JP2014063568A - 照明装置 - Google Patents

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Masahiro Yokota
昌広 横田
Nobuo Kawamura
信雄 川村
Shuzo Matsuda
秀三 松田
Takeshi Okawa
猛 大川
Shusuke Morita
修介 森田
Takeshi Takahashi
高橋  健
Osamu Ono
修 小野
Hideo Ota
英男 太田
Koji Nishimura
孝司 西村
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Abstract

【課題】光散乱性の高い透光カバーでも見た目の色を自然な白色にすることができるとともに、青色発光による体内時計の乱れや眼球への悪影響の懸念を低減させる照明装置を提供すること。
【解決手段】基材20と、指向性のある可視光線を放出する光源50と、光源50を覆う透光カバー60とを備え、透光カバー60は、透明樹脂中に粒径1μmを超え100μm以下の散乱フィラが分散し、全光線透過率が70%以下であり、透光カバー60を備えない第1の分光スペクトルS1から透光カバー60を備えた第2の分光スペクトルS2を差し引いて求められる差分スペクトルΔSの光束を、第1の分光スペクトルS1の光束で割って求められる透光カバー吸収率スペクトルRは、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値を波長550nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値で割った吸収比率が1.6〜5.0倍であることを特徴とする照明装置。
【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、LED電球やLED蛍光灯のように樹脂製の透光カバーを用いた照明装置に関する。
従来、照明装置として、フィラメントの熱による発光を利用した白熱電球や、紫外線励起の蛍光体発光による蛍光灯が広く用いられてきた。しかし、白熱電球や蛍光灯は、寿命が短い、赤外線または紫外線を放出する、水銀を使用する、発光効率が低い等の問題があった。
近年、これらの問題を解消する技術として、LED光源やEL光源が開発されてきた。これらのうち、特にLED光源は一般の照明装置への利用が加速度的に広がっている。なお、LED光源を用いた照明では従来の白熱電球や蛍光灯ほどの耐熱性や耐久性は求められない。このため、LED光源を用いた照明では、発光源であるLEDを覆う透光カバーとして、従来のようなガラスでなく、ポリカーボネート等の割れにくい樹脂が用いられるようになってきた。
しかしながら、LED光源やEL光源は、実装された面の法線方向に強く光を放出する指向性があり、従来の白熱電球や蛍光灯に比べて光を照射する範囲、すなわち配光分布が狭い。このため、白熱電球や蛍光灯等の従来の照明装置をLED光源やEL光源を用いた照明に置き換えた場合は、天井や壁の明るさが著しく変わってしまうという問題があった。
この問題に対応するためにLED光源を用いた照明の配光分布を拡げる技術としては、特許文献1(特表2002−525814号公報)や特許文献2(特開2010−027282号公報)に、LED光源を実装する平面を多面体にして側面や背面方向を向いて配置する技術が記載されている。
また、別の技術として、特許文献3(特開2005−005546号公報)に、短波長のLED光源の光により長波長の光を励起する蛍光体を透光カバーの内面に塗布し、透光カバー自体が光るようにした照明装置が記載されている。
さらに、別の技術として、特許文献4(特開2012−134115号公報)に、透光カバーの光散乱性を高くして透光カバー形状により配光を拡げる技術が記載されている。
特表2002−525814号公報 特開2010−027282号公報 特開2005−005546号公報 特開2012−134115号公報
特許文献4に記載されるような、指向性の強い光源に対して、透光カバーの光散乱性を高くして配光を拡げる技術は、部品点数や組立工程を増やすことなく所望の配光拡大を実施できるため有効である。
しかしながら、光散乱性を高くすると透光カバー内部での光の散乱が支配的となり、波長毎の散乱性の違いにより透光カバー内部で短波長の光がよく散乱するため、点灯していない状態において透光カバーの外光による見た目の色に青味がさすという問題があった。
また、LED光源として、一般的な青色発光LEDと緑から赤にかけての色を発光する蛍光体とからなる白色LEDを用いた場合、人間の対内時計の乱れや眼球への悪影響が懸念されている。すなわち、青色発光LEDは、太陽光やハロゲンランプに比べて、420nmから480nmの波長の比較的短波長の光の量が特段に多く、この領域の光による体内時計の乱れや眼球への悪影響が懸念されているからである。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、光散乱性の高い透光カバーでも見た目の色を自然な白色にすることができるとともに、青色発光による体内時計の乱れや眼球への悪影響の懸念を低減させる照明装置を提供することを目的とする。
実施形態の照明装置は、上記問題点を解決するものであり、基材と、この基材上に設けられ、指向性のある可視光線を放出する光源と、前記光源を覆う透光カバーと、を備え、前記透光カバーは、透明樹脂中に粒径1μmを超え100μm以下の散乱フィラが分散したものであるとともに全光線透過率が70%以下であり、前記透光カバーを備えない状態で前記光源から放出される全光束の分光スペクトルである第1の分光スペクトルS1と、前記透光カバーを備えた状態で前記光源から放出される全光束の分光スペクトルである第2の分光スペクトルS2とを用いて、同じ波長の光束同士を下記式(1)のように差し引いて求められる差分スペクトルΔSの光束を、下記式(2)のように、前記差分スペクトルΔSと同じ波長の第1の分光スペクトルS1の光束で割って求められるスペクトルの光束の比率を透光カバー吸収率スペクトルRとするとき、
