JP2014119369A - 物理量検出センサー、物理量検出装置、電子機器および移動体 - Google Patents

物理量検出センサー、物理量検出装置、電子機器および移動体 Download PDF

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潤 渡辺
Kazuyuki Nakasendo
和之 中仙道
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Abstract

【課題】感度性能を高く維持することができる物理量検出センサーを提供する。
【解決手段】物理量検出センサー20は、ベース部である固定部211と、主面212cを有する板状の可動部212と、固定部211と可動部212とを接続し、主面212cと交差する方向に加わる物理量に応じて、可動部212が主面212cと交差する方向へ変位することを可能にする継ぎ手部213と、固定部211と可動部212とに接続し、継ぎ手部213を跨ぐように配置されている感圧素子22と、を備え、主面212cに垂直な方向からの平面視で見て、継ぎ手部213の幅Bが可動部212の幅Aの50%以上98.5%以下の範囲にある、ことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、感度性能の良好な物理量検出センサーと、この物理量検出センサーを備えている物理量検出装置、電子機器および移動体と、に関する。
従来、物理量検出センサーとしては、例えば特許文献1に開示されているような半導体加速度センサーチップが知られている。この半導体加速度センサーチップは、対向して分割配置され、それぞれが方形をなしている一対の固定部と、一対の固定部の間に位置している質量部と、固定部および質量部より狭い幅に形成され、一方の固定部に質量部を片持ち支持しているヒンジ部と、質量部の両面にそれぞれ対向配置されている一対のストッパーと、を備えている。
このような半導体加速度センサーチップは、ヒンジ部を介して質量部を支持する固定部が、従来多用されているような4辺にわたる枠状の形態ではなく、対向する2辺にのみ分割配置されている形態である。そのため、半導体加速度センサーチップは、固定部が枠状の場合に比べて、ヒンジ部により感度性能を維持しつつ、より小型化することが可能である。
特開2000−150915号公報
しかし、従来の技術において、ヒンジ部は、特許文献1に図示されているような切り込みによって、固定部および質量部より狭い幅に形成されている。半導体加速度センサーチップにおける応力感度や他軸感度等で示される感度性能は、当該切り込み量で決まるヒンジ部(継ぎ手部)の幅によって影響を受ける、ということが知見されているが、特許文献1にはその影響に係る対応等が記載されていない。即ち、半導体加速度センサーチップの感度性能を高めて維持するためには、当該影響を排除しなければならない、という課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る物理量検出センサーは、ベース部と、主面を有する板状の可動部と、前記ベース部と前記可動部とを接続し、前記主面と交差する方向に加わる物理量に応じて、前記可動部が前記主面と交差する方向へ変位することができる継ぎ手部と、前記ベース部と前記可動部とに接続し、前記継ぎ手部を跨ぐように配置されている感圧素子と、を備え、前記主面に垂直な方向からの平面視で見て、前記継ぎ手部の幅が前記可動部の幅の50%以上98.5%以下の範囲にある、ことを特徴とする。
本適用例の物理量検出センサーによれば、可動部は、継ぎ手部を介して変位可能な状態でベース部に接続されている。感圧素子は、可動部の変位を検出するように配置されていて、主面と交差する方向に加わる加速度等の物理量を検出することが可能である。この時、継ぎ手部の形態によっては、いわゆる応力感度や他軸感度等に影響が生じ、感度性能が低下することがあり、これは、継ぎ手部の幅と可動部の幅との関係に左右されやすい。そのため、物理量検出センサーでは、継ぎ手部の幅を可動部の幅より狭く設定して、応力感度や他軸感度が小さくなるようにしている。応力感度や他軸感度を小さくすれば、加えられた物理量に対して必要以上に反応することが回避でき、また、検出すべき物理量以外の影響を排除することが可能となる。具体的には、継ぎ手部の幅は、可動部の幅の50%以上であり且つ98.5%以下の範囲に設定することが望ましい。このような幅設定によれば、継ぎ手部の幅を可動部の幅の50%以上とすることによって応力感度を小さくし、継ぎ手部の幅を可動部の幅の98.5%以下とすることによって他軸感度を小さくすることが可能である。これにより、物理量検出センサーは、検出すべき物理量即ち主面と交差する方向に加わる物理量を精緻に検出することが可能である。
