JP2014105129A - ナノ構造物の製造方法、ナノ構造物、センサ、および、太陽電池 - Google Patents

ナノ構造物の製造方法、ナノ構造物、センサ、および、太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】ナノ構造体を成長させる基板の材質の制限を受けることなく、低コストで、アモルファスカーボンのナノ構造体を成膜する。
【解決手段】ナノ構造物の製造方法は、グラフェンシートの単層体または多層体であるカーボンナノウォール220を、基板210の表面に対して垂直方向に延伸するように成長させてカーボンナノウォール層230を成膜する工程(CNW層成膜工程S110)と、レーザ光を照射して、カーボンナノウォール層230が曝される雰囲気下におけるカーボンナノウォール220の昇華温度以上にカーボンナノウォール層230を加熱する工程(照射工程S120)と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナノ構造物の製造方法、ナノ構造物、センサ、および、太陽電池に関する。
近年、ナノメートル(nm)サイズ(数nmから数十nm程度)の微細形状を有するナノ構造体は、従来の材料が有する特性を飛躍的に向上させた特性を備えていたり、従来の材料にはない特性を備えていたりする。このため、ナノ構造体は、電磁波吸収材料、電池の電極材料、触媒材料、半導体材料、電子放出素子材料、光学材料、強度補強材料等の次世代の機能材料として期待されている。
ナノ構造体のうち、特に、アモルファスカーボンのナノ構造体は、導電性を有し、かつ、透明であるため、注目されている。
アモルファスカーボンを製造する技術として、フラーレンまたはカーボンナノチューブからなるナノカーボン分子層を基板に成膜し、当該ナノカーボン分子層の最表面にレーザ光を照射してアモルファスカーボンとする技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
特開2003−209270号公報
しかし、特許文献1の技術において、フラーレンを成膜する場合、分子線エピタキシ(MBE:Molecular Beam Epitaxy)を用いているため、コストが高くなるといった問題がある。
また、カーボンナノチューブを成膜する場合、基板に触媒を担持させ、この触媒上にカーボンナノチューブを成長させてナノカーボン分子層を形成する。この際に利用される触媒は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)等である。しかし、このようなFe、Ni、Co等は強磁性であるため、カーボンナノチューブを介して形成されたアモルファスカーボンのナノ構造体は、半導体材料として利用することができない。
また、カーボンナノチューブを基板上に成長させるためには、750〜800℃といった高温に基板を加熱する必要がある。したがって、高い耐熱性を有する基板にしか、カーボンナノチューブを成膜することができない。すなわち、太陽電池や液晶等のガラス基板として利用されるアルカリガラスやソーダガラスといった、ガラス転移点が700℃以下のガラス基板に、アモルファスカーボンのナノ構造体を成膜することはできない。
そこで本発明は、このような課題に鑑み、ナノ構造体を成長させる基板の材質の制限を受けることなく、低コストで、アモルファスカーボンのナノ構造体を成膜することが可能なナノ構造物の製造方法、ナノ構造物、センサ、および、太陽電池を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のナノ構造物の製造方法は、グラフェンシートの単層体または多層体であるカーボンナノウォールを、基板の表面に対して垂直方向に延伸するように成長させてカーボンナノウォール層を成膜する工程と、レーザ光を照射して、カーボンナノウォール層が曝される雰囲気下におけるカーボンナノウォールの昇華温度以上にカーボンナノウォール層を加熱する工程と、を含むことを特徴とする。
また、上記カーボンナノウォール層を加熱する工程の後に、加熱されたカーボンナノウォール層に窒素をドーピングする工程を遂行するとしてもよい。
また、上記カーボンナノウォール層を成膜する工程の後であって、カーボンナノウォール層を加熱する工程の前に、カーボンナノウォール層にホウ素をドーピングする工程を遂行するとしてもよい。
また、上記カーボンナノウォール層を加熱する工程において、カーボンナノウォール層を、窒素および不活性ガスのいずれか一方または双方の雰囲気下に曝すとしてもよい。
また、上記レーザ光の波長は、カーボンナノウォールがレーザ光を吸収する波長であるとしてもよい。
また、上記基板のガラス転移点、または、融点は、700℃未満であるとしてもよい。
上記課題を解決するために、本発明のナノ構造物は、ガラス転移点、または、融点が700℃未満の基板と、基板の表面に、カーボンで構成された複数の突起が1000nm未満の間隔で垂直方向に延伸するように形成された機能層と、を備え、突起の厚みは、1000nm未満であることを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明のセンサは、基板と、グラフェンシートの単層体または多層体であるカーボンナノウォールが、基板の表面に対して垂直方向に延伸するように形成されたカーボンナノウォール層と、基板上におけるカーボンナノウォール層の両側に設けられ、アモルファスカーボンで構成された複数の突起が1000nm未満の間隔で垂直方向に延伸するように形成された機能層と、カーボンナノウォール層を介して、一方の機能層と他方の機能層との間を流れる電流値、または、一方の機能層と他方の機能層との電位差を測定する測定部と、を備え、突起の厚みは、1000nm未満であることを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