JP2014080313A - 複層ガラスおよび複層ガラスの製造方法 - Google Patents

複層ガラスおよび複層ガラスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】真空引きするための孔のない、大気圧未満の圧力状態でシール部材によって密閉される複層ガラスを提供する。
【解決手段】相互に対向する2枚のガラス基板110、120と間隙部100と大気圧未満の圧力状態でシール部材140によって密閉される複層ガラス100であって、シール部材140は、額縁状の第1の金属部材160と、第2の金属部材180と、第1の接合層150、第2の接合層190、第3の接合層170とで構成され、第1の接合層150は、第1の金属部材160に結合され、第2の接合層190は第2のガラス基板に配置され、第3の接合層170は第1の金属部材160と第2の金属部材180の間に額縁状に配置に配置されていることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は複層ガラスおよび複層ガラスの製造方法に関する。
一対のガラス基板を間隙部を介して積層し、該間隙部を低圧または真空状態に保持して構成される、いわゆる「真空複層ガラス」は、優れた断熱効果を有するため、例えばビルおよび住宅等の建築物用の窓ガラス用途に広く利用されている。
真空複層ガラスにおいては、間隙部を真空状態に保持するために該間隙部の周囲に設置されるシール部材のシール性能が、真空複層ガラス全体の断熱性に大きな影響を及ぼす。シール部材のシール性が劣る場合、シール部材を介して、大気中の空気および/または水蒸気等の成分が間隙部に容易に侵入し、これにより間隙部の真空度が低下するからである。このため、よりシール性に優れたシール部材の検討が進められている。
特に、最近では、金属部材と非金属部材とで構成されたシール部材が開発されている。例えば、特許文献1には、真空複層ガラスにおいて、金属部材とガラスフリットとを組み合わせてシール構造を形成することが開示されている。
欧州特許出願公開第2248985号明細書
例えば、特許文献1には、図1に示されるように、第1のガラス基板2と、第2のガラス基板3と、両ガラス基板の間にピラー5を介して構成された間隙部6と、該間隙部6の周囲に構成されたシール構造20とを備える真空複層ガラス1が示されており、このシール構造20は、第1のガラス基板2側の第1のガラスフリット25、第1の金属部材21、第2の金属部材22、および第2のガラス基板3側の第2のガラスフリット26を、この順に積層した積層体で構成される。
このようなシール構造20を製造する場合、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間に金属部材をそれぞれのガラス基板2、3との間にガラスフリット25、26を介して積層させ、ガラスフリット25、26を加熱して第1および第2のガラス基板2、3と金属部材21、22とを結合させる。
間隙部6を真空状態にするには、一般的に金属部材とガラスフリット25、26とを結合させた後にどちらかのガラス基板に孔を空けてそこから間隙部6を吸引(真空引き)して真空状態にし、孔を塞ぐ処理を施すことが行われている。しかしながら、この真空引きをするための孔は意匠性を損なうものである。
この問題を解決するために、真空状態に保たれた真空チャンバー内で金属部材とガラスフリットとを結合させることが考えられる。しかしながら、金属部材とガラスフリットとの結合を真空チャンバー内で実施することは加熱が高温および/または長い時間保持する必要があるためプロセス上困難である。特許文献1には積層された金属部材同士を接合層なしにレーザ溶接や超音波接合によって直接結合させる方法が記載されているが、低い生産性や装置の複雑化などの観点から、量産設備としては適していない。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、真空引きするための孔のない複層ガラスを提供することを目的とする。また、本発明では、真空引きするための孔のない複層ガラスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、相互に対向する第1のガラス基板の第1の表面と第2のガラス基板の第2の表面との間に、間隙部を備える複層ガラスであって、
前記間隙部は、大気圧未満の圧力状態でシール部材によって密閉され、
前記シール部材は、第3の表面および第4の表面を有する額縁状の第1の金属部材と、第5の表面および第6の表面を有する額縁状の第2の金属部材と、第1、第2および第3の接合層とを有し、
前記第1の接合層は、前記第1のガラス基板の第1の表面に額縁状に配置され、前記第1の金属部材の第3の表面の少なくとも一部に結合され、
前記第2の接合層は、前記第2のガラス基板の第2の表面に額縁状に配置され、前記第2の金属部材の第6の表面の少なくとも一部に結合され、
前記第3の接合層は、前記第1の金属部材の第4の表面と前記第2の金属部材の第5の表面の間に額縁状に配置され、該第4の表面の少なくとも一部と該第5の表面の少なくとも一部とに結合されていることを特徴とする複層ガラスが提供される。
また、本発明では、第1および第2のガラス基板が間隙部を介して積層された複層ガラスの製造方法であって、
第1のガラス基板の第1の表面に、額縁状に第1の接合層を形成し、第2のガラス基板の第2の表面に、額縁状に第2の接合層を形成するステップと、
第3の表面および第4の表面を有する額縁状の第1の金属部材を準備し、第5の表面および第6の表面を有する額縁状の第2の金属部材を準備するステップと、
前記第1のガラス基板を、前記第1の表面が前記第1の金属部材の第3の表面と対向するように配置し、前記第2のガラス基板を、前記第2の表面が前記第2の金属部材の第6の表面と対向するように配置するステップと、
前記第1および第2のガラス基板を焼成して、前記第1の接合層と前記第1の金属部材とを、前記第2の接合層と前記第2の金属部材とをそれぞれ結合させるステップと、
前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを、前記第1の金属部材の前記第4の表面と前記第2の金属部材の前記第5の表面とが対向するようにかつ前記第1の金属部材の第4の表面と前記第2の金属部材の第5の表面の間に額縁状に前記第1および第2の接合層よりも軟化点が低い第3の接合層を配置させて積層し、組立体を構成するステップと、
