JP2014114286A - 1,2−シクロヘキサンジアミン白金(ii)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)の代替となる、比較したときにより良好な溶解度を有する化合物を提供する。
【解決手段】1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物によって解決される。
【選択図】なし

Description

本発明は、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物の製造方法、ならびに1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物の使用に関する。
今まで、シスプラチン(ジアミノジクロロ白金)、つまり白金錯体の細胞増殖抑制効果の発見は、抗腫瘍剤の調査と開発に重要な役割を担っている。前記白金錯体の効果は、1つのDNA鎖の2つの隣接したグアニン塩基の間の架橋によるDNA複製の抑制に基づくものである。これは、DNAの構造を崩し、それを機能しないものにする。結果として、細胞代謝は停止し、そして該細胞はアポトーシスを開始する。
細胞増殖抑制効果を有する前記の白金錯体は、通常は、2つの安定な配位子と、反応の過程で開裂される2つの不安定な配位子とを含む。体内で、前記白金錯体は、水との反応によりその不安定な配位子を開裂する。こうして得られたアクア錯体は、次いで細胞内のDNAと反応し、こうして細胞死を引き起こす。
白金錯体の継続的な開発の目的は、まず、前記錯体の水に対する安定性であって、前記アクア錯体が人体内でのみ形成し、より早期に製造もしくは貯蔵の間に形成されないような安定性である。更に、前記の剤は、腫瘍組織内でできる限り選択的に作用すべきであり、腫瘍に冒されていない健全な細胞を攻撃すべきではない。
オキサリプラチンは、細胞増殖抑制効果を有する近年の白金錯体であり(オキサラト[(1R,2R)−シクロヘキサンジアミン]白金(II))、そこでは白金イオンは、1,2−ジアミノシクロヘキシル配位子(DACH配位子)とシュウ酸イオンによって錯化されている。シスプラチンに対して、オキサリプラチンは、特にその安定性の点で改善された特性を示す。しかしながら、この場合でも反応は貯蔵の間に進行し、その過程でシスプラチンは分解されて、その剤の濃度は低減され、かつ不純物は累積する。欧州薬局方によれば、オキサリプラチンは、不純物A、B、C、DおよびEと関連することが知られている。これらは、通常は"不純物"と呼ばれる。
"不純物A"は、シュウ酸であり、それはオキサリプラチンの加水分解の間に生成される。加水分解の間に生成されるもう一つの不純物は、(SP−4−2)−ジアクア[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−κN,κN′]白金(ジアクオジアミノシクロヘキサン白金)であり、それは、"不純物B"とも呼ばれている。
オキサリプラチン酸化の生成物である(OC−6−33)−[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−κN,κN′][エタン−ジオアト(2−)κO1,κO2]ジヒドロ白金は、"不純物C"と呼ばれている。"不純物D"は、(SP−4−2)−[(1S,2S)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−κN,κN′][エタンジオアト(2−)−κO1,κO2]白金であり、かつ"不純物E"は、(SP−4−2)−ジ−g−オキソビス[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−κN,κN′]二白金である。更に、他の不純物が知られているが、非常に少量しか存在しない。
生成される不純物の量を低く保つか、またはそれらを全く排除するために、特許文献1は、非経口摂取のためのオキサリプラチン化合物について3〜4.5のpH範囲を提案している。これは、不純物の割合を減らすことができるが、それらを完全に排除できない。
欧州薬局方は、不純物の割合の決定のための参照標準を定義している。最近では、ジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)が、不純物Bについての参照標準として使用される。この物質は、水中で反応性のジアミノシクロヘキサンジアクア白金(II)錯体を形成する。驚くべきことに、ジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)は爆発性物質であり、その輸送、貯蔵および取り扱いを困難なものにすることが判明している。図1は、爆発傾向を明らかにするために、ジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)(Pt(DACH)(NO32)の示差熱分析(DTA測定)を示している。2つのPt(DACH)(NO32のサンプルMz1とMz2の測定が行われている。それらのサンプルのそれぞれは、3K/分の加熱速度で室温から450℃まで、窒素で満たした閉じられたガラスアンプル内で加熱された。白金化合物のPt(DACH)(NO32と参照サンプル(Al23)の間の温度差を記録した。両方のサンプルは、170℃で1.175J/gでの実熱量において発熱挙動の開始を示した。その測定は、ガイドラインVDI 2263に準拠して行った。
従って、爆発性でない反応性のジアミノシクロヘキサンジアクア白金(II)錯体を形成する(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)化合物が必要とされている。
非特許文献1は、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の一水和物を記載している。前記物質は、水中で所望の反応性のジアクア錯体を形成する。1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の一水和物の水中での溶解度は、3mg/mlである。前記の溶解度は、これまで標準として使用されていて、その水中での溶解度が、約0.5mg/mlであるジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)の溶解度に対しても改善されている。けれども、その溶解度の更なる改善が望まれている。
非特許文献1は、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の一水和物の製造方法を記載している。溶媒である水は、この方法において蒸発される。従って、生成物の結晶化は、事実上制御できない。該生成物の単離は、機械的手段を通じて行われる。これは、多量の固いこびりつきを掻き落とす必要があるため、該生成物の大規模生産においては問題である。このことはまた、機械的単離がダストおよび微粒子の発生と関連し、それを吸い込むかもしれないので、担当者にとって有害であるとも考えられる。
その得られた形態は、水中での良好な溶解度を有し、かつ取り扱いが容易であるべきである。これは、ジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)の不利な特性を避けるということである。
抗腫瘍剤の、安定性以外の他の決定的な要因は、これらが罹患した組織に対して特異的に作用すべきということである。この目的のために、ポリマーまたはターゲット分子が前記の白金錯体に結合させることができる。当該ポリマーおよびターゲット分子は、例えば特許文献2に記載されている。前記ポリマーは、その白金錯体の不安定な配位子と置き換わる。前記のポリマーを白金錯体へと結合させるのに使用される出発物質は、ジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)である。けれども、この物質は水溶性に乏しい。更に、それは、上述のように、その製造、輸送、貯蔵および取り扱いが困難な爆発性の物質である。
