JP2014049196A - イオン移動度分離装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡素な構成で、低質量のイオンの透過率を低下させずにイオンの径方向拡散を抑制したイオン移動度分析を可能とする。
【解決手段】ドリフト領域を包囲する電極群からなる電極ユニット1と、電極群に電圧を印加してドリフト領域に中心軸方向の加速電場を形成する制御部とを備え、入射イオン群を電場によってドリフト領域の緩衝ガス中を移動させる。電極ユニットは、ドリフト領域の前後端に亘って延在し中心軸の周りに配置された2n本(n≧2)のポール電極2と、隣り合ったポール電極間に各々配置された板状電極群3とを含む。板状電極群の各組は、中心軸の方向に分離配列され中心軸を含む面に平行に配向された複数枚の板状電極OEkを含む。ポール電極に、隣接するポール電極間で180度位相を異ならせた高周波電圧を印加し、板状電極群に、中心軸の方向に隣接する板状電極間で一定の電位差を有する直流電圧を印加して、加速電場を形成する。
【選択図】図1A
【解決手段】ドリフト領域を包囲する電極群からなる電極ユニット1と、電極群に電圧を印加してドリフト領域に中心軸方向の加速電場を形成する制御部とを備え、入射イオン群を電場によってドリフト領域の緩衝ガス中を移動させる。電極ユニットは、ドリフト領域の前後端に亘って延在し中心軸の周りに配置された2n本(n≧2)のポール電極2と、隣り合ったポール電極間に各々配置された板状電極群3とを含む。板状電極群の各組は、中心軸の方向に分離配列され中心軸を含む面に平行に配向された複数枚の板状電極OEkを含む。ポール電極に、隣接するポール電極間で180度位相を異ならせた高周波電圧を印加し、板状電極群に、中心軸の方向に隣接する板状電極間で一定の電位差を有する直流電圧を印加して、加速電場を形成する。
【選択図】図1A
Description
本発明は、イオンを気相移動度に基づいて時間的に分離するイオン移動度分離装置に関する。
イオン移動度分離装置は、イオンの立体構造による気相移動度の相違に基づいてイオンを分離する装置であり、イオン移動度スペクトル法による分離分析装置等の構成要素の一部として用いられる。イオン移動度分離装置では、比較的高圧の中性の緩衝ガス中を、電場によりイオンを移動させる。その際に、イオンと緩衝ガスが衝突することにより決定される移動度に応じて、移動方向においてイオンが時間的に分離される。
特許文献1には、イオン移動度分離装置を構成要素の一部とするイオン移動度分光計の一例が開示されている。このイオン移動度分光計は、図21に示すように、イオン化領域101とドリフト領域102を備えている。ドリフト領域102が、イオン移動度分離装置を構成する主要な要素である。
イオン化領域101には、針電極103とメッシュ状の対向電極104が対向して配置され、コロナ放電部を形成している。放電電源105から安定化抵抗106を通して針電極103に電圧が印加され、対向電極104との電位差でコロナ放電が発生する。針電極103から放出された電子が空気中の酸素に付着して、負イオンが生成される。
測定試料を含むキャリアガスが、試料導入管107から反応室108に導入される。使用後の排気ガスは、排気管109を通って排出される。ドリフトガス導入管110からは、キャリアガスと同成分のガスが緩衝ガスとして導入され、ドリフト領域102を通過して反応室108に入り、試料導入管107から導入されたキャリアガスと一緒になってイオン化領域101に流入する。上述のようにコロナ放電部で形成された負イオンと、試料中の検出成分は、互いに反対方向に移動しながら衝突し、検出成分は電荷交換反応により上記負イオンから電子を捕獲して負イオンになる。
ドリフト領域102には、基準電位電極111、画定電極112及び遮蔽電極113が、ほぼ等間隔に同心軸上に配置されている。遮蔽電極113に隣接して集電電極114が配置されている。ドリフト電源115からの電圧を抵抗116により分割して、基準電位電極111、画定電極112及び遮蔽電極113に印加し、ドリフト電場を形成する。ドリフト電場は、イオンを集電電極114に向かって移動させる一様な加速電場である。
パルス電圧波形発生器117は、シャッター電極118と基準電位電極111間にパルス状の電圧を印加して、短時間、順方向電界を形成する。それにより、イオンが短時間パルス状に引き出され、ドリフト領域102にイオン群として供給される。供給されたイオンは、ドリフト領域102のドリフト電界により集電電極114に集められる。集電電極114に集められたイオン電流はアンプ119で増幅され、信号処理される。入力されたイオン電流の時間スペクトルからピーク位置とその大きさが分析され、イオンの成分の種類と量が同定される。
ドリフト領域102にイオンを打ち込むと、イオンは一様電場に沿って画定電極112を配置する中心軸方向に加速されるが、気体分子と衝突して運動エネルギーの一部を失い、最終的には一定の速度vdで軸方向に移動する。vdは電場の強さEに比例するので、これを
vd=KE
と置いた場合、比例定数Kを移動度(mobility)とよぶ。移動度Kを標準状態(273.15 K, 101325 Pa)に換算することにより、換算移動度K0を得る。換算移動度はイオンの識別に用いられる。また、換算移動度はイオンの断面積と関係があるため、異性体の識別(質量が同じイオンでも断面積が異なる)など、イオンの構造検出に用いられている。
vd=KE
と置いた場合、比例定数Kを移動度(mobility)とよぶ。移動度Kを標準状態(273.15 K, 101325 Pa)に換算することにより、換算移動度K0を得る。換算移動度はイオンの識別に用いられる。また、換算移動度はイオンの断面積と関係があるため、異性体の識別(質量が同じイオンでも断面積が異なる)など、イオンの構造検出に用いられている。
なお、以下の記述において、ドリフト領域を形成する電極の中心軸の方向を軸方向と呼び、この軸方向に対する垂直方向を径方向と呼ぶ。イオンは、軸方向と径方向の両方に拡散する。
このようなイオン移動度分離装置は、ドリフト領域の長さが長い程、イオンの飛行距離が長くなるため、高分解能が得られる。しかし、長いドリフト領域を一括して形成することは困難である。そのため、作製可能な長さのドリフト領域を形成する電極ユニットを複数個接続して、実質的に長いドリフト領域を形成することが提案されている。そのような構成例としては、複数個の電極ユニットを直線型に接続した形態のもの、あるいは周回型に接続した形態(例えば特許文献2参照)のものがある。
但し、飛行距離が長いと分解能は高くなるが、イオンが径方向に拡散するため、イオン移動度分離装置の出口アパーチャを通過するイオンの強度が減少する。これを解決するために、イオン移動度分離装置の出口にイオンファンネル装置を設置し、イオンの収束を行う構成が知られている。イオンファンネル装置の模式図を図22に示す。軸方向に配列された複数のリング状の電極120は、イオンの進行方向に向かって内径が小さくなっている。電極120には、DC電源121の電圧を抵抗分割によって生成した一様電場と、位相が異なる高周波(+RF、−RF)とが印加される。これにより、イオンの径方向の拡散を抑制して収束効果が得られる。
従来のイオン移動度分離装置のように、径方向に拡散するイオンを収束させるためのイオンファンネル装置を組合わせた場合、低質量のイオンの透過率が悪いという問題点が報告されている。また、イオンファンネル装置は電極枚数が多いため、構造が複雑であり、製造工程が煩雑でコスト増大の原因となる。
