JP2014055712A - 集熱設備、その制御装置、及び集熱設備の運転方法 - Google Patents

集熱設備、その制御装置、及び集熱設備の運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】受熱器のケーシングの熱損傷を抑える。
【解決手段】受熱器のケーシング25の表面上であって、ケーシング25の開口26を分割起点として定められた複数の領域A,B,C,D毎の温度が規制温度以上であるか否かを判断する。いずれかのヘリオスタットに対してオンからオフへの遷移、又はオフからオンへの遷移が定められると、ヘリオスタットの遷移過程で太陽光が照射されるケーシング表面上の照射経路Rとして、複数の領域A,B,C,Dのうちで規制値以上ではない領域を通る経路を設定する。
【選択図】図11

Description

本発明は、太陽光が照射される受熱器と、受熱器に太陽光を照射できる複数のヘリオスタットとを備えている集熱設備、その制御装置、及び集熱設備の運転方法に関する。
近年、環境にやさしいクリーンなエネルギーとして、太陽光を集光して得られる熱エネルギーを利用した設備が盛んに開発されている。
このような設備の一例として、例えば、以下の特許文献1には、太陽光が照射される受熱器と、反射鏡で太陽光を反射して受熱器に太陽光を照射できる複数のヘリオスタットと、複数のヘリオスタットの動作を制御する制御装置と、を備えている集熱設備が記載されている。受熱器は、太陽光が照射されて内部の流体が加熱される受熱部と、この受熱部を覆い太陽光を内部に導く開口が形成されているケーシングと、を有している。
この集熱設備では、受熱器における受熱部の各位置での温度を検知するサーモグラフィーや、複数のヘリオスタットが設置されている領域での直達日射量を検知する日射量計が設けられている。制御装置は、このサーモグラフィーで検知された受熱部の各位置での温度のうち、いずれかの位置の温度が受熱部の材料使用限界等を超える場合、この材料使用限界等を超える位置がなくなるよう、ヘリオスタット運転台数の変更や反射鏡の向き補正を行う。また、この制御装置は、日射量計で検知された直達日射量に応じて、ヘリオスタット運転台数の変更や反射鏡の向き補正を行う。
特開2011−163594号公報
上記特許文献1に記載の集熱設備のように、各種環境情報等に応じて、ヘリオスタット運転台数を変更する場合、一部のヘリオスタットが、ケーシングの開口を介して受熱部に太陽光を照射しているオンの状態から、受熱器のいずれの部分にも太陽光を照射しないオフの状態になる。又は、一部のヘリオスタットが、オフの状態からオンの状態になる。このように、ヘリオスタットがオンからオフへ、又はオフからオンへ遷移する場合、この遷移過程で、ヘリオスタットからの太陽光が一時的にケーシング表面に照射される。
仮に、多数のヘリオスタットが短時間のうちにオンからオフへ、又はオフからオンへ遷移し、その際に、各ヘリオスタットからの太陽光がケーシング表面上のほぼ同一領域を照射したとする。この場合、ケーシング表面上の一部の領域の温度が極めて高くなり、この領域が損傷するおそれがある。
そこで、本発明は、受熱器の熱損傷を抑え、受熱器の耐久性を高めることができる集熱設備、その制御装置、及び集熱設備の運転方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための発明の一態様としての集熱設備の制御装置は、
太陽光が照射されて内部の流体が加熱される受熱部、及び該受熱部を覆い太陽光を内部に導く開口が形成されているケーシングを有する受熱器と、反射鏡で太陽光を反射して該受熱部に太陽光を照射できる複数のヘリオスタットと、を備えている集熱設備の制御装置において、前記ケーシングの表面上であって、該ケーシングの前記開口を分割起点として予め定められた複数の領域毎の温度と該温度に相関する値とのうちの一方である温度相関値を推定し、該温度相関値が予め定められた規制値以上であるか否かを判断するケーシング温度推定部と、前記ケーシング温度推定部により、複数の前記領域毎に、当該領域の前記温度相関値が前記規制値以上であるか否かが記憶される領域状態記憶部と、複数の前記ヘリオスタット毎に、前記受熱器の前記受熱部に太陽光を照射するオンと、該受熱器のいずれの部分にも太陽光を照射しないオフとを定めるオンオフ設定部と、前記オンオフ設定部がいずれかの前記ヘリオスタットに対してオンからオフへの遷移、又はオフからオンへの遷移を定めると、該ヘリオスタットの遷移過程で太陽光が照射される前記ケーシング表面上の照射経路として、前記領域状態記憶部を参照して、複数の前記領域のうちで前記規制値以上ではない領域を通る経路を設定する経路設定部と、前記経路設定部が設定した前記照射経路を通過するよう、前記ヘリオスタットに対する制御信号を作成し、該制御信号を該ヘリオスタットに出力する制御信号出力部と、を備えていることを特徴とする。
当該制御装置では、受熱器ケーシングの表面上の複数の領域のうち、いずれかの領域が規制値以上になると、ヘリオスタットからの太陽光の照射経路はこの領域を除く領域を通るように設定される。このため、当該制御装置では、受熱器ケーシングの一部の温度が極めて高くなることを防ぐことができる。
