以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明を適用する測定装置の一例を、図1に示す。この測定装置は、本体1、及び測定ユニット2(2A,2B,2C)を備え、各測定ユニット2の測定した測定データを本体1に無線で送信可能に構成されている。
本体1には、一例として、携帯型の筐体の正面に、表示部21、複数の操作ボタンによる操作部22、マイク14、及びスピーカー17が設けられていると共に、筐体の一側面に、外部I/F(インタフェース)部28、及びメディアスロット29が設けられている。
測定ユニット2には、一例として、携帯型の小型の筐体の正面にマイク34が配置され、一側面にコメント入力ボタン47が配置され、他の一側面に測定用センサー81が着脱可能に接続されている。
図2に、本体1のブロック図を示す。本体1は、本体制御部となるCPU(中央演算処理装置)11、無線通信部12、音声入力部4、音声出力部5、表示部21、操作部22、測定データ記憶部23、第1の音声情報記憶部24、第2の音声情報記憶部25、音声認識部26、RTC(リアルタイムクロック)27、及び外部I/F部28、メディアスロット29を備えている。又、図示しないが、本体1は、電池を電源として内蔵している。
CPU11は、プログラム記憶部(不図示)に記憶されているプログラムに従って動作して、本体1の動作を統括的に制御する。
無線通信部12は、無線送信回路及び無線受信回路(不図示)を備えると共にアンテナを備え、測定条件設定用の設定データ、測定データ、音声信号等を、後述する測定ユニット2の無線通信部32(図3参照)と無線で通信(送受信)可能なものである。無線通信部12として、測定データ等のデータを送受信するデータ通信用の無線通信部と、音声信号を専用に送受信する音声通信用無線通信部との2つの別個の無線通信部(無線通信回路)を用いてもよいが、データと音声信号とを1つの共通の無線通信部で送受信できるものを用いたほうが、部品点数を少なくできるのでより好ましい。
無線通信部12には、公知のものを用いることができる。例えば、設定データ等で変調する無線信号の変調方式(アナログ変調、デジタル変調等)、無線信号周波数、無線信号の送信出力、半複信方式か複信方式か、無線通信規格などは、適宜公知の方式から選択して用いればよい。無線通信部12が送受信する無線信号は、電波、赤外線、又は光のいずれの無線信号であってもよいが、見通し外でも通信できることや通信距離を比較的長くできることから電波を用いることが好ましい。無線通信部12は、CPU11に動作を制御される。
10m〜数100m程度の近距離通信を行う場合、無線通信部12として、Bluetooth(登録商標)規格に準拠したものを用いることが、特に好ましい。その理由は、Bluetooth規格に準拠した小型の無線モジュールが、多くのメーカーから安価に市販されていて入手性が良く、又、使用のための免許は不要であるためである。更に、Bluetooth規格には、データ通信用のプロファイル(プロトコル)、及び音声通信用のプロファイルが規定されているため、データ通信及び音声通信を同時に簡便に行うことができるためである。又、市販されているBluetooth規格に準拠した無線モジュールは、アンテナも内蔵しているため、装置を小型化することができる。
音声入力部4は、本体1側でコメントを残したいときに、音声信号を入力するための回路である。この例では、音声入力部4は、マイク14、マイクアンプ15、及びADC(アナログ/デジタル変換器)16によって構成されている。マイク14は、音声入力デバイスの一例であり、音(音声)を電気信号に変換するためのものである。マイク14は、音声信号を適切なレベルに増幅するマイクアンプ15に接続されている。マイクアンプ15の出力は、音声信号を所定サンプリング周波数でサンプリングしてデジタル信号(例えばPCM信号)に変換するADC16に接続されている。ADC16の出力はCPU11に接続されている。
