以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、異なる場所に設置されてお互いにネットワーク接続された少なくとも2台の画像形成装置のうちどちらかで生成された画像データ若しくは入力された画像データを、もう一方の画像形成装置において画像形成出力を実行する画像形成システムを例として説明する。尚、本実施形態における画像データとは、PDL(Page Description Language)により記述されたデータであっても良いし、印刷出力すべきデータであるビットマップデータや、画像形成装置においてOCR(Optical Character Reader)処理等の画像処理が施されたデータであっても良い。
このような画像形成システムにおいて、本実施形態に係る要旨の一つは、画像形成装置にUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記憶装置や、ネットワーク接続されているPC(Personal Computer)等の外部装置から入力された画像データ、若しくは、画像形成装置が原稿を読み取ることにより取得された画像データを、秘匿性を確保しながら上記画像形成装置とは異なる場所に設置されている画像形成装置においてプリントアウトすることにある。即ち、本実施形態に係る画像形成システムによれば、安全に画像データを持ち出すことが可能となる。以下、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成システムの運用形態の例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システムは、画像形成装置1a、クライアント端末2、ファイルサーバ3及び画像形成装置4が接続されたネットワーク6と、画像形成装置1bとがインターネット回線や電話回線等の公衆回線7を介して接続されて構成されている。また、その運用時には、可搬型記憶装置5が画像形成装置1a若しくは画像形成装置1bに接続されて画像データを持ち運ぶための記憶媒体として使用される。即ち、本実施形態においては、可搬型記憶装置5が可搬型記憶媒体として用いられる。尚、本実施形態においては、公衆回線7を電話回線として説明する。
このように、公衆回線7を電話回線とした場合、インターネット等のネットワークがファイアーウォール等を介して接続されるのとは異なり、電話回線にはそのような障壁がないので通信できないという不具合がないという利点がある。また、電話回線を利用したファクシミリ通信は、一般的には、インターネット等のネットワークよりもそのセキュリティが高いという利点もある。
また、ネットワーク6に接続されている画像形成装置1aやクライアント端末2、ファイルサーバ3及び画像形成装置4の数は一例であり、これらがもっと多く接続された大規模なシステムであっても良い。また、画像形成装置1a、クライアント端末2、ファイルサーバ3及び画像形成装置4が、それぞれ異なるネットワークに接続されており、それらのネットワークが公衆回線7を介して接続される構成としても良い。また、ネットワーク6には、画像形成装置1aの他に、クライアント端末2、ファイルサーバ3、画像形成装置4のいずれかが接続されていれば良く、その全てが接続されている必要はない。
画像形成装置1a及び1bは、本発明に係る機能を有する画像形成装置であって、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能なMFP(MultiFunction Peripheral:複合機)である。また、画像形成装置1a及び1bは、上述したように、クライアント端末2等の外部装置からネットワーク6を介して入力された印刷命令や、ユーザによる画像形成装置1への直接操作により入力された印刷命令に含まれる画像データに基づいて、ビットマップデータ等のCMYK(Cyan Mgenta Yellow Key Plate)の描画情報を生成し、生成された描画情報に基づいて画像形成出力を実行する。
以下では、画像形成装置1a及び1bを区別する必要がない場合には、それらをまとめて画像形成装置1と称する。尚、図1に示すように、画像形成装置1aと画像形成装置1bとは異なる場所に設置されており、その設置環境としては、例えば、画像形成装置1aが、ユーザが普段から居所として利用している事務所であり、画像形成装置1bが、客先等の外出先である。即ち、本実施形態においては、画像形成装置1aが、画像処理装置として機能する。
クライアント端末2は、ユーザが操作する情報処理端末であり、PC(Personal Computer)等の情報処理装置によって実現され、PDLにより記述された画像データを生成し保存している。尚、クライアント端末2は、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、タブレット端末等の携帯情報端末によって実現されても良い。また、クライアント端末2は、ネットワーク6を介して画像形成装置1や画像形成装置4に上記画像データを含む印刷命令を送信したり、画像形成装置1や画像形成装置4の各種設定やメンテナンスを行ったりすることができる。
ファイルサーバ3は、ネットワーク上に存在するファイル共有サーバであり、画像形成装置1、画像形成装置4が有するスキャナ機能により原稿が読み取られて生成された画像データや、クライアント端末2が生成した各種ファイルや情報を、ネットワーク6を介して受け付けて保存し管理する。
画像形成装置4は、画像形成装置1と同様に、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能なMFPであるが、本発明に係る機能を有する必要はない。そのため、本実施形態に係る画像形成装置1と画像形成装置4とは、本発明の機能を有するか否かにより機能的に区別される。但し、画像形成装置4も、本発明に係る機能を有する画像形成装置として構成されていても良い。
可搬型記憶装置5は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カード等によって実現される可搬型の記憶装置であり、画像形成装置1aと画像形成装置1bとの間での画像データの持ち運びに使用される。尚、可搬型記憶装置5は、モバイルPCやPDA、スマートフォン、タブレット端末等の記憶装置を備えた携帯型の情報端末によって実現されても良い。
尚、図1におけるネットワーク6は、例えば、オフィスLAN(Local Area Network)等の限定されたネットワークであり、画像形成装置1a、クライアント端末2、ファイルサーバ3、画像形成装置4は、夫々のLANを介して公衆回線7に接続されるが、夫々が公衆回線7に直接接続される態様とすることも可能である。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を模式的に示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なMFPと同様に、SoC(System−on−a−chip)100、RAM(Random Access Memory)101、ROM(Read Only Memory)102、LAN物理層103、FAXモデム104、電話回線I/F105、HDD(Hard Disc Drive)106、スキャナ107、プロッタ108、センサ/モータ109、RAM(Video Random Access Memory)110、操作パネル111を有する。
また、SoC100は、MPU(Micro Processing Unit)112、スキャナ制御部113、プロッタ制御部114、I/O制御部115、DSP(Digital Signal Processor)116、LAN制御部117、外部装置物理層118、Videoバス119、Systemバス120を有する。
MPU112は、CPU(Central Processing Unit)等の演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。即ち、MPU112は、Videoバス119を介してスキャナ制御部113、プロッタ制御部114、I/O制御部115、DSP116を制御し、また、Systemバス120を介して、RAM101、ROM102、DSP116、LAN制御部117、USB物理層118を制御する。
スキャナ制御部113、プロッタ制御部114、I/O制御部115は、それぞれ、Systemバス120を介したMPU112の制御に従い、原稿を読み取ることにより画像データを取得するためのスキャナ107を制御し、印刷を行うためのプロッタ114を制御し、原稿や用紙を搬送するためのモータ、各種検知センサのためのセンサ/モータ109を制御する。
