JP2014107842A - 位相補償装置、光受信機、光伝送システム、位相補償方法 - Google Patents

位相補償装置、光受信機、光伝送システム、位相補償方法 Download PDF

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Abstract

【課題】周波数の利用効率の低下を抑制し、高精度の位相推定を実現することができる位相補償装置、光受信機、光伝送システム、位相補償方法を提供する。
【解決手段】本発明による位相補償装置は、受信された変調信号からパイロットトーン信号成分と主信号とを分離するパイロットトーン分離部(10)と、前記パイロットトーン分離部により分離されたパイロットトーン信号成分を周波数ごとに分離して周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を取得する整合部(20)と、前記整合部により取得された複数のパイロットトーン信号にそれぞれ位相同期する複数の位相同期回路(30〜30)と、前記複数の位相同期回路の出力信号からパイロットトーン信号の位相を推定する位相推定部(40)と、前記位相推定部により推定された位相に基づいて前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する位相雑音補償部(50)と、を備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、位相補償装置、光受信機、光伝送システム、位相補償方法に関し、さらに詳しくは、光送信機においてパイロットトーン信号が重畳された光変調信号を生成し、光ファイバ伝送路で伝送し、光受信機においてパイロットトーン信号を抽出し、該パイロットトーン信号を用いて光送受信機および光ファイバ伝送路において生じた位相雑音を推定し、該推定に基づいて光変調信号に対し位相雑音補償を行う技術に関するものである。
基幹系光伝送システムにおいては、高速なクライアント信号を経済的に収容し、大容量の情報を伝送することが求められている。前記目的の実現に向けて、周波数利用効率向上の観点から、コヒーレント検波とデジタル信号処理を組み合わせたデジタルコヒーレント伝送方式が検討されており、前記伝送方式を用いた波長多重伝送により高速大容量の情報伝送の実現が期待されている。前記伝送方式においては、デジタル信号処理により位相同期が実現されている。
S. L. Jansen, I. Morita, Itsuro Morita and Hideaki Tanaka, "20-Gb/s OFDM Transmission over 4,160km SSMF Enabled by RF-Pilot Tone Phase Noise Compensation," PDP 15, OFC/NFOEC 2007
高速大容量の情報伝送を実現するための周波数利用効率を向上する技術として多値変調方式がある。この多値変調方式においては高精度の位相同期技術が必須である。この位相同期技術に関し、送信側においてパイロットトーン信号を参照信号として主信号に重畳し、受信側において、光送受信機および光ファイバ伝送路において生じた位相雑音を推定して主信号の位相変動を補償する手法が検討されている。前記手法は、参照信号を用いない手法に比べて位相推定の精度の観点で有利である。参照信号としてパイロットトーン信号を用いた位相推定と補償処理の有効性は、例えば非特許文献1に示されている。
しかしながら、従来、光ファイバ伝送路において、パイロットトーン信号の信号対雑音電力比(SNR:Signal-to-Noise Ratio)の劣化によって位相推定の誤差が増大する問題があった。また、パイロットトーン信号を主信号に重畳する従来手法として、パイロットトーン信号を主信号の信号帯域外に挿入する手法、または一部のサブキャリアをパイロットトーン信号に利用する手法があるが、これらの手法によれば、周波数の利用効率が低下する問題があった。
本発明は、このような背景を考慮してなされたもので、パイロットトーン信号の位相推定の精度を向上させることができる位相補償装置、光受信機、光伝送システム、位相補償方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、上記目的は特許請求項の範囲に示した手段により達成される。
即ち、本発明による位相補償装置の一態様は、光伝送路を介して受信された変調信号から周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を含むパイロットトーン信号成分と主信号とを分離するパイロットトーン分離部と、前記パイロットトーン分離部により分離されたパイロットトーン信号成分を周波数ごとに分離して前記周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を取得する整合部と、前記整合部により取得された複数のパイロットトーン信号にそれぞれ位相同期する複数の位相同期回路と、前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する位相推定部と、前記位相推定部により推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する位相雑音補償部と、を備えたことを特徴とする位相補償装置の構成を有する。
本発明による位相補償装置の一態様は、光伝送路を介して受信された変調信号から単一のパイロットトーン信号と主信号とを分離するパイロットトーン分離部と、前記パイロットトーン分離部により分離されたパイロットトーン信号に並列化処理を施して並列化された複数のパイロットトーン信号を取得する整合部と、前記整合部により取得された複数のパイロットトーン信号にそれぞれ位相同期する複数の位相同期回路と、前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する位相推定部と、前記位相推定部により推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する位相雑音補償部と、を備えたことを特徴とする位相補償装置の構成を有する。
本発明による位相補償装置の一態様は、光伝送路を介して受信された変調信号から周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を含むパイロットトーン信号成分と主信号とを分離するパイロットトーン分離部と、前記パイロットトーン分離部により分離されたパイロットトーン信号成分に並列化処理を施して並列化された複数のパイロットトーン信号を取得する整合部と、前記整合部により取得された複数のパイロットトーン信号にそれぞれ位相同期する複数の位相同期回路と、前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する位相推定部と、前記位相推定部により推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する位相雑音補償部と、を備えたことを特徴とする位相補償装置の構成を有する。
前記位相補償装置の一態様において、例えば、前記パイロットトーン信号は、前記パイロットトーン信号が多重される主信号の信号帯域を制限することにより生じた空き周波数に割り当てられたことを特徴とする。
本発明による光受信機の一態様は、光伝送路を介して変調信号を受信する光受信機であって、前記変調信号の位相を補償するための位相補償部として、前記位相補償装置の何れかの態様を備えたことを特徴とする光受信機の構成を有する。
本発明による光伝送システムの一態様は、パイロットトーン信号が重畳された変調信号を送出する光送信機と、前記光送信機から送出された前記変調信号を伝送する光伝送路と、前記光伝送路を介して前記変調信号を受信する光受信機と、を備え、前記光受信機は、前記位相補償装置の何れかの態様を備えた光受信機であることを特徴とする光伝送システムの構成を有する。
本発明による位相補償方法の一態様は、光伝送路を介して受信された変調信号から周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を含むパイロットトーン信号成分と主信号とを分離する段階と、前記分離されたパイロットトーン信号成分を周波数ごとに分離して前記周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を取得する段階と、前記周波数ごとに分離して取得された複数のパイロットトーン信号に複数の位相同期回路をそれぞれ位相同期させる段階と、前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する段階と、前記推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する段階と、を含むことを特徴とする位相補償方法の構成を有する。
