JP2014052205A - 流動指標値特定方法および流動指標値特定装置 - Google Patents

流動指標値特定方法および流動指標値特定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】実機内を流れる流体の流速等を非破壊状態で計測できる流動指標値特定方法を提供する。
【解決手段】本発明の流動指標値特定方法は、放射線源から導出された一次放射線を被測定流体へ照射する照射ステップと、一次放射線により励起されて生成された被測定流体中の放射性核種から放出される二次放射線を検出する検出ステップと、検出ステップで得られた検出値に基づいて被測定流体の流動状態を指標する流動指標値を特定する特定ステップとを備える。ここで二次放射線は、短寿命の即発放射線と長寿命の遅発放射線とからなり、検出ステップは、遅発放射線を検出する遅発放射線検出ステップを含み、特定ステップは、遅発放射線検出ステップで得られた検出値に基づき流動指標値を特定するステップとする。これにより局所的な特定領域における流体の流速等を高精度に求めることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、実機内を流れる流体の流動状態を示す流動指標値を、非破壊状態で特定できる流動指標値特定方法および流動指標値特定装置に関する。
多くの機械、装置または設備等が、液相、気相または混相からなる種々の流体を利用している。このような機械等では、内部流路や配管を流れる流体の流動状態を可能な限り正確に知ることにより、さらなる高性能化や高効率化等を達成し得る。
流動状態の把握方法として、透明部材を用いた流動状態の可視化もあるが、放射線を用いて実機の流動状態を非破壊状態で計測する方法も知られている。これに関連する記載が下記の文献にある。
特開昭58−47216号公報
C.R.Boswell and T.B.Piece,"Flow rate determination by neutron activation analysis", Modern Development in Flow Measurements, Conf.Publ., 10, 264, Peter Peregrinus Ltd. (1971)
非特許文献1は、流体(軽水:HO)に量子ビーム(中性子ビーム)を照射し、放射化されたその一部が一定距離を通過する時間を求めて、その流体の流速を特定する方法を提案している。具体的には、軽水の流れにエネルギー14MeVの高速中性子を照射すると、核反応 16O(n、p)16N により、半減期が7.13秒の16N(放射性核種)が生成される。この際、中性子をパルス状に照射すれば、生成された16Nは塊となって流路内を流れることになる。この一群の16Nから放出される放射線(二次放射線)を下流側に配置した放射線検出器で検出する。具体的には、中性子を照射した時刻t1と、中性子照射により生成された16Nの一群が軽水の流れに運ばれて検出器の前を通過する時刻t2とを測定する。こうして中性子の照射位置と検出器の間の距離(流路長L)を、その通過時間(t2-t1)で除算することにより、軽水の平均流速V(=L/(t2−t1))を求めている。この流速測定方法は、PNA(Pulse Neutron Activation)法と呼ばれている。
PNA法の場合、中性子の照射位置から所定距離(流路長L)だけ離した位置に放射線検出器を設けなければならず、器機の配置性や測定精度等の観点から、その流路長Lをあまり短くすることもできない。
また、PNA法により求められる流速は、所定区間(流路長L)内における平均流速であり、局所的または瞬間的な流速を測定することはできない。しかも、目印となる放射性核種は、測定対象である流体の移動に伴い流体中を拡散するため、その平均流速も必ずしも正確ではない。
特許文献1は、二つの放射線検出器を流路上に離して配置し、それらの検出変動分に基づいて流体の質量流量を求めることを提案している。しかし、この場合も所定の流路長を確保する必要があり、上述したPNA法の場合と同様な課題を有する。
