JP2014069543A - 転写成形装置 - Google Patents

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Yoshinori Nanba
芳典 南波
Seiya Tachi
星也 舘
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Abstract

【課題】 スタンパをバケットに固定するネジのゆるみを防止する転写成形装置を提供する。
【解決手段】 樹脂板J及び凹凸パターンを有するスタンパ813,823を重ねて収容するバケット80を備え、樹脂板Jにスタンパ813,823を押し付けて凹凸パターンを樹脂板Jに転写成形する転写成形装置であって、スタンパ813,823をバケット80内に固定するためのネジ90のゆるみを防止するゆるみ防止手段として、ヘリサート91を備える構成としてある。
【選択図】 図6

Description

本発明は、所定の樹脂板に凹凸パターンを有するスタンパを押し付けて凹凸パターンを転写させる転写成形装置に関し、特に、樹脂板及びスタンパを収容するバケット内においてスタンパを固定するためのネジのゆるみを防止する転写成形装置に関する。
一次成形された熱可塑性の樹脂板に、微細な凹凸パターンを有するスタンパを押し付けて、スタンパの凹凸パターンを樹脂板に転写成形する転写成形装置が知られている。
このような転写成形装置では、樹脂板を加熱する加熱処理、加熱した樹脂板にスタンパを押し付けるプレス処理、樹脂板を冷却する冷却処理などの複数の処理工程を経て凹凸パターンが樹脂板に転写されるようになっている(例えば、特許文献1)。
特開2003−109254号公報
このような転写成形装置では、樹脂板とスタンパはバケットと称される容器に重ねて収容されながら、加熱、プレス、冷却処理される。
樹脂板に転写する凹凸パターンを変更する場合には、その都度、スタンパを取り替える必要があることから、スタンパは、ネジによりバケット内に着脱可能に固定されている。
ところが、バケットは、加熱と冷却とを交互に行う加熱・冷却サイクルに曝されたり、転写成形装置の振動を受けたりすることから、振動や、加熱・冷却処理によるネジ穴の拡縮等によりネジがゆるんでしまうことがあった。
このようなネジのゆるみは、凹凸パターンの正確な転写を阻害する要因となっていた。
本発明は、このような従来の問題を解決するために提案されたもので、バケット内においてスタンパを固定するためのネジのゆるみを防止することにより、凹凸パターンの正確な転写を実現させる転写成形装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の転写成形装置は、所定の樹脂板及び凹凸パターンを有するスタンパを重ねて収容するバケットを備え、前記樹脂板に前記スタンパを押し付けて前記凹凸パターンを前記樹脂板に転写成形する転写成形装置であって、前記スタンパを前記バケット内に固定するためのネジのゆるみを防止するゆるみ防止手段を備える構成としてある。
本発明の転写成形装置によれば、バケット内においてスタンパを固定するためのネジのゆるみを防止することができるので、樹脂板に凹凸パターンを正確に転写できる。
本発明の一実施形態に係る転写成形装置の概略平面図である。 本発明の一実施形態に係る転写成形装置の概略側面図である。 本発明の一実施形態に係る転写成形装置の概略背面図である。 本発明の一実施形態に係る転写成形装置の真空処理部、間欠回転部、及び冷却処理部の正面図である。 本発明の一実施形態に係るバケットの開状態の概略斜視図である。 本発明の一実施形態に係るバケットの閉状態の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る加熱処理部の概略斜視図である。 本発明の一実施形態に係る加熱処理部の部位別の設定温度と樹脂温度との関係を示す図表であり、(a)は、部位別の設定温度を一律に設定したときの樹脂温度を示す図表であり、(b)は、部位別の設定温度を変化させたときの樹脂温度を示す図表である。 本発明の一実施形態に係る冷却処理部の概略図であり、(a)は、概略斜視図であり、(b)は、A−A断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の転写成形装置1は、図1〜図4に示すように、送入処理部10、真空処理部20、加熱処理部30,40、冷却処理部50、及び送出処理部60の6つの処理部と、6つのバケット80(80a〜80f)と、バケット80を支持しながら間欠回転を行う間欠回転部70とを備えている。
間欠回転部70は、装置のほぼ中央に配置され、軸71を中心に回転と停止を交互に行う。
6つのバケット80a〜80fは、軸71を中心とする円の円周上に約60度間隔で支持され、間欠回転部70により回転駆動されて、約60度回転するごとに所定時間停止する間欠回転を繰り返し行う。
送入処理部10、真空処理部20、加熱処理部30,40、冷却処理部50、及び送出処理部60は、それぞれ独立した装置として設けられ、軸71を中心とする円の異なる法線上、かつ、バケット80a〜80fの移動軌跡となる円周上であって、各バケット80の間欠停止位置に対応して約60度間隔で配置されている。
このような構成からなる転写成形装置1は、各バケット80が送入処理部10、真空処理部20、加熱処理部30,40、冷却処理部50、及び送出処理部60の順にそれぞれ一巡することで、一次成形された樹脂板J1が自動的に送入されるとともに、凹凸パターンの転写成形された二次成形品である樹脂板J2が自動的に送出されるようになっている。
以下、転写成形装置1の各部について詳細に説明する。
[間欠回転部]
間欠回転部70は、図1に示すように、装置のほぼ中央に配置されるとともに、サーボモーター等により回転駆動され、軸71を中心に図1中において約60度単位で時計回りの回転と停止とを交互に行うことで、各バケット80を各処理部10〜60に亘って移動させるように構成されている。
例えば、軸71は、自ら回転可能に形成されるとともに、図4に示すように、円筒形状を有しており、円筒外周面から外方に向けて延設される支持部材等により、6つのバケット80(80a〜80f)を支持する。
間欠回転部70は、サーボモーター等の有するエンコーダ(回転検出器)機能や、各バケット80の円周上の位置を光学的に検出する光センサ等により、軸71の回転位置を検出しながら、回転と停止とを交互に行うことで、各バケット80を各処理部10〜60に対応する位置で停止させ、その後、回転するとともに、再び各バケット80を各処理部10〜60に対応する位置で停止させるという動作を繰り返す。
6つのバケット80a〜80fは、図2及び図4に示すように、鉛直方向に沿って上方側に位置する蓋部81と、下方側に位置する載置部82とをそれぞれ有している。
蓋部81及び載置部82は、樹脂板J(J1,J2)と凹凸パターンを表面に有するスタンパ813,823とをこれらの間で挟持可能に対向配置され、蓋部81が載置部82に対して鉛直方向に接離可能に移動することで、開閉動作を行うようになっている。この開閉動作は、以下のような構成(バケット開閉手段)により実現される。
蓋部81及び載置部82はそれぞれ軸71とともに回転可能に支持されているものの、載置部82は、軸71に対して揺動不能に支持され、一方の蓋部81は、軸71に対して上下動可能に支持されているとともに、それぞれのバケット80a〜80fに備えるモーター、電磁ソレノイド、エアシリンダ、油圧シリンダ等の駆動手段と接続され、駆動手段からの動力の伝達を受けて上下方向に移動する。
このような構成により、軸71の回転位置に応じて駆動手段を駆動させることにより、蓋部81が上下方向に移動し、バケット80の開閉動作が実現される。
蓋部81を上下動させる駆動手段は、軸71の回転位置に応じて駆動制御され、これにより、バケット80は、円周上の位置に応じて開閉されるようになっている。
例えば、前述したサーボモーター等の有するエンコーダ(回転検出器)機能や、各バケット80の円周上の位置を光学的に検出する光センサ等により、軸71の回転位置を検出しながら、蓋部81を上下方向に移動させることにより、バケット80を円周上の位置に応じて開閉させることができる。
