JP2014047742A - 風力発電装置、及び、風力発電装置の制御方法 - Google Patents

風力発電装置、及び、風力発電装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い効率で発電を行うことができる、風力発電装置、及び、風力発電装置の制御方法を提供する。
【解決手段】実施形態の風力発電装置は、ナセルがタワーの上端部に設置されており、ロータがナセルの側端部に回転可能に支持されている。ロータは、ブレードがハブに取り付けられている。そのブレードのピッチ角を制御部が調整する。制御部は、ブレードの回転面を通過する風の風速を実測することによって得た風速データに応じて、ブレードのピッチ角を調整する。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、風力発電装置、及び、風力発電装置の制御方法に関する。
風力発電装置は、再生可能エネルギーである風力エネルギーを利用して発電を行う。風力発電装置において、たとえば、プロペラ風車は、タワーの上端に設置されたナセルにロータが回転可能に支持されており、風力によりロータが回転することによって、発電機が駆動する(たとえば、特許文献1,2参照)。
風力発電装置は、より多くの発電量を得るために、大型化と共に高性能化が図られている。たとえば、風力発電装置は、高い効率で発電を行うために、風向きや風速の変化に応じてヨー角及びピッチ角の調整が行われている。
具体的には、風力発電装置では、計測された風向データに基づいて、制御装置がナセルの向きを変えることによって、ヨー角を調整する。たとえば、ブレードの回転面が風向に対向するように、ヨー角を調整する。また、ロータにおいてブレードがハブに取付けられた角度を、測定された風速データに基づいて制御装置が変えることによって、ピッチ角を調整する。たとえば、ブレードにおいて最も揚力が発生するように、ブレードのピッチ角を調整する。また、台風などの強風時には装置の保護のために風向に対して平行なフェザー状態になるように、ブレードのピッチ角を調整する(たとえば、特許文献3,4参照)。
特開2008−25434号公報 特表2003−532835号公報 特開2009−300425号公報 特開2008−291786号公報
風力発電装置は、さらに高い効率で発電を行うことが要望されている。しかし、大型化に伴って、高い効率で発電を行うことが困難な場合がある。
風力発電装置では、風速計及び風向計は、たとえば、ブレードの風下において、ナセルの上面に取付けられている。このため、計測された風速データ及び風向データが、ブレードの回転面(受風面)に実際に流入する風の風速及び風向きに対して相違する場合がある。たとえば、風力発電装置の大型化によって、風速計及び風向計へ流れる風がブレードで遮られ易くなると共に、風速計及び風向計の設置位置とブレードの設置位置との間の距離が長くなっているため、計測誤差が大きくなる。
上記の他に、風力発電装置が設置された地形や周囲に設けられた建造物の影響によって、地表付近の風速と上空の風速との間が、大きく異なる場合がある。このため、ブレードが下方に位置する場合と上方に位置する場合との間では、大型化に伴って風速が大きく異なる場合がある。
上記のような事情により、風力発電装置では、ブレードの回転面(受風面)に近い領域での風速の変化に対応してピッチ角を最適角度に調整することが容易でない。これと共に、ブレードの回転面に近い領域での風向きの変化に対応してヨー角を最適角度に調整することが困難な場合がある。その結果、風力発電装置においては、十分に高い効率で発電を行うことが容易でない場合がある。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、高い効率で発電を行うことができる、風力発電装置、及び、風力発電装置の制御方法を提供することである。
実施形態の風力発電装置は、ナセルがタワーの上端部に設置されており、ロータがナセルの側端部に回転可能に支持されている。ロータは、ブレードがハブに取り付けられている。そのブレードのピッチ角を制御部が調整する。制御部は、ブレードの回転面を通過する風の風速を実測することによって得た風速データに応じて、ブレードのピッチ角を調整する。
本発明によれば、高い効率で発電を行うことができる、風力発電装置、及び、風力発電装置の制御方法を提供することができる。
図1は、第1実施形態に係る風力発電装置の全体を示す正面図である。 図2は、第1実施形態に係る風力発電装置の全体を示す側面図である。 図3は、第1実施形態に係る風力発電装置について詳細構成を模式的に示す図である。 図4は、第1実施形態に係る風力発電装置において、ピッチ角を調整するときの動作を示すフロー図である。 図5は、第1実施形態に係る風力発電装置において、ピッチ角を調整するときの動作を示す正面図である。 図6は、第1実施形態に係る風力発電装置において、目標ピッチ角を設定するときの動作を示すフロー図である。 図7は、第1実施形態に係る風力発電装置において、ヨー角を調整するときの動作を示すフロー図である。 図8は、第2実施形態に係る風力発電装置において、目標ピッチ角を設定するときの動作を示すフロー図である。 図9は、第3実施形態に係る風力発電装置の全体を示す正面図である。 図10は、第3実施形態に係る風力発電装置の全体を示す側面図である。 図11は、第3実施形態に係る風力発電装置において、ピッチ角を調整するときの動作を示す正面図である。
実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
[A]構成
[A−1]全体構成
図1,図2は、第1実施形態に係る風力発電装置の全体を示す図である。図1は、正面図であり、図2は、側面図である。
風力発電装置1は、図1,図2に示すように、アップウィンド形のプロペラ風車であって、タワー2、ナセル3、ロータ4、及び、風向風速計測部5A,5B,5Cを備えている。
タワー2は、垂直方向に沿って延在しており、地中に埋め込まれた基台21に下端部が固定されている。
ナセル3は、タワー2の上端部に設置されている。ナセル3は、タワー2の上端部に回転可能に支持されており、ヨー角θy(図2参照)の調整のために、垂直方向を軸にして回動する。