DSP116は、特定の演算処理を高速に行なうことを目的に、デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサであり、本実施形態においては、一般的なMFPで行われる画像形成処理その出力処理、画像処理、ファクシミリ通信処理等に対応したものである。DSP116は、MPU112が汎用的な処理を行うために、ソフトウェア等のプログラムに従って処理を行うだけでは処理速度として実用的ではない場合があるため、上記のような特定の処理についてより高速な処理が可能なハードウェア処理を行うために備えられる。尚、DSP116が行う処理をMPU112が行うように構成されていても良い。
RAM101は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、MPU112が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM102は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD106は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。RAM110は、RAM101と同様に、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、MPU112が情報を処理する際の作業領域として用いられるが、RAM101とは異なり、MPU112及びDSP116が、画像処理や、ファクシミリ通信処理の際のファイルの圧縮等のファイルの加工処理を行う専用の作業領域として用いられる。
操作パネル111は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し、若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェースでもある。即ち、操作パネル111は、ユーザによる操作を受けるための画像を表示する機能を含む。
LAN制御部117は、ネットワーク6及びLAN物理層103を介して入力された情報を、Systemバス120を介してMPU112に通知し、MUP112からSystemバス120を介して通知された情報をLAN物理層103及びネットワーク6を介して、クライアント端末2やファイルサーバ3、画像形成装置4に送信する。
FAXモデム104は、Systemバス120を介したMPU112の制御に従って、ファクシミリ通信プロトコルに則り、電話回線I/F105及び公衆回線7を介して他のファクシミリ装置とファクシミリ通信を行う。電話回線I/F105は、アナログ電話回線のインタフェースである。
外部装置物理層118は、例えば、USBやRS−232C等のインタフェース規格である。本実施形態に係る外部物理層118には、少なくとも4つポートが用意されており、PC等の外部装置、USBメモリ等の外部記憶装置、HDD106、操作パネル111が接続され、Systemバス120を介してそれらとMPU112との間で情報のやり取りや制御を行う。
このようなハードウェア構成において、ROM102やHDD106若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM101に読み出され、MPU112がRAM101にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、本実施形態に係る画像形成システムの運用方法について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置1aが、画像データを取得して可搬型記憶装置5に記憶させる際の処理を説明するためのフローチャート図である。図4は、本実施形態に係る画像形成装置1bが、他の場所に設置されている画像形成装置1aにより取得された画像データに基づいて画像形成出力を実行する際の処理を説明するためのフローチャート図である。
図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1aが画像データを取得して可搬型記憶装置5に記憶させる際にはまず、ユーザは、可搬型記憶装置5を画像形成装置1aに接続して(S301)、読取原稿をスキャナ107にセットする必要がある(S302)。そして、画像形成装置1aは、操作パネル111における動作モード選択画面においてユーザ操作による「3.スキャナモード」の選択を受け付けると(S303)、操作パネル111におけるファイル形式選択画面においてユーザ操作による「3.Secure」の選択を受け付ける(S304)。
画像形成装置1aは、「3.Secure」が選択されると、以下で取得する画像データのファイル名やファイル番号等のファイル識別情報を決定する(S305)。ここで決定されるファイル識別情報は、例えば、「201209030028」等の年月日と動作番号が組み合わされたもの等、一意の情報であれば何でも良い。このファイル識別情報は、ユーザにより決定されても良いし、画像形成装置1aが自動的に決定しても良い。
そして、画像形成装置1aは、操作パネル111におけるファイル形式選択画面においてユーザにより「OK」ボタンが押下されることにより(S306)、読取原稿のスキャン動作を実行し(S307)、スキャナ107にセットされた読取原稿を読み取って画像データを取得する(S308)。
尚、画像形成装置1aは、スキャナ107による読取原稿の読み取りにより画像データを取得する以外に、接続されている可搬型記憶装置5や、ネットワーク6を介してクライアント端末2、ファイルサーバ3、画像形成装置4等の外部装置から画像データを取得するように構成されていても良い。本実施形態に係る画像形成装置1aは、このようにして画像データを取得する場合、動作モード選択画面の代わりに、外部装置選択画面を表示し、その外部装置選択画面において外部装置が選択されたら、ファイル選択画面を表示するようになっている。そして、本実施形態に係る画像形成装置1aは、そのファイル選択画面においてファイルが選択されたら、ファイル形式選択画面を表示するようになっている。
ここで、S303の処理において、ユーザが、画像形成装置1aの操作パネル111における動作モード選択画面において選択することができる動作モードについて、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る画像形成装置1aの操作パネル111に表示される動作モード選択画面の表示例を示す図である。
上述したように、本実施形態に係る画像形成装置1aは、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能なMFPである。そのため、図5に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1aの操作パネル111上には、動作モード選択画面として、「1.プリンタモード」、「2.ファクシミリモード」、「3.スキャナモード」、「4.コピーモード」が選択可能なように表示されている。
次に、S304の処理において、ユーザが、画像形成装置1aの操作パネル111におけるファイル形式選択画面で選択することができるファイル形式について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る画像形成装置1aの操作パネル111に表示されるファイル形式選択画面の表示例を示す図である。通常、画像形成装置は、スキャナ動作により取得された画像データや外部装置から取得された画像データを所定のファイル形式に変換してからHDD等の外部記憶装置106や可搬型記憶装置等に記憶し若しくは外部装置に送信するようになっている。そこで、通常の画像形成装置においては、一般的には、JPEG、(Joint Photographic Experts Group)や、GIF(Graphics Interchange Format)、PDF(Portable Document Format)、TIFF(Tagged Image File Format)、テキストファイル等のファイル形式をサポートするようになっている。