ΔS=S1−S2 (1)
R=ΔS/S1 (2)
この透光カバー吸収率スペクトルRは、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値を波長550nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値で割った吸収比率が1.6〜5.0倍であることを特徴とする。
また、実施形態の照明装置は、上記問題点を解決するものであり、基材と、この基材上に設けられ、指向性のある可視光線を放出する光源と、前記光源を覆う透光カバーと、を備え、前記透光カバーは、透明樹脂中に粒径1〜100μmの散乱フィラが分散したものであるとともに全光線透過率が70%以下であり、前記透光カバーを備えない状態で前記光源から放出される全光束の分光スペクトルである第1の分光スペクトルS1と、前記透光カバーを備えた状態で前記光源から放出される全光側の分光スペクトルである第2の分光スペクトルS2とを用いて、同じ波長の光束同士を下記式(1)のように差し引いて求められる差分スペクトルΔSの光束を、下記式(2)のように、前記差分スペクトルΔSと同じ波長の第1の分光スペクトルS1の光束で割って求められるスペクトルの光束の比率を透光カバー吸収率スペクトルRとするとき、
ΔS=S1−S2 (1)
R=ΔS/S1 (2)
前記透光カバー吸収率スペクトルRは、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値を波長600nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値で割った吸収比率が1.7〜5.0倍であることを特徴とする。
本発明の第1の実施形態に係る電球型の照明装置を示す断面図。 本発明の第1の実施形態に係る電球型の照明装置の透光カバーの透過率と半値配光角2θ・1/2と効率の関係を示す図。 本発明の第1の実施形態に係る電球型の照明装置に外部から光を入射したときの反射光の光線軌道を示す図。 図3の一部の拡大図。 本発明の第1の実施形態に係る電球型の照明装置に外部から光を入射したときの見た目の光線軌道を模式的に示す図。 従来の光散乱性の高くない透光カバーを用いた電球型の照明装置に外部から光を入射したときの反射光の光線軌道を示す図。 図6の一部の拡大図。 従来の光散乱性の高くない透光カバーを用いた電球型の照明装置に外部から光を入射したときの光線軌道を模式的に示す図。 本発明の第2の実施形態に係る蛍光灯型の照明装置を示す断面図。 実施例1の透光カバーの透光カバー吸収率スペクトルを示す図。 実施例2の透光カバーの透光カバー吸収率スペクトルを示す図。 実施例3に係る電球型のLED電球の透光カバーの断面図。 実施例3の透光カバーの透光カバー吸収率スペクトルを示す図。
以下、図面を参照しながら、種々の実施形態に係る照明装置について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電球型の照明装置を示す断面図である。
図1に示されるように、電球型の照明装置であるLED電球1は、円錐台形の基材20の一端面に実装された光源としてのLED50を透光カバー60で覆う形状をしており、基材20の中心軸に対して回転対象の形状を有している。
具体的には、LED電球1は、基材20の軸方向の一方の端面である前面平坦部21にLED基板40が実装され、このLED基板40上に光源としてのLED50が実装される。LED50は、LED50から放出される光の光度が、前面平坦部21の法線方向で強く、背面側で零となる指向性を有する。LED50は、たとえば、青色LEDの周囲を黄色発光する蛍光体を含む樹脂層で覆われて白色光を発光するものになっている。したがって、LED50は、指向性のある可視光線を放出する光源になっている。
LED50が実装される基材20の略円形の前面平坦部21は、この前面平坦部21の周辺部で支持される透光カバー60で全面的に覆われており、LED50が放出した光は透光カバー60のみを介して外部に照射されるようになっている。透光カバー60は、略球形の形状を有する。
LED50は、420〜480nmの間にピークを持つ青色光を発光する青色LEDと、この青色LEDから放射された青色光をこの青色光よりも長波長の光に変換する蛍光体とを備えることが好ましい。
このようなLED50としては、たとえば、420〜480nmの間にピークを持つ青色光を発光する青色LEDと、この青色LEDから放射された青色光を黄色光に変換する黄色発光蛍光体とを組み合わせた白色LEDが挙げられる。
図1に示されるように、透光カバー60は、例えば、最大径部68が60mm、背面側端部(開口端)67の径が42mmで、最大径部68から背面側端部67までの高さが27mm、厚さが1mmになっている。
また、基材20の軸方向の他方の端面には口金30が設けられている。
(透光カバー)
透光カバー60の材質、性質について詳細に説明する。
透光カバー60は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の透明な樹脂硬化物中に、屈折率の異なる散乱材が分散され、必要により顔料、染料等がさらに含まれた材質からなる。
透光カバー60は、たとえば、これらの物質またはその原料を含む流動体を射出成型することにより形成される。
透光カバー60に含まれる散乱材は、光を散乱して透光カバー60の透過率を調整するものである。
<散乱材>
