以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1を参照し、本発明に係る搬送装置を有する記録装置の第1実施形態としてのインクジェットプリンタ1の全体構成について説明する。
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部4が設けられている。筐体1aの内部空間は、上から順に空間A,Bに区分されている。空間A,Bには、給紙部23から排紙部4に向かう用紙搬送経路と、当該用紙搬送経路の下流側から上流側に向かう用紙再送経路とが形成されている。用紙Pは、図1に示されるように、用紙搬送経路では黒太矢印に沿って搬送され、用紙再送経路では白抜き太矢印に沿って搬送される。空間Aでは、用紙Pへの画像記録、用紙Pの排紙部4への搬送、及び、用紙Pの再送が行われる。空間Bでは、給紙部23から用紙搬送経路への給紙が行われる。
空間Aには、ブラックインクを吐出するヘッド(記録ヘッド)2、及び、搬送装置3等が配置されている。また、空間Aには、図示しないカートリッジが装着されている。このカートリッジには、ブラックインクが貯留されている。カーリッジは、チューブ及びポンプ(ともに図示せず)を介してヘッド2と接続され、インクがヘッド2に供給される。
ヘッド2は、主走査方向に長尺な略直方体形状を有するライン式のヘッドである。ヘッド2の下面は、多数の吐出口が開口した吐出面2aである。記録に際して、吐出面2aからブラックインクが吐出される。ヘッド2は、ヘッドホルダ2bを介して筐体1aに支持されている。ヘッドホルダ2bは、吐出面2aがプラテン3d(後述する)との間に記録に適した所定の間隙が形成されるように、ヘッド2を保持している。
搬送装置3は、上流ガイド部3a、下流ガイド部3b、再送ガイド部3c、プラテン3d、及び、制御装置100を有している。プラテン3dは、ヘッド2の吐出面2aと対向する位置に配置されている。プラテン3dは、平坦な上面を有しており、用紙Pを下方から支持するとともに、吐出面2aとの間に記録領域(用紙搬送経路の一部)を構成する。上流ガイド部3a,下流ガイド部3bは、プラテン3dを挟んで配置されている。上流ガイド部3aは、3つのガイド31〜33と、2つの搬送ローラ対41,42と、斜行補正機構50(後述する)とを有し、記録領域(プラテン3dとヘッド2との間)と、給紙部23とを繋ぐ。2つの搬送ローラ対41,42は、制御装置100の制御によって搬送モータ41M,42M(図4参照)が駆動されることで回転し、用紙Pを記録領域に向けて搬送する。
下流ガイド部3bは、2つのガイド34、35と、3つの搬送ローラ対43〜45とを有し、記録領域と排紙部4とを繋ぐ。3つの搬送ローラ対43〜45は、制御装置100の制御によって搬送モータ43M〜45M(図4参照)が駆動されることで回転し、用紙Pを排紙部4に向けて搬送する。用紙搬送経路は、5つのガイド31〜35、斜行補正機構50、プラテン3d及びヘッド2によって規定されている。
再送ガイド部3cは、4つのガイド36〜39と、3つの搬送ローラ対46〜48とを有し、記録領域を迂回して上流ガイド部3aと下流ガイド部3bとを繋ぐ。ガイド36は、ガイド34の途中部位に接続され、再送ガイド部3cと下流ガイド部3bとを繋いでいる。ガイド39は、ガイド31の途中部位に接続され、再送ガイド部3cと上流ガイド部3aとを繋いでいる。用紙再送経路は、4つのガイド36〜39によって規定されている。3つの搬送ローラ対46〜48は、隣接する2つのガイド36〜39間にこの順で配置されている。また、3つの搬送ローラ対46〜48は、制御装置100の制御によって搬送モータ46M〜48M(図4参照)が駆動されることで回転し、用紙Pを上流ガイド部3aに向けて搬送する。
なお、搬送ローラ対44は、制御装置100の制御によって、用紙Pの搬送方向を切り換える。つまり、搬送ローラ対44は、用紙Pを記録領域から排紙部4へと搬送する場合は、用紙Pが上方へ搬送されるように回転する。一方、搬送ローラ対44は、用紙Pを用紙搬送経路から用紙再送経路へと搬送する場合は、用紙Pの後端がガイド34とガイド36との接続箇所と搬送ローラ対44との間にあるときであって用紙センサ27で検知されたときに、用紙Pの後端が先端として下方へ搬送されるように、その回転方向が切り換えられる。用紙搬送経路から用紙再送経路に搬送されてきた用紙Pは、上流ガイド部3aに再送される。このとき、再送される用紙Pは、直前の記録領域を通過したときとはその表裏が反転した状態で当該記録領域に再び搬送される。こうして、用紙Pの両面に画像を記録することが可能となる。このように再送ガイド部3c及び搬送ローラ対44によって再送機構が構成されている。
制御装置100は、斜行補正機構50のみならず、プリンタ1各部の動作も制御してプリンタ1全体の動作を司る。制御装置100は、外部装置(プリンタ1と接続されたPC等)から供給された記録指令に基づいて、記録動作を制御する。ここで記録動作とは、プリンタ1の各部による用紙Pの搬送動作、及び、用紙Pの搬送に同期したインクの吐出動作等をいう。
空間Bには、給紙部23が配置されている。給紙部23は、給紙トレイ24及び給紙ローラ25を有する。このうち、給紙トレイ24が、筐体1aに対して着脱可能となっている。給紙トレイ24は、上方に開口する箱であり、複数の用紙Pを収容可能である。給紙ローラ25は、制御装置100の制御によって給紙モータ25M(図4参照)が駆動されることで回転し、給紙トレイ24内で最も上方にある用紙Pを送り出す。
ここで、副走査方向とは、搬送ローラ対42,43,61〜63によって搬送される用紙搬送方向D、及び、搬送ローラ対47,48によって搬送される用紙搬送方向Eと平行な方向であり、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