一方、長いドリフト領域を形成するための直線型あるいは周回型の従来例のイオン移動度分離装置では、イオンの径方向拡散はより深刻な問題となり、得られるイオンの強度が大きく低下する惧れがある。そのため、イオンの拡散を効果的に、かつ簡素な構成により抑制することが望まれる。
従って、本発明は、簡素な構成でありながら、低質量のイオンの透過率を低下させることなくイオンの拡散を抑制して、出口アパーチャで大きなイオン強度を得ることが可能なイオン移動度分離装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のイオン移動度分離装置は、ドリフト領域の管状空間を包囲して配列された電極群が構成する電極ユニットと、前記電極群に電圧を印加して前記ドリフト領域に中心軸方向の加速電場を形成する制御部とを備え、入射イオン群を前記電場によって、前記ドリフト領域の緩衝ガス中を移動させるように構成され、前記電極ユニットは、前記ドリフト領域の前後端に亘って延在し前記中心軸の周りに等間隔に配置された2n本(nは2以上の整数)のポール電極と、隣り合った前記ポール電極の間に各々配置された2n組の板状電極群とを含み、前記板状電極群の各組は、前記中心軸の方向に分離配列された複数枚の板状電極を含み、前記板状電極は前記中心軸を含む面に平行に配向され、前記ポール電極に、隣接する前記ポール電極間で180度位相を異ならせた高周波電圧を印加し、前記板状電極に、前記中心軸の方向に隣接する前記板状電極間で一定の電位差を有する直流電圧を印加して前記加速電場を形成することを特徴とする。
上記構成によれば、ポール電極に印加する高周波電場でイオンの径方向の拡散を抑えながら、板状電極群の一様電場で一定の速度束のイオンを下流に移動させて、時間的に分離することができる。ポール電極は、四重極質量分析計と同等の作用により、低質量から高質量まで幅広い質量のイオンを、拡散を防ぎながら通過させることが可能である。これにより、簡素な構成でありながら、出口アパーチャで大きなイオン強度を得ることができる。
また、上記構成の電極ユニットを複数段に組み合わせて全長が長いイオン移動度分離装置を構成することにより、イオン強度の低下を回避しながらイオンの飛行距離を増加させて、高分解能を得ることができる。
本発明のイオン移動度分離装置は、上記構成を基本として以下のような態様をとることができる。
すなわち、前記ドリフト領域の入口及び出口に配置されたイオン通過孔を有するアパーチャ電極を備え、前記制御部は、前記アパーチャ電極に対して直流電圧を印加する構成とすることができる。
また、前記ポール電極と前記板状電極の電圧により形成される前記ドリフト領域の管状空間の電場が、イオンがトラップされる減速電場の領域、または、換算移動度が測定できない弱い電場の領域を含まないように設定された構成とすることができる。
また、前記ポール電極と前記板状電極の電圧により形成される前記ドリフト領域の管状空間の電場が、イオンがトラップされる減速電場の領域、または、換算移動度が測定できない弱い電場の領域を含まないように設定された構成とすることができる。
また、前記電極ユニットを複数段備え、前記複数段の電極ユニットは、前記ドリフト領域の中心軸を直線状に整列させて接続されて直線型の電極モジュールを形成し、前後段の前記電極ユニットの接続部には間隙が形成され、前記接続部の間隙における前記電極ユニットの端部間に亘って一様な加速電場が形成されるように、前記制御部が前後段の前記電極ユニットに印加する電圧の関係が調整されている構成とすることができる。
この構成において、前記電極ユニットの接続部の間隙に挿入されたイオン通過孔を有するレンズ電極を備え、前記制御部は、前記レンズ電極に対して直流電圧を印加し、
前記電極ユニット及び前記レンズ電極の電位により、前記接続部の間隙で前記一様な加速電場が形成される構成とすることができる。
前記電極ユニット及び前記レンズ電極の電位により、前記接続部の間隙で前記一様な加速電場が形成される構成とすることができる。
また、前記電極ユニットを複数段備え、前記複数段の電極ユニットは、相互間にイオンベンダーを挿入配置して接続された周回型の電極モジュールを形成し、前段の前記電極ユニットから射出されるイオンを前記イオンベンダーにより偏向させて、後段の前記電極ユニットの前記中心軸の方向に導入し、イオンに周回軌道を取らせるように構成することができる。
また、前記イオンベンダーは、六面体形状の各面に対応させて配置された6枚の板状偏向電極により構成され、前記6枚の板状偏向電極を、イオンの入射孔を有する入射電極、前記入射電極の側面に位置しイオンの射出孔を有する射出電極、上面電極、下面電極、前記入射電極に対向する対面電極、及び前記射出電極に対向する背面電極に区分したとき、前記入射電極、前記上面電極、前記下面電極、前記対面電極、及び前記背面電極に印加する電圧は、前記射出電極に印加する電圧と比べて、イオンの極性に対して高電位となるように設定された構成とすることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
<実施の形態1>
図1Aは、実施の形態1におけるイオン移動度分離装置を構成する電極ユニット1の斜視図である。図1Bは、電極ユニット1の中心軸に直交する横断面を示す断面図、図1Cは、電極ユニット1の中心軸を含む縦断面を示す断面図である。
図1Aは、実施の形態1におけるイオン移動度分離装置を構成する電極ユニット1の斜視図である。図1Bは、電極ユニット1の中心軸に直交する横断面を示す断面図、図1Cは、電極ユニット1の中心軸を含む縦断面を示す断面図である。
電極ユニット1は、6本のポール電極2と、6組の板状電極群3とから構成されている。板状電極群3は各々、4列の板状電極OE1〜OE4を含む。図1B、1Cに示すように電極ユニット1は、ドリフト領域4を形成する管状空間を包囲するように配列されている。イオン移動度分離装置としては、例えば図21に示した従来例の構成におけるドリフト領域102と同様に、ドリフト領域4の空間に緩衝ガスを充満させることが可能なように構成される。従って、図示を省略するが、電極ユニット1は図21に示した従来例と同様、容器内に配置される。
ポール電極2は、図1B、1Cに示すように、ドリフト領域4の前後端に亘って中心軸4aに平行に延在し、中心軸4aの周りに等間隔に配置されている。板状電極群3は各々、隣り合ったポール電極2の間隙の中間位置に配置されている。なお、ポール電極2の本数は6本に限られず、2n本(nは2以上の整数)とすることができる。ポール電極2の本数に応じて、板状電極群3は、2n組とする。
各組の板状電極群3に含まれる4列の板状電極OE1〜OE4は、中心軸4aの方向に分離して配列され、中心軸4aを含む面内に配置されている。板状電極の列数m(中心軸4aの方向に配列された枚数)も、後述するとおり、4列には限られない複数列とすることができる。従って、以下の記載において、板状電極の列における特定番目の列位置を板状電極OE(k)(kは1〜mの整数)と記述する。
イオン移動度分離装置の動作を制御する制御部(図示省略)は、図2に示すような、電極ユニット1に接続された駆動回路5を含む。駆動回路5は、各々1本置きのポール電極2毎に接続された高周波電圧部6、7、全てのポール電極2に共通に接続されたDC電圧部8、及び板状電極群3に接続されたドリフト電圧部9からなる。
