JP2014057700A - ばね付湾曲底運動靴 - Google Patents

ばね付湾曲底運動靴 Download PDF

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Abstract

【課題】歩行の着踵衝撃を吸収緩和して、そのエネルギーを歩行推進力に還元する運動靴は幾つかあったが、この還元効率はまだまだ低く無駄が多かった。着踵時の踏込み高さを好みの高さに調節して、その着踵エネルギーのほぼ全量を吸収緩和して歩行推進エネルギーに還元する歩行並びに下肢鍛錬に適した底(1)運動靴を提供する。
【解決手段】(横から見て)接足面を備えた非撓性の上底(3)の下方に下凸湾曲線を特徴とする接地面を備えた非撓性の下底(2)を配置して、下底(2)の前上方の或る一点と上底(3)の前下方の或る一点を重ねて、蝶番(5)で回動自由に連結して前記上底(3)と前記下底(2)間にばね(6)を設けるか、或いは弾性ヒンジ(51)で屈曲自由に接続するかして、上底(3)に対し下底(2)の後方側が横向きV字(<)状に開閉可能とするばね構造の底(1)を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ばね付湾曲底運動靴であって、歩行サイクル前半の着踵時に着踵衝撃エネルギーをばねに吸収し、それを歩行サイクル後半の体重移動・踏込み時に転がしエネルギーに変換して効率的に推進エネルギーに還元する接地面形状および底構造に関する。
従来、歩行運動靴の殆どの底は、着踵時の足や全身に加わる衝撃負荷を軽減するための種々の緩衝手段を備えているが、必ずしも満足のゆくものではなく、さらに改良の余地があった。なかでも、底の接地面の形状および底内部構造に着目すべき緩衝手段を有する優れた踵底があった。一つ目は、つま先部で一体に接続し後方が上下に開いた非撓性の上底と非撓性の下底で構成し、その踵域にスプリングを底打ちしない構造で備えた底を特徴としている(例えば、特許文献1参照)が、着踵時の底(下底)に掛かる着踵衝撃(エネルギー)は一旦、ほぼ完全にスプリングに吸収されるが、そのエネルギーの足へ伝達され方が、底の踵部からつま先部までの接地面形状が一般靴と同様のほぼ平面形状であるため、接地面の接地点がつま先部に近づく或る位置で、スプリングに吸収されたエネルギーが急激に短時間で還元されることになり、つまり、つま先部位を中心とする踵部が上がる前回転力で還元されるため踵を押し上げる力に還元されるが前進方向の力には巧くは還元できないと云う課題があった。二つ目は、下凸湾曲形の踵底であって、着踵動作を踵底の接地面を転がしながら着踵の衝撃を緩和することを特徴としている(例えば、特許文献2参照)が、踵底の後突出部の長い靴例では、効果も大きいが、狭い場所での立振舞いでは踵底後部が邪魔物であり不便で実用的ではなかった。
特表平9−506804号公表(図1,4,4Aおよび請求項1) 特開2011−36624号公報([請求項1]、[発明の効果]の[0009]段、および図5、17、16b、17b)

[特許文献1]のスプリング組込横V字型底による着踵衝撃(エネルギー)吸収手段と[特許文献2]の湾曲踵底の転がし推進手段を効果的に組合せて、着踵衝撃を吸収緩和し、そのエネルギーのほぼ全量を効率良く、身体重心へ伝達し歩行推進力に還元する発想の運動靴は無かった。ここに、スプリングの作用強度および着踵時の下底(2)の上底(3)に対する開き高さを調節して、着踵衝撃エネルギーのほぼ全量を吸収緩和しながらそれを歩行推進力に還元できる歩行および下肢鍛錬に適した底(1)運動靴を提供する。
請求項1の運動靴は、(横から見て)接足面を備えた非撓性の上底(3)前下方の或る一点と、下凸湾曲線で曲率半径が、「後方端の接地点から踝(K)までの距離以上で中央部の接地点から股関節までの距離以下の長さ」を特徴とする接地面を備える非撓性の下底(2)前上方の或る一点を、蝶番(5)または弾性ヒンジ(51)で後方が横V字(<)状に開閉できるように連結または接続し、閉止具(3d)および開度調節装置(7、71、72)を用いて前記下底(2)後方が前記上底(3)に対して或範囲内で開閉するように制限し、前記下底(2)と前記上底(3)間にばね(6)を設けて常に開くように付勢するか、又は前記弾性ヒンジ(51)のばね作用を用いて常に開くように付勢するかした底(1)を用いる。そして、前記ばね(6)作用能力または前記弾性ヒンジ(51)曲げ作用能力を利用者の着踵運動量を全量吸収できるように調節して使用する。
請求項2の運動靴は、前記下凸湾曲線が、円弧または楕円弧の単曲線、または円弧および楕円弧の曲率の異なる2種以上を接線方向で接合する合曲線で成る請求項1の手段を用いる。
請求項3の運動靴は、(横から見て)円弧状の板ばね弾性ヒンジ(51)であって、前記弾性ヒンジ(51)の円弧内側に設けて前記弾性ヒンジ(51)内側円弧面を円柱壁面で支持して曲り方向を案内する弾性ヒンジ案内具(52)を備えることを特徴とする請求項1〜2の手段を用いる。
請求項4の運動靴は、装置全体を前記下底(2)と前記上底(3)との間の前方部位に位置付けて、下底(2)前方上面中央に接続して備える対の取付部材(2d)のピン孔(2e)に駆動ピン(7a)を回動自由に挿入して対の駆動アーム(7b)の前方部位の内側面に駆動ピン(7a)の両端を接続して前記駆動ピン(7a)と前記対の駆動アーム(7b)を一体とし、前記駆動アーム(7b)の後方端側の摺動溝孔(7d)に摺動可能に左右対の案内ピン(7e)を挿入して、前記上底(3)に元部を固定する取付部材(3g)に設けた上下抜け壁の摺動室(7f)に前後摺動可能に挿入したピン支持部(7g)に前記案内ピン(7e)の両内端を接続し一体として、前記摺動室(7f)の後方端の壁に設けたネジ孔(7i)に、摘み(7m)を設けたネジ送り棒(7h)を後方から通して前記ネジ送り棒(7h)の前方先端部に伝動板部(7j)を、前記ピン支持部(7g)の後方部の受動室(7k)に挿入して抜き出し不可に接続した、前記摘み(7m)を回して前記案内ピン(7e)を前後に駆動して開度(β)を連続的に調節する開度調節具(7)を備えた請求項1〜3の手段を用いる(図24、25参照)。そして下底(2)の上底(3)に対する開度(β)、即ち着踵に要する踏込み高さである開き高さ(h)を調節して使用する。
