JP2014118159A - ワンタッチ形成自在の傾斜自立容器 - Google Patents

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康一 浅井
Hiroyuki Suzuki
浩之 鈴木
Yukihiro Takeda
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Abstract

【課題】 平折供給される資材をワンタッチで確実に組立ができること、組立時の安定が良く、内容の偏りによる倒伏がないこと、しかも充分剛性を得られる資材のほか、薄手の紙資材であっても完成状態では充分な剛性と安定性を発現できること等に対応できる新規なワンタッチ形成自在の傾斜自立容器の開発を試みたものである。
【解決手段】 本発明のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器Cは、カップ形成体1と、前ガゼット底板21と、後ガゼット底板25と、前支承フラップ31と後支承フラップ35とを具え、成型時において、上方が開放された筒状のカップ形成体1と、中高状のボトム形成体2を現出させ、前面の下端は、高さ方向において変形しない一方、後面は、後ガゼット底板21が内側に曲げ起こされることにより高さ方向寸法が見掛け上減少し、これにより、カップ形成体1の後傾自立状態を得るようにしたことを特徴として成るものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばファーストフード店、コンビニエンスストア等で提供されるフライドポテト、フライドチキンなどのフィンガーフード食材等を収容するのに適したカップ状の容器に関するものであって、特に店舗までの流通時においては平折状にされている容器資材を、使用にあたって簡単に容器状に立体形成できるようにした、ワンタッチ形成自在の傾斜自立容器に係るものである。
ファーストフード店で提供されるメニューのうちフライドポテトや、フライドチキン等のいわゆる手で摘んで食べるフィンガーフードは、カップ状の容器に入れて提供されることが多い。これに用いられる容器は、もともとカップ状に形成された紙コップ等が用いられているが、更にこれを簡易化して店舗までの供給時には平折状とされ、使用の都度容器状に組み立ててフィンガーフードの容器として提供するものが存在する。
このような平折状から立体形成するものは、最も一般的には、平袋状のもののほか、底部構造等に工夫を凝らして、自立状態とするものも提案されている(先行技術文献1)。
しかしながら、このような自立性の容器は立体形成する際の作業に手間を要したり、更には自立状態としては多くは直立状態であり、内容物が減った際には、容器自体が軽量であることもあってバランスを崩し易く、甚だしい場合には倒れて内容物をこぼしてしまうおそれも否定できない。
実用新案登録第3152642号公報
本発明は、これらの種々の背景を考慮してなされたものであって、平折供給される資材をワンタッチで確実に組立ができること、組立時の安定が良く、内容の偏りによる倒伏がないこと、しかも充分剛性を得られる資材のほか、薄手の紙資材であっても完成状態では充分な剛性と安定性を発現できること等の技術的要求に充分に対応できる新規なワンタッチ形成自在の傾斜自立容器の開発を試みたものである。
請求項1記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器は、平折状態において、サック貼りされて互いに折り重ねられた前面板と後面板とを具えたカップ形成体と、前記前面板の底部寄り内面に、別体形成され、上部において前面板と固着される山形状とした前ガゼット底板と、前記後面板の底部に折線を介して連設状態に区画される山形状の後ガゼット底板と、これら前ガゼット底板と後ガゼット底板との下端弦状縁からそれぞれ延長形成され、互いに折り重なるとともに下端において折り返し状に連設する、前支承フラップと後支承フラップとを具え、
成型時において、前記折り重ねられた前面板と後面板との両側境界縁を対向させるように接近させるとともに、前記前支承フラップと後支承フラップとを折り重ね状態のまま、下端を後方に張り出させ、支承片形成体を現出させ、この動作にともない前支承フラップと後支承フラップの上方に連設されている前ガゼット底板と後ガゼット底板とを内側に曲げ起こして、上方が開放された筒状のカップ形成体と、中高状のボトム形成体を現出させ、
前記前面板の下端は、高さ方向において変形しない一方、前記後面板は、後ガゼット底板が内側に曲げ起こされることにより高さ方向寸法が見掛け上減少し、これにより、カップ形成体の後傾自立状態を得るようにしたことを特徴として成るものである。
請求項2記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器は、前記請求項1記載の要件に加え、前記ボトム形成体と支承片形成体との間には、カップ状に立体成型した際にその形状を維持するための形状維持構造が設けられることを特徴として成るものである。
