JP2014099949A - 昇圧コンバータの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】間欠昇圧における昇圧制御の復帰時における安定性を確保する。
【解決手段】昇圧制御により電源電圧VBを昇圧して負荷装置に出力する昇圧コンバータと、昇圧コンバータの出力電圧VHを検出する電圧検出手段とを備えた電力供給システムにおいて昇圧コンバータを制御する昇圧コンバータの制御装置は、第1目標電圧を設定する第1設定手段と、出力電圧VHが第1目標電圧を含む所定範囲に維持されるように昇圧制御の間欠処理(間欠昇圧)を実行する間欠制御手段と、設定される第1目標電圧と検出される出力電圧VHとの間で、間欠昇圧の実行時における昇圧制御において出力電圧VHを設定された第1目標電圧へ収束させるための第2目標電圧を設定する第2設定手段とを具備し、間欠制御手段は、前記間欠昇圧の実行時において設定された第2目標電圧に基づいて昇圧制御を実行する。
【選択図】図8
【解決手段】昇圧制御により電源電圧VBを昇圧して負荷装置に出力する昇圧コンバータと、昇圧コンバータの出力電圧VHを検出する電圧検出手段とを備えた電力供給システムにおいて昇圧コンバータを制御する昇圧コンバータの制御装置は、第1目標電圧を設定する第1設定手段と、出力電圧VHが第1目標電圧を含む所定範囲に維持されるように昇圧制御の間欠処理(間欠昇圧)を実行する間欠制御手段と、設定される第1目標電圧と検出される出力電圧VHとの間で、間欠昇圧の実行時における昇圧制御において出力電圧VHを設定された第1目標電圧へ収束させるための第2目標電圧を設定する第2設定手段とを具備し、間欠制御手段は、前記間欠昇圧の実行時において設定された第2目標電圧に基づいて昇圧制御を実行する。
【選択図】図8
Description
本発明は、例えば車両用の電力供給システムにおいて昇圧コンバータを制御する、昇圧コンバータの制御装置の技術分野に関する。
昇圧コンバータの制御に関する装置として、特許文献1には、出力電圧と指令電圧とが一致するようにコンバータをフィードバック制御する際の制御ゲインを、バッテリ温度及びバッテリ電流に基づいて設定し、当該制御ゲインを用いて出力電圧が指令電圧に一致するようにコンバータをフィードバックする装置が開示されている。
尚、MG1及びMG2の出力トルクによって消費される電力と、バッテリ出力制限Woutとに基づいて昇圧レートを決定する技術思想が、特許文献2に開示されている。
また、回生量過多時に昇圧コンバータのフィードバックゲインを小さな値に切り替えると同時に目標電圧を低下させ、オーバーシュート及びハンチングを抑える技術思想が特許文献3に開示されている。また、特許文献3には、バッテリ温度によって昇圧コンバータのフィードバックゲインを可変とする技術思想も開示されている。
近年、昇圧コンバータのスイッチング性能は飛躍的に向上しており、従来なし得なかった間欠昇圧も実現可能である。間欠昇圧とは、即ち、昇圧動作と昇圧停止動作とが積極的に繰り返されることを意味する。間欠昇圧が実行される場合、昇圧制御が停止される期間において昇圧コンバータの昇圧損失はゼロとなるから、電源、昇圧コンバータ及び負荷装置を含むシステム全体の損失(以下、適宜「システム損失」とする)は、大きく低減され得る。
ところで、昇圧制御は一種のフィードバック制御であり、目標値と現在値との偏差に所定のフィードバックゲインを乗じて制御項を生成するといった手法がポピュラである。然るに、所定範囲の下限値と目標電圧との差分は、システム損失低減の目的からして小さくはない。従って、間欠昇圧における昇圧制御の再開時点において、フィードバック制御としての昇圧制御は、妥当でない目標値を有していることになる。
従って、実際に間欠昇圧が実行されると、昇圧制御の再開直後において出力電圧VHの発振や乱高下或いはハンチングが生じ易い。このような出力電圧VHの挙動は、目標電圧への収束を遅らせてシステム損失の低減効果を減じるばかりか、間欠昇圧中の負荷装置の駆動にも影響する。例えば、出力電圧VHの変動は、少なからず負荷装置におけるトルク変動と関係する。従って、間欠昇圧を実現しようとした場合には、この昇圧制御の復帰時における出力電圧VHの挙動を安定ならしめる必要がある。
ここで特に、単にフィードバック制御を安定的に運用する観点からすれば、上記先行技術文献に例示される如く目標電圧を出力電圧VHに近づけてしまえばよい。ところが、目標電圧は、間欠昇圧の実行期間中において絶えず必要な値であり、目標電圧を一時的に出力電圧VHに近づけてフィードバック制御の安定性を確保しようとすると、間欠昇圧において出力電圧VHを維持すべき所定範囲が変化し、また目標電圧自体が変化する。即ち、間欠昇圧の許可条件(昇圧停止条件)も解除条件(昇圧制御の復帰条件)も変化して、間欠昇圧そのものが成立しなくなる。上記先行技術文献には、制御の安定性を確保する面からの記載はあるが、元より間欠昇圧が新規な技術思想であることから、このような間欠昇圧に特有の技術的問題点について、開示はおろか示唆の断片すら存在しない。
本発明は、係る技術的問題点に鑑みてなされたものであり、間欠昇圧を安定的に行い得る昇圧コンバータの制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る昇圧コンバータの制御装置は、電源電圧VBを有する直流電源と、スイッチング手段を備え、第1目標電圧に基づいた前記スイッチング手段のスイッチング状態の切り替えを含む昇圧制御により前記電源電圧VBを昇圧して負荷装置に出力する昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータの出力電圧VHを検出する電圧検出手段とを備えた電力供給システムにおいて前記昇圧コンバータを制御する、昇圧コンバータの制御装置であって、前記第1目標電圧を設定する第1設定手段と、前記検出された出力電圧VHに基づいて、前記出力電圧VHが前記設定された第1目標電圧を含む所定範囲に維持されるように前記昇圧制御の間欠処理を実行する間欠制御手段と、前記設定される第1目標電圧と前記検出される出力電圧VHとの間で、前記間欠処理における前記昇圧制御において前記出力電圧VHを前記設定された第1目標電圧へ収束させるための第2目標電圧を設定する第2設定手段とを具備し、前記間欠制御手段は、前記間欠処理において前記設定された第2目標電圧に基づいて前記昇圧制御を実行することを特徴とする(請求項1)。
昇圧制御とは、昇圧コンバータのスイッチング状態の制御により、電源電圧VBを負荷装置側からの要求に応じた出力電圧VHの目標値である第1目標電圧まで昇圧する制御を意味する。尚、後述する間欠昇圧においては、出力電圧VHが第1目標電圧よりも高圧側の値も採り得る。この場合、昇圧制御は、必然的に出力電圧VHを降圧する制御となる。
出力電圧VHの目標値たる第1目標電圧は、大別して二つの要件を満たすように決定される。即ち、第1の要件はシステム損失(直流電源、昇圧コンバータ及び負荷装置を含む電力供給システム全体の電力損失)を低減することであり、第2の要件は負荷装置の要求電圧(負荷装置の要求トルクに対応する出力電圧)を満たすことである。このような第1目標電圧の設定手法については従来提案されている。昇圧制御が常時継続的に実行される場合、出力電圧VHは定常的には第1目標電圧に収束する。従って、これらの要件を満たす第1目標電圧が設定される場合、定常的には負荷装置の駆動に支障をきたすことなくシステム損失を可及的に低減すること(或いは、最小とすること)ができる。
