JP2014068776A - 生体用補綴部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体用補綴部材において、患者の骨に取り付けられた初期の段階から、当該患者の骨との結合力を、より高くでき、且つ、患者の骨との結合力が高い状態を、長期に亘って維持できるようにする。
【解決手段】補綴部材1は、本体部2と、取付部3と、を有する。取付部3は、本体部2と一体に設けられ、腸骨100に接触した状態で腸骨100に取り付けられる。取付部3は、取付部3の外側に向かって先細りに延びる複数の突出部を含む。取付部3の表面の少なくとも一部は、多孔質体によって形成されている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、患者の骨の欠損部を補うための、生体用補綴部材に関する。
整形外科分野においては、患者の骨の一部を自家骨として切除し、切除した後の自家骨を、当該患者の別の箇所に移植する手術が知られている。この手術では、例えば、患者の腸骨の一部が、自家骨として、切除される。しかしながら、腸骨の一部が切除されると、腸骨の残りの部分の強度が低下してしまう。また、患者がベルト等を装着しているときに、腸骨の欠損箇所にベルトが掛かると、患者に違和感を与えてしまう。このような不具合は、患者の腸骨の腫瘍を切除した場合にも生じる。
そこで、患者の腸骨の欠損箇所に、補綴部材を取り付けることが考えられる(例えば、特許文献1参照)。この補綴部材は、本体部と、本体部の両端に形成された係合部と、を有している。本体部は、湾曲した棒状の部分である。2つの係合部は、本体部から突出している。2つの各係合部は、患者の腸骨に形成された切り欠きに嵌められ、この切り欠きに固定される。
また、特許文献1に記載されている補綴部材以外にも、種々の補綴部材が知られている(例えば、特許文献2,3参照)。
特開平10−14956号公報([請求項1]) 特開2000−237296号公報([請求項1]) 特開平6−7388号公報([請求項1])
特許文献1に記載の構成では、係合部の表面は、平滑である。このため、補綴部材を腸骨に取り付けた初期の段階において、係合部は、腸骨に対して滑り易く、係合部と、腸骨との結合力は、弱い。その結果、腸骨が補綴部材との癒合によって補綴部材と結合されるまでの間に、腸骨と補綴部材との間に荷重が作用した場合、補綴部材が、腸骨に対して動くおそれがある。
特許文献2に記載の構成では、補綴部材の表面に、小さな突起が複数設けられている。しかしながら、特許文献2に記載の構成では、補綴部材は、セラミック製であり、応力集中に対する耐性が、比較的低い。このため、補綴部材の突起の形状は、先鋭な形状にできず、扁平な形状しか想定されていない。このため、補綴部材を患者の骨に取り付けた場合に、この突起は、骨との引っかかりの度合いが小さい。このため、補綴部材を患者の骨に取り付けた初期において、突起と骨との結合力は、弱い。
特許文献3に記載の構成では、補綴部材は、厚み150μm以下の薄板を積層した多孔質体である。このような構成では、各薄板の厚みが極めて小さいため、これらの薄板では、補綴部材の表面に突起部分を形成することが難しい。即ち、特許文献3に記載の構成においては、補綴部材の表面に突起を形成する構成は、意図されていない。
本発明は、上記実情に鑑みることにより、生体用補綴部材において、患者の骨に取り付けられた初期の段階から、当該患者の骨との結合力を、より高くでき、且つ、患者の骨との結合力が高い状態を、長期に亘って維持できるようにすることを、目的とする。
上記目的を達成するための第1発明に係る生体用補綴部材は、患者の骨の欠損部を補うための生体用補綴部材であって、本体部と、前記本体部と一体に設けられ、前記骨に接触した状態で前記骨に取り付けられることが可能な取付部と、を備え、前記取付部は、前記取付部の外側に向かって先細りに延びる複数の突出部を含み、前記取付部の表面の少なくとも一部は、多孔質体によって形成されていることを特徴とする。
この構成によると、取付部が患者の骨に取り付けられることにより、複数の突出部は、骨に引っかかる。各突出部は、先細り形状に形成されているので、骨に確実に食い込むことができる。これにより、取付部は、骨との結合力を大きくできる。したがって、生体用補綴部材は、患者の骨に取り付けられた初期の時点から、当該骨との結合力を、十分に高くできる。また、取付部の表面の少なくとも一部は、気孔を有している。したがって、患者の骨の成長に伴い、この気孔に、骨組織が進入し、取付部の表面と骨との癒合が促進される。このように、骨組織と取付部との癒合により、取付部は、患者の骨との結合力が高い状態を、長期に亘って維持できる。
従って、本発明によると、患者の骨に取り付けられた初期の段階から、当該患者の骨との結合力を、より高くでき、且つ、患者の骨との結合力が高い状態を、長期に亘って維持できる、生体用補綴部材を提供することができる。
第2発明に係る生体用補綴部材は、第1発明の生体用補綴部材において、前記生体用補綴部材は、生体親和性を有する金属粉末が順次積層されて一旦溶融されることで一体化された状態で形成されていることを特徴とする。
この構成によると、本体部及び取付部は、金属粉末積層造形法によって、一体成形される。このため、生体用補綴部材の形成時に、金属に対して複雑な切削加工等を施して多孔質体(ポーラス体)を形成する必要が無い。例えば、医療用器具の材料として多く流通しているチタン合金等の難切削材を、生体用補綴部材の材料として用いる場合であっても、生体用補綴部材を形成する際に、複雑な形状の切削加工が不要である。このため、容易に、生体用補綴部材を形成できる。