請求項5の運動靴は、前記下底(2)の上層中央凸部(2c)上面に1列の複数半円筒内壁溝(8c)を設けた軸受部材(8a)と前記上底(3)の下面に左右対の複数半円筒内壁溝(8c)を設けた軸受部材(8b)と、前記下底(2)側が1軸の支持軸(61a)で前記上底(3)側が左右対軸の支持軸(61b)を特徴とする板ばね(61)作用強度調節具(8)を備える請求項1〜2の手段を用いる。
請求項6の運動靴は、圧縮コイルばね(62)または引張コイルばね(63)の両端の取付け部を前記下底(2)と前記上底(3)の対面部に設けた、ばね取付け部(62a、b、63a、b)に着脱して作用強度を加減調節することを特徴とする請求項3の手段を用いる。
請求項7の運動靴は、前記下底(2)の後方上層(2b)の両側に、両端コ型のアーム板(9a)の一端をピン(9b)で固定し他端に軸(9c)と接地ローラ(9d)を備えて前記アーム板(9a)の前記ピン(9b)に対向する内側面と前記ピン(9b)軸間に後転向きに付勢するコイルばね(9e)を設け、さらに前記ピン(9b)後方位置に前記アーム板(9a)の後転を制限するストッパー(9f)を設けて構成する逆転防止具(9)を備えた請求項1〜6の手段を用いる。
請求項1の手段により、歩行工程の前半である着地始めから全体重が載る迄の着踵では、下底(2)を支持するばね(6)または弾性ヒンジ(51)が圧縮または曲り変形して着踵衝撃を吸収緩和する。続く歩行工程の後半である体重移動・踏込み・踏切では、全体重を載せた下底(2)接地面が転がって体重心が前進すると、体重を支持する接地点は下底(2)の転がり角度位置に応じて蝶番(5)または弾性ヒンジ(51)位置下に近づきながら、ばね(6)に掛る力または弾性ヒンジ(51)に掛る曲げモーメントが小さくなり、遂に前記位置下にくると、ばね(6)に掛る圧縮力または弾性ヒンジ(51)に掛る曲げモーメントがゼロとなり即ち圧縮または曲り変形は体重支持負荷から解放されて元に戻る。このようにして圧縮または曲げの変形吸収エネルギーのほぼ全量は、下底(2)接地面の湾曲線形状を無駄無理の無い転がしに適した曲率半径に制限して安定した転がし易い湾曲接地面とした接地面転がり支持方法とすることにより、転がり角度位置に応じてスムーズに推進力に変換されて、底(1)足脚上に支持される体重心(腰)へ伝達されて歩行推進力に還元される。従って、効率良く歩行できる。
請求項2の方法(手段)により、接地面をより転がり易い効率的な形状となり、且つ製造し易い経済的な形状となる。
請求項3の手段は、弾性ヒンジ(51)に掛る最大曲げ応力を小さく抑えて曲げ弾性強度を大きくできる。
請求項4の手段により、下底(2)と上底(3)間の開度(β)、即ち着踵開始から終了までの着踵に要する踏込み高さである開き高さ(h)、言い換えると、着踵運動量を、利用者の利用目的や体力に合わせて増減することが可能となる。
請求項5の手段により、請求項1〜2の手段の板ばね(61)作用の強度調節が可能となる。
請求項6の手段により、請求項3手段の弾性作用を容易に加減調節できる。
請求項7の手段により、請求項1〜6の手段の運動靴を、一般の運動靴の安定性に近づけて不完全ではあるが、安定した休歩立脚が可能となる。
本発明の運動靴による歩行は、歩行のほぼ全工程が、ばね作用で常時前回転力が作用する下底(2)湾曲接地面の転がし運動であっつて、常に足筋肉と平衡感覚を働かす必要があるため、他の運動靴と違った履き心地と運動効果が得られる。また、請求項1〜6の運動靴は逆転防止具(9)を目的的に省略した形態であるが、休歩立脚のできる安定した静止立ち位置が全く無く転がり易いため、常に足脚腰筋肉と平衡感覚を働かす必要があり、下肢鍛錬歩行に適した運動靴となる。また、請求項7の運動靴は履いて立っているだけでも平衡感覚や足脚腰筋肉の鍛錬になり、いわゆる現代社会の運動不足の解消に打って付けの運動靴と成り得る。
図1は本発明の実施例1で、板ばね(61)付き蝶番(5)型の代表的な底(1)運動靴の正面図である。 図2は図1の上底(3)接足面を水平線に合せた時の正面図である。 図3は図2の下方から見た、一部下底(2)切欠き図を含む平面図である。 図4は図2のAA視点から見た下底(2)および上底(3)の側面図である。 図5は図2の下底(2)正面の中央断面図である。 図6は図5のBB視点から見た側面断面図である。 図7は図2の板ばね(61)の拡大正面図である。 図8は図7の板ばね(61)上側の上ばね板部分の拡大平面図で、図の上半分は下から見た図である。 図9は図7の板ばね(61)下側の下ばね板部分の拡大平面図で、図の上半分は下から見た図である。 図10は図7の板ばね(61)を後から見た拡大側面図である。 図11は図2の不連続式開度調節具(71)の拡大正面図である。 図12は図11の拡大平面図、上半分はCC視点から見た拡大平面の断面図である。 図13は図2の逆転防止具(9)の付勢用コイルばね(9e)の取付け位置の説明図である。 図14は実施例1運動靴の歩行動作と底(1)動態の関係説明図である。 図15は実施例2で、実施例1の下底(2)接地面形状の横断面形状を円弧に変えた事例の説明図である。 図16は図15のDD視点から見た側面断面図である。 図17は実施例3で、下底(2)接地面を前後に長くした代表的な下肢鍛錬用運動靴の正面図である。 図18は実施例3運動靴の歩行動作と底(1)動態の関係説明図である。 図19は実施例4で、代表的な弾性ヒンジ(51)型の底(1)運動靴の正面図である。 図20は図19の一部切欠き図およびEE断面図を含む、下から見た平面図である。 図21は図19の弾性ヒンジ(51)の中央断面の拡大正面図である。 図22は図19の右(後方)から見た拡大側面図で、右半分はFF視点から見た拡大断面図である。 図23は実施例5で、横から見た接地面の線形が円弧楕円弧接合の下底(2)で成る底(1)運動靴の正面図である。 図24は図23の連続式開度調節具(7)の部分断面図を含む拡大正面図である。 図25は図24の部分断面図を含む平面図である。
