JP2014108905A - ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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哲郎 君嶋
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Abstract

【課題】歪点の高いガラスであっても、泡及びガラス原料の未熔解物を十分に減少させることができるガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】SnO2を含有し、ガラス基板が歪点680℃以上となるように調整されたガラス原料を第1の温度1585℃〜1640℃で熔融して熔融ガラスとする熔解工程と、
前記熔融ガラスを前記第1の温度より低い第2の温度T2まで冷却する工程と、
前記熔融ガラスを前記第1の温度より高い第3の温度T3まで加熱する清澄工程と、
前記熔融ガラスを板状ガラスに成形する成形工程と、を含むガラス基板の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス基板の製造方法に関する。
従来より、高精細化が求められることから、アモルファスシリコン薄膜トランジスタ(以下、α-Si・TFTと記載する)ではなく、低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(以下、LTPS・TFT (Low-Temperature-Polycrystalline-Silicon Thin-Film-Transistor)と記載する)をディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなど)に適用することが求められている。しかし、LTPS・TFTは、α-Si・TFTと比較してパネル製造時の熱処理が高温である。高温の熱処理が施されると、TFTが形成されるガラス基板が縮み、ガラス基板上に形成したTFT回路のズレが生じてしまい、表示不良の問題を引き起こしてしまう。そのため、LTPS・TFTが形成されるガラス基板は、熱収縮率がより小さいことが求められる。
また、アルカリ金属酸化物はTFT特性に悪影響を与えることから、ガラス基板中のアルカリ金属含有量が所定値以下であることも求められている。
一般に、ガラス基板の熱収縮率は、ガラスの歪点とガラスの徐冷速度の影響を受けることが知られている。例えば、歪点が高いガラスほど熱収縮が小さいガラス基板を得ることができる傾向がある。しかし、歪点を高くしようとガラス成分を調整すると熔融温度が高くなってしまい、ガラス基板の製造に支障がでるという問題があった。例えば、ガラス成分においてSiO2とAl23の含有量を増加させ、B23とROの含有量を減少させると、ガラスの歪点は高くなるが、熔融温度も高くなってしまう。このような問題は、TFT特性に悪影響を与える虞のあるアルカリ金属酸化物の含有量が少ないことが求められている液晶ディスプレイ用ガラス基板や有機ELディスプレイ用ガラス基板の製造でより顕著となる。
一方、ガラスの徐冷速度を制御することで、歪点を極めて高くすることなしに熱収縮率を小さくするための技術が知られている(特許文献1)。
特開2004-315354号公報
ディスプレイ用ガラス基板は、画像を表示するものであるから、泡やガラス原料の未熔解物に対する要求が厳しい。そのため、ガラス基板の製造工程では、ガラス原料を熔融した後に、熔融ガラス中の泡を低減させる清澄が行われる。そして、この清澄には、清澄剤による化学的清澄が適用されるのが一般的である。
熔融ガラスに添加された清澄剤は、金属酸化物である場合が多く、熔融ガラスの温度が上昇すると還元され、熔融ガラス中に酸素を放出する。この酸素が熔融ガラス中の泡を巻き込んで浮上することで、泡が熔融ガラス外に放出される。
しかし、特許文献1に記載のガラスのように熔融温度が高い(例えば、ガラス粘度が102.0dPa・sとなる温度は1700℃前後である)と、ガラス原料が未熔解となることを防ぐために、ガラス原料の熔解工程において高温を要することから、清澄工程以前の熔解工程において清澄剤が還元され、酸素を放出してしまう。そのため、清澄工程で清澄剤が放出し得る酸素量が減少し、結果的に十分な清澄ができなくなるか、あるいは多量の清澄剤の添加が必要となる。
清澄剤の酸素放出量の減少を補う為に、清澄工程の熔融ガラスの温度を高くすると、例えば、白金合金製の清澄槽や接続管の温度も上昇する。清澄槽や接続管は、これを構成する白金合金の融点を超えると破れてしまい、装置が壊れてしまう。あるいは、白金の揮発が促進されて、装置寿命が短くなってしまう。そのため、清澄工程の熔融ガラスの温度には上限があり、清澄工程の熔融ガラスの温度を極端に高くすることは難しい。
近年、ディスプレイのさらなる高精細化が求められているため、LTPS・TFTにおいてもパターンピッチが益々狭くなり、ガラス基板の熱収縮に対する要求が厳しくなってきている。そのため、ガラスの歪点はさらに高いことが要求され、ガラスの熔融温度が上昇してしまうので、上述した泡や未熔解物の問題がより顕著となってきている。
そこで、本発明は、歪点の高いガラスであっても、泡及びガラス原料の未熔解物を十分に減少させることができるガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
[1]SnO2を含有し、ガラス基板が歪点680℃以上となるように調整されたガラス原料を第1の温度1585℃〜1640℃で熔融して熔融ガラスとする熔解工程と、
前記熔融ガラスを前記第1の温度より低い第2の温度T2まで冷却する工程と、
前記熔融ガラスを前記第1の温度より高い第3の温度T3まで加熱する清澄工程と、
前記熔融ガラスを板状ガラスに成形する成形工程と、を含むガラス基板の製造方法。
[2]前記ガラス基板は、モル%表示で、
SiO2 60〜78%、
Al23 3〜20%、
23 0〜15%、
RO(MgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 3〜25%、及び
SnO2 0.01〜0.2%を含有し、
歪点:680℃以上である、[1]記載のガラス基板の製造方法。
[3]前記ガラス基板は、アルカリ金属酸化物(Li2O,Na2O及びK2Oの合量)の含有量が0〜2mol%である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記ガラス基板は、質量%表示で、
SiO2 52〜78%、
Al2O3 3〜25%、
B2O3 0〜15%、
RO(但し、ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 3〜20%、
R2O(但し、R2OはLi2O、Na2O及びK2Oの合量) 0.01〜0.8%、
Sb2O3 0〜0.3%、を含有し、As2O3は実質的に含有せず、
質量比CaO/ROは0.65以上であり、質量比(SiO2+Al2O3)/B2O3は7〜30の範囲であり、
質量比(SiO2+Al2O3)/ROは5以上であり、かつ歪点が688℃以上である、[1]に記載のガラス基板の製造方法。
[5]前記第2の温度T2は、1550℃〜1660℃である、[1]〜[4]のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
[6]前記第3の温度T3は、1640℃以上である、[1]〜[5]のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
[7]前記熔融工程は、少なくとも直接通電加熱を用いてガラス原料を熔解する、[1]〜[6]のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
[8]前記ガラス基板は、低温ポリシリコン薄膜トランジスタ用ガラス基板又は酸化物半導体薄膜トランジスタ用ガラス基板である、[1]〜[7]のいずれかに記載のガラス基板の製造方法。
