JP2014124430A - 超音波トランスデューサー装置、プローブ、電子機器および超音波診断装置 - Google Patents

超音波トランスデューサー装置、プローブ、電子機器および超音波診断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な強度を有し、更に、基板開口内に生じる反射音波を抑制することができる超音波トランスデューサー装置を得る。
【解決手段】厚み方向に連通する複数の貫通孔がアレイ状に配置される基板と、前記基板の第1基板面に、前記複数の貫通孔に対応させて設けられる超音波トランスデューサー素子と、前記基板の前記第1基板面に対向する第2基板面に設けられ、前記第2基板面の前記貫通孔の開口を覆う被覆部材と、を備え、前記超音波トランスデューサー素子の共振周波数における空気中での超音波の波長をλ、平均山高さをRpm、平均谷高さをRvmとするとき、前記被覆部材の前記第2基板面に対向する被覆面の前記開口に露出する開口面の少なくとも一部の表面粗さが、λ>Rpm>λ/2かつλ>Rvm>λ/2、の関係である超音波トランスデューサー装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、超音波トランスデューサー装置、プローブ、電子機器および超音波診断装置に関する。
超音波トランスデューサーは、特許文献1に示されているように、開口を有する基板上に形成された支持層と電極と圧電体とにより構成される積層体が、基板の開口部分においてダイアフラム部となり、圧電体を振動させることによりダイアフラム部が振動し超音波の送信を行い、および対象物からの反射超音波をダイアフラム部に受け、圧電体が振動することによりの受信信号を得る。
特開2011−82624号公報
しかし、特許文献1に開示された超音波トランスデューサーでは、基板に複数の開口が形成されているため、基板の厚み方向の強度が不足する虞があった。また、超音波を設定されたダイアフラムの送信面側から出射する場合に、その送信面の裏側にも超音波が出射され、その裏側への出射波の反射波が受信されると受信ノイズとなってしまう虞があった。
そこで、十分な強度を有し、更に、送信面側の裏側に出射された超音波によって生じる反射音波を抑制することができる超音波トランスデューサー装置を得ることができる。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
〔適用例1〕本適用例の超音波トランスデューサー装置は、厚み方向に連通する複数の貫通孔がアレイ状に配置される基板と、前記基板の第1基板面に、前記複数の貫通孔に対応させて設けられる超音波トランスデューサー素子と、前記基板の前記第1基板面に対向する第2基板面に設けられ、前記第2基板面の前記貫通孔の開口を覆う被覆部材と、を備え、前記超音波トランスデューサー素子の共振周波数における空気中での超音波の波長をλ、平均山高さをRpm、平均谷高さをRvmとするとき、前記被覆部材の前記第2基板面に対向する被覆面の前記開口に露出する開口面の少なくとも一部の表面粗さが、
λ>Rpm>λ/2かつλ>Rvm>λ/2
の関係であることを特徴とする。
本適用例の超音波トランスデューサー装置によれば、超音波トランスデューサー素子を薄く形成することにより生じる超音波トランスデューサー素子を構成する基板の強度不足を、被覆部材により超音波トランスデューサー素子を補強する。従って、超音波トランスデューサー装置としての必要な強度を確保しながらも、薄型化することができる。また、被覆部材の超音波トランスデューサー素子に対向する面の粗さを、超音波トランスデューサー素子の共振周波数における空気中での超音波の波長をλ、平均山高さをRpm、平均谷高さをRvmとするとき、λ>Rpm>λ/2かつλ>Rvm>λ/2の関係で形成することにより、超音波トランスデューサー素子から出射される超音波のうち、基板の開口側、すなわち測定・検出側とは反対側、へ出射される超音波と、その超音波の被覆部材からの反射波と、による多重反射、いわゆる共鳴現象を抑制することができる。従って、高い精度の超音波トランスデューサー装置を得ることができる。
〔適用例2〕上述の適用例において、厚み方向に連通する複数の貫通孔がアレイ状に配置される基板と、前記基板の第1基板面に、前記複数の貫通孔に対応させて設けられる超音波トランスデューサー素子と、前記基板の前記第1基板面に対向する第2基板面に設けられ、前記第2基板面の前記貫通孔の開口を覆う被覆部材と、を備え、前記被覆部材は、前記第2基板面に対向する被覆面の前記開口に露出する開口面において、前記基板の厚み方向の断面でV字形および/またはU字形の溝を少なくとも1本有していることを特徴とする。
上述の適用例によれば、反射波の反射方向軸が、超音波トランスデューサー素子からの出射される超音波の出射方向軸と異なる方向になり、多重反射を抑制することができる。
〔適用例3〕本適用例の超音波トランスデューサー装置は、厚み方向に連通する複数の貫通孔がアレイ状に配置される基板と、前記基板の第1基板面に、前記複数の貫通孔に対応させて設けられる超音波トランスデューサー素子と、前記基板の前記第1基板面に対向する第2基板面に設けられ、前記第2基板面の前記貫通孔の開口を覆う被覆部材と、を備え、前記被覆部材は、前記第2基板面に対向する被覆面の前記開口に露出する開口面において、前記超音波トランスデューサー素子から出射される超音波を散乱させる超音波散乱部を備えていることを特徴とする。
本適用例の超音波トランスデューサー装置によれば、超音波トランスデューサー素子を薄く形成することにより生じる超音波トランスデューサー素子を構成する基板の強度不足を、被覆部材により超音波トランスデューサー素子を補強する。従って、超音波トランスデューサー素子チップとしての必要な強度を確保しながらも、薄型化することができる。また、被覆部材の超音波トランスデューサー素子に対向する面に音波散乱部を備えることにより、超音波トランスデューサー素子から出射される超音波のうち、基板の開口側、すなわち測定・検出側とは反対側、へ出射される超音波と、その超音波の被覆部材からの反射波と、による多重反射、いわゆる共鳴現象を抑制することができる。従って、高い精度の超音波トランスデューサー装置を得ることができる。
