JP2014073553A - 工作機械のカバー構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 切削液等の液体が加工領域から加工カバーの外へ漏れ出ても周囲に影響を与えないようにすることで、コーキング処理が不要または少なくて済む工作機械のカバー構造を提供する。
【解決手段】 この工作機械のカバー構造、ベッドに搭載されてワークに対して機械加工を行う加工機器を有する工作機械に適用される。加工機器による加工領域Qを覆う加工カバー20を有する。加工カバー20は、複数のカバー部材20a,20b,20c,20dを互いに接合して、内側に加工領域Qとなる閉空間が形成される。閉空間からカバー部材20a,20b,20dの接合部30A,30Bを介して加工カバー20の外部へ漏れ出た液体を回収する樋部32を、接合部30A,30Bに沿って設ける。
【選択図】 図4

Description

この発明は、旋盤等の工作機械における加工領域を覆うカバー構造に関する。
旋盤等の工作機械は、加工領域の周囲が加工カバーによって覆われている。加工カバーは、鉄板からなる複数枚のカバー部材を接合して構成される。カバー部材同士の接合には溶接が用いられるが、その溶接は、熱によってカバー部材が歪むことを避けるために、間隔を開けて部分的になされる。従来、溶接箇所間のすきまから切削液等の液体が外部へ漏れ出るのを防止するために、カバー部材の接合部にシリコンによるコーキング処理を施していた。
実公平4−29961号公報
しかし、シリコンによるコーキング処理は、加工カバーの組立の作業工数が増加する問題がある。また、カバー部材の歪み等によりコーキングしたシリコンが剥がれて、液体漏れが起きる可能性があり、この場合、作業空間を汚染することがあった。
この発明の目的は、切削液等の液体が加工領域から加工カバーの外へ漏れ出ても周囲に影響を与えることがないようにすることで、コーキング処理を不要または少なくして、加工カバー組立と製作の作業工数の低減を図ることができる工作機械のカバー構造を提供することである。
この発明の他の目的は、加工カバーの部品点数を増加させることなく、加工カバーの外へ液体が漏れ出ても周囲に影響を与えないようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、加工カバーの外へ漏れ出た液体を円滑に回収できるようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、カバー部材同士を、熱による歪みや反りを生じさせない点付け溶接にて接合した場合にも、加工カバーの外へ漏れ出た液体が周囲に影響を与えないようにすることである。
この発明の工作機械のカバー構造は、ベッドに搭載されてワークに対して機械加工を行う加工機器を有する工作機械において、前記加工機器による加工領域を覆うものである。この工作機械のカバー構造は、複数のカバー部材を互いに接合して、内側に前記加工領域となる閉空間が形成される加工カバーを構成し、前記閉空間から前記カバー部材の接合部を介して前記加工カバーの外部へ漏れ出た液体を回収する樋部を前記接合部に沿って設けて成る。
このカバー構造であると、切削液等の液体が、カバー部材の接合部を介して加工領域から加工カバーの外部へ漏れ出ても、その漏れ出た液体は樋部によって受け止められるため、周囲に影響を与えることが防がれる。樋部に受け止められた液体は、樋部を伝って定められた回収部まで流れ行き、回収部に回収される。このように、接合部に沿って樋部を設けることにより、液体が加工領域から加工カバーの外へ漏れ出ても周囲に影響を与えないようにすることができる。そのため、コーキング処理を不要または少なくでき、加工カバー組立と製作の作業工数の低減を図ることができる。
前記加工カバーは、前記複数のカバー部材のうちの互いに接合される二つのカバー部材において、一方のカバー部材の前記閉空間側となる面にもう一方のカバー部材の端縁を突き合わせて接合した接合部を有し、前記一方のカバー部材の端縁部を折り曲げることによって前記樋部を形成してもよい。