高周波電圧部6、7からは、隣接するポール電極2間で180度位相の異なる同一周波数の高周波電圧VRF1、VRF2を供給する。DC電圧部8からは、共通の直流電圧Vpを供給する。ドリフト電圧部9からは、板状電極OE1〜OE4の各々に対して、各組に共通の直流電圧VOE(k)(kは1〜4の整数)を供給する。直流電圧VOE(k)は、中心軸4aの方向に各板状電極OE1〜OE4間で一定の電位差を有するように設定される。電位差は、通過させるイオンの極性に応じて、加速電界が形成される向きに漸減あるいは漸増する設定となる。
電極ユニット1を分解して、ポール電極2のみを取り出した斜視図を図3Aに、板状電極群3のみを取り出した斜視図を図3Bに示す。図3Aには、ポール電極2に対する、高周波電圧部6、7、及びDC電圧部8の接続状態を併せて示す。図3Bには、板状電極OE1〜OE4の各々に対するドリフト電圧部9の接続状態を併せて示す。ドリフト電圧部9は、DC電源10と接地またはフロート電圧源11の間の電圧を抵抗Rで分圧して、一定の電位差を有する直流電圧VOE1〜VOE4を生成し、板状電極OE1〜OE4に各々印加するように構成されている。これにより、板状電極OE1〜OE4は、ドリフト領域4中にイオンに対する一様な加速電場を形成し、中心軸4aに沿って出口側に向かってイオンを移動させる作用が得られる。
なお、本実施の形態において、一様な加速電場とは、厳密に一様であることを要するものではない。すなわち、イオン移動度分離装置を適切に機能させるためには、イオンに対する加速電場が一方に向いていること、言い換えれば、減速電場が含まれないことが必須であるが、その限りにおいて、変動幅の非一様な領域の存在は許容できる。要するに、一様な加速電場とは、イオンがトラップされる減速電場や、換算移動度の測定が困難となるような弱い電場の領域を含まないように調整された電場であり、実用上、実質的に一様であることを意味する。
すなわち、一様電場であれば、ドリフト領域4の出口へのイオンの到達時間から直接移動度が測定できるため、一様電場の生成が望ましいが、非一様領域が含まれていても、電場の変動幅が小さければ、実用上問題のない測定精度を確保可能である。例えば、移動度が既知の試料と、移動度が未知の試料を比較することにより、非一様領域が含まれる電場でも、十分な測定精度を得る方法が知られている。
以上の構成を有するイオン移動度分離装置を動作させるときには、ドリフト領域4に緩衝ガスを充満させて、ドリフト領域4の入口からイオン群をパルス状に導入する。イオン群は、電極ユニット1が形成する一様な電場によって中心軸4aの方向に移動し、ドリフト領域4の出口から射出される。ドリフト領域4の出口から出射するイオンを、例えば図21の従来例のように、集電電極に集め、イオン電流を信号処理する。イオン電流の時間スペクトルからピーク位置とその大きさを分析することにより、換算移動度を求めイオンの成分の種類と量を同定することができる。
以上の構成において、ポール電極2は、四重極質量分析計と同等の作用により、中心軸4aに沿って移動するイオンの径方向拡散を防ぐことができる。ポール電極に高周波を印可する構成はイオンガイドとして実用化されており、低質量から高質量まで幅広い質量のイオンを通過させることが可能である。但し、電極ユニットがポール電極2のみである構成を、そのままイオン移動度分離装置に適用することはできない。何故なら、イオンガイドの高周波電場だけの場合、イオンを中心軸4aの方向に駆動する加速電場とはならず、一方、イオン移動度分離装置は圧力が133Pa程度の圧力下で使用するため、イオンは緩衝ガスとの衝突を繰り返し、運動エネルギーが減少し、最終的には下流へ移動できなくなるためである。
これに対して本実施の形態では、板状電極群3により、上述のとおりポール電極2の内部に一様の加速電場を形成する。この一様電場を利用することで、一定の速度でイオンを移動させることが出来る。また、板状電極群3は、隣り合ったポール電極2の間隙の中間位置に配置されており、その位置では、ポール電極2の電圧による電位が時間的に変化せず一定である。そのため、板状電極群3の電位の設定は簡潔でよく、駆動制御が容易である。
以上のように、本実施の形態によれば、ポール電極2に印加する高周波電場でイオンの拡散を抑えながら、板状電極群3の一様電場でイオンを下流に移動させて、時間的に分離することが可能である。
本実施の形態の電極ユニットの作用に関し、ドリフト領域4中のイオン軌道、及び、中心軸4a上の電場のシミュレーションを行った結果について、図4〜図9を参照して説明する。シミュレーションには、SIMION(登録商標)を使用した。
[1]イオン軌道のシミュレーション
図4に示す構成の電極ユニットについて、ドリフト領域4中の低質量のイオンに対するイオン軌道のシミュレーションを行った。この電極ユニットは、8本のポール電極2と、各々6列の板状電極OE(k)(k=1〜6)を含む8組の板状電極群3により構成されている。更に、両端には、ドリフト領域の入口及び出口を覆って、イオン通過孔12a、13aを有する円環板状のアパーチャ電極12、13が設けられている。アパーチャ電極12、13には所定の直流電圧を印加して、板状電極群3とポール電極2が形成する電場に対する外部からの影響を排除している。
図4に示す構成の電極ユニットについて、ドリフト領域4中の低質量のイオンに対するイオン軌道のシミュレーションを行った。この電極ユニットは、8本のポール電極2と、各々6列の板状電極OE(k)(k=1〜6)を含む8組の板状電極群3により構成されている。更に、両端には、ドリフト領域の入口及び出口を覆って、イオン通過孔12a、13aを有する円環板状のアパーチャ電極12、13が設けられている。アパーチャ電極12、13には所定の直流電圧を印加して、板状電極群3とポール電極2が形成する電場に対する外部からの影響を排除している。
[1.1]シミュレーションの条件
イオン:m/z=18、Ω=2.85×10-19m2
板状電極OE(k)の長さL=4mm
隣接する板状電極間の間隙g=1mm
ポール電極2:高周波電圧の周波数f=3MHz、V0-P=100V、直流電圧Vp=1.5V
緩衝ガス:He、圧力133Pa
板状電極の電圧:VOE1=1.5V、VOE2以降の電圧の増分ΔV=4.2V
入射側のアパーチャ電極12の電圧:11.2V
出射側のアパーチャ電極13の電圧:0V
上記電極ユニットのドリフト領域4中におけるイオン軌道のシミュレーション結果を、図5に示す。この図に示されるとおり、入口側のイオン通過孔12aから打ち込まれたイオンは、出口側のイオン通過孔13aから射出されるまで、拡散が十分に抑制された状態に制御され、下流に移動している。ドリフト領域4に入射したイオン量に対するドリフト領域4を通過したイオン量の比、すなわちイオンの通過率x%は、このシミュレーション結果では90%であった。
イオン:m/z=18、Ω=2.85×10-19m2
板状電極OE(k)の長さL=4mm
隣接する板状電極間の間隙g=1mm
ポール電極2:高周波電圧の周波数f=3MHz、V0-P=100V、直流電圧Vp=1.5V
緩衝ガス:He、圧力133Pa
板状電極の電圧:VOE1=1.5V、VOE2以降の電圧の増分ΔV=4.2V
入射側のアパーチャ電極12の電圧:11.2V
出射側のアパーチャ電極13の電圧:0V
