JP2014101208A - 搬送装置およびそれを備えた記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録媒体にローラ跡が形成されにくい搬送装置およびそれを備えた記録装置を提供する。
画像記録装置において、樹脂被覆紙のローラ跡を低減するための搬送方法。
【解決手段】搬送装置は、駆動ローラ8と、駆動ローラ8と対向し、駆動ローラ8に追従して動く従動ローラ9とからなるローラ対14と、温湿度センサと、制御部とを有し、ローラ対で記録媒体3を搬送する。また、搬送装置には、従動ローラ9の、駆動ローラ8の方向へ押す力を変化させる機構が設けられている。制御部は、温湿度センサが検知した温度と湿度に基づいて、機構を制御して押す力を調整する。
【選択図】図5
画像記録装置において、樹脂被覆紙のローラ跡を低減するための搬送方法。
【解決手段】搬送装置は、駆動ローラ8と、駆動ローラ8と対向し、駆動ローラ8に追従して動く従動ローラ9とからなるローラ対14と、温湿度センサと、制御部とを有し、ローラ対で記録媒体3を搬送する。また、搬送装置には、従動ローラ9の、駆動ローラ8の方向へ押す力を変化させる機構が設けられている。制御部は、温湿度センサが検知した温度と湿度に基づいて、機構を制御して押す力を調整する。
【選択図】図5
Description
本発明は、搬送装置を備えた記録装置に関する。
搬送装置を有する記録装置を用いて記録物を得る手段は様々ある。記録媒体である記録用紙を搬送する技術に関しては、搬送の経路や形状、目的の違いにより、精度よく送り出す方法、蛇行しないように送る方法、記録用紙の表面を傷つけないようにする方法など、記録用紙の用途や目的に合わせて、多くの技術が提案されている。
また、搬送する記録用紙に関しては、枚葉紙やロール紙が挙げられる。これらの記録用紙は大きさや形状が異なるため、搬送時に求められる要素もそれぞれ異なる。
例えば、画像記録装置の給紙台に積層された複数枚の枚葉紙のうちの1枚を記録部へ送り出すための方法が特許文献1に開示されている。特許文献1では、枚葉紙の重送防止のために、給紙部である給紙台に積層された用紙を送り出す給紙コロと積載された用紙とを接触させる際、記録が行われる環境での温度や湿度によって給紙コロと用紙の間にかかる圧力を変化させて搬送する方法が提案されている。これは、給紙台に積載された記録用紙を確実に1枚だけ分離して給紙台の下流の記録部へ給紙する効果があり、記録が行われる環境の温度や湿度に違いがあっても、重送することなく常に最適な条件で記録を行える給排紙装置の搬送方法として提案されている。
給紙コロと記録用紙の間にかかる圧力を記録環境の温度や湿度に合わせて調整し、積層された用紙のうちの1枚を分離して記録部へ送る従来の方法では、重送トラブル回避に関しては有効であると言える。このように、給紙コロを用いて記録用紙を前(下流)へ送り出すことを目的とした搬送装置であれば、記録用紙と給紙コロを適度な力で接触させた後、接触部分の給紙コロを回転させると記録用紙の搬送は達成できると言える。
一方、インクジェット印刷などを行う記録装置における搬送装置では、特に品質が要求される記録部での搬送に関しては、記録用紙を記録部へ送るだけでなく、搬送精度も満たす必要がある。
搬送精度とは、記録用紙を必要な長さ分だけ過不足なく送る紙送り量の正確さのことである。給紙コロを用いて、コロの回転する距離分だけ精度良く送るためには、記録用紙と給紙コロとが接する部分での圧力が重要になる。