音声出力部5は、無線通信部12が復調した音声信号を出力したり、録音したコメント(音声信号)を再生して出力したりするための回路である。この例では、音声出力部5は、スピーカー17、スピーカーアンプ18、DAC(デジタル/アナログ変換器)19によって構成されている。スピーカー17は、音声出力デバイスの一例であり、音声信号を音に変換するためのものである。音声出力デバイスとして、スピーカー17の他に、ヘッドホンや、イヤホンを用いてもよい。DAC19は、CPU11に接続されていて、CPU11の出力する例えばPCM信号などのデジタルの音声信号を、アナログ信号に変換する。DAC19の出力には、音声信号を適正なレベルに増幅するスピーカーアンプ18が接続されている。スピーカーアンプ18の出力は、スピーカー17に接続されていて、音声信号を音として出力可能になっている。
表示部21は、例えば液晶パネルであり、CPU11に制御されて、例えば測定ユニット2から受信した測定データをグラフや数値で表示したり、測定条件設定用画面を表示したりするものである。
操作部22は、機能選択ボタン、数値入力ボタン、カーソルキーやキーボード、マウスなどであり、CPU11に接続されている。操作部22の中には、コメントの入力を指示するためのコメント入力指示部となるコメント入力ボタン22a(図4参照)が配置されている。表示部21及び操作部22として、タッチパネルを用いてもよい。
測定データ記憶部23は、測定データを記憶するためのものである。第1の音声情報記憶部24は、測定ユニット2から送られた音声信号に基づく音声情報(測定ユニット音声情報)を、測定データに対応付けて記憶するためのものである。第2の音声情報記憶部25は、本体1の音声入力部4から入力された音声信号に基づく音声情報(本体音声情報)を、測定データに対応付けて記憶するためのものである。測定データ記憶部23、第1の音声情報記憶部24、第2の音声情報記憶部25は、フラッシュROMやハードディスクなどの書き換え可能な不揮発性メモリである。これら記憶部23,24,25は、例えばハードディスクなどの同じメモリを共用して用いてもよいし、各々別個のメモリを用いてもよい。
音声認識部26は、ヒトが話した内容を、その音声(音声信号)から解析し、文字情報として出力する処理を行うものである。音声認識部26として、公知の種々のものを用いることができる。音声認識部26は、例えば、CPUと音声認識処理を行うための公知の音声認識用プログラムとによって実現されている。CPUはCPU11と共用してもよいし、別個のものを用いてもよい。
RTC27は、バックアップ電源を内蔵する時計であり、現在の時刻情報を出力する回路である。時刻情報には年月日の情報も含まれている。
外部I/F部28は、例えば有線又は無線によるLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)接続用の回路やUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)接続用の回路であり、例えばコンピュータなどの外部装置に測定データを出力するためのものである。メディアスロット29は、SDメモリカードやフレキシブルディスクなどの外部記録媒体を装着して、測定データを書き込むための回路である。
図3に、測定ユニット2のブロック図を示す。測定ユニット2は、測定ユニット制御部となるCPU31、無線通信部32、音声入力部7、測定用回路41、及びセンサー接続用コネクタ44、RTC(リアルタイムクロック)45、及びコメント入力ボタン47を備えている。又、図示しないが、測定ユニット2は、電池を電源として内蔵している。この測定ユニット2には、測定用センサー81が接続されて使用される。
CPU31は、プログラム記憶部(不図示)に記憶されているプログラムに従って動作して、測定ユニット2の動作を統括的に制御する。
無線通信部32は、本体1の無線通信部12と同様のものであり、本体1の無線通信部12と、測定用の設定データ、測定データ、音声信号を、無線で通信(送受信)可能なものである。無線通信部32は、その動作をCPU31に制御される。無線通信部32として、Bluetooth規格に準拠したものを用いることが特に好ましい。
音声入力部7は、音声信号を入力するための回路であり、この例では、マイク34、マイクアンプ35、ADC36を備えている。この音声入力部7は、本体1の音声入力部4と同様のものであり、マイク34は音声入力デバイスの一例である。測定ユニット2は小型のため、これらは本体1のものよりも小型のものを用いてもよい。同図に示すように、これらマイク34、マイクアンプ35、ADC36は、本体1の音声入力部4と同様にCPU31に接続されている。音声入力部7から入力される音声信号は、CPU31を介して無線通信部32に出力され、測定データと共に無線で送信することが可能になっている。音声入力部7は、CPU31を介さずに、無線通信部32に直接接続されていてもよい。
