において慣性力の有無が判定され、慣性力が作用していればステップW80へ進み、作用していなければステップW110へ進む。
ステップW80では第六の判定が実施され、Cc≧D2のときはステップW90において慣性力の大きさが所定値F以上であるか否かが判定される。ステップW90において慣性力の大きさが所定値F以上であれば、ステップW95で開閉弁19の開度が開度Sに制御されてこのフローをリターンし、慣性力の大きさが所定値F未満であれば、開度Mが維持されてこのフローをリターンする。
一方、ステップW80の判定でCc<D2のときは、ステップW100において、ステップW90と同様に慣性力の大きさが判定される。そして、慣性力が所定値F以上であると判定されると、ステップW105で開閉弁19の開度が開度Lに制御され、このフローをリターンする。反対に、慣性力が所定値F未満であると判定された場合は、ステップW107で開閉弁19が開度Mに維持されるとともにポンプ17が駆動され、慣性力とポンプ出力とによって電解液の循環が実施される。これにより、確実に電解液のイオン濃度差を小さくする。
また、ステップW70の判定で慣性力なしと判定されたときは、ステップW110において第六の判定が実施され、Cc<D2のときはステップW115において開閉弁19が開度Mに維持されるとともにポンプ17が駆動され、ポンプ17によって電解液の循環が実施される。一方、ステップW110の判定でCc≧D2であれば開閉弁19が開度Mに維持され、このフローをリターンする。フローをリターンした場合は、ステップW10から繰り返し実施される。
なお、ステップW107又はW115においてポンプ17が駆動された状態でフローをリターンし、次回以降の周期でステップW107又はW115を通過しない場合であっても、ポンプ17を動かしたままとする。つまり、一度動かしたポンプ17は、充放電セル11とタンク12との間のイオン濃度差が解消されるか、セル側イオン濃度Ccが第一放電閾値D1以上となるか、あるいは電池切れとなるか、何れかの条件が成立するまでは停止されない。これにより、早期にイオン濃度差を小さくするとともに、ポンプ17の作動非作動が短い周期で切り換わることを防ぐ。
ステップW20,ステップW50又はステップW55からステップW65へ進んだ場合は、ステップW65で開閉弁19が閉弁されるとともに、続くステップW67でポンプ17が停止される。続くステップW120では第六の判定が実施され、Cc<D2のときはステップW125において電力が低下している旨が報知され(電力低下報知)、このフローをリターンする。一方、ステップW120の判定でCc≧D2であればそのままこのフローをリターンする。また、ステップW42からステップW44へ進んだ場合は、続くステップW45で開閉弁19が閉弁されるとともにステップW47でポンプ17が停止され、放電を終了する。
続いてRF電池10の充電時の制御内容について説明する。図12に示すように、RF電池10の充電時では、図9のフローチャートにおけるステップT10〜T55と同様のステップX10〜X55が実施され、ステップX60において開閉弁19が開度Mで開弁される。続くステップX70において慣性力の有無が判定され、慣性力が作用していればステップX80へ進み、作用していなければステップX110へ進む。
ステップX80では第六の判定が実施され、Cc<E2のときはステップX90において慣性力の大きさが所定値F以上であるか否かが判定される。ステップX90において慣性力の大きさが所定値F以上であれば、ステップX95で開閉弁19の開度が開度Sに制御されてこのフローをリターンし、慣性力の大きさが所定値F未満であれば、開度Mが維持されてこのフローをリターンする。
一方、ステップX80の判定でCc≧E2のときは、ステップX100において、ステップX90と同様に慣性力の大きさが判定される。そして、慣性力が所定値F以上であると判定されると、ステップX105で開閉弁19の開度が開度Lに制御され、このフローをリターンする。反対に、慣性力が所定値F未満であると判定された場合は、ステップX107で開閉弁19が開度Mに維持されるとともにポンプ17が駆動され、慣性力とポンプ出力とによって電解液の循環が実施される。これにより、確実に電解液のイオン濃度差を小さくする。
また、ステップX70の判定で慣性力なしと判定されたときは、ステップX110において第六の判定が実施され、Cc≧E2のときはステップX115において開閉弁19が開度Mに維持されるとともにポンプ17が駆動され、ポンプ17によって電解液の循環が実施される。一方、ステップX110の判定でCc<E2であれば開閉弁19が開度Mに維持され、このフローをリターンする。フローをリターンした場合は、ステップX10から繰り返し実施される。
