JP2014100377A - 医療用ロボット装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】力センサを用いなくても、検体に対しては医療用器具を柔軟に接触させることができ、検体の表面に沿ってスムーズに医療用器具をなぞることができる医療用ロボット装置を提供する。
【解決手段】医療用ロボット装置600は、3対6筋構造のロボットアーム100と、ハンド200と、制御装置400とを備えている。制御装置400は、リンク102の先端が検体Bの表面に対して水平方向に移動するようアクチュエータ111〜116の駆動力を制御する水平移動制御モードを実行する。制御装置400は、水平移動制御モードを実行する際に、プローブ130における剛性が検体Bの表面に対して水平方向を第1剛性値とし、且つ検体Bの表面に対して垂直方向を第2剛性値とする状態を維持するように、アクチュエータ111〜116の駆動力を制御する。
【選択図】図1
【解決手段】医療用ロボット装置600は、3対6筋構造のロボットアーム100と、ハンド200と、制御装置400とを備えている。制御装置400は、リンク102の先端が検体Bの表面に対して水平方向に移動するようアクチュエータ111〜116の駆動力を制御する水平移動制御モードを実行する。制御装置400は、水平移動制御モードを実行する際に、プローブ130における剛性が検体Bの表面に対して水平方向を第1剛性値とし、且つ検体Bの表面に対して垂直方向を第2剛性値とする状態を維持するように、アクチュエータ111〜116の駆動力を制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、3対6筋構造の医療用ロボット装置に関する。
近年、遠隔医療に用いられる医療用ロボット装置が開発されている。医療用ロボット装置を遠隔制御する場合、例えば超音波診断装置で診察する場合、ロボットアームに支持された医療用器具であるプローブを検体の表面(体表)に沿って移動させることで、エコー画像等の診察情報を取得することが可能である。検体とプローブとの間には摩擦が生じるため、プローブを体表に沿って移動させた場合にプローブと体表との間の摩擦でプローブが体表に引っ掛かることがあり、これがプローブのスムーズな移動に支障を与えることがあった。このため、ロボットアームの剛性を剛性制御にて調整する必要があり、一般には、プローブを体表に押し付ける荷重は0.4kg程度である。
特許文献1では、力センサで、力、トルク等を検出し、そのフィードバックによりトルク制御を行うものが提案されている。この特許文献1には、超音波プローブに力センサを取りつけ、超音波プローブが受ける反力をサーボ機構で一定に保ち、自動診察する技術が開示されている。
上記特許文献1の構成では、超音波プローブが受ける反力をサーボ機構で一定に保つことができるので、検体が動いた場合であってもロボットアームは検体に対して柔軟に動作することができるが、高精度な力センサが必要であった。このような力センサは高価であるので、力センサを用いない医療用ロボット装置が望まれていたが、検体の呼吸動作等の動作に対しては低剛性で、プローブのなぞり動作に対してはスムーズな動作が要求されており、その実現には至っていなかった。
そこで、本発明は、力センサを用いなくても、検体に対しては医療用器具を柔軟に接触させることができ、検体の表面に沿ってスムーズに医療用器具をなぞることができる医療用ロボット装置を提供することを目的とするものである。
本発明の医療用ロボット装置は、固定リンクと、前記固定リンクに第1関節で連結された第1リンクと、前記第1リンクに第2関節で連結された第2リンクと、前記第1リンクを前記第1関節まわりに第1旋回方向に駆動可能な第1アクチュエータと、前記第1リンクを前記第1関節まわりに前記第1旋回方向に対して反対の第2旋回方向に駆動可能な第2アクチュエータと、前記第2リンクを前記第2関節まわりに前記第1旋回方向に駆動可能な第3アクチュエータと、前記第2リンクを前記第2関節まわりに前記第2旋回方向に駆動可能な第4アクチュエータと、前記第1及び第2リンクを同時に前記第1及び第2関節まわりに前記第1旋回方向に駆動可能な第5アクチュエータと、前記第1及び第2リンクを同時に前記第1及び第2関節まわりに前記第2旋回方向に駆動可能な第6アクチュエータと、前記第2リンクの先端が検体の表面に対して水平方向に移動するよう前記第1、第2、第3、第4、第5及び第6アクチュエータの駆動力を制御する水平移動制御モードを実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記水平移動制御モードを実行する際に、前記第2リンクの先端に対して位置決め支持された医療用器具における剛性が、前記検体の表面に対して水平方向を第1剛性値とし、且つ前記検体の表面に対して垂直方向を前記第1剛性値よりも低い第2剛性値とする状態を維持するように、前記第1、第2、第3、第4、第5及び第6アクチュエータの駆動力を制御することを特徴とする。
本発明によれば、力センサが不要で低コスト化を実現することができ、検体に対しては医療用器具を柔軟に接触させつつも安定して医療用器具を検体の表面に沿ってなぞることができ、安定した遠隔診察が可能となる。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る医療用ロボット装置の概略構成を示す説明図である。医療用ロボット装置600は、ロボットアーム100と、ロボットアーム100の先端に設けられたハンド200とを有するマニピュレータ300を備えている。また、医療用ロボット装置600は、マニピュレータ300を制御する制御部としての制御装置400と、遠隔操作に用いられる操作部としての操作装置500と、を備えている。なお、本実施形態では、検体Bは、人体であり、診察用ベッド1に仰向けに寝ているものとするが、人以外の動物であってもよい。
ロボットアーム100は、固定リンク103、リンク(第1リンク)101及びリンク(第2リンク)102を有している。固定リンク103の基端は、台や床等に固定され、固定リンク103の先端は、リンク101の基端に連結されている。リンク101の先端は、リンク102の基端に連結されている。固定リンク103とリンク101との連結部分が関節(第1関節)J1であり、リンク101とリンク102との連結部分が関節(第2関節)J2である。リンク101は、固定リンク103に対して関節J1で旋回可能に連結されており、リンク102は、リンク101に対して関節J2で旋回可能に連結されている。
ロボットアーム100は、6つのMcKibben型の空気圧式人工筋肉アクチュエータであるアクチュエータ111〜116を有している。第1アクチュエータであるアクチュエータ111及び第2アクチュエータであるアクチュエータ112は、固定リンク103に設けられている。第3アクチュエータであるアクチュエータ113及び第4アクチュエータであるアクチュエータ114は、リンク102に設けられている。第5アクチュエータであるアクチュエータ115及び第6アクチュエータであるアクチュエータ116は、リンク101に設けられている。
アクチュエータ111,112は、固定リンク103の両側に拮抗配置され、アクチュエータ113,114は、リンク102の両側に拮抗配置され、アクチュエータ115,116は、リンク101の両側に拮抗配置されている。
アクチュエータ111は、収縮によりリンク101を関節J1まわりに第1旋回方向である矢印R1方向(図1中、時計回り方向)に駆動可能に構成されている。アクチュエータ112は、収縮によりリンク101を関節J1まわりに矢印R1方向に対して反対の第2旋回方向である矢印R2方向(図1中、反時計回り方向)に駆動可能に構成されている。
アクチュエータ113は、収縮によりリンク102を関節J2まわりに矢印R1方向に駆動可能に構成されている。アクチュエータ114は、収縮によりリンク102を関節J2まわりに矢印R2方向に駆動可能に構成されている。
アクチュエータ115は、収縮によりリンク101,102を同時に関節J1,J2まわりに矢印R1方向に駆動可能に構成されている。アクチュエータ116は、収縮によりリンク101,102を同時に関節J1,J2まわりに矢印R2方向に駆動可能に構成されている。