そのため、本実施形態に係る画像形成装置1aは、通常の画像形成装置と同様に、PDFやTIFF等のファイル形式をサポートするように構成されている。さらに、本実施形態に係る画像形成装置1aは、本実施形態に特有のファイル形式として「Secure」なるファイル形式をサポートするように構成されている。そのため、図6に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1aの操作パネル111上には、ファイル形式選択画面として、「1.PDF」、「2.TIFF」、「3.Secure」が選択可能なように表示されている。本実施形態に係る画像形成装置1aは、ユーザ操作により操作パネル111おけるファイル形式選択画面において「3.Secure」が選択されると、以下で説明するように、拡張子が「.sec」で表示されるファイルが、S301の処理において接続された可搬型記憶装置5に記憶される。
次に、ユーザが、画像形成装置1aの操作パネル111における外部装置選択画面において選択することができる外部装置について、図7を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る画像形成装置1aの操作パネル111に表示される外部装置選択画面の表示例を示す図である。上述したように、本実施形態に係る画像形成装置1aにはネットワーク6を介してクライアント端末2、ファイルサーバ3、画像形成装置4等の外部装置が接続されている。また、本実施形態に係る画像形成装置1aには可搬型記憶装置5を接続することができる。
そのため、図7に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1aの操作パネル111上には、外部装置選択画面として、「1.クライアント端末」、「2.ファイルサーバ」、「3.画像形成装置」、「4.外部記憶領域」が選択可能なように表示されている。そして、ユーザが外部装置選択画面においていずれかを選択すると、図8に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1aの操作パネル111上には、ファイル選択画面として、選択された外部装置の予め設定されている特定の記憶領域に記憶されているファイルの一覧がファイル名として表示されるように構成されている。ここで操作パネル111に表示されるファイルは、例えば、JPEGファイルやGIFファイル、PDFファイル、TIFFファイル、テキストファイル等、本実施形態における画像データとなり得るファイルである。尚、図8は、本実施形態に係る画像形成装置1aの操作パネル111に表示されるファイル選択画面の表示例を示す図である。
図3の説明に戻って、画像形成装置1は、上記のようにして画像データを取得し終えると、取得した画像データにDSP116によりスキャナ固有の画像補正処理を行う(S309)。そして、画像形成装置1aは、画像補正処理が施された画像データをS301において接続した可搬型記憶装置5に記憶させる(S310)。そして、ユーザは、画像形成装置1aの操作パネル111に表示される案内に従って、画像データが記憶された可搬型記憶装置5を画像形成装置1aから取り外す(S311)。このようにして、本実施形態に係る画像形成装置1aは、画像データを取得して可搬型記憶装置5に記憶させる際の処理を終了する。
尚、S310の処理において、可搬型記憶装置5に記憶される画像データは、取得された画像データそのものではなく、後述するように、取得された画像データがDSP116により圧縮されてデータ片a及びデータ片bに分割されたあとのデータ片aとそれに付随する情報を含むデータ構造体である。データ構造体については図18を参照して後述する。また、ここで可搬型記憶装置5に記憶されたこのデータ構造体のファイル形式は、S304の処理で選択されたように、本実施形態に特有のファイル形式である「Secure」である。そのため、可搬型記憶装置5には、このデータ構造体は、ファイル形式が「Secure」であることを示すために、その拡張子を「.sec」として記憶されている。
従って、本実施形態に特有の処理を行う画像形成装置1a及び画像形成装置1b以外の情報処理装置は、上記データ構造体を認識することができないようになっている。そのため、本実施形態に係る画像形成システムによれば、このデータ構造体の秘匿性を確保することが可能となっている。
尚、分割されたもう一方のデータ片bは、後述するように、画像形成装置1aが備えるHDD106等の不揮発性の補助記憶装置に記憶され、若しくは、ネットワーク6を介して、クライアント端末2、ファイルサーバ3、画像形成装置4の少なくとも何れかに送信されて記憶される。
図3においては、画像形成装置1aの操作パネル111におけるユーザからの直接操作により、画像形成装置1aに本実施形態に係る動作を実行させるための命令を入力する例について説明したが、他の例として、クライアント端末2、ファイルサーバ3、画像形成装置4等の外部装置から画像形成装置1aに動作依頼コマンドを送信し、送信した動作依頼コマンドに従って本実施形態に係る動作を実行させるように構成されてもよい。このような構成の場合、送信される動作依頼コマンドには、S303〜S310の処理を画像形成装置1aに実行させるための命令が含まれる。従って、本実施形態に係る画像形成装置1aは、可搬型記憶装置5が接続されている前提で、クライアント端末2、ファイルサーバ3、画像形成装置4等の外部装置から動作依頼コマンドを受信すると、受信した動作依頼コマンドに含まれる命令に従って、S303〜S310と同様の処理を行うことになる。
そして、本実施形態に係る画像形成装置1bが、他の場所に設置されている画像形成装置1aにより取得された画像データに基づいて画像形成出力を実行するにはまず、ユーザは、可搬型記憶装置5を画像形成装置1aから取り外して、画像形成装置1bまで移動し、画像形成装置1bに可搬型記憶装置5を接続する(S401)。画像形成装置1bは、操作パネル111における動作モード選択画面においてユーザ操作による「1.プリントモード」の選択を受け付ける(S402)。尚、S402における動作モード選択画面は、図5において説明した動作モード選択画面と同一の画面である。
画像形成装置1bは、操作パネル111における動作モード選択画面においてユーザ操作による「1.プリントモード」の選択を受け付けると、ファイル選択画面においてプリントアウトを実行するためのファイルの選択を受け付け(S403)、ユーザにより「OK」ボタンが押下されることにより(S404)、選択されたファイルの画像形成出力を実行する(S405)。
ここで、S403の処理において、ユーザが、画像形成装置1bの操作パネル111におけるファイル選択画面において選択することができるファイルについて、図9を参照して説明する。図9は、本実施形態に係る画像形成装置1bの操作パネル111に表示されるファイル選択画面の表示例を示す図である。上述したように、S308の処理において、可搬型記憶装置5にはデータ片aを含むデータ構造体、即ち、ファイル形式が「Secure」であり、その拡張子が「.sec」であるファイルが記憶されている。そのため、図9に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1bの操作パネル111上には、ファイル選択画面として、「.sec」を拡張子に持つファイルが選択可能なように表示されている。
尚、S405の処理において、画像形成装置1bは、後述するように、S401の処理において接続された可搬型記憶装置5からデータ片a(データ構造体)を取得し、また、上述したように、画像形成装置1a、クライアント端末2、ファイルサーバ3、画像形成装置4のいずれかに記憶されているデータ片bを公衆回線7を介して取得し、取得したデータ片aとデータ片bとを結合して元の画像データを復元することにより、その画像データに基づいて画像形成出力を実行するようになっている。
このように構成された画像形成システムにおいて、本実施形態に係る要旨の一つは、画像形成装置1aに可搬型記憶装置5や、クライアント端末2、ファイルサーバ3、画像形成装置4等の外部装置から入力された画像データ、若しくは、画像形成装置1aが原稿を読み取ることにより取得された画像データを、秘匿性を確保しながら画像形成装置1aとは別の場所に設置されている画像形成装置1bにおいてプリントアウトすることにある。即ち、本実施形態に係る画像形成システムによれば、安全に画像データを持ち出すことが可能となる。