ここで、前記集熱設備の制御装置において、前記ケーシング温度推定部は、いずれかの前記ヘリオスタットに関して前記経路設定部が設定した前記照射経路を取得すると、複数の前記領域のうちで該照射経路を含む領域の新たな温度相関値を、該ヘリオスタットからの太陽光により該領域が受ける熱量を用いて推定してもよい。この場合、前記ケーシング温度推定部は、複数の前記領域毎の前記温度相関値を前記領域状態記憶部に記憶し、いずれかの前記ヘリオスタットに関して前記経路設定部が設定した前記照射経路を取得すると、複数の前記領域のうちで該照射経路を含む領域の新たな温度相関値を、前記領域状態記憶部に既に記憶されている該領域の前記温度相関値と、該ヘリオスタットからの太陽光により該領域が受ける熱量とを用いて推定してもよい。
また、以上のいずれかの集熱設備の制御装置において、前記ケーシング温度推定部は、各領域の放熱量を用いて、各領域の温度相関値を推定してもよい。
また、以上のいずれかの集熱設備の制御装置において、前記経路設定部は、前記ヘリオスタットをオフからオンへ遷移させる際、複数の領域のうち、前記規制値以上でない領域が複数ある場合、該規制値以上でない複数の領域のうちから、前記反射鏡の駆動量が最も小さくなる領域を通る経路を前記照射経路としてもよい。
当該制御装置では、規制値以上でない複数の領域のうちから、反射鏡の駆動量が最も小さくなる領域を通る経路を照射経路とするので、当該ヘリオスタットの遷移時における消費電力を抑えることができる。
また、以上のいずれかの集熱設備の制御装置において、複数の前記ヘリオスタットは、互いに直交する2つの回転軸線回りに前記反射鏡を回動させることで、該反射鏡の向きを変える駆動装置を有し、前記経路設定は、前記ヘリオスタットをオンからオフへ遷移させる際、前記ヘリオスタットの2つの前記回転軸線のうち、いずれか一方のみの回転軸線回りに前記反射鏡を回動させたときに、該ヘリオスタットからの太陽光が照射される前記ケーシング表面上の経路が、複数の前記領域のうちで前記規制値以上ではない領域中を通る場合には、該経路を前記照射経路としてもよい。
当該制御装置では、2つの回転軸線のうち、一方のみの回転軸線回りに反射鏡を回動させたときに、ヘリオスタットからの太陽光が照射されるケーシング表面上の経路が、規制値以上ではない領域中を通る場合には、この経路を照射経路にするので、前記一方の回転軸回りに反射鏡を回動させる、つまり、一個のモータのみを駆動させることになり、ヘリオスタットの制御を単純化することができる。さらに、当該制御装置では、設定される照射経路の経路長が短くなるので、当該ヘリオスタットの遷移時における消費電力を抑えることができる。
また、以上のいずれかの集熱設備の制御装置において、前記経路設定部は、複数の領域のうち、前記規制値以上でない領域が複数ある場合、該規制値以上でない複数の領域のうちから最も低い温度の領域を通る経路を前記照射経路としてもよい。
当該制御装置では、照射経路がより低温の領域を通過するにようになるので、受熱器ケーシングの耐久性をさらに高めることができる。
また、前記目的を達成するための発明の一態様としての集熱設備は、
以上のいずれかの制御装置と、前記複数のヘリオスタットと、前記受熱器と、を備えていることを特徴とする。
当該集熱設備でも、前記制御装置を備えているので、受熱器ケーシングの一部の温度が極めて高くなることを防ぐことができる。
また、前記目的を達成するための発明の一態様としての集熱設備の運転方法は、
太陽光が照射されて内部の流体が加熱される受熱部、及び該受熱部を覆い太陽光を内部に導く開口が形成されているケーシングを有する受熱器と、反射鏡で太陽光を反射して該受熱部に太陽光を照射できる複数のヘリオスタットと、を備えている集熱設備の運転方法において、前記ケーシングの表面上であって、該ケーシングの前記開口を分割起点として予め定められた複数の領域毎の温度と該温度に相関する値とのうちの一方である温度相関値を推定する領域温度推定ステップと、前記領域温度推定ステップで推定された前記温度相関値が予め定められた規制値以上であるか否かを判断する領域状態判断ステップと、複数の前記ヘリオスタット毎に、前記受熱器の前記受熱部に太陽光を照射するオンと、該受熱器のいずれの部分にも太陽光を照射しないオフとを定めるオンオフ設定ステップと、前記オンオフ設定ステップで、いずれかの前記ヘリオスタットに対してオンからオフへの遷移、又はオフからオンへの遷移が定められると、該ヘリオスタットの遷移過程で太陽光が照射される前記ケーシング表面上の照射経路として、複数の前記領域のうちで前記規制値以上ではない領域を通る経路を設定する経路設定ステップと、前記経路設定ステップで設定された前記照射経路を通過するよう、前記ヘリオスタットに対する制御信号を作成し、該制御信号を該ヘリオスタットに出力する制御信号出力ステップと、を実行することを特徴とする。
当該運転方法では、受熱器ケーシングの表面上の複数の領域のうち、いずれかの領域が規制値以上になると、ヘリオスタットからの太陽光の照射経路はこの領域を除く領域を通るように設定される。このため、当該運転方法では、受熱器ケーシングの一部の温度が極めて高くなることを防ぐことができる。
ここで、前記集熱設備の運転方法において、前記領域温度推定ステップでは、いずれかの前記ヘリオスタットに関して前記経路設定ステップで設定された前記照射経路を取得し、複数の前記領域のうちで該照射経路を含む領域の新たな温度相関値を、該ヘリオスタットからの太陽光により該領域が受ける熱量を用いて推定してもよい。
本発明によれば、受熱器のケーシング表面上の一領域の温度が極めて高くなり、この領域が熱損傷することを防ぐことができる。よって、本発明によれば、受熱器の耐久性を高めることができる。