前記組立体を大気圧未満の圧力状態にあるチャンバー内に配置した状態で、該組立体を加熱して、前記第3の接合層と前記第1および第2の金属部材とを結合させるステップと、
を有することを特徴とする複層ガラスの製造方法が提供される。
真空引きするための孔のない複層ガラスを提供できる。また、真空引きするための孔のない複層ガラスの製造方法を提供できる。
図1は、従来の複層ガラスの構成の一例の概略図である。 図2は、第1実施形態に係る複層ガラスの構成の一例の概略図である。 図3は、第1実施形態の複層ガラスのシール部材の部分拡大断面図である。 図4は、第2実施形態に係る複層ガラスの構成の一例の概略図である。 図5は、第1実施形態の複層ガラスのシール部材の一部を拡大した断面図である。 図6は、本発明の一実施形態による複層ガラスの製造方法の一例のフロー図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1実施形態の複層ガラス)
以下、図2を参照して、本発明の第1実施形態による複層ガラスについて説明する。図2には、真空複層ガラスの構成の一例の概略図を示す。
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る真空複層ガラス100は、第1のガラス基板110と、第2のガラス基板120と、両ガラス基板110、120の間に構成された間隙部130と、間隙部130を保持するための複数のスペーサ135と、間隙部130を密閉状態に保持するシール部材140とを有する。図2において、シール部材140は、第2の接合層190、第2の金属部材180、第3の接合層170、第1の金属部材160、および第1の接合層150がこの順に積層されて構成される。
第1のガラス基板110は、第1の表面112および第1の外表面114を有する。真空複層ガラス100において、第1のガラス基板110は、第1の外表面114が外側となるように配置される。同様に、第2のガラス基板120は、第2の表面122および第2の外表面124を有する。真空複層ガラス100において、第2のガラス基板120は、第2の表面124が外側となるようにして配置される。したがって、間隙部130は、第1のガラス基板110の第1の表面112と、第2のガラス基板120の第2の表面122との間に形成される。
通常の場合、間隙部130内は、真空状態に維持される。ここで、間隙部130の真空度は、特に限られず、大気圧よりも低いいかなる圧力であっても良い。一般に、間隙部130の圧力は、0.2Pa〜0.001Pa程度である。
なお、間隙部130内には、アルゴンなどの不活性ガスが、大気圧未満の圧力で充填されても良い。すなわち、本願において、「真空複層ガラス」は、間隙部内の圧力が必ずしも真空状態になっているものに限られず、「真空複層ガラス」という用語は、間隙部内の圧力が大気圧未満となっている全ての複層ガラスを意味するものとする。
図2に示したように、真空複層ガラス100は、間隙部130内に、1または2以上のスペーサ135を有しても良い。スペーサ135は、間隙部130を所望の形状に保持する役割を有する。ただし、スペーサ135がなくても、間隙部130を所望の形状に維持することができる場合、例えば、間隙部130の真空度が低い場合、または間隙部130に不活性ガスなどがある程度の圧力で充填される場合には、スペーサ135を省略しても良い。
シール部材140は、間隙部130を密閉状態に保持するための部材であり、図2の例では、シール部材140は、間隙部130の周囲全体に亘って配置されている。
シール部材140は、第2の接合層190、第2の金属部材180、第3の接合層170、第1の金属部材160、および第1の接合層150を備え、図2の例ではこの順に積層されて構成される。
第1の接合層150は、第1のガラス基板110の第1の表面112側に、第1のガラス基板110の周囲にわたって、「額縁状」に設置されている。同様に、第2の接合層190は、第2のガラス基板120の第2の表面122側に、第2のガラス基板120の周囲にわたって、「額縁状」に設置されている。
ここで、本願において、「額縁状」という用語は、平面視において、平板形状の内部が取り除かれ、外側輪郭および内側輪郭を有する「枠」で構成された形状の総称を意味する。ただし、「額縁状」の部材の外側輪郭および/または内側輪郭は、必ずしも額のような略直方体の形状に限られず、例えば、略台形、略円形、または略楕円形の形状であっても良い。また、「額縁状」の部材の外側輪郭と内側輪郭は、必ずしも相似形である必要はなく、両者は、例えば、全く異なる形状であっても良い。
第1の金属部材160は、第3の表面162および第4の表面164を有し、「額縁状」の形状を有する。第1の金属部材160の第3の表面162は、少なくとも一部が第1の接合層150と結合されており、第1の金属部材160の第4の表面164は、少なくとも一部が第3の接合層170と結合されている。
図2の例では、第1の金属部材160は、「段差」を有し、第1の金属部材160の断面で見たとき、第1の金属部材160の第3の表面162は、第1のガラス基板110の第1の表面とほぼ同じレベルの高さから、第1の接合層160の結合部分(以下、「第1の結合部分(162a)」と呼ぶ)まで変化する輪郭を有する。しかしながら、第1の金属部材160は平坦な金属部材であっても良い。図2で示す、段差を有する第1の金属部材160を使用することにより、後述の両ガラス基板110、120の間の熱膨張の差異の影響を緩和する効果がより大きくなるため、好ましい。
なお、図2の例では、第1の金属部材160の両表面162、164は、直線的に折れ曲がった輪郭で示されているが、第1の金属部材160の形状は、これに限られるものではない。すなわち、第1の金属部材160の両表面162、164は、曲線的に湾曲した形状、または直線と曲線の組み合わせで構成された輪郭を有しても良い。
第2の金属部材180は、第5の表面182および第6の表面184を有し、「額縁状」の形状を有する。第2の金属部材180の第5の表面182は、少なくとも一部が第3の接合層170と結合されており、第2の金属部材180の第6の表面184は、少なくとも一部が第2の接合層190と結合されている。
このようなシール部材140を間隙部130の周囲に配置することにより、間隙部130を密閉することができる。
