JP2014077770A - 交番磁場を使用した非破壊検査装置およびその検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の電磁誘導非破壊検査装置のデジタル化において、励振信号の構成、測定データの内容、解析方法等についての明確な方針が望まれる。
【解決手段】デジタル化された電磁誘導非破壊検査装置の基本構造の定義、励振信号の構成方法、サンプリング周波数、サンプリング期間、データの解析方法等の最適化案の提示および実施例の紹介と実測データを報告する。
【選択図】図2
【解決手段】デジタル化された電磁誘導非破壊検査装置の基本構造の定義、励振信号の構成方法、サンプリング周波数、サンプリング期間、データの解析方法等の最適化案の提示および実施例の紹介と実測データを報告する。
【選択図】図2
Description
本発明は、導電性の被検体に交番磁場を印加し、被検体に生ずる渦電流による磁場の影響を検出することにより被検体の減肉、探傷を行う電磁誘導を利用した装置およびその検査方法に関わるものである。
電磁誘導を利用した渦流探傷装置本体として、正弦波発生器、駆動コイル励振回路、センサ出力増幅回路および同期検波回路を含む解析回路等で構成された装置が提案されている。 それらの装置は検出対象の性格に対応した個別回路で構成された物が多い。
これらの検査装置は特定の試験環境下においてのみ機能する物が多い。すなわち、測定データも対応する環境内の相対的数値の範囲を出ない。 結果として、個々の対象に合わせた装置のカスタム化と測定手法の再開発、再調整を必要とする。
測定の基礎となる正弦波データの絶対精度の向上、多周波数を使った同時測定の実現、測定結果データの精度向上、数値解析への道筋、50Hz/60Hzの環境ノイズへの耐性強化など改善すべき点が多く有る。その手段として、装置のデジタル化により、DAコンバータ、ADコンバータおよび電力増幅回路等によるシンプルな構造にする事が考えられるが、デジタル化された電子回路の基本構造および目的を達成する為の基本的な測定手法、条件設定等は未解決な部分が多い。
高速フーリエ変換を用いたデジタル解析の特長を最大限引き出す為の励振コイル駆動信号の最適化、サンプリング期間の最適化、サンプリングする対象信号の構成、および信号解析の基本方針などについて提案する。
以下、本発明の各実施形態について、請求項番号に即して説明する。
請求項1に関し、図1は励振コイル(101)、検出コイル(102)を有し、検体(103)の磁気誘導反応を測定するものである。DAC(104)はDAC制御部(108)とホストインタフェース(110)を介して、外部のPCに繋がれている。このDAC(104)出力は電力増幅器(105)を介して励振コイルに供給される。一方、検出コイル(102)の出力はADC1(106)に繋がれ、ADC制御部(109)および前記ホストインタフェース(110)を介して、前記の外部のPCに繋がれている。図1ではさらにADC2(107)が存在し、駆動コイルに印加されている交流信号電圧を検出コイル電圧と同時タイミングでサンプリング出来る。 図2ではさらに第3のADC3(212)を有し、励振コイルに流れている交流電流値を検出コイル電圧と同時タイミングで、追加サンプリング出来る。
請求項2に関し、図2に実施例を示す。励振コイルに流れる電流は経路に抵抗を入れる事で検出出来るが、励振コイルはインダクタンスの性格を持ち、周波数に比例してそのインピーダンスは増大し、抵抗の両端に発生する起電力は周波数に反比例して減少する。 この不都合を解消する為に純抵抗の代わりにインダクタンスを用いて、検出電圧の周波数依存性を打ち消す事が出来る。 また、請求項2に示す結線により、ADCには励振コイルに流れている電流のみによってコイルに生じる起電力が測定出来る。
請求項3に関する実施形態の説明(1)
該電磁誘導非破壊検査装置(デジタル方式)では計算処理の最小単位としてのデータ長が定義される。 このデータ長は高速フーリエ変換計算プログラムの運営上の理由から、2のべき乗数が一般的に使われる。例としては256、512、1,024、2,048、4,096、8,192などがある。このデータ長を単位として励振信号波形を作成し、励振出力用のDACを使用して決められたサンプリングクロック周波数で励振信号を送出する。この信号出力と同期するように共通のサンプリングクロック周波数を使用して、励振信号のデータ・サンプリング区間に同期した区間データを複数のADCによりサンプリング採取する。フーリエ変換はこのデータ・サンプリング区間に整数個の周期を有する正弦波の集合に対して、周波数毎に分解した波形の要素情報(複素数表現もしくは振幅と位相)が得られる。