一方、本発明に係る昇圧コンバータの制御装置によれば、昇圧制御の間欠処理(以下、適宜「間欠昇圧」と表現する)が実行される。間欠昇圧とは、上述したように、昇圧制御の停止と昇圧制御の再開(即ち、停止の解除)とが繰り返される処理である。昇圧コンバータの昇圧動作には、スイッチング手段のスイッチングリプル等に起因する昇圧損失が伴うが、昇圧制御が停止している期間においては、この昇圧損失はゼロとなる。このため、間欠昇圧が実行されることにより、システム損失を低減することができる。本発明に係る間欠昇圧とは、予め設定される、又は予め設定される設定基準に従ってその都度個別具体的に設定される所定範囲内における出力電圧VHの変動を許容した上でなされる昇圧制御の間欠措置である。即ち、本発明に係る昇圧コンバータの制御装置は、近年における、スイッチング手段のスイッチング性能(例えば、スイッチング周波数)の飛躍的向上を背景として、昇圧コンバータの動作状態を制御要素として利用できる点を見出し、昇圧コンバータを一種の電力制御装置として積極的に使用する旨の技術的前提に立っている。
尚、間欠昇圧における昇圧制御の停止とは、昇圧制御において適宜生じる、スイッチング手段を構成する各スイッチング素子の個々の動作の停止ではなく、昇圧コンバータの昇圧動作そのものの停止、即ちシャットダウンを意味する。この種の昇圧コンバータの一般的な制御においては、三角波であるキャリア信号と、昇圧指令電圧に対応するデューティ信号とが一致する毎に、スイッチング素子のスイッチング状態が切り替わる。ここで、スイッチング手段が一のスイッチング素子から構成される場合(例えば、片アーム型の昇圧コンバータ等がこれに該当する)、オンからオフへの切り替えが生じるタイミングにおいてスイッチング手段は一時的に全停止しているとみなし得るが、このような全停止は、昇圧制御の一環として必然的に生じる全停止に過ぎず、本発明に係る昇圧制御の停止とは意味合いが異なるものである。
ところで、間欠昇圧が実行されると、出力電圧VHは負荷装置の駆動状態に応じて変動し、第1目標電圧に定常的に収束することは殆どない。このため、本発明に係る間欠昇圧は、出力電圧VHが第1目標電圧を含む所定範囲に維持されるように実行される。尚、出力電圧VHが維持されるべきこの所定範囲とは、例えば下記(1)〜(6)の範囲を含み得る。尚、これらは適宜組み合わせることもできる。
(1)電源電圧VBよりも高圧側の範囲
(2)昇圧コンバータの耐電圧よりも低圧側の範囲
(3)第1目標電圧との偏差が所定値以内となる範囲
(4)第1目標電圧に対して所定割合以内となる範囲
(5)第1目標電圧と較べて負荷駆動時に生じる損失の増加量が所定値以内となる範囲
(6)第1目標電圧と較べて負荷駆動時に生じる損失の増加量が所定割合以内となる範囲
また、この所定範囲は、望ましくは、出力電圧VHの振動(電圧振動)の度合いと、負荷装置の要求電圧とを考慮して決定される。電圧振動は負荷装置のトルク変動と関係しており、所定範囲が広過ぎる場合には、このトルク変動が無視できない程度に顕在化する可能性がある。また、所定範囲の下限値が負荷装置の要求電圧値以上であれば、間欠昇圧による出力電圧VHの変動により負荷装置の駆動が律束される可能性は低くなる。
(2)昇圧コンバータの耐電圧よりも低圧側の範囲
(3)第1目標電圧との偏差が所定値以内となる範囲
(4)第1目標電圧に対して所定割合以内となる範囲
(5)第1目標電圧と較べて負荷駆動時に生じる損失の増加量が所定値以内となる範囲
(6)第1目標電圧と較べて負荷駆動時に生じる損失の増加量が所定割合以内となる範囲
また、この所定範囲は、望ましくは、出力電圧VHの振動(電圧振動)の度合いと、負荷装置の要求電圧とを考慮して決定される。電圧振動は負荷装置のトルク変動と関係しており、所定範囲が広過ぎる場合には、このトルク変動が無視できない程度に顕在化する可能性がある。また、所定範囲の下限値が負荷装置の要求電圧値以上であれば、間欠昇圧による出力電圧VHの変動により負荷装置の駆動が律束される可能性は低くなる。
間欠昇圧において昇圧制御の停止措置が解除されるタイミングでは、出力電圧VHと第1目標電圧との偏差は、所定範囲の境界値と第1目標電圧との偏差に概ね等しく、相応に大きい。無論、所定範囲はある程度の自由度を持って設定され得るが、所定範囲が狭過ぎると、間欠昇圧における昇圧制御の停止に係る効果が十分に現れ難い。基本的には所定範囲が広い程システム損失が低減され得るのであるから、所定範囲の境界値と第1目標電圧との偏差は、少なくとも小さくはないのが妥当である。
ところで、昇圧制御は、好適には一種のフィードバック制御であり、出力電圧VHと第1目標電圧との偏差に各種フィードバックゲインを乗じて構築されるフィードバック制御項により運用される。例えば、P項(比例項)及びI項(積分項)を使用したPI制御や、更にD項(微分項)を加えたPID制御等が周知である。
ここで、昇圧制御の停止解除(要するに、昇圧制御の再開)タイミングにおいて、第1目標電圧を目標値とするフィードバック制御が開始されると、上述したように偏差が相応に大きいため、出力電圧VHの挙動は安定しない。この際、フィードバックゲインを減少させることは、出力電圧VHの収束が遅れることから避けられるべきであり、元より偏差が大きいことに起因する問題の解決策にはなり難い。出力電圧VHの挙動が安定しないと、第1に、再開された昇圧制御において出力電圧VHが第1目標電圧に収束するのが遅れ、システム損失の低減効果が減少する。また第2に、間欠処理における出力電圧VHの平均値の変動が大きくなり、負荷装置のトルク変動や出力制限等が顕在化する可能性がある。
ところが、第1目標電圧は、昇圧制御の目標値であると共に、間欠昇圧において必須な所定範囲を定義する制御量である。従って、この第1目標電圧は、間欠昇圧の実行期間において、絶えず必要であり、一時的に減少させる等といった措置を講じることはできない。第1目標電圧自体を補正してしまうと、間欠昇圧自体が成立しなくなる。
そこで、本発明に係る昇圧コンバータの制御装置では、第2設定手段により第2目標電圧が設定される。第2目標電圧は、間欠昇圧における昇圧制御の復帰時において出力電圧VHが第1目標電圧に収束するまで使用される、昇圧制御安定化のための暫定的な目標電圧である。即ち、本発明に係る昇圧コンバータの制御装置においては、少なくとも間欠昇圧の実行期間における昇圧制御の復帰時点以降において、昇圧制御の目標電圧が二つ存在することになる。間欠制御手段は、間欠昇圧の実行時にこの設定された第2目標電圧に基づいて昇圧制御を実行する。
第2目標電圧は、昇圧制御の本来の目標電圧である第1目標電圧と、検出される出力電圧VHとの間で設定される。望ましくは、検出される出力電圧VHの値、又はそれと同等程度(例えば数%内外)の値に設定される。このため、本発明によれば、第1目標電圧により間欠昇圧を成立させつつ、第2目標電圧により、とりわけ昇圧制御復帰直後における出力電圧VHの過剰な変動を抑制することができる。従って、間欠昇圧を安定的に運用することが可能となるのである。
尚、補足すると、あるフィードバック制御を考えた場合に、目標電圧が二つ存在することは稀であり、目標電圧は通常一つである。しかしながら、間欠昇圧という新規且つ特殊な条件下においては、目標電圧が並列して二つ存在しなければ制御が安定しない。即ち、本発明に係る根幹の技術思想は、間欠昇圧を前提として初めて見出される性質のものである。
本発明に係る昇圧コンバータの制御装置の一の態様では、前記間欠制御手段は、前記間欠処理において、前記昇圧制御により前記検出された出力電圧VHが前記第1目標電圧に達した場合に前記昇圧制御を停止させ、前記昇圧制御の停止期間において前記検出された出力電圧VHが前記所定範囲の境界値に達した場合に前記昇圧制御を再開させる(請求項2)。