〔適用例4〕本適用例の超音波トランスデューサー装置は、厚み方向に連通する複数の貫通孔がアレイ状に配置される基板と、前記基板の第1基板面に、前記複数の貫通孔に対応させて設けられる超音波トランスデューサー素子と、前記基板の前記第1基板面に対向する第2基板面に設けられ、前記第2基板面の前記貫通孔の開口を覆う被覆部材と、を備え、前記被覆部材の前記第2基板面に対向する被覆面には、隣り合う前記貫通孔のいずれかと連通する連通溝が少なくとも1本設けられ、前記基板の外周に沿って配置される外周貫通孔に対応する前記被覆面には、隣り合う前記貫通孔のいずれかと連通する前記連通溝と、前記基板の外周面へ連通する外部連通溝と、を備え、前記連通溝と、前記外部連通溝と、を介して前記貫通孔が前記基板の外部と連通し、前記超音波トランスデューサー素子の共振周波数における空気中での超音波の波長をλ、平均山高さをRpm、平均谷高さをRvmとするとき、前記被覆部材の前記第2基板面に対向する被覆面の前記開口に露出する開口面、前記連通溝の溝底部、前記外部連通溝の溝底部のうちの少なくとも一部の表面粗さが、
λ>Rpm>λ/2かつλ>Rvm>λ/2
の関係であることを特徴とする。
本適用例の超音波トランスデューサー装置によれば、超音波トランスデューサー素子を薄く形成することにより生じる超音波トランスデューサー素子を構成する基板の強度不足を、被覆部材により超音波トランスデューサー素子を補強し、超音波トランスデューサー装置としての必要な強度を確保しながらも、薄型化することができる。また、被覆部材の超音波トランスデューサー素子に対向する面の粗さを、超音波トランスデューサー素子の共振周波数における空気中での超音波の波長をλ、平均山高さをRpm、平均谷高さをRvmとするとき、λ>Rpm>λ/2かつλ>Rvm>λ/2の関係で形成することにより、超音波トランスデューサー素子から出射される超音波のうち、基板の開口側、すなわち測定・検出側とは反対側、へ出射される超音波と、その超音波の被覆部材からの反射波と、による多重反射、いわゆる共鳴現象を抑制することができる。
更に、超音波トランスデューサー素子の振動によって生じる基板の開口内の圧力変動を、連通溝によって超音波トランスデューサー装置外部と通気させることができる。これにより、開口内の圧力変動による超音波トランスデューサー素子の損傷を抑制することができる。従って、高い精度と、信頼性の高い超音波トランスデューサー装置を得ることができる。
〔適用例5〕上述の適用例において、厚み方向に連通する複数の貫通孔がアレイ状に配置される基板と、前記基板の第1基板面に、前記複数の貫通孔に対応させて設けられる超音波トランスデューサー素子と、前記基板の前記第1基板面に対向する第2基板面に設けられ、前記第2基板面の前記貫通孔の開口を覆う被覆部材と、を備え、前記被覆部材の前記第2基板面に対向する被覆面には、隣り合う前記貫通孔のいずれかと連通する連通溝が少なくとも1本設けられ、前記基板の外周に沿って配置される外周貫通孔に対応する前記被覆面には、隣り合う前記貫通孔のいずれかと連通する前記連通溝と、前記基板の外周面へ連通する外部連通溝と、を備え、前記連通溝と、前記外部連通溝と、を介して前記貫通孔が前記基板の外部と連通し、前記被覆部材の前記第2基板面に対向する被覆面は、前記被覆面の前記開口に露出する開口面、前記連通溝の溝底部、前記外部連通溝の溝底部のうちの少なくともいずれかにおいて前記基板の厚み方向の断面でV字形および/またはU字形の溝を少なくとも1本有していることを特徴とする。
上述の適用例によれば、音波散乱部からの反射波と、超音波トランスデューサー素子から出射される超音波と、は位相のずれが生じ、多重反射を抑制することができる。
〔適用例6〕本適用例の超音波トランスデューサー装置は、厚み方向に連通する複数の貫通孔がアレイ状に配置される基板と、前記基板の第1基板面に、前記複数の貫通孔に対応させて設けられる超音波トランスデューサー素子と、前記基板の前記第1基板面に対向する第2基板面に設けられ、前記第2基板面の前記貫通孔の開口を覆う被覆部材と、を備え、前記被覆部材の前記第2基板面に対向する被覆面には、隣り合う前記貫通孔のいずれかと連通する連通溝が少なくとも1本設けられ、前記基板の外周に沿って配置される外周貫通孔に対応する前記被覆面には、隣り合う前記貫通孔のいずれかと連通する前記連通溝と、前記基板の外周面へ連通する外部連通溝と、を備え、前記連通溝と、前記外部連通溝と、を介して前記貫通孔が前記基板の外部と連通し、前記被覆部材の前記第2基板面に対向する前記被覆面は、前記被覆面の前記開口に露出する開口面、前記連通溝の溝底部、前記外部連通溝の溝底部のうちの少なくともいずれかにおいて、前記超音波トランスデューサー素子から出射される超音波を散乱させる超音波散乱部を備えていることを特徴とする。
本適用例の超音波トランスデューサー装置によれば、被覆部材の超音波トランスデューサー素子に対向する面に音波散乱部を備えることにより、超音波トランスデューサー素子から出射される超音波のうち、基板の開口側、すなわち測定・検出側とは反対側、へ出射される超音波と、その超音波の被覆部材からの反射波と、による多重反射、いわゆる共鳴現象を抑制することができる。更に、超音波トランスデューサー素子の振動によって生じる基板の開口内の圧力変動を、連通溝によって超音波トランスデューサー装置外部と通気させることができる。これにより、開口内の圧力変動による超音波トランスデューサー素子の損傷を抑制することができる。従って、高い精度と、信頼性の高い超音波トランスデューサー装置を得ることができる。
〔適用例7〕本適用例のプローブは、上述の適用例の超音波トランスデューサー装置と、前記超音波トランスデューサー装置を支持する筐体と、を備えることを特徴とする。
本適用例のプローブによれば、高い精度と、信頼性の高い超音波トランスデューサー装置を備えることにより、高信頼、高精度の測定機器を構成することができる。
〔適用例8〕本適用例の電子機器は、上述の適用例のプローブと、前記プローブが接続され、前記超音波トランスデューサー素子の駆動を制御する制御回路と、を備えることを特徴とする。
本適用例に電子機器によれば、高い精度と、信頼性の高い超音波トランスデューサー装置を備えるプローブを備えることにより、高信頼、高精度の測定ができる。
〔適用例9〕本適用例の超音波診断装置は、上述の適用例のプローブと、前記プローブが接続され、前記超音波トランスデューサー素子の駆動を制御する制御回路と、前記超音波トランスデューサー素子の入力信号から画像を生成する画像処理回路と、生成された前記画像を表示する表示装置と、を備えることを特徴とする。
本適用例の超音波診断装置によれば、高い精度と、信頼性の高い超音波トランスデューサー装置を備えるプローブを備えることにより、高信頼、高精度の診断結果を得ることができる。