本発明に係る一実施形態における集熱設備の構成を示す説明図である。 本発明に係る一実施形態における集熱設備の平面図である。 本発明に係る一実施形態における受熱器の正面図である。 本発明に係る一実施形態における制御装置の機能ブロック図である。 本発明に係る一実施形態における受熱器のケーシング表面に設定した領域を示す説明図である。 本発明に係る一実施形態における領域状態記憶部に記憶される情報を示す説明図である。 本発明に係る一実施形態における受熱器のケーシング表面に設定した一領域の温度変化例を示すグラフである。 本発明に係る一実施形態における制御装置の受付部及びケーシング温度推定部の動作を示すフローチャートである。 本発明に係る一実施形態における制御装置の受付部、オンオフ設定部、経路設定部及び制御信号出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明に係る一実施形態における経路設定部の詳細動作を示すフローチャートである。 本発明に係る一実施形態において、ヘリオスタットがオフからオンへ遷移する場合の照射経路の設定方法を示す説明図であり、同図(A)は非規制領域が複数ある場合の照射経路の設定方法を示し、同図(B)は非規制領域が1つのみである場合の照射経路の設定方法を示す。 本発明に係る一実施形態において、ヘリオスタットがオンからオフへ遷移する場合の照射経路の設定方法を示す説明図であり、同図(A)は1つの回転軸線回りにのみ反射鏡を回動させたときの経路として、非規制領域を通る経路が複数ある場合の照射経路の設定方法を示し、同図(B)は1つの回転軸線回りにのみ反射鏡を回動させたときの経路として、非規制領域を通る経路が1つのみである場合の照射経路の設定方法を示し、同図(C)は1つの回転軸線回りにのみ反射鏡を回動させたときの経路として、非規制領域を通る経路がない場合の照射経路の設定方法を示す。
以下、本発明に係る集熱設備の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の集熱設備は、図1に示すように、太陽光が照射される受熱器20と、この受熱器20が上部に固定されるタワー1と、反射鏡11で太陽光を反射して受熱器20に太陽光を照射する集光装置としての複数のヘリオスタット10と、各種センサ5と、複数のヘリオスタット10を制御する制御装置30と、を備えている。
受熱器20は、太陽光が照射される受熱部21と、この受熱部21を覆うケーシング25とを有している。受熱部21内には、水や空気等の作動流体が供給され、この作動流体が太陽光からの熱で加熱される。作動流体が空気の場合、この集熱設備は、さらに、加熱された空気で駆動するガスタービン2と、このガスタービン2の駆動で発電する発電機(不図示)とを備えていることで、太陽熱発電設備を構成することができる。また、作動流体が水の場合、集熱設備は、さらに水の加熱で生成された蒸気で駆動する蒸気タービンと、この蒸気タービンで駆動する発電機とを備えることでも、太陽熱発電設備を構成することができる。なお、この例は、受熱器20からの熱エネルギーを電気エネルギー発生に利用しているが、この熱エネルギーを蒸気発生のために利用してもよい。
ヘリオスタット10は、太陽光を反射する反射鏡11と、反射鏡11を支持する支持脚12と、反射鏡11を目的の方向に向ける駆動装置13と、を有している。駆動装置13は、図4に示すように、互いに直交する2つの回転軸線A1,A2回りに反射鏡11を回動させることで、反射鏡11の向きを変える。
複数のヘリオスタット10は、図2に示すように、ヘリオスタット設置領域F上に点在している。このヘリオスタット設置領域Fは、扇形を成し、北半球においては、扇の要が南側を向くように設定されている。また、この扇の要の近傍位置には、前述のタワー1が建てられ、このタワー1の上部の北側に受熱器20が固定されている。
なお、南半球では、扇形のヘリオスタット設置領域Fの要が北側を向き、この要の近傍の位置に受熱器20が配置される。また、ここでは、ヘリオスタット設置領域Fが扇形を成しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、ヘリオスタット設置領域Fは方形であっても、リング形であってもよい。ヘリオスタット設置領域Fがリング形の場合、受熱器20はこのリングの中央部分に配置される。
受熱器20の受熱部21は、図3に示すように、下部ヘッダ22と、この下部ヘッダ22の上方に配置されている上部ヘッダ23と、鉛直方向に延び下部ヘッダ22と上部ヘッダ23とをつなぐ複数の受熱管24と、を有している。下部ヘッダ22には、例えば、圧縮機からの圧縮空気を下部ヘッダ22に送る入口配管28が接続されている。また、上部ヘッダ23には、複数の受熱管24から上部ヘッダ23に集まった加熱空気を、例えば、前述したガスタービン2に送る出口配管29が接続されている。
受熱部21を覆うケーシング25には、ヘリオスタット10からの太陽光を内部の受熱部21に導く開口26が形成されている。なお、以下では、ヘリオスタット10がこのケーシング25の開口を介して受熱部21に太陽光を照射している状態をオンの状態とし、ヘリオスタット10が受熱器20のいずれの部分にも太陽光を照射しない状態をオフの状態とする。
このケーシング25の表面には、図5に示すように、この表面の温度管理上、開口26を分割起点として分割された4つの領域A,B,C,Dが設定されている。
