JP2014073227A - 歩行支援装置及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ユーザーが起立状態で後方に足を振り出しただけで、ユーザーが実際には歩行を開始していないにも拘わらず、歩行を開始したものとして、遊脚の膝関節角の制御を実行してしまうのを防止する技術を提供する。
【解決手段】歩行補助装置1は、ユーザーUの股関節移動速度v_hip_fltを推定する歩行速度推定部53と、右脚の膝関節にトルクを付与するアクチュエータ7bと、右脚の膝関節角θ_kneeの増減パターンpを生成する増減パターン生成部54と、右脚の床設置面に加わる床反力Frを検出する床反力センサ4aと、歩行速度推定部53によって推定された股関節移動速度v_hip_fltが所定値を上回ると共に、床反力センサ4aによって検出された床反力Frが所定値Fr1を下回ったら、増減パターン生成部54が生成した増減パターンpに基づいて、アクチュエータ7bを制御するアクチュエータ制御部55と、を備えている。
【選択図】図10

Description

本発明は、歩行支援装置及びその制御方法に関する。
この種の技術として、特許文献1は、適切なタイミングで膝関節にトルクを加え始めることで、ユーザーが下肢を揺動させた際の違和感を軽減する技術を開示している。特許文献1では、ユーザーの腰位置に対する足首の相対位置や、床反力、足首の速度等に基づいて、ユーザーが停止状態から歩行状態へ切り替わったと判定するようにしている。必要であれば、特許文献1の段落番号0044、0045、図6を参照されたい。
国際公開第2011/058641号
しかし、特許文献1の構成では、ユーザーが起立状態で後方に足を振り出すなどすると、ユーザーが実際には歩行を開始していないにも拘わらず、歩行を開始したものとして、遊脚の膝関節角の制御を実行してしまうことがあった。
本願発明の目的は、ユーザーが起立状態で後方に足を振り出しただけで、ユーザーが実際には歩行を開始していないにも拘わらず、歩行を開始したものとして、遊脚の膝関節角の制御を実行してしまうのを防止する技術を提供することにある。
本願発明の第1の観点によれば、ユーザーの一方の下肢に取り付けられてユーザーの歩行を補助する歩行補助装置であって、前記ユーザーの進行方向に対する歩行速度を推定する歩行速度推定手段と、前記下肢の膝関節にトルクを付与するトルク付与手段と、前記下肢の膝関節角の増減パターンを生成する増減パターン生成手段と、前記下肢の床接地面に加わる床反力を検出する床反力検出手段と、前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度が所定値を上回ると共に、前記床反力検出手段によって検出された前記床反力が所定値を下回ったら、前記増減パターン生成手段が生成した前記増減パターンに基づいて、前記トルク付与手段を制御するトルク制御手段と、を備えた、歩行補助装置が提供される。以上の構成によれば、前記ユーザーが起立状態で後方に足を振り出しただけで、前記ユーザーが実際には歩行を開始していないにも拘わらず、歩行を開始したものとして、遊脚の膝関節角の制御を実行してしまうのを防止することができる。
前記増減パターン生成手段は、前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度に基づいて、前記増減パターンを生成する。以上の構成によれば、前記歩行補助装置は、前記ユーザーの前記歩行速度に合わせて、前記ユーザーの歩行を補助できるようになる。
前記増減パターン生成手段は、前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度に基づいて、前記増減パターンの極値を設定する。
前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度と、前記増減パターンの前記極値と、の間に正の相関関係がある。
前記増減パターン生成手段は、前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度に基づいて、前記増減パターンの時間軸長さを設定する。
前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度と、前記増減パターンの前記時間軸長さと、の間には負の相関関係がある。