具体的には、画像形成装置1aは、取得した画像データを、分割されると復元不可能となる形式で圧縮して圧縮データを生成し、生成された圧縮データをデータ片a及びデータ片bに分割して、データ片aをUSB等の可搬型記憶装置5に記憶させ、データ片bを、HDD106に記憶させ、若しくは、クライアント端末2、ファイルサーバ3、画像形成装置4のいずれかに送信して記憶させる。そして、画像形成装置1bは、接続された可搬型記憶装置5からデータ片aを取得し、画像形成装置1aと画像形成装置1bとのファクシミリ通信により画像形成装置1aを介してデータ片bを取得する。画像形成装置1bは、取得したデータ片a及びデータ片bを結合して元の圧縮データに復元し、さらに、圧縮データから元の画像データに復号化して、復号化された画像データに基づいて画像形成出力を実行するようになっている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1aが、取得した画像データを可搬型記憶装置5に記憶させる際の処理について、即ち、図3において説明したS310における詳細な処理について、図10を参照して説明する。図10は、本実施形態に係る画像形成装置1aが、取得した画像データを可搬型記憶装置5に記憶させる際の処理を説明するためのフローチャートである。尚、画像形成装置1aが画像データを取得する方法については、図3におけるS301〜S309の処理において説明した通りである。
図10に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1aが、取得した画像データを可搬型記憶装置5に記憶させる際にはまず、MPU112は、取得した画像データをRAM110に展開し(S1001)、DSP116は、RAM110に展開された画像データを、分割された夫々の分割データが所定数揃った状態でのみ復元可能な圧縮形式で圧縮することにより圧縮データをRAM110上の別の領域に生成する(S1002)。尚、上記の説明においては、画像データの取得処理及び展開処理と、画像データの圧縮処理とは別々の処理として行われる例について説明したが、数ラインごとに時分割して両処理が並行して行われても良い。
また、本実施形態に係る画像形成装置1aは、S1002における画像データに対する圧縮処理の前に、取得した画像データに対して図11に示すような画像変換処理を施すようにしても良い。図11は、本実施形態に係る画像形成装置1aが、取得した画像データに対して施す画像変換処理の例を示すイメージ図である。
図11に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1aは、MPU112により、取得した画像データに対する圧縮処理の前に、その画像データの全領域にまたがるように「Confidential」等の、その画像データに機密情報が含まれていることを示すような文字列を、透かし文字として挿入するような画像変換処理を施す。即ち、本実施形態のいては、MPU112が、情報挿入部として機能する。
尚、図18において示す文字列は一例であって、他に、「複製禁止」、「持ち出し禁止」等、その画像データに機密情報が含まれていることを示す文字列であれば良い。このような構成とすることにより、画像形成装置1bでプリントアウトされる印刷物には上記のような文字列が表示されるため、複製の抑制や配布の禁止など、機密情報であることの注意をユーザに促すことが可能となる。
ここで、分割された夫々の分割データが所定数揃った状態でのみ復元可能な圧縮形式には、例えば、MR(Modified Read)形式やMMR(Modified Modified Read)形式といった圧縮形式がある。即ち、MR形式、MMR形式は、データ圧縮のファイルフォーマットの1つであって、分割された夫々の分割データが所定数揃った状態でのみ復元可能となる圧縮形式である。尚、MR形式、MMR形式は、ファクシミリ符号化(圧縮)形式の1つであり、圧縮のための処理が簡単なものであるため、安価なDSP116や、安価で演算処理能力が低いMPU112であっても滞りなく処理することが可能な圧縮形式である。
また、MR形式若しくはMMR形式により圧縮された圧縮データは、先頭ラインからの変化量を順次コード化していき、その一部が欠損しただけでも圧縮データから圧縮前の画像データに復元することができない。本実施形態においては、上記圧縮形式をMMR形式として説明するが、これに限られるものではない。
尚、本実施形態に係る画像形成装置1aは、取得した画像データに上記のような圧縮処理を施してから圧縮データを分割するように構成されているが、分割された夫々の分割データが所定数揃った状態でのみ復元可能な分割形式で画像データを分割するように構成されていても良い。このような構成の場合、画像形成装置1aは、取得された画像データに対して圧縮処理を施さなくても、取得された画像データの状態のまま、以降の処理を行うことが可能である。
上記のようにして圧縮データが生成されると、MPU112は、RAM110から画像データを削除し(S1003)、DSP116は、RAM110上に生成した圧縮データをデータ片a及びデータ片bに分割する(S1004)。即ち、本実施形態においては、DSP116が、データ分割部として機能する。このように、S1004の処理において圧縮データが分割されることにより、各データ片単体では復元不可能な状態となり、画像データの秘匿性を確保することが可能となる。
ここで、S1002及びS1004の処理の様子を図12に示す。図12は、本実施形態に係る画像形成装置1aによる圧縮処理及び分割処理の様子を示すイメージ図である。図12に示すように、S1004の分割処理における分割方法として、圧縮データの先頭ラインから256バイトのデータを切り取って、その256バイトのデータ片をデータ片a、もう一方のデータ片をデータ片bとしている。尚、図12において説明した例は一例であって、データ片a及びデータ片bに分割する際の両者へのデータ量の割り振りは適宜変更しても良いが、後述するように、本実施形態においては、データ片aを、USBメモリ等の可搬型記憶装置5に記憶させるためのデータとしているため、そのデータ量は小さいほうが良い。尚、本実施形態おいては、圧縮データをデータ片a及びデータ片bの2個に分割する例について説明するが、2個以上に分割されていればいくつに分割されても良い。
また、図12に示したように、画像データに文字領域と画像領域とが混在している場合には、その画像データを圧縮すると、一般的に、図14に示すように、文字領域については高圧縮となり、画像領域については低圧縮となる。図14は、本実施形態に係る画像形成装置1aが、圧縮率に基づいて圧縮データにおける画像領域と文字領域とを判別する際の処理を説明するためのイメージ図である。そのため、本実施形態に係る画像形成装置1aは、圧縮データにおける1ラインあたりの圧縮率を全領域にわたって算出することにより、上記圧縮データから文字領域と画像領域とを判別することが可能となる。尚、本実施形態において文字領域とは、文字を主に含む領域であって、文字のみの領域に限らない。また、本実施形態に係る画像領域とは、ハーフトーン画像領域や写真領域等の画像に関する領域に加え、カラー領域を含むものとする。
ここで、1ラインあたりの圧縮率とは、圧縮データにおける各ラインの、画像データにおける圧縮データに対応するラインのデータ量に対する割合を1から差し引いたものであり、画像データにおける先頭からkライン目のデータ量をPkとし、そのラインに対応する圧縮データにおけるデータ量をQkとし、そのラインにおける圧縮率をRkとすると、Rk=1−(Qk/Pk)・・・(式1)として算出される。従って、圧縮率が低いということは、低圧縮であること、即ち、あまり圧縮されていないことを意味し、圧縮率が高いということは、高圧縮であることを意味する。尚、圧縮率の算出について、上記においては、1ライン毎に算出する例について説明したが、複数ラインの圧縮率の平均をその複数ラインにおける圧縮率として算出する等、複数ライン毎に算出するようにしても良い。
このようにして画像形成装置1aが圧縮データから文字領域と画像領域とを判別することが可能となることにより、後述するように、画像形成装置1aは、圧縮データをデータ片a及びデータ片bに分割する際に画像領域についての秘匿性を向上させることが可能となり、また、画像形成装置1bは、プリントアウトを実行した結果物である印刷物における画像領域についての秘匿性を確保することが可能となる。従って、画像データにおける画像領域が機密性のある情報を含んでいる場合には、上記のように圧縮データにおける画像領域と文字領域とを判別することは特に有効となる。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置1aが圧縮データから画像領域と文字領域とを判別する際の処理について、図15を参照して説明する。図15は、本実施形態に係る画像形成装置1aが圧縮データから画像領域と文字領域とを判別する際の処理を説明するためのフローチャートである。図15に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1aが圧縮データから画像領域と文字領域とを判別する際にはまず、MPU112は、取得した画像データ、原稿サイズ及び読み取り解像度に基づいて圧縮前の画像データにおける各ラインのデータ量を算出する(S1501)。