なお、いずれの場合も、二次放射線の検出は目印である放射性核種の通過を知るために行っているに過ぎず、その二次放射線の具体的な放出量等を問題にしている訳ではない。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、所定の流路長の確保が不要で、流体の局所的または瞬間的な流動状態を特定できる流動指標値特定方法および流動指標値特定装置を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、流体に中性子ビームを照射して放射化された放射性核種から放出される崩壊ガンマ線の強度(計数値)が、その流体の流速に応じて変化することを見出した。この特性を利用することにより、流体の流動状態(流速または質量流量等)を特定することを着想し、実際に流体の流速等を特定できることを確認した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《流動指標値特定方法》
(1)本発明の流動指標値特定方法は、放射線源から導出された一次放射線を被測定流体へ照射する照射ステップと、該一次放射線の照射(該一次放射線と該被測定流体中の原子核との原子核反応または該原子核との非弾性散乱等)により該被測定流体中から放出される二次放射線を検出する検出ステップと、該検出ステップで得られた検出値に基づいて該被測定流体の流動状態を指標する流動指標値を特定する特定ステップと、を備える流動指標値特定方法であって、前記二次放射線は、短寿命の即発放射線と長寿命の遅発放射線とからなり、前記検出ステップは、該遅発放射線を検出する遅発放射線検出ステップを含み、前記特定ステップは、該遅発放射線検出ステップで得られた検出値に基づき前記流動指標値を特定するステップであることを特徴とする。
(2)本発明に係る二次放射線は、被測定流体へ一次放射線を照射することにより生成される。被測定流体中から放出される二次放射線には、核反応に伴い瞬時に放出される二次粒子、残留核の励起準位から瞬時に放出されるガンマ線の他、残留核が放射性核種の場合、固有の半減期によりゆっくり放出される遅発放射線が含まれる。遅発放射線には崩壊に伴って放出される放射線の他、娘核の励起準位から放出されるガンマ線が含まれる。この遅発放射線は、パルス的な即発放射線と異なり、時間の経過によりその放出量が減少していく。この放出量の減少傾向は、被測定流体の停止している場合と流動している場合とで異なる。すなわち、被測定流体が実質的に停止しているとき、検出される遅発放射線の放出量は指数関数的な一定割合で減少していく。しかし、被測定流体が流動しているとき、検出される遅発放射線の放出量の減少傾向は、流速の影響を受けて変化し、明らかに被測定流体が停止しているときとは異なる。従って、被測定流体へ一次放射線を照射した際に放出される遅発放射線の検出値を測定することにより、それに対応した被測定流体の流速を特定できることになる。勿論、本発明の流動指標値特定方法により特定される流動指標値は、流速に限らず、流速に関連した他の指標値(質量流量等)でもよい。
このように本発明では、被測定流体の流速に依存して遅発放射線の検出値が変化する現象を利用しており、従来のように目印とした放射性核種が一定区間を移動する時間を問題としているわけではない。従って本発明の場合、一定の流路長を確保したり、その両区間端に放射線検出器をそれぞれ設けたりする必要もない。また、本発明では、基本的に一次放射線を照射した被測定流体の特定領域内で生成された放射性核種から放出される遅発放射線の検出値に基づいて、その特定領域の流動指標値(流速等)を求めている。このため本発明によれば、従来のような特定区間を流れる平均流速ではなく、被測定流体のいわば局所的またはピンポイント的な流動指標値を特定できる。
