JP2014066830A - ガス爆発体験装置 - Google Patents

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【課題】使い方が容易で、空気より軽い可燃性ガスの爆発の体験学習を安全に行うことができ、可燃性ガス以外の消耗資材も不要なガス爆発体験装置を提供する。
【解決手段】ガス爆発体験装置100は、透光性を有するアクリル樹脂製の円筒体で形成され起立姿勢に保たれた気密状の爆発室10と、空気より軽い可燃性ガスであるアセチレンガスを爆発室10内に充填するためのガス供給経路11と、爆発室10の上部に当該爆発室10と連通して形成された倒立擂鉢状の燃焼室12と、燃焼室12内に臨む位置に配置された着火手段であるプラズマ着火装置13と、爆発室10内の気圧が設定値を超えると開く安全逃がし弁14と、を備えている。プラズマ着火装置13には、電源装置16で発生させた高圧電流を供給するための給電線16aが接続されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、可燃性ガスを取り扱う作業者に対する講習会や安全教育などにおいて受講者がガス爆発の体験学習を安全に行うことができる装置に関する。
可燃性ガスを取り扱う作業者に対する講習会や安全教育などは、従来、様々な形式で実施されているが、受講者に実際にガス爆発を体感させることを目的とした装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1記載の「ガス爆発危険体感装置」は、ガスを爆発室内に充填した状態で点火してガス爆発を起こすことにより、ガス爆発の危険性を体験させるための装置である。このガス爆発危険体験装置は、予め設定された量のガスが充填された風船を一定容積の爆発室内に収容した後、針状部材で突き刺して風船を破裂させることにより爆発室内のガス濃度を調整した上で、当該爆発室内に挿入された一対の電極に通電して放電させることによりガス爆発を起こさせるようにしたものである。
前記ガス爆発危険体感装置を構成する爆発室の主要部分である筒状本体は、透明な石英ガラス製であるため、見学者は爆発室内部で起こるガス爆発を爆発音とともに目視確認することにより、ガス爆発を体感することができる。
実用新案登録第3144175号公報
特許文献1記載の「ガス爆発危険体感装置」を使用する場合、予め設定された量のガスが充填された風船を一定容積の爆発室内に収容し、爆発室の上端開口部をトレーシングペーパーで閉塞した後、当該トレーシングペーパーを上方から突き破って爆発室内に差し込んだ針状部材で風船を突き刺して破裂させることにより爆発室内のガス濃度を調整し、針状部材を爆発室内から抜き取った後、爆発室内の一対の電極に通電して放電させガス爆発を起こさせる必要がある。
従って、ガス爆発に至るまでの準備に多大な手間と時間を要するだけでなく、風船やトレーシングペーパーなどの消耗資材が必要である。また、爆発実験後は、風船やトレーシングペーパーなどの廃棄物が発生するので、これらの処分にも手間を要する。このため、ガス爆発を繰り返し行う場合には不向きである。
さらに、特許文献1記載の「ガス爆発危険体感装置」は、空気より重い可燃性ガスの爆発を起こさせることを前提とした構造になっているため、空気より軽いアセチレンや水素などの可燃性ガスを使用して爆発を起こさせることが困難である。
本発明が解決しようとする課題は、使い方が容易で、空気より軽い可燃性ガスの爆発の体験学習を安全に行うことができ、可燃性ガス以外の消耗資材も不要なガス爆発体験装置を提供することにある。
本発明のガス爆発体験装置は、透光性を有する筒状体で形成され起立姿勢に保たれた気密状の爆発室と、空気より軽い可燃性ガスを前記爆発室内に充填するガス供給経路と、前記爆発室内の上端付近に配置された着火手段と、前記爆発室内の気圧が設定値を超えると開く安全逃がし弁と、を備えたことを特徴とする。