このカバー構造とすると、カバー部材以外の部材を使用せずに樋部を形成することができるため、樋部の形成のために加工カバーの部品点数が増加することを回避できる。
前記加工カバーが、この加工カバーの底部の左右中央部に、加工によって生じる切屑を外部に排出するための開口を有し、この開口の左右両側部分が前記開口に近い側ほど低位となる形状である場合、前記加工カバーにおける前記開口の左右両側部分を構成するカバー部材と、このカバー部材と接合されるカバー部材との接合部に沿って設けられる樋部の左右中央側端に、液体の回収部を設けると良い。
加工カバーが上記形状である場合、加工カバーにおける開口の左右両側部分を構成するカバー部材と、このカバー部材と接合されるカバー部材との接合部に沿って設けられる樋部は、左右中央側が低位となっている。そのため、上記樋部の左右中央側端に液体の回収部を設けることで、加工カバーの外へ漏れ出た液体を回収部に円滑に回収することができる。
前記加工カバーが金属製である場合、間隔を開けて部分的に溶接することで、前記カバー部材同士を互いに接合すると良い。
カバー部材同士を連続的に溶接して接合すると、熱が溜まってカバー部材に歪みが生じ易い。間隔を開けて部分的に溶接すれば、熱の溜りを抑えて歪みが生じないようにできる。部分的な溶接であると、カバー部材の接合部における溶接箇所でない箇所にすきまができるが、この工作機械のカバー構造は、カバー部材の接合部にすきまがあっても、すきまから漏れ出た液体を樋部により回収することができるため、問題ない。
この発明の工作機械のカバー構造は、ベッドに搭載されてワークに対して機械加工を行う加工機器を有する工作機械において、前記加工機器による加工領域を覆う工作機械のカバー構造であって、複数のカバー部材を互いに接合して、内側に前記加工領域となる閉空間が形成される加工カバーを構成し、前記閉空間から前記カバー部材の接合部を介して前記加工カバーの外部へ漏れ出た液体を回収する樋部を前記接合部に沿って設けたため、切削液等の液体が加工領域から加工カバーの外へ漏れ出ても周囲に影響を与えることがなく、それによりコーキング処理が不要となり、加工カバー組立と製作の作業工数の低減を図ることができる。
前記加工カバーは、前記複数のカバー部材のうちの互いに接合される二つのカバー部材において、一方のカバー部材の前記閉空間側となる面にもう一方のカバー部材の端縁を突き合わせて接合した接合部を有し、前記一方のカバー部材の端縁部を折り曲げることによって前記樋部を形成した場合は、加工カバーの部品点数を増加させることなく、加工カバーの外へ液体が漏れ出ても周囲に影響を与えない。
前記加工カバーは、この加工カバーの底部の左右中央部に、加工によって生じる切屑を外部に排出するための開口を有し、この開口の左右両側部分は前記開口に近い側ほど低位となる形状であり、前記加工カバーにおける前記開口の左右両側部分を構成するカバー部材と、このカバー部材と接合されるカバー部材との接合部に沿って設けられる樋部の左右中央側端に、液体の回収部を設けた場合は、加工カバーの外へ漏れ出た液体を円滑に回収できる。
前記加工カバーは金属製であり、間隔を開けて部分的に溶接することで、前記カバー部材同士を互いに接合すると、カバー部材同士を、熱による歪みや反りを生じさせない点付け溶接にて接合した場合にも、加工カバーの外へ漏れ出た液体が周囲に影響を与えないようにできる。
この発明の一実施形態にかかる工作機械のカバー構造が適用された工作機械の外観斜視図である。 同工作機械の一部を省略した斜視図である。 同工作機械の工作機械本体の斜視図である。 同工作機械の加工カバーおよびチップシュートの斜視図である。 図4とは異なる角度から見た同加工カバーおよびチップシュートの斜視図である。 同加工カバーのカバー部材の接合部を拡大して表わした斜視図である。 同工作機械の一部の破断正面図である。 同工作機械のカバー支持部材、加工カバー、およびチップシュートの斜視図である。
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。図1はこの発明の工作機械のカバー構造が適用された工作機械の外観斜視図、図2はその一部を省略した斜視図である。この工作機械は、工作機械本体1と、この工作機械本体1を覆うカバー2と、このカバー2を支持するカバー支持部材4とを備える。図2には、カバー2の一部(化粧カバー21)を取り外した状態が示されている。