ロータ4は、ナセル3の一方の側端部に回転可能に支持されており、水平方向を回転軸として回転方向R(反時計周り)に回転する。ロータ4は、ハブ41とブレード42A,42B,42Cとを備えている。
ロータ4において、ハブ41は、外形が半楕円体状の先端カバーを含み、風上から風下へ向かうに伴って外周面の外径が大きくなる部分を有する。複数のブレード42A,42B,42Cは、ハブ41を中心にして回転方向Rに間を隔てて設けられている。たとえば、第1ブレード42Aと第2ブレード42Bと第3ブレード42Cとの3つが、ハブ41の周囲において回転可能に取り付けられており、ピッチ角α1,α2,α3が調整される。
風向風速計測部5A,5B,5Cは、図1に示すように、ブレード42A,42B,42Cに設置されている。風向風速計測部5A,5B,5Cは、風速計51A,51B,51Cと、風向計52A,52B,52Cとを有する。
風向風速計測部5A,5B,5Cにおいて、風速計51A,51B,51Cは、ブレード42A,42B,42Cの先端側に設置されている。ここでは、第1風速計51Aが第1ブレード42Aに設けられている。そして、これと同様に、第2風速計51Bが第2ブレード42Bに設けられており、第3風速計51Cが第3ブレード42Cに設けられている。風速計51A,51B,51Cは、たとえば、熱線式であって、ブレード42A,42B,42Cの回転面(受風面)に流入する風の風速を計測する。
風向風速計測部5A,5B,5Cにおいて、風向計52A,52B,52Cは、図1に示すように、ブレード42A,42B,43Cの先端側に設置されている。ここでは、第1風向計52Aが、第1風速計51Aと同様に、第1ブレード42Aに設けられている。そして、第2風向計52Bが第2風速計51Bと同様に第2ブレード42Bに設けられており、第3風向計52Cが第3風速計51Cと同様に第3ブレード42Cに設けられている。風向計52A,52B,52Cは、たとえば、超音波式であって、複数のブレード42A,42B,42Cの回転面に流入する風の風向きを計測する。
[A−2]詳細構成
上記の風力発電装置の詳細構成について説明する。
図3は、第1実施形態に係る風力発電装置について詳細構成を模式的に示す図である。
図3に示すように、風力発電装置において、ナセル3は、発電機31、回転速度計測部32、複数の可変ピッチ機構部33A,33B,33C、及び、ヨー駆動部34を備えており、これらの各部を内部に収容している。また、風力発電装置は、制御部61を更に備えている。制御部61は、たとえば、タワー2の下端部内に収容されている。
各部の詳細について順次説明する。
発電機31は、ロータ4のハブ41に一端が固定されているシャフト43に連結されており、シャフト43の回転によって駆動して発電を行う。ここでは、発電機31は、増速機(図示省略)を介してシャフト43に連結されている。
回転速度計測部32は、ロータ4の回転速度を計測し、回転速度計測データωを出力する。
可変ピッチ機構部33A,33B,33Cは、ブレード42A,42B,42Cのピッチ角α1,α2,α3(図1参照)を調整する。ここでは、第1可変ピッチ機構部33Aが第1ブレード42Aを回動させることによってピッチ角α1を調整する。同様に、第2可変ピッチ機構部33Bが第2ブレード42Bを回動させることによってピッチ角α2を調整し、第3可変ピッチ機構部33Cが第3ブレード42Bを回動させることによってピッチ角α3を調整する。
ヨー駆動部34は、鉛直方向を軸にナセル3(図1,図2参照)を回動させることによって、ヨー角θy(図2参照)を調整する。
制御部61は、演算装置(図示省略)と記憶装置(図示省略)とを備えており、記憶装置に記憶されているプログラムを用いて演算装置が演算処理を実施することによって、各部の動作を制御する。
具体的には、制御部61は、複数の可変ピッチ機構部33A,33B,33Cを制御する。詳細については後述するが、制御部61は、回転速度計測部32から回転速度計測データωが入力され、複数の風速計51A,51B,51Cから風速計測データv1,v2,v3が入力され、複数の風向計52A,52B,52Cから風向計測データθw1,θw2,θw3が入力される。
そして、制御部61は、入力された回転速度計測データωと風速計測データv1,v2,v3と風向計測データθw1,θw2,θw3とに基づいて、ピッチ角制御信号Sp1,Sp2,Sp3を可変ピッチ機構部33A,33B,33Cに出力する。ここでは、制御部61は、第1ピッチ角制御信号Sp1を第1可変ピッチ機構部33Aに出力することによって、第1可変ピッチ機構部33Aを制御する。同様に、制御部61は、第2ピッチ角制御信号Sp2を第2可変ピッチ機構部33Bに出力することによって第2可変ピッチ機構部33Bを制御し、第3ピッチ角制御信号Sp3を第3可変ピッチ機構部33Cに出力することによって第3可変ピッチ機構部33Cを制御する。
この他に、制御部61は、ヨー駆動部34を制御する。詳細については後述するが、制御部61は、複数の風向計52A,52B,52Cから入力された風向計測データθw1,θw2,θw3に基づいて、ヨー角制御信号Syを出力することによって、ヨー駆動部34を制御する。
[B]動作
以下より、上記の風力発電装置において、ピッチ角α1,α2,α3を調整するときの動作と、ヨー角θyを調整するときの動作との詳細内容について説明する。
[B−1]ピッチ角の調整について
図4,図5は、第1実施形態に係る風力発電装置において、ピッチ角を調整するときの動作を示す図である。図4は、フロー図である。図5は、図1と同様に正面図であり、複数のブレード42A,42B,42Cの回転面RPを破線で示している。
(1)回転面RPを通過する風の風速データV1,V2,V3の取得(ST1)
ピッチ角α1,α2,α3の調整を行う場合には、まず、図4に示すように、回転面RPを通過する風の風速データV1,V2,V3を取得する。
本ステップST1では、図5に示すように、ブレード42A,42B,42Cに設置された風速計51A,51B,51Cが風速を計測し、風速計測データv1,v2,v3を制御部61へ出力する。これと同時に、風向計52A,52B,52Cが風向を計測することにより、風向計測データθw1,θw2,θw3を制御部61へ出力する。そして、風速計測データv1,v2,v3と風向計測データθw1,θw2,θw3との両者を得たときに、回転速度計測部32がロータ4の回転速度を検出し、回転速度計測データωを制御部61へ出力する(図3参照)。