散乱材としては、たとえば、シリカ(SiO)が用いられる。また、散乱材としては、シリカに加えてチタニア(TiO)が用いられてもよい。チタニアはシリカに比べて、可視光の短波長側の光の透光カバー吸収率スペクトルRの値が大きいため、透光カバー60中にチタニアを分散させることにより、体内時計の乱れや人間の眼球へ悪影響を与えるおそれのある青色光等の短波長の可視光の透過量を減少させることができる。すなわち、チタニアは、散乱材としての作用に加えて、短波長の可視光の透過量を減少させる作用を示す。
また、チタニアは、青色領域の中でも短波長側ほど吸収が大きくなる特性がある。このため、青色発光を抑制しつつ可視光の明るさを極力維持する効果が高い。具体的には、420nmから480nmの範囲で透光カバー吸収率スペクトルRの値が波長に対して単調減少する特性を有しており、人間の視感度が高くなる長波長側では透光カバー吸収率スペクトルRの値が低減していくため、青色発光抑制と明るさ維持を両立している。
一般的に、LED電球が青色発光LEDを用いた照明装置である場合、その発光スペクトルは、自然な太陽光や既存の光源に比べて特段に420nmから480nmの波長の光が多くなる。この領域の光は、体内時計の乱れや眼球への悪影響のおそれがあるため、青色領域の中でも短波長側ほど吸収が大きくなる特性があるチタニアは好適である。
なお、シリカの屈折率は1.46であり、チタニアの屈折率は2.7である。
散乱フィラの粒径は、1μmを超え100μm以下、好ましくは1μmを超え10μm以下である。ここで、散乱フィラの粒径とは、平均粒径である。
散乱フィラの粒径が1μm以下で可視光線波長に近くなると、散乱フィラを含む透光カバー60を外光で見たときに、透光カバー60の色が強い青みを帯びやすい。散乱フィラは、一般的に、粒径が可視光線程度に小さくなるほど、可視光の長波長側の光よりも短波長側の光をよく散乱するようになるからである。
このように透光カバー60に含まれる散乱フィラの粒径が小さくなるほど、透光カバー60が可視光の長波長側の光よりも短波長側の光をよく散乱するようになることは、透光カバー60に入射した光が透光カバー60から出射するまでの行程である平均自由行程が、波長に伴って変化することに基づくと思料される。
表1に、散乱フィラを含む透光カバー60に、450nmの青色光、550nmの黄緑色光、600nmのオレンジ色光を入射したときの、平均自由行程の値を示す。
Figure 2014063568
表1に示すように、製造例1の平均粒径2μmのシリカを含む透光カバー60では、450nmの青色光、550nmの黄緑色光、600nmのオレンジ色光の順に前者ほど平均自由行程が短い。すなわち、外光により透光カバー60に入射して再び透光カバー60から出射される光束は、450nmの青色光、550nmの黄緑色光、600nmのオレンジ色光の散乱の平均自由行程が短い順に前者ほど多くなり、透光カバー60は外光の下で青味を少し帯びる傾向にあることが判る。なお、この青味は、後述の透光カバー吸収率スペクトルRの値の調整で相殺することにより、外光の下で見た透光カバー60を白色にできることを発見した。
また、製造例1では、450nmの青色光の平均自由行程に対する550nmの黄緑色光の平均自由行程の比率、および450nmの青色光の平均自由行程に対する600nmのオレンジ色光の平均自由行程の比率は、それぞれ1.18、1.31である。このように、平均粒径2μmのシリカを含む透光カバー60は、波長の違いによる光の平均自由行程の違いが後述する適正補正範囲内にある、すなわち、光の平均自由行程の波長依存性がそれほど大きくないため、後述の透光カバー吸収率スペクトルRの調整で相殺することによる透光カバー60の色が理想的な白色に近くすることができることが判明した。
一方、製造例2の平均粒径1μmのシリカを含む透光カバー60では、450nmの青色光の平均自由行程に対する550nmの黄緑色光の平均自由行程の比率、および450nmの青色光の平均自由行程に対する600nmのオレンジ色光の平均自由行程の比率は、それぞれ1.43、1.67と大きい。このため、平均粒径1μmのシリカを含む透光カバー60は外光の下で青味を多く帯びる傾向にあることを発見した。このように、平均粒径が小さくなると波長の違いによる光の平均自由行程の違いが大きい、すなわち、光の平均自由行程の波長依存性が大きいため、透光カバー60の色が青味を強く帯びやすくなる。平均粒径1μmは、後述する透光カバー吸収率スペクトルRの調整できる限界であり、これより小さい平均粒径では顕著に波長依存性が増大するため白色乳白の散乱フィラとしては実用できない。
また、散乱フィラの粒径が100μmを超えると、散乱角度が減少して散乱フィラとしての作用が無くなっていくとともに、透光カバー60の射出成型工程で流動体の流動性が低下する。
<全光線透過率>
透光カバー60は、全光線透過率が、70%以下、好ましくは30〜70%、さらに好ましくは40〜60%である。ここで、全光線透過率とは、JIS−K−7361に規定される全光線透過率である。以下、全光線透過率を、単に透過率という。透光カバー60の透過率は、透光カバー60に含まれる散乱フィラの粒径や量、および厚さを調整することにより調整される。
なお、従来のLED電球の透光カバーの透過率は、不透明のLED電球で80〜90%、また、透明のLED電球で90〜95%程度である。本発明の実施形態のLED電球1の透光カバー60の透過率は、従来のLED電球に比べてかなり低いことが判る。
透光カバー60の透過率が70%以下であると、透光カバー60中に分散される散乱フィラによる光散乱性が高くなり、光が透光カバー60内で迷走し、入射した光の軌道とは無関係に透光カバー60の面法線方向に対してコサイン分布で光を照射するようになる。これにより、LED電球1の配光性が高くなる。
透光カバー60の透過率が70%を超えると、LED電球1の配光分布が狭くなる。
一方、透光カバー60の透過率が小さすぎると、LED電球1の発光効率が小さくなる。
