JP2014100141A - 多能性幹細胞培養方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヒトES/iPS細胞を、ヒトFGFCを有効成分として含むヒトES/iPS細胞増殖用培地を用いることで、その未分化性を維持しながら、嗅覚又は味覚受容体への分化指向性を付与する。また、ヒトFGFCを有効成分として含むヒトES/iPS細胞増殖培地と共に、未分化マーカー検出のための蛍光標識rBC2LCNレクチン、及び望みの分化指向性に対応した遺伝子発現を検出可能な抗体又は核酸を組み合わせることで、ヒトES/iPS細胞に対して、未分化性を維持しながら、多様な分化指向性を付与するためのヒトES/iPS細胞培養用キットが提供できた。
【選択図】なし
Description
2010年に世界で初めてのヒトES細胞を用いた第1相臨床試験が米国で急性脊髄損傷に対して始まり、2011年には網膜変性疾患に対するヒトES細胞を用いた臨床研究の成果が発表される(非特許文献1)など、ヒトES/iPS細胞を用いた再生医療研究は飛躍的な発展を続けている。
とりわけ、日本発の新たなヒト多能性幹細胞であるiPS細胞は、受精胚を使用しないなどの理由から倫理的な障壁が低く、且つ自家組織からも樹立できるという極めて大きなメリットがあり、再生医療現場からも大きな期待を集めている。我が国では、理化学研究所 発生・再生科学総合研究センターや先端医療センターなどが、加齢黄斑変性症の患者を対象に、iPS細胞を使った臨床研究を2013年度から開始する計画であり、慶応大学も2016年に脊髄損傷患者に対しての臨床研究を始める方針である。
このように、ES/iPS細胞の臨床応用が開始されるなか、品質と安全性を確保して細胞を供給する体制に関しては十分に整備がなされていない。
ES/iPS細胞の未分化性、分化能、増殖能などの品質には、培養条件、保存条件などが影響を与える。このため適切な方法に基づかずに管理されたES/iPS細胞は、生産者や使用者ごとに違った品質になる可能性がある。このことは、幹細胞治療の信頼性の低下、治療による健康被害の発生などの弊害を及ぼす原因となる。そのため、信頼性や再現性の高い維持培養法が必要である。
一方、同じく多能性幹細胞である体性幹細胞の種類や特性は、ES/iPS細胞と比べて多種多様ではあるが、臨床への適用が既存技術として存在する。しかしながら、移植に適した品質の細胞を安定的に得ることが容易ではないため、安定的な培養方法の確立はきわめて重要な課題となっている。
現在、ES/iPS細胞を培養する場合には、未分化性維持および細胞増殖の目的で、FGF2または、FGF2の断片、誘導体、改変体、相同体、類似体(以下、改変体等とよぶ)を添加して培養するのが一般的である。また体性幹細胞に対しても、FGF2は増殖剤として有効性が認められている(非特許文献2)。FGF2は、FGF1と同様にFGFファミリーに属する繊維芽細胞成長因子であり、FGF1と同様、多くの細胞に増殖や遊走を引き起こす性質などFGF1と共通の性質を多く有しているが、FGF1がヘパリンの存在下で初めてその完全な生物活性を発揮し得るのに対し、FGF2はヘパリン非依存性であるため細胞への安全性が高いことから、広くFGF2医薬組成物としての検討も進んでいる。
一方で、FGF2タンパク質は、タンパク質分解酵素で分解されやすく、室温から体温程度の温度に相当する約20〜40℃の温度領域での安定性が低いため、培養添加剤として培地に投与した際に培養細胞への増殖活性が速やかに失われるという問題点や、保存容器の壁面に吸着しやすく凝集体を形成しやすいため、培養液中からFGF2タンパク質が消滅しやすいと言う問題点があり、有用な増殖活性が不安定であって培養添加剤としての改良が求められていた。
本発明者らは、以前に細胞増殖活性及びヘパリン非依存性などFGF2活性としての利点を失うことなく、それら性質の安定性も向上したFGF2代替医薬組成物として、FGF1の特定の一部領域を、FGF2の対応する領域に置換したキメラタンパク質FGFCを有効成分とする創傷治癒促進又は放射線障害の予防治療用などのFGF2代替医薬組成物を開発した(特許文献2)が、その際、当該FGFCが腸管上皮幹細胞に対する増殖促進作用を有することを見出していた(非特許文献11)。
このように、FGFCタンパク質に対しては、腸管上皮幹細胞のみならず、幹細胞一般についても増殖促進作用を有することが期待されることから、FGF2に代替可能な幹細胞増殖促進用培地成分としての期待も高まっていた。
しかし、ヒトES/iPS細胞株の培地成分としてFGFCタンパク質を実際に用いた例はなく、実際にヒトES/iPS細胞本来の未分化性及び多能性を維持したまま安定して培養可能であるか否かは不明であった。
さらに、ヒトES/iPS細胞株の性質は、未分化状態であると判定された細胞株の中でも、何に分化しやすいかという「分化指向性」等の性質が細胞株ごとに異なることが知られており、また、従来のFGF2もしくはその改変体含有培地で長期に亘って培養された場合に、望みの分化指向性からどんどん遠ざかってしまう場合もあり、臨床応用にあたっては、この分化指向性が結果に大きく影響することが懸念されている。特に、ES/iPS細胞による再生治療では、目的の細胞や臓器に効率的に分化しやすい細胞株を選ぶことが好ましいため、未分化状態を維持しつつ、「分化指向性」に多様性のあるヒトES/iPS細胞を提供することが切望されていた。
しかしながら、ES/iPS細胞の細胞株間の「分化指向性」も含めた性質の差を見分けられるようなバイオマーカーはほとんど報告されていないため、現状では、目的の細胞や臓器に効率的に分化しやすい細胞株を選ぶことは困難である。
これらの問題を解決するためには、ES/iPS細胞株の未分化性を維持しつつ、「分化指向性」に積極的に多様性を与えるような培養添加剤や培養液の開発とあわせて、それぞれのES/iPS細胞株の「分化指向性」を正確に判定するためのバイオマーカーの開発も必要である。
したがって、「分化指向性」に多様性を付加できる培養添加剤又は培養液と、ES/iPS細胞株の「分化指向性」を判定可能なバイオマーカーとを組み合わせた、「分化指向性」を一定に制御できるES/iPS細胞培養法の確立が望まれていた。
本発明者らは、当該FGFCを、多能性幹細胞であるヒトES/iPS細胞の増殖促進のための培養添加物として用いたところ、FGF2と同様に未分化能を維持したまま、ヒトES/iPS細胞の増殖促進能を発揮することがわかった。そして、本発明者らが以前に開発したES/iPS細胞株の未分化性を正確に判定するためのバイオマーカー(特願2012−041418)と共に、「分化指向性」を予測するための各種バイオマーカーとを組み合わせたバイオマーカーセットにより、培養後のES細胞株の未分化性及び分化指向性を測定したところ、驚くべきことに、完全に未分化性を維持し、しかも「嗅覚又は味覚受容体分化指向性」がコントロールのFGF2を培養添加物として用いた場合のES/iPS細胞株と異なっていた。このことから、分化指向性に変化を与える特性は、FGFC特異的な性質であることがわかった。