制御装置30は、図4に示すように、上位装置8から各種指令や各種センサ5で検知された値を受け付ける受付部31と、ケーシング25の表面上の複数の領域毎の温度を推定するケーシング温度推定部32と、複数の領域毎の温度が記憶される領域状態記憶部33と、複数のヘリオスタット10毎のオン、オフを定めるオンオフ設定部34と、ヘリオスタット10のオンからオフへの遷移及びオフからオンへの遷移時にヘリオスタット10から太陽光が照射されるケーシング25表面上の照射経路を定める経路設定部35と、照射経路に応じた制御信号をヘリオスタット10に出力する制御信号出力部36と、これらを制御する統合制御部39と、を有している。
上位装置8からは、例えば、設備駆動指令、設備停止指令や、この集熱設備の目標出力等が制御装置30に出力される。また、センサとしては、例えば、受熱器20における受熱部21の各位置での温度を検知する温度計、ヘリオスタット設置領域Fにおける外気温度を検知する温度計、ヘリオスタット設置領域Fにおける直達日射量を検知する日射量計等がある。制御装置30は、受付部31が上位装置8からの設備駆動指令を受けると、複数のヘリオスタット10に対する制御を開始し、受付部31が上位装置8からの設備停止指令を受けると、複数のヘリオスタット10に対する制御を終了する。
領域状態記憶部33には、図6に示すように、受熱器20のケーシング25表面上の複数の領域毎の温度と、各領域が規制領域であるか非規制領域であるかが記憶される。ここで、規制領域とは、予め定められた規制温度(規制値)Ts以上の温度の領域であり、非規制領域とは、予め定められた規制温度Ts未満の温度の領域のことである。
なお、以上で説明した制御装置30は、コンピュータを有して構成され、制御装置30の以上の各機能部は、CPUと、このCPUが実行するプログラムが格納されている記憶装置とを有して構成されている。また、領域状態記憶部33は、メモリ等の主記憶装置又はハードディスクドライブ装置等の補助記憶装置を有して構成されている。
次に、受熱器20のケーシング25表面上の一領域における温度変化について、図7を用いて説明する。
日の出直後のケーシング25の表面温度は、基本的に外気温度Taに一致している。制御装置30は、例えば、日の出後、上位装置8から設備駆動指令を受け付けると、ヘリオスタット設置領域F内の全ヘリオスタット10のうちの多数のヘリオスタット10をオン状態にする(t0)。この際、多数のヘリオスタット10からの太陽光がケーシング25表面上の一領域を通過すると、この一領域の温度は急激に且つ大幅に上昇する。
その後、しばらくの間、ヘリオスタット設置領域F内の全ヘリオスタット10に関して、オンからオフへ又はオフからオンへの遷移がなければ、この一領域の温度は放熱により次第に低下する。
そして、ヘリオスタット設置領域F内の全ヘリオスタット10のうち、数台に関して、オンからオフへ又はオフからオンへの遷移があり、この数台のヘリオスタット10からの太陽光が一領域を通過すると(t1,t2、t3,…,tn)、そのたびに一領域の温度は急激に上昇した後、放熱により次第に低下する。
このように、ケーシング25の一領域の温度は、上位装置8が設備駆動指令を出力してから設備停止指令を出力するまでの間、上昇、低下を繰り返す。ケーシング25の一領域の温度が上昇、低下を繰り返す過程で、この温度が一時的に前述の規制温度Ts以上になる場合もある。本実施形態では、ケーシング25の一領域の温度が規制温度Ts以上になると、この一領域を規制領域として管理する。具体的に、本実施形態では、後述するように、一領域が規制領域になると、いずれのヘリオスタット10の遷移過程においても、ヘリオスタット10からの太陽光がケーシング25表面上を通る照射経路として、規制領域ではない領域、つまり非規制領域を通る経路を照射経路にする。
次に、以上で説明した制御装置30の動作について、図8〜図10に示すフローチャートに従って説明する。
まず、図8に示すフローチャートに従って、制御装置30の受付部31及びケーシング温度推定部32の動作について説明する。
制御装置30の受付部31は、上位装置8からの設備駆動指令を受け付けると(S10s)、統合制御部39からの指示に従って、ヘリオスタット設置領域Fにおける外気温度を検知する温度計からこの外気温度を取得する(S11)。なお、上位装置8は、前述したように、例えば、日の出の時刻に合わせて、設備駆動指令を出力する。
ケーシング温度推定部32は、受付部31が外気温度を取得すると(S11)、受熱器20のケーシング25の各領域の温度が外気温度であるとして、各領域の温度(外気温度)を領域状態記憶部33に記憶する。さらに、この領域状態記憶部33に各領域の状態が非規制である旨を記憶する(S12)。
次に、ケーシング温度推定部32は、経路設定部35がヘリオスタット10の照射経路を設定すると、この照射経路を取得する(S13)。
ケーシング温度推定部32は、この照射経路を取得すると(S13)、ケーシング25の複数の領域A,B,C,D毎に以下の処理(S14〜S19a,S19b)を実行して、各領域A,B,C,Dの温度を推定する。
ケーシング温度推定部32は、まず、当該領域を照射経路が通るか否かを判断する(S14)。当該領域を照射経路が通ると判断した場合、ケーシング温度推定部32は、例えば、ヘリオスタット10から当該領域が受ける太陽光による入熱量を推定する(S15)。この場合、当該領域中の照射経路長、照射経路幅、さらに、日射量計で検知された直達日射量や反射鏡11の反射条件等を考慮して、入熱量を推定する。なお、入熱量は、計算の簡略化のため固定値であっても、また、照射経路長、直達日射量、反射条件のうち、いずれか一つのみ、又はいずれか二つのみを考慮して推定したものであってもよい。