このような構成において、透光性を有する気密状の爆発室内に空気より軽い可燃性ガスを充填すると、可燃性ガスは空気と混じり合った状態で爆発室の上端付近に集まり、この部分に配置された着火手段を作動させると可燃性ガスが爆発するので、受講者は、爆発室内の爆発の様子を外部から目視確認するとともに爆発音を実際に聞くことができる。また、爆発室内の気圧が所定値を超えるまでは安全逃がし弁で気密状に保たれているので、可燃性ガスの充填中にガス漏れが生じることがなく、爆発時に爆発室内が設定値を超える高圧になると安全逃がし弁が開いて大気中に開放される。このため、空気より軽い可燃性ガスの爆発の体験学習を安全に行うことができ、優れた学習効果を得ることができる。
さらに、ガス供給経路を経由して空気より可燃性ガスを爆発室内へ充填するだけで爆発の準備が整うので、使い方は容易であり、ガスを爆発室へ導入するための風船やガス爆発室を閉塞するトレーシングパーパーなどを使う必要がないので、可燃性ガス以外の消耗資材も不要である。
ここで、前記ガス供給経路に逆火防止手段を設けることが望ましい。このような構成とすれば、爆発室内で爆発する可燃性ガスの燃焼反応がガス供給経路を逆流するのを防止することができるため、安全性をさらに向上させることができる。
また、前記爆発室の上部に当該爆発室と連通する燃焼室を設け、前記燃焼室内に臨む位置に前記着火手段を設けることが望ましい。このような構成とすれば、爆発室に充填された空気より軽い可燃性ガスを、爆発室の上部に位置する燃焼室に集合させた状態にした後、着火手段で可燃性ガスに着火することが可能となるため、講習者の視界を妨げることなく、確実なガス爆発を起こすことができ、体験学習効果の向上に有効である。
さらに、前記着火手段として、プラズマ着火装置を設けることが望ましく、これによって、より確実なガス爆発を発生させることができる。
一方、前記爆発室に、開閉弁を有する排気経路を設けることが望ましい。このような構成とすれば、ガス爆発を終えた後、前記開閉弁を開くことより、爆発室内のガスを前記排気経路を経由して容易に排出することが可能となるので、次のガス爆発までの準備時間の短縮化を図ることができる。
また、前記ガス供給経路に、当該ガス供給経路を通過したガス流量を計測する積算流量計を配置することが望ましい。このような構成とすれば、ガス供給経路を経由して爆発室に充填される可燃性ガスの体積を正確に把握することができるので、安定した条件で爆発を起こすことができる。
さらに、前記爆発室が、透明合成樹脂製の円筒体と、前記円筒体の両端開口部に固着されたドーナツ円板状のフランジと、で形成することが望ましい。このような構成とすれば、汎用材料である透明合成樹脂製の円筒材や平板材に切削加工などを施して所定サイズの円筒部材及びドーナツ円板状のフランジを製作し、円筒部材の両端開口部にそれぞれドーナツ円板状のフランジを接着剤などで固着することによって爆発室を形成することが可能となるため、製造コストを低減することができる。
本発明により、使い方が容易で、空気より軽い可燃性ガスの爆発の体験学習を安全に行うことができ、可燃性ガス以外の消耗資材も不要なガス爆発体験装置を提供することができる。
本発明の実施形態であるガス爆発体験装置の構成を示す図である。 図1に示すガス爆発体験装置の一部拡大図である。 図2中の矢線A方向から見た安全逃がし弁付近を示す図である。 図3中の矢線B方向から見た図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。図1,図2に示すように、本実施形態のガス爆発体験装置100は、透光性を有するアクリル樹脂製の円筒体で形成され起立姿勢に保たれた気密状の爆発室10と、空気より軽い可燃性ガスであるアセチレンガスを爆発室10内に充填するためのガス供給経路11と、爆発室10の上部に当該爆発室10と連通して形成された倒立擂鉢状の燃焼室12と、燃焼室12内に臨む位置に配置された着火手段であるプラズマ着火装置13と、爆発室10内の気圧が設定値を超えると開く安全逃がし弁14と、を備えている。
燃焼室12の下端開口部12bと爆発室10の上端開口部10aとは互いにフランジを介して接続され、燃焼室12の周壁12aにプラズマ着火装置13が取り付けられ、プラズマ着火装置13と180度離れた対向部分の周壁12aに、開閉弁15aを有する上部排気経路15が接続されている。また、プラズマ着火装置13には、電源装置16で発生させた高圧電流を供給するための給電線16aが接続されている。
