JP2014079794A - レーザ加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザ光の照射に起因する加工対象材の表面損傷を防止することが可能なレーザ加工方法を提供する。
【解決手段】この発明に従ったレーザ加工方法は、加工対象材1を準備する工程と、当該加工対象材1にレーザ光を照射する工程とを備える。加工対象材1を準備する工程では、加工対象材1の表面に保護膜20が形成される。レーザ光を照射する工程では、レーザ光を集光レンズで集光することにより集光領域が形成され、当該集光領域の少なくとも一部が加工対象材1の内部に位置するように、加工対象材1において保護膜20が形成された表面側からレーザ光を加工対象材1に照射する。加工対象材1においてレーザ光により損傷を発生させるために必要なレーザ光のパワーである第1の損傷閾値より、保護膜20においてレーザ光により損傷を発生させるために必要なレーザ光のパワーである第2の損傷閾値は小さい。
【選択図】図4

Description

この発明は、レーザ加工方法に関し、より特定的には、加工対象物の切断または分割加工に利用されるレーザ加工方法に関する。
従来、加工対象物を切断するためにレーザ光を利用するレーザ加工方法が知られている(たとえば、特開2002−192370号公報(以下、特許文献1と呼ぶ)、特開2002−205180号公報(以下、特許文献2と呼ぶ)、および特開2008−6492号公報(以下、特許文献3と呼ぶ)参照)。
特許文献1では、ウェハ状の加工対象物の内部にレーザ光の集光点(焦点)が配置されるように、パルス幅が1μs以下のレーザ光を照射することで、加工対象物の内部に切断加工の起点となる改質層を形成することが開示されている。また、特許文献2では、ウェハ状の加工対象物の内部にレーザ光の集光点(焦点)が配置されるように、パルス幅が1μs以下のレーザ光を照射するとともに、当該レーザ光の入射方向における集光点の位置を変更することで、加工対象物の内部に切断加工の起点となる改質領域を深さ方向において複数形成することが開示されている。また、特許文献3では、サファイア基板のレーザ光を用いた切断において、レーザ光の照射によるダメージを最小限にするため、フェムト秒領域の極めて短いパルス幅のレーザ光を用いることが開示されている。
特開2002−192370号公報 特開2002−205180号公報 特開2008−6492号公報
しかし、上述した従来のレーザ加工方法においては、以下のような問題があった。すなわち、サファイア基板などの加工対象物の切断加工を容易かつ確実に行なうためには、加工対象物の表面に損傷を与えず、切断応力(結晶切断応力)を低減させる必要がある。そのためには、加工対象物の厚み方向(レーザ光の光軸方向)の全体に亘って改質層を形成することが望ましい。したがって、改質層を加工対象物の表面付近に限りなく近づける必要がある。
一方、レーザ光の焦点位置については、加工対象物を保持するステージやレーザ光を照射するための光学系(たとえばレーザヘッド)の振動、あるいは、レーザ光のビームウエスト位置の変動量やレーザ光のパワー変動を考慮に入れて設定する必要がある。即ち、レーザ光の照射に起因する加工対象材の表面の損傷を避ける為に、レーザ光の照射方向における加工対象材などの振動分の余裕、あるいはレーザ光のビームウエスト位置の変動などを吸収するための余裕が必要となり、レーザ光の焦点位置を加工対象材の表面からある程度離れた位置に設定することになる。このため、加工対象材の厚み方向において非改質領域が拡大し、加工対象物を切断加工するときの起点領域(改質層)の大きさが小さくなる。この結果、加工対象物を切断加工するときの切断応力が十分に小さくならないという問題があった。
また、改質層の大きさをできるだけ大きくするため、レーザ光の焦点位置を加工対象材の表面にできるだけ近づけて設定すると、上述したステージなどの振動やレーザ光のビームウエスト位置の変動に起因してレーザ光の焦点位置が変位した場合に、加工対象材の表面にレーザ光の照射に起因する損傷が発生する場合もあった。