請求項3記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器は、前記請求項2記載の要件に加え、前記形状維持構造については、後ガゼット底板の下縁の両側近くに形成された保持フラップとこの保持フラップに係合する前支承フラップにおける係止切欠であることを特徴として成るものである。
請求項4記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器は、前記請求項3記載の要件に加え、前記形状維持構造における保持フラップについては、切込によりフラップを形成するとともに、切込の下端部近くには、後ガゼット底板の変形に伴い、接続が解除される程度のブリッジが形成されていることを特徴として成るものである。
請求項5記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器は、前記請求項1、2、3または4記載の要件に加え、前記平折状のブランクシートについては、形成促進構造を具えることを特徴として成るものである。
請求項6記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器は、前記請求項5記載の要件に加え、前記形成促進構造については、後支承フラップがこれと連設する後ガゼット底板と重なるように積極的に曲げられるための後ボトム中央折線を、途中で切り欠いて成る弱化切込により構成されていることを特徴として成るものである。
請求項7記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器は、前記請求項5または6記載の要件に加え、前記形成促進構造については、前面板における前中央面の下端縁に形成案内切欠を設け、前面板と前ガゼット底板との間隔を、指先操作により形成しやすいように構成されていることを特徴として成るものである。
請求項8記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器は、前記請求項1、2、3、4、5、6または7記載の要件に加え、前記前ガゼット底板については、その側縁部を延長させたボトム密閉フラップを具えていることを特徴として成るものである。
請求項9記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器は、前記請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の要件に加え、前記カップ形成体の上縁部には、保護蓋が延長形成されていることを特徴として成るものである。
まず請求項1記載の発明によれば、比較的容易な操作のもとに平板状に折り畳まれた容器資材を簡単にカップ状に立体形成することができ、更にはその際、底部に支承片形成体を現出させながらボトム形成体を後傾状態とするものであり、全体として傾斜し且つ安定自立した状態とした傾斜自立容器が得られる。更に立体形成された容器の各構造部位がほとんど湾曲断面を呈し、いわゆるコシが付与され、結果的に比較的薄手の資材であっても充分な剛性が得られる。
また請求項2、3、4記載の発明によれば、形状維持構造が具えられ、一体化した傾斜自立容器はボトム形成体と支承片形成体との間で緩係合する状態となり、その組立状態の維持が確実される。
また請求項5、6、7記載の発明によれば、形成促進構造を具えており、平折状の容器資材をカップ状の立体形状にするにあたり、折り曲げ部分等を積極的且つ優先的に変形できる構造乃至は、その操作を誘導するような形態を取り、作業者のいわゆる器用さの面での巧拙なく立体形成作業ができる。
また請求項8記載の発明によれば、前ガゼット底板には、その両側縁にボトム密閉フラップが具えられており、ボトム部の密閉状態がより確実に得られる。
また請求項9記載の発明によれば、カップ形成体の上部を覆う保護蓋が形成されており、内容物の保護と、衛生的な保管が可能となる。
本発明のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器の使用状態と、ブランクシートからの完成手順を併せ示す説明図である。 本発明のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器のブランク形状を示す平面図である。 本発明のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器のブランク形状から、流通時の平折状態とするまでの過程を示す説明図である。 本発明のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器の流通時の平折状態から、立体容器をする過程を示す説明図である。 同上過程におけるボトム部での変形状態を示す斜視図である。 同上断面図及び背面図である。 本発明のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器の他の実施例を示す説明図である。
