JP2014087765A - 土壌浄化方法及び土壌浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】飽和帯SZの地下水GWを効率良く、かつ、短時間で加熱することができる土壌浄化方法及び土壌浄化装置を提供する。
【解決手段】注入井戸2から飽和帯中に水を注入し、飽和帯SZの汚染土壌PSから溶出した汚染物質が含まれる地下水GWを揚水井戸4から汲み上げることにより、飽和帯SZの汚染土壌PSを浄化する土壌浄化方法において、地下水中に設けられた加熱井戸3に挿入されたヒーター11により地下水GWを加熱する。
【選択図】図1

Description

本発明は、飽和帯の汚染土壌を浄化する土壌浄化方法及び土壌浄化装置に関するものである。
工場の廃棄物等から漏洩した不揮発性汚染物質(ホウ素等)が地下水に流れ込むと、地下水が汚染される。このとき地下水に流れ込んだ汚染物質の一部は、飽和帯に存在する土壌(飽和帯土壌)に付着してしまう。飽和帯土壌に存在するホウ素等の汚染物質は、人体に悪影響を及ぼすため、可能な限り汚染物質を除去して飽和帯土壌を浄化しなければならない。
従来の土壌浄化方法としては、地下水中に設けられた熱源で、地下水を加熱することにより気化した汚染物質を吸引除去する方法がある(特許文献1)。また、汲み上げた地下水を浄化処理し、加熱した処理水を飽和帯に注入することによって土壌を加熱し、気化した汚染物質を吸引除去する方法もある(特許文献2)。
また、地中に汚染土壌を囲うような仕切壁と、その仕切壁を囲うような境界壁を設け、仕切壁と境界壁との間に洗浄液を加圧浸透させることにより、汚染物質を地表面に導出する方法もある(特許文献3)。また、注入井戸から飽和帯に温水を注入し、揚水井戸から地下水を汲み上げることにより、飽和帯土壌から地下水に溶出した汚染物質を除去する方法もある(特許文献4)。また、温水の代わりに蒸気を注入する方法もある(特許文献5)。
特開平11−57685号公報 特許第3760494号公報 特開2001−17954号公報 特許第3922512号公報 特許第4042969号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載された土壌浄化方法は、気化した汚染物質を吸引除去するものであるため、揮発性汚染物質を除去することはできるが、不揮発性汚染物質を除去することはできない。
また、特許文献3に記載された土壌浄化方法では、地下水の温度が平均15℃程度と低いことから、汚染物質の地下水に対する溶解度が低く、飽和帯土壌に付着した汚染物質が地下水中に十分に溶出しない。このため、地下水を汲み上げたとしても、飽和帯の土壌中には多くの汚染物質が残存してしまい、残存した汚染物質を除去するためには、浄化処理を長時間継続しなければならない。
また、特許文献4,5に記載された土壌浄化方法は、地下水を加熱することができることにより、汚染物質の地下水に対する溶解度を従来よりも高くすることが可能となる。しかし、地上で加熱した温水あるいは蒸気を注入井戸に注入すると、地下水との温度差により注入された温水あるいは蒸気の温度が急激に低下してしまい、地下水を十分に加熱することができなかった。このため、地下水を十分に加熱するためには、温水あるいは蒸気を長時間注入し続けなければならず、地下水の加熱効率は低いものとなっていた。
本発明の目的は、上記問題点を解決するため、地下水を短時間で効率良く加熱することができる土壌浄化方法及び土壌浄化装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明によれば、注入井戸から飽和帯に水を注入し、飽和帯土壌から溶出した汚染物質を含む地下水を揚水井戸から汲み上げることにより、飽和帯土壌を浄化する土壌浄化方法であって、地下水中に設けられた加熱井戸に挿入されたヒーターにより地下水を加熱することを特徴とする土壌浄化方法が提供される。
また、前記加熱井戸を複数設け、前記揚水井戸を囲むようにして各加熱井戸を配置しても良い。この場合、各加熱井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心との距離をそれぞれ等しくしても良い。また、各加熱井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心とを結ぶ直線同士のなす角をそれぞれ等しくしても良い。
また、前記注入井戸を複数設け、前記揚水井戸を囲むようにして各注入井戸を配置しても良い。この場合、各注入井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心との距離をそれぞれ等しくしても良い。また、各注入井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心とを結ぶ直線同士のなす角をそれぞれ等しくしても良い。