本発明による位相補償方法の一態様は、光伝送路を介して受信された変調信号から単一のパイロットトーン信号と主信号とを分離する段階と、前記分離されたパイロットトーン信号に並列化処理を施して並列化された複数のパイロットトーン信号を取得する段階と、前記取得された複数のパイロットトーン信号に複数の位相同期回路をそれぞれ位相同期させる段階と、前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する段階と、前記推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する段階と、を含むことを特徴とする位相補償方法の構成を有する。
本発明による位相補償方法の一態様は、光伝送路を介して受信された変調信号から周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を含むパイロットトーン信号成分と主信号とを分離する段階と、前記パイロットトーン分離部により分離されたパイロットトーン信号成分に並列化処理を施して並列化された複数のパイロットトーン信号を取得する段階と、前記取得された複数のパイロットトーン信号に複数の位相同期回路をそれぞれ位相同期させる段階と、前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する段階と、前記推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する段階と、を含むことを特徴とする位相補償方法の構成を有する。
前記位相補償方法の一態様において、例えば、前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号は、前記変調信号の信号帯域を制限することにより生じた空き周波数に割り当てられたことを特徴とする。
(関連発明)
本発明の関連発明による光伝送システムの一態様は、光変調信号に1つ以上のパイロットトーン信号を多重するパイロットトーン多重部を備えた光送信機と、前記光変調信号を伝送する光伝送路と、前記光伝送路を介して前記光変調信号を受信する光受信機と、を備え、前記光受信機は、受信された前記光変調信号から前記パイロットトーン信号を抽出するパイロットトーン分離部と、前記パイロットトーン信号に並列化処理を施す整合部と、前記並列化処理が施されたパイロットトーン信号にそれぞれ位相同期する位相同期回路と、前記位相同期回路の出力信号から前記光変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する位相推定部と、前記位相推定部により推定された位相に基づいて光変調信号の位相雑音を補償する位相雑音補償部と、を備えたことを特徴とする位相補償装置の構成を有する。
前記関連発明による光伝送システムの一態様において、例えば、前記パイロットトーン多重部は、ボーレートB[Baud]の光変調信号の中心周波数を基準として、−B[Hz]から−B/2[Hz]、または、B/2[Hz]からB[Hz]の周波数領域に1つ以上のパイロットトーン信号を多重する手段を備えたことを特徴とする。
前記関連発明による光伝送システムの一態様において、例えば、前記整合部は、1つ以上のパイロットトーン信号を送光受信機および光ファイバ伝送路で受けた位相変動に応じて、並列数が適応的に変化する適応処理部を備えたことを特徴とする。
前記関連発明による光伝送システムの一態様において、例えば、前記適応処理部は、前記光ファイバ伝送路で受けた位相変動が高速であるときに並列数を少なくし、前記光ファイバ伝送路で受けた位相変動が低速であるときに並列数を増やす手段を備えたことを特徴とする。
前記関連発明による光伝送システムの一態様において、例えば、前記整合部は、並列化されたパイロットトーン信号に波長分散量またはパイロットトーン信号の振幅に応じて重み付けを行う重み付け回路を備えたことを特徴とする。
前記関連発明による光伝送システムの一態様において、例えば、前記整合部は、波長分散補償後のパイロットトーン信号を並列化することを特徴とする。
前記関連発明による光伝送システムの一態様において、例えば、前記位相推定部は、複数の位相同期回路の出力信号の分布を用いて最尤推定を行うことを特徴とする。
前記関連発明による光伝送システムの一態様において、例えば、前記位相推定部は、前記重み付け回路と位相同期回路を用いて和算処理によりアレイゲインとダイバシチゲインを得ることを特徴とする。
本発明によれば、パイロットトーン信号の位相推定の精度を向上させることができる。
本発明の第1実施形態による光伝送システムの構成の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態による光伝送システムの光送信機が備える送信回路の構成の一例を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態による光伝送システムの光受信機が備える信号処理部の機能ブロック図である。 本発明の第1実施形態による伝送システムの光受信機が備える信号処理部(位相補償部)の機能ブロック図である。 本発明の第1実施形態による伝送システムの光受信機が備える信号処理部(位相補償部を構成する整合部)の機能ブロック図である。 本発明の第1実施形態による光伝送システムの光送信機が備える送信回路において主信号に多重されるパイロットトーン信号の電力の設計法の例を説明するための図である。 本発明の第1実施形態による伝送システムの光送受信機の対向特性における効果を説明するための図である。 本発明の第2実施形態による伝送システムの光受信機が備える信号処理部(位相補償部)の機能ブロック図である。 本発明の第2実施形態による伝送システムの光受信機が備える信号処理部(位相補償部を構成する整合部)の機能ブロック図である。 本発明の第2実施形態による伝送システムの光受信機が備える信号処理部(位相補償部を構成する整合部)の変形例の機能ブロック図である。 本発明の第4実施形態による伝送システムの光受信機が備える信号処理部の機能ブロック図である。 本発明の第4実施形態による伝送システムの光受信機が備える信号処理部(位相補償部を構成する整合部)の機能ブロック図である。 本発明の第5実施形態による伝送システムにおけるQペナルティとパイロットトーン信号の挿入位置(オフセット周波数)との関係を説明するための図である。
本発明の第1実施形態から第5実施形態を説明する。
以下に説明する本発明の各実施形態は、光受信機において間引き処理により並列化したパイロットトーン信号をダイバシチ受信することを共通の特徴としており、これにより、信号の多値化に伴う信号点間距離縮小に応じた精度で位相雑音を推定して補償することを可能としている。
(第1実施形態)
[構成の説明]
図1に、本発明の第1実施形態による光伝送システム1の構成の一例を示す。
同図に示すように、光伝送システム1は、光送信機100と、光伝送路200と、光受信機300から構成される。このうち、光送信機100は、パイロットトーン信号PTが多重(重畳)された光変調信号(変調光)を送出するものであり、信号光源110、光変調器120、送信回路130から構成される。信号光源110は、連続光(CW光)を発生させるものである。光変調器120は、信号光源110が発生させた連続光を送信回路130から入力される電気信号Sに基づいて光変調して光変調信号(変調光)を発生させるものである。
送信回路130は、変調方式(例えば、QAM; Quadrature Amplitude Modulation)に応じて、論理値「0」および「1」からなるデータ系列DTのビットパターンに対応したシンボルを含む主信号を生成するものである。本実施形態では、送信回路130は、主信号にパイロットトーン信号PTを多重して電気信号Sとして出力する。パイロットトーン信号PTは、主信号の位相の基準となる参照信号である。
図2に、光送信機100が備える送信回路130の構成の一例を示す。同図に示すように、送信回路130は、シンボルマッピング部131、パイロットトーン多重部132を備える。シンボルマッピング部131は、論理値「0」および「1」からなるデータ系列DTを対応の複素数点にシンボルマッピングすることにより、データ系列DTのビットパターンに対応したシンボルを含む主信号を生成するものである。
パイロットトーン多重部132は、シンボルマッピング部131により生成された主信号にパイロットトーン信号PTを多重して電気信号Sを生成するものである。本実施形態では、パイロットトーン多重部132により主信号に多重されるパイロットトーン信号PTは、所定周波数の単一のパイロットトーン信号である。送信回路130から出力される電気信号Sを用いて光変調器120を駆動することにより、パイロットトーン信号PTが重畳された主信号を含む光変調信号(変調光)が得られる。
説明を図1に戻す。光伝送路200は、光送信機100から送出された光変調信号を伝送するものである。本実施形態では、光伝送路200として光ファイバ伝送路を想定するが、光変調信号を伝送し得ることを限度として光伝送路200は任意であり、例えば空間であってもよい。
