JP2014063799A - 電力用半導体装置 - Google Patents

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孝明 石井
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Abstract

【課題】耐圧特性を安定化させ、耐圧を向上させることができる電力用半導体装置を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る電力用半導体装置10は、n−型の半導体基板14に、複数の電力用半導体素子を有するメインセル部12、およびメインセル部12を囲う終端部13が設けられたものである。終端部13は、p型の複数のガードリング層25、絶縁膜24、および電界緩和層37、を具備する。複数のガードリング層25は、半導体基板14の上面に互いに離間するように配置される。さらに複数のガードリング層25はそれぞれ、メインセル部12を囲うリング状である。絶縁膜24は、半導体基板14上のうち、ガードリング層25間、およびメインセル部12に設けられたベース層19とガードリング層25との間、にそれぞれ形成される。電界緩和層37はp型の不純物を含んでおり、それぞれの絶縁膜24上に配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、電力用半導体装置に関する。
パワーMOSやIGBT等の電力用半導体装置は、電力変換や電力制御などに用いられる主に電力機器向けの半導体装置であり、通常の半導体装置に比べて高耐圧化され、大電流を流すことができるようになっている。電力用半導体装置において、逆方向電圧印加時には、電流を遮断して高い電圧を保持する必要がある。
一般に、電力用半導体装置において、電流を流すメインセル部(IGBT等の半導体素子)を取り囲む終端部(外周接合領域)には、半導体装置の高耐圧化を実現するために、FLR(Field Limiting Ring)部等が形成されている。例えばメインセル部にIGBTが形成され、終端部にFLR部が形成された半導体装置において、コレクタ―エミッタ間に電圧が印加されると、FLR部によって終端部に空乏層が形成されるため、エミッタ領域のpn接合、すなわち、エミッタ層とこの層と反対の導電型であるベース層との間に形成される空乏層が終端部まで伸ばされ、エミッタ領域のpn接合にかかる電界強度が緩和される。これにより、コレクタ―エミッタ間電圧(VCES)、コレクタ―エミッタ間電流(ICES)が安定し、装置の耐圧が向上する。
このような電力用半導体装置において、エミッタ電極およびゲートパッド部を除く装置上面はパッシベーション膜で覆われるが、このパッシベーション膜に熱や電界などが加わると、パッシベーション膜中に含まれる不純物イオンのうち、プラスイオンがグランド側(エミッタ側)へ集まり、マイナスイオンが高電位側(コレクタ側)へ集まり、パッシベーション内部において分極が生ずる。分極が生ずると、終端部における電界分布の変化によって装置の耐圧特性が変化し、装置の耐圧を低下させる。
同様の現象は、終端部に堆積された絶縁膜(シリコン酸化膜、層間絶縁膜)内、若しくは、電力用半導体装置をパッケージ化するために、シリコンゲル等の封止材によって電力用半導体装置が封止される場合、この封止材内においても生じ、装置の耐圧特性が変化し、装置の耐圧を低下させる。
特開2011−199223号公報
実施形態は、耐圧特性を安定させ、耐圧を向上させることができる電力用半導体装置を提供することを目的とする。
実施形態に係る電力用半導体装置は、第1導電型の半導体基板、第2導電型の第1の不純物層、ゲート電極、第1導電型の第2の不純物層、第1の電極、第2の電極、複数の第3の不純物層、絶縁膜、およびフローティング電極、を具備する。前記第1の不純物層は、前記半導体基板の上面の一部に形成される。前記ゲート電極は、前記第1の不純物層にゲート絶縁膜を介して接するように形成される。前記第2の不純物層は、前記第1の不純物層の上面の一部に形成される。前記第1の電極は、前記半導体基板の下面に形成される。前記第2の電極は、前記半導体基板の前記上面上に、少なくとも前記第2の不純物層に接するように形成される。前記複数の第3の不純物層は、前記半導体基板の上面に互いに離間するように配置される。さらに前記複数の第3の不純物層はそれぞれ、前記第1の不純物層を囲うリング状である。前記絶縁膜は、前記半導体基板上のうち、前記第3の不純物層間、および前記第1の不純物層と前記第3の不純物層との間、にそれぞれ形成される。前記複数のフローティング電極は、それぞれ第2導電型の不純物を含んでおり、それぞれの前記絶縁膜上に配置されている。