また、上記課題を解決するため、本発明によれば、飽和帯に水を注入する注入井戸と、地下水を汲み上げる揚水井戸とを備えた土壌浄化装置であって、地下水中に設けられた加熱井戸と、前記加熱井戸に挿入されるように設けられたヒーターとを備えていることを特徴とする土壌浄化装置も提供される。
また、前記加熱井戸が複数設けられ、各加熱井戸が前記揚水井戸を囲むように配置されていても良い。この場合、各加熱井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心との距離がそれぞれ等しくなるように各加熱井戸が配置されていても良い。また、各加熱井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心とを結ぶ直線同士のなす角がそれぞれ等しくなるように各加熱井戸が配置されていても良い。
また、前記注入井戸が複数設けられ、各注入井戸が前記揚水井戸を囲むように配置されていても良い。この場合、各注入井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心との距離がそれぞれ等しくなるように各注入井戸が配置されていても良い。また、各注入井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心とを結ぶ直線同士のなす角がそれぞれ等しくなるように各注入井戸が配置されていても良い。
本発明によれば、地下水中に設けられた加熱井戸内にヒーターを設けることにより、短時間で効率良く地下水を加熱することができる。これにより、不揮発性汚染物質の地下水に対する溶解度を短時間で効率良く高めることができ、地下水への汚染物質の溶出を促進させることができる。その結果、飽和帯の汚染土壌を短時間で効率良く浄化処理することができる。
本発明の実施の形態に係る土壌浄化装置の概略図である。 図1中の破線部Aの領域内を拡大した図である。 本発明の変形例を示す図である。 試験水の温度とホウ素の溶出量との関係を示すバッチ式溶出試験の結果である。 洗浄回数とホウ素の溶出量との関係を示すバッチ式溶出試験の結果である。 通水量とホウ素の抽出量との関係を示すカラム式溶出試験の結果である。 通水量とホウ素の溶出量との関係を示すカラム式溶出試験の結果である。 通水量とホウ素の回収率との関係を示すカラム式溶出試験の結果である。
以下、本発明の実施の形態を、汚染物質に汚染された飽和帯汚染土壌PSを浄化する土壌浄化装置1に基づいて説明する。なお、本発明における汚染物質は、不揮発性、揮発性有機化合物を対象としており、例えば、不揮発性の汚染物質には、ホウ素・フッ素等、灯油・軽油等の油がある。また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1に示すように、土壌浄化装置1は、飽和帯SZに水を注入する注入井戸2と、地下水GWを加熱する加熱井戸3と、地下水GWを汲み上げる揚水井戸4から構成される。各井戸は、同一直線上に配置されており、揚水井戸4を挟み込むようにして2本の加熱井戸3が配置され、揚水井戸4及び各加熱井戸3を挟み込むようにして2本の注入井戸2が配置されている。また、図2に示すように、注入井戸2及び揚水井戸4は、飽和帯SZの汚染範囲(汚染土壌PSの存在領域)を囲むようにして配置されており、加熱井戸3は飽和帯SZの汚染範囲内の中央部に配置されている。
ここで、本発明における「井戸」とは、不飽和帯UZの土壌中に形成された孔に管状(例えば円管状や角管状)の金属部材が挿入されたものを指す。なお、本実施の形態における井戸の形状は、一例として円管形状とする。また、金属部材の材質としては、例えばステンレス等の耐食性のあるものを採用するのが好ましい。
各注入井戸2は、略鉛直方向に沿って不飽和帯UZに埋め込まれるようにして設けられ、各注入井戸2の下端は、飽和帯SZの下層の不飽和帯UZに到達している。各注入井戸内の地表面GLの近傍には、各注入井戸2に水を注入する注入管5が設けられている。この注入管5は、レギュレーター6、流量計7を介して、貯水タンク8に接続されている。また、各注入井戸2は、地表面GL及び飽和帯部9を除き、気密構造となっている。各注入井戸2の飽和帯部9には、注入された水が通過できる小径の穴(図示せず)が形成され、その穴の周囲はストレーナ10により覆われている。