第1実施形態に係る超音波トランスデューサー装置を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の平面図の部分拡大図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサー装置を示し、(a)は図1に示すA−A´部の部分断面図、(b)は図1に示すB−B´部の部分断面図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサー装置の音波散乱部の詳細を示す拡大断面図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサー装置の音波散乱部のその他の形態を示す断面図。 第2実施形態に係る超音波トランスデューサー装置の、(a)は図1(a)に示す素子チップ100のA−A´部と同じ断面線における概略断面図、(b)は(a)に示すC部の拡大図である。 第2実施形態に係る超音波トランスデューサー装置の連通溝の形態を示す平面図。 (a)は第3実施形態に係る超音波診断装置の外観図。(b)は第3実施形態に係る超音波診断装置に備えるプローブの外観図。 第3実施形態に係る超音波診断装置の回路構成を示すブロック図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサー装置に備える補強板の製造工程を示すフローチャート。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサー装置に備える補強板の製造工程を示す断面図および平面図。 第2実施形態に係る超音波トランスデューサー装置に備える補強板の製造工程を示すフローチャート。 第2実施形態に係る超音波トランスデューサー装置に備える補強板の製造工程を示す断面図および平面図。 第2実施形態に係る超音波トランスデューサー装置に備える補強板の製造工程を示す断面図および平面図。
(第1実施形態)
図1および図2は、第1実施形態に係る超音波トランスデューサー装置を示し、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)の平面図の部分拡大図、図2(a)は図1に示すA−A´部の部分断面図、図2(b)は図1に示すB−B´部の部分断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る超音波トランスデューサー装置100(以下、素子チップ100という)は、基板10を備える。基板10は、図2にも示すように、第1基板面10aと第2基板面10bと、を貫通する複数の貫通孔10cを有し、複数の貫通孔10cは、図1に示すようにアレイ状に配置されている。
図2(a),(b)に示すように第1基板面10aには振動膜20が形成されている。振動膜20は、本実施形態に係る素子チップ100では、第1基板面10aに形成される酸化シリコン(SiO2)層21と、酸化シリコン層21の表層に形成される酸化ジルコニウム(ZrO2)層22と、が積層されて形成される。振動膜20は、基板10の貫通孔10cの第1基板面10a側の開口において振動可能に形成され、酸化シリコン(SiO2)層21および酸化ジルコニウム(ZrO2)層22の膜厚は、所望の共振周波数により決定される。
振動膜20の表面には下部電極30が形成されている。下部電極30は、図1に示すように、図示するX方向に、X方向に配置された貫通孔10cを跨いで形成される下部電極配線30aと、下部電極配線30aの端部を接続する下部電極接続線30bと、下部電極接続線30bの両端に形成された下部電極端子30cと、を備えている。下部電極30は、例えばチタン(Ti)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)の単層膜もしくは積層膜により形成することができる。
下部電極30の下部電極配線30aに重ねるように圧電体膜40が形成される。圧電体膜40は、図1に示す平面視において、基板10の貫通孔10cの開口領域内に形成される。圧電体膜40は、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)により形成することができるが、これに限定されず、圧電性を有する材料であれば用いることができる。
圧電体膜40の上層には、上部電極50が形成されている。上部電極50は、図1に示すように、図示するY方向に、Y方向に配置された貫通孔10cを跨いで形成される上部電極配線50aと、上部電極配線50aの両端に形成された上部電極端子50bと、を備えている。上部電極50は、例えばチタン(Ti)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)の単層膜もしくは積層膜により形成することができる。なお、下部電極30および上部電極50は、上述の材料に限定されず、その他の導電性を有する材料を用いることができる。
下部電極30と上部電極50は、図1に示す平面視で下部電極配線30aと上部電極配線50aと、が交差して配置されているが、図2に示すように絶縁体である圧電体膜40を介して、下部電極配線30aと上部電極配線50aと、が交差させることにより、下部電極30と上部電極50との電気的な短絡(ショート)が回避されている。また、上部電極端子50bおよび下部電極端子30cは、基板10のY方向の端部側にX方向にアレイ状に配置され、上部電極端子50b、および下部電極端子30cによって第1端子アレイC1と第2端子アレイC2が構成される。第1端子アレイC1および第2端子アレイC2には、後述する電子機器における回路に備える集積回路との接続線である第1信号線210が第1端子アレイC1を構成する上部電極端子50bおよび下部電極端子30cと接続され、第2信号線220が第2端子アレイC2を構成する上部電極端子50bおよび下部電極端子30cと接続される。
上述したように、振動膜20の表層に下部電極配線30a、圧電体膜40、そして上部電極配線50aと積層され、超音波トランスデューサー素子100a(以下、素子100aという)が形成される。そして、素子100aが基板10の貫通孔10cの領域に対応してアレイ状に形成され、超音波トランスデューサー素子アレイ100b(以下、素子アレイ100bという)が構成される。そして、少なくとも第1基板面10a上に形成された素子アレイ100bを覆うように保護膜60が形成されている。