爆発室10の下端開口部10bには、有底円筒形状の閉塞部材17の上端開口部17aがフランジを介して接続されている。閉塞部材17の底部17bの中央にはガス供給経路11の先端側11bが接続されている。また、閉塞部材17の周壁17cには、開閉弁18aを有する下部排気経路18が接続されている。
ガス供給経路11の基端側11aはアセチレンガスが充填された高圧ガス容器19に接続され、ガス供給経路11の途中には、当該ガス供給経路11を通過したアセチレンガスの流量を計測する積算流量計20が配置されている。また、積算流量計20から閉塞部材17に至るガス供給経路11には逆火防止手段21及び開閉弁22が配置されている。なお、図示していないが、爆発室10、燃焼室12及び安全逃がし弁14の部分を、透明な隔壁で形成された箱体内に収容した構造とすることもできる。
図2に示すように、燃焼室12の上端開口部12cには、安全逃がし弁14がフランジを介して接続されている。図3,図4に示すように、安全逃がし弁14は、予め設定されたバネ圧によって燃焼室12の上端開口部12cを押圧閉塞する弁体(図示せず)を内蔵し、大気中に向かって水平方向に開口する排気口23と、非常時に前記弁体を開くための操作レバー24とを備えている。
後述するガス爆発により爆発室10内の気圧が設置値を超えると、前記弁体が燃焼室12の上端開口部12cから浮き上がり、爆発室10内の高圧ガスが排気口23から大気中へ放出される。爆発室10内の気圧が設定値以下に下がると、バネ圧により前記弁体が自動的に元の状態に戻り、燃焼室12の上端開口部12cが押圧閉塞される。
次に、図1,図2に基づいて、ガス爆発体験装置100の使い方について説明する。ガス爆発体験装置100において、ガス供給経路11の開閉弁22を開き、高圧ガス容器19からガス供給経路11を経由して送給されるアセチレンガスを気密状の爆発室10内に充填すると、アセチレンガスは空気より軽いので、爆発室10内の空気と混じり合った状態で爆発室10上方の燃焼室12内に集まる。アセチレンガスの充填作業中、上部排気経路15の開閉弁15aは閉じられるが、下部排気経路18の開閉弁18aは爆発室10内の空気排出のため開いておくこともできる。なお、爆発室10内の気圧が所定値を超えるまでは安全逃がし弁14で気密状に保たれているので、アセチレンガスの充填中にガス漏れが生じることはない。
爆発室10内へのアセチレンガス充填量が所定体積に達したことを、積算流量計20で確認できたら、開閉弁22及び開閉弁15a,18aが全て閉止されていることを確認した後、電源装置16のスイッチ16bをON操作してプラズマ着火装置13を作動させると、燃焼室12内のアセチレンガスが発火するとともに爆発室10内でガス爆発が発生する。
このとき、ガス爆発体験装置100の周囲で見学している受講者は、爆発室10内のガス爆発の様子を外部から目視確認するとともに爆発音を実際に聞くことができる。また、ガス爆発時に爆発室10内が設定値を超える高圧になると安全逃がし弁14が開いて爆発室10内のガスが排気口23から大気中に放出される。従って、空気より軽い可燃性ガスの一種であるアセチレンガスの爆発の体験学習を安全に行うことができ、優れた学習効果を得ることができる。
また、ガス爆発体験装置100を使用してガス爆発を再現する場合、ガス供給経路11を経由してアセチレンガスを爆発室10及び燃焼室12内へ充填するだけで爆発の準備が整うので、使い方は容易である。また、ガスを爆発室10へ導入するための風船や爆発室10を閉塞するトレーシングパーパーなどを使う必要がないので、アセチレンガス以外の消耗資材も不要である。
また、ガス供給経路11に逆火防止手段21を設けたことにより、爆発室10内で爆発するアセチレンガスの燃焼反応がガス供給経路21を逆流するのを防止することができるので、高い安全性を確保することができる。