なお、ステップX107又はX115においてポンプ17が駆動された状態でフローをリターンし、次回以降の周期でステップX107又はX115を通過しない場合であっても、ポンプ17を動かしたままとする。つまり、一度動かしたポンプ17は、充放電セル11とタンク12との間のイオン濃度差が解消されるか、セル側イオン濃度Ccが第一充電閾値E1未満となるか、あるいは満充電となるか、何れかの条件が成立するまでは停止されない。これにより、早期にイオン濃度差を小さくするとともに、ポンプ17の作動非作動が短い周期で切り換わることを防ぐ。
ステップX20,ステップX50又はステップX55からステップX65へ進んだ場合は、ステップX65で開閉弁19が閉弁されるとともに、続くステップX67でポンプ17が停止される。続くステップX120では第六の判定が実施され、Cc≧E2のときはステップX125において充電完了が近い旨が報知され(完了間近報知)、このフローをリターンする。一方、ステップX120の判定でCc<E2であればそのままこのフローをリターンする。また、ステップX42からステップX44へ進んだ場合は、続くステップX45で開閉弁19が閉弁されるとともにステップX47でポンプ17が停止され、充電を終了する。
このように、第二変形例に係るRF電池10の制御装置によれば、上記した第一実施形態に係る制御装置で得られる効果に加えて、必要に応じてポンプ17が駆動されるため、確実にイオン濃度差を小さくし、イオン濃度を均一化をさせることができるとともに、ポンプ17の作動を最小限とすることでエネルギ消費量を抑制することができる。
[3.第二実施形態]
[3−1.構成]
次に、第二実施形態に係るRF電池10の制御装置について説明する。本実施形態に係るRF電池10の制御装置は、ECU20の一部構成を除いて第一実施形態と同様に構成されている。以下、第一実施形態と同様の構成については、第一実施形態と同様の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態のECU20は、セル側イオン濃度Cc及びタンク側イオン濃度Ctと、RF電池10に作用する慣性力とに応じて、ポンプ17の作動状態の制御(以下、ポンプ制御という)を実施する。なお、ここでいうポンプ制御とは、ポンプ17の作動非作動(オンオフ)とポンプ17の出力の増減制御とを意味する。さらにここでは、ポンプ制御に加えて、開閉弁19の弁制御のうち開閉制御のみ実施する。
ECU20は、このようなポンプ制御及び開閉制御を実施するために、イオン濃度取得部21と、慣性力取得部22と、充放電要求推定部23,判定部24と、制御部25とを機能要素として備える。これらの機能要素のうち、イオン濃度取得部21,慣性力取得部22及び充放電要求推定部23は、第一実施形態の構成と同一である。
本実施形態では、ポンプ17の出力は三段階(強,中,弱)に制御可能であり、最も出力を大きくしたときを出力Highと表し、最も出力を小さくしたときを出力Lowと表し、中間の出力を出力Mと表す。ポンプ17は、非作動から作動に切り換えられたときの初期出力が出力Mに設定されている。
本実施形態に係る判定部24は、イオン濃度取得部21,慣性力取得部22及び充放電要求推定部23から伝達された各情報に基づいて、ポンプ制御に関する判定を実施するものである。本実施形態に係る判定部(判定手段)24は、第一実施形態で説明載た六つの判定のうち、第一,第二,第四及び第六の判定については同一の判定を実施する。
一方、判定部24は、第三の判定については、判定条件が第一実施形態と同一であり、判定結果が異なる。つまり判定部24は、RF電池10の放電時には、第三の判定として、上記の条件(3D)及び(4D)が成立するか否かを判定する。そして、両方成立した場合はポンプ17を作動させる可能性があると判定し、何れか一つでも不成立であればポンプ17を作動させない(非作動のままとする)と判定する。同様に、RF電池10の充電時には、第三の判定として、上記の条件(3E)及び(4E)が成立するか否かを判定する。そして、両方成立した場合はポンプ17を作動させる可能性があると判定し、何れか一つでも不成立であればポンプ17を作動させない(非作動のままとする)と判定する。
また、判定部24は、第五の判定については、第一実施形態と異なり慣性力の有無のみを判定する。判定部24での判定結果は、制御部25へ伝達される。
制御部(制御手段)25は、判定部24から伝達された情報に基づいて、ポンプ17のポンプ制御と、開閉弁19の開閉制御とを実施するものである。
制御部25は、第一の判定結果からRF電池10の充放電状態を把握する。RF電池10の放電時において、第二の判定によりRF電池10の放電終了(領域R1)と判定されると、弁制御を終了するとともにポンプ17を停止させ、放電自体も終了する。そして、制御部25は、第一実施形態と同様、報知制御を実施する(要充電報知)。制御部25は、第三の判定によりポンプ17の作動可能性なし(領域R3)と判定された場合は、開閉弁19を閉鎖するとともにポンプ17を停止させる。さらに、第六の判定でRF電池10が低電力状態であると判定されたときは、第一実施形態と同様、報知制御を実施する(電力低下報知)。