[9]モル%表示で、(2×SiO2+Al23)/(2×B23×+RO)=4.9以上である、[1]〜[8]の何れかに記載ガラス基板の製造方法
本発明によれば、歪点の高いガラスであっても、泡数及び未熔解物数を低減したガラス基板を製造することができる。
図1は、本実施形態の熔融ガラスの温度履歴を示す図である。
本発明は、ガラス基板の製造方法に関する。
本発明は、ガラス基板の製造方法は、清澄剤としてSnO2を含有し、ガラス基板が歪点680℃以上となるように調整されたガラス原料を第1の温度1585℃〜1640℃で熔融する熔解工程と、
前記熔融ガラスを前記第1の温度より低い第2の温度T2まで冷却する工程と、
前記熔融ガラスを前記第1の温度より高い第3の温度T3まで加熱する清澄工程と、
前記熔融ガラスを板状ガラスに成形する成形工程と、を含む。
<熔解工程>
熔解工程は、ガラス基板が所定の組成及び歪点を有するように調整されたガラス原料を第1の温度T1(1585℃〜1640℃)で熔融する工程である。ガラス基板の所定の組成及び歪点については後述する。但し、工程に関する説明の都合上、ガラス原料及びガラス基板が清澄剤としてSnO2を含有することを先に説明する。
SnO2は、多価清澄剤としての機能を有し、Snの原子価比率は、基本的に、熔融ガラスの温度と熔融ガラス中の酸素分圧で釣り合っていると考えられる。清澄剤としてのスズ酸化物のレドックス(還元−酸化)は以下の式で表される。
Figure 2014108905
熔融ガラスの温度が上昇するにつれ、式(1)の平衡は右側に偏り、4価のスズは2価のスズに還元され、熔融ガラス中に酸素を放出する。温度が低下すると、この式は左側に偏り、熔融ガラス中の酸素により2価のスズは酸化されて4価のスズになる。すなわち、4価のスズの濃度に対する2価のスズの濃度の比であるレドックス比(Sn2+/Sn4+)が低いほど、清澄剤が酸素をより多く放出できる状態であることを意味し、高い清澄効果を有していることになる。
熔解工程においては、ガラス原料を、例えば、少なくとも直接通電加熱を用いて熔解する。ガラス原料は、公知の材料から適宜選択できる。直接通電加熱を用いて熔解する場合、ガラス融液の1550℃における比抵抗が、50〜250Ω・cmの範囲となるように、ガラス組成を調整することが好ましい。これは、ガラス融液の1550℃における比抵抗が250Ω・cmを超えると、熔融するためにガラス原料の温度を上昇させる過程において、ガラス原料ではなく、熔解槽を構成するレンガに流れる電流量が過剰となり、熔解槽が熔損してしまう虞があるためである。さらには、第1の温度を下記範囲に設定したとしても、熔解槽が熔損する虞もあるためである。ここで、ガラス融液の比抵抗は、ガラスの歪点が高くなるほど大きくなる傾向にある。つまり、歪点が高いガラスの製造ほど、熔解槽が熔損の問題が顕著となる。そこで、本実施形態では、熔融するガラスの組成をガラス融液の1550℃における比抵抗が50〜250Ω・cmの範囲となるように調整し、かつ熔解工程において、ガラス原料を第1の温度1585℃〜1640℃で熔融することが好ましい。これにより、ガラス原料の未熔解物の低減すること及び熔解槽を構成するレンガに流れる電流量を低減することができる。第1の温度は、1590℃〜1640℃であることが好ましい。
<冷却工程>
冷却工程においては、熔解工程で得られた熔融ガラスを第1の温度T1より低い第2の温度T2まで冷却する。この冷却工程においては、熔融ガラスを第1の温度T1より低い第2の温度T2まで冷却することで、熔解工程において熔融ガラスに含まれるスズ酸化物のSn2+/Sn4+比を下げることができる。Sn2+/Sn4+の比をより低く下げるためには、T2は低いほど好ましい。しかし、歪点が高いガラスの製造では、清澄工程において泡の浮上速度を十分に確保できる程度にガラスの粘度を小さくするため、次の清澄工程で熔融ガラスの温度をT2よりも高温のT3まで上げなければならないため、T2を下げれば下げるほど、設備の加熱負荷が大きくなる。そのため、T2は、例えば、1550℃〜1600℃の温度範囲であることができ、1555℃〜1600℃の温度範囲であることが好ましい。T2は、例えば、T1より20℃以上低い温度であることが、Sn2+/Sn4+比を下げスズ酸化物による清澄効果を高めるという観点から好ましい。T2まで冷却した熔融ガラスは、所定時間その温度に放置することができる。
従来のガラス製造工程において、熔融ガラスは、第1の溶融温度(例えば、TX)で形成され、次いで、第1の温度より高い第2の清澄温度(例えば、TY)に加熱される。TXからTYへの温度上昇により、清澄剤が還元され、レドックス比が上昇し、酸素が熔融ガラス中に放出される。これに対し、本実施形態においては、熔融ガラスの温度は、第1の温度T1から、第1の温度T1より低い第2の温度T2まで低下させられ、そにより、Sn2+/Sn4+比を下げることができ、清澄剤としての能力を温度T2に応じて回復することができる。熔融ガラスには、例えば、少なくとも熔解工程を酸素含有雰囲気で行うことや原料に起因した酸素が所定の分圧で溶存しており、この酸素によって、Sn2+/Sn4+比を下げることができる。また、さらにSn2+/Sn4+比を下げるために、冷却工程において、熔融ガラスに酸素又は酸素を含むガスのいずれかを供給することが好ましい。これにより、ガラス基板に存在する泡数をさらに低減することができる。
冷却工程は、熔解槽内、熔解槽と清澄槽を接続する接続管内、熔解槽と清澄槽の間に設けられた槽、のいずれで行われてもよい。なお、熔融ガラスの温度を低下させるためには、熔融ガラスに通電する電流量を低下させる、熔融ガラスと接する白金又は白金合金管の温度を低下させる(電流量低下、風冷、水冷など)、熔融ガラス中に酸素もしくは酸素を含むガスを供給する方法などが挙げられるがこれに限定されない。
<清澄工程>
清澄工程では、冷却工程において得られた熔融ガラスは、第1の温度T1より高い第3の温度T3まで加熱する。温度T3は、SnO2の含有量、SnO2以外のガラス組成及び冷却工程における温度T2を考慮して、適宜決定できる。例えば、T3は1640℃以上であることができる。また、清澄工程における熔融ガラス温度を1640℃以上とすることで、熔融ガラス中に存在する、主にスズ酸化物に由来する酸素ガスの浮上速度を上昇させることもできる。T3は、例えば、冷却工程における温度T2より40℃以上高い温度であることが、良好な清澄効果を得るという観点から好ましい。熔融ガラスが、第1の温度T1より高い第3の温度T3まで加熱されることで、スズ酸化物は、冷却工程で取り込んだ酸素を放出する。放出された酸素は、熔融ガラス中に拡散して熔融ガラス中の泡径を拡大させ、泡の浮上速度高めることで浮上脱泡を促進する。熔融ガラスは、温度T3の温度に一定時間保持された後、攪拌に適した粘度となるまで冷却される。熔融ガラスの温度が低下していく過程で、Sn2+が再び酸素を吸収してSn4+に変化する。そのため、熔融ガラス中に残存した酸素ガスやその他のガスを含む泡は、酸素が熔融ガラス中に再吸収されることによるガス量減少と、温度低下による泡内の圧減少の両方の効果とによって消滅する。
本発明において、上記熔解、冷却及び清澄の各工程は図1に示すように、供給原料が一旦、第1の温度区域において第1の温度T1で溶融されたら、熔融ガラスは、第2の温度区域において、T1より低い第2の温度T2まで冷却される。T1とT2との間の温度差がΔT12である。例えば、第1の容器(熔解槽)からの熔融ガラスが第2の容器(冷却槽)に流され、その溶融ガラスは第2の容器(冷却槽)内で、T1より低い温度T2に冷却される。T2は、1550℃〜1600℃の範囲にあることが好ましい。
第2の温度区域中の冷却が一旦終了したら、熔融ガラスを第3の温度区域内で第1の温度T1より高い第3の温度T3まで再加熱する。第1、第2および第3の温度区域は、1つの容器内の別の領域からなっていてもよく、それらの区域は温度区域である。しかしながら、他の実施の形態として、例えば、熔融ガラスは、熔解槽とは別の容器内で冷却され、次いで、清澄槽などの第3の容器に流れ、そこでT3まで再加熱される。T3は約1640℃以上であることが好ましく、1640〜1740℃であることがより好ましい。