また、第1および第2の接合層150、190と第3の接合層170とは異なる材料で構成される。特には、第3の接合層170は、第1および第2の接合層150、190よりも軟化点の低い材料からなることが好ましい。このように構成することにより、第1および第2の接合層150、190を介して第1および第2の金属材料160、180、第1および第2のガラス基板110、120それぞれとを結合させる工程と、第3の接合層170と第1および第2の金属材料160、180とを接合する工程とを異なる温度の工程で実施することが可能となる。詳細は後述するが、このようなシール構造にすることにより、真空チャンバー内でシール部材を封止することが容易となり好ましい。
ここで、真空複層ガラス100を厚さ方向(図2のZ方向)から見たとき、第2の接合層190の設置位置と第1の接合層150の設置位置とは、ずれていることが好ましく、重なり合っていないことがより好ましい。図2の例では、第1の接合層150は、第2の接合層190よりも内側に設置されているが、本発明はこれに限られず、第1の接合層150は、第2の接合層190よりも外側に設置されていても良い。
同様に、第3の接合層180の設置位置と第1の接合層150の設置位置とは、ずれていることが好ましく、重なり合っていないことがより好ましい。なお、真空複層ガラス100を厚さ方向から見たとき、第3の接合層180の設置位置と第2の接合層190の設置位置とは、ずれていても良いが、図2の例のように、同じ位置に設置されることが好ましい。このように設置することにより、第1の金属部材の幅を小さくできる。
シール部材140をこのように構成した場合、第1のガラス基板110と第2のガラス基板120との間に温度差が生じた場合でも、第1の金属部材160の第2のガラス基板120の第2の表面122と平行な方向(図2のX方向)における変形機能のため、両ガラス基板110、120の間の熱膨張の差異の影響を緩和することが可能となる。
以下、図3を参照して、この効果をより詳しく説明する。
図3に、第1実施形態の真空複層ガラス100のシール部材140の部分拡大断面図を示す。まず、真空複層ガラス100において、第1のガラス基板110の側が、第2のガラス基板120の側よりも低温になった場合を仮定する。
この場合、第1のガラス基板110は、収縮する方向の応力を受け、第2のガラス基板120は、膨脹する方向の応力を受ける。
より具体的には、図3(a)に示すように、第1のガラス基板110は、矢印F101の方向に変形しようとし、これに伴い、第1の接合層150も、矢印F103の方向に応力を受ける。一方、第2のガラス基板120は、矢印F102の方向に変形しようとし、これに伴い、第2の接合層190、第2の金属部材180および第3の接合層170も、矢印F104の方向に応力を受ける。
その結果、第1の金属部材160の左側の端部は、矢印F105の方向に応力を受け、第1の金属部材160の右側の端部は、矢印F106の方向に応力を受ける。
ここで、第1の金属部材160の第3の表面162は、第1の結合部分162aを除いて、他の部材には拘束されておらず、第4の表面164は、第3の接合層170と結合された部分(以下、「第2の結合部分(164a)」と呼ぶ)を除いて、他の部材には拘束されていない。また、第2の金属部材180の第5の表面182は、第3の接合層170と結合された部分(以下、「第3の結合部分(182a)」と呼ぶ)を除いて、他の部材には拘束されておらず、第6の表面は、第2の接合層190と結合された部分(以下、「第4の結合部分(184a)」と呼ぶ)を除いて、他の部材には拘束されていない。このため、第1の金属部材160は、矢印F105および矢印106の方向に変形することができる。
このような第1の金属部材160の矢印F105および矢印106の方向(X方向)における膨脹により、シール部材140は、第1のガラス基板110および第2のガラス基板120に働く応力F101、F102に追随し、両ガラス基板110、120の熱膨脹差による影響を緩和することができる。
次に、真空複層ガラス100において、第1のガラス基板110の側が、第2のガラス基板120の側よりも高温になった場合を仮定する。
この場合、第1のガラス基板110は、膨脹する方向の応力を受け、第2のガラス基板120は、収縮する方向の応力を受ける。
より具体的には、図3(b)に示すように、第1のガラス基板110は、矢印F201の方向に変形しようとし、これに伴い、第1の接合層150も、矢印F203の方向に応力を受ける。一方、第2のガラス基板120は、矢印F202の方向に変形しようとし、これに伴い、第2の接合層190、第2の金属部材180および第3の接合層170も、矢印F204の方向に応力を受ける。
その結果、第1の金属部材160の左側の端部は、矢印F205の方向に応力を受け、第1の金属部材160の右側の端部は、矢印F206の方向に応力を受ける。
ここで、第1の金属部材160の第3の表面162は、第1の結合部分162aを除いて、他の部材には拘束されておらず、第4の表面164は、第2の結合部分164aを除いて、他の部材には拘束されていない。また、第2の金属部材180の第5の表面182は、第3の結合部分182aを除いて、他の部材には拘束されておらず、第6の表面は、第4の結合部分184aを除いて、他の部材には拘束されていない。このため、第1の金属部材160は、矢印F205および矢印206の方向に変形することができる。
このような第1の金属部材160の矢印F205および矢印206の方向(X方向)における収縮により、シール部材140は、第1のガラス基板110および第2のガラス基板120に働く応力F201、F202に追随し、両ガラス基板110、120の熱膨脹差による影響を緩和することができる。
このように、真空複層ガラス100では、シール部材140に含まれる第1の金属部材160の変形機能により、真空複層ガラス100の歪みや変形を有意に抑制することができる。
以上のように、本発明の第1実施形態による真空複層ガラス100では、熱応力による変形の影響を有意に抑制することができる。
また、図2からは明確ではないが、第1の金属部材160の第3の表面162は、第1の結合部分162a以外の箇所では、他の部材とは結合されておらず、第1の金属部材160の第4の表面164は、第2の結合部分164a以外の箇所では、他の部材とは結合されていないことに留意する必要がある。