また、制御部25は、RF電池10の充電時において、第二の判定によりRF電池10の充電完了(領域R4)と判定されると、弁制御を終了するとともにポンプ17を停止させ、充電自体も終了する。そして、制御部25は、第一実施形態と同様、報知制御を実施する(充電完了報知)。制御部25は、第三の判定によりポンプ17の作動可能性なし(領域R6)と判定された場合は、開閉弁19を閉鎖するとともにポンプ17を停止させる。さらに、第六の判定でRF電池10が高電力状態であると判定されたときは、第一実施形態と同様、報知制御を実施する(完了間近報知)。
以上の領域R1及び領域R3,領域R4及びR6における制御部25での制御内容を以下の表7に示す。
Figure 2014127265
制御部25は、RF電池10の放電時において、第三の判定によりポンプ17の作動可能性あり(領域R2)と判定された場合は、第四の判定で充電要求の予定ありと判定された場合は、開閉弁19を閉鎖するとともにポンプ17を停止させる。これにより、放電後の充電要求に備えることができる。さらに、第六の判定によりRF電池10が低電力状態であると判定されたときは、第一実施形態と同様、報知制御を実施する(電力低下報知)。
また、制御部25は、第四の判定で充電要求の予定なしと判定された場合は、ポンプ17を作動させる。このときの開度は中間の出力Mとする。さらに制御部25は、ポンプ17を作動させる場合は、第五及び第六の判定結果に応じてポンプ17の出力を増減させる。第五の判定で慣性力ありと判定された場合に、第六の判定でRF電池10が低電力状態であると判定されたらポンプ17を出力Mに維持し、RF電池10が低電力状態でないと判定されたらポンプ17の出力を弱(Low)に変更する。これにより、低電力状態のときは早期にイオン濃度差を解消することができるとともに、低電力状態でなければ緩やかにイオン濃度差を小さくすることができる。また、慣性力がある場合は、開閉弁19を開放することで、慣性力によっても電解液を循環させることができる。
制御部25は、第五の判定で慣性力なしと判定された場合に、第六の判定でRF電池10が低電力状態であると判定されたらポンプ17の出力を強(High)に変更し、反対にRF電池10が低電力状態でないと判定されたらポンプ17を出力Mに維持する。これにより、低電力状態のときは早期にイオン濃度差を解消することができるとともに、低電力状態でなければ緩やかにイオン濃度差を小さくすることができる。なお、慣性力なしと判定された場合は、二つの開閉弁19のうち何れか一方を開放し、電解液が充放電セル11とタンク12との間で循環するようにする。以上の領域R2における制御部25での制御内容を以下の表8に示す。
Figure 2014127265
制御部25は、RF電池10の充電時において、第三の判定によりポンプ17の作動可能性あり(領域R5)と判定された場合は、第四の判定で放電要求の予定ありと判定された場合は、開閉弁19を閉鎖するとともにポンプ17を停止させる。これにより、充電後の放電要求に備えることができる。さらに、第六の判定によりRF電池10が高電力状態であると判定されたときは、第一実施形態と同様、報知制御を実施する(完了間近報知)。
また、制御部25は、第四の判定で放電要求の予定なしと判定された場合は、ポンプ17を作動させる。このときの開度は中間の出力Mとする。さらに制御部25は、ポンプ17を作動させる場合は、第五及び第六の判定結果に応じてポンプ17の出力を増減させる。第五の判定で慣性力ありと判定された場合に、第六の判定でRF電池10が高電力状態であると判定されたらポンプ17を出力Mに維持し、RF電池10が高電力状態でないと判定されたらポンプ17の出力を弱(Low)に変更する。これにより、高電力状態のときは早期にイオン濃度差を解消することができるとともに、高電力状態でなければ緩やかにイオン濃度差を小さくすることができる。また、慣性力がある場合は、開閉弁19を開放することで、慣性力によっても電解液を循環させることができる。
制御部25は、第五の判定で慣性力なしと判定された場合に、第六の判定でRF電池10が高電力状態であると判定されたらポンプ17の出力を強(High)に変更し、反対にRF電池10が高電力状態でないと判定されたらポンプ17を出力Mに維持する。これにより、高電力状態のときは早期にイオン濃度差を解消することができるとともに、高電力状態でなければ緩やかにイオン濃度差を小さくすることができる。なお、慣性力なしと判定された場合は、二つの開閉弁19のうち何れか一方を開放し、電解液が充放電セル11とタンク12との間で循環するようにする。以上の領域R5における制御部25での制御内容を以下の表9に示す。
Figure 2014127265
[3−2.フローチャート]