つまり、アクチュエータ111,112は関節J1を駆動し、アクチュエータ113,114は関節J2を駆動し、アクチュエータ115,116は2つの関節J1,J2を同時に駆動する。
そして、アクチュエータ111,112の駆動力の和により、関節J1に剛性を付与し、アクチュエータ111,112の駆動力の差により、関節J1にトルクを付与する。また、アクチュエータ113,114の駆動力の和により、関節J2に剛性を付与し、アクチュエータ113,114の駆動力の差により、関節J2にトルクを付与する。また、アクチュエータ115,116の駆動力の和により、関節J1,J2に剛性を付与し、アクチュエータ115,116の駆動力の差により、関節J1,J2にトルクを付与する。
ハンド200は、医療用器具として、超音波プローブ(以下「プローブ」という)130を把持するためのものである。プローブ130は超音波診断装置本体に接続されており、プローブ130と超音波診断装置本体とで超音波診断装置が構成されている。
ハンド200は、リンク102の先端に連結されている。つまり、プローブ130は、ハンド200を介してリンク102の先端に対して位置決め支持されている。なお、本実施形態では、ハンド200にプローブ130を支持させているが、ハンド200を省略してリンク102の先端に直接プローブ130を装着するようにしてもよい。
リンク102とハンド200との連結部分が関節(第3関節)J3であり、関節J3には、第7アクチュエータとして減速機付きのモータ120が組み込まれている。このモータ120は、リンク102に対してハンド200を矢印R1方向及び矢印R2方向に駆動可能に構成されている。
なお、各関節J1〜J3には、不図示のロータリーエンコーダが組み込まれており、関節角度(旋回角度)を検出することができる。
操作装置500は、無線又は有線で、直接又はネットワークを介して制御装置400に接続されている。この操作装置500は、操作者の操作に応じた制御指令を制御装置400に送信するためのものであり、ジョイスティックや、パドル、トラックボール、マウス等のMMI(マンマシンインタフェース)で構成されている。操作者は、操作装置500を操作することで制御装置400に制御指令を送信することができる。
図2は、操作装置500を示す説明図であり、操作装置500は、本実施形態では、ジョイスティックであるものとして説明する。操作者が操作装置500のスティックを状態A0〜状態A4に操作することで、操作装置500は、各状態A0〜A4に応じた制御指令を制御装置400に送信する。
具体的に説明すると、操作装置500は、状態A1のときは、プローブ130を水平方向(h軸方向)の順方向へ移動する指令、即ち制御指令として後述する水平移動制御モードの実行を指令する第1制御指令を制御装置400に送信する。操作装置500は、状態A2のときは、プローブ130を水平方向(h軸方向)の逆方向へ移動する指令、即ち制御指令として後述する水平移動制御モードの実行を指令する第1制御指令を制御装置400に送信する。操作装置500は、状態A3のときは、プローブ130の荷重を増加する指令、即ち制御指令として検体Bの表面に対するプローブ130の垂直方向(v軸方向)の荷重の変更を指令する第2制御指令を制御装置400に送信する。操作装置500は、状態A4のときは、プローブ130の荷重を減少する指令、即ち制御指令として検体Bの表面に対するプローブ130の垂直方向(v軸方向)の荷重の変更を指令する第2制御指令を制御装置400に送信する。操作装置500は、状態A0のときは、プローブ130を停止する指令を制御装置400に送信する。つまり、操作装置500は、これら制御指令を制御装置400に送信する操作を受付可能に構成されている。
なお、操作装置500の操作者が、検体Bを直接視認することができない場合には、不図示のカメラを検体Bを撮像する位置姿勢で検体Bの近くに配置しておき、カメラから得られた画像データを表示するモニタを操作者の近傍に配置しておくとよい。つまり、操作装置500の操作者がプローブ130の位置や検体Bの状態が視認できない場合には、TV会議システムや監視カメラ等の併用が望ましい。
