JP2014079915A - オフセット印刷用ブランケット - Google Patents

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Abstract

【課題】
印刷初期から長期に亘って安定して良好な印刷を可能とするオフセット印刷用ブランケットを提供する。
【解決手段】
本発明は、表面印刷層をシリコーンゴムから構成するオフセット印刷用ブランケットであって、シリコーンゴムが、その0.3gを、25℃の10mlのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートまたはジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート中に24時間浸漬させた際に抽出される低分子シロキサンおよび遊離シリコーンオイルの総量が3200ppm以下であるオフセット印刷用ブランケットに関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、オフセット印刷用ブランケットに関する。
オフセット印刷は、印刷イメージが形成されている版と紙等の被印刷体とを接触させないで印刷を行う印刷技法をいう。オフセット印刷では、版からの印刷用ペーストをブランケットで一旦受理した後、その受理した印刷用ペーストを被印刷体に転写する。オフセット印刷は、一度に同一印刷物を大量に生産できることから、従来から新聞や雑誌等の紙媒体への印刷に汎用的に用いられてきたが、比較的高精度な印刷が可能なことから、近年では、それに加えて、電子部品等の分野にも拡がっている。
オフセット印刷で用いられる印刷用ペーストは、一般的に、印刷物に求められる機能を発現するための樹脂成分やフィラー等を溶剤中に均一分散させて成る。近年、導電ペーストでの回路形成を目的としたブランケットは、基材フィルム上に、均一な厚みのシリコーンゴムから成る表面印刷層を積層した構造を有する。当該表面印刷層を構成するシリコーンゴムとしては、比較的多くの低分子シロキサンや遊離シリコーンオイルを含有するものが知られている(例えば、特許文献1および2を参照)。
特開平8−267953号公報 特開2006−256092号公報
しかし、従来から知られた上記シリコーンゴムを表面印刷層として備えるオフセット印刷用ブランケットには、次のような問題がある。シリコーンゴム中に多くの低分子シロキサンや遊離シリコーンオイルが存在すると、印刷用ペーストに含まれる溶剤により当該低分子シロキサンや遊離シリコーンが表面印刷層から抽出され、オフセット印刷を繰り返し行う間に、表面印刷層の性状が変化してしまう。かかる表面印刷層の性状の変化は、印刷用ペーストの受理や転写に悪影響を与え、もって、印刷初期から長期に亘って安定して良好な印刷を担保できないという結果につながる。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、印刷初期から長期に亘って安定して良好な印刷を可能とするオフセット印刷用ブランケットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の一形態は、表面印刷層をシリコーンゴムから構成するオフセット印刷用ブランケットであって、シリコーンゴムは、その0.3gを、25℃の10mlのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートまたはジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート中に24時間浸漬させた際に抽出される低分子シロキサンおよび遊離シリコーンオイルの総量が3200ppm以下となるオフセット印刷用ブランケットである。
本発明の別の形態は、さらに、シリコーンゴムを、加硫化後に、有機溶剤を用いて洗浄したものとするオフセット印刷用ブランケットである。
本発明の別の形態は、また、シリコーンゴムを、遊離シリコーンオイルの不添加、一次加硫に続く150〜220℃の範囲での二次加硫、および加硫化後の有機溶剤を用いた洗浄の内の少なくとも2以上の処理を行ったものとするオフセット印刷用ブランケットである。
本発明の別の形態は、また、表面印刷層を形成する基材をポリエチレンテレフタレートとするオフセット印刷用ブランケットである。