熔融ガラスは、少なくとも約15分間に亘り第3の温度T3に維持されることが好ましい。熔融ガラスのT3への再加熱は、例えば、公知の清澄操作における再加熱の方法に従って行うことができる。熔融ガラスの清澄が一旦完了したら、その熔融ガラスは、均質化のために例えば、撹拌槽に流され、次いで、熔融ガラスの成形工程に移送される。
<成形工程>
成形工程では、熔解工程〜清澄工程を経た熔融ガラスを板状ガラスに成形する。板状ガラスへの成形方法は、例えば、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法が好適である。その他、フロート法、リドロー法、ロールアウト法などを適用できる。ダウンドロー法を採用することにより、フロート法など他の成形方法を用いた場合に比べ、得られたガラス基板の主表面が熱間成形された表面であるために、極めて高い平滑性を有したガラス基板を得ることができる。これにより、成形後のガラス基板表面の研磨工程が不要となるため、製造コストを低減することができる。
成形工程後、ガラス基板の切断前に徐冷工程を設けることができる。徐冷時の板状ガラスの冷却条件を適宜調整することでガラス基板の熱収縮率をコントロールすることができる。例えば、成形後の板状ガラスの平均の冷却速度を、板状ガラス中央部の温度がTgからTg-100℃となる温度範囲において、50〜300℃/分とするように徐冷を行うことで、生産性を保ちつつ熱収縮率を小さくすることができる。他方、徐冷工程後に熱収縮低減処理(オフラインアニール)工程を別途設けることで、熱収縮率を小さくすることもできる。しかし、徐冷工程とは別にオフラインアニール工程を設けると、生産性が低下し、コストが高騰してしまうという問題点がある。そのため、上述したように、徐冷工程において平板状ガラスの冷却速度を制御するという熱収縮低減処理(オンラインアニール)を施すことによって、熱収縮率を所定範囲内におさめることがより好ましい。
成形工程後又はその後の徐冷工程において得られた板状ガラスは、所定の形状及び寸法に切断してガラス基板とする。
<ガラス組成A(モル%表示)>
本発明を用いて製造されるガラス基板は、例えば、モル%表示で、SiO2 60〜78%、Al23 3〜20%、B23 0〜15%、RO(MgO、CaO、SrO及びBaOの合量)3〜25%、及びSnO2 0.01〜0.2%を含有し、歪点が680℃以上である。
以下、歪点が680℃以上であるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の好ましいガラス組成Aについて説明する。
SiO2は、含有量が少なくなると、歪点の低下が生じる傾向がある。また、SiO2含有量が少なすぎると、ガラス基板を低密度化するのが難しくなる。一方、SiO2含有量が多すぎると、耐失透性の低下及び熔融温度が著しく高くなり熔解が困難になる傾向がある。このような観点から、SiO2の含有量は、60〜78mol%の範囲であることが好ましく、より好ましくは62〜75mol%、さらに好ましくは63〜72mol%、一層好ましくは65〜71mol%の範囲である。
Al2O3は、歪点を高くする必須成分である。含有量が少なすぎると、歪点が低下する。Al2O3含有量が多すぎると、ガラスの失透温度が上昇するので、成形性が悪化する傾向がある。このような観点から、Al2O3の含有量は3〜20mol%の範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜18mol%、さらに好ましくは5〜15mol%、一層好ましくは7〜14mol%、より一層好ましくは10〜14mol%、さらに一層好ましくは11〜14mol%の範囲である。
B2O3は、ガラスの熔融温度を低下させ、熔解性を改善する成分である。必須ではないが、B2O3を含有させると、熔解性及び、耐失透性を改善することができる。他方、B2O3含有量が多すぎると、歪点の低下が生じる。このような観点から、B2O3含有量は、0〜15mol%の範囲であることが好ましく、3〜15mol%の範囲であることがより好ましく、さらに好ましくは5〜13mol%、一層好ましくは5〜12mol%、より一層好ましくは6〜10mol%未満の範囲である。
MgO、CaO、SrO及びBaOの合量であるROは、熔解性を向上させる成分である。RO含有量が少なすぎると、熔解性が悪化する。RO含有量が多すぎると、歪点の低下、密度の上昇が生じる傾向にある。また、RO含有量が多すぎると、熱膨張係数が増大する傾向もある。このような観点から、ROは、好ましくは3〜25mol%の範囲であり、好ましくは4〜16mol%、より好ましくは4〜15mol%、さらに好ましくは5以上14mol%未満の範囲、一層好ましくは6〜14mol%の範囲であり、より一層好ましくは8〜13mol%の範囲、さらに一層好ましくは9〜12mol%の範囲である。
MgOは、熔解性を向上させる成分である。必須ではないが、含有させることで、熔融温度を低減することができる。但し、MgOの含有量が多すぎると、ガラスの失透温度が急激に上昇する。このような観点から、MgO含有量は、好ましくは0〜15mol%、より好ましくは0〜10mol%、さらに好ましくは0〜5mol%、一層好ましくは0〜2 mol%未満、より一層好ましくは0〜1.5mol%であり、さらに一層好ましくは0〜1mol%であり、尚一層好ましくは実質的に含有しないことである。
CaOは、含有量が少な過ぎると熔融温度上昇による熔解性低下及び失透温度上昇による失透性低下が生じる傾向がある。CaO含有量が多すぎると、熱膨張係数の増加及び密度の上昇が生じる傾向がある。CaO含有量は、好ましくは0〜20mol%、より好ましくは3.6〜16mol%、さらに好ましくは4〜16mol%、一層好ましくは6〜16mol%、より一層好ましくは7超〜16mol%、さらに一層好ましくは8〜15mol%、尚一層好ましくは9〜13mol%の範囲である。
SrOは、必須ではないが含有させると耐失透性及び熔解性が向上する。SrO含有量が多すぎると、密度が上昇してしまう。SrO含有量は、好ましくは0〜10mol%、より好ましくは0〜5mol%、さらに好ましくは0〜3mol%、一層好ましくは0〜2mol%、より一層好ましくは0〜1mol%、さらに一層好ましくは0〜0.5mol%未満、尚一層好ましくは0〜0.1mol%未満の範囲である。ガラスの密度を低下させたい場合には、SrOは実質的に含有させないことが好ましい。
BaOは、必須ではないが、含有させると、耐失透性及び熔解性が向上する。また、BaO含有量が多すぎると、密度の上昇及び熱膨張係数の増大が生じる。BaO含有量は、好ましくは0〜10mol%、より好ましくは0〜5mol%未満、さらに好ましくは0〜3mol%、一層好ましくは0〜2mol%、より一層好ましくは0〜1mol%、の範囲である。なお、BaOは、環境負荷の問題からは、実質的に含有させないことが好ましい。
Li2O及びNa2Oは、熔解性を向上させる成分であるが、ガラス基板から溶出してTFT特性を劣化させるおそれのある成分である。Li2O及びNa2Oの含有量は、例えば、0〜2mol%であり、好ましくは0〜0.5mol%、より好ましくは0〜0.1mol%、さらに好ましくは0〜0.01mol%、一層好ましくはいずれも実質的に含有させない
K2Oは、ガラスの塩基性度を高め、清澄性を促進させる成分である。また、比抵抗及び熔融温度を低下させ、熔解性を向上させる成分である。必須ではないが、含有させると、清澄性及び熔解性が向上する。K2O含有量が多すぎると、ガラス基板から溶出してTFT特性を劣化させるおそれがある。また、熱膨張係数も増大する傾向がある。K2O含有量は、例えば、0〜2mol%であり、好ましくは0〜0.8mol%、より好ましくは0.01〜0.5mol%、さらに好ましくは0.1〜0.3mol%の範囲である。