記録用紙と給紙コロとの間の圧力が弱いと、記録用紙と給紙コロとの間の摩擦が小さくなり、給紙コロを回転させても記録用紙がすべってしまう。そのため、すべった分だけ記録用紙の送り量が減り、正確な距離を前へ送り出すことができなくなり、不送り分の距離だけ記録用紙に黒スジが記録され画像品質の低下が生じる。逆に圧力が強いと、記録用紙と給紙コロとの間の摩擦が大きくなり、給紙コロを回転させた距離分を送ることができ、記録用紙の搬送精度は向上する。しかしながら、給紙コロからの押し圧の影響によって、記録用紙には、圧力がかかった部分と圧力がかからなかった部分とで凹凸(ローラ跡)が生じることがある。
一般的に、記録用紙が適度な押し圧によって給紙コロに押された場合、弾性力で元に戻ろうとする力が働く。記録用紙の種類によってローラ跡の見えやすさは異なり、普通紙の場合、押し型はほとんど見えない。一方、樹脂被覆紙が押された場合、押し圧の力の強さによってはローラ跡が目立つ事がある。これは樹脂被覆紙の層構成に特徴があるからである。
樹脂被覆紙は少なくとも、芯紙層の両面または片面に樹脂層を積層したウエハー構造をしており、代表例としては印画紙タイプの光沢紙やプルーフ紙が該当する。樹脂被覆紙の各層の硬さを比較すると、芯紙層に比べると、樹脂層は非常に柔らかい。そのため、圧力をかけると容易に樹脂層に塑性変形が起こり、押し型が窪みとして残り、これがローラ跡として認識できる。また、樹脂被覆紙は普通紙に比べ光沢感もあり、その光沢感からローラ跡の程度が普通紙よりも認知しやすい。
さらに、樹脂被覆紙のローラ跡のつきやすさの原因は他にも考えられる。紙はその性質上、温度や湿度の状態に合わせて紙内の熱や水分が出入りすることで環境になじむ。
低温低湿環境と高温高湿環境の両環境での樹脂被覆紙の状態、およびローラ跡と搬送精度の関係を考える。低温低湿環境へ近づくほど水分が抜けて、紙は堅くなりローラ跡がつきにくくなるが、樹脂被覆紙の表面はつるつるして、紙のすべりが起こりやすくなり、搬送精度が悪くなる。逆に高温高湿環境へ近づく程、水を取り込み、紙は柔らかくなりローラ跡がつきやすくなるが、湿度による摩擦が大きくなるため搬送精度は良くなる、という関係にある。
また、給紙直後には必ず斜行取りの操作を行う。斜行取りとは、記録用紙をまっすぐに搬送できるように記録用紙の進行方向を補正する操作の事である。給紙直後には、給紙台から送られてきた記録用紙が、真っすぐに搬送されているとは限らないため、この操作を行う。
斜行取りは、記録用紙を搬送方向に大きく前後に移動させて、記録用紙の初期位置の補正を行う。動作の際、コロ部材に直接記録用紙が触れた状態で、記録用紙を搬送方向で前後に移動させるため何度も記録用紙に押し圧がかかる。
このように従来の方法で斜行取りを行うと、コロ部材によって記録用紙にローラ跡がつきやすくなるため、斜行取り操作に必要な押し圧は、できるだけ小さくすることが望ましい。
また、記録用紙搬送時における記録用紙の往復移動のひとつに、デカール操作がある。これは、記録媒体としてロール紙を用いた場合、ロール紙の巻き癖を補正し、ロール紙を平坦にさせる操作である。巻き癖をならし、ロール紙のたるみを抑える事で、記録時におけるロール紙と記録ヘッドとの衝突(記録ヘッドとの擦れ)防止や、記録物の見栄え向上に効果がある。デカール操作は斜行取りと同じ操作で行われ、コロ部材に直接ロール紙が触れた状態でロール紙を搬送方向の前後に往復させる動作のため、押し圧が大きいとロール紙にローラ跡がつきやすくなる。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、記録媒体にローラ跡が形成されにくい搬送装置およびそれを備えた記録装置を提供することを目的とする。
搬送装置は、駆動ローラと、駆動ローラと対向し、駆動ローラに追従して動く従動ローラとからなるローラ対と、温湿度センサと、制御部とを有し、ローラ対で記録媒体を搬送する。搬送装置には、従動ローラの、駆動ローラの方向へ押す力を変化させる機構が設けられている。制御部は、温湿度センサが検知した温度と湿度に基づいて、機構を制御して押す力を調整する。