各加熱井戸3は、略鉛直方向に沿って不飽和帯UZに埋め込まれるようにして設けられ、各加熱井戸3の下端は、飽和帯SZの下層の不飽和帯UZに到達している。各加熱井戸3には、地下水GWを加熱するためのヒーター11が加熱井戸内に挿入されるように設けられており、ヒーター11の設置深度は任意に変更できるように構成されている。ヒーター11に接続された電線12は、温調器13に接続され、ヒーター11の下端には、ヒーター11の温度を測定する熱電対14が設けられている。また、各加熱井戸3は、地表面GLを除き、気密構造となっている。
なお、加熱井戸内に挿入されるヒーター11及び電線12の長さは、加熱井戸3の深さに応じて適宜変更されるものである。また、ヒーター11の能力についても、汚染土壌PSの浄化期間や汚染濃度、各井戸の配置状態等に応じて適宜変更されるものであるが、例えば2.5kwh/mであり、ヒーター11が300℃〜600℃程度に発熱できることが好ましい。
揚水井戸4は、略鉛直方向に沿って不飽和帯UZに埋め込まれるようにして設けられ、揚水井戸4の下端は、飽和帯SZの下層の不飽和帯UZに到達している。揚水井戸4には、揚水井戸内の液体を汲み上げる水中ポンプ15が設けられ、水中ポンプ15には、揚水管16が接続されている。この揚水管16は、汚染物質を浄化する汚染物質処理装置17に接続されている。また、揚水井戸4は、地表面GL及び飽和帯部18を除き、気密構造となっている。揚水井戸4の飽和帯部18には、地下水GWが通過できる小径の穴(図示せず)が形成され、その穴の周囲はストレーナ10により覆われている。
以上のように構成された土壌浄化装置1を用いた土壌浄化方法について説明する。
まず、図1に示す貯水タンク8から水を供給する。供給された水は、レギュレーター6により水圧が調整されながら、各注入管5から各注入井戸2に注入される。そして、各注入井戸2に注入された水は、各注入井戸2の飽和帯部9に形成された小径の穴(図示せず)を通り、飽和帯SZに注入される。後述するように、地下水GWは揚水井戸4から汲み上げられるため、飽和帯SZに注水を行うことによって、飽和帯SZには、図2に示すように注入井戸2から揚水井戸4までの水の流れが形成される。
次に、各加熱井戸3に挿入されたヒーター11を作動させる。ヒーター11の熱は、加熱井戸全体に伝わり、図2に示すように各加熱井戸3の周囲の地下水GWに伝播していく。なお、地下水GWの深度によっては、地下水GWが十分に加熱されていない部分が存在する場合もある。その場合は、ヒーター11の設置深度を変更すればよい。
各加熱井戸3から生じた熱が地下水GWに伝播する結果、地下水GWの温度を上昇させることができ、汚染土壌PSに付着した汚染物質の地下水GWに対する溶解度を高くすることができる。このとき、ヒーター11は常に発熱し続けるため、各加熱井戸3が温度の低い地下水GWに曝されたとしても、各加熱井戸内の温度が低下することはない。これにより、飽和帯の汚染土壌PSに付着した汚染物質が地下水GWに溶出しやすい状態が維持される。
汚染土壌PSは、そのような状態で飽和帯中に形成された水の流れに曝されることになるため、汚染土壌PSに付着した汚染物質が地下水中に溶出する。そして、飽和帯SZに形成された水の流れにより、加熱された地下水GWが次々に汚染土壌PSに触れていく結果、汚染土壌PSに付着した汚染物質は、浄化処理を継続している間、地下水GWへ溶出し続ける。
また、各加熱井戸3から生じる熱の影響を及ぼす範囲(加熱範囲)は、各加熱井戸3を中心として円形に広がる。このため、本実施の形態においては、揚水井戸4を囲むように配置された各加熱井戸3の加熱範囲が重複することになる。これにより、加熱範囲が重複する部分では、地下水GWの加熱能力が高まり、各加熱井戸3に囲まれた地下水GWを短時間で加熱することができる。このため、汚染土壌PSに付着した汚染物質の地下水GWに対する溶解度を短時間で高くすることができる。
次に、揚水井戸内に設けられた水中ポンプ15を作動させる。これにより、揚水井戸4の飽和帯部18を通って揚水井戸内に流れ込んだ地下水GWが水中ポンプ15により汲み上げられる。このため、揚水井戸4の周囲の地下水GWは、揚水井戸内に次々に流れ込み、順次汲み上げられていく。すなわち、汚染土壌PSから溶出した汚染物質を含む地下水GWは、揚水井戸4に向かって流れていき、揚水井戸4から汲み上げられる。
そして、汚染物質を含む地下水GWは、揚水井戸4に汲み上げられて、揚水管16を通って汚染物質処理装置17に運ばれる。地下水GWに含まれる汚染物質は、その汚染物質処理装置17において無害化される。本実施の形態では、上記浄化方法を継続して行うことにより飽和帯SZの汚染土壌PSを浄化する。