光受信機300は、光伝送路200を介して光送信機100から光変調信号を受信するものである。光受信機300は、光90°ハイブリッド310、光電変換器320、アナログデジタル変換器330、信号処理部340、局部発振光源350を備えて構成される。このうち、光90°ハイブリッド310は、光伝送路200を介して受信された光変調信号と、局部発振光源350からの局部発振光とを合成するものである。光電変換器320は、光90°ハイブリッド310から出力される合成光を電気信号(アナログ信号)に変換するものである。アナログデジタル変換器330は、光電変換器320から出力されるアナログ信号をサンプリング間隔T[sec]でサンプリングすることにより、このアナログ信号をデジタル信号であるデータ系列DRに変換するものである。データ系列DRは、光伝送路200を介して受信された光変調信号に対応するデジタル量の変調信号を表す。
信号処理部340は、アナログデジタル変換器330から入力されるデータ系列DR(デジタル量の変調信号)から前述の光送信機100に入力されたデータ系列DTを復元するための処理を実施するものである。本実施形態では、信号処理部340は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP; Digital Signal Processor)から構成される。ただし、この例に限定されず、信号処理部340を例えばソフトウェアにより実現してもよい。
図3に、光受信機300が備える信号処理部340の機能ブロックの一例を示す。同図に示すように、信号処理部340は、位相補償部341、波長分散補償部342、適応等化器343、搬送波位相同期部344、シンボル識別部345から構成される。このうち、位相補償部341は、本実施形態の特徴部であり、上述のアナログデジタル変換器330から入力されるデータ系列DR(デジタル量の変調信号)の位相を補償するための位相補償装置を構成する。その詳細については後述する。
波長分散補償部342は、位相補償部341(位相補償装置)において位相補償されたデータ系列DRに対して等化処理を実施するものである。適応等化器343は、等化処理がなされたデータ系列DRに対し、偏波多重された信号を偏波分離するための処理を実施するものである。搬送波位相同期部344は、光送信機100の信号光源110の位相に光受信機300の局部発振光源の位相を同期させるものである。シンボル識別部345は、位相同期されたデータ系列DRからシンボルを識別するものである。この識別されたシンボルから送信側のデータ系列DTが復元される。
図4に、光受信機300が備える信号処理部340の位相補償部341の機能ブロックの一例を示す。同図に示すように、位相補償部341は、パイロットトーン分離部10、整合部20、N個(Nは2以上の整数)の並列接続された位相同期回路30〜30、位相推定部40、位相雑音補償部50から構成される。このうち、パイロットトーン分離部10は、光伝送路200を介して受信された光変調信号に対応するデジタル量の変調信号であるデータ系列DRから、所定周波数の単一のパイロットトーン信号PTと主信号DMとを分離するものである。
整合部20は、パイロットトーン分離部10により分離されたパイロットトーン信号PTに並列化処理を施して並列化されたN個のパイロットトーン信号PT〜PTを取得するものである。N個の位相同期回路30〜30は、整合部20により取得された複数のパイロットトーン信号PT〜PTにそれぞれ位相同期するものである。本実施形態では、N個の位相同期回路30〜30の特性は相互に同等であるものとするが、後述するように、N個の位相同期回路30〜30の特性をそれぞれ異ならせてもよい。位相推定部40は、N個の位相同期回路30〜30の出力信号から、パイロットトーン信号PTの位相を推定するものである。位相雑音補償部50は、位相推定部40により推定された位相に基づいて、データ系列DR(変調信号)から分離された主信号DMの位相雑音を補償するものである。
図5に、位相補償部341を構成する整合部20の機能ブロックを示す。同図の例では、位相同期回路30〜30の個数を表すNは3である。同図に示すように、整合部20は、重み付け回路21と適応処理部22から構成される。ここで、重み付け回路21は、受信信号である光変調信号に多重されたパイロットトーン信号PTに重み付けを行うことにより、その振幅調整と位相調整を実施するものである。適応処理部22は、重み付けされたパイロットトーン信号PTのデータを間引くことにより、単一のパイロットトーン信号PTを複数のパイロットトーン信号PT〜PTに並列化するものである。同図の例では、Nは3であるから、パイロットトーン信号PTは、3個のパイロットトーン信号PT〜PT(N=3)に並列化される。
整合部20によるパイロットトーン信号PTの並列化は、例えばパイロットトーン信号PTの周波数成分等に応じて適応的に実施される。図5の例では、パイロットトーン信号PTを構成するデータ列「0,1,2,3,4,5」を2個単位で順に間引いて、例えばパイロットトーン信号PTとしてデータ列「3’,0’」を得ている。この例のほか、例えば、データ列「0,1,2,3,4,5,…」を3個単位で順に間引いてもよい。この例に限らず、パイロットトーン信号PTのデータ列を間引くルールは任意であり、例えば位相同期回路30〜30による位相同期が促進されるように適応的に設定される。
[動作の説明]
次に、本実施形態による光伝送システム1の動作を説明する。
図1の光送信機100において、送信回路130は、データ系列DTから生成した主信号にパイロットトーン信号PTが多重された電気信号Sを光変調器120に出力する。光変調器120は、信号光源110が発生させた連続光(CW光)を電気信号Sにより光変調して変調光である光変調信号を発生させ、この光変調信号を、光デジタル化された送信信号として受信光伝送路200に送出する。本実施形態では、主信号に多重されるパイロットトーン信号PTは電気信号であるが、信号光源110が発生させた連続光と位相同期した連続光をパイロットトーン信号TPとして光送信機100から光伝送路200に送出する構成でもよい。
ここで、電気信号であるパイロットトーン信号PTの電力は、パイロットトーン信号電力対信号電力比(PSR)を用いて設計することができる。
図6を参照して、パイロットトーン信号PTの電力の設計法の一例を述べる。図6は、送信回路130において主信号に多重されるパイロットトーン信号PTの電力の設計法の例を説明するための図である。図6において、L11は、パイロットトーン信号PTの電力を主信号の電力に対して相対的に大きくしたときのQペナルティとPSRとの関係を示す。L12は、L11とは逆に、パイロットトーン信号PTの電力を主信号の電力に対して相対的に小さくしたときのQペナルティとPSRとの関係を示す。L13は、L11とL12を合算したときのトータルのQペナルティとPSRとの関係を示す。
次に例示するように、光送受信機の光源や光伝送路で非線形光学効果の位相雑音の影響が顕著である光伝送システムにおいては、位相変動と誤り率との関係を定量評価することにより、パイロットトーン信号PTの電力の設計が可能である。例えば、変調方式を偏波多重16QAMであるとする。本実施形態の光伝送システム1では、光送信機100においてパイロットトーン信号PTを主信号に多重して伝送するため、パイロットトーン信号PTの電力が大きくなると(即ち、PSRが大きくなると)、相対的に主信号の電力が減少する。このため、図6のL11で示されるように、PSRが大きくなると、所望の誤り率からの劣化の指標であるQペナルティが増加する。例えば、Qペナルティを0.1dB以下にするためには、PSRは−18dB以下でなければならない。
一方で、パイロットトーン信号PTの電力が小さくなると(即ち、PSRが小さくなると)、推定精度が劣化する。このため、図6のL12で示されるように、PSRが小さくなると、Qペナルティが増加する。例えば、500kHzの光送受信機の信号光源および局部発振光源の位相雑音を推定する場合、Qペナルティを0.1dB以下で位相推定するためには、−22dB以上のPSRが必要である。このように、パイロットトーン信号PTの電力を大きくしたときも、小さくしたときも、Qペナルティが増加する傾向を示す。
従って、パイロットトーン信号PTの電力を大きくしたときのQペナルティの増加とパイロットトーン信号PTの電力を小さくしたときのQペナルティの増加の両方を抑制するようにPSRを設計する必要がある。そのためには、パイロットトーン信号PTの電力を相対的に大きくしたときのQペナルティ(図6のL11)と、パイロットトーン信号PTの電力を相対的に小さくしたときのQペナルティ(図6のL12)とを合算して、トータルのQペナルティ(図6のL13)を算出し、このトータルのQペナルティを最小とするように、パイロットトーン信号PTのPSRを設計すればよい。図6の例では、約−22dBから約−18dBの範囲の値にPSRを設定すればよい。送信回路130は、上述の設計法に基づいて設定されたPSRを満足する電力のパイロットトーン信号PTを主信号に多重する。