次に、図2及び図3を参照しつつ、斜行補正機構50について、詳細に説明する。斜行補正機構50は、図1に示すように、ガイド32とガイド33との間に搬送されてきた用紙Pの先端辺が主走査方向に平行になるように、用紙Pの傾きを補正する。斜行補正機構50は、図2及び図3に示すように、2つのガイド51,52と、3組の搬送ローラ対61〜63と、第1補正機構70と、第2補正機構80と、斜行検知部54と、変更機構90とを有している。各ガイド51,52は、隣接する搬送ローラ対61〜63間にそれぞれ配置されており、用紙搬送経路の一部を規定している。3組の搬送ローラ対61〜63は、制御装置100の制御によって搬送モータ61M〜63M(図4参照)が駆動されることで回転し、用紙Pを搬送方向Dに搬送する。なお、図2においては、2つのガイド51,52を省略している。なお、斜行補正機構50は搬送ローラ対61を有していなくても良い。
搬送ローラ対61は、図2及び図3に示すように、2つのローラ61a,61bと、ローラ61aを支持する軸部材61cと、ローラ61bを支持する軸部材61dとを有する。これら軸部材61c,61dは、主走査方向に延在している。各ローラ61a,61bも、主走査方向に沿って延在しており、その主走査方向の中心が用紙P(図2中2点鎖線で示す用紙P)の主走査方向の中心と一致する位置に配置されている。ローラ61aは、図示しない付勢機構によって、ローラ61bに近づく方向に付勢されている。これにより、搬送ローラ対61で用紙Pを挟持することが可能となる。この構成において、制御装置100の制御により、搬送モータ61M(図4参照)の回転力が軸部材61cに伝達されることで、ローラ61aが軸部材61cを中心に回転し、搬送ローラ対61で用紙Pの搬送が可能となる。なお、ローラ61bは、用紙Pの搬送に伴って軸部材61dを中心に回転する、従動ローラである。
搬送ローラ対62は、図2及び図3に示すように、2つのローラ62aと、各ローラ62aと対向する2つのローラ62bと、2つのローラ62aを支持する軸部材62cと、2つのローラ62bを支持する軸部材62dとを有する。これら軸部材62c,62dは、主走査方向に延在している。2つのローラ62aは、主走査方向に沿って互いに離隔して配置されている。2つのローラ62bも、ローラ62aと同様に、主走査方向に沿って互いに離隔して配置されている。各ローラ62a,62bは、主走査方向に関して、ローラ61a,61bよりも短い。2つのローラ62aは、図示しない付勢機構によって、ローラ62bに近づく方向に付勢されている。これにより、搬送ローラ対62で用紙Pを挟持することが可能となる。この構成において、制御装置100の制御により、搬送モータ62Mの回転力が軸部材62cに伝達されることで、ローラ62aが軸部材62cを中心に回転し、搬送ローラ対62で用紙Pの搬送が可能となる。なお、ローラ62bは、用紙Pの搬送に伴って軸部材62dを中心に回転する、従動ローラである。
搬送ローラ対63は、図2及び図3に示すように、2つのローラ63aと、各ローラ63aと対向する2つのローラ63bと、2つのローラ63aを支持する軸部材63cと、2つのローラ63bを支持する軸部材63dとを有し、搬送ローラ対62とほぼ同様な構成を有している。このため、搬送ローラ対63の詳細の説明を省略する。この構成において、制御装置100の制御により、搬送モータ63Mの回転力が軸部材63cに伝達されることで、ローラ63aが軸部材63cを中心に回転し、搬送ローラ対63で用紙Pの搬送が可能となる。なお、ローラ63bは、用紙Pの搬送に伴って軸部材63dを中心に回転する、従動ローラである。
斜行検知部(検知部材)54は、図2に示すように、搬送方向Dに関して、搬送ローラ対62,63間であって、第1補正機構70と第2補正機構80との間に配置されている。また、斜行検知部54は、主走査方向に関して互いに離隔して配置された2つのセンサ55を有する。これら2つのセンサ55は、搬送方向と直交する直交方向(主走査方向)に関して、用紙Pの先端辺の両端近傍と対向可能な位置に配置されている。各センサ55は、発光素子55aと受光素子55bとを有するフォトセンサで構成されている。発光素子55aはガイド52の上側部分に固定され、受光素子55bはガイド52の下側部分に固定されており、両者間に用紙Pが搬送され、発光素子55aからの光を遮ることで、用紙Pの部分先端辺(直交方向に関する端部の先端辺)を検知する。2つのセンサ55は、この用紙Pの部分先端辺の検知信号を制御装置100に出力する。具体的には、用紙Pの先端辺が副走査方向に平行、すなわち、斜行していない場合は、2つセンサ55が同時に用紙Pを検知し、同じ検知タイミングで検知信号を制御装置100に出力する。一方、用紙Pが斜行している場合は、2つのセンサ55が互いに異なるタイミングで用紙Pを検知し、それぞれの検知タイミングで検知信号を制御装置100に出力する。
第1補正機構70は、当接部材71と、付勢部材72と、固定部材73と、規制部材74とを有している。当接部材71は、軸部71aと、2つの突出部71b,71cとを有する。軸部71aは、主走査方向に沿って延在しており、当該方向に延在する軸線を構成する。軸部71aは、その両端が筐体1aに回転可能に支持されている。2つの突出部71b,71cは、軸部71aの外周側面から互いに反対方向に突出して形成されている。突出部71bは、L字状の断面形状を有しており、その先端面には用紙Pと当接可能な平坦な当接面75(第1当接面)が形成されている。突出部71cは、その長さが突出部71bよりも短く形成されている。