第3発明に係る生体用補綴部材は、第1発明又は第2発明の生体用補綴部材において、前記本体部は、湾曲状に形成された湾曲部を含んでいることを特徴とする。
この構成によると、湾曲状に欠けた骨に対して、この湾曲形状に沿った形状の生体用補綴部材を、適用することができる。これにより、患者の骨の形状を、骨の一部が欠ける前の状態に、より近づけることができる。よって、患者にとって、より違和感の少ない、状態を実現できる。例えば、湾曲した形状を有する腸骨稜における欠損部を補う用途に、この構成が適している。即ち、この構成によると、腸骨サポートとして、好適な構成を実現することもできる。
本発明によると、患者の骨に取り付けられた初期の段階から、当該患者の骨との結合力を、より高くでき、且つ、患者の骨との結合力が高い状態を、長期に亘って維持できる、生体用補綴部材を提供できる。
本発明の一実施形態に係る生体用補綴部材が取り付けられる腸骨を説明するための図である。 腸骨稜の一部が切除された状態を示す斜視図である。 欠損部が生体用補綴部材によって補われた状態を示す斜視図である。 補綴部材の斜視図である。 補綴部材の長手方向に沿って補綴部材を切断した断面図である。 (a)は、図5のA−A線に沿う断面図であり、(b)は、図5のB−B線に沿う断面図であり、(c)は、図5のC−C線に沿う断面図であり、(d)は、図5のD−D線に沿う断面図である。 取付部の表面の一部を拡大した斜視図である。 (a)は、補綴部材を製造するための製造システムの模式図であり、(b)は、金属粉末へのレーザー光線の照射量の設定値を示す模式図である。 補綴部材の製造工程について説明するためのフローチャートである。 補綴部材の製造工程を示す模式図である。 (a)は、変形例における突出部の斜視図であり、(b)は、別の変形例における突出部の斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、患者の骨の欠損部を補う生体用補綴部材として、広く適用することができる。
[腸骨の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る生体用補綴部材が取り付けられる腸骨を説明するための図である。図1では、一部が切除される前の骨盤を示している。本実施形態では、患者の骨として、腸骨100に生体用補綴部材を適用する構成を例に説明する。例えば、椎体亜全摘出術、椎体固定術、腫瘍摘出術の際、骨盤のうち腸骨100の腸骨稜101の一部が、術者によって切除されることがある。これにより、図2に示すように、腸骨稜101には、欠損部102が形成される。
図2は、腸骨稜101の一部が切除された状態を示す斜視図である。図3は、欠損部102が生体用補綴部材1によって補われた状態を示す斜視図である。図2及び図3に示すように、腸骨稜101のうち、欠損部102に存在していた部分は、例えば、自家骨として、患者の他の部分に用いられる。欠損部102は、腸骨稜101の稜線側に向けて開放されている。
欠損部102は、例えば、第1窪み部111と、第2窪み部112と、第3窪み部113と、を有している。
第1窪み部111は、生体用補綴部材1(以下、補綴部材1ともいう。)の後述する取付部3が取り付けられる部分として設けられている。第1窪み部111は、2箇所設けられており、これら第1窪み部111(111a,111b)は、腸骨稜101の稜線に沿って離隔して配置されている。これら第1窪み部111(111a,111b)は、取付部3(3a,3b)の形状に相当する形状に形成されている。本実施形態では、各第1窪み部111は、箱形形状の空間を形成している。2つの第1窪み部111の間に、第2窪み部112が配置されている。
第2窪み部112は、補綴部材1の後述する本体部2の先端部に隣接する部分として設けられている。第2窪み部112は、2箇所設けられており、これら第2窪み部112(112a,112b)は、腸骨稜101の稜線に沿って離隔して配置されている。各第2窪み部112は、対応する第1窪み部111に連続する縦壁面と、この縦壁面と直交するように延びる底面と、を有している。2つの第2窪み部112a,112bの間に、第3窪み部113が配置されている。
第3窪み部113は、第2窪み部112から更に窪まされた部分として設けられている。第3窪み部113は、2つの第2窪み部112a,112bの底面同士を接続するように形成されている。本実施形態では、第3窪み部113は、補綴部材1とは接触しないように形成されている。上記の構成を有する欠損部102は、補綴部材1によって補われている。
[補綴部材の構成]
図4は、補綴部材1の斜視図である。図5は、補綴部材1の長手方向X1に沿って補綴部材1を切断した断面図である。図6(a)は、図5のA−A線に沿う断面図である。図6(b)は、図5のB−B線に沿う断面図である。図6(c)は、図5のC−C線に沿う断面図である。図6(d)は、図5のD−D線に沿う断面図である。
図3、図4、図5、図6(a)、図6(b)、図6(c)、及び図6(d)に示すように、補綴部材1は、腸骨100の欠損部102を補うために設けられており、腸骨稜101を補強している。これにより、腸骨稜101の変形、醜形、腸骨前方部の骨折、腸骨の周囲の神経の損傷等を抑制することができる。
補綴部材1は、全体として、湾曲状(弓形)に形成された、細長い部材である。本実施形態では、当該補綴部材1の長手方向X1と直交する断面における補綴部材1の形状が、多角形形状(本実施形態では、四角形形状)である。本実施形態では、補綴部材1は、当該補綴部材1の一部が欠損部102と接触するように、配置されている。補綴部材1は、後述するように、生体親和性を有する金属粉末が順次積層されて一旦溶融されることで、一体化された状態で形成されている。即ち、補綴部材1は、選択的レーザー溶融法(Selective laser melting)などの金属粉末積層造形法によって、一体成形されている。