この発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、この発明の目的は、レーザ光の照射に起因する加工対象材の表面損傷を防止することが可能なレーザ加工方法を提供することである。
この発明に従ったレーザ加工方法は、加工対象材を準備する工程と、当該加工対象材に、集光レンズにより集光され、複数の波長成分を含むレーザ光を照射する工程とを備える。加工対象材を準備する工程では、加工対象材の表面に保護膜が形成される。レーザ光を照射する工程では、レーザ光を集光レンズで集光することにより、複数の波長成分に対応する複数の焦点により構成される集光領域が形成され、当該集光領域の少なくとも一部が加工対象材の内部に位置するように、加工対象材において保護膜が形成された表面側から前記レーザ光を加工対象材に照射する。加工対象材においてレーザ光により損傷を発生させるために必要なレーザ光のパワーである第1の損傷閾値より、保護膜においてレーザ光により損傷を発生させるために必要なレーザ光のパワーである第2の損傷閾値は小さい。
ここで、たとえば加工対象材やレーザ光を照射するための光学系を構成するレンズなどの振動により、レーザ光の集光領域の位置が、加工対象材の保護膜が形成された表面近傍側にずれた場合を考える。この場合、加工対象材の当該表面近傍では集光領域が近づくことでレーザ光のパワーが大きくなる。しかし、当該表面上には加工対象材より損傷閾値が相対的に小さくなっている保護膜が形成されているため、加工対象材より先に保護膜がレーザ光により損傷を受ける。そして、保護膜がレーザ光により損傷を受けると、当該保護膜において損傷を受けた部分によりレーザ光が乱反射されると共に、加工対象材内部では指向性が低下して通過するため、当該保護膜の損傷を受けた部分下に位置する加工対象材内部には集光領域は形成されない。この結果、加工対象材の表面においてレーザ光による損傷が発生することを防ぐことができる。
この発明によれば、加工対象材の表面における損傷の発生を抑制できる。
レーザ加工方法を説明するための模式図である。 レーザ加工方法を説明するための模式図である。 本発明によるレーザ加工方法を説明するためのフローチャートである。 保護膜が形成された加工対象材を示す模式図である。 本発明によるレーザ加工方法を説明するための模式図である。 本発明によるレーザ加工方法を説明するための模式図である。 レーザ加工方法を説明するための模式図である。 損傷閾値のばらつきを説明するための模式図である。 本発明によるレーザ加工方法を説明するための模式図である。 本発明によるレーザ加工方法を説明するための模式図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
本発明に従ったレーザ加工方法では、複数の波長成分を含むレーザ光を集光レンズにより集光することで、線状の集光線(集光領域)を形成し、当該集光領域により加工対象材の内部に改質層を形成するものである。以下、本発明の理解を容易にするため、本発明を完成するまでに発明者が行なった検討の内容について説明するとともに、本願発明の実施の形態を説明する。
本発明に従ったレーザ加工方法では、図1に示すように、加工対象材1の光照射面から深さXまでの範囲(改質禁制領域8)よりも深い領域に改質層7を形成する。このような改質層7を形成するためには、まず、矢印10に示す方向から照射されるレーザ光を集光して、改質層7の形成に必要なパワー密度となる集光領域9を加工対象材1の内部の所定の位置に形成する。そして、レーザ光に対して加工対象材1を矢印5に示す方向に相対的に移動させる。加工対象材1を移動させる方法としては、たとえば移動可能なステージ2上に治具3を配置し、当該治具3上に加工対象材1を配置し、この状態でステージ2を移動させる、といった方法を用いることができる。なお、治具3の形状は任意の形状とすることができるが、たとえば図6に示すように平坦な底板部の上部表面に、複数の壁部材を接続して当該壁部材の上部表面上に加工対象材1を配置してもよい。壁部材はたとえば板状であって、図6に示すように互いに平行に延びるように配置されていてもよい。