本願発明の第2の観点によれば、ユーザーの一方の下肢に取り付けられてユーザーの歩行を補助する歩行補助装置であって、前記ユーザーの歩行速度を推定する歩行速度推定手段と、前記下肢の膝関節にトルクを付与するトルク付与手段と、前記下肢の膝関節角の増減パターンを記憶する増減パターン記憶手段と、前記下肢の床接地面に加わる床反力を検出する床反力検出手段と、前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度が所定値を上回ると共に、前記床反力検出手段によって検出された前記床反力が所定値を下回ったら、前記増減パターン記憶手段に記憶されている前記増減パターンに基づいて、前記トルク付与手段を制御するトルク制御手段と、を備えた、歩行補助装置が提供される。
前記歩行速度は、前記股関節の移動速度である。
前記歩行速度推定手段は、前記床反力検出手段によって検出された前記床反力が所定値を上回っているときの、前記下肢の足首に対する前記股関節の相対位置を時間微分することで、前記股関節の移動速度を求める。
前記歩行速度推定手段は、前記床反力検出手段によって検出された前記床反力がゼロを上回っているときの、前記下肢の足首に対する前記股関節の相対位置を時間微分することで、前記股関節の移動速度を求める。
本願発明の第3の観点によれば、ユーザーの一方の下肢に取り付けられてユーザーの歩行を補助する歩行補助装置の制御方法であって、前記ユーザーの歩行速度が所定値を上回ると共に、前記下肢の床反力が所定値を下回ったら、膝関節角の増減パターンに基づいて、膝関節にトルクを付与する、歩行補助装置の制御方法が提供される。
本願発明によれば、前記ユーザーが起立状態で後方に足を振り出しただけで、前記ユーザーが実際には歩行を開始していないにも拘わらず、歩行を開始したものとして、遊脚の膝関節角の制御を実行してしまうのを防止することができる。
図1は、歩行補助装置の正面図である。(第1実施形態) 図2は、歩行補助装置の側面図である。(第1実施形態) 図3は、制御装置の機能ブロック図である。(第1実施形態) 図4は、歩行速度推定部の機能ブロック図である。(第1実施形態) 図5は、足首に対する股関節の相対位置を算出するための概念図である。(第1実施形態) 図6は、遊脚状態にある患脚の膝関節角と床反力との対応関係を示すグラフである。(第1実施形態) 図7は、増減パターン生成部の機能ブロック図である。(第1実施形態) 図8は、股関節移動速度と増減パターンの極値との関係を示すグラフである。(第1実施形態) 図9は、股関節移動速度と増減パターンの時間軸長さとの関係を示すグラフである。(第1実施形態) 図10は、制御装置の制御フローである。(第1実施形態) 図11は、制御装置の機能ブロック図である。(第2実施形態) 図12は、制御装置の制御フローである。(第2実施形態)
本明細書において、「股関節角」とは、股関節のピッチ軸回りの角度を意味する。「膝関節角」とは、膝関節のピッチ軸回りの角度を意味する。「足首関節角」とは、足首関節のピッチ軸回りの角度を意味する。「健常脚」とは、ユーザーが膝関節角を自由に増減できる脚を意味する。「患脚」とは、ユーザーが膝関節角を自由に増減できない脚を意味する。「下肢」は、大腿と下腿によって構成されている。「立脚状態」とは、下肢の地面に接している状態を意味する。「遊脚状態」とは、下肢の地面から離れている状態を意味する。「下肢の膝関節角の増減パターン」とは、時間の経過と共に変化する、下肢の膝関節角の、変化の態様を意味している。
(第1実施形態)
以下、図1〜図10を参照して、本願発明の第1実施形態を説明する。
図1及び図2には、右脚(下肢の一方)が患脚であるユーザーUが示されている。歩行補助装置1は、ユーザーUの歩行を補助するための装置であって、ユーザーUの患脚に取り付けられて用いられる。
歩行補助装置1は、大腿リンク2、下腿リンク3、足リンク4、床反力センサ4a(床反力検出手段)、支持リンク5、制御装置6、膝関節部7、膝関節角センサ7a、アクチュエータ7b(トルク付与手段)、足首関節部8、足首関節角センサ8a、股関節部9、股関節角センサ9a、によって構成されている。
大腿リンク2は、ユーザーUの右脚の大腿U1の長手方向に沿って設けられ、大腿U1にベルト等で固定されている。
下腿リンク3は、ユーザーUの右脚の下腿U2の長手方向に沿って設けられ、下腿U2にベルト等で固定されている。
足リンク4は、ユーザーUの右脚の足U3に設けられ、足U3にベルト等で固定されている。足リンク4には、床反力センサ4aが取り付けられている。床反力センサ4aは、右脚の床反力を検出するためのものである。床反力センサ4aから出力されるセンサ信号は、1bitである場合や複数bitである場合が考えられる。本実施形態の床反力センサ4aから出力されるセンサ信号は、複数bitの形式である。