このような形状の第1の金属部材160を有するシール部材140は、第1のガラス基板110と第2のガラス基板120との間に温度差が生じた場合に、第1の金属部材160の第2の表面162と平行な方向(図2のX方向)に変形しやすい形状となっているため、熱膨張の差異の影響を緩和しやすい。
また、図2の上部(Z方向)から見て第1のガラス基板110が、第3の接合層170の少なくとも一部と重なる形状である場合、すなわち、第3の接合層170と重なる位置または外側に第1のガラス基板110の端部が位置する場合、第3の接合層170を第1および第2の金属部材160、180と結合させるときに第3の結合層170を容易に加圧することが可能となる。
また、真空複層ガラス100のシール部材140は、U字型などのような複雑な三次元形状の金属部材を有さない。このため、シール部材140は、比較的容易に製造することができる。
さらに、金属部材160、180は、額縁状に形成されるため、コーナー部の処理も簡単である。すなわち、金属部材がU字型の場合は、コーナー部を精度良く構成することは極めて難しい。しかしながら、額縁状の金属部材160、180では、一体品(シームレス部材)で構成したり、複数の平面状部材を組み合わせて構成したりすることが容易に可能となるため、コーナー部の対処に苦慮する必要性が有意に抑制される。
(第2実施形態の真空複層ガラス)
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態による真空複層ガラスについて説明する。
図4に、第2実施形態に係る真空複層ガラスの構成の一例の概略図を示す。
図4に示すように、本発明の第2実施形態による真空複層ガラス200は、基本的に、前述の図2に示した真空複層ガラス100と同様の構成を有する。従って、図4において、図2と同様の部材には、図2の参照符号に100を加えた参照符号が使用されている。
図4に示す第2実施形態の真空複層ガラス200は、第1実施形態の真空複層ガラス100とは、第1のガラス基板と第2のガラス基板の間の寸法関係が異なっている。
図2に示した真空複層ガラス200では、厚さ方向(Z方向)から見たとき、第1のガラス基板110と第2のガラス基板120とは、端部の位置が揃っている。これに対して、図4に示す第2実施形態の真空複層ガラス200では、厚さ方向(Z方向)から見たとき、第1のガラス基板210は、第2のガラス基板220に比べて、端部が内側にある。
なお、図4の例では、第1のガラス基板210は、厚さ方向(Z方向)から見たとき、丁度、第1の金属部材260の「段差」の中央近傍で終端化されている。しかしながら、これは単なる一例であって、第1のガラス基板210の端部は、第1の結合部分262aよりも外側である限り、いかなる領域で終端化されていても良い。
このような構成の真空複層ガラス200では、2つのガラス基板210、220の間の温度差によって第1の金属部材260が収縮する際、他の部材による拘束がより少なくなる。例えば、第1のガラス基板210が第2のガラス基板220に対して膨張する場合(例えば、図3(b)で示した場合)、第1の金属部材260はX方向に収縮する必要がある。真空複層ガラス200では、この際に、第1の金属部材260の上部に第1のガラス基板210が存在しないため、第1の金属部材260は、「三次元」的に変形することができるようになる。このため、真空複層ガラス200では、シール部材240に、より大きな変形能が提供される。
なお、図4では、第1の接合層250が、第2の接合層290よりも内側に設置されているが、本発明はこれに限られず、第1の接合層250は、第2の接合層290よりも外側に設置されていても良い。この場合、厚さ方向(Z方向)から見たとき、第2のガラス基板220は、第1のガラス基板210に比べて、端部が内側にある構成を有する。
(真空複層ガラスの構成部材について)
次に、以上説明した本発明の一実施形態による真空複層ガラスを構成する、各構成部材について、より詳しく説明する。なお、以下の説明では、前述の第1実施形態の真空複層ガラス100を例に、その構成部材について説明する。したがって、各部材の参照符号は、図2に使用した参照符号に対応する。
(ガラス基板110、120)
ガラス基板110、120を構成するガラスの組成は、特に限られない。ガラス基板110、120のガラスは、例えば、ソーダライムガラスおよび/または無アルカリガラス等であっても良い。
また、第1のガラス基板110と第2のガラス基板120の組成は、同一であっても異なっていても良い。
(スペーサ135)
スペーサ135は、従来の真空複層ガラスにおいて使用されるスペーサと同様の材料、形状、および/または寸法を有しても良い。
(第1および第2の接合層150、190)
シール部材140の一部を構成する第1および第2の接合層150、190は、ガラス基板110、120、並びに第1および第2の金属部材160、180に対して結合性を有する限り、いかなる材料で構成されても良い。また、第1の接合層150と第2の接合層190は、同じものであっても、異なるもので構成されても良い。
例えば、第1および第2の接合層150、190は、ガラス固化層であっても良い。
ガラス固化層は、ガラスフリットを含むペーストを焼成することにより形成される。ガラス固化層は、ガラス成分を含むが、さらにセラミック粒子を含んでも良い。
ガラス固化層に含まれるガラス成分の組成は、特に限られない。ガラス固化層に含まれるガラス成分は、例えば、ZnO−Bi−B系またはZnO−SnO−P系のガラスであっても良い。
表1には、ガラス固化層に含まれるガラス成分に使用され得る、ZnO−Bi−B系のガラスの組成の一例を示す。また、表2には、ガラス固化層に含まれるガラス成分に使用され得る、ZnO−SnO−P系のガラスの組成の一例を示す。
Figure 2014080313
Figure 2014080313
第1および第2の接合層150、190の少なくとも一方は、表面に金属溶射膜を含んでも良い。
例えば、第1の接合層150が金属溶射膜を有する場合、組み立て工程において、第1の金属部材160を、例えばろう付けまたははんだ付け等により、第1の接合層150と結合されることが可能となる。
金属溶射膜の材料は、これに限られるものではないが、例えば、銅(および銅合金)、アルミニウム(およびアルミニウム合金)、ならびに亜鉛(および亜鉛合金)等であっても良い。