[適用例2]上記適用例に記載の物理量検出センサーにおいて、前記継ぎ手部と前記可動部とは、それぞれの幅方向に直交する中心線が一致している、ことが好ましい。
この構成によれば、継ぎ手部と可動部とは、同じ中心線に対して左右対称に配置されている。これにより、可動部は、継ぎ手部との位置関係においてバランスがとれている状態となり、変位をする際には、主面が捩れたりすることなく主面と交差する方向へのみ正確に変位することが可能になる。物理量検出センサーは、可動部の正確な変位により、物理量を精緻に検出することが可能である。
[適用例3]上記適用例に記載の物理量検出センサーにおいて、前記可動部の幅は、3000μm以上3500μm以下の範囲にある、ことが好ましい。
この構成によれば、例えば電子機器等に搭載されて物理量を検出する物理量検出センサーとしては、可動部の幅が3000μm以上であり、且つ3500μm以下であることが望ましい。この幅の可動部であれば、微量な物理量に対しても応答することが可能な形態であり、物理量検出センサーは、当該物理量の幅広い検出が確実に行える。
[適用例4]上記適用例に記載の物理量検出センサーにおいて、前記継ぎ手部の板厚は、10μm以上50μm以下の範囲にある、ことが好ましい。
この構成によれば、例えば電子機器等に搭載されて物理量を検出する物理量検出センサーとしては、継ぎ手部の板厚が10μm以上であり、且つ50μm以下であることが望ましい。この厚みの継ぎ手部であれば、微量な物理量に対しても、可動部をより確実に変位させることが可能であり、物理量検出センサーは、当該物理量の検出がより正確に行える。
[適用例5]本適用例に係る物理量検出装置は、前記物理量検出センサーを収容するためのベース体および蓋体を有しているパッケージと、を備えている、ことを特徴とする。
本適用例の物理量検出装置によれば、物理量検出センサーをパッケージに収容していることにより、パッケージ外の雰囲気や温度等の外乱要因による影響を抑制して物理量を検出することが可能である。また、パッケージ内を減圧雰囲気や不活性ガス雰囲気等にして、物理量検出センサーの安定した検出を維持すること等も可能である。
[適用例6]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の物理量検出センサーを備えている、ことを特徴とする。
この電子機器によれば、上記適用例の物理量検出センサーを搭載していて、この物理量検出センサーは、可動部が加えられた物理量に応じて正確な変位をすることにより、物理量を精緻に検出することが可能である。このような物理量検出センサーを搭載している電子機器は、機器としての特性および信頼性の向上が図れる。
[適用例7]本適用例に係る移動体は、上記適用例に記載の物理量検出センサーを備えている、ことを特徴とする。
この移動体によれば、上記適用例の物理量検出センサーを搭載していて、この物理量検出センサーは、可動部が加えられた物理量に応じて正確な変位をすることにより、物理量を精緻に検出することが可能である。このような物理量検出センサーを搭載している移動体は、物理量検出センサーの検出機能により移動状態や姿勢等の把握が確実にでき、安全で安定した移動をすることが可能である。
(a)本発明に係る物理量検出装置の構成を示す平面図、(b)物理量検出装置の構成を示す断面図。 物理量検出センサーの構成を示す斜視図。 (a)物理量検出センサーの素子ベース体の外観を示す平面図、(b)素子ベース体の継ぎ手部の断面形状を示す断面図。 (a)(b)物理量検出センサーの動作を示す断面図。 継ぎ手部の切込量と応力感度および他軸感度との関係を示すグラフ図。 (a)物理量検出センサーを搭載しているビデオカメラを示す斜視図、(b)物理量検出センサーを搭載している携帯電話を示す斜視図、(c)物理量検出センサーを搭載している移動体を示す斜視図。
以下、本発明の物理量検出センサー、物理量検出装置、電子機器および移動体について、その好適な構成例を添付図面に基づいて説明する。