US 2010/0267824 A1 US 2011/0286958 A1
Schwartz et al.(Preparation and Antitumor Evaluation of Water-Soluble Derivatives of Dichloro(1,2-diaminocyclohexane)platinum(II), Cancer Treatment Reports Vol. 61, No. 8, November 1977, 1519-1525)
従って、第一の態様によれば、本発明の課題は、ジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)の代替となる、比較したときにより良好な溶解度を有する化合物を提供することである。更に、その化合物は、安定であり、かつ取り扱いが容易であるべきである。更に、それは、また、オキサリプラチンの不純物Bについての参照標準として使用するのに適しているべきである。
従って、本発明のもう一つの態様は、ジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)の代替として使用でき、かつ前記の欠点を克服する化合物を製造するための方法を提供することである。該方法から得られる化合物は、また、オキサリプラチンの不純物Bについての参照標準として使用するのに適しているべきである。更に、前記化合物は、ポリマー結合型のシクロヘキサンジアミノ白金(II)錯体の合成においてジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)に取って代わる代替的な出発物質として使用するのに適しているべきである。
驚くべきことに、本発明の第一の態様による課題は、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物によって解決されることが明らかになった。該二水和物の25℃の温度および常圧での水中での溶解度は、約90mg/mlである。従って、その水中での溶解度は、先行技術により公知の一水和物と比較して著しく改善され、その同じ条件下で約3mg/mlの水中での溶解度を有する。
1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物は、好ましくは結晶の形態で存在する。これらは、X線粉末回折法(XRPD)(図2)および動的示差走査熱量測定(DSC)(図3)によって分析される。
図2のX線粉末回折図は、6.35±0.2、10.47±0.2、10.62±0.2、12.77±0.2、19.05±0.2、20.27±0.2、20.40±0.2、23.04±0.2、23.38±0.2、27.61±0.2、30.51±0.2および34.95±0.2の2シータ(2θ)値での結晶質物質の典型的なシグナル位置を示している。誤差は、XRPD測定において知られる、サンプル中に存在する溶媒の残留量などの不確実性によるものである。図2は、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物の離散信号ピークとスペクトルの両方を示している。XRPDスペクトルは、好ましくは、Stoe社製(ドイツ・ダルムシュタット在)のStadi P型粉末回折システムにおいて、CuKα1線(1.54056Å=0.154056 nm)を使用して記録される。測定は、好ましくは、透過において湾曲Geモノクロメータ(111)およびIP-PSDデテクタ(イメージングプレート位置検知形検出器)を使用してX線管のジェネレータ電圧40kVおよび30mAで行われる。好ましくは、前記サンプルは、40゜の固定角ωで導入され、その際、ωは、サンプルホルダーまたは試料ホルダーの、測定の間の一次X線ビームに対する方位である。それは、3.0゜から79.05゜の2シータ走査範囲に及ぶことが好ましい。
DSCスペクトル(図3)は、多くの吸熱信号と発熱信号を示しており、それらは、水の放出または相転移に関連する。測定されたサンプルは、11.550mgの1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物からなっていた。しかし、Pt(DACH)(NO32の場合と同じように、分解爆発の指標となるピークは認識できない。DSC記録は、好ましくは、TA Instruments社製(米国、デラウェア州ニューキャッスル在)のDSC Q2000を使用して行われる。好ましくは、そのサンプルは25℃で平衡化され、その測定は、2℃の温度ランプを使用して400℃の温度まで行われる。
両方の技術(XRPDとDSC)は、先行技術の十分に確立された測定法である。
更に、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物は、驚くべきことに、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の一水和物よりも熱力学的により安定である。
水中で、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物は、反応性のジアミノシクロヘキサンジアクア白金(II)錯体を形成する。従って、1,2−シクロヘキサンジアミノジアクア白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)錯体は、溶解された状態で存在する。本発明による化合物は、固体状態の様々な形態をとりうる。この文脈において、ジアミノシクロヘキサン(DACH)基だけでなく、トシレート基(4−メチルベンゼンスルホネート基)も両者とも、中心白金(II)へと配位によって結合されていることが可能である。更に、2つの水分子は、また、その白金(II)原子へと配位によって固体状態で結合されていてもよく、またはトシレート分子と水分子が、その白金(II)原子へと配位によって結合された混合形でも存在できる。
本発明による1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物は、先行技術から公知の一水和物錯体と比較して明らかに改善された、80mg/mlを上回る水中での溶解度を有する。先行技術で長い間記載されているジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)は、また、本発明による化合物と比較して著しく乏しい、約0.5mg/mlの溶解度しか有さない。本発明の範囲内で使用される溶解度は、室温および常圧での溶解度であるものとする。これは、また、本願では、標準状態での溶解度を指す。更に、本発明による1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物は、図3として本願に付帯するDSCスペクトルから明らかに非爆発性の化合物である。更に、この化合物は、図2として本願に付帯するX線粉末回折図によって裏付けられる定義された結晶形で存在しうる。
本発明の更なる態様によれば、本発明は、ジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)の代替としての化合物の製造方法であって、以下の順序で、以下の工程:
a)1,2−シクロヘキサンジアミンジハロゲン白金(II)と銀4−メチルベンゼンスルホネートとを含水溶剤中で反応させて、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)とハロゲン化銀とを形成させる工程と、
b)前記ハロゲン化銀を工程a)からの反応混合物から分離する工程と、
c)水と共沸混合物を形成する化合物を添加する工程と、
d)その共沸混合物から水の少なくとも一部を除去する工程と、