(3)流速(V)以外の代表的な流動指標値として、単位時間あたりに所定の平面を通過する物質量である質量流量(Qm=ρVA/ρ:密度、A:通過面積)がある。本発明の方法により質量流量を特定するには、一次放射線を照射した領域内における物質量を把握する必要がある。この物質量は、一次放射線の照射時に放出される即発放射線量や照射により生成される放射性核種量に比例する。
従って、一次放射線を照射した際に被測定流体の特定領域から放出された即発放射線の検出値を把握することにより、その特定領域に含まれる物質量を把握できる。結局、前述した遅発放射線の検出値に基づき特定される流速と、即発放射線の検出値に基づき特定される物質量とを組み合わせれば、測定対象領域にある被測定流体の質量流量も特定できることになる。
よって本発明の流動指標値特定方法は、上述した検出ステップが、さらに、即発放射線を検出する即発放射線検出ステップを含み、特定ステップは、即発放射線検出ステップで得られた検出値である即発検出値と遅発放射線検出ステップで得られた検出値である遅発検出値とに基づいて流動指標値を特定するステップであってもよい。
なお、被測定流体の特定領域における流速は、上述したように遅発検出値のみに基づいて特定することもできるが、遅発検出値と即発検出値の両方を用いて特定することもできる。両検出値を用いることにより、被測定流体の密度変化や各種の外乱の影響等を打ち消した高精度な測定が可能になる。
従って、本発明に係る特定ステップは、即発検出値と遅発検出値の比に基づいて流動指標値の一つである流速または質量流量を特定するステップであると好適である。この際、遅発放射線検出ステップと即発放射線検出ステップは、同一の核種からの二次放射線を同一の放射線検出器で検出するとさらに好適である。
《流動指標値特定装置》
本発明は、流動指標値特定方法としてのみならず、流動指標値特定装置としても把握できる。すなわち、本発明は、放射線源から導出された一次放射線を被測定流体へ照射する照射手段と、該一次放射線の照射(該一次放射線と該被測定流体中の原子核との原子核反応または該原子核との非弾性散乱等)により該被測定流体中から放出される二次放射線を検出する検出手段と、該検出手段で得られた検出値に基づいて該被測定流体の流動状態を指標する流動指標値を特定する特定手段と、を備える流動指標値特定装置であって、前記二次放射線は、短寿命の即発放射線と長寿命の遅発放射線とからなり、前記検出手段は、該遅発放射線を検出する遅発放射線検出手段を含み、前記特定手段は、該遅発放射線検出手段により得られた検出値に基づき前記流動指標値を特定する手段であることを特徴とする流動指標値特定装置でもよい。
《その他》
(1)本発明の流動指標値特定方法に係る各「ステップ」は、それぞれ「手段」と言い換えることができ、それにより本発明の流動指標値特定装置に係る構成要素となり得る。
(2)特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
本発明の流動指標値特定装置の一例を示す測定装置の概要図である。 その測定装置により得られたガンマ線スペクトル図の一例である。 即発ガンマ線の強度および崩壊ガンマ線の強度と被測定流体の流速との相関を示す分散図である。 即発ガンマ線に対する崩壊ガンマ線の強度比と被測定流体の流速との相関を示す分散図である。
本明細書で説明する内容は、本発明の流動指標値特定方法のみならず、流動指標値特定装置にも該当し得る。上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《被測定流体》
被測定流体は、その種類を問わないが、一次放射線の照射により即発放射線および遅発放射線を放出する放射性核種を生成する生成元素を含む必要がある。この生成元素は、被測定流体自体の構成元素でもよいし、一定の割合で添加された添加元素でもよい。一次放射線の種類にも依るが、このような生成元素として、C、N、O、Na、Mg、Al、Pb、Fなどがある。
また被測定流体は、その状態を問わず、液相のみでも、気相のみでも、液相と気相が混在した混相でもよい。もっとも、被測定流体が液相のみからなると、本発明により得られる結果が被測定流体の流動状態をより正確に反映したものとなり易い。