測定用回路41は、一例として測定信号を適正なレベルに増幅するための低ノイズアンプ42、及びADC43を備えている。センサー接続用コネクタ44、低ノイズアンプ42、ADC43、CPU11の順に接続されていて、測定用センサー81の出力する測定信号がデジタル信号に変換されてCPU31に入力されるようになっている。測定用センサー81は、例えば温度センサー、湿度センサー、風向センサー、圧力センサー、流量センサー、照度センサー、電気的な特性値を測定する例えば電流センサー、機械的な特性値を測定する例えば歪センサーなどである。
コメント入力ボタン47は、測定ユニット2に対し、音声信号の無線による送信を指示するための音声送信指示部の一例であり、例えば押しボタン式のスイッチである。
RTC45は、バックアップ電源を内蔵する時計であり、現在の時刻情報を出力する回路である。時刻情報には年月日の情報も含まれている。
次に、本体1及び測定ユニット2を備える測定装置の動作について説明する。
先ず、図1に示すように、本体1及び測定ユニット2を、各々測定を行うための定位置に設置して、各々の電源を投入する。本体1については、測定データの監視や収集を行う位置に設置する。この例では、本体1は携帯型のため、本体オペレータが本体1を手で持ったり、載置用の台上に置いたりして設置してもよい。
測定ユニット2については、測定現地にいる現地オペレータが、測定対象物の近くに設置すると共に、一例として測定用センサー81を測定対象物に取り付ける。
本体オペレータは、操作部22を操作して、測定レンジやサンプリング期間などの測定ユニット2の測定条件を設定し、その設定データを、無線通信部12(図2参照)から各測定ユニット2に無線で送信させる。続いて、各測定ユニット2に無線で測定の開始を指示する。各測定ユニット2は、無線通信部32(図3参照)で測定の開始の指示を受信して測定を開始し、測定した測定データを無線通信部32から無線で本体1に逐次送信する。一例として、測定装置はデータロガーであり、各測定ユニット2は測定サンプリング期間毎に測定を行い、測定データを得るごとに、測定データをリアルタイムに本体1に逐次送信する。測定サンプリング間隔等は、測定条件を任意に設定することが可能であり、測定は例えば0.00001〜10秒のように比較的短いサンプリング間隔で逐次測定を行ってもよく、1〜10日毎に測定を行うように比較的長いサンプリング間隔で測定を行ってもよい。測定回数や測定期間を設定してもよい。
本体1は、測定ユニット2からリアルタイムに送られる測定データを受信して、表示部21にグラフや数値で表示する。
測定ユニット2側にいる現地オペレータは、例えば、測定対象物の状態に何か変化が有ったり、天候や気温の変化のように周囲の環境条件が変化したりしたときに、測定データに対し、任意のコメントを付けたい(残したい)場合がある。コメントを付ける場合、現地オペレータは、測定ユニット2のコメント入力ボタン47を手指で押しながら、マイク34に向けて、コメントを話す。コメントを話し終わったら、現地オペレータは、コメント入力ボタン47を離す。コメントの話し始める時と終了する時に、コメント入力ボタン47を押すようにしてもよい。
図3に示す測定ユニット2のCPU31は、測定を行っているときには、測定用回路41から測定データを取得すると共に、その測定データの測定時刻をRTC45から取得して、各測定データに時刻情報を付して、無線通信部32から送信させる。
CPU31は、コメント入力ボタン47が押されてその接点状態が例えば開から閉状態になると、直ちに、RTC45から時刻情報をコメント開始時刻として取得する。そして、コメント開始時刻を無線通信部32に最初に送信させてから、音声入力部7が順次出力する音声信号を、無線通信部32からリアルタイムに送信させる。CPU31は、コメント入力ボタン47から手指が離されて、その接点状態が例えば閉から開状態になると、無線通信部32からの音声信号の送信を終了させる。CPU31は、コメント入力ボタン47から手指が離されたコメント停止時刻をRTC45から取得して、無線通信部32から送信させるようにしてもよい。