第1の実施形態に係る電力用半導体装置を示す断面図である。 図1の領域Xの拡大図である。 第1の実施形態に係る電力用半導体装置の製造方法を説明するための、装置断面図である。 第1の実施形態に係る電力用半導体装置の製造方法を説明するための、装置断面図である。 第1の実施形態に係る電力用半導体装置の製造方法を説明するための、装置断面図である。 第1の実施形態に係る電力用半導体装置の製造方法を説明するための、装置断面図である。 第1の実施形態に係る電力用半導体装置の製造方法を説明するための、装置断面図である。 第1の実施形態に係る電力用半導体装置の製造方法を説明するための、装置断面図である。 従来の電力用半導体装置、および第1の実施形態に係る電力用半導体装置の内部に形成される等電位線を示す図である。 第2の実施形態に係る電力用半導体装置を示す断面図である。 図10の領域Yの拡大図である。
以下に、実施形態に係る電力用半導体装置について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電力用半導体装置を示す断面図である。図1に示す電力用半導体装置10は、nチャネル型のIGBTである。すなわち、図1に示すように、電力用半導体装置10は、複数個のIGBT11が並列に形成されたメインセル部12、および終端部13からなるものである。
この電力用半導体装置10において、n−型の半導体基板14は、例えばシリコンからなり、所望の耐圧が得られるように設定された不純物濃度を有する。この半導体基板14の主表面(以下、この面を上面と称する)に対向する下面全面には、n+型のバッファ層15が形成されている。また、バッファ層15の下面全面には、p+型のコレクタ層16が形成されている。なお、半導体基板14において、バッファ層15上の領域は、IGBT11のドリフト層17となる。
半導体基板14の下面上の全面には、第1の電極として、コレクタ電極18が、コレクタ層16に接するように形成されている。
半導体基板14の上面の一部、すなわちメインセル部12の半導体基板14の上面には、第1の不純物層として、p型のベース層19が形成されている。
また、半導体基板14には、少なくともベース層19を貫通する複数本のトレンチ20が、互いに平行に形成されている。各トレンチ20の内側面にはそれぞれゲート絶縁膜21が形成されており、ゲート絶縁膜21を含む各トレンチ20の内部には、ゲート電極22が形成されている。ゲート電極22は、ベース層19を貫通するトレンチ20の内部に形成されることによって、ベース層19にゲート絶縁膜21を介して接している。
ベース層19の上面の一部、すなわち、ベース層19の上面のうち、各ゲート電極22の両側には、第2の不純物層として、各ゲート電極22に沿った、ベース層19より浅いn型の不純物層であるエミッタ層23が形成されている。
また、半導体基板14の上面には、例えば酸化膜および層間絶縁膜からなる絶縁膜24が形成されている。メインセル部12において、この絶縁膜24は、少なくともエミッタ層23が露出するように形成されている。なお、この絶縁膜23は、後述する終端部13において、ガードリング層25の一部、およびチャネルストッパー層26の一部が露出するように形成されている。
メインセル部12において、この絶縁膜24上には、第2の電極として、互いに平行な複数のエミッタ電極27が形成されている。複数のエミッタ電極27は、例えば2本のゲート電極22を一対として、一対のゲート電極22毎に、絶縁膜24から露出するエミッタ層23に接するように形成されている。
また、エミッタ電極27間の一つの絶縁膜24上には、ゲート電極22に接続されるゲート配線28が形成されている。そして、ゲート配線28を含む絶縁膜24上には、ゲート配線28の一部が露出する絶縁膜29が形成されている。このゲート配線28上の絶得膜29上には、ゲート配線28に接続されるようにゲートパッド部30が形成されている。すなわち、ゲートパッド部30は、ゲート配線28を介してゲート電極22に接続されている。
このような複数個のIGBT11からなるメインセル部12の周囲には、終端部13が設けられている。終端部13には、耐圧を向上させるために、FLR(Field Limiting Ring)部31が設けられている。さらに終端部13には、リーク電流を抑制するために、EQPR(Equivalent Potential Ring)部32が設けられている。
FLR部31は、複数の第3の不純物層として、複数のp型のFLR層25(以下、各FLR層25をそれぞれガードリング層25と称する)、およびこれらの各層25にそれぞれ接するように設けられた複数の第1のプレート電極33、によって構成される。
