JP2014115084A - ガスセンサ - Google Patents

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【課題】弾性表面波ガスセンサにおける感応膜によるSAWの減衰を除去して、更なるセンサの高感度化を図ることができるガスセンサを提供する。
【解決手段】圧電結晶基板のイオン結合性を評価し、これがある指標以上(望ましくは50%以上)である結晶を選択することにより、弾性表面波の減衰をもたらす感応膜を使用せずに極性ガスを吸着させ、弾性表面波とガスとの相互作用距離を増大させる。すなわち、50%以上のイオン結合性を有する構成要素を持つ圧電結晶基板に弾性表面波を伝搬させ、圧電結晶基板の表面に極性ガス分子を吸着させることにより生じた弾性表面波の音速または減衰の変化を利用する。
【選択図】図4

Description

本発明は、極性ガスに対するガスセンサを高感度化するために、圧電結晶基板のイオン結合性を評価し、これがある指標以上(望ましくは50%以上)である結晶を選択することにより、弾性表面波の減衰をもたらす感応膜を使用せずに極性ガスを吸着させ、弾性表面波とガスとの相互作用距離を増大させることを特徴とする新規なガスセンサの構成法に関するものである。
環境中の揮発性有機化合物(volatile organic compounds; VOC)を現場で測定するためには、低消費電力化と軽量化が必要であり、ガスを室温で測定できる弾性表面波(surface acoustic wave;SAW)センサが有用である(例えば、非特許文献1参照)。
SAWセンサは、SAW素子におけるSAWの伝搬経路に感応膜を成膜することにより、作製される。ここで感応膜は、ガスを吸収または吸着してその密度、弾性率、粘性減衰、導電率等を変化させることにより、SAWの音速と減衰とを変化させる。SAWセンサの感度は、SAWとガスとの相互作用距離の増大および感応膜におけるガスの検出効率の向上により、高めることができる。
SAWとガスとの相互作用距離に基づく高感度化に関して、平面SAWセンサは回折により相互作用距離の増大に限界があった。一方、本発明者らが所属するグループで開発した球状SAWセンサ(ボールSAWセンサ)は、SAWの自然なコリメートビームが多重周回する現象を利用して、相互作用距離を平面型センサよりも著しく増加させることができたため、高感度化に有用である(例えば、特許文献1、2、3、非特許文献2参照)。
感応膜によるガスの検出効率の向上に関して、アルコールのような極性VOCに対する高感度化を室温で達成するためには、感応膜を設けてこれにガスを吸収または吸着させることが必要である。ガスクロマトグラフのガス分離カラムに用いられる固定相物質は感応膜材料として有用であり(例えば、非特許文献1参照)、一般に極性ガスは極性の固定相物質に保持されやすいことが知られている(例えば、非特許文献3参照)。例えば、n−ブタノールの測定では、極性ガス分析用の固定相である両親媒性物質(界面活性剤)における親水基が最表面に配向するように作製された感応膜が、水晶振動子センサの高感度化に有用だった(例えば、非特許文献4参照)。しかし、感応膜を設けることはSAWの減衰を増加させるため、伝搬距離を増加させることができず、一層の高感度化を妨げるという問題がある。
ここで、SAW素子には、水晶や、電気機械結合係数が水晶よりも約3倍大きいランガサイト(LaGaSiO14;LGS)が用いられる(例えば、非特許文献5参照)。これらの結晶には共にSiの酸素四面体が存在するが、LGSにはさらにLaとGaの酸素多面体が存在する(例えば、非特許文献6参照)。
水晶とLGSは共に、紫外線照射により親水化することができる(例えば、非特許文献7参照)。親水化された表面は極性VOCの吸着に有用であるが、これを感応膜の代わりに用いたSAWセンサは報告されていない。また、水晶とLGSによる極性VOCの吸着特性の違いはまだ未解明である。