当接部材71は、軸部71aを中心として回動することで、第1当接位置と第1退避位置とを選択的に取る。第1当接位置は、図3に示す位置であり、当接面75が鉛直方向に平行に配置される位置である。また、第1当接位置は、当接面75が搬送ローラ対62の軸部材62c,62dよりも搬送方向上流に配置される位置であって、搬送方向に関して当接面75がローラ62a,62bと重なる位置である。また、第1当接位置は、当接面75が搬送経路を塞ぐ位置である。第1退避位置は、図5に示す位置であり、当接面75が用紙Pを通過させることが可能な位置である。また、第1退避位置は、当接面75が搬送経路から退避する位置である。
固定部材73は、筐体1aに固定されている。付勢部材(第1付勢部材)72は、コイルバネから構成されている。付勢部材72は、図3に示すように、一端(図中右端)が突出部71cに、他端(図中左端)が固定部材73に固定されている。また、付勢部材72は、当接部材71が第1当接位置にあるときに、突出部71cを規制部材74に向けて付勢する付勢力を有する。これにより、当接部材71が、付勢部材72によって第1退避位置から第1当接位置に向かって付勢される。本実施形態における付勢部材72の付勢力は、普通紙の先端辺が副走査方向に平行な状態で、当接面75に当接することで生じる用紙Pの腰の強さによって、当接面75が第1当接位置から第1退避位置に移動することが可能な程度の付勢力に設定されている。換言すると、付勢部材72の付勢力は、普通紙の先端辺が副走査方向に平行な状態で、当接面75に当接した場合に、当接面75が第1当接位置から第1退避位置に移動することが可能な程度の付勢力に設定されている。付勢部材72の付勢力は、普通紙以下の厚みを有する用紙Pに対して斜行補正の効果が高くかつジャムが発生しにくくなるように、プリンタ1を用いた実験によって求める。例えば、普通紙(用紙P)が斜行した状態で当接面75に当接した場合、当接面75は付勢部材72によって第1当接位置に保持される。この状態で当該普通紙の搬送が継続されると、普通紙の先端辺は、副走査方向に平行となるように、当接面75との接触点を中心に回動する。そして、普通紙の先端辺が副走査方向と平行となるときには、斜行時におけるよりも当接面75の多くの領域を押圧する。すなわち、普通紙の先端辺全体が当接面75に当接する。このとき、普通紙の先端辺全体が当接面75を押圧する力が、第1押圧力(付勢部材72による付勢力に抗して当接部材71を第1退避位置に移動させるのに必要な力)よりも大きくなる。普通紙の先端辺全体が当接面75を押圧することによって、当接面75が第1当接位置から第1退避位置に移動し、斜行が補正された状態で普通紙が搬送される。なお、第1押圧力は、付勢部材72の付勢力及び当接部材71の摺動抵抗などによって決まる。ここで、用紙の腰とは、剛度のことをいう。剛度とは、用紙に曲げの力を与えたときの抵抗性を表す。用紙の剛度は、坪量や厚さが大きいほど高くなる。
規制部材74は、図3に示すように、筐体1aに固定されている。規制部材74は、当接部材71が第1当接位置にあるときに、突出部71cの先端部を付勢部材72と挟む位置であって当該先端部と当接する位置に配置されている。これにより、当接部材71の移動を規制し、当接部材71を第1当接位置に位置づける。
第2補正機構80は、当接部材81と、付勢部材82と、規制部材84とを有している。当接部材81は、軸部81aと、2つの突出部81b,81cとを有しており、当接部材71とほぼ同様な構成である。このため、詳細の説明を省略する。なお、突出部81bの先端面には、用紙Pと当接可能な平坦な当接面85(第2当接面)が形成されている。
当接部材81は、軸部81aを中心として回動することで、第2当接位置と第2退避位置とを選択的に取る。第2当接位置は、図3に示す位置であり、当接面85が鉛直方向に平行に配置される位置である。また、第2当接位置は、当接面85が搬送ローラ対63の軸部材63c,63dよりも搬送方向上流に配置される位置であって、搬送方向に関して当接面85がローラ63a,63bと重なる位置である。また、第2当接位置は、当接面85が搬送経路を塞ぐ位置である。第2退避位置は、図6に示す位置であり、当接面85が用紙Pを通過させることが可能な位置である。また、第2退避位置は、当接面85が搬送経路から退避する位置である。
付勢部材(第2付勢部材)82は、コイルバネから構成されている。付勢部材82は、図3に示すように、一端(図中右端)が突出部81cに、他端(図中左端)が変更機構90の支持部材91(後述する)に固定されている。また、付勢部材82は、当接部材81が第2当接位置にあるときに、突出部81cを規制部材84に向けて付勢する付勢力を有する。これにより、当接部材81が、付勢部材82によって第2退避位置から第2当接位置に向かって付勢される。なお、付勢部材82の付勢力は、変更機構90によって変更可能である。
規制部材84は、図3に示すように、筐体1aに固定されている。規制部材84は、当接部材81が第1当接位置にあるときに、突出部81cの先端部を付勢部材82と挟む位置であって当該先端部と当接する位置に配置されている。これにより、当接部材81の移動を規制し、当接部材81を第2当接位置に位置づける。
変更機構90は、図2及び図3に示すように、支持部材91と、ラック92と、駆動モータ93と、ピニオン94とを有する。支持部材91は、図3に示すように、鉛直方向に立設された板状部材であってラック92の右端に固定されている。ラック92は、副走査方向に沿ってスライド可能に筐体1aに支持されている。ラック92は、ピニオン94と噛み合わされた状態で配置されている。ピニオン94は、駆動モータ93の軸93aに固定されている。この構成において、制御装置100が駆動モータ93を駆動することでピニオン94が回転し、ラック92が副走査方向に移動する。このラック92の移動によって支持部材91も移動し、当接部材81に対する付勢部材82の付勢力が変化する。