図3は、工作機械本体1を示す。この実施形態の工作機械本体1は平行2軸旋盤であって、互いに独立してそれぞれが床面に設置される左右2つのベッド11を備え、各ベッド11上に、加工機器である主軸12および刃物台13がそれぞれ設置されている。
主軸12は、前後方向(Z軸方向)に沿う軸であって、前端にワークを把持するチャック14を有する。主軸12は、ベッド11上に設置された主軸台15に回転自在に支持され、主軸台15に設置された主軸モータ(図示せず)により回転駆動される。
刃物台13は、例えば正面形状が多角形のタレットからなり、その各外周面部分に複数の工具(図示せず)が取付けられ、任意の工具を回転割出可能とされている。刃物台13は、タレットバー13aを介してベッド11上の送り台16に前後方向(Z軸方向)に進退自在に支持され、また送り台16は、ベッド11上に設置されたガイド16aに沿って左右方向(X軸方向)に進退自在とされている。よって、刃物台13は、前後方向および左右方向に移動可能である。
回転する主軸12のチャック14に把持されたワークWに対して工具を当てて、ワークを加工する。刃物台13を前後方向に移動させることで、工具を主軸12の軸心方向に送り、刃物台13を左右方向に移動させることで、工具によるワークWの切込み量を調整する。加工時には、刃物台13または主軸台15に設けられた切削液供給装置(図示せず)により、水、油等からなる切削液(液体)をワークWと工具の接触部に掛けながら加工を行う。
カバー2は、加工領域Qを囲む加工カバー20と、工作機械本体1のベッド11、主軸12の支持部である主軸台15、および刃物台13の支持部である送り台16を覆う化粧カバー21と、加工領域Qの前面部に設けられた左右一対のスライド扉22とでなる。加工領域Qは、加工機器である前記主軸12および刃物台13によりワークWを加工する領域のことである。
加工カバー20は、図4および図5に示すように、正面用、背面用、上面用、および側面・底面用の各カバー部材20a,20b,20c,20dを互いに接合して、内側に加工領域Qとなる閉空間を有する箱状に組み立てたものである。各カバー部材20a,20b,20c,20dは鉄板製である。
正面用カバー部材20aは左右一対であり、左右の正面用カバー部材20a間に開口23が設けられている。この開口23には、前記スライド扉22が取付けられる。
上面用カバー部材20cは、左右中央部が後端部分を除いて切り欠かれている。この切欠きからなる開口24は、工作機械本体1に対してワークWを搬入出するローダ(図示せず)のローダヘッドが加工領域Q内に出入りするためのものである。
側面・底面用カバー部材20dは左右一対であり、各側面・底面用カバー部材20dは、1枚の鉄板を折り曲げ加工することで、側面部分20daと底面部分20dbとが形成されている。底面部分20dbは、左右中央側へ行くほど低位となる形状であり、左右の側面・底面用カバー部材20dの底面部分20db間に開口25が設けられている。この開口25は、加工により生じた切屑を下方に排出するためのものである。
背面用カバー部材20bには、左右一対の主軸12および刃物台13を、それぞれ後方から加工領域Q内へ突出させて設けるための窓26,27が開けられている。
隣り合うカバー部材20a,20b,20c,20d同士の接合は、次のようにして行われる。正面用カバー部材20aと側面・底面用カバー部材20dの接合部30Aを例にとると、図6に示すように、正面用カバー部材20aにおける閉空間側となる面の端縁の近傍に、側面・底面用カバー部材20dの端縁を突き合わせ、両カバー部材20a,20dの接触部を溶接により接合する。図6に溶接箇所31が図示されているように、溶接は連続的に行うのではなく間隔を開けて部分的に行う。これは、溶接による熱でカバー部材20a,20dが歪むことを避けるためである。