この態様によれば、昇圧コンバータの出力電圧VHを所定範囲に良好に維持することができる。
また、昇圧制御の間欠処理では、例えば、昇圧制御が停止され、出力電圧VHが増加又は減少する過程で出力電圧VHが上記範囲の上限値又は下限値に達することにより昇圧制御が再開され、出力電圧VHが目標値に達する又は目標値に収束する等して停止条件が満たされることにより昇圧制御が再度停止されるといったように、昇圧制御の実行と停止とが順次繰り返される。
ここで、昇圧制御の間欠処理における、時系列上相互いに連続した、昇圧制御の実行期間及び停止期間からなる期間に相当する処理を単位間欠処理と定義すると、間欠昇圧は、この単位間欠処理の繰り返しにより構成されることになる。この単位間欠処理において出力電圧VHの平均値を算出し、出力電圧VHの実効値とすれば、負荷装置の駆動制御を有意義に行うことができる。
尚、この「昇圧制御の実行期間及び停止期間からなる期間」とは、概念上、昇圧制御が停止された時点から昇圧制御の再開を経て再度停止される時点までの期間と、昇圧制御が開始された時点から昇圧制御の停止を経て再度開始される時点までの期間との双方を含む。
本発明に係る昇圧コンバータの制御装置の他の態様では、前記間欠処理における昇圧制御の再開時点における前記第2目標電圧は、前記間欠処理における昇圧制御の再開時点、再開直前又は再開直後における前記検出された出力電圧VHである(請求項3)。
この態様によれば、間欠昇圧における昇圧制御の再開時点における第2目標電圧が、昇圧制御の再開時点、再開直前又は再開直後における、検出された出力電圧VHとなるため、昇圧制御の再開時点における出力電圧VHの過剰な変動を確実に抑制することができる。尚、再開直前又は再開直後とは、具体的に言えば、再開時点に対して1〜数サンプリング時刻前後する時点である。この際、昇圧制御の再開時点よりも前であっても後であっても大きく差異はないが、フィードバック制御系の物理的構成によっては、より効果的な一方を定めることは可能である。
本発明に係る昇圧コンバータの制御装置の他の態様では、前記第2設定手段は、前記出力電圧VHが所定の復帰レートに従って前記設定された第1目標電圧に収束するように前記第2目標電圧を設定する(請求項4)。
この態様によれば、間欠昇圧実行時における昇圧制御(必然的に、再開時点から第1目標電圧に収束するまでの期間の昇圧制御を意味する)において、出力電圧VHの復帰レートが設定されており、第2目標電圧は、この所望の復帰レートで出力電圧VHが第1目標電圧へ向けて収束するように設定される。従って、昇圧制御の安定性と収束性とのバランスを図ることが可能である。但し、昇圧制御の収束速度の限界は、昇圧コンバータの応答速度により自然と決定される。
尚、この態様では、前記第2設定手段は、前記直流電源の温度が所定の常温領域にある場合の前記復帰レートと較べて、前記直流電源の温度が前記常温領域よりも高温側又は低温側の領域にある場合の前記復帰レートを小さく設定する(請求項5)。
ところで、直流電源は入出力特性に温度依存性を有しており、復帰レートをこの温度依存性を考慮することなく決定してしまうと、直流電源の入出力電流が過剰となって、直流電源の劣化を早める可能性がある。この態様によれば、直流電源毎に定められ得る常温領域と、それよりも高温側又は低温側の領域とで復帰レートが異ならしめられる。具体的には、相対的高温領域及び相対的低温領域においては、復帰レートが相対的に小さくされる。このようにすれば、直流電源の劣化を防止することができる。
本発明に係る昇圧コンバータの制御装置の他の態様では、前記第2設定手段は、間欠処理における前記昇圧制御の停止期間において、前記検出された出力電圧VHを前記第2目標電圧として設定する(請求項6)。
この態様によれば、第2設定手段は、間欠昇圧における昇圧制御の停止期間において既に第2目標電圧を準備している。即ち、検出された出力電圧VHの値を第2目標電圧として保持している。従って、昇圧制御の再開時点において、速やかに第2目標電圧を設定することができると共に、その値は制御の安定性を図る上で極めて妥当である。
本発明に係る昇圧コンバータの制御装置の他の態様では、前記間欠制御手段は、前記出力電圧VHの変動幅が所定値以内である場合に前記昇圧制御の間欠処理を開始する(請求項7)。
この態様によれば、出力電圧VHの変動幅が所定値以内である場合に間欠処理が許可される。出力電圧VHの変動幅とは、ある程度の期間にわたる出力電圧VHの挙動の定量的指標を包括する概念であり、その定義は一義的でない。例えば、出力電圧VHの変動幅とは、ある期間における、目標値(昇圧指令電圧)と出力電圧VHとの偏差の平均値であってもよい。或いは、ある期間において生じた目標値(昇圧指令電圧)と出力電圧VHとの偏差の最大値であってもよい。或いは、出力電圧VHの変動幅とは、ある期間における出力電圧VHの変化量の最大値であってもよい。
この態様によれば、出力電圧VHが安定した場合に間欠処理の実行が許可されるため、トータル損失低減に確たる効果を期待することができる。また、目標値(昇圧指令電圧)が変化している場合においては、出力電圧VHも相応に変化するから、結果的に当該変動幅も大きくなり易い。即ち、この態様によれば、所定値の設定如何によっては、このように目標値が変化している場合について間欠処理の実行を禁止することも容易にして可能となり、トータル損失低減に確たる効果を得ることができる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の各種実施形態について説明する。
以下、図面を参照して、本発明の各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本実施形態に係るモータ駆動システム10の構成について説明する。ここに、図1は、モータ駆動システム10の構成を概念的に表すシステム構成図である。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本実施形態に係るモータ駆動システム10の構成について説明する。ここに、図1は、モータ駆動システム10の構成を概念的に表すシステム構成図である。
図1において、モータ駆動システム10は、図示せぬ車両に搭載され、制御装置100、昇圧コンバータ200、インバータ300及び直流電源Bを備え、車両の駆動力源となる負荷装置としてのモータジェネレータMGを駆動可能に構成された、本発明に係る「電力供給システム」の一例である。
制御装置100は、モータ駆動システム10の動作を制御可能に構成された、本発明に係る「昇圧コンバータの制御装置」の一例たる電子制御ユニットである。制御装置100は、例えば、ECU(Electronic Controlled Unit)等の各種電子制御装置、各種コントローラ或いはマイコン装置等の形態を採り得るコンピュータシステムとして構成される。制御装置100は、図1において不図示の昇圧制御部110及びインバータ制御部120を備えるが、各制御部の構成については後述する。また、制御装置100は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置を備える。
直流電源Bは、例えばニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の各種二次電池セル(例えば、セル電圧数V)が複数(例えば、数百個)直列に接続された、電源電圧VB(例えば、200V)の二次電池ユニットである。尚、直流電源Bとしては、この種の二次電池に替えて又は加えて、電気二重層キャパシタや大容量のコンデンサ、フライホイール等が用いられてもよい。