図1に示す制御装置400は、コンピュータからなる演算部である演算装置401と、演算装置401の指令に応じてアクチュエータ111〜116及びモータ120を動作させる駆動源402と、を有している。駆動源402におけるアクチュエータ111〜116の駆動源部は、空気をアクチュエータ111〜116に送る空気供給源装置であり、駆動源402におけるモータ120の駆動源部は、電源装置である。
演算装置401は、操作装置500から受信した制御指令に応じて、各アクチュエータ111〜116の収縮力指令値ue1,uf1,ue2,uf2,ue3,uf3を演算により求める。そして、駆動源402は、収縮力指令値ue1,uf1,ue2,uf2,ue3,uf3に応じた収縮力(駆動力)ue1 *,uf1 *,ue2 *,uf2 *,ue3 *,uf3 *を各アクチュエータ111〜116に発生させる。これにより、各リンク101,102が各アクチュエータ111〜116の駆動により旋回動作する。したがって、操作装置500の操作者である医師や超音波検査士は、検体Bから離れた地点でマニピュレータ300の遠隔操作が可能である。
制御装置400は、リンク102の先端が検体Bの表面に対して水平方向であるh軸方向に移動して、プローブ130の先端が検体Bの表面に接触しながらh軸方向に移動するよう、アクチュエータ111〜116の駆動力を制御する水平移動制御モードを実行する。制御装置400は、操作装置500から第1制御指令を受けてこの水平移動制御モードを実行する。なお、制御装置400は、この水平移動制御モードのみ実行可能に構成されていてもよいし、この水平移動制御モードに加えて他の動作モードも実行可能に構成されていてもよい。制御装置400は、この水平移動制御モードを実行する際に、プローブ130における剛性が、検体Bの表面に対して水平方向を第1剛性値βとし、且つ検体Bの表面に対して垂直方向を第2剛性値αとする状態を維持するように、アクチュエータの駆動力を制御する。ここで、第2剛性値αは、第1剛性値βよりも低い値である。
その際、制御装置400は、プローブ130が検体Bの表面に対して垂直な状態を維持するようにモータ120の駆動を制御する。つまり、ハンド200の姿勢は、固定リンク103に対するリンク101の旋回角度、リンク101に対するリンク102の旋回角度、及びリンク102に対するハンド200の旋回角度の和が一定になるように制御されている。これら旋回角度は、各関節J1,J2,J3に組み込まれたロータリーエンコーダの出力より検出される。本実施形態では180°である。
図3は、演算装置401の機能ブロック図である。リンク101と垂直方向のv軸とのなす角度の目標がθ1,リンク101とリンク102とのなす角度の目標がθ2である。
演算装置401は、剛性計算処理部410、トルク計算処理部411及び指令値計算処理部412としての機能を有する。剛性計算処理部410は、予め与えられた剛性値α,β及び目標の角度θ1,θ2に基づき、ue1+uf1=U1,ue2+uf2=U2,ue3+uf3=U3の値を計算する。また、トルク計算処理部411は、目標の角度θ1,θ2及び制御指令に基づき、ue1−uf1,ue2−uf2,ue3−uf3の値を計算する。そして、指令値計算処理部412は、剛性計算処理部410及びトルク計算処理部411の計算結果に基づき、収縮力指令値ue1,uf1,ue2,uf2,ue3,uf3を計算する。
図4は、本実施形態に係る医療用ロボット装置600を用いた診察作業を示すフローチャートである。まず、初期状態では、検体Bは、ハンド200に把持されているプローブ130の下方の診察用ベッド1に寝ている。この時点で制御装置400は、各関節J1,J2,J3に組み込まれたロータリーエンコーダ出力を読み、ハンド200の姿勢を図1のv軸方向下向き、ハンド200の位置を検体Bの少し上に制御している。そして、制御装置400は、トルクが重力拮抗、剛性が低剛性になるようアクチュエータ111〜116の収縮力を保持している(S100)。詳しくは、演算装置401は、プローブ130先端で所望の剛性とトルクを実現するパラメータ、関節J1と関節J2の回転角度とから決定される拮抗配置された各アクチュエータ111〜116での収縮力指令値を計算する。そして、演算装置401は、各アクチュエータ111〜116の駆動源402に収縮力指令値を与える。これにより、オフライン状態で剛性を緩和し、トルクは重力均衡としている。