補綴部材1の材料としては、生体埋植用に医療機器としての認可承認を得たチタン、チタン合金、コバルトクロム合金、及びステンレス鋼等の金属材料を例示することができる。補綴部材1の材料は、上記例示した金属材料のうちの1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよいし、上記例示した以外の、生体親和性を有する1種類又は複数種類の金属材料であってもよい。
補綴部材1は、本体部2と、取付部3と、を備えている。
本体部2は、補綴部材1の骨格部分として設けられている。本体部2は、2つの第1窪み部111a,111b間を接続する梁部でもある。本体部2は、補綴部材1の大部分を占めている。本実施形態では、本体部2の全体が、湾曲部である。より具体的には、本体部2は、腸骨稜101の欠損部102に沿って、湾曲状に延びている。本体部2は、軽量且つねじり剛性に優れた形状に形成されている。尚、本体部2の一部が、直線状であってもよい。
本体部2は、緻密部21と、多孔質部22と、を有している。
緻密部21は、本体部2の外殻部として設けられており、補綴部材1の長手方向X1と直交する断面において、本体部2の外周部を形成している。また、緻密部21のうち、長手方向X1の両端部以外の部分は、長手方向X1と直交する断面において、矩形の枠状に形成されている。緻密部21のうち、長手方向X1の両端部は、緻密部21の内部の空間を塞いでいる。即ち、長手方向X1における本体部2の両端部は、緻密部21によって形成されており、多孔質部22が、補綴部材1の外部に露呈しないように構成されている。緻密部21によって、本体部2の表面(外表面)23が形成されている。長手方向X1における緻密部21の両端部は、欠損部102の各第2窪み部112に隣接している。
緻密部21は、緻密体によって構成されている。本実施形態において、緻密体とは、内部に実質的に気孔が設けられていない部分をいい、例えば、気孔率が数%未満(ゼロ%を含む)である部分をいう。上記のように、緻密部21には、緻密体よりも疎な構造体であるポーラス体は、設けられていない。緻密部21に取り囲まれるようにして、多孔質部22が配置されている。
多孔質部22は、本体部2の内部構造部として設けられている。また、多孔質部22は、緻密部21の内部に略隙間無く充填されている。本実施形態では、多孔質部22は、長手方向X1に細長い直方体状に形成されている。
多孔質部22は、緻密部21の緻密体よりも疎な構造体であるポーラス体として構成されている。多孔質部22のポーラス体は、金属粉末積層造形法によって、補綴部材1の材料である金属粉末についての溶融量を、所定量以下にすることで形成されており、多数の気孔を有している。本実施形態では、気孔率は、単位体積Aにおける気孔(空間)の体積Bを、単位体積Aで除した値に100を乗じた値として定義される。即ち、気孔率=(B/A)×100として表すことができる。本実施形態では、多孔質部22の気孔率は、多孔質部22の各部において、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。上記の構成を有する本体部2から、取付部3が延びている。
取付部3は、腸骨稜101に接触した状態で腸骨稜101に取り付けられる部分として設けられている。取付部3(3a,3b)は、長手方向X1における本体部2の両端部に、設けられている。各取付部3(3a,3b)は、本体部2の緻密部21に連続している。各取付部3(3a,3b)が対応する第1窪み部111(111a,111b)に固定されることにより、補綴部材1が、腸骨稜101に固定される。
尚、取付部3a,3bの構成は、互いに同様である。よって、以下では、一方の取付部3aの構成を主に説明し、他方の取付部3bの詳細な説明は、省略する。
取付部3(3a)は、欠損部102の第1窪み部111(111a)に嵌め込まれることにより、この第1窪み部111と結合するように構成されている。尚、第1窪み部111は、取付部3の全部を収容する必要はなく、取付部3の少なくとも一部を収容できればよい。
取付部3は、本実施形態では、略直方体の小片である。尚、取付部3は、本体部2から突出する形状であれば、形状は限定されない。例えば、取付部3は、本体部2の端部から先細り状に延びていてもよいし、当該端部から先太り状に延びていてもよいし、球状に形成されていてもよい。
取付部3は、緻密部31と、多孔質部32と、を有している。
緻密部31は、取付部3の骨格部分として設けられている。緻密部31が設けられていることにより、取付部3の強度は、十分に確保されている。本実施形態では、緻密部31の形状は、略直方体である。本実施形態では、緻密部31の一辺の長さL31は、緻密部21の厚みL21と略同じに設定されている。緻密部21の厚みL21は、緻密部21の外側面と内側面との間の最短距離をいう。
緻密部31は、緻密部21と同様の緻密体によって形成されており、緻密部21と連続している。緻密部31のうち、少なくとも第1窪み部111と向かい合う部分には、多孔質部32が設けられている。
多孔質部32は、腸骨100の欠損部102に固定されることにより、腸骨100に対する変位が規制される。多孔質部32は、多孔質部22のポーラス体と同様のポーラス体である。多孔質部32の気孔率は、多孔質部22の気孔率と同じでもよいし、異なっていてもよい。
多孔質部32は、多孔質部本体33と、複数の突出部34(図7参照)と、を有している。