また、送出処理部60から送入処理部10に亘る間では、蓋部81を上方向に移動させたまま停止させることで、バケット80は開状態のまま回転し、処理部20〜50に亘る間では、蓋部81を下方向に移動させたまま停止させることで、バケット80は閉状態のまま回転するようになっている。
以上のような構成により、バケット80a〜80fは、軸71を中心に回転・停止を繰り返しながら、各処理部10〜60に対応する円周上の位置に応じてそれぞれ開閉動作を行うことになる。これにより、各処理部10〜60での処理に最適な状態でバケット80が搬送されることから、各処理部10〜60での処理が円滑に行われ、作業効率が向上する。
なお、蓋部81及び載置部82は、閉状態では、蓋部81の自重がすべて載置部82に加わるように相互に当接し、開状態では、樹脂板Jを送入出可能な隙間(例えば、約250mm)が蓋部81及び載置部82の間に形成されるように設定されている。
[バケット]
このような開閉動作を行うバケット80は、以下のように構成されている。
バケット80a〜80fは、軸71を中心とする円の法線方向を長辺とする矩形状に形成され、それぞれ蓋部81と載置部82を備えることで、矩形状に形成された樹脂板J及びスタンパ813,823を重ねて収容可能に構成されている。
蓋部81及び載置部82は、同じ材質及び外形(板状形状)を有し、複数の部材を組み合わせて構成されている。
具体的には、蓋部81及び載置部82は、図5、図6に示すように、中央部分に開口部811a,821aを有するフレーム811,821と、開口部811a,821aを塞ぐようにフレーム811,821に取り付けられる挟持板812,822とをそれぞれ備え、例えば、フレーム811,821はアルミ、挟持板812,822は熱伝導率の高い真鍮で形成されている。
フレーム811,821の対向面側の外周縁部には、図6に示すように、バケット80の閉状態で相互に当接する弾性シール部材815,825が嵌入されている。
弾性シール部材815,825は、ゴム、シリコンなどの弾性部材から形成され、本実施形態では、弾性シール部材815が断面角状の環状又は紐状弾性部材からなり、弾性シール部材825が断面丸状の環状又は紐状弾性部材からなる。また、弾性シール部材815,825は、閉状態において弾性シール部材815が弾性シール部材825よりも大きく弾性変形し、断面丸状の弾性シール部材825の周面が、断面角状の弾性シール部材815の一辺に所定の長さ(例えば、周面の約半分)に亘って面接触する弾性特性を有している。
これにより、バケット80の閉状態において弾性シール部材815,825により囲まれる内部空間が樹脂板J及びスタンパ813,823の収容される収容部800となるとともに、収容部800内の気密性が確保されることになる。
また、断面丸状の弾性部材825は、中身の詰まった中実断面の弾性部材のみならず、内部に空間を有する中空断面の弾性部材とすることもできる。このように断面丸状の弾性部材825を中空断面の弾性部材とした場合には、上述した場合とは反対に、閉状態において弾性シール部材825が弾性シール部材815よりも大きく弾性変形し、断面丸状の弾性シール部材825がつぶれて断面角状の弾性シール部材815の一辺に面接触する弾性特性を有する弾性シール部材815,825を選定することもできる。
なお、弾性シール部材815を断面丸状の弾性部材とし、弾性シール部材825を断面角状の弾性部材とすることもできる。
また、図4及び図5に示すように、フレーム821の弾性シール部材825の嵌入されている内側であって軸71に近い側には、吸気孔827が穿設されている。
吸気孔827は、所定のチューブを介して真空ポンプと接続され、少なくともバケット80が閉状態にある処理部20〜50に亘る処理の間、バケット80内が吸気孔827を介して連続して吸気される。
また、フレーム811,821の開口部811a,821a周縁には、挟持板812,822及びスタンパ813,823をネジ90により螺着させるための複数の下穴が穿設されている。
この下穴には、ネジ90のゆるみ防止手段として、ヘリサート91が螺入されている。ヘリサート91は、断面ひし形の線状部材を螺旋状に巻回した雌ネジ部材であり、これにネジ90が螺入される。このようなヘリサート91をネジ90と下穴との間に設ける(挟み込む)ことで、間欠回転部70の回転による振動、加熱・冷却処理によるフレーム811,821(下穴)の拡縮によるネジ90のゆるみが防止される。
また、ネジ90及びヘリサート91は、下穴の拡縮と同調可能なようにフレーム811,821と同材質のネジ及びヘリサートを用いることもできる。
なお、ゆるみ防止手段としては、ヘリサート91を用いることが好ましいが、ネジ90と下穴との間にクサビとして機能するクサビ部材(例えば、金属又はゴムなどの弾性部材)を圧入したり(ネジ90の首下部分に圧入)、ネジ90と下穴との間に接着剤を注入したりすることもできる。
挟持板812,822は、図6に示すように、フレーム811,821の開口部811a,821aをそれぞれ塞ぐように対向配置され、ネジ90によりフレーム811,821に螺着される。また、挟持板812,822は、スタンパ813,823及び樹脂板Jを挟持可能に対向配置されている。なお、開口部811a,821aと挟持板812,822との間は所定のシール部材によりシールされている。
開口部811a,821aを介して外部に露出される挟持板812,822の露出面812a,822aは、それぞれの処理部30〜50において、プレス面、加熱面、冷却面として機能する。
このようにバケット80を、開口部811a,821aを有するフレーム811,821と、開口部811a,821aを塞ぐとともにスタンパ813,823及び樹脂板Jと対向配置される挟持板812,822とで構成することにより、以下のような作用効果を発揮する。
例えば、本実施形態とは異なり、バケット全体(蓋部81及び載置部82のそれぞれ)を一部品で構成したとすると、バケット内に収容された樹脂板Jを加熱、冷却するには、バケット全体を加熱、冷却する必要があり、そのためには、熱容量を小さくしながら熱伝導率の優れた、例えば、真鍮などの金属でバケット全体を構成することが好ましい。ところが、真鍮などの金属でバケット全体を形成するには、一塊の金属から削り出す必要があり、製作が困難であるとともに製作コストも高くなってしまう。
また、樹脂板Jにスタンパ813,823を押し付けるには、バケットを外方からプレスする必要があり、そうすると、プレスにより金属疲労が生じることから、バケットを定期的に取り替えなければならず、メンテナンス費用が高くなってしまう。
そこで、本実施形態では、バケット80を、開口部811a,821aを有するフレーム811,821と、開口部811a,821aを塞ぐとともにスタンパ813,823及び樹脂板Jに対向配置される挟持板812,822とで構成することにした。これにより、開口部811a,821aを介して外部に露出される挟持板812,822の露出面812a,822aを介して樹脂板Jを加熱・冷却することができ、挟持板812,822の露出面812a,822aを介して樹脂板Jにスタンパ813,823を押し付けることができる。
すなわち、このような構成により、バケット80全体を真鍮などの金属で一体的に構成することなく、挟持板812,822のみを、熱容量の小さい板状に形成するとともに、熱伝導率の優れた真鍮などで形成することができるので、製作コストを低減しながら、効率的に樹脂板Jを加熱・冷却することができる。また、プレスにより挟持板812,822に金属疲労が生じた場合でも、フレーム811,821はそのままで、挟持板812,822のみを取り替えればよいので、メンテナンス費用が低減できる。
また、フレーム811,821を、挟持板812,822とは異なる材質とすることができ、例えば、アルミなどの軽金属で形成することができるので、バケット80全体の重量を軽くすることができる。これにより、バケット80の慣性モーメントを小さくできるので、間欠回転部70の回転に伴うバケット80の慣性によるオーバーラン等が抑制され、バケット80の円周上の位置を正確に制御することができる。