の太陽電池は、透明な材質で構成された基板と、窒素がドーピングされたアモルファスカーボンで構成された複数の突起が1000nm未満の間隔で、基板の表面に垂直方向に延伸するように形成された機能層と、機能層の上に形成され、p型半導体で構成されたp型半導体層と、p型半導体層の上に形成され、導電性を有する導電層と、を備え、突起の厚みは、1000nm未満であることを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の他の太陽電池は、透明な材質で構成された基板と、ホウ素がドーピングされたアモルファスカーボンで構成された複数の突起が1000nm未満の間隔で、基板の表面に垂直方向に延伸するように形成された機能層と、機能層の上に形成され、n型半導体で構成されたn型半導体層と、n型半導体層の上に形成され、導電性を有する導電層と、を備え、突起の厚みは、1000nm未満であることを特徴とする。
本発明によれば、ナノ構造体を成長させる基板の材質の制限を受けることなく、低コストで、アモルファスカーボンのナノ構造体を成膜することが可能となる。
第1の実施形態にかかるナノ構造物の製造方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 第1の実施形態にかかるナノ構造物の製造方法の処理の流れを説明するための図である。 カーボンナノウォールの概略的な構造を説明するための図である。 実施例1のナノ構造物の外観写真を示す図である。 実施例1のナノ構造物の透過率測定結果を示す図である。 実施例1のナノ構造物のラマン分光分析結果を示す図である。 実施例1のナノ構造物のラマン分光分析結果を示す図である。 実施例1のナノ構造物のX線光電子分光によるC1sスペクトル解析を行った結果を示す図である。 実施例1のナノ構造物の表面の電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例1のナノ構造物を原子間力顕微鏡(AFM)で捉えた画像を示す図である。 実施例2のナノ構造物の外観写真を示す図である。 実施例2のナノ構造物のラマン分光分析結果を示す図である。 第1の実施形態にかかるナノ構造物を利用したセンサを説明するための図である。 第2の実施形態にかかるナノ構造物の製造方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 第2の実施形態にかかるナノ構造物を透明導電膜として利用した太陽電池を説明するための図である。 第3の実施形態にかかるナノ構造物の製造方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 第3の実施形態にかかるナノ構造物を透明導電膜として利用した太陽電池を説明するための図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかるナノ構造物の製造方法の処理の流れを説明するためのフローチャートであり、図2は、第1の実施形態にかかるナノ構造物の製造方法の処理の流れを説明するための図であり、図3は、カーボンナノウォールの概略的な構造を説明するための図である。本実施形態の図2および図3では、垂直に交わるX軸、Y軸、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義している。
図1に示すように、本実施形態にかかるナノ構造物の製造方法は、CNW層成膜工程S110と、照射工程S120とを含んで構成される。以下、各工程について詳述する。
(CNW層成膜工程S110)
CNW層成膜工程S110では、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、MOCVD(Metal Organic CVD)法等を利用して、図2(a)に示すように、複数のカーボンナノウォール220(図2中、黒い塗り潰しで示す)を、基板210の表面に対して垂直方向(図2中、Z軸方向)に延伸するように、基板210の表面に成長させてカーボンナノウォール層(CNW層)230を成膜する。なお、カーボンナノウォール層230は、基板210の表面に対して実質的に垂直方向に延伸していればよく、垂直方向を0°としたとき、±10°程度まで傾いていても問題ない。
基板210は、例えば、シリコン(Si)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコン(Zr)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)等で構成される。基板210の材質に限定はないが、シリコン(Si)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコン(Zr)、ニオブ(Nb)等の炭化物を形成しやすい元素を含んで構成されるとよい。ここでは、基板210のガラス転移点(非晶質固体材料にガラス転移が起きる温度)、または、融点に制限はないが、本実施形態において、基板210は、ガラス転移点、または、融点が700℃未満の低融点ガラスで構成されている。
カーボンナノウォール220は、延伸方向(図2中、Z軸方向)に直交する方向(図2中、X軸方向)の厚みL1がナノメートルサイズ(ナノメートルオーダ)の化合物である。ここで、ナノメートルサイズとは数nm〜1000nm程度のことを示す。
カーボンナノウォール220は、図3(a)に示すようなグラフェンシート(図3(a)中、炭素原子Cを白丸で示す)が、図3(b)に示すように、基板210の表面上に、当該表面に対して垂直方向(図3(b)中、Z軸方向)に成長したものであり、グラフェンシートの単層体または多層体である。カーボンナノウォール層230(カーボンナノウォール220)が成膜される際、基板210とカーボンナノウォール層230との界面には、グラファイト層もしくはアモルファスカーボン層が形成される。