LED電球1の配光分布と発光効率について、図面を参照して説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る電球型の照明装置の透光カバーの透過率と半値配光角2θ・1/2と効率(発光効率)の関係を示す図である。
ここで、半値配光角2θ・1/2とは、光度が半減する角度範囲(半値配光角、以下、配光角という)である。
また、透光カバーの効率とは、透光カバー60を除去したLED電球1の光束に対する、透光カバー60を取り付けたLED電球1の光束の比率である。光束は、JIS−C−7801に規定された積分球によるLED電球の全光束測定方法を用いて測定される光束である。
図2より、透光カバー60の透過率を低くしていくと効率は低下していくものの、配光角は拡がっていくことが判る。これは、指向性の強い光源50を用いる場合、従来のように光源50から出る光を透光カバー60を介して透過させるのではなく、透光カバー60内部で迷走させて光源50から出た光の経路とは無関係に透光カバー60の面法線方向を中心に光を外部へ照射させることで透光カバー60の形状に依存した配光分布の拡大を実現しているためである。具体的には、透光カバー60の透過率が70%以下であると、透光カバー60内部で迷走して配光が拡大する効果が現れ、透過率60%以下であると、光源50の光線経路とはほぼ無関係に透光カバー60の形状に依存した配光となる。
なお、散乱フィラの含有量を増やす等により透光カバーの透過率を低くして透光カバーの光散乱性を高めた場合、前述のように短波長の光のほうが散乱性が高いために透光カバーの外光による見た目の色が青味を帯びやすくなる。しかし、本発明の実施形態では、透光カバー60の透光カバー吸収率スペクトルRの値を制御することにより、透光カバーの透過率が低くても、透光カバーの外光による見た目の色が青味を帯びにくくなっていることが判明した。
<透光カバー吸収率スペクトル>
透光カバー60は、透光カバー吸収率スペクトルRの値が、所定の値をとる。
ここで、透光カバー吸収率スペクトルRとは、透光カバー60を備えない状態で光源50から放出される全光束の分光スペクトルである第1の分光スペクトルS1と、透光カバー60を備えた状態で光源50から放出される全光束の分光スペクトルである第2の分光スペクトルS2とを用いて、同じ波長の光束同士を下記式(1)のように差し引いて求められる差分スペクトルΔSの光束を、下記式(2)のように、前記差分スペクトルΔSと同じ波長の第1の分光スペクトルS1の光束で割って求められるスペクトルの光束の比率である。ここで、全光束の分光スペクトルは、JIS−C−7801に規定された積分球によるLED電球の全光束測定方法を用いて、観測窓から測定される光を分光輝度計で測定した分光スペクトルである。
ΔS=S1−S2 (1)
R=ΔS/S1 (2)
ここで、第1の分光スペクトルS1、および第2の分光スペクトルS2は、たとえば、横軸を波長(nm)、縦軸を光束(lm)に関連した輝度(cd/m)とした座標に、曲線のグラフとして示される。ここで、縦軸は分光輝度計で評価した輝度値であるが、同じ視野角設定で測定すれば相対的には全光束を示す指標となっており、この同条件での前提により全光束の分光スペクトルとして定義した。厳密には輝度値であるが、以下の相対的な指標である透光カバー吸収率スペクトルRを算出する場合は問題ない測定法である。
また、透光カバー吸収率スペクトルRは、たとえば、横軸を波長(nm)、縦軸を透光カバー吸収率(%)とした座標に、曲線のグラフとして示される。
透光カバー吸収率スペクトルRの値は、たとえば、散乱フィラの材質、顔料や染料で調整することができる。
透光カバー60の透光カバー吸収率スペクトルRは、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値を波長550nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値で割った吸収比率が、通常1.6〜5.0倍である。
また、透光カバー60の透光カバー吸収率スペクトルRは、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値を波長550nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値で割った吸収比率が、通常1.6〜5.0倍であることに代えて、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値を波長600nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値で割った吸収比率が、通常1.7〜5.0倍であってもよい。
さらに、透光カバー60の透光カバー吸収率スペクトルRは、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値を波長550nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値で割った吸収比率が、通常1.6〜5.0倍であり、かつ、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値を波長600nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値で割った吸収比率が、通常1.7〜5.0倍であることが好ましい。
本発明の第1の実施形態のLED電球1は、透光カバー60の透光カバー吸収率スペクトルRが上記範囲内の値を採ることにより、散乱フィラの散乱の波長依存性により外光による透光カバー60の見た目の色が青味を帯びてしまう場合でも、透光カバー60自体の吸収の波長依存性で補償して黄色味方向に回復させることができる。