スタンパ813,823は、バケット80の形状に沿った矩形形状を有し、ニッケル、ステンレス製などの板状部材であって、挟持板812,822とともにネジ90により共締めされてフレーム811,821に螺着される。
また、スタンパ813,823は、フレーム811,821に螺着されるものの、プレス力を受けてスタンパ813,823の位置ずれが生じないように、フレーム811,821に対して正確な位置決めがなされている(位置決め手段)。
スタンパ813,823のフレーム811,821に対する位置決めは、例えば、図5に示すように、スタンパ823に設けられ、矩形状に形成されたスタンパ823の長辺に対して垂直に延びる垂線上であって、二つの長辺それぞれに隣接する位置に穿設された位置決め孔823d,823eと、フレーム821に設けられ、位置決め孔823d,823eに挿入される位置決めピン826a,826bとの嵌合により実現される。
このような位置決め孔823d,823e及び位置決めピン826a,826bの位置関係は、スタンパ823の中央部分を作業領域として間に挟みながら、スタンパ823の対辺を結ぶ最短距離となっている。
スタンパ823は、加熱と冷却とを交互に行う加熱・冷却サイクルに曝されることから、加熱による膨張と冷却による収縮を繰り返すことになる。加熱によりスタンパ823は面方向に亘って全体的に膨張する。そうすると、スタンパ823上の距離が長いほど膨張量が増大することになるから、位置決めを行う二点間は、スタンパ823の中央部分を作業領域として間に挟みながらも、できる限り短い方が好ましいことになる。
そこで、位置決めを行う二点間が、中央部分を作業領域として間に挟みながらも対辺を結ぶ最短距離となるよう、スタンパ823の長辺に対して垂直に延びる垂線上であって、二つの長辺それぞれに隣接する位置とした。これにより、スタンパ823の中央部分を作業領域として最大限に確保しながら、加熱による膨張と冷却による収縮の影響を最小限にとどめることができる。
なお、位置決め孔823d,823eをフレーム821に、位置決めピン826a,826bをスタンパ823に、それぞれ設けることもできる。
また、スタンパ813,823は、板状部材でありながら、断面凸状に形成されている。
スタンパ813,823の頂面813a,823aは、樹脂板Jとの接触面であり、凹凸パターンを有する凹凸領域Rが形成されている。
この凹凸領域Rが一次成形品である樹脂板J1に熱転写されることで、凹凸パターンを有する樹脂板J2が二次成形品として成形されることになる。
また、図5に示すように、頂面813a,823aには、樹脂板Jに接触しながらもスタンパ813,823と樹脂板Jとの間にある空気を排出可能な流路を形成するための排出流路形成手段を備えており、例えば、少なくとも一方が頂面813a,823aの縁端部(813c,823c)まで延び、樹脂板Jとの接触時に空気の逃げ道となるヘアライン状の空気逃げ溝8231が複数凹設されている。
本実施形態では、複数の空気逃げ溝8231は、直線状に形成されるとともに、頂面813a,823aの両側の縁端部813c,823cまで延設されている。
これにより、真空引きに際して頂面813a,823aと樹脂板Jの間に介在する空気が空気逃げ溝8231を介して縁端部813c,823cまで導かれて効率的に排出されることになり、頂面813a,823aと樹脂板Jとの間の真空度を高めることができる。
また、空気逃げ溝8231は、本実施形態では、凹凸領域R外に形成してあるので、樹脂板Jの凹凸パターン形成面に光学的な悪影響を及ぼさないようになっている。
なお、空気逃げ溝8231は、凹凸領域R内に形成することもできる。特に、成形後の樹脂板J2が導光板として用いられる場合であって、凹凸パターンが樹脂板Jの端部より光を入射させて面発光させるときの導光パターンとして転写されるときには、空気逃げ溝8231を、光の入射方向に沿って形成することが好ましい。これにより、光は空気逃げ溝8231と平行に伝播することとなり、空気逃げ溝8231の影響による光の減衰を抑えることができる。
また、排出流路形成手段は、空気逃げ溝8231のように樹脂板Jとの接触面に凹設形成されるものに限らず、凸設形成されていてもよい。
例えば、頂面813a,823aにレーザーを照射して複数の穴を溶解形成するとともに、溶解した金属(ニッケル、ステンレスなど)が複数の穴のそれぞれの周辺に凸状に盛り上がった溶解凸部を形成することもできる。このような溶解凸部により、樹脂板Jが頂面813a,823aから離間され、真空引きに際して樹脂板Jと頂面813a,823aとの間にある空気を排出可能な流路が形成されることになる。
このような排出流路形成手段として凸設形成されるものは、溶解凸部に限らず、樹脂板Jを頂面813a,823aから離間させるように点在する複数の凸部であれば足りることから、その形状は限定されないものの、光学的な影響を考慮して、凹凸領域R外に形成されることが好ましい。
頂面813a,823aより一段低い位置に形成される下段面813b,823bは、少なくとも成形前の樹脂板J1と接触することのない非接触面であり、ネジ90の挿入される複数のネジ孔と、位置決め孔823d,823eとが形成される取り付け面として機能している。
このように構成されたスタンパ813,823に対して、樹脂板Jは、頂面813a,823aよりも大きい外形を有している。
これにより、図6に示すように、下段面813b,823bと樹脂板Jとの間に隙間が形成されることから、真空引きに際して頂面813a,823aと樹脂板Jの間に介在する空気がこの隙間を介して効率的に排出されることになり、頂面813a,823aと樹脂板Jとの間の真空度を高めることができる。
さらに、このようにスタンパ813,823を断面凸状に形成し、特に、頂面813a,823aに凹凸領域Rを有することにより、樹脂板Jにスタンパ813,823を押し付けるプレス力が頂面813a,823aに集中することから、凹凸領域Rに形成された凹凸パターンが樹脂板Jに確実に転写されることになる。この場合、樹脂板Jの外形は、頂面813a,823aよりも大きくてもよいし、頂面813a,823aと同じ又は頂面813a,823aよりも小さくてもよい。
なお、このようにスタンパ813,823を、頂面813a,823aと下段面813b,823bとを備える断面凸状に形成することで、真空引きに際してスタンパ813,823と樹脂板Jとの間の真空度を高め、プレス力を頂面813a,823aに集中させることができるものの、以下のような弊害も生じる。
スタンパ813,823を断面凸状に形成することで、頂面813a,823aと下段面813b,823bとの間には段差813c,823cが形成される。
この段差813c,823cと頂面813a,823aとの境界を、直角又は鋭角でつなげると、樹脂板Jが頂面813a,823aよりも大きい外形(同じでもよい)を有しているときには、樹脂板Jの加熱による軟化、冷却による固化により、樹脂板Jの段差813c,823cに対応する部分にエッジが形成され、固化した状態で、又は樹脂板Jをスタンパ813,823から取り外す際に、クラックが生じることがある。
そこで、本実施形態では段差813c,823cと頂面813a,823aとの境界を、図6に示すような円弧形状、又はテーパ形状でつなげてある。これにより、樹脂板Jの段差813c,823cに対応する部分に円弧又は鈍角が形成され、クラックの発生を回避することができる。
さらに、真空引きに際してスタンパ813,823と樹脂板Jとの真空度を高めるために、真空引き(吸気)の初期段階において、樹脂板Jとスタンパ813,823との接触を遅延させる可動体を、樹脂板Jとスタンパ813,823との間に介在させてある。
この可動体は、樹脂板Jとスタンパ813,823を接触させるに先立ち、これらの間に介在する空気を十分に吸気しておき、樹脂板Jとスタンパ813,823とが接触したときにこれらの間に空気層が形成されないように作用するもので、例えば、載置部82側のスタンパ823を、凹凸パターンを有するスタンパとした場合、真空引きを開始しながらバケット80を開状態から閉状態に変化させるときに、可動体は、真空引き初期段階において、スタンパ823が樹脂板Jに接触するタイミングを遅らせるように動作するものであれば足りることから、例えば、図6に示すように、樹脂板Jをスタンパ823から離間するように上方側に付勢するバネ100を可動体として採用することもできる。