このような知見を得たことで、本発明を完成するに至った。
〔1〕 ヒトES/iPS細胞の未分化能を維持しつつ、かつ分化指向性に多様性が付与されたヒトES/iPS細胞の製造方法であって、
ヒトES/iPS細胞を、ヒト由来FGFCを有効成分として含むヒトES/iPS細胞増殖用培地を用いて培養することを特徴とする、製造方法。
〔2〕 前記ヒトFGFCが、以下の(1)〜(3)のいずれかのアミノ酸配列からなるポリペプチドである、前記〔1〕に記載の製造方法;
(1)配列番号1もしくは配列番号2に示されるアミノ酸配列、
(2)配列番号1もしくは配列番号2に示されるアミノ酸配列のN末端から1〜21アミノ酸のいずれかの部分配列が削除されたアミノ酸配列、又は当該部分配列を削除したN末端にMet(M)もしくはMetAla(MA)を付加したアミノ酸配列、
(3)前記(1)または(2)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたアミノ酸配列であって、かつ配列番号1もしくは2における83位の位置のアミノ酸のAsp(D)が保持されているアミノ酸配列。
〔3〕 前記製造方法において、培養中のヒトES/iPS細胞に対して蛍光標識rBC2LCNレクチンを未分化マーカーとして用い、ヒトES/iPS細胞の未分化能が維持されていることを確認する工程を含むことを特徴とする、前記〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕 さらに、望みの分化指向性に対応した遺伝子発現を検出する工程を含むことを特徴とする、前記〔3〕に記載の製造方法。
〔5〕 ヒトES/iPS細胞に対して、未分化能を維持しつつ増殖を促進し、かつ分化指向性に多様性を付与するための方法であって、
ヒトES/iPS細胞を、FGFCを有効成分として含むヒトES/iPS細胞増殖用培地を用いて培養することを特徴とする、方法。
〔6〕 ヒトES/iPS細胞増殖用培地が、有効成分としてさらにFGF2を含むことを特徴とする、前記〔5〕に記載の方法。
〔7〕 前記FGFCが、以下の(1)〜(3)のいずれかのアミノ酸配列からなるポリペプチドである、前記〔5〕又は〔6〕に記載の方法;
(1)配列番号1もしくは配列番号2に示されるアミノ酸配列、
(2)配列番号1もしくは配列番号2に示されるアミノ酸配列のN末端から1〜21アミノ酸のいずれかの部分配列が削除されたアミノ酸配列、又は当該部分配列を削除したN末端にMet(M)もしくはMetAla(MA)を付加したアミノ酸配列、
(3)前記(1)または(2)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたアミノ酸配列であって、かつ配列番号1もしくは2における83位の位置のアミノ酸のAsp(D)が保持されているアミノ酸配列。
〔8〕 前記方法において、培養中のヒトES/iPS細胞に対して蛍光標識rBC2LCNレクチンを未分化マーカーとして用い、ヒトES/iPS細胞の未分化能が維持されていることを確認する工程を含むことを特徴とする、前記〔5〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕 さらに、望みの分化指向性に対応した遺伝子の発現を検出する工程を含むことを特徴とする、前記〔8〕に記載の方法。
〔10〕 FGFC、又はFGFCと共にFGF2を有効成分として含むことを特徴とするヒトES/iPS細胞増殖用培地であって、前記〔5〕〜〔9〕のいずれかに記載の方法に用いるためのヒトES/iPS細胞増殖用培地。
〔11〕 ヒトES/iPS細胞に対して未分化能を維持しつつ、分化指向性の多様性を付与するためのヒトES/iPS細胞増殖用キットであって、下記(1)及び(2)を含むキット;
(1)FGFCを有効成分として含むことを特徴とするヒトES/iPS細胞用培地、
(2)蛍光標識rBC2LCNレクチン。
〔12〕 ヒトES/iPS細胞が神経系細胞への分化指向性を獲得したか否かを判定するための試薬として、さらに下記(3)を含む前記〔11〕に記載のキット;
(3)嗅覚もしくは味覚受容体遺伝子発現を検出可能な抗体又は核酸。
さらに、本発明では、ES/iPS細胞株の未分化性を正確に判定するためのバイオマーカーと共に「分化指向性」を予測するための各種バイオマーカーとを組み合わせて用いることで、培養後のES/iPS細胞株の未分化性及び分化指向性が正確に判定できる。一定の「分化指向性」を持ったES/iPS細胞取得法を確立することができた。
(1−1)本発明のFGFCの構造上の特徴
本発明においてFGFCというとき、特許文献2で示されたFGFCと同様のFGF1/FGF2キメラ構造を有しており、そのアミノ酸配列は、FGF1タンパク質のアミノ酸配列において、41〜83位の配列のうち少なくとも62〜78位を含む部分配列が、FGF2タンパク質の対応する位置のアミノ酸配列に置換されており、他の領域はFGF1のアミノ酸配列から構成されている。すなわちFGF1及びFGF2をコードするcDNAをカセットフォーマットで作成した後、cDNA上でキメラを作成し、それを大腸菌、酵母、動物細胞などの発現系を用いて発現させることにより得ることができる。
また、特許文献2においては、FGFCとして、83位アミノ酸が、Lys(K)、Glu(E)及びAsp(D)の3通りの場合のキメラタンパク質が実際に製造されたが、特に83位アミノ酸がAsp(D)の場合が、各種FGF受容体刺激活性が高く、容器で保管する際の溶液濃度安定性、温度安定性、トリプシン分解抵抗性などの優れた性質を有することが観察されており、本発明のFGFCとしても、83位アミノ酸はAsp(D)であることが好ましい。
したがって、本発明において単に「FGFC」又は「ヒト由来FGFC」というとき、ヒト由来FGF1タンパク質のアミノ酸配列において、41〜83位の配列のうち少なくとも62〜78位を含む部分配列が、ヒトFGF2タンパク質の対応する位置のアミノ酸配列に置換されているヒト由来FGFCであり、かつ83位アミノ酸がAsp(D)である場合を指す。すなわち、請求項中の「ヒト由来FGFC」の用語は、「ヒト由来FGF1タンパク質のアミノ酸配列において、41〜83位の配列のうち少なくとも62〜78位を含む部分配列が、ヒトFGF2タンパク質の対応する位置のアミノ酸配列に置換されており、かつ83位アミノ酸がAsp(D)であるヒト由来FGFC」を指す。