説明を図1に戻す。光送信機100から光伝送路200に送出された光変調信号(変調光)は、波長分散や偏波モード分散、非線形光学効果による波形劣化を受け、光変調信号に含まれる主信号とパイロットトーン信号PTはほぼ同等の位相変動を受ける。
光受信機300では、光送信機100から光伝送路200に送出された光変調信号を、光デジタル化された受信信号として受信し、この光変調信号に対してコヒーレント検波を行い、信号処理部340にて光伝送路200等における波形劣化の等化処理を行う。
概略的には、信号処理部340を構成する図3の位相補償部341は、図1のアナログデジタル変換器330により得られたデータ系列DRで表される変調信号に対して位相補償を行う。波長分散補償部341は、位相補償された変調信号に対し、光伝送路200で生じる波長分散(波長毎の到来時間差により生じる波形劣化)の等化処理を行う。適応等化器343は、送信側で偏波多重された信号を偏波分離する。搬送波位相同期回路344は、光送信機100の信号光源110の位相と光受信機300の局部発振光源の位相を同期させる。シンボル識別部345は、位相同期された変調信号からシンボルを識別する。
次に、本実施形態の特徴部である位相補償部341の動作を詳細に説明する。
位相補償部341を構成するパイロットトーン分離部10は、例えば、デジタルフィルタを用いて、受信された変調信号であるデータ系列DRからパイロットトーン信号PTと主信号DMとを分離する。パイロットトーン分離部10により分離されたパイロットトーン信号PTは、サンプリング間隔T[sec]で整合部20に入力される。整合部20は、分離されたパイロットトーン信号PTに対して、重み付け回路21(図5)による重み付け処理と、適応処理部22による並列化処理を行う。このうち、重み付け処理では、パイロットトーン信号PTの振幅調整と位相調整を行う。また、並列化処理では、振幅調整と位相調整が行われたパイロットトーン信号PTをN個のパイロットトーン信号PT〜PTに並列化する。
整合部20の適応処理部22により並列化されたパイロットトーン信号PT〜PTは、それぞれ、N個の位相同期回路30〜30に入力される。位相同期回路30〜30は、それぞれ、N個の位相同期回路30〜30に対して位相同期させることによりパイロットトーン信号PT〜PTの位相を抽出し、パイロットトーン信号PT〜PTの位相に応じた信号を出力する。位相推定部40は、位相同期回路30〜30の出力信号からパイロットトーン信号PTの位相を推定する。位相雑音補償部50は、位相補償部40により推定された位相を用いて、パイロットトーン分離部10により分離された主信号DMの位相変動を補償し、位相変動が補償された主信号DMRを出力する。
ここで、図5を参照して、上述の整合部20の適応処理部22による並列化に関する処理を詳細に説明する。
ここでは、単一のパイロットトーン信号PTを並列化する場合について説明するが、後述の他の実施形態において説明するように、2つ以上のパイロットトーン信号PTに対しても同様の並列化処理が可能である。即ち、1つ以上のパイロットトーン信号PTに対して並列化処理が可能である。
整合部20の適応処理部22は、パイロットトーン分離部10からサンプリング間隔T[sec]で入力されるPT信号に対し、Nサンプル毎にサンプリング間隔NT[sec]で間引くことにより、単一のパイロットトーン信号PTをN個のパイロットトーン信号PT〜PTに並列化する。そして、適応処理部22は、並列化されたパイロットトーン信号PT〜PTを、それぞれ、後段の複数の位相同期回路30〜30へ入力する。以下では、パイロットトーン信号PT〜PTの個数、即ち位相同期回路30〜30の個数を表すNは、適宜、「並列化数」を表すものとする。
本実施形態では、例えば、外部又は位相同期回路30〜30又は位相推定部40又は位相雑音補償部50に備えたモニタ部(不図示)により、光送信機100、光伝送路200、光受信機300等において受けた位相変動の速度U[Hz]の大きさをモニタしておく。適応処理部22は、上記モニタにより得られた位相変動の速度U[Hz]の大きさに応じて、並列化数Nを適応的に変化させる。例えば、適応処理部22は、位相変動の速度Uが並列化後のナイキスト周波数(1/(2NT))以下になる最大の整数を並列化数Nとして並列化を行う。
適応処理部22における間引き処理により、位相変動の速度U[Hz]は、N倍のNU「Hz」になるが、間引き前の位相変動の周波数U[Hz]がナイキスト周波数の1/N以下であれば、位相同期回路30〜30は、位相変動に追従することができる。
次に、位相推定部40による位相推定に関する処理を詳細に説明する。
位相推定部40は、上述の位相同期回路30〜30から出力された複数の系列のパイロットトーン信号PT〜PTからパイロットトーン信号PTの位相を推定する。位相同期回路0〜30の位相誤差の分散(σ single)は、式(1)により表され、位相誤差の分散(σ single)が小さいほど、精度の高い位相推定が可能となる。
Figure 2014107842
ここで、C1,C2は、変調方式、位相同期回路30〜30の設計パラメータ(例えば、位相同期回路30〜30にPLLを用いた場合は、ダンピングファクタと自然周波数)、サンプリング周波数により定まる定数である。γは、並列化前の間引き処理後のパイロットトーン信号PTのSNR(即ち、パイロットトーン信号PT〜PTの個々のSNR)である。δは、並列化前の間引き処理前の位相変動(即ち、パイロットトーン信号PTの位相変動)である。
適応処理部22における間引き処理により、δは、間引き処理前よりもN倍になる。間引き後であって並列化前のパイロットトーン信号PT〜PTの各推定誤差の分散(σ decimation)は式(2)により表され、推定誤差の分散が増加する。
Figure 2014107842
しかしながら、並列化数がNであることから、並列化後の推定誤差の分散(σ parallel)は、並列化前の位相誤差の分散(σ decimation)の1/Nとなり、式(3)のように表される。式(1)と式(3)を比較すれば理解されるように、γの影響がN分の1となるため、結果的に推定誤差の分散が低下し、パイロットトーン信号PTのSNRが改善される。
Figure 2014107842
但し、間引き後の位相変動の速度NU[Hz]は、白色雑音の帯域幅より十分に小さいものと仮定する。この仮定は、位相雑音の変動周波数が概ね100[kHz]〜100[MHz]と想定されることから、白色雑音の帯域幅よりも1桁以上小さいため成立する。本実施形態におけるSNR改善の前提条件は、「パイロットトーン信号PTの値が一定とみなせる時間幅にサンプリング点が十分存在する」ことである。例えばサンプリングが100GSpsである場合、位相変動が10GHz以下であればよく、これに対し位相雑音の変動周波数は充分に低い。この条件下で、k番目のサンプリング点における信号s(k)、雑音をn(k)、期待値をE[・]とすると、SNRは次式により表され、SNRはN倍に改善される。
サンプリング後の系列:s(k)+n(k)
信号電力:E[(N*S)^2]=(N^2)P
雑音電力:E[(Σn(k))^2]=N(σ)^2
(但し,P=E[s^2]、σ^2=E[n^2])
SNR = (信号電力)/(雑音電力) = N (P/σ^2)
適応処理部22による並列化処理では、図5の例(N=3)に示すように、等間隔でパイロットトーン信号PTのデータ列を間引くことにより、3系列のパイロットトーン信号PT〜PT(N=3)が生成される。前述した並列化の効果によりパイロットトーン信号PT〜PTのSNRが改善するため、位相推定部40において、パイロットトーン信号PTのSNRの改善効果を得ることができる。本実施形態では、サンプリング間隔NT[sec]での間引き処理を例として述べたが、連続したK(Kは1以上の整数)個のサンプルを第一の位相同期回路30に入力し、次のKサンプルを第二の位相同期回路30に入力する等のブロック処理を行ってもよい。
また、本実施形態では、並列化された位相同期回路30〜30の特性は相互に同等であるものとしたが、これら位相同期回路30〜30の特性は其々異なるように設計し、位相変動の特性に応じて、特定の位相同期回路を優先的に選択してもよい。特定の位相同期回路を優先的に選択するためには、例えば整合部20が、並列化されたパイロットトーン信号PT1〜PTにパイロットトーン信号の振幅に応じて重み付けを行う重み付け回路(図示なし)を更に備えればよい。この重み付け回路での処理として、振幅やSNRの値等が最大の系列を選択する「選択合成」、各系列を和算処理する「等比合成」、各系列に振幅やSNRの値等に応じた係数を乗じて和算処理する「最大比合成」等の処理を用いてもよい。また、例えば、SNRが低いサンプル点を削除し、それ以外を選択合成してもよい。例えば、SNRに応じて重み付けする最大比合成を行ってもよい。例えば、パターン効果に応じて、位相同期回路毎に同期する周波数成分が変わるように間引き周期を変えて、周波数に応じた重み付けで合成してもよい。例えば、デジタル処理を行う場合のアナログデジタル変換器と、高速フーリエ変換(FFT)の周期の違いによる不連続点等の特異点がなくなるように間引きを行って合成する等しても良い。