以上、本発明によれば、注入井戸及び揚水井戸の他に、地下水中に加熱井戸を設け、その加熱井戸内にヒーターを設けたことにより、加熱井戸が温度の低い地下水に曝された場合であっても、各加熱井戸の温度が低下することなく、地下水を加熱し続けることができる。このため、地下水を短時間で加熱することができると共に、加熱効率も向上させることができる。これにより、不揮発性汚染物質の地下水に対する溶解度を短時間で効率良く高めることができ、地下水への汚染物質の溶出を促進させることができる。結果として、汚染土壌を短時間で効率良く浄化処理することができる。
また、従来の温水注入あるいは蒸気注入する浄化装置で地下水を十分に加熱するためには、温水あるいは蒸気の加熱設備が大型になってしまう。一方、本発明では、ヒーターを加熱井戸内に設けたことから、従来の大型の加熱設備は不要となる。さらにヒーターの使い回しも可能であることから、土壌浄化装置を容易に移動することができる。このため、従来の土壌浄化装置では達成し得ない、浄化完了後の土壌浄化装置の撤去、及び異なる土壌への再設置を容易に行うことができる。
さらに、従来の温水注入あるいは蒸気注入する浄化装置で地下水を十分に加熱するためには、相当量の温水あるいは蒸気を注入しなければならず、それに伴い飽和帯内の水の流れが激しくなってしまう。このため、汚染範囲が拡大しないように、コストの高い遮水工事を行わざるを得ない。一方、本発明によれば、地下水GWの加熱を加熱井戸で行うため、注入井戸からの注水量を抑えることができる。これにより、飽和帯中の水の流れが緩やかとなり、遮水工事を行うことなく、飽和帯土壌を浄化することができる。
また、従来の飽和帯土壌の浄化方法としては、汚染土壌を掘削除去する方法もある。この方法によれば、汚染土壌自体を取り除くことができるため、確実に汚染物質を除去することができるが、浄化コストが高くなってしまう。この点、本発明によれば、飽和帯を掘削することを必要としないため、汚染物質を十分に除去できると共に、浄化コストも抑えることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本発明の実施の形態では、加熱井戸及び注入井戸を2本ずつ設けることとしたが、各井戸の数はこれに限定されるものではなく、汚染範囲等に応じて適宜変更されるものである。また、各井戸の下端は、飽和帯の下層の不飽和帯に到達させなくても良い。また、各井戸の形状は、円管形状に限られるものではなく、角管形状やその他の形状であっても良い。すなわち、不飽和帯の土壌に形成された孔に管状の金属部材を挿入するものは、本発明の技術的範囲に属する。
また、本発明の実施の形態では、加熱井戸3を飽和帯SZの汚染範囲内の中央部に配置することとしたが、加熱井戸3の配置はこれに限定されるものではない。例えば、図3に示すように、揚水井戸4を中心とする正六角形の頂点上及び辺上に各加熱井戸3及び各注入井戸2を配置しても良い。
このような構成によれば、各加熱井戸3の加熱範囲の重複部分(正六角形の領域内)において地下水GWを短時間で、かつ、均一に加熱することができる。これにより、正六角形の領域内に存在する汚染物質を短時間で地下水GWに溶出させることができる。また、汚染範囲一帯を均一に浄化することができるため、効率的な浄化処理が可能となる。また、図3に示す各注入井戸2の配置によれば、飽和帯内に、各注入井戸2から正六角形の中心部にある揚水井戸4に向かう水の流れが形成される。これにより、汚染物質を含む地下水GWが正六角形の領域外に流出することがなくなり、汚染物質を確実に除去することができる。
ただし、各井戸の配置は、図3に示すものに限られることはなく、揚水井戸を囲むようにして各注入井戸及び各加熱井戸を配置すれば、上記作用効果を享受することができる。このとき、各加熱井戸の穴中心と揚水井戸の穴中心との距離がそれぞれ等しくなるように各加熱井戸を配置すれば、地下水を短時間で加熱することができる。また、各加熱井戸の穴中心と揚水井戸の穴中心とを結ぶ直線同士のなす角が互いに等しくなるように各加熱井戸を配置すれば、地下水を均一に加熱することも可能となる。なお、穴中心とは、井戸の形状が円管形状であれば円管の中心軸、角管形状であれば対角線の交点を通る管軸のことを指す。
同様に、各注入井戸の穴中心と揚水井戸の穴中心との距離がそれぞれ等しくなるように各注入井戸を配置すれば、汚染物質が浄化対象領域の外側に流出することを防止できる。また、各注入井戸の穴中心と揚水井戸の穴中心を結ぶ直線同士のなす角が互いに等しくなるように各注入井戸を配置すれば、その効果をさらに高めることができる。
また、汚染物質を含む地下水を汚染物質処理装置において浄化処理した後に、その処理水を注入井戸から注入しても良い。この処理水は、貯水タンクから供給される水よりも温度が高いため、地下水の加熱効率をさらに高めることができる。また、貯水タンクから供給される水は、加熱されたものであっても良い。この場合、地下水をより短時間で加熱することができる。