更に、図2に示すように、基板10の第2基板面10bには、少なくとも貫通孔10cを覆うように被覆部材としての補強板70が接着などの手段により基板10の第2基板面10bと固着され、素子チップ100が形成される。補強板70は、第2基板面10bとの被覆面としての接合面70aに、基板10の貫通孔10cに露出する領域に音波散乱部70bが形成されている。なお、本実施形態に係る素子チップ100では、補強板70は基板10の外形と略同形状に形成されている。補強板70は、例えばシリコン基板から形成される。
図3に音波散乱部70bの詳細を示す。図3(a)は音波散乱部70b部の詳細を模式図的に示す断面図、図3(b),(c)は音波散乱部70bの作用を説明する模式図である。図3(a)に示すように、音波散乱部70bは、補強板70の接合面70aの基板10の貫通孔10cに対応する領域に、微小な楔状の凹凸70cによって接合面70aが荒らされた面領域である。素子100aから出射される超音波のうち、貫通孔10c側に出射される超音波の反射を散乱させる。図3(a)に示す音波散乱部70bは楔状の凹凸70cが形成された表面状態であるが、後述する凹凸形状であってもよい。
素子100aでは、素子100aによって生成し対象物へ出射される超音波Wuと、超音波Wu出射と同時に基板10の貫通孔10c内に出射されるキャビ内超音波WuBが発生する。図3(b)に示すように、補強板70の貫通孔10cに露出する接合面70aの領域が平滑面である場合、キャビ内超音波WuBは接合面70aにより反射され、反射音波WuRとなる。更に反射音波WuRは振動膜20により反射され、貫通孔10c内で多重反射、いわゆる共鳴現象が生じてしまう。この共鳴現象がキャビ内超音波WuBにおける特定周波数に発生すると、その周波数成分が減衰あるいは増大することとなる。その結果、ドップラー効果を利用した周波数解析では、測定精度の低下を招いてしまう。
そこで、音波散乱部70bを備えることにより、図3(c)に示すように、キャビ内超音波WuBは音波散乱部70bの凹凸70c部によって散乱され、反射音波WuR´および反射音波WuR´´となる。従って、反射音波WuR´および反射音波WuR´´が振動膜20によって反射されても多重反射、いわゆる共鳴現象には至らない。従って、測定精度を低下させることの無い素子チップ100を得ることができる。
音波散乱部70bの形成領域Prは、図3(a)に示すように貫通孔10cの開口領域内であって、貫通孔10cの第2基板面10bの開口10dの内側に接合面70a(平滑面)領域Qが0以上であることが好ましい。また、音波散乱部70bの表面粗さは、音波散乱部70bの凹凸70cの平均粗さRaからの平均山高さをRpm、平均谷高さRvm、とした場合、超音波Wuの空気中における波長がλであるとき、
λ>Rpm>λ/2
λ>Rvm>λ/2
であることが好ましい。このように音波散乱部70bを形成することにより、多重反射(共鳴)を抑制し、超音波を利用した測定において、精度の高い測定結果を得ることができる。
図4は、素子チップ100における音波散乱部70bのその他の形態を示す断面図である。図4(a)に示すように、補強板71を備える音波散乱部71bは、微小なV字断面溝71cを複数形成し、音波を散乱させる音波散乱部71bを構成してもよい。音波散乱部71bの山に相当する部分には、接合面71aの一部が残り平面部71a´を形成している。そしてV字断面溝71cによる平均山高さRpmは、平面部71a´を山の頂点とし、平均粗さRaからの同じ高さの山を構成していることから、
Rpm=Ra
となる。従って、音波散乱部71bをV字断面溝71cで構成する場合であっても、
λ>Rpm>λ/2
λ>Rvm>λ/2
すなわち、
λ>Ra>λ/2
λ>Rvm>λ/2
であることが好ましい。
図4(b)に示すように、補強板72を備える音波散乱部72bは、微小な矩形断面溝72cを複数形成し、音波を散乱させる音波散乱部72bを構成してもよい。音波散乱部72aの山に相当する部分には、接合面72aの一部が残り平面部72a´を形成している。そして矩形断面溝72cによる平均山高さRpmは、平面部71a´を山の頂点とし、平均粗さRaからの同じ高さの山を構成していることから、
Rpm=Ra
となる。従って、音波散乱部72bを矩形断面溝72cで構成する場合であっても、
λ>Rpm>λ/2
λ>Rvm>λ/2
すなわち、
λ>Ra>λ/2
λ>Rvm>λ/2
であることが好ましい。
図4(c)に示すように、補強板73を備える音波散乱部73bは、微小な円弧状断面溝73cを複数形成し、音波を散乱させる音波散乱部73bを構成してもよい。円弧状断面溝73cによって音波散乱部73bを構成しても、
λ>Rpm>λ/2
λ>Rvm>λ/2
であることが好ましい。なお、円弧状断面溝73cは矩形状断面溝の溝底部が円弧状となった円弧状断面溝、いわゆるU字断面溝73c´であってもよい。
上述した音波散乱部71b,72b,73bであっても、図3(a)に示す音波散乱部70b同様に、音波散乱部71b,72b,73bの表面粗さは、音波散乱部71b,72b,73bの表面粗さにおける平均粗さRaからの平均山高さをRpm、平均谷高さRvm、とした場合、超音波Wuの空気中における波長がλであるとき、
λ>Rpm>λ/2
λ>Rvm>λ/2
であることが好ましい。このように音波散乱部71b,72b,73bを形成することにより、多重反射(共鳴)を抑制し、超音波を利用した測定において、精度の高い測定結果を得ることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る素子チップ110は、第1実施形態に係る素子チップ100の補強板70に、貫通孔10c内部と素子チップ100の外部とを連通する連通溝を備える点で異なる。従って、第2実施形態に係る素子チップ110において第1実施形態に係る素子チップ100と同じ構成には同じ符号を付し、説明は省略する。
図5(a)は、第2実施形態に係る素子チップ110の図1(a)に示す素子チップ100のA−A´部と同じ断面線における概略断面図、図5(b)は図5(a)に示すC部の拡大図である。図5(a)に示すように、素子チップ110は、補強板74の接合面74aに連通溝74dが少なくとも1本形成されている。連通溝74dは、振動膜20と補強板74によって密閉される基板10の貫通孔10cと、素子チップ110の外部、すなわち大気中と通気、連通するように形成されている。図5(a)に示す例では3本の連通溝74dが形成されているが、詳細は後述するが、これに限定されない。