次に、MPU112は、RAM110及びDSP116間での圧縮データの転送を監視し(S1502)、1ラインの転送における転送データ量を取得する(S1503)。そして、MPU112は、画像データについて算出した各ラインのデータ量と、圧縮データについて取得した各ラインのデータ量とを(式1)に代入することにより各ライン毎に圧縮率を算出する(S1504)。
MPU112は、圧縮率を算出すると、算出した圧縮率が予め設定されている閾値以上であるか否かを判定する(S1505)。MPU112は、S1505の処理において、算出した圧縮率が予め設定されている閾値以上であると判定した場合には(S1505/YES)、その領域(ライン)については文字領域と判別し(S1506)、反対に、算出した圧縮率が予め設定されている閾値未満であると判定した場合には(S1505/NO)、その領域(ライン)については画像領域と判別する(S1507)。即ち、本実施形態においては、MPU112が、領域判別部として機能する。このようにして、本実施形態に係る画像形成装置1aは、圧縮データから画像領域と文字領域とを判別する。尚、圧縮データにおける画像領域と文字領域の判定について、図15においては、1ライン毎に判定する例について説明したが、複数ライン毎に判定するようにしても良い。
このように、本実施形態に係る画像形成装置1aは、MPU112により、文字領域と画像領域とが混在している圧縮データから文字領域と画像領域とを判別することにより、無条件に圧縮データの先頭ラインからデータを切り取ってそのデータをデータ片aとすること以外に、図13に示すように、画像領域の先頭ラインからデータを切り取って、そのデータをデータ片aとすることが可能となる。従って、本実施形態に係る画像形成装置1aは、データ片bにおける画像領域について秘匿性を確保することが可能となり、結果として、画像データ全体の秘匿性をさらに向上させることが可能となる。尚、図13は、本実施形態に係る画像形成装置1aによる圧縮処理及び分割処理の様子を示すイメージ図である。
また、このように、本実施形態に係る画像形成装置1aは、文字領域と画像領域とが混在している圧縮データから文字領域と画像領域とを判別することが可能となることにより、MPU112により、圧縮データに対してライン変換処理や間引き処理等のデータ変換処理を行うべきか否かを判定することが可能となる。
従って、本実施形態に係る画像形成装置1aは、MPU112により、圧縮データにおいて文字領域と画像領域とを判別した場合に、圧縮データに対して上記データ変換処理を行うべきと判定し、そのようなデータ変換処理を行うことにより、画像データの秘匿性を確保するのみならず、どの領域が文字領域なのか画像領域なのかという情報をも秘匿にすることが可能となり、画像データの秘匿性をさらに向上させることが可能となる。即ち、本実施形態においては、MPU112が、データ変換処理部として機能する。
これは、機密性のある画像データについては、その画像データの内容の他に、その画像データにおける情報の配置を秘匿にしたい場合が想定されるが、その圧縮データにおける圧縮率に基づいて文字領域と画像領域とが判別されてしまい、即ち、圧縮率が閾値以上である領域については文字領域であり、圧縮率が閾値未満である領域については画像領域であると判別されてしまい、その結果、画像データの内容については秘匿になってはいるものの、その画像データにおける情報の配置については推定されてしまうということを防ぐことを可能とするものである。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置1aが圧縮データに対して行うデータ変換処理の例について、図16及び16を参照して説明する。図16は、本実施形態に係る画像形成装置1aが圧縮データに対して行うデータ変換処理としてライン変換処理を説明するためのイメージ図である。図17は、本実施形態に係る画像形成装置1aが圧縮データに対して行うデータ変換処理として間引き処理を説明するためのイメージ図である。
まず、ライン変換処理について図16を参照して説明する。ライン変換処理とは、図16に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1aがMPU112により圧縮データに対して、予め定められている乱数発生処理により発生された乱数に従ってラインを入れ替える処理のことである。尚、ラインの入れ替えは所定のライン数毎に行われても良い。このとき発生された乱数は、後述するように、データ片aに付随して可搬型記憶装置5に記憶される。そして、上記のようにしてMPU112によるライン変換処理によりデータ変換された圧縮データは、画像形成装置1bにおいて、可搬型記憶装置5に記憶されている乱数に基づき、入れ替えられているラインが元に戻される。
尚、このライン変換処理が施された圧縮データは、ラインを入れ替えられているだけなので情報が失われることはなく、ライン変換処理が施される前の元の圧縮データに完全に復元され得る。そのため、画像形成装置1bにおいてライン変換処理が施された圧縮データから画像データを復元して、復元された画像データに基づいてプリントアウトしてもライン変換処理の前後で画像品質は変化しない。
次に、間引き処理について図17を参照して説明する。間引き処理とは、図17に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1aがMPU112により圧縮データに対して、圧縮率が閾値未満の領域において、所定のライン数毎にその先頭ラインのデータとその他のデータとが同一であると見做し、先頭ラインデータのみを残してその他のデータを間引く処理のことである。例えば、圧縮率が閾値未満の領域において、8ライン毎にその先頭ラインのみを残し、その他の7ラインは先頭ラインと同一のデータであると見做して間引く。そして、上記のようにして間引き処理によりデータ変換された圧縮データは、画像形成装置1bにおいて、各先頭ライン毎にその先頭ラインと同一のデータを付加することにより圧縮データが復元される。
尚、この間引き処理が施された圧縮データは、所定のライン数毎に先頭ラインと同一のデータと見做されてその他のラインが間引きされているため、その分の情報が失われ、間引き処理が施される前の圧縮データに完全に復元されることできない。そのため、画像形成装置1bにおいて間引き処理が施された圧縮データから画像データを復元して、復元された画像データに基づいてプリントアウトすると、間引き処理の前よりも画像品質は低下することになる。
本実施形態に係る画像形成装置1aは、上記のようにしてMPU112により圧縮データに対してデータ変換処理を行うことにより、画像データにおける情報の配置について推定されてしまうということを防ぐことが可能となる。尚、本実施形態に係る画像形成装置1aが圧縮データに対して行うデータ変換処理は、図16及び図17において説明したライン変換処理や間引き処理に限られず、文字領域と画像領域とを判別不可能なようにデータ変換する処理であれば他の方法であっても良い。
また、本実施形態に係る画像形成装置1aは、取得した画像データがPDLにより記述されたデータである場合には、そのデータ構造から画像データにおける文字領域と画像領域とを判別することが可能となるため、取得した画像データをRAM110に読み出さずにDSP116内で上記データ変換処理を行うことが可能となり、また、取得した画像データを圧縮して圧縮率を算出しなくても良い。従って、本実施形態に係る画像形成装置1aは、取得した画像データがPDLにより記述されたデータである場合には、処理能力の低いSoC100や、バス能力の低いVideoバス119であっても滞りなくデータ変換処理を行うことが可能となる。
このように、本実施形態に係る画像形成装置1aは、圧縮データにデータ変換処理を施すことにより、画像データの秘匿性を向上させることが可能となる。
尚、本実施形態に係る画像形成装置1aは、図14〜図17において説明したように圧縮データにおける文字領域と画像領域とを判別する他に、圧縮前の画像データにおける文字領域と画像領域とを判別するようにしても、画像データの秘匿性を向上させることが可能となる。即ち、圧縮率に基づいて文字領域と画像領域とを判別する方法では、本実施形態に係る画像形成装置1aは、圧縮データにおいて文字領域と画像領域とを判別することができるに過ぎないが、圧縮前の画像データにおいて文字領域と画像領域とを判別することができれば、画像データそのものに各種画像変換処理を施すことが可能となり、画像データの秘匿性を向上させることが可能となる。尚、本実施形態に係る画像形成装置1aは、画像データにおいて文字領域と画像領域とを判別することができれば、圧縮率を算出することなく、圧縮データにおいても文字領域と画像領域とを判別することができる。