次に、図13及び図14を用いてECU20で実行されるポンプ制御及び開閉弁19の開閉制御の手順の例を説明する。図13は放電時の制御内容を示し、図14は充電時の制御内容を示す。判定部24によりRF電池10が放電状態であると判定されると図13のフローチャートが選択され、充電状態であると判定されると図14のフローチャートが選択される。これらのフローチャートは所定の周期で繰り返し動作する。なお、以下の説明では、図8及び図9のフローチャートと同様の内容については、詳細な説明は省略する。
まず、RF電池10の放電時の弁制御について説明する。図14に示すように、RF電池10の放電時では、ステップY10においてセル側イオン濃度Ccが取得され、ステップY20においてセル側イオン濃度Ccが第一放電閾値D1未満であるか否かが判定される。Cc<D1の場合は、ステップY30においてタンク側イオン濃度Ctが取得され、ステップY40へ進む。ステップY40では、セル側イオン濃度Ccが放電限界値D3未満であるか否かが判定され、Cc<D3の場合はステップY42へ進み、Cc≧D3の場合はステップY50へ進む。
ステップY42では、タンク側イオン濃度Ctが放電限界値D3未満であるか否かが判定される。Ct<D3の場合は、RF電池10の充電率が低すぎて放電ができない状態であるため、ステップY44へ進んで充電が必要である旨が報知される(要充電報知)。そして、ステップY45で開閉弁19が閉弁状態に制御されるとともに、ステップY47においてポンプ17が停止され、放電を終了する。一方、Ct≧D3の場合はステップY55へ進む。
ステップY50では、セル側イオン濃度Ccがタンク側イオン濃度Ct未満であるか否かが判定され、Cc<Ctの場合はステップY55へ進み、Cc≧Ctの場合はステップY65へ進む。ステップY55では、放電後に充電要求が予定されているか否かが判定される。充電要求が予定されている場合はステップY65へ進み、充電要求がない場合はステップY60へ進む。
ステップY60では、ポンプ17が出力Mで駆動され、ステップY70において慣性力取得部22により慣性力が取得されたか否かが判定される。慣性力ありの場合はステップY75へ進み、開閉弁19が開放される。これにより、慣性力によっても電解液が移動して混合するようになる。開弁後、ステップY80では、セル側イオン濃度Ccが第二放電閾値D2未満であるか否かが判定される。Cc<D2の場合はポンプ17が出力Mに維持され、フローをリターンする。ステップY80の判定でCc≧D2と判定されたときはステップY90に進み、ポンプ17の出力が弱められ(出力Mから出力Lowに変更され)、このフローをリターンする。
一方、ステップY70の判定で慣性力なしの場合は、ステップY100においてセル側イオン濃度Ccが第二放電閾値D2未満であるか否かが判定される。Cc<D2のときは、ステップY105においてポンプ17の出力が強められ(出力Mから出力Highに変更され)、このフローをリターンする。一方、Cc≧D2であれば、ポンプ17が出力Mに維持されてこのフローをリターンする。
ステップY20の判定でCc≧D1のときは、RF電池10の充電率が十分に高いためステップY65に進み、開閉弁19が閉弁状態に制御されるとともに、ステップY67においてポンプ17が停止される。また、ステップY50又はY55からステップY65へ進んだときも、ステップY65で開閉弁19が閉弁状態に制御され、ステップY67でポンプ17が停止される。そして、続くステップY110において、セル側イオン濃度Ccが第二放電閾値D2未満であるか否かが判定される。Cc<D2のときはステップY115において電力が低下している旨が報知され(電力低下報知)、このフローをリターンする。反対にCc≧D2のときは、そのままこのフローをリターンする。フローをリターンした場合は、ステップY10から繰り返し実施される。
続いて、RF電池10の充電時の弁制御について説明する。図14に示すように、RF電池10の充電時では、ステップZ10においてセル側イオン濃度Ccが取得され、ステップZ20においてセル側イオン濃度Ccが第一充電閾値E1以上であるか否かが判定される。Cc≧E1場合はステップZ30においてタンク側イオン濃度Ctが取得され、ステップZ40へ進む。ステップZ40では、セル側イオン濃度Ccが充電限界値E3以上であるか否かが判定され、Cc≧E3の場合はステップZ42へ進み、Cc<E3の場合はステップZ50へ進む。
ステップZ42では、タンク側イオン濃度Ctが充電限界値E3以上であるか否かが判定され、Ct≧E3の場合は、RF電池10の充電が完了した状態であるため、ステップZ44へ進んで充電が完了した旨が報知される(充電完了報知)。そして、ステップZ45で開閉弁19が閉弁状態に制御されるとともに、ステップZ47でポンプ17が停止され、充電を終了する。一方、Ct<E3の場合はステップZ55へ進む。
ステップZ50では、セル側イオン濃度Ccがタンク側イオン濃度Ctよりも大きいか否かが判定され、Cc>Ctの場合はステップZ55へ進み、Cc≧Ctの場合はステップZ65へ進む。ステップZ55では、充電後に放電要求が予定されているか否かが判定される。放電要求が予定されている場合はステップZ65へ進み、放電要求がない場合はステップZ60へ進む。