このようなバネ100により、バケット80が開状態から閉状態となる過程において、樹脂板Jとスタンパ823が接触する直前には、これらの間に介在する空気が吸気され、これに遅れて樹脂板Jとスタンパ813,823が接触することになるので、樹脂板Jとスタンパ813,823とが接触したときにこれらの間に空気層が形成されないことになり、樹脂板Jとスタンパ823との間の真空度を高めることができる(可動体の動作による転写成形方法)。
なお、蓋部81側のスタンパ813を、凹凸パターンを有するスタンパとした場合には、樹脂板Jをスタンパ813から離間するように下方に付勢するバネ100を設けることもできる。
また、可動体は、バネ100に限らず、樹脂板Jとスタンパ813,823の接触を遅らせるダンパなどの弾性部材の他、様々な部品等が適用可能であり、例えば、樹脂板Jとスタンパ813,823との間において進退可能に動作する棒状又は板状部材を可動体として設けることもできる。この場合、バケット80を開状態から閉状態に変化させるとき又は閉状態となったときに真空引きを開始し、そのタイミングにおいては、棒状又は板状部材を樹脂板Jとスタンパ813,823との間に未だ進入させておき、これらの間に介在する空気が吸気された後は、棒状又は板状部材を樹脂板Jとスタンパ813,823との間から退出させることで実現できる。この進退可能に動作する棒状又は板状部材は、例えば、電磁ソレノイド、エアシリンダ、油圧シリンダ等を動力源として動作させることもできる。
このようにバケット80は、それぞれ蓋部81と載置部82を備えることで、樹脂板J及びスタンパ813,823を収容可能に構成されながら、樹脂板Jとスタンパ813,823との間の真空度が高められるようになっている。
これにより、スタンパ813,823と樹脂板Jは、これらの間に空気層が介在することなく接触することから、凹凸パターンが樹脂板Jに正確に転写されることになる。
また、バケット80は、軸71を中心とする円の法線方向を長辺とする矩形状に形成してある。これに対して、バケット80を円の接線方向を長辺とする矩形状に形成してしまうと、バケット80(80a〜80f)同士が干渉することになる。そこで、本実施形態では、バケット80を円の法線方向を長辺とする矩形状に形成して、各バケット80を法線方向に対していくらでも伸長することができるようにした。
これにより、バケット80に収容される樹脂板Jも法線方向に伸長可能な矩形状に形成することができ、法線方向に対する製品取れ数(歩留まり)を向上させることができる。
さらに、処理部の増設、バケット80の増設に際しても、角度間隔は狭くなるものの、バケット80同士の干渉を回避しながら、法線方向に沿ってバケット80をいくらでも伸長させることができるので、製品取れ数(歩留まり)を確保することができる。
[送入処理部及び送出処理部]
送入処理部10及び送出処理部60は、バケット80に樹脂板J1を送入する送入処理(送入処理工程)と、バケット80から樹脂板J2を送出する送出処理(送出処理工程)をそれぞれ行う処理部であって、樹脂板Jを搬送する搬送装置11,61と、搬送された樹脂板Jを、バケット80に対して出し入れするアーム12,62を備えている。
搬送装置11,61は、例えば、ベルトコンベアからなり、ベルト上に載置された樹脂板Jを搬送する。搬送装置11は、樹脂板J1を軸71方向に向かって搬送し、搬送装置61は、樹脂板J2を軸71と反対方向に向かって搬送する。
アーム12,62は、樹脂板Jの搬送方向に沿って進退可能に構成されるとともに、所定の真空ポンプと接続された管路を内部に有し、管路の先端であって樹脂板Jの四隅に相当する箇所にシリコン製の吸盤が配置されることにより、この吸盤に樹脂板Jを吸着させながら搬送方向に沿って進退移動を行うことで、バケット80a,80fに対する樹脂板J(J1,J2)の出し入れを可能とする。
例えば、図1を参照しながら説明すると、アーム12は、搬送装置11によって搬送された樹脂板J1を吸盤に吸着させ、そのまま開状態にあるバケット80aの載置部82まで移動し、移動後に吸着を解除して樹脂板J1を載置部82に載せる。次いで、蓋部81が載置部82に向かって下降してバケット80が閉状態となり、樹脂板J1はバケット80内においてスタンパ813,823と重ねて収容される。
一方、アーム62は、開状態にあるバケット80fから樹脂板J2を取り出す。例えば、開状態にあるバケット80の載置部82に載置された樹脂板J2を吸盤に吸着させ、そのまま搬送装置61まで移動し、移動後に吸着を解除して樹脂板J2を搬送装置61に載せる。
このように、バケット80に樹脂板J1を送入する送入処理部10と、バケット80から樹脂板J2を送出する送出処理部60を、それぞれの処理工程が別工程となるように独立させることにより、各処理部での処理時間(タクトタイム)が短くなり、単位時間あたりの製造数(生産量)を高めることができる。
[真空処理部]
真空処理部20は、閉状態にあるバケット80内を吸気(真空引き)する真空処理(真空処理工程)を行う処理部であって、真空引きにより樹脂板Jとスタンパ813,823との間の真空度を高める処理を行う。
この真空処理部20では、前述したバケット80内に穿設された吸気孔827を介して真空引きを行う。
真空処理部20は、図4に示すように、バケット80を上下方向から被覆可能な覆い板21(21a,21b)を備え、閉状態にあるバケット80を覆い板21a,21bで上下方向から挟み込みながら吸気する。なお、図4において、バケット80の開閉動作を説明する都合上、覆い板21a,21bに対向した位置に間欠停止したバケット80bは、開状態となっているが、本来は、閉状態のバケット80bが間欠停止するようになっている。
覆い板21a,21bは、例えば、エアシリンダにより駆動され、覆い板21aが覆い板21bに対して昇降可能に構成されている。
このような構成により、閉状態にあるバケット80bが覆い板21a,21bと対向する位置で間欠停止すると、覆い板21aが下降して覆い板21aと覆い板21bとの間にバケット80bを挟持(補助的に押圧)しながら、吸気孔827を介する吸気を開始する。また、前述の可動体(例えば、バネ100)はこのタイミングで作動する。
これにより、収容部800内が真空状態となり、樹脂板Jとスタンパ813,823は、空気層が介在することなく接触した状態となる。その後、覆い板21aが上昇するとともに、閉状態にあるバケット80bが加熱処理部30に向かって回転移動するものの、吸気孔827を介する吸気は、バケット80bが開状態となるまで(送出処理部60に至るまで)、継続される。
すなわち、本実施形態の真空処理部(真空処理工程)は、送入処理部10と加熱処理部30との間に存在する真空処理部20だけではなく、真空処理部20から冷却処理部50に至るまでの間にも連続的に存在する(真空処理工程が連続して行われる)ことになる。また、そうすると、加熱処理部30から冷却処理部50までの各処理部では、真空処理部が併設されることになり、それぞれの処理工程において、真空処理工程が並行して行われることになる。
これにより、スタンパ813,823と樹脂板Jとの間の真空状態が、バケット80が閉状態にある真空処理部20から冷却処理部50に至るまでの間において確実に保持される。
なお、真空処理(真空処理工程)は、少なくともスタンパ813,823を樹脂板Jに押し付けるプレス処理(プレス処理工程)が行われる前に行われることが好ましい。
[加熱処理部]
加熱処理部30,40は、バケット80を加熱する加熱処理(加熱処理工程)とバケット80をプレスするプレス処理(プレス処理工程)とを並行して行う処理部であって、樹脂板Jを加熱しながらスタンパ813,823を押し付ける処理を行う。
すなわち、本実施形態の加熱処理部30,40は、バケット80を加熱する加熱処理部のみならず、バケット80をプレスするプレス処理部としても動作するようになっている。