本発明を実施するための形態は、以下述べる実施例をその一つとするものであるとともに、この技術思想に基づく種々の改良した実施例も含むものである。
以下、本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。
本発明の傾斜自立容器Cは、このものが最終使用前までの流通時では、平折状態とされ、その状態から簡単な手作業により容器状に立体形成できるようにしたことを特徴とするものである。即ちまず平折状態を得るためにはブランクシートBの展開状態からカップ形成体1を構成する部位がサック貼りされるとともに、前後一対のガゼット底板により構成されるボトム形成体2と、ここから延長形成された前後一対の支承片形成体3とについても、対設された部材同士が折り重ねられ、平板状に折り畳まれた状態となるものであり、この状態で使用先の店舗等に供給される。
まずブランクシートBの展開状態から各構成部材について説明する。
まずカップ形成体1を構成する部材としては、前面板11を具えるものであり、図1、及び図2に示すような展開状態のブランクシートBにあっては、上方の連続した部材の図中左方向にカップ形成体1の前面板11が設けられる。
この前面板11は、一例としてやや下窄まり状とした全体として扇状乃至は逆台形状と表現できるような形状であり、前面板11の中央には、前中央面11aが区画されるとともに、前面折線L1を介して前脇側面11bをそれぞれ連設する。
更にこの前面板11は、前中央面11aにおいてその上方に前切欠部12を設けるものであり、この前切欠部12は、前記前中央面11aと前脇側面11bとの境界部付近から中央が凹陥するように円弧状に切り欠かれている。
一方前記前中央面11aの下端縁は、幾分か上方に円弧上に切り欠かれており、この切欠を成形案内切欠13とする。
次に前面板11の一方の側端縁には、前後連設折線L2を介して後面板15が形成される。この後面板15は、その中央に後中央面15aを具えるとともにその両脇部に後面折線L3を介して後脇側面15bを連設する。更に前面板11が連設されている側と反対側の後脇側面15bには、糊しろ折線L4を介して糊しろフラップ16が設けられている。この糊しろフラップ16は、本発明の傾斜自立容器の流通形態である平折状態となるに際して、前記前面板11の開放端側前脇側面11bと糊付けされ、これら前面板11と後面板15とがサック貼り状態とされるためのものである。なおこの流通段階に至る工程については後述する。
このようなカップ形成体1を構成する前面板11及び後面板15に対し、更にボトム形成体2が設けられる。
まずボトム形成体2における前ガゼット底板21は、前記後面板15側から下方にフラップ状に延長形成された底部フラップブランクB1に具えられる。即ちこの底部フラップブランクB1の自由端近くに前ボトム中央折線L5を介して一例として半月状等の山形に形成にされた前ガゼット底板21が設けられる。なおこの底部フラップブランクB1は、実質的に前述のボトム形成体2と支承片形成体3とを構成するための部材となっている。
因みに特許請求の範囲においては、前ガゼット底板21はその上方を山形状となるように記載している一方、このブランク取りした展開状態では、平折状とする中間加工が行われていないため、見掛け上、下方が山形に下がった状態として表れる。更にこの前ガゼット底板21のブランクにおいて下方側には、前底板糊しろ折線L6を介して底板糊しろ22が延長形成される。また前ガゼット底板21における前ボトム中央面21aの脇側部には、前ボトム曲成折線L7を介して前ボトム脇隅面21bが連設されている。このほぼ三角形状の前ボトム脇隅面21bは、更に密閉フラップ折線L8を介してその外側に、一例として三角形状のボトム密閉フラップ23を延長形成している。
このような前ガゼット底板21に対応して、後ガゼット底板25が前記後面板15の下方にこれと一体に設けられる。即ち後ガゼット底板25は、前記後面板15の下端縁に連続して山形に形成された部材であり、この後ガゼット底板25及び前記前ガゼット底板21は、平面形状それ自体は、両者ほぼ同一形状となっている。
即ち後ガゼット底板25は、前記後面板15の後中央面15aと後脇側面15bとの下端において湾曲した後ボトムガゼット折線L9と後ボトム脇折線L10とを介して接続されている。後ガゼット底板25も、後ボトム中央面25aと、その両脇における後ボトム曲成折線L11を介して連設する後ボトム脇隅面25bとによって構成されている。そして、後ボトム脇隅面25bのブランクおける下端縁には、その左右両端部にそれぞれ保持フラップ26が形成されるものであり、このものは、後述するように容器状に立体形状を維持する際の支援となるための構成である。この保持フラップ26は、切込26aにより実質的に後ガゼット底板25における後ボトム脇隅面25bから独立して切り離されるように構成されている。そして図2(b)に示すようにこの切込26aは、開放側から後ボトム脇折線L10に向って切り込まれるだけではなく、切込開始端において一部切込を形成させずにブリッジ26bが形成されている。更にブリッジ26bに近接して三角形状の開放部となった案内切欠26cが形成される。