ローラの押し圧によって生じる記録媒体のローラ跡を軽減し、かつ記録媒体の搬送精度を保つことができる。
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態の詳細について説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
図1に、記録装置の外観概略図を示す。記録装置1は、給紙部11と、記録部12と、排紙部13とを有する。給紙部11には、レール4によって支持されたロール状の記録媒体3が取り付けられている。記録媒体3は、給紙部11から記録部12へ搬送され、記録部12で記録が行われ、排紙部13へ搬送される。記録部12には、画像を記録する為のインクを備えた記録ヘッド2がガイドシャフト7に支持されている。記録ヘッド2は、記録媒体3と対向する位置を、記録媒体3の幅方向に往復走査しながらインクを吐出し、記録媒体3に画像を形成する。また、記録装置1には、操作用のオペレーションパネル5が設けられ、ユーザはこれを用いて、記録媒体3の種類情報を後述する本体制御部200のCPU201へ送信し、記録媒体3の設定を行う。
図2は記録装置1の記録部12の概略斜視図である。インクセットを備えた記録ヘッド2は、ヘッド本体2Aおよび、ヘッドを動かすためのキャリッジ2Bで構成されており、初期位置にはヘッド本体2Aの、インクを吐出する吐出面と対向する位置に、吐出面を掃除するためのワイプ6が設けられている。また、記録部12の、記録媒体3の搬送経路には、記録媒体3を裏面側から支持するプラテン7が配置されている。記録媒体3の搬送方向で、プラテン7の上流には、記録媒体3の裏面側に位置し、不図示の駆動手段で駆動されるプラテンローラ(駆動ローラ)8と記録媒体3の表面側に位置するコロ部材(従動ローラ)9とからなるローラ対14が設けられている。このローラ対14で記録媒体3を挟持し、給紙部11から、記録部12側、つまり図2中のZ方向に記録媒体3を搬送できる。また、温湿度センサ21は、記録部12の温度と湿度を検知する。
また、カッターユニット10が設けられており、カッターユニット10は、記録媒体3を切断するための刃を備えており記録媒体3の幅方向に直進して記録媒体3をカットできる。
図3はコロ部材9の模式図である。従動ローラであるコロ部材9は、コロ9Aと、コロ9Aを保持し、コロ支持部材31に取り付けられたシャフト23と、を有する。コロ9Aは外力を与えることで回転する。本発明では、コロ9Aは、駆動ローラであるプラテンローラ8の回転に追従して回転する。また、矩形状をした平板状のコロ支持部材31は、その先端に、支持シャフト23を介してコロ9Aを保持している。なお、図2では、複数のコロ支持部材31が、コロ9Aが一直線に並ぶように、配置されている。
また、コロ支持部材31の上面には、コロ9Aが並ぶ方向とは直交する方向に溝22があり、バネ32はこの溝22にはまるように配置されている。
なお、図示していないが、コロ支持部材31は、コロ9がプラテンローラ8に向かって回動できるように支持されている。
図4は、図3におけるバネ32の構造図である。バネ32は、いわゆるねじりコイルバネである。図に示すようにバネ32は1本で構成され、中央は数回コイル状に巻かれ、くの時に曲がっており、全体で扇形になっている。扇を閉じる方向に力を加えることで曲がり、扇の角度を狭めることができる。さらに、曲げた後のバネ32は反発力を持ち、力を緩めると元の扇状へと戻る性質を持つ。
図5は、ローラ対14の断面の概略図である。記録媒体3の裏面側にプラテンローラ8、表面側にコロ部材9のコロ9Aが位置している。プラテンローラ8は不図示の駆動手段によってaの方向へ回転し、プラテンローラ8と接触した記録媒体3とコロ9Aはその回転の力を受けて記録媒体3はZ方向へ、コロ9Aは中央の芯、つまりシャフト23を中心にa1の方向へ従動する。