制御装置6は、ユーザーUの腰部U4に設けられ、腰部U4にベルト等で固定されている。
そして、大腿リンク2と下腿リンク3は、膝関節部7によって連結されている。膝関節部7において、大腿リンク2と下腿リンク3は相対的に回転可能である。膝関節部7における大腿リンク2と下腿リンク3の相対的な回転の回転軸は、ユーザーUの膝関節のピッチ軸と一致している。膝関節部7には、膝関節角センサ7aが取り付けられている。膝関節角センサ7aは、膝関節部7における大腿リンク2と下腿リンク3の相対的な角度を検出するためのものである。また、膝関節部7には、アクチュエータ7bが取り付けられている。アクチュエータ7bは、大腿リンク2に対して下腿リンク3を相対的に回転させるためのものである。即ち、アクチュエータ7bは、ユーザーUの右脚の膝関節にトルクを付与するものである。
下腿リンク3と足リンク4は、足首関節部8によって連結されている。足首関節部8において、下腿リンク3と足リンク4は相対的に回転可能である。足首関節部8における下腿リンク3と足リンク4の相対的な回転の回転軸は、ユーザーUの足首関節のピッチ軸と一致している。足首関節部8には、足首関節角センサ8aが取り付けられている。足首関節角センサ8aは、足首関節部8における下腿リンク3と足リンク4の相対的な角度を検出するためのものである。
大腿リンク2と制御装置6の間には、支持リンク5が介在している。
この支持リンク5と大腿リンク2は、股関節部9によって連結されている。股関節部9において、支持リンク5と大腿リンク2は相対的に回転可能である。股関節部9における支持リンク5と大腿リンク2の相対的な回転の回転軸は、ユーザーUの股関節のピッチ軸と一致している。股関節部9には、股関節角センサ9aが取り付けられている。股関節角センサ9aは、股関節部9における支持リンク5と大腿リンク2の相対的な角度を検出するためのものである。換言すれば、股関節角センサ9aは、大腿リンク2の鉛直方向に対する姿勢角を検出するためのものである。
そして、床反力センサ4a、膝関節角センサ7a、足首関節角センサ8a、股関節角センサ9aから出力されたセンサ信号は、制御装置6に入力されるようになっている。制御装置6は、床反力センサ4a等の各種センサから出力されたセンサ信号に基づいて、必要に応じてユーザーUの膝関節にトルクを付与して、ユーザーUの歩行を補助するようになっている。
図3に示すように、制御装置6は、CPU50(Central Processing Unit)、ROM51(Read Only Memory)、RAM52(Random Access Memory)を備えて構成されている。ROM51には、歩行補助プログラムが記憶されている。この歩行補助プログラムは、CPU50に読み出され、CPU50上で実行されることで、CPU50等のハードウェアを、歩行速度推定部53(歩行速度推定手段)、増減パターン生成部54(増減パターン生成手段)、アクチュエータ制御部55(トルク制御手段)として機能させる。また、制御装置6には、床反力センサ4aや膝関節角センサ7a、足首関節角センサ8a、股関節角センサ9aを含む角度センサ56から出力されたセンサ信号が入力される。制御装置6は、アクチュエータ7bと接続されており、アクチュエータ7bを制御可能に構成されている。
(歩行速度推定部53)
歩行速度推定部53は、ユーザーUの歩行速度を推定するものである。図4に示すように、歩行速度推定部53は、股関節移動速度算出部57(股関節移動速度算出手段)、FIRフィルタリング部58(FIRフィルタリング手段)によって構成されている。股関節移動速度算出部57は、角度センサ56からのセンサ信号に基づいて、ユーザーUの股関節の移動速度を算出する部分である。図5には、股関節移動速度算出部57による股関節移動速度の算出原理を示している。図5において、符号D1は、股関節を示す。符号D2は、膝関節を示す。符号D3は、足首関節を示す。符号L1は、大腿リンク2の全長を意味する。符号L2は、下腿リンク3の全長を意味する。符号θ_hipは、股関節角を意味する。符号θ_kneeは、膝関節角を意味する。図5によれば、足首関節D3に対する股関節D1のX軸方向の相対位置x_hipは、下記式(1)によって求められる。なお、下記式(1)で、nは時系列で取得したセンサ信号に割り振られた添字である。
Figure 2014073227