(実施形態)
図1(a)は、本発明に係る物理量検出装置の構成を示す平面図である。図1(b)は、物理量検出装置の構成を示す断面図であり、図1(a)におけるI−I線に沿う断面を表している。そして、図1では、互いに直交する3つの軸として、x軸、y軸、z軸を図示している。
図1に示すように、物理量検出装置1は、パッケージ10と、素子ベース体21および感圧素子22を有している物理量検出センサー20と、を備えている。まず、パッケージ10は、パッケージベース101およびリッド102からなっている。パッケージベース101は、z軸方向から見た平面視で四角形の形状をなす平板である。このパッケージベース101は、物理量検出センサー20の素子ベース体21を固定するための段部103を有していて、それらは、y軸方向の一方の端部にx軸に沿って設けられている段部103aと、y軸方向の他方の端部における2つの角部近傍にそれぞれ設けられている段部103b,103cと、である。また、パッケージベース101は、平板を貫通している孔および孔を塞ぐための封止材からなる封止部104と、段部103a,103b,103cの設けられている面と反対側の面に形成され外部の発振回路等と接続するための外部端子107と、を有している。このパッケージベース101は、セラミックグリーンシートを焼成した酸化アルミニウム焼結体で形成されている。セラミックの酸化アルミニウム焼結体は、パッケージ用として優れているが、加工が難しい材料である。しかし、この場合、パッケージベース101が平板状であるため、平板以外の形状に形成する場合と比べて、容易に形成することができる。なお、パッケージベース101は、水晶、ガラスおよびシリコン等の材料を用いて形成することもできる。
リッド102は、内部側に凹状に形成されている収容部106を有し、パッケージベース101の段部103a,103b,103cをガイドにして、感圧素子22を覆うように配置されパッケージベース101に固定される。このリッド102は、パッケージベース101と同じ材料や、コバール、ステンレス鋼などの金属等を用いることができ、ここでは、収容部106の形成がセラミックより容易に行なえるコバールを用いている。そして、リッド102は、シームリング105を介してパッケージベース101に接合されると、収容部106を減圧された気密状態等に封止することができる。
ここで、収容部106の封止は、パッケージベース101とリッド102との接合後、封止部104の孔から収容部106内の空気を抜いて減圧し、孔をロウ材(封止材)で塞ぐ方法で行われている。これにより、物理量検出センサー20は、減圧されて気密状態の収容部106内に封止される。なお、収容部106の内部は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填されていてもよい。
次に、物理量検出センサー20について、図1に加え図2および図3を参照して説明する。図2は、物理量検出センサーの構成を示す斜視図であり、図1の物理量検出装置1が備えている物理量検出センサー20を斜視した図である。また、図3(a)は、物理量検出センサーの素子ベース体の外観を示す平面図、図3(b)は、素子ベース体の継ぎ手部の断面形状を示す断面図である。
物理量検出センサー20は、パッケージベース101に固定される素子ベース体21と、素子ベース体21に固定され加速度等の物理量を検出するための感圧素子22と、を有している。素子ベース体21は、水晶板からエッチング等で形成され、x−y平面に沿って位置する板状の形態である。この素子ベース体21は、平面視で略4角形のリング状である固定部(ベース部)211(211a〜211f)と、固定部211の内部側(リング状内)に配置されている可動部212(212a〜212c)と、固定部211と可動部212とを接続している継ぎ手部213と、を有している。
固定部211は、x軸およびy軸に沿ってリング状をなす枠部211aと、x軸に沿う一方の枠部211aの中央からy軸に沿って外部側へ突出している素子載置部211bと、y軸に沿う一方の枠部211aから分岐し枠部211aの外周に沿って素子載置部211bの近傍まで延出している腕部211cと、y軸に沿う他方の枠部211aから分岐し枠部211aの外周に沿って素子載置部211bの近傍まで延出している腕部211dと、x軸に沿う他方の枠部211aの一端から分岐し枠部211aの外周に沿って腕部211dの分岐近傍まで延出している腕部211eと、x軸に沿う他方の枠部211aの他端から分岐し枠部211aの外周に沿って腕部211cの分岐近傍まで延出している腕部211fと、を有している。