尚、結晶表面の極性は、結晶を構成する原子間結合の性質に依存する。結合の極性はイオン結合性により評価することができ、原子Aと原子Bの原子間結合のイオン結合性は、式(1)で定義される(例えば、非特許文献8参照)。
ここでχとχは、それぞれ原子Aと原子Bの電気陰性度である。
特許第3974765号公報 特許第3974766号公報 特許第4143296号公報
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本発明は、弾性表面波ガスセンサにおける感応膜によるSAWの減衰を除去して、更なるセンサの高感度化を図ることができるガスセンサを提供することを目的としている。
本発明は、圧電結晶基板のイオン結合性を評価し、これがある指標以上(望ましくは50%以上)である結晶を選択することにより、弾性表面波の減衰をもたらす感応膜を使用せずに極性ガスを吸着させ、弾性表面波とガスの相互作用距離を増大させることを特徴とする新規なガスセンサの構成法を提供する。
すなわち、本発明に係るガスセンサは、50%以上のイオン結合性を有する構成要素を持つ圧電結晶基板に弾性表面波を伝搬させ、前記圧電結晶基板の表面に極性ガス分子を吸着させることにより生じた前記弾性表面波の音速または減衰の変化を利用することを特徴とする。
本発明の詳細な説明を水晶とLGSを例にとって示す。式(1)において、水晶とLGSを構成する各元素の電気陰性度O:3.44、Si:1.90、Ga:1.81、La:1.10を代入して計算した、Si−O、Ga−O、La−O結合(Bonding)におけるイオン結合性(Ionic character)を、表1に示す。LGSに含まれるLa−OおよびGa−O結合のイオン結合性は、Si−O結合よりも高く、特にLa−O結合は著しく高い。このように、LGSは結晶のイオン結合性が高いために表面の極性も強く、ブタノールのような極性VOCを強く吸着して、センサとして有利であると考えられる。
尚、このような表面は、一度極性ガスを吸着すると、この吸着層により感度の高い表面が被覆され感度が低下する。本発明では、酸素雰囲気における紫外線照射により、この吸着層を除去することにより、感度を向上させる方法も提示する。すなわち、本発明に係るガスセンサは、使用前に、前記圧電結晶基板の表面を酸素雰囲気に暴露して紫外光を照射しておくことが好ましい。また、使用した前記圧電結晶基板の表面を酸素雰囲気に暴露して紫外光を照射することにより高イオン結合性の表面を露出させ、感度を再生させることが好ましい。
また、SAWとガスとの相互作用距離を増大させる方法として、ボールSAW素子を用いてもよい。すなわち、本発明に係るガスセンサは、前記圧電結晶基板が球状をなしていてもよい。ただし、本発明はLGS結晶を用いることに限定されるものでなく、紫外線照射を必須とするものではなく、ボールSAWセンサを用いることに限定されるものでないことは、言うまでもない。
本発明によれば、極性ガスに対する高感度化なガスセンサを提供することができる。
(a)水晶、(b)ランガサイト(LGS)の結晶構造を示す斜視図である。 水晶やLGSの表面に対する紫外線(UV)照射の典型的な効果を示す側面図である。 (a)有機溶媒洗浄後の水晶、(b)酸洗浄後の水晶、(c)UV照射後の水晶、(d)有機溶媒洗浄後のLGS、(e)酸洗浄後のLGS、(f)UV照射後のLGSにおける脱イオン(DI)水の接触角の測定結果を示す側面図である。 (a)UV照射後の水晶、(b)さらにブタノール浸漬後の水晶、(c)UV照射後のLGS、(d)さらにブタノール浸漬後のLGSにおけるDI水の接触角の測定結果を示す側面図である。 ボールSAWセンサの原理を示す斜視図である。 本発明の実施の形態のガスセンサの、低濃度のガス測定のための実験装置を示す模式図である。 図6に示す実験装置により、メタノールで希釈されたブタノールを測定したときの(a)水晶製ボールSAWセンサの遅延時間変化、(b)卓上型ガスクロマトグラフ(GC)の熱伝導度検出器(TCD)の信号を示すグラフである。 