上記電極ユニットのドリフト領域4中におけるイオン軌道のシミュレーション結果を、図5に示す。この図に示されるとおり、入口側のイオン通過孔12aから打ち込まれたイオンは、出口側のイオン通過孔13aから射出されるまで、拡散が十分に抑制された状態に制御され、下流に移動している。ドリフト領域4に入射したイオン量に対するドリフト領域4を通過したイオン量の比、すなわちイオンの通過率x%は、このシミュレーション結果では90%であった。
[2]中心軸4a上の電場のシミュレーション
板状電極群3により適切な加速電場を形成するための条件について検討した。一定の電圧差を板状電極群3に加えた場合、ポール電極2の直流電圧Vpと板状電極群3の電圧が作用し、ポール電極2内部(ドリフト領域の管状空間)には、加速電場とは逆向きの、減速電場(以下のシミュレーションでは、電場勾配が正の値に相当)の領域が出現する場合がある。減速電場が出現すれば、イオンは下流に移動出来なくなり、トラップされるため、移動度が測定できない。また、換算移動度が測定できないような、弱い電場が形成される領域が出現する場合がある。従って、イオンがトラップされる減速電場や、換算移動度が測定できないような弱い電場の出現を抑制するために、板状電極群3が充足すべき条件が存在する。
板状電極群3により適切な加速電場を形成するための条件について検討した。一定の電圧差を板状電極群3に加えた場合、ポール電極2の直流電圧Vpと板状電極群3の電圧が作用し、ポール電極2内部(ドリフト領域の管状空間)には、加速電場とは逆向きの、減速電場(以下のシミュレーションでは、電場勾配が正の値に相当)の領域が出現する場合がある。減速電場が出現すれば、イオンは下流に移動出来なくなり、トラップされるため、移動度が測定できない。また、換算移動度が測定できないような、弱い電場が形成される領域が出現する場合がある。従って、イオンがトラップされる減速電場や、換算移動度が測定できないような弱い電場の出現を抑制するために、板状電極群3が充足すべき条件が存在する。
以下のシミュレーションにおけるパラメータの設定に関し、要素あるいはパラメータを表す記号について、図6を参照して説明する。図6に示すように、板状電極OE(k)(図6ではk=1〜3)の中心軸(z軸とする)の方向における長さをL[mm]、隣接する板状電極の相互間の間隙をg[mm]とする。ポール電極2の内接円の直径をd[mm](図2参照)とする。さらに、板状電極間の寸法G[mm]を、G=L+2gと定義する。板状電極OE(k)の厚みは、中心軸電位を乱さない大きさに設定した。電場のシミュレーションを行った領域は、図6に示したz軸方向における板状電極間の寸法Gの範囲内である。注目する板状電極OE(k)のz軸方向における中央をz=0とし、右方を座標のプラス側、左方を座標のマイナス側としてz座標を設定する。
ポール電極2への印加電圧は、直流電圧Vp=0Vに設定し、高周波電圧VRF1、VRF2は印加しない。通常の動作において、高周波電圧VRF1、VRF2は互いに180度の位相差を持つため、z軸上の電場に関するこのシミュレーションでは考慮不要だからである。
板状電極について、d=6mm、g=1mm、電圧VOE1=0Vとした。また、VOE1とVOE3の間にかかる電位が10V/cmとなるようにVOE3の電圧を決定し、VOE2は、VOE1とVOE3の中間の電圧に設定した。板状電極OE(k)に印加する直流電圧VOE(k)についても同様に設定した。L/dの各設定値の場合において、板状電極OE(k)に印加した直流電圧VOE(k)等について、(表1)に示す。
[2.1]L/dの値によるz軸上の電場の変化
L/d=0.5の場合の、板状電極OE2におけるz軸(中心軸)上の電位のシミュレーションを行った。この場合、L=3mm(L/d=0.5より)、G=5mmであり、シミュレーション範囲は±2.5mmである。
L/d=0.5の場合の、板状電極OE2におけるz軸(中心軸)上の電位のシミュレーションを行った。この場合、L=3mm(L/d=0.5より)、G=5mmであり、シミュレーション範囲は±2.5mmである。
また、L/d=1.0の場合についても、同様のシミュレーションを行った。この場合は、L=6mm、G=8mmであり、シミュレーション範囲は±4mmである。
図7に、シミュレーションの結果による、板状電極OE2におけるz座標に沿った電圧変化を示す。横軸はz座標[mm]、縦軸は電圧[V]を示す。グラフは、L/dの値に応じた板状電極間の寸法Gの範囲であり、L/d=0.5の場合を実線で、L/d=1.0の場合を破線で示す。シミュレーション結果として、Gの範囲内では、電場の勾配が全領域で負の値を持った加速電場が形成された。従って、イオン移動度分離装置として利用可能な特性である。L/d=0.5の場合の方が、1.0の場合より、均一電場により近い電場が形成されている。
以上のとおり、L/dの値を適切な範囲内に設定すれば、注目する板状電極のz軸上の全領域で加速電場が形成可能である。
[2.2]板状電極の列位置(k)によるz軸上の電場の変化
[2.2.1]L/d=0.5の場合
L/d=0.5としたときの、各列位置の板状電極OE(k)のz軸上の電場を、k=2〜20の場合について調べた。注目した板状電極のz軸上の電圧の変化について、図8A〜図8Cを参照して説明する。
[2.2.1]L/d=0.5の場合
L/d=0.5としたときの、各列位置の板状電極OE(k)のz軸上の電場を、k=2〜20の場合について調べた。注目した板状電極のz軸上の電圧の変化について、図8A〜図8Cを参照して説明する。
図8Aは、k=2の場合であり、板状電極OE2の位置におけるz座標に沿った電圧の変化を示す。z軸上には一様な電場に近い、加速電場が形成されている。図8Bは、k=10の場合であり、板状電極OE10の位置における結果を示す。k=2の場合の結果と同様に、加速電場が形成された。なお、z軸上の電場の勾配の負の値が小さい領域(破線の楕円で示す)が形成されている。しかしながら、イオンが下流に移動する電場であることは確保されている。
図8Cは、k=20の場合の結果を示す。k=2、10の場合の結果とは異なり、電場勾配の値が正の値を持つ領域が出現した。このことは、図9のグラフにより明瞭に示されている。図9は、縦軸が図8Cの電場(電圧の差分)[V/mm]であり、電場勾配の値を表しており、横軸はz=3.5まで拡張している。k=19の領域(z>2.5)において電場勾配が正の値を持つ領域(減速電場領域)が現れ、ここでは、イオンは下流に移動せず、トラップされる。そのため、イオン移動度分離装置の電場としては適していない。
上述のシミュレーション結果からは、L/d=0.5の関係を満足する場合は、板状電極群を構成する板状電極OEkが19枚未満であれば、好適な電場を形成可能であることが判る。このことは、板状電極の枚数に上限が存在すること、つまり、イオン移動度分離装置のドリフト領域の長さに上限があることを意味する。
以上のような中心軸4a上の電場のシミュレーションの結果より、L/dの値に対して、板状電極の列数mに上限が存在することが判る。上限を超えた列数を用いると、イオン移動度分離装置に適していない減速電場が形成される。また、減速電場が形成されない列数mの上限未満においても、換算移動度を測定不能な弱い電場が形成された領域が出現しないように、板状電極の列数mを設定する必要がある。
<実施の形態2>
実施の形態2における直線接続型のイオン移動度分離装置について、図10〜図16を参照して説明する。