腕部211c,211d,211e,211fは、素子ベース体21をパッケージベース101へ固定するための部位であり、腕部211cの先端部が支持部217(217a)(図1)を介して段部103aに固定され、腕部211dの先端部が支持部217(217b)を介して段部103aに固定され、腕部211eの先端部が支持部217(217c)を介して段部103bに固定され、腕部211fの先端部が支持部217(217d)を介して段部103cに固定されている。支持部217は、この場合、接着剤であって、腕部211c,211d,211e,211fを介して、固定部211の全体を所定の間隙を設けた状態で段部103に固定している。
可動部212は、枠部211aによって囲まれていて、素子載置部211bが形成されている枠部211aに継ぎ手部213を介して接続されている。つまり、可動部212は、継ぎ手部213によって枠部211aに片持ち支持された状態である。そして、可動部212は、継ぎ手部213と反対方向へy軸に沿って延出している素子載置部212aと、素子載置部212aの両側に設けられy軸に沿ってそれぞれ延出している質量体載置部212b,212bと、を有している。なお、ここでは、可動部212における感圧素子22が載置される側の面を主面212cと称する。
そして、可動部212の質量体載置部212b,212bには、錘の役目をする質量体215が設けられている。質量体215は、一方の質量体載置部212bの主面212c側に設けられている質量体215aと、平面視で質量体215aと重なるように主面212cと反対側の面に設けられている質量体215cと、他方の質量体載置部212bの主面212c側に設けられている質量体215bと、平面視で質量体215bと重なるように主面212cと反対側の面に設けられている質量体215dと、を有している。これら質量体215は、接合部216を介して可動部212に固定されていて、接合部216は、この場合、質量体215の重心位置に設けられている接着剤であって、質量体215と可動部212とを所定の間隙を空けた状態で固定している。
継ぎ手部213は、固定部211と可動部212との間に設けられ、固定部211と可動部212とを接続している。継ぎ手部213は、そのx軸方向の幅B(図3(a))が可動部212のx軸方向の幅Aよりも小さく設定されている。この場合、可動部212における幅Aは、素子載置部212aおよび質量体載置部212bを含むx軸方向における最大の幅である。ここで、可動部212と継ぎ手部213とは、幅Aと幅Bとの中心線がy軸に沿う同一の線であり、それぞれの幅方向に直交する中心線が一致している配置になっている。また、継ぎ手部213は、幅方向の両端に、x軸方向に沿う切込量Cの長さを有する切込部213aをそれぞれ有していて、切込部213aの切込量Cは、可動部212の幅Aに対して、C=(A−B)/2の関係である。さらに、継ぎ手部213の厚みE(図3(b))は、固定部211や可動部212の厚みDよりも薄く形成されている。これにより、継ぎ手部213は、可動部212が固定部211に対して変位(回動)する際に、中間ヒンジとして効果的に機能する。なお、素子ベース体21における可動部212や継ぎ手部213の具体的長さや厚み等については、図5を参照して後述する。
また、感圧素子22は、固定部211の素子載置部211bに接着剤223で固定される基部221aと、可動部212の素子載置部212aに接着剤223で固定されている基部221bと、基部221aと基部221bとの間にあって物理量を検出するための振動梁部222(222a,222b)と、を有している。即ち、感圧素子22は、固定部(ベース部)211と可動部212とに接続し、継ぎ手部213を跨ぐように配置されている。この場合、振動梁部222は、その形状が角柱状であり、振動梁部222a,222bのそれぞれに設けられた励振電極(図示せず)に駆動信号(交流電圧)が印加されると、x軸に沿って、互いに離間または近接するように屈曲振動をする。励振電極は、駆動信号の印加のために、図示しない配線によって外部端子107と電気的に接続されている。
