JP2014080520A - 電力計カバー - Google Patents

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Abstract

【構成】ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、特定のアルキルケテンダイマー(B)0.01〜20重量部および紫外線吸収剤(C)0.05〜3重量部を必須成分とするポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる電力計カバー。
【効果】本発明の電力計カバーは、優れた透明性、耐衝撃性のみならず、優れた耐薬品性および耐候性を有している。そのため、本発明の電力計カバーに、洗浄剤や可塑剤等の各種薬品が付着しても割れ等の不具合の発生が抑えられ、電力計本体の屋外設置によるカバーへの紫外線暴露に起因する劣化等の発生を抑えられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐薬品性および耐候性を改善したポリカーボネート樹脂製の電力計カバーに関する。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐衝撃性、耐熱性、熱安定性等に優れた熱可塑性樹脂であり、電気、電子、ITE、機械、自動車などの分野で広く用いられている。最近では、透明性、耐衝撃性が優れることから、電力計のカバーにも採用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂から得られた電力計カバーに洗浄剤や可塑剤等の各種薬品が付着する事で割れ等の不具合が発生する場合があり、かかる不具合が発生しないように耐薬品性に優れたポリカーボネート樹脂が要望されている。また、電力計本体の屋外設置によるカバーへの紫外線暴露に起因する劣化等が発生する場合があり、かかる不具合が発生しないように耐候性に優れたポリカーボネート樹脂が要望されている。
上記欠点を改良する目的でポリカーボネート樹脂にポリエステル樹脂を配合した樹脂組成物が提案されている。しかしながら、ポリエステル樹脂を配合する事で、
(1)耐薬品性は若干改良されるものの、アタック性の強いアルカリ洗剤や機械油等が付着した場合に割れ等の不具合が発生するなど改良効果は十分とはいえず、
(2)ポリカーボネート樹脂の長所である透明性を大きく低下させると共に、
(3)ポリカーボネート樹脂の耐衝撃性が損なわれる、
という問題があった。
また、耐衝撃強性を改良する為にポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂からなる樹脂組成物にMBS等の耐衝撃改良材を配合する方法が提案されている。(特許文献1)しかしながら、MBSに起因する着色やポリエステル樹脂がエステル交換を起こして分解するという問題があり、更なる改良が求められていた。
特公昭55−9435号公報
本発明は、ポリカーボネート樹脂が本来有する透明性、衝撃性等を保持したまま、耐薬品性および耐候性を著しく改善したポリカーボネート樹脂製の電力計カバーを提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる課題に鑑み鋭意研究を行った結果、ポリカーボネート樹脂に特定のアルキルケテンダイマーおよび紫外線吸収剤を配合することにより驚くべきことに耐薬品性が著しく改良でき、かつ耐気候性をも具備したポリカーボネート樹脂製の電力計カバーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、下記一般式1に示すアルキルケテンダイマー(B)0.01〜20重量部および紫外線吸収剤(C)0.05〜3重量部を必須成分とするポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる電力計カバーを提供するものである。
一般式1:
Figure 2014080520
(一般式1において、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数6〜33のアルキル基をあらわす。)
本発明の電力計カバーは、優れた透明性、耐衝撃性のみならず、優れた耐薬品性および耐候性を有している。そのため、本発明の電力計カバーに、洗浄剤や可塑剤等の各種薬品が付着しても割れ等の不具合の発生が抑えられ、電力計本体の屋外設置によるカバーへの紫外線暴露に起因する劣化等の発生を抑えられる。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−〔4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル〕−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、特に制限はないが、成形加工性、強度の面より通常10000〜100000、より好ましくは14000〜30000、さらに好ましくは18000〜23000の範囲である。また、かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明にて使用されるアルキルケテンダイマー(B)は下記一般式にて示される化合物である。
一般式1:
Figure 2014080520
一般式1において、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数6〜33のアルキル基、好ましくは炭素数10〜21のアルキル基である。
一般式1において、更に好ましくは、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数が10〜21のアルキル基である化合物が使用できる。