なお、透光カバー60の透光カバー吸収率スペクトルRの、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値を波長550nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値で割った吸収比率や波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値を波長550nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値で割った吸収比率が5.0倍を超える値であると、LED電球1を点灯したときのLED光源50から放出される光を透光カバー60で長波長側にフィルタする効果大きくなり、照明器具としての色温度を低温側に変動させやすい。
透光カバー吸収率スペクトルRは、視感度の高い波長550nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値が10%以下であると、光利用効率的に好ましい。
なお、従来のポリカーボネートを用いた透光カバーを備えるLED電球では、ポリカーボネートの黄色味を補償するために透光カバーの原料として、550〜600nmの長波長領域の光を優先的に吸収する顔料または染料が添加されることがあった。
本発明の第1の実施形態のLED電球1では、透光カバー60の透過率70%以下であり散乱性が強いため、ポリカーボネート自体の黄色味はほとんど視認できなくなる。このため、本発明の第1の実施形態のLED電球1では、550〜600nmの長波長領域の光を優先的に吸収する顔料または染料の添加量を減少させるかまたは添加しなくて済むようになることから、光利用効率が高くなる。
透光カバー吸収率スペクトルRは、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値が15%以上であると、青色光による体内時計の乱れや眼球への悪影響の懸念を小さくすることができるため好ましい。
透光カバー吸収率スペクトルRは、波長420〜480nmの範囲内で透光カバー吸収率スペクトルRの値が単調減少する形状を示すと、体内時計の乱れや眼球への悪影響を起こしやすい短波長側の可視光を多く吸収するとともに、体内時計の乱れや眼球への悪影響を起こしにくい中波長側の可視光をあまり吸収しないため、照度が高いまま眼球の健康によいため好ましい。
(作用)
LED電球1の作用について図面を参照して説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る電球型の照明装置に外部から光を入射したときの反射光の光線軌道を示す図である。図4は、図3の一部の拡大図である。図3および図4に示されるLED電球1としては、透光カバー60の透過率が50%のものを用いた。
図3および図4に示されるように、LED電球1の透光カバー60の外面から透光カバー60内に入射された入射光71の一部は、透光カバー60内部で散乱フィラにより散乱され、透光カバー60内部で迷走した後に、出射光72として外部へ拡散放出され、出射光72が人の目に入ることになる。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る電球型の照明装置に外部から光を入射したときの見た目の光線軌道を模式的に示す図である。
図5に示されるように、LED電球1の透光カバー60の外面65から透光カバー60内に入射された入射光71の一部は、散乱フィラであるシリカ62によって散乱されて透明樹脂としてのポリカーボネート61中を迷走する。そして、図5に示されるように、透光カバー60の内面66を透過することなく、入射した側の透光カバー60の外面65から出射光72として出射される。
LED電球1の透光カバー60は、透光カバー60の透過率、透光カバー60に分散される散乱フィラ62の粒径、および透光カバー60の透光カバー吸収率スペクトルRの値を所定範囲内に制御することにより、透光カバー60内を迷走する光は短波長ほど強く散乱されるため、外光に起因する透光カバー60からの出射光72は青味を少し帯びた色となる。
なお、この青味は、後述の透光カバー吸収率スペクトルRの値の調整で相殺することにより、外光の下で見た透光カバー60を白色に近くすることができる。
比較のため、従来のLED電球80の作用について図面を参照して説明する。
ここで、従来のLED電球80は、本発明の第1の実施形態に係るLED電球1において、透光カバーの散乱フィラ濃度を変えることにより透過率を86%としたものである。このため、従来のLED電球80は、光散乱性の高くない透光カバー88を備えるLED電球になっている。
図6は、従来の光散乱性の高くない透光カバーを用いた電球型の照明装置に外部から光を入射したときの反射光の光線軌道を示す図である。図7は、図6の一部の拡大図である。
図6および図7に示されるように、従来のLED電球80は、透光カバー88の透過性が高いため、外光は透光カバー88の屈折率界面でフレネル反射するか、透過してLED電球内部で反射した光が再度透過して外部に放出される。このため、透光カバー88内の散乱フィラで迷走して外部に放出される光線はわずかである。したがって、透光カバー88を備えるLED電球80では、本発明の第1の実施形態に係るLED電球1の外光に起因する透光カバーからの出射光が青味を帯びた色となる効果はほとんどない。
図8は、従来の光散乱性の高くない透光カバー88を用いた電球型の照明装置80に外部から光を入射したときの光線軌道を模式的に示す図である。
図8に示されるように、従来のLED電球80の透光カバー88の外面85から透光カバー88内に入射された入射光91のうち入射光91Aは、シリカ62によって散乱されて透明樹脂としてのポリカーボネート61中をあまり迷走せずに進む。そして、図8に示されるように、透光カバー88の内面86を通過することなく、入射した側の透光カバー88の外面85から出射光92Aとして出射される。