《一次放射線/放射線源》
一次放射線は、上述した即発放射線および遅発放射線を生じる限り、その種類は問わない。中性子線のような非荷電粒子性放射線でも、α線やβ線のような荷電粒子性放射線でもよい。
一次放射線は、制御性に優れた各種の人工放射線源(加速器、原子炉等)から得られる量子ビームであると好適である。例えば、中性子線、陽子線、電子線などの量子ビームからなると好ましい。この量子ビームは、連続的なものでも断続的(パルス的)なものでもよい。パルス状の量子ビームを用いると、パルス幅を調整することにより、被測定流体の流動指標値として流速の時間変化率等を特定することも可能になる。例えば、本発明に係る一次放射線は、パルス幅が即発放射線の寿命よりも長く放射性核種の半減期の1/10よりも短いパルス状の量子ビームとしてもよい。
《二次放射線》
本発明に係る二次放射線は、即発放射線と遅発放射線からなるが、その具体的な種類は、一次放射線や放射性核種の種類により変化する。また、即発放射線および遅発放射線は必ずしも同一種である必要はないが、検出性の観点から両放射線は共に透過性に優れるガンマ線であると好ましい。すなわち、即発放射線は即発ガンマ線であり、遅発放射線は崩壊(壊変)ガンマ線であると好適である。
この場合、被測定流体の流速にも依るが、例えば、即発ガンマ線は寿命が10−6秒以下であり、崩壊ガンマ線は半減期が10−5〜10秒である放射性核種から放出される放射線であると好ましい。
《照射ステップ》
照射ステップは、放射線源から導出された一次放射線を被測定流体へ照射するステップである。被測定流体の局所領域における流速等を的確に検出、計測するために、照射ステップは、被測定流体の流動方向に対してほぼ直交する方向から一次放射線を照射するステップであると好ましい。また被測定流体の局所領域に一次放射線を的確に照射するために、放射線源と被測定流体の間に一次放射線用コリメーターを介在させると好ましい。
《検出ステップ》
検出ステップは、一次放射線と被測定流体中の原子核との原子核反応または該原子核との非弾性散乱等により被測定流体中から放出される二次放射線を検出するステップである。本発明の場合、検出ステップは遅発放射線を検出する遅発放射線検出ステップを含み、さらに好ましくは即発放射線を検出する即発放射線検出ステップを含むと好ましい。
検出ステップも、被測定流体の局所領域における流速等を的確に検出、計測するために、被測定流体の流動方向に対してほぼ直交する方向から二次放射線を検出するステップであると好ましい。また、その二次放射線を的確に検出するために、被測定流体と放射線検出器の間にも二次放射線用コリメーターを介在させると好ましい。なお、一次放射線の照射方向と二次放射線の検出方向は、同一または平行状でも、略直交状でもよい。
なお、本発明に係る検出ステップは、単なる二次放射線の有無を検出するのみならず、その強度等の計測も含む。同様に本発明に係る検出手段なら、Ge半導体やシンチレーター等の単なる放射線検出器のみならず、その出力信号を処理するスペクトロメトリなども含むことになる。こうして得られた即発放射線や遅発放射線のスペクトル強度または計数値等が、本発明でいう検出値(遅発検出値、即発検出値)に相当する。
《特定ステップ》
特定ステップは、検出ステップ(特に遅発放射線検出ステップ)で得られた検出値に基づいて被測定流体の流動状態を指標する流動指標値を特定するステップである。この流動指標値は、例えば、被測定流体の特定領域(測定部位)における流速である。流速は、遅発検出値だけからも特定可能であるが、前述したように遅発検出値と即発検出値の比を用いることにより、高精度な流動指標値(流速等)の特定が可能となる。これを論理的に説明すると次の通りである。
照射ステップにおいて一次放射線が照射される被測定流体の局所領域と、検出ステップにおいて二次放射線を検出する領域が一致する測定装置において、連続して流動する被測定流体に、連続して一次放射線を照射する場合、遅発放射線(例えば崩壊ガンマ線)の強度I(遅発検出値)は次のように表せる。