多孔質部本体33と、緻密部31とによって、取付部本体が形成されている。突出部34は、この取付部本体から突出している。多孔質部本体33は、緻密部31を取り囲むように配置されている。具体的には、緻密部31の一対の側面31a,31b、緻密部31の先端面31c、及び緻密部31の底面31dに、多孔質部本体33が形成されている。多孔質部本体33は、これらの側面31a,31b、先端面31c、及び底面31dのそれぞれにおいて、全面に亘って形成されている。本実施形態では、多孔質部本体33の厚みL33は、緻密部31の厚みL31よりも小さく設定されている(L33<L31)。この厚みL33は、腸骨100の成長に伴う、多孔質部本体33の気孔への骨の進入量を十分に確保できるように、設定されている。尚、多孔質部本体33に形成されている多数の気孔は、互いに独立して配置されてもよいし、互いに連続していてもよい。
上記の構成により、取付部3の表面(外表面)35の少なくとも一部は、多孔質体(多孔質部32)によって形成されている。本実施形態では、取付部3の表面35は、一対の側面35a,35bと、先端面35cと、底面35dと、天面35eと、を有している。
一対の側面35a,35bは、第1窪み部111の一対の側面111c、111d間に配置されている。先端面35cは、第1窪み部111の一側面111eと向かい合っている。底面35dは、第1窪み部111の底面111fと向かい合っている。天面35eは、本体部2の表面23の天面23aと連続している。本実施形態では、一対の側面35a,35b、先端面35c、及び底面35dは、多孔質体によって形成されており、これらの面における各気孔の形状は、略一定であり、また、これらの面において、気孔は、規則的に配列されている。
図7は、取付部3の表面35の一部を拡大した斜視図である。図3、図6(a)〜図6(d)及び図7に示すように、突出部34は、補綴部材1と腸骨100との結合力を、より高くするために設けられている。突出部34は、特に、補綴部材1が欠損部102に取り付けられた初期において、補綴部材1と腸骨100との結合力を、より高くするために設けられている。突出部34は、欠損部102の第1窪み部111と向かい合うように配置されている。尚、突出部34は、微小であるため、図7以外の図面では、図示を省略されている。
本実施形態では、突出部34は、取付部3の表面35の一対の側面35a,35b、及び先端面35cのそれぞれにおいて、複数設けられている。図7では、一方の側面35aの突出部34は、図示されていないけれども、他方の側面35bの突出部34と同様の構成を有している。尚、突出部34は、取付部3のうち、第1窪み部111と向かい合う面に形成されていればよく、当該突出部34は、底面35d等に設けられていてもよい。
本実施形態では、各突出部34は、多孔質部本体33と一体に形成されており、この多孔質部本体33と連続している。各突出部34は、取付部3の表面35から取付部3の外側に向かって先細りに延びている。より具体的には、側面35aの突出部34は、側面35aに対して略垂直に延びている。また、側面35bの突出部34は、側面35bに対して略垂直に延びている。また、先端面35cの突出部34は、先端面35cに対して略垂直に延びている。
また、各突出部34は、多孔質部本体33から突出する先端側が、尖った形状(先鋭形状)に形成されている。本実施形態では、各突出部34は、三角錐状に形成されており、フィン状に尖った稜線部分を有している。各突出部34は、突出部34の高さ方向と平行に切断した切断面の形状が、楔状である。取付部3が第1窪み部111に嵌め込まれるようにして設置される際には、上記のフィン状に尖った稜線部分が、第1窪み部111(腸骨100)に食い込む。本実施形態では、各突出部34の表面は、稜線部分を除く全体に亘って、平坦な面として形成されている。
各突出部34における高さL34は、当該突出部34の根元から先端までの長さをいう。この高さL34は、300μm〜1000μmであることが好ましい。高さL34の下限を上記のように設定することで、突出部34を、確実に第1窪み部111に食い込ませることができる。また、高さL34の上限を上記のように設定することで、突出部34が過度に細長い形状となることを抑制できる。これにより、第1窪み部111に取付部3を嵌め込む際に、突出部34が、腸骨100の意図しない箇所に引っかかることを、抑制できる。
各突出部34における最大幅W34は、300μm〜1000μmであることが好ましい。本実施形態では、最大幅W34とは、突出部34を当該突出部34の先端側から平面視した場合において、突出部34内の最も離隔した2点間の距離をいう。突出部34が円錐状である場合には、最大幅W34は、円錐の底面の直径となる。最大幅W34の下限を上記のように設定することで、突出部34を十分に太い形状にできる。その結果、突出部34を、確実に第1窪み部111に食い込ませることができる。また、最大幅W34の上限を上記のように設定することで、突出部34を、腸骨100に食い込ませるのに適した尖り具合にできる。その結果、突出部34を、確実に第1窪み部111に食い込ませることができる。
突出部34は、当該突出部34が形成されている面(一対の側面35a,35b及び先端面35c)において、所定の密度D34で配置されている。この密度D34は、4〜15個/cmであることが、好ましい。
密度D34の下限を上記のように設定することで、突出部34の数を十分に多くできる。よって、取付部3を第1窪み部111に取り付けた初期においても、取付部3を、第1窪み部111に、より確実に固定できる。また、密度D34の上限を上記のように設定することで、各突出部34に、十分な荷重を作用することができる。その結果、取付部3を第1窪み部111に取り付ける際に、突出部34が第1窪み部111の内部に食い込むことができない事態を、抑制できる。