CPU31は、例えば無線通信部32から測定データをリアルタイムに送信させているときに、コメント入力ボタン47が押された場合には、測定データと共に音声信号を送信させる。CPU31は、測定データの測定開始前や測定終了後、又は測定サンプリング間隔が長くてちょうど測定を行っていない場合のように、無線通信部32から測定データを送信させていないときに、コメント入力ボタン47が押された場合には、音声信号だけをリアルタイムで送信させる。音声信号を送信させている途中に、測定データを得たときは、CPU31は、音声信号と共に測定データも送信させる。このように、測定ユニット2は、測定データの送信と音声信号の送信とを、各々独立的に自在に行うことができることが好ましい。つまり、測定データの有無にかかわらず、任意の時に音声信号を送信できることが好ましい。
なお、測定ユニット2が、音声信号及びコメント開始時刻を記憶する記憶部(不図示)を備えて、音声信号及びコメント開始時刻を一時的に記憶しておき、測定データを送信する時に、測定データと一緒に音声信号及びコメント開始時刻を送信するようにしてもよい。
コメント入力ボタン47が押されているときにだけ、つまりコメントの送信動作を行うときにだけ、音声入力部7に電源を供給することが、低消費電力化の観点から好ましい。
図2に示す本体1は、測定ユニット2から送信される測定データや音声信号を、無線通信部12によって受信する。CPU11は、受信した測定データを、測定時刻と共に測定データ記憶部23に順次記憶させる。
CPU11は、音声信号を受信したときに、その音声信号を音声認識部26に出力して、文字情報に変換させる。CPU11は、変換された文字情報を、コメント開始時刻と共に第1の音声情報記憶部24に順次記憶させる。この文字情報が、本発明における音声信号に基づく音声情報の一例に相当する。
音声認識部26は、測定装置が用いられる国の言語だけを認識可能なものであってもよいが、例えば、日本語、英語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語などの複数の言語を認識可能なものであることが好ましい。
又、CPU11は、受信した音声信号を、コメント開始時刻と共に第1の音声情報記憶部24に順次記憶させることが好ましい。この場合、音声信号そのものが、音声信号に基づく音声情報に相当する。CPU11は、音声信号を圧縮処理して、データ量を小さくしてから第1の音声情報記憶部24に記憶させてもよい。又、CPU11は、受信した音声信号を、音声出力部5から出力させてもよい。音声出力部5から出力させる場合には、本体オペレータはリアルタイムに現地オペレータのコメントを聞くことができるので、より好ましい。
コメント開始時刻は、音声情報を測定データに対応付けるために第1の音声情報記憶部24に記憶させている。音声信号を測定データと対応付けることで、後でコメントがどの時点の測定データに対して付けられたものであるかを、CPU11が判別したり、オペレータが認識したりすることができるため好ましい。なお、本体1が、測定ユニット2から音声情報を受信したときに、コメント開始時刻として本体1のRTC27から時刻情報を読み込むようにしてもよい。又、本体1が、測定ユニット2から音声情報を受信したときに、そのときに測定データも受信していれば、その測定データの測定時刻をコメント開始時刻としてもよい。又、コメント開始時刻を用いずに、音声信号を測定データに直接対応付けてもよい。例えば、本体1が音声情報を受信し始めた時に、同時に又は直近に受信した測定データの管理番号に、その音声情報を対応付けるようにしてもよい。又、測定ユニット2が、測定データに管理番号を付して送信し、音声情報にも対応する測定データの管理番号を付して送信して、音声情報と測定データとを対応付けるようにしてもよい。
なお、上記のように、音声情報を、測定データに対応付けて記憶させることが好ましいが、音声情報を測定データに対応付けることなく、第1の音声情報記憶部24に記憶させてもよい。つまり、少なくとも音声情報だけを記録できればよい。この場合、後で測定データとの対応付けが判るように、現地オペレータは、コメントの中に、現在時刻を話して音声で含めればよい。