本発明のガラス基板は清澄剤を含むことができる。清澄剤としては、SnO2が好適である。清澄剤の含有量は、少なすぎると、泡品質が悪化し、含有量が多くなりすぎると、失透や着色などの原因となる場合がある。清澄剤の含有量は、清澄剤の種類やガラスの組成にもよるが、SnO2の場合、例えば、0.01〜0.2mol%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.15mol%、さらに好ましくは0.05〜0.12mol%の範囲である。
Fe2O3は、清澄剤としての働きを有する以外に、ガラスの比抵抗を低下させる成分である。高温域における粘性が高く、難解なガラスにおいては、ガラスの比抵抗を低下させるために含有させることが好ましい。しかし、Fe2O3含有量が多くなりすぎると、ガラスが着色し、透過率が低下する。そのためFe2O3含有量は、0〜0.1mol%の範囲であり、好ましくは0〜0.05mol%、より好ましくは0.001〜0.05mol%、さらに好ましくは0.005〜0.05mol%、一層好ましくは0.05〜0.02mol%の範囲である。
本発明のガラス基板は、環境負荷の問題から、As2O3は実質的に含有しないことが好ましい。本発明のガラス基板は、環境負荷の問題から、Sb2O3は、好ましくは0〜0.5mol%、より好ましくは0〜0.1mol%、最も好ましくは実質的に含有しない。
なお、本明細書において、「実質的に含有せず」とは、前記ガラス原料にこれら成分の原料となる物質を用いないことを意味し、他の成分のガラス原料に不純物として含まれる成分、製造装置からガラスへ溶出する成分の混入を排除するものではない。
2倍のB2O3とROの合量である(2×B2O3+RO)に対する2倍のSiO2とAl2O3の合量である(2×SiO2+Al2O3)のモル比(2×SiO2+Al2O3)/(2×B2O3+RO)は、歪点と熔解性の指標となる。B2O3及びROは熔解性を向上させる成分である。これら成分の量が少なくなると、歪点は向上するが、熔解性は悪化する。(2×SiO2+Al2O3)/(2×B2O3+RO)が4.9未満では、歪点を十分に高くすることができず、生産性を損なうことなしに、所定以下の熱収縮率、例えば、75ppm未満を有するLTPS・TFT用のガラス基板を製造することが難しくなる。他方、熔解性を確保するためには、(2×SiO2+Al2O3)/(2×B2O3+RO)は、12以下であることが好ましい。以上のことから、(2×SiO2+Al2O3)/(2×B2O3+RO)は、4.9以上が好ましく、より好ましくは4.9〜12の範囲であり、さらに好ましくは4.9〜12の範囲であり、一層好ましくは5.0〜12の範囲であり、より一層好ましくは6.0〜12の範囲である。
SiO2の含有量からAl2O3の含有量の1/2を引いた差(SiO2-Al2O3/2)は、値が小さすぎると、エッチングレートは向上するものの、耐失透性が低下するおそれがある。値が高すぎると、エッチングレートが低下するおそれがある。このような観点から、(SiO2-Al2O3/2)は、67mol%以下であることが好ましく、より好ましくは50〜67mol%、さらに好ましくは56〜64mol%、一層好ましくは57〜63mol%、より一層好ましく58〜62 mol%である。
SiO2とAl2O3の合量であるSiO2+Al2O3は少なすぎると、歪点が低下する傾向があり、多すぎると、耐失透性が悪化する傾向がある。そのためSiO2+Al2O3は、75mol%以上であることが好ましく、より好ましくは76〜88mol%、さらに好ましくは77〜85mol%、一層好ましくは78〜82mol%である。
B2O3とP2O5の合量であるB2O3+P2O5は少なすぎると、熔解性が低下する傾向があり、多すぎると歪点が低下する傾向がある。そのためB2O3+P2O5は、好ましくは0〜15mol%の範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜15mol%、さらに好ましくは5〜13mol%、一層好ましくは5〜12mol%、より一層好ましくは6〜10mol%未満の範囲である。
B2O3に対するCaOのモル比CaO/B2O3は歪点の低下を防止しつつ、熔解性を向上させるという観点から、好ましくは0.5〜5、より好ましくは0.9〜3、さらに好ましくは1超〜2.5、一層好ましくは1.2超〜2、より一層好ましくは1.2超〜1.5の範囲である。
モル比CaO/ROは 熔解性と耐失透性の指標となる。CaO/ROは好ましくは0.5〜1、より好ましくは0.7〜1、さらに好ましくは0.85超〜1、一層好ましくは0.88〜1、より一層好ましくは0.09〜1の範囲、さらに一層好ましくは0.92〜1、最も好ましくは0.95〜1である。これらの範囲とすることで、耐失透性と熔解性を両立することができる。さらに、低密度化を図ることができる。
ROとZnOとB2O3の合量であるRO+ZnO+B2O3は、少なすぎると、熔解性が低下する傾向がある。一方、多すぎると、歪点が低下する傾向がある。そこでRO+ZnO+B2O3は、好ましくは7〜30%が、より好ましくは12〜27%、より好ましくは14〜25mol%、さらに好ましくは17〜23mol%の範囲である。
の範囲である。
Li2O、Na2O及びK2Oの合量であるR2Oは、ガラスの塩基性度を高め、清澄剤の酸化を容易にして、清澄性を発揮させる成分である。また、比抵抗低下及び熔融温度を低下させ、熔解性を向上させる成分である。R2Oは、必須ではないが、含有させると、清澄性が向上して泡品質が良化する。また、熔解性が向上する。しかし、R2O含有量が多すぎると、ガラス基板から溶出してTFT特性を劣化させるおそれがある。また、熱膨張係数が増大する傾向がある。R2Oは、例えば0〜2mol%であり、好ましくは0〜0.8mol%、より好ましくは0.01〜0.5mol%、さらに好ましくは0.1〜0.3mol%である。
K2Oは、Li2OやNa2Oと比較して、分子量が大きいため、ガラス基板から溶出しにくい。そのため、R2Oを含有させる場合には、K2Oを含有させることが好ましい。つまり、K2O> Li2O及び/またはK2O> Na2Oであることが好ましい。Li2O及びNa2Oの割合が大きいと、ガラス基板から溶出してTFT特性を劣化させるおそれが強くなる。モル比K2O/R2Oは、好ましくは0.3〜1、より好ましくは0.5〜1、さらに好ましくは0.8〜1、一層好ましくは0.9〜1の範囲である。
<ガラス組成B(質量%表示)>
本発明を用いて製造されるガラス基板は、質量%表示で、SiO2 52〜78%、Al2O3 3〜25%、B2O3 0〜15%、RO(但し、ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 3〜20%、R2O(但し、R2OはLi2O、Na2O及びK2Oの合量) 0.01〜0.8%、Sb2O3 0〜0.3%、を含有し、As2O3は実質的に含有せず、質量比CaO/ROは0.65以上であり、質量比(SiO2+Al2O3)/B2O3は7〜30の範囲であり、質量比(SiO2+Al2O3)/ROは5以上であり、かつ歪点が688℃以上であってもよい。このとき、ガラスの熔解温度が高くなりすぎないように、B2O3 3〜15質量%としてもよい。
以下、歪点が688℃以上であるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の好ましいガラス組成Bについて、各ガラス成分を含有する理由及び含有量や組成比の範囲について説明する。
ガラス組成BにおけるSiO2の含有量は52〜78質量%の範囲である。
SiO2は、ガラスの骨格成分であり、従って、必須成分である。含有量が少なくなると、耐酸性が、耐BHF(バッファードフッ酸)および歪点が低下する傾向がある。また、熱膨張係数が増加する傾向がある。また、SiO2含有量が少なすぎると、ガラス基板を低密度化をするのが難しくなる。一方、SiO2含有量が多すぎると、ガラス融液の比抵抗が上昇し、熔融温度が著しく高くなり熔解が困難になる傾向がある。SiO2含有量が多すぎると、耐失透性が低下する傾向もある。このような観点から、SiO2の含有量は、52〜78質量%の範囲とする。SiO2の含有量は、好ましくは57〜75 質量%、より好ましくは58〜72質量%、さらに好ましくは59〜70質量%、一層好ましくは59〜69質量%、より一層好ましくは61〜69質量%、さらに一層好ましくは61〜68質量%、尚一層好ましくは62〜67質量%の範囲である。他方、SiO2含有量が多すぎると、ガラスのエッチングレートが遅くなる傾向がある。ガラス板をスリミングする場合の速度を示すエッチングレートが十分に速いガラス基板を得るという観点からは、SiO2の含有量は、好ましくは53〜75 質量%、より好ましくは55〜70質量%、さらに好ましくは55〜65質量%、一層好ましくは58〜63質量%の範囲である。尚、SiO2含有量は、上記耐酸性等の特性とエッチングレートの両方を考慮して適宜決定される。