その後、その入力された回転速度計測データωと風速計測データv1,v2,v3と風向計測データθw1,θw2,θw3とを用いて、回転面RPを垂直に通過する風の風速データV1,V2,V3を、制御部61が算出する。ブレード42A,42B,42Cが回転する方向のベクトルに対してブレード42A,42B,42C上に入った風のベクトルが傾斜する角度が、風向きに相当し、ブレード42A,42B,42Cが回転する方向のベクトルと回転面RPを垂直に通過する風のベクトルとの和が、ブレード42A,42B,42C上に入った風のベクトルに相当する。このため、風速計測データv1,v2,v3と風向計測データθw1,θw2,θw3とを計測したときのピッチ角やヨー角等の計測条件を考慮して、回転面RPを垂直に通過する風の成分に関する風速データV1,V2,V3を、上記の各データから求めることができる。
風速データV1,V2,V3は、計測データが計測された位置を示す計測位置データに関連付けられて、制御部61において記憶される。
本実施形態では、図5において二点鎖線で示すように、複数のブレード42A,42B,42Cの回転面RPが、複数の分割領域RPa〜RPhに分割されている。回転面RPは、複数のブレード42A,42B,42Cの数以上に分割されている。ここでは、回転面RPは、回転方向Rにおいて8つの等しい角度の分割領域RPa〜RPhに分割されている。具体的には、回転面RPの最上部のアジマス角度を0°としたとき、0°以上45°未満の範囲が第1分割領域RPaであり、45°以上90°未満の範囲が第2分割領域RPbである。これらと同様に、回転面RPは、45°ごとに分割されており、第3から第8の分割領域RPc〜RPhを有する。
そして、第1から第3のブレード42A,42B,42Cが第1から第8の分割領域RPa〜RPhにおいて一の分割領域(RPa〜RPhのいずれか)を移動するときに、回転速度計測データωと風速計測データv1,v2,v3と風向計測データθw1,θw2,θw3が制御部61に出力される。そして、その出力された回転速度計測データωと風速計測データv1,v2,v3と風向計測データθw1,θw2,θw3とに基づいて、その一の分割領域を通過する風の風速データV1,V2,V3を、制御部61が求める。
上記の動作について第1ブレード42Aを代表にして図5を用いて説明する。図5に示すように、第1ブレード42Aが第1分割領域RPaを移動するときには、第1風速計51Aから風速計測データv1が出力され、第1風向計52Aから風向計測データθw1が出力される。これらと共に、回転速度計測データωが回転速度計測部32(図3参照)から出力される。たとえば、風速計測データv1と風向計測データθw1と回転速度計測データωとは、第1分割領域RPaにおいて予め定めた複数の位置で出力される。そして、風速計測データv1と風向計測データθw1と回転速度計測データωとに基づいて、第1分割領域RRaにおいて予め定めた複数の位置ごとに、回転面RPを通過する風の風速データV1を、制御部61が算出する。その後、第1分割領域RRaにおいて予め定めた複数の位置ごとに算出された複数の風速データV1の平均値を、第1分割領域RPaでの風速データV1として記憶する。たとえば、複数の計測データが計測された高さの平均値を計測位置データと関連付けられて、風速データV1が記憶される。
上記と同様に、図5に示すように、第2ブレード42Bが、たとえば、第4分割領域RPdを移動するときには、第4分割領域RPdを通過する風の風速データV2を取得する。そして、第3ブレード42Cが、たとえば、第7分割領域RPgを移動するときには、第7分割領域RPgを通過する風の風速データV3を取得する。
(2)目標ピッチ角αt1,αt2,αt3の設定(ST2)
つぎに、図4に示すように、目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を設定する。
本ステップST2では、上述のステップST1で求めた、回転面RPを通過する風の風速データV1,V2,V3に基づいて、ブレード42A,42B,42Cの目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を設定する。
本実施形態では、複数のブレード42A,42B,42Cのうち一のブレードが、複数の分割領域RPa〜RPhにおいて一の分割領域を通過する際に、その一の分割領域について取得した風速データV1,V2,V3に応じて、一のブレードが一の分割領域の後に次の分割領域を移動するときの目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を設定する。
図6は、第1実施形態に係る風力発電装置において、目標ピッチ角を設定するときの動作を示すフロー図である。
(2−A)風速予測データVS1,VS2,VS3の算出(ST2A)
図6に示すように、まず、一の分割領域の風速データに基づいて、一の分割領域の後に一のブレードが移動する次の分割領域の風速を予測する(ST2A)。
たとえば、風速と地表からの高さとの間について予め定められた関係式を用いて、一のブレードが一の分割領域の後に移動する次の分割領域の風速を制御部61が予測する。これにより、次の分割領域について、風速予測データVS1,VS2,VS3が求められる。
上記の動作について第1ブレード42Aを代表にして図5を用いて説明する。上述のステップST1では、第1ブレード42Aが第1分割領域RPaを移動するときに、第1分割領域RPaの風速データV1を求めた。この場合、本ステップST2Aでは、回転方向Rにおいて第1分割領域RPaの前方に隣接する第2分割領域RPbの風速を制御部61が予測することによって、第2分割領域RPbの風速予測データVS1を求める。
高さZでの平均風速Uzは、基準高さZでの平均風速Uzとの関係において、一般に、下記の数式(1)に示す「べき乗則」、または、数式(2)に示す「対数則」が成立する(下記において、αは、ベキ指数であり(たとえば、α=0.10〜0.35)、uは、摩擦速度であり、kは、カルマン定数である)。
Uz=UZ(Z/Zα ・・・(1)