そして、これらキメラタンパク質を作製する際に、FGF1cDNAの全長翻訳産物のN末端〜21位のアミノ酸は、動物組織からFGF1タンパク質抽出時に得られる短縮体アイソフォームと同様に、N末端の21アミノ酸を削除する方が、発現量が高く取り扱いやすい。そして、N末端側を大腸菌で生産する際の翻訳とメチオニンの翻訳後切断のためにMetAlaを付加するような改変も常套手段である。そしてこれらのN末端の違いによってFGF1としての活性に影響が無いことは、既に知られているので、本発明において「FGFC」というとき、N末端21アミノ酸を含む全長タイプ、削除した短縮体アイソフォーム及び当該短縮体N末端にMetAla(MA)を付加したトランケート体のいずれのタイプも包含される。ただし、大腸菌宿主での大量発現を意図する場合は、N末端を削除された短縮体又はそのN末端にMetAla(MA)を付加したトランケート体が、発現量が高く溶解性も高いために好ましい。特に83位がAsp(D)のタイプは、形質転換大腸菌を培養し、その菌体破砕物の可溶性画分から、簡単に活性体(封入体でなく正確にフォールディングされたもの)を単離精製できるので最も好ましい。
すなわち、本発明で用いられる典型的な「FGFC」は、以下の(1)〜(3)のいずれかのアミノ酸配列からなるポリペプチドとして表現することもできる。
(1)配列番号1もしくは配列番号2に示されるアミノ酸配列、
(2)配列番号1もしくは配列番号2に示されるアミノ酸配列のN末端から1〜21アミノ酸のいずれかの部分配列が削除されたアミノ酸配列、又は当該部分配列を削除したN末端にMet(M)もしくはMetAla(MA)を付加したアミノ酸配列、
(3)前記(1)または(2)のいずれかのアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたアミノ酸配列であって、かつ配列番号1もしくは2における83位の位置のアミノ酸のAsp(D)が保持されているアミノ酸配列。
本発明の実施例1〜2で用いたFGFCは、FGFC1(配列番号1)のN末端から21アミノ酸の部分配列を削除したN末端にMetAla(MA)を付加したアミノ酸配列である。
本発明では、FGFCを、当該FGFCの有する下記の性質上の特徴を利用し、多能性幹細胞であるES/iPS細胞の性質の維持と増殖促進及び一定の分化指向性を制御可能な培養添加物として用いる。
(1)FGF受容体の全てのサブタイプを刺激する(FGF1と類似)。その結果、FGF2が刺激することができないシグナルパスウェイも刺激することができる。
(2)ヘパリンに依存せずに高活性を発揮できる(FGF2と類似)。
(3)培養容器、保存容器の器壁などへの吸着性が低い。(FGF1とFGF2は高吸着性)
(4)室温〜体温(約20〜40℃)における活性の安定性が高い(FGF1とFGF2は低安定性)
(5)トリプシン分解に対する抵抗性が高い(FGF1とFGF2は易分解性)
さらに、FGFCは、室温〜体温(約20〜40℃)の温度条件下での安定性が高く、しかも37℃下でのタンパク質分解酵素耐性が高いので、高活性を実現できる。すなわち多様な生体細胞や他の培地成分に含まれるタンパク質分解酵素による不活性化の影響を最小限にすることが出来る。
また、FGFCは、培養液組成物を容器に保存した場合の濃度が低下しにくい、という優れた特性を有しているため、安定した高活性の培養液組成物が提供できる。
本発明のFGFCとしては、上述のように、(非特許文献3、特許文献1)において開示されたFGF-C(1211)又はFGF-C(1(1/2)11)の製造用オリゴヌクレオチドを用いて、(非特許文献4)の手法を適用することもできるが、本発明においては、特許文献2に記載の方法に従って調製した。具体的には、以下の通りである。
(a)FGF1およびFGF2cDNA、あるいはこれらの人工的な一部改変物について、一方のFGF-cDNAより適当な制限酵素を用いてDNA断片を切り出し、あるいはPCRなどの方法によって新規にDNA断片を作成した後、制限酵素末端を切り出し、他方のFGF-cDNAの適当な部位にDNAリガーゼを用いて結合させればよい。この場合、読み取り枠を合わせるためにオリゴヌクレオチドを挿入したり、同じ制限酵素部位を作るために一部の塩基配列を改変したりしてもよい。
(b)一方のFGF-cDNAより適当な制限酵素を用いてDNA断片を切り出し、これを他方のcDNAの相同部位を同じ制限酵素で切断した部位にDNAリガーゼを用いて結合させることができる。すなわち、アミノ酸相同性でFGF1とFGF2の配列を並べた場合に相当する領域をコードするDNA断片を入れ換えることになる。制限酵素として、1種あるいは2種以上の制限酵素が用いられる。PCRによる部位特異的変異処理についての基本的な操作は発明者らの既に発表した方法による[Imamura,T.et al.,Science 249,1567-1570 (1990)]。
プラスミドに組み込む方法としては、例えばT.Maniatisら、Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory,p.239 (1982)に記載の方法などが挙げられる。
クローン化された遺伝子は、発現に適したベクター中のプロモーターの下流に連結して発現型ベクターを得ることができる。ベクターとしては、上記の大腸菌由来のプラスミド(pBR322、pBR325、pUC12、pUC13、pET-3)、枯草菌由来のプラスミド(pUB110、pTP5、pC194)、酵母由来のプラスミド(pSH19、pSH15)由来のプラスミド、あるいはλファージなどのバクテリオファージやこの誘導体およびレトロウイルス、ワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、あるいは昆虫ウイルスなどが挙げられる。
形質転換体を培養する場合、培養に使用される培養液としては、一般的に用いられているDulbecco's MEMに動物血清を加えたものなどを用いることができるが、再生治療に供する際には、動物由来血清フリーの培養液で培養することが好ましい。その際の培養条件としては、例えば、約32〜37℃で、5%CO2、100%湿度の条件で約24時間〜2週間培養する。必要により気相の条件を変えたり攪拌を加えたりすることができる。
上記上澄み液からFGFCを精製するには、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行うことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析、溶媒沈殿、透析、限外濾過、ゲル濾過、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、等電点電気泳動などが使用されうる。さらに、多くのFGFCについては、ヘパリンセファロースを担体としたアフィニティークロマトグラフィー法が適用できる。
また、ES/iPS細胞の「分化指向性」のバリエーションを豊富化させるために、従来から広く用いられていたFGF2(もしくはその改変体)含有培養液において、FGF2(もしくはその改変体)の全部もしくは1部をFGFCに代替して調整することができる。市販されているFGF2(もしくはその改変体)含有培養液を用いる場合は、当該培養液に対してFGFCを添加しても良い。FGF2とFGFCとの配合比率は、望みの分化指向性にあわせて任意の配合割合で調整することができる。このように、FGFCは、FGF2と様々な割合で配合することで未分化性維持活性が保持され、かつそれぞれにES/iPS細胞に対して異なる分化指向性を付与する培養液が調整できることから、長期培養(具体的には、40〜60日程度の培養)によってES/iPS細胞に多様な分化傾向を持たせることができた。すなわち、FGFCを配合することによって、ES/iPS細胞に対する望みの「分化指向性」を付与できる培養液を調整できる可能性が高まったといえる。