次に、検体Bのそばにいる作業者が、プローブ130を診察開始部位にセットする(S101)。このステップS101では、現場にいる作業者が、検体Bの表面にエコーゼリーを塗布し、プローブ130を検体Bの表面に当てる。ロボットアーム100は重力拮抗低剛性状態なので、この作業は容易に実施可能である。検体Bそばの現場にいる作業者は、オンライン制御状態への移行指示を制御装置400に行う。
制御装置400は、オンライン制御を開始すると、アクチュエータ111〜116に収縮力(駆動力)を発生させ、水平方向であるh軸方向(図1)の剛性を増加させる(S102)。
制御装置400は、操作装置500から制御指令を受信したか否かを判断する(S103)。制御装置400は、制御指令を受信した場合は(S103:Yes)、制御指令の種別を判別し、受信した制御指令に応じた動作をマニピュレータ300に行わせる。
即ち、制御装置400は、制御指令が順方向移動の指令(第1制御指令)である場合には、プローブ130を順方向に水平移動させる(S104)。また、制御装置400は、制御指令が逆方向移動の指令(第1制御指令)である場合には、プローブ130を逆方向に水平移動させる(S105)。つまり、制御装置400は、プローブ130における水平方向の第1剛性値β及び垂直方向の第2剛性値αを一定に保ちつつ、プローブ130が水平方向に移動するよう各アクチュエータ111〜116の駆動力を制御する水平移動制御モードを実行する。
また、制御装置400は、制御指令が停止の指令である場合には、プローブ130の移動を停止させる(S106)。
また、制御装置400は、制御指令が荷重増の指令(第2制御指令)である場合には、プローブ130の荷重を増加させ(S107)、制御指令が荷重減の指令(第2制御指令)である場合には、プローブ130の荷重を減少させる(S108)。
制御装置400は、これらステップS104〜S108におけるマニピュレータ300の動作を、アクチュエータ111〜116の駆動力を制御することで行う。
そして、制御装置400は、制御指令を受信していない場合は(S103:No)、オフライン状態となり、ステップS100と同様、プローブ130における剛性を低下させる。
ここで所望のエコー画像のデータが撮れていれば、プローブ130を検体Bから離し終了し、またエコーゼリーが不足でエコー画像が不鮮明であれば、検体Bのそばにいる作業者がエコーゼリー追加等の対策を行って、ステップS100からリトライする。
以下、ステップS100からS108までの演算装置401における演算処理の動作について詳細に説明する。まず、ハンド200(プローブ130)の剛性の特性をコントロールする方法について簡単に説明する。図5は、図1のロボットアーム100をモデル化した模式図である。以下の説明では、重力及び摩擦等の影響は無視する。また、v−h軸をx−y軸とし、リンク101のリンク長をl1、リンク102のリンク長をl2とする。
アクチュエータ111は駆動力ue1 *、アクチュエータ112は駆動力uf1 *、アクチュエータ113は駆動力ue2 *、アクチュエータ114は駆動力uf2 *、アクチュエータ115は駆動力ue3 *、アクチュエータ116は駆動力uf3 *を発生する。また、関節J1まわりのトルクをT1、関節J2まわりのトルクをT2とし、リンク101とx軸とのなす角をθ1、リンク101とリンク102とのなす角をθ2とする。さらに、関節J1と関節J2のモーメントアームをrとする。
アクチュエータ111〜116は、筋の粘弾性モデルで表すことができる。McKibben型の空気圧アクチュエータは、筋の粘弾性モデルを具現化するものの代表である。
図6は、筋の粘弾性モデルを示す模式図である。この筋の粘弾性モデルでは、バネ成分及びダンパ成分を持ったアクチュエータとして表わされ、出力Fは、以下のように数式化されることが知られている。