一方、入射光91のうち入射光91Bは、シリカ62によって散乱されることなくポリカーボネート61を透過し、透光カバー88の内面86から出射される。この内面86から出射された光は、透光カバー88の他の部分の内面等の部分で反射されることにより内面86から透光カバー88内に再び入射され、透光カバー88の外面85から出射光92Bとして出射される。これらの出射光92A、92Bは散乱フィラであるシリカ62による散乱をほとんど受けていないため、前述したような散乱の波長依存性はほとんど起こらない。
また、図3〜図5に示す、透過率が50%の透光カバー60を備える本発明の第1の実施形態に係るLED電球1と、図6〜図8に示す、透過率が86%の透光カバー88を備える従来のLED電球80とについて、同一条件で、外光に対する透光カバーの色を測定した。透光カバーの色は、JIS−Z−8729に規定されるL表色系の値で評価した。
この結果、本発明の第1の実施形態に係るLED電球1の透光カバー60は、従来のLED電球80の透光カバー88に比較して、L表色系の色座標のbが−3ほど青い方向にシフトすることが判った。
上述のように、透光カバーの透過率を低くすると、LED電球の配光を拡大するという好ましい作用を示す一方で、短波長側で散乱の平均自由行程が短くなることから外光による透光カバーの色が青味を強く帯びるというあまり好ましくない作用も示す。特に透光カバーの透過率が70%以下になると、これらの作用が顕著に表れる。
これに対し、本発明の第1の実施形態に係るLED電球1では、透光カバー60の透過率を70%以下とすることに加え、透光カバー60の透光カバー吸収率スペクトルRの値を、所定範囲内に制御することにより、透光カバーの配光を拡大するという好ましい作用を発現させつつ、透光カバーが青味を帯びすぎず自然な白色に見えるようにしている。
すなわち、透光カバー60の透光カバー吸収率スペクトルRの値を、長波長側の透光カバー吸収率スペクトルRの値が小さくなるように調整して、あるいは短波長側の透光カバー吸収率スペクトルRの値が大きくなるように調整して、長波長側の光を多く出射させることにより、透光カバーが青味を帯びすぎず自然な白色に見えるようにしている。
(第1の実施形態の効果)
本発明の第1の実施形態に係るLED電球1によれば、光散乱性の高い透光カバーでも見た目の色を自然な白色にすることができるとともに、青色発光による体内時計の乱れや眼球への悪影響の懸念を低減させることができる。
この理由について説明する。
ポリカーボネートは、それ自体が黄色味を有する。このため、従来の、透光カバーの透明樹脂としてポリカーボネートを用いたLED電球では、ポリカーボネートの黄色味を補償するために、透光カバー中に、黄色波長の光を優先的に吸収する顔料または染料、具体的には550〜600nmの長波長領域の光を吸収する顔料または染料が加えられて、黄色味を相殺することが一般的であった。
これに対し、本発明の第1の実施形態に係るLED電球1によれば、透光カバー60の透過率を70%以下として外光による見た目の色が青味方向にずれるような構成としていることから上述の顔料または染料の添加量を減らしたり、前記顔料または染料を添加しないようにしたりすることで最適な透光カバー吸収率スペクトルRを実現している。
[第2の実施形態]
図9は、本発明の第2の実施形態に係る蛍光灯型の照明装置を示す断面図である。
図9に第2の実施形態として示され、蛍光灯型の照明装置であるLED電球11は、図1に第1の実施形態として示され、電球型の照明装置であるLED電球1に比較して、口金30が図示しない長手端部にあり、透光カバー60および基材20の形状が異なる点で異なり、その他の点は同じである。
このため、図9に第2の実施形態として示される蛍光灯型のLED電球11では、図1に第1の実施形態として示される電球型のLED電球1と同じ構成に同じまたはAを付加した符号を付し、構成および作用の説明を省略する。
図9に示されるように、蛍光灯型の照明装置であるLED電球11は、下面が曲面状に形成された板状または環状の基材20Aの平面部21Aに実装された光源としてのLED50を透光カバー60Aで覆う形状をしており、全体が、直線状に引き伸ばした棒状の立体形状、または、曲線状に引き伸ばした環状を有している。
LED電球11は、透光カバー60Aは、ポリカーボネート製の樹脂に光を散乱する散乱材を混ぜた材料で押出成型により略直管状または略円環状に形成されている。
透光カバー60Aは、例えば、最大径部68Aが22mm、背面側端部(開口端)67Aの径が14.6mmで、厚さが1mmになっている。
LED電球11は、基材20Aの平面部21AにLED基板50が実装され、このLED基板40上に光源としてのLED50が実装される。LED50は、LED50から放出される光の光度が、前面平坦部21の法線方向で強く、背面側で零となる指向性を有する。LED50は、たとえば、青色LEDの周囲を黄色発光する蛍光体を含む樹脂層で覆われて白色光を発光するものになっている。したがって、LED50は、指向性のある可視光線を放出する光源になっている。
(作用)
図9に第2の実施形態として示される蛍光灯型のLED電球11の作用は、図1に第1の実施形態として示される電球型のLED電球1の作用と同じであるため、説明を省略する。
(第2の実施形態の効果)
図9に第2の実施形態として示される蛍光灯型のLED電球11の効果は、図1に第1の実施形態として示される電球型のLED電球1の効果と同じであるため、説明を省略する。
なお、上述の実施形態では電球形、蛍光灯型の照明装置を説明したが、本発明は透過率70%以下の高い散乱性を有する透光カバーを用いた場合の最適な透光カバー吸収率スペクトルRの値の比率を提示するものであり、照明装置の形態を限定するものではない。