本発明によれば、印刷初期から長期に亘って安定して良好な印刷を可能とするオフセット印刷用ブランケットを提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係るオフセット印刷用ブランケットの製造工程の一例を示す。
次に、本発明に係るオフセット印刷用ブランケットの好適な実施の形態について説明する。
1.オフセット印刷用ブランケットの構成
本発明の実施の形態に係るオフセット印刷用ブランケットは、基材フィルムと、被印刷体に印刷用ペーストを転写する表面印刷層とを積層して構成される。以下、基材フィルムおよび表面印刷層について説明する。
(1)基材フィルム
オフセット印刷用ブランケット(以後、単に「ブランケット」と称する)を構成する基材フィルムは、樹脂製のフィルムであって、好適にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)あるいはポリイミド(PI)から成り、さらに好適には、比較的安価であって均一な厚みを持つフィルムが得られる材料の一つであるPETから成る。基材フィルムの厚みは、好適には50〜400μmであり、さらに好適には150〜300μmである。
(2)表面印刷層
ブランケットを構成する表面印刷層は、シロキサン結合(Si-O-Si)を主骨格とするゴム状のシートであって、未硬化状態にあるシリコーンゴム材料を架橋して成る。ここで、シリコーンゴム材料は、シリコーンのみを重合させたものの他、シリコーンと有機モノマーとを共重合させたシリコーン変性ポリマーをも含むように広義に解釈される。シリコーンゴムから成る表面印刷層は、基材フィルムとの積層に先立ち、一次加硫(このときに成形)後に100℃以上の温度にて加熱処理したシートである。加熱温度は、シリコーンゴム材料の種類や加硫剤の種類によって適宜変更する。
均一な厚みを持ったシリコーンゴムシートを得るために、JIS K7177に準拠する「単一円筒回転粘度計を用いた粘度測定法」により測定される粘度が2500Pa・s以下の液状シリコーンゴム材料を用いるのが好ましい。ただし、高圧力をかけることのできるプレス装置やカレンダー装置を用いる場合には、硬化前の状態が天然ゴムあるいは合成ゴムの未加硫状態のものに類似するミラブルゴムを用いても良い。表面印刷層の厚みは、好適には100〜800μmであり、さらに好適には200〜600μmである。
表面印刷層を構成するシリコーンゴムは、その0.3gを、25℃の10mlのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートまたはジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート中に24時間浸漬させた際に抽出される低分子シロキサンおよび遊離シリコーンオイルの総量が3200ppm以下となるものである。ここで、低分子シロキサンおよび遊離シリコーンの総量(単位: ppm)は、シリコーンゴムの重量を基準として算出される。このようなシリコーンゴムを備えるブランケットを使ってオフセット印刷を行うと、その表面における印刷用ペーストの受理および被印刷体への転写を繰り返しても、表面印刷層の性状が変化しにくく、印刷精度を高く維持することができる。ここで、「低分子シロキサン」とは、シロキサン結合を有するD20以下の環状シロキサンをいう。低分子シロキサンとしては、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン、オクタデカメチルシクロノナシロキサン、エイコサメチルシクロデカシロキサンなどを挙げることができる。また、「遊離シリコーンオイル」とは、ベースとなるシリコーンゴムとは化学結合しないで当該シリコーンゴム中に内在し、印刷用ペーストに含まれる溶剤などにより抽出されるオイルをいう。遊離シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイルなどを挙げることができる。
2.オフセット印刷用ブランケットの製造方法
図1は、本発明の実施の形態に係るオフセット印刷用ブランケットの製造工程の一例を示す。