バネ成分、ダンパ成分の係数は、筋肉の収縮力uに比例する関数として表され、uの設定がモデルのアクチュエータの剛性設定となる。比例定数はそれぞれk,b、xは自然長からの変位である。
周知のように、手先(ハンド200、即ちプローブ130)での剛性は、一般に、微小外力ΔFx,ΔFyによるリンク102の先端の微小変位をΔxt,Δytとすると、
ステップS100では、制御装置400は、v軸方向に相当するx軸方向及びh軸方向に相当するy軸方向ともに剛性が低い状態に設定する。
ステップS102では、制御装置400は、水平方向であるy軸方向の第1剛性値βを高剛性とし、垂直方向であるx軸方向の第2剛性値αを低剛性に設定する。具体的には、図5の水平方向であるy軸方向をスティフネス楕円の長軸、垂直方向であるx軸方向をスティフネス楕円の短軸に設定する。即ち、x−y軸に平行なスティフネス楕円が望まれ、
スティフネス楕円の軸長が2α,2βであり、以下の式(5)に表される。
従って、スティフネス楕円は、図5中のリンク102の先端の楕円のようになる。
次に、各アクチュエータ111〜116の収縮力指令値ue1,uf1,ue2,uf2,ue3,uf3の各拮抗対に対応する和をU1,U2,U3とする。即ち、ue1+uf1=U1,ue2+uf2=U2,ue3+uf3=U3とする。各和U1,U2,U3を制御することにより、手先の剛性を制御できる。
即ち、微小な外力ΔFx,ΔFyによる関節J1,J2の微小な回転角度をΔθ1,Δθ2とすると、アクチュエータ111〜116は、筋の弾性力によりリンク101,102に微小なトルクΔTp1,ΔTp2を発生させる。回転角度Δθ1,Δθ2とトルクΔTp1,ΔTp2との間には、以下の式(6)及び式(7)の関係が成り立つ。
式(6)及び式(7)から判るように、U1+U3,U2+U3,U3を大きく設定すると、各関節J1,J2での剛性は高まる。
そして、式(5)より、U1+U3,U2+U3,U3を大きく設定すると、α,βも大きくなることが判る。
そこで、図5に示すロボットアーム100にθ1,θ2のヤコビ行列
従って、所望の剛性値α,βと、与えられたリンク長l1,l2、角度θ1,θ2、アクチュエータのバネ定数k、関節J1,J2のモーメントアームrに対して、式(13)の連立方程式を解くことで、U1,U2,U3の値が得られる。
ここで、例を示す。l1=0.6[m]、l2=0.8[m]、k=3、r=0.1[m]とする。case1として、θ1=50[°]、θ2=80[°]とする。case2として、θ1=60[°]、θ2=90[°]とする。case3として、θ1=70[°]、θ2=100[°]とする。
各case1,2,3に関して、α=βのときのU1を1として、αβ一定の下、α/β、即ち楕円率をパラメータとしてグラフ化したものを図7に示す。図7は、スティフネス楕円の楕円率と相対的発生力U1,U2,U3との関係を示すグラフである。図7(a)はcase1を、図7(b)はcase2を、図7(c)はcase3を表している。図7より、U1を大きくし、且つU2を小さくすると、α/βを大きくでき、U1を小さくし、且つU2を大きくすると、α/βを小さくできることがわかる。
ここで、α/βの比を変えなければ、U1,U2,U3の大小関係及び比率は変わらず、U1,U2,U3は、α/β一定下でのα,βに比例する。このように、所定の条件下で、所望の剛性値α,βが決まれば、U1,U2,U3は、一意的に決められることがわかる。
従って、ステップS100では、α/βが1程度でかつ小さな円になるように設定し剛性を緩和する。ステップS102では、α/βが小さく変化するように設定し、検体Bの表面に対して平行方向の剛性を増加する。
ここで、U1,U2,U3は収縮力の和を示しているので、McKibben型空気圧アクチュエータのように伸長力が無い場合、U1,U2,U3は負の値を採らない。
よって、本実施形態のようにMcKibben型空気圧アクチュエータを使う場合、ステップS100ではU1→+0(非負のゼロに近い値)となる(U1,U2,U3)のセットを収縮力指令値とする。ステップS104〜S108ではU2→+0(非負のゼロに近い値)となる(U1,U2,U3)のセットを収縮力指令値とする。