このように変更機構90は、付勢部材82の付勢力を変更することで、第1状態と第2状態との間において、第2補正機構80の状態を変更する。第1状態は、付勢部材82による付勢力に抗して当接部材81を第2退避位置に移動させるのに必要な力(以下、第2押圧力と称する)が、第1押圧力以下となる状態である。つまり、付勢部材82の付勢力が、当接部材71に対する付勢部材72の付勢力以下となる状態である。第2状態は、第2押圧力が、第1押圧力よりも大きくなる状態である。つまり、付勢部材82の付勢力が、当接部材71に対する付勢部材72の付勢力よりも大きくなる状態である。本実施形態においては、通常、第2補正機構80が第2状態を取るように、制御装置100によって変更機構90が制御されている。
本実施形態において、第2状態を取るときの付勢部材82の付勢力は、厚紙(普通紙よりも分厚く、腰が強い)の先端辺が副走査方向に平行な状態で、当接面85に当接することで生じる用紙Pの腰の強さによって、当接面85が第2当接位置から第2退避位置に移動することが可能な程度に設定されている。第2状態を取るときの付勢部材82の付勢力は、普通紙を超える厚みを有する用紙Pに対して斜行補正の効果が高くかつジャムが発生しにくくなるように、プリンタ1を用いた実験によって求める。例えば、厚紙(用紙P)が斜行した状態で当接面85に当接した場合、当接面85は付勢部材82によって第2当接位置に保持される。この状態で当該厚紙の搬送が継続されると、厚紙の先端辺は、副走査方向に平行となるように、当接面85との接触点を中心に回動する。そして、厚紙の先端辺が副走査方向と平行となるときには、斜行時におけるよりも当接面85の多くの領域を押圧する。すなわち、厚紙の先端辺全体が当接面85に当接する。このとき、厚紙の先端辺全体が当接面85を押圧する力が、第2押圧力よりも大きくなる。厚紙の先端辺全体が当接面85を押圧することによって、当接面85が第2当接位置から第2退避位置に移動し、斜行が補正された状態で厚紙が搬送される。なお、第2押圧力は、付勢部材82の付勢力及び当接部材81の摺動抵抗などによって決まる。当接部材71と当接部材81との摺動抵抗が等しい場合には、第1押圧力と第2押圧力との差は、付勢部材72と付勢部材82の付勢力の差によって決まる。
次に、図4を参照し、プリンタ1の電気的構成について説明する。
制御装置100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)101に加えて、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)103、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )104、I/F(Interface)105、I/O(Input/Output Port)106等を有する。ROM102には、CPU101が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAM103には、プログラム実行時に必要なデータが一時的に記憶される。ASIC104では、画像データの書き換え、並び替え等(例えば、信号処理や画像処理)が行われる。I/F105は、外部装置(プリンタ1に接続されたPC等)とのデータ送受信を行う。I/O106は、各種センサの検知信号の入力/出力を行う。
制御装置100は、給紙モータ25M、搬送モータ41M〜48M,61M〜63M、駆動モータ93、用紙センサ26,27、センサ55、及び、ヘッド2の制御基板等に接続されている。
制御装置100は、図1に示すように、上述のハードウェアによって構築された判定部100aを有している。判定部100aは、2つのセンサ55からの検知信号に基づいて、用紙Pが斜行しているか否かを判定する。つまり、2つのセンサ55が部分先端辺を検知する時点の差が所定期間以内であるか否かで、用紙Pが斜行しているか否かを判定する。2つのセンサ55が部分先端辺を検知する時点の差とは、2つのセンサ55のうち一方が用紙Pの部分先端辺を検知した時点から、2つのセンサ55のうちの他方が用紙Pの部分先端辺を検知した時点までの期間である。所定期間とは、任意に決定される値であり、許容される用紙の斜行量に応じて設定される。これにより、2つのセンサ55が用紙Pの部分先端辺を検知する時点に基づいて、用紙Pが斜行しているか否かを判定することができる。制御装置100は、この判定部100aの判定結果に基づいて、変更機構90の駆動モータ93を制御する。つまり、用紙Pが斜行していない場合は、換言すると、2つのセンサ55が所定期間以内に部分先端辺を検知した場合は、第2補正機構80の状態が第1状態となるように、駆動モータ93を制御する。これにより、副走査方向に関して、図5に示す支持部材91と当接部材81との離隔距離T1が、図3に示す離隔距離T0よりも大きくなり(図5参照)、付勢部材82の付勢力が小さくなる。この結果、第2押圧力が第1押圧力以下となる。用紙Pが斜行している場合は、換言すると、2つのセンサ55が所定期間以内に部分先端辺を検知しない場合は、第2補正機構80の状態が第2状態となるように、駆動モータ93を制御する。なお、第2補正機構80は、通常、第2状態になるように設定されているため、第2補正機構80が第2状態であるときは、その状態が維持されるように制御される。
また、制御装置100は、用紙Pの両面に記録を行う場合、表面に記録が行われる用紙Pが第2補正機構80を通過した後であって、裏面に記録が行われる用紙Pが第2補正機構80を通過する前に、第2補正機構80の状態が第1状態となるように、変更機構90の駆動モータ93を制御する。なお、第2補正機構80が第1状態であるときは、その状態を維持するように制御される。また、制御装置100は、一の用紙Pの搬送が終了する度に、第2補正機構80の状態が第2状態となるように、変更機構90を制御する。