ES/iPS細胞の培養方法としては、培養容器内での接着細胞培養法が一般的に用いられる。接着培養に際しては、フィーダー細胞や細胞外基質抽出物等のコート剤でコートした、もしくは無コートのプラスチックディッシュにES/iPS細胞を接着させる場合、及びビーズ表面などに接着して培養容器内に浮遊させる場合がある。また、培養液中にES/iPS細胞を懸濁して直接浮遊させる浮遊細胞培養法もありうる。
培養に使用される培養液としては、一般的に用いられているDulbecco's MEMに動物血清を加えたものなどを用いることができるが、再生治療に供する際には、血清フリーの人工合成血清で培養することが好ましい。その際の培養条件としては、例えば、約32〜37℃で、5%CO2、100%湿度の条件で約24時間〜2週間培養する。必要により気相の条件を変えたり攪拌を加えたりすることができる。
上記FGFCを、溶液中のES/iPS細胞に供給する方法は、培養容器内で基材に接着した状態で幹細胞を培養している場合は、当該FGFCをその表面を覆っている溶液中に供給すれば、フィーダー細胞等の存在非存在には影響されずに、幹細胞に供給される。また、懸濁状態で培養している場合であっても、溶液中に当該FGFCを供給すれば、幹細胞に供給できる。また、必要に応じ、培養液、緩衝液、生理食塩水等で液交換をすることで簡単にFGFCをとりのぞくことができる。
また、FGFCは、FGF1やFGF2に比べてタンパク質分解酵素に対する抵抗性が高い。このため、生体内で速やかに分解されて失活してしまうFGF1やFGF2に比べて、添加時の有効濃度が長時間維持されることになり、添加時にはより低濃度でも同等の活性を発揮することが期待できる。
また、FGFCは、溶液を容器に保存した場合の濃度が低下しにくい、という優れた医薬製剤特性を有しているため、安定した高活性の培養液組成物が提供できる。
本発明者らは、以前、レクチンマイクロアレイを用いて、5種類の異なる体細胞(皮膚、胎児肺、子宮内膜、胎盤動脈、羊膜)から作製したヒトiPS細胞(114検体)と、ヒトES細胞(9検体)の糖鎖プロファイルを網羅的に解析した。その結果、元の体細胞が組織毎に異なる糖鎖プロファイルを持っていたにもかかわらず、作製されたiPS細胞は、いずれもほぼ同じ糖鎖プロファイルを示し、初期化遺伝子の導入により一様にES細胞と類似の糖鎖構造に収束化することを見出した。ヒトES・iPS細胞とヒト体細胞とのレクチンアレイデータを詳細に解析した結果によると、未分化のヒトES・iPS細胞では、体細胞と比較してα2-6Sia、α1-2Fuc、タイプ1 LacNAcの発現量が顕著に増加していることが推定されたため、その点をさらに、DNAアレイを用いた糖転移酵素遺伝子の発現解析を用いた方法によって当該推定を裏付けた(非特許文献5)。本発明者らの開発したrBC2LCNレクチン(YP_002232818)を形質転換大腸菌で発現させた組換え体であり、複合糖鎖の非還元末端の「Fucα1-2Galβ1-3GlcNAc」並びに、「Fucα1-2Galβ1-3GlcNAc」糖を認識するレクチンである(非特許文献5,6)。
このように、本発明者らによって未分化幹細胞と分化細胞とを識別する未分化糖鎖マーカーとなる糖鎖構造を確定することに成功し、当該未分化幹細胞マーカーを正確に識別するためにrBC2LCNレクチンがきわめて有効である可能性が高いことも確認できた。
未分化状態を維持したES細胞やiPS細胞と強く反応した。また、レチノイン酸存在下で培養して分化させたES細胞やiPS細胞とは全く反応しなかったのに対して、レチノイン酸非存在下で未分化状態を維持したES細胞やiPS細胞とは特異的に強く反応した。rBC2LCNレクチンが、このようなリガンドへの強い特異性と共に強い親和性を兼ね備えていることは、従来のレクチンの常識を超えたものであり、発明者ら自身が予想もしなかった結果である。また、上記実験結果は、上記「Fucα1-2Galβ1-3GlcNAc/GalNAc」の未分化糖鎖マーカーが、未分化幹細胞の細胞表面には常に存在しているのに対し、分化誘導により分化が進行するにつれ減少して、完全に分化すると当該未分化糖鎖マーカーは消失してしまうことを示すものでもあり、蛍光標識化したrBC2LCNレクチンは、未分化幹細胞特異的に発現している「Fucα1-2Galβ1-3GlcNAc/GalNAc」糖鎖を検出するための優れた「未分化幹細胞特異的標識プローブ」として機能することが期待できる。本発明者らのさらなる実験により、当該蛍光標識rBC2LCNレクチンを「未分化幹細胞特異的標識プローブ」として用いた場合に、未分化幹細胞に対する染色性は均一で安定的、且つ再現性高く、バックグラウンドはほとんど観察されず、感度、特異性、細胞表面マーカーであること、など実用的に使用する場合に想定されるあらゆる性能において、従来用いられてきた未分化マーカー(SSEA4、Tra-1-60、Tra-1-81、Nanog、Oct3/4)に対する抗体を遥かに凌ぐものであったことが確認できた。
本発明者らはES細胞の代表例として、京都大学・中辻らによって樹立されたKhES1株を、またiPS細胞の代表例として京都大学・山中らによって樹立されたhiPS201B7株を用いた。それらの株をFGFC存在下、もしくはFGF2(bFGF)存在下で10継代培養し、凍結幹細胞ペレットを作製し、長期培養の結果、未分化状態が維持されているかの確認を行った。確認方法は以下の2つの方法を用いて行った。
(1)4.で述べたrBC2LCN染色及び、汎用的な未分化判別抗体(Nanog、Oct3/4、Tra-1-60、Tra-1-81、SSEA4)染色、アルカリホスファターゼ染色がされていることを確認した。
(2)DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析を行い、未分化マーカー(Nanog、TDGF、GABRB3、DNMT3B、GDF3、POU5F1、FGF4、GAL、LEFT1、IFITM1、NODAL、TERT、UTF1、FOXD3、LEFT2、LIN28A、LIN28B、GRB7、PODXL、CD9、BRIX1)の発現が維持されていることを検証した(非特許文献8)。
「分化指向性」判定用バイオマーカーに関しては、現在研究が世界中で急速に進められおり、未だ「分化指向性」を確実に判定可能な「分化指向性」判定用バイオマーカーの確立には至っていない。しかしながら、幹細胞を長く未分化状態を維持しながら培養している際に、その一部はエピジェネティックな修飾を受けた遺伝子発現としてわずかながら漏れ出ることが観察されており、幹細胞の「分化指向性」が各細胞種のマーカー遺伝子のエピジェネティックな修飾に規定されている旨の報告がなされている(非特許文献9)。