本体1は、図1に示すように、複数の測定ユニット2から測定データを受信する場合、何れの測定ユニット2から送信された測定データ及び音声情報であるかを識別可能に、各測定データを測定データ記憶部23に記憶させると共に各音声情報を第1の音声情報記憶部に記憶させる。本体1が、複数回、音声信号を受信したときは、各々を識別可能に、第1の音声情報記憶部に記憶させる。
また、本体1でも測定データに対するコメントを付けられるようにすることが好ましい。
本体1でコメントを付ける場合、本体オペレータは、コメントを付けたい測定データを選択して、操作部22の中のコメント入力ボタン22a(図4参照)を押して、マイク14に向かってコメントを話す。コメントを話し終わったら、コメント入力ボタン22aを離す。
図2に示すCPU11は、コメント入力ボタン22aが押されたときに、RTC27から現在時刻を取得して、コメント開始時刻とする。CPU11は、コメント入力ボタン22aが押されたときから音声入力部4が出力する音声信号を、音声認識部26に出力して、文字情報(音声情報の一例)に変換させる。CPU11は、本体1の音声情報であることを識別可能に、選択した測定データに対応付けて、コメント開始時刻を第2の音声情報記憶部25に記憶させてから、文字情報を順次、第2の音声情報記憶部25に記憶させる。CPU11は、コメント入力ボタン22aが離されたときに、文字情報を第2の音声情報記憶部25に記憶させることを停止する。
又、CPU11は、音声入力部4から入力される音声信号を、音声情報として、選択した測定データに対応付けて、コメント開始時刻と共に第2の音声情報記憶部25に順次記憶させることが好ましい。CPU11は、音声信号を圧縮処理して記憶させてもよい。
本体1(CPU11)は、測定ユニット2から送られる音声情報や、本体1で入力される音声情報を文字情報に変換するときにだけ、音声認識部26に電源を供給することが、低消費電力化の観点から好ましい。又、CPU11は、コメント入力ボタン22aが押されているときにだけ、音声入力部4に電源を供給することが、低消費電力化の観点から好ましい。
図4に示すように、一例として、CPU11は、各測定ユニット2から受信した測定データを、表示部21に、リアルタイムにグラフで表示させたり、測定終了後に測定データ記憶部23から読み込んで表示させたりする。この例では、グラフA、B,Cは、それぞれ測定ユニット2A、2B,2C(図1参照)が測定した測定データを表している。CPU11は、音声情報があることを示す識別表示A1,A2,B1,B2,C1,C2を、各グラフA,B,Cに表示させることが好ましい。これら各識別表示A1〜C2は、それらのコメント開始時刻の位置に表示させることがより好ましい。一例として、逆三角形の識別表示A1、B1,B2,C1,C2は、各測定ユニット2A,2B,2Cによって付けられたコメントであることを示し、菱形の識別表示A2は、本体1で付けられたコメントであることを示している。このように、コメントが、測定ユニット2で付けられたものか、本体1で付けられたものかを識別可能に表示することが、より好ましい。本体1で特定の測定データが選択されてコメントを付けられた場合には、その特定の測定データの位置に識別表示A2を表示させることが好ましい。
同図には、一例として、本体オペレータにより操作部22が操作されて、例えば識別表示A1が選択された例を示している。CPU11は、選択された識別表示A1を、識別可能に、色を変えて表示させる。識別表示A1が選択されると、CPU11は、識別表示A1に対応する文字情報を、第1の音声情報記憶部から読み込んで、表示部21に表示させる。この例では、識別表示A1の示す時刻に、現地オペレータが測定データに対し「警告灯が光った」というコメントを付したことを示している。又、CPU11は、識別表示A1に対応する音声信号(音声情報)を読み込んで、音声出力部5から「警告灯が光った」という音声を再生して出力させることが好ましい。
本体1で付けられたコメントに対応する識別表示A2が選択されたときには、CPU11は、識別表示A2に対応する文字情報を、第2の音声情報記憶部から読み込んで、表示部21に表示させると共に、音声信号を読み込んで、音声出力部5から音声を再生して出力させる。