=T(Kηφσ/L)[L−V/λ{1−exp(−λ/V)}] (式1)
T :遅発放射線の検出時間、
:遅発放射線の検出効率等の補正係数、
η :一回の崩壊における検出に係る遅発放射線の放出割合、
φ :一次放射線のフラックス(単位面積あたり、単位時間当たりの放射粒子数)、
σ :遅発放射線を発生させる核反応の断面積、
:遅発放射線を発生させる核反応に関わる原子核の数、
:一次放射線のコリメータの幅で設定される被測定流体の局所領域の幅、
λ :崩壊定数、
V :被測定流体の流速
一方、即発放射線(例えば即発ガンマ線)は、放出される励起準位の寿命が極めて短い。このため、遅発放射線のλに対応する即発放射線での定数をλとして即発放射線の強度I(即発検出値)は、λ→∞として見積もることができ、その強度Iは次のように表せる。
=TKηφσ (式2)
:即発放射線の検出効率等の補正係数、
η :即発放射線の放出割合、
σ :即発放射線を発生させる核反応の断面積、
:即発放射線を発生させる核反応に関わる原子核の数、
これらの式を用いて、即発放射線の強度に対する遅発放射線の強度の比を求めると次のようになる。
/I={Kησ/(Kησ/L)}[L−V/λ{1−exp(−λ/V)}] (式3)
(式3)の右辺において、λ、ησ/ησは物理定数およびその除算結果であり一定である。Lは一次放射線のコリメータで設定される一定値である。N/Nは被測定流体の構成原子核の組成比を表し、流体の密度が変化しても一定である。K/Kは流体と検出器の間に存在し、流路の壁などを構成する材料による吸収(あるいは散乱)を表す項と、流体による自己吸収(あるいは散乱)を表す項の積で表すことができ、一定値である壁などの材料による項が支配的で流体の影響が小さい場合、二種の二次放射線の強度比(I/I)は流速Vのみに依存する。
ここで、K/Kは計算による算定が困難な場合が多いので、任意の既知の流速、例えば、流速V=0である停止状態の被測定流体の二次放射線の強度比(I/I)を予め測定しておけば(式3)右辺の係数Kησ/Kησが求まり、二次放射線の検出により遅発検出値である強度Iと即発検出値である強度Iが計測し、それらの強度比(I/I)を演算することにより、対応する被測定流体の特定領域における流速を求めることができる。なお、二次放射線の強度比は上述した強度比の逆数を用いてもよい。また、流速等の流動指標値を求める被測定流体の特定領域は、一箇所である必要はない。複数箇所について流動指標値を求めることにより、一次元的、二次元的さらには三次元的な流動指標値の分布を求めることも可能である。
《用途》
本発明は、その適用範囲(用途)を問わないが、非破壊状態で被測定流体の流動指標値(流速や質量流量等)を特定したい場合に適している。例えば、内燃機関や変速機等の油路や水路を流れる潤滑油や冷却水の流動状態、射出成型機内部を流れる樹脂の流動状態、
熱媒体として流動する液体Na金属の流動状態、ダイキャスト機内部を流れるアルミニウム系やマグネシウム系の溶融金属の流動状態、核融合炉内部で熱媒体、トリチウム生成材料として流動する液体LiPbのPbの流動状態、空調機の熱交換機内部を流れる冷媒の流動状態等を知りたい場合に本発明は適している。また、1点の任意の既知の流速について測定可能であれば、植物内部の水の流動状態、動物(人間を含む)の血管やリンパ腺を流れる血液やリンパ液の流動状態等を知りたい場合にも適用できる。
《測定装置》
本発明の有効性を確認するため、図1に示すような測定装置(流動指標値特定装置)1を用いて実証実験を行った。測定装置1は、中性子源となる原子炉Aと、この原子炉Aから導出された中性子ビームb0を細く絞り中性子を平行に照射する中性子コリメーター10と、中性子コリメーター10を通過した中性子ビームb1の照射により被測定流体fから放出された二次放射線であるガンマ線γ(即発ガンマ線γおよび崩壊ガンマ線γ)を絞りつつ平行に誘導するガンマ線コリメーター20と、ガンマ線コリメーター20から誘導されたガンマ線γを検出するガンマ線検出器30と、ガンマ線検出器30の検出信号をスペクトル分析するガンマ線スペクトロメトリ40とからなる。