ステップZ60では、ポンプ17が出力Mで駆動され、ステップZ70において慣性力取得部22により慣性力が取得されたか否かが判定される。慣性力ありの場合はステップZ75へ進み、開閉弁19が開放される。これにより、慣性力によっても電解液が移動して混合するようになる。開弁後、ステップZ80では、セル側イオン濃度Ccが第二充電閾値E2以上であるか否かが判定される。Cc≧E2の場合はポンプ17が出力Mに維持され、フローをリターンする。ステップZ80の判定でCc<E2と判定されたときはステップZ90に進み、ポンプ17の出力が弱められ(出力Mから出力Lowに変更され)、このフローをリターンする。
一方、ステップZ70の判定で慣性力なしの場合は、ステップZ100においてセル側イオン濃度Ccが第二充電閾値E2以上であるか否かが判定される。Cc≧E2のときは、ステップZ105においてポンプ17の出力が強められ(出力Mから出力Highに変更され)、このフローをリターンする。一方、Cc<E2であれば、ポンプ17が出力Mに維持されてこのフローをリターンする。
ステップZ20の判定でCc<E1のときは、RF電池10の充電率が十分に高まっていないためステップZ65に進み、開閉弁19が閉弁状態に制御されるとともに、ステップZ67においてポンプ17が停止される。また、ステップZ50又はZ55からステップZ65へ進んだときも、ステップZ65で開閉弁19が閉弁状態に制御され、ステップZ67でポンプ17が停止される。そして、続くステップZ110において、セル側イオン濃度Ccが第二充電閾値E2以上であるか否かが判定される。Cc≧E2のときはステップZ115において充電完了に近い状態である旨が報知され(完了間近報知)、このフローをリターンする。反対にCc<E2のときは、そのままこのフローをリターンする。フローをリターンした場合は、ステップZ10から繰り返し実施される。
[3−3.効果]
(1)このように、本実施形態に係るRF電池10の制御装置によれば、セル側イオン濃度Ccとタンク側イオン濃度Ctとに応じてポンプ17の作動を制御するため、電解液のイオン濃度を適切に均一化させることができる。また、慣性力によって電解液が充放電セル11とタンク12との間を移動可能な場合は、ポンプ17の出力を弱めることでエネルギ消費量を抑制することができ、エネルギ効率を向上させることができる。
(2)また、判定部24は、RF電池10の充放電状態に基づいてポンプ17の作動非作動を判定するため、RF電池10の充放電状態を考慮して適切な判定を実施することができ、充放電状態に応じたポンプのオンオフ制御が可能となる。
(3)また、判定部24は、RF電池10の充電率に対してそれぞれ正の相関を有するセル側イオン濃度Cc及びタンク側イオン濃度Ctを用い、RF電池10の放電時では、セル側イオン濃度Ccがタンク側イオン濃度Ct未満のときにポンプ17を作動させると判定するため、電解液全体のイオン濃度を均一化させることができるとともに、電池の容量低下を抑制することができ、出力を維持することができる。
(4)同様に、判定部24は、RF電池10の充電率に対してそれぞれ正の相関を有するセル側イオン濃度Cc及びタンク側イオン濃度Ctを用い、RF電池10の充電時では、セル側イオン濃度Ccがタンク側イオン濃度Ctよりも大きいときにポンプ17を作動させると判定するため、電解液全体のイオン濃度を均一化させることができるとともに、電池の充電容量を増大させることができる。
(5)また、制御部25は、判定部24によりポンプ17を作動させると判定された場合に、慣性力の大きさに応じてポンプ17の出力の強弱を調節するため、適切にイオン濃度を均一にすることができる。例えば、慣性力が大きい場合は連通経路18を通じて移動する電解液の流量が増大するため、ポンプ17の出力を弱めることでエネルギ消費量を抑制することができる。反対に、慣性力が小さい場合は、連通経路18を通じて移動する電解液の流量が少ないため、ポンプ17の出力を強めることで電解液を強制的に循環させることができ、イオン濃度を均一化させることができる。
(6)また、制御部25は、判定部24により充放電要求の予定があると判定された場合はポンプ17を非作動状態に制御する。つまり、領域R2に該当すると判定された場合であっても、充放電要求から電解液を充放電セル11とタンク12との間で移動させない方がよい場合は、ポンプ17を非作動に制御して、あえてイオンの濃度変化を大きくしておく。これにより、次の充放電に備えて、充放電セル11内のイオン濃度を充放電に適した状態にしておくことができ、充放電時の電解液の移動(移動量や移動時間)を少なくすることができる。したがって、電解液を移動させるために必要なエネルギを低減することができ、エネルギ効率を向上させることができる。