そして、上記式(1)で求められた相対位置x_hipを下記式(2)に示すように時間微分することで、股関節D1の移動速度である股関節移動速度v_hipが求められる。なお、下記式(2)で、Δtはサンプリング周期である。ただし、下記式(2)は、床反力センサ4aによって検出された床反力が所定値を上回っていることを前提とするものである。端的に言えば、下記式(2)は、右脚が接地していることを前提とするものである。
Figure 2014073227
図4に戻り、FIR(Finite Impulse Response Filter)フィルタリング部58は、上記式(2)で求めた股関節移動速度v_hipから外乱を除去するためのフィルタリングを行う部分である。FIRフィルタリング部58で処理された股関節移動速度v_hipを、以後、股関節移動速度v_hip_fltと称する。本実施形態において、ユーザーUの歩行速度としては、股関節移動速度v_hip_fltが相当している。
(増減パターン生成部54)
増減パターン生成部54は、膝関節角の増減パターンpを生成するものである。図6には、下肢の膝関節角の増減パターンpの一例を示している。図6の上方のグラフは、膝関節角θ_kneeと時間tとの関係を示している。図6の下方のグラフは、床反力Frと時間tとの関係を示している。図6に示すように、立脚期は、床反力Frが0を上回っている期間を意味する。遊脚期は、床反力Frが0である期間を意味する。床反力Frが所定値Fr1を下回ると、膝関節角θ_kneeが上昇し、やがて極値θ_knee_maxを迎えた後、下降し、床反力Frが再び立ち上がると同時に、膝関節角θ_kneeは0となる。この増減パターンpの時間軸長さを符号T_patternで示す。そして、増減パターン生成部54は、歩行速度推定部53によって推定された股関節移動速度v_hip_fltに基づいて、増減パターンpを生成する。
詳しくは、図7に示すように、増減パターン生成部54は、極値決定部59(極値決定手段)、時間軸長さ決定部60(時間軸長さ決定手段)によって構成されている。
極値決定部59は、股関節移動速度v_hip_fltに基づいて、図6に示す増減パターンpの極値θ_knee_maxを決定する部分である。図8には、極値θ_knee_maxと股関節移動速度v_hip_fltとの関係を示している。図8に示すように、極値決定部59は、股関節移動速度v_hip_fltが大きければ大きい程、極値θ_knee_maxを大きな値に設定する。即ち、極値決定部59が決定する極値θ_knee_maxは、股関節移動速度v_hip_fltとの間において、正の相関関係がある。また、股関節移動速度v_hip_fltが所定値(例えば0.2m/s)に満たない場合は、極値決定部59は、極値θ_knee_maxをゼロに設定する。また、股関節移動速度v_hip_fltが所定値(例えば0.4m/s)以上の場合は、極値決定部59は、極値θ_knee_maxを一定の値(例えば30deg)に設定する。
時間軸長さ決定部60は、股関節移動速度v_hip_fltに基づいて、図6に示す増減パターンpの時間軸長さT_patternを決定する部分である。図9には、時間軸長さT_patternと股関節移動速度v_hip_fltとの関係を示している。図9に示すように、時間軸長さ決定部60は、股関節移動速度v_hip_fltが大きければ大きい程、時間軸長さT_patternを小さな値に設定する。即ち、時間軸長さ決定部60が決定する時間軸長さT_patternは、股関節移動速度v_hip_fltとの間において、負の相関関係がある。また、股関節移動速度v_hip_fltが所定値(例えば0.2m/s)に満たない場合は、時間軸長さ決定部60は、時間軸長さT_patternを一定の値(例えば0.8sec)に設定する。また、股関節移動速度v_hip_fltが所定値(例えば0.4m/s)以上の場合は、時間軸長さ決定部60は、時間軸長さT_patternを一定の値(例えば0.6sec)に設定する。
こうして、極値決定部59が極値θ_knee_maxを決定し、時間軸長さ決定部60が時間軸長さT_patternを決定したら、増減パターン生成部54は、下記式(3)に基づいて、増減パターンpを生成する。
Figure 2014073227
(アクチュエータ制御部55)
アクチュエータ制御部55は、歩行速度推定部53によって推定された股関節移動速度v_hip_fltが所定値を上回り、床反力センサ4aよって検出された下肢の床反力Frが所定値Fr1を下回ったら、増減パターン生成部54が生成した増減パターンpに基づいて、アクチュエータ7bを制御するものである。
(作動)
次に、図10を参照して、歩行補助装置1の作動を説明する。