昇圧コンバータ200は、リアクトルL1と、スイッチング素子Q1及びQ2と、ダイオードD1及びD2と、キャパシタCとを備えた、本発明に係る「昇圧コンバータ」の一例たる昇圧回路である。
昇圧コンバータ200において、リアクトルL1の一方端は、直流電源Bの正極に接続される正極線(符号省略)に接続され、他方端は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との中間点、即ち、スイッチング素子Q1のエミッタ端子と、スイッチング素子Q2のコレクタ端子との接続点に接続される。
スイッチング素子Q1及びQ2は、上記正極線と直流電源Bの負極に接続される負極線(符号省略)との間に直列に接続された、本発明に係る「スイッチング手段」の一例である。スイッチング素子Q1のコレクタ端子は上記正極線に、スイッチング素子Q2のエミッタ端子は上記負極線に接続されている。ダイオードD1及びD2は、夫々のスイッチング素子において、エミッタ側からコレクタ側への電流のみを許容する整流素子である。
尚、本実施形態において、スイッチング素子は、リアクトルL1の端部との接続点よりも高電位側のスイッチング素子Q1と、同じく低電位側のスイッチング素子Q2とから構成されており、双アーム型の昇圧コンバータを構成している。但し、このようなスイッチング素子の構成は一例であり、昇圧コンバータは、図1でスイッチング素子Q2のみを備えた片アーム型の昇圧コンバータであってもよい。
スイッチング素子Q1及びQ2並びに後述するインバータ300の各スイッチング素子(Q3乃至Q8)は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ等として構成される。
キャパシタCは、正極線と負極線との間に接続されたコンデンサである。このキャパシタCの端子間電圧、即ち、正極線と負極線との間の電位差VHは、昇圧コンバータ200の出力電圧である。尚、これ以降キャパシタCの出力電圧VHを、適宜「出力電圧VH」と表現する。
インバータ300は、p側スイッチング素子Q3及びn側スイッチング素子Q4を含むU相アーム(符号省略)、p側スイッチング素子Q5及びn側スイッチング素子Q6を含むV相アーム(符号省略)及びp側スイッチング素子Q7及びn側スイッチング素子Q8を含むW相アーム(符号省略)を備えた電力変換器である。インバータ300の夫々のアームは、上記正極線と上記負極線との間に並列に接続されている。
尚、スイッチング素子Q3乃至Q8には、スイッチング素子Q1及びQ2と同様、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流す整流用ダイオードD3乃至D8が夫々接続されている。また、インバータ300における各相アームのp側スイッチング素子とn側スイッチング素子との中間点は、夫々モータジェネレータMGの各相コイルに接続されている。
モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石が埋設されてなる三相交流電動発電機である。モータジェネレータMGは、図示されない車両の駆動輪に機械的に連結され、車両を駆動するためのトルクを発生可能に構成される。また、モータジェネレータMGは、主として車両の制動時において、車両の運動エネルギの入力を受けて電力回生(即ち、発電)を行うこともできる。この車両が、モータジェネレータMGの他に動力源としてのエンジンを備えたハイブリッド車両である場合、このモータジェネレータMGは、当該エンジンに機械的に連結され、エンジンの動力により電力回生を行ったり、エンジンの動力をアシストしたり出来るように構成されていてもよい。尚、本実施形態に係る車両は、この種のハイブリッド車両であっても、動力源として当該モータジェネレータMGのみを備えた電気自動車であってもよい。
モータ駆動システム10には、不図示のセンサ群が付設されており、直流電源Bの電圧VB、直流電源の温度たるバッテリ温度TB、昇圧コンバータ200のリアクトルL1に流れるバッテリ電流IB(本発明に係る、「直流電源又は昇圧コンバータに流れる電流」の一例)、出力電圧VH、インバータ300におけるv相電流Iv及びw相電流Iw並びにモータジェネレータMGのロータの回転角たるモータ回転位相θ等が適宜検出される構成となっている。また、これらセンサ群を構成するセンサの各々は、制御装置100と電気的に接続されており、検出された値は、制御装置100により適宜参照可能な構成となっている。
モータ駆動システム10において、昇圧コンバータ200及びインバータ300は、制御装置100と電気的に接続されており、制御装置100によりその駆動状態が制御される構成となっている。
次に、図2を参照し、制御装置100において昇圧コンバータ200を制御する昇圧制御部110の構成について説明する。ここに、図2は、昇圧制御部110のブロック図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、昇圧制御部110は、インバータ入力演算部111、加減算器112、電圧制御演算部113、キャリア生成部114及び比較器115を備える。また、昇圧制御部110は、予めROMに格納された制御プログラムに従って、昇圧制御並びに後述する間欠制御処理を実行可能に構成される。
昇圧制御は、コンバータ制御信号PWCに基づいて、正極線と負極線との間の電圧、即ち、出力電圧VHを直流電源Bの電源電圧VB以上に昇圧する制御である。昇圧制御では、出力電圧VHが目標電圧(VH指令値とも称される)よりも低ければ、スイッチング素子Q2のオンデューティが相対的に大きくされ、正極線を直流電源B側からインバータ300側へ流れる電流を増加させることができ、出力電圧VHを上昇させることができる。一方、出力電圧VHが目標電圧よりも高ければ、スイッチング素子Q1のオンデューティが相対的に大きくされ、正極線をインバータ300側から直流電源B側へ流れる電流を増加させることができ、出力電圧VHを低下させることができる。尚、目標電圧は、第1目標電圧VHtg1又は第2目標電圧VHtg2のいずれか一方である。
インバータ入力演算部111は、昇圧コンバータ200の目標電圧を設定する回路である。
加減算部112は、出力電圧VHの検出値を目標電圧から減算し、減算結果を電圧制御演算部113へ出力する。電圧制御演算部113は、目標電圧から出力電圧VHの検出値を減算してなる減算結果を加減算部112から受け取ると、出力電圧VHを目標電圧に一致させるための制御量を演算する。この際、例えば、比例項(P項)及び積分項(I項)を含む公知のPI制御演算等が用いられる。電圧制御演算部113は、算出された制御量を、電圧指令値として比較器115に出力する。
一方、キャリア生成部114は、三角波からなるキャリア信号を生成し、比較器115に送出する。比較器115では、電圧制御演算部113から供給される電圧指令値とこのキャリア信号とが比較され、その電圧値の大小関係に応じて論理状態が変化する、先述したコンバータ制御信号PWCが生成される。この生成されたコンバータ制御信号PWCは、昇圧コンバータ200のスイッチング素子Q1及びQ2に出力される。昇圧制御部110は、以上のように構成される。