図6に示す実験装置により、メタノールで希釈されたブタノールを測定したときの(a)LGS製ボールSAWセンサの遅延時間変化、(b) 卓上型GCのTCDの信号を示すグラフである。 図6に示す実験装置により、(a)4500ppb、(b)1800ppb、(c)900ppb、(d)450ppb、(e)180ppb、(f)90ppの濃度のブタノールを測定したときの、LGS製ボールSAWセンサの遅延時間変化を示すグラフである。 本発明の実施の形態のガスセンサの、UV照射した水晶およびLGSのボールSAWセンサで測定した遅延時間変化とブタノールガス濃度との関係を示すグラフである。
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
実施例として、従来から良く用いられている水晶と、最近使用されだしたLGSに着目し、これらのイオン結合性の相違を利用したセンサ構成法の有用性を示す。なお、通常の弾性表面波センサで相互作用長を増大させるものとして、反射器を用いた共振器が知られているが、本実施例では、低濃度ガスに対する応答をSAWの多重周回現象を利用して増幅するボールSAWセンサを使用することにより、5.8ppbの検出限界という、SAWセンサ中の最高感度を達成できることを示す。
水晶とLGSの吸着性の違いの検証方法として、水の接触角測定を示す。基板には鏡面研磨されたST−cutの水晶、および48.5Y−26XのLGSを用いた。水晶とランガサイトの結晶構造を図1に示す。これらの結晶にはSiOの四面体が共通に含まれているが、LGSにはさらにLaとGaの酸素多面体が存在する。
まず、水晶やLGSの表面に付着した有機物の汚染物質の除去を目的とした有機洗浄として、アセトン、イソプロピルアルコール、脱イオン(deionized;DI)水の順に、5分間の超音波洗浄を各2回ずつ行った。また、酸洗浄として、濃硫酸と過酸化水素水とを1:2の体積比で混合した溶液に20分浸漬(ピラニアエッチング)した後に、ビーカー内をDI水で6回置換してリンスし、5分間の超音波洗浄を2回行った。次に、表面を親水化するためUV照射を行った。UV照射による一般的な効果を図2に示す。低圧水銀ランプ(Low pressure mercury lamp)には、波長が254nmと185nmのUVが含まれる。酸素雰囲気でこれらのUVを発生させると、185nmのUVは酸素分子からオゾンを発生させ、254nmのUVはオゾンを分解して活性酸素原子を発生させるとともに、基板の汚染物質を構成する多くの有機物(Organic contamination)に吸収される。従って、活性酸素と有機物との化学反応が進んで、有機物はCOやHOとして揮発除去される。UV照射の効果を検証するために、有機洗浄を行った基板に低圧水銀ランプ(28mW/cm)によりUVを30分間照射した。
各方法で処理した基板に、1μlの脱イオン水を滴下して接触角を測定した結果を、図3に示す。図3(a)〜(c)は水晶の場合を、図3(d)〜(e)はLGSの場合を表す。有機洗浄した試料において、水晶の接触角はθ=12°(図3(a))、LGSはθ=17°(図3(d))だった。一方、酸洗浄した試料において、水晶はθ=0°(図3(b))、LGSはθ=25°(図3(e))だった。次に、有機洗浄した後にUV照射した試料において、水晶とLGSは共にθ=0°となった(図3(c)(f))。このように、LGSの接触角をθ=0°とすることは容易でないことが分かった。
次に、UV照射した水晶とLGS基板を、極性VOCの指標物質として多用されるn−ブタノール(ブタノール)に浸漬した後にスピンドライヤーにより乾燥して、図4に示すような接触角の変化から、吸着性を評価した。図4(a)および(b)は水晶の場合を、図4(c)および(d)はLGSの場合を表す。水晶では、ブタノール浸漬および乾燥後も接触角がθ=0°(図4(b))で変化しなかったが、LGSではθ=19°(図4(d))に増加した。従って、ブタノールは水晶表面に吸着せず遠心力により除去されたが、LGS表面には強く吸着して遠心力では除去されず、接触角を増加させたことがわかった。