先ず、歩行補助装置1の電源を投入すると(S300)、歩行速度推定部53は、床反力センサ4aから出力されるセンサ信号をモニタリングして、右脚の床反力Frが0を上回っているか判定する(S310)。右脚の床反力Frが0を上回っていたと判定したら(S310:YES)、歩行速度推定部53は、股関節角センサ9a及び膝関節角センサ7aから出力されたセンサ信号に基づいて、股関節移動速度v_hip_fltを推定する(S320)。次に、増減パターン生成部54は、歩行速度推定部53が推定した股関節移動速度v_hip_fltに基づいて、増減パターンpを生成する(S330)。次に、アクチュエータ制御部55は、股関節移動速度v_hip_fltが所定値を上回っているか判定する(S340)。股関節移動速度v_hip_fltが所定値を上回っていると判定したら(S340:YES)、アクチュエータ制御部55は、床反力センサ4aから出力されるセンサ信号をモニタリングして、右脚の床反力Frが所定値Fr1を下回っているか判定する(S350)。右脚の床反力Frが所定値Fr1を下回っていると判定したら(S350:YES)、アクチュエータ制御部55は、増減パターン生成部54が生成した増減パターンpに基づいて、アクチュエータ7bの制御を開始する(S360)。そして、アクチュエータ制御部55は、増減パターンpに基づいたアクチュエータ7bの制御が完了したら(S70:YES)、処理をS310に戻す。
また、S310で、右脚の床反力Frが0を上回っていないと判定したら(S310:NO)、歩行速度推定部53は、処理をS310に戻す。
また、S340で、股関節移動速度v_hip_fltが所定値を上回っていないと判定したら(S340:NO)、アクチュエータ制御部55は、処理をS310に戻す。
また、S350で、右脚の床反力Frが所定値Fr1を下回っていないと判定したら(S350:NO)、アクチュエータ制御部55は、処理をS310に戻す。
以上に本願発明の第1実施形態を説明したが、上記第1実施形態は、以下の特長を有している。
(1)ユーザーUの右脚(一方の下肢)に取り付けられてユーザーの歩行を補助する歩行補助装置1は、ユーザーUの股関節移動速度v_hip_flt(進行方向に対する歩行速度)を推定する歩行速度推定部53(歩行速度推定手段)と、右脚の膝関節にトルクを付与するアクチュエータ7b(トルク付与手段)と、右脚の膝関節角θ_kneeの増減パターンpを生成する増減パターン生成部54(増減パターン生成手段)と、右脚の脚裏(床接地面)に加わる床反力Frを検出する床反力センサ4a(床反力検出手段)と、歩行速度推定部53によって推定された股関節移動速度v_hip_fltが所定値を上回ると共に、床反力センサ4aによって検出された床反力Frが所定値Fr1を下回ったら、増減パターン生成部54が生成した増減パターンpに基づいて、アクチュエータ7bを制御するアクチュエータ制御部55(トルク制御手段)と、を備えている。以上の構成によれば、ユーザーUが起立状態で後方に足を振り出しただけで、ユーザーUが実際には歩行を開始していないにも拘わらず、歩行を開始したものとして、遊脚となった右脚の膝関節角θ_kneeの制御を実行してしまうのを防止することができる。
なお、上記第1実施形態では、床反力センサ4aから出力されるセンサ信号が複数bitであるとしたが、これに代えて、1bitの床反力センサを採用してもよい。この場合、上記の「床反力Frが所定値Fr1を下回る」は、即ち、「床反力Frがゼロとなる」と解釈されることになる。
また、厳密に言えば、アクチュエータ制御部55は、歩行速度推定部53によって推定された股関節移動速度v_hip_fltに基づいてユーザーUの進行方向を判定する。アクチュエータ制御部55は、ユーザーUが前進していると判定した場合に限り、増減パターン生成部54が生成した増減パターンpに基づいて、アクチュエータ7bを制御する。
(2)また、増減パターン生成部54は、歩行速度推定部53によって推定された股関節移動速度v_hip_fltに基づいて、増減パターンpを生成する。以上の構成によれば、歩行補助装置1は、ユーザーUの股関節移動速度v_hip_fltに合わせて、ユーザーUの歩行を補助できるようになる。
(3)好ましくは、増減パターン生成部54は、歩行速度推定部53によって推定された股関節移動速度v_hip_fltに基づいて、増減パターンpの極値θ_knee_maxを設定する。
(4)そして、歩行速度推定部53によって推定された股関節移動速度v_hip_fltと、増減パターンpの極値θ_knee_maxと、の間に正の相関関係があることが好ましい。