ここで、上述したように基板210は、炭化物を形成しやすい元素(ここでは、Si)を含んで構成されるため、基板210とグラファイト層との界面において、グラファイト層が基板210の表面を構成するSi中に溶出する事象、および、グラファイト層に基板210を構成するSiが熱拡散する事象、のいずれか一方の事象、または両方の事象が生じ得る。そして、カーボンナノウォール220は、グラファイト層もしくはアモルファスカーボン層を介して、基板210の表面に垂直方向に延伸するように複数形成される。
図2(a)に戻って、カーボンナノウォール220の厚みL1と、各カーボンナノウォール220間の距離D1について説明すると、カーボンナノウォール220の基板210と平行な方向(図2(a)中、X軸方向)の厚みL1は、数nm〜1000nmであり、カーボンナノウォール220間の図2(a)中、X軸方向の距離D1も、数nm〜1000nmである。
なお、カーボンナノウォール220は自己組織化機能を有しているため、ナノメートルサイズの構造を組織化するための何らの処理を施さずとも、基板210の表面上に容易にカーボンナノウォール層230を成長させることができる。またカーボンナノウォール220の成長過程において、何らの処理を施さずとも、複数のカーボンナノウォール220の間に、ナノメートルサイズの空隙240が形成される。
換言すれば、プラズマCVD装置で、カーボンナノウォール220を基板210に成膜するだけで、複数のカーボンナノウォール220の間にナノメートルサイズの空隙240を形成しながら、カーボンナノウォール220を基板210の表面に対して垂直方向に延伸するように成長させることができる。
(照射工程S120)
図1に戻って説明すると、照射工程S120では、レーザ光を照射して、カーボンナノウォール層230が曝される雰囲気下におけるカーボンナノウォール220の昇華温度以上に、カーボンナノウォール層230を加熱する。以下、カーボンナノウォール層230が曝される雰囲気下におけるカーボンナノウォール220の昇華温度を、単に「昇華温度」と略す。
照射工程S120において、YAGレーザ、YLFレーザ、エキシマレーザ等のパルスレーザや、半導体レーザ等のCW(Continuous Wave)レーザを採用することができるが、その中でも、パルスレーザを用いるのがより好ましい。パルスレーザを走査して照射させることで、CWレーザと比較して、カーボンナノウォール層230の面積(図2中、XY平面における面積)が大きい場合であっても、実質的に均一にカーボンナノウォール220を加熱することが可能である。
また、レーザ光を照射する際には、カーボンナノウォール層230を、窒素および不活性ガスのいずれか一方または双方の雰囲気に曝すとよく、カーボンナノウォール層230を真空下に曝してもよい。レーザ光を照射する際に、カーボンナノウォール層230を真空下に曝すことにより、炭素の蒸発を促進することができ、後述するアモルファスカーボン250の層への蒸発物質の堆積を防止することが可能となる。
また、レーザ光の波長は、カーボンナノウォール220がレーザ光を吸収する波長である。具体的に説明すると、レーザ光の波長は、193〜2200nm(紫外線波長から近赤外線波長)であり、好ましくは、193〜1000nm(1μm)である。レーザ光の波長を193〜1000nmとすることで、効率よくカーボンナノウォール220を加熱することが可能となる。
このように、レーザ光の波長を、カーボンナノウォール220がレーザ光を吸収する波長とすることにより、基板210をほとんど加熱することなく、カーボンナノウォール220のみを加熱することができる。したがって、基板210として、ガラス転移点、または、融点が700℃未満の材料を利用することができる。
そして、レーザ光によってカーボンナノウォール220が昇華温度以上に加熱されると、図2(b)に示すように、カーボンナノウォール220が蒸発するとともに、カーボンナノウォール220を構成するグラフェンがアモルファスカーボン250(図2中、ハッチングで示す)となる。なお、レーザ光の照射によって、カーボンナノウォール220が蒸発または溶融するため、レーザ光を照射した後のアモルファスカーボン250の高さH2は、レーザ光を照射する前のカーボンナノウォール220の高さH1よりも低くなる。
また、レーザ光を照射することによって形成されたアモルファスカーボン250は、カーボンナノウォール220が有するナノ構造を踏襲している。具体的に説明すると、アモルファスカーボン250の基板210と平行な方向(図2(b)中、X軸方向)の厚みL2は、数nm〜1000nmであり、アモルファスカーボン250間の図2(b)中、X軸方向の距離D2も、数nm〜1000nmである。
つまり、基板210の表面に形成されたアモルファスカーボン250の層である機能層260は、アモルファスカーボンで構成された複数の突起(突起の幅L2は、1000nm未満)が1000nm未満の間隔で垂直方向に延伸するように形成された層ということになる。
このように、CNW層成膜工程S110、照射工程S120を遂行することによって、図2(b)に示すように、基板210と、機能層260とを備えたナノ構造物300を製造することができる。ここで、ナノ構造物300を構成する基板210は、上述したようにガラス転移点、または、融点が700℃未満の物質で構成されており、機能層260は、複数のアモルファスカーボン250(カーボンで構成された突起)が、1000nm未満の間隔で垂直方向に延伸するように形成された層であって、アモルファスカーボン250の厚みL2が、1000nm未満である層である。
以上説明したように、本実施形態にかかるナノ構造物300の製造方法によれば、アモルファスカーボン250を成膜させる基板210の材質の制限を受けることなく、すなわち、低融点ガラスやプラスチックといった耐熱性の低い材質で構成された基板210であっても、アモルファスカーボン250のナノ構造体を低コストで成膜することが可能となる。