実施の形態2における直線接続型のイオン移動度分離装置について、図10〜図16を参照して説明する。
実施の形態1の構成のイオン移動度分離装置を用いて、分解能を向上させるためには、装置の全長を長くして、ドリフト領域でのイオンの滞在時間を長くする必要がある。しかし、実施の形態1の説明で述べたとおり、一様電場を形成可能な板状電極の列数に上限があるため、単独の電極ユニットによるドリフト領域の全長には、上限がある。
これを解決するために、本実施の形態では、実施の形態1において述べたように、板状電極群の列数を一様電場を形成可能な範囲とした電極ユニットを1単位とし、これを直線的に繰り返し接続して電極モジュールを構成する。これにより、イオン移動度分離装置の全長を実質的に長くすることが可能となる。しかも、本実施の形態によれば、複数の電極ユニットを直線型あるいは周回型に接続した従来例のイオン移動度分離装置と比べて、利用できるイオンの強度が大きい特性が得られる。
図10に、本実施の形態のイオン移動度分離装置の構成要素である、電極モジュール14の一例を示す。この電極モジュール14は、図4に示した電極ユニット1と同様の構成を有する電極ユニット15を、3段に直線的に接続して構成されている。従って、電極ユニット15は各々、8本のポール電極2と、各々6列の板状電極OE(k)(kは1〜6)を含む8組の板状電極群3により構成されている。
電極モジュール14の両端には、ドリフト領域の入口及び出口を覆って、イオン通過孔12a、13aを有するアパーチャ電極12、13が設けられている。また、2つの電極ユニット15の接続部では、電極ユニット15間に隙間が設けられ、その隙間にレンズ電極16が挿入されている。レンズ電極16は、アパーチャ電極12、13と同様、中央にイオン通過孔が設けられた円環板状である。後述するように、一定の条件を満たせば、接続部の隙間にレンズ電極16を配置せずに、空間のままとすることもできる。
2つの電極ユニット15の接続部をイオンがスムーズに移動するためには、その接続部でも中心軸の電場が一様となることが望ましい。そのような状態が得られるように、電極ユニット15間の間隔、ポール電極、板状電極に印加する電圧等の諸条件を、適切に設定する。シミュレーションの結果、接続部での電場が一様になるように諸条件を設定することが可能であることを確認した。従って、イオン強度を低下させること無く、長いドリフト領域により分解能を向上させたイオン移動度分離装置を作製することが可能となる。
電極ユニットを接続する形態としては、下記の二通りを採用できる。
A)電極ユニット間に一定の隙間を設けて並べ、隙間は空間として接続する。
B)電極ユニット間に一定の隙間を設けて並べ、隙間に電極を設置して接続する。
A)電極ユニット間に一定の隙間を設けて並べ、隙間は空間として接続する。
B)電極ユニット間に一定の隙間を設けて並べ、隙間に電極を設置して接続する。
以下に、接続形態A、Bを採用した場合の特性のシミュレーションを行った結果について説明する。接続形態Aの場合は、隙間が狭い場合と広い場合を検討した。接続形態Bの場合の電極は、アパチャーレンズ電極とした。この電極はイオンを発散させない機構を有し、加速電場を形成させるものであれば、制限はない。
[1]接続形態Aを採用した場合
[1.1]接続形態Aを採用し、隙間s=1mmとした場合
シミュレーションのパラメータについて、図11を参照して説明する。図11は、接続部における前後段の電極ユニットの端部近傍のみを示したものである。下流側をi番目の電極ユニットとし、上流側を(i+1)番目の電極ユニットとする。各々の端部の板状電極を、板状電極OE(k)及び板状電極OE(k+1)と記述する。但し、kは、全ての電極ユニットを通じた一連の番号である。図6に示した要素、あるいはパラメータと同様の記号については説明を省略する。これらの記号については、以降の説明でも同様に用いる。
[1.1]接続形態Aを採用し、隙間s=1mmとした場合
シミュレーションのパラメータについて、図11を参照して説明する。図11は、接続部における前後段の電極ユニットの端部近傍のみを示したものである。下流側をi番目の電極ユニットとし、上流側を(i+1)番目の電極ユニットとする。各々の端部の板状電極を、板状電極OE(k)及び板状電極OE(k+1)と記述する。但し、kは、全ての電極ユニットを通じた一連の番号である。図6に示した要素、あるいはパラメータと同様の記号については説明を省略する。これらの記号については、以降の説明でも同様に用いる。
r:ポール電極の半径[mm](図示を省略)
s:2つの電極ユニット間の間隔[mm]
Vp(i):i番目の電極ユニットのポール電極電圧[V]
VOE(k):k番目の板状電極の電圧[V]
Vc(k):z=+s/2の位置におけるz軸上の電圧[V]
Vc(k+1):z=−s/2の位置におけるz軸上の電圧[V]
Es:電極ユニット接続部、板状電極OE(k)、OE(k+1)間の電場[V/cm]
VOE(k+1)及びVp(i+1)は、下記の式(1)及び(2)によって算出した値とする。
s:2つの電極ユニット間の間隔[mm]
Vp(i):i番目の電極ユニットのポール電極電圧[V]
VOE(k):k番目の板状電極の電圧[V]
Vc(k):z=+s/2の位置におけるz軸上の電圧[V]
Vc(k+1):z=−s/2の位置におけるz軸上の電圧[V]
Es:電極ユニット接続部、板状電極OE(k)、OE(k+1)間の電場[V/cm]
VOE(k+1)及びVp(i+1)は、下記の式(1)及び(2)によって算出した値とする。
VOE(k+1)=Vc(k)+s・Es (1)
Vp(i+1)=VOE(k+1) (2)
このように、板状電極には、z軸の方向に各板状電極間で一定の電位差を有する直流電圧が印加される。これにより、電極ユニット内部には一定の加速電場が形成される。
Vp(i+1)=VOE(k+1) (2)
このように、板状電極には、z軸の方向に各板状電極間で一定の電位差を有する直流電圧が印加される。これにより、電極ユニット内部には一定の加速電場が形成される。
シミュレーションの対象を1番目と2番目の電極ユニットの接続部、すなわち、i=1とした。また、k=9、Es=1V/cmとした。この設定は、接続形態に関する以下のシミュレーションにおいても同様である。他のシミュレーションのパラメータは、下記のとおりである。
1)構造に関するパラメータ
r=1mm、d=6mm、s=1mm、L=3mm
2)印加電圧
r=1mm、d=6mm、s=1mm、L=3mm
2)印加電圧
3)シミュレーションの条件
ポール電極の高周波電圧VRF1、VRF2は、周波数f=5MHz、電圧V0-P=50Vに設定した。m/z=18、Ω=2.85×10-19m2とした。緩衝ガスはHeで、圧力=53Paに設定した。
ポール電極の高周波電圧VRF1、VRF2は、周波数f=5MHz、電圧V0-P=50Vに設定した。m/z=18、Ω=2.85×10-19m2とした。緩衝ガスはHeで、圧力=53Paに設定した。
シミュレーションの結果を、図12A、図12Bに示す。図12Aは、z軸上の電位変化を示す。電極ユニットの接続部のz軸上では加速電場が形成され、上流の電極ユニットから下流の電極ユニットに滑らかに接続された電場が形成されている。