さらに、コロ支持部材31の上面には溝22があり、その溝に沿ってバネ32の一端32aがはまっている。バネ32の他端32bは、カム33と当接している。
上述したコロ9、プラテンローラ8、コロ支持部材31、バネ32、カム33、温湿度センサ21、及び後述する制御部200とで、本発明の搬送装置が構成されている。
なお、バネ32は、扇形を狭める方向に力がかかった状態で配置されており、バネ32の反発力でカム33および、コロ支持部材31の、バネ32の一端32aとの接点に力を加えた状態で静止している。接点からの力は、シャフト23を介してコロ9Aが記録媒体3を押す力となっている。また、通常搬送時にはプラテンローラ8を回転させることで、記録媒体3はZ方向に搬送されるが、この時、記録媒体3は、バネ32からの力によりコロ9Aから押す力を受けている状態で搬送される。そのため、コロ9Aとプラテンローラ8とで、記録媒体3に圧力がかかる。記録媒体3を挟持する力が大きいと搬送時の送り精度は良くなるが、記録媒体3の、コロ9Aと接触した部分が塑性変形をしてしまい、記録媒体の種類によっては記録媒体上にローラ跡(凹凸)が形成されてしてしまう場合がある。
そこで、記録媒体3にかかる圧力を軽減する方法を説明する。カム33は楕円状をしており、カム33の芯部33aを中心に、bの方向へ回転させる。カム33をbの方向へ回転させると、バネ32との接点がずれ、芯部33aと、カム33とバネ32との接点との間の距離が小さくなり、扇形を狭める方向に力がかかった状態で配置されていたバネ32はb1の方向、つまり扇形を元に戻す方向へ動く。そのため、カム33を動かす前と比べてバネ932の反発力が低下する。同様にしてコロ支持部材31の、バネ32との接点部分でも反発力が低下するため、コロ9Aの、プラテンローラ8を押す力を低下させることができる。
また、一度bの方向へ動かしたカム33をbと反対方向へ動かすことで、コロ32を初期状態へ戻すことができ、同時にバネ32もb1と逆の方向へ動くことになり、再度、コロ9Aがプラテンローラ8を押す力を大きく、つまり初期状態にすることができる。
よって、このカム33を動かす量によって、バネ932の反発力を制御し、コロ9Aから記録媒体3にかかる圧力を適宜調整することができる。つまり、コロ支持部材31とバネ32とカム33とでコロ部材9の、プラテンローラ8への押し圧を変化させる機構が構成されている。
また、斜行取りのために、プラテンローラ8の回転を逆転させることで記録媒体3の搬送方向を逆にすることができる。
図6は、記録装置1の制御構成を示すブロック図である。記録装置1は、本体駆動部100および本体制御部200から成る。記録は、外部端末装置300のプリンタドライバより画像データが、通信ケーブル310を介して通信インターフェース205に入力され、続いてCPU201へと送られる。そして、入力情報を記憶する領域EEPROM202に入力された画像データが書き込まれる。EEORPM202を含め、記録処理プログラムを格納したROM203、および読み書き可能なRAM204を併用して、記録に関わる処理全般を行う。
処理された情報は、CPU201を経由して、本体駆動部100を動作させるドライバへ送信される。ドライバは、スキャンドライバ210、ヘッドドライバ211、モータドライバ212を備えており、それぞれ本体駆動部100へ信号を送る役割を持つ。本体駆動部100は、温湿度センサ21を有する温度湿度スキャン部101、ヘッド本体2Aを有するヘッド部102、キャリッジ2Bを有するキャリッジ110、プラテンローラ8を有する搬送部111、コロ部材9を有するコロ制御112がある。さらに、本体駆動部100にはカッターユニット10を有するカッター部113がある。本体駆動部100は、ドライバからの信号を受信し、各駆動部を動作させることができる。