e)水の割合を調節して、所望の1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の水和物を形成する工程と、
f)1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)または1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の水和物を単離する工程と、
を含む前記方法を提供する。
本発明による方法は、Schwartz et al.(同上)により既に記載された、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の一水和物の製造を可能にする。前記参考資料に記載される製造方法に対して、溶剤は、制御されずには蒸発されない。これは、所望の生成物の制御された結晶化を可能にする。この本発明による方法は、また、所望の生成物の製造をより大規模で可能にする。製造に関連した対人の危険性はない。
更に、一水和物だけでなく、二水和物の1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその他の水和物の製造も可能である。該方法は、非水和型の白金錯体である1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の製造も可能にする。従って、本発明は、先行技術から公知の欠点を克服する、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物の製造方法を提供する。
工程a)で存在する基本物質である1,2−シクロヘキサンジアミノジハロゲン白金(II)中のハロゲン原子は、どのハロゲン原子であってもよい。塩素(Cl)、臭素(Br)および/またはヨウ素(I)が好ましい。この文脈で使用される白金(II)錯体は、2つの同一のまたは2つの異なるハロゲン配位子を含んでよい。前記白金(II)錯体に2つの同じハロゲン配位子が存在することが好ましい。それというのも、これは、銀塩との反応において明白な化学量論量を決定できるからである。従って、本発明による方法の工程a)における出発物質として、1,2−シクロヘキサンジアミンジブロモ白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)、1,2−シクロヘキサンジアミンジクロロ白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)または1,2−シクロヘキサンジアミンジヨード白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)を使用することが好ましい。
1,2−シクロヘキサンジアミンジハロゲン白金(II)と銀4−メチルベンゼンスルホネートとの工程a)における反応は、含水溶剤中で進行する。水か、または水および水と共沸混合物を形成する少なくとも1つの更なる化合物とを含有する混合物であることが好ましい。この文脈において、水と多数の異なる化合物とを混合することが可能である。該化合物は、水と規定された比率で混和性でなければならず、かつ水と共沸混合物を形成せねばならない。本発明によれば、また、ちょうど1種類の化合物と水とを混合し、そうして共沸混合物を形成させることの実現も可能である。
1,2−シクロヘキサンジアミンジハロゲン白金(II)錯体と銀4−メチルベンゼンスルホネートとの工程a)における反応は、好ましくは、化学量論量を下回るレベルの銀4−メチルベンゼンスルホネートで行われる。従って、その白金錯体は、合成において2モル当量より少ない銀塩と反応される。銀4−メチルベンゼンスルホネートの好ましい量は、1.88〜1.99モル当量の範囲であり、1.92〜1.96モル当量の範囲の量が特に好ましい。前記の2成分の反応は、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)とハロゲン化銀を生成する。前記反応は、含水溶剤中で行われる。得られたハロゲン化銀は、前記溶剤において非常に乏しい可溶性しかないので、沈殿する。相応の沈殿物は、こうして残りの反応混合物から、好ましくは濾過によって容易に分離することができる。化学量論を下回る量の銀4−メチルベンゼンスルホネートを該反応で使用することで、最終生成物に銀が存在することが避けられる。これは、分離を困難にするものである。けれども、銀4−メチルベンゼンスルホネートの割合は低すぎてはならない。それというのも、さもなくば、低い割合の1,2−シクロヘキサンジアミンジハロゲン白金(II)しかトシレート基と反応しないことと、所望の生成物(1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物)の収率は低くなるからである。
二次生成物または未転化の出発物質を吸収するために、活性炭を工程c)で反応混合物へと、本発明による方法の工程b)におけるハロゲン化銀の分離の後で、かつ水と共沸混合物を形成する化合物を添加する前に添加することが可能である。前記反応が好ましい一実施形態に従って、すなわち化学量論量を下回って行われる場合に、活性炭は、特に未反応の1,2−シクロヘキサンジアミンジハロゲン白金(II)を反応混合物から除去する。それ以外に、前記活性炭は、銀塩と二次生成物をも除去する。
好ましくは、添加されるべき活性炭の割合は、使用される白金(II)化合物に対して、1質量%〜20質量%、特に好ましくは2質量%〜10質量%、更により特に好ましくは3質量%〜7質量%、なおもより好ましくは5質量%である。前記の量は、存在する未反応の出発物質と二次生成物を反応混合物から除去するのに十分である。
ハロゲン化銀の分離後に、水と共沸混合物を形成する少なくとも1種の化合物は、本発明による方法の工程c)で添加される。この文脈において、該反応混合物へと1種の化合物を添加することが可能である。また、本発明によれば、該方法の工程c)において水と共沸混合物を形成する複数の化合物を添加することが可能である。前記の少なくとも1種の化合物は、好ましくは、アルコールおよびハロゲン化炭化水素を含む群から選択される。これらは、水と共沸混合物を形成する。更に、前記の化合物中での、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物の溶解度は特に高い。好ましくは、該白金(II)化合物の溶解度は、標準条件(室温、常圧)で5g/l以上、特に好ましくは7g/l以上である。特に好ましくは、前記化合物は、n−ブタノール、トルエン、クロロホルムおよびエタノールを含む群から選択される。水と本発明による化合物を含む混合物は、本発明による方法の工程a)における含水溶剤としてもまさに同様に使用することができる。
ちょうど1種類の化合物を、好ましくはアルコール類またはハロゲン化炭化水素類を含む群から選択される一つ、特に好ましくはn−ブタノール、トルエン、クロロホルムおよびエタノールを含む群から選択される一つを反応混合物へと添加することが好ましい。特に好ましい一実施形態においては、本発明による方法の工程c)において反応混合物へとn−ブタノールが添加される。n−ブタノールと水とからなる共沸混合物の沸点は92℃であり、それ自体が本発明による方法の後続工程のために好ましいためn−ブタノールを使用することが好ましい。更に、前記工程で得られる生成物である1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)は、n−ブタノール中にかなり可溶であり、それは、生成物の更なる精製を簡単にし、かつ高収率を得ることを可能にする。