各カードリング層25は、終端部13の半導体基板14の上面において、メインセル部12を囲うリング状に形成されている。このような複数のガードリング層25は、所定の間隔を有して互いに離間するように形成されている。
複数の第1のプレート電極33はそれぞれ、終端部14の半導体基板14上において、対応するガードリング層25の一部に接するように、リング状に形成されている。すなわち、終端部13の半導体基板14上において、各ガードリング層25上の一部を含む各ガードリング層25の間、最外のガードリング層25および後述するEQPR層26(チャネルストッパー層26)上の一部を含むこれらの層間には、それぞれガードリング層25の一部が露出するように、リング状の絶縁膜24が形成されている。各第1のプレート電極33は、これらの絶縁膜24上に、ガードリング層25に接するように設けられている。
ガードリング層25および第1のプレート電極33によって、メインセル部12のエミッタ層23とベース層19との間に形成される空乏層を、終端部13の所望の位置まで伸ばすことができる。従って、半導体基板14の上面における電界集中を緩和することができ、装置の耐圧を向上させることができる。
また、EQPE部32は、半導体基板14より高濃度のn+型のEQPR層26(以下、EQPR層26をチャネルストッパー層26と称する)、およびこの層26に接するように設けられた第2のプレート電極34、によって構成される。
第4の不純物層であるチャネルストッパー層26は、終端部13の半導体基板14の上面において、最外のガードリング層25を囲み、かつ最外のガードリング層25と離間するように、リング状に形成されている。
第2のプレート電極34は、終端部13の半導体基板14上において、チャネルストッパー層26の一部に接するように、リング状に形成されている。すなわち、上述したように、終端部13の半導体基板14上において、最外のガードリング層25およびチャネルストッパー層26上の一部を含むこれらの層間には、チャネルストッパー層26の一部が露出するように、リング状の絶縁膜24が形成されている。第2のプレート電極34は、この絶縁膜24上に、チャネルストッパー層26に接するように設けられている。
チャネルストッパー層26および第2のプレート電極34によって、空乏層が装置断面に達することを抑制することができ、空乏層が装置断面に達することにより発生するリーク電流を抑制することができる。
以下、図2を参照して、さらに終端部13の構造について説明する。図2は、図1の点線Xで囲まれた領域を拡大して示す断面図である。図2に示すように、終端部13における半導体基板14上のうち、所定の位置には、酸化膜35および層間絶縁膜36からなる絶縁膜24が設けられている。すなわち、メインセル部12のベース層19(図1)と最内のガードリング層25との間、各ガードリング層25の間、および最外のガードリング層25とチャネルストッパー層26との間、には、それぞれ酸化膜35および層間絶縁膜36からなる絶縁膜24が設けられている。
また、これらの絶縁膜24の内部には、絶縁膜24の形状に対応したリング状の電界緩和層37が含まれている。すなわち、絶縁膜24に含まれる層間絶縁膜36は、層間絶縁膜36−1および層間絶縁膜36−2からなり、半導体基板14上の所定の位置には、層間絶縁膜36−1および酸化膜35がこの順に積層されている。この酸化膜35上に、電界緩和層37が形成されており、電界緩和層37は、これを含む酸化膜35上に設けられた層間絶縁膜36−2で覆われている。
各電界緩和層37は、フローティング電極であり、例えば高純度のポリシリコンに、n型の半導体基板14と逆導電型の不純物、すなわちp型の不純物が高濃度にドープされたものである。従って、各電界緩和層37は、正に帯電された状態となっている。なお、電界緩和層37を正に帯電させる理由については後述する。
このような終端部13、および上述のメインセル部12からなる電力用半導体装置10において、半導体基板14上のうち、エミッタ電極23およびゲートパッド部30を除く全面は、パッシベーション膜38で覆われている(図1)。
次に、図3乃至図8を参照して、第1の実施形態に係る電力用半導体装置10の製造方法を説明する。図3乃至図8はそれぞれ、第1の実施形態に係る電力用半導体装置10の製造工程を示す断面図である。なお、本実施形態は終端部13に特徴を有するものであり、メインセル部12は一般的な構成であるため、以下に、第1の実施形態に係る電力用半導体装置10の製造方法として、終端部13の製造方法を説明する。