従って、画像データにおける画像領域の秘匿性を確保したい場合には、本実施形態に係る画像形成装置1aはMPU112により、画像変換処理として例えば、画像領域へのモザイク処理、画像領域からの画像の削除、画像領域の間引き処理、画像領域への網掛け処理や黒塗り処理等がある。また、画像データにおける文字領域の秘匿性を確保したい場合には、本実施形態に係る画像形成装置1aはMPU112により、画像変換処理として、例えば、文字領域からの文字の削除、文字領域への網掛け処理や黒塗り処理等がある。尚、本実施形態に係る画像形成装置1aは、このようにして画像変換処理が施されたあとの画像データに対して、図11に示すような画像変換処理を施すように構成されていても良い。尚、上述したように、画像データにおいて文字領域と画像領域とを判別せずに、画像データの全体若しくは一部に対して上述したような画像変換処理を施すようにしても、画像データの秘匿性を向上させることが可能となる。
このように、本実施形態に係る画像形成装置1aは、MPU112により画像データに上記のような画像変換処理を施すことにより、画像データの秘匿性を向上させることが可能となるが、これに加えて、求めるセキュリティレベルに応じて、画像データに施す画像変換処理の種別を決定するように構成されていても良い。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1aは、MPU112により、画像データの秘匿性が高くなるような画像変換処理であるほどセキュリティレベルが高い画像変換処理として設定するように構成されていても良い。このような構成とすることにより、本実施形態に係る画像形成装置1aは、セキュリティレベルに応じた適切な画像変換処理を画像データに対して施すことが可能となる。
また、このように、本実施形態に係る画像形成装置1aは、MPU112により、各セキュリティレベルが設定可能なように構成されている場合、このように設定されている各セキュリティレベルからユーザが何れかを選択することができるように構成されていても良い。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1aはMPU112により、図18に示すように、操作パネル111におけるセキュリティレベル設定画面へのユーザ操作により画像データへのセキュリティレベルが設定されるように構成されていても良い。図18は、本実施形態に係る画像形成装置1aの操作パネル111に表示されるセキュリティレベル設定画面の表示例を示す図である。
図18に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1aの操作パネル111上には、セキュリティレベル設定画面として、「セキュリティレベル0」、「セキュリティレベル1(低)」、「セキュリティレベル(中)」、「セキュリティレベル(高)」が選択可能なように表示されている。このような構成とすることにより、本実施形態に係る画像形成装置1aは、ユーザが求めるセキュリティレベルに応じて、どの画像変換処理を施すべきかを判断することが可能となり、セキュリティレベルに応じた適切な画像変換処理を画像データに対して施すことが可能となる。尚、本実施形態において、図18に示したセキュリティレベル設定画面は、図6に示したファイル形式設定画面で「3.Secure」が選択された場合に、その次に表示される画面として構成されている。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置1aが、圧縮前の画像データにおいて文字領域と画像領域とを判別する方法としては、例えば、DSP116がRAM110に展開された画像データに対して圧縮処理を行う前に、MPU112が、RAM110に展開された画像データにおいて、白の画素と白以外の画素とを識別して、所定値以上、白以外の画素が連続している領域を画像領域とし、それ以外の領域を文字領域として判別する方法がある。このような方法であると、MPU112でのソフトウェア処理によるドット判定で行うことができる。本実施形態に係る画像形成装置1aが、圧縮前の画像データにおいて文字領域と画像領域とを判別する方法としてはこれに限られず、文字領域と画像領域との判別が可能な方法であれば何でも良い。
図10の説明に戻って、圧縮データが分割されると、MPU112は、データ片bを外部装置に送信するために、クライアント端末2、ファイルサーバ3、画像形成装置4等の外部装置のうちからいずれかを送信先候補として選択し(S1005)、選択した装置にLAN制御部117を制御してLAN物理層103及びネットワーク6を介して、データ片bの受け入れが可能であるか否かを問い合わせるための問い合わせパケットを伝送する(S1006)。
尚、S1005における外部装置の選択処理及びS1006における問い合わせ処理は、ネットワーク6に接続されている各装置にランダムに上記問い合わせパケットを伝送するようにしても良いし、本実施形態に特有の動作が開始された段階、即ち、図3において説明したS304の処理が実行された段階で、ネットワーク6に接続されている各装置のIPアドレスや装置ID等の外部装置を識別するための装置識別情報の一覧を作成して、その中からランダムに選択して上記問い合わせパケットを伝送するようにしても良い。また、S1005における外部装置の選択処理の際には、上述した外部装置の他に、画像形成装置1a自身をその外部装置に含め、画像形成装置1a自身が送信先候補として選択されるように構成されていても良い。このような構成の場合、送信先候補として画像形成装置1aが選択されると、画像形成装置1aは、上記問い合わせパケットを伝送する処理は行わない。
MPU112は、問い合わせパケットを伝送した後、一定時間が経過する前に、パケットの伝送先からACK(ACKnowledgement)を受信した場合には(S1007/YES)、そのACKの送信元である装置をデータ片bの送信先として決定し、その装置の装置識別情報を取得して(S1008)、そのACKの送信元に対してデータ片b及び図3において説明したS305における処理で決定されたファイル識別情報を送信して記憶させる(S1009)。即ち、本実施形態おいては、データ片bの送信先として決定された装置が、データ記憶先媒体として機能し、装置識別情報が、データ記憶先識別情報として使用さる。そして、MPU112は、データ片bを送信すると、RAM110からデータ片bを削除する(S1010)。尚、送信先候補として画像形成装置1aが選択された場合には、S1009の処理において、MPU112は、画像形成装置1aが備えるHDD106等の不揮発性の補助記憶装置にデータ片bを送信して記憶させることになる。
一方、MPU112は、一定時間を経過しても、送信先候補として選択した装置からACKを受信しない場合には(S1007/NO)、その装置以外のうちいずれかから送信先候補としての外部装置を選択し直して(S1005)、再度上記問い合わせパケットを伝送する(S1006)。
MPU112は、RAM110からデータ片bを削除すると、FAX機能の設定を記憶している領域から自局の電話番号を取得し(S1011)、S1004における処理で分割されて生成されたデータ片a、図3において説明したS305における処理で決定されたファイル識別情報、S1008における処理で取得された装置識別情報、S1011における処理で取得された電話番号をRAM110上に展開し、それらの情報から構成されるデータ構造体をRAM110上に生成する(S1012)。ここで生成されたデータ構造体は、図3のS310の処理において説明したように、ファイル形式が「Secure」であるファイルとして生成され、そのファイルの拡張子として「.sec」を持つ。以下では、特に断りがない限り、データ片a、ファイル識別情報、装置識別情報、電話番号をまとめて管理データとする。