ここで、上述の適応処理部22において重み付けされた複数の系列のパイロットトーン信号PT〜PTから、位相推定部40において一つの系列を和算により生成し、推定を行うことを一般的にダイバシチ処理と称し、このときの利得をダイバシチゲインと称す。本実施形態では、送信側で多重された1つのパイロットトーン信号PTを並列化することにより得られる効果をダイバシチゲインと称している。これに対し、後述の第2実施形態、第3実施形態のように、送信側で多重された複数のパイロットトーン信号PTをアレイ化することにより得られる効果をアレイゲインと称す。
次に、位相推定部40での処理について、位相同期回路30〜30にPLL(Phase Locked Loop)を用いた場合について説明する。
本発明は、複数の位相同期回路30〜30で位相補償部341を構成したことを主要な特徴の一つとしている。位相同期回路30〜30のそれぞれがPLLである場合、i番目(1≦i≦N)のPLLから出力される位相誤差(真の位相とPLL出力位相の差)φiは、式(4)に示されるTikhonov分布に従う。但し、αiは、PLLに入力される間引き後のパイロットトーン信号PT〜PTのSNRと位相変動量で決まる定数である。
Figure 2014107842
伝送設計時に概略的な位相変動を見積もることが可能であるので、各PLLの出力から、式(5)に示す量を最大にする位相φestを選ぶ最尤推定を行うことにより推定精度を向上させることができる。但し、式(5)において、φiは,ψi−φestであり、ψiは、i番目位相同期回路の出力位相である。具体的には、ψiを式(5)に代入し、φestを総当たりで計算しても良いし、極値が解析的にも求められるため、総当たりせずに直接求めてもよい。
Figure 2014107842
図7は、伝送システム1の光送信機100および光受信機300の対向特性における効果の一例を説明するための図である。図7において、L21は、理論値のビットエラー率を表し、L22は、本実施形態による位相推定によるビットエラー率を表し、L23は、単一の位相同期回路を用いた場合のビットエラー率を表している。この例は、変調方式として64QAMを用い、光送受信機の光源線幅が100kHzのシステムに本実施形態を適用したときの光送受信機の対向特性における効果を示す。同図から理解されるように、本実施形態によれば、単一の位相同期回路を用いてパイロットトーン信号PTの位相推定を行う場合に比べて、10の−4乗の誤り率を実現するために必要なEbN0(1ビット当たりの信号電力と雑音密度の比)が約1dB程度改善されており、位相の推定精度が向上している。
上述した第1実施形態によれば、光送信機において主信号に重畳された単一のパイロットトーン信号に対して、光受信機300において並列接続された複数段の位相同期回路30〜30を位相同期させることにより、主信号に多重された単一のパイロットトーン信号の位相推定を向上させる技術であるダイバシチゲインを簡易な回路構成で実現することができ、高精度で位相推定を行うことができる。
なお、本実施形態では、単一光周波数の主信号(キャリア)に着目して説明したが、マルチキャリア伝送において、異なったキャリアに多重されたパイロットトーン信号を利用してもよい。例えば、主信号に多重されたパイロットトーン信号が主信号から周波数F1[Hz]だけ離れた周波数にオフセットして送信されており、隣接したキャリアに多重されたパイロットトーン信号が主信号から周波数F2[Hz]だけ離れた周波数にオフセットして送信されており、受信機において、これらの2つのパイロットトーン信号が受信されたとする。このとき、周波数F1に多重されたパイロットトーン信号のSNRと周波数F2に多重されたパイロットトーン信号のSNRを比較して、高いSNRを持つパイロットトーン信号を利用する等である。これは、SNRが低いパイロットトーン信号を利用した際に問題となる過剰補償を防ぐのに好適である。
(第2実施形態)
次に、上述の第1実施形態の図面を適宜援用して、本発明の第2実施形態を説明する。
第1実施形態と本実施形態との違いは、光送信機100の送信回路130が備えるパイロットトーン多重部132にある。即ち、本実施形態では、パイロットトーン多重部132は、周波数の異なる複数のパイロットトーン信号PT〜PTを主信号に多重する。複数のパイロットトーン信号を送信側で入力することをアレイ化と呼ぶことにする。光受信機300の位相補償部341が備える整合部20は、上記の周波数の異なる複数のパイロットトーン信号PTに対して重み付けおよび適応処理を行う。
本実施形態では、光送信機100のパイロットトーン多重部132は、周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を主信号に多重(重畳)するものとして機能する。本実施形態では、図8に示すように、光受信機300のパイロットトーン分離部10は、光伝送路を介して受信された光変調信号から周波数の異なる複数のパイロットトーン信号PT〜PTを含むパイロットトーン信号成分を分離するものとして機能する。図8の整合部20は、図9に示すように、パイロットトーン分離部10により分離されたパイロットトーン信号PT〜PTを含むパイロットトーン信号成分を並列化して複数のパイロットトーン信号PT〜PTを取得するものとして機能する。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
本実施形態では、位相同期回路30〜30のそれぞれの位相誤差の分散(σ single)を表す前述の式(1)中のγは、周波数分離後のパイロットトーン信号PT〜PTのSNRであり、δは、位相変動である。アレイ数がNであるから、式(6)に示すように、推定誤差の分散(σ parallel)は、アレイ化の効果により、式(1)に示される位相誤差の分散(σ single)の1/Nとなる。これにより、パイロットトーン信号PTのSNRが改善し、位相変動も減少する。
また、前述したアレイ化の効果によりパイロットトーン信号PT〜PTのSNRが改善し、位相変動も等価的に減少するため、位相推定部40において、推定誤差の低減効果を得ることができる。
Figure 2014107842
また、本実施形態でも、並列化された位相同期回路30〜30の特性は其々異なるように設計し、位相変動の特性に応じて、特定の位相同期回路を優先的に選択してもよい。優先的に選択するためには、例えば、整合部20が、波長分散量またはアレイ化されたパイロットトーン信号PT〜PTに対し、このパイロットトーン信号の振幅に応じて重み付けを行う重み付け回路を更に備えればよい。
例えば、波長分散により伝播遅延の異なるパイロットトーン信号PTに対して、複数系列から最大比合成を行うには、系列の振幅と遅延を検出し、各系列に対して振幅の乗算と遅延による位相ずれの調整を行い、和算処理を行うことで実現できる。等利得合成を行うには、例えば、系列の遅延を検出し、各系列に対して、遅延による位相ずれの調整を行い、和算処理を行えばよい。
次に、本実施形態の位相推定部40での処理について、位相同期回路30〜30にPLL(Phase Locked Loop)を用いた場合について説明する。本発明は、複数の位相同期回路30〜30で位相補償部341を構成したことを主要な特徴の一つとしている。位相同期回路30〜30のそれぞれがPLLである場合、i番目(1≦i≦N)のPLLから出力される位相誤差(真の位相とPLL出力位相の差)φiは前述の式(4)のTikhonov分布に従う。但し、αiは、PLLに入力される間引き後のパイロットトーン信号PTのSNRと位相変動量で決まる定数である。伝送設計時に概略的な位相変動を見積もることが可能であるので、各PLLの出力から、第1実施形態と同様に、最尤推定を行うことにより推定精度を向上することができる。
本実施例の適応処理部22は例えば、パイロットトーン信号PTの位相変動が無視できる場合、少数のパイロットトーン信号PTを送信し、一部の位相同期回路のみ同期処理し、残りの位相同期回路は休止してもよい。
上述した第2実施形態によれば、光送信機において主信号に重畳された周波数の異なる複数のパイロットトーン信号に対して、光受信機において並列接続された複数段の位相同期回路30〜30を位相同期させることにより、主信号に多重された複数のパイロットトーン信号の位相推定を向上させる技術であるアレイゲインとダイバシチゲインを簡易な回路構成で実現することができ、高精度で位相推定を行うことができる。
なお、本実施形態では,送信するパイロットトーン信号数と並列化された位相同期回路の数が等しい場合を説明したが,数が異なっていたとしても,同等の効果を得ることが期待できる。