アルキルケテンダイマー(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.01〜20重量部である。0.01重量部未満では耐薬品性に劣り、20重量部を越えると造粒加工が困難になり樹脂組成物のペレットを得ることができなくなることから好ましくない。好ましい配合量は、0.01〜10重量部、更に好ましくは0.03〜5重量部である。
本発明にて使用される紫外線吸収剤(C)としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系など各種紫外線吸収剤が挙げられるが、特に以下に示すベンゾトリアゾール系が公的である。ベンゾトリアゾール系は2−(2−hydroxy−5−methylphenyl)−2H−benzotriazole、2−(3−tert−butyl−2−hydroxy−5−methylphenyl)−5−chloro−2H−benzotriazole、2−(3,5−di−tert−pentyl−2−hydroxyphenyl)−2H−benzotriazole、2−(2H−benzotriazole−2−yl)−4−methyl−6−(3,4,5,6−tetrahydrophthalimidylmethyl)phenol、2−(2−hydroxy−4−octyloxyphenyl)−2H−benzotriazole、2−(2−hydroxy−5−tert−octylphenyl)−2H−benzotriazole、2−[2’−hydroxy−3,5−di(1,1−dimethylbenzyl)phenyl]−2H−benzotriazole、2,2’−Methylenbis[6−(2H−benzotriazol−2−yl)4−(1,1,3,3−tetramethylbutyl)phenol]などを挙げることができる。なかでも、熱成形加工時の蒸散性が良好なことから2,2’−Methylenbis[6−(2H−benzotriazol−2−yl)4−(1,1,3,3−tetramethylbutyl)phenol]が好適に使用される。
またトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノールなどを挙げることができる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、 2、4―dihydroxybenzophenone、2−hydroxy−4−n−octoxybenzophenoneなどを挙げることができる。
紫外線吸収剤(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、0.05〜3重量部である。0.05重量部未満では耐候性に劣り、3重量部を越えると成形加工時にガスが多く発生する等により金型を汚染する等熱安定性に劣り好ましくない。好ましい配合量は0.1〜2重量部、更に好ましくは0.2〜0.6重量部である。
本発明の各種配合成分(A)、(B)および(C)の配合方法には特に制限はなく、任意の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等によりこれらを混合し、通常の単軸または二軸押出機等で溶融混練することができる。また、これら配合成分の配合順序や一括混合、分割混合を採用することについても特に制限はない。
また、混合時、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば離型剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、染顔料、展着剤(エポキシ大豆油、流動パラフィン等)や強化材(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ等)等、又、他の樹脂を配合することができる。
本発明の電力計カバーは、主として射出成形方法にて製造される。この場合、特に限定されないが、100〜300Tクラスの射出成形機が用いられる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。なお、部や%は特に断りのない限り重量基準に基づく。
使用した配合成分は、以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂:
ビスフェノールAとホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂
(住化スタイロンポリカーボネート社製 カリバー200−13
粘度平均分子量:20700、以下、PCと略記)
酸化防止剤:
アデカ社製 PEP36(以下、AOと略記)
アルキルケテンダイマー(B):
永恒化工社製 AKD1840(以下、AKDと略記)
紫外線吸収剤:
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
(BASF社製 TINUVIN 329、以下「UVA−1」と略記。)
トリアジン系紫外線吸収剤
(BASF社製 TINUVIN 1577、以下「UVA−2」と略記。)
前述の各種配合成分を表1および2に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(神戸製鋼所製KTX37)を用いて、溶融温度280℃にて混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