正面用カバー部材20aの接合部30Aに沿う端縁は、側面・底面用カバー部材20dの側へ断面コ字状に折り曲げられて樋部32とされている。この樋部32は、接合部30Aにおける溶接箇所31間のすきまSを通って加工領域Q(図2)から漏れ出る切削液を受け止めて回収するためのもので、接合部30Aに沿って設けられ、接合部30Aを外側から覆っている。樋部32は、正面用カバー部材20aと側面・底面用カバー部材20dの接合部30Aの全域、つまり側面・底面用カバー部材20cの側面部分20daの上端から底面部分20dbの下端に亘る範囲に設けられている。
上記同様に、背面用カバー部材20bと側面・底面用カバー部材20dの接合部30Bも、背面用カバー部材20bにおける閉空間側となる面の端縁の近傍に、側面・底面用カバー部材20dの端縁を突き合わせて、両カバー部材20b,20dの接触部を溶接により接合してある。また、正面用カバー部材20aの端縁を側面・底面用カバー部材20dの側へ断面コ字状に折り曲げて、樋部32としてある。
正面用カバー部材20aと上面用カバー部材20cの接合部30C、背面用カバー部材20bと上面用カバー部材20cの接合部30D、および上面用カバー部材20cと側面・底面用カバー部材20dの接合部30Eについても、前記接合部30A,30Bと同様に、溶接により接合されている。また、これらの接合部30C,30D,30Eにも、上記同様の樋部32を設けてよい。ただし、これらの接合部30C,30D,30Eは、加工カバー20の最上部に位置し、溶接箇所31間のすきまSから切削液が漏れ出る可能性が少ないので、樋部32を設けなくてもよい。
図4および図5に示すように、左右の側面・底面用カバー部材20dの底面部分20db間の開口25(図4)の下側には、切屑を下方に導くチップシュート33が取り付けられる。このチップシュート33は、概略で下方へ行くに従い先細りとなる平面の断面形状が四角形の筒状で、上端の4辺で正面用カバー部材20a、背面用カバー部材20b、および左右の側面・底面用カバー部材20dの下端に、ボルト等によりそれぞれ固定される。
図7の破断正面図に示すように、チップシュート33は、上端部に左右外側へ張り出して立ち上がる張出し部33aを有し、この張出し部33aの内側に、正面用カバー部材20aと側面・底面用カバー部材20dの接合部30A(図4、図5)、および背面用カバー部材20bと側面・底面用カバー部材20dの接合部30B(図4、図5)に沿って設けられた各樋部32の下端が位置している。よって、樋部32を伝って流れ落ちる切削液34は、樋部32の下端からチップシュート33内に落下する。つまり、チップシュート33は、加工領域Q(図2)から漏れ出た切削液34の回収部となっている。
正面用カバー部材20aの下端部には、スライド扉22のレールとなる左右に長いレール部材28が固定されている。このレール部材28は、両端が側面・底面用カバー部材20dよりも左右両側に突出しており、その突出部の先端が、カバー支持部材4により支持される下側被支持部28aとなっている。側面・底面用カバー部材20dの側面部分20daには、カバー支持部材4により支持される上側被支持部材29が、左右外側に張り出して設けられている。これら下側被支持部28aおよび上側被支持部材29のカバー支持部材4による支持構造については、後で説明する。
図1において、化粧カバー21は複数枚の板状パーツ21a,21b,21cからなり、各板状パーツ21a,21b,21cがカバー支持部材4の各部に取付けられる。各板状パーツ21a,21b,21cについては、後で説明する。左右一対のスライド扉22は、上部および上下中央部に透明材料からなる覗き窓22a,22bを有し、加工カバー20およびカバー支持部材4に左右にスライド自在に支持される。その支持方法については、後で説明する。
カバー支持部材4は、工作機械本体1の各ベッド11と非接触で設置される。カバー支持部材4は、図8に示すように、床面に起立状態に設置される左右一対のスタンド40を備える。左右のスタンド40は、鉛直方向に延びる前後一対の支柱41A,41Bと、これら前後一対の支柱41A,41Bの上端に固定支持された前後に長い上前後フレーム42と、前側の支柱41Aの中間部より前方に突出する下前後フレーム43と、上前後フレーム42および下前後フレーム43を互いに連結する連結フレーム44と、前後の支柱41A,41Bの各下部間を連結する上下に幅広の前後連結板45とでなる。