(7)また、連通経路18には開閉弁19が設けられており、制御部25はセル側イオン濃度Cc及びタンク側イオン濃度Ctと慣性力とに応じて、開閉弁19の開閉を制御するため、より適切にイオン濃度を均一化させることができる。つまり、慣性力が作用している場合は開閉弁19を開放して、慣性力によっても電解液を移動させ、不足分をポンプ17で補うため、ポンプ17の作動は必要最小限のみでよく、エネルギ消費量を抑制することができる。また、電解液のイオン濃度差を確実に小さくし、イオン濃度を均一化することができる。
なお、第一実施形態と同一の構成からは、上記した第一実施形態で得られる効果と同一の効果を得ることができる。
[4.その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
上記の各実施形態では、まずRF電池10の充放電状態を判定し、放電時と充電時とで異なる制御を実施しているが、充放電状態を判定せず、セル側イオン濃度Ccとタンク側イオン濃度Ctとの差の絶対値の大きさによって弁の開閉の制御やポンプの作動非作動の制御を実施してもよい。
また、RF電池10の配置は図3に示すものに限られず、図15に示すように、充放電セル11の前面の前方に正極タンク12pが配置され、充放電セル11の後面の後方に負極タンク12nが配置されて、一直線状になっていてもよく、これと前後方向が逆になっていてもよい。あるいは、充放電タンク11の前面の前方に正負のタンク12p,12nが両方配置されていてもよい。また、充放電セル11とタンク12とが進行方向に沿って配置されていなくてもよい。
また、RF電池10の連通経路18に設けられる弁が開閉弁19ではなく、図15に示すように逆止弁29であってもよい。この場合、正負の連通経路18p,18nは、それぞれ第一経路18p1,18n1及び第二経路18p2,18n2の二つを有し、これら二つの連通経路181,182に流れ方向が逆向きになるように逆止弁29が設けられる。逆止弁29は、圧力で開閉する弁であり、圧力差が生じても閉弁状態を維持できるような制御可能なものである。このように構成されている場合、電解液の流れ方向を一方向にすることができ、電解液を充放電セル11とタンク12との間で循環させることができる。そのため、より短時間でイオン濃度差を小さくすることができる。さらにこの場合は、ポンプのオンオフ制御を実施するときに、圧力差が生じれば逆止弁29は自動的に開放されるため、何れか一方の弁を開弁状態に制御する必要がなく、制御を簡単にすることができる。
また、連通経路18が第一経路181及び第二経路182を有する場合に、一方の連通経路18には開閉弁19を介設し、他方の連通経路18には逆止弁29を介設してもよい。さらに、ここでは全て連通経路18が二つの経路を有する場合を例示したが、連通経路18が一つであってもよい。この場合は、開閉弁19を設けることで電解液の流通を制御することができる。
また、イオン濃度取得部21は、電極側イオン濃度のうち、RF電池10の充電率に対して負の相関を有するイオン濃度(すなわち、4価のVイオン濃度と3価のVイオン濃度)を取得してもよい。また、イオン濃度取得部21は、貯蔵側イオン濃度のうちRF電池10の充電率に対して負の相関を有するイオン濃度(すなわち、4価のVイオン濃度と3価のVイオン濃度)を取得してもよい。上記実施形態では、5価のVイオン濃度と2価のVイオン濃度とは同一であるとして説明したが、これらが異なる場合はそれぞれのイオン濃度を取得し、正負別々に判定及び制御を実施すればよい。
また、第一実施形態の第一変形例で説明したように、充放電要求推定部23を省略してもよい。充放電要求推定部23を省略することで、充電要求の予定又は放電要求の予定の有無の判定(例えば図8のステップS55等)も省略することができ、制御構成を簡素にすることができる。また、充放電セル11内の電解液のイオン濃度を現時点での充放電状態に適したものとすることができる。
また、判定部24によって判定される上記条件(1D)〜(9D)及び(1E)〜(9E)は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、第一実施形態の第一変形例のように、条件(2D),(2E)や条件(3D),(3E)を省略してもよいし、条件(9D),(9E)を省略してもよい。または、他の判定条件を設けて、より詳細に弁制御やポンプ制御を実施してもよい。また、上記した放電閾値D1,D2,放電限界値D3及び充電閾値E1,E2,充電限界値E3の値は上記したものに限られず、閾値の数もこれに限られない。
上記した第一実施形態では、弁制御として開閉弁19の開閉制御と開閉弁19の開放時の開度制御とを実施する場合を説明したが、第一変形例で説明したように、少なくとも弁の開閉制御が実施されればよい。また、第二実施形態では、ポンプ制御としてポンプ17のオンオフ制御とポンプ17の出力の増減制御とを実施する場合を説明したが、少なくともポンプのオンオフ制御が実施されればよい。なお、弁の開度制御やポンプの出力の増減制御を実施する場合に、弁の開度やポンプの出力は三段階に限られない。