操作部22の操作により、他の識別表示B1〜C2を選択したときも、識別表示A1を選択したときと同様に、CPU11は、各々の識別表示B1〜C2に対応する文字情報を表示部21に表示させると共に、スピーカー17から出力させる。表示部21に、識別表示A1〜C2のうちの選択した複数の文字情報を表示させるようにしてもよい。又、文字情報、及び音声信号のいずれか一方だけを切り替えて出力できるようにしてもよい。
さらに、第1の音声情報記憶部24及び第2の音声情報記憶部25に記憶されているコメントの文字情報や音声信号を、測定データと対応付けが可能に、外部I/F部28やメディアスロット29から外部に出力可能であることが好ましい。
図5に、外部I/F部28やメディアスロット29から外部出力する測定データやコメントの文字情報の例を示す。同図では、測定時刻として表示した例えば「12_0123_1020_45_01」は、最初の「12」が年号2012年の下2桁を表し、次の「0123」が「01」月「23」日のように月日を表し、次の「1020」が「10」時「20」分のように時間と分を表し、次の「45_01」が「45」秒「01」のように小数点以下を含む秒を表している。
同図に示すように、測定時刻、測定データ、及びコメントの文字情報を例えば一覧表形式で出力可能にすることで、外部のコンピュータでも、コメントを測定データに対応付けて確認、処理することができる。同図のコメントは、図4に示した識別表示A1〜C2に対応するコメントの一例である。なお、同図A列の下から3行目に示すように、一例として、例えばコメントに「本体:」のように付けることで、本体1で付けたコメントを識別可能にすることが好ましい。他のコメントは、A列が測定ユニット2A、B列が測定ユニット2B、C列が測定ユニット2Cで付けられたコメントであることが、識別可能になっている。この例では、各コメントを、コメント開始時刻に相当する測定データのコメント欄に記載するようにしているが、各コメントにコメントの開始時刻や終了時刻を付けて記載してもよい。又、コメントを話している時間が長くなる場合もあるので、コメントの話し始めの時刻から、話し終わった時刻までのコメント欄を一つ結合して、結合した一つのコメント欄にコメント文字情報を記載するようにしてもよい。
又、測定開始前に付したコメントは、測定データよりも前に行を設けて記載し、測定開始後に付したコメントは、測定データよりも後に行を設けて記載する。測定サンプリング間隔が広くて、コメント開始時間に相当する測定時刻がない場合、コメント開始時刻の行を追加して設け、測定データを空欄にして、コメントだけを記載してもよい。又、必要性に応じて、測定中にだけ、音声情報を記憶できるようにしてもよい。これは、特に、時系列で波形や測定値を測定する場合に、環境や機器の変動等についてコメントを追加したい場合が多いためである。
又、同図に示す表を表示部21に表示可能にしてもよい。又、表示部21に文字情報のコメントを表示して、コメントを編集したり、追加や削除したりできるようにしてもよい。外部I/F部28やメディアスロット29から音声情報として音声信号を出力するときは、例えば音声信号のファイル名に時刻情報を入れることで、測定データと対応付けを行えるようにしてもよい。
このように、測定データに対し現地オペレータや本体オペレータがコメントを付けることができ、後からコメントを確認することができる。
なお、コメントを表す音声情報として、音声認識した文字情報、及び音声信号の両方を本体1が記憶する例について説明したが、何れか一方だけを記憶するようにしてもよい。音声信号だけを記憶する場合、音声認識部26を省略してもよい。
なお、本体1が音声入力部4にマイク14を備える構成について説明したが、マイク14に換えて、又はマイク14と共に、音声入力部4にマイクを着脱自在に取り付け可能な音声信号入力コネクタを備える構成であってもよい。音声信号入力コネクタは、例えば、マイクの接続ケーブルの先のプラグが挿入可能なジャックである。又、本体1が音声出力部5にスピーカー17を有する構成について説明したが、スピーカー17に換えて、又はスピーカー17と共に、音声出力部5にスピーカー、ヘッドホン、イヤホンなどの音声出力デバイスを着脱自在に取り付け可能な音声信号出力コネクタを備える構成であってもよい。音声信号出力コネクタは、例えば、ヘッドホンやイヤホンの接続ケーブルの先のプラグが挿入可能なジャックである。又、コメント入力ボタン22aを、着脱可能にコネクタで取り付けられるようになっていてもよい。