この感圧素子22は、水晶の原石等から所定の角度で切り出された水晶基板を、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によってパターニングすることにより形成されている。このように、感圧素子22を素子ベース体21と同質材料である水晶で形成すれば、感圧素子22と素子ベース体21との線膨張係数の差を小さくすることができて好ましい。これは、感圧素子22および素子ベース体21を水晶以外の材料で形成する場合にも当てはまることである。
次に、物理量検出センサー20の動作について説明する。図4(a)(b)は、物理量検出センサーの動作を示す断面図である。図4(a)に示すように、物理量検出センサー20に、例えば、+z方向の矢印α1方向(主面212cと交差する方向)に物理量である加速度が印加されると、可動部212には−z方向に力が作用し、可動部212は継ぎ手部213を支点として−z方向に変位する。これにより、感圧素子22には、y軸に沿って基部221aと基部221bとが互いに離れる方向の力が加わり、感圧素子22の振動梁部222には引っ張り応力が生じる。そのため、振動梁部222の振動する周波数である共振周波数は、高くなる。
一方、図4(b)に示すように、物理量検出センサー20に、例えば、−z方向の矢印α2方向(主面212cと交差する方向)に加速度が印加されると、可動部212には+z方向に力が作用し、可動部212は、継ぎ手部213を支点として+z方向に変位する。これにより、感圧素子22には、y軸に沿って基部221aと基部221bとが互いに近づく方向の力が加わり、感圧素子22の振動梁部222には圧縮応力が生じる。そのため、振動梁部222の共振周波数は、低くなる。
物理量検出センサー20では、上記のような感圧素子22の共振周波数の変化を検出している。即ち、物理量検出センサー20に加わる加速度は、上記の検出された共振周波数の変化の割合に応じて、ルックアップテーブルなどによって定められた数値に変換することで導出される。
なお、物理量検出センサー20は、上述した加速度計として用いることができるほかに、傾斜計としても用いることができる。傾斜計としての物理量検出センサー20は、傾斜による姿勢の変化に応じて、物理量検出センサー20に対する重力加速度が加わる方向が変化し、感圧素子22の振動梁部222に引っ張り応力や圧縮応力が生じる。そして、振動梁部222の共振周波数が変化することになり、その変化に基づいて、傾斜による姿勢の状態が導出される。
次に、継ぎ手部213に形成した切欠部213aの効果について説明する。図5は、継ぎ手部の切込量と応力感度および他軸感度との関係を示すグラフ図である。物理量検出センサー20の場合、応力感度(ppm)は、可動部212が加えられた加速度に反応し、どの程度の感度で検出することができるか、を示す値であり、応力感度は、その値が小さいほど感度良く検出することができることを表している。また、他軸感度(%fs)は、可動部212が検出可能な方向以外の他軸に加速度が加えられた時に、可動部212が影響を受ける程度を示す値である。他軸感度は、その値が小さいほど他軸からの影響を受け難いことを表している。物理量検出センサー20では、応力感度が0ppm以下、他軸感度が0.1%fs以下が望ましい。
そして、物理量検出装置1の物理量検出センサー20は、図6を参照して後述する電子機器や移動体等に最適に用いられるものであり、図3に示す平面図における可動部212のx軸方向の幅Aは、3000μm以上3500μm以下の範囲、そして、固定部211および可動部212を含む素子ベース体21の板厚Dは、400μmであることが好ましく、継ぎ手部213の板厚Eは、10μm以上50μm以下の範囲にあることが好ましい。このような形態の素子ベース体21では、継ぎ手部213のx軸方向の幅Bは、可動部の幅Aの50%以上98.5%以下であれば、応力感度および他軸感度を共に小さくして、最適に加速度検出が行えるという知見が得られている。なお、継ぎ手部213と可動部212とは、それぞれの幅方向に直交する中心線が一致している配置となっていて、継ぎ手部213は、幅方向の両端部がそれぞれ切込量Cだけ可動部212より短くなっている。
ここで、上記知見の根拠について説明する。図5において、横軸は切込量C(μm)を示し、左側の縦軸は応力感度(ppm)を示し、右側の縦軸は他軸感度(%fs)を示している。この場合、供試した素子ベース体21は、可動部212の幅Aが3300μm、素子ベース体21の板厚Dが400μm、継ぎ手部213の板厚Eが20μmである。