本発明の実施の形態について述べる。運動靴(10)は足支持用の甲被(4)と足受台の底(1)で構成し、底(1)は接足面を備えた非撓性の上底(3)前下方の或る一点と、(横から見て)下凸湾曲線で曲率半径が、「後方端の接地点から踝(K)までの距離以上で中央部の接地点から股関節までの距離以下の長さ」を特徴とする接地面を備える非撓性の下底(2)前上方の或る一点を、蝶番(5)または弾性ヒンジ(51)で後方が横V字(<)状に開閉できるように連結または接続し、閉止具(3d)および開度調節装置(7、71、72)を用いて前記下底(2)後方が前記上底(3)に対して或範囲内で開閉するように制限して、前記下底(2)と前記上底(3)間にばね(6)を設けて常に開くように付勢するか、又は前記弾性ヒンジ(51)のばね作用を用いて常に開くように付勢するかした構成である。そして、前記ばね(6)作用能力または前記弾性ヒンジ(51)曲げ作用能力を、利用者の着踵運動量を全量吸収できるように設定、調節して用いる。
詳しく述べると、上底(3)は、スケート靴の様に接足面の部分は柔らかな材質で、その下の足受台部は体重および運動負荷をどの方向から受けても撓まないような剛性、強度を備えた材質、構造である。下底(2)は、接地面は滑りにくい地面グリップ力のあるゴム材質を用い、背後の支持部は強度と剛性を備える軽金属や強化プラスチック等で構成する。
下底(2)接地面の横から見た形状は、転がりに適した下凸湾曲線形としその曲率半径を前記の通りに利用者の歩行動作に無駄無理の生じない長さに限定する。さらに、前記下凸湾曲線を、円弧または楕円弧の単曲線、または円弧および楕円弧の曲率の異なる2種以上を接線方向で接合した合曲線にすると、製作し易く且つ転がり易くなり歩行推進力が高くなる。着踵衝撃を吸収緩和してそのエネルギーを歩行推進エネルギーに還元する構造には、下底(2)と上底(3)が1軸回りに往復回動する蝶番(5)構造と圧縮用ばね(6)を組合せる方式と、曲げ弾性を用いてあたかも1軸回りに往復回動する弾性ヒンジ(51)を用いる方式の2方式があるが、どちらも有効な方式である。前者は高性能化に適し、後者はシンプル・低廉化に適している。ばね(6)としては、板ばね(61)と圧縮コイルばね(62)が一般的で有効であるが、前者は底(1)高性能化に適し、後者は低廉化に適している。弾性ヒンジ(51)は、約200°前後の広角度の円弧状のばね弾性ヒンジ(51)の内側円弧面を少し小径の円柱壁面の弾性ヒンジガイド具(52)で支持して曲げ方向を案内すると、曲げ方向の精度を上げるとともに局部的な曲げを防いで最大曲げ応力を小さく抑え、弾性強度の強化を図ることができる。ばね(6)および弾性ヒンジ(51)の付勢は、弾性率を効果的に上げ、歩行推進力の向上に繋がるため、後述する開度調節具(7、71、72)を用いて、予め圧縮または屈曲させて使用範囲内の弾性率を高めるように取付けるとよい。
閉止具(3d)は、着踵時の体重支持負荷によって、横V字状に後方が開いた下底(2)と上底(3)が、ばね緩衝能力を超えて閉じられ押当る衝撃力を受止めるための仕組み(道具)であって、下端の押当部がゴムやプラスチック等で成る角形部材を上底(3)後方下部位に接続して設ける。そして、対向する下底(2)後方上部にゴム等で成る押当部(2e)を設けて、前記上底(3)側の閉止具(3d)押当部で前記下底(2)側の押当部(2e)を受け止めるようにする。
開度調節装置(7、71、72)は、装置を前記下底(2)と前記上底(3)との間の前方部の蝶番(5)または弾性ヒンジ(51)の後方近傍に設けると、他の位置に比べ小空間内に強度確保しながらコンパクトに納まる。実施の形態は開度を階段状に調節する不連続方式開度調節具(71)と自由に設定できる連続方式開度調節具(7)の2方式があり、更に調節無しの開度制限具(72)がある。不連続方式開度調節具(71)は、下底(2)の蝶番(5)直後上に設ける開止板(71a)を設け、内部で前後に摺動可能に挿入された段状受板(72c)を備える受止箱(71b)を前記開止板(71a)の後方の上底(3)下面に接続して設ける。そして、受止箱(71b)の中央の窓(71h)から手前に突き出して設けた摘みを兼ねた指針(71f)を摘んで、段状受板(71c)を受止箱(71b)の前方に出し入れし開止板(71a)の回動上限を制限、調節する方法である。段状受板(71c)を、指針(71f)を摘んで望む目盛(71d)位置に摺動し、固定ネジ(71e)で受止箱(71b)に固定し開止板(71a)の回動範囲(W)を調節する(図11,12参照)。連続方式開度調節具(7)は、装置全体を前記下底(2)と前記上底(3)との間の前方部位に位置付けて、下底(2)前方上面中央に接続して備える対の取付部材(2d)のピン孔(2e)に駆動ピン(7a)を回動自由に挿入して対の駆動アーム(7b)の前方部位の内側に駆動ピン(7a)の両端を接続し、前記駆動ピン(7a)と前記対の駆動アーム(7b)を一体とする。そして前記駆動アーム(7b)の後方端側の摺動溝孔(7d)に摺動可能に左右対の案内ピン(7e)を挿入して、前記上底(3)に元部を固定する取付部材(3g)に設けた上下抜け壁の摺動室(7f)に前後摺動可能に挿入したピン支持部(7g)に前記案内ピン(7e)の両内端を接続し一体として、前記摺動室(7f)の後方端の壁に設けたネジ孔(7i)に、摘み(7m)を設けたネジ送り棒(7h)を後方から通して前記ネジ送り棒(7h)の前方先端部に伝動板部(7j)を、前記支持部(7g)の後方部の受動室(7k)に挿入して抜き出し不可に接続して構成する。これにより、摘み(7m)の回転で前記案内ピン(7e)を前後自由に駆動して、開度(β)を連続的に調節することができる(図24,25参照)。開度制限具(72)は、前記下底(2)前方上面中央に接続する駆動ピン(72a)を駆動アーム(72b)の前方端孔(72c)に挿入して回動自由に固定し、後方端側の開度がゼロから所定範囲まで摺動可能な溝孔長さの摺動溝孔(72d)に摺動可能に案内ピン(72e)を挿入して前記上底(3)に元部を固定する取付け部材(3f)に接続固定したもので、開度範囲は常に一定の簡素な構造である(図21,22参照)。