そして、上記のようにレーザ光を加工対象材1に照射した状態で、加工対象材1をたとえば矢印5に示す方向(スキャン方向)に移動させることで、加工対象材1の内部で集光領域9が移動し、当該集光領域9が配置された位置に改質層7が形成される。なお、ステージ2の位置を固定した状態で、レーザ光を加工対象材1に対して移動させることで、上記のような改質層7を加工対象材1の内部に形成してもよい。
ここで、たとえば上記のようにステージ2を移動させるときには、ステージ2の寸法精度やステージ2を移動させるためのモータなどの駆動手段に起因する振動により、また、レーザ光源由来の焦点位置変動等により、加工対象材1中での集光領域9の位置が図1のz軸方向に変動する場合がある。このように加工対象材1中での集光領域9の位置がz軸方向に変動すると、たとえば加工対象材1が矢印5に示す方向に移動した場合に、図2に示すように形成される改質層7の位置も変動する。
そして、レーザ加工においてはさらなる効率向上を図るため、処理の高速化が求められている。このような処理の高速化には、ステージ2の移動速度を高めることが有効である。一方、このようなステージ2の移動速度の向上により、加工対象材1のz軸方向における振動が増大する可能性がある。このような振動が大きくなると、図2に示すように改質禁制領域8へ改質層7が侵入する侵入距離Yが大きくなり、結果的に改質層7が加工対象材1の表面にまで到達して当該表面が損傷する。
本発明では、このような加工対象材1の表面損傷を、加工対象材1の表面に保護膜20(図4参照)を形成することで防止するものである。以下、具体的に説明する。
図3〜図9を参照して、本発明によるレーザ加工方法を説明する。図3を参照して、本発明によるレーザ加工方法は、加工対象材1を準備する準備工程(S10)と、当該加工対象材1に、集光レンズにより集光され、複数の波長成分を含むレーザ光を照射する工程であるレーザ加工工程(S20)とを備える。準備工程(S10)では、図4に示すように、表面に保護膜20が形成された加工対象材1が準備される。加工対象材1の材料としてはたとえばレーザ光をある程度透過する材料であってもよく、たとえばサファイアを用いることができる。また、保護膜の材料としては任意の材料を用いることができるが、たとえば窒化ガリウム(GaN)エピタキシャル層を用いることができる。
なお、加工対象材1においてレーザ光を照射される光照射側の表面(結晶表面)はミラー研磨面となっており、その表面粗さがRaでレーザ光の波長(λ)の10分の1以下程度に設定されている。レーザ光を照射する上記レーザ加工工程(S20)では、図5に示すように、レーザ光を集光レンズ40で集光することにより、複数の波長成分に対応する複数の焦点により構成される集光領域9(図1参照)が形成される。当該集光領域9の少なくとも一部が加工対象材1の内部に位置するように、加工対象材1において保護膜20が形成された表面側からレーザ光を加工対象材1に照射する。
このような集光領域9は、以下のようにして形成することができる。具体的には、たとえば図5を参照して、レーザ光に含まれる波長成分のいずれもが、入射波面が平面となった平面波である場合を考える。図5において、レーザ光に含まれる波長成分の各波長λ、λ、λの関係はλ<λ<λである。相対的に短波長である波長λである波長成分の焦点位置fは集光レンズ40側に位置する。一方、相対的に長波長である波長λである波長成分の焦点位置fは、集光レンズ40から離れる遠方側に位置する。中間的な値である波長λである波長成分の焦点位置fは、焦点位置fと焦点位置fとの間に位置する。このように、短波長成分と長波長成分とは焦点位置が分離し、各波長成分は波長ごとに異なる点(点Pmin(最短焦点位置)〜点Pmax(最遠焦点位置))に集光され、色収差Δαが生じる。このような色収差Δαにより、集光領域9(図6参照)が形成される。