該電磁誘導非破壊検査装置(デジタル方式)では計算処理の最小単位としてのデータ長が定義される。 このデータ長は高速フーリエ変換計算プログラムの運営上の理由から、2のべき乗数が一般的に使われる。例としては256、512、1,024、2,048、4,096、8,192などがある。このデータ長を単位として励振信号波形を作成し、励振出力用のDACを使用して決められたサンプリングクロック周波数で励振信号を送出する。この信号出力と同期するように共通のサンプリングクロック周波数を使用して、励振信号のデータ・サンプリング区間に同期した区間データを複数のADCによりサンプリング採取する。フーリエ変換はこのデータ・サンプリング区間に整数個の周期を有する正弦波の集合に対して、周波数毎に分解した波形の要素情報(複素数表現もしくは振幅と位相)が得られる。
請求項3に関する実施形態の説明(2)
単一周波数での測定であればこのデータ・サンプリング区間にひとつの正弦波が収まった波形(基本波)を想定出来る。しかし、多周波数同時解析を前提とした場合には、以下の理由により、上記の基本波は使用しない。
つまり、測定用の励振コイル、検出コイル、および、検査対象物体(検体)は磁気回路に起因する非線形性を持つので、測定動作において高調波歪を発生する。高調波歪は倍数関係にある周波数全てに影響を与えるので、基本波を使用するとそれ以上の全ての周波数が高調波歪の影響を受けてしまう。
基本波の代わりに最小の素数2を使い、該データ・サンプリング区間に2周期収まる正弦波を採用する。こうすると全ての2の倍数(偶数)周波数が高調波歪の影響を受けるが、それらの2の倍数は素数で無い為、素数2に対応した周波数による高調波歪の影響を受ける周波数は以後使用されない。同様にして、素数3を採用し3の倍数を除外する事になる。この論理は素数発生のアルゴリズム(つまり、2から1つずつ増える数列を用意し、2から始め、その数を素数と定義するごとにその数の倍数を抹消し、次の数に進む方法)と等価であり、素数の系列から選ぶ事で高調波歪による測定データの混信を論理的に防げる。
単一周波数での測定であればこのデータ・サンプリング区間にひとつの正弦波が収まった波形(基本波)を想定出来る。しかし、多周波数同時解析を前提とした場合には、以下の理由により、上記の基本波は使用しない。
つまり、測定用の励振コイル、検出コイル、および、検査対象物体(検体)は磁気回路に起因する非線形性を持つので、測定動作において高調波歪を発生する。高調波歪は倍数関係にある周波数全てに影響を与えるので、基本波を使用するとそれ以上の全ての周波数が高調波歪の影響を受けてしまう。
基本波の代わりに最小の素数2を使い、該データ・サンプリング区間に2周期収まる正弦波を採用する。こうすると全ての2の倍数(偶数)周波数が高調波歪の影響を受けるが、それらの2の倍数は素数で無い為、素数2に対応した周波数による高調波歪の影響を受ける周波数は以後使用されない。同様にして、素数3を採用し3の倍数を除外する事になる。この論理は素数発生のアルゴリズム(つまり、2から1つずつ増える数列を用意し、2から始め、その数を素数と定義するごとにその数の倍数を抹消し、次の数に進む方法)と等価であり、素数の系列から選ぶ事で高調波歪による測定データの混信を論理的に防げる。
請求項4に於ける詳細説明
正弦波信号はsin(ωt+θ)で記述される。図4は基本波が5Hz(サンプリング区間が200ミリ秒)の条件に於いて、10Hz、15Hz、25Hz、35Hz、および55Hzの正弦波を合成した例を示す。[注]これらの周波数に対応した素数列は2,3,5,7,11である。
図4−401はこれら5種の周波数を位相を全て等しく(θ=0°)し、合成した結果である。この結果では出力信号のPeak−to−Peak値は1.6Vある。同図の402は位相の初期値を0°、180°、0°、180°、0°と交互に適用した結果である。この時の出力信号のPeak−to−Peak値は1.28Vとなっている。最後に図4−403は各周波数の位相の初期値θを0°〜360°の間で乱数発生器により振ったものである。乱数発生器の乱数の偶然性に依存するが出力信号のPeak−to−Peak値は1.20Vになる場合も起こり得る。