最初に、物理量検出センサー20における応力感度について、具体的に説明する。応力感度は、図5では細線で示されていて、切込量Cが0μmの場合、即ち継ぎ手部213の幅Bと可動部212の幅Aとが同じ場合に約50ppmであり、切込量Cが大きくなるに従って、即ち継ぎ手部213の幅Bが狭くなるに従って小さくなっている。図5から分かるように、応力感度が0ppmとなる切込量Cは、25μmであり、25μm以上の切込量Cであれば応力感度が0ppm以下となっている。
一方、他軸感度は、図5では太線で示されていて、切込量Cが820μmの場合に0.1%fsであり、切込量Cが小さくなるに従って、即ち継ぎ手部213の幅Bが広くなるに従って小さくなっている。図5から分かるように、他軸感度は、820μm以下の切込量Cであれば、0.1%fs以下となっている。
これらの結果から、応力感度が0ppm以下であり、且つ他軸感度が0.1%fs以下となるような継ぎ手部213の片側の切込量Cは、25μm以上であり、且つ820μm以下である。言い換えれば、可動部212の幅Aの3300μmに対して、継ぎ手部213の幅Bは、1640μm以上であり、且つ3250μm以下である。つまり、継ぎ手部213の幅Bは、可動部212の幅Aの50%以上98.5%以下であれば良い。これは、同構造の可動部212および継ぎ手部213を有する素子ベース体21であれば、供試した素子ベース体21の寸法形態でなくてもほぼ適用することができた。
以上説明した物理量検出装置1における物理量検出センサー20は、継ぎ手部213の幅Bを可動部212の幅Aの50%以上98.5%以下の範囲に設定して、応力感度や他軸感度が小さくなるように設定されている。つまり、継ぎ手部213の幅Bを可動部212の幅Aの50%以上とすることによって応力感度を0ppmより小さくし、98.5%以下とすることによって他軸感度を0.1%fsより小さくするようになっている。これにより、物理量検出センサー20は、検出すべき加速度を精緻に検出することができる。
(電子機器)
次に、物理量検出センサー20を用いた電子機器について、説明する。図6(a)は、物理量検出センサーを搭載しているビデオカメラを示す斜視図、図6(b)は、物理量検出センサーを搭載している携帯電話を示す斜視図である。これら電子機器としてのビデオカメラ500および携帯電話600は、本発明に係る物理量検出センサー20を搭載している。最初に、図6(a)に示すビデオカメラ500は、受像部501と、操作部502と、音声入力部503と、表示ユニット504と、を備えている。このビデオカメラ500は、物理量検出センサー20を備えており、例えば3つの物理量検出センサー20を備えていれば、X軸、Y軸、Z軸(不図示)の3方向の加速度等を検出して、手ぶれ等を補正する機能を発揮できる。これにより、ビデオカメラ500は、鮮明な動画映像を記録することができる。
また、図6(b)に示す携帯電話600は、複数の操作ボタン601と、表示ユニット602と、カメラ機構603と、シャッターボタン604と、を備えていて、電話機およびカメラとして機能する。この携帯電話600は、物理量検出センサー20を備えており、例えば3つの物理量検出センサー20を備えていれば、X軸、Y軸、Z軸(不図示)の3方向の加速度等を検出することにより、カメラ機構603の手ぶれ等を補正する機能を発揮できる。これにより、携帯電話600は、カメラ機構603により鮮明な画像を記録することができる。
(移動体)
次に、物理量検出センサー20を用いた移動体について、説明する。図6(c)は、物理量検出センサーを搭載している移動体を示す斜視図である。図6(c)に示すように、この場合の移動体700は、自動車であって、物理量検出センサー20が備えられている。移動体700において、物理量検出センサー20は、車体701に搭載されている電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)703に内蔵されている。電子制御ユニット703は、例えば物理量検出センサー20が加速度計や傾斜計として車体701の状態を検出すること等により、移動体700の姿勢や移動状況等を把握し、タイヤ702等の制御を的確に行うことができる。これにより、移動体700は、安全で安定した移動をすることができる。