まず、n−型の半導体基板14の上面のうち、所定の位置に、複数のガードリング層25を形成する。すなわち、n−型の半導体基板14の上面全面に層間絶縁膜36−1を形成し(図3(a))、層間絶縁膜36−1上に、ガードリング層25が形成される箇所にリング状の開口部39を有する第1のレジスト膜40を形成する(図3(b))。続いて、第1のレジスト膜40の開口部39から露出する層間絶縁膜36−1をエッチングにより除去し(図3(c))、第1のレジスト膜40を除去した後に、層間絶縁膜36−1を含む半導体基板14の上面全面に、酸化膜35を形成する(図3(d))。次に、ガードリング層25が形成される箇所に開口部41を有する第2のレジスト膜42を形成した後、第2のレジスト膜42の開口部41から、酸化膜35を介して半導体基板14に、p型のイオンとして例えばボロン(B)を注入し(図3(e))、熱拡散させることによってガードリング層25を形成する(図3(f))。
次に、半導体基板14の上面のうち、所定の位置に、チャネルストッパー層26を形成する。すなわち、チャネルストッパー層26が形成される箇所に開口部43を有する第3のレジスト膜44を形成した後(図4(a))、第3のレジスト膜44の開口部43から露出する酸化膜35、およびこの下層の層間絶縁膜36−1をエッチングによって除去し(図4(b))、酸化膜35および層間絶縁膜36−1が除去されることによって露出した半導体基板14の上面に、n型のイオンとして例えばヒ素(As)を注入し(図4(c))、熱拡散させることによってチャネルストッパー層26を形成する(図4(d))。
次に、酸化膜35上に電界緩和層37を形成する。すなわち、ガードリング層25およびチャネルストッパー層26が形成された半導体基板14の上面全面に、電界緩和層37の材料として、例えばポリシリコン45を形成し(図5(a))、酸化膜35上の一部領域にポリシリコン45が残されるように、他の領域に開口部46を有する第4のレジスト膜47を、ポリシリコン45上に形成し(図5(b))、第4のレジスト膜47の開口部46から露出するポリシリコン45をエッチングにより除去する(図5(c))。これにより、酸化膜35上に、ポリシリコン45からなる電界緩和層37が形成される。
次に、電界緩和層37を正に帯電させる。すなわち、電界緩和層37間に第5のレジスト膜48を形成し(図6(a))、電界緩和層37にp型のイオンとして、例えばボロン(B)を注入する(図6(b))。これにより、電界緩和層37は、p型の不純物を含むため、正に帯電した状態となる。この後、第5のレジスト膜48を除去する(図6(c))。
次に、電界緩和層37を層間絶縁膜36−2で覆い、第1、第2のプレート電極33、34を形成する。すなわち、正に帯電した電界緩和層37、酸化膜35を含む半導体基板14の上面全面に、層間絶縁膜36−2を形成し(図7(a))、電界緩和層37間の一部領域の層間絶縁膜36−2および酸化膜35を除去するために、所望の位置に開口部49を有する第6のレジスト膜50を形成し(図7(b))、第6のレジスト膜50の開口部49から露出する層間絶縁膜36−2および酸化膜35を、エッチングにより除去する(図7(c))。
第6のレジスト膜50を除去した後、第1、第2のプレート電極33、34となる金属膜51、例えばアルミニウム膜を全面に形成し(図8(a))、第1、第2のプレート電極33、34が形成される箇所に金属膜51が残されるように、他の領域に開口部52を有する第7のレジスト膜53を、金属膜51上に形成する(図8(b))。この後、第7のレジスト膜53の開口部52から露出する金属膜51をエッチングにより除去することによって、第1、第2のプレート電極33、34を形成する(図8(c))。最後に、第7のレジスト膜53を除去し、装置全面にパッシベーション膜38を形成して(図8(d))、図1、図2に示す電力用半導体装置10が製造される。
なお、本実施形態に係る電力用半導体装置10において、メインセル部12は、上記各工程において適宜形成することが、製造工程数の抑制の面において好ましいが、終端部13の製造前後に形成してもよい。
ここで、本実施形態に係る電力用半導体装置10において、終端部13の絶縁膜24内に、正に帯電した電界緩和層37を設ける理由について説明する。そこで、パッシベーション膜38が負に帯電している場合を考える。
図9は、従来の電力用半導体装置、および第1の実施形態に係る電力用半導体装置10の内部に形成される等電位線を示す図であって、同図(a)は、第1の実施形態に係る電力用半導体装置10の終端部13の内部に形成される等電位線を模式的に示す図であり、同図(b)は、従来の電力用半導体装置の終端部の内部に形成される等電位線を模式的に示す図である。