引き続き、水の少なくとも一部は、こうして形成された共沸混合物から除去される。これは、先行技術により公知の方法を使用して行うことができる。好ましくは、水は、共沸蒸留によって除去される。水は、部分的にだけでなく、完全にも、本発明による方法の工程d)における共沸混合物から除去することが特に好ましい。結果として、水と共沸混合物を形成する化合物が得られる。1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物は、前記化合物中に可溶である。
共沸混合物からの水の少なくとも部分的な除去の後に、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の所望の水和物の形成に必要な水の割合の調節が行われる。必要とされる水の割合は、化学量論により計算できる。本発明による方法が、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の非水和形に導くべきであれば、水はここでは添加されない。化合物の水和物を得るためには、必要な水の量を計算して、反応混合物に混加することができる。好ましくは、その水の割合は、本発明による方法の工程e)において適宜、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物が得られ、かつ次いで前記物質が本発明による方法の工程f)で除去されるように調節される。
前記生成物は、先行技術から公知の方法に従って工程f)において単離することができる。逆溶剤を反応混合物へと添加して、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)または1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の水和物を単離することが好ましい。前記の所望の生成物は、標準条件(室温、常圧)で、好ましくは2g/l未満の、特に1g/l未満の低い逆溶剤中での溶解度を有する。同時に、前記逆溶剤は、水と共沸混合物を形成する化合物に高い溶解度を有する。本発明の範囲内における高い溶解度は、好ましくは、均質な相を形成しつつ任意の比率で水と共沸混合物を形成する化合物における逆溶剤の制限のない混和性を意味すると解されるものである。本発明によれば、逆溶剤は単独で使用できるか、または複数の化合物を互いに混合して逆溶剤として使用できる。
本発明による方法における逆溶剤としては酢酸エチルおよび/またはアセトンを使用することが好ましい。酢酸エチルは、逆溶剤として特に好ましく、特にn−ブタノールが、水と共沸混合物を形成する化合物である場合にそれが特に好ましい。酢酸エチルおよびn−ブタノールは、互いに十分に混和性である。同時に、所望の生成物である1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその水和物は、n−ブタノール中で可溶であるが、酢酸エチル中では可溶ではない。
こうして得られた化合物を再結晶化して、それを更に精製することが可能である。この目的のために、前記化合物は、水と共沸混合物を形成する化合物中に溶解される。逆溶剤の添加は、好ましくは、所望の化合物の結晶を得ることを可能にする。
特定の一実施態様においては、従って、本発明は、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物の製造方法であって、以下の工程:
a)1,2−シクロヘキサンジアミンジハロゲン白金(II)であって、その2つのハロゲンが同一でありかつ塩素、臭素もしくはヨウ素から選択される化合物と、銀4−メチルベンゼンスルホネートとを含水溶剤中で、その銀4−メチルベンゼンスルホネートを前記白金(II)化合物に対して化学量論量を下回って存在するようにして反応させて、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)とハロゲン化銀を形成させる工程と、
b)工程a)からの反応混合物からハロゲン化銀を分離し、引き続き活性炭を該反応混合物へと添加する工程と、
c)n−ブタノールを添加する工程と、
d)共沸混合物から共沸蒸留によって全ての水を除去する工程と、
e)水の割合を調節して、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物を形成させる工程と、
f)その1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物を、逆溶剤として酢酸エチルを添加することによって単離する工程と、
を含む前記方法を含む。
逆溶剤の添加は、好ましくは、生成物の結晶化が、好ましく、ゆっくりと、かつ制御された様式として進行することを保証する。これは、溶剤が蒸発されるときには共通している制御されない結晶化を防ぐことを可能にする。従って、本発明による方法は、定義された組成の結晶質化合物を得るために使用することができる。
本発明による方法による制御された製造は、特に、参照標準としての使用を可能にする。それというのも、明らかに定義された物質をこの目的のために利用可能でなければならないからである。
欧州薬局方EP 7.3は、現在、化合物の1,2−シクロヘキサンジアミンジニトラト白金(II)(=ジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II))を、オキサリプラチンの不純物Bについての参照標準として規定している。その使用は、以下の通りに説明されている:
参照標準として使用するために、5mgのオキサリプラチンの不純物BのCRS(CRS=現状の参照標準(current reference standard))を25mlのメタノール中に溶解させ、容器を水で100mlまで満たす。その溶液を1.5時間にわたり溶液が澄明となるまで超音波処理する。分析のために、100mgのオキサリプラチン剤を水中に溶解させ、容器を50mlまで満たす。
それら両方の溶液を引き続きHPLCシステム(カラム長さ=0.25m;直径4.6mm;固定相:塩基で不活性化したオクタデシルシリルシリカゲル 5μm)に順次注入する。測定温度は、40℃である。移動相は、アセトニトリル20%と、1.36gのリン酸水素カリウムおよび1gのヘプタンスルホン酸ナトリウムを1000mlの水中に含む水溶液80%とからなり、pHは、リン酸で3.0±0.05に調整される。測定条件:流速2.0mL/分、検出:215nmで分光光度計、注入容量:20μL。
オキサリプラチン剤中の不純物Bの割合は、それぞれのHPLCクロマトグラムにおける面積%の比率から計算される。
不純物B((SP−4−2)−ジアクア[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−κN,κN′]白金)についての標準として1,2−シクロヘキサンジアミンジニトラト白金(II)を使用することの欠点には、その爆発性と、水中での不十分な可溶性が含まれる。
驚くべきことに、該参照標準を置き換えることができ、それにより前記の欠点が克服されることが明らかになった。従って、本発明によれば、オキサリプラチンの不純物Bについての参照標準としての、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物の使用は、
i)オキサリプラチン溶液を提供する工程と、
ii)参照標準として、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその水和物の溶液を提供する工程と、
iii)工程i)からのオキサリプラチン溶液のクロマトグラムを記録する工程と、
iv)工程ii)からの参照標準溶液のクロマトグラムを記録する工程と、
v)工程iii)と工程iv)からのクロマトグラムを比較して、(SP−4−2)−ジアクア[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−κN,κN′]白金の割合を決定する工程と、
を含む。