一方、図12Bは、電極ユニット内部のイオン軌道シミュレーション結果を示す。黒い線はイオンが移動した軌跡を示している。上流の電極ユニットから下流の電極ユニットにスムーズに移動している。電極ユニット間の隙間によりイオンの軌道が大きく乱された領域は存在しなかった。この接続形態によれば、2組の電極ユニットが問題なく接続可能である。
[1.2]接続形態Aを採用し、隙間s=3mmとした場合
パラメータについて、[1.1]の場合との相違は、隙間s=3mmと広くしたことである。Esは[1.1]の場合と同様であるが、隙間s=3mmと広くしたため、(表2)に示すように、上流の電極ユニットの板状電極とポール電圧が高くなっている。その他のパラメータは[1.1]の場合と同様である。
パラメータについて、[1.1]の場合との相違は、隙間s=3mmと広くしたことである。Esは[1.1]の場合と同様であるが、隙間s=3mmと広くしたため、(表2)に示すように、上流の電極ユニットの板状電極とポール電圧が高くなっている。その他のパラメータは[1.1]の場合と同様である。
シミュレーションの結果を、図13A〜図13Bに示す。図13Aは、z軸上の電位変化を示す。電極ユニットの接続部のz軸上では加速電場が形成されている。図13B(a)は、yz断面のイオン軌道のシミュレーション結果を示す。z軸付近のイオンは下流に移動し、下流の電極ユニットに入る直前で、外側の軌道をとり、電極に衝突するイオンが存在している。
図13B(a)のa−a線に沿ったxy断面を、図13B(b)に示す。図13B(b)はxy平面の電極とイオン軌道を示している。イオンが衝突した場所は、ポール電極2であることがわかる。接続空間の下流側には、z軸から離れるに従い、ポール電極2に向かう電場が形成されている。そのため、上流の電極ユニットを出たイオンは、ポール電極2に引き込まれる電場により、ポール電極2に衝突、消滅する。
このように、接続部の間隔が広いと、上流から出たイオンが下流の電極ユニットに入らず、電極に衝突する現象が現れた。また、電極に衝突しない場合でも、z軸からはなれたイオンは、イオン軌道が大きく広がるため、電極ユニットの通過時間が大きくなる問題点が生じる。
以上のとおり、電極ユニットを接続する場合、間隔が狭ければ、問題なく接続することが可能であり、電極ユニットの全長を長くすることができる。この場合、全長に制限は無い。しかしながら、広い間隔で電極ユニットを接続する場合は、イオン強度が減少し、イオン軌道も大きくひろがるため、移動度測定には適していない。
[2]接続形態Bを採用し、レンズ電極を用いた場合
シミュレーションのパラメータについて、図14を参照して説明する。図11に示した[1.1]の場合と同様の記号については説明を省略する。[1.1]の場合との相違は、隙間s=3mmとし、空間にレンズ電極16を装着した点である。レンズ電極16の印加電圧は、隙間sの空間に加速電場が形成される値とした。
シミュレーションのパラメータについて、図14を参照して説明する。図11に示した[1.1]の場合と同様の記号については説明を省略する。[1.1]の場合との相違は、隙間s=3mmとし、空間にレンズ電極16を装着した点である。レンズ電極16の印加電圧は、隙間sの空間に加速電場が形成される値とした。
VAL(i):レンズ電極16の電圧
gLi:i番目の電極ユニットとレンズ電極16との間隔[mm]
t:レンズ電極16の厚さ[mm]
R:レンズ電極16の穴径[mm]
1)構造に関するパラメータ
r=1mm、d=6mm、s=3mm、L=3mm、R=4mm、gLi=1mm、t=1mm
2)印加電圧
gLi:i番目の電極ユニットとレンズ電極16との間隔[mm]
t:レンズ電極16の厚さ[mm]
R:レンズ電極16の穴径[mm]
1)構造に関するパラメータ
r=1mm、d=6mm、s=3mm、L=3mm、R=4mm、gLi=1mm、t=1mm
2)印加電圧
3)シミュレーションの条件
上述の[1.1]の場合と同様である。
上述の[1.1]の場合と同様である。
シミュレーションの結果を、図15A〜図15Bに示す。図15Aは、z軸上の電位変化を示す。電極ユニットの接続部のz軸上では加速電場が形成されている。図15B(a)に、yz断面でのイオン軌道のシミュレーション結果を示す。図15B(b)は、(a)のb−b線に沿った位置でのxy断面でのイオン軌道を示す。イオンは、上流から下流に広がらずに移動している。レンズ電極16が無い場合に発生した、ポール電極2にイオンが衝突する現象は発生しなかった。
図16に、図15B(b)のc−c線に沿ったyz断面での接続空間の等電位線を示す。この等電位線より、レンズ電極16を出たイオンが下流の電極ユニットの中心に引き寄せられる電場が形成されていることが判る。また、レンズ電極16を装着することにより、レンズ電極16を出射したイオンは、下流のポール電極2が見え難くなっている。このことからレンズ電極16を装着することにより、ポール電極2にイオンが衝突することが回避されるものと考えられる。
以上のように、電極ユニットを接続する場合、接続の空間にレンズ等の、イオンの拡散を抑制し加速電場を形成させる電極を配置する。これにより、電極ユニットを複数接続することが容易となる。
<実施の形態3>
実施の形態3における周回接続型のイオン移動度分離装置について、図17A〜図20Cを参照して説明する。本実施の形態によれば、実施の形態1の電極ユニットを複数段、周回型に接続することにより、小型でありながら、イオンの拡散が小さく、得られるイオンの強度が大きい特性が得られる。
実施の形態3における周回接続型のイオン移動度分離装置について、図17A〜図20Cを参照して説明する。本実施の形態によれば、実施の形態1の電極ユニットを複数段、周回型に接続することにより、小型でありながら、イオンの拡散が小さく、得られるイオンの強度が大きい特性が得られる。
周回におけるイオン強度の減少には注意する必要がある。つまり、一周によるイオンの通過率がx%の場合、周回数をnとすると、n周後のイオンの通過率はxnとなる。xは1より小さいため、周回するごとにイオン強度は減少する。従来型の移動管のxは1%以下であるため、周回することにより利用できるイオン強度は非常に小さくなる。実施の形態1の図5に示したシミュレーション結果によれば、xが90%であるため、従来型よりも利用できるイオン強度は格段に大きくなる。
図17Aは、本実施の形態のイオン移動度分離装置を構成する要素の一部としての、周回型の電極モジュール17の一例を示す斜視図である。この電極モジュール17の水平面に沿った断面を、図17Bに示す。電極モジュール17は、2段の電極ユニット18a、18bと、4個のイオンベンダー(以下、「ベンダー」と称する)19〜22を備えている。ベンダー19〜22は、イオンを偏向させるための電極群であり、電極ユニット18a、18b間を接続するように挿入配置されている。
電極ユニット18a、18bは、実施の形態1と同様の構成であって、板状電極群の列数は一様電場を形成可能な範囲に設定されている(図では4列の場合が示されている)。電極ユニット18a(18b)の断面を図17Cに示す。図の例では、電極ユニット18a(18b)は、8本のポール電極2と、各々4列の板状電極を含む8組の板状電極群により構成されている。各列の板状電極OE(k)は、環状部材23と一体的に形成され保持されている。