(実施例1)
基板210として、ガラス転移点が700℃未満の低融点ガラスを用い、シートプラズマCVD装置でカーボンナノウォール層230を成膜した。そして、波長527nmのYLFレーザを用いて、窒素雰囲気下で、カーボンナノウォール層230が成膜された基板210にパルスレーザ照射を行い、ナノ構造物300を得た。
なお、レーザ照射する際のエネルギー密度を、0.5Jcm−2、0.6Jcm−2、0.8Jcm−2、1.0Jcm−2、1.2Jcm−2、1.4Jcm−2、1.6Jcm−2、1.8Jcm−2の順に変化させた。
図4は、実施例1のナノ構造物300の外観写真を示す図である。図4を参照すると、レーザ光を照射していない場合、基板が黒色であることが分かる。カーボンナノウォール220は黒色であるため、基板にカーボンナノウォール220が成膜されていることが予想される。また、0.8Jcm−2以下のエネルギー密度でレーザ光を照射して得られたナノ構造物300では、レーザ光を照射していない場合と同様に黒色であることが分かる。すなわちカーボンナノウォール220が蒸発していないことが予想される。
一方、図4(a)、(b)に示すように、1.0Jcm−2以上のエネルギー密度でレーザ光を照射して得られたナノ構造物300では、エネルギー密度が上がるにつれて、透明度が向上し、黒色から透明に変化した。つまり、カーボンナノウォール220が蒸発して、アモルファスカーボン250に変化したことが確認された。
図5は、実施例1のナノ構造物300の透過率測定結果を示す図である。ナノ構造物300の透過率測定には、紫外・可視分光法(UV−VIS:Ultraviolet Visible Absorption Spectroscopy)を用いた。図5を参照すると、レーザ光を照射していない場合(図5中「照射せず」)と比較して、1.2Jcm−2以上のエネルギー密度でレーザ光を照射して得られたナノ構造物300では、350nmから1000nmの全ての波長範囲の光の透過率が向上していることが分かった。特に、エネルギー密度が1.2Jcm−2から1.6Jcm−2に上がるにつれて透過率が上昇することが分かった。これにより、1.2Jcm−2以上のエネルギー密度でレーザ光を照射して得られたナノ構造物300では、カーボンナノウォール220が蒸発して、アモルファスカーボン250に変化したことが確認された。
図6および図7は、実施例1のナノ構造物300のラマン分光分析結果を示す図であり、図6(a)はエネルギー密度を0.5Jcm−2とした場合を、図6(b)はエネルギー密度を0.6Jcm−2とした場合を、図6(c)はエネルギー密度を0.7Jcm−2とした場合を、図6(d)はエネルギー密度を0.8Jcm−2とした場合を示す。また、図6中、レーザ光を照射しない場合を破線で示す。さらに、図7(a)はエネルギー密度を1.2Jcm−2とした場合を、図7(b)はエネルギー密度を1.4Jcm−2とした場合を、図7(c)はエネルギー密度を1.6Jcm−2とした場合を、図7(d)はエネルギー密度を1.8Jcm−2とした場合を示す。
図6に示すように、0.8Jcm−2以下のエネルギー密度でレーザ光を照射して得られたナノ構造物300では、レーザ光を照射していない場合と比較して、Dバンド(1350cm−1付近)、および、Gバンド(1580cm−1付近)のピークがシャープに(鋭く)なっている。したがって、0.8Jcm−2以下のエネルギー密度でレーザ光を照射して得られたナノ構造物300では、カーボンナノウォール層230の結晶性が向上しているが、アモルファスカーボン250には変化していないということが確認された。
一方、図7に示すように、1.2Jcm−2以上のエネルギー密度でレーザ光を照射して得られたナノ構造物300では、DバンドおよびGバンドのピークがブロード(幅広)になっている。したがって、1.2Jcm−2以上のエネルギー密度でレーザ光を照射して得られたナノ構造物300では、カーボンナノウォール層230のほとんどがアモルファスカーボン250に変化したことが確認された。
図8は、実施例1のナノ構造物300のX線光電子分光によるC1sスペクトル解析を行った結果を示す図であり、図8(a)は、レーザ光を照射していない場合を、図8(b)は、1.6Jcm−2のエネルギー密度でレーザ光を照射して得られたナノ構造物300のC1sスペクトル解析結果を示す。また、図8(c)は、各ピークの位置(eV)を示し、図8(d)は、各ピークの面積(%)を示す。図8中、ピーク1はspCを、ピーク2はspCを、ピーク3はC−O結合を、ピーク4はπ−π*サテライトピークを示す。
図8(a)、(b)、(c)に示すように、レーザ光を照射していない場合(照射なし)と、ナノ構造物300(照射あり)では、ピーク1、ピーク2、ピーク3、ピーク4の位置にほとんど変化は認められない。
一方、図8(a)、(b)、(d)に示すように、レーザ光を照射すると、ピーク1の面積が減少し、ピーク2の面積が増加することが分かった。ピーク1、すなわち、spCは、グラファイトの結晶構造を示すピークであり、ピーク2、すなわち、spCは、ダイヤモンドの結晶構造を示すピークである。つまり、図8(a)、(b)、(d)に示す結果から、レーザ光を照射することにより、グラファイトの結晶構造が減少し、ダイヤモンドの結晶構造が増加したことが分かった。カーボンナノウォール220は、グラファイトの結晶構造が多く含まれるため、図8(a)、(b)、(d)に示す結果から、レーザ光を照射することにより、カーボンナノウォール220のグラファイトの結晶構造の一部が、ダイヤモンドの結晶構造に変化したと推測される。
また、図8(d)を参照すると、グラファイトおよびダイヤモンドが双方とも含まれる(ダイヤモンドライクカーボン状である)ことが分かる。これにより、レーザ光を照射して得られたナノ構造物300は、グラファイトおよびダイヤモンド双方の結晶構造が混ざったアモルファス状の炭素で構成された機能層260を備えたものであることが確認された。