また、本実施形態では、単一光周波数の主信号(キャリア)に着目して説明したが、マルチキャリア伝送において、異なったキャリアに多重されたパイロットトーン信号を利用してもよい。例えば、主信号に多重されたパイロットトーン信号が主信号から周波数F1[Hz]だけ離れた周波数にオフセットして送信されており、隣接したキャリアに多重されたパイロットトーン信号が主信号から周波数F2[Hz]だけ離れた周波数にオフセットして送信されており、受信機において、これらの2つのパイロットトーン信号が受信されたとする。このとき、周波数F1に多重されたパイロットトーン信号と周波数F2に多重されたパイロットトーン信号を利用して、主信号の位相補償を行う等である。これは、主信号に対してパイロットトーン信号を一つだけ挿入し、光変調後にマルチキャリア多重する系において好適である。また、図10に例示するように、適応処理部22が、並列化された位相同期回路30〜30を選択する際に、本来入力する位相同期回路とは異なる位相同期回路にパイロットトーン信号を入力するインターリーブ機能を備えてもよい。図10の例では、上記インターリーブ機能により、例えばパイロットトーン信号PTのデータ「1」は、本来入力する位相同期回路30とは異なる位相同期回路30にデータ「1’」として入力される。
(第3実施形態)
次に、第1実施形態の図面を適宜援用して、本発明の第3実施形態を説明する。
本実施形態は、上述の第1実施形態及び第2実施形態の組み合わせに相当する。本実施形態では、光送信機100のパイロットトーン多重部132において周波数の異なる複数のパイロットトーン信号PTを主信号に多重し、光受信機300の整合部20において、上記周波数の異なる複数のパイロットトーン信号PTと主信号とを分離すると共に間引き処理をして並列化する。本実施形態では、第1実施形態および第2実施形態と同様に、並列化・アレイ化の効果により、パイロットトーン信号PTの推定誤差の改善をすることができる。
本実施形態では、光送信機100のパイロットトーン多重部132は、周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を主信号に多重(重畳)するものとして機能する。光受信機300のパイロットトーン分離部10は、光伝送路200を介して受信された光変調信号から周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を含むパイロットトーン信号成分と主信号とを分離するものとして機能する。整合部20は、パイロットトーン分離部10により分離されたパイロットトーン信号成分を周波数ごとに分離して上記周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を取得するものとして機能する。その他の構成は、第1実施形態または第2実施形態と同様である。
本実施形態の適応処理部22は例えば、パイロットトーン信号PTの位相変動が無視できる場合、少数のパイロットトーン信号PTを送信し、一部の位相同期回路のみ同期処理し、残りの位相同期回路は休止してもよい。また、位相変動が大きい場合、多数のパイロットトーン信号を送信し、並列化数を減らして、一部の位相同期回路のみ同期処理し、残りの位相同期回路は休止してもよい。
また、本実施形態でも、並列化された位相同期回路30〜30の特性は其々異なるように設計し、位相変動の特性に応じて、特定の位相同期回路を優先的に選択してもよい。優先的に選択するためには、例えば整合部20が、波長分散量または並列化されたパイロットトーン信号PTに対し、このパイロットトーン信号の振幅に応じて重み付けを行う重み付け回路を更に備えればよい。
次に、本実施形態の位相推定部40での処理について、位相同期回路30〜30にPLL(Phase Locked Loop)を用いた場合について説明する。本発明は、複数の位相同期回路30〜30で位相補償部341を構成したことを主要な特徴の一つとしている。位相同期回路30〜30のそれぞれがPLLである場合、i番目(1≦i≦N)のPLLから出力される位相誤差(真の位相とPLL出力位相の差)φiは前述の式(4)のTikhonov分布に従う。但し、αiは、PLLに入力される間引き後のパイロットトーン信号PTのSNRと位相変動量で決まる定数である。伝送設計時に概略的な位相変動を見積もることが可能であるので、各PLLの出力から、第1実施形態または第2実施形態と同様に最尤推定を行うことにより推定精度を向上することができる。
上述した第3実施形態によれば、第2実施形態と同様に、光送信機において主信号に重畳された周波数の異なる複数のパイロットトーン信号に対して、光受信機において並列接続された複数段の位相同期回路30〜30を位相同期させることにより、主信号に多重された複数のパイロットトーン信号の位相推定を向上させる技術であるダイバシチゲインとアレイゲインを簡易な回路構成で実現することができ、高精度で位相推定を行うことができる。
なお、本実施形態では、単一光周波数の主信号(キャリア)に着目して説明したが、マルチキャリア伝送において、異なったキャリアに多重されたパイロットトーン信号を利用してもよい。例えば、主信号に多重されたパイロットトーン信号が主信号から周波数F1[Hz]だけ離れた周波数にオフセットして送信されており、隣接したキャリアに多重されたパイロットトーン信号が主信号から周波数F2[Hz]だけ離れた周波数にオフセットして送信されており、受信機において、これらの2つのパイロットトーン信号が受信されたとする。このとき、周波数F1に多重されたパイロットトーン信号と周波数F2に多重されたパイロットトーン信号を利用して、主信号の位相補償を行う等である。これは、主信号に対してパイロットトーン信号を一つだけ挿入し、光変調後にマルチキャリア多重する系において好適である。また、前述の図10に示した例と同様に、適応処理部が、並列化された位相同期回路を選択する際に、本来入力する位相同期回路とは異なる位相同期回路にパイロットトーン信号を入力するインターリーブ機能を備えてもよい。
(第4実施形態)
次に、第1実施形態の図面を適宜援用して、本発明の第4実施形態を説明する。
図11は、本実施形態による伝送システムの光受信機300が備える信号処理部340の機能ブロック図である。前述の第1実施形態では、図3に示すように位相補償部341を波長分散補償部342の前段に備えたが、本実施形態では、位相補償部341に代えて、図11に示すように、波長分散補償部342の後段に位相補償部341Aを備えている。本実施形態では、このように波長分散補償部342を整合部20Aよりも前段側に備えたことにより、位相補償部341Aが備える整合部20Aにおける重み付け処理が第1実施形態から第3実施形態の整合部20と異なる。その他の構成は、第1実施形態から第3実施形態と同様である。
図12は、本実施形態による位相補償部341Aを構成する整合部20Aの機能ブロック図である。整合部20Aは、重み付け回路21Aと適応処理部22とを備える。ここで、重み付け回路21Aは、振幅調整の機能のみを有し、位相調整の機能を有していない点で図5に示す第1実施形態の重み付け回路21と異なる。
本実施形態では、それぞれのダイバシチ合成を実現するために必要な遅延による位相ずれの調整を波長分散補償部342において実施することができる。即ち、本実施形態では、波長分散補償部342は、光伝送路200で生じる波長分散の等化処理を実施する過程で、光伝送路200での遅延による位相変動も併せて調整することができる。このため、整合部20Aを構成する重み付け回路21Aでは、位相ずれの調整を行う必要がなくなる。従って、本実施形態によれば、整合部20Aにおいて位相ずれの調整回路が不要となり、整合部20Aの回路規模を削減することができる。
このように、第4実施形態では、第1実施形態から第3実施形態の位相補償部341に代えて、図11に示すように、位相補償部341Aを波長分散補償部342の後段に備え、パイロットトーン信号PTと主信号DMとを分離するパイロットトーン分離部10を波長分散補償部342の後段に配置している。これにより、整合部20Aを構成する重み付け回路21Aの処理を簡易化することができ、整合部20Aの回路規模を削減することが可能になる。
また、第4実施形態によれば、光送信機において主信号に重畳された1つ以上のパイロットトーン信号に対して、光受信機において並列接続された複数段の位相同期回路30〜30を位相同期させることにより、主信号に多重された1つ以上のパイロットトーン信号の位相推定を向上させる技術であるダイバシチゲインを簡易な回路構成で実現することができ、高精度で位相推定を行うことができる。
なお、本実施形態では、重み付け回路21Aが適応処理部22の前段に配置されているが、重み付け回路21Aは波長分散補償部342の後段であって、前述の位相推定部40における和算処理を行うための処理部の前段に配置されていればよい。