図5(b)の拡大図に示すように、補強板74の接合面74aの貫通孔10cに露出する領域および連通溝74dの底部に音波散乱部74bが形成されている。音波散乱部74bは微小な凹凸74cにより表面が荒れた状態に形成されている。音波散乱部74bの表面状態、すなわち表面粗さは、音波散乱部74bの凹凸74cの平均粗さRaからの平均山高さをRpm、平均谷高さRvm、とした場合、超音波Wuの空気中における波長がλであるとき、
λ>Rpm>λ/2
λ>Rvm>λ/2
であることが好ましい。このように音波散乱部74bを形成することにより、多重反射(共鳴)を抑制し、超音波を利用した測定において、精度の高い測定結果を得ることができる。なお、凹凸74cは第1実施形態に係るV字断面溝71c、矩形断面溝72c、円弧状断面溝73c、U字断面溝73c´等で形成してもよい。
図6に連通溝74dの種々の形態を示す補強板74の接合面74aの平面図を示す。図6(a)は連通溝74dが直線状に配置された一例を示す。なお、本例では対応する基板10の貫通孔10cの領域に1本の連通溝が形成されているが、これに限定されず、複数本の連通溝が貫通孔10cの領域に形成されてもよい。図6(a)に示すように、例えば一形態の連通溝74dAは、補強板74のY方向両端部まで1本の溝74dAとして形成されている。また、他の形態としての連通溝74dBは、連通溝74dBの一方は、補強板74のY方向一方の端部まで形成されている。
一方、連通溝74dBの他方は、補強板74のY方向他方の端部にまで形成されなく、貫通孔10cの領域を連通している。更に、他の形態の連通溝74dCは、補強板74のY方向一方の端部まで形成された連通溝4dC1と、補強板74のY方向他方の端部まで形成された連通溝4dC2と、が形成され、Y方向に配置される貫通孔10cは、連通溝74dC1もしくは連通溝74dC2のいずれかに連通するように形成されている。図6(a)に示す連通溝74dはY方向に延設される形態を示したが、同様にX方向に延設させてもよく、またY方向とX方向に延設させ、いわゆる格子状に連通溝74dを形成してもよい。
図6(b)には、少なくとも貫通孔10cの空間と、素子チップ110の外部、すなわち大気中とが通気可能に連通させるように連通溝74dを配置するその他の例を示す。図6(b)に示すように、例えば、連通溝74dDは、Y方向外縁の貫通孔10cと素子チップ110の外部とを連通する外部連通溝74dD1と、Y方向外縁の貫通孔10c以外のY方向に隣り合う貫通孔10cを連通する内部連通溝74dD2と、が形成されている。これにより、貫通孔10cにより形成される素子チップ110の空間と、素子チップ110の外部大気中とが通気される。
図6(b)に示すその他の形態として、連通溝74dEは、Y方向外縁の貫通孔10cと素子チップ110の外部とを連通する外部連通溝74dE1と、Y方向外縁の貫通孔10c以外のY方向およびX方向に隣り合う貫通孔10cを連通する内部連通溝74dE2と、が形成されている。これにより、貫通孔10cにより形成される素子チップ110の空間と、素子チップ110の外部大気中とが通気される。
更に、図6(b)に示すその他の形態として、連通溝74dFは、Y方向外縁の貫通孔10cと素子チップ110の外部とを連通する外部連通溝74dF1と、Y方向外縁の貫通孔10c以外のY方向およびX方向に隣り合う貫通孔10cを連通し、矩形状に形成された内部連通溝74dF2と、が形成されている。これにより、貫通孔10cにより形成される素子チップ110の空間と、素子チップ110の外部大気中とが通気される。
上述した図6(b)に示す連通溝74dDの場合には、図6(a)に示す連通溝74dAと同じ通気連通経路を構成することができる。また、図6(b)に示す連通溝74dE,74dFの形態とすることにより、貫通孔10cにより形成される素子チップ110の空間の圧力変動を分散させながら大気中へ通気させることができ、素子100aの損傷を抑制する効果を高めることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態として、上述の第1実施形態に係る素子チップ100、もしくは第2実施形態に係る素子チップ110、を備える電子機器としての超音波診断装置を説明する。図7に、第3実施形態に係る超音波診断装置の外観図を示す。図7(a)に示すように、超音波診断装置1000(以下、診断装置1000という)は、装置端末1100と超音波プローブ1200(以下、プローブ1200という)とを備える。装置端末1100とプローブ1200とはケーブル1300により相互に接続される。装置端末1100とプローブ1200とはケーブル1300を通じて電気信号をやりとりする。装置端末1100には表示手段としてのディスプレイパネル1400(以下、ディスプレイ1400という)が組み込まれる。装置端末1100は、プローブ1200で検出された超音波に基づいた画像を生成し、画像化された検出結果をディスプレイ1400に表示させる。
また、プローブ1200は、図7(b)に示すように、筐体1500を有する。筐体1500の内部には第1実施形態にかかる素子チップ100もしくは第2実施形態に係る素子チップ110が収容される。プローブ1200は、プローブ本体1200aと、素子チップ100が組み込まれたプローブヘッド1200bとで構成されている。プローブヘッド1200bに組み込まれた素子チップ100は、その表面をプローブヘッド1200bから露出され、素子チップ100の表面から超音波を出力するとともに、出力された超音波の反射波を素子チップ100の表面で入力する。なお、プローブ1200は、プローブ本体1200aとプローブヘッド1200bとを着脱可能に連結することにより、直接測定対象物、例えば人体、に接触する素子チップの交換を容易にし、衛生管理を容易にすることができる。
診断装置1000の処理手段として、素子チップ100からの超音波出力の制御と、素子チップ100に入力される反射波の信号の処理と、を実行する制御回路を備える図示しない回路基板1600がプローブ1200に備えられ、装置端末1100には回路基板1600への制御指示および回路基板1600からの信号を画像処理しディスプレイ1400に表示させる描画処理手段を備えている。図8は、診断装置1000の回路構成を示すブロック図である。