同様に、測定ユニット2が音声入力部7にマイク34を備える構成について説明したが、マイク34に換えて、又はマイク34と共に、音声入力部7にマイクを着脱自在に取り付け可能な音声信号入力コネクタを備える構成であってもよい。又、測定ユニット2が、本体1にコメント入力ボタン22aを備える構成について説明したが、コメント入力ボタン22aを着脱自在に取り付け可能なコネクタを備える構成であってもよい。
具体例を示すと、図6(a)に示す本体1aは、筐体内にマイク14及びスピーカー17を設ける代わりに、ヘッドホン型のヘッドセット50を着脱可能に取り付けるためのコネクタ(ジャック)53が備えられている例を示している。コネクタ53は、音声信号入力コネクタ及び音声信号出力コネクタを兼ねている。同図に示すヘッドセット50は、マイク14a及びヘッドホン用スピーカー17aを本体オペレータ101の頭部に装着するための公知のものである。このマイク14a及びヘッドホン用スピーカー17aに電気的に繋がるケーブル51の先端にコネクタ(プラグ)52が設けられている。ヘッドセット50のコネクタ52を、本体1aのコネクタ53に接続して使用する。本体1aの筐体内にマイク14及び/又はスピーカー17を設けると共に、更にコネクタ53を設けて、ヘッドセット50を取り付けられるようにしてもよい。この場合、ヘッドセット50の接続を優先して切り替えるようにすることが好ましい。又、マイク14a及びヘッドホン用スピーカー17aのいずれか一方を、コネクタ接続できるようにして、他方を筐体内に備えるようにしてもよい。
図6(b)に示す測定ユニット2aは、筐体内にマイク34及びコメント入力ボタン47を設ける代わりに、マイクユニット60を着脱可能に取り付けるためのコネクタ(ジャック)63が備えられている例を示している。コネクタ63は、音声信号入力コネクタと、コメント入力ボタン47aの接点信号を入力するためのコネクタを兼ねている。同図に示すマイクユニット60は、マイク34a及びコメント入力ボタン47aを現地オペレータ102が手指102aで持って使用するためのものであり、ケーブル61の先端に設けられたコネクタ(プラグ)62を、コネクタ63に接続して使用する。マイク34及びコメント入力ボタン47のいずれか一方を着脱可能にしてもよい。測定ユニット2aの筐体内にマイク34やコメント入力ボタン47を設けると共に、更にコネクタ63を設けて、マイクユニット60を取り付けられるようにしてもよい。この場合、マイクユニット60の接続を優先して切り替えるようにすることが好ましい。マイクユニット60は、ピンマイクのように、現地オペレータの衣服に取り付け可能なクリップを備えるものであってもよい。
このように、ヘッドセット50やマイクユニット60を用いることで、本体1aにマイク14やスピーカー17を設けたり、測定ユニット2aに、マイク14やコメント入力ボタン47を設けたりすることを省略できる。特に、測定ユニット2aは、小型の筐体であるので、部品点数を少なくできる効果は大きい。
又、通話指示部として、本体1(1a)や測定ユニット2(2a)に音声検知部を設けてもよい。例えば、本体1等に、マイク14から入力される音声信号が所定レベル以上であるか否かを検知する音声検知部を設け、音声信号が所定レベル以上のときに通話動作を開始するようにしてもよい。
又、測定ユニット2として、センサー接続用コネクタ44に測定用センサー81が着脱可能に接続されて使用される例を示したが、測定ユニット2に測定用センサー81のケーブルが着脱不能に接続されていてもよく、測定ユニット2内に測定用センサー81が内蔵されていてもよい。又、例えば測定ユニット2が電圧値を測定する場合、センサー接続用コネクタ44が測定用プローブを接続するためのBNC型コネクタであってもよく、一対の銅線を有する端子台であってもよい。測定ユニット2を複数備えていてもよい。
又、本体1と測定ユニット2とを着脱可能に結合して、一体型の測定装置としても使用できるし、分離型の測定装置としても使用できるようにしてもよい。さらに、一つの筐体内に、測定データを測定するための測定部や表示部等を全て備えた分離不能な一体型の測定装置が、筐体に音声入力部、音声情報記録部、音声認識部を備えて、コメントを文字情報や音声信号で記録して、コメントを表示部に表示したり、外部に出力したりできるようにしてもよい。