まず、金型内に未加硫(未硬化)状態のシリコーンゴム材料と加硫剤とを混練する(ステップS110: 混練ステップ)。次に、その混練物を金型に入れて、加圧・加熱の処理を行う(ステップS120: 加熱処理ステップ)。加熱処理ステップは、加熱条件を変えて複数回行うのが好ましく、一例を挙げると、140〜190℃の温度で加熱処理を行い加硫化する一次加硫と、その後に150〜220℃の温度、より好ましくは180〜200℃で加熱処理を行って低分子シロキサンを低減させる二次加硫とを行うステップである。一次加硫の加熱温度は、二次加硫の加熱温度より高くても低くても良い。次に、予め用意した基材フィルムと上記のシリコーンゴム製のシートとを積層して固着する(ステップS130: 積層ステップ)。積層ステップを行うにあたり、基材フィルムとシリコーンゴム製のシートとの間に接着剤から成る層を介在させて、両者を固着するのが好ましい。また、基材フィルムおよびシリコーンゴム製のシートの両面に対して、紫外線、コロナ、プラズマまたはエキシマ光によって表面励起させる改質処理を施して、さらには、基材フィルムの表面に対して、シランカップリング剤あるいはプライマー等によって改質処理を施しても良い。
ここで、シリコーンゴムから成る表面印刷層を製造するにあたり、低分子シロキサンおよび遊離シリコーンオイルが当該層から印刷用ペーストによって抽出されにくくする主な方法は、次の通りである。下記(1)〜(3)の内、好適には、(3)の処理のみを行うか、あるいは(1)〜(3)の内の少なくとも2以上の処理を行って表面印刷層を製造することにより、0.3gのシリコーンゴムを、25℃の10mlのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートまたはジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート中に24時間浸漬させた際に抽出される低分子シロキサンおよび遊離シリコーンオイルの総量が3200ppm以下となる表面印刷層を構成することができる。
(1)製造工程中において遊離シリコーンオイルを添加しない。
遊離シリコーンオイルが表面印刷層を構成するシリコーンゴム中に存在すると、連続印刷してブランケット表面上での印刷ペーストの受理・転写を繰返した場合に、ブランケットからそのシリコーンオイル成分が徐々に抽出されていく。その結果、ブランケット表面の性状が変化する。ブランケット表面の性状の変化が原因となり、印刷ペーストの受理・転写に悪影響が生じ、印刷初期から長期に亘って安定した印刷ができないという問題が生じ得る。かかる問題を生じにくくするためには、シリコーンゴムの製造工程において、遊離シリコーンオイルを添加しないようにするのが好ましい。
(2)加熱処理ステップにおいて十分な熱処理を行う。
ここで、十分な熱処理とは、低分子シロキサンや遊離シリコーンオイルが表面印刷層を構成するシリコーンゴム中に含まれていても、これを後工程において低減させる処理である。熱処理の条件は、温度150〜220℃、より好ましくは180〜200℃、処理時間としては0.5〜10時間、より好ましくは1.5〜4時間とするのが好ましい。十分な熱処理は、一次加硫時に行っても良いが、好ましくは二次加硫時に行う。十分な熱処理による低分子シロキサン等の低減により、連続印刷時の安定性を実現することが可能である。
(3)有機溶剤を用いて洗浄を行う。
すなわち、有機溶剤で加硫化後のシリコーンゴムを洗浄し、低分子シロキサンや遊離シリコーンオイルを予め抽出させて低減する。洗浄に用いる有機溶剤は、印刷用ペーストに含まれる溶剤を使用するのが良いが、前述の低分子シロキサンや遊離シリコーンオイルを抽出・低減し易いものであれば、特に限定されるものではない。有機溶媒としては、例えば、極性溶剤ではアルコール類やアセトン、非極性溶剤ではベンゼン、トルエン、キシレンなどを好適に挙げることができる。
上記(1)、(2)および(3)の内、上記(3)を実施する場合には、上記(1)および上記(2)の内のいずれか1つを実施し若しくはいずれも実施しなくても良い。また、上記(3)を実施しない場合には、上記(1)および上記(2)を実施する必要がある。ただし、上記(1)に代えて、低シロキサン材料を用いることもできる。ここで、低シロキサン材料とは、低分子シロキサンを800ppm以下(シリコーンゴムの重量を基準として)含むシリコーンゴム材料をいう。また、上記(1)を実施しない場合には、必ず上記(3)の実施を要する。一方、上記(1)を実施する場合には、上記(2)、上記(3)および低シロキサン材料の使用の内のいずれか1つを実施すれば良い。以上の具体的な製法は、次の通りである。なお、以下のA.〜F.において、遊離シリコーンオイルを加えないと明記していない限り、遊離シリコーンオイルが混合されているものとする。
A.上記(3)のみ