左右のスタンド40は、それぞれの前側の支柱41A同士が上下に幅広の左右連結板47で互いに連結され、かつそれぞれの上前後フレーム42の後端同士が左右連結フレーム48で互いに連結される。また、左右のスタンド40の各上前後フレーム42の前端に左右の脚部49aを固定して、正面形状門形のスライド扉案内フレーム49が設けられている。
加工カバー20は、次のようにカバー支持部材4に支持される。すなわち、レール部材28の左右両端部である下側被支持部28aを、カバー支持部材4の下前後フレーム43の前端部の上に載置し、下側被支持部28aと下前後フレーム43をボルト等で固定する。また、上側被支持部材29を上前後フレーム42の下面に当てて、上側被支持部材29と上前後フレーム42をボルト等で固定する。これにより、カバー支持部材4の左右のスタンド40が、左右連結板47および左右連結フレーム48による連結に加えて、加工カバー20によっても互いに連結される。このカバー支持部材4と加工カバー20とを一体化した構造体は、高い剛性を有する。つまり、加工カバー20は、カバー支持部材4の補強を兼ねている。
図2に示すように、工作機械本体1は、加工カバー20の後側に各主軸台15(図3)および各送り台16(図3)が位置するように、各ベッド11が床面上に固定状態に設置される。主軸12および刃物台13は、加工カバー20の窓26,27を通して加工領域Q内に突出させる。主軸12が通される窓26における主軸12との間の隙間には、遮蔽カバー51が固定して取付けられる。また、刃物台13が通される窓27における刃物台13との間の隙間には、刃物台13の左右方向移動に応じて拡縮する蛇腹状カバー52が取付けられる。
図1、図2に示すように、工作機械本体1を操作する操作盤5が、スライド扉案内フレーム49に設けた旋回支点部材53に、旋回アーム54を介して鉛直軸回りに旋回自在に取付けられる。
加工カバー20の下方には、この加工カバー20の切屑排出用の開口25(図4)およびチップシュート33を通って落下する切屑を受ける切屑受け手段55が設置される。切屑受け手段55は、例えば図7に示すような、孔開きの無端移動体からなるチップコンベア56であり、このチップコンベア56により、工作機械とは別に設置した切屑回収部まで切屑を搬送する。切屑と共にチップコンベア56上に落下した切削液34は、チップコンベア56の孔56aを通って回収容器57に回収される。回収される切削液34の中には、カバー部材20a,20b,20dの接合部30A,30Bから漏れ出し、樋部32を伝ってチップシュート33内に落下した切削液34も含まれる。回収容器57に回収された切削液34は、切削液供給装置に戻されて再利用される。
化粧カバー21は、図1のように、各板状パーツ21a,21b,21cがカバー支持部材4の各部に取付けられる。すなわち、加工カバー20の正面用カバー部材20aの前側に、前面用板状パーツ21aが、連結フレーム44およびスライド扉案内フレーム49に取付けられる。正面用カバー部材20aの開口23(図4)の前側部分には前面用板状パーツ21aが取付けられず、開口したままとされる。左右のスタンド40(図8)の外側面には、側面用板状パーツ21bが取付けられる。左右のスタンド40の各後側の支柱41B間(図8)には、背面用板状パーツ(図示せず)が取付けられる。また、切屑受け手段55の上側には、加工カバー20のレール部材28(図8)を覆うように、前面下部用板状パーツ21cが取付けられる。
左右一対のスライド扉22は、下端が加工カバー20のレール部材28により左右にスライド自在に支持され、かつ上端がカバー支持部材4のスライド扉案内フレーム49に左右に案内されるように取付けられる。スライド扉22を左右にスライドさせることで、加工領域Qの前面部を開閉することができる。