このように、第1および第2の接合層150、190は、第1および第2の金属部材160、180と結合することができる限り、セラミックス、ガラス、金属など、いかなる材料を含んでも良い。また、第1および第2の接合層150、190は、必ずしも単一の層で構成される必要はなく、複数の層で構成されても良い。
第1および第2の接合層150、190の厚さ(複数の層で構成される場合は、全体の厚さ)は、これに限られるものではないが、例えば、10μm〜1000μmの範囲内であっても良い。
(第3の接合層170)
シール部材140の一部を構成する第3の接合層170は、第1の金属部材160および第2の金属部材180に対して結合性を有する限り、いかなる材料で構成されても良い。また、第3の接合層170は、第1の接合層150および第2の接合層190とは異なるもので構成されても良い。例えば、第1の接合層150と第2の接合層190よりも軟化点の低い材料であっても良い。
具体的には、第3の接合層170は、第1の金属部材160と第2の金属部材180とをろう付けまたははんだ付けするときに使用されるろう材またははんだ材であっても良い。
ろう材としては、これに限られるものではないが、銀(および銀合金)、銅(および銅合金)、ならびに亜鉛(および亜鉛合金)等であっても良い。
はんだ材としては、従来のはんだ付け技術で使用される金属または金属合金等であっても良い。
第1の金属部材160と第2の金属部材180との間の接合は、金属−金属間の接合である。このような金属−金属間の接合では、例えばろう付けまたははんだ付けといった、比較的低温(例えば、350℃以下)の接合プロセスを利用することができる。したがって、本実施形態の真空複層ガラスの製造方法は、製造時のエネルギー消費や環境負荷が小さいプロセスである。
また、350℃以下の低温での接合プロセスが可能となるため、大気圧未満の圧力状態にある真空チャンバー内に加熱手段を設けることが容易となる。それにより、接合と同時に間隙部130を減圧処理することができる。具体的には、真空状態に保たれた真空チャンバー内で第1の金属部材160の第4の表面164の少なくとも一部と、第2の金属部材180の第5の表面182の少なくとも一部とを、ろう付けまたははんだ付けで接合することができる。したがって、両ガラス基板110、120に孔を空ける必要がないため、孔を有さない意匠性に優れた真空複層ガラスを製造することができる。
第3の接合層170の厚さは、これに限られるものではないが、例えば、10μm〜1000μmの範囲内であっても良い。
(金属部材160、180)
第1の金属部材160および第2の金属部材180を構成する金属材料の種類は、特に限られない。第1の金属部材160および第2の金属部材180は、例えば、アルミニウムおよびアルミニウム合金、銅および銅合金、チタンおよびチタン合金、ならびにステンレス鋼等から選定されても良い。
第1の金属部材160および第2の金属部材180は、箔または板状であり、5μm〜500μmの範囲の厚さを有しても良い。
また、第1の金属部材160および第2の金属部材180は、最終提供形状が額縁状になっていれば、途中の準備段階での形状は、特に限られない。従って、例えば、細長い板状の複数の部材を接合して、額縁状の第1の金属部材160および第2の金属部材180を構成しても良い。あるいは、板状の部材から額縁状に切断し、または板状の部材を額縁状に打ち抜いて一体品(シームレス部材)として、額縁状の第1の金属部材160および第2の金属部材180を提供しても良い。さらに、複層ガラスの厚さ方向において複数の金属部材を積層させて接合して構成しても良い。
また、第1の金属部材160の第3の表面162および/または第4の表面164には、表面が波形形状となるような加工がなされても良い。あるいは、第1の金属部材160の第3の表面162および/または第4の表面164は、エンボス加工がなされても良い。第1の金属部材160の第3の表面162および/または第4の表面164に、このような加工を実施した場合、第1の金属部材160の見かけの長さに対する実際の相当部分の長さが増加する。従って、第1の金属部材160の変形(収縮または膨脹)の際の、「変形しろ」を増加させることが可能となり、より大きな変形に対応することが可能となる。
(シール部材140)
前述のように、シール部材140は、第1、第2および第3の接合層150、190、170および第1および第2の金属部材160、170により構成される。
以下、図5を参照して、シール部材140を構成する各部材の配置関係について説明する。なお、以下に記載する寸法は、本発明の第1実施形態による真空複層ガラス100をより明確にイメージすることを目的として記載するものであり、シール部材140の寸法は、これに限られるものではない。
図5には、第1実施形態の真空複層ガラス100のシール部材140の一部を拡大した断面図を示す。
図5に示す例では、真空複層ガラス100を厚さ方向(Z方向)から見たとき、第1の接合層150は、第2および第3の接合層190、170よりも内側に配置され、重なり合っていない。
ここで、第1の金属部材160の第3の表面162の、第1の接合層150が結合された第1の結合部分162aの外側端部と、第2の金属部材180の第6の表面184の、第2の接合層190が結合された第4の結合部分184aの内側端部の間の第2のガラス基板120の第2の表面122と平行な方向における最小距離Xpは、0.1mm〜100mmの範囲内であることが好ましく、2mm〜50mmの範囲内であることがより好ましい。
また、図5に示す例では、第1の金属部材160の第4の表面164の、第3の接合層170と結合された第2の結合部分164aと、第2の金属部材180の第5の表面182の、第3の接合層170と結合された第3の結合部分182aと、第2の金属部材180の第6の表面184の、第2の接合層190と結合された第4の結合部分184aとは、真空複層ガラス100の厚さ方向から見たとき重なっていることが後述するように製造上の観点で好ましい。
また、第1の接合層150の第1の表面112と平行な方向(X方向)の中心と、第2の接合層190の第2の表面122と平行な方向(X方向)の中心との間の最小距離Xqは、0.2mm〜120mmの範囲であることが好ましく、3mm〜40mmの範囲であることがより好ましい。
第1の接合層150および/または第2の接合層190および/または第3の接合層170の最大幅(X方向の長さ)は、これに限られるものではないが、例えば、0.1mm〜15mmの範囲である。この幅は、1mm〜7mmの範囲であっても良い。