続いて、制御装置が実行する記録動作について、図7のフローチャートを参照しつつ以下に説明する。用紙P(普通紙及び厚紙)の片面に記録を行う場合について説明する。
制御装置100は、用紙Pの片面に記録を行う記録指令を外部装置から受信すると、当該記録指令に基づいて、給紙モータ25Mを駆動して用紙Pを給紙する(S1)。次に、制御装置100は、搬送モータ41M〜45M,61M〜63Mを駆動して、用紙Pを搬送する(S2)。給紙トレイ24から送り出された用紙Pは、上流ガイド部3aによりガイドされ、斜行補正機構50に到達する。斜行補正機構50を通過した用紙Pは、記録領域(プラテン3dとヘッド2との間)に送られる。
ここで、斜行補正機構50によって用紙Pの斜行が補正される状況について、以下に説明する。まずは、搬送された用紙Pが普通紙の場合について、説明する。普通紙は、まず、第1補正機構70によって斜行補正が行われる。普通紙の先端と当接面75とが当接したときに、普通紙が斜行していない場合は、普通紙の先端辺全体で当接面75を押圧するため、この第1押圧力によって当接部材71が第1当接位置から第1退避位置に向かって回動する。一方、普通紙が斜行している場合は、上述のように普通紙の先端辺が副走査方向に平行となるように回動し、先端辺全体で当接面75を押圧するタイミング(先端辺が副走査方向に平行となるタイミング)で、普通紙が斜行していない場合と同様に、当接部材71が第1当接位置から第1退避位置に向かって回動する。つまり、普通紙が斜行している場合、第1補正機構70によって斜行が補正される。
このように普通紙が第1補正機構70を通過すると、普通紙は2つのセンサ55に到達する。2つのセンサ55は、普通紙の部分先端辺を検知した場合に、検知信号を出力する。制御装置100の判定部100aは、2つのセンサ55の一方から出力された検知信号を受信したか否かを判定する(S3)。判定部100aは、ステップS3においてNOと判定した場合には、S3の処理を継続する。判定部100aは、ステップS3においてYESと判定した場合は、所定期間以内に2つのセンサ55の他方から出力された検知信号を受信したか否かを判定する(S4)。判定部100aは、ステップS4においてYESと判定した場合は、S5の処理を実行し、ステップS4においてNOと判定した場合は、S6の処理を実行する。ここで、搬送される用紙Pが普通紙の場合、第1補正機構70は普通紙の斜行が補正されるように設定されているため、判定部100aは、ステップS4においてYESと判定すると考えられる。この結果、制御装置100は、第2補正機構80の状態を第2状態から第1状態に変更する(S5)。つまり、図5に示すように、制御装置100の制御によって駆動モータ93が駆動されて、支持部材91が図中左方に移動する。このとき、支持部材91と当接部材81との離隔距離がT0からT1となり、第2押圧力が第1押圧力以下となる。つまり、支持部材91と当接部材81との離隔距離をT1とすることで、付勢部材82が、当接部材81を第2退避位置から第2当接位置に向けて付勢する付勢力を第2状態よりも小さくする。なお、第1状態においては、付勢部材82が当接部材81を第2退避位置から第2当接位置に向けて付勢する付勢力は、付勢部材72が当接部材71を第1退避位置から第1当接位置に向けて付勢する付勢力以下となるように、支持部材91と当接部材81との離隔距離T1が設定される。このため、当該普通紙が第2補正機構80の当接面85に当接しても、当接部材81が第2当接位置から第2退避位置にスムーズに移動する。こうして、第2補正機構80を通過した普通紙が記録領域に送られる。
次に、搬送された用紙Pが厚紙の場合について、以下に説明する。厚紙Pは、まず、第1補正機構によって斜行補正が行われる。厚紙が斜行した状態で第1補正機構70に搬送されてきた場合は、付勢部材72の付勢力が小さいため、第1補正機構70だけでは斜行補正が不十分となる。つまり、厚紙は腰が強いため、部分先端辺が当接面75と当接するだけで、当接面75を第1当接位置から第1退避位置に移動可能である。そのため、厚紙の先端と当接面75との当接によって多少、厚紙の斜行が補正されるが、当該斜行補正は不十分となる。つまり、厚紙は、斜行が補正されないまま、2つのセンサ55の検知領域を通過することになる。このため、2つのセンサ55は、厚紙の部分先端辺を所定期間以内に検知信号を出力しない。つまり、判定部100aは、ステップS4においてNOと判定する。この結果、制御装置100は、ステップS6において、第2補正機構80の状態を第2状態に維持する。すなわち、第2補正機構は既に第2状態であるため、制御装置100はステップS6において、第2補正機構80の状態を変更しない。そのため、支持部材91と当接部材81との離隔距離はT0であるため、付勢部材82が、当接部材81を第2退避位置から第2当接位置に向けて付勢する付勢力は第1状態よりも大きい。また、付勢部材82が、当接部材81を第2退避位置から第2当接位置に向けて付勢する付勢力は、付勢部材72が、当接部材71を第1退避位置から第1当接位置に向けて付勢する付勢力よりも大きい。つまり、第2状態においては、付勢部材82が当接部材81を第2退避位置から第2当接位置に向けて付勢する付勢力が、付勢部材72が当接部材71を第1退避位置から第1当接位置に向けて付勢する付勢力よりも大きくなるように、支持部材91と当接部材81との離隔距離T0が設定されている。第2補正機構80に厚紙が搬送され、厚紙の先端と当接面85とが当接すると、厚紙の先端辺が副走査方向に平行となるように回動し、先端辺全体で当接面85を押圧するタイミングで、当接部材81が第2当接位置から第2退避位置に向かって回動する。こうして、厚紙の斜行補正が行われる。このように、第2補正機構80が第2状態となることで、第2補正機構80の斜行補正能力が、第1補正機構70の斜行補正能力よりも大きくなるため、厚紙の斜行補正が可能となる。