Uz=(1/k)u・ln(Z/Z0) ・・・(2)
これから判るように、一般に、風速は、上空から地表面に近づくに伴って低くなる。図5に示すように、第2分割領域RPbは、第1分割領域RPaよりも下方に位置する。このため、第1分割領域RPaを移動するときに第1分割領域RPaについて実測された風速よりも低い風速を、第2分割領域RPbの風速予測データVS1として予測する。
この他に、図5に示すように、第2ブレード42Bが、たとえば、第4分割領域RPdを移動する際には、第4分割領域RPdの風速データV2に応じて、第5分割領域RPeの風速予測データVS2を求める。そして、第3ブレード42Cが、たとえば、第7分割領域RPgを移動する際には、第7分割領域RPgの風速データV3に応じて、第8分割領域RPhの風速予測データVS3を求める。
なお、上記の関係式の他に、種々の方法で、一の分割領域の風速データV1,V2,V3から、他の分割領域の風速予測データVS1,VS2,VS3を求めてもよい。たとえば、一の分割領域の風速データV1,V2,V3と、一の分割領域の前方に位置する他の分割領域の風速予測データVS1,VS2,VS3との両者の間を関連付けたデータベースを、実測値に基づいて作成して記憶させておき、そのデータベースにおいて風速データV1,V2,V3に対応する風速予測データVS1,VS2,VS3を制御部61が抽出して求めてもよい。
(2−B)目標ピッチ角αt1,αt2,αt3の設定(ST2B)
上記のステップST2Aの実施後は、図6に示すように、一の分割領域の後に一のブレードが次の分割領域を移動する際の目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を設定する(ST2B)。
ここでは、たとえば、風速と目標ピッチ角との間について予め定められた関係式を用いて、制御部61が風速予測データVS1,VS2,VS3から目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を設定する。具体的には、複数のブレード42A,42B,42Cにおいて最も揚力が発生するピッチ角に、目標ピッチ角αt1,αt2,αt3が個別に設定される。
上記の動作について第1ブレード42Aを代表にして図5を用いて説明する。上述のステップST2Aにおいては、第1ブレード42Aが第1分割領域RPaを移動する際に、第2分割領域RPbの風速予測データVS1を求めた。この場合、本ステップST2Bでは、第1分割領域RPaの次に第1ブレード42Aが第2分割領域RPbを移動するときの目標ピッチ角αt1を、第2分割領域RPbの風速予測データVS1から制御部61が設定する。
この他に、図5に示すように、第2ブレード42Bが、たとえば、第4分割領域RPdを移動する際には、第4分割領域RPdの移動後に第5分割領域RPeを移動するときの目標ピッチ角αt2が、第5分割領域RPdの風速予測データVS2に基づいて設定される。また、第3ブレード42Bが、たとえば、第7分割領域RPgを移動する際には、第7分割領域RPgの移動後に第8分割領域RPhを移動するときの目標ピッチ角αt3が、第8分割領域RPhの風速予測データVS3に基づいて設定される。
なお、上記の関係式の他に、種々の方法で、風速予測データVS1,VS2,VS3から、目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を求めてもよい。たとえば、風速予測データVS1,VS2,VS3から、目標ピッチ角αt1,αt2,αt3との両者の間を関連付けたデータベースを実測値に基づいて作成して記憶させておき、そのデータベースにおいて風速予測データVS1,VS2,VS3に対応する目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を制御部61が抽出して求めるように構成してもよい。
(3)ピッチ角α1,α2,α3の調整(ST3)
つぎに、図4に示すように、ピッチ角α1,α2,α3の調整を行う。
本ステップST3では、上述のステップST2において設定した目標ピッチ角αt1,αt2,αt3に、ブレード42A,42B,42Cのピッチ角α1,α2,α3を調整する。
本実施形態では、複数の分割領域RPa〜RPhにおいて複数のブレード42A,42B,42Cが一の分割領域から次の分割領域へ移動したときに、複数のブレード42A,42B,42Cのピッチ角α1,α2,α3が目標ピッチ角αt1,αt2,αt3になるように、ピッチ角α1,α2,α3の調整が行われる。
本ステップST3の動作は、制御部61が目標ピッチ角αt1,αt2,αt3に基づいてピッチ角制御信号Sp1,Sp2,Sp3を可変ピッチ機構部33A,33B,33Cに出力することによって行われる(図3参照)。
上述した各ステップST1〜ST3は、複数のブレード42A,42B,42Cが、複数の分割領域RPa〜RPhを順次移動する度に連続して行われる(図5参照)。ステップST1は、たとえば、複数のブレード42A,42B,42Cが一の分割領域の前段部分を移動する際に実施される。ステップST2は、たとえば、複数のブレード42A,42B,42Cが一の分割領域の中段部分を移動する際に実施される。ステップST3は、たとえば、複数のブレード42A,42B,42Cが一の分割領域の後段部分を移動する際に実施される。
[B−2]ヨー角の調整について
図7は、第1実施形態に係る風力発電装置において、ヨー角を調整するときの動作を示すフロー図である。
(1)回転面RPを通過する風の風向データθwの取得(ST11)
ヨー角θy(図2参照)の調整の行う場合には、まず、図7に示すように、複数のブレード42A,42B,42Cの回転面RPを通過する風の風向データθwを得る。
本ステップST11では、複数のブレード42A,42B,42C(図5参照)に設置された複数の風向計52A,52B,52Cが風向を計測する。これにより、風向計測データθw1,θw2,θw3が制御部61へ入力される(図3参照)。
この後、その入力された風向計測データθw1,θw2,θw3を用いて、回転面RPを通過する風の風向データθwを制御部61が算出する。たとえば、風向計測データθw1,θw2,θw3の平均値を、風向データθwとして取得する。
(2)目標ヨー角θtyの設定(ST21)