続いて、ケーシング温度推定部32は、当該領域からの放熱量を推定する(S16)。この放熱量は、ステップ13〜19a,19bの処理を実行する周期に相当する時間での放熱量とする。なお、この放熱量は、外気温度でも影響を受けるため、この外気温度を加味してもよい。但し、ケーシング温度推定部32における負荷を減らすため、領域の単位時間あたりの放熱量が外気温度にかかわらず一定であるとしてもよい。
次に、ケーシング温度推定部32は、ステップ15で推定した入熱量と、ステップ16で推定した放熱量と、この領域のケーシング25の質量と、このケーシング25の比熱等から、この領域の温度変化量を推定する。そして、この推定した温度変化量と、領域状態記憶部33(図6参照)に記憶されている該当領域の温度とを用いて、現時点における該当領域の温度を推定する(S17)。
一方、ケーシング温度推定部32は、ステップ14で、当該領域を照射経路が通らないと判断した場合、ケーシング温度推定部32は、当該領域の入熱量を推定せずに、直ちに、当該領域の放熱量を推定する(S16)。そして、ケーシング温度推定部32は、S16で推定した熱量と、この領域のケーシング25の質量と、このケーシング25の比熱等から、この領域の温度変化量を推定した後、この推定した温度変化量と、領域状態記憶部33に記憶されている該当領域の温度とを用いて、現時点における該当領域の温度を推定する(S17)。
ケーシング温度推定部32は、当該領域の温度を推定すると(S17)、この推定した温度Tが予め定めた規制温度(規制値)Ts以上であるか否かを判断する(S18)。ケーシング温度推定部32は、推定した温度Tが予め定めた規制温度(規制値)Ts以上であると判断すると、この領域の温度として推定した温度Tを領域状態記憶部33に記憶すると共に、この領域の状態が「規制」である旨を記憶する(S19a)。また、ケーシング温度推定部32は、推定した温度Tが予め定めた規制温度(規制値)Ts以上でない、つまり規制温度Ts未満であると判断すると、この領域の温度として推定した温度Tを記憶すると共に、この領域の状態が「非規制」である旨を領域状態記憶部33に記憶する(S19b)。
繰り返すことになるが、ケーシング温度推定部32は、経路設定部35が設定した照射経路を取得すると(S13)、ケーシング25の複数の領域毎に以上の処理(S14〜S19a,S19b)を実行する。
ケーシング温度推定部32は、以降、上位装置8から設備停止指令を受け付けるまで(S10e)、以上のステップ13〜S19a,S19bの処理を所定の周期で繰り返す。
すなわち、上位装置8から設備停止指令を受け付けず、再び、ステップ13に戻り、ケーシング温度推定部32が照射経路を取得すると、言い換えると、ケーシング温度推定部32が照射経路を取得する毎に、各領域の温度を推定して、領域状態記憶部33に記憶されている各領域の温度や各領域の状態を更新する。なお、ケーシング温度推定部32は、該当領域に関して推定した温度Tが先に推定した温度より上がった結果、規制温度Ts以上になっていれば、領域温度記憶領域33の当該領域の状態を「規制」に更新し、該当領域に関して推定した温度Tが先に推定した温度より下がった結果、規制温度Ts未満になっていれば、領域温度記憶領域33の当該領域の状態を「非規制」に更新する。
制御装置30の受付部31が上位装置8から設備停止指令を受けると(S10e)、以上の処理は終了する。
次に、図9に示すフローチャートに従って、制御装置30の受付部31、オンオフ設定部34、経路設定部35、制御信号出力部36の動作について説明する。
制御装置30の受付部31は、上位装置8からの設備駆動指令を受け付けると(S20)、統合制御部39からの指示に従って、この集熱設備の環境情報、例えば、受熱器20における受熱部21の各位置での温度、ヘリオスタット設置領域Fにおける外気温度、ヘリオスタット設置領域Fにおける直達日射量等を各センサ(温度計や日射量計)5から取得する。さらに、上位装置8から集熱設備の目標出力も取得する(S21)。なお、ここでは、この集熱設備の運転員等が制御装置30の入力装置を用いて目標出力を制御装置30に入力してもよいし、外部から予め受け付けた目標出力を呼び出してもよい。また、ここでの集熱設備の出力とは、例えば、この集熱設備が太陽熱発電設備を構成する場合には発電量等である。
次に、オンオフ設定部34が複数のヘリオスタット10毎のオン、オフを設定する(S22)。オンオフ設定部34は、例えば、直達日射量が日射量計で検知された値のときの集熱設備の出力が目標出力になる、ヘリオスタット10の運転台数を定める。そして、オンオフ設定部34は、例えば、受熱部21の各位置での温度がそれぞれ所定の温度になるよう、オンにするヘリオスタット10を運転台数分定める。なお、ここでオンにしないヘリオスタット10は、オフに設定されたことになる。
オンオフ設定部34により複数のヘリオスタット10毎のオン、オフが設定されると、経路設定部35は、オンからオフへ遷移させるヘリオスタット10及びオフからオンへ遷移させるヘリオスタット10の遷移過程で、太陽光が照射されるケーシング25表面上の照射経路を後述の方法で定めると共に、この照射経路をケーシング温度推定部32に通知する(S23)。ケーシング温度推定部32は、図8のフローチャートを用いて前述したように、この照射経路を用いて、ケーシング25表面上の領域の温度を推定する。