一方、厚紙が斜行していない状態で第1補正機構70に搬送されてきた場合は、上述の普通紙のときと同様な動作が行われる。つまり、厚紙がそのまま第1補正機構70を通過する。このため、2つのセンサ55は、厚紙の部分先端辺を所定期間以内に検知信号を出力する。つまり、判定部100aは、ステップS4においてYESと判定する。この結果、制御装置100は、上述のように第2補正機構80の状態を第2状態から第1状態に変更する。このとき、第2押圧力が第1押圧力以下となるが、厚紙は斜行していないため、特に斜行補正する必要がない。そして、厚紙が第2補正機構80の当接面85に当接しても、当接部材81が第2当接位置から第2退避位置にスムーズに移動する。こうして、第2補正機構80を通過した厚紙が記録領域に送られる。
図3に示すように、当接部材71は、第1当接位置に配置されている場合、その当接面75が搬送ローラ対62の軸部材62c,62dよりも搬送方向上流に配置されている。つまり、ローラ62a,62bにより用紙Pを挟持する挟持位置よりも上流に当接面75が配置されている。一方、当接部材71は、第1退避位置に配置されている場合、図5に示すように、その当接面75が軸部材62c,62dよりも搬送方向下流、すなわち、ローラ62a,62bによる用紙Pの挟持位置よりも下流に配置されている。これにより、当接面75で斜行を補正した直後であって当接部材71が第1退避位置に到達する前に、普通紙を搬送ローラ対62で挟持しつつ搬送することが可能となる。このため、斜行補正された普通紙の搬送精度が向上する。
また、当接部材81も当接部材71と同様に配置されている。つまり、当接部材81は、第2当接位置に配置されている場合、その当接面85が、ローラ63a,63bにより用紙Pを挟持する挟持位置よりも上流に配置されている。一方、当接部材81は、第2退避位置に配置されている場合、図6に示すように、その当接面85が、ローラ63a,63bによる用紙Pの挟持位置よりも下流に配置されている。これにより、当接面85で斜行を補正した直後であって当接部材81が第2退避位置に到達する前に、厚紙を搬送ローラ対63で挟持しつつ搬送することが可能となる。このため、斜行補正された厚紙の搬送精度が向上する。
上述したように、用紙P(普通紙もしくは厚紙)が斜行補正機構50を通過して、記録領域に到達する。用紙Pが記録領域に到達すると、制御装置100がヘッド2を制御して、ヘッド2からインク滴を吐出させる(S7)。これにより、用紙Pの表面に所望の画像が記録される。インクの吐出動作(インクの吐出タイミング)は、用紙センサ26からの検知信号に基づく。なお、用紙センサ26は、ヘッド2よりも搬送方向の上流に配置されて、用紙Pの先端を検知する。そして、制御装置100は、記録指令に含まれる情報が片面記録か否かを判定する(S8)。制御装置100は、S8においてYESと判定した場合は、用紙Pを排紙部4に排紙して(S9)、フローチャートを終了する。一方、制御装置100は、S8においてNOと判定した場合は、ステップS10を実行する。
続いて、用紙P(普通紙及び厚紙)の両面に記録を行う場合の動作(ステップS10〜S13)について、以下に説明する。
制御装置100は、用紙センサ27が用紙Pの後端を検知したか否かを判定する(S10)。制御装置100は、ステップS10において、用紙Pを検知したことで検知信号を出力していた用紙センサ27が検知信号を出力しなくなることにより、用紙センサ27が用紙Pの後端を検知したと判定する。すると、制御装置100は、搬送ローラ対44を逆回転する(S11)。これにより、用紙Pの搬送の方向が反転される。このとき、制御装置100は、搬送モータ46M〜48Mを駆動する。これにより、用紙Pは、その経路が切り替えられ、用紙再送経路(白抜き矢印の示す経路)に沿って搬送され、記録領域に再送される。
制御装置100は、表面に記録が行われる用紙Pが第2補正機構80を通過した後であって裏面に記録が行われる用紙Pが第2補正機構80を通過する前(本実施形態においては、用紙センサ26で用紙Pの後端を検知してから用紙センサ27が用紙Pの後端を検知するまで)に、第2補正機構80の状態が第1状態となるように、駆動モータ93を制御する(S12)。そして、再送されてきた用紙Pが斜行補正機構50を通過する。このとき、インクによって表面に画像が記録されることで用紙Pの腰が、画像記録前よりも小さくなっていても、第2補正機構80が第1状態であるため、第2補正機構80による用紙P(厚紙)のジャムが生じにくくなる。
斜行補正機構50を通過した用紙P(用紙再送経路から上流ガイド部3aに再送された用紙P)は、記録領域において裏返しで再供給される。そして、制御装置100がヘッドを制御して(S13)、裏面に画像を記録する。なお、裏面への画像記録に先立って、用紙Pの先端が用紙センサ26に検出されると、制御装置100の制御の下、搬送ローラ対44が正回転に戻される。制御装置100は、両面記録された用紙Pを、下流ガイド部3bを介して、排紙部4に排出する(S9)。
以上に述べたように、本実施形態による搬送装置3及びプリンタ1によると、斜行検知部54の検知結果に基づいて、制御装置100が変更機構90を制御して第2押圧力を変更する。用紙Pが斜行していないと判定された場合は第1状態となるため、第2補正機構80に普通紙が搬送されてきても、当該普通紙のジャムが生じにくくなる。用紙Pが斜行している、つまり、厚紙の斜行が第1補正機構70によって補正しきれない場合は第2状態となるため、第2補正機構80で厚紙の斜行を補正することが可能となる。このように、用紙Pの斜行補正とジャムの発生抑制とを両立させることが可能となる。プリンタ1においては、用紙Pの斜行補正が効果的に行われるため、用紙Pに形成された画像品質も維持される。