ばね作用調節具(8)は、下底(2)と上底(3)の間の空間に設ける。ばね(6)上端取付け部を上底(3)下面に接続する取付け部材に、ばね(6)下端取付け部を底(2)上面に接続する取付け部材にそれぞれ取付けて、ばね(6)作用位置を前後方向に変更し、即ち支点から作用点までの距離を変えて、下底(2)が上底(3)に対して屈伸し体重支持する弾性力を調節する。実施例としては、板ばね(61)の作用位置を複数の半円筒内壁溝(8c)を設けた作用位置変更用の軸受部材(8a、8b)で変更する構造(図7〜10)を示した。
弾性ヒンジ(51)方式の強度調節方法は、圧縮コイルばね(62)用および引張コイルばね(63)用の取付台(62a,b,63a、b)を下底(2)と上底(3)の対面部に設ける。そして使用方法は、利用者の体重や要求運動に対して弾性ヒンジ(51)が強度不足を生ずる時は適度な強度の圧縮コイルばね(62)を、強度過剰を生ずる時は適度な強度の引張コイルばね(63)を、数種類を1組とする事前準備品の中から1種類を選んで取付けて加減調節する方法である(図19,20参照)。
逆転防止具(9)は、下底(2)の後方支持枠(2b)の両側にストッパー(9f)を設け、両端コ型のアーム板(9a)の一端をピン(9b)で固定し他端に接地ローラ(9d)を備えて、前記ストッパー(9f)の前方に位置付けストッパー(9f)で前転の限度角度を設定し前記アーム板(9a)のピン(9b)に対向する内側面とピン(9b)軸間にアーム板(9a)を前転向きに付勢するコイルばね(9e)を設けて構成する。これにより、一旦休歩立脚接地点(P)を越えてから立止って踵側へ全体重を掛けると、接地ローラ(9d)は設定した角度で後転が止るため、やや不安定ではあるが休歩のための静止立ちが可能となる(図1〜3,13参照)。
底(1)運動靴の利用方法を述べる。底(1)運動靴は、利用者の体重または目標運動量に、蝶番(5)方式のばね(6)作用強度または弾性ヒンジ(51)の弾性強度と、下底(3)の開度(β)を適合するように調節してから使用することが重要である。先ず、ばね(6)または弾性ヒンジ(51)の弾性強度調節方法は、底(1)運動靴を履き両手で椅子等に掴まりながら片脚は踏込み代(高さ)約10cmの台上につま先を上げ靴踵後端で別脚を添えて立ち、その別脚は台無し地面にその場で踏み替えて靴踵後端で立てる態勢で立つ。そして、一気に脚踏み替えを実施し、下底(2)上底(3)の横V字形の開きがほぼ100%閉じる状態に弾性強度を調節することである。すると、体重が約10cmの高さから落下する衝撃エネルギー、即ち着踵衝撃をほぼ全量吸収緩和できることとなる。次に、下底(2)と上底(3)の開度(β)即ち踏込み代(開き高さ)を調節する。普通の歩行に近い歩行を望む場合は開き高さ(h)をh=4〜5cm程度に設定し、高速歩行や下肢鍛錬を望む場合は開き高さ(h)をh=8〜10cm程度に調節、設定して使用する。
以上に説明した本発明の底(1)運動靴は、歩行工程前半の着地〜体移動完までの着踵動作を、体姿勢バランスをとりながら実施すると、ばね(機能)の弾性変形で着踵衝撃をほぼ全てを吸収緩和できる。続いて歩行工程後半の体重移動・踏込み・踏切り動作を、支持脚足で体姿勢バランスをとりながら底(1)下底(2)の湾曲接地面転がし推進を実施すると、上記の吸収緩和された着踵衝撃エネルギーのほぼ全量を歩行推進力に還元することができる。要約すると、本底(1)運動靴は、着踵衝撃を緩和吸収して、そのエネルギーのほぼ全量を推進力に還元できる高効率の運動靴である。
実施例1は本発明の基本の代表的な底(1)運動靴の1例で、下底(2)接地面形状が進行方向の水平真横から見て半径(R)がR=40cmの円弧(車輪片状)の例である。以下、運動靴は左右対称であるため、全実施例について右側のみ図示する。図1は本発明の実施例1で、板ばね(61)付き蝶番(5)型の代表的な底(1)運動靴の正面図である。図2は図1の上底(3)接足面を水平線に合せた時の正面図である。図3は図2の下方から見た、一部下底(2)切欠き図を含む平面図である。図4は図2のAA視点から見た下底(2)および上底(3)の側面図である。図5は図2の下底(2)正面の中央断面図である。図6は図5のBB視点から見た側面断面図である。図7は図2の板ばね(61)の拡大正面図である。図8は図7の板ばね(61)上側の上ばね板部分の拡大平面図で、図の上半分は下から見た図である。図9は図7の板ばね(61)下側の下ばね板部分の拡大平面図で、図の上半分は下から見た図である。図10は図7の板ばね(61)を後から見た拡大側面図である。図11は図2の不連続式開度調節具(7)の拡大正面図である。図12は図11の拡大平面図、上半分はCC視点から見た拡大平面図である。