一方、オペレーションパネル5からの入力信号は、オペレーションパネルドライバ213を経て、EEPROM202に記憶できる。
温度湿度スキャン部101は温湿度センサ21により現在の温度と湿度を検知できる。温度湿度スキャン部101からの信号は、スキャンドライバ210、CPU201を経て、EEPROM202に記憶できる。必要に応じて、記憶情報を用いて、CPU201、モータドライバ212を経てコロ制御部112を動作させることができる。
ヘッド部102はキャリッジ部110および搬送部111と連動して、ヘッドドライバ211およびモータドライバ212からの信号を受信して記録ヘッド2を駆動させる。記録するときは、記録ヘッド2がキャリッジ2Aを通じて記録媒体3の幅方向X方向に往復しながらインクを吐出する。
コロ制御部112は、温度湿度スキャン部101で読み取った情報をEEPROM202より参照して、温度と湿度の状態に応じてカムの動作量(回転量)を決定し、コロ部材9の、プラテンローラ8を押す力を変えることができる。
カッター部113は、記録後に記録媒体3をカットするためにモータドライバ212を経て駆動する。
次に、本実施形態の記録媒体の搬送の流れを説明する。ローラ跡と搬送精度の両方を達成するにあたり、低温低湿環境では樹脂被覆紙表面が滑りやすくなるためコロ部材9の押し圧を弱くできない。一方、高温高湿環境の場合、樹脂被覆紙は柔らかくなり、低温低湿環境よりも弱い押し圧にしないと記録媒体3にローラ跡が著しく形成されてしまうので、押し圧を弱くする。押し圧が多少弱くなっても、コロ部材9と記録媒体3との接触部は湿気を帯びて両者間の摩擦は高いため、適度に押し圧を弱くしても搬送精度を保つことができる。
つまり、低温低湿環境の押し圧のレベルを基準にした時、高温高湿環境へ近い程、押し圧のレベルを適度に弱めても良く、高温高湿で目立ちやすいローラ跡の形成を軽減すると同時に、搬送精度も備え持つことができる。
上記の内容を踏まえ、本発明の記録媒体の搬送の流れを、図7を用いて説明する。図7に示すフローチャートは、給紙から記録物排出までの一連の動作を行うものである。このフローチャート図は、本発明の効果を示す一例であり、この限りではない。動作処理ついては以下、図7を用いながらステップ毎に説明する。
初めに、ロール状の記録媒体3を給紙部11にセットする(S1)。続いて、図1のオペレーションパネル5の操作より記録媒体の種類をユーザが選択し、セットした記録媒体3が樹脂被覆紙(以下、「RC紙」と称する)かどうかを判定する(S2)。
ここでセットした記録媒体3がRC紙であると判定すれば、コロ部材の設定を行うルート(S3)に進む。
コロ部材の設定は、記録環境の温湿度をセンサ21で感知した結果を解析し(S5)、その結果を経て、コロ部材9の押し圧のレベルを設定する(S6)。
一方、記録媒体3がRC紙かどうかを判断するステップ(S2)で、記録媒体3がRC紙でないと判断した場合は通常記録のルートへ進み(S4)、コロ部材の設定は行わない。
これ以降は、共通のステップである。まず、斜行取り動作を行う。斜行取りは、記録媒体3をプラテン7よりも下流に搬送してから、プラテンローラ8を逆回転させ、記録媒体3を逆走させて巻き戻して、斜めに搬送している記録媒体3をまっすぐに搬送できるように記録媒体3の進行方向を補正する操作である。斜行取りでは、コロ部材9に直接記録媒体3が触れるため、記録媒体3の出し入れの往復動作時に形成されるローラ跡を低減させる必要がある。そこで、記録媒体3がRC紙かどうかを判断するステップ(S2)で記録媒体3がRC紙と判断した場合には、カム33を回転させ、コロ部材9の記録媒体3へ(つまりプラテンローラ8へ)の押し圧を最小にした状態で斜行取り動作を行う。なお、記録媒体3がRC紙ではない場合は、カム33を回転させずに、押し圧が大きい状態にしておいてよい。