図9は、実施例1のナノ構造物300の表面の電子顕微鏡写真を示す図であり、図9(a)はレーザ光を照射しない場合を、図9(b)はエネルギー密度を1.2Jcm−2とした場合を、図9(c)はエネルギー密度を1.4Jcm−2とした場合を、図9(d)はエネルギー密度を1.6Jcm−2とした場合を、図9(e)はエネルギー密度を1.8Jcm−2とした場合を、図9(f)は図9(d)の拡大写真を、図9(g)は図9(e)の拡大写真を示す。
図9(a)を参照すると、レーザ光を照射しない場合、カーボンナノウォール220の構造が写し出されており、カーボンナノウォール220が基板210に対して垂直方向に高く成膜されていることが確認できる。一方、図9(b)〜(g)を参照すると、1.2Jcm−2以上のエネルギー密度でレーザ光を照射して得られたナノ構造物300では、エネルギー密度が上がるにつれて、カーボンナノウォール220の高さが減少することが分かる。つまり、レーザ光を照射することでカーボンナノウォール220が蒸発して基板210に対して垂直方向の高さが減少したことが分かった。
図10は、実施例1のナノ構造物300を原子間力顕微鏡(AFM)で捉えた画像を示す図である。図10では、ナノ構造物300を真空下に曝し、レーザ光を照射する際のエネルギー密度を1.6Jcm−2とした。図10を参照すると、1.6Jcm−2のエネルギー密度でレーザ光を照射して得られたナノ構造物300において、機能層260は、複数の突起が、1000nm未満の間隔で垂直方向に延伸するように形成された層であって、突起の厚みL2が、1000nm未満であることが確認された。
以上、図4〜図10に示すように、波長527nmのYLFレーザを用いて、窒素雰囲気下で、カーボンナノウォール層230が成膜された基板210にパルスレーザ照射を行う場合、エネルギー密度が1.0Jcm−2以上であれば、基板210の表面に、カーボンで構成された複数の突起(アモルファスカーボン250の突起)が1000nm未満の間隔で垂直方向に延伸するように形成された機能層260であって、突起の厚みが、1000nm未満である機能層260を備えたナノ構造物300を製造することができることが分かった。
(実施例2)
基板210として、ガラス転移点が700℃未満の低融点ガラス上に、Siを50nm成膜したものを用いた。そして、シートプラズマCVD装置でカーボンナノウォール層230を成膜した。その後、波長527nmのYLFレーザを用いて、窒素雰囲気下で、カーボンナノウォール層230が成膜された基板210にパルスレーザ照射を行い、ナノ構造物300を得た。
なお、レーザ照射する際のエネルギー密度を、1.0Jcm−2、1.2Jcm−2、1.4Jcm−2、1.6Jcm−2、1.8Jcm−2の順に変化させた。
図11は、実施例2のナノ構造物300の外観写真を示す図である。図11を参照すると、1.0Jcm−2以上のエネルギー密度でレーザ光を照射して得られたナノ構造物300では、エネルギー密度が上がるにつれて、透明度が向上し、黒色から透明に変化した。つまり、カーボンナノウォール220が蒸発して、カーボンナノウォール220がアモルファスカーボン250に変化したことが確認された。
図12は、実施例2のナノ構造物300のラマン分光分析結果を示す図であり、図12(a)はエネルギー密度を1.0Jcm−2とした場合を、図12(b)はエネルギー密度を1.2Jcm−2とした場合を、図12(c)はエネルギー密度を1.4Jcm−2とした場合を、図12(d)はエネルギー密度を1.6Jcm−2とした場合を、図12(e)はエネルギー密度を1.8Jcm−2とした場合を示す。図12に示すように、1.2Jcm−2以上のエネルギー密度でレーザ光を照射して得られたナノ構造物300では、DバンドおよびGバンドのピークがブロード(幅広)になっている。したがって、1.2Jcm−2以上のエネルギー密度でレーザ光を照射して得られたナノ構造物300では、カーボンナノウォール層230のほとんどがアモルファスカーボン250に変化したことが確認された。
以上、図11、図12に示すように、低融点ガラスに限らず、Si上に成長させたカーボンナノウォール層230(カーボンナノウォール220)であっても、レーザ光を照射することにより、カーボンナノウォール220をアモルファスカーボン250に変化させることができることが分かった。
(適用例1)
上述したように、ナノ構造物300の機能層260は、アモルファスカーボン250で構成されているため、カーボンナノウォール220と比較して電気伝導度が小さい。したがって、ナノ構造物を利用して、導電性の高い部位を導電性の低い部位で挟んだ構造物を作成することで、例えば、センサを製造することができる。
図13は、第1の実施形態にかかるナノ構造物を利用したセンサを説明するための図である。本実施形態の図13では、垂直に交わるX軸、Y軸、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義している。
まず、上記CNW層成膜工程S110を遂行して、基板210にカーボンナノウォール層230を成膜する。そして、照射工程S120において、カーボンナノウォール層230の任意の領域を残して、残した領域の両側にレーザ光を照射する。そうすると、図13に示すように、カーボンナノウォール層230の両側に機能層260a、260bが配されたナノ構造物350を製造することができる。