図9(a)に示すように、絶縁膜24内に正に帯電した電界緩和層37を有する場合において、パッシベーション膜38が負に帯電した場合、電界緩和層37が正に帯電しているため、パッシベーション膜38に絶縁膜24を介して接する半導体基板14の上面に正に帯電した領域は形成されず、負に帯電した領域55(半導体基板14よりも不純物濃度が上昇した領域55)が形成される。従って、複数のガードリング層25およびベース層19(図1)が相互に電位的に接続されることが抑制される。この結果、図9(a)に点線で示すように、半導体基板14中の等電位線はほぼ設計通りとなり、電力用半導体装置10は、ほぼ設計通りの耐圧を得ることができる。
なお、ガードリング層25上には第1のプレート電極33が形成されているため、パッシベーション膜38が負に帯電していても、ガードリング層25の上面の帯電状態が変化することはない。
反対に、図9(b)に示すように、絶縁膜24内に正に帯電した電界緩和層が設けられていない場合において、パッシベーション膜38が負に帯電した場合、このパッシベーション膜38に絶縁膜24を介して接する半導体基板14の上面、すなわち、最内のガードリング層25とメインセル部12のベース層19(図1)との間、ガードリング層25間、および最外のガードリング層25とチャネルストッパー層26との間、の半導体基板14の上面に、反転層54(正に帯電した領域54)が形成される。これらの反転層54は、ベース層19および複数のガードリング層25を電位的に接続する。従って、ガードリング層25の効果は失われ、メインセル部12のエミッタ層23とベース層19との間に形成される空乏層を、例えばチャネルストッパー層26の近傍まで伸ばす。この結果、図9(b)に点線で示すように、パッシベーション膜38内における負の帯電の分布に応じて、半導体基板14中の等電位線は設計された配置(図9(a)に示す等電位線の配置)から変化し、装置の耐圧を低下させる。
以上に説明した第1の実施形態に係る電力用半導体装置10によれば、終端部13の絶縁膜24内に、パッシベーション膜38と逆導電型に帯電した電界緩和層37が設けられている。従って、パッシベーション膜38が帯電することによる耐圧特性の変化を抑制し、装置の耐圧を向上させることができる。
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係る電力用半導体装置60を示す断面図である。図2に示す電力用半導体装置60は、pチャネル型のMOSトランジスタである。すなわち、図10に示すように、電力用半導体装置60は、複数個のMOSトランジスタ61が並列に形成されたメインセル部62、および終端部63からなるものである。
この電力用半導体装置60は、第1の実施形態に係る電力用半導体装置10と比較して、各不純物領域の導電型が反対の導電型であり、かつ第1の実施形態に係る電力用半導体装置10の半導体基板14の下面からバッファ層15およびコレクタ層16を廃した構成である点が異なるが、他の構成は、第1の実施形態に係る電力用半導体装置10と同様である。従って、以下の電力用半導体装置60の説明は、適宜簡略化する。
メインセル部62においてドリフト層67となる半導体基板64はp−型であり、この下面全面には、第1の電極としてドレイン電極68が形成されている。
メインセル部62の半導体基板64の上面には、第1の不純物層として、n型のベース層69が形成されている。また、半導体基板64には複数本のトレンチ70が形成されており、これらのトレンチ70の内部にはそれぞれ、ゲート絶縁膜71を介してゲート電極72が形成されている。
ベース層69の上面において、各ゲート電極72の両側には、第2の不純物層として、p型の不純物層であるソース層73がベース層69より浅く形成されている。
また、半導体基板64の上面には、絶縁膜74が形成されている。メインセル部62において、この絶縁膜74は、少なくともソース層73が露出するように形成されている。なお、この絶縁膜74は、終端部63において、ガードリング層75の一部、およびチャネルストッパー層76の一部が露出するように形成されている。
メインセル部62において、この絶縁膜74上には、第2の電極であるソース電極77が、互いに平行に複数本形成されている。
また、ソース電極77間の一つの絶縁膜74上には、ゲート電極72に接続されるゲート配線78が形成されている。そして、ゲート配線78を含む絶縁膜74上には、ゲート配線78の一部が露出する絶縁膜79が形成されている。このゲート配線78上の絶得膜79上には、ゲート配線78に接続されるようにゲートパッド部80が形成されている。すなわち、ゲートパッド部80は、ゲート配線78を介してゲート電極72に接続されている。