次にこれら前ガゼット底板21と後ガゼット底板25との間を繋ぐように設けられる支承片形成体3について説明する。
まず支承片形成体3における前支承フラップ31は、前記前ガゼット底板21と前記前ボトム中央折線L5を挟んで連なるように形成されており、全体としてブランクシートBの状態において、カップ形成体1寄りの支承片先端折線L12により更に区画されて、平面視で台形状と成っている。そして、この前支承フラップ31は、フラップ曲成折線L13を介してフラップ中央面31aとフラップ脇隅面31bとに区画されている。更にこの前支承フラップ31におけるフラップ脇隅面31bは、図2(c)に示すようにその外側傾斜縁の部位に一例として三角形状に切り込んだ係止切欠32を具える。なお係止切欠32は、前記後ガゼット底板25における保持フラップ26と係合するものである。
次に前支承フラップ31に対応した後支承フラップ35について説明する。
このものは、ブランク形状で視て前記後ガゼット底板25の下端縁から後ボトム曲成折線L11を介して連設されるものであり、前記前支承フラップ31におけるフラップ中央面31aとほぼ重なり合う矩形状に構成されている。なお前記後ボトム曲成折線L11は、その中央部において切込舌片36を具えることにより、中央部で分断された状態となっている。このように切込舌片36を形成するために必然とされる弱化切込27は、後ボトム曲成折線L11の実質長を短くし、ここにおける折り曲げ抵抗をより少なくするものである。なお、このような構成が特許請求の範囲における形成促進構造の一つの手法である。
本発明の傾斜自立容器CのブランクシートBは、以上述べた形状を採るものであり、流通段階の平折状の中間製品とするには、更に次のような工程が採られる。
<i)支承片形成体の折り重ね>
即ち図3(a)に示すように、まず支承片先端折線L12を介して前支承フラップ31と後支承フラップ35とを折り重ねるようにする。この結果、図3(b)に示すように前支承フラップ31から前ガゼット底板21を介して更に延長された底板糊しろ22の部位が、前記後面板15の内側に折り重ねられる。
<ii)糊しろフラップの折り曲げ、糊付け>
一方、カップ形成体1の部位では、図3(b)に示すように後面板15の自由端側に形成されている糊しろフラップ16を、糊しろ折線L4において、後脇側面15bの内側に重ねられるように折り曲げる。
このような工程は、全て機械的に行われるものであり、図3(b)に示すようにこの段階で前記糊しろフラップ16の外面と底板糊しろ22とに例えば散点的あるいはベタに糊付けがされる。なお糊付けされた状態の糊をハッチで図示し符号Gとして示す。
<iii)平折状態(中間製品の完成)>
この後で図3(c)、(d)に示すように前記前面板11が前後連設折線L2において後面板15に折り重ねられると、前記底板糊しろ22の外面が前面板11における前中央面11aの内側と固着される。それと共に前面板11における自由端側の前脇側面11bの内側と、糊しろフラップ16と固着され、サック貼りされた状態のカップ形成体1を出現させる。
即ちこの操作により、サック貼りされたカップ形成体1の内側において、前ガゼット底板21が前面板11と後面板15とに挟み込まれた状態と成り、一方支承片形成体3における前支承フラップ31と後支承フラップ35とは重なり合ってサック貼りされたカップ形成体1の前面板11の下方に張り出した状態となっている。
このような形態が流通供給形態であり、特許請求の範囲においては、平折状態と記載したものである。
このような平折状態の傾斜自立容器Cをファーストフードなどの店頭において、調理された食品を入れて用いようとする場合、その都度、この平折状態からカップ状に立体形成させて用いる。
<i)立体形成の開始>
この立体形成の手順は、図4(a)に示すように平折状態の傾斜自立容器Cのカップ形成体1の両側部、即ち平折状にされている前後連設折線L2及び糊しろ折線L4の部位を互いに接近させるように一方の手の指先で握るように押す。一方、同時に行われる他の手の指先操作としては、図4(b)に示すように例えば人差指乃至は中指を、前記前ガゼット底板21と、前面板11における前中央面11aの間に下方から差し込むようにする。この際は、前記成形案内切欠13が形成されているときには、その指の差込操作がこの成形案内切欠13の存在により助けられるものである。これを特許請求の範囲の請求項5、6、7における形成促進構造の一つとしたものである。
<ii)支承フラップの形成>
一方この動作とともに、前記前ガゼット底板21と前面板11との間に差し入れた指、例えば拇指と人差し指とにより、カップ形成体1より下方に張り出し、且つ重なり合った支承片形成体3における前支承フラップ31と後支承フラップ35とをその重ね合わせ状態を保ったまま、後方に曲げ起こし、結果的にその先端部、即ち支承片先端折線L12を傾斜自立容器Cの上方に向うように折り曲げ、最終的に後支承フラップ35を後面板15の下端に接するように折り曲げる(図4(c)、(d))。
<iii)ボトム形成体の形成>