[補綴部材の製造システム]
図8(a)は、補綴部材1を製造するための製造システム40の模式図である。図8(a)に示すように、製造システム40は、CAD(Computer Aided Design)装置41と、データ変換装置42と、製造装置43と、を備えて構成されている。
CAD装置41は、例えば、画面上で画像を3次元的に表示することが可能な3D−CAD装置である。本実施形態では、CAD装置41は、コンピュータと、当該コンピュータにインストールされたソフトウェアと、を含んでいる。補綴部材1の設計者は、CAD装置41を操作することにより、補綴部材1を作成するためのCADデータ(画像データ)を作成する。CAD装置41で作成されたCADデータは、データ変換装置42へ出力される。
データ変換装置42は、CADデータを、製造装置43を動作させるためのデータに変換する装置として設けられている。本実施形態では、データ変換装置42は、コンピュータと、当該コンピュータにインストールされたソフトウェアとを含んでいる。データ変換装置42は、例えば、CADデータによって特定される、補綴部材1の3次元画像を、所定の方向に沿って所定の間隔毎にスライスして得られる複数のレイヤー画像(2次元画像)に分割し、当該複数のレイヤー画像のデータを保持する。上記の所定の方向は、例えば、図5に示すように、補綴部材1の厚み方向X2として設定される。また、上記所定の間隔は、製造装置43において、積層される金属粉末一層分の厚みに相当し、例えば、30μm程度である。上記複数のレイヤー画像のデータは、製造装置43へ与えられる。
製造装置43は、金属粉末を一旦溶融させた後に凝固させて固体として一体化させるための装置である。本実施形態では、製造装置43は、選択的レーザー溶融法(Selective Laser Melting)としての金属粉末積層造形法によって、補綴部材1を形成する。本実施形態では、製造装置43は、レーザー光源44と、制御部45と、可動台46と、粉末供給部47と、を備えて構成されている。
レーザー光源44は、金属粉末に熱エネルギーを与えるために設けられている。本実施形態では、レーザー光源44は、Yb(イッテルビウム)ファイバーレーザー光源である。尚、レーザー光源44からのレーザー光線は、レーザー光源44自体が図示しない駆動装置を用いて変位させられることにより、金属粉末の所望の位置に照射されてもよいし、レーザー光源44は固定された状態で、ガルバノメーターミラーを用いて所望の位置に照射されてもよい。レーザー光源44は、制御部45によって制御される。
制御部45は、CPU、RAM及びROM等を含んでおり、データ変換装置42からデータを与えられる。制御部45は、レーザー光源44、可動台46及び粉末供給部47を制御する。より具体的には、制御部45は、データ変換装置42から与えられた画像データを基に、金属粉末の所定箇所へのレーザー光線の照射量を決定し、決定した照射量に基づいて、金属粉末の所定箇所へレーザー光線を照射させる。尚、レーザー光線の照射量は、データ変換装置42で設定されてもよい。
図8(b)は、金属粉末の所定箇所へのレーザー光線の照射量を設定する制御部45による処理を説明するための図であって、金属粉末へのレーザー光線の照射量の設定値を示す模式図である。
図8(b)を参照して、各画素は、例えば、レーザー光線で一度に照射することのできる面積に相当する大きさに設定されている。前述したように、補綴部材1は、金属粉末の溶融量を場所によって異ならせることで形成される。このため、レイヤー画像のデータにおいては、画素毎に、レーザー光線の照射量が設定されている。
図5及び図8(b)を参照して、本実施形態では、緻密部21,31は、緻密体によって形成されており、実質的に気孔が形成されていない。したがって、緻密部21,31を形成するためには、金属粉末を、気孔が形成されない程度に十分に溶融する必要がある。このため、緻密部21,31に相当する領域51へのレーザー光線の照射量(単位時間当たりの照射エネルギー)が、レイヤー画像中で最も大きい値に設定されている。尚、図8(b)では、レーザー光線が照射される箇所の画素に斜線のハッチングを付しており、斜線のハッチングの間隔が短いほど、レーザー光線の照射量の設定値が大きいことを示している。
また、多孔質部22,32に相当する領域52へのレーザー光線の照射量が、レイヤー画像中で2番目に大きい値に設定されている。また、補綴部材1が形成されない部分に相当する領域53へのレーザー光線の照射量は、ゼロに設定されている。即ち、領域53へは、レーザー光線は照射されない。
上記においては、多孔質部22,32の気孔率が同じである場合の形態を例示したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、多孔質部22,32の気孔率が互いに異なる形態、多孔質部22及び多孔質部32において複数の気孔率が設定されている形態のそれぞれにおいても、製造システム40を用いて多孔質部22,32を形成することができる。この場合、製造システム40は、形成する部分の気孔率に応じて、レーザー光線の照射量を設定する。
図8(a)を参照して、レーザー光線が照射される金属粉末は、可動台46に載置される。可動台46は、金属粉末を保持するために設けられている。可動台46は、例えば、略水平な上面を有しており、当該上面に金属粉末が載置される。また、可動台46は、図示しない駆動機構を有しており、上面と直交する上下方向に沿って変位することが可能である。可動台46には、粉末供給部47から金属粉末が供給される。