つぎに、図7に示すように、目標ヨー角θtyを設定する。
本ステップST21では、上述のステップST11において求めた、回転面RPを通過する風の風向データθwを用いて、ナセル3の目標ヨー角θtyを制御部61が設定する。
たとえば、複数のブレード42A,42B,42Cの回転面RPが風向に対して垂直になるように、目標ヨー角θtyを設定する。
(3)ヨー角θyの調整(ST31)
つぎに、図7に示すように、ヨー角θyの調整を行う。
本ステップST31では、上述のステップST21において設定した目標ヨー角θtyに、ナセル3のヨー角θyを調整する。
本ステップST31の動作は、制御部61が目標ヨー角θtyに基づいてヨー角制御信号Syをヨー駆動部34に出力することによって行われる(図3参照)。
上記の各ステップST11,ST21,ST31は、複数のブレード42A,42B,42Cのうち、一のブレードが、複数の分割領域RPa〜RPhを移動する度に連続して行われる(図5参照)。たとえば、第1ブレード42Aが複数の分割領域RPa〜RPhの前段部分を移動する際にステップST11が行われ、中段部分を移動する際にステップST21が行われ、後段部分を移動する際にステップST31が行われる。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態の風力発電装置は、ロータ4がナセル3の側端部に回転可能に支持されている。ロータ4は、ブレード42A,42B,42Cがハブ41に回転可能に取り付けられている(図1参照)。そして、制御部61が可変ピッチ機構部33A,33B,33Cの動作を制御することによって、ブレード42A,42B,42Cのピッチ角α1,α2,α3を調整する(図3参照)。ここでは、制御部61は、上述したように、ブレード42A,42B,42Cの回転面RPを通過する風の風速を実測することによって得た風速データV1,V2,V3に応じて、ブレード42A,42B,42Cのピッチ角α1,α2,α3を調整する(図4〜図6参照)。具体的には、本実施形態では、風向風速計測部5A,5B,5Cがブレード42A,42B,42Cに設置されており(図1参照)、その風向風速計測部5A,5B,5Cの計測によって得た風速データV1,V2,V3に応じて、ブレード42A,42B,42Cのピッチ角α1,α2,α3を調整している。したがって、本実施形態は、ブレード42A,42B,42Cの回転面RPの近傍での風速の変化に対応して、ピッチ角α1,α2,α3を最適角度に調整することができるので、高い効率で発電を行うことができる。
本実施形態では、ロータ4は、複数のブレード42A,42B,42Cがハブ41に取り付けられており、風向風速計測部5A,5B,5Cが複数のブレード42A,42B,42Cのすべてに設置されている(図1参照)。制御部61は、複数のブレード42A,42B,42Cのピッチ角α1,α2,α3を個別に調整する(図3参照)。したがって、本実施形態では、風速の変化に対応してピッチ角α1,α2,α3を最適角度に調整することができるので、高い効率で発電を行うことができる。
本実施形態では、風向風速計測部5A,5B,5Cは、ブレード42A,42B,42Cの先端部分に設置されており、ブレード42A,42B,42Cの回転面RPのうち外周側に位置する部分の風向及び風速を計測する(図1参照)。このため、本実施形態は、ブレード42A,42B,42Cが下方に位置するときの風速と、上方に位置するときの風速との両者を高精度に計測することができる。したがって、本実施形態では、回転面RPの上方と下方での風速の変化に対応してピッチ角α1,α2,α3を最適角度に個別に調整することができるので、高い効率で発電を行うことができる。
本実施形態では、風向風速計測部5A,5B,5Cは、ブレード42A,42B,42Cが回転するときに、回転面RPを回転方向Rで分割した複数の分割領域RPa〜RPhの風速及び風向を順次計測する(図5参照)。そして、回転速度計測部32は、ブレード42A,42B,42Cが回転するときに、複数の分割領域RPa〜RPhの回転速度を順次計測する。制御部61は、複数の分割領域RPa〜RPhのうち一の分割領域での計測によって出力された風向計測データθw1,θw2,θw3、風速計測データv1,v2,v3、及び、回転速度計測データωから、その一の分割領域の風速データV1,V2,V3を算出する。そして、制御部61は、その一の分割領域の前方に隣接する他の分割領域の風速予測データVS1,VS2,VS3を、一の分割領域の風速データV1,V2,V3に基づいて算出する。そして、制御部61は、ブレード42A,42B,42Cが、一の分割領域の後に他の分割領域を移動するときのピッチ角α1,α2,α3を、他の分割領域の風速予測データVS1,VS2,VS3に応じて調整する。したがって、本実施形態では、複数の分割領域RPa〜RPhの間での風速の変化に対応してピッチ角α1,α2,α3を最適角度に調整することができるので、高い効率で発電を行うことができる。
本実施形態では、風向風速計測部5A,5B,5Cは、一の分割領域において、複数回、風速及び風向を計測する。回転速度計測部32は、一の分割領域において、複数回、回転速度を計測する。そして、制御部61は、一の分割領域での計測によって出力された複数の風速計測データv1,v2,v3、複数の風向計測データθw1,θw2,θw3、及び、複数の回転速度計測データωから、風速データV1,V2,V3を複数算出する。そして、制御部61は、複数の風速データV1,V2,V3の平均値に基づいて風速予測データVS1,VS2,VS3を算出する。このため、本実施形態では、風速予測データVS1,VS2,VS3の精度が高い。したがって、本実施形態では、複数の分割領域RPa〜RPhの間での風速の変化に対応してピッチ角α1,α2,α3を最適角度に調整することができるので、高い効率で発電を行うことができる。
本実施形態では、ナセル3は、タワー2の軸方向を回転軸として回転可能に支持されている(図2参照)。制御部61は、複数のブレード42A,42B,42Cの回転面RPを通過する風の風向を実測することによって得た風向データθwに応じて、ナセル3のヨー角θyを調整する(図3参照)。このため、本実施形態では、複数のブレード42A,42B,42Cの回転面RPに実際に流入する風の風向データは、ナセル3に風向風速計測部を設置した場合よりも高い。したがって、本実施形態は、回転面RPの近傍での風向の変化に対応してヨー角θyを最適角度に調整することができるので、高い効率で発電を行うことができる。