また、上記各実施形態では、RF電池10が車両1に搭載されている場合を例示し、慣性力取得部22により取得される慣性力は、車両1が加速又は減速するときにRF電池10に作用する慣性力や、車両1が右左折やカーブ,UターンするときにRF電池10に作用する慣性力(遠心力)である場合を説明したが、慣性力取得部22が取得する慣性力はこれらに限られない。例えば、RF電池10を搭載した移動体が振動したときにRF電池10に作用する慣性力を取得してもよい。
また、RF電池10において、正極の電解液と負極の電解液とを分離して貯蔵することができれば、正極タンク12pと負極タンク12nとが一体で設けられていてもよい。例えば一つの容器の内部に、二つの空間に仕切る隔壁が設けられ、一方の空間に正極の電解液が貯蔵され、他方の空間に負極の電解液が貯蔵されていてもよい。
また、RF電池10は上記したものに限られず、正負の電解液の種類が異なる鉄(Fe2+/Fe3+)−クロム(Cr3+/Cr2+)系であってもよく、これら以外の電解液が採用されたものであってもよい。
1 車両
10 RF電池(レドックスフロー電池)
11 充放電セル(電極格納容器)
12p 正極タンク(電解液格納容器)
12n 負極タンク(電解液格納容器)
13 隔膜
14p 正極(電極)
14n 負極(電極)
15p 正極空間
15n 負極空間
16p 正極ポンプ流路
16n 負極ポンプ流路
17p 正極ポンプ
17n 負極ポンプ
18p 正極連通経路
18n 負極連通経路
19 開閉弁(弁)
20 ECU(電子制御装置)
21 イオン濃度取得部
22 慣性力取得部
23 充放電要求推定部
24 判定部(判定手段)
25 制御部(制御手段)
27 イオン濃度センサ
29 逆止弁(弁)
VO2+/VO2 + 正極の電解液
3+/V2+ 負極の電解液
Cc セル側イオン濃度(電極側イオン濃度,第一イオン濃度)
Ct タンク側イオン濃度(貯蔵側イオン濃度,第二イオン濃度)

Claims (9)

  1. 移動体に設けられ、電極を内蔵する電極格納容器と、電解液を貯蔵し前記電極格納容器と独立して設けられた電解液格納容器と、前記電極格納容器と前記電解液格納容器とを連通する連通経路と、前記連通経路とは別体で設けられ前記電極格納容器と前記電解液格納容器とを連通し、前記電解液を圧送するポンプを有するポンプ流路と、を有するレドックスフロー電池の制御装置であって、
    前記電極格納容器内の前記電解液のイオン濃度である電極側イオン濃度及び前記電解液格納容器に貯蔵された前記電解液のイオン濃度である貯蔵側イオン濃度と前記レドックスフロー電池に作用する慣性力とに応じて、前記ポンプの作動状態を制御する制御手段を備えた
    ことを特徴とする、レドックスフロー電池の制御装置。
  2. 前記レドックスフロー電池の充放電状態に基づき、前記ポンプを作動させるか否かを判定する判定手段を備える
    ことを特徴とする、請求項1記載のレドックスフロー電池の制御装置。
  3. 前記判定手段は、前記レドックスフロー電池の放電において、前記電極側イオン濃度のうち前記レドックスフロー電池の充電率に対して正の相関を有する第一イオン濃度が、前記貯蔵側イオン濃度のうち前記レドックスフロー電池の充電率に対して正の相関を有する第二イオン濃度未満のときに、前記ポンプを作動させると判定する
    ことを特徴とする、請求項2記載のレドックスフロー電池の制御装置。
  4. 前記判定手段は、前記レドックスフロー電池の充電において、前記電極側イオン濃度のうち前記レドックスフロー電池の充電率に対して正の相関を有する第一イオン濃度が、前記貯蔵側イオン濃度のうち前記レドックスフロー電池の充電率に対して正の相関を有する第二イオン濃度よりも大きいときに、前記ポンプを作動させると判定する
    ことを特徴とする、請求項2又は3記載のレドックスフロー電池の制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記判定手段により前記ポンプを作動させると判定された場合に、前記慣性力の大きさに応じて前記ポンプの出力を増減制御する
    ことを特徴とする、請求項2〜4の何れか1項に記載のレドックスフロー電池の制御装置。
  6. 前記判定手段は、前記レドックスフロー電池に対する放電後の充電要求又は充電後の放電要求の予定の有無を判定し、
    前記制御手段は、前記判定手段により前記充電要求又は放電要求の予定があると判定された場合は前記ポンプを非作動に制御する
    ことを特徴とする、請求項2〜5の何れか1項に記載のレドックスフロー電池の制御装置。
  7. 前記連通経路上には弁が設けられ、
    前記制御手段は、前記電極側イオン濃度及び前記貯蔵側イオン濃度に応じて、前記弁の開閉を制御する
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のレドックスフロー電池の制御装置。