粉末供給部47は、金属粉末を収容する収容部と、金属粉末を可動台46上に供給する供給部と、を有している。粉末供給部47は、前述した所定の間隔に相当する厚み(本実施形態において、30μm)の金属粉末層を、可動台46上に形成する。
[補綴部材の製造工程]
次に、補綴部材1を製造する工程について、図9等を参照しながら説明する。図9は、補綴部材1の製造工程について説明するためのフローチャートである。補綴部材1を製造する際には、まず、設計者が、CAD装置41を用いて、補綴部材1のCADデータを作成する(ステップS1)。
補綴部材1のCADデータは、例えば、設計者がCAD装置41を操作することに応じて、データ変換装置42へ出力される(ステップS2)。データ変換装置42は、CADデータによって特定される補綴部材1の画像を、所定の厚み毎に複数のレイヤーに分割し、各レイヤーの画像データを、製造装置43の制御部45へ出力する(ステップS3)。制御部45は、各レイヤーの画像データを読み込み、各レイヤーの各画素に、レーザー光線の照射量を設定する(ステップS4)。
次に、制御部45は、粉末供給部47を駆動させる。これにより、粉末供給部47は、図10(a)に示すように、可動台46の上面に、前述した所定厚み(本実施形態において、30μm)の金属粉末層61を形成する(ステップS5)。即ち、金属粉末が準備される。次いで、制御部45は、レーザー光源44を駆動させる。これにより、レーザー光源44は、制御部45で設定されたレーザー光線の照射量に従って、金属粉末層61の所定箇所に、レーザー光線を所定量照射する(ステップS6)。これにより、図10(b)に示すように、金属粉末層61の一部が一旦溶融され、その溶融した一部が凝固して一体化される。
次に、制御部45は、全てのレイヤーに対応して上記のように金属粉末を一旦溶融させて一体化する作業が行われたか否かを判定する(ステップS7)。この作業が完了していない場合(ステップS7でNo)、制御部45は、可動台46を駆動させ、金属粉末層61の厚みと同じ値だけ、可動台46を下方に変位させる(ステップS8)。
制御部45は、再び、粉末供給部47を駆動させる。これにより、粉末供給部47は、再び金属粉末層を形成する(ステップS5)。次いで、制御部45は、レーザー光源44を駆動させる。これにより、レーザー光源44は、制御部45で設定されたレーザー光線の照射量に従って、金属粉末層の所定箇所に、レーザー光線を所定量照射する(ステップS6)。これにより、金属粉末層の一部が一旦溶融され、その溶融した一部が凝固して一体化される。このように、金属粉末の溶融量を場所によって異ならせることで、補綴部材1を形成する。
製造装置43では、金属粉末を一旦溶融させて一体化する作業が全てのレイヤーに対応して行われるまで、ステップS5〜ステップS8が繰り返される。これにより、図10(c)に示すように、金属粉末層n、n+1、n+2、…、(nは正の整数)が積層され、補綴部材1が形成されていくこととなる。そして、補綴部材1のうち、図8(b)のレイヤー画像における領域51に対応する部分が、緻密体(緻密部21又は緻密部31)となる。また、補綴部材1のうち、図8(b)のレイヤー画像における領域52に対応する部分が、ポーラス体(多孔質部22又は多孔質部32)となる。
金属粉末を一旦溶融させて一体化する作業が全てのレイヤーについて行われたと制御部45で判定された場合(ステップS7でYes)、その作業が完了し、後処理が行われる(ステップS9)。本実施形態では、後処理は、可動台46上に形成された補綴部材1を可動台46から取り外し、補綴部材1に付着している不要な金属粉末を補綴部材1から除去する処理を含む。この除去処理は、例えば、2−プロパノール及び純水等を用いて補綴部材1を超音波洗浄する処理を含む。また、本実施形態では、後処理工程は、上記の除去処理の後に行われる機械加工工程を含む。この機械加工工程では、補綴部材1の緻密部21,31のうち外部に露出している部分が、研削又は研磨される。これらの後処理工程を経ることにより、補綴部材1が完成する。
以上説明したように、補綴部材1によると、取付部3が患者の腸骨100に取り付けられることにより、複数の突出部34は、腸骨100の第1窪み部111に引っかかる。各突出部34は、先細り形状に形成されているので、腸骨100に確実に食い込むことができる。これにより、取付部3は、腸骨100との結合力を大きくできる。したがって、補綴部材1は、腸骨100に取り付けられた初期の時点から、当該腸骨100との結合力を、十分に高くできる。また、取付部3の表面35において、一対の側面35a,35b,先端面35c及び底面35dは、気孔を有している。したがって、腸骨100の成長に伴い、この気孔に、腸骨100の成長した組織が進入し、腸骨100と、取付部3の表面35との癒合が促進される。このように、腸骨100と取付部3との癒合により、取付部3は、腸骨100との結合力が高い状態を、長期に亘って維持できる。
従って、補綴部材1によると、腸骨100に取り付けられた初期の段階から、当該腸骨100との結合力を、より高くでき、且つ、腸骨100との結合力が高い状態を、長期に亘って維持できる。
また、本実施形態では、補綴部材1は、生体親和性を有する金属粉末が順次積層されて一旦溶融されることで一体化された状態で形成されている。即ち、本体部2及び取付部3は、金属粉末積層造形法によって、一体成形される。このため、補綴部材1の形成時に、金属に対して複雑な切削加工等を施して多孔質部22,32(ポーラス体)を形成する必要が無い。例えば、医療用器具の材料として多く流通しているチタン合金等の難切削材を、補綴部材1の材料として用いる場合であっても、補綴部材1を形成する際に、複雑な形状の切削加工が不要である。このため、容易に、補綴部材1を形成できる。