制御信号出力部36は、経路設定部35が設定した照射経路を受け取り、ヘリオスタット10からの太陽光が照射させるケーシング25表面上の経路がこの照射経路になるヘリオスタット10に対する制御信号を作成し、この制御信号を該当ヘリオスタット10に出力する(S24)。ヘリオスタット10の駆動装置13は、この制御信号を受けると、この制御信号に応じて、反射鏡11を第一回転軸線A1及び/又は第二回転軸線A2回りに回動させる。この結果、このヘリオスタット10は、オンからオフへ、又はオフからオンへ遷移する。なお、本実施形態において、各ヘリオスタット10は、いずれも、上位装置8から設備駆動指令を受けてから設備停止指令を受けるまでの間、遷移時の制御信号を受けない限り、受熱器を基準にして一定の位置に太陽光を照射するように駆動している。
制御装置30の受付部31、オンオフ設定部34、経路設定部35、制御信号出力部36は、以降、受付部31が上位装置8から設備停止指令を受け付けるまで(S25)、以上のステップ21〜24の処理を所定の周期で繰り返す。
一方、制御装置30の受付部31が上位装置8から設備停止指令を受けると(S25)、以上の処理は終了する。
次に、図10に示すフローチャートに従って、制御装置30の経路設定部35によるステップ23の処理、つまりこの経路設定部35による照射経路の設定方法について説明する。
経路設定部35は、オンオフ設定部34により複数のヘリオスタット10毎のオン、オフが設定されると、遷移対象になっているヘリオスタット10の遷移がオンからオフへの遷移であるか、オフからオンへ遷移であるかを判断する(S30)。
ヘリオスタット10の遷移がオフからオンの遷移の場合、経路設定部35は、領域状態記憶部33を参照して、非規制領域が複数あるか否かを判断する(S31)。
非規制領域が複数ある場合、経路設定部35は、複数の非規制領域のうちから、このヘリオスタット10の反射鏡11の駆動量が最も小さくなる非規制領域を通る経路を照射経路に設定する(S32)。例えば、図11(A)に示すように、領域Bが規制領域で、領域A,C,Dが非規制領域であり、オフ状態のヘリオスタット10の照射位置Ioffがこのヘリオスタット10から見て、受熱器20のケーシング25外であって、このケーシング25の右上であるとする。この場合、例えば、第一回転軸線A1回りに反射鏡11を回動させるのみで、このヘリオスタット10をオンにする方法があるとする。この際、このヘリオスタット10の照射位置は非規制領域Aを通過してケーシング25の開口26内に至る。さらに、例えば、第二回転軸線A2回りに反射鏡11を回動させた後、第一回転軸線A1回りに反射鏡11を回動させて、このヘリオスタット10をオンにする方法もあるとする。この際、このヘリオスタット10の照射位置は、規制領域Bを迂回した後、非規制領域Cを通過してケーシング25の開口26内に至る。
このような場合、本実施形態では、ヘリオスタット10の駆動電力を抑えるため、このヘリオスタット10の反射鏡11の駆動量が最も小さくなる非規制領域Aを通る経路を照射経路Rに設定する。
また、非規制領域が1つの場合、経路設定部35は、この1つの非規制領域を通る経路を照射経路に設定する(S33)。例えば、図11(B)に示すように、領域A,B,Dが規制領域で、領域Cが非規制領域であり、オフ状態のヘリオスタット10の照射位置Ioffがこのヘリオスタット10から見て、受熱器20のケーシング25外であって、このケーシング25の右上であるとする。この場合、例えば、第二回転軸線A2回りに反射鏡11を回動させた後、第一回転軸線A1回りに反射鏡11を回動させて、このヘリオスタット10をオンにする方法があるとする。この際、このヘリオスタット10の照射位置は、規制領域Bを迂回した後、非規制領域Cを通過してケーシング25の開口内に至る。
このように、非規制領域が1つの場合、経路設定部35は、この1つの非規制領域Cを通る経路を照射経路Rに設定するため、必要に応じて反射鏡11を2つの回転軸A1,A2回りに回動させることがある。なお、仮に、反射鏡11を2つの回動軸A1,A2回りに回動させることで設定可能な照射経路が複数ある場合には、設定可能な複数の照射経路のうちから、反射鏡11の駆動量が最も小さくなる経路を照射経路とすることが好ましい。さらに、この1つの非規制領域を通る経路を照射経路に設定するため、反射鏡11を1つの回転軸回りに回動させたときの経路がこの1つの非規制領域を通る場合には、この経路を照射経路にすることが好ましい。
経路設定部35は、ステップ30で、遷移対象になっているヘリオスタット10の遷移がオンからオフへの遷移であると判断すると、第一回転軸線A1回りにのみ反射鏡11を回動させたときの経路と、第二回転軸線A2回りにのみ反射鏡11を回動させたときの経路を求める(S34)。
次に、経路設定部35は、非規制領域を通る経路が複数あるか、1つのみであるか、このような経路はないかを判断する(S35)。
非規制領域を通る経路が複数ある場合、経路設定部35は、最も温度の低い非規制領域を通る経路を照射経路に設定する(S36)。例えば、図12(A)に示すように、領域B,Dが規制領域で、領域A,Cが非規制領域であり、非規制領域A,Cのうちで非規制領域Aの方が温度が低いとする。さらに、照射位置がオン状態のヘリオスタット10の照射位置Ionから非規制領域A又はCを通る経路として、第一回転軸線A1を中心として反射鏡11を時計回りに回動させて、このヘリオスタット10をオフにする方法と、第一回転軸線A1を中心として反射鏡11を反時計回りに回動させて、このヘリオスタット10をオフにする方法とがあるとする。なお、ここでは、第一回転軸線A1を中心として反射鏡11を時計回りに回動させる際には、ヘリオスタット10からの太陽光の経路が非規制領域Aを通り、第一回転軸線A1を中心として反射鏡11を反時計回りに回動させる際には、ヘリオスタット10からの太陽光の経路が非規制領域Bを通るとする。