さらに、爆発室10の上部に当該爆発室10と連通する燃焼室12を設け、燃焼室12内に臨む位置にプラズマ着火装置13を設けたことにより、爆発室10に充填されるアセチレンガスを、爆発室10の上方に位置する燃焼室12に集合させた状態にした後、プラズマ着火装置13で着火することが可能となるため、講習者の視界を妨げることなく、確実なガス爆発を起こすことができ、体験学習効果の向上に有効である。また、着火手段として、プラズマ着火装置13を設けているため、より確実なガス爆発を発生させることができる。
一方、爆発室10に、開閉弁15aを有する上部排気経路15及び開閉弁18aを有する下部排気経路18を設けているので、ガス爆発を終えた後、開閉弁15a,18bを開くことより、爆発室10内のガスを上部排気経路15及び下部排気経路18を経由して容易かつ速やかに排出することが可能であり、次のガス爆発までの準備時間の短縮化を図ることができる。
また、ガス供給経路11に、当該ガス供給経路11を通過したアセチレンガスの流量を計測する積算流量計20を配置したことにより、ガス供給経路11を経由して爆発室10に充填されるアセチレンガスの体積を正確に把握することができるので、爆発室10内において常に安定した条件でガス爆発を発生させることができる。なお、爆発室10内に充填する可燃性ガスとしてはアセチレンガスが好適であるが、水素あるいはLNGなどを用いることもできる。
本実施形態においては、図2に示すように、爆発室10は、透明合成樹脂製の円筒体10cと、円筒体10の両端開口部にそれぞれ固着されたドーナツ円板状の内フランジ10d及び外フランジ10eと、で形成されている。このような構成とすれば、汎用材料である透明合成樹脂製の円筒材や平板材に切削加工などを施して円筒体10cと、ドーナツ円板状の内フランジ10d及び外フランジ10eと、を製作し、円筒体10cの両端開口部にそれぞれ内フランジ10d及び外フランジ10eを接着剤で固着することによって爆発室10を形成することができるので、製造コストを低減することができる。なお、爆発室10の製造方法については限定しないので、透明合成樹脂やガラスなどを用いて一体成形することもできる。
なお、図1〜図4に基づいて説明したガス爆発体験装置100は本発明の一例を示すものであり、本発明のガス爆発体験装置は前述したガス爆発体験装置100に限定されるものではない。
本発明のガス爆発体験装置は、空気より軽い可燃性ガスを取り扱う産業分野に従事する者に対する体験学習手段や安全教育手段として広く利用することができる。
10 爆発室
10a,12c,17a 上端開口部
10b,12b下端開口部
10c 円筒体
10d 内フランジ
10e 外フランジ
11 ガス供給経路
11a 基端側
11b 先端側
12 燃焼室
12a,17c 周壁
13 プラズマ着火装置
14 安全逃がし弁
15 上部排気経路
15a,18a,22 開閉弁
16 電源装置
16a 給電線
16b スイッチ
17 閉塞部材
18 下部排気経路
19 高圧ガス容器
20 積算流量計
21 逆火防止手段
23 排気口
24 操作レバー
100 ガス爆発体験装置

Claims (7)

  1. 透光性を有する筒状体で形成され起立姿勢に保たれた気密状の爆発室と、空気より軽い可燃性ガスを前記爆発室内に充填するガス供給経路と、前記爆発室内の上端付近に配置された着火手段と、前記爆発室内の気圧が設定値を超えると開く安全逃がし弁と、を備えたガス爆発体験装置。
  2. 前記ガス供給経路に逆火防止手段を設けた請求項1記載のガス爆発体験装置。
  3. 前記爆発室の上部に当該爆発室と連通する燃焼室を設け、前記燃焼室内に臨む位置に前記着火手段を設けた請求項1または2記載のガス爆発体験装置。
  4. 前記着火手段として、プラズマ着火装置を設けた請求項1〜3のいずれかに記載のガス爆発体験装置。
  5. 前記爆発室に、開閉弁を有する排気経路を設けた請求項1〜4のいずれかに記載のガス爆発体験装置。
  6. 前記ガス供給経路に、当該ガス供給経路を通過したガス流量を計測する積算流量計を配置した請求項1〜5のいずれかに記載のガス爆発体験装置。
  7. 前記爆発室が、透明合成樹脂製の円筒体と、前記円筒体の両端開口部に固着されたドーナツ円板状のフランジと、で形成された請求項1〜6のいずれかに記載のガス爆発体験装置。
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