被測定流体fには、回転可能なテフロン(登録商標)製の円盤Rの外周側に設けた蓋付き環状溝(充填部)へ充填した無水炭酸ナトリウム粉末(NaCO 粉末)を用いた。環状溝は、中心線の直径:160mm、幅:2mm、深さ:10mmとした。また、環状溝にNaCO 粉末を充填した後、その環状開口をテフロン(登録商標)製の環状蓋(厚さ:3mm)で覆った。こうしてNaCO 粉末を環状に密閉した円盤Rを、周速0〜500cm/secの範囲内で50cm/sec単位で回転させた。
《試験》
(1)照射ステップ
各周速で回転するNaCO 粉末へ、中性子コリメーター10により7mm×20mmにコリメートされた中性子ビームb1を連続的に照射した。なお、中性子ビームb0は、独立行政法人日本原子力研究開発機構の原子炉から供給を受けた。なお、この中性子のピークエネルギーは、0.015eVである。
(2)検出ステップ
円盤R内の被測定流体fから発生したガンマ線γを、ガンマ線コリメーター20を介してガンマ線検出器30で検出し、その強度をガンマ線スペクトロメトリ40により計測した。こうして得られるガンマ線スペクトルの一例(被測定流体の停止のとき、すなわち、周速:0cm/secのとき)を図2に示した。
ここで、Naを含む物質に中性子を照射すると、23Na(n, γ)24mNaという核反応によって、放出エネルギー:90.99keVの即発ガンマ線γと、放出エネルギー:472.20keVの崩壊ガンマ線γが放出されることがわかっている。このことから、図2のようなガンマ線スペクトル上で、異なる放出エネルギー位置に現れた即発ガンマ線γ(即発放射線)のピーク位置と崩壊ガンマ線γ(遅発放射線)のピーク位置を特定できる。
また、それらピークの大きさを計測することにより、即発ガンマ線γの強度Iおよび崩壊ガンマ線γの強度Iを求めることができる。この操作を円盤Rの各周速毎に繰り返す。これにより、被測定流体fの流速(周速)に対応した即発ガンマ線γの強度I(即発検出値)および崩壊ガンマ線γの強度I(遅発検出値)がわかる。これらの結果から得られた流速と各ガンマ線の強度との関係を図3に示した。
(3)特定ステップ
さらに、即発ガンマ線γの強度Iと崩壊ガンマ線γの強度Iとから、被測定流体fの各流速毎の強度比(I/I)を求めた。こうして得られた流速と強度比の関係を図4に示した。
《評価》
先ず、図3からわかるように、即発ガンマ線γの強度Iは、被測定流体fの流速(周速)が変化しても、ほぼ一定であることがわかる。
次に、崩壊ガンマ線γの強度Iは、被測定流体fの流速(周速)の変化に応じて単調減少することがわかった。このことから、崩壊ガンマ線γの強度Iと被測定流体fの流速Vとの間にはほぼ1対1の関係が成立しており、崩壊ガンマ線γの強度Iがわかれば被測定流体fの流速を特定できることがわかる。
図3に示した結果は、既述した(式1)、(式2)に示す内容に整合的であることが確認できた。ただし、(式1)、(式2)において、即発ガンマ線γの強度Iおよび崩壊ガンマ線γの強度Iの各々が被測定流体中の原子核数に比例している。このため、何らかの理由によって被測定流体の密度が変化した場合、その密度変化に応じて図3に示したIおよびIの各々に凸凹の変化が現れるものと推測される。
図4から明らかなように、即発ガンマ線γの強度Iと崩壊ガンマ線γの強度Iとから求めた被測定流体fの各流速毎の強度比(I/I)も被測定流体fの流速(周速)の変化に応じて単調減少することがわかった。この際、既述した(式3)に示したように、何らかの理由により被測定流体の密度が変化した場合でも密度変化に影響を受けた凸凹は現れず、図4の二次放射線の強度比(I/I)と被測定流体fの流速(周速)の関係は保たれると考えられる。
従って、1点の任意の既知の流速、例えば、流速V=0である停止状態の被測定流体の二次放射線の強度比(I/I)を予め測定しておけば、二次放射線の検出により遅発検出値である強度Iと即発検出値である強度Iを計測し、それらの強度比(I/I)を演算することにより、被測定流体fの特定領域における流速を実験的に特定できることがわかった。