また、補綴部材1によると、本体部2は、湾曲状に形成されている。これにより、腸骨100のうち、湾曲状に欠けた欠損部102に対して、この湾曲形状に沿った形状の補綴部材1を、適用することができる。これにより、腸骨100の形状を、欠損部102が生じる前の状態に、より近づけることができる。よって、患者にとって、より違和感の少ない状態を実現できる。即ち、補綴部材1は、腸骨サポートとして好適である。
特許文献1に記載の腸骨稜補綴部材は、腸骨と接触する係合部にアパタイトがコーティングされた構成を有している。このような構成によると、優れた骨誘導能を有するアパタイトが、一定期間経過後に新生骨に置換されるので、係合部の周囲への骨形成を促進できる。しかしながら、アパタイトコーティングが骨に吸収されてしまった場合には、係合部と腸骨との結合力が低下してしまう。これに対して、補綴部材1によると、前述したように、取付部3の表面35の気孔に、腸骨100の成長した組織が進入する。その結果、腸骨100と取付部3とが癒合し、これにより、両者の結合力が高められている。このため、取付部3と腸骨100との結合力が低下することがなく、当該結合力を、長期に亘って維持できる。
特許文献2に記載の生体補綴部材は、セラミックス材で形成されているので、靱性が低い。このため、特許文献2に記載の生体補綴部材の小突起の形状は、骨に接触したときの荷重に起因する応力集中で破壊されないよう、扁平な形状にしかできない。その結果、生体補綴部材が、骨に取り付けられた初期には、骨に対する小突起の引っ掛かりの度合いが小さい。このため、小突起と骨との結合力を、十分に確保し難い。これに対し、補綴部材1によると、靱性に優れる材料としての金属材料を用いて形成されている。このため、各突出部34の形状が、先細り状(エッジ状)であっても、当該突出部は、腸骨100に接触したときの荷重に起因して破壊されることを、確実に抑制できる。よって、補綴部材1の突出部34を、先細り状に形成できるので、腸骨100への突出部34の食い込み量を、大きくできる。その結果、補綴部材1は、腸骨100に取り付けられた初期から、腸骨100との結合力を、十分に確保できる。
また、特許文献2に記載の生体補綴部材は、前述したように、積層されたセラミックス層を拡散接合することで形成されている。このため、拡散接合が不十分の場合には、隣り合うセラミックス層間で剥がれが生じるおそれがある。これに対して、補綴部材1は、レーザーを用いた、金属粉末積層造形法によって形成されている。即ち、金属粉末を一旦溶融することで、補綴部材1の材料同士が溶融結合されている。このため、補綴部材1の各部同士の結合力を十分に高くできるので、補綴部材1の一部が剥落することを、確実に抑制できる。
また、特許文献2に記載の生体補綴部材において、拡散接合工程の時間を短縮するためには、拡散接合工程において、セラミックス層に荷重を加える必要がある。この際、セラミックス層の積層体が平板状であれば、この積層体に重しを載せることで、積層体に均等に荷重をかけることができる。しかしながら、腸骨用の生体補綴部材は、湾曲形状に形成された、3次元形状を有している。このため、積層体に均一に荷重を作用させることが難しく、セラミックス層同士の結合力にばらつきが生じるおそれがある。これに対して、補綴部材1は、レーザーを用いた、金属粉末積層造形法によって形成されている。このため、金属粉末を、迅速且つ、より均等に溶融させることができる。このため、補綴部材1の各部における、材料同士の結合強度をより均等にできる上に、補綴部材1を、より迅速に形成できる。
また、特許文献3に記載の人工補綴部材は、厚み150μm以下の薄板を積層して形成された、多孔質体である。このように、極めて薄い薄板を積層する構成であれば、突起を有する薄板を製作することが困難である。よって、特許文献3に記載の人工補綴部材については、突起の採用が困難である。したがって、人工補綴部材を骨に取り付けた初期段階において、人工補綴部材は、骨に引っ掛かることができず、人工補綴部材を骨に固定することが難しい。これに対し、補綴部材1は、レーザーを用いた、金属粉末積層造形法によって形成されている。このため、取付部3に突出部34(突起)を設けることができる。したがって、補綴部材1を腸骨100に取り付けた初期段階において、補綴部材1の突出部34は、腸骨100に引っ掛かることができる。よって、補綴部材1を、腸骨100に確実に固定できる。
また、特許文献3に記載の人工補綴部材は、金属の薄板同士を、拡散接合によって接合している。このため、拡散接合工程の時間を短縮するためには、拡散接合工程において、薄板の温度を、金属の融点近くまで上昇させる必要がある。ここで、仮に、多孔質体からなる人工補綴部材と、他の母材とを接合する場合には、人工補綴部材を形成する工程と、母材を形成する工程とは、別々に行う必要がある。何故ならば、拡散接合による人工補綴部材の形成工程では、拡散接合の時間の短縮化のために、薄板の温度を、金属の融点近くまで上昇させる必要がある。このため、人工補綴部材に接するように母材を置いておくと、薄板を加熱している間、母材金属の強度低下が生じてしまう。このように、特許文献3に記載の人工補綴部材は、母材との一体成形が難しい。これに対し、補綴部材1は、金属粉末積層造形法によって形成されている。金属粉末積層造形法であれば、他の母材等と一括して、補綴部材1を形成できるので、補綴部材1と他の部材とを、迅速且つ一括して形成できる。