この工作機械のカバー構造であると、切削液34がカバー部材20a,20b,20dの接合部30A,30Bを介して加工領域Qから加工カバー20の外部へ漏れ出ても、その漏れ出た切削液34は樋部32によって受け止められるため、周囲に影響を与えることがない。樋部32に受け止められた切削液34は、樋部32を伝って回収部であるチップシュート33内に落下し、回収容器57に回収される。樋部32は、前面用カバー20aと側面・底面用カバー20dの底面部分20dbとの接合部30A、および背面用カバー20bと側面・底面用カバー20dの底面部分20dbとの接合部30BAに沿ってそれぞれ設けられ、左右中央側が低位となっている。そのため、上記樋部32の左右中央側端に切削液34の回収部であるチップシュート33を設けることで、加工カバー20の外へ漏れ出た切削液34を、チップシュート33に円滑に回収することができる。
このように、接合部30A,30Bに沿って樋部32を設けることにより、切削液34が加工領域Qから加工カバー20の外へ漏れ出ても周囲に影響を与えないようにすることができる。そのため、コーキング処理を不要または少なくでき、加工カバー20の組立と製作の作業工数の低減を図ることができる。
この実施形態では、複数のカバー部材20a〜20dのうちの互いに接合される二つのカバー部材において、一方のカバー部材の閉空間側となる面にもう一方のカバー部材の端縁を突き合わせて接合し、前記一方のカバー部材の端縁部を折り曲げることによって樋部32を形成している。このカバー構造とすると、カバー部材20a〜20d以外の部材を使用せずに樋部32を形成することができるため、加工カバー20の部品点数を増加させることなく、漏れ出た切削液34が周囲に影響を与えないようにできる。
また、この工作機械のカバー構造は、加工領域Qを囲みカバー支持部材4の補強を兼ねる箱形の加工カバー20とは別に、ベッド11と加工機器の支持部である主軸15および送り台16とを覆う板状の化粧カバー21を有するため、加工領域Qだけでなく、工作機械本体1全体を覆うことができる。
工作機械本体1は平行2軸旋盤に限らない。3軸以上の旋盤であってもよい。また、旋盤以外の機械であってもよい。
1…工作機械本体
2…カバー
11…ベッド
12…主軸(加工機器)
13…刃物台(加工機器)
20…加工カバー
20a…正面用加工カバー
20b…背面用加工カバー
20c…上面用加工カバー
20d…側面・底面用加工カバー
25…開口
30A〜30E…接合部
31…溶接箇所
32…樋部
33…チップシュート(回収部)
34…切削液(液体)
Q…加工領域

Claims (4)

  1. ベッドに搭載されてワークに対して機械加工を行う加工機器を有する工作機械において、前記加工機器による加工領域を覆う工作機械のカバー構造であって、
    複数のカバー部材を互いに接合して、内側に前記加工領域となる閉空間が形成される加工カバーを構成し、前記閉空間から前記カバー部材の接合部を介して前記加工カバーの外部へ漏れ出た液体を回収する樋部を前記接合部に沿って設けた工作機械のカバー構造。
  2. 前記加工カバーは、前記複数のカバー部材のうちの互いに接合される二つのカバー部材において、一方のカバー部材の前記閉空間側となる面にもう一方のカバー部材の端縁を突き合わせて接合した接合部を有し、前記一方のカバー部材の端縁部を折り曲げることによって前記樋部を形成した請求項1記載の工作機械のカバー構造。
  3. 前記加工カバーは、この加工カバーの底部の左右中央部に、加工によって生じる切屑を外部に排出するための開口を有し、この開口の左右両側部分は前記開口に近い側ほど低位となる形状であり、
    前記加工カバーにおける前記開口の左右両側部分を構成するカバー部材と、このカバー部材と接合されるカバー部材との接合部に沿って設けられる樋部の左右中央側端に、液体の回収部を設けた請求項1記載または請求項2記載の工作機械のカバー構造。
  4. 前記加工カバーは金属製であり、間隔を開けて部分的に溶接することで、前記カバー部材同士を互いに接合した請求項1記載ないし請求項3のいずれか1項に記載の工作機械のカバー構造。
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