本発明者らは、網羅的な遺伝子の解析により、多能性未分化細胞が、FGFC含有培地と、同時に比較実験を行ったFGF2含有培地とでは、特定の遺伝子群に注目すると異なる発現パターンを示す作用を確認した。例えば、FGFC含有培地で培養したヒトES細胞(KhES1株)では、FGF2含有培地では見られなかった「嗅覚受容体遺伝子」「味覚受容体遺伝子」をわずかに発現していることが検出できた。一方、FGF2含有培地では、免疫応答遺伝子の発現性がわずかに高い。このES/iPS細胞に対する遺伝子発現の変化は、FGF2をFGFCに代替させたことによって引き起こされた「嗅覚受容体及び味覚受容体」が属する感覚神経系細胞への分化指向性の変化と考えられる。FGF2とは異なるタイプの分化指向性を与える作用は、本発明のFGFC含有培地に特異的な特性であるということができる。
すなわち、本発明において提供されるFGFC含有培地と蛍光標識rBC2LCNレクチンとを組み合わせたES/iPS細胞培養法及びそのための培養キットは、ES/iPS細胞株の未分化能が維持されていることをモニタリングしながらES/iPS細胞株を増殖させかつ、「分化指向性」に変化を与えるための培養法、及び培養キットである。
さらに、「嗅覚受容体遺伝子」や「味覚受容体遺伝子」といった神経系細胞マーカー遺伝子を組み合わせることによって、当該マーカー遺伝子の発現上昇を観察することで、培養後のES/iPS細胞株が、望み通りの神経系細胞への「分化指向性」を獲得したか否かを正確に判定することができるものである。
本発明のヒトES/iPS細胞に対して未分化能を維持しつつ、分化指向性に多様性を付与するためのキットは、少なくとも下記(1)及び(2)を含む。さらに、望みの「分化指向性」を獲得したか否かを判定するために、当該分化指向性に対応する遺伝子群を検出可能な抗体、核酸などの試薬を含めても良い。例えば、神経系細胞への分化指向性を付与させようという場合は、下記(1)〜(3)を含むことが好ましい。
(1)FGFCを有効成分として含むことを特徴とするヒトES/iPS細胞増殖用培地。
(2)蛍光標識rBC2LCNレクチン。
(3)嗅覚もしくは味覚受容体遺伝子発現を検出可能な抗体又は核酸。
ここで、嗅覚もしくは味覚受容体遺伝子発現を検出可能な抗体とは、具体的には、Anti-Olfactory Receptor OR6N1 pAb(MBL,LS-A3227)等があげられ、また、嗅覚もしくは味覚受容体遺伝子発現を検出可能な核酸とは、嗅覚もしくは味覚受容体遺伝子とハイブリダイズするプローブ又はこれら遺伝子を増幅可能なプライマーである。ヒト嗅覚もしくは味覚受容体遺伝子の遺伝子配列は、GenBank等公的核酸データベースから、例えばOlfactory Receptor OR1N2であれば、RefSeqがNM_001004457として取得できるので、適切なプローブ又はプライマーを合成可能である。
すなわち、ここで、「嗅覚もしくは味覚受容体遺伝子発現を検出可能な抗体又は核酸」は、神経系細胞への分化指向性を獲得したか否かを判定するためのバイオマーカーに相当する。
その他、各ES/iPS細胞株の「分化指向性」を判定するためのバイオマーカーとしては、外胚葉、中胚葉、内胚葉組織の各種分化マーカーが想定される。
本発明におけるその他の用語や概念は、当該分野において慣用的に使用される用語の意味に基づくものであり、本発明を実施するために使用する様々な技術は、特にその出典を明示した技術を除いては、公知の文献等に基づいて当業者であれば容易かつ確実に実施可能である。また、各種の分析などは、使用した分析機器又は試薬、キットの取り扱い説明書、カタログなどに記載の方法を準用して行った。
なお、本明細書中に引用した技術文献、特許公報及び特許出願明細書中の記載内容は、本発明の記載内容として参照されるものとする。
なお、本発明の各実施例で用いたFGFCキメラタンパク質は、本発明の典型的なキメラタンパク質のFGFC1(配列番号1)のN末端から21アミノ酸の部分配列を削除したN末端にMetAla(MA)を付加したアミノ酸配列である。
本実施例で用いたヒトES細胞(KhES1株)は京都大学再生医科学研究所から分譲を受けた。コントロールの細胞は、Suemoriらの手法(Suemori H,Yasuchika K,Hasegawa K,Fujioka T,Tsuneyoshi N,Nakatsuji N.(2006) Biochem Biophys Res Commun 345,926-932)の方法に従い培養した。FGF2を用いた通常の培養液(0.1mM 2-mercaptoethanol(Sigma)、MEM non-essential amino acids (Invitrogen)、5ng/ml recombinant human basic FGF (PeproTech)および20% KSR(Invitrogen)を添加した1:1 mixture of Dulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM) and Ham’s nutrient mixture F-12(Sigma))の中のrecombinant human basic FGF(PeproTech)(すなわち、FGF2)の代わりに、FGFCを終濃度5ng/mlとなるように添加した培養液を使用し、FGF2を用いた通常の培養液との比較培養を行った。
10継代の培養後、細胞は4%パラホルムアルデヒドで固定し、PBSで洗浄した後、未分化のES細胞の一般的な診断マーカーであるアルカリホスファターゼ染色法(AP)とrBC2LCN染色法及び抗体染色法を行い、FGF2を加えた培養液で培養した場合とFGFCを加えた培養液で培養した場合で、KhES1株の未分化性が維持されているかどうか確認した。rBC2LCN染色は、Cy3で直接標識したrBC2LCNを反応させ、蛍光顕微鏡により染色像を得た。抗体染色は、抗Nanog抗体、抗Oct3/4抗体、SSEA-4抗体、Tra-1-60抗体、Tra-1-81抗体を反応させた後、二次抗体であるanti-mouse IgM-Alexa488、anti-mouse IgG-Alexa488またはanti-rabbit IgG-Alexa594をさらに反応させ、蛍光顕微鏡により染色像を得た(図1)。
rBC2LCN染色、抗体染色とアルカリホスファターゼ染色(AP)は、FGF2を用いた通常の培養液で培養されたES細胞を強く染色した(図1A)。また、rBC2LCN染色、抗体染色とアルカリホスファターゼ染色(AP)は、FGFCを用いた培養液で培養されたES細胞も同様に強く染色した(図1B)。このことから、通常使用されている培養液中でFGFCキメラタンパク質はFGF2の代用としてヒトES細胞の未分化性マーカーの発現を維持する活性を発揮し機能すること、その強さはFGF2と同等であることが実証された。