[D]変形例
本実施形態では、風向風速計測部5A,5B,5Cは、ブレード42A,42B,42Cの先端部分に設置されているが、これに限らない。ブレード42A,42B,42Cにおいて先端部分以外の部分に風向風速計測部5A,5B,5Cを設けてもよい。
本実施形態では、風向風速計測部5A,5B,5Cは、複数のブレード42A,42B,42Cの全てに設置されているが、これに限らない。複数のブレード42A,42B,42Cの一部に風向風速計測部を設置してもよい。
本実施形態では、風向風速計測部5A,5B,5Cには、風速計51A,51B,51Cと、風向計52A,52B,52Cとの両者が設けられているが、これに限らない。風向風速計測部として、風速及び風向の両者を計測する風向風速計を設けてもよい。
本実施形態では、ロータ4は、3枚のブレード42A,42B,42Cを有するが、これに限らない。ブレードは、3枚未満でもよく、3枚を超えてもよい。
本実施形態では、一の分割領域の風速データVS1,VS2,VS3を用いて、一の分割領域に隣接する次の分割領域の風速予測データVS1,VS2,VS3を求める場合について示したが、これに限らない。一の分割領域に隣接せずに離れた他の分割領域の風速予測データVS1,VS2,VS3を求めるときに、一の分割領域の風速データVS1,VS2,VS3を用いてもよい。
<第2実施形態>
[A]動作
図8は、第2実施形態に係る風力発電装置において、目標ピッチ角を設定するときの動作を示すフロー図である。
本実施形態は、図8に示すように、目標ピッチ角を設定するステップST2(図4参照)の動作が、第1実施形態の場合と異なる(図6参照)。本実施形態は、この点、及び、これに関連する点を除き、上記の実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において、上記の実施形態と重複する個所については、適宜、記載を省略する。
本実施形態では、図8に示すステップST2の実施前にステップST1(図4参照)において、上記の実施形態と同様に、回転面RPを通過する風の風速データV1,V2,V3を求める。ここでは、一の分割領域において複数の位置で計測した複数の風速データの平均値を、風速データV1,V2,V3として求める。
そして、図8に示すように、本ステップST2では、前のステップST1(図4参照)で求めた風速データV1,V2,V3を用いて、ブレード42A,42B,42Cの目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を設定する。
本ステップST2では、まず、図8に示すように、一の分割領域の風速データに基づいて、一のブレードが一の分割領域を移動後に次のブレードが一の分割領域を移動するときの風速を予測する(ST2A)。
たとえば、一のブレードが一の分割領域を通過するときに得た一の分割領域の風速と、一のブレードの後に他のブレードが移動する際の一の分割領域の風速とが同じであると制御部61が予測する。これにより、風速データV1,V2,V3から風速予測データVS1,VS2,VS3が算出される。つまり、複数のブレード42A,42B,43Bのうち、一のブレードが一の分割領域に移動したときに得られた風速データV1,V2,V3を、一のブレードの後に移動するブレードが一の分割領域に移動したときの風速予測データVS1,VS2,VS3として、制御部61が求める。
上記の動作について第1ブレード42Aを代表にして図5を用いて説明する。前のステップST1では、第1ブレード42Aが第1分割領域RPaを移動するときに第1分割領域RPaの風速データV1を求めた。この場合、本ステップST2Aでは、回転方向Rにおいて第1ブレード42Aの後方に位置する第3ブレード42Cが第1分割領域RPaを移動するときの風速を、制御部61が予測し、第1分割領域RPaの風速予測データVS3を求める。たとえば、第1ブレード42Aが第1分割領域RPaを通過するときに得た第1分割領域RPaの風速データV1を、第1ブレード42Aの次に第3ブレード42Cが第1分割領域RPaを移動するときの風速予測データVS3として求める。
上記のステップST2Aの実施後は、図8に示すように、一のブレードの後に他のブレードが一の分割領域を移動するときの目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を設定する(ST2B)。
ここでは、風速と目標ピッチ角との間について予め定められた関係式を用いて、制御部61が風速予測データVS1,VS2,VS3から目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を設定する。たとえば、ブレード42A,42B,42Cにおいて最も揚力が発生するピッチ角に、目標ピッチ角αt1,αt2,αt3が設定される。
上記の動作について第1ブレード42Aを代表にして図5を用いて説明する。上述のステップST2Aにおいては、第1ブレード42Aの後に第3ブレード42Cが第1分割領域RPaを移動するときの風速予測データVS3を求めた。この場合、本ステップST2Bでは、第3ブレード42Cが第1分割領域RPaを移動するときの目標ピッチ角αt3を、その風速予測データVS3から制御部61が設定する。
その後、上記の実施形態の場合と同様に、設定した目標ピッチ角αt1,αt2,αt3に、ブレード42A,42B,42Cのピッチ角α1,α2,α3を調整する(図4のST3参照)。
本実施形態では、一のブレードの次に他のブレードが一の分割領域に移動したときに、複数のブレード42A,42B,42Cのピッチ角α1,α2,α3が、目標ピッチ角αt1,αt2,αt3になるように調整される。
また、ヨー角θyについても、ピッチ角α1,α2,α3と同様に調整される(図7参照)。
[B]まとめ