なお、カーボンナノウォール層230を構成するカーボンナノウォール220は、その上部が物理的にも電気的にも接続されておらず、機能層260を構成するアモルファスカーボン250も、その上部が物理的にも電気的にも接続されていない。しかし、上述したように、CNW層成膜工程S110において、基板210にカーボンナノウォール層230を成膜すると、基板210とカーボンナノウォール層230との界面には、グラファイト層が形成される。したがって、ナノ構造物350における基板210とカーボンナノウォール層230との界面、および、基板210と機能層260a、260bとの界面は、グラファイト層が連続して形成されることになる。なお、グラファイト層は抵抗値が大きいため、カーボンナノウォール層230と、機能層260a、260bとは、その底部においてグラファイト層で物理的に連通していると言える。
そして、ナノ構造物350をセンサ370として機能させる場合、ナノ構造物350におけるカーボンナノウォール層230の両側に形成された機能層260aと、機能層260bとの間を流れる電流値、または、機能層260aと機能層260bとの電位差を測定する測定部372を設けておく。
こうすると、カーボンナノウォール層230に何も付着していない場合、カーボンナノウォール層230を構成するカーボンナノウォール220間は空隙(絶縁体)が配されるため、カーボンナノウォール層230の抵抗値は極めて大きくなる。一方、カーボンナノウォール220間に対象物380が付着すると、カーボンナノウォール220同士が電気的に接続され(カーボンナノウォール層230の電気的特性が変化し)、カーボンナノウォール層230の抵抗値が低くなる。したがって、カーボンナノウォール層230に何も付着していないときの電流値(または電位差(電圧))と、カーボンナノウォール層230に対象物380が付着したときの電流値(または電位差(電圧))とは、差が生じることになる。このため、測定部372が測定した電流値(または電位差(電圧))を比較することで、対象物380が付着したか否か、また、対象物380が何であるかを推測することが可能となる。
ここで、対象物380は、例えば、水素やメタンといったガス、タンパク質等であり、センサ370は、ガスセンサやバイオセンサとして利用することができる。
以上説明したように、本実施形態にかかるナノ構造物の製造方法によれば、カーボンナノウォール220を成長させる基板210の材質の制限を受けることなく、カーボンナノウォール220を加工することが可能となる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、ほとんどが炭素(C)で構成されたアモルファスカーボン250のナノ構造体を基板210に成膜する技術について説明した。本実施形態では、アモルファスカーボン250に所望の元素をドーピングしたナノ構造体を基板に成膜する技術について説明する。
図14は、第2の実施形態にかかるナノ構造物の製造方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。図14に示すように、本実施形態にかかるナノ構造物の製造方法は、CNW層成膜工程S110と、照射工程S120と、ドーピング工程S230とを含んで構成される。なお、CNW層成膜工程S110、照射工程S120は、上述した第1の実施形態の処理と実質的に等しい処理であるため、同一の符号を付して重複説明を省略し、ここでは、ドーピング工程S230について詳述する。
(ドーピング工程S230)
ドーピング工程S230は、照射工程S120の後に、機能層260(加熱されたカーボンナノウォール層230、アモルファスカーボン250)に窒素(N)をドーピングする工程である。窒素をドーピングする方法は、例えば、下記の2つがある。
(窒素をドーピングする方法1)
イオン注入でアモルファスカーボン250(機能層260)に窒素を打ち込み、その後、レーザ、または、加熱炉で、窒素を熱拡散させることで、アモルファスカーボン250の結晶性を回復させる。イオン注入を利用する構成により、ドライプロセスでアモルファスカーボン250に窒素をドーピングでき、不純物の混入を最小限に抑えることが可能となる。また、10keV以上といった高エネルギーで窒素を打ち込むため、アモルファスカーボン250に多量の結晶欠陥を形成することができ、窒素をドーピング(置換)するためのサイトを形成することが可能となる。
(窒素をドーピングする方法2)
窒素プラズマ雰囲気下にアモルファスカーボン250を曝露する。これにより、ドライプロセスでアモルファスカーボン250に窒素をドーピングでき、不純物の混入を最小限に抑えることが可能となる。また、簡易に、窒素をアモルファスカーボン250にドーピングすることができる。
以上説明したように、本実施形態にかかるナノ構造物の製造方法によれば、窒素をドーピングしたアモルファスカーボン250のナノ構造体を基板210上に成膜できる。したがって、機能層を、n型半導体の特性を有するアモルファスカーボン250の層とすることができ、機能層の仕事関数を調整することが可能となる。
(適用例2)
上述したように、本実施形態のナノ構造体の製造方法によれば、ガラス転移点が700℃未満の基板210上に、n型半導体の特性を有するアモルファスカーボン250の機能層を成膜することができる。ここで、アモルファスカーボン250は透明であるため、透明導電膜として利用することができる。
図15は、第2の実施形態にかかるナノ構造物を透明導電膜として利用した太陽電池を説明するための図である。図15に示すように、上記CNW層成膜工程S110、照射工程S120、ドーピング工程S230を遂行することにより、基板210に、n型半導体の特性を有するアモルファスカーボン250の機能層402が成膜されたナノ構造物400を製造する。ここで、基板210は、透明の材料(例えば、低融点ガラス)で構成される。