オキサリプラチン合成のためにしばしば使用される方法において、物質のジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)は、二次生成物として生成される。従って、前記物質は、先行技術によれば、不純物Bである(SP−4−2)−ジアクア[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−κN,κN′]白金についての参照標準として使用される。しかしながら、前記物質は、図1として付帯するDTA測定から明らかなように、熱にさらすと爆発しうることが判明した。本発明により使用される1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)は、前記の爆発傾向を示さない。本発明により使用できる水和物は、付帯するDSCスペクトル(図3)から、二水和物の場合について明らかなように、熱的に安定でもある。更に、本発明による方法の使用は、制御された様式で結晶化し、かつ明らかに規定された組成を有する生成物を得ることを可能にする。従って、工程ii)における溶液の濃度は、再現的に調整することができる。
オキサリプラチンの水溶液を使用することも、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその水和物の水溶液を使用することも好ましい。この文脈において、本発明による化合物は、従来技術から公知のジニトラト化合物と比較して、水中でより良好な溶解度を有するという点において追加の利点を有する。従って、参照標準として、より濃縮された溶液を提供することも可能である。
オキサリプラチンにおける不純物Bの割合を測定するために、例えば水中2mg/mlの濃度でオキサリプラチンの水溶液を生成することが可能である。1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物の水溶液は、参照標準として使用される。前記の溶液は、0.05mg/mlの濃度を有してよい。
好ましい一実施形態においては、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物は、参照標準として使用される。前記二水和物の水中での溶解度は、80mg/ml以上である。従って、種々の参照標準を容易に提供することができる。
更なる過程において、オキサリプラチン溶液のクロマトグラムと、次いで参照標準溶液のクロマトグラムが記録される。それらのクロマトグラムの比較は、オキサリプラチン中の不純物Bの割合の測定を可能にする。
好ましくは、オキサリプラチン溶液のクロマトグラムと参照標準溶液のクロマトグラムは、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)からのクロマトグラムである。HPLCは、十分によく知られたクロマトグラフィー法である。クロマトグラム中に存在するシグナルピークの面積の比較は、オキサリプラチン中に存在する不純物の割合に関して結論付けを可能にする。
好ましい一実施形態においては、従って、本発明は、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物を、オキサリプラチンの不純物Bの測定のための参照標準として用いる使用に関する。前記使用は、
i)オキサリプラチン水溶液を提供する工程と、
ii)参照標準として、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物の水溶液を提供する工程と、
iii)工程i)からのオキサリプラチン溶液のHPLCクロマトグラムを記録する工程と、
iv)工程ii)からの参照標準溶液のHPLCクロマトグラムを記録する工程と、
v)工程iii)と工程iv)からのクロマトグラムを比較して、(SP−4−2)−ジアクア[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−κN,κN′]白金の割合を決定する工程と、
を含む。
1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物の、特に二水和物の水中での良好な溶解度のため、前記の参照標準溶液は、調製が容易である。オキサリプラチン中の不純物Bの割合の測定に関して、欧州薬局方EP 7.3に規定される、剤と参照標準の量および/または濃度が使用され、その以前の標準が1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物に置き換えられる場合に、HPLCクロマトグラムにおける面積の比較において補正因子を考慮する必要がある。前記の補正因子は、不純物Bについての現状の標準(1,2−シクロヘキサンジアミノジニトラト白金(II))と、本発明により使用される参照標準(1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその水和物)のモル質量比から得られる。参照標準として1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物を使用すると、得られる補正因子は、(687.69g/mol)/(433.29g/mol)=1.587である。面積の比率(前記剤のクロマトグラムにおける面積/参照標準のクロマトグラムにおける面積)には、この値を掛けねばならない。
その一方で、新規の参照標準、すなわち添加される1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物の量を、補正因子によって調整することが同様に可能である。欧州薬局方EP 7.3における最近の仕様により使用される標準の量に前記補正因子が掛けられれば、クロマトグラムにおける面積は、秤量されるオキサリプラチンの量を変えないままで、直接的に比較することができる。
1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の一水和物、任意の他の水和物または非水和型の化合物が1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物の代わりに使用される場合に、前記補正因子は、相応して計算する必要がある。
安定性と製造の容易さとは別に、意図された様式での適用は、抗腫瘍剤にとっては非常に重要である。当該ポリマー変性された白金錯体は、先行技術に記載されている。ジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)は、例えばUS 2011/0286958 A1において出発物質として使用される。
驚くべきことに、本発明による物質である、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物は、ポリマー結合型のシクロヘキサンジアミン白金(II)錯体の製造に使用できることが判明した。本発明による使用は、
a)1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその水和物を提供する工程と、
b)白金と結合を形成できる少なくとも1つのもしくはそれより多くの基を含むポリマーを提供する工程と、
c)1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその水和物と前記ポリマーとを溶剤中で反応させる工程と、
を含む。