図17Bに示すように、ベンダー19〜22は、正六面体形状の各面に対応させて配置された6枚の板状偏向電極により構成される。ベンダー19〜22は各々、イオン軌道を90度偏向させる機能を有する。電極ユニット18a、18bは、ドリフト領域の中心線が互いに平行になるように配置されているので、2個のベンダー19、20または21、22により、イオン軌道を180度偏向させるように構成されている。図18(a)に、1個のベンダー20のみを取り出して示す。なお、ベンダー19〜22は、正六面体に限られず、六面体形状の各面に対応させて配置された構成であればよい。
6枚の板状偏向電極は、イオンの入射孔25を有する入射電極24a、入射電極24aの側面に位置しイオンの導出孔26を有する導出電極24b、上面電極24c、下面電極24d、入射電極24aに対向する対面電極24e、及び導出電極24bに対向する背面電極24fからなる。なお、図18(a)では、上面電極24cを取り去った状態が示されている。
また、ベンダー19〜22の対面電極あるいは背面電極には、電極モジュール17にイオンを導入し、あるいは電極モジュール17からイオンを射出するためのイオン導入・射出孔27が設けられている。さらに、ベンダー19、22の間、ベンダー20、21の間には、イオン収束のためのレンズ電極28が挿入されている。
板状偏向電極(24a〜24f)に印加する電圧によって、ベンダー内に形成される電位勾配を、図18(b)に示す。図示されるように、イオンの入射方向と平行方向、及び垂直方向に電位勾配が形成されるように電圧を印加する。例えば、入射電極24a、上面電極24c、下面電極24d、対面電極24e、及び背面電極24fには、導出電極24bと比べて、イオンの極性に対して高電位となる電圧を印加する。
具体的な印加電圧の例として、入射電極24a、対面電極24e、及び背面電極24fには+50Vを、上面電極24c、及び下面電極24dには+20Vを、導出電極24bには0Vを印加する設定により、シミュレーションを行った。m/z=18(H2O+)、緩衝ガス:He、圧力=133Paとした。この電圧印加により、ベンダーの内部に形成された電場の等電位線を図19に示す。この電場によって、イオンを90度に偏向させて、図示するようなイオン軌道29を形成することができ、良好な偏向動作が可能であることを確認した。
以上の構成を有するベンダーと電極ユニットの組合わせによる作用を確認するため、1段の電極ユニット18bと、2個のベンダー20、21のみの電極モジュールを構成し、それによって形成される電場についてシミュレーションを行った。m/z=18(H2O+)、緩衝ガス:He、圧力=133Pa、セル内の温度:297Kとした。
ベンダー20の入射電極24aからイオンを打ち込み、90度偏向させてベンダー21の入射電極24aから入射させ、ベンダー21で90度偏向させた後、ベンダー21の導出電極24bを通過させて電極ユニット18bに入射させた。ベンダー20、21内でのイオンの拡散は抑えられ、軌道偏向の後、効率的に電極ユニット18bに導入される結果が得られた。
次に、上記構成の電極モジュール17内でイオンを周回させるための、電極ユニット18a、18b、及びベンダー19〜22に印加する駆動電圧の一例について、図20A〜図20Cを参照して説明する。図20A〜図20Cは、電極モジュール17の各部における電位面を示す図である。電極ユニット18a、18b、及びベンダー19〜22と同一の参照符号により、電位図の対応する部分を示す。また、図20A〜図20C中に、イオン軌道30を図示する。
この例では、まず、図20Aに示すように、ベンダー19から電極ユニット18aに入射したイオンを、ベンダー20に移動させ、ベンダー20、21で180度偏向させる。それにより、図20Bに示すように、イオンを電極ユニット18bに入射させてベンダー22に移動させる。さらに図20Cに示すように、ベンダー22、19で180度偏向させて、イオンを再度電極ユニット18aに入射させる。
このように動作させるために、ベンダー19、20、及び電極ユニット18aの組合わせを第1群モジュール、ベンダー21、22、及び電極ユニット18bの組合わせを第2群モジュールとして、以下のように駆動電圧を調整する。
各々のモジュール内での各要素間の電位の関係は、一定に維持されるように設定する。具体的には、図20Aに示すように、第1群モジュールについては、ベンダー19の電位が一番高く、電極ユニット18a、ベンダー20の順に電位を下げた勾配とする。また、第2群モジュールについては、ベンダー21の電位が一番高く、電極ユニット18b、ベンダー22の順に電位を下げた勾配とする。この際、電極ユニット内での一様な加速電場に対して、その両端の接続部での電場が一様となるように、ベンダーの電位を設定する。
さらに、各要素間の上述の電位の関係を一定に保ったまま、第2群モジュールのDCレベルを、イオンの移動に伴って変化させる。すなわち、図20Aの状態では、ベンダー20の電位に対して、ベンダー21の電位が低くなるように駆動電圧を設定する。それにより、ベンダー20により偏向されたイオンは、円滑にベンダー21に導入され、偏向されて電極ユニット18bに入射する。
このようなイオンの移動と同期させて、イオンが電極ユニット18bを移動中に、図20Bに示すように、第2群モジュールのDCレベルを上昇させる。すなわち、ベンダー22の電位がベンダー19の電位よりも高くなるようにする。これにより、電極ユニット18bを通過し、ベンダー22により偏向されて射出されるイオンは、円滑にベンダー19に導入され、偏向されて電極ユニット18aに入射する。
さらに、イオンが電極ユニット18aを移動中に、図20Cに示すように、第2群モジュールのDCレベルを低下させて、図20Aの状態に戻す。このようにして、イオンが第1群モジュールから第2群モジュールへ、さらに第2群モジュールから第1群モジュールへ円滑に移動して、イオンの周回動作が繰り返される。
なお、本実施の形態では、2段の電極ユニット18a、18bを平行に配置して組合わせた例を示したが、これに限定されるものではない。電極ユニットの段数、及び相互の角度の設定を変更し、それに合わせてベンダーの個数、および動作を調整することが可能である。
本発明のイオン移動度分離装置は、簡素な構成でありながら、イオンの拡散を抑制して出口アパーチャで大きなイオン強度を得ることが可能であり、イオン移動度スペクトル法による分離分析装置等の構成に好適である。
1、15、18a、18b 電極ユニット
2 ポール電極
3 板状電極群
4 ドリフト領域
4a 中心軸
5 駆動回路
6、7 高周波電圧部
8 DC電圧部
9 ドリフト電圧部
10 DC電源
11 接地またはフロート電圧源
12、13 アパーチャ電極
12a、13a イオン通過孔
14、17 電極モジュール
16、28 レンズ電極
19〜22 イオンベンダー
23 環状部材
24a 入射電極
24b 導出電極
24c 上面電極
24d 下面電極
24e 対面電極
24f 背面電極
25 イオンの入射孔
26 イオンの導出孔
27 イオン導入・射出孔
29、30 イオン軌道
OE1〜OE6 板状電極
2 ポール電極
3 板状電極群
4 ドリフト領域
4a 中心軸
5 駆動回路
6、7 高周波電圧部
8 DC電圧部
9 ドリフト電圧部
10 DC電源
11 接地またはフロート電圧源
12、13 アパーチャ電極
12a、13a イオン通過孔
14、17 電極モジュール
16、28 レンズ電極
19〜22 イオンベンダー
23 環状部材
24a 入射電極
24b 導出電極
24c 上面電極
24d 下面電極