そして、ナノ構造物400における機能層402に、p型半導体を塗布して、p型半導体層420を形成する。p型半導体を塗布する場合、スピンコートやインクジェット等既存の技術を利用することができる。ここで、p型半導体は、例えば、Poly[2-methoxy-5-(3',7'-dimethyloctyloxy)-1,4-phenylenevinylene];別名MDMO-PPV、Poly[2-methoxy-5-(2-ethylhexyloxy)-1,4-phenylenevinylene];別名MEH-PPV、Poly(3-hexylthiophene-2,5-diyl);別名P3HTである。
そして、p型半導体層420に、アルミニウム等の導電層430を接触させる。こうして、ナノ構造物400を利用した太陽電池410を製造することができる。
太陽電池410においては、機能層402(n型半導体)およびp型半導体層420が、基板210を介して到達した光を光電変換する。そして、機能層402およびp型半導体層420で生成された電気は、導電層430を介して外部に取り出すことが可能となる。
このように、機能層402がアモルファスカーボンであることから、機能層402を透明にすることができ、ナノ構造物400を透明導電膜として利用することが可能となる。
(第3の実施形態)
上述した第2の実施形態では、アモルファスカーボンに窒素をドーピングしたナノ構造体を基板に成膜する技術について説明した。本実施形態では、アモルファスカーボンに他の元素をドーピングしたナノ構造体を基板に成膜する技術について説明する。
図16は、第3の実施形態にかかるナノ構造物の製造方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。図16に示すように、本実施形態にかかるナノ構造物の製造方法は、CNW層成膜工程S110と、ドーピング工程S330と、照射工程S120とを含んで構成される。なお、CNW層成膜工程S110、照射工程S120は、上述した第1の実施形態の処理と実質的に等しい処理であるため、同一の符号を付して重複説明を省略し、ここでは、ドーピング工程S330について詳述する。
(ドーピング工程S330)
ドーピング工程S330は、CNW層成膜工程S110の後であって、照射工程S120の前に遂行される工程である。ドーピング工程S330は、カーボンナノウォール層230(カーボンナノウォール220)にホウ素(B)をドーピングする工程である。ホウ素をドーピングする方法は、例えば、下記の4つがある。
(ホウ素をドーピングする方法1)
10keV以上といった高エネルギーのイオン注入でカーボンナノウォール220(カーボンナノウォール層230)にホウ素を打ち込み、その後、レーザ、または、加熱炉で、ホウ素を熱拡散させることで、カーボンナノウォール220の結晶性を回復させる。イオン注入を利用する構成により、ドライプロセスでカーボンナノウォール220にホウ素をドーピングでき、不純物の混入を最小限に抑えることが可能となる。また、10keV以上といった高エネルギーでホウ素を打ち込むため、カーボンナノウォール220に多量の結晶欠陥を形成することができ、ホウ素をドーピング(置換)するためのサイトを形成することが可能となる。
(ホウ素をドーピングする方法2)
スピンコート等でホウ素拡散液をカーボンナノウォール220に塗布した後、レーザ、または、加熱炉で、加熱する。かかる構成により、大がかりな装置を用いずとも、簡易に、ホウ素をカーボンナノウォール220にドーピングすることができる。
(ホウ素をドーピングする方法3)
スパッタリング法や、蒸着法等で、カーボンナノウォール220の表面にホウ素を成膜し(例えば、膜厚1nm未満)、その後、レーザ、または、加熱炉で、ホウ素を熱拡散させることで、カーボンナノウォール220の結晶性を回復させる。ホウ素を成膜する構成により、ドライプロセスでカーボンナノウォール220にホウ素をドーピングでき、不純物の混入を最小限に抑えることが可能となる。また、カーボンナノウォール220の表面全面にホウ素をドーピングすることができる。
(ホウ素をドーピングする方法4)
トリメチルボロンや、トリエチルボロンといった有機ホウ素化合物のガスの雰囲気下で、レーザを用いてカーボンナノウォール220を加熱し、カーボンナノウォール220の表面で有機ホウ素化合物を熱分解させる。かかる構成により、カーボンナノウォール220におけるレーザで加熱した箇所にのみ選択的にホウ素をドーピングすることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態にかかるナノ構造体の製造方法によれば、ホウ素をドーピングしたアモルファスカーボン250のナノ構造体を基板210上に成膜できる。したがって、機能層を、p型半導体の特性を有するアモルファスカーボン250の層とすることができ、機能層の仕事関数を調整することが可能となる。
(適用例3)
上述したように、本実施形態のナノ構造体の製造方法によれば、ガラス転移点が700℃未満の基板210上に、p型半導体の特性を有するアモルファスカーボンの機能層を成膜することができる。ここで、アモルファスカーボンは透明であるため、透明導電膜として利用することができる。
図17は、第3の実施形態にかかるナノ構造物を透明導電膜として利用した太陽電池を説明するための図である。図17に示すように、上記CNW層成膜工程S110、ドーピング工程S330、照射工程S120を遂行することにより、基板210に、p型半導体の特性を有するアモルファスカーボン250の機能層502が成膜されたナノ構造物500を製造する。ここで、基板210は、透明の材料(例えば、低融点ガラス)で構成される。
そして、ナノ構造物500における機能層502に、n型半導体を塗布して、n型半導体層520を形成する。n型半導体を塗布する場合、スピンコートやインクジェット等既存の技術を利用することができる。ここで、n型半導体は、例えば、 [6,6]-Phenyl C61 butyric acid methyl ester;別名[60]PCBM、[6,6]-Pentadeuterophenyl C61 butyric acid methyl ester;別名d5-PCBM、[6,6]-Phenyl C61 butyric acid butyl ester;別名PCBB、[6,6]-Phenyl-C61 butyric acid octyl ester;別名PCB-C8、[60]ThPCBM、(6,6)-Phenyl C71 butyric acid methyl ester;別名[70]PCBM、(6,6)-Phenyl C85 butyric acid methyl ester;別名[84]PCBMである。