(成形品の耐薬品性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cmにて試験片(127x13x3.2mm)を作成した。
得られた試験片を片持ち梁の耐薬品性試験の治具(図1参照)を用いて任意の歪みをかけて、試験片の中央部に下記薬剤をそれぞれ塗布した。
評価用薬剤
花王社製 マジックリン(以下、C1と略記)
東京化成工業社製 ジオクチルフタレート(以下、C2と略記)
上記の薬剤塗布後の試験片を23℃および40℃の雰囲気下で48時間放置し、試験片上の割れやヒビの位置から臨界歪み(%)を次式により求めた。
Figure 2014080520
上記式にて求めた臨界歪みから、耐薬品性を下記基準にて判定し、臨界歪みが0.7%超(○〜◎)を合格とした。
耐薬品性の判定:
◎:臨界歪みが1.0%以上
○:臨界歪みが0.7%以上〜1.0%未満
△:臨界歪みが0.5%以上〜0.7%未満
×:臨界歪みが0.3%以上〜0.5%未満
××:臨界歪みが0.3%未満
(成形品の透明性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cmにて透明性評価用試験片(150x90x3.0mm)を作成した。
得られた試験片を用いてJIS K7361に準じ、試験片厚み3mmの光線透過率を測定し、光線透過率が80%以上を合格とした。
(成形品のノッチ付きシャルピー衝撃強度の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cmにてISO試験法に準じた試験片を作成し、得られた試験片を用いてISO 179−1、ISO75−2に準じノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定した。ノッチ付きシャルピー衝撃強度が10KJ/m以上を合格とした。
(成形品の耐候性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cmにて耐候性評価用試験片(150x90x2.0mm)を作成した。
得られた試験片を促進耐候試験機キセノンウェザーメーター(スガ試験機社製スーパーキセノンウェザーメーターSX75)の中に設置し、150W/m2、雨無しの条件で300時間照射を行った。その後、照射後の試験片のYIを測定し、ΔYI(YIの差)を求めた。△YIとは照射前後の黄身の程度を表し、△YIが小さい程、変色は小さく耐光性に優れている。△YIの評価基準としては、△YIの値が12.0未満であるものを合格(○)、12.0以上であるものを不合格(×)とした。
(熱安定性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cmにて試験片(150x90x3.0mm キャビティ90%の充填率)を50ショット連続射出成形し、金型キャビティ流動末端部の汚染度合いについて目視判定した。金型キャビティ流動末端部の汚染度合いがあまり見られないものを合格(○)、金型キャビティ流動末端部に白く汚染物の付着が見られるものを不合格(×)とした。
Figure 2014080520
Figure 2014080520
ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を満足する場合(実施例1〜4)にあっては、耐薬品性、透明性、衝撃強度、耐候性のそれぞれに亘って良好な結果を示した。
一方、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を満足しない場合においては、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
アルキルケテンダイマーが添加されていない例(比較例1)およびアルキルケテンダイマーの添加量が本発明の定める範囲よりも少ない例(比較例2)においては、何れも耐薬品性に劣っていた。
紫外線吸収剤が本発明の定める範囲よりも少ない例(比較例3)においては耐候性に劣っていた。
紫外線吸収剤が本発明の定める範囲よりも多い例(比較例4)においては熱安定性に劣っていた。
比較例5はアルキルケテンダイマーの添加量が本発明の定める範囲より多い事から、造粒困難よりペレットが作成出来なかった。
片持ち梁の耐薬品性試験の評価用治具の説明図である。
1 耐薬品性試験の評価用治具本体
2 試験片
3 試験片の固定用ネジ
4 試験片に歪を与えるネジ

Claims (3)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、下記一般式1に示すアルキルケテンダイマー(B)0.01〜20重量部および紫外線吸収剤(C)0.05〜3重量部からなるポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる電力計カバー。
    一般式1:
    Figure 2014080520
    (一般式1において、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数6〜33のアルキル基をあらわす。)
  2. アルキルケテンダイマー(B)の配合量が、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.03〜5重量部、紫外線吸収剤(C)が、0.05〜3重量部であることを特徴とする請求項1に記載の電力計カバー。
  3. 紫外線吸収剤(C)が、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、若しくはベンゾフェノン系化合物であることを特徴とする請求項1に記載の電力計カバー。
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