これら3種の波形の単位時間当たりのエネルギー量は等しい。しかし、Peak−to−Peak値に差が出ている。この励振信号はDACから出力され電力増幅器を通して、励振コイルをドライブする。DACも増幅器も最大振幅値で出力が制約されるので、Peal−to−Peak値の小さな波形を使用する事で既定のDACと増幅器を使用した環境で最大限の励振出力を供給出来る。
正弦波信号はsin(ωt+θ)で記述される。図4は基本波が5Hz(サンプリング区間が200ミリ秒)の条件に於いて、10Hz、15Hz、25Hz、35Hz、および55Hzの正弦波を合成した例を示す。[注]これらの周波数に対応した素数列は2,3,5,7,11である。
図4−401はこれら5種の周波数を位相を全て等しく(θ=0°)し、合成した結果である。この結果では出力信号のPeak−to−Peak値は1.6Vある。同図の402は位相の初期値を0°、180°、0°、180°、0°と交互に適用した結果である。この時の出力信号のPeak−to−Peak値は1.28Vとなっている。最後に図4−403は各周波数の位相の初期値θを0°〜360°の間で乱数発生器により振ったものである。乱数発生器の乱数の偶然性に依存するが出力信号のPeak−to−Peak値は1.20Vになる場合も起こり得る。
これら3種の波形の単位時間当たりのエネルギー量は等しい。しかし、Peak−to−Peak値に差が出ている。この励振信号はDACから出力され電力増幅器を通して、励振コイルをドライブする。DACも増幅器も最大振幅値で出力が制約されるので、Peal−to−Peak値の小さな波形を使用する事で既定のDACと増幅器を使用した環境で最大限の励振出力を供給出来る。
請求項5に関しての詳細説明
電力送電周波数の50Hz、60Hzによる電磁波ノイズは広く偏在しており、特に低周波数帯(10Hz〜100Hz)を使用した電磁誘導非破壊検査では格別の配慮が必要である。
当然50Hzと60Hzの近傍周波数は使用を避け、10Hz〜40Hzの領域と70Hz〜100Hzの領域に分かれるが、存在する50Hzと60Hzを基本波としたノイズの影響をこの測定周波数(10Hz〜40Hzの領域と70Hz〜100Hzの領域)に及ばせない方策として、データ・サンプリング区間を200ミリ秒とする事が考えられる。
基準となるデータ・サンプリング区間を200ミリ秒とした場合、基本波の周波数は5Hzである。一番目の素数2により、10Hzの正弦波が組み込まれる。10Hzが組み込まれた結果、10Hzの倍数周波数は検査非対象周波数となり、50Hzと60Hzは検査対象から除かれるがフーリエ変換処理は行われる。
図5−501は計算により、50Hzと60Hz正弦波の合成波形を生成し、そのデータのフーリエ変換結果の絶対値をプロットしたものである。グラフに於いて、波形データは左座標軸で示され、プラス1Vとマイナス1Vレンジに収まっている。フーリエ変換結果は右座標軸(対数目盛)で示されており、50Hzと60Hzの周波数にピンポイントで絶対値256が存在し、それ以外の周波数では絶対値は実質ゼロである。つまり、フーリエ変換に於いて、特定の周波数がフーリエ変換の離散的周波数と一致する場合にはその周波数以外の要素に影響を与えない事が判る。
一方、図5−502に同じ200ミリ秒のデータ・サンプリング区間に対し、50.5Hzと60.6Hzの1%周波数が偏移した正弦波を与えた場合を示した。この場合、絶対値のピークは50.5Hzと60.6Hzにある筈でだが、横軸の分解能は整数であり、50Hzと51Hzの間と60Hzと61Hzの間にピークが存在すると類推出来る事以上の事は判らない。ここで注目すべき事はピークの在り方は図5−501の様に1/0的で無く、ピークの周囲で絶対値はなだらかに変化している。ここでは計算の容易さから、50/60Hzを1%変位させたが、200ミリ秒ののデータ・サンプリング区間を変位しても同様の事が起こる。
云い換えるとサンプリング区間を200ミリ秒の整数倍にしなかった場合には50Hz、60Hzのノイズ成分は広範囲の測定周波数に拡散してしまう事が明確である。