ガラス組成BにおけるAl2O3の含有量は 3〜25質量%の範囲である。
Al2O3は、分相を抑制し、歪点を高くする必須成分である。含有量が少なすぎると、ガラスが分相しやすくなる。歪点が低下する。さらに、ヤング率及びエッチングレートも低下する傾向がある。Al2O3含有量が多すぎると、比抵抗が上昇する。また、ガラスの失透温度が上昇して、耐失透性が低下するので、成形性が悪化する傾向がある。このような観点から、Al2O3の含有量は3〜25質量%の範囲である。Al2O3の含有量は、好ましくは8〜25質量%、より好ましくは10〜23質量%、さらに好ましくは12〜20質量%、一層好ましくは14〜20質量%、尚一層好ましくは15〜20質量%、さらに尚一層好ましくは15〜19質量%の範囲である他方、エッチングレートが十分に速いガラス基板を得るという観点からは、Al2O3の含有量は、好ましくは8〜25質量%、より好ましくは10〜23質量%、さらに好ましくは14〜23質量%、一層好ましくは17〜22質量%である。尚、Al2O3の含有量は、上記ガラスが分相特性等とエッチングレートの両方を考慮して適宜決定される。
ガラス組成BにおけるB2O3は、0〜15質量%の範囲である。
B2O3は、ガラスの熔融温度に代表される高温粘性域における温度を低下させ、清澄性を改善する必須成分である。B2O3含有量が少なすぎると、熔解性、耐失透性及び耐BHFが低下する傾向にある。また、B2O3含有量が少なすぎると、比重が増加して低密度化が図りがたくなる。他方、B2O3含有量が多すぎると、比抵抗が上昇する。また、B2O3含有量が多すぎると、歪点が低下し、耐熱性が低下する。また、耐酸性及びヤング率が低下する傾向にある。また、ガラス熔解時のB2O3の揮発により、ガラスの不均質が顕著となり、脈理が発生しやすくなる。このような観点から、B2O3含有量は、0〜15質量%の範囲であり、好ましくは3〜13質量%、より好ましくは3〜11質量%未満、より好ましくは3〜10質量%未満、さらに好ましくは4〜9質量%、一層好ましくは5〜9質量%、尚一層好ましくは7〜9質量%の範囲である。他方、失透温度を十分に低下させるためには、B2O3含有量は、3〜15質量%の範囲であり、好ましくは5〜15質量%、よりましくは6〜13質量%、さらにましくは7〜11質量%未満である。尚、B2O3含有量は、上記熔解性等と失透温度の両方を考慮して適宜決定される。
ガラス組成BにおけるMgO、CaO、SrO及びBaOの合量であるROは、3〜20質量%の範囲である。
ROは、比抵抗を低下させ、熔解性を向上させる必須成分である。RO含有量が少なすぎると、比抵抗が上昇し、熔解性が悪化する。RO含有量が多すぎると、歪点及びヤング率が低下する。さらに、密度が上昇する。また、RO含有量が多すぎると、熱膨張係数が増大する傾向もある。このような観点から、ROは、3〜20質量%の範囲であり、好ましくは4〜16質量%、より好ましくは4〜15質量%、さらに好ましくは6〜14質量%、一層好ましくは7〜14質量%、より一層好ましくは7〜12質量%、尚一層好ましくは8〜11質量%の範囲である。
ガラス組成BにおけるR2O(但し、R2OはLi2O、Na2O及びK2Oの合量) 0.01〜0.8質量%を含有する。
Li2O、Na2O及びK2OであるR2Oは、ガラスの塩基性度を高め、清澄剤の酸化を容易にして、清澄性を発揮させる成分である。また、熔解性向上、比抵抗低下させる成分である。従って、R2Oを含有させると、比抵抗が低下し、清澄性が向上し、熔解性が向上する。しかし、R2O含有量が多すぎると、ガラス基板から溶出してTFT特性を劣化させる。また、熱膨張係数が増大する傾向がある。これらの観点から、R2Oの合量であるLi2O+Na2O+K2Oは0.01〜0.8質量%の範囲であり、好ましくは0.01〜0.6質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%、さらに好ましくは0.01〜0.4質量%、一層好ましくは0.01〜0.3質量%の範囲である。上記範囲における下限値0.01質量%は、好ましくは0.05質量%、より好ましくは0.1質量%である。
ガラス組成Bは、環境負荷を低減するという観点から、Sb2O3は0〜0.3質量%であることが好ましく、0〜0.1質量%であることがより好ましい。また、ガラス組成Bは、環境負荷をより低減するという観点から、Sb2O3は実質的に含有せず、かつAs2O3も実質的に含有しないことがさらに好ましい。本明細書において、「実質的に含有せず」とは、ガラス原料にこれら成分の原料となる物質を用いないことを意味し、他の成分のガラス原料に不純物として含まれる成分の混入を排除するものではない。
ガラス組成BにおいてCaO/ROは 熔解性と耐失透性の指標 の指標となる。CaO/ROは0.65以上であり、好ましくは0.65〜1、さらに好ましくは0.7〜1、一層好ましくは0.85〜1、より一層好ましくは0.9〜1、尚一層好ましくは0.95〜1の範囲である。これらの範囲とすることで、耐失透性と熔解性を両立することができる。さらに、低密度化を図ることができる。また、原料として、複数のアルカリ土類金属を含有させるよりも、CaOのみを含有させた方が歪点を高める効果が高い。アルカリ土類金属酸化物としてCaOのみを原料として含有させた場合、得られるガラスのCaO/ROの値は、例えば0.98〜1程度である。なお、アルカリ土類金属酸化物としてCaOのみを原料として含有させた場合でも、得られるガラスには、他のアルカリ土類金属酸化物が不純物として含まれる場合がある。
ガラス組成BにおいてB2O3に対するSiO2とAl2O3の合量である(SiO2+Al2O3)の質量比(SiO2+Al2O3)/B2O3は歪点と耐失透性の指標となる。(SiO2+Al2O3)/B2O3は好ましくは7〜30であり、より好ましくは8〜25であり、さらに好ましくは8.1〜20の範囲である。(SiO2+Al2O3)/B2O3が小さいほど歪点は低くなり、7未満では歪点は不十分であり、8以上、好ましくは8.1以上になると歪点を十分に高くすることができる。一方、(SiO2+Al2O3)/B2O3が大きいほど耐失透性が徐々に低下し、30を超えると極端に低下し、好ましくは25以下、より好ましくは23以下、さらに好ましくは20以下であれば十分な耐失透性が得られる。そのため、(SiO2+Al2O3)/B2O3は、好ましくは9.5〜16の範囲であり、より好ましくは9.8〜14であり、さらに好ましくは10〜12の範囲である。他方、失透温度を十分に低下させることに加えて、エッチングレートが十分に速いガラス基板を得ることも考慮すると、(SiO2+Al2O3)/B2O3は好ましくは7〜30であり、より好ましくは8〜25であり、さらに好ましくは8.2〜20であり、一層好ましくは8.4〜15であり、尚一層好ましくは8.5〜12である。
ガラス組成BにおいてROに対するSiO2とAl2O3の合量である(SiO2+Al2O3)の質量比(SiO2+Al2O3)/ROは比抵抗の指標となる。(SiO2+Al2O3)/ROは5以上である。この範囲にあることで、低温粘性特性温度(Tgや歪点)の向上と比抵抗の低減を両立することができる。また、低温粘性特性温度の向上と熔解性も両立することができる。(SiO2+Al2O3)/ROが5未満では、低温粘性特性温度(Tgや歪点)を十分に高くすることができない。である。(SiO2+Al2O3)/ROは、好ましくは5〜15の範囲であり、より好ましくは6〜13より好ましくは7.5〜12、さらに好ましくは8.1〜10の範囲である。なお、(SiO2+Al2O3)/ROを15以下にすることで、比抵抗が上昇しすぎることを抑制できる。他方、低温粘性特性温度を十分に高くすること等に加えて、エッチングレートが十分に速いガラス基板を得ることも考慮すると、(SiO2+Al2O3)/ROは、好ましくは6〜15であり、より好ましくは7〜15であり、さらに好ましくは7.5〜9.5の範囲である。