図8に示されるように、回路基板1600はマルチプレクサー1610および装置端末1100との送受信を行う送受信回路1620を備える。マルチプレクサー1610は素子チップ100側のポート群1610aと送受信回路1620側のポート群1610bとを備える。素子チップ100側のポート群1610aには第1配線1630経由で第1信号線210および第2信号線220が接続され、ポート群1610aと、素子チップ100の素子アレイ100bと、が接続される。また、送受信回路1620側のポート群1610bは、回路基板1600内の規定数の第2配線1640が接続される。規定数はスキャンにあたって同時に出力される素子100aの列数に相当する。マルチプレクサー1610は、ポート群1610aとポート群1610bとの間での相互接続を管理する。
回路基板1600は、規定数の切り替えスイッチ1650を備え、個々の切り替えスイッチ1650は個々に対応させた個々の第2配線1640に接続される。また、回路基板1600は切り替えスイッチ1650ごとに送信経路1661および受信経路1662を備え、送信経路1661と受信経路1662とが切り替えスイッチ1650に並列に接続される。切り替えスイッチ1650は、マルチプレクサー1610に送信経路1661または受信経路1662を選択的に接続する。送信経路1661にはパルサー1670が組み込まれる。パルサー1670は、素子100aに備える振動膜20(図2参照)の共振周波数に応じた周波数でパルス信号を出力する。受信経路1662にはアンプ1680、ローパスフィルター1690(以下、LPF1690という)およびアナログデジタル変換器1700(以下、ADC1700という)が組み込まれ、個々の素子100aからの検出信号は増幅され、デジタル信号に変換されて受信経路1662を経て送受信回路1620に送られる。また、送受信回路1620は、スキャンの形態に応じてパルサー1670を制御する図示しない駆動回路を備えている。
装置端末1100には処理回路1110が組み込まれる。処理回路1110は、中央演算処理装置(CPU)やメモリーを備えることができる。診断装置1000の全体動作は処理回路1110の処理に従って制御され、ユーザーから入力される指示に応じて処理回路1110は送受信回路1620を介してプローブ1200による超音波の出力を制御する。また、処理回路1110は、素子チップ100からの検出信号が変換されたデジタル信号を、送受信回路1620を介して取得し、取得信号に対応した画像を生成するための描画データを生成する。
装置端末1100には描画回路1120が組み込まれる。描画回路1120は処理回路1110に接続され、描画回路1120にはディスプレイ1400が接続される。描画回路1120は処理回路1110で生成された描画データに応じてディスプレイ1400に備える液晶などの画像表示手段を駆動するための駆動信号を生成する。駆動信号はディスプレイ1400に送り込まれ、ディスプレイ1400に画像が表示される。
上述の回路構成を備える診断装置1000は、以下のように動作する。処理回路1110は送受信回路1620に超音波の送信および受信を指示する。送受信回路1620はマルチプレクサー1610に制御信号を供給するとともに個々のパルサー1670に駆動信号を供給する。パルサー1670は駆動信号の供給に応じてパルス信号を出力する。マルチプレクサー1610は制御信号の指示に従ってポート群1610bのポートにポート群1610aのポートを接続する。パルス信号は、ポートの選択に応じて下部電極端子30cおよび上部電極端子50bを通じて列ごとに素子100aに供給され、パルス信号の供給に応じて振動膜20は振動する。パルス信号に応じた振動膜20の振動によって所望の超音波が発生し、対象物(例えば人体の内部)に向けて出射される。
超音波の出射の後、反射波がプローブ1200に入射される。そこで、超音波の出射の後、反射の入射の前に、マルチプレクサー1610のポートの接続関係を維持した状態で、切り替えスイッチ1650が切り替えられる。切り替えスイッチ1650は送信経路1611および第2配線1640の接続に代えて、受信経路1622および第2配線1640の接続を確立する。超音波の反射波により振動膜20は振動し、その振動により生成される素子100aの検出信号が素子チップ100より出力される。検出信号はデジタル信号に変換されて送受信回路1620に送出される。
上述した超音波の送信および受信が繰り返されることにより、ラインスキャンやセクタースキャンが実現される。スキャンが完了すると、処理回路1110は検出されたデジタル信号に基づき画像データを生成し、生成された画像データにより描画回路1120は検出画像を形成する。形成された検出画像はディスプレイ1400に表示される。
上述した診断装置1000では、回路基板1600が超音波プローブ1200に備える形態であるが、これに限定されず、回路基板1600の構成を装置端末1100に備える形態とすることもできる。
上述した診断装置1000では、第1実施形態に係る素子チップ100もしくは第2実施形態に係る素子チップ110を、プローブ1200に備えることにより、素子100aからの貫通孔10c内へのキャビ内超音波WuBが、補強板70の接合面70aに形成した音波散乱部70bによって多重反射になることを抑制することができる。従って、測定精度が高く、ノイズの少ない診断画像が得られる診断装置1000を得ることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態として、第1実施形態に係る素子チップ100に備える補強板70および第2実施形態に係る補強板74の製造方法の概略を説明する。図9は、素子チップ100に備える補強板70の製造工程を示すフローチャートである。
(基板準備工程)
先ず基板準備工程(S1)では、補強板70を形成する基板ウエハー70Aを準備する。基板準備工程(S1)では、高い剛性を備える材料としてシリコンウエハーが好適に用いられ、両面を研削研磨によって平滑面を形成し、どちらか一方のウエハー面を接合面70aとする。更に、基板準備工程(S1)では、所定の洗浄により表面を清浄にする。
(第1マスキング工程)
基板準備工程(S1)で準備された基板ウエハー70Aは、図10(a)に示すように、第1マスキング工程(S2)に移行し、レジスト材によってマスキング2000が形成される。レジスト材は後述するエッチング工程におけるエッチング剤により侵食されなければ特に限定は無い。またマスキング2000の形成方法は、スクリーン印刷、インクジェット印刷などの方法が用いられる。なお、図10における左側に描画した図は、素子100a部に相当する部分の断面図、右側がM方向矢視図である。