このような場合、本実施形態では、ケーシング25の耐久性を向上させるため、非規制領域A,Cのうちで温度の低い非規制領域Aを通る経路、つまり、第一回転軸線A1を中心として反射鏡11を時計回りに回動させた際の経路を照射経路Rに設定する。
なお、このような場合、設備全体での消費電力を抑えるため、反射鏡11から受熱部21までの距離が遠いヘリオスタット10に対しては、非規制領域A,Cのうちで経路長が長くなる非規制領域Aを通る経路を照射経路に設定し、反射鏡11から受熱部21までの距離が近いヘリオスタット10に対しては、非規制領域A,Cのうちで経路長が短くなる非規制領域Cを通る経路を照射経路に設定してもよい。これは、反射鏡11から受熱器20までの距離が長いヘリオスタット10は、この距離が短いヘリオスタット10に比べて、反射鏡11の駆動量が小さくても、受熱器20の表面上における太陽光の経路を長くすることができるからである。
また、1つの回転軸線回りにのみ反射鏡11を回動させたときの経路として、非規制領域を通る経路が1つである場合、経路設定部35は、この1つの経路を照射経路に設定する(S37)。例えば、図12(B)に示すように、領域B,C,Dが規制領域で、領域Aが非規制領域であり、この非規制領域Aを通る経路として、第一回転軸線A1を中心として反射鏡11を時計回りに回動させて、このヘリオスタット10をオフにする方法しかないとする。
このような場合、本実施形態では、この非規制領域Aを通る一の経路を照射経路Rに設定する。
また、1つの回転軸線回りにのみ反射鏡11を回動させたときの経路として、非規制領域を通る経路が無い場合、経路設定部35は、2つの回転軸線A1,A2回りに反射鏡11を回動させたときの経路のうちで、非規制領域を通る経路を照射経路に設定する(S38)。例えば、図12(C)に示すように、領域A,B,Cが規制領域で、領域Dが非規制領域であり、第一回転軸線A1回りにのみ反射鏡11を回動させても、第二回転軸線A2回りにのみ反射鏡11を回動させても、ヘリオスタット10からの太陽光の経路が非規制領域Dを通るようにすることができないとする。
このような場合、本実施形態では、2つの回転軸線A1,A2回りに反射鏡11を回動させたときの経路のうちで、非規制領域Dを通る経路を照射経路Rに設定する。但し、非規制領域Dを通り且つ2つの回転軸線A1,A2回りに反射鏡11を回動させたときの経路は、多数存在するため、このうちから、反射鏡11の駆動量が最も小さいものを選択する。
なお、以上で説明した照射経路の設定方法では、非規制領域が最低でも1つあることを前提にしているが、仮に、非規制領域が1つもない場合には、規制領域中で最も温度の低い規制領域を通過する経路を照射経路にしてもよいし、遷移対象になっているヘリオスタット10の遷移を中止させてもよい。
また、以上で説明した照射経路の設定方法において、ヘリオスタット10からの太陽光の経路が通る非規制領域が複数ある場合は、必ず、複数の非規制領域のうちで最も温度の低い非規制領域を通る経路を照射経路に設定してもよい。
以上のように、本実施形態では、ケーシング25の4つの領域のうち、いずれかの領域が規制温度以上になると、ヘリオスタット10からの太陽光の照射経路はこの領域を除く領域を通るように設定される。このため、本実施形態では、ケーシング25の一部の温度が極めて高くなることを防ぐことができ、ケーシング25の熱損傷を抑え、受熱器20の耐久性を高めることができる。
なお、本実施形態では、ケーシング25表面を4つの領域に分割しているが、5以上の領域に分割してもよいし、4未満で2以上の領域に分割してもよい。
また、本実施形態では、ケーシング25表面の各領域を管理するためのパラメータとして、各領域の温度を用いているが、この温度と相関性のある物理量であれば他のパラメータを用いてもよく、例えば、各領域に出入する熱量(温度相関値)をパラメータにしてもよい。この場合、領域が規制領域であるか否かを判断する規制値として、この領域の蓄積熱量に関する規制値を用いる。
1:タワー、5:センサ、8:上位装置、10:ヘリオスタット、11:反射鏡、13:駆動装置、20:受熱器、21:受熱部、25:ケーシング、26:開口、30:制御装置、31:受付部、32:ケーシング温度推定部、33:領域状態記憶部、34:オンオフ設定部、35:経路設定部、36:制御信号出力部

Claims (10)

  1. 太陽光が照射されて内部の流体が加熱される受熱部、及び該受熱部を覆い太陽光を内部に導く開口が形成されているケーシングを有する受熱器と、反射鏡で太陽光を反射して該受熱部に太陽光を照射できる複数のヘリオスタットと、を備えている集熱設備の制御装置において、
    前記ケーシングの表面上であって、該ケーシングの前記開口を分割起点として予め定められた複数の領域毎の温度と該温度に相関する値とのうちの一方である温度相関値を推定し、該温度相関値が予め定められた規制値以上であるか否かを判断するケーシング温度推定部と、
    前記ケーシング温度推定部により、複数の前記領域毎に、当該領域の前記温度相関値が前記規制値以上であるか否かが記憶される領域状態記憶部と、
    複数の前記ヘリオスタット毎に、前記受熱器の前記受熱部に太陽光を照射するオンと、該受熱器のいずれの部分にも太陽光を照射しないオフとを定めるオンオフ設定部と、
    前記オンオフ設定部がいずれかの前記ヘリオスタットに対してオンからオフへの遷移、又はオフからオンへの遷移を定めると、該ヘリオスタットの遷移過程で太陽光が照射される前記ケーシング表面上の照射経路として、前記領域状態記憶部を参照して、複数の前記領域のうちで前記規制値以上ではない領域を通る経路を設定する経路設定部と、