また、本実施の形態では、加工対象材1においてレーザ光により損傷を発生させるために必要なレーザ光のパワーである第1の損傷閾値より、保護膜20においてレーザ光により損傷を発生させるために必要なレーザ光のパワーである第2の損傷閾値が小さくなるように、保護膜20の材質は決定されている。
このようにすれば、図6に示すようにステージ2を矢印5に示す方向に移動させることによって、図2に示したように加工対象材1の振動などによって改質層7の位置がz軸方向(図8参照)に変動した場合においても、加工対象材1の表面上には加工対象材1より損傷閾値が相対的に小さくなっている保護膜20が形成されているため、集光領域9が加工対象材1の表面に近づいたときには加工対象材1より先に保護膜20がレーザ光により損傷を受ける。そして、図7に示すように保護膜20がレーザ光により損傷を受けると、当該保護膜20において損傷を受けた部分(図7の部分21)によりレーザ光が散乱するため、当該保護膜20の損傷を受けた部分21下に位置する加工対象材1の表面近傍にまで到達するレーザ光のパワーが低下する。即ち、損傷した当該保護膜21下の加工対象材1内部のレーザ光は、指向性が低下して通過するため、当該保護膜21の部分下に位置する加工対象材1には集光領域は形成されない。この結果、加工対象材1の表面においてレーザ光による損傷が発生することを防ぐことができる。
上記レーザ加工方法において、レーザ光を照射するレーザ加工工程(S20)では、上述のように集光領域9の延びる方向と交差する方向(図6の矢印5に示す方向)に、レーザ光に対して加工対象材1が相対的に移動される。この場合、レーザ光に対して加工対象材1が相対的に移動するときに、加工対象材1が振動することでレーザ光の集光領域9が加工対象材1の表面に近づくような状態が発生しても、保護膜20の存在により加工対象材1の表面がレーザ光により損傷を受けることを確実に防止できる。そのため、加工対象材1の振動に起因する加工対象材1表面の上記損傷を考慮して、加工対象材1の移動速度を制限する必要が無い。そのため、従来よりもレーザ加工のプロセス時間を短縮して、加工効率を高めることができる。
上記レーザ加工方法では、第1の損傷閾値は、第2の損傷閾値の2倍以上1000倍未満であってもよい。この場合、加工対象材1の表面近傍でのレーザ光のパワーが過大になったときに、確実に保護膜20が加工対象材1より先に損傷を受ける。このため、保護膜20の損傷を受けた部分によってレーザ光を散乱させることができるので、当該保護膜20下の加工対象材1の表面がレーザ光により損傷を受けることを防止できる。
上記レーザ加工方法では、保護膜20における第2の損傷閾値のばらつきは、第2の損傷閾値の設定値に対して±10%以下である。ここで、第2の損傷閾値が保護膜20全体においてばらついていると、加工対象材1の表面近傍におけるレーザ光のパワーが同じでも保護膜20の場所によって損傷が発生する場合と、損傷が発生しない場合とが起こり得る。この場合、予期せぬ保護膜20の破損を防止するため、加工対象材1の表面からレーザ光の集光領域までの設定距離を十分大きくしておく必要がある。一方、本願発明のように第2の損傷閾値のばらつきを抑制しておくことで、加工対象材1の表面からレーザ光の集光領域9までの設定距離を小さくしても、保護膜20の予期せぬ破損を防止しながら加工対象材1の内部において安定して集光領域9を形成できる。したがって、加工対象材1の表面から集光領域が形成された領域(つまり集光領域により加工対象材1の内部に形成された改質層7)までの距離(つまり改質層7が形成されていない改質禁制領域8の大きさ)を小さくできる。このため、当該改質層7を起点として加工対象材1を分割するときに、当該改質禁制領域8によって分割面の品質が劣化することを抑制できる。