1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその水和物の使用は、生成物の水中での高い溶解度のためフレキシブルな反応を可能にする。前記の二水和物は、特に先行技術から公知の化合物と比較して、80mg/mlを上回る、高い水中での溶解度を有する。従って、工程a)において、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物を使用することが好ましい。本発明による1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物も、いずれの他の水和物も、または前記化合物それ自体も、本来爆発性の物質ではない。従って、先行技術からの欠点は、このように克服される。この文脈において、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその任意の水和物を公知のポリマーと反応させることが可能である。この文脈において、前記の白金に結合されるトシレート基または水基(water group)は、離脱基として作用する。これらは、白金への結合、好ましくは配位結合を形成することができるポリマー内の基によって置き換えられる。
シクロヘキサンジアミン白金(II)に結合されるポリマーは、好ましくは、白金と一緒に4員ないし7員のキレート環を形成することができる基を含む。当該キレート環は、特に安定な白金(II)錯体をもたらす。本発明の範囲においては、4員ないし7員のキレート環は、4員の、5員の、6員の、および7員のキレート環を含む。
好ましくは、前記ポリマーは、カルボキシレート基、アミド基またはアミノ基を含む。当該ポリマー化合物は、例えばUS 2011/0286958 A1に記載され、特許の保護が請求されている。
シクロヘキサンジアミン白金錯体またはその水和物と前記ポリマーとの反応は溶剤中で行われる。前記溶剤は、好ましくは水を含む。好ましくは、前記溶剤は水である。
好ましくは、前記ポリマーは、ポリ(N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド−gly−gly−gly−ジエチルアミノマロネート(ポリ(HPMA)−GGG−Ame)[その際、glyは、グリシルを表す]である。
従って、特に好ましい一実施形態においては、本発明は、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物を、ポリマー結合型のシクロヘキサンジアミン白金(II)錯体の製造のために用いる使用であって、
a)1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物を提供する工程と、
b)ポリ(HPMA)−GGG−Ameを提供する工程と、
c)1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)とポリ(HPMA)−GGG−Ameとを水中で反応させる工程と、
を含む前記使用に関する。
前記のグリシル基は、この文脈においては、よりフレキシブルな結合を可能にするために、リンカーとして作用する。前記ポリマーの白金(II)への事実上の結合は、アミノマロネート(Ame)基を介して行われる。
図1は、ジニトラト(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)(Pt(DACH)(NO32)の示差熱分析(DTA測定)を示している。 図2は、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物の離散信号ピークとスペクトルの両方を示している。 図3は、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物の動的示差走査熱量測定(DSC)を示している。 図4は、実施例の3.)ジアクア種の製造における相応の反応を示している。 図5は、実施例の5a.)Pt−DACH−ニトレートから出発するジアクア種の製造における相応の反応を示している。
1.) 1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物の化学合成
1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物(Pt(DACH)ビス−トシレート)の化学合成のために、ジクロロ−R,R−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)の懸濁液は、水中で懸濁され、水中に0.97モル当量の銀(p−トルエンスルホネート)を含む溶液を添加した。該混合物を、暗中55℃で48時間にわたり撹拌した。引き続き、前記懸濁液を4℃に冷却し、更に4時間にわたり撹拌し続けた。得られた塩化銀を濾過により取り除き、次いで濾液を活性炭(出発物質に対して5質量%)の存在下で更に20時間にわたり室温で撹拌し、次いで再び濾過した。得られた濾液を、次いで出発容量の30%にまで50℃で真空中で減らし、次いで僅かに過剰な1−ブタノールを前記水性反応混合物へとエントレイナーとして添加して水を完全に除去した。これを真空中で50℃で更なる容量の低下によって達成した。この1−ブタノール中の無水溶液へと、白金に対して15当量の水を添加し、そしてその溶液を更に16時間にわたり撹拌した。目標化合物を、次いで逆溶剤である酢酸エチルを1−ブタノール溶液に添加することによって沈殿させた。こうして得られた固体を濾過により取り除き、真空中で40℃で乾燥させた。
該化合物の分析により、それが二水和物であると明らかになった(含水率は、5.12%と検出され、理論上の含水率は5.24%である)。
収率は、60〜85%であった。
2.) 1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物の精製
1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物を、後続の再結晶化によって再現的に精製することが可能であった。
この目的のために、前記の1.)に記載した手順を繰り返した:無水1−ブタノール中に溶解させ、規定量の水を添加して二水和物を形成させ、酢酸エチルを該1−ブタノール溶液に添加することにより沈殿させる。
これにより、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物の結晶が得られた。
3.) ジアクア種の製造
Pt(II)DACH−ビストシレート(4.28g;6.568ミリモル)を、精製水45ml中で50℃で1時間にわたり撹拌した。この溶液を、次いでSartorius社製の0.2μmのRCフィルタ(不織布補強)を通じて濾過し、40mlの精製水で洗浄した。該溶液を室温にまで冷却させた。
相応の反応を図4に示す。
4.) Pt−DACH−トシレートとのポリマー結合物の製造
11gのポリ(HPMA)−GGG−Ame(5.5ミリモルのAmeと等価)を、62mlの精製水中に入れ、室温で30分にわたり撹拌した。次いで、5mlの2NのNaOH水溶液を添加し(pH=13)、そのバッチを更に30分間にわたり室温で撹拌した。次いで該反応溶液を、5%のHNO3水溶液でpH7.4へと調整し、次いでP5フリットを通じて濾過し、その後にSteritop(Merck社;ポアサイズ 0.1μm)を通じて濾過し、10mlの精製水ですすいだ。濾液をフラスコに移し、Pt−DACH−ジアクア種(例3から)の新たに調製した溶液を添加しながら激しく撹拌した。その際、pHは5にまで低下した。前記溶液のpHを、次いで、2NのNaOH水溶液を使用して5.2に調整した。該溶液を、室温で2時間にわたり一定のpHで撹拌した(pHは、必要に応じてNaOH溶液を使用して再調整した)。次いで、該反応溶液のpHを、2NのNaOH水溶液を使用して7.4に調整し、そのバッチを38℃にまで加熱し、次いで17時間にわたり38℃で7.4の一定のpHで撹拌した(pH値は、滴定装置(Metrohm社製の716 DMS Titrino)を用いて一定に保った)。引き続き、前記溶液をSteritop(Merck社;0.1μm)を通じて濾過し、そして10mlの精製水ですすいだ。該溶液を、TFFによって約60mlにまで濃縮し、そして約50mlの精製水を用いて5回にわたり清浄化した。次いでその保持液(retentate)を二重壁フラスコに移し、次いで1.29gのNaCl、243mgのNaHPO・HO、および1.89gのNaHPO・7HOを添加した。前記溶液を精製水で、150mlの全容量にまで満たし、添加された塩が完全に溶けたら、pHを、2NのNaOH水溶液で7.4へと調整した。そのバッチを38℃にまで加熱し、そしてこの温度で撹拌せずに4時間にわたり保持した。次いで、前記溶液を、Steritop(Merck社;0.1μm)を通じて濾過し、そして濾液をTFFによって約60mlにまで濃縮し、そして精製水ですすいだ(7つの透過液(permeate)を回収した)。保持液を注いで凍結乾燥させた。