電力送電周波数の50Hz、60Hzによる電磁波ノイズは広く偏在しており、特に低周波数帯(10Hz〜100Hz)を使用した電磁誘導非破壊検査では格別の配慮が必要である。
当然50Hzと60Hzの近傍周波数は使用を避け、10Hz〜40Hzの領域と70Hz〜100Hzの領域に分かれるが、存在する50Hzと60Hzを基本波としたノイズの影響をこの測定周波数(10Hz〜40Hzの領域と70Hz〜100Hzの領域)に及ばせない方策として、データ・サンプリング区間を200ミリ秒とする事が考えられる。
基準となるデータ・サンプリング区間を200ミリ秒とした場合、基本波の周波数は5Hzである。一番目の素数2により、10Hzの正弦波が組み込まれる。10Hzが組み込まれた結果、10Hzの倍数周波数は検査非対象周波数となり、50Hzと60Hzは検査対象から除かれるがフーリエ変換処理は行われる。
図5−501は計算により、50Hzと60Hz正弦波の合成波形を生成し、そのデータのフーリエ変換結果の絶対値をプロットしたものである。グラフに於いて、波形データは左座標軸で示され、プラス1Vとマイナス1Vレンジに収まっている。フーリエ変換結果は右座標軸(対数目盛)で示されており、50Hzと60Hzの周波数にピンポイントで絶対値256が存在し、それ以外の周波数では絶対値は実質ゼロである。つまり、フーリエ変換に於いて、特定の周波数がフーリエ変換の離散的周波数と一致する場合にはその周波数以外の要素に影響を与えない事が判る。
一方、図5−502に同じ200ミリ秒のデータ・サンプリング区間に対し、50.5Hzと60.6Hzの1%周波数が偏移した正弦波を与えた場合を示した。この場合、絶対値のピークは50.5Hzと60.6Hzにある筈でだが、横軸の分解能は整数であり、50Hzと51Hzの間と60Hzと61Hzの間にピークが存在すると類推出来る事以上の事は判らない。ここで注目すべき事はピークの在り方は図5−501の様に1/0的で無く、ピークの周囲で絶対値はなだらかに変化している。ここでは計算の容易さから、50/60Hzを1%変位させたが、200ミリ秒ののデータ・サンプリング区間を変位しても同様の事が起こる。
云い換えるとサンプリング区間を200ミリ秒の整数倍にしなかった場合には50Hz、60Hzのノイズ成分は広範囲の測定周波数に拡散してしまう事が明確である。
請求項6に関する詳細説明(1)
図6に本電磁誘導非破壊検査装置の基本構造に着目する3種の伝達関数を示した。
図6−601は第一の伝達関数で、その関数の値は、DACの動作遅延、電力増幅器の周波数特性および出力インピーダンスと次段(図6−602)の入力インピーダンス変動などのパラメータによって決まる。
図6−602は第二の伝達関数で、その関数の値は、意図的に挿入した検出回路と検体内の渦電流の影響で変動する励振コイルのインピーダンスとの総合作用で決まる。
図6−603は第三の伝達関数で、その関数の値は励振コイルと検出コイルおよび検体の相対的位置関係、および磁気飽和による磁力線の分布状況によって決まる。
従来の方法では最終的な検出コイルの起電力に注力して測定している事例が多いが様々な検体を試験すると必ずしも検出コイルの最終出力が最大の情報量を示しているとは限らないと云える。
図6に本電磁誘導非破壊検査装置の基本構造に着目する3種の伝達関数を示した。
図6−601は第一の伝達関数で、その関数の値は、DACの動作遅延、電力増幅器の周波数特性および出力インピーダンスと次段(図6−602)の入力インピーダンス変動などのパラメータによって決まる。
図6−602は第二の伝達関数で、その関数の値は、意図的に挿入した検出回路と検体内の渦電流の影響で変動する励振コイルのインピーダンスとの総合作用で決まる。
図6−603は第三の伝達関数で、その関数の値は励振コイルと検出コイルおよび検体の相対的位置関係、および磁気飽和による磁力線の分布状況によって決まる。
従来の方法では最終的な検出コイルの起電力に注力して測定している事例が多いが様々な検体を試験すると必ずしも検出コイルの最終出力が最大の情報量を示しているとは限らないと云える。
請求項6に関する詳細説明(2)
図7は請求項6で提示した実測結果を示す。