図1に示す様に、運動靴(10)は甲被(4)と底(1)で構成し、底(1)は半径R=40cmの円弧形状の接地面を備える非撓性の下底(2)前方上部の両側に設ける軸部(5a)と非撓性の上底(3)前方下部に設ける軸孔部材(3c)の蝶番孔(5b)を回動自由な蝶番(5)方式で連結し、後方部のストッパーである閉止具(3d)と前方部に設ける不連続式開度調節具(71)で開度範囲を0〜6cmに制限して、後方部側の板ばね(61)は下底(2)と上底(3)が常に横V字状に開くように付勢して下底(2)後上部および上底(3)後下部に設ける軸受部材(8a、8b)の半円弧内壁溝(8c)に取り付ける。図1は片脚側にほぼ全体重を載せて休歩立脚した時の状態図であって、下底(2)後端部の逆転防止具(9)の作用で踵立ちした図である。この時の休歩立脚時の接足角度(α)はα=6.5°で、支持底(1)の休歩立脚できる重心位置範囲は、下底(2)の休歩立脚接地点(P)と逆転防止具(9)接地点のほぼ中間点位置以後から逆転防止具(9)接地点までの範囲で、他の運動靴と比べと非常に狭く不安定な底(1)運動靴例である。因みに、前記休歩立脚接地点(P)に重心を置いて底(1)で立脚すると、板ばね(61)の働きで底(1)が前に転がってしまう。
以下、構造および働き等を詳しく述べる。下底(2)は、図5に示すように、剛性の金属またはプラスチック製の上層(2b、2c)の下側にグリップ力のある合成ゴム製の下層(2a)を重ねて前後端周部を上に曲げて覆い被せた構造で、接地面外周が半径(R)R=40cmの円弧形の合成体である。そして、前方部の蝶番(5)直後上部に開度調節用の開度板(2d)を、後方上部の中央に板ばね(61)調節用の複数半円筒内壁溝(8c)を設けた軸受部材(8a)を、後方両側部に逆転防止具(9)を備える。上底(3)は、柔軟質の接足面を構成する上層を剛質非撓性の金属、プラスチックおよびゴム等で構成する板状の下層で支える構造で、前記下層の前端下方部に図2、3に示す左右対の軸孔部材(3c)を、前方下部に図11に示す開度調節用の開度受止箱(71b)を、後方下部に図8に示す板ばね(61)作用強度調節用の複数半円弧溝(8c)を設ける左右対の軸受部材(8b)を、後端下方部に図1に示すように下底(2)後上端部の押当部(2f)を受け止める閉止具(3d)を備える。不連続方式開度調節具(71)は、図1および図11、12の拡大図に示すように、下底(2)の蝶番(5)直後上に設ける開止板(71a)を上底(3)前方部下面に接続する開度受止箱(71b)内を前後に摺動可能に挿入された段状受板(71c)を、摘みを兼ねた指針(71f)を摘んで開度位置を示す目盛(71d)(左端が0で右端が10cmの11目盛である)の開度6に合せ、固定ネジ(71d)で位置決めした例である。因みに、図11の実施例1開止板(71a)の回動自由範囲は、矢印Wで示すように、開度(β)β=0〜6cmの範囲である。板ばね(61)は、図7〜9に示すように、ばね下端の中央部に軸受部材(8a)幅より少しだけ幅広く切欠いて露出した図9の下端支持軸(61a)を下底(2)の軸受部材(8a)の後端の半円筒内壁溝(8c)に、図8に示すばね幅の両側外へ突き出た上端支持軸(61b)を上底(3)の軸受部材(8b)後端の半円筒壁溝(8c)に嵌め込み、ばねの上下に開き押す復元力で取付けてある。板ばね(61)は、下底(2)上底(3)閉時の横U字形の収縮状態を拡大図で示しているが、後方が開くにつれて上下の水平板部は後方部がより多く外側へ反りかえる。左端部の半円弧部はやや広がる。そして、右端の支持軸(61c)部を除き、全体が板ばねであり、下底(2)と上底(3) が閉じた時の間隔を小さく設定できるのが特徴である。板ばね(61)作用強度の調節は、作用点位置を蝶番(5)支点へ近づけると弱まり後方(右)へ離すと強まる「梃(てこ)の原理」を用いている。その調節の手順は、右端の開き止板(61d)のピン孔(61e)にピンを挿入して開かないようにしてから下底(2)と上底(3)を開き、板ばね(61)を左右に移動して軸受部材(8a)の望む半円筒内壁溝(8c)に支持軸(61a、b)を、上下底(2、3)を閉じながら嵌め込み、位置変えして不連続開度調節具(71)の開度をゼロに戻す。そして、下上底(2、3)の開く動きを抑えながらピンを抜き、上限まで開くと位置変りして、板ばね(61)作用強度の調節が完了する。逆転防止具(9)は図2、3に示すように下底(2)の後方支持枠上層(2b)の両側に、両端コ型のアーム板(9a)の一端部をピン(9b)で固定し他端先端部に接地ローラ(9d)を備えて前記アーム板(9a)のピン(9b)に対向する内側面とピン(9b)軸間に後転向きに付勢するコイルばね(9e)を図13に示すように設け、さらに前記アーム板(9a)の回転範囲をピン(9b)回りの回転角度で180°から直下の接地面に対してほぼ直角度(270°)までに制限する押当面角度270°のストッパー(9f)をピン(9b)後方の下底(2)の後方支持枠上層(2b)の両側位置に設けて構成する。そして接地ローラ(9d)とアーム板(9a)は着踵時には地面で押され前方回転し退避する(図14(ア)〜(エ)参照)が、一旦、休歩立脚接地点(P)を越える(踏込みをする)と、逆転防止具(9)の接地ローラ(9d)とアーム板(9a)が起立して、踵立ちしてもアーム板(9a)の後転はストッパー(9f)で止められ、逆転を防止できる。