ガラス組成Bは、上記に加えて、以下のガラス組成および/または物性を有することが好ましい。
ガラス組成BにおいてSiO2とAl2O3の合量であるSiO2+Al2O3は少なすぎると、歪点が低下する傾向があり、多すぎると、比抵抗が上昇し、耐失透性が悪化する傾向がある。そのためSiO2+Al2O3は、75質量%以上であることが好ましく、より好ましくは75質量%〜87質量%であり、さらに好ましくは75質量%〜85質量%であり、一層好ましくは78質量%〜83質量%である。歪点をさらに高くするという観点からは、より好ましくは78質量%以上、さらに好ましくは79〜87質量%、一層好ましくは80〜85質量%である。
ガラス組成BにおいてMgOは比抵抗を低下させ、熔解性を向上させる成分である。また、アルカリ土類金属の中では比重を増加させにくい成分であるので、その含有量を相対的に増加させると、低密度化を図りやすくなる。必須ではないが、含有させることで、熔解性を向上し、かつ切粉の発生を抑制できる。但し、MgOの含有量が多すぎると、ガラスの失透温度が急激に上昇するため、成形性が悪化(耐失透性が低下)する。また、MgOの含有量が多すぎると、耐BHF低下、耐酸性低下の傾向がある。特に、失透温度を低下させたい場合には、MgOは実質的に含有させないことが好ましい。このような観点から、MgO含有量は、好ましくは0〜15質量%、より好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%、一層好ましくは0〜4質量%、より一層好ましくは0〜3質量%、さらに一層好ましくは0〜2未満、尚一層好ましくは0〜1質量%であり、最も好ましくは実質的に含有しないことである。
ガラス組成BにおいてCaOは、比抵抗を低下させる成分であり、ガラスの失透温度を急激に上げることなくガラスの熔解性を向上させるのにも有効な成分である。また、アルカリ土類金属の中では比重を増加させにくい成分であるので、その含有量を相対的に増加させると、低密度化を図りやすくなる。必須ではないが、含有させることで、ガラス融液の比抵抗低下および熔融温度(高温粘性)低下による熔解性向上及び失透性改善をできるので、CaOは含有させることが好ましい。CaO含有量が多すぎると、歪点が低下する傾向にある。また、熱膨張係数が増加する傾向があり、さらに密度が上昇する傾向がある。CaO含有量は、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは2〜15質量%、一層好ましくは3.6〜15質量%、より一層好ましくは4〜14質量%、さらに一層好ましくは5〜12質量%、尚一層好ましくは5〜11質量%、さらに尚一層好ましくは5〜10質量%、さらに尚一層好ましくは6超〜10質量%、最も好ましくは6超〜9質量%の範囲である。
ガラス組成BにおいてSrOは、比抵抗を低下させ、熔解性を向上させる成分である。SrOは、必須ではないが、含有させると、耐失透性及び熔解性が向上する。SrO含有量が多すぎると、密度が上昇してしまう。SrO含有量は、好ましくは0〜15質量%、より好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜3質量%、一層好ましくは0〜2質量%、さらに一層好ましくは0〜1質量%、尚一層好ましくは0〜0.5質量%の範囲である。ガラスの密度を低下させたい場合には、SrOは実質的に含有させないことが好ましい。
ガラス組成BにおいてBaOは、比抵抗を低下させ、熔解性を向上させる成分である。BaOは、必須ではないが、含有させると、耐失透性及び熔解性が向上する。また、熱膨張係数及び密度も増大してしまう。BaO含有量は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜1.5 質量%未満、さらに好ましくは0〜1質量%、一層好ましくは0〜0.5質量%未満、尚一層好ましくは0〜0.1質量%未満である。BaOは、環境負荷の問題から、実質的に含有させないことが好ましい。
ガラス組成BにおいてSrOとBaOは、比抵抗を低下させ、熔解性を向上させる成分である。必須ではないが、含有させると、耐失透性及び熔解性は向上する。しかし、含有量が多すぎると、密度が上昇してしまう。SrOとBaOの合量であるSrO+BaOは、密度を低減し、軽量化するという観点から、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜3.4質量%未満、さらに好ましくは0〜3質量%、一層好ましくは0〜2質量%、さらに一層好ましくは0〜1質量%、尚一層好ましくは0〜0.5質量%、さらに尚一層好ましくは0〜0.1質量%未満の範囲である。ガラス基板の密度を低下させたい場合には、SrOとBaOは、実質的に含有させないことが好ましい。
ガラス組成BにおいてLi2O及びNa2Oは、比抵抗低下させ、熔解性を向上させる成分であるが、ガラス基板から溶出してTFT特性を劣化させたり、ガラスの熱膨張係数を大きくして熱処理時に基板を破損したりするおそれのある成分であるため、Li2O及びNa2Oの合量は、好ましくは0〜0.2質量%、より好ましくは0〜0.1質量%、さらに好ましくは0〜0.05質量%、一層好ましくは実質的に含有しない
ガラス組成BにおいてK2Oは、ガラスの塩基性度を高め、清澄剤の酸化を容易にして、清澄性を発揮させる成分である。また、比抵抗低下させ、熔解性を向上させる成分である。必須ではないが、含有させると、比抵抗は低下し、熔解性は向上する。さらに、清澄性も向上する。
K2O含有量が多すぎると、ガラス基板から溶出してTFT特性を劣化させる傾向がある。また、熱膨張係数も増大する傾向がある。K2O含有量は、好ましくは0.01〜0.8質量%、より好ましくは0.05〜0.7質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%、一層好ましくは0.1〜0.5質量%、より一層好ましくは0.1〜0.4質量%、さらに一層好ましくは0.1〜0.3質量%の範囲である。
K2Oは、Li2OやNa2Oと比較して、分子量が大きいため、ガラス基板から溶出しにくい。そのため、R2Oを含有させる場合には、K2Oを含有させることが好ましい。つまり、K2Oは、Li2Oよりも高い比率で含有される(K2O>Li2Oを満たす)ことが好ましい。K2Oは、Na2Oよりも高い比率で含有される(K2O>Na2Oを満たす)ことが好ましい。Li2O及びNa2Oの割合が大きいと、ガラス基板から溶出してTFT特性を劣化させる傾向が強くなる。質量比K2O/R2Oは、好ましくは0.5〜1であり、より好ましくは0.6〜1であり、さらに好ましくは0.7〜1、一層好ましくは0.75〜1、さらに一層好ましくは0.8〜1、より一層好ましくは0.9〜1、より一層好ましくは0.95〜1、より一層好ましくは0.99〜1の範囲である。
ガラス組成BにおいてZrO2およびTiO2は、ガラスの化学的耐久性および耐熱性を向上させる成分である。ZrO2およびTiO2は、必須成分ではないが、含有させることでTgや歪点(低温粘性特性温度)の上昇および耐酸性向上を実現できる。しかし、ZrO2量およびTiO2量が多くなりすぎると、失透温度が著しく上昇するため、耐失透性および成形性が低下する場合がある。特に、ZrO2は、冷却過程でZrO2の結晶を析出する場合があり、これがインクルージョンとしてガラスの品質悪化を引き起こすことがある。以上の理由から、ガラス組成Bでは、ZrO2およびTiO2の含有率は、それぞれ、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%未満がさらに好ましく、0.2質量%未満がさらに一層好ましい。さらに好ましくは、ガラス組成Bが、ZrO2およびTiO2を実質的に含有しないことである。言い換えると、ZrO2およびTiO2の含有率は、それぞれ、0〜5質量%が好ましく、0〜3質量%がより好ましく、0〜2質量%がさらに好ましく、0〜1質量%がさらに好ましく、0〜0.5質量%未満がさらに好ましく、0〜0.2質量%未満がさらに一層好ましい。さらに好ましくは、ガラス組成Bが、ZrO2およびTiO2を実質的に含有しないことである。