また、シール部材140の厚さ(Z方向の長さ)Zaは、0.03mm〜1mmの範囲であることが好ましく、0.05mm〜0.5mmの範囲であることがより好ましい。なお、シール部材140の厚さZaは、間隙部130の高さに相当する。
なお、図5の例では、第1の接合層150、第2の接合層190および第3の接合層170の断面は、いずれも、コーナー部が丸みを帯びた略矩形状の形状で示されている。しかしながら、これは、単なる一例に過ぎず、第1の接合層150、第2の接合層190および第3の接合層170の断面は、例えば、略楕円形、略台形など、その他の形状を有しても良い。また、第1の接合層150、第2の接合層190および第3の接合層170の形状は、異なっていても良い。
さらに、図5の例では、真空複層ガラス100の厚さ方向(Z方向)から見たとき、第1の接合層150と第2の接合層190の設置位置は、全く重なり合っていない。しかしながら、真空複層ガラス100の厚さ方向(Z方向)から見たとき、第1の接合層150と第2の接合層190の設置位置は、一部が重なり合っていても良い。
(本発明の一実施形態による真空複層ガラスの製造方法)
次に、図6を参照して、本発明の一実施形態による真空複層ガラスの製造方法の一例について説明する。
図6には、本発明の一実施形態による真空複層ガラスの製造方法の一例のフロー図を示す。
図6に示すように、本発明の一実施形態による真空複層ガラスの製造方法は、第1のガラス基板の第1の表面に、額縁状に第1の接合層を形成し、第2のガラス基板の第2の表面に、額縁状に第2の接合層を形成するステップ(S310)と、第3の表面および第4の表面を有する額縁状の第1の金属部材と、第5の表面および第6の表面を有する額縁状の第2の金属部材とを準備するステップ(S320)と、第1のガラス基板を、第1の表面が第1の金属部材の第3の表面と対向するように配置し、第2のガラス基板を、第2の表面が第2の金属部材の第6の表面と対向するように配置するステップ(S330)と、第1および第2のガラス基板を焼成して、第1の接合層と第1の金属部材とを結合させ、第2の接合層と第2の金属部材とを結合させるステップ(S340)と、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを、第1の金属部材の第4の表面と第2の金属部材の第5の表面とが対向するようにかつ第1の金属部材の第4の表面と第2の金属部材の第5の表面の間に額縁状に第1および第2の接合層よりも軟化点が低い第3の接合層を配置させて積層し、組立体を構成するステップ(S350)と、組立体を大気圧未満の圧力状態にあるチャンバー内に配置した状態で、組立体を加熱して、第3の接合層と第1および第2の金属部材とを結合させるステップ(S360)と、を有する。
以下、各ステップについて詳しく説明する。
なお、以下の記載では、一例として、図2に示したような構成の真空複層ガラス100を例に、本発明による真空複層ガラスの製造方法について説明する。
(ステップS310)
まず、第1および第2のガラス基板110、120が準備される。
また、第1のガラス基板110に、第1の接合層150が形成され、第2のガラス基板120に、第2の接合層190が形成される。
以下、第1の接合層150がガラス固化層である場合を例に、第1のガラス基板110の第1の表面112の周囲に、第1のガラス固化層を形成する場合について説明する。
第1のガラス基板110上の周囲に、第1のガラス固化層を形成する場合、まず、第1のガラス固化層用のペーストが調製される。通常、ペーストは、ガラスフリット、セラミック粒子、ポリマー、および有機バインダ等を含む。ただし、セラミック粒子は、省略しても良い。ガラスフリットは、最終的に、第1のガラス固化層を構成するガラス成分となる。
調製されたペーストは、第1のガラス基板110の第1の表面112の周囲に塗布される。
次に、ペーストを含む第1のガラス基板110が乾燥処理される。乾燥処理の条件は、ペースト中の有機バインダが除去される条件である限り、特に限られない。乾燥処理は、例えば、第1のガラス基板110を、100℃〜200℃の温度に、30分〜1時間程度保持することにより実施されても良い。
次に、ペーストを仮焼成するため、第1のガラス基板110が高温で熱処理される。熱処理の条件は、ペースト中に含まれるポリマーが除去される条件である限り、特に限られない。熱処理は、例えば300℃〜470℃の温度範囲に、第1のガラス基板110を30分〜1時間程度保持することにより実施しても良い。これにより、ペーストが焼成され、第1のガラス固化層が形成される。
同様に、第2のガラス基板120の第2の表面122の周囲に、第2のガラス固化層が形成される。ここで、第2のガラス固化層の形成位置は、2枚のガラス基板110および120を積層した際に、図5の上部(Z方向)から見て、第1のガラス固化層の形成位置とずれるよう形成されることが好ましい。
(ステップ320)
次に、第3の表面162および第4の表面164を有する額縁状の第1の金属部材160と、第5の表面182および第6の表面184を有する額縁状の第2の金属部材180とが準備される。
前述のように、額縁状の金属部材160、180は、接合部のない一体品(シームレス部材)であっても、複数の部材を組み合わせて構成しても良い。
一体品(シームレス部材)の額縁状金属部材160、180は、例えば、板状金属部材を準備し、この板状金属部材の内側を切り取るようにプレス裁断すれば、容易に製造することができる。
(ステップ330)
次に、第1および第2のガラス基板110、120に、額縁状の金属部材160、180とがそれぞれ配置される。
第1のガラス基板110を、第1の表面112が第1の金属部材160の第3の表面162と対向するように配置する。この際には、第1の金属部材160は、第3の表面162の一部が第1の固化層と接触するようにして、第1のガラス基板110に対して積層される。
また、第2のガラス基板120を、第2の表面122が第2の金属部材180の第6の表面184と対向するように配置される。この際には、第2の金属部材180は、第6の表面184の一部が第2の固化層と接触するようにして、第2のガラス基板120に対して積層される。
(ステップ340)