さらに、加熱処理部30は、樹脂板Jを第一加熱温度(例えば、樹脂板Jの表面温度130℃〜140℃)に加熱しながらプレスを行う第一加熱処理部(第一加熱処理工程)として動作し、加熱処理部40は、加熱処理部30に続いて、樹脂板Jを第一加熱温度よりも高い第二加熱温度(例えば、樹脂板Jの表面温度170℃〜250℃)に加熱しながらプレスを行う第二加熱処理部(第二加熱処理工程)として動作する。
このように加熱処理部30と加熱処理部40とで樹脂板Jの加熱温度を違えたのは、加熱処理部30では、樹脂板Jを予備的に加熱しながらスタンパ813,823を押し付ける予備加熱・プレス処理を行わせ、加熱処理部40では、樹脂板Jを本格的に加熱しながらスタンパ813,823を押し付ける本加熱・プレス処理を行わせるためである。
加熱処理部30,40は、図3及び図7に示すように、プレス板31(31a,31b),41(41a,41b)と、プレス板31,41を螺着により取り付ける支持板32(32a,32b),42(42a,42b)とが積層された加圧体33(33a,33b),43(43a,43b)を備え、上方に位置する加圧体33a,43aが、下方に位置する加圧体33b,43bに対して昇降可能に構成されることで、加圧体33a,43aと加圧体33b,43bとの間にバケット80を挟持しながら、バケット80に対してプレス処理及び加熱処理を行う。
加熱処理部30,40は、樹脂板Jを加熱する温度がそれぞれ異なるものの同じ構成を有していることから、以下の説明は加熱処理部30について行う。
プレス板31a,31bは、熱伝導性と可撓性とを有する金属製(例えば、ステンレス、真鍮など)の板状部材からなり、図7に示すように、挟持板812,822の露出面812a,822aに接触して加圧・加熱するプレス面311a,311bを備え、プレス面311a,311bは、それぞれ露出面812a,822aとほぼ同じ外形を有する平面として構成されている。このプレス板31は、ネジ34を介して支持板32に螺着されている。
プレス板31a,31bは、抵抗発熱板として構成され、通電により発生する熱をプレス面311a,311bを介して露出面812a,822aに伝達させる。
プレス板31には、複数の電熱線321〜325(例えば、ニクロム線)が埋設され、直流電流を印加することによりジュール熱を発生させ、プレス板31全体を加熱する。
プレス板31a,31bの電熱線321a〜325a,321b〜325bは、それぞれ独立した電熱線からなるとともに異なる値の電流を印加可能に構成され、発熱量を電熱線321a〜325a,321b〜325bごとに制御することができるようになっている。
これにより、プレス板31a,31bは、電熱線321a〜325a,321b〜325bが埋設された部位別に加熱温度を違えることができ、加熱処理部30はバケット80の周縁部に対する加熱温度を中心部よりも高温に設定可能な設定温度部位別可変手段を備えることになる。
このような構成により、プレス面311a,311bの発熱分布も、電熱線321a〜325a,321b〜325bによる発熱量に対応する分布を示すことになる。
このようにプレス面311a,311bの発熱量を部位別に調整可能とすることにより、以下のような作用効果を発揮する。
バケット80を加圧体33(33a,33b)で挟持しながら加熱処理を行うときに、プレス面311a,311bの発熱分布を均等とした場合、バケット80の周縁部からの放熱により、バケット80内の温度は均等にはならない。
すなわち、プレス面311a,311bが露出面812a,822aに接触し、露出面812a,822aを介して熱が樹脂板Jに伝達されるものの、樹脂板Jの周縁部にあるバケット80のフレーム811,821等により熱が奪われることから、プレス面311a,311bの熱分布を均等とした場合、樹脂板Jの表面温度は中央付近よりも周縁部の方が低くなる傾向がある。これを具体的に示す図表が、図8である。
図8は、加熱処理部30の電熱線321〜325の埋設された部位別の設定温度(図中〇印)と樹脂板Jの樹脂温度(図中△印、以下、表面温度という)との関係を示す図表であり、(a)は、部位別の設定温度を一律に設定したときの樹脂板Jの表面温度を示す図表であり、(b)は、部位別の設定温度を変化させたときの樹脂板Jの表面温度を示す図表である。
これを見ると、図8(a)に示すように、電熱線321〜325の埋設された部位別の設定温度を、例えば、200℃に一律設定したときでは、樹脂板Jの表面温度は中央付近(電熱線322〜324に対応する部分)よりも周縁部(電熱線321,325に対応する部分)の方が低くなっている。
例えば、中央付近の表面温度は、195℃を示すが、電熱線321に対応する周縁部では、180℃、電熱線325に対応する周縁部では、170℃を示し、周縁部の表面温度は中央付近よりも15〜25℃以上低くなっている。
このような温度ムラが生じた状態でプレス処理を行うと、所々に気泡が発生したり、中央付近と周縁部との間で転写ムラが生じたりすることから、凹凸パターンが正確に転写されないことがあった。
そこで、加熱処理部30は、電熱線321〜325ごとに設定温度を可変とする設定温度部位別可変手段を備え、樹脂板Jの加熱温度を中央付近よりも周縁部が高くなるように設定した。
例えば、図8(b)に示すように、樹脂板Jの中央付近に対応する電熱線322〜324の設定温度を、例えば、190℃とし、樹脂板Jの周縁部に対応する電熱線321,325の設定温度をこれより高い、例えば、215℃に設定した。
これにより、樹脂板Jの中央付近の表面温度は、205℃を示し、電熱線321に対応する周縁部の表面温度は、195℃、電熱線325に対応する周縁部の表面温度は、200℃を示し、周縁部の表面温度と中央付近の表面温度との格差を10℃以内に縮めることができた。
これにより、樹脂板Jは均等に加熱されることになり、中央付近と周縁部との間で転写ムラを生じさせることなく、凹凸パターンを正確に転写することができる。
このように構成された加熱処理部30は、図3に示すように、上方に位置する加圧体33aが、例えば、油圧シリンダにより駆動され、加圧体33bに対して昇降可能に構成されることで、閉状態にあるバケット80cが加圧体33a,33bと対向する位置で間欠停止すると、加圧体33aと加圧体33bとの間でバケット80cを挟持しながら加熱処理及びプレス処理を行う。
具体的には、真空処理部20において真空引きされ、閉状態にあるバケット80cが加圧体33a,33bと対向する位置で間欠停止すると、加圧体33aが下降して加圧体33aと加圧体33bとの間でバケット80cを挟持しながら、例えば、6MPaでプレスする。このときには、プレス面311a,311bは、フレーム811,821を押圧することなく、それぞれが露出面812a,822aを押圧する。これと同時に、プレス面311a,311bを介して露出面812a,822aに部位別の温度勾配を有する熱が伝達される。
樹脂板Jは、挟持板812,822及びスタンパ813,823を介して伝達される熱により加熱され、その表面が軟化するとともにプレスによりスタンパ813,823が押し付けられる。
その後、加圧体33aが上昇するととともに、閉状態にあるバケット80bが加熱処理部40に向かって回転移動する。
加熱処理部40では、プレス板41の設定温度がプレス板31とは異なるものの、加熱処理部30と同様な動作を行う。
また、加熱処理部30では、樹脂板Jを第一加熱温度(例えば、樹脂板Jの表面温度130℃〜140℃)に予備的に加熱しながら、約30〜90秒間、プレスを行い、加熱処理部40では、樹脂板Jを第一加熱温度よりも高い第二加熱温度(例えば、樹脂板Jの表面温度170℃〜250℃)に本格的に加熱しながら、約30〜90秒間、プレスを行う。
これらの加熱温度は、第一加熱温度を樹脂板Jのガラス転移温度未満(好ましくは、ガラス転移温度より5〜15℃低い温度)とし、第二加熱温度をガラス転移温度以上(好ましくは、ガラス転移温度より25〜105℃高い温度)とすることができる。