(5)好ましくは、増減パターン生成部54は、歩行速度推定部53によって推定された股関節移動速度v_hip_fltに基づいて、増減パターンpの時間軸長さT_patternを設定する。
(6)そして、歩行速度推定部53によって推定された股関節移動速度v_hip_fltと、増減パターンpの時間軸長さT_patternと、の間には負の相関関係があることが好ましい。
(8)また、股関節移動速度v_hip_fltは、ユーザーUの股関節D1の移動速度である。
(9、10)また、歩行速度推定部53は、床反力センサ4aによって検出された床反力Frがゼロ(所定値)を上回っているときの、右脚の足首関節D3(足首)に対する股関節D1の相対位置x_hipを時間微分することで、股関節D1の移動速度を求める。
(11)ユーザーUの右脚(一方の下肢)に取り付けられてユーザーUの歩行を補助する歩行補助装置1の制御は、ユーザーUの股関節移動速度v_hip_fltが所定値を上回ると共に、右脚の床反力Frが所定値を下回ったら、膝関節角θ_kneeの増減パターンpに基づいて、ユーザーUの膝関節にトルクを付与することによる。
なお、上記第1実施形態は、以下のように変更できる。
上記第1実施形態では、股関節部9に股関節角センサ9aを取り付けることで、股関節角θ_hipを検出した。しかし、これに代えて、大腿リンク2に傾斜角センサを取り付けることで股関節角θ_hipを検出してもよいし、大腿リンク2に加速度センサを2つ、ジャイロセンサを1つ取り付けて、夫々のセンサ信号をカルマンフィルタにより演算することで股関節角θ_hipを検出してもよい。
また、膝関節角θ_kneeには、ロック状態というものが存在する。即ち、図6では、膝関節角θ_kneeはあたかも0を下回らないようになっているが、実際には、−0.0008[rad]に至ることが可能である。しかし、このロック状態は、上記の技術にとって本質的ではないのでその説明を省略した。
(第2実施形態)
次に、図11及び図12を参照しつつ、本願発明の第2実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第1実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
上記第1実施形態では、図3に示すように、制御装置6は、歩行速度推定部53によって推定された股関節移動速度v_hip_fltに基づいて増減パターンpを生成する増減パターン生成部54を有するとした。しかし、本実施形態では、図11に示すように、制御装置6は、所定の増減パターンpを記憶する増減パターン記憶部54A(増減パターン記憶手段)を有している。そして、アクチュエータ制御部55は、歩行速度推定部53によって推定された股関節移動速度v_hip_fltが所定値を上回ると共に、床反力センサ4aによって検出された床反力Frが所定値Fr1を下回ったら、増減パターン記憶部54Aに記憶されている増減パターンpに基づいて、アクチュエータ7bを制御する。
次に、歩行補助装置1の作動を説明する。図12に示すように、本実施形態では、図10においてS330で示す増減パターン生成ステップが省略されている。この場合、股関節移動速度v_hip_fltに応じて増減パターンpを生成する上記第1実施形態と比較して、計算ステップを短縮化することができる。
(付記)ユーザーの一方の下肢に取り付けられてユーザーの歩行を補助する歩行補助装置であって、前記ユーザーの前進方向(進行方向)に対する歩行速度を推定する歩行速度推定手段と、前記下肢の膝関節にトルクを付与するトルク付与手段と、前記下肢の膝関節角の増減パターンを生成する増減パターン生成手段と、前記下肢の床接地面に加わる床反力を検出する床反力検出手段と、前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度が所定値を上回ると共に、前記床反力検出手段によって検出された前記床反力が所定値を下回ったら、前記増減パターン生成手段が生成した前記増減パターンに基づいて、前記トルク付与手段を制御するトルク制御手段と、を備えた、歩行補助装置。
1 歩行補助装置
2 大腿リンク
3 下腿リンク
4 足リンク
4a 床反力センサ
5 支持リンク
6 制御装置
7 膝関節部
7a 膝関節角センサ
7b アクチュエータ
8 足首関節部
8a 足首関節角センサ
9 股関節部
9a 股関節角センサ
53 歩行速度推定部
54 増減パターン生成部
54A 増減パターン記憶部
55 アクチュエータ制御部
56 角度センサ
57 股関節移動速度算出部