本例では図6−603のセンサの伝達関数変動を利用しており、使用したデータはADC1の結果とADC2の結果である。サンプリング周波数は40.96KHzでサンプル数は8,192個、データ・サンプリング区間は200ミリ秒である。グラフを見易くする為に励振信号は25Hzの単周波数としている。また、検体として、厚さ5mm、3mm、2mmの炭素鋼素材とリフトオフを12mm、15mm、18mmの3種類に調整する治具使って測定を行った。
ADC1およびADC2の信号情報はフーリエ変換によって、周波数毎の複素数に分解される。複素数はその周波数を正弦波で表現した時の振幅(絶対値)と位相角を表している。フーリエ変換結果より、25Hzに相当する複素数を取り出し、絶対値の比をY軸、二つのベクトルのなす角度をX軸(ラジアン)に投影した物が図7である。
図7は非常に簡単な例であるが、絶対値の比と角度情報を使えばリフトオフと肉厚を分離できると云う事で有る。本システムでは多周波数を同時測定出来、また、検査に使用出来る伝達関数も3種類ある。これらのデータを分析する事で飛躍的に性能向上が見込まれる。
図7は請求項6で提示した実測結果を示す。
本例では図6−603のセンサの伝達関数変動を利用しており、使用したデータはADC1の結果とADC2の結果である。サンプリング周波数は40.96KHzでサンプル数は8,192個、データ・サンプリング区間は200ミリ秒である。グラフを見易くする為に励振信号は25Hzの単周波数としている。また、検体として、厚さ5mm、3mm、2mmの炭素鋼素材とリフトオフを12mm、15mm、18mmの3種類に調整する治具使って測定を行った。
ADC1およびADC2の信号情報はフーリエ変換によって、周波数毎の複素数に分解される。複素数はその周波数を正弦波で表現した時の振幅(絶対値)と位相角を表している。フーリエ変換結果より、25Hzに相当する複素数を取り出し、絶対値の比をY軸、二つのベクトルのなす角度をX軸(ラジアン)に投影した物が図7である。
図7は非常に簡単な例であるが、絶対値の比と角度情報を使えばリフトオフと肉厚を分離できると云う事で有る。本システムでは多周波数を同時測定出来、また、検査に使用出来る伝達関数も3種類ある。これらのデータを分析する事で飛躍的に性能向上が見込まれる。
本発明の実施例につき図8、図9を用いて説明する。
本実施例では図8に示す検体を使用した。検体の材質は炭素鋼で直径65mm、標準肉厚4.2mmであるが両端から1/3まで肉厚を2.4mmと3.4mmに切削加工してある。さらに内側中央部に10mmΦで深さが1mmのくぼみが開けて有る。この炭素鋼パイプには厚さ20mmの断熱材が被せてあり、リフトオフの最小値は20mmである。
測定の条件は前出の条件と同等であるが、励振周波数については10Hz、15Hz、25Hz、35Hzの4周波数を使用した。計算はそれぞれの周波数で絶対値比と角度を算出し、それらの相加平均値で連立方程式を解いた。実際に図7で判る様に肉厚とリフトオフで形成される面は平面で無く曲面である。従ってより正確な肉厚の算出には適切な曲線近似が必要であるが今回はリフトオフの変動を抑える目的で、直線近似を使用した。
測定に先立ちキャリブレーションを行うが、直線近似をするので、3点測定となる。
A点はリフトオフ=20mmとし、中央部の厚さ4.2mmの部分を測る。
B点はリフトオフ=22mmとし、同様の中央部(4.2mm)を測る。
C点はリフトオフ=22mmとし、周辺部の2.4mmの部分を測る。
キャリブレーション終了後にセンサーヘッドをスキャンさせながら、測定データから肉厚を算出させた結果を図9に示す。
本実施例では図8に示す検体を使用した。検体の材質は炭素鋼で直径65mm、標準肉厚4.2mmであるが両端から1/3まで肉厚を2.4mmと3.4mmに切削加工してある。さらに内側中央部に10mmΦで深さが1mmのくぼみが開けて有る。この炭素鋼パイプには厚さ20mmの断熱材が被せてあり、リフトオフの最小値は20mmである。
測定の条件は前出の条件と同等であるが、励振周波数については10Hz、15Hz、25Hz、35Hzの4周波数を使用した。計算はそれぞれの周波数で絶対値比と角度を算出し、それらの相加平均値で連立方程式を解いた。実際に図7で判る様に肉厚とリフトオフで形成される面は平面で無く曲面である。従ってより正確な肉厚の算出には適切な曲線近似が必要であるが今回はリフトオフの変動を抑える目的で、直線近似を使用した。