このようなメインセル部62の周囲には、FLR部81およびEQPR部82を有する終端部63が設けられている。
FLR部81は、複数の第3の不純物層としての複数のn型のガードリング層75、およびこれらの各層75にそれぞれ接するように設けられた複数の第1のプレート電極83、によって構成される。
また、EQPE部82は、第4の不純物層としての、半導体基板64より高濃度のp+型のチャネルストッパー層76、およびこの層76に接するように設けられた第2のプレート電極84、によって構成される。
以下、図11を参照して、さらに終端部63の構造について説明する。図11は、図10の点線Yで囲まれた領域を拡大して示す断面図である。図11に示すように、終端部63における半導体基板64の上面のうち、所定の位置には、酸化膜85および層間絶縁膜86−1、86−2からなる絶縁膜74が設けられている。すなわち、メインセル部62のベース層69(図10)と最内のガードリング層75との間、各ガードリング層75の間、および最外のガードリング層75とチャネルストッパー層76との間、には、それぞれ絶縁膜74が設けられている。
また、これらの絶縁膜74の内部には、絶縁膜74の形状に対応したリング状の電界緩和層87が含まれている。すなわち、半導体基板74上の所定の位置には、層間絶縁膜86−1および酸化膜85がこの順に積層されている。この酸化膜85上に電界緩和層87が形成されており、電界緩和層87は、これを含む酸化膜85上に設けられた層間絶縁膜86−2で覆われている。
各電界緩和層87は、フローティング電極であり、例えば高純度のポリシリコンに、p型の半導体基板64と逆導電型の不純物、すなわちn型の不純物(例えばヒ素(As))が高濃度にドープされたものである。従って、各電界緩和層87は、負に帯電された状態となっている。なお、電界緩和層87を負に帯電させる理由は、第1の実施形態において電界緩和層37を正に帯電させる理由と同様であるため、ここではその説明を省略する。
このような終端部63、および上述のメインセル部62からなる電力用半導体装置60において、半導体基板64上のうち、ソース電極77およびゲートパッド部80を除く全面は、パッシベーション膜88で覆われている(図10)。
なお、このような電力用半導体装置60は、第1の実施形態に係る電力用半導体装置10と同様に製造することができる。従って、第2の実施形態に係る電力用半導体装置60の製造方法の説明は省略する。
以上に説明した第2の実施形態に係る電力用半導体装置60においても、終端部63の絶縁膜74内に、パッシベーション膜88と逆導電型に帯電した電界緩和層87が設けられている。従って、パッシベーション膜88が帯電することによる耐圧特性の変化を抑制し、装置の耐圧を向上させることができる。
以上に、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記各実施形態は、パッシベーション膜38、88以外に、例えば終端部13、63に設けられた絶縁膜24、74が帯電している場合にも有効であり、絶縁膜24、74が帯電することによる耐圧特性の変化を抑制し、装置の耐圧を向上させることができる。
さらに、上記各実施形態は、電力用半導体装置10、60がパッケージ化のために封止材によって封止された場合において、封止材が帯電している場合にも有効であり、封止材が帯電することによる耐圧特性の変化を抑制し、装置の耐圧を向上させることができる。
また、本実施形態では、メインセル部12、62にトレンチゲート型のIGBT11またはMOSトランジスタ61が設けられているが、メインセル部12、62に設けられるIGBTおよびMOSトランジスタは、それぞれプレーナゲート型であってもよい。
10、60・・・電力用半導体装置
11・・・IGBT
12、62・・・メインセル部
13、63・・・終端部
14、64・・・半導体基板
15・・・バッファ層
16・・・コレクタ層
17、67・・・ドリフト層
18・・・コレクタ電極
19、69・・・ベース層
20、70・・・トレンチ
21、71・・・ゲート絶縁膜
22、72・・・ゲート電極
23・・・エミッタ層
24、74・・・絶縁膜
25、75・・・ガードリング層(FLR層)
26、76・・・チャネルストッパー層(EQPR層)
27・・・エミッタ電極
28、78・・・ゲート配線
29、79・・・絶縁膜
30、80・・・ゲートパッド部
31、81・・・FLR部
32、82・・・EQPR部
33、83・・・第1のプレート電極
34、84・・・第2のプレート電極
35、85・・・酸化膜