尚、図2に例示された構成は、電圧制御を実現する回路構成であるが、昇圧コンバータ200の制御形態は、このような電圧制御に限定されない。ここで、図3を参照し、制御装置100の昇圧制御部110’の構成について説明する。ここに、図3は、昇圧制御部110’のブロック図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には、同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図3において、昇圧制御部110’は、電圧制御演算部113と比較器115との間に、加減算器117及び電流制御演算部118を備える。
一方、キャリア生成部114は、比較器115の他に、S/H(サンプルホールド)回路116にも送出される。S/H回路116は、キャリア生成部114から受けるキャリア信号の山及び谷のタイミングでバッテリ電流IBをサンプリングする。
ここで、昇圧制御部110’においては、電圧制御演算部113において、出力電圧VHを目標電圧に一致させるための電流指令値IRが生成されており、加減算器117は、この電流指令値IRからS/H回路116によってサンプリングホールドされたバッテリ電流IBの検出値を減算する。減算された結果は、電流制御演算部118に送出される。
電流制御演算部118では、バッテリ電流IBを電流指令値IRに一致させるための制御量が演算される。この際、例えば、比例項(P項)及び積分項(I項)を含む公知のPI制御演算等が用いられる。電流制御演算部118は、算出された制御量を、デューティ指令値dとして比較器115に出力する。
比較器115では、このデューティ指令値dとキャリア信号との大小関係が比較され、コンバータ制御信号PWCが生成且つ各スイッチング素子へ供給される。即ち、昇圧制御部110’は、電流制御を実現する回路構成となっている。このような構成によっても昇圧コンバータ200を好適に制御することができる。
次に、図4を参照し、インバータ制御部120の構成について説明する。ここに、図4は、インバータ制御部120のブロック図である。尚、同図において、既出の各図と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図4において、インバータ制御部120は、電流指令変換部121、電流制御部122、2相/3相変換部123、3相/2相変換部124、キャリア生成部114(昇圧制御部110と共用される)及びPWM変換部125から構成される。
電流指令変換部121は、モータジェネレータMGのトルク指令値TRに基づいて、2相の電流指令値(Idtg、Iqtg)を生成する。
一方、インバータ300からは、フィードバック情報として、v相電流Ivとw相電流Iwが3相/2相変換部124に供給される。3相/2相変換部124では、これらv相電流Iv及びw相電流Iwから、三相電流値が、d軸電流Id及びq軸電流Iqからなる2相電流値に変換される。変換された後の2相電流値は、電流制御部122に送出される。
電流制御部122では、電流指令変換部121において生成された2相の電流指令値と、この3相/2相変換部124から受け取った2相電流値Id及びIqとの差分に基づいて、d軸電圧Vd及びq軸電圧からなる2相の電圧指令値が生成される。生成された2相の電圧指令値Vd及びVqhは、2相/3相変換部123に送出される。
2相/3相変換部123では、2相の電圧指令値Vd及びVqが、3相電圧指令値Vu、Vv及びVwに変換される。変換された3相電圧指令値Vu,Vv及びVwは、PWM変換部125に送出される。
ここで、PWM変換部125は、キャリア生成部114から所定のキャリア周波数fcarを有するキャリアCarを受け取る構成となっており、このキャリアCarと、変換された3相の電圧指令値Vu、Vv及びVwとの大小関係を比較する。更に、PWM変換部125は、その比較結果に応じて論理状態が変化する、u相スイッチング信号Gup及びGun、v相スイッチング信号Gvp及びGvn並びにw相スイッチング信号Gwp及びGwnを生成してインバータ300に供給する。
より具体的には、各相に対応するスイッチング信号のうち、「p」なる識別子が付記された信号は、各相のスイッチング素子のうちp側スイッチング素子(Q3、Q5及びQ7)を駆動するための駆動信号であり、「n」なる識別子が付記された信号は、各相のスイッチング素子のうちn側スイッチング素子(Q4、Q6及びQ8)を駆動するための駆動信号を意味する。
ここで特に、キャリアCarと各相電圧指令値との比較において、各相電圧指令値がキャリアCarよりも小さい値からキャリアCarに一致すると、p側スイッチング素子をターンオンさせるためのスイッチング信号が生成される。また、各相電圧指令値がキャリアCarよりも大きい値からキャリアCarに一致すると、n側スイッチング素子をターンオンさせるためのスイッチング信号が生成される。即ち、スイッチング信号は、オンオフが表裏一体の信号であり、各相のスイッチング素子は、p側とn側とのうち常にいずれか一方がオン状態であり、他方がオフ状態となる。
インバータ300が、各相スイッチング信号により規定される各スイッチング素子の駆動状態に変化する又は維持されると、その変化した又は維持された駆動状態に対応する回路状態に従って、モータジェネレータMGが駆動される構成となっている。尚、このようなインバータ300の制御態様は、所謂PWM制御の一態様である。
尚、一般的に、車両駆動用のモータジェネレータMGは、上述したPWM制御の他に、公知の過変調制御及び矩形波制御が併用される場合が多い。本実施形態に係るモータ駆動システム10においても、インバータ300の制御態様は、車両の走行条件に応じて適宜切り替えられるものとする。
<実施形態の動作>
次に、本実施形態の動作として、昇圧制御部110により実行される間欠制御処理について説明する。
次に、本実施形態の動作として、昇圧制御部110により実行される間欠制御処理について説明する。
<間欠制御処理の概要>
昇圧コンバータ200は、直流電源Bの電源電圧VBを昇圧する必要がある場合において、先述した昇圧制御により電源電圧VBを昇圧している。継続的に実行される昇圧制御(即ち、間欠昇圧における昇圧制御ではない)においては、昇圧コンバータ200の出力電圧VHが、定常的には第1目標電圧VHtg1に維持される。例えば、第1目標電圧VHtg1は、概ね600V程度の値を採り得る。
昇圧コンバータ200は、直流電源Bの電源電圧VBを昇圧する必要がある場合において、先述した昇圧制御により電源電圧VBを昇圧している。継続的に実行される昇圧制御(即ち、間欠昇圧における昇圧制御ではない)においては、昇圧コンバータ200の出力電圧VHが、定常的には第1目標電圧VHtg1に維持される。例えば、第1目標電圧VHtg1は、概ね600V程度の値を採り得る。
一方、昇圧コンバータ200のスイッチング素子Q1及びQ2は、昇圧制御に伴う昇圧動作において、絶えずスイッチング状態が切り替わっている。このスイッチング状態の切り替えにはスイッチングリプルと称される電圧変動が伴うため、昇圧コンバータ200は、昇圧制御において常に昇圧損失Lcvを生じている。この昇圧損失Lcvは、昇圧コンバータ200、インバータ300及びモータジェネレータMGを含む電力系全体の損失であるシステム損失Lsysを増加させる要因となる。間欠制御処理は、このシステム損失Lsysを低減するための制御であり、先述した昇圧制御を間欠的に行う(即ち、間欠昇圧を行う)ための処理である。
<間欠制御処理の詳細>
ここで、図5を参照し、間欠制御処理の詳細について説明する。ここに、図5は、間欠制御処理のフローチャートである。尚、間欠制御処理は、所定周期で繰り返し実行される制御である。