また、本実施形態と同様の構成は、第1実施形態から第3実施形態でも適用可能である。即ち、第1から第3実施形態において、位相補償部341を波長分散補償部342の後段に備えてもよい。
(第5実施形態)
次に、第1実施形態の図面を適宜援用して、本発明の第5実施形態を説明する。
本実施形態は、第1実施形態の図面を援用する第2実施形態の構成において、光送信機100のパイロットトーン多重部132が異なる。本実施形態では、パイロットトーン信号PTは、このパイロットトーン信号PTが多重される主信号の信号帯域を制限することにより生じた空き周波数に割り当てられる。また、本実施形態では、パイロットトーン多重部132は、ボーレートB[Baud]の光変調信号の中心周波数を基準として、−B[Hz]から−B/2[Hz]、または、B/2[Hz]からB[Hz]の周波数領域に1つ以上のパイロットトーン信号を主信号に多重する。
一般に、パイロットトーン信号PTを主信号に多重する手法として、光送信機において、パイロットトーン信号PTを信号帯域外に挿入する手法、または、一部のサブキャリアをパイロットトーン信号PTとして利用する手法が用いられる。しかしながら、このような手法によれば、周波数利用効率が低下する。
そこで,本実施形態では、図2に示すパイロットトーン多重部132において、光送信機100の不完全性の補償を行うと同時に、主信号の帯域幅(信号占有帯域幅)の帯域狭窄(帯域制限)を行うことにより、信号帯域内にパイロットトーン信号PTの挿入位置を確保する。ここで、光送信機100の不完全性の補償とは、例えば、光変調器120を駆動する送信回路130の周波数特性の予等化処理や,光変調器120の線形性を向上させるプリディストーション処理である。これらの補償処理は、本実施形態では必ずしも必要ではなく、省くことができる。
例えば、パイロットトーン多重部132は、パイロットトーン信号PTを主信号に多重する際に、連続光を変調する前の電気信号処理段における主信号または主信号で変調した光変調信号にフィルタ等を用いて波形整形を施し、前述した信号占有帯域幅の狭窄化(帯域制限)を実施する。これにより、パイロットトーン多重部132は、帯域狭窄前の主信号の帯域幅も含めてパイロットトーン信号PTの挿入位置を確保する。
次に、パイロットトーン多重部132は、主信号に加えて、一つ以上のパイロットトーン信号PTを電気的に生成し、連続光を変調する前の電気信号処理段において主信号に重畳する。または、パイロットトーン多重部132は、主信号で変調した光変調信号に重畳して変調してもよい。または、パイロットトーン多重部132は、電気段のパイロットトーン信号PTで別途変調した光を主信号で変調した光と位相と周波数と偏波を同期して重畳してもよい。以下では、電気的にパイロットトーン信号PTを生成する手法について述べるが、変調する連続光と位相同期した連続光を光送信機100から光伝送路200に送信する構成であればよい。
電気的にパイロットトーン信号PTを生成する場合、パイロットトーン信号PTの挿入間隔F[Hz]は、光受信機100において補償する位相変動帯域をW[Hz]とすると、F>Wを満たすように設定される。また、パイロットトーン多重部132が確保した挿入帯域幅をA[Hz]とすると、挿入し得るパイロットトーン信号PTの最大数(Kは整数)は、A/Wを超えない最大の整数となる。
図13に、本実施形態による光伝送システムにおけるQペナルティとパイロットトーン信号の挿入位置(オフセット周波数)との関係の一例を示し、信号帯域内にパイロットトーン信号PTを挿入したときの関係を示す。16GBaudで変調した場合、仮に本実施形態を適用しなければ、信号の中心周波数から約32GHz(カットオフ周波数fCUT)まで信号占有帯域幅がある。また、ナイキストの定理より、ナイキスト周波数f(本実施形態では16GHz)まで、符号間干渉が発生することなく、帯域狭窄が可能である。
本実施形態では、例えば、ナイキストの定理を満たす2乗余弦フィルタ(係数0.1)を用いる。このときのカットオフ周波数fCUTは約17.6GHzである。Qペナルティを1dB以下に抑えるためには、カットオフ周波数fCUT以上のオフセットを信号の中心周波数から離せば、設計したQペナルティ以下でパイロットトーン信号PTを挿入することができる。確保された挿入帯域Aが約14GHzであり、補償する位相変動帯域Wが1GHzだとすると、本実施形態によれば、周波数利用効率を低下させることなく、最大14のパイロットトーン信号PTを主信号に挿入できることとなる。本実施形態では、波形整形に2乗余弦フィルタを用いたが、ナイキストの定理を満たすフィルタであれば、その他の任意の波形整形フィルタを用いることができる。
本実施形態においても、並列化された位相同期回路30〜30の特性は其々異なるように設計し,位相変動の特性に応じて、特定の位相同期回路を優先的に選択してもよい。優先的に選択するためには、例えば整合部20が、並列化されたパイロットトーン信号に、パイロットトーン信号の振幅に応じて重み付けを行う重み付け回路を更に備えればよい。重み付け回路の処理として、前述した「選択合成」、「等比合成」、「最大比合成」などの処理を用いてもよい。また、例えば、変調サイドバンドの統計的な分布や光送受信機や伝送路の周波数特性によって、主信号の中心周波数からのパイロットトーン信号PTの周波数配置によって、パイロットトーン分離部で分離したパイロットトーン信号PTに、主信号の中心周波数からの周波数差に反比例する比や、整合フィルタの形状を考慮した係数で重み付けする合成方法を用いてもよい。
なお、本実施形態では、単一光周波数の主信号(キャリア)に着目して説明したが、マルチキャリア伝送において、異なったキャリアに多重されたパイロットトーン信号を利用してもよい。例えば、主信号に多重されたパイロットトーン信号が主信号から周波数F1[Hz]だけ離れた周波数にオフセットして送信されており、隣接したキャリアに多重されたパイロットトーン信号が主信号から周波数F2[Hz]だけ離れた周波数にオフセットして送信されており、受信機において、これらの2つのパイロットトーン信号が受信されたとする。このとき、周波数F1に多重されたパイロットトーン信号と周波数F2に多重されたパイロットトーン信号を利用して、主信号の位相補償を行う等である。これは、主信号に対してパイロットトーン信号を一つだけ挿入し、光変調後にマルチキャリア多重する系において好適である。また、前述の図10に示した例と同様に、適応処理部が、並列化された位相同期回路を選択する際に、本来入力する位相同期回路と異なる位相同期回路にパイロットトーン信号を入力するインターリーブ機能を備えてもよい。
上述した第5実施形態によれば、光送信機において主信号の信号帯域内に1つ以上のパイロットトーン信号を挿入することにより、周波数の利用効率の低下を抑制することができる。また、光送信機において主信号に多重された1つ以上のパイロットトーン信号に対して、光受信機において並列接続された複数段の位相同期回路30〜30を位相同期させることにより、主信号に多重された1つ以上のパイロットトーン信号の位相推定を向上させる技術であるダイバシチゲインを簡易な回路構成で実現することができ、高精度で位相推定を行うことができる。
なお、本実施形態と同様の構成は、第2実施形態のみならず、第1実施形態、第3実施形態、第4実施形態でも適用可能である。即ち、第1実施形態、第3実施形態、第4実施形態におけるパイロットトーン多重部132が、主信号の信号帯域を制限して、パイロットトーン信号PTの挿入位置を確保してもよい。
上述した第1実施形態から第5実施形態では、本発明の特徴部を光伝送システムの位相補償部(位相補償装置)341,341Aとして表現したが、本発明の特徴部は位相補償方法として表現することもできる。この場合、第1実施形態に対応する位相補償方法は、光伝送路を介して受信された変調信号から周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を含むパイロットトーン信号成分と主信号とを分離する段階と、前記分離されたパイロットトーン信号成分を周波数ごとに分離して前記周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を取得する段階と、前記周波数ごとに分離して取得された複数のパイロットトーン信号に複数の位相同期回路をそれぞれ位相同期させる段階と、前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する段階と、前記推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する段階と、を含むことを特徴とする位相補償方法として表現することができる。