次に、第1および第2のガラス基板110、120を焼成して、第1のガラス固化層と第1の金属部材160を、第2のガラス固化層と第2の金属部材180を、それぞれ結合させる。
焼成温度および焼成時間は、ガラス固化層の軟化点等によっても変化する。例えば、約350℃〜約600℃、好ましくは470℃〜560℃(例えば490℃)の温度のチャンバー内に、第1および第2のガラス基板110、120を5秒〜180分間ほど、好ましくは15秒〜30分間ほど(例えば20分)保持した後、チャンバーより取り出して室温まで冷却を実施しても良い。なお、加熱は組立体全体ではなく、第1および第2のガラス固化層を部分的に加熱することで実施しても良い。
第1および第2のガラス基板の焼成中に、第1の金属部材および第2の金属部材を加圧することで、第1および第2のガラス固化層を加圧しても良い。このようにガラス固化層を加圧することで金属部材との接合強度が高くなる。例えば、第1および第2のガラス基板110、120と、第1および第2の金属部材160、180とのそれぞれの間に25kg/m2〜1000kg/m2の圧力を付加しながら実施されても良い。第1および第2のガラス基板を固定したうえで第1および第2の金属部材上に荷重を付加することにより実施される。または、ガラス基板と金属部材とをクランプ手段によって挟み込むことで実施されても良い。
第1および第2のガラス基板の昇温によって、第1および第2のガラス固化層が軟化する。これにより、第1の金属部材160の第3の表面162は、第1の結合部分162aにおいて、第1のガラス固化層と結合され、第2の金属部材180の第6の表面184は、第4の結合部分184aにおいて、第2のガラス固化層と結合される。
また、第1および第2のガラス基板110、120を焼成する方法として、全体加熱方法の他、第1および第2のガラス固化層を局所的に加熱する方法(赤外線加熱、電磁加熱、レーザー照射等)が採用されても良い。
(ステップ350)
次に、第1の金属部材160が結合された第1のガラス基板と、第2の金属部材180が結合された第2のガラス基板120とを第3の接合層を介して組み合わせて、組立体が構成される。以下、第3の接合層170がろう付け、はんだ付けの材料である場合、特に第1および第2のガラス固化層よりも軟化点が低いはんだ材について説明する。
この際には、第1の金属部材160の第4の表面164と第2の金属部材180の第5の表面182との間に額縁状にはんだ材170を配置させて、第1の金属部材160の第4の表面164と、第2の金属部材180の第5の表面182とが対向するように組立体が構成される。例えば、第2のガラス基板120側の第5の表面182上にはんだ材170となるろう材またははんだ材を載置した状態で第1のガラス基板110を積層させる。
また、この際には、第1のガラス基板110と第2のガラス基板120の間に、1または2以上のスペーサ135が配置される。
組立体には、必要に応じて、第1のガラス基板110および/または第2のガラス基板120の側から、押し圧を加えても良い。
(ステップ360)
次に組立体を大気圧未満の圧力状態にある真空チャンバー内に配置した状態で、組立体が350℃以下の温度で加熱される。加熱温度および加熱時間は、はんだ材の軟化点等によっても変化する。例えば、約250℃〜約350℃、好ましくは270℃〜約320℃(例えば300℃)の温度の真空チャンバー内に、組立体を30秒〜180分間ほど、好ましくは5分〜30分間ほど(例えば15分)保持した後、真空チャンバーより取り出して室温まで冷却を実施しても良い。なお、加熱は組立体全体ではなく、真空チャンバー内で少なくともはんだ材180を局所的に加熱する方法(赤外線加熱、電磁加熱、レーザー照射等)が採用されても良い。
また、組立体の加熱中に、第1の金属部材の第3の表面を加圧することで、はんだ材を加圧しても良い。このようにはんだ材を加圧することで第1の金属部材と第2の金属部材との接合強度が高くなる。さらに、図2のように、上部(Z方向)から見て第1のガラス基板110が、はんだ材180の少なくとも一部と重なる形状である場合、特殊な治具を用いることなく、第1のガラス基板と第2のガラス基板とではんだ材を容易に加圧することが可能である。例えば、組立体を固定したうえで第1のガラス基板110上に荷重を付加することにより実施される。または、第1のガラス基板110と第2のガラス基板120とをクランプ手段によって挟み込むことで実施されても良い。このように組立体に荷重を付加することにより、第1のガラス基板110と第2のガラス基板120とによってはんだ材を容易に押圧することができる。
組立体を加熱することによって、はんだ材が軟化する。これにより、第1の金属部材160の第4の表面164は、第2の結合部分164aにおいて、はんだ材と結合され、第2の金属部材180の第5の表面182は、第3の結合部分182aにおいて、はんだ材と結合される。これらは、減圧環境下で実施され、間隙部130内が真空保持されることになるため、シール部材の処理とともに減圧処理が完了する。従って、組立体の加熱処理後には、第1および第2のガラス基板110、120の間に、シール部材140で囲まれた大気圧未満の圧力状態の間隙部230が形成される。
以上のように、本実施形態の真空複層ガラスの製造方法では、第1の金属部材160と第2の金属部材180の間での、金属−金属間の接合を利用する。このような金属−金属間の接合では、例えばろう付けといった、比較的低温(350℃以下)の接合プロセスを利用することができる。したがって、真空状態に保たれた真空チャンバー内で第1の金属部材160と第2の金属部材180を結合させることが容易となり、はんだ材180の結合処理中に、間隙部130内が真空保持されることになるため、従来のように、シール部材の処理後にガラス基板に孔を空けてそこから間隙部を吸引(真空引き)して真空状態にし、孔を塞ぐ処理を省くことが可能となる。その結果、真空引きするための孔のない真空複層ガラスを形成することができる。
また、本実施形態の真空複層ガラスの製造方法は、金属部材同士の接合を利用することにより、低温プロセスを採用することができ、かつ、真空複層ガラスの製造と同時に間隙部を減圧(または不活性ガスによって置換)することができるため、簡易で経済的な製造方法である。
以上の工程により、図2に示したような構成の真空複層ガラス100を製造することができる。
なお、以上の記載では、図2に示したような構成の真空複層ガラス100を例に、本発明の一実施形態による真空複層ガラスの製造方法について説明した。