ここで、保護膜20における第2の損傷閾値は、改質禁制領域8が確実に形成するため、集光光学系に依存したレーザ光のパワー密度をコントロールできるように、損傷閾値(第2の損傷閾値)を所望の値にコントロールした膜を用いる。ここでの保護膜20の損傷とは、以下のような保護膜20の状態を意味する。すなわち、表面が平坦な保護膜20(表面粗さがRaでλ/10以下)が、レーザ光の入射パワーにより凹形状に変形する、あるいは蒸発することで、表面が凹形状となるとともに、当該凹形状の表面にはレーザ光の入射波長(λ)よりも小さいサイズの凹凸形状が現れる。そしてこのように凹凸形状の保護膜20にレーザ光が入射すると光が散乱、あるいは、当該凹形状において光ビーム径が拡大する。このように保護膜20において光が散乱、あるいは光ビーム径が拡大する状態を、保護膜20の損傷と呼ぶ。また、損傷閾値とは、保護膜20などの膜に損傷を発生させるために必要なレーザ光の入射パワーを意味する。
上述したレーザ加工工程(S20)では、加工対象材1において保護膜20が形成された表面側(結晶表面側)からレーザ光を照射する。保護膜20を透過するレーザ光のパワー密度が保護膜20の損傷閾値(第2の損傷閾値)よりも低い場合、保護膜20を損傷させることなく加工対象材1内部に集光領域9(図1参照)が形成され、その結果、改質層7が生成される。一方、レーザ光のパワー密度が第2の損傷閾値よりも高い場合、保護膜20は損傷する。図7に示すように保護膜20において損傷した部分21に入射したレーザ光は散乱、あるいは光ビーム径の拡大により、加工対象材1内部に集光領域は形成されない。よって、損傷した部分21の下に位置する領域には改質層7も生成されることは無い。このようにすれば、加工対象材1における改質禁制領域8へ改質層7が侵入する侵入距離Yを小さくすることができる。よって、加工対象材1表面付近にまで集光領域を設定することができる。なお、この場合、図7に示すように改質層7はストライプ状に生成される。
なお、図8に示すように、レーザ光のパワー密度と損傷閾値との関係において、保護膜20の全面について図8に示すようなレーザ光のパワー密度Pと損傷閾値Athとの関係が成り立てば(つまり保護膜20の全面について損傷閾値Athの値が単一の値であれば)、改質禁制領域8(図7参照)への改質層7の侵入距離Yを零にすることができる。しかし、保護膜20のそれぞれの部位によって純度や欠陥密度が異なるため、結果的に損傷閾値にはバラつきが生じる。そのため、実際には保護膜20の損傷閾値は、図8に示す損傷閾値Bthのように所定の数値範囲を有すると考えられる。このため、保護膜20を損傷させるレーザ光のパワー密度は、図8のPB1からPB2までの領域が存在する。したがって、改質禁制領域8への改質層7の侵入距離Yは保護膜20を付与することにより保護膜無しに比べて圧縮されるが、厳密には零にはならず、ある値を有することになる。なお、この改質禁制領域8への改質層7の侵入距離Yは好ましくは50μm以下である。
このような工程を実施することにより、ステージ2を高速度で移動させた場合に発生するz軸方向(図1参照)の振動や、集光されたレーザ光の焦点深度の変動などを吸収し、改質禁制領域8を保持して(つまり加工対象材1の表面から所定の深さ領域に)改質層7を形成することができる。
そして、上述のようにレーザ光の照射によって改質層7が形成されたあと、加工対象材1の表面上から、図9に示すように保護膜20を除去する。保護膜20の除去する方法としては任意の方法を用いることができるが、たとえばリアクティブイオンエッチング(RIE)などを用いることができる。このようにして、改質層7が形成された加工対象材1を得ることができる。当該加工対象材1については、この後改質層7を起点にして分割加工などを容易に行なうことができる。