斜行取り動作の後、記録媒体3がRC紙の場合、コロ部材9の押す圧レベルの設定をするステップ(S6)で決定した押し圧となるように、カム33を回転させてから、搬送動作を開始する(S8)。なお、通常記録の場合は初期設定で行う。
そして、記録媒体3に記録を行い(S9)、記録された記録媒体3を排出する(S10)。
最後に、記録媒体3がRC紙の場合は、カム33を元の位置に戻し、押し圧を初期設定に戻す(S11)。
このようにして本発明の記録装置1では、温湿度センサ21により温度と湿度を読み取り、記録環境にあわせて、コロ部材9の押し圧のレベルを設定して記録媒体3を搬送することができる。よって、温度湿度の環境に関わらず、記録媒体3にローラ跡がついてしまうことを軽減し、かつ搬送精度を保つことができる。
次に、確認実験として、搬送時、押し圧のレベルを記録環境によって変化させた場合のローラ跡の有無と搬送精度を確かめた。記録媒体3として、厚手印画紙タイプのインクジェット用光沢紙を使用した。記録環境は、高温高湿環境(温度30度、湿度80%)および低温低湿環境(温度15度、湿度10%)の2通りで行い、コロ部材9の押し圧:800gf/cm2(78.4kPa)とし、これを押し圧設定値:100%とした。
コロ部材9の押し圧の設定値をそれぞれ100%(最も圧力の大きい状態)、80%にした場合の結果を表1に示す。
確認実験の結果として、コロ9Aの押し圧設定値を100%にして搬送した場合、高温高湿環境ではローラ跡が残る。一方、押し圧設定値を80%にした場合、低温低湿環境では搬送精度がよくないという結果になった。以上より、記録環境によって適正なコロの押し圧があること、および記録環境によって、コロ9Aの押し圧を変化させることで、ローラ跡の低減と搬送精度が両立できることがわかった。
[実施例]
本発明の搬送装置を有する記録装置の効果を確認するため、確認実験の結果を踏まえ、以下の条件で評価した。
本発明の搬送装置を有する記録装置の効果を確認するため、確認実験の結果を踏まえ、以下の条件で評価した。
記録環境:温度15度、湿度10%および温度30度、湿度80%
押し圧設定値:温度15度、湿度10%では設定値100%、温度30度湿度80%では設定値80%
斜行取り時のコロ9Aの押し圧設定値を60%、80%、100%に変化させた場合を比較。動作は、樹脂被覆紙を給紙し、給紙後、斜行取りの往復動作を2回行い、斜行精度、ローラ跡の有無、搬送精度を評価した。なお、比較例の条件については表2に記載した。評価方法は以下のとおりである。結果を表2に示す。
押し圧設定値:温度15度、湿度10%では設定値100%、温度30度湿度80%では設定値80%
斜行取り時のコロ9Aの押し圧設定値を60%、80%、100%に変化させた場合を比較。動作は、樹脂被覆紙を給紙し、給紙後、斜行取りの往復動作を2回行い、斜行精度、ローラ跡の有無、搬送精度を評価した。なお、比較例の条件については表2に記載した。評価方法は以下のとおりである。結果を表2に示す。
<評価方法>
斜行精度は記録画像の幅方向の両端が斜めに曲がっているのは×、曲っていないものは○とした。ローラ跡の有無の評価は目視で行い、凹凸が目立つのは×、目立たないのは○、全く確認できないものを◎とした。搬送精度は、黒スジが見えるものには×、ほとんど見えていないものは○、全く見えていないものは◎とした。
斜行精度は記録画像の幅方向の両端が斜めに曲がっているのは×、曲っていないものは○とした。ローラ跡の有無の評価は目視で行い、凹凸が目立つのは×、目立たないのは○、全く確認できないものを◎とした。搬送精度は、黒スジが見えるものには×、ほとんど見えていないものは○、全く見えていないものは◎とした。