以上のように、本実施形態の風力発電装置では、制御部61は、複数の分割領域RPa〜RPhのうち一の分割領域での計測によって出力された風向計測データθw1,θw2,θw3、風速計測データv1,v2,v3、及び、回転速度計測データωから、その一の分割領域の風速データV1,V2,V3を算出する。そして、制御部61は、一のブレードの次に他のブレードが一の分割領域を移動するときのピッチ角α1,α2,α3を、その一の分割領域の風速データV1,V2,V3に応じて調整する(図8参照)。したがって、本実施形態では、複数の分割領域RPa〜RPhの間での風速の変化に対応してピッチ角α1,α2,α3を最適角度に調整することができるので、高い効率で発電を行うことができる。
本実施形態では、上記の実施形態と同様に、風向風速計測部5A,5B,5Cは、一の分割領域において、複数回、風速及び風向を計測する。回転速度計測部32は、一の分割領域において、複数回、回転速度を計測する。そして、制御部61は、一の分割領域での計測によって出力された複数の風速計測データv1,v2,v3、複数の風向計測データθw1,θw2,θw3、及び、複数の回転速度計測データωから、風速データV1,V2,V3を複数算出する。そして、それらの複数の風速データV1,V2,V3の平均値に基づいて、一の分割領域に移動する他のブレードのピッチ角を調整する。したがって、本実施形態では、複数の分割領域RPa〜RPhの間での風速の変化に対応してピッチ角α1,α2,α3を最適角度に調整することができるので、高い効率で発電を行うことができる。
[C]変形例
上記においては、一のブレードが一の分割領域を通過するときに得た一の分割領域の風速データV1,V2,V3に応じて、一のブレードの後に他のブレードが一の分割領域を移動するときの目標ピッチ角αt1,αt2,αt3について、制御部61が設定する場合を示したが、これに限定されない。同じ一のブレードが一周後に、再度、同じ一の分割領域を移動するときの目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を、上記と同様に、制御部61が設定してもよい。
<第3実施形態>
[A]構成
図9,図10は、第3実施形態に係る風力発電装置の全体を示す図である。図9は、図1と同様に、正面図であり、図10は、図2と同様に、側面図である。
本実施形態は、図9,図10に示すように、風向風速計測部5A,5B,5C,5Dが、第1実施形態と異なる(図1参照)。本実施形態は、この点、及び、これに関連する点を除き、上記の実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態において、上記の実施形態と重複する個所については、適宜、記載を省略する。
風向風速計測部5A,5B,5C,5Dは、図9,図10に示すように、ハブ41に設置されている。具体的には、風向風速計測部5A,5B,5C,5Dは、ハブ41を構成する先端カバーの外周面において、ブレード42A,42B,42Cよりも風上側に設けられている。風向風速計測部5A,5B,5C,5Dは、回転方向Rにおいて4つが等しい間隔で並ぶように配置されている。
風向風速計測部5A,5B,5C,5Dは、回転面RPを通過する風の風向及び風速についてレーザを用いて計測し、風向データ及び風速データを出力するレーザ流速計である。
[B]動作
以下より、上記の風力発電装置において、ピッチ角を調整するときの動作とヨー角を調整するときの動作との詳細について説明する。
[B−1]ピッチ角の調整について
図11は、第3実施形態に係る風力発電装置において、ピッチ角を調整するときの動作を示す図である。図11は、図5と同様に正面図であり、複数のブレード42A,42B,42Cの回転面RPを破線で示している。また、図11では、風向風速計測部5A,5B,5C,5Dが、風向及び風速を計測する計測位置P1〜P4を黒点で示している。
(1)回転面RPを通過する風の風速データV1,V2,V3,V4の取得(ST1)
ピッチ角α1,α2,α3の調整を行う場合には、上記の実施形態の場合と同様に、まず、ブレード42A,42B,42Cの回転面RPを通過する風の風速データV1,V2,V3,V4を取得する(図4のST1を参照)。
本ステップST1では、図11に示すように、ハブ41に設置された風向風速計測部5A,5B,5C,5Dが風速を計測することによって、回転面RPを通過する風の風速データV1,V2,V3,V4が制御部61へ出力される。風速データV1,V2,V3,V4は、計測位置P1〜P4を示す計測位置データに関連付けられて、制御部61において記憶される。
具体的には、複数の風向風速計測部5A,5B,5C,5Dは、図11において黒点で示すように、複数のブレード42A,42B,42Cの回転面RPにおいて外周側に位置する計測位置P1〜P4の風速を計測する。
ここでは、回転面RPの最上部(アジマス角度0°)に第1ブレード42Aが位置している場合には、アジマス角度が45°である計測位置P1の風速を第1風向風速計測部5Aが計測して風速データV1を取得する。また、アジマス角度が135°である計測位置P2の風速を第2風向風速計測部5Bが計測して風速データV2を取得し、アジマス角度が225°である計測位置P3の風速を第3風向風速計測部5Cが計測して風速データV3を取得し、アジマス角度が315°である計測位置P4の風速を第4風向風速計測部5Dが計測して風速データV4を取得する。
(2)目標ピッチ角αt1,αt2,αt3の設定(ST2)
つぎに、上記の実施形態の場合と同様に、目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を設定する(図4のST2を参照)。
本ステップST2では、上述のステップST1において求めた風速データV1,V2,V3,V4を用いて、複数のブレード42A,42B,42Cの目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を設定する。
本実施形態では、一の風向風速計測部の計測位置が一の分割領域を通過する際に取得した、一の分割領域の風速データV1,V2,V3,V4に応じて、一のブレードが一の分割領域の後に他の分割領域を移動するときの目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を設定する。
(2−A)風速予測データVS1,VS2,VS3,VS4の算出(ST2A)