なお、改質禁制領域8のサイズを大きくする場合、保護膜20の損傷閾値を大きくするといった方法がある。すなわち、図10に記載した保護膜20a〜20cのそれぞれの損傷閾値について、保護膜20aの損傷閾値が最も大きく、保護膜20cの損傷閾値が最も小さく、保護膜20bの損傷閾値が中間の値となるように設定された場合を考える。この場合、保護膜20aの損傷閾値が最も大きいため、即ち、加工対象材1の損傷閾値との差異が小さくなるため、X領域が小さくなり集光領域9の位置が加工対象材1の深さ方向(図1のz軸方向)において少しでも変動する(たとえば集光領域9が保護膜20側にずれる)と、即座に保護膜20がレーザ光により損傷を受ける。よって、加工対象材1内部に改質層領域を増大させるためには、保護膜20の損傷閾値Bthの抑制が必要であり、保護膜20全面に亘って均一であることが求められる。一方、図10(C)に示すように、図8において最も損傷閾値が小さい保護膜20cが形成された加工対象材1においては、改質禁制領域8のサイズ(深さX”)は相対的に最も大きくなっているため、保護膜20の損傷閾値Bthは、図10(A)に比べて大きく不均一であっても良い。また、図10(B)に示すように、図10において中間的な損傷閾値を有する保護膜20bが形成された加工対象材1では、改質禁制領域8のサイズ(深さX’)は図10(A)における改質禁制領域8のサイズ(深さX)より大きく、図10(C)における改質禁制領域8のサイズ(深さX”)より小さくなっている。以上より、保護膜20の損傷閾値Bthやレーザ光パワーの揺らぎに依存した侵入距離Y、集光領域の設定位置に関係した改質禁制領域8のサイズ、分割加工に関連した改質領域9の長さや加工対象材1内部に占める割合を考慮に入れる必要がある。
また、改質禁制領域8のサイズを大きくすることは、他の方法によっても実現できる。たとえば、レーザ光の照射光学系における集光レンズ40(図5参照)を低倍率のものに変更することによっても改質禁制領域8のサイズを大きくすることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、レーザ光を集光して加工対象材内部に集光領域を形成するレーザ加工方法に特に有利に適用される。
1 加工対象材、2 ステージ、3 治具、5,10 矢印、7 改質層、8 改質禁制領域、9 集光領域、20,20a〜20c 保護膜、21 部分、
40 集光レンズ。

Claims (4)

  1. 加工対象材を準備する工程と、
    前記加工対象材に、集光レンズにより集光され、複数の波長成分を含むレーザ光を照射する工程とを備え、
    前記加工対象材を準備する工程では、前記加工対象材の表面に保護膜が形成され、
    前記レーザ光を照射する工程では、前記レーザ光を前記集光レンズで集光することにより、前記複数の波長成分に対応する複数の焦点により構成される集光領域が形成され、前記集光領域の少なくとも一部が前記加工対象材の内部に位置するように、前記加工対象材において前記保護膜が形成された表面側から前記レーザ光を前記加工対象材に照射し、
    前記加工対象材において前記レーザ光により損傷を発生させるために必要な前記レーザ光のパワーである第1の損傷閾値より、前記保護膜において前記レーザ光により損傷を発生させるために必要な前記レーザ光のパワーである第2の損傷閾値は小さい、レーザ加工方法。
  2. 前記レーザ光を照射する工程では、前記集光領域の延びる方向と交差する方向に、前記レーザ光に対して前記加工対象材が相対的に移動される、請求項1に記載のレーザ加工方法。
  3. 前記第1の損傷閾値は、前記第2の損傷閾値の2倍以上1000倍未満である、請求項1または2に記載のレーザ加工方法。
  4. 前記保護膜における前記第2の損傷閾値のばらつきは、前記第2の損傷閾値の設定値に対して±10%以下である、請求項3に記載のレーザ加工方法。
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