以上のようにして、U1,U2,U3を決めることが、各拮抗対としてのアクチュエータ111とアクチュエータ112、アクチュエータ113とアクチュエータ114、アクチュエータ115とアクチュエータ116の剛性を決めることになる。この(U1,U2,U3)のセットにより手先(リンク102の先端)での剛性の特性が決定する。
次に、手先(リンク102の先端)の出力と変位について簡単に説明する。
現在位置を基準とした目標変位をΔx,Δyとすると、対応する関節J1,J2の各々の回転変位をδθ1,δθ2として、その関係は、式(9)と同等に考えられて、以下のように変換される。
従って、(θ1,θ2)→(θ1+δθ1,θ2+δθ2)と変化して、新たな目標回転変位として、関節J1,J2の各エンコーダ値をモニタしながら、関節J1,J2へのトルク印加により、位置制御する。すると、現在位置を基準とした目標変位Δx,Δyへと到達する。
そして、その結果のトルクを(T1,T2)に関して、図5のようなモデルの場合、以下のように表せることが知られている(粘性項は省略)。
ここで、0以上1以下の実数ε1,ε2,ε3を用いて
しかし、上述したように、所望の剛性値α,βと、目標の角度θ1,θ2より、U1,U2,U3の値が得られる。ゆえに例えば、垂直方向荷重重力拮抗で水平方向移動無し(図4のS100状態)の条件下で位置制御(回転変位)することにより、制御結果として、ε1,ε2,ε3が決定される。他にも所定の垂直方向荷重で水平方向移動無し(図4のS101状態)、所定の垂直方向荷重で水平順方向へ移動(図4のS103状態)等々も同様である。位置制御に関しては一般的なロボット運動学なのでここでは割愛する。
ここで、式(5)が成り立つ場合、手先での発生力をΔFx,ΔFyとすると、以下の式(18)が成り立つことが確認されている。
従って、微小目標変位を与えることにより微小力を発生でき、しかも、力の方向と変位の方向を揃えることができる。即ち、例えばΔxを与え続けることにより、ΔFxを加え続けることができる。
以上の原理に基づくことで、演算装置401は、所望の剛性値α,βと、目標の角度θ1,θ2により、U1,U2,U3の値を求め、ロボット運動学による位置制御(回転位置)の過程で、ε1,ε2,ε3を決定する。その結果として、演算装置401は、各アクチュエータ111〜116への収縮力指令値ue1,uf1,ue2,uf2,ue3,uf3を決定する。
即ち、演算装置401は、各関節J1,J2に組み込まれたロータリーエンコーダの出力から、固定リンク103基準でリンク101の角度と、リンク101とリンク102の相対角度を取得する。そして、演算装置401は、既知のリンク101,102のリンク長、関節J1,J2のモーメントアーム値を用いて、所望の剛性値α、βから各拮抗対のアクチュエータの収縮力指令値の和を決定する。また、演算装置401は、微小目標変位への位置制御により収縮力指令値の差(トルク)を決定し、結果として、各アクチュエータ111〜116の発生力指令値を決定する。そして、演算装置401は、モデルの手先に相当するハンド200(プローブ130)での剛性の特性と励起される力の方向と大きさを決定する。以上の概念に従って、図4に示した遠隔診断フローが実行される。
以上、本実施形態によれば、力センサが不要で低コスト化を実現することができ、検体Bに対してはプローブ130を柔軟に接触させつつも安定してプローブ130を検体Bの表面に沿ってなぞることができ、安定した遠隔診察が可能となる。
なお、式(1)で近似され、伸長力も発生するアクチュエータが使用できる場合、U1,U2,U3は負の値も採れるので、α/βの大小がより明瞭となり、所定方向以外の剛性を上げられるで、より外乱等に強い安定した医療ロボット装置を実現できる。
そのようなアクチュエータのモデルとしては、図8に示すようなものが考えられる。駆動源41は、モータ、減速機等からなる。駆動源41の駆動量をL、直列のバネ要素のバネ係数kとすると、
バネ係数が、uに依存するものとし、Fは出力端からの出力、xを出力端の変位として