本実施例で用いたヒトES細胞(KhES1株、KhES3株)は京都大学再生医科学研究所から分譲を受けた。実施例1と同じ方法で、KhES1株を、培養液中のFGF2の代わりに、FGFCキメラタンパク質を終濃度5ng/mlとなるように添加した培養液を使用し、FGF2を用いた通常の培養液との比較培養を行った。培養開始時(ES1_0)、FGFC添加培地で5継代培養時(ES1_FGFC_5)、FGFC添加培地で10継代(ES1_FGFC_10)、FGF2を用いた通常の培養液で5継代培養時(ES1_bFGF_5)、FGF2を用いた通常の培養液で10継代(ES1_bFGF_10)、FGF2を用いた通常の培養液で培養したKhES3細胞(ES3)から、RNAを抽出し、cDNAマイクロアレイ(SurePrint G3 Human GE マイクロアレイキット 8x60K(Agilent))で網羅的な遺伝子発現の解析を行った。マイクロアレイの結果からES細胞の未分化マーカー遺伝子の発現を解析し、遺伝子ごとの発現量をグラフで表示した(図2)。KhES3株の未分化マーカー遺伝子の発現と、KhES1株の5サンプルの未分化マーカー遺伝子の発現との相関と比較して、KhES1株のES1_0、ES1_FGFC_5、ES1_FGFC_10、ES1_bFGF_5、ES1_bFGF_10サンプルの未分化マーカー遺伝子の発現量には大きな差は見られなかった。
このことから、FGFCをFGF2の代用として添加した培養液は、通常使用されている培養液と比較して、未分化マーカー遺伝子の発現の変化を引き起こさず、ヒトES細胞の未分化性を維持しながら培養できることが実証された。
このことは、FGFCが、FGF2並びにFGF2改変体等を培養液組成物として使用する場合と比較して、ES細胞の未分化性をFGF2並びにFGF2改変体等と同等に維持する作用があり、その上、FGF2が付与する分化指向性とは異なる別の分化指向性を付与することができること、本実施例の場合は、「olfactory receptor activity(嗅覚受容体活性)」と「taste receptor activity(味覚受容体活性)」の性質を変化させ、ES細胞の持つ「分化指向性」を「嗅覚又は味覚受容体活性」という分化指向性にそろって変化させる作用があることが実証された。
本実施例で用いたヒトiPS細胞(hiPS201B7株、hiPS253G1株)は理化学研究所細胞バンクから分譲を受けた。実施例1と同じ方法で、hiPS201B7株を、培養液中のFGF2の代わりに、FGFCキメラタンパク質を終濃度10ng/mlとなるように添加した培養液を使用し、FGF2を用いた通常の培養液との比較培養を行った。培養開始時(201B7_0)、FGFC添加培地で5継代培養時(201B7_FGFC_5)、FGFC添加培地で10継代(201B7_FGFC_10)、FGF2を用いた通常の培養液で5継代培養時(201B7_bFGF_5)、FGF2を用いた通常の培養液で10継代(201B7_bFGF_10)、FGF2を用いた通常の培養液で培養したhiPS253G1細胞(253G1)から、RNAを抽出し、cDNAマイクロアレイ(SurePrint G3 Human GE マイクロアレイキット 8x60K(Agilent))で網羅的な遺伝子発現の解析を行った。マイクロアレイの結果からiPS細胞の未分化マーカー遺伝子の発現を解析し、遺伝子ごとの発現量をグラフで表示した(図3)。hiPS253G1株の未分化マーカー遺伝子の発現と、hiPS201B7株の5サンプルの未分化マーカー遺伝子の発現との相関と比較して、hiPS201B7株の201B7_0、201B7_FGFC_5、201B7_FGFC_10、201B7_bFGF_5、201B7_bFGF_10サンプルの未分化マーカー遺伝子の発現量には大きな差は見られなかった。
このことから、FGFCをFGF2の代用として添加した培養液は、通常使用されている培養液と比較して、未分化マーカー遺伝子の発現の変化を引き起こさず、ヒトiPS細胞の未分化性を維持しながら培養できることが実証された。
本実施例で用いたヒトES細胞(H1(WA01)株)はthe WiCell International Stem Cell (WISC) Bankから分譲を受けた。本実施例で用いたヒトiPS細胞(201B7株)は理化学研究所細胞バンクから分譲を受けた。コントロールの細胞は、the WiCell Research Institute(www.wicell.org)の方法に従い培養した。FGF2を用いた通常の培養液(Essential 6 Medium (life technologies)、2ng/ml TGF-beta 1 (R&D Systems)、100ng/ml of recombinant human basic FGF (PeproTech))の中のrecombinant human basic FGF (PeproTech)(すなわち、FGF2。bFGFともいう。)の代わりに、FGFCを終濃度100ng/mlとなるように添加した培養液を使用し、FGF2を用いた通常の培養液との比較培養を行った。
4日間の培養後、細胞は4%パラホルムアルデヒドで固定し、PBSで洗浄した後、未分化のES細胞の一般的な診断マーカーであるアルカリホスファターゼ染色法(AP)とBC2LCN染色法及び抗体染色法を行い、FGF2を加えた培養液で培養した場合とFGFCを加えた培養液で培養した場合で、H1(WA01)株および201B7株の未分化性が維持されているかどうか確認した。BC2LCN染色は、Cy3で直接標識したBC2LCNを反応させ、蛍光顕微鏡により染色像を得た。抗体染色は、抗Nanog抗体、抗Oct3/4抗体、SSEA-4抗体、Tra-1-60抗体、Tra-1-81抗体を反応させた後、二次抗体であるanti-mouse IgM-Alexa488、anti-mouse IgG-Alexa488またはanti-rabbit IgG-Alexa594をさらに反応させ、蛍光顕微鏡により染色像を得た(図5)。
BC2LCN染色、抗体染色とアルカリホスファターゼ染色(AP)は、FGF2を用いた通常の培養液で培養されたES細胞を強く染色した(図5A)。また、BC2LCN染色、抗体染色とアルカリホスファターゼ染色(AP)は、FGFCを用いた培養液で培養されたES細胞も同様に強く染色した(図5B)。さらにiPS細胞においても、BC2LCN染色、抗体染色とアルカリホスファターゼ染色(AP)は、FGF2を用いた通常の培養液で培養された細胞を強く染色した(図5C)。また、BC2LCN染色、抗体染色とアルカリホスファターゼ染色(AP)は、FGFCを用いた培養液で培養されたiPS細胞も同様に強く染色した(図5D)。このことから、通常使用されている培養液中でFGFCキメラタンパク質はFGF2の代用として、無フィーダー培養においても、ヒトES細胞およびヒトiPS細胞の未分化性マーカーの発現を維持する活性を発揮し機能すること、その強さはFGF2と同等であることが実証された。