ここで、図5を参照し、間欠制御処理の詳細について説明する。ここに、図5は、間欠制御処理のフローチャートである。尚、間欠制御処理は、所定周期で繰り返し実行される制御である。
図5において、先ず昇圧制御における出力電圧VHの目標値である第1目標電圧VHtg1が設定される(ステップS101)。
第1目標電圧VHtg1は、負荷装置であるモータジェネレータMGの駆動条件に応じて決定される。具体的には、モータジェネレータMGのトルク指令値TR及びモータ回転速度MRNから算出される要求出力値を駆動条件として、予め経験的に、実験的に又は理論的に得られる要求出力値と第1目標電圧VHtg1との関係から第1目標電圧VHtg1が設定される。第1目標電圧VHtg1は、トルク指令値TRに対応する要求トルクを発生させるのに必要な昇圧コンバータ200の出力電圧VH(以下、必要電圧VHnと表現する)に対して十分に高い値に設定される。ここで、十分に高いとは、具体的には、第1目標電圧VHtg1に対して所定のオフセット値OFSを加減算して得られる、間欠昇圧における電圧変動許可範囲(即ち、本発明に係る「所定範囲」の一例)の下限値(即ち、VHtg−OFS)が必要電圧VHnよりも高くなることを含む。
尚、ここで説明した手法は、先に述べた要件のうち第2の要件(負荷装置の要求電圧を満たすこと)に関連するものである。従って、望ましくは第1の要件(即ち、昇圧コンバータ200、インバータ300及びモータジェネレータMGを含む電力系全体の損失であるシステム損失Lsysを低減すること)も十分に満たされるように第1目標電圧VHtg1は決定される。システム損失を最小とするための第1目標電圧VHtg1の設定手法については、公知のものを適用することができる。
第1目標電圧VHtg1が設定されると、間欠昇圧が許可されているか否かが判定される(ステップS102)。本実施形態では、昇圧コンバータ200の制御が基本的に間欠昇圧により行われる。従って、基本的に間欠昇圧は許可される。但し、モータジェネレータMGが最大出力点(あるモータ回転速度MRNに対するモータトルクTmgの最大値)付近で駆動されている場合等、高負荷状態においては、モータジェネレータMGの出力性能を担保する目的から間欠昇圧が禁止されてもよい。即ち、間欠昇圧が許可されない場合(ステップS102:NO)、昇圧制御が開始され(ステップS106)、間欠制御処理は終了する。この場合、間欠昇圧が許可されない間は、ステップS103乃至ステップS105が行われないため、第1目標電圧VHtg1に基づいた昇圧制御が常時実行される。
間欠昇圧が許可されている場合(ステップS102:YES)、出力電圧VHが第1目標電圧VHtg1に収束したか否かが判定される(ステップS103)。出力電圧VHが第1目標電圧VHtg1に収束している場合(ステップS103:YES)、昇圧コンバータ200がシャットダウンされ、昇圧制御が停止される(ステップS104)。昇圧制御が停止されるか、又はステップS103において出力電圧VHが第1目標電圧VHtg1に収束していない場合(ステップS103:NO)、ステップS105が実行される。
ステップS105においては、出力電圧VHが電圧変動許可範囲の下限値VHL以上且つ上限値VHH以下であるか否かが判定される(ステップS105)。尚、既に述べたように、上限値VHHは第1目標電圧VHtg1に対してオフセット値OFSを加算して得られ、下限値VHLは第1目標電圧VHtg1に対してオフセット値OFSを減算して得られる。オフセット値OFSの値は電圧振動と出力確保の点から規定されており、例えば、第1目標電圧VHtg1が600V程度の場合、概ね50V程度であってもよい。
出力電圧VHが電圧変動許可範囲に維持されている場合(ステップS105:YES)、間欠制御処理は終了する。出力電圧VHが電圧変動許可範囲の上限値VHH又は下限値VHLに達する又はこれらを超えると(ステップS105:NO)、昇圧制御の停止措置が解除され、昇圧制御が再開される(ステップS106)。即ち、ステップS103乃至ステップS106により間欠昇圧が実現される。間欠昇圧では、モータジェネレータMGの力行駆動時には出力電圧VHが第1目標電圧VHtg1と下限値VHLとの間で変動し、同じく回生駆動時には出力電圧VHが第1目標電圧VHtg1と上限値VHHとの間で変動する。
尚、本実施形態に係る電圧変動許可範囲は、オフセット値OFSを用いて、上限値VHHが「VHtg+OFS」に、下限値VHHが「VHtg−OFS」に夫々設定されるが、このような電圧変動許可範囲の設定態様は一例である。例えば、上限値VHH及び下限値VHLは、第1目標電圧VHtg1に対して所定の係数を乗じることによって設定されてもよい。この場合、上限値VHHを規定する補正係数は1より大きく、下限値VHLを規定する補正係数は1未満である。
<間欠制御処理の効果>
次に、図6を参照し、間欠制御処理の効果について説明する。ここに、図6は、間欠制御処理の実行過程における、出力電圧VH及び昇圧損失Lcvの一時間推移を例示するタイミングチャートである。
次に、図6を参照し、間欠制御処理の効果について説明する。ここに、図6は、間欠制御処理の実行過程における、出力電圧VH及び昇圧損失Lcvの一時間推移を例示するタイミングチャートである。
図6において、上段は出力電圧VHの時間推移を表し、下段は昇圧損失Lcvの時間推移を表す。尚、図6において、第1目標電圧VHtg1は、VHtga(VHtga>VB)であるとする。
出力電圧VHの時間推移において、時刻t0における出力電圧VHはVHtgaで概ね安定している。即ち、出力電圧VHは、図示ハッチング表示される停止許可範囲に収束している。ここで、時刻t1までその安定状態が継続した結果、昇圧コンバータ200が停止されたとする。
昇圧コンバータ200が停止されると、負荷装置であるモータジェネレータMGの駆動状態に応じて、出力電圧VHは増加又は減少する。図6では、モータジェネレータMGが力行状態にあり、時刻t1以降出力電圧VHが減少する時間推移が、図示PRF_VH1(実線)として例示される。また、モータジェネレータMGが回生状態にあり、時刻t1以降出力電圧VHが増加する時間推移が、図示PRF_VH2(破線)として例示される。尚、これ以降、PRF_VH1を例にとって説明することとする。
時刻t1以降減少し続ける出力電圧VHが、時刻t2において、VHtgaに基づいて設定される下限値VHLaに到達すると、先の間欠制御処理におけるステップS109が「NO」側に分岐し、昇圧制御が再開される。その結果、出力電圧VHは、時刻t3においてVHtgaに復帰する。時刻t3において出力電圧VHがVHtgaに達すると、再び昇圧コンバータ200は停止される。
一方、昇圧損失Lcvの時間推移を見ると、時刻t0から時刻t1までの第1期間POD1に概ね一定であった昇圧損失Lcvは、時刻t1において昇圧制御が停止されるとゼロとなる。昇圧損失Lcvは、時刻t1から昇圧制御が再開される時刻t2に至るまでの第2期間POD2においてゼロに維持される。また、時刻t2において昇圧制御が再開されると、昇圧損失Lcvは増加し、時刻t2から昇圧制御が再び停止する時刻t3に至るまでの第3期間POD3においてゼロより大きい値となる。
ここで、図6における第2期間POD2及び第3期間POD3を合算した期間は、昇圧制御の停止から停止解除を経て再び昇圧制御が停止されるまでの期間であり、上述した「昇圧制御の間欠処理における、相互に連続する昇圧制御の実行期間及び停止期間からなる期間」の一例に相当する。即ち、第2期間POD2と第3期間POD3とを合算してなる期間における処理は、上述した「単位間欠処理」の一例である。これ以降、第2期間POD2と第3期間POD3とを合算してなる期間における処理を適宜「単位間欠処理」と表現することとする。