次に、有機洗浄の後に30分間UV照射して親水化したLGSのボールSAWセンサを構成した。比較対象として、同処理により水晶のボールSAWセンサを構成した。
ボールSAWセンサの原理を図5に示す。圧電結晶球のZ軸に垂直な大円を赤道と定義する。赤道において開口長が式(2)で表されるすだれ状電極(Interdigital transducer;IDT)を作製すると、SAWの回折による拡散と球面による集束とがバランスして自然にコリメートされたSAWが赤道上を伝搬する。
ここで、λはSAWの波長、Dは球の直径を表す。
このSAWは、球の支持部により散乱されないために長距離伝搬する。伝搬経路の感応膜がガス分子と反応すると、質量負荷および粘弾性変化により感応膜の音速と減衰が変化するため、パルス信号やバースト信号で励振したSAWの遅延時間と振幅が変化する。ここでは、UV照射して親水化した結晶表面を用いる。最後に、遅延時間と振幅の変化は周回数に比例して増加するために、多重周回したSAWを測定することにより、感応膜の音速および減衰の変化を高感度に測定することができる。
低濃度のブタノールガスを再現性良く作製するために、メタノールで希釈したブタノールを卓上型ガスクロマトグラフ(gas chromatograph;GC)により分離して測定した。実験装置の模式図を図6に示す。
GCのガスラインに注入された混合試料ガスは、Heキャリアガスにより100%ポリジメチルシロキサン固定相のオープンチューブカラム(内径0.32mm、長さ5m)に運ばれ、各成分は固定相への溶解度の差により時間的に分離される。これらはボールSAWセンサと熱伝導度検出器(Thermal Conductivity Detector;TCD)により検出され、横軸を時間にして縦軸に各検出器の応答をプロットすることによりクロマトグラムが得られる。ここで、カラム内のキャリア流速は6ml/minとし、カラムとボールSAWセンサはGCオーブンにより35Cに保った。また、TCDは200Cで使用した。ボールSAWセンサは直径3.3mmであり、z軸シリンダーに、開口230μm、ラインアンドスペース4μm、10対のIDTを持つ。SAWの励振および周回波の遅延時間変化の測定は、デジタル型直交検波器により行った。尚、測定周回数は、応答のS/Nが最大になるように決定した。
30分間UV照射した水晶ボールSAWセンサの結果を、図7に示す。1/100に希釈されたブタノールを0.1μl注入して、スプリット比80で測定した。ブタノールガス濃度は、ピークにおいて9ppmだった。ここでは、GCにおいてキャリアガスの圧力損失は主にカラムで生じると考えられるため、センサでは大気圧であると仮定して気体の状態方程式を用いて濃度を評価した。
図7(a)はボールSAWセンサの15周目の周回波を用いて測定した遅延時間変化であり、溶媒(Solvent)であるメタノールに続いてブタノール(Butanol)のピークが測定された。ガスによる正の遅延時間変化は、吸着による質量負荷に起因する。挿入されたグラフは、破線で囲われた部分の拡大図である。ベースラインのクロマトグラムに対してピーク測定に影響の大きい周波数範囲(0.17Hz〜1.7Hz)でFFTフィルタリングを適用して、RMS振幅を求めることによりノイズを測定した。その結果、9.0ppmのブタノールは、S/N=170で測定された。一方、図7(b)に示すTCD信号では、明瞭なピークが得られなかった。従って、親水性の表面は、ブタノールを検出可能なことが確認された。
LGSボールSAWセンサについて同様の実験を行った結果を図8に示す。1/1000に希釈されたブタノールを0.5μl注入してスプリット比80で測定したため、ピークにおける濃度は4.5ppmだった。図8(a)はボールSAWセンサの40周目の周回波を用いて測定した遅延時間変化である。LGSセンサでは、水晶の場合よりも大きな吸着応答が見られた。この応答はS/N=530であるため、LGSのセンサは4.5ppmのブタノールを水晶のセンサよりも高いS/Nで検出することができた。尚、脱離応答のテーリングは、接触角の測定で示された親水性のLGS表面におけるブタノールの強い吸着現象に起因すると考えられる。