また、第2実施形態に対応する位相補償方法は、光伝送路を介して受信された変調信号から単一のパイロットトーン信号と主信号とを分離する段階と、前記分離されたパイロットトーン信号に並列化処理を施して並列化された複数のパイロットトーン信号を取得する段階と、前記取得された複数のパイロットトーン信号に複数の位相同期回路をそれぞれ位相同期させる段階と、前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する段階と、前記推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する段階と、を含むことを特徴とする位相補償方法として表現することができる。
また、第3実施形態に対応する位相補償方法は、光伝送路を介して受信された変調信号から周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を含むパイロットトーン信号成分と主信号とを分離する段階と、前記パイロットトーン分離部により分離されたパイロットトーン信号成分に並列化処理を施して並列化された複数のパイロットトーン信号を取得する段階と、前記取得された複数のパイロットトーン信号に複数の位相同期回路をそれぞれ位相同期させる段階と、前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する段階と、前記推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する段階と、を含むことを特徴とする位相補償方法として表現することができる。
また、上記位相補償方法において、例えば、パイロットトーン信号PTは、このパイロットトーン信号PTが多重される主信号の信号帯域を制限することにより生じた空き周波数に割り当てられる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意の変形や修正が可能である。
1…光伝送システム、10…パイロットトーン分離部、20,20A…整合部、21,21A…重み付け回路、22…適応処理部、30〜30…位相同期回路、40…位相推定部、50…位相雑音補償部、100…光送信機、110…信号光源、120…光変調器、130…送信回路、131…シンボルマッピング部、132…パイロットトーン多重部、200…光伝送路、300…光受信機、310…光90°ハイブリッド、320…光電変換器、330…アナログデジタル変換器、340…信号処理部(DSP)、341,341A…位相補償部、342…波長分散補償部、343…適応等化器、344…搬送波位相同期部、345…シンボル識別部、350…局部発振光源。

Claims (10)

  1. 光伝送路を介して受信された変調信号から周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を含むパイロットトーン信号成分と主信号とを分離するパイロットトーン分離部と、
    前記パイロットトーン分離部により分離されたパイロットトーン信号成分を周波数ごとに分離して前記周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を取得する整合部と、
    前記整合部により取得された複数のパイロットトーン信号にそれぞれ位相同期する複数の位相同期回路と、
    前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する位相推定部と、
    前記位相推定部により推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する位相雑音補償部と、
    を備えたことを特徴とする位相補償装置。
  2. 光伝送路を介して受信された変調信号から単一のパイロットトーン信号と主信号とを分離するパイロットトーン分離部と、
    前記パイロットトーン分離部により分離されたパイロットトーン信号に並列化処理を施して並列化された複数のパイロットトーン信号を取得する整合部と、
    前記整合部により取得された複数のパイロットトーン信号にそれぞれ位相同期する複数の位相同期回路と、
    前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する位相推定部と、
    前記位相推定部により推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する位相雑音補償部と、
    を備えたことを特徴とする位相補償装置。
  3. 光伝送路を介して受信された変調信号から周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を含むパイロットトーン信号成分と主信号とを分離するパイロットトーン分離部と、
    前記パイロットトーン分離部により分離されたパイロットトーン信号成分に並列化処理を施して並列化された複数のパイロットトーン信号を取得する整合部と、
    前記整合部により取得された複数のパイロットトーン信号にそれぞれ位相同期する複数の位相同期回路と、
    前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する位相推定部と、
    前記位相推定部により推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する位相雑音補償部と、
    を備えたことを特徴とする位相補償装置。
  4. 前記パイロットトーン信号は、
    前記パイロットトーン信号が多重される主信号の信号帯域を制限することにより生じた空き周波数に割り当てられたことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の位相補償装置。
  5. 光伝送路を介して変調信号を受信する光受信機であって、
    前記変調信号の位相を補償するための位相補償部として、請求項1から4の何れか1項記載の位相補償装置を備えたことを特徴とする光受信機。
  6. パイロットトーン信号が重畳された変調信号を送出する光送信機と、
    前記光送信機から送出された前記変調信号を伝送する光伝送路と、
    前記光伝送路を介して前記変調信号を受信する光受信機と、
    を備え、
    前記光受信機は、請求項5記載の光受信機であることを特徴とする光伝送システム。
  7. 光伝送路を介して受信された変調信号から周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を含むパイロットトーン信号成分と主信号とを分離する段階と、
    前記分離されたパイロットトーン信号成分を周波数ごとに分離して前記周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を取得する段階と、
    前記周波数ごとに分離して取得された複数のパイロットトーン信号に複数の位相同期回路をそれぞれ位相同期させる段階と、
    前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する段階と、
    前記推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する段階と、
    を含むことを特徴とする位相補償方法。
  8. 光伝送路を介して受信された変調信号から単一のパイロットトーン信号と主信号とを分離する段階と、
    前記分離されたパイロットトーン信号に並列化処理を施して並列化された複数のパイロットトーン信号を取得する段階と、
    前記取得された複数のパイロットトーン信号に複数の位相同期回路をそれぞれ位相同期させる段階と、
    前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する段階と、
    前記推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する段階と、
    を含むことを特徴とする位相補償方法。
  9. 光伝送路を介して受信された変調信号から周波数の異なる複数のパイロットトーン信号を含むパイロットトーン信号成分と主信号とを分離する段階と、
    前記パイロットトーン分離部により分離されたパイロットトーン信号成分に並列化処理を施して並列化された複数のパイロットトーン信号を取得する段階と、
    前記取得された複数のパイロットトーン信号に複数の位相同期回路をそれぞれ位相同期させる段階と、
    前記複数の位相同期回路の出力信号から前記変調信号に多重されたパイロットトーン信号の位相を推定する段階と、
    前記推定された位相に基づいて、前記変調信号から分離された前記主信号の位相雑音を補償する段階と、
    を含むことを特徴とする位相補償方法。
  10. 前記パイロットトーン信号は、
    前記パイロットトーン信号が多重される主信号の信号帯域を制限することにより生じた空き周波数に割り当てられたことを特徴とする請求項7から9の何れか1項に記載の位相補償方法。
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