結果としては、斜行取り時の圧力を60%まで下げると高温高湿環境でも低温低湿環境でも斜行精度、ローラ跡、搬送精度に対して効果は期待できるが、圧力を40%まで下げると、斜行精度が悪くなる。一方、圧力を80%にすると、高温高湿環境ではローラ跡がつき、通常の圧力だと環境に関わらずローラ跡がついてしまう。
よって、斜行取りを行う時には斜行精度が悪くならない程度までコロ部材9の押し圧を最小まで落とし、さらに通常搬送の場合は環境に合わせてコロ部材9の押す圧を変化させることで、ローラ跡と搬送精度が両立できたと言える。
3 記録媒体
8 プラテンローラ(駆動ローラ)
9 コロ部材(従動ローラ)
9A コロ
31 コロ支持部材
32 バネ
33 カム
21 温湿度センサ
200 本体制御部
8 プラテンローラ(駆動ローラ)
9 コロ部材(従動ローラ)
9A コロ
31 コロ支持部材
32 バネ
33 カム
21 温湿度センサ
200 本体制御部
Claims (7)
- 駆動ローラと、前記駆動ローラと対向し、前記駆動ローラに追従して動く従動ローラとからなるローラ対と、温湿度センサと、制御部とを有し、前記ローラ対で記録媒体を搬送する搬送装置であって、
前記従動ローラの、前記駆動ローラの方向へ押す力を変化させる機構が設けられており、
前記制御部は、前記温湿度センサが検知した温度と湿度に基づいて、前記機構を制御して前記押す力を調整する、搬送装置。 - 前記機構は、前記駆動ローラとは前記記録媒体を挟んで対向する側に位置し、前記従動ローラを支持する板状の支持部材と、ねじりコイルバネと、カムとを有しており、
前記ねじりコイルバネの一端は、前記支持部材の前記駆動ローラとは対向しない側の面に当接し、前記ねじりコイルバネの他端は前記カムと当接しており、
前記制御部は、前記カムを回転させて、前記ねじりコイルバネのたわみを変化させて、前記支持部材が前記従動ローラを押す力を調整する、請求項1に記載の搬送装置。 - 請求項1または2に記載の搬送装置を有する記録装置であって、
記録媒体への記録を行う記録部に前記温湿度センサが配置されており、
前記ローラ対によって前記記録媒体は前記記録部に搬送される、記録装置。 - 前記記録媒体の種類が入力されるオペレーションパネルが設けられており、
前記制御部は、入力された前記記録媒体の種類が樹脂被覆紙の場合に、前記押す力を調整する、請求項3に記載の記録装置。 - 前記制御部は、前記記録媒体の斜行取りの前と、記録の前に前記押す力の調整を行う、請求項3または4に記載の記録装置。
- 前記制御部は、前記斜行取りのときのほうが前記記録のときに比べて前記押す力が小さくなるように前記押す力を調整する、請求項5に記載の記録装置。
- 前記制御部は、前記温湿度センサで検知した温度と湿度が高くなるほど前記押す力が小さくなるようにする、請求項3から6のいずれか1項に記載の記録装置。
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CN108357954B (zh) * | 2017-01-27 | 2020-08-25 | 施乐公司 | 一种打印装置中的进给系统 |
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Date | Code | Title | Description |
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RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
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