付勢部材82の付勢力が、当接部材71に対する付勢部材72の付勢力よりも大きく設定されていても、変更機構90は、第1状態において、付勢部材82の付勢力が付勢部材72の付勢力以下となるように、付勢部材82の付勢力を変更する。これにより、付勢部材82の付勢力が付勢部材72の付勢力よりも大きく設定されていても、第1状態において、付勢部材82の付勢力が付勢部材72の付勢力以下に変更することができる。すなわち、第1状態において、第2押圧力が、第1押圧力以下とすることが可能となる。
変形例として、付勢部材82の付勢力を、当接部材71に対する付勢部材72の付勢力以下に設定していてもよい。つまり、第2押圧力が、第1押圧力以下となるように、予め設定していてもよい。この場合、変更機構90は、制御装置100の制御の下、第2状態において、付勢部材82の付勢力が付勢部材72の付勢力よりも大きくなるように、付勢部材82の付勢力を変更すればよい。つまり、2つのセンサ55が、用紙P(厚紙)の部分先端辺を所定期間以内に検知しない場合、制御装置100は、第2補正機構80の状態を第1状態から第2状態に変更する。つまり、図8に示すように、制御装置100の制御によって駆動モータ93が駆動されて、支持部材91が図中右方に移動する。このとき、支持部材91と当接部材81との離隔距離がT1からT0となり、第2押圧力が第1押圧力よりも大きくなる。この場合においても、上述の実施形態と同様に、用紙Pを斜行補正することが可能となる。
当接部材81は、主走査方向に延在する軸線を中心として回動可能に構成され、付勢部材82の一端が取り付けられており、変更機構90は、付勢部材82の他端を支持する支持部材91を有し、当該支持部材91の位置を変更することで付勢部材82の付勢力を変更する。これにより、付勢部材82の付勢力を簡単な構成で変更することが可能となる。
続いて、本発明に係る搬送装置の第2実施形態について、以下に説明する。本実施形態における搬送装置3も斜行補正機構250を有している。斜行補正機構250は、図9及び図10に示すように、変更機構290の構成が変更機構90と異なる点、固定部材283が設けられている点、及び、規制部材84が設けられていない点以外は、第1実施形態の斜行補正機構50と同様な構成である。以下、同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
固定部材283は、筐体1aに固定されている。付勢部材82は、図9に示すように、一端(図中右端)が突出部81cに、他端(図中左端)が固定部材283に固定されている。また、付勢部材82は、当接部材81が第2当接位置にあるときに、突出部81cを変更機構290に向けて付勢する付勢力を有する。これにより、当接部材81が、付勢部材82によって第2退避位置から第2当接位置に向かって付勢される。本実施形態における付勢部材82の付勢力は、上述の第1実施形態において第2補正機構80が第2状態を取るときの付勢部材82の付勢力と同じである。つまり、固定部材283は、第2補正機構80が第2状態を取るときの支持部材91と同じ位置に配置されている。このように第2補正機構80は、通常、第2押圧力が第1押圧力よりも大きくなるような、第2状態とされている。
変更機構290は、図9に示すように、副走査方向に移動可能な可動鉄心290aを有するソレノイドから構成されている。ソレノイド290は、副走査方向に関して、可動鉄心290aの先端が、付勢部材82とで突出部81cを挟む位置であって当該突出部81cと常に当接する位置に配置されている。ソレノイド290は、可動鉄心290aの伸縮で突出部81cの位置を変更することが可能であり、当該突出部81cの位置を変更することで第2当接位置と第2退避位置との間において、当接部材81を回動させることができる。具体的には、図9に示すように、ソレノイド290の可動鉄心290aが最も縮んだときに、当接部材81が第2当接位置に配置され、第2補正機構80が第2状態に保持される。一方、図10に示すように、可動鉄心290aが最も伸びたときに、当接部材81が第2退避位置に配置され、第2補正機構80が第1状態に保持される。つまり、第2押圧力が第1押圧力以下となる。すなわち、当接部材81が第2退避位置に配置されている場合には、当接面85を第2当接位置から第2退避位置に移動させるために必要な力が「0」となる。
制御装置100は、用紙Pが斜行していない場合は、第2補正機構80の状態が第1状態となるように、ソレノイド290を制御する。これにより、当接部材81に対する付勢部材82の付勢力が、当接部材71に対する付勢部材72の付勢力よりも大きく設定されていても、第1状態において、当接部材81を第2退避位置に移動させることができる。このため、第1状態においては、搬送ローラ対61,62などによって搬送される用紙Pが当接部材81と第2退避位置に移動させる必要がなくなる。したがって、第2押圧力を、第1押圧力以下とすることが可能となり、用紙P(厚紙)がジャムするのを抑制することが可能となる。制御装置100は、用紙Pが斜行している場合は、第2補正機構80の状態が第2状態となるように、ソレノイド290を制御する。なお、第2補正機構80は、通常、第2状態になるように設定されているため、第2補正機構80が第2状態であるときは、その状態が維持されるように制御される。
続いて、用紙P(普通紙及び厚紙)の片面に記録を行う場合に動作について、以下に説明する。
本実施形態においても、制御装置100は、用紙Pの片面に記録を行う記録指令を外部装置から受信すると、当該記録指令に基づいて、給紙モータ25M、搬送モータ41M〜45M,61M〜63Mを駆動する。給紙トレイ24から送り出された用紙Pは、上流ガイド部3aによりガイドされ、記録領域(プラテン3dとヘッド2との間)に送られる。