(実施例1)
地下水の温度と汚染物質の溶出量との関係を調査するために、実汚染土壌を用いたバッチ式溶出試験を行った。試験方法は次の通りである。まず、ビーカーに試験水(純水)を1L入れ、試験水の温度が25℃になるまで加熱する。次に、ホウ素を含有する実汚染土壌を100g投入し、攪拌する。そして、所定時間(15分,30分,1時間,2時間,3時間,6時間)経過後に採水し、その水を濾過する。その後、濾過水中のホウ素濃度を分析する。このような試験を試験水の温度条件を40℃,60℃,80℃と変更した場合についても行った。試験結果を図4に示す。
図4を見ると、試験水の温度を変更しても溶出時間が6時間あれば、ホウ素の溶出量にほとんど違いは見られない。しかし、溶出時間が15分や30分などの短い時間であれば、試験水の温度が高いほど、ホウ素の濃度が高いことがわかる。すなわち、試験水の温度が高ければ高いほど、試験水へのホウ素の溶出が促進され、短時間で汚染土壌からホウ素を取り除くことができている。
(実施例2)
次に、汚染土壌の洗浄回数と汚染物質の溶出量との関係を調査するために、実汚染土壌を用いたバッチ式溶出試験を行った。試験方法は次の通りである。まず、ビーカーに試験水(純水)を1L入れ、試験水の温度が25℃になるまで加熱する。次に、ホウ素を含有する実汚染土壌を100g投入し、攪拌する。そして、6時間経過後に採水し、その水を濾過する。その後、ホウ素の溶出値(濾過水中のホウ素濃度)を分析する。そして、濾過により残った土壌を風乾し、その土壌を新たな試験水(純水1L,25℃)が入ったビーカーに投入し、攪拌する。6時間経過後に採水し、ホウ素の溶出量を分析する。以上の試験工程を5回繰り返して行った。なお、試験水の温度条件を40℃,55℃とした場合についても試験を行った。試験結果を図5に示す。
図5を見ると、試験水の温度に関わらず、洗浄回数が増えるにつれてホウ素の溶出量が少なくなっており、洗浄を繰り返すことにより土壌に含まれるホウ素が除去されていくことがわかる。ただし、試験水の温度が55℃の場合に限っては、洗浄を5回行った時点で溶出基準値を下回ることができた。すなわち、試験水の温度を高くすればするほど、短時間で汚染物質を取り除くことが可能となる。これは、温度条件が55℃である場合に、ホウ素の積算抽出率が他の温度条件の積算抽出率に比べて高いことからも明らかである。
(実施例3)
次に、汚染土壌への通水量と汚染物質の溶出量との関係を調査するために、実汚染土壌を用いたカラム式溶出試験を行った。試験方法は次の通りである。まず、カラムにホウ素を含有する実汚染土壌を投入し、カラムを設定温度(25℃)で一晩以上放置する。その後、カラムの下端から、土壌重量と同量の試験水(純水)を通水させる。このときの通水速度は、カラムの下端に注入した試験水が6時間後に土壌表面に到達するような速度である。通水量が土壌重量に対して10倍の量となるまで試験を継続し、通水液のホウ素の溶出量の変化を分析した。このような試験を、カラムの設定温度を40℃,55℃に変更した場合についても行った。土壌重量あたりの通水量の比と通水液中のホウ素濃度との関係を図6に、土壌重量あたりの通水量の比とホウ素抽出量との関係を図7、土壌重量あたりの通水量の比とホウ素回収率との関係を図8に示す。なお、図8における「回収率」とは、溶出試験におけるホウ素の抽出量と、試験開始前の汚染土壌に含まれるホウ素量との比率である。
図6によれば、通水量が多くなるにつれて、通水液中のホウ素濃度が低くなっていき、試験終了時点では、設定温度の違いによるホウ素濃度の違いは、ほとんど見られない。しかし、カラムの設定温度が40℃又は55℃である場合には、通水量が少ない時点において、ホウ素濃度が高い値を示している。すなわち、通水液の温度が高ければ、通水液中へのホウ素の溶出が促進され、短時間で多くの汚染物質を除去することができている。
また、図7を見ると、設定温度が40℃又は55℃である場合には、設定温度が25℃である場合に比べて、通水量に対するホウ素の抽出量が高くなっている。図6に示す試験終了時のホウ素濃度については、設定温度による違いが見られないものの、図7によれば、設定温度が40℃又は55℃の場合には、通水量の少ない段階においてホウ素が多量に除去され、汚染土壌に残存するホウ素が少なくなったために試験終了時のホウ素濃度が低くなっていることが明らかとなる。一方、設定温度が25℃の場合には、単にホウ素が溶出しにくいことから、ホウ素濃度が低くなっているに過ぎない。すなわち、通水液の温度が高ければ高いほど、汚染土壌に付着した汚染物質を短時間で確実に除去することができる。このことは、図8に示す試験結果からも明らかである。本試験結果から、地下水の温度も40℃以上にすれば、より短時間で汚染物質を地下水に溶出させることができると推認される。