    前記経路設定部が設定した前記照射経路を通過するよう、前記ヘリオスタットに対する制御信号を作成し、該制御信号を該ヘリオスタットに出力する制御信号出力部と、
    を備えていることを特徴とする集熱設備の制御装置。
  2. 請求項1に記載の集熱設備の制御装置において、
    前記ケーシング温度推定部は、いずれかの前記ヘリオスタットに関して前記経路設定部が設定した前記照射経路を取得すると、複数の前記領域のうちで該照射経路を含む領域の新たな温度相関値を、該ヘリオスタットからの太陽光により該領域が受ける熱量を用いて推定する、
    ことを特徴とする集熱設備の制御装置。
  3. 請求項2に記載の集熱設備の制御装置において、
    前記ケーシング温度推定部は、複数の前記領域毎の前記温度相関値を前記領域状態記憶部に記憶し、いずれかの前記ヘリオスタットに関して前記経路設定部が設定した前記照射経路を取得すると、複数の前記領域のうちで該照射経路を含む領域の新たな温度相関値を、前記領域状態記憶部に既に記憶されている該領域の前記温度相関値と、該ヘリオスタットからの太陽光により該領域が受ける熱量とを用いて推定する、
    ことを特徴とする集熱設備の制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の集熱設備の制御装置において、
    前記ケーシング温度推定部は、各領域の放熱量を用いて、各領域の温度相関値を推定する、
    ことを特徴とする集熱設備の制御装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の集熱設備の制御装置において、
    前記経路設定部は、前記ヘリオスタットをオフからオンへ遷移させる際、複数の領域のうち、前記規制値以上でない領域が複数ある場合、該規制値以上でない複数の領域のうちから、前記反射鏡の駆動量が最も小さくなる領域を通る経路を前記照射経路とする、
    ことを特徴とする集熱設備の制御装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の集熱設備の制御装置において、
    複数の前記ヘリオスタットは、互いに直交する2つの回転軸線回りに前記反射鏡を回動させることで、該反射鏡の向きを変える駆動装置を有し、
    前記経路設定は、前記ヘリオスタットをオンからオフへ遷移させる際、前記ヘリオスタットの2つの前記回転軸線のうち、いずれか一方のみの回転軸線回りに前記反射鏡を回動させたときに、該ヘリオスタットからの太陽光が照射される前記ケーシング表面上の経路が、複数の前記領域のうちで前記規制値以上ではない領域中を通る場合には、該経路を前記照射経路とする、
    ことを特徴とする集熱設備の制御装置。
  7. 請求項1から4のいずれか一項に記載の集熱設備の制御装置において、
    前記経路設定部は、複数の領域のうち、前記規制値以上でない領域が複数ある場合、該規制値以上でない複数の領域のうちから最も低い温度の領域を通る経路を前記照射経路とする、
    ことを特徴とする集熱設備の制御装置。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置と、
    前記複数のヘリオスタットと、
    前記受熱器と、
    を備えていることを特徴とする集熱設備。
  9. 太陽光が照射されて内部の流体が加熱される受熱部、及び該受熱部を覆い太陽光を内部に導く開口が形成されているケーシングを有する受熱器と、反射鏡で太陽光を反射して該受熱部に太陽光を照射できる複数のヘリオスタットと、を備えている集熱設備の運転方法において、
    前記ケーシングの表面上であって、該ケーシングの前記開口を分割起点として予め定められた複数の領域毎の温度と該温度に相関する値とのうちの一方である温度相関値を推定する領域温度推定ステップと、
    前記領域温度推定ステップで推定された前記温度相関値が予め定められた規制値以上であるか否かを判断する領域状態判断ステップと、
    複数の前記ヘリオスタット毎に、前記受熱器の前記受熱部に太陽光を照射するオンと、該受熱器のいずれの部分にも太陽光を照射しないオフとを定めるオンオフ設定ステップと、
    前記オンオフ設定ステップで、いずれかの前記ヘリオスタットに対してオンからオフへの遷移、又はオフからオンへの遷移が定められると、該ヘリオスタットの遷移過程で太陽光が照射される前記ケーシング表面上の照射経路として、複数の前記領域のうちで前記規制値以上ではない領域を通る経路を設定する経路設定ステップと、
    前記経路設定ステップで設定された前記照射経路を通過するよう、前記ヘリオスタットに対する制御信号を作成し、該制御信号を該ヘリオスタットに出力する制御信号出力ステップと、
    を実行することを特徴とする集熱設備の運転方法。
  10. 請求項9に記載の集熱設備の運転方法において、
    前記領域温度推定ステップでは、いずれかの前記ヘリオスタットに関して前記経路設定ステップで設定された前記照射経路を取得し、複数の前記領域のうちで該照射経路を含む領域の新たな温度相関値を、該ヘリオスタットからの太陽光により該領域が受ける熱量を用いて推定する、
    ことを特徴とする集熱設備の運転方法。
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