実施例1運動靴の働きについて、概略の概念を、歩行動作と底(1)の働き状態の関係例を挙げて説明する。図14は実施例1運動靴の歩行動作と底(1)動態の関係説明図である。(ア)〜(カ)が支持脚運動靴の歩行進行状態図である。(ア)は足傾き(γ)が後傾(γ=−15°)15°、上下底(2、3)の開度(β)β=15°(開き高さh=6cm)で着地開始する時の状態図である。(イ)は足傾き角度(γ)後傾15°を保った状態で体移動を支持しながら着踵完了し開度がβ=0°に閉じて着踵衝撃を吸収緩和した状態図であり、踝(K)位置の踏込み長(η)を矢印ηで、底(1)転がり長さ(δ)をδ(=0)で示す。(ウ)は底(1)が前記(イ)から約1°前傾した転がり移動開始状態を示す。(エ)は体重移動が進み(ウ)から転がり長さ(δ)δ=8cmほど底(1)転がりして接地面上の接地支持点が前方に移動し、板ばね(61)に掛る蝶番(5)回りの回転力が小さくなって開度(β)がβ=5°に開いている状態であり、この時、板ばね(61)に吸収された着踵衝撃エネルギーの約1/3が解放されて、転がる底(1)で踝(K)を介して支持する体重心の推進エネルギーに還元されている状態図である。(オ)は(エ)より更に体重移動と転がり長さ(δ)8cmの底(1)転がりが進み、開度(β)がβ=10°に開いて、更に板ばね(61)吸収エネルギーの1/3が解放され歩行推進エネルギーに還元されている状態図である。(カ)は(オ)より更に体重移動と転がり長さ(δ)δ=8cmの底(1)転がりが進み、開度(β)がβ=15°に全開して板ばね(61)吸収エネルギーの残りの1/3が解放され、結果として着踵衝撃エネルギーのほぼ全量が歩行推進エネルギーに還元された状態図である。因みに、接地面形状の外周半径(R)の影響は、半径(R)Rが小さくなると、(イ)図の下側のXで示す細線のように、着踵動作段階で底(1)転がりが生じて、板ばね(61)に吸収される着踵衝撃エネルギーの還元時点が早まり、反対に半径Rが大きくなると、歩行動作に対し還元時点が遅くなる。
以上の説明図から分かるように、本発明の底(1)運動靴は、着踵時に着踵衝撃を吸収緩和し、底(1)転がり時に吸収された着踵衝撃エネルギーを転がり度合に応じてほぼ一定割合で自動的に歩行推進エネルギーに還元する優れた歩行運動靴である。
実施例2は、進行の方向転換をし易くするために実施例1の接地面を横断面円弧形として、支持脚の横傾斜底転がしができる小回り歩行に適した底(1)運動靴の代表例である。図15は実施例2で、実施例1の下底(2)接地面形状の横断面形状を円弧変えた事例の説明図である。図16は図15のDD視点から見た側面断面図である。説明すると、実施例2は接地面以外の構造、機能は実施例1と同一とし、接地面形状を、縦(中央)断面半径(R)をR=40.8cm、横断面半径(r)をr=5cmとした例で、結果的に下底(2)の上層(2b)部分(図16)が図6に対して0.8cm高くなった実施例である。例えれば、自転車タイヤの接地面のように、横断面が円弧形で、方向を変える曲り転がりに優れた接地面形状である。
実施例3は、下底(2)が上底(3)に対して前後に長く突き出す長底の代表例である。図17は実施例3で、下底(2)接地面を前後に長くした代表的な下肢鍛錬用運動靴の正面図である。上底(3)後端下部の閉止具(3d)を除く、全ての装置および部材の構造が実施例1と同一の例であって、下底(2)が前後に長くなることにより、一歩当たりの必要運動量および推進力が増大する例である。前記閉止具(3d)下端の下底(2)に対する面の形状は、下方から上昇して当たってくる下底(2)押当部(2f)の押当面形状を型押した、いわゆる雌型形であって、端部の全押当面で受止める構造(形状)である。その他の構造の説明は実施例1と同一のため省略する。本実施例のような底(1)転がしが主動作である運動靴にあっては、締結具(41)は重要である。足の底屈・背屈回転時に足裏と接足面(運動靴)が常に確りと固定されていないと、力の伝達(足と底(1)間の)が不完全となり、底(1)転がし動作に無駄が生じるばかりでなく危険でもある。従って、踵(K)部とつま先元の足拇指球(Z)部の2個所で足裏と接足面を常に確りと固定する締結具(41)が好ましい。また、フィギュアスケート靴のように、足首上まで紐締めして足首を保護する半長靴型等も好ましい。
実施例3運動靴の働きについて、概略の概念を、歩行動作と底(1)の働き状態の関係例を挙げて説明する。図18は実施例3運動靴の歩行動作と底(1)動態の関係説明図である。実施例3は実施例1よりも、下底(2)が前後に3cm長く開度(β)がβ=25°(開き高さh=10cm)と広い例である。(ア)〜(カ)が支持脚運動靴の歩行進行状態図である。(ア)は足傾き角度(γ)が後傾(γ=−25°)25°、上下底(2、3)の開度(β)β=25°(開き高さh=10cm)で着地開始する時の状態図である。(イ)は底(1)の足傾き角度(γ)がγ=−25°、即ち後傾25°を保った状態で体移動を支持しながら着踵完了し開度がβ=0°に閉じて着踵衝撃を吸収緩和した状態図であり、矢印ηで示す踝(K)位置の踏込み長さ(η)がη=10cmで、底(1)転がり長さ(δ)δ=0の転がり無しである。(ウ)は底(1)が前記(イ)から約7°前傾した転がり移動開始状態を示す。(エ)は体重移動が進み(ウ)から転がり長さ(δ)δ=9cmほど底(1)転がりして接地面上の接地支持点が前方に移動し、板ばね(61)に掛る蝶番(5)回りの回転力が小さくなって開度(β)がβ=8°に開いている状態であり、この時、板ばね(61)に吸収された着踵衝撃エネルギーの約1/3が解放されて、転がる底(1)で踝(K)を介して支持する体重心の推進エネルギーに還元されている状態図である。(オ)は(エ)より更に体重移動と転がり長さ(δ)δ=9cmの底(1)転がりが進み、開度(β)がβ=17°に開いて、更に板ばね(61)吸収エネルギーの1/3が解放され歩行推進エネルギーに還元されている状態図である。(カ)は(オ)より更に体重移動と転がり長さ(δ)δ=9cmの底(1)転がりが進み、開度(β)がβ=25°に全開して板ばね(61)吸収エネルギーの残りの1/3が解放され、結果として着踵衝撃エネルギーのほぼ全量が歩行推進エネルギーに還元された状態図である。(カ)以後は長いつま先底による踏切りと慣性力によって踝(K)を押し上げながら推進力を付加できる。以上から分かるように、実施例3は実施例1よりも運動量および推進力が大きく、下肢鍛錬に適している。