しかしながら、上記製造方法は、そのまま、または僅かの変更のみで、例えば、その他の構成の真空複層ガラス(例えば、真空複層ガラス200)等にも、同様に適用し得ることは、当業者には明らかであろう。
100 複層ガラス
110 第1のガラス基板
112 第1の表面
114 第1の外表面
120 第2のガラス基板
122 第2の表面
124 第2の外表面
130 間隙部
135 スペーサ
140 シール部材
150 第1の接合層
160 第1の金属部材
162 第3の表面
162a 第1の結合部分
164 第4の表面
164a 第2の結合部分
170 第3の接合層
180 第2の金属部材
182 第5の表面
182a 第3の結合部分
184 第6の表面
184a 第4の結合部分
190 第2の接合層

Claims (15)

  1. 相互に対向する第1のガラス基板の第1の表面と第2のガラス基板の第2の表面との間に、間隙部を備える複層ガラスであって、
    前記間隙部は、大気圧未満の圧力状態でシール部材によって密閉され、
    前記シール部材は、第3の表面および第4の表面を有する額縁状の第1の金属部材と、第5の表面および第6の表面を有する額縁状の第2の金属部材と、第1、第2および第3の接合層とを有し、
    前記第1の接合層は、前記第1のガラス基板の第1の表面に額縁状に配置され、前記第1の金属部材の第3の表面の少なくとも一部に結合され、
    前記第2の接合層は、前記第2のガラス基板の第2の表面に額縁状に配置され、前記第2の金属部材の第6の表面の少なくとも一部に結合され、
    前記第3の接合層は、前記第1の金属部材の第4の表面と前記第2の金属部材の第5の表面の間に額縁状に配置され、該第4の表面の少なくとも一部と該第5の表面の少なくとも一部とに結合されていることを特徴とする複層ガラス。
  2. 前記第2の接合層は、当該複層ガラスの厚さ方向から見たとき、前記第1の接合層とは位置がずれている請求項1に記載の複層ガラス。
  3. 当該複層ガラスの厚さ方向から見たとき、前記第1の接合層と前記第3の接合層とが重なり合っていない請求項1または2に記載の複層ガラス。
  4. 当該複層ガラスの厚さ方向から見たとき、前記第1の接合層と前記第2の接合層とが重なり合っていない請求項1から3のいずれか一項に記載の複層ガラス。
  5. 当該複層ガラスの厚さ方向から見たとき、前記第1の接合層は、前記第2の接合層よりも内側にあり、
    前記第1の金属部材の第3の表面の、前記第1の接合層が結合された領域を第1の結合部分とし、前記第2の金属部材の第6の表面の、前記第2の接合層が結合された領域を第2の結合部分としたとき、
    前記第1の接合層の外側の端部から前記第2の接合層の内側の端部までの間の前記第2のガラス基板の第2の表面と平行な方向における最小距離は0.1mmから100mmの範囲内にある請求項4に記載の複層ガラス。
  6. 前記第3の接合層は、ろう付けにより形成される請求項1から5のいずれか一項に記載の複層ガラス。
  7. 前記第1の接合層および/または第2の接合層は、ガラス固化層を有する請求項1から6のいずれか一項に記載の複層ガラス。
  8. 前記第1の金属部材および第2の金属部材は、各々、接合部を有さない一体品で構成される請求項1から7のいずれか一項に記載の複層ガラス。
  9. 前記第1の金属部材の第3の表面および/または第4の表面は、波形表面となるように加工されているまたはエンボス加工されている請求項1から8のいずれか一項に記載の複層ガラス。
  10. 第1および第2のガラス基板が間隙部を介して積層された複層ガラスの製造方法であって、
    第1のガラス基板の第1の表面に、額縁状に第1の接合層を形成し、第2のガラス基板の第2の表面に、額縁状に第2の接合層を形成するステップと、
    第3の表面および第4の表面を有する額縁状の第1の金属部材と、第5の表面および第6の表面を有する額縁状の第2の金属部材とを準備するステップと、
    前記第1のガラス基板を、前記第1の表面が前記第1の金属部材の第3の表面と対向するように配置し、前記第2のガラス基板を、前記第2の表面が前記第2の金属部材の第6の表面と対向するように配置するステップと、
    前記第1および第2のガラス基板を焼成して、前記第1の接合層と前記第1の金属部材とを結合させ、前記第2の接合層と前記第2の金属部材とを結合させるステップと、
    前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを、前記第1の金属部材の前記第4の表面と前記第2の金属部材の前記第5の表面とが対向するようにかつ前記第1の金属部材の第4の表面と前記第2の金属部材の第5の表面の間に額縁状に前記第1および第2の接合層よりも軟化点が低い第3の接合層を配置させて積層し、組立体を構成するステップと、
    前記組立体を大気圧未満の圧力状態にあるチャンバー内に配置した状態で、該組立体を加熱して、前記第3の接合層と前記第1および第2の金属部材とを結合させるステップと、
    を有することを特徴とする複層ガラスの製造方法。
  11. 前記組立体を積層方向から見たとき、前記第2の接合層は、前記第1の接合層とは位置がずれるように配置される請求項10に記載の複層ガラスの製造方法。
  12. 前記第3の接合層は、ろう付けにより形成される請求項10または11に記載の複層ガラスの製造方法。
  13. 前記第1の接合層および/または第2の接合層は、ガラス固化層を有する請求項10から12のいずれか一項に記載の複層ガラスの製造方法。
  14. 前記第1の金属部材および前記第2の金属部材は、各々、接合部を有さない一体品で構成される請求項10から13のいずれか一項に記載の複層ガラスの製造方法。
  15. 前記第3の接合層の加熱は、前記組立体を350℃以下の前記チャンバー内に保持することにより実施される請求項10から14のいずれか一項に記載の複層ガラスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111302665A (zh) * 2018-12-11 2020-06-19 徐宝安 设有辊压支撑双胶密封玻璃间隔腔体调控真空钢化玻璃板

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