例えば、樹脂板Jを、ポリカーボネートとした場合、ガラス転移温度は、約145℃であることから、第一加熱温度をガラス転移温度(145℃)よりも低い、例えば、130℃〜140℃とし、第二加熱温度をガラス転移温度(145℃)以上であって、例えば、170℃〜250℃とすることができる。
これにより、少なくとも加熱処理部40では、樹脂板Jがガラス転移温度以上に加熱されてゴム状に軟化し、その状態でスタンパ813,823が押し付けられるので、樹脂板Jに凹凸パターンが転写されることになる。
このように加熱処理を分散化することにより以下のような作用効果を発揮する。
樹脂板Jを常温から一気にガラス転移温度以上に加熱すると、樹脂焼け等による変色、樹脂板J内に気泡等が発生する。加熱処理部を一つとした場合、このような気泡等の発生を回避するためには、その設定温度を徐々に上げる制御を必要とするが、そうすると、その加熱処理部で複数の温度間を往復する加熱・放熱サイクル期間が必要となり製造効率が低下する。
そこで、本実施形態では、加熱温度のそれぞれ異なる複数の加熱処理部30,40を設け、各加熱処理部30,40では、それぞれ温度の高低制御を行うことなく、一定の温度を維持したまま加熱処理を行い、この間をバケット80が回転移動することで、樹脂板Jを常温から徐々にガラス転移温度以上に加熱するようになっている。
これにより、放熱に要する時間が省かれ、製造効率が向上する。
また、加熱処理を、複数の加熱処理部30,40に分散することで、各処理部での処理時間(タクトタイム)が短くなり、単位時間あたりの製造数(生産量)を高めることができる。
また、このような加熱処理の分散化は、加熱処理部30と加熱処理部40にとどまらず、加熱処理部30の一つ手前の処理部を含む加熱処理部30に至るまでに連続する少なくとも一以上の他の処理部において、バケット80又は樹脂板Jを予め加熱する予熱処理を並行して行うこともできる。
例えば、加熱処理部30の一つ手前の処理部である真空処理部20において、覆い板21a,21bをプレス板31,41と同様に抵抗発熱板として構成し、バケット80内の空気を吸気するにあたり、覆い板21aと覆い板21bとの間でバケット80bを挟持する際に、覆い板21aと覆い板21bをそれぞれ露出面812a,822aに接触させることにより、バケット80内の樹脂板Jを予め加熱(例えば、樹脂板Jの表面温度80℃)することもできる。
また、さらに、真空処理部20に加え、送入処理部10において樹脂板Jを予め加熱することもできる。すなわち、加熱処理部30に至るまでに連続する二以上の他の処理部である、真空処理部20と送入処理部10とにおいて、バケット80又は樹脂板Jを予め加熱する。この場合、例えば、搬送装置11の下部にヒーター、抵抗発熱板を設け、軸71方向に向かって搬送される樹脂板Jを予め加熱(例えば、樹脂板Jの表面温度40℃)することもできる。
これにより、加熱処理部30,40における加熱時間が、真空処理部20、送入処理部10に分散化され、処理時間(タクトタイム)がさらに短くなり、単位時間あたりの製造数(生産量)を高めることができる。
また、第一加熱温度と第二加熱温度は、樹脂板Jを、加熱処理部30ではガラス状態、加熱処理部40では僅かな加熱によりゴム状態に変化させる温度を基準温度として、それぞれの加熱温度を設定することもできる。
例えば、第一加熱温度を、ガラス転移温度±X℃(例えば、X=30)とし、第二加熱温度を、ガラス転移温度+Y℃(例えば、Y=50、X<Y)に設定することもできる。
これにより、相変態を基準にした僅かな温度差により、樹脂板Jの状態をガラス状態からゴム状態に変化させることができるので、加熱処理部40における加熱時間を短くできる。
また、加熱処理部30,40は、バケット80をプレスするプレス処理にあたり、スタンパ813,823を樹脂板Jに押し付けるプレス力、及びプレス力の伝達開始位置のうちの、少なくともいずれか一方をスタンパ813,823と樹脂板Jとの接触部位別に変化させるプレス部位可変手段(プレス部位可変工程)を備えている。
真空処理部20及びその後バケット80閉状態の間に継続される吸気孔827を介する吸気においてスタンパ813,823と樹脂板Jとの間の真空度は高まるものの、挟持板812,822及びプレス面311a,311bはそれぞれ必ずしも凹凸もなく平行とは限らないことから、樹脂板Jにスタンパ813,823が面方向に対して均等に押し付けられるわけではなく、スタンパ813,823と樹脂板Jの接触部位ごとにプレス力の高い部分と低い部分とがまだらに分布するプレスムラが生じることがある。
そこで、プレス板31と支持板32との間に、金属製の板状部材からなる薄板110(シム板)を挿入可能なように、プレス板31を支持板32に螺着させてある。
これにより、例えば、ネジ34を緩めてプレス力の不足している接触部位に対応する箇所に薄板110を挿入し、ネジ34を締めて薄板110をプレス板31と支持板32との間に挟持させると、薄板110がプレス部位可変手段として機能し、プレス板31の有する可撓性により、当該挿入箇所付近が他の箇所に比べて突出した状態となり、その接触部位のプレス力を高めることができ、プレスムラを効率的に解消することができる(プレス部位可変工程)。なお、厚み及び大きさ(外形)の異なる薄板110を複数種類用意しておくことで、複雑なプレスムラも解消することができる。
また、薄板110を挿入することで、挿入箇所に対応するプレス面311a,311bが露出面812a,822aに最初に接触することになるので、プレス力の伝達開始位置を変化させることができる。
その結果、例えば、薄板110を樹脂板Jの中央付近に対応する位置に挿入することにより、薄板110をプレス部位可変手段として機能させ、樹脂板Jの中央付近のプレス力が最初に高まるように調整することもできる(プレス部位可変工程)。
これにより、スタンパ813,823と樹脂板Jの間に空気層が介在する場合でも、樹脂板Jの中央付近のプレス力が最初に高まることで、空気層を中央付近から周縁部に向かって放射状に追い出しながらプレスすることができるので(プレス部位可変工程)、スタンパ813,823と樹脂板Jとの間に空気層を介在させることなく完全に接触させることができる。
また、このようなプレス処理は、加熱処理部30では、樹脂板Jをガラス転移温度未満(例えば、樹脂板Jの表面温度130℃〜140℃)に予備的に加熱しながら行われ、加熱処理部40では、樹脂板Jをガラス転移温度以上(例えば、樹脂板Jの表面温度170℃〜250℃)に本格的に加熱しながら行われる。
このようにプレス処理を、加熱処理部40で本格的に加熱処理を行う前に、加熱処理部30で行うことにより、以下のような作用効果を発揮する。
ガラス転移温度に達すると、樹脂板Jはガラス転移によりゴム状に軟化することになる。このとき樹脂板Jは流動性(粘性)を有しながらスタンパ813,823と接触していることから、樹脂板Jとスタンパ813,823との間に空気層が介在していても、空気層はプレス処理によって周縁部に向かって移動するものの、その粘性により逃げ道が阻まれ、樹脂板Jとスタンパ813,823との間から押し出されることなく、閉じ込められた状態となる。つまり、加熱処理部40において、樹脂板Jとスタンパ813,823との間に空気層が介在したまま、ガラス転移温度以上(例えば、樹脂板Jの表面温度170℃〜250℃)に本格的に加熱してしまうと、その空気層が閉じ込められたままの状態となり、その結果、空気層が凹凸パターンの転写を阻害するように作用する。
そこで、加熱処理部30では、樹脂板Jをガラス転移温度未満(例えば、樹脂板Jの表面温度130℃〜140℃)に予備的に加熱しながらプレス処理を行う。
この加熱処理部30では、樹脂板Jはガラス転移温度未満のガラス状態にあり、未だ軟化していないことから、樹脂板Jとスタンパ813,823との間に空気層が介在していても、閉じ込められた状態となることなく、プレス処理、又は前述のプレス部位可変手段により追い出すことができる。
これにより、本格的に樹脂板Jを加熱する前に、樹脂板Jとスタンパ813,823との間から空気層を確実に追い出すことができる。
なお、本実施形態では、樹脂板Jとスタンパ813,823との間からの空気層の追い出しを目的とするプレス処理(プレス処理工程)を、樹脂板Jを予備的に加熱する第一加熱処理工程と並行して行ったが、空気層の追い出しを目的とするプレス処理(プレス処理工程)は、真空処理(真空処理工程)後であって、第一加熱処理工程前にも行うこともできる。