実施例4は、下底(2)と上底(3)の前方部を弾性ヒンジ(51)で接続し後方部が横V字(<)状に開閉できるようにした弾性ヒンジ(51)方式の湾曲底運動靴の代表例である。図19は実施例4で、代表的な弾性ヒンジ(51)型の底(1)運動靴の正面図である。図20は図19の一部切欠き図およびEE断面図を含む、下から見た平面図である。図21は図19の弾性ヒンジ(51)の中央断面の拡大正面図である。図22は図19の右(後方)から見た拡大側面図で、右半分はFF視点から見た拡大断面図である。図に基づき説明すると、下底(2)接地面形状の半径(R)がR=40cm、開き高さ(h)がh=約10cmで、逆転防止具(9)を装備しない例である。前記上底(3)前方部の下部に設けた図21、22に示す逆さ複雑門型の取付部材(3e)の底上面(3e1)に、水平0°から半時計回りで約225°の円弧状の弾性ヒンジ(51)の前記水平0°端を接続し、他端の約225°端部に前記下底(2)前端を接続した弾性ヒンジ(51)方式で、図21に示す弾性ヒンジ(51)の円弧中心点(P)の少し後方に中心点(P)を持つ円柱外面を備えた前記取付部材(3e)に接続する弾性ヒンジ案内具(52)と下底(2)上層中央凸部(2c)に接続するヒンジガイドバー(53)を設けた例である。そして、前記弾性ヒンジ(51)円弧が、歩行着踵時の下底(2)後端支持で開度がほぼ閉じた時に、後方の弾性ヒンジ案内具(52)円柱外面に約200°前後まで巻き付くように構成すると良い。図21、22に示す開度制限具(72)は開き高さ(h)をh=0〜10cmの範囲に制限する例で、下底(2)前方上面の上層中央凸部(2c)近傍の上層(2b)にコ型の元部(2端)を接続して備える駆動ピン(72a)を駆動アーム(72b)の前方端孔(72c)に挿入して回動自由に固定し、後方端側の開き高さ(h)がh=0〜10cmの範囲を摺動可能な溝孔長さの摺動溝孔(72d)に摺動可能に案内ピン(72e)を挿入してその両端を、上底(3)に元部を固定する対の取付部材(3f)の下端部間に水平垂直に接続、固定する。図21は開き高さ(h)がh=10cmに開いた状態を示す。本実施例である弾性ヒンジ(51)方式でのばね作用強度調節は、弾性ヒンジ(51)自体に基本の圧縮強度を持たせて強度調節を別備えのコイルばね(62、63)の着脱で行う方法が簡便である。その基本形を図19、20に示めす。下底(2)と上底(3)間の中央付近の対面に取付部材である圧縮コイルばね(62)用の取付台(62a)および引張コイルばね(63)用の取付輪(63a)を下底(2)側に、圧縮コイルばね(62)用の取付台(62b)、支持棒(62c)および引張コイルばね(63)用の取付輪(63b)を上底(3)側に設ける。圧縮コイルばね(62)は、前記支持棒(62c)に連結して倒れを防止するリング付き補助棒(62d)を備える。そして、強度の異なる数種類を1組とする圧縮コイルばね(62)および引張コイルばね(63)を別備えし、必要に応じてその中から1種類を選んで着脱し調節する方法である。
実施例5は、接地面形状が円弧および楕円弧の合成曲線で成る底(1)運動靴の代表例である。図23は実施例5で、横から見た接地面の線形が円弧楕円弧合成の下底(2)で成る底(1)運動靴の正面図である。図23は、説明上の都合から、上り傾斜5.3°の地面(GL)に水平接足面で休歩立脚する状態を示す。接地面形状は、足拇指球(Z)垂直下の接合点(P)と踝(K)垂直下の接合点(P)間に当たる中央部が、半径(R)R=60cmの円弧、Pの後方部が半径(R5a)R5a=37.3cmの円弧、Pの前方部が、水平軸半径が25cmで垂直軸半径が12.5cmの楕円弧、の3曲線を接線方向で接合する下凸湾曲線で、つま先が上底(3)より約2cmほど長くて、連続式の開度調節具(7)と逆転防止具(9)を備える例である。その特徴は、着踵時に足傾き角度(γ)γ=−15°で着踵すれば、1点(底転がり無し)支持で支持脚へ体移動し、続く体重移動で緩やかな底転がりから速い転がり(大きい半径)に変化して支持脚上の体バランスはとり易く、且つ、後半の踏込み踏切りの歩行動作では緩やかに底転がりが減少し、最後に長いつま先で踏切り高さ(踝(K)高さ)を少し高めて踏み切ることができることである。従って、歩行し易い底(1)運動靴である。
連続式の開度調節具(7)の詳細を説明する。図24は図23の連続式開度調節具(7)の部分断面図を含む拡大正面図である。図25は図24の部分断面図を含む平面図である。開き高さ(h)がh=0〜11cmの範囲内で調節可能な例である。装置全体を前記下底(2)と前記上底(3)との間の前方部位に位置付けて、下底(2)前方上面中央に接続して備える対の取付部材(2d)のピン孔(2e)に駆動ピン(7a)を回動自由に挿入して対の駆動アーム(7b)の前方部位の内側面に駆動ピン(7a)の両端を接続して、前記駆動ピン(7a)と対の駆動アーム(7b)を一体とする。前記駆動アーム(7b)の後方端側の摺動溝孔(7d)に摺動可能に左右対の案内ピン(7e)を挿入して、前記上底(3)に元部を固定する取付部材(3g)に設けた上下抜け壁の摺動室(7f)に前後摺動可能に挿入したピン支持部(7g)に前記案内ピン(7e)の両内端を接続し一体とする。そして、前記摺動室(7f)の後方端の壁に設けたネジ孔(7i)に、摘み(7m)を設けたネジ送り棒(7h)を後方から通して前記ネジ送り棒(7h)の前方先端部に伝動板部(7j)を、前記ピン支持部(7g)の後方部の受動室(7k)に挿入して抜き出し不可に接続する。この構成により、摘み(7m)を回して前記案内ピン(7e)を、図に示す範囲(l)lの範囲を前後に駆動して開度を連続的に調節することができる。
板ばね(61)および逆転防止具(9)は実施例1の構造と同じであり、説明は省略する。
1 底・・(下底+上底)
2 下底
2a 下層、2b 上層、2c 上層中央凸部、2d 取付部材、2e 駆動ピン孔
2f 押当部、21 接地受端
3 上底
3c 軸孔部材、3d 閉止具、3e 取付部材(弾性ヒンジ用)
3f 取付部材(制限具用)、3g 取付部材(開度調節用)
4 甲被