表面印刷層をシリコーンゴムから構成するオフセット印刷用ブランケットの製造方法は、少なくともシリコーンゴム材料と加硫剤とを混合する混合工程と、その混合したものを加熱して加硫化する加熱工程と、加硫化後のシリコーンゴムを、有機溶剤を用いて洗浄する洗浄工程と、洗浄後のシリコーンゴムを基材シートに積層する積層工程と、を少なくとも含む。
B.上記(1)+上記(3)
表面印刷層をシリコーンゴムから構成するオフセット印刷用ブランケットの製造方法は、シリコーンゴム材料と加硫剤とを、遊離シリコーンオイルを加えずに混合する混合工程と、その混合したものを加熱して加硫化する加熱工程と、加硫化後のシリコーンゴムを、有機溶剤を用いて洗浄する洗浄工程と、洗浄後のシリコーンゴムを基材シートに積層する積層工程と、を少なくとも含む。
C.上記(2)+上記(3)
表面印刷層をシリコーンゴムから構成するオフセット印刷用ブランケットの製造方法は、少なくともシリコーンゴム材料と加硫剤とを混合する混合工程と、その混合したものを加熱して加硫化する加熱工程と、加硫化後のシリコーンゴムを、有機溶剤を用いて洗浄する洗浄工程と、洗浄後のシリコーンゴムを基材シートに積層する積層工程と、を少なくとも含み、加熱工程では、一次加硫に続いて、150〜220℃の範囲で二次加硫を行う。
D.上記(1)+上記(2)+上記(3)
表面印刷層をシリコーンゴムから構成するオフセット印刷用ブランケットの製造方法は、シリコーンゴム材料と加硫剤とを、遊離シリコーンオイルを加えずに混合する混合工程と、その混合したものを加熱して加硫化する加熱工程と、加硫化後のシリコーンゴムを、有機溶剤を用いて洗浄する洗浄工程と、洗浄後のシリコーンゴムを基材シートに積層する積層工程と、を少なくとも含み、加熱工程では、一次加硫に続いて、150〜220℃の範囲で二次加硫を行う。
E.上記(1)+上記(2)
表面印刷層をシリコーンゴムから構成するオフセット印刷用ブランケットの製造方法は、シリコーンゴム材料と加硫剤とを、遊離シリコーンオイルを加えずに混合する混合工程と、その混合したものを加熱して加硫化する加熱工程と、加硫化後のシリコーンゴムを基材シートに積層する積層工程と、を少なくとも含み、加熱工程では、一次加硫に続いて、150〜220℃の範囲で二次加硫を行う。
F.上記(1)+低シロキサン材料
表面印刷層をシリコーンゴムから構成するオフセット印刷用ブランケットの製造方法は、低シロキサン材料と加硫剤とを、遊離シリコーンオイルを加えずに混合する混合工程と、その混合したものを加熱して加硫化する加熱工程と、加硫化後のシリコーンゴムを基材シートに積層する積層工程と、を少なくとも含む。
3.オフセット印刷時に用いる印刷用ペースト
印刷用ペーストに含まれる有機溶剤としては、ペーストを構成するベース樹脂を良好に溶解し得る様々な溶剤を用いることができ、特に、沸点が150℃以上の溶剤が好ましい。沸点が150℃以上の溶剤を使用した場合には、印刷用ペーストが印刷時に乾燥しにくく、良好な印刷を続けることができる。
当該溶剤としては、例えば、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ステアリルアルコール、セリルアルコール、シクロヘキサノール、α−テルピネオール等のアルコール類; エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルセロソルブアセテート)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(カルビトールアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルカルビトールアセテート)等のアルキルエーテル類; の1種または2種以上を挙げることができる。特に、印刷用ペーストの主溶剤としてブチルカルビトールアセテートやブチルカルビトールアセテートは、ほぼ無臭で、かつ室温での蒸発が遅いため、電子回路等の印刷用途として適している。
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、以下の実施例は、本発明の一例に過ぎず、本発明は当該実施例に限定されない。
1.オフセット印刷用ブランケットの製造
(1)実施例
以下の実施例1〜6および比較例1,2において、シリコーンオイルを混ぜることを明記しない限り、遊離シリコーンオイルを混合していないものとする。
(実施例1)