尚、本実施形態に係る画像形成装置1aは、分割される前の圧縮データに、MPU112により上述したようにライン変換処理や間引き処理等のデータ変換処理を施した場合には、データ構造体に含める管理データとして上記の他に、分割前の圧縮データに施したデータ変換処理を識別するためのデータ変換処理識別情報を含めるように構成されている。従って、本実施形態に係る画像形成装置1bは、MPU112により、分割前の圧縮データにデータ変換処理が施されている場合であっても、データ構造体に含まれる管理データとしてのデータ変換処理識別情報に基づいて元の圧縮データに復元することが可能となる。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置1aが生成するデータ構造体について、図19を参照して説明する。図19は、本実施形態に係る画像形成装置1aが生成するデータ構造体のデータ構造例を模式的に示すイメージ図である。図19(a)に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1aが生成するデータ構造体のデータ構造は、MPU112により、管理データである、データ片a、ファイル識別情報、装置識別情報、電話番号が、マーカー(以下、「MR」とする)1〜4及びエンドマーカー(以下、「EMR」とする)で連結されて区切られた構造となっている。以下では、特に断りがない限り、生成されたデータ構造体におけるデータ片aをデータA、ファイル識別番号をデータB、装置識別情報をデータC、電話番号をデータDとする。
尚、マーカーは、各管理データを区別するためのデータであって、画像形成装置1a及び画像形成装置1bが、データ構造体における核管理データを区別することができるように構成されていれば必ずしも必要ではない。また、データ構造体のヘッダ部分に、本実施形態に係るデータ構造であることを示す情報を付加するようにしても良い。
本実施形態に係る画像形成装置1aがMPU112により生成するデータ構造体は、図19(a)に示したデータ構造を有するデータ構造体(以下、「元のデータ構造体」とする)の他に、図19(b)〜図19(d)に示すように、図19(a)に示した元のデータ構造体に対して各種の構造変換処理が施されたデータ構造を有するデータ構造体であっても良い。このように、本実施形態に係る画像形成装置1aは、図19(a)に示した元のデータ構造体に対して構造変換処理を施すことにより、可搬型記憶装置5に記憶されるデータ構造体の秘匿性を高めることが可能となる。
図19(b)は、図19(a)に示した元のデータ構造体に含まれる各管理データを2進数とした場合に、先頭ビットから最後尾ビットまでのデータの順列を逆転させて配列し直した場合のデータ構造体のデータ構造を示している。尚、図19(b)においては、各管理データの先頭に「s_」を付すことにより、先頭ビットから最後尾ビットまでのデータの順列が逆転されたことを示している。
図19(c)は、図19(a)に示した元のデータ構造体に含まれる各管理データを、予め定められたバイト数毎に配列し直した場合のデータ構造体のデータ構造を示している。図19(d)は、図19(a)に示した元のデータ構造体に含まれる各管理データを2進数とした場合に、その各管理データの補数をとって配列し直した場合のデータ構造体のデータ構造を示している。尚、図19(d)においては、各管理データの最後尾に「’」を付すことにより、各管理データの補数をとったことを示している。
このように、図19(b)〜図19(d)において説明した構造変換処理を図19(a)に示した元のデータ構造体に施すことにより、その元のデータ構造体に復元する際に困難が伴うことになり、可搬型記憶装置5に記憶されるデータ構造体の秘匿性を確保することが可能となり、結果として、画像データの秘匿性をさらに向上させることが可能となる。
また、本実施形態に係る画像形成装置1aは、図19(b)〜図19(d)において説明した構造変換処理が施された各データ構造体から図19(a)に示す元のデータ構造体に復元する際の困難さの程度をセキュリティレベルとして設定するように構成されている。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1aは、MPU112により、元のデータ構造体に復元することが困難である構造変換処理であるほどセキュリティレベルが高い構造変換処理として設定するように構成されている。このような構成とすることにより、本実施形態に係る画像形成装置1aは、MPU112により、ユーザが求めるセキュリティレベルに応じて、どの構造変換処理を施すべきかを判断することが可能となる。尚、図19において説明した構造変換処理は一例であって、これらに限られず、セキュリティレベルに応じて他の構造変換処理が施されるように構成されていても良い。
このように、本実施形態に係る画像形成装置1aは、各セキュリティレベルが設定可能なように構成されている場合、このように設定されている各セキュリティレベルからユーザが何れかを選択することができるように構成されていても良い。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1aは、上述した画像データへのセキュリティレベルの設定と同様に、MPU112により、図18に示すように、操作パネル111におけるセキュリティレベル設定画面へのユーザ操作によりデータ構造体へのセキュリティレベルが設定されるように構成されている。
尚、本実施形態に係る画像形成装置1aは、MPU112によりデータ構造体に上述したような構造変換処理を施す場合には、データ構造体に含める管理データとして上記の他に、データ構造体に施す構造変換処理を、本実施形態に特有の処理を行う画像形成装置1a及び画像形成装置1bのみが識別できるように、構造変換処理識別情報をデータ構造体に含めるように構成されている。このような構成とすることにより、本実施形態に係る画像形成装置1bは、データ構造体に構造変換処理が施されている場合であっても、データ構造体に含まれる管理データとしての構造変換処理識別情報に基づいて元のデータ構造体に復元することが可能となる。また、このような構成とすることにより、本実施形態に係る画像形成システムにおいては、本実施形態に特有の処理を行う画像形成装置1a及び画像形画像形成装置1b以外は、構造変換処理が施されたデータ構造体を元のデータ構造体に復元することができないため、データ構造体の秘匿性を高めることが可能となり、結果として、画像データの秘匿性をさらに向上させることが可能となる。
尚、一般的には、元のデータ構造体への復元が困難な構造変換処理であるほど、即ち、セキュリティレベルが高く設定されている構造変換処理であるほど、構造変換処理及び元のデータ構造体への復元の際に、より煩雑な処理が行われるため、その分、MPU112の処理能力の高さが求められる。従って、本実施形態に係る画像形成装置1aは、MPU112の処理能力とセキュリティレベルとのバランスを考慮してどの構造変換処理を施すべきかを判断することが可能となる。
図10の説明に戻って、MPU112は、RAM110上に上記のようにしてデータ構造体を生成すると、生成したデータ構造体を画像形成装置1aに接続されている可搬型記憶装置5に記憶させ(S1013)、生成されたデータ構造体、取得されたデータ片a、電話番号、ファイル識別情報、装置識別情報をRAM110から削除する(S1014)。尚、ファイル識別情報については、RAM110から削除される前に、HDD106等の不揮発性の記憶媒体に記憶されて、動作ログ情報の一部として記録される。このようにして、本実施形態に係る画像形成装置1aは、MPU112により、取得した画像データを可搬型記憶装置5に記憶させるようになっている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1bが、他の場所に設置されている画像形成装置1aにより取得された画像データに基づいて画像形成出力を実行する際の処理について、即ち、図4において説明したS405における詳細な処理について、図20及び図21を参照して説明する。図20は、本実施形態に係る画像形成装置1bが、他の場所に設置されている画像形成装置1aにより取得された画像データに基づいて画像形成出力を実行する際の処理を説明するためのフローチャートである。図21は、本実施形態に係る画像形成装置1aが、他の場所に設置されている画像形成装置1bに外部装置から取得したデータ片bを転送する際の処理を説明するためのフローチャートである。尚、図20においては、可搬型記憶装置5が画像形成装置1bに既に接続され、図4において説明したS402〜S404の処理が完了していることを前提としている。