41 締結具
5 蝶番・・(5a 蝶番軸、5b 蝶番孔)
51 弾性ヒンジ
52 弾性ヒンジガイド、53 ヒンジガイドバー
6 ばね
61 板ばね
61a、b 支持軸(中央、両側)、61c 支持軸元部、61d 止板、61e 止ピン孔
61f ロックピン(表示無し)
62 圧縮コイルばね
62a、62b 取付台、62c 支持棒、62d 第2支持棒
63 引張コルばね
63a、b 取付輪
(7、71、72) 開度調節装置
7 開度調節具(連続式)
7a 駆動ピン、7b 駆動アーム(7aと7bは一体構造)、7d 摺動溝孔
7e 案内ピン、7f 摺動室、7g ピン支持部(7eと7gは一体構造)
7h ネジ送り棒、7i ネジ孔、7j 伝動板部、7k 受動室、7m 摘み
71 開度調節具(不連続式)
71a 開止板、71b 受止箱、71c 段状受板 71d 目盛
71e 固定用ネジ 71f 指針、71g 受面、71h 窓
72 開度制限具
72a 駆動ピン、72b 駆動アーム、72c 前方端孔、72d 摺動溝孔
72e 案内ピン
8 板ばね作用調節具
8a 軸受部材(中央部)、8b 軸受部材、8c 半円筒内壁溝
9 逆転防止具
9a アーム板、9b ピン、9c 軸、9d 接地ローラ、9e コイルばね
9f ストッパー
10 運動靴・・(底+甲被)
a 足脚
h 開き高さ(着踵に要する踏込み高さ)
GL 地面
K 踵 Z 足拇指球
l 範囲(駆動)
弾性ヒンジの円弧中心点
弾性ヒンジガイドの円弧中心点
踝(K)垂直下の接合点
足拇指球(Z)垂直下の接合点
休歩立脚接地点
接地面の曲率半径(nは実施例の番号)
α 接足角度(休歩立脚時の)
β 開度
γ 足傾き角度(つま先下がりが+)
δ 転がり長さ
η 踏込み長さ(着踵時の)

Claims (7)

  1. (横から見て)接足面を備えた非撓性の上底(3)前下方の或る一点と、下凸湾曲線で曲率半径が、「後方端の接地点から踝(K)までの距離以上で中央部の接地点から股関節までの距離以下の長さ」を特徴とする接地面を備える非撓性の下底(2)前上方の或る一点を、蝶番(5)または弾性ヒンジ(51)で後方が横V字(<)状に開閉できるように連結または接続し、閉止具(3d)および開度調節装置(7、71、72)を用いて前記下底(2)後方が前記上底(3)に対して或範囲内で開閉するように制限して、前記下底(2)と前記上底(3)間にばね(6)を設けて常に開くように付勢するか、又は前記弾性ヒンジ(51)のばね作用を用いて常に開くように付勢するかした底(1)を特徴とするばね付湾曲底運動靴。
  2. 前記下凸湾曲線が、円弧または楕円弧の単曲線か、または円弧および楕円弧の曲率の異なる2種以上を接線方向で接合する合成曲線で成る請求項1記載のばね付湾曲底運動靴。
  3. (横から見て)円弧状の板ばね弾性ヒンジ(51)であって、前記弾性ヒンジ(51)の円弧内側に設けて前記弾性ヒンジ(51)内側円弧面を円柱壁面で支持して曲り方向を案内する弾性ヒンジ案内具(52)を備えることを特徴とする請求項1〜2記載のばね付湾曲底運動靴。
  4. 装置全体を前記下底(2)と前記上底(3)との間の前方部位に位置付けて、下底(2)前方上面中央に接続して備える対の取付部材(2d)のピン孔(2e)に駆動ピン(7a)を回動自由に挿入して対の駆動アーム(7b)の前方部位の内側面に駆動ピン(7a)の両端を接続し、前記駆動ピン(7a)と前記対の駆動アーム(7b)を一体とし、前記駆動アーム(7b)の後方端側の摺動溝孔(7d)に摺動可能に左右対の案内ピン(7e)を挿入して、前記上底(3)に元部を固定する取付部材(3g)に設けた上下抜け壁の摺動室(7f)に前後摺動可能に挿入したピン支持部(7g)に前記案内ピン(7e)の両内端を接続し一体として、前記摺動室(7f)の後方端の壁に設けたネジ孔(7i)に、摘み(7m)を設けたネジ送り棒(7h)を後方から通して前記ネジ送り棒(7h)の前方先端部に伝動板部(7j)を、前記ピン支持部(7g)の後方部の受動室(7k)に挿入して抜き出し不可に接続した、前記摘み(7m)を回して前記案内ピン(7e)を前後に駆動して開度(β)を連続的に調節する開度調節具(7)を備えた請求項1〜3記載のばね付湾曲底運動靴。
  5. 前記下底(2)の上層中央凸部(2c)上面に1列の複数半円筒内壁溝(8c)を設けた軸受部材(8a)と前記上底(3)の下面に左右対の複数半円筒内壁溝(8c)を設けた軸受部材(8b)と、前記下底(2)側が1軸の支持軸(61a)で前記上底(3)側が左右対軸の支持軸(61b)を特徴とする板ばね(61)作用強度調節具(8)を備える請求項1〜2および4記載のばね付湾曲底運動靴。
  6. 圧縮コイルばね(62)または引張コイルばね(63)の両端の取付け部を前記下底(2)と前記上底(3)の対面部に設けた、ばね取付け部(62a、b、63a、b)に着脱して作用強度を加減調節することを特徴とする請求項3記載のばね付湾曲底運動靴。
  7. 前記下底(2)の後方上層(2b)の両側に、両端コ型のアーム板(9a)の一端をピン(9b)で固定し他端に軸(9c)と接地ローラ(9d)を備えて前記アーム板(9a)の前記ピン(9b)に対向する内側面と前記ピン(9b)軸間に後転向きに付勢するコイルばね(9e)を設け、さらに前記ピン(9b)後方位置に前記アーム板(9a)の後転を制限するストッパー(9f)を設けて構成する逆転防止具(9)を備えた請求項1〜6記載のばね付湾曲底運動靴。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113519964A (zh) * 2021-07-20 2021-10-22 中国人民解放军陆军军医大学第二附属医院 一种基于神经网络信号的跌倒预警系统

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