また、凹凸パターンの転写を目的とするプレス処理(プレス処理工程)は、少なくとも樹脂板Jを本格的に加熱する加熱処理(加熱処理工程)以降、すなわち、本実施形態のように第二加熱処理工程と並行して行うこともできるし、本格的に加熱する加熱処理(第二加熱処理工程)よりも後の処理工程であって、少なくとも送出処理工程(送出処理部60)よりも前(例えば、冷却処理工程)に行うこともできる。
[冷却処理部]
冷却処理部50は、バケット80を冷却する冷却処理(冷却工程)を行う処理部であって、加熱された樹脂板Jから熱を奪いつつ、加熱処理部40において熱転写された凹凸パターンを定着・固化させる。
冷却処理部50は、図4及び図9に示すように、バケット80を上下方向から挟持しながら冷却する冷却体51(51a,51b)を備えている。
冷却体51a,51bは、挟持板812,822と対向する冷却面519a,519bを有するとともに、例えば、エアシリンダにより駆動され、冷却体51aが冷却体51bに対して昇降可能に構成されている。
冷却体51a,51bは、それぞれ熱伝導性を有する金属製(例えば、ステンレス、真鍮など)の厚肉(例えば、80mm)板状部材からなり、図9(a)に示すように、冷却水の流入出可能な複数の管路511a〜518a,511b〜518bがそれぞれ配設されている。
管路511a〜518a,511b〜518bは、図9(b)に示すように、冷却体51a,51bの内部において奇数番号の管路と偶数番号の管路とがつながり、例えば、奇数番号側が冷却水の流入口、偶数番号側が冷却水の流出口となる略U字状の管路として形成されている。このように、管路511a〜518a,511b〜518bを略U字状の管路として形成することにより、冷却水の流入口及び流出口を冷却体51a,51bの一端面に集中配置させることができ、冷却水の漏出などの確認が容易となる。
また、流入出口は、軸71と対向する面以外の一端面であって、軸71と反対側となる側面に配置され、回転移動するバケット80に干渉しないようになっている。なお、流入出口は、冷却体51a,51bにおいて、軸71と対向する面以外の一端面であって、軸71を中心とする円の法線方向と平行な面に配置しても、回転移動するバケット80に干渉させないようにできる。
管路511a〜518a,511b〜518bは、冷却体51a,51bの冷却面519a,519bそれぞれに対して等間隔で配管され、露出面812a,822aにそれぞれ接触する冷却面519a,519bを均等に冷却するようになっている。
また、管路511a〜518a,511b〜518bの各U字状部510a〜510dを、冷却体51a,51bの端面(軸側側面)から外方に延出させてある。
これにより、冷却体51a,51b内の管路511a〜518a,511b〜518bを、ドリル等で貫通可能な貫通孔として形成することができるので、冷却体51a,51bの製作が容易となり、製造コストを低減させることができる。
また、管路511a〜518a,511b〜518bのそれぞれの流入口側に、図示しない開閉バルブを設け、冷却水の流量を管路ごとに調整可能とすることもできる。
このような構成により、閉状態にあるバケット80eが冷却体51a,51bと対向する位置で間欠停止すると、冷却体51aが下降して冷却体51aと冷却体51bとの間でバケット80eを挟持しながら冷却を開始する。露出面812a,822aがそれぞれ冷却面519a,519bと接触することにより、樹脂板Jの熱がスタンパ813,823を介して挟持板812,822から均等に奪われ、樹脂板Jを冷却しつつ、加熱処理部40において熱転写された凹凸パターンを定着・固化させる。
このとき、樹脂板Jの面方向に対する冷却速度にムラが生じ、例えば、樹脂板Jの中央付近よりも周縁部が速く冷却するなど冷却速度に格差が生じるときには、開閉バルブの開度を調整することで、この例では、中央付近に対応する管路の流量を周縁部に対応する管路の流量に比べて多くする調整を行うことにより、冷却速度の均一化を図ることができる。
また、冷却処理部50にプレス処理部を一体的に設け、冷却体51aと冷却体51bとの間でバケット80eを挟持しながら冷却するにあたり、挟持板812,822を上下方向からプレスすることもできる。すなわち、冷却処理工程と並行してプレス処理工程を行うこともできる。
例えば、冷却体51aと冷却体51bをそれぞれプレス板として構成し、冷却体51aと冷却体51bとの間でバケット80eを挟持する際に、冷却面519a,519bが、フレーム811,821をプレスすることなく、それぞれが露出面812a,822aをプレスすることもできる。
これにより、加熱処理部40においてガラス転移によりゴム状に軟化した樹脂の流動が抑制されることから、凹凸パターンの定着性が向上する。
[転写成形装置の動作及び転写成形方法]
以上のように構成された転写成形装置1は、CPU(中央演算処理装置),ROM,RAM,インターフェイス回路等を備え、コンピュータとして動作する図示しない制御部により、送入処理部10、真空処理部20、加熱処理部30,40、冷却処理部50、送出処理部60、及び間欠回転部70がそれぞれ制御されるとともに、上述したそれぞれの処理を、異なるバケット80a〜80fに対して間欠回転部70の停止する同時期の一の停止中に行い、一のバケット80がそれぞれの処理部10〜60を、以下に示すように一巡することで、一次成形された樹脂板J1が自動的に送入されるとともに、凹凸パターンの転写成形された二次成形品である樹脂板J2が自動的に送出される転写成形方法が実現されるようになっている。
6つのバケット80は、間欠回転部70にそれぞれ支持され、円周上の位置に応じて開閉動作を行いながら、約60度単位の回転(時計回り)と停止を交互に行うことで、各処理部10〜60に亘って移動される。
送入処理部10では、バケット80は開状態で間欠停止し、搬送装置11とアーム12との連携動作により、樹脂板J1がバケット80内に自動送入される(送入処理工程)。
これにより、樹脂板J1はバケット80内においてスタンパ813,823と重ねて収容される。
間欠回転部70は、送入された樹脂板J1が光学センサ等の検知手段で検知され、蓋部81が載置部82に向かって下降してバケット80が閉状態となると、約60度回転して停止する。このとき、間欠回転部70は、送入処理部10において樹脂板J1の送入が検知されたとしても、他の処理部20〜60での処理が終了しない限り回転を行わない。すなわち、間欠回転部70は、時間的に最も長い処理を行ういずれかの処理部10〜60における処理時間に応じて間欠停止を行う。例えば、加熱処理部30,40における処理時間が他の処理部の処理時間に比べて長く設定されているとした場合、樹脂板J1の送入検知後であっても、加熱処理部30,40の処理時間に応じた間欠停止後に約60度の回転を開始する。これにより、それぞれ異なる処理を分散して行いながらも各処理部10〜60でのそれぞれの処理が確実に遂行されるとともに、間欠回転部70の停止する同時期の一の停止中において各処理部10〜60でのそれぞれの処理が異なるバケット80a〜80fに対して一度に行われることになる。
次に真空処理部20では、バケット80は閉状態で間欠停止し、覆い板21a,21bにより上下方向から挟持されながら吸気孔827を介して吸気される(真空処理工程)。また、吸気の初期段階において、可動体(例えば、バネ100)が、樹脂板Jに接触するスタンパ813,823のタイミングを遅らせるように動作することにより、樹脂板Jとスタンパ813,823との間の真空度が高められるようになっている。
その後、間欠回転部70は、所定時間経過後(例えば、加熱処理部30,40の処理時間経過後)に約60度の回転を開始するものの、吸気孔827を介する吸気は、バケット80が開状態となるまで(送出処理部60に至るまで)、継続される。