測定に先立ちキャリブレーションを行うが、直線近似をするので、3点測定となる。
A点はリフトオフ=20mmとし、中央部の厚さ4.2mmの部分を測る。
B点はリフトオフ=22mmとし、同様の中央部(4.2mm)を測る。
C点はリフトオフ=22mmとし、周辺部の2.4mmの部分を測る。
キャリブレーション終了後にセンサーヘッドをスキャンさせながら、測定データから肉厚を算出させた結果を図9に示す。
Claims (6)
- 励振コイルと検出コイルを使用する、電磁誘導非破壊検査装置で、励振コイルに駆動信号を送出する為の電力増幅回路を有したデジタル−アナログ・コンバータ(以下、DACとする)、検出コイルの出力を計測サンプリングするアナログ−デジタル・コンバータ(以下、ADCとする)、およびこれらのADC、DACを外部のパーゾナル・コンピュータとインタフェース設備を有する電磁誘導非破壊検査装置において、励振コイルの両端の電圧を検出コイルの電圧値と同時にサンプリング出来る第2のADCチャンネル、もしくは励振コイルに流れる電流値を同時にサンプリング出来る第3のADCチャンネルのどちらか、あるいは両方を備えた事を特徴とする、デジタル型電磁誘導非破壊検査装置
- 請求項1の電磁誘導非破壊検査装置において、差動電力増幅器の両出力と励振コイルの両極を結ぶ結線それぞれに値の等しいインダクタンスの対を挿入し、該差動電力増幅器の正出力と励振コイルの負端子の抵抗分割による中点電圧をADCの正(もしくは負)入力に結線し、該差動電力増幅器の負出力と励振コイルの正端子の抵抗分割による中点電圧をADCの負(もしくは正)入力に結線する事で、インダクタンスの両端の起電力のみを取り出し、励振コイルに流れている交流電流を測定する回路を具備したもの。
- 請求項1の電磁誘導非破壊検査装置であって、励振信号と信号計測の基本となるデータ区間を設定し、そのデータ区間をフーリエ変換等の数値計算のサンプリング区間と共有する計測システムにおいて、その区間内に2以上の素数個の周期を有する正弦波周波数を複数組み合わせた事を特徴とする多周波混合励振信号の構成方法。
- 請求項3の多周波正弦波の合成について、各周波数の正弦波毎に位相角を0°〜360°の範囲で乱数によって変動させるか、あるいは偶数番目は0°とし、奇数番目は180°する事を基本とした複数正弦波の合成方法を用いた事を特徴とする、請求項1に示された電磁誘導非破壊検査装置。
- 請求項3に示した多周波数を使用した電磁誘導非破壊検査装置に於いて、50Hz、60Hz近傍の低周波数領域を使う場合、既定のデータ長に対応したサンプリング区間を200ミリ秒の整数倍に設定した事を特徴とするもの。
- 多周波数を使用した電磁誘導非破壊検査装置に於いて、検出コイルに生じた1データ・サンプリング区間分の信号電圧(A)および励振コイルに印加された1データ・サンプリング区間分の信号電圧(B)もしくは励振コイルに流れた電流を電圧に変換した1データ・サンプリング区間分の信号電圧(C)およびDACに与えた1データ・サンプリング区間分の原始信号電圧(D)等をそれぞれフーリエ変換し、検査に使用した周波数ごとの結果を複素数(jω)として取り出し、それらのデータから、例えば検出コイル信号より抽出した信号(A)の複素数と励振コイルに印加された信号電圧(B)より抽出した複素数をそれぞれベクトルと看做し、絶対値の比(絶対値(A)と絶対値(B)の比)と二つのベクトルの形成する角度(位相)の二つを計算する事により、一回の測定で少なくとも次元の異なる2つデータを生成するシステムにおいて、肉厚が既知の検体サンプルを2個用意し、基準のリフトオフと変異したリフトオフを設定し、A,B,C3点の測定を、A点は肉厚Sで変異リフトオフ、B点は同じく肉厚Sで通常のリフトオフ、C点は肉厚Tで通常のリフトオフとなる様に測定し得られたデータにより、未知の肉厚を持った検体を通常のリフトオフで測って得られたデータから、連立方程式によって未知の肉厚を類推する、電磁誘導非破壊検査装置。
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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