図10(a)に示すように、マスキング2000は、基板ウエハー70Aの接合面70aの面上に形成される。また、マスキング2000には、図3に示す音波散乱部70bの形成範囲であるPr領域を露出するよう開口2000aが形成される。従って、開口2000aは、図3にも示したように基板10の貫通孔10cの開口10dより内側となるように形成されている。また、接合面70aの反対の面も含み開口2000aを除く基板ウエハー70Aの表面の全面をマスキング2000が覆っている。
(第2マスキング工程)
次に第2マスキング工程(S3)に移行する。第2マスキング工程(S3)は、図10(b)に示すように、少なくともマスキング2000の開口2000aの範囲に点状マスキング2100を形成する。点状マスキング2100は、例えばスプレー吹付け、インクジェット印刷などの方法によって形成することができる。また、点状マスキング2100はマスキング2000の上面に重ねて形成されてもよい。すなわち、第2マスキング工程(S3)での点状マスキング2100は補強板70の全面に亘って形成されるようにしてもよい。また、第2マスキング工程(S3)は、第1マスキング工程(S2)と同時に実施しても良い。
(エッチング工程)
次にエッチング工程(S4)に移行する。第2マスキング工程(S3)においてマスキング2000および点状マスキング2100が形成された基板ウエハー70Aを、所定のエッチング液に浸漬、もしくは所定のエッチング用ガスに暴露させることで、接合面70aのマスキング2000および点状マスキング2100によって覆われていない部分がエッチング(侵食)される。このエッチング工程(S4)によって点状マスキング2100部では、図10(c)に示すように、点状マスキング2100を頂点とした剣山状に接合面70aがエッチングされ、凹凸70cの集合としての音波散乱部70bが形成される。その後、マスキング2000および点状マスキング2100を溶剤などで剥離し、図2あるいは図3に示す補強板70を得ることができる。
次に、第2実施形態に係る素子チップ110に備える補強板74の製造方法は、図11に示すフローチャートにより製造される。
(基板準備工程)
先ず基板準備工程(S11)では、補強板74を形成する基板ウエハー74Aを準備する。基板準備工程(S11)では、高い剛性を備える材料としてシリコンウエハーが好適に用いられ、両面を研削研磨によって平滑面を形成し、どちらか一方のウエハー面を接合面74aとする。更に、基板準備工程(S11)では、所定の洗浄により表面を清浄にする。
(第1マスキング工程)
基板準備工程(S11)で準備された基板ウエハー74Aは、図12(a)に示すように、第1マスキング工程(S12)に移行し、レジスト材によってマスキング3000が形成される。なお、図12における左側に描画した図は、素子100a部に相当する部分の断面図、右側がN方向矢視図である。図12(a)に示すように、マスキング3000は、基板ウエハー74Aの接合面74aの面上に形成される。また、マスキング3000には、図5に示す接合面74aの連通溝74dに対応する領域を露出するよう開口3000aが形成される。また、接合面74aの反対の面も含み開口3000aを除く基板ウエハー74Aの表面の全面をマスキング3000が覆っている。
(第1エッチング工程)
第1マスキング工程(S12)によってマスキング3000が形成された基板ウエハー74Aは、第1エッチング工程(S13)に移行する。第1エッチング工程(S13)では、マスキング3000が形成された基板ウエハー74Aを所定のエッチング液に浸漬、もしくは所定のエッチング用ガスに暴露させ、基板ウエハー74Aのマスキング3000の開口3000a領域を選択的にエッチング(侵食)する。その結果、図12(b)に示すように連通溝74dが形成される。
(第2マスキング工程)
次に第2マスキング工程(S14)に移行する。第2マスキング工程(S13)では、先ず第1マスキング工程(S11)において形成されたマスキング3000の接合面74a側に形成された領域部分を剥離し、図12(c)に示すように、図5に示す音波散乱部74bの形成範囲であるPr領域を露出させた開口4000aを備えるマスキング4000を基板ウエハー74Aの接合面74a側に形成する。なお、マスキング3000の剥離は、基板ウエハー74Aの接合面74a側を除く領域に形成されたマスキングも剥離してもよい。その場合には、マスキング4000によって、再度マスキングされる。
次に、図13(d)に示すように、少なくともマスキング4000の開口4000aの範囲に点状マスキング4100を形成する。点状マスキング4100は、例えばスプレー吹付け、インクジェット印刷などの方法によって形成することができる。また、点状マスキング4100はマスキング4000の上面に重ねて形成されてもよい。すなわち、第2マスキング工程(S14)での点状マスキング4100は補強板74の全面に亘って形成されるようにしてもよい。
上述で説明した第2マスキング工程(S14)では、第1マスキング工程(S11)において形成されたマスキング3000を剥離することとしているが、例えば、マスキング3000の音波散乱部74bの形成範囲であるPr領域だけを剥離し、その後に点状マスキング4100を形成してもよい。
(第2エッチング工程)
第2マスキング工程(S14)により点状マスキング4100が形成された基板ウエハー74Aは第2エッチング工程(S15)に移行する。第2エッチング工程(S15)は、点状マスキング4100が形成された基板ウエハー74Aを所定のエッチング液に浸漬、もしくは所定のエッチング用ガスに暴露させることで、点状マスキング4100に覆われない部分がエッチングされる。点状マスキング4100によるエッチングでは、第1実施形態に係る素子チップ100の製造方法で説明した図10(c)に示すエッチング状態と同様に、音波散乱部74bの拡大図である図13(e)に示すように点状マスキング4100を頂点とする剣山上の凹凸74cが形成される。そして、マスキング4000を剥離し、図5に示す補強板74を得ることができる。
10…基板、20…振動膜、30…下部電極、40…圧電体膜、50…上部電極、60…保護膜、70…補強板、100…超音波トランスデューサー装置。

Claims (9)

  1. 厚み方向に連通する複数の貫通孔がアレイ状に配置される基板と、
    前記基板の第1基板面に、前記複数の貫通孔に対応させて設けられる超音波トランスデューサー素子と、