このとき、ボトム形成体2について見ると、この動作によって前ガゼット底板21と後ガゼット底板25とは、ともに前面板11と後面板15との底部の下端側において、内側に折り曲げ起こされる。この状態では正面視で中央が盛り上がったような形態となって、ボトム部20を形成する。即ちボトム形成体20とは、立体形状となって現出する前ガゼット底板21と後ガゼット底板25とから成る底部をいう。
この動作の途中において、後支承フラップ35と後ガゼット底板25との間の後ボトム曲成折線L11にあっては、その中央に弱化切込27が形成されていることにより、実質的に後ボトム曲成折線L11の長さが短くされ、従って後支承フラップ35と後ガゼット底板25との外から見ての谷折状態が、より発現し易くなっているものである。このような構造が、特許請求の範囲の請求項6に定義した形成促進構造である。
<iv)形状維持構造の形成>
更に後ガゼット底板25にあっては、後ボトム脇隅面25bに特許請求の範囲における形状維持構造たる保持フラップ26が形成されており、これによって組み立てられた傾斜自立容器Cの組立状態が、前支承フラップ31と、後ガゼット底板25との間で、維持される。即ち、図5(a)から図5(d)に示すように、この傾斜自立容器Cを平折状態から容器状に形成していく途中で、前支承フラップ31の係止切欠32は、後ボトム脇隅面25bの端部に形成された保持フラップ26と係合し、容器全体の原形状への復帰傾向に抗して係止状態を維持する。更にこの時本実施例では、保持フラップ26を形成するための切込26aは、その下端寄りにおいて、ブリッジ26bにより緩連結され、このブリッジ26bは、後ガゼット底板25が立体状に形成されていく途中で、これが切断され、保持フラップ26が積極的に前支承フラップ31の係止切欠32を咥え込むように係止するものである。なお詳細に言えば、保持フラップ26の先端に形成された案内切欠26cが円滑な係合を助けている。
<v)使用状態の完成>
この結果、前記カップ形成体1の部位において有底のやや下窄まりの筒状を呈するカップ状部10を完成させるとともに、ボトム形成体2は、図6(a)から図6(d)に示すように、その下方において中が盛り上がったような形態、即ち中高状の形状をしたボトム部20を形成する。更に支承片形成体3は、カップ状部10の後方から更に後方に張り出し、支承片30を形成する状態となるものであって、その断面形状は、図6(d)に示すように前記ボトム形成体2の中高形状に倣って中央が上方に高くなった湾曲断面形状を呈する。この支承片30が後方に張り出した状態では、後面板15の実質高さh3は、前面板11の見掛け高さh1より短くなることから、前面板11の下端と、支承片30との先端の位置関係をみると、仮に前後連設折線L2と糊しろ折線L4を垂直に配した場合に、支承片30の先端、即ち支承片先端折線L12の部位が上方に位置するようになる。結果的に前面板11の下端と支承片30との先端とをテーブル面に接地させたとすると、傾斜自立容器Cは、図6(c)に示すように後傾状態の姿勢をとる。
このような状態で使用する場合には、カップ状部10に適宜の食材等の内容物Aを入れて、店頭等で用いるものである。この際内容物Aが減ったとしても、例えば内容物Aが比較的細長いフライドポテトスティックなどである場合でも、常にその傾斜姿勢が後方寄りに集中するようになっており、不安定な方向への荷重の移動がない。従って容器自体の自立性が極めて安定的に確保される。
加えて、筒状に形成されるカップ形成体1を中高状となるボトム形成体2により保形し、且つ支承片30もボトム形成体2の中高状に倣って断面形状が中高状に形成され、全ての部位で立体形状を呈する。このことにより、たとえ薄葉の例えば100g/m2程度の素材でブランクシートBを形成しても、成形後には充分なコシを有する容器が得られる。
〔他の実施の形態〕
本発明は以上述べた実施の形態を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず図7に示す実施例は、更に使用時の商品の内容物Aの保護を確実にするために保護蓋5を設けたものである。具体的には、例えば後面板15の後中央面15aの上方の蓋折線L14を介して帯状に延ばした保護蓋5を設けるものであり、内容物Aに被せながら、保護蓋5の先端を、前面板11の内側に差し込むようにする。なお折線L14は必ずしも設ける必要はない。もちろん保護蓋5は、このような緩差込みのほか、その先端に係止舌片を設け、一方前面板11側に係止舌片を受け入れ係合させるスリットを設け、積極的な蓋閉じ状態を図ってもよい。
更に本実施例では、ボトム形成体2は全体として半月状に盛り上がるような形態を採っているが、例えば後ボトムガゼット折線L9あるいは前底板糊しろ折線L6については、これを直線状とし、いわばボトム形成体2における前ガゼット底板21、後ガゼット底板25は、全体として台形となる形態をとってもよい。このような形態であってもボトム形成体2におけるボトム部20の形状は、中高状となる。
A 内容物
C 傾斜自立容器
B ブランクシート
B1 底部フラップブランク
G 糊

1 カップ形成体
10 カップ状部
11 前面板
11a 前中央面
11b 前脇側面