以上説明した物理量検出センサー、物理量検出装置、電子機器および移動体は、各実施形態における形態に限定されるものではなく、次に挙げる変形例のような形態であっても、実施形態と同様な効果が得られる。
(変形例1)物理量検出センサー20において、素子ベース体21の可動部212は、素子載置部212aおよび質量体載置部212bに分かれて延出しているが、これに限定されるものではなく、素子載置部212aまたは質量体載置部212bのいずれかのみが延出している形態や、素子載置部212aおよび質量体載置部212bが分かれずに延出している一体の形態等であっても良い。
(変形例2)素子ベース体21の固定部211は、枠部211aや、パッケージベース101に固定される腕部211c等を有する形態であるが、例えば腕部211cがなく枠部211aのいずれかがパッケージベース101に固定される等の構成であっても良い。
(変形例3)可動部212に設けられている質量体215は、4つ設けることが物理量の安定した検出に好適であるが、主面212c側のみの配置や主面212cと反対側面のみの配置であっても良い。さらに、質量体215を設けない構成等であっても良い。
(変形例4)物理量検出センサー20において、素子ベース体21および感圧素子22の材質は、水晶以外に、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li247)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電材料であっても良い。さらに、素子ベース体21は、シリコンやゲルマニウムなどの非圧電材料等であってもよい。
(変形例5)物理量検出装置1は、パッケージ10に物理量検出センサー20を収容しているが、感圧素子22を駆動する発振回路等を併せて収容している構成であっても良い。また、パッケージ10において、リッド102が平板であり、パッケージベース101が凹状をなしていて凹状内に素子ベース体21等を収容する形態であっても良い。
1…物理量検出装置、10…パッケージ、20…物理量検出センサー、21…素子ベース体、22…感圧素子、101…パッケージベース、102…リッド、211…ベース部としての固定部、211a…枠部、211b…素子載置部、212…可動部、212a…素子載置部、212c…主面、213…継ぎ手部、213a…切込部、221a,221b…基部、222…振動梁部、500…電子機器としてのビデオカメラ、600…電子機器としての携帯電話、700…移動体。

Claims (7)

  1. ベース部と、
    主面を有する板状の可動部と、
    前記ベース部と前記可動部とを接続し、前記主面と交差する方向に加わる物理量に応じて、前記可動部が前記主面と交差する方向へ変位することができる継ぎ手部と、
    前記ベース部と前記可動部とに接続し、前記継ぎ手部を跨ぐように配置されている感圧素子と、を備え、
    前記主面に垂直な方向からの平面視で見て、前記継ぎ手部の幅が前記可動部の幅の50%以上98.5%以下の範囲にある、ことを特徴とする物理量検出センサー。
  2. 前記継ぎ手部と前記可動部とは、それぞれの幅方向に直交する中心線が一致している、ことを特徴とする請求項1に記載の物理量検出センサー。
  3. 前記可動部の幅は、3000μm以上3500μm以下の範囲にある、ことを特徴とする請求項1または2に記載の物理量検出センサー。
  4. 前記継ぎ手部の板厚は、10μm以上50μm以下の範囲にある、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の物理量検出センサー。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の物理量検出センサーと、
    前記物理量検出センサーを収容するためのベース体および蓋体を有しているパッケージと、を備えている、ことを特徴とする物理量検出装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の物理量検出センサーを備えている、ことを特徴とする電子機器。
  7. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の物理量検出センサーを備えている、ことを特徴とする移動体。
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