そして、n型半導体層520に、アルミニウム等の導電層430を接触させる。こうして、ナノ構造物500を利用した太陽電池510を製造することができる。
太陽電池510においては、機能層502(p型半導体)およびn型半導体層520が、基板210を介して到達した光を光電変換する。そして、機能層502およびn型半導体層520で生成された電気は、金属板430を介して外部に取り出すことが可能となる。
このように、機能層502がアモルファスカーボンであることから、機能層502を透明にすることができ、ナノ構造物500を透明導電膜として利用することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、本明細書のナノ構造物の製造方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。
本発明は、ナノ構造物の製造方法、ナノ構造物、センサ、および、太陽電池に利用することができる。
S110 …CNW層成膜工程
S120 …照射工程
S230、S330 …ドーピング工程
210 …基板
220 …カーボンナノウォール
230 …カーボンナノウォール層
250 …アモルファスカーボン
260、402、502 …機能層
300、350、400、500 …ナノ構造物
370 …センサ
410、510 …太陽電池
420 …p型半導体層
430 …導電層
520 …n型半導体層

Claims (10)

  1. グラフェンシートの単層体または多層体であるカーボンナノウォールを、基板の表面に対して垂直方向に延伸するように成長させてカーボンナノウォール層を成膜する工程と、
    レーザ光を照射して、前記カーボンナノウォール層が曝される雰囲気下における前記カーボンナノウォールの昇華温度以上に該カーボンナノウォール層を加熱する工程と、
    を含むことを特徴とするナノ構造物の製造方法。
  2. 前記カーボンナノウォール層を加熱する工程の後に、
    前記加熱されたカーボンナノウォール層に窒素をドーピングする工程を遂行することを特徴とする請求項1に記載のナノ構造物の製造方法。
  3. 前記カーボンナノウォール層を成膜する工程の後であって、前記カーボンナノウォール層を加熱する工程の前に、
    前記カーボンナノウォール層にホウ素をドーピングする工程を遂行することを特徴とする請求項1に記載のナノ構造物の製造方法。
  4. 前記カーボンナノウォール層を加熱する工程において、前記カーボンナノウォール層を、窒素および不活性ガスのいずれか一方または双方の雰囲気下に曝すことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のナノ構造物の製造方法。
  5. 前記レーザ光の波長は、前記カーボンナノウォールが該レーザ光を吸収する波長であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のナノ構造物の製造方法。
  6. 前記基板のガラス転移点、または、融点は、700℃未満であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のナノ構造物の製造方法。
  7. ガラス転移点、または、融点が700℃未満の基板と、
    前記基板の表面に、カーボンで構成された複数の突起が1000nm未満の間隔で垂直方向に延伸するように形成された機能層と、
    を備え、
    前記突起の厚みは、1000nm未満であることを特徴とするナノ構造物。
  8. 基板と、
    グラフェンシートの単層体または多層体であるカーボンナノウォールが、前記基板の表面に対して垂直方向に延伸するように形成されたカーボンナノウォール層と、
    前記基板上における前記カーボンナノウォール層の両側に設けられ、アモルファスカーボンで構成された複数の突起が1000nm未満の間隔で垂直方向に延伸するように形成された機能層と、
    前記カーボンナノウォール層を介して、一方の前記機能層と他方の前記機能層との間を流れる電流値、または、前記一方の機能層と前記他方の機能層との電位差を測定する測定部と、
    を備え、
    前記突起の厚みは、1000nm未満であることを特徴とするセンサ。
  9. 透明な材質で構成された基板と、
    窒素がドーピングされたアモルファスカーボンで構成された複数の突起が1000nm未満の間隔で、前記基板の表面に垂直方向に延伸するように形成された機能層と、
    前記機能層の上に形成され、p型半導体で構成されたp型半導体層と、
    前記p型半導体層の上に形成され、導電性を有する導電層と、
    を備え、
    前記突起の厚みは、1000nm未満であることを特徴とする太陽電池。
  10. 透明な材質で構成された基板と、
    ホウ素がドーピングされたアモルファスカーボンで構成された複数の突起が1000nm未満の間隔で、前記基板の表面に垂直方向に延伸するように形成された機能層と、
    前記機能層の上に形成され、n型半導体で構成されたn型半導体層と、
    前記n型半導体層の上に形成され、導電性を有する導電層と、
    を備え、
    前記突起の厚みは、1000nm未満であることを特徴とする太陽電池。
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