本実施例で用いたヒトES細胞(H1(WA01)株)はthe WiCell International Stem Cell (WISC) Bankから分譲を受けた。本実施例で用いたヒトiPS細胞(201B7株)は理化学研究所細胞バンクから分譲を受けた。実施例1と同じ方法で、H1(WA01)株および201B7株を、培養液中のFGF2の代わりに、FGFCキメラタンパク質を終濃度100ng/mlとなるように添加した培養液を使用し、FGF2を用いた通常の培養液との比較培養を行った。FGFC添加培地で4日間培養時(ES_FGFC_4およびiPS_FGFC_4)、FGF2を用いた通常の培養液で4日間培養時(ES_bFGF_4およびiPS_bFGF_4)からRNAを抽出し、cDNAマイクロアレイ(SurePrint G3 Human GE マイクロアレイキット 8x60K (Agilent))で網羅的な遺伝子発現の解析を行った。マイクロアレイの結果からヒト全遺伝子の発現パターンの相関を、ES細胞およびiPS細胞それぞれのサンプル間で解析した。その結果、全遺伝子の発現量に関して、ES_FGFC_4とES_bFGF_4の間、およびiPS_FGFC_4とiPS_bFGF_4の間で殆ど差異はなかった(図6)。
このことから、このことは、FGFCが、FGF2並びにFGF2改変体等を培養液組成物として使用する場合と比較して、ES細胞およびiPS細胞の性質が変化しないことが示された。
本実施例で用いたヒトES細胞(H1(WA01)株)はthe WiCell International Stem Cell (WISC) Bankから分譲を受けた。ヒトES細胞(H1(WA01)株)細胞は、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター幹細胞研究支援・開発室のマトリゲルを用いた無フィーダー培養法(ヒト多能性幹細胞培養実習プロトコール(維持培養を中心とした導入講習用資料Web版)2010.9)に従い培養した。培養液(0.08mM 2-mercaptoethanol(Sigma)、MEM non-essential amino acids(Invitrogen)、2mM L-glutamine(Invitrogen)、および20% KSR(Invitrogen)を添加した1:1 mixture of Dulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM) and Ham’s nutrient mixture F-12(Sigma))で、マイトマイシンC処理したマウス胎児繊維芽細胞を一晩培養し、培養後の培養液を回収してフィルター滅菌したものに、recombinant human basic FGF (Wako)(すなわち、FGF2)の代わりに、FGFCを終濃度5ng/mlとなるように添加した培養液を使用し、FGF2を用いた通常の培養液との比較培養を行った。
10継代の培養後、細胞は4%パラホルムアルデヒドで固定し、PBSで洗浄した後、未分化のES細胞の一般的な診断マーカーであるアルカリホスファターゼ染色法(AP)とBC2LCN染色法及び抗体染色法を行い、FGF2を加えた培養液で培養した場合とFGFCを加えた培養液で培養した場合で、H1(WA01)株の未分化性が維持されているかどうか確認した。BC2LCN染色は、Cy3で直接標識したBC2LCNを反応させ、蛍光顕微鏡により染色像を得た。抗体染色は、抗Nanog抗体、抗Oct3/4抗体、SSEA-4抗体、Tra-1-60抗体、Tra-1-81抗体を反応させた後、二次抗体であるanti-mouse IgM-Alexa488、anti-mouse IgG-Alexa488またはanti-rabbit IgG-Alexa594をさらに反応させ、蛍光顕微鏡により染色像を得た(図7)。
BC2LCN染色、抗体染色とアルカリホスファターゼ染色(AP)は、FGF2を用いた通常の培養液で培養されたES細胞を強く染色した(図7A)。また、BC2LCN染色、抗体染色とアルカリホスファターゼ染色(AP)は、FGFCを用いた培養液で培養されたES細胞も同様に強く染色した(図7B)。このことから、通常使用されている培養液中でFGFCキメラタンパク質はFGF2の代用としてヒトES細胞の未分化性マーカーの発現を維持する活性を発揮し機能すること、その強さはFGF2と同等であることが実証された。
本実施例で用いたヒトES細胞(H1(WA01)株)はthe WiCell International Stem Cell (WISC) Bankから分譲を受けた。本実施例で用いたiPS細胞(253G1株)は理化学研究所バイオリソースセンターから分譲を受けた。ヒトES細胞(H1(WA01)株)は、実施例6と同じ方法で、H1(WA01)株を、培養液中のFGF2の代わりに、FGFCキメラタンパク質を終濃度5ng/mlとなるように添加した培養液を使用し、FGF2を用いた通常の培養液で培養したES細胞との胚葉体形成による多分化能比較解析を行った。
FGF2およびFGFCを用いた培養液で10継代の培養したヒトES細胞(H1(WA01)株)を用いて、胚葉体形成を行った。胚葉体形成は、Takahashiらの手法(Takahashi K, Tanabe K, Ohnuki M, Narita M, Ichisaka T, et al. (2007) Cell. 131:861-872)の方法に従い作製し、15日間浮遊培養した。胚葉体形成直前、FGFCを用いた通常の培養液で10継代培養時(ES_FGFC_10)、およびFGF2を用いた通常の培養液で10継代培養時(ES_bFGF_10)からRNAを抽出し、また、それぞれのES細胞を用いて胚葉体形成し15日間培養した胚葉体(ES_FGFC_EBおよびES_bFGF_EB)からRNAを抽出し、cDNAマイクロアレイ(SurePrint G3 Human GE マイクロアレイキット 8x60K (Agilent))で網羅的な遺伝子発現の解析を行った。
また、iPS細胞(253G1株)はヒト多能性幹細胞の遺伝子発現の比較対象として、Tatenoらの手法(Tateno H , Toyoda M , Saito S , Onuma Y , Ito Y , Hiemori K , Fukumura M , Matsushima A , Nakanishi M , Ohnuma K , Akutsu H , Umezawa A , Horimoto K , Hirabayashi J , Asashima M. (2011) J Biol Chem. 286, 20345-20353)により培養し、RNAを抽出し、cDNAマイクロアレイ(SurePrint G3 Human GE マイクロアレイキット 8x60K (Agilent))で網羅的な遺伝子発現の解析を行った(iPS)。
マイクロアレイの結果からヒト全遺伝子の発現パターンの相関を、胚葉体形成直前のそれぞれのサンプル間で解析した。その結果、ES_FGFC_10とES_bFGF_10のサンプル間で、全遺伝子の発現量に関して、殆ど差異はなかった(図8A)。