58 FIRフィルタリング部
59 極値決定部
60 時間軸長さ決定部

Claims (11)

  1. ユーザーの一方の下肢に取り付けられてユーザーの歩行を補助する歩行補助装置であって、
    前記ユーザーの進行方向に対する歩行速度を推定する歩行速度推定手段と、
    前記下肢の膝関節にトルクを付与するトルク付与手段と、
    前記下肢の膝関節角の増減パターンを生成する増減パターン生成手段と、
    前記下肢の床接地面に加わる床反力を検出する床反力検出手段と、
    前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度が所定値を上回ると共に、前記床反力検出手段によって検出された前記床反力が所定値を下回ったら、前記増減パターン生成手段が生成した前記増減パターンに基づいて、前記トルク付与手段を制御するトルク制御手段と、
    を備えた、
    歩行補助装置。
  2. 請求項1に記載の歩行補助装置であって、
    前記増減パターン生成手段は、前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度に基づいて、前記増減パターンを生成する、
    歩行補助装置。
  3. 請求項2に記載の歩行補助装置であって、
    前記増減パターン生成手段は、前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度に基づいて、前記増減パターンの極値を設定する、
    歩行補助装置。
  4. 請求項3に記載の歩行補助装置であって、
    前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度と、前記増減パターンの前記極値と、の間に正の相関関係がある、
    歩行補助装置。
  5. 請求項2〜4の何れかに記載の歩行補助装置であって、
    前記増減パターン生成手段は、前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度に基づいて、前記増減パターンの時間軸長さを設定する、
    歩行補助装置。
  6. 請求項5に記載の歩行補助装置であって、
    前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度と、前記増減パターンの前記時間軸長さと、の間には負の相関関係がある、
    歩行補助装置。
  7. ユーザーの一方の下肢に取り付けられてユーザーの歩行を補助する歩行補助装置であって、
    前記ユーザーの歩行速度を推定する歩行速度推定手段と、
    前記下肢の膝関節にトルクを付与するトルク付与手段と、
    前記下肢の膝関節角の増減パターンを記憶する増減パターン記憶手段と、
    前記下肢の床接地面に加わる床反力を検出する床反力検出手段と、
    前記歩行速度推定手段によって推定された前記歩行速度が所定値を上回ると共に、前記床反力検出手段によって検出された前記床反力が所定値を下回ったら、前記増減パターン記憶手段に記憶されている前記増減パターンに基づいて、前記トルク付与手段を制御するトルク制御手段と、
    を備えた、
    歩行補助装置。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載の歩行補助装置であって、
    前記歩行速度は、前記股関節の移動速度である、
    歩行補助装置。
  9. 請求項8に記載の歩行補助装置であって、
    前記歩行速度推定手段は、前記床反力検出手段によって検出された前記床反力が所定値を上回っているときの、前記下肢の足首に対する前記股関節の相対位置を時間微分することで、前記股関節の移動速度を求める、
    歩行補助装置。
  10. 請求項8に記載の歩行補助装置であって、
    前記歩行速度推定手段は、前記床反力検出手段によって検出された前記床反力がゼロを上回っているときの、前記下肢の足首に対する前記股関節の相対位置を時間微分することで、前記股関節の移動速度を求める、
    歩行補助装置。
  11. ユーザーの一方の下肢に取り付けられてユーザーの歩行を補助する歩行補助装置の制御方法であって、
    前記ユーザーの歩行速度が所定値を上回ると共に、前記下肢の床反力が所定値を下回ったら、膝関節角の増減パターンに基づいて、膝関節にトルクを付与する、
    歩行補助装置の制御方法。
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