収量は、6.35g(49.3%)であった。
ポリ(HPMA)−GGG−Ame=ポリ(N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)−gly−gly−gly−ジエチルアミノマロネート
ポリ(HPMA)=ポリ(N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)
DACH=1R,2R−ジアミノシクロヘキサン
TFF=タンジェンシャルフロー濾過
RW=精製水
RT=室温(20℃)
5.) 先行技術との比較
5a.) Pt−DACH−ニトレートから出発するジアクア種の製造(図5)
PtDACH(NO32(10g;23.079ミリモル)を149mlの精製水中に入れた。全体で657μlの5%HNO3を添加し、次いで70℃で1時間にわたり撹拌した。この溶液を、次いでSartorius社製の0.2μmのRCフィルタ(不織布補強)を通じて濾過し、40mlの精製水で洗浄した。該溶液を室温にまで冷却させた。
相応の反応を図5に示す。
5b.) Pt−DACH−ニトレートとのポリマー結合物の製造
例4と同様に行われるが、例5aで製造されたPt−DACHニトレートから製造されたジアクア種を、Pt−DACH−トシレートから製造されたジアクア種に代えて使用する製造が使用された。
収量は、7.13g(66.8%)であった。
[本発明の態様]
1. 1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物。
2. 1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物の製造方法であって、以下の工程:
a)1,2−シクロヘキサンジアミンジハロゲン白金(II)と銀4−メチルベンゼンスルホネートとを含水溶剤中で反応させて、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)とハロゲン化銀とを形成させる工程と、
b)前記ハロゲン化銀を工程a)からの反応混合物から分離する工程と、
c)水と共沸混合物を形成する化合物を添加する工程と、
d)その共沸混合物から水の少なくとも一部を除去する工程と、
e)水の割合を調節して、所望の1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の水和物を形成する工程と、
f)1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)または1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の水和物を単離する工程と、
を含む前記方法。
3. 2に記載の方法であって、1,2−シクロヘキサンジアミンジハロゲン白金(II)中のハロゲンとして、塩素、臭素および/またはヨウ素が使用されることを特徴とする前記方法。
4. 2または3に記載の方法であって、前記反応は、化学量論量を下回るレベルの銀4−メチルベンゼンスルホネートで行われることを特徴とする前記方法。
5. 2から4までのいずれかに記載の方法であって、活性炭を工程c)で反応混合物へと、工程b)におけるハロゲン化銀の分離の後で、かつ水と共沸混合物を形成する化合物を添加する前に添加すること特徴とする前記方法。
6. 2から5までのいずれかに記載の方法であって、工程a)における含水溶剤が、水であるか、または水および水と共沸混合物を形成する少なくとも1つの更なる化合物とを含有する混合物であることを特徴とする前記方法。
7. 2から6までのいずれかに記載の方法であって、水と共沸混合物を形成する化合物がn−ブタノールであることを特徴とする前記方法。
8. 2から7までのいずれかに記載の方法であって、前記共沸混合物は、工程d)において、完全に取り除かれて、水と共沸混合物を形成する前記化合物中の1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の溶液が形成されることを特徴とする前記方法。
9. 2から8までのいずれかに記載の方法であって、水の割合を、適宜、工程e)において、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物が得られ、前記物質が次いで工程f)で取り除かれるように調整することを特徴とする前記方法。
10. 2から9までのいずれかに記載の方法であって、逆溶剤、好ましくは酢酸エチルを、工程f)における混合物へと添加して、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)または1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の水和物を単離することを特徴とする前記方法。
11. (SP−4−2)−ジアクア[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−κN,κN′]白金についての参照標準としての、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物の使用であって、
i)オキサリプラチン溶液を提供する工程と、
ii)参照標準として、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその水和物の溶液を提供する工程と、
iii)工程i)からのオキサリプラチン溶液のクロマトグラムを記録する工程と、
iv)工程ii)からの参照標準溶液のクロマトグラムを記録する工程と、
v)工程iii)と工程iv)からのクロマトグラムを比較して、(SP−4−2)−ジアクア[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−κN,κN′]白金の割合を決定する工程と、
を含む前記使用。
12. 11に記載の使用であって、水溶液が、工程i)および/または工程ii)で使用されることを特徴とする前記使用。
13. 11または12に記載の使用であって、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物を、工程ii)における参照標準として使用することを特徴とする前記使用。
14. 11から13までのいずれかに記載の使用であって、工程iii)および工程iv)におけるクロマトグラムは、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)からのクロマトグラムであることを特徴とする前記使用。
15. ポリマー結合型のシクロヘキサンジアミン白金(II)錯体を製造するための、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物の使用であって、
a)1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその水和物を提供する工程と、
b)白金と結合を形成できる少なくとも1つのもしくはそれより多くの基を含むポリマーを提供する工程と、
c)1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその水和物と前記ポリマーとを溶剤中で反応させる工程と、