光源も、指向性がつよく透過率70%以下の透光カバーで配光が改善するもので、かつ、420nmから480nmに目立つピークを持つものであれば、LEDに限定するものではない。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されて解釈されるものではない。
[実施例1]
図1に示される形状および大きさの電球型のLED電球1を作製した。
透明樹脂61としてポリカーボネートと、散乱フィラ62として平均粒径2μmのシリカと、短波長領域を吸収する顔料とを用い、これらを射出成型して透光カバー60を作製した。
LED電球1の透光カバー60は、全光線透過率が50%、透光カバー吸収率スペクトルRの値が表2に示す値になるようにした。
図10に、実施例1の透光カバーの透光カバー吸収率スペクトルRを示す。
Figure 2014063568
[比較例1]
従来のポリカーボネート樹脂の黄色味を補償する550〜600nmの長波長領域に吸収を持つ顔料を加えたまま散乱フィラ濃度を上げて全光束透過率を50%とした透光カバーを用いたLED電球を作製した。このLED電球は、透光カバー吸収率スペクトルRの値が表2に示す値になるように調整したものであり、形状や大きさは実施例1と同様にした。
透光カバーの透過率が50%と散乱が強いため外光による見た目の色が青味を帯びてしまう。また、視感度の高い波長領域で吸収率が大きいため光利用効率も悪い。
図10に、比較例1の透光カバーの透光カバー吸収率スペクトルRの値を示す。
(実施例1と比較例1との比較)
実施例1のLED電球は、比較例1のLED電球に比べて、550〜600nmの長波長領域を吸収する顔料を低減して最適な透光カバー吸収率スペクトルRを実現した。
また、実施例2の透光カバーの色をL表色系の色座標で評価したところ、比較例1に比較して色座標b*で+1ほど黄色味方向に補償できていることが判った。
[実施例2]
透光カバー吸収率スペクトルRの値が表2に示す値になるように調整した以外は、実施例1と同様にして電球型のLED電球を作製した。
本実施例は、透光カバー吸収率スペクトルRの値を、相対的に短波長側での透光カバー吸収率スペクトルRの値が大きくなるようにしたものである。
なお、透光カバー吸収率スペクトルRの値を表2に示す値に調整するために、550〜600nmの長波長領域を吸収する顔料の配合量を比較例1に比べて減らすとともに、350〜500nmの短波長領域に吸収を持つ顔料成分を添加した。
図11に、実施例2の透光カバーの透光カバー吸収率スペクトルRを示す。
図11に示されるように、実施例2の透光カバーの透光カバー吸収率スペクトルRは、波長450nmと波長550nm、または波長450nmと波長600nmとの透光カバー吸収率スペクトルRの値のバランスが適正範囲にあるとともに、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値が15%以上と大きくなっている。
また、実施例2の透光カバーの透光カバー吸収率スペクトルRは、420〜480nmでの透光カバー吸収率スペクトルRの値が波長の増加に対して単調減少している。すなわち、人間の視感度が高くなる長波長側の領域で吸収が減少するようになっている。
さらに、実施例2の透光カバーの色をL表色系の色座標で評価したところ、比較例1に比較して色座標b*で+1.5ほど黄色味方向に補償できていることが判った。
実施例2のLED電球によれば、透光カバーの見た目の色が自然な白色であり、見た目の明るさを維持しつつ、青色発光による体内時計の乱れや眼球への悪影響の懸念が低減される。
[実施例3]
透光カバー吸収率スペクトルRの値が表2に示す値になるように調整した以外は、実施例1と同様にして電球型のLED電球を作製した。
なお、透光カバー吸収率スペクトルRの値を表2に示す値に調整するために、実施例1に比較して、散乱フィラとして平均粒径2μmのチタニアをさらに配合した原料を用いて透光カバーを作成した。
本実施例は、散乱フィラとして、シリカに加えて、短波長側で光を吸収する傾向があるチタニアを用いることにより、透光カバー吸収率スペクトルRの値を、相対的に短波長側での透光カバー吸収率スペクトルRの値が大きくなるようにしたものである。
図12は、実施例3に係る電球型のLED電球の透光カバーの断面図である。
図12に示されるように、本実施例の電球型のLED電球1Bの透光カバー60Bは、透明樹脂としてのポリカーボネート61中に、散乱フィラとしてのシリカ62と、散乱フィラとしてのチタニア63とが分散している。
このため、LED電球1Bの透光カバー60Bの外面65から透光カバー60内に光が入射された場合、入射光の一部は、シリカ62およびチタニア63によって散乱されてポリカーボネート61中を迷走するようになっている。そして、透光カバー60Bの外面65から出射光が出射されるようになっている。
図13に、実施例3の透光カバーの透光カバー吸収率スペクトルRを示す。
図13に示されるように、実施例3の透光カバーの透光カバー吸収率スペクトルRは、
波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値が19.5%と高く、かつ、透光カバー吸収率スペクトルRの値の比率は波長550nmに対する波長450nmの場合に2.79、波長600nmに対する波長450nmの場合に3.90と大きくなっている。
また、実施例3の透光カバーの色をL表色系の色座標で評価したところ、比較例1に比較して色座標b*で+2ほど黄色味方向に補償できていることが判った。
[実施例4〜実施例12、比較例2〜比較例15]
実施例1〜3以外にも、様々なサンプルを作製し透光カバースペクトルRと見た目の色味や発光色および効率を評価した。これらは改善効果有無にかかわらず一部を表2に記載した。表2中、散乱フィラとしてのシリカやチタニアを用いた場合に「あり」、用いない場合に「なし」と表示した。