また、特許文献3に記載の人工補綴部材は、薄板を積層する構成であるので、特許文献2に記載の生体用補綴部材と同様、拡散接合の不良による、剥がれの発生のおそれがある。また、特許文献3に記載の人工補綴部材は、平面状の薄板同士を拡散接合する構成であるので、特許文献2に記載の生体用補綴部材と同様、3次元形状に形成された場合における、薄板同士の結合力のばらつきの問題が生じる。これに対して、補綴部材1であれば、特許文献2との対比において、前述した理由により、これらの問題を解消することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。例えば、次のように変更して実施してもよい。
[変形例]
(1)前述の実施形態では、各突出部34が、三角錐状である形態を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、突出部34に代えて、図11(a)に示すように、四角錐形状の突出部34Aを、取付部3に設けてもよい。尚、突出部34Aは、四角錐形状であるけれども、五角錐以上の多角錐形状であってもよい。また、突出部34に代えて、図11(b)に示すように、円錐形状の突出部34Bを、取付部3に設けてもよい。この場合、突出部34Bは、先鋭形状である。また、突出部34Bの母線は、直線状に延びている。突出部34Bは、このような形状であることにより、腸骨100へ進入し易い形状となっている。
(2)前述の実施形態では、金属粉末積層造形法によって生体用補綴部材が一体成形される形態を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、生体親和性を有する金属粉末が焼結されることによって、生体用補綴部材が一体成形されてもよい。
(3)前述の実施形態では、各多孔質部は、気孔率が一定である形態を説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、何れかの多孔質部において、補綴部材の表面からの深さが大きくなるに従い、気孔率が、段階的又は連続的に小さくなる構成であってもよい。この場合、多孔質部の表面においては、患者の骨との癒合量を十分に確保できる一方、多孔質部の深部においては、十分な強度を確保できる。また、多孔質部と緻密部との境界における、金属構造の急激な変化を抑制できる。これにより、多孔質部と緻密部との境界における応力集中を、より確実に抑制できる。よって、補綴部材の損傷を、より確実に抑制できる。
(4)前述の実施形態では、本体部が、緻密部と多孔質部とを有する形態を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、本体部の全体が、緻密部、又は多孔質部によって形成されていてもよい。また、本体部における、緻密部と多孔質部の配置を入れ替えてもよい。
(5)前述の実施形態では、取付部の表面の一部が、多孔質体によって形成されている形態を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、取付部の表面の全てが、多孔質体によって形成されていてもよい。
(6)前述の実施形態では、突出部は、多孔質体で形成されている形態を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。突出部は、緻密体によって形成されていてもよい。この場合でも、取付部における緻密部本体の表面の気孔に、成長した骨組織が進入することで、腸骨と、取付部との強固な結合を実現できる。
(7)前述の実施形態では、取付部が、緻密部と多孔質部とを有する形態を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、取付部の全体が、多孔質部によって形成されていてもよい。
(8)前述の実施形態では、突出部の先端は、点状である形態を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。突出部の先端は、実質的に先鋭であればよく、若干の平面部分が形成されていてもよい。
(9)前述の実施形態では、補綴部材が湾曲状に形成されている形態を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。補綴部材の形状は、特に限定されず、例えば、補綴部材は、直線的に延びる形態であってもよい。
(10)前述の実施形態では、腸骨に適用される生体用補綴部材を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。本発明は、腸骨以外の生体骨における、生体用補綴部材として、広く適用することができる。
本発明は、患者の骨の欠損部を補うための、生体用補綴部材として、広く適用することができる。
1 生体用補綴部材
2 本体部
3 取付部
34,34A,34B 突出部
35 取付部の表面
100 腸骨(患者の骨)
102 欠損部

Claims (3)

  1. 患者の骨の欠損部を補うための生体用補綴部材であって、
    本体部と、
    前記本体部と一体に設けられ、前記骨に接触した状態で前記骨に取り付けられることが可能な取付部と、を備え、
    前記取付部は、前記取付部の外側に向かって先細りに延びる複数の突出部を含み、
    前記取付部の表面の少なくとも一部は、多孔質体によって形成されていることを特徴とする、生体用補綴部材。
  2. 請求項1に記載の生体用補綴部材であって、
    前記生体用補綴部材は、生体親和性を有する金属粉末が順次積層されて一旦溶融されることで一体化された状態で形成されていることを特徴とする、生体用補綴部材。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の生体用補綴部材であって、
    前記本体部は、湾曲状に形成された湾曲部を含んでいることを特徴とする、生体用補綴部材。
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