次に、より低濃度のブタノールを用いて吸着応答を測定した結果を図9に示す。ピーク濃度180ppbのブタノールは明瞭に検出できた。更に90ppbのブタノールも検出できた。このように、LGSセンサにおける非常に高感度な吸着応答は、危険な極性ガスの初期の検出に有用であると考えられる。
尚、別のUV照射LGSセンサにおいて、1.8ppmのブタノールを連続して20回測定すると応答は半減した。また、50ppmのブタノールを測定した後にGCのキャリアガスを止めた状態で1日放置すると、同じ濃度のブタノールに対する応答が見られなくなった。これは、GCの配管、カラム、センサセル等に吸着されていたブタノールが徐々に放出されてLGSセンサに吸着し続けたためと考えられる。しかし、応答が見られなくなったセンサにUV照射を行うと、劣化前と同程度の応答を再生することができた。従って、UV照射したLGSセンサは、極性VOCを過度に吸着して感度が低下しても、酸素雰囲気でUV照射することにより感度を再生できると考えられる。
UV照射した水晶(UV−irradiated quartz)とLGS(UV−irradiated LGS)のボールSAWセンサで測定した遅延時間応答のブタノールガス濃度依存性を図10に示す。ここで、ボールSAW素子に低減衰な有機感応膜を作製可能な軸外スピンコート法により界面活性剤を成膜したLGSセンサ(Siponate LGS)の結果も、従来技術との比較として記載する。この界面活性剤はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであり、GCにおいて極性ガスの分離に用いられる固定相物質である。界面活性剤の疎水基をセンサ表面に付着させて親水基を露出させる目的で、ヘキサメチルジシラザンで処理したLGSセンサに、3wt%のトルエン溶液を用いて3000prm、20sの条件で成膜した。
図10の実線は、各センサにおいて最も高い感度を与える応答から求めた比例関係であり、濃度1ppmにおける応答量は感度を表す。破線は、RMSノイズの2倍の値である。検出限界は、実線と点線の交点における濃度で表される。親水化したLGSセンサは、水晶センサよりも感度が高くノイズも低かった。尚、LGSセンサおよび水晶センサ共に、高濃度のブタノールに対して応答が飽和する挙動が見られた。一方、感応膜を用いたセンサでは応答の飽和は見られなかったが、LGSセンサよりも1桁以上感度が低かった。UV未照射の水晶およびLGSセンサを含めて各センサで達成された検出限界(Detection limit)を表2に示す。UV照射して親水化したLGSセンサにより、最も低い検出限界である5.8ppbを達成した。従って、このセンサはppbオーダーのブタノールを検出可能であることが示された。

Claims (4)

  1. 50%以上のイオン結合性を有する構成要素を持つ圧電結晶基板に弾性表面波を伝搬させ、前記圧電結晶基板の表面に極性ガス分子を吸着させることにより生じた前記弾性表面波の音速または減衰の変化を利用することを特徴とするガスセンサ。
  2. 使用前に、前記圧電結晶基板の表面を酸素雰囲気に暴露して紫外光を照射しておくことを特徴とする請求項1記載のガスセンサ。
  3. 使用した前記圧電結晶基板の表面を酸素雰囲気に暴露して紫外光を照射することにより高イオン結合性の表面を露出させ、感度を再生させることを特徴とする請求項1または2記載のガスセンサ。
  4. 前記圧電結晶基板が球状をなすことを特徴とする請求項1、2または3記載のガスセンサ。
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