    前記基板の前記第1基板面に対向する第2基板面に設けられ、前記第2基板面の前記貫通孔の開口を覆う被覆部材と、を備え、
    前記超音波トランスデューサー素子の共振周波数における空気中での超音波の波長をλ、平均山高さをRpm、平均谷高さをRvmとするとき、
    前記被覆部材の前記第2基板面に対向する被覆面の前記開口に露出する開口面の少なくとも一部の表面粗さが、
    λ>Rpm>λ/2かつλ>Rvm>λ/2
    の関係である、
    ことを特徴とする超音波トランスデューサー装置。
  2. 厚み方向に連通する複数の貫通孔がアレイ状に配置される基板と、
    前記基板の第1基板面に、前記複数の貫通孔に対応させて設けられる超音波トランスデューサー素子と、
    前記基板の前記第1基板面に対向する第2基板面に設けられ、前記第2基板面の前記貫通孔の開口を覆う被覆部材と、を備え、
    前記被覆部材は、前記第2基板面に対向する被覆面の前記開口に露出する開口面において、前記基板の厚み方向の断面でV字形および/またはU字形の溝を少なくとも1本有している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の超音波トランスデューサー装置。
  3. 厚み方向に連通する複数の貫通孔がアレイ状に配置される基板と、
    前記基板の第1基板面に、前記複数の貫通孔に対応させて設けられる超音波トランスデューサー素子と、
    前記基板の前記第1基板面に対向する第2基板面に設けられ、前記第2基板面の前記貫通孔の開口を覆う被覆部材と、を備え、
    前記被覆部材は、前記第2基板面に対向する被覆面の前記開口に露出する開口面において、前記超音波トランスデューサー素子から出射される超音波を散乱させる超音波散乱部を備えている、
    ことを特徴とする超音波トランスデューサー装置。
  4. 厚み方向に連通する複数の貫通孔がアレイ状に配置される基板と、
    前記基板の第1基板面に、前記複数の貫通孔に対応させて設けられる超音波トランスデューサー素子と、
    前記基板の前記第1基板面に対向する第2基板面に設けられ、前記第2基板面の前記貫通孔の開口を覆う被覆部材と、を備え、
    前記被覆部材の前記第2基板面に対向する被覆面には、隣り合う前記貫通孔のいずれかと連通する連通溝が少なくとも1本設けられ、
    前記基板の外周に沿って配置される外周貫通孔に対応する前記被覆面には、隣り合う前記貫通孔のいずれかと連通する前記連通溝と、前記基板の外周面へ連通する外部連通溝と、を備え、前記連通溝と、前記外部連通溝と、を介して前記貫通孔が前記基板の外部と連通し、
    前記超音波トランスデューサー素子の共振周波数における空気中での超音波の波長をλ、平均山高さをRpm、平均谷高さをRvmとするとき、
    前記被覆部材の前記第2基板面に対向する被覆面の前記開口に露出する開口面、前記連通溝の溝底部、前記外部連通溝の溝底部のうちの少なくとも一部の表面粗さが、
    λ>Rpm>λ/2かつλ>Rvm>λ/2
    の関係である、
    ことを特徴とする超音波トランスデューサー装置。
  5. 厚み方向に連通する複数の貫通孔がアレイ状に配置される基板と、
    前記基板の第1基板面に、前記複数の貫通孔に対応させて設けられる超音波トランスデューサー素子と、
    前記基板の前記第1基板面に対向する第2基板面に設けられ、前記第2基板面の前記貫通孔の開口を覆う被覆部材と、を備え、
    前記被覆部材の前記第2基板面に対向する被覆面には、隣り合う前記貫通孔のいずれかと連通する連通溝が少なくとも1本設けられ、
    前記基板の外周に沿って配置される外周貫通孔に対応する前記被覆面には、隣り合う前記貫通孔のいずれかと連通する前記連通溝と、前記基板の外周面へ連通する外部連通溝と、を備え、前記連通溝と、前記外部連通溝と、を介して前記貫通孔が前記基板の外部と連通し、
    前記被覆部材の前記第2基板面に対向する被覆面は、前記被覆面の前記開口に露出する開口面、前記連通溝の溝底部、前記外部連通溝の溝底部のうちの少なくともいずれかにおいて前記基板の厚み方向の断面でV字形および/またはU字形の溝を少なくとも1本有している、
    ことを特徴とする請求項4に記載の超音波トランスデューサー装置。
  6. 厚み方向に連通する複数の貫通孔がアレイ状に配置される基板と、
    前記基板の第1基板面に、前記複数の貫通孔に対応させて設けられる超音波トランスデューサー素子と、
    前記基板の前記第1基板面に対向する第2基板面に設けられ、前記第2基板面の前記貫通孔の開口を覆う被覆部材と、を備え、
    前記被覆部材の前記第2基板面に対向する被覆面には、隣り合う前記貫通孔のいずれかと連通する連通溝が少なくとも1本設けられ、
    前記基板の外周に沿って配置される外周貫通孔に対応する前記被覆面には、隣り合う前記貫通孔のいずれかと連通する前記連通溝と、前記基板の外周面へ連通する外部連通溝と、を備え、前記連通溝と、前記外部連通溝と、を介して前記貫通孔が前記基板の外部と連通し、
    前記被覆部材の前記第2基板面に対向する前記被覆面は、前記被覆面の前記開口に露出する開口面、前記連通溝の溝底部、前記外部連通溝の溝底部のうちの少なくともいずれかにおいて、前記超音波トランスデューサー素子から出射される超音波を散乱させる超音波散乱部を備えている、
    ことを特徴とする超音波トランスデューサー装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の超音波トランスデューサー装置と、
    前記超音波トランスデューサー装置を支持する筐体と、を備える、
    ことを特徴とするプローブ。
  8. 請求項7に記載のプローブと、
    前記プローブが接続され、前記超音波トランスデューサー素子の駆動を制御する制御回路と、を備える、ことを特徴とする電子機器。
  9. 請求項7に記載のプローブと、
    前記プローブが接続され、前記超音波トランスデューサー素子の駆動を制御する制御回路と、
    前記超音波トランスデューサー素子の出力信号から画像を生成する画像処理回路と、
    生成された前記画像を表示する表示装置と、を備える、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
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