12 前切欠部
13 成形案内切欠

15 後面板
15a 後中央面
15b 後脇側面
16 糊しろフラップ

2 ボトム形成体
20 ボトム部
21 前ガゼット底板
21a 前ボトム中央面
21b 前ボトム脇隅面
22 底板糊しろ
23 ボトム密閉フラップ
25 後ガゼット底板
25a 後ボトム中央面
25b 後ボトム脇隅面
26 保持フラップ
26a 切込
26b ブリッジ
26c 案内切欠
27 弱化切込

3 支承片形成体
30 支承片
31 前支承フラップ
31a フラップ中央面
31b フラップ脇隅面
32 係止切欠
35 後支承フラップ
36 切込舌片
5 保護蓋

L1 前面折線
L2 前後連設折線
L3 後面折線
L4 糊しろ折線
L5 前ボトム中央折線
L6 前底板糊しろ折線
L7 前ボトム曲成折線
L8 密閉フラップ折線
L9 後ボトムガゼット折線
L10 後ボトム脇折線
L11 後ボトム曲成折線
L12 支承片先端折線
L13 フラップ曲成折線
L14 蓋折線

h1 見掛け高さ
h3 実質高さ

Claims (9)

  1. 平折状態において、サック貼りされて互いに折り重ねられた前面板と後面板とを具えたカップ形成体と、前記前面板の底部寄り内面に、別体形成され、上部において前面板と固着される山形状とした前ガゼット底板と、前記後面板の底部に折線を介して連設状態に区画される山形状の後ガゼット底板と、これら前ガゼット底板と後ガゼット底板との下端弦状縁からそれぞれ延長形成され、互いに折り重なるとともに下端において折り返し状に連設する、前支承フラップと後支承フラップとを具え、
    成型時において、前記折り重ねられた前面板と後面板との両側境界縁を対向させるように接近させるとともに、前記前支承フラップと後支承フラップとを折り重ね状態のまま、下端を後方に張り出させ、支承片形成体を現出させ、この動作にともない前支承フラップと後支承フラップの上方に連設されている前ガゼット底板と後ガゼット底板とを内側に曲げ起こして、上方が開放された筒状のカップ形成体と、中高状のボトム形成体を現出させ、
    前記前面板の下端は、高さ方向において変形しない一方、前記後面板は、後ガゼット底板が内側に曲げ起こされることにより高さ方向寸法が見掛け上減少し、これにより、カップ形成体の後傾自立状態を得るようにしたことを特徴とするワンタッチ形成自在の傾斜自立容器。
  2. 前記ボトム形成体と支承片形成体との間には、カップ状に立体成型した際にその形状を維持するための形状維持構造が設けられることを特徴とする前記請求項1記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器。
  3. 前記形状維持構造は、後ガゼット底板の下縁の両側近くに形成された保持フラップとこの保持フラップに係合する前支承フラップにおける係止切欠であることを特徴とする前記請求項2記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器。
  4. 前記形状維持構造における保持フラップは、切込によりフラップを形成するとともに、
    切込の下端部近くには、後ガゼット底板の変形に伴い、接続が解除される程度のブリッジが形成されていることを特徴とする前記請求項3記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器。
  5. 前記平折状のブランクシートには、形成促進構造を具えることを特徴とする前記請求項1、2、3または4記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器。
  6. 前記形成促進構造は、後支承フラップがこれと連設する後ガゼット底板と重なるように積極的に曲げられるための後ボトム中央折線を、途中で切り欠いて成る弱化切込により構成されていることを特徴とする前記請求項5記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器。
  7. 前記形成促進構造は、前面板における前中央面の下端縁に形成案内切欠を設け、前面板と前ガゼット底板との間隔を、指先操作により形成しやすいように構成されている
    ことを特徴とする前記請求項5または6記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器。
  8. 前記前ガゼット底板は、その側縁部を延長させたボトム密閉フラップを具えている
    ことを特徴とする前記請求項1、2、3、4、5、6または7記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器。
  9. 前記カップ形成体の上縁部には、保護蓋が延長形成されていることを特徴とする前記請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載のワンタッチ形成自在の傾斜自立容器。
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