図20に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1bが、他の場所に設置されている画像形成装置1aにより取得された画像データに基づいて画像形成出力を実行するにはまず、MPU112は、接続されている可搬型記憶装置5から図18において説明したデータ構造体を外部装置物理層118を介して取得し(S2001)、取得したデータ構造体に構造変換処理が施されていれば元のデータ構造体に復元する(S2002)。尚、このとき、MPU112が取得したデータ構造体は、上述したように、ファイル形式が「Secure」であり、拡張子「.sec」を持つファイルである。また、画像形成装置1bは、上述したように、取得したデータ構造体に構造変換処理が施されていても、MPU112により、どのような構造変換処理が施されているかを識別することができ、元のデータ構造体に復元することができるように構成されている。
そして、MPU112は、データ構造体を復元すると、復元されたデータ構造体に含まれる電話番号に基づいて、FAXモデム104、電話回線I/F105、公衆回線7を介して画像形成装置1aとファクシミリ通信を開始する(S2003)。MPU112は、画像形成装置1aとのファクシミリ通信を確立すると、確立されたファクシミリ通信を利用して、FAXモデム104、電話回線I/F105、公衆回線7を介して、復元されたデータ構造体に含まれるファイル識別情報及び装置識別情報と共に、データ片bを画像形成装置1bに転送するための転送依頼を画像形成装置1aに送信する(S2004)。
そして、画像形成装置1aが、画像形成装置1bからファイル識別情報、装置識別情報、上記転送依頼を受信することになる。ここで、本実施形態に係る画像形成装置1aが、他の場所に設置されている画像形成装置1bに、外部装置から取得したデータ片bを転送するにはまず、MPU112は、上記で確立されたファクシミリ通信を利用して、FAXモデム104、電話回線I/F105、公衆回線7を介して、画像形成装置1bからファイル識別情報、装置識別情報、上記転送依頼を取得する(S2101)。MPU112は、取得したファイル識別情報と、そのファイル識別情報で識別されるデータ片bを画像形成装置1aに送信するための送信依頼とを、LAN制御部117を制御することによりLAN物理層103、ネットワーク6を介して、取得した装置識別情報で識別される外部装置に送信する(S2102)。
MPU112は、LAN制御部117を制御することによりLAN物理層103、ネットワーク6を介して上記外部装置からデータ片bを取得すると(S2103)、取得したデータ片bを、上記で確立されたファクシミリ通信を利用して、FAXモデム104、電話回線I/F105、公衆回線7を介して、画像形成装置1bに転送し(S2104)、画像形成装置1a内からデータ片bを削除する(S2105)。このようにして、本実施形態に係る画像形成装置1aは、外部装置から取得したデータ片bを、他の場所に設置されている画像形成装置1bに転送する。
そして、画像形成装置1bが画像形成装置1aからデータ片bを受信すると、MPU112は、上記で確立されたファクシミリ通信を利用して、FAXモデム104、電話回線I/F105、公衆回線7を介して、画像形成装置1aからデータ片bを取得する(S2005)。即ち、本実施形態においては、MPU112が、情報取得部として機能する。MPU112は、画像形成装置1aからデータ片bを取得すると画像形成装置1aにACKを送信してファクシミリ通信を終了する(S2006)。
そして、MPU112は、S2002の処理で復元したデータ構造体に含まれるデータ片aと、S2005で取得したデータ片bとを繋ぎ合せて分割前の圧縮データに復元し(S2007)、復元された分割前の圧縮データにライン変換処理や間引き処理等のデータ変換処理が施されていれば元の圧縮データに復元する(S2008)。尚、画像形成装置1bは、上述したように、圧縮データにデータ変換処理が施されていても、どのようなデータ変換処理が施されているかを識別することができ、元の圧縮データに復元することができるように構成されている。
MPU112が元の圧縮データに復元すると、DSP116は、復元された圧縮データに対して復号化処理を行って元の画像データをRAM110に展開する(S2009)。そして、MPU112は、RAM112に展開された画像データに基づいてプロッタ制御部114を制御してプロッタ108に画像形成出力を実行させる(S2010)即ち、本実施形態おいては、MPU112及びDSP116が画像データ復元部として機能し、MPU112及びプロッタ制御部114が、画像形成出力制御部として機能し、プロッタ108が画像形成部として機能する。このようにして、本実施形態に係る画像形成装置1bは、他の場所に設置されている画像形成装置1aにより取得された画像データに基づいて画像形成出力を実行する。
ここで、画像形成装置1bと画像形成装置1aとがファクシミリ通信を行って、各種データ授受を行う際のファクシミリ通信手順について、即ち、図20において説明したS2003〜S2006における処理について、図22に示す。図22は、本実施形態に係る画像形成システムにおいてファクシミリ通信を行う際の処理手順を示すためのイメージ図である。
尚、データ片bのデータ量が大きい場合に、ファクシミリ通信によりデータ片bの送受信が行われると、データ片bの画像品質を低下させてデータ量を小さくして送受信が行われる。そのため、本実施形態に係る画像形成装置1aは、元のデータ片bのままファクシミリ通信によりデータ片bの送受信を行いたい場合には、圧縮データをデータ片a及びデータ片bに分割する際に、データ片bのデータ量が小さくなるように分割すれば良い。このような場合、データ片bのデータ量が小さくなる分、データ片aのデータ量が大きくなってしまうが、圧縮データの全てに比較すれば小さいため、このような場合であっても、可搬型記憶装置5の記憶容量は小さくて済む。
また、他の方法として、圧縮される前の元の画像データの解像度を上げることにより、ファクシミリ通信での送受信の際にデータ片bの画像品質が低下された場合であっても、一定以上の解像度を確保する方法も考えられる。尚、解像度が上がると、圧縮率が低下するため圧縮データのデータ量は大きくなるが、このような場合であっても、圧縮データのごく一部を切り取るだけで復元不可能となるため、データ片aのデータ量は解像度を上げる前に比較して変化させる必要がないか、ごく少量の増加で良い。そのため、このような場合であっても、可搬型記憶装置5の記憶容量は小さくて済む。
以上、説明したように、本実施形態に係る画像形成システムにおいては、画像形成装置1aに可搬型記憶装置5や、クライアント端末2、ファイルサーバ3、画像形成装置4等の外部装置から入力された画像データ、若しくは、画像形成装置1aが原稿を読み取ることにより取得された画像データを、秘匿性を確保しながら画像形成装置1aとは別の場所に設置されている画像形成装置1bにおいてプリントアウトすることにある。
尚、本実施形態においては、公衆回線7を電話回線として説明したが、画像形成装置1aと画像形成装置1bとが同一のLAN内に接続された、即ち、画像形成装置1bもネットワーク6に接続されたローカルなシステムや、公衆回線7がインターネット回線であるシステムで実現することも可能であるし、また、図23に示すように、ネットワーク6と、画像形成装置1bが接続されたネットワーク8とが、インターネット回線9を介して接続されたシステムで実現することも可能である。尚、図23は、他の実施形態に係る画像形成システムの運用形態を示す図である。
このような構成の場合には、画像形成装置1aは、データ構造体に含める管理データとして自局の電話番号の代わりに、画像形成装置1aのIPアドレスや装置ID等の装置識別情報を含めるようにデータ構造体を生成する。また、このような構成の場合には、画像形成装置1bは、ファクシミリ通信によりデータ片bを取得する代わりに、画像形成装置1aの装置識別情報に基づいて、公衆回線7やネットワーク6を介したパケット通信やインターネットFAXによりデータ片bを取得する。
また、このような構成の場合には、画像形成装置1aと画像形成装置1bとはファクシミリ通信を行う必要がないので、圧縮形式はMMR形式やMR形式等のファクシミリ符号化に限られず、RARやAFA等、分割されると復元不可能となる圧縮形式であれば良い。また、このような構成の場合、画像形成装置1bは、画像形成装置1aからデータ片bを取得する代わりに、データ構造体に含まれるファイル識別情報及び装置識別情報にも付いて、データ片bを記憶している外部装置から直接データ片bを取得することができる。
また、本実施形態においては、画像処理装置1aにおいて生成されたデータ構造体は、USBメモリ等の可搬型記憶装置に記憶されて画像形成装置1bに取得される構成について説明したが、画像形成装置1aと画像形成装置1bとのネットワーク接続を介して、画像形成装置1aから画像形成装置1bに送信されるように構成されていても良い。