  8. 前記制御手段は、前記弁の開放後の前記電極側イオン濃度に基づいて前記ポンプの作動状態を制御する
    ことを特徴とする、請求項7記載のレドックスフロー電池の制御装置。
  9. 前記電極格納容器及び前記電解液格納容器の少なくとも何れか一方には、その内部に圧縮性流体が封入されている
    ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載のレドックスフロー電池の制御装置。
JP2012281328A 2012-12-25 2012-12-25 レドックスフロー電池の制御装置 Pending JP2014127265A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012281328A JP2014127265A (ja) 2012-12-25 2012-12-25 レドックスフロー電池の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012281328A JP2014127265A (ja) 2012-12-25 2012-12-25 レドックスフロー電池の制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014127265A true JP2014127265A (ja) 2014-07-07

Family

ID=51406623

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012281328A Pending JP2014127265A (ja) 2012-12-25 2012-12-25 レドックスフロー電池の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014127265A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN117154164A (zh) * 2023-09-27 2023-12-01 中航国际科技成果转化基地(蚌埠)有限公司 一种液流电池组

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN117154164A (zh) * 2023-09-27 2023-12-01 中航国际科技成果转化基地(蚌埠)有限公司 一种液流电池组
CN117154164B (zh) * 2023-09-27 2024-03-22 中航国际科技成果转化基地(蚌埠)有限公司 一种液流电池组

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9559532B2 (en) Charge rate modulation of metal-air cells as a function of ambient oxygen concentration
CN102447140B (zh) 锂离子电池的控制装置
CN106953131B (zh) 用于电动车辆的电池系统
CN107039695B (zh) 电动车辆的电池系统
JP4874633B2 (ja) 二次電池の充放電制御装置
CN105591169B (zh) 马达驱动的车辆和车辆中的二次电池的充放电控制方法
US11584229B2 (en) Display control apparatus, display control method, and program
CN101828288A (zh) 燃料电池系统
JP5811144B2 (ja) 燃料電池自動車
JP2014127264A (ja) レドックスフロー電池の制御装置
CN101803089A (zh) 燃料电池系统
JP2021022449A (ja) 燃料電池システム
US11485232B2 (en) Vehicle
JP2014127265A (ja) レドックスフロー電池の制御装置
JP2014127263A (ja) レドックスフロー電池
JP7010191B2 (ja) 二次電池システムおよび二次電池の充電制御方法
KR20150067485A (ko) 배터리/연료 전지 하이브리드 시스템 및 그 운용 방법
Campillo et al. Battery technologies for transportation applications
CN113085587A (zh) 燃料电池车辆
JP2015033171A (ja) 自動車の電池駆動システム
JP7363463B2 (ja) 燃料電池車両
US20210237616A1 (en) Vehicle
JP2023179067A (ja) 電源装置
JP2021099932A (ja) 燃料電池車両
JP2015035839A (ja) 蓄電システムおよびそれを用いた電動車両