を含む前記使用。
16. 15に記載の使用であって、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物を工程a)で使用することを特徴とする前記使用。
17. 15または16に記載の使用であって、前記ポリマーが、白金と4員ないし7員のキレート環を形成することができる基を含むことを特徴とする前記使用。
18. 15から17までのいずれかに記載の使用であって、前記ポリマーは、カルボキシレート基、アミド基またはアミノ基を含むことを特徴とする前記使用。
19. 15から17までのいずれかに記載の使用であって、前記溶剤が水を含むことを、特に前記溶剤が水であることを特徴とする前記使用。

Claims (19)

  1. 1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物。
  2. 1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物の製造方法であって、以下の工程:
    a)1,2−シクロヘキサンジアミンジハロゲン白金(II)と銀4−メチルベンゼンスルホネートとを含水溶剤中で反応させて、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)とハロゲン化銀とを形成させる工程と、
    b)前記ハロゲン化銀を工程a)からの反応混合物から分離する工程と、
    c)水と共沸混合物を形成する化合物を添加する工程と、
    d)その共沸混合物から水の少なくとも一部を除去する工程と、
    e)水の割合を調節して、所望の1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の水和物を形成する工程と、
    f)1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)または1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の水和物を単離する工程と、
    を含む前記方法。
  3. 請求項2に記載の方法であって、1,2−シクロヘキサンジアミンジハロゲン白金(II)中のハロゲンとして、塩素、臭素および/またはヨウ素が使用されることを特徴とする前記方法。
  4. 請求項2または3に記載の方法であって、前記反応は、化学量論量を下回るレベルの銀4−メチルベンゼンスルホネートで行われることを特徴とする前記方法。
  5. 請求項2から4までのいずれか1項に記載の方法であって、活性炭を工程c)で反応混合物へと、工程b)におけるハロゲン化銀の分離の後で、かつ水と共沸混合物を形成する化合物を添加する前に添加すること特徴とする前記方法。
  6. 請求項2から5までのいずれか1項に記載の方法であって、工程a)における含水溶剤が、水であるか、または水および水と共沸混合物を形成する少なくとも1つの更なる化合物とを含有する混合物であることを特徴とする前記方法。
  7. 請求項2から6までのいずれか1項に記載の方法であって、水と共沸混合物を形成する化合物がn−ブタノールであることを特徴とする前記方法。
  8. 請求項2から7までのいずれか1項に記載の方法であって、前記共沸混合物は、工程d)において、完全に取り除かれて、水と共沸混合物を形成する前記化合物中の1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の溶液が形成されることを特徴とする前記方法。
  9. 請求項2から8までのいずれか1項に記載の方法であって、水の割合を、適宜、工程e)において、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物が得られ、前記物質が次いで工程f)で取り除かれるように調整することを特徴とする前記方法。
  10. 請求項2から9までのいずれか1項に記載の方法であって、逆溶剤、好ましくは酢酸エチルを、工程f)における混合物へと添加して、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)または1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の水和物を単離することを特徴とする前記方法。
  11. (SP−4−2)−ジアクア[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−κN,κN′]白金についての参照標準としての、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物の使用であって、
    i)オキサリプラチン溶液を提供する工程と、
    ii)参照標準として、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその水和物の溶液を提供する工程と、
    iii)工程i)からのオキサリプラチン溶液のクロマトグラムを記録する工程と、
    iv)工程ii)からの参照標準溶液のクロマトグラムを記録する工程と、
    v)工程iii)と工程iv)からのクロマトグラムを比較して、(SP−4−2)−ジアクア[(1R,2R)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン−κN,κN′]白金の割合を決定する工程と、
    を含む前記使用。
  12. 請求項11に記載の使用であって、水溶液が、工程i)および/または工程ii)で使用されることを特徴とする前記使用。
  13. 請求項11または12に記載の使用であって、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物を、工程ii)における参照標準として使用することを特徴とする前記使用。
  14. 請求項11から13までのいずれか1項に記載の使用であって、工程iii)および工程iv)におけるクロマトグラムは、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)からのクロマトグラムであることを特徴とする前記使用。
  15. ポリマー結合型のシクロヘキサンジアミン白金(II)錯体を製造するための、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)およびその水和物の使用であって、
    a)1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその水和物を提供する工程と、
    b)白金と結合を形成できる少なくとも1つのもしくはそれより多くの基を含むポリマーを提供する工程と、
    c)1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその水和物と前記ポリマーとを溶剤中で反応させる工程と、
    を含む前記使用。
  16. 請求項15に記載の使用であって、1,2−シクロヘキサンジアミン白金(II)−ビス(4−メチルベンゼンスルホネート)の二水和物を工程a)で使用することを特徴とする前記使用。
  17. 請求項15または16に記載の使用であって、前記ポリマーが、白金と4員ないし7員のキレート環を形成することができる基を含むことを特徴とする前記使用。
  18. 請求項15から17までのいずれか1項に記載の使用であって、前記ポリマーは、カルボキシレート基、アミド基またはアミノ基を含むことを特徴とする前記使用。
  19. 請求項15から17までのいずれか1項に記載の使用であって、前記溶剤が水を含むことを、特に前記溶剤が水であることを特徴とする前記使用。
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