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
上記実施形態では、医療用器具が超音波プローブ130である場合について説明したが、これに限定するものではなく、検体の表面に対してなぞって診察や医療行為を行う医療用器具であれば、本発明は適用可能である。
101…リンク(第1リンク)、102…リンク(第2リンク)、103…固定リンク、111…アクチュエータ(第1アクチュエータ)、112…アクチュエータ(第2アクチュエータ)、113…アクチュエータ(第3アクチュエータ)、114…アクチュエータ(第4アクチュエータ)、115…アクチュエータ(第5アクチュエータ)、116…アクチュエータ(第6アクチュエータ)、130…プローブ(医療用器具)、400…制御装置(制御部)、500…操作装置(操作部)、600…医療用ロボット装置、B…検体、J1…関節(第1関節)、J2…関節(第2関節)
Claims (4)
- 固定リンクと、
前記固定リンクに第1関節で連結された第1リンクと、
前記第1リンクに第2関節で連結された第2リンクと、
前記第1リンクを前記第1関節まわりに第1旋回方向に駆動可能な第1アクチュエータと、
前記第1リンクを前記第1関節まわりに前記第1旋回方向に対して反対の第2旋回方向に駆動可能な第2アクチュエータと、
前記第2リンクを前記第2関節まわりに前記第1旋回方向に駆動可能な第3アクチュエータと、
前記第2リンクを前記第2関節まわりに前記第2旋回方向に駆動可能な第4アクチュエータと、
前記第1及び第2リンクを同時に前記第1及び第2関節まわりに前記第1旋回方向に駆動可能な第5アクチュエータと、
前記第1及び第2リンクを同時に前記第1及び第2関節まわりに前記第2旋回方向に駆動可能な第6アクチュエータと、
前記第2リンクの先端が検体の表面に対して水平方向に移動するよう前記第1、第2、第3、第4、第5及び第6アクチュエータの駆動力を制御する水平移動制御モードを実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記水平移動制御モードを実行する際に、前記第2リンクの先端に対して位置決め支持された医療用器具における剛性が、前記検体の表面に対して水平方向を第1剛性値とし、且つ前記検体の表面に対して垂直方向を前記第1剛性値よりも低い第2剛性値とする状態を維持するように、前記第1、第2、第3、第4、第5及び第6アクチュエータの駆動力を制御することを特徴とする医療用ロボット装置。 - 前記第2リンクの先端に第3関節で連結され、前記医療用器具を把持するハンドと、
前記第3関節を前記第1旋回方向及び前記第2旋回方向に駆動する第7アクチュエータと、を備え、
前記制御部は、前記水平移動制御モードを実行する際に、前記医療用器具が前記検体の表面に対して垂直な状態を維持するように前記第7アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする請求項1に記載の医療用ロボット装置。 - 操作者の操作に応じて制御指令を前記制御部に送信する操作部を備え、
前記操作部は、前記制御指令として前記水平移動制御モードの実行を指令する第1制御指令を前記制御部に送信する操作を受付可能に構成され、
前記制御部は、前記第1制御指令を受信したときに前記水平移動制御モードを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用ロボット装置。 - 前記操作部は、前記制御指令として前記検体の表面に対する前記医療用器具の前記垂直方向の荷重の変更を指令する第2制御指令を前記制御部に送信する操作を受付可能に構成され、
前記制御部は、前記第2制御指令を受信したときに前記荷重を変更するように、前記第1、第2、第3、第4、第5及び第6アクチュエータの駆動力を制御することを特徴とする請求項3に記載の医療用ロボット装置。
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2012
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