36、36−1、36−2、86−1、86−2・・・層間絶縁膜
37、87・・・電界緩和層
38、88・・・パッシベーション膜
39・・・開口部
40・・・第1のレジスト膜
41・・・開口部
42・・・第2のレジスト膜
43・・・開口部
44・・・第3のレジスト膜
45・・・ポリシリコン
46・・・開口部
47・・・第4のレジスト膜
48・・・第5のレジスト膜
49・・・開口部
50・・・第6のレジスト膜
51・・・金属膜
52・・・開口部
53・・・第7のレジスト膜
54・・・反転層(正に帯電した領域)
55・・・不純物濃度が上昇した領域(負に帯電した領域)
61・・・MOSトランジスタ
68・・・ドレイン電極
73・・・ソース層
77・・・ソース電極

Claims (6)

  1. 第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の上面の一部に形成された第2導電型の第1の不純物層と、
    前記ベース層の上面の一部に形成された第1導電型の第2の不純物層と、
    前記ベース層にゲート絶縁膜を介して接するように形成されたゲート電極と、
    前記半導体基板の下面に形成された第1の電極と、
    前記半導体基板の上面上に、少なくとも前記第2の不純物層に接するように形成された第2の電極と、
    前記半導体基板の上面に互いに離間するように配置され、それぞれが前記第1の不純物層を囲うリング状の第2導電型の複数の第3の不純物層と、
    それぞれの前記第3の不純物層上に形成された第1のプレート電極と、
    前記半導体基板の上面に前記第3の不純物層と離間するように配置され、前記第3の不純物層を囲うリング状の第1導電型の第4の不純物層と、
    前記第4の不純物層上に形成された第2のプレート電極と、
    前記半導体基板上のうち、前記第3の不純物層間、前記第1の不純物層と前記第3の不純物層との間、および前記第3の不純物層と前記第4の不純物層との間、にそれぞれ形成された絶縁膜と、
    それぞれの前記絶縁膜の内部に配置された、第2導電型の不純物を含むポリシリコンからなるフローティング電極と、
    前記半導体基板上に形成されたパッシベーション膜と、
    を具備することを特徴とする電力用半導体装置。
  2. 第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の上面の一部に形成された第2導電型の第1の不純物層と、
    前記第1の不純物層にゲート絶縁膜を介して接するように形成されたゲート電極と、
    前記第1の不純物層の上面の一部に形成された第1導電型の第2の不純物層と、
    前記半導体基板の下面に形成された第1の電極と、
    前記半導体基板の前記上面上に、少なくとも前記第2の不純物層に接するように形成された第2の電極と、
    前記半導体基板の上面に互いに離間するように配置され、それぞれが前記第1の不純物層を囲うリング状の第2導電型の複数の第3の不純物層と、
    前記半導体基板上のうち、前記第3の不純物層間、および前記第1の不純物層と前記第3の不純物層との間、にそれぞれ形成された絶縁膜と、
    それぞれの前記絶縁膜の内部に配置された、第2導電型の不純物を含むフローティング電極と、
    を具備することを特徴とする電力用半導体装置。
  3. 前記半導体基板の上面に前記第3の不純物層と離間するように配置され、前記第3の不純物層を囲うリング状の第1導電型の第4の不純物層、をさらに具備し、
    前記絶縁膜は、前記半導体基板の上面のうち、前記第3の不純物層と前記第4の不純物層との間にも形成され、
    前記フローティング電極は、前記第3の不純物層と前記第4の不純物層との間に形成された前記絶縁膜の内部に、さらに形成されることを特徴とする請求項2に記載の電力用半導体装置。
  4. それぞれの前記第3の不純物層上に形成された第1のプレート電極と、
    前記第4の不純物層上に形成された第2のプレート電極と、
    をさらに具備することを特徴とする請求項3に記載の電力用半導体装置。
  5. 前記フローティング電極は、ポリシリコンからなることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の電力用半導体装置。
  6. 前記半導体基板上に、さらにパッシベーション膜を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の電力用半導体装置。
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