ガラス組成BにおいてZnOは、耐BHF性や熔解性を向上させる成分である。但し、必須ではない。
ZnO含有量が多くなりすぎると、失透温度及び密度が上昇する傾向がある。また、歪点が低下する傾向がある。そのため、ZnO含有量は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜3質量%、さらに好ましくは0〜2質量%、一層好ましくは0〜1質量%の範囲である。ZnOは実質的に含有しないことが好ましい。
ガラス組成BにおいてROとB2O3の合量であるRO+B2O3は、清澄性の指標となる。RO+B2O3が少なすぎると、ガラスの高温粘性が上昇し、清澄性が低下する。一方、多すぎると、歪点が低下する。RO+B2O3は、好ましくは20質量%未満、より好ましくは5〜20質量%未満、さらに好ましくは10〜20質量%未満、一層好ましくは14〜20質量%未満、より一層好ましくは15〜19質量%の範囲である。他方、失透温度を十分に低下させるためには、RO+B2O3は、好ましくは30質量%未満、より好ましくは10〜30質量%未満、さらに好ましくは14〜30質量%未満、一層好ましくは14〜25質量%未満、より一層好ましくは15〜23質量%の範囲である。尚、RO+B2O3は、清澄性等と失透温度の両方を考慮して適宜決定される。
ガラス組成BにおいてP2O5は、熔融温度(高温粘性)を低下させ、熔解性を向上させる成分である。但し、必須ではない。
P2O5含有量が多すぎると、ガラス熔解時のP2O5の揮発により、ガラスの不均質が顕著となり、脈理が発生しやすくなる。また、耐酸性が著しく悪化する。また、乳白が生じやすくなる。P2O5含有量は、好ましくは0〜3質量%、より好ましくは0〜1質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%の範囲であり、実質的に含有しないことが特に好ましい。
ガラス組成BにおいてB2O3とP2O5の合量であるB2O3+P2O5は、熔解性の指標となる。B2O3+P2O5が少なすぎると、熔解性が低下する傾向がある。多すぎると、ガラス熔解時のB2O3とP2O5の揮発により、ガラスの不均質が顕著となり、脈理が発生しやすくなる。また、歪点が低下する傾向もある。B2O3+P2O5は、好ましくは3〜15質量%、より好ましくは4〜10質量%、さらに好ましくは5〜9質量%、一層好ましくは7〜9質量%の範囲である。他方、失透温度を十分に低下させるためには、B2O3+P2O5は、好ましくは3〜15質量%であり、好ましくは5〜15質量%、よりましくは6〜13質量%、さらにましくは7〜11質量%未満である。尚、B2O3+P2O5は、熔解性等と失透温度の両方を考慮して適宜決定される。
ガラス組成BにおいてCaO/B2O3は熔解性と耐失透性の指標となる。CaO/B2O3は、好ましくは0.6以上であり、より好ましくは0.7〜5、さらに好ましくは0.9〜3、一層好ましくは1.0〜2、より一層好ましくは1.1〜1.5の範囲である。これらの範囲とするで、耐失透性と熔解性を両立することができる。
ガラス組成BにおいてSiO2の含有量からAl2O3の含有量の1/2を引いた差であるSiO2-1/2Al2O3の値を、60質量%以下とすることにより、ガラスのスリミングを行うために十分なエッチングレートを有するガラス基板を得ることができるので好ましい。なお、エッチングレートを高くするために、SiO2-1/2Al2O3の値を小さくしすぎると、失透温度が上昇してしまう傾向がある。また、歪点を十分に高くできない場合もあるため、SiO2-1/2Al2O3の値が40質量%以上であることが好ましい。以上のことから、SiO2-1/2Al2O3の値が40〜60質量%であることが好ましく、45〜60質量%であることがより好ましく、45〜58質量%であることがさらに好ましく、45〜57質量%であることが一層好ましく、45〜55質量%であることがより一層好ましく、49〜54質量%であることがさらに一層好ましい。
また、生産性よくエッチング(スリミング)を行うために、ガラス組成Bを構成するガラスはエッチングレートが50μm/h以上であることが好ましい。一方、過度にエッチングレートが高いと、パネル作製工程での薬液との反応で不都合が生じる虞があるため、ガラス基板を構成するガラスのエッチングレートは160μm/h以下であることが好ましい。エッチングレートは好ましくは60〜140μm/h、より好ましくは65〜130μm/h、より好ましくは70〜120μm/hである。本発明においては、上記エッチングレートは以下の条件で測定したものと定義する。
エッチングレート(μm/h)は、ガラス基板をHFの割合が1mol/kg、HClの割合が5mol/kgの混酸の40℃のエッチング液に1時間浸漬した場合の、単位時間(1時間)当たりのガラス基板の一方の表面の厚み減少量(μm)として表す。
ガラス組成Bを構成するガラスは清澄剤を含むことができる。清澄剤としては、環境への負荷が小さく、ガラスの清澄性に優れたものであれば特に制限されないが、例えば、Sn、Fe、Ce、Tb、MoおよびWの金属酸化物の群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。清澄剤としては、SnO2が好適である。清澄剤の添加量は、少なすぎると、泡品質が悪化し、含有量が多くなりすぎると、失透や着色などの原因となる場合がある。清澄剤の添加量は、清澄剤の種類やガラスの組成にもよるが、例えば、0.05〜1質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%、より好ましくは0.1〜0.4質量%の範囲とすることが適当である。
ガラス組成Bを構成するガラスはFe2O3を含有することもできる。Fe2O3含有量は、0〜1質量%の範囲である。Fe2O3は、清澄剤としての働きを有する以外に、ガラスの比抵抗を低下させる作用もある。高温粘性が高く、難融なガラスにおいては、Fe2O 3を含有させることで、ROによるガラスの比抵抗を低下させる作用に加えて、ガラスの比抵抗を低下させることができる。さらに、Fe2O3はガラスの比抵抗を低下させ、熔解性を向上させる効果に加えて、清澄性を向上させる効果がある。しかし、Fe2O3含有量が多くなりすぎると、ガラスが着色し、透過率が低下し、低粘特性温度も低下する。そこで、Fe2O3含有量は、0〜1質量%の範囲であり、好ましくは0〜0.5質量%、より好ましくは0.001〜0.2質量%、さらに好ましくは0.01〜0.1質量%、一層好ましくは0.02〜0.07質量%の範囲である。Fe2O3を清澄剤として使用する場合はSnO2との併用が好ましい。
ガラス組成Bを構成するガラスはPbO及びFは実質的に含有しないことが好ましいPbO及びFは環境上の理由から含まないことが好ましい。
ガラス組成Bを構成するガラスは、清澄剤として金属酸化物を使用することが好ましい。前記金属酸化物の清澄性を高めるためには、ガラスを酸化性にすることが好ましくが、還元性の原料(例えば、アンモニウム塩、塩化物)を使用することで、前記金属酸化物の清澄性は低下する。前記還元性の原料を用いるとガラス中にNH4 +やClが残存するという観点からNH4 +の含有量が4×10-4%未満であることが好ましく、0〜2×10-4%未満であることがよりに好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。また、本発明のガラスは、Clの含有量が0.1%未満であることが好ましく、0〜0.1%未満であることがよりに好ましく、0〜0.05%未満であることがさらに好ましく、0〜0.01%未満であることが一層に好ましく、実質的に含有しないことが尚一層好ましい。なお、上記NH4+及びClは清澄効果を期待して、アンモニウム塩および塩化物(特に塩化アンモニウム)としてガラス原料に用いられることでガラス中に残存する成分であるが、環境上および設備腐食の理由からも、これらの原料の使用は好ましくない。