信越化学工業株式会社製のシリコーンゴムコンパウンド(品番: KE−9510−U)100質量部と、同社製の加硫剤である2,5 ジメチル−2,5 ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン)(品番: C−8)2.0質量部とを混ぜて、2本ロールで混練した。混練物を150t油圧プレス成形機により、温度170℃、5分保持の条件で一次加硫し、厚み0.45mmのシリコーンゴムシートを得た。次に、当該シリコーンゴムシートに、信越化学工業株式会社製の一液型RTVゴム(品番: KE−45T)を接着剤として介在させ、東洋紡績株式会社製のPETフィルム(品番: コスモシャインA4300、厚さ: 250μm)とラミネートした。この結果、総厚0.7mmのブランケットを得た。実施例1で用いたシリコーンゴムコンパウンドは、低シロキサン材料である。
(実施例2)
信越化学工業株式会社製のシリコーンゴムコンパウンド(品番: KE−551−U)100質量部と、同社製の加硫剤であるパラメチルベンゾイルパーオキサイド(品番: C−23)1.0質量部とを混ぜて、2本ロールで混練した。混練物を150t油圧プレス成形機により、温度120℃、5分保持の条件で一次加硫した。続いて、温度200℃、90分保持の条件で二次加硫を行い、厚み0.45mmのシリコーンゴムシートを得た。その後のラミネート工程を実施例1と同様に行い、総厚0.7mmのブランケットを得た。
(実施例3)
信越化学工業株式会社製のシリコーンゴムコンパウンド(品番: KE−951−U)100質量部と、同社製の加硫剤である2,5 ジメチル−2,5 ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン)(品番: C−8)2.0質量部とを混ぜて、2本ロールで混練した。その後の工程は、一次加硫温度を170℃とした以外は実施例2と同様の工程として、総厚0.7mmのブランケットを得た。
(実施例4)
信越化学工業株式会社製のシリコーンゴムコンパウンド(品番: KE−951−U)100質量部と、同社製の加硫剤である2,5 ジメチル−2,5 ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン)(品番: C−8)2.0質量部とを混ぜて、2本ロールで混練した。混練物を150t油圧プレス成形機により、温度170℃、5分保持の条件で一次加硫した。続いて、ブチルカルビトールアセテートで洗浄し、厚み0.45mmのシリコーンゴムシートを得た。その後のラミネート工程を実施例1と同様に行い、総厚0.7mmのブランケットを得た。
(実施例5)
信越化学工業株式会社製のシリコーンゴムコンパウンド(品番: KE−551−U)100質量部と、同社製の加硫剤である2,5 ジメチル−2,5 ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン)(品番: C−8)2.0質量部と、同社製のシリコーンオイル(品番: KF−96−500)3質量部とを混ぜて、2本ロールで混練した。混練物を150t油圧プレス成形機により、温度170℃、5分保持の条件で一次加硫した。続いて、温度200℃、90分保持の条件で二次加硫を行った後、ブチルカルビトールアセテートで洗浄し、厚み0.45mmのシリコーンゴムシートを得た。その後のラミネート工程を実施例1と同様に行い、総厚0.7mmのブランケットを得た。
(実施例6)
二次加硫後の洗浄を、エチルカルビトールアセテートを用いて行った以外、実施例5と同様の工程を経て、総厚0.7mmのブランケットを得た。
(2)比較例
(比較例1)
信越化学工業株式会社製のシリコーンゴムコンパウンド(品番: KE−551−U)100質量部と、同社製の加硫剤であるパラメチルベンゾイルパーオキサイド(品番: C−23)1.0質量部と、同社製のシリコーンオイル(品番: KF−96−500)1.5質量部とを混ぜて、2本ロールで混練した。混練物を150t油圧プレス成形機により、温度120℃、10分保持の条件で一次加硫した。続いて、温度200℃、90分保持の条件で二次加硫を行い、厚み0.45mmのシリコーンゴムシートを得た。その後の工程は、実施例1と同様の工程として、総厚0.7mmのブランケットを得た。
(比較例2)
信越化学工業株式会社製のシリコーンゴムコンパウンド(品番: KE−551−U)100質量部と、同社製の加硫剤であるパラメチルベンゾイルパーオキサイド(品番: C−23)1.0質量部と、同社製のシリコーンオイル(品番: KF−96−500)1.5質量部とを混ぜて、2本ロールで混練した。混練物を150t油圧プレス成形機により、温度120℃、10分保持の条件で加硫を行い、厚み0.45mmのシリコーンゴムシートを得た。その後の工程は、実施例1と同様の工程として、総厚0.7mmのブランケットを得た。