尚、ここでは、第2期間POD2と第3期間POD3とを合算してなる期間が単位間欠処理の定義に係る期間とされたが、これは一例に過ぎない。即ち、「相互に連続する昇圧制御の実行期間及び停止期間からなる期間」とは、例えば、図6を参照すれば、第3期間POD3と、それに引き続く、一部不図示の昇圧制御の停止期間(時刻t3から昇圧制御が再開される時点までの期間)とが合算された期間であってもよい。従って、例えば、この第3期間POD3とそれに引き続く昇圧制御の停止期間とが合算された期間における処理もまた、この「単位間欠処理」の好適な一例である。
この単位間欠処理における昇圧損失Lcvの収支は、出力電圧VHが第1目標電圧VHtg1に維持され続けた場合を基準(即ち、ゼロ)とすると、損失低減量と損失増加量との差分となる。
損失低減量は、図示損失低減量Lcvrdc1(濃い斜線ハッチング部)と損失低減量Lcvrdc2(薄い斜線ハッチング部)との和であり、損失増加量は図示損失増加量Lcvinc(横線ハッチング部)である。図6においては、損失低減量Lcvrdc2と損失増加量Lcvincとの絶対値が等しくなっており、間欠制御処理により実現される昇圧損失Lcvの収支は、損失低減量Lcvrdc1に等しくなる。損失低減量Lcvrdc1は負値であるから、間欠制御処理により昇圧損失Lcvが大きく低減されることが分かる。尚、当該収支は、昇圧制御停止後の出力電圧VHの変動が緩慢である程、負側により大きくなる。
次に、図7を参照し、間欠制御において、単位時間当たりに昇圧コンバータ200で生じる昇圧損失Lcvについて説明する。ここに、図7は、間欠制御が実行された場合の、コンバータ損失Lcvtとバッテリ電流IBとの関係を例示する図である。尚、コンバータ損失Lcvtとは、単位間欠処理における昇圧損失Lcvの総和を当該単位間欠処理の期間の長さで除した値であり、単位時間当たりに昇圧コンバータ200で生じる昇圧損失Lcvを意味する。
図7において、縦軸にコンバータ損失Lcvtが、横軸にバッテリ電流IBが夫々表される。
図示PRF_Lcvtcmp(破線参照)は、比較例であり、本実施形態に係る間欠制御処理が実行されずに当該期間において出力電圧VHが第1目標電圧VHtg1に維持された場合のコンバータ損失を示している。
一方、図示PRF_Lcvt(実線参照)は、本実施形態に係る間欠制御処理が実行された場合のコンバータ損失Lcvtを示している。このように、本実施形態に係る間欠制御処理が実行された場合、図6を参照すれば、第2期間POD2において昇圧損失Lcvがゼロとなるため、第3期間POD3において昇圧損失Lcvが多少増加しても、単位時間当たりの値であるコンバータ損失Lcvtは比較例に較べて大きく減じられる。特に、バッテリ電流IBが十分に小さい場合には、第2期間POD2が相対的に長くなることから、コンバータ損失Lcvtは大きく減少する。即ち、間欠制御処理によれば、コンバータ損失Lcvtを減少させることによってシステム損失Lsysを低減することが可能である。
<第2目標電圧VHtg2の設定>
ここで、昇圧制御は先述したようにフィードバック制御(ここではPI制御)である。従って、間欠昇圧が実行される過程において、昇圧制御の目標電圧が第1目標電圧VHtg1のみであると、昇圧制御の再開時点における目標電圧と出力電圧VHとの偏差が大きくなり過ぎる。その結果、実践的運用面においては、出力電圧VHがとりわけ昇圧制御の再開初期において大きくハンチングし、昇圧制御における第1目標電圧VHtg1への収束が大きく遅延する。その結果、間欠昇圧を全体的に見た場合に、昇圧制御の実行期間の占める割合が相対的に増加し、システム損失低減に係る効果が十分に得られなくなる。そこで、本実施形態では、間欠昇圧が許可されている場合には、昇圧制御の暫定的な目標電圧として第2目標電圧VHtg2が設定される。
ここで、昇圧制御は先述したようにフィードバック制御(ここではPI制御)である。従って、間欠昇圧が実行される過程において、昇圧制御の目標電圧が第1目標電圧VHtg1のみであると、昇圧制御の再開時点における目標電圧と出力電圧VHとの偏差が大きくなり過ぎる。その結果、実践的運用面においては、出力電圧VHがとりわけ昇圧制御の再開初期において大きくハンチングし、昇圧制御における第1目標電圧VHtg1への収束が大きく遅延する。その結果、間欠昇圧を全体的に見た場合に、昇圧制御の実行期間の占める割合が相対的に増加し、システム損失低減に係る効果が十分に得られなくなる。そこで、本実施形態では、間欠昇圧が許可されている場合には、昇圧制御の暫定的な目標電圧として第2目標電圧VHtg2が設定される。
ここで、図8を参照し、第2目標電圧VHtg2の設定方法について説明する。ここに、図8は、第2目標電圧VHtg2の一設定方法を説明する図である。尚、同図において、図6と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図8において、モータジェネレータMGが力行駆動されている場合の間欠昇圧の様子が示される。出力電圧VHの挙動は、図示PRF_VH3(実線)として示されている。また、時刻t2において出力電圧VHが電圧変動許可範囲の下限値VHLに達し、昇圧制御の再開条件が満たされている。
ここで、第2目標電圧VHtg2は、図示PRF_VHtg2A(破線)に従って設定される。即ち、第2目標電圧VHtg2は、昇圧停止期間POD2及び時刻t2まで出力電圧VHと同値に設定される。即ち、本発明に係る「間欠処理における昇圧制御の再開時点における第2目標電圧は、間欠処理における昇圧制御の再開時点、再開直前又は再開直後における検出された出力電圧VHである」状態が実現される。時刻t2以降、即ち、間欠昇圧時の昇圧制御の実行期間においては、第2目標電圧VHtg2は、所定の復帰レートに従って徐々に第1目標電圧VHtg1に近付けられる。即ち、第2目標電圧VHtg2は、第1目標電圧VHtg1と検出された出力電圧VHとの間(ここでは、出力電圧VHと同値)で設定される。実際の出力電圧VHは、この第2目標電圧VHtg2に追従するように、上記復帰レートに従って徐々に第1目標電圧VHtg1に収束する。
このように、本実施形態によれば、第1目標電圧VHtg1とは異なる暫定的な目標値として第2目標電圧VHtg2が設定され、間欠昇圧における昇圧制御に適用される。従って、昇圧制御の再開直後〜第1目標電圧VHtg1へ収束するまでの出力電圧VHの挙動を安定させることができ、結果的に昇圧制御の実行時間を短縮化することができる。また、出力電圧VHが安定になることから、上述した単位間欠処理における出力電圧VHの平均電圧値も大きく変動しない。その結果、負荷装置としてのモータジェネレータMGも出力制限等を受けることなく良好に駆動される。
尚、第2目標電圧VHtg2の設定方法は、図8のものに限定されない。ここで、図9を参照して、第2目標電圧VHtg2の他の設定方法について説明する。ここに、図9は、第2目標電圧VHtg2の他の設定方法を説明する図である。尚、同図において、図8と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図9において、第2目標電圧VHtg2は、図示PRF_VHtg2B(破線)に従って設定される。即ち、第2目標電圧VHtg2は、昇圧停止期間POD2においては第1目標電圧VHtg1と同値であり、昇圧制御の再開条件が満たされた時刻t2において、出力電圧VHの値(即ち、下限値VLL)にステップ的に設定される。このように、昇圧制御の再開条件が満たされた時点で、出力電圧VH又は出力電圧VH近傍の値が設定されれば、昇圧停止期間中の第2目標電圧VHtg2は比較的自由である。