ガラス基板は、歪点やTgで代表される低温粘性特性温度が低いと、熱処理工程(ディスプレイ製造時)において熱収縮が大きくなる。ガラス組成Bを構成するガラスの歪点[℃]は、688℃以上、好ましくは690℃以上、より好ましくは695℃以上、さらに好ましくは700℃以上である。ガラスの歪点は、上記ガラス組成Bのガラスの組成の説明を参照して、ガラス組成を調整することで、所望の値にすることができる。低温粘性特性という観点からは、本発明のガラスの歪点[℃]の上限はないが、実用上の目安としては例えば、750℃以下であり、好ましくは745℃以下、より好ましくは740℃以下である。但し、この上限に限定される意図ではない。
熱収縮率(量)が大きくなり過ぎると、画素の大きなピッチズレを引き起こし、高精細なディスプレイを実現できなくなる。熱収縮率を所定範囲に制御するためには、ガラス基板の歪点を680℃以上にすることが好ましい。なお、熱収縮率を0ppmにしようとすると、徐冷工程の冷却速度を極めて低減することや、上述した徐冷工程とは別に熱収縮低減処理工程を設ける必要がある。具体的には、後述する切断工程の後に熱収縮低減処理工程を設けることで、熱収縮率を低減することができる(オフラインアニール)。しかし、徐冷工程の冷却速度を極めて低減することや徐冷工程とは別に熱収縮低減処理工程を設けると、生産性が低下し、コストが高騰してしまう。生産性及びコストを鑑みると、熱収縮率が、好ましくは3〜75ppm、より好ましくは5〜60ppm、さらに好ましくは8〜55ppm、一層好ましくは8〜50ppm、より一層好ましくは10〜48ppm、さらに一層好ましくは10〜45ppm未満、尚一層好ましくは15〜43ppmである。
尚、熱収縮率は、昇降温速度が10℃/min、550℃で1時間保持の熱処理を2回施された後の下記式で示される。より詳細には、常温から10℃/minで昇温し、550℃で1時間保持し、その後、10℃/分で常温まで降温し、再び10℃/分で昇温し、550℃で1時間保持し、10℃/分で常温まで降温する。
熱収縮率(ppm)={熱処理前後のガラスの収縮量/熱処理前のガラスの長さ}×106
本発明で製造されるガラス基板を構成するガラスは歪点が680℃以上である。前記歪点は、688℃以上が好ましく、690℃以上がより好ましく、700℃以上がさらに好ましい。歪点が高いほど熱収縮率が小さいガラス基板を製造することができる。前述のように、ガラス組成Aは、歪点が680℃以上であり、ガラス組成Bは、歪点が688℃以上である。
本発明で製造されるガラス基板を構成するガラスは熔融温度(ガラス粘度が102.5dP・sのときのガラス温度)が、1570℃〜1660℃であることが好ましい。熔融温度は、1585℃〜1660℃の範囲であると本発明の効果が顕著となり、1600℃〜1660℃の範囲であると本発明の効果がより顕著となる。
以上、本発明のガラス基板をLTPS・TFTフラットパネルディスプレイ用ガラス基板を例に説明したが、本発明のガラス基板は、酸化物半導体薄膜トランジスタ(以下、OS・TFT(Oxide-Semiconductor Thin-Film-Transistor)と記載する)フラットパネルディスプレイ用のガラスとしても用いることかできる。即ち、本発明のガラス基板は、基板表面にOS・TFTを形成して製造されるフラットディスプレイに用いることもできる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定される意図ではない。
実施例
ガラス基板が下記で示す組成を有するように調整されたガラス原料を直接通電加熱及びガスバーナを用いて第1の温度1631〜1634℃で熔融した後、第1の温度より低い第2の温度1594〜1598まで冷却した。次に、熔融ガラスを第2の温度より高い第3の温度1665〜1667℃まで加熱して清澄を行った後、オーバーフローダウンドロー法により板状ガラスに成形した。その後、徐冷、切断することでガラス基板を製造した。ガラスの歪点は709℃、ガラス融液の1550℃における比抵抗が、195Ω・cmであった。
組成:モル%表示(括弧内は質量%表示)で、
SiO2 70.5%(65.1質量%)、
Al23 10.9%(17.1質量%)、
23 7.4%(7.9質量%)、
CaO 10.9%(9.4質量%)、
2O 0.18%(0.26質量%)
SnO2 0.1%(0.2質量%)
Fe23 0.02%(0.05質量%)。
実施例で製造したガラス基板の泡含有量は0.03個/kg以下であり、未熔解物も検出されなかった。
なお、表1に記載された組成となるように製造したガラス基板の泡含有量も同様の効果を得られた。
Figure 2014108905
比較例
第1の温度が1580℃〜1584℃であり、第2の温度が1547〜1549℃であり、第3の温度が1634〜1637℃である点を除き、実施例と同様の方法でガラス基板を製造した。その結果、ガラス基板の泡含有量は2個/kg以上であり、未熔解物も0.5個/kg以上検出された。
本発明は、ガラス基板の製造に関する分野に有用である。

Claims (7)

  1. SnO2を含有し、ガラス基板が歪点680℃以上となるように調整されたガラス原料を第1の温度1585℃〜1640℃で熔融して熔融ガラスとする熔解工程と、
    前記熔融ガラスを前記第1の温度より低い第2の温度T2まで冷却する工程と、
    前記熔融ガラスを前記第1の温度より高い第3の温度T3まで加熱する清澄工程と、
    前記熔融ガラスを板状ガラスに成形する成形工程と、を含むガラス基板の製造方法。
  2. 前記ガラス基板は、モル%表示で、
    SiO2 60〜78%、
    Al23 3〜20%、
    23 0〜15%、
    RO(MgO、CaO、SrO、BaOの合量) 3〜25%、及び
    SnO2 0.01〜0.2%を含有し、
    歪点:680℃以上である、請求項1記載のガラス基板の製造方法。
  3. 前記ガラス基板は、アルカリ金属酸化物(Li2O,Na2O,K2Oの合量)の含有量が0〜2mol%である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記ガラス基板は、質量%表示で、
    SiO2 52〜78%、
    Al2O3 3〜25%、
    B2O3 0〜15%、
    RO(但し、ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量) 3〜20%、
    R2O(但し、R2OはLi2O、Na2O及びK2Oの合量) 0.01〜0.8%、
    Sb2O3 0〜0.3%、
    を含有し、As2O3は実質的に含有せず、
    質量比CaO/ROは0.65以上であり、質量比(SiO2+Al2O3)/B2O3は7〜30の範囲であり、
    質量比(SiO2+Al2O3)/ROは5以上であり、かつ歪点が688℃以上である、請求項1記載のガラス基板の製造方法。
  5. 前記第2の温度T2は、1550℃〜1660℃である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  6. 前記第3の温度T3は、1640℃以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  7. 前記熔融工程は、少なくとも直接通電加熱を用いてガラス原料を熔解する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
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