2.印刷用ペーストの製造
(1)導電ペーストA
メタクリル樹脂100質量部と、Ag粉末(D50値=約0.5μm)950質量部と、ブチルカルビトールアセテート(BCAと略)100質量部とを混ぜて、導電ペーストAを用意した。
(2)導電ペーストB
ポリエステル樹脂100質量部と、Ag粉末(D50値=約0.5μm)950質量部と、エチルカルビトールアセテート(ECAと略)100質量部とを混ぜて、導電ペーストBを用意した。
3.印刷条件およびその評価基準
被印刷体としてガラスを用いた。版の線幅を30μmとして、最初の印刷時および100枚印刷後の各線幅が30±6μmであれば、それぞれ「○」と評価した。一方、線幅が30μm±6μmを超えて太くなっている場合、あるいは細くなっている場合には、「×」と評価した。
4.低分子シロキサンおよび遊離シリコーンオイルの抽出量の測定
各ブランケットの表面印刷層を形成するシリコーンゴムの0.3gを、温度25℃の10mlのBCAまたはECA中に24時間浸漬した後、シリコーンゴムを引き上げ、BCAまたはECAをガスクロマトグラフィによって測定し、低分子シロキサンおよび遊離シリコーンオイルの抽出量(ppm)を調べた。
5.評価結果
表1に、各実施例および比較例により製造した各ブランケットのシリコーンゴムから抽出された低分子シロキサンおよび遊離シリコーンオイルの抽出量と、各ブランケットを用いてオフセット印刷を行ったときの評価とを示す。
Figure 2014079915
表1に示すように、実施例1〜6の条件で作製した各ブランケットのシリコーンゴムは、BCAおよびECAのいずれの溶剤を用いた場合でも、低分子シロキサンと遊離シリコーンの抽出総量が3200ppm以下であり、100枚連続印刷後においても線幅は初期と比べて±20%以内の変化量であった。一方、比較例1および2の条件で作製した各ブランケットのシリコーンゴムは、BCAおよびECAのいずれの溶剤を用いた場合でも、低分子シロキサンと遊離シリコーンの抽出総量が3200ppmを超えており、100枚連続印刷後において、初期の線幅と比べて±20%の範囲外となっていた。このことから、シリコーンゴムの製造の際、遊離シリコーンオイルを添加せずに低シロキサン材料を用いた場合(実施例1)、遊離シリコーンオイルを添加せずに二次加硫を行って十分に加熱処理を行った場合(実施例2,3)あるいは加硫化後にブチルカルビトールアセテート若しくはエチルカルビトールアセテートによって洗浄した場合(実施例4,5,6)には、印刷時に低分子シロキサンと遊離シリコーンの抽出量が少なく、連続印刷を行っても印刷性能を維持できることがわかった。
本発明は、オフセット印刷用のブランケットとして利用できる。

Claims (4)

  1. 表面印刷層をシリコーンゴムから構成するオフセット印刷用ブランケットであって、
    上記シリコーンゴムは、その0.3gを、25℃の10mlのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートまたはジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート中に24時間浸漬させた際に抽出される低分子シロキサンおよび遊離シリコーンオイルの総量が3200ppm以下であることを特徴とするオフセット印刷用ブランケット。
  2. 前記シリコーンゴムは、加硫化後に、有機溶剤を用いて洗浄したものであることを特徴とする請求項1に記載のオフセット印刷用ブランケット。
  3. 前記シリコーンゴムは、遊離シリコーンオイルの不添加、一次加硫に続く150〜220℃の範囲での二次加硫、および加硫化後の有機溶剤を用いた洗浄の内の少なくとも2以上の処理を行ったものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオフセット印刷用ブランケット。
  4. 前記表面印刷層を形成する基材をポリエチレンテレフタレートとすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のオフセット印刷用ブランケット。
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