透過率が70%以下となる散乱性の強い透光カバーでは外光による見た目の青味を生じる問題があるが、上述した透光カバー吸収率スペックトルRの範囲とすることで発光特性に不具合を生じることなく青味を緩和することができることを確認した。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以上説明した実施例によれば、光散乱性の高い透光カバーでも見た目の色を自然な白色にすることができるとともに、青色発光による体内時計の乱れや眼球への悪影響の懸念を低減させることができる。
1、1B、80 LED電球(電球型の照明装置)
11 LED電球(蛍光灯型の照明装置)
20、20A 基材
21 前面平坦部
21A 平面部
30 口金
40 LED基板
50 光源(LED)
60、60A、60B、88 透光カバー
61 透明樹脂(ポリカーボネート)
62 散乱フィラ(シリカ)
63 散乱フィラ(チタニア)
65、85 透光カバーの外面
66、86 透光カバーの内面
67 背面側端部(開口端)
68 最大径部
71、91、91A、91B 入射光
72、92、92A、92B 出射光

Claims (9)

  1. 基材と、
    この基材上に設けられ、指向性のある可視光線を放出する光源と、
    前記光源を覆う透光カバーと、を備え、
    前記透光カバーは、透明樹脂中に粒径1μmを超え100μm以下の散乱フィラが分散したものであるとともに全光線透過率が70%以下であり、
    前記透光カバーを備えない状態で前記光源から放出される全光束の分光スペクトルである第1の分光スペクトルS1と、前記透光カバーを備えた状態で前記光源から放出される全光側の分光スペクトルである第2の分光スペクトルS2とを用いて、同じ波長の光束同士を下記式(1)のように差し引いて求められる差分スペクトルΔSの光束を、下記式(2)のように、前記差分スペクトルΔSと同じ波長の第1の分光スペクトルS1の光束で割って求められるスペクトルの光束の比率を透光カバー吸収率スペクトルRとするとき、
    ΔS=S1−S2 (1)
    R=ΔS/S1 (2)
    この透光カバー吸収率スペクトルRは、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値を波長550nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値で割った吸収比率が1.6〜5.0倍であることを特徴とする照明装置。
  2. 前記透光カバー吸収率スペクトルRは、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値を波長600nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値で割った吸収比率が1.7〜5.0倍であることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
  3. 基材と、
    この基材上に設けられ、指向性のある可視光線を放出する光源と、
    前記光源を覆う透光カバーと、を備え、
    前記透光カバーは、透明樹脂中に粒径1〜100μmの散乱フィラが分散したものであるとともに全光線透過率が70%以下であり、
    前記透光カバーを備えない状態で前記光源から放出される全光束の分光スペクトルである第1の分光スペクトルS1と、前記透光カバーを備えた状態で前記光源から放出される全光側の分光スペクトルである第2の分光スペクトルS2とを用いて、同じ波長の光束同士を下記式(1)のように差し引いて求められる差分スペクトルΔSの光束を、下記式(2)のように、前記差分スペクトルΔSと同じ波長の第1の分光スペクトルS1の光束で割って求められるスペクトルの光束の比率を透光カバー吸収率スペクトルRとするとき、
    ΔS=S1−S2 (1)
    R=ΔS/S1 (2)
    前記透光カバー吸収率スペクトルRは、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値を波長600nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値で割った吸収比率が1.7〜5.0倍であることを特徴とする照明装置。
  4. 前記透光カバー吸収率スペクトルRは、波長550nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値が10%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明装置。
  5. 前記透光カバー吸収率スペクトルRは、波長450nmの透光カバー吸収率スペクトルRの値が15%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明装置。
  6. 前記透光カバー吸収率スペクトルRは、波長420〜480nmの範囲内で透光カバー吸収率スペクトルRの値が単調減少する形状を示すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明装置。
  7. 前記光源は、420〜480nmの間にピークを持つ青色光を発光する青色LEDと、この青色LEDから放射された青色光をこの青色光よりも長波長の光に変換する蛍光体とを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の照明装置。
  8. 前記散乱フィラは、シリカを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の照明装置。
  9. 前記散乱フィラは、チタニアをさらに含むことを特徴とする請求項8記載の照明装置。
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