本発明は、不揮発性汚染物質に汚染された飽和帯土壌を浄化する土壌浄化方法及び土壌浄化装置に適用することができる。
1 土壌浄化装置
2 注入井戸
3 加熱井戸
4 揚水井戸
5 注入管
6 レギュレーター
7 流量計
8 貯水タンク
9 注入井戸飽和帯部
10 ストレーナ
11 ヒーター
12 電線
13 温調器
14 熱電対
15 水中ポンプ
16 揚水管
17 汚染物質処理装置
18 揚水井戸飽和帯部
S 飽和帯土壌
PS 飽和帯汚染土壌
GL 地表面
GW 地下水
SZ 飽和帯
UZ 不飽和帯
UZ 不飽和帯

Claims (14)

  1. 注入井戸から飽和帯に水を注入し、飽和帯土壌から溶出した汚染物質を含む地下水を揚水井戸から汲み上げることにより、飽和帯土壌を浄化する土壌浄化方法であって、
    地下水中に設けられた加熱井戸に挿入されたヒーターにより地下水を加熱することを特徴とする土壌浄化方法。
  2. 前記加熱井戸を複数設け、前記揚水井戸を囲むようにして各加熱井戸を配置することを特徴とする請求項1に記載の土壌浄化方法。
  3. 各加熱井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心との距離をそれぞれ等しくすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の土壌浄化方法。
  4. 各加熱井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心とを結ぶ直線同士のなす角をそれぞれ等しくすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の土壌浄化方法。
  5. 前記注入井戸を複数設け、前記揚水井戸を囲むようにして各注入井戸を配置することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の土壌浄化方法。
  6. 各注入井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心との距離をそれぞれ等しくすることを特徴とする請求項5に記載の土壌浄化方法。
  7. 各注入井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心とを結ぶ直線同士のなす角をそれぞれ等しくすることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の土壌浄化方法。
  8. 飽和帯に水を注入する注入井戸と、地下水を汲み上げる揚水井戸とを備えた土壌浄化装置であって、
    地下水中に設けられた加熱井戸と、
    前記加熱井戸に挿入されるように設けられたヒーターとを備えていることを特徴とする土壌浄化装置。
  9. 前記加熱井戸が複数設けられ、各加熱井戸が前記揚水井戸を囲むように配置されていることを特徴とする請求項8に記載の土壌浄化装置。
  10. 各加熱井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心との距離がそれぞれ等しくなるように各加熱井戸が配置されていることを特徴とする請求項9に記載の土壌浄化装置。
  11. 各加熱井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心とを結ぶ直線同士のなす角がそれぞれ等しくなるように各加熱井戸が配置されていることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の土壌浄化装置。
  12. 前記注入井戸が複数設けられ、各注入井戸が前記揚水井戸を囲むように配置されていることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の土壌浄化装置。
  13. 各注入井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心との距離がそれぞれ等しくなるように各注入井戸が配置されていることを特徴とする請求項12に記載の土壌浄化装置。
  14. 各注入井戸の穴中心と前記揚水井戸の穴中心とを結ぶ直線同士のなす角がそれぞれ等しくなるように各注入井戸が配置されていることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の土壌浄化装置。
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