1 測定装置(流動指標値特定装置)
10 中性子コリメーター
20 ガンマ線コリメーター
30 ガンマ線検出器
40 ガンマ線スペクトロメトリ
f 被測定流体
b0、b1 中性子ビーム(一次放射線)
γ 即発ガンマ線(即発放射線)
γ 崩壊ガンマ線(遅発放射線)

Claims (10)

  1. 放射線源から導出された一次放射線を被測定流体へ照射する照射ステップと、
    該一次放射線と該被測定流体中の原子核との原子核反応または該原子核との非弾性散乱により該被測定流体中から放出される二次放射線を検出する検出ステップと、
    該検出ステップで得られた検出値に基づいて該被測定流体の流動状態を指標する流動指標値を特定する特定ステップと、
    を備える流動指標値特定方法であって、
    前記二次放射線は、短寿命の即発放射線と長寿命の遅発放射線とからなり、
    前記検出ステップは、該遅発放射線を検出する遅発放射線検出ステップを含み、
    前記特定ステップは、該遅発放射線検出ステップで得られた検出値に基づき前記流動指標値を特定するステップであることを特徴とする流動指標値特定方法。
  2. 前記検出ステップは、さらに、前記即発放射線を検出する即発放射線検出ステップを含み、
    前記特定ステップは、該即発放射線検出ステップで得られた検出値である即発検出値と前記遅発放射線検出ステップで得られた検出値である遅発検出値とに基づいて前記流動指標値を特定するステップである請求項1に記載の流動指標値特定方法。
  3. 前記特定ステップは、前記即発検出値と前記遅発検出値の比に基づいて前記流動指標値の一つである流速または質量流量を特定するステップである請求項2に記載の流動指標値特定方法。
  4. 前記即発放射線は、即発ガンマ線であり、
    前記遅発放射線は、崩壊ガンマ線である請求項1〜3のいずれかに記載の流動指標値特定方法。
  5. 前記即発ガンマ線は、寿命が10−6秒以下であり、
    前記崩壊ガンマ線は、半減期が10−5〜10秒である前記原子核から放出される放射線である請求項4に記載の流動指標値特定方法。
  6. 前記一次放射線は、連続した量子ビームである請求項1〜5のいずれかに記載の流動指標値特定方法。
  7. 前記一次放射線は、パルス幅が前記即発放射線の寿命よりも長く前記原子核の半減期の1/10よりも短いパルス状の量子ビームである請求項1〜5のいずれかに記載の流動指標値特定方法。
  8. 前記量子ビームは、中性子ビームである請求項6または7に記載の流動指標値特定方法。
  9. 前記照射ステップは、前記被測定流体の流動方向に対してほぼ直交する方向から前記一次放射線を照射するステップである請求項1〜8のいずれかに記載の流動指標値特定方法。
  10. 放射線源から導出された一次放射線を被測定流体へ照射する照射手段と、
    該一次放射線と該被測定流体中の原子核との原子核反応または該原子核との非弾性散乱により該被測定流体中から放出される二次放射線を検出する検出手段と、
    該検出手段で得られた検出値に基づいて該被測定流体の流動状態を指標する流動指標値を特定する特定手段と、
    を備える流動指標値特定装置であって、
    前記二次放射線は、短寿命の即発放射線と長寿命の遅発放射線とからなり、
    前記検出手段は、該遅発放射線を検出する遅発放射線検出手段を含み、
    前記特定手段は、該遅発放射線検出手段により得られた検出値に基づき前記流動指標値を特定する手段であることを特徴とする流動指標値特定装置。
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CN110082557A (zh) * 2019-05-20 2019-08-02 郑州工程技术学院 一种烟草卷接包车间的通风流场数据融合方法

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