一方、分化指向性については、ES_FGFC_10の場合及びES_bFGF_10の場合では異なっていることが観察された。前者の場合は、感覚神経への指向性が検出された。後者の場合は、特に分化指向性が検出されなかった。
さらに、胚葉体のマイクロアレイの結果から、三胚葉の分化マーカー遺伝子(PAX6、KRT14、PPARG、GSC、SOX17、CDX2)の発現を解析し、遺伝子ごとの発現量をグラフで表示した(図8B)。その結果、ES_FGFC_EBとES_bFGF_EBサンプルの両方で、胚葉体形成直前のFGF2を用いた通常の培養液で10継代培養したES細胞(ES_bFGF_10)よりも、分化マーカー遺伝子の発現量が増加していた。このことは、FGFCを用いた培養液で培養されたES細胞も、通常のFGF2を用いた通常の培養液で培養されたES細胞と同様に、多分化能が維持できることを示す。しかもES_FGFC_EBとES_bFGF_EBサンプルを分化指向性という観点から比較したところ、ES_FGFC_EBにおいて、よりPax6、Dlx5、Dlx6といった感覚神経分化に関与する遺伝子が高発現しており、改めてFGFCを用いて培養したヒトES細胞(H1(WA01)株)は、感覚神経への分化指向性を獲得したことが示された。
このことから、FGFCをFGF2の代用として添加した培養液は、通常使用されている培養液と比較して、未分化マーカー遺伝子の発現の変化を引き起こさず、さらに、ヒトES細胞の多分化能を維持しながら培養できることが実証された。
Claims (12)
- ヒトES/iPS細胞の未分化能を維持しつつ、かつ分化指向性に多様性が付与されたヒトES/iPS細胞の製造方法であって、
ヒトES/iPS細胞を、ヒト由来FGFCを有効成分として含むヒトES/iPS細胞増殖用培地を用いて培養することを特徴とする、製造方法。 - 前記ヒトFGFCが、以下の(1)〜(3)のいずれかのアミノ酸配列からなるポリペプチドである、請求項1に記載の製造方法;
(1)配列番号1もしくは配列番号2に示されるアミノ酸配列、
(2)配列番号1もしくは配列番号2に示されるアミノ酸配列のN末端から1〜21アミノ酸のいずれかの部分配列が削除されたアミノ酸配列、又は当該部分配列を削除したN末端にMet(M)もしくはMetAla(MA)を付加したアミノ酸配列、
(3)前記(1)または(2)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたアミノ酸配列であって、かつ配列番号1もしくは2における83位の位置のアミノ酸のAsp(D)が保持されているアミノ酸配列。 - 前記製造方法において、培養中のヒトES/iPS細胞に対して蛍光標識rBC2LCNレクチンを未分化マーカーとして用い、ヒトES/iPS細胞の未分化能が維持されていることを確認する工程を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
- さらに、望みの分化指向性に対応した遺伝子発現を検出する工程を含むことを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
- ヒトES/iPS細胞に対して、未分化能を維持しつつ増殖を促進し、かつ分化指向性に多様性を付与するための方法であって、
ヒトES/iPS細胞を、FGFCを有効成分として含むヒトES/iPS細胞増殖用培地を用いて培養することを特徴とする、方法。 - ヒトES/iPS細胞増殖用培地が、有効成分としてさらにFGF2を含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
- 前記FGFCが、以下の(1)〜(3)のいずれかのアミノ酸配列からなるポリペプチドである、請求項5又は6に記載の方法;
(1)配列番号1もしくは配列番号2に示されるアミノ酸配列、
(2)配列番号1もしくは配列番号2に示されるアミノ酸配列のN末端から1〜21アミノ酸のいずれかの部分配列が削除されたアミノ酸配列、又は当該部分配列を削除したN末端にMet(M)もしくはMetAla(MA)を付加したアミノ酸配列、
(3)前記(1)または(2)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたアミノ酸配列であって、かつ配列番号1もしくは2における83位の位置のアミノ酸のAsp(D)が保持されているアミノ酸配列。 - 前記方法において、培養中のヒトES/iPS細胞に対して蛍光標識rBC2LCNレクチンを未分化マーカーとして用い、ヒトES/iPS細胞の未分化能が維持されていることを確認する工程を含むことを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
- さらに、望みの分化指向性に対応した遺伝子の発現を検出する工程を含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
- FGFC、又はFGFCと共にFGF2を有効成分として含むことを特徴とするヒトES/iPS細胞増殖用培地であって、請求項5〜9のいずれかに記載の方法に用いるためのヒトES/iPS細胞増殖用培地。
- ヒトES/iPS細胞に対して未分化能を維持しつつ、分化指向性の多様性を付与するためのヒトES/iPS細胞増殖用キットであって、下記(1)及び(2)を含むキット;
(1)FGFCを有効成分として含むことを特徴とするヒトES/iPS細胞用培地、
(2)蛍光標識rBC2LCNレクチン。 - ヒトES/iPS細胞が神経系細胞への分化指向性を獲得したか否かを判定するための試薬として、さらに下記(3)を含む請求項11に記載のキット;
(3)嗅覚もしくは味覚受容体遺伝子発現を検出可能な抗体又は核酸。
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丹羽 仁史: "ヒトES細胞の効果的な維持培養を可能にするシグナル因子", 医学のあゆみ , vol. 第220巻,第2号, JPN6017031661, 13 January 2007 (2007-01-13), pages 139−142 * |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2017026156A1 (ja) * | 2015-08-13 | 2017-02-16 | 富士フイルム株式会社 | 多能性幹細胞の培養方法、培養容器の製造方法、培養容器、及び細胞培養用の足場材料 |
WO2020235319A1 (ja) | 2019-05-20 | 2020-11-26 | 味の素株式会社 | 軟骨又は骨の前駆細胞の拡大培養方法 |
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JP6351952B2 (ja) | 2018-07-04 |
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