続いて加熱処理部30では、バケット80は閉状態で間欠停止し、加圧体33a,33bにより上下方向から挟持されながら予備的(ガラス転移温度未満)に加熱及びプレスされる(第一加熱処理工程)。このときには、設定温度部位別可変手段により、中央付近と周縁部との間で温度分布にムラが生じることなく、樹脂板Jは均等に予備的に加熱される。また、プレス部位可変手段により、プレス力の高い部分と低い部分とがまだらに分布するプレスムラが解消されるとともに、スタンパ813,823と樹脂板Jの間に介在する空気層を中央付近から周縁部に向かって放射状に追い出しながらプレスするので、スタンパ813,823と樹脂板Jとの間から空気を完全に排除させることができる。その後、間欠回転部70は、所定時間経過後(例えば、加熱処理部30,40の処理時間経過後)に約60度の回転を開始する。
加熱処理部40では、バケット80は閉状態で間欠停止し、加圧体43a,43bにより上下方向から挟持されながら本格的(ガラス転移温度以上)に加熱及びプレスされる(第二加熱処理工程)。これにより、樹脂板Jがゴム状に軟化し、スタンパ813,823の凹凸パターンが転写されることになる。また、この処理でも、加熱処理部30と同様、設定温度部位別可変手段、プレス部位可変手段により、面方向に亘る均一な加熱及びプレスと、空気層の追い出しが行われる。その後、間欠回転部70は、所定時間経過後(例えば、加熱処理部30,40の処理時間経過後)に約60度の回転を開始する。
続く冷却処理部50では、バケット80は閉状態で間欠停止し、冷却体51a,51bにより上下方向から挟持されながら冷却される(冷却処理工程)。これにより、樹脂板Jから熱を奪いつつ、加熱処理部40において熱転写された凹凸パターンを定着・固化させることができる。さらに、このとき、ゴム状に軟化した樹脂の流動を抑制すべく、バケット80を上下方向からプレスすることもできる。
その後、間欠回転部70は、所定時間経過後(例えば、加熱処理部30,40の処理時間経過後)に約60度の回転を開始する。
最後に送出処理部60では、バケット80は開状態で間欠停止し、搬送装置61とアーム62との連携動作により、凹凸パターンの転写成形された樹脂板J2がバケット80内から自動送出される(送出処理工程)。
以上説明したように、本実施形態の転写成形装置1及び転写成形方法では、一のバケット80が送入処理部10(送入処理工程)、真空処理部20(真空処理工程)、加熱処理部30,40(第一、第二加熱処理工程)、冷却処理部50(冷却処理工程)、及び送出処理部60(送出処理工程)を一巡することで、一次成形された樹脂板J1が自動的に送入されるとともに、凹凸パターンの転写成形された二次成形品である樹脂板J2が自動的に送出されるように構成され、それぞれの処理部10〜60(処理工程)が6つのバケット80a〜80fそれぞれに対して同時期の一の停止中において異なる処理を行うことから、間欠回転部70が約60度回転するごとに一の樹脂板J2が製造されることになる。
特に、樹脂板Jを、加熱して転写成形を行い、放熱させるという加熱・冷却サイクルを繰り返す処理では、常温の樹脂板Jを一定の温度まで加熱し、その後、放熱させるのに要する時間を短縮することは困難であることから、このような処理の分散化は、加熱及び冷却効率を高めつつ処理時間の短縮化につながり、単位時間あたりの製造数(生産量)を高めることができる。
以上、本発明の転写成形装置及び転写成形方法の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る転写成形装置及び転写成形方法は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、本実施形態では、真空処理部20を物理的に独立して設けたが、吸気孔827を介して行われる真空引きは、加熱処理部30,40、冷却処理部50の各処理部においてそれぞれの処理と並行して行われることから、真空処理部20を削除することもできる。
この場合、加熱処理部30から真空引きを開始することになるが、加熱処理部30に可動体(例えば、バネ100)を設けるとともに、真空引きの開始にあたり、樹脂板Jとスタンパ813,823との間の真空度を高めてから加熱・プレス処理を行うことが好ましい。
また、本実施形態では、加熱処理部30,40と冷却処理部50にプレス処理部を設けたが、冷却処理部50のみに設けることもできる。
このように、送入処理部10、加熱処理部(30,40)、冷却処理部50、及び送出処理部60は、これらに含まれる処理部に対してそれぞれ独立して設けられる必要があるが、プレス処理部、真空処理部は、これらと併設することもできる。
また、本実施形態では、加熱処理部を複数設けたが一つのみとすることもできる。
また、加熱処理部30と加熱処理部40の加熱温度は同じ温度でもよい。
また、スタンパ813,823は、双方の頂面にそれぞれ凹凸領域Rを設けることもできるし、一方の頂面のみに凹凸領域Rを設け、他方の頂面に鏡面を設けることもできる。
また、本実施形態では、各処理部10〜60を、送入処理部10、真空処理部20、加熱処理部30、加熱処理部40、冷却処理部50、送出処理部60の順に時計回りに配置したが、送出処理部60、冷却処理部50、加熱処理部40、加熱処理部30、真空処理部20、送入処理部10の順に時計回りに配置し、間欠回転部70が各バケット80を反時計回りに回転させることもできる。
また、本実施形態では、転写成形装置及び転写成形方法として、樹脂板及び凹凸パターンを有するスタンパの収容された複数のバケットが軸を中心に回転しながら、樹脂板にスタンパを押し付けて凹凸パターンを樹脂板に転写成形する回転方式の転写成形装置及び転写成形方法を採用したが、転写成形装置及び転写成形方法はこれに限定されず、樹脂板にスタンパを押し付けて凹凸パターンを樹脂板に転写成形するための構成及び方法を有する転写成形装置及び転写成形方法ならば、本発明の転写成形装置及び転写成形方法に含めることができる。
本発明は、一次成形された樹脂板に、凹凸パターンを有するスタンパを押し付けて、スタンパの凹凸パターンを樹脂板に転写成形する転写成形装置及び転写成形方法に好適に利用することができる。
1 転写成形装置
10 送入処理部
20 真空処理部
30 加熱処理部(第一加熱処理部,プレス処理部)
40 加熱処理部(第二加熱処理部,プレス処理部)
50 冷却処理部
60 送出処理部
70 間欠回転部
80 バケット

Claims (2)

  1. 所定の樹脂板及び凹凸パターンを有するスタンパを重ねて収容するバケットを備え、前記樹脂板に前記スタンパを押し付けて前記凹凸パターンを前記樹脂板に転写成形する転写成形装置であって、
    前記スタンパを前記バケット内に固定するためのネジのゆるみを防止するゆるみ防止手段を備える
    ことを特徴とする転写成形装置。
  2. 開閉可能に形成される複数の前記バケットと、
    成形前の前記樹脂板を前記バケット内に送入する送入処理部、前記バケット内を吸気する真空処理部、前記バケットを加熱する加熱処理部、前記バケットをプレスするプレス処理部、前記バケットを冷却する冷却処理部、及び成形後の前記樹脂板を前記バケットから送出する送出処理部を含む複数の処理部と、
    所定の軸を中心に回転・停止を交互に行うとともに、複数の前記バケットが前記軸を中心とする円の円周上に所定の角度間隔をおいて配置されるように各バケットを支持する間欠回転部と、
    前記円周上の位置に応じて各バケットを開閉させるバケット開閉手段と、を備え、
    前記送入処理部、前記加熱処理部、前記冷却処理部、及び前記送出処理部はそれぞれ少なくともこれらに含まれる処理部に対して独立して設けられるとともに前記円周上にそれぞれ配置され、
    少なくとも前記送入処理部、前記加熱処理部、前記冷却処理部、及び前記送出処理部は、異なる前記バケットに対してそれぞれの処理を同時期の一の前記停止中に行い、
    前記間欠回転部の一回転により、前記複数の処理部での処理が行われ、前記凹凸パターンの転写された前記樹脂板が成形される
    ことを特徴とする請求項1記載の転写成形装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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