以上説明したように、本実施形態によれば、間欠昇圧の実行期間において昇圧制御が再開される場合には、昇圧制御及び間欠昇圧の根幹を定義する第1目標電圧VHtg1とは別に、暫定的な目標電圧である第2目標電圧VHtg2が設定される。即ち、二つの目標電圧が並存する。この第2目標電圧VHtg2を昇圧制御の目標電圧とすることによって、第1目標電圧VHtg1と電圧変動許可範囲の下限値VLLとの差分に相当する比較的大きな偏差に基づいたフィードバック制御を防止することができ、出力電圧VHを安定的に第1目標電圧VHtg1に収束させることができる。
尚、本実施形態では、間欠昇圧の実行時において昇圧制御の再開条件が満たされた時点(上述の時刻t2)における第2目標電圧VHtg2は、検出される出力電圧VHと一致している。しかしながらこれは一例であり、概念的には、負荷装置の力行駆動時においては第1目標電圧VHtg1未満且つ出力電圧VH以上の値が、同じく回生駆動時においては第1目標電圧VHtg1より大きく且つ出力電圧VH以下の値が、夫々第2目標電圧VHtg2として設定される限りにおいて、昇圧制御を安定ならしめる旨の効果は担保される。
<第2実施形態>
第1実施形態では、間欠昇圧実行時の昇圧制御における出力電圧VHの復帰レート(第2目標電圧VHtg2の変化率)は、予め実験的に、経験的に、又は理論的に設定された固定値が使用される。しかしながら、出力電圧VHの復帰レートは、直流電源Bの状態を考慮して決定されるのが望ましい。ここで、そのような趣旨に基づいた本発明の第2実施形態について、図10を参照して説明する。ここに、図10は、第2実施形態に係る出力電圧VHの復帰レートについて説明する図である。
第1実施形態では、間欠昇圧実行時の昇圧制御における出力電圧VHの復帰レート(第2目標電圧VHtg2の変化率)は、予め実験的に、経験的に、又は理論的に設定された固定値が使用される。しかしながら、出力電圧VHの復帰レートは、直流電源Bの状態を考慮して決定されるのが望ましい。ここで、そのような趣旨に基づいた本発明の第2実施形態について、図10を参照して説明する。ここに、図10は、第2実施形態に係る出力電圧VHの復帰レートについて説明する図である。
図10において、縦軸及び横軸に夫々出力電圧VHの復帰レートR(V/sec)及びバッテリ温度TB(℃)が示される。ここで、図示のように低温域、常温域及び高温域を設定すると、復帰レートRは常温域で最も高い絶対値R1を採り、低温域及び高温域では、夫々温度が減少及び増加するのに連れて線形的に減少する。尚、低温域、常温域及び高温域を夫々規定する境界温度値は、設計事項である。図10では、極低温域及び極高温域において復帰レートR=0とされるが、これは、間欠昇圧が禁止されることを意味する。
直流電源VBの入出力性能は、極端な低温及び高温において低下することが知られている。電流の入出力量が許容値を超えると、直流電源Bの劣化が進行する。従って、間欠昇圧によるシステム損失Lsysの低減効果を十分に得ることを目的とすれば復帰レートRは高い方がよいが、モータ駆動システム10全体の品質管理の面からは、このようにバッテリ温度TBに応じた復帰レートRの設定が望ましい。本実施形態によれば、図10に示される関係に従って適切な復帰レートが設定される。従って、直流電源Bの劣化を防止しつつ、間欠昇圧に係る実践上の利益を得ることができる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う昇圧コンバータの制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明は、電源電圧を昇圧コンバータで昇圧して負荷装置を駆動するシステムに適用可能である。
10…モータ駆動システム、100…制御装置、110…昇圧制御部、120…インバータ制御部、200…昇圧コンバータ、300…インバータ、C…キャパシタ、B…直流電源、MG、MG1、MG2…モータジェネレータ。
Claims (7)
- 電源電圧VBを有する直流電源と、
スイッチング手段を備え、第1目標電圧に基づいた前記スイッチング手段のスイッチング状態の切り替えを含む昇圧制御により前記電源電圧VBを昇圧して負荷装置に出力する昇圧コンバータと、
前記昇圧コンバータの出力電圧VHを検出する電圧検出手段と
を備えた電力供給システムにおいて前記昇圧コンバータを制御する、昇圧コンバータの制御装置であって、
前記第1目標電圧を設定する第1設定手段と、
前記検出された出力電圧VHに基づいて、前記出力電圧VHが前記設定された第1目標電圧を含む所定範囲に維持されるように前記昇圧制御の間欠処理を実行する間欠制御手段と、
前記設定される第1目標電圧と前記検出される出力電圧VHとの間で、前記間欠処理における前記昇圧制御において前記出力電圧VHを前記設定された第1目標電圧へ収束させるための第2目標電圧を設定する第2設定手段と
を具備し、
前記間欠制御手段は、前記間欠処理において前記設定された第2目標電圧に基づいて前記昇圧制御を実行する
ことを特徴とする昇圧コンバータの制御装置。 - 前記間欠制御手段は、前記間欠処理において、前記昇圧制御により前記検出された出力電圧VHが前記第1目標電圧に達した場合に前記昇圧制御を停止させ、前記昇圧制御の停止期間において前記検出された出力電圧VHが前記所定範囲の境界値に達した場合に前記昇圧制御を再開させる
ことを特徴とする請求項1に記載の昇圧コンバータ制御装置。 - 前記間欠処理における昇圧制御の再開時点における前記第2目標電圧は、前記間欠処理における昇圧制御の再開時点、再開直前又は再開直後における前記検出された出力電圧VHである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の昇圧コンバータの制御装置。 - 前記第2設定手段は、前記出力電圧VHが所定の復帰レートに従って前記設定された第1目標電圧に収束するように前記第2目標電圧を設定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の昇圧コンバータの制御装置。 - 前記第2設定手段は、前記直流電源の温度が所定の常温領域にある場合の前記復帰レートと較べて、前記直流電源の温度が前記常温領域よりも高温側又は低温側の領域にある場合の前記復帰レートを小さく設定する
ことを特徴とする請求項4に記載の昇圧コンバータの制御装置。 - 前記第2設定手段は、間欠処理における前記昇圧制御の停止期間において、前記検出された出力電圧VHを前記第2目標電圧として設定する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の昇圧コンバータの制御装置。 - 前記間欠制御手段は、前記出力電圧VHの変動幅が所定値以内である場合に前記昇圧制御の間欠処理を開始する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の昇圧コンバータの制御装置。
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-
2012
- 2012-11-13 JP JP2012248949A patent/JP2014099949A/ja active Pending
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