普通紙が搬送される場合、第1実施形態と同様に、2つのセンサ55は用紙Pの部分先端辺を所定期間以内に検知する。この結果、制御装置100は、第2補正機構80の状態を第2状態から第1状態に変更する。つまり、図10に示すように、制御装置100の制御によってソレノイド290が駆動されて、当接部材81が第2当接位置から第2退避位置に移動する。このとき、第2押圧力が第1押圧力以下となる。このため、普通紙が第2補正機構80を通過し、記録領域に送られる。
厚紙が斜行した状態で搬送される場合、第1実施形態と同様に、2つのセンサ55は、厚紙の部分先端辺を所定期間以内に検知しない。この結果、制御装置100は、第2補正機構80の状態を第2状態に維持する。第2補正機構80に厚紙が搬送され、厚紙の先端と当接面85とが当接すると、厚紙の先端辺が副走査方向に平行となるように回動し、先端辺全体で当接面85を押圧するタイミングで、当接部材81が第2当接位置から第2退避位置に向かって回動する。こうして、厚紙の斜行補正が行われる。
一方、厚紙が斜行していない状態で搬送される場合、第1実施形態と同様に、2つのセンサ55は、厚紙の部分先端辺を所定期間以内に検知する。この結果、制御装置100は、上述のように第2補正機構80の状態を第2状態から第1状態に変更する。このとき、第2押圧力が第1押圧力以下となる。このため、普通紙が第2補正機構80を通過し、記録領域に送られる。
用紙Pは、ヘッド2のすぐ下方を通過する際に、第1実施形態と同様に、ヘッド2が制御され、表面に所望の画像が記録される。そして、画像が記録された用紙Pは、下流ガイド部3bによりガイドされて、筐体1a上部から排紙部4に排出される。
続いて、用紙P(普通紙及び厚紙)の両面に記録を行う場合の動作について、以下に説明する。
制御装置100は、用紙Pの両面に記録を行う記録指令を外部装置から受信すると、当該記録指令に基づいて、給紙モータ25M、搬送モータ41M〜45M,61M〜63Mを駆動する。給紙トレイ24から送り出された用紙Pは、上流ガイド部3aによりガイドされ、記録領域(プラテン3dとヘッド2との間)に送られる。このとき、片面記録時と同様に、用紙P(普通紙及び厚紙)の斜行補正が行われ、用紙Pは表面に画像が形成され、排紙部4に向けて搬送される。用紙センサ27が用紙Pの後端を検知すると、制御装置100の制御の下、搬送ローラ対44が逆回転され、用紙Pの搬送の方向が反転される。このとき、搬送モータ46M〜48Mが駆動される。これにより、用紙Pは、その経路が切り替えられ、用紙再送経路(白抜き矢印の示す経路)に沿って搬送され、記録領域に再送される。
制御装置100は、表面に記録が行われる用紙Pが第2補正機構80を通過した後であって裏面に記録が行われる用紙Pが第2補正機構80を通過する前(本実施形態においては、用紙センサ26で用紙Pの後端を検知してから用紙センサ27が用紙Pの後端を検知するまで)に、第2補正機構80の状態が第1状態となるように、ソレノイド290を制御する。そして、再送されてきた用紙Pが斜行補正機構50を通過する。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
斜行補正機構50を通過した用紙P(用紙再送経路から上流ガイド部3aに再送された用紙P)は、記録領域において裏返しで再供給され、裏面に画像が記録される。両面記録された用紙Pは、下流ガイド部3bを介して、排紙部4に排出される。
以上に述べたように、本実施形態による斜行補正機構250を有する搬送装置3においても、第1実施形態と同様に、斜行検知部54の検知結果に基づいて、制御装置100が変更機構(ソレノイド)290を制御して第2押圧力を変更する。用紙Pが斜行していないと判定された場合は第1状態となるため、第2補正機構80に普通紙が搬送されてきても、当該普通紙のジャムが生じにくくなる。用紙Pが斜行している、つまり、厚紙の斜行が第1補正機構70によって補正しきれない場合は第2状態となるため、第2補正機構80で厚紙の斜行を補正することが可能となる。このように、用紙Pの斜行補正とジャムの発生抑制とを両立させることが可能となる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、変更機構90、290は、当接部材81に対する付勢部材82の付勢力を変更することが可能であれば、どのような構成であってもよい。つまり、変更機構90にソレノイドを採用し、第2補正機構80の状態を第1及び第2状態に変更してもよい。また、変更機構290に駆動モータ、ラック及びピニオンなどを採用し、第2補正機構80の状態を第1及び第2状態に変更してもよい。また、付勢部材72,82は、コイルバネ以外の弾性部材から構成されていてもよい。また、上述の実施形態においては、第1補正機構70で普通紙を、第2状態の第2補正機構80で厚紙を斜行補正する構成であるが、これら以外の用紙Pを斜行補正してもよい。つまり、用紙Pの腰の強さに応じて、腰が強い用紙Pを第2補正機構80で、腰の弱い用紙Pを第1補正機構70で斜行補正すればよい。この場合、材質や質量などの異なりで生じる記録媒体の腰の強さに応じて、適宜、設定すればよい。
本発明は、記録媒体を搬送することが可能な搬送装置であれば、どのような搬送装置についても採用することができる。さらに本発明は、ライン式・シリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。さらに、画像記録する記録装置であれば、例えば、レーザー式やサーマル式など、どのような記録装置にも適用可能である。記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な様々な記録媒体であってよい。