24e 対面電極
24f 背面電極
25 イオンの入射孔
26 イオンの導出孔
27 イオン導入・射出孔
29、30 イオン軌道
OE1〜OE6 板状電極
Claims (7)
- ドリフト領域の管状空間を包囲して配列された電極群が構成する電極ユニットと、
前記電極群に電圧を印加して前記ドリフト領域に中心軸方向の加速電場を形成する制御部とを備え、
入射イオン群を前記電場によって、前記ドリフト領域の緩衝ガス中を移動させるように構成されたイオン移動度分離装置において、
前記電極ユニットは、前記ドリフト領域の前後端に亘って延在し前記中心軸の周りに等間隔に配置された2n本(nは2以上の整数)のポール電極と、隣り合った前記ポール電極の間に各々配置された2n組の板状電極群とを含み、
前記板状電極群の各組は、前記中心軸の方向に分離配列された複数枚の板状電極を含み、前記板状電極は前記中心軸を含む面に平行に配向され、
前記ポール電極に、隣接する前記ポール電極間で180度位相を異ならせた高周波電圧を印加し、
前記板状電極に、前記中心軸の方向に隣接する前記板状電極間で一定の電位差を有する直流電圧を印加して前記加速電場を形成することを特徴とするイオン移動度分離装置。 - 前記ドリフト領域の入口及び出口に配置されたイオン通過孔を有するアパーチャ電極を備え、
前記制御部は、前記アパーチャ電極に対して直流電圧を印加する請求項1に記載のイオン移動度分離装置。 - 前記ポール電極と前記板状電極の電圧により形成される前記ドリフト領域の管状空間の電場が、イオンがトラップされる減速電場の領域、または、換算移動度が測定できない弱い電場の領域を含まないように設定された請求項1に記載のイオン移動度分離装置。
- 前記電極ユニットを複数段備え、
前記複数段の電極ユニットは、前記ドリフト領域の中心軸を直線状に整列させて接続されて直線型の電極モジュールを形成し、
前後段の前記電極ユニットの接続部には間隙が形成され、
前記接続部の間隙における前記電極ユニットの端部間に亘って一様な加速電場が形成されるように、前記制御部が前後段の前記電極ユニットに印加する電圧の関係が調整されている請求項1に記載のイオン移動度分離装置。 - 前記電極ユニットの接続部の間隙に挿入されたイオン通過孔を有するレンズ電極を備え、
前記制御部は、前記レンズ電極に対して直流電圧を印加し、
前記電極ユニット及び前記レンズ電極の電位により、前記接続部の間隙で前記一様な加速電場が形成される請求項4に記載のイオン移動度分離装置。 - 前記電極ユニットを複数段備え、
前記複数段の電極ユニットは、相互間にイオンベンダーを挿入配置して接続された周回型の電極モジュールを形成し、
前段の前記電極ユニットから射出されるイオンを前記イオンベンダーにより偏向させて、後段の前記電極ユニットの前記中心軸の方向に導入し、イオンに周回軌道を取らせるように構成された請求項1に記載のイオン移動度分離装置。 - 前記イオンベンダーは、六面体形状の各面に対応させて配置された6枚の板状偏向電極により構成され、
前記6枚の板状偏向電極を、イオンの入射孔を有する入射電極、前記入射電極の側面に位置しイオンの射出孔を有する射出電極、上面電極、下面電極、前記入射電極に対向する対面電極、及び前記射出電極に対向する背面電極に区分したとき、
前記入射電極、前記上面電極、前記下面電極、前記対面電極、及び前記背面電極に印加する電圧は、前記射出電極に印加する電圧と比べて、イオンの極性に対して高電位となるように設定された請求項6に記載のイオン移動度分離装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012188982A JP2014049196A (ja) | 2012-08-29 | 2012-08-29 | イオン移動度分離装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012188982A JP2014049196A (ja) | 2012-08-29 | 2012-08-29 | イオン移動度分離装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2014049196A true JP2014049196A (ja) | 2014-03-17 |
Family
ID=50608693
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2012188982A Pending JP2014049196A (ja) | 2012-08-29 | 2012-08-29 | イオン移動度分離装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2014049196A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015171508A (ja) * | 2014-03-12 | 2015-10-01 | 株式会社三共 | 遊技機 |
EP3224856A4 (en) * | 2014-11-28 | 2018-10-10 | DH Technologies Development PTE. Ltd. | Rf ion guide |
CN109256318A (zh) * | 2017-07-12 | 2019-01-22 | 赵晓峰 | 一种存储和传输正负离子的装置和方法 |
US10692710B2 (en) | 2017-08-16 | 2020-06-23 | Battelle Memorial Institute | Frequency modulated radio frequency electric field for ion manipulation |
US10804089B2 (en) | 2017-10-04 | 2020-10-13 | Batelle Memorial Institute | Methods and systems for integrating ion manipulation devices |
US11209393B2 (en) | 2015-10-07 | 2021-12-28 | Battelle Memorial Institute | Method and apparatus for ion mobility separations utilizing alternating current waveforms |
-
2012
- 2012-08-29 JP JP2012188982A patent/JP2014049196A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11761925B2 (en) | 2015-10-07 | 2023-09-19 | Battelle Memorial Institute | Method and apparatus for ion mobility separations utilizing alternating current waveforms |
CN109256318A (zh) * | 2017-07-12 | 2019-01-22 | 赵晓峰 | 一种存储和传输正负离子的装置和方法 |
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