本ステップST2では、まず、第1実施形態の場合と同様に、一のブレードが一の分割領域の後に移動する他の分割領域の風速を予測する(図6のST2A参照)。つまり、一のブレードが他の分割領域を移動するときの風速予測データVS1,VS2,VS3,VS4を求める。
たとえば、風速と地表からの高さとの間について予め定められた関係式を用いて、制御部61が風速データV1,V2,V3,V4から風速予測データVS1,VS2,VS3,VS4を求める。
上記の動作について第1風向風速計測部5Aを代表にして図11を用いて説明する。上述のステップST1において第1風向風速計測部5Aの計測位置P1が第1分割領域RPaを移動するときに第1分割領域RPaの風速データV1が求められた場合、本ステップST2Aでは、回転方向Rにおいて第1分割領域RPaの前方に隣接する第2分割領域RPbの風速を制御部61が予測し、第2分割領域RPbの風速予測データVS1を求める。
(2−B)目標ピッチ角αt1,αt2,αt3の設定(ST2B)
上記のステップST2Aの実施後は、第1実施形態の場合と同様に、一のブレードが一の分割領域の後に他の分割領域を移動するときの目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を設定する(図6のST2B参照)。
ここでは、たとえば、風速と目標ピッチ角との間について予め定められた関係式を用いて、制御部61が風速予測データVS1,VS2,VS3,VS4から目標ピッチ角αt1,αt2,αt3を設定する。具体的には、複数のブレード42A,42B,42Cにおいて最も揚力が発生するピッチ角に、目標ピッチ角αt1,αt2,αt3が設定される。
上記の動作について第1風向風速計測部5Aを代表にして図11を用いて説明する。上述のステップST2Aにおいて第1風向風速計測部5Aから出力された風速データV1に応じて、第2分割領域RPbの風速予測データVS1が求められた場合、本ステップST2Bでは、第1ブレード42Aが第2分割領域RPbを移動するときの目標ピッチ角αt1を、第2分割領域RPbの風速予測データVS1から制御部61が設定する。
(3)ピッチ角α1,α2,α3の調整(ST3)
つぎに、上記の実施形態の場合と同様に(図4のST3を参照)、ピッチ角α1,α2,α3の調整を行う。
本ステップST3では、上述のステップST2において設定した目標ピッチ角αt1,αt2,αt3に、複数のブレード42A,42B,42Cのピッチ角α1,α2,α3を調整する。
本実施形態では、複数の分割領域RPa〜RPhにおいて複数のブレード42A,42B,42Cが一の分割領域から他の分割領域へ移動したときに、複数のブレード42A,42B,42Cのピッチ角α1,α2,α3が、目標ピッチ角αt1,αt2,αt3になるように調整される。
本ステップST3の動作は、制御部61が目標ピッチ角αt1,αt2,αt3に基づいてピッチ角制御信号Sp1,Sp2,Sp3を複数の可変ピッチ機構部33A,33B,33Cに出力することによって行われる(図3参照)。
上述した各ステップST1〜ST3は、複数の風向風速計測部5A,5B,5C,5Dの計測位置P1〜P4が、複数の分割領域RPa〜RPhを順次移動する度に行われる。
[B−2]ヨー角の調整について
(1)回転面RPを通過する風の風向データθwの取得(ST11)
ヨー角θy(図2参照)の調整の行う場合には、まず、上記の実施形態の場合と同様に、複数のブレード42A,42B,42Cの回転面RPを通過する風の風向データθwを求める(図7のST11参照)。
本ステップST11では、ハブ41に設置された複数の風向風速計測部5A,5B,5C,5Dが風向を計測することにより、回転面RPを通過する風の風向計測データθw1,θw2,θw3,θw4が制御部61へ出力される。風向計測データθw1,θw2,θw3,θw4は、計測位置P1〜P4を示す計測位置データに関連付けられて、制御部61に記憶される。
この後、その入力された風向計測データθw1,θw2,θw3を用いて、回転面RPを通過する風の風向データθwを、制御部61が算出する。たとえば、風向計測データθw1,θw2,θw3の平均値を、風向データθwとして算出する。
(2)目標ヨー角θtyの設定(ST21)
つぎに、上記の実施形態と同様に、目標ヨー角θtyを設定する(図7のST21参照)。
本ステップST21では、上述のステップST11において求めた、回転面RPを通過する風の風向データθwを用いて、ナセル3の目標ヨー角θtyを制御部61が設定する。
たとえば、複数のブレード42A,42B,42Cの回転面RPが風向に対して垂直になるように、目標ヨー角θtyを設定する。
(3)ヨー角θyの調整(ST31)
つぎに、上記の実施形態と同様に、ヨー角θyの調整を行う(図7のST31参照)。
本ステップST31では、上述のステップST21において設定した目標ヨー角θtyに、ナセル3のヨー角θyを調整する。本ステップST31の動作は、制御部61が目標ヨー角θtyに基づいてヨー角制御信号Syをヨー駆動部34に出力することによって行われる。
上記の各ステップST11,ST21,ST31は、複数の風向風速計測部5A,5B,5C,5Dの計測位置P1〜P4が、複数の分割領域RPa〜RPhを移動する度に行われる。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態の風力発電装置では、複数の風向風速計測部5A,5B,5C,5Dがハブ41に設置されている。複数の風向風速計測部5A,5B,5C,5Dは、レーザ流速計であって、回転面RPを通過する風の風向及び風速についてレーザを用いて実測し、風向データθw及び風速データV1,V2,V3,V4を得る。したがって、本実施形態は、回転面RPの近傍での風速の変化に対応してピッチ角α1,α2,α3を最適角度に調整することができるので、高い効率で発電を行うことができる。
本実施形態では、制御部61は、回転面RPを回転方向Rで分割した複数の分割領域RPa〜RPhのうち一の分割領域での計測により出力された風速データV1,V2,V3,V4に基づいて、一の分割領域の前方に隣接する他の分割領域の風速予測データVS1,VS2,VS3,VS4を算出する。そして、複数のブレード42A,42B,42Cが他の分割領域を移動するときのピッチ角を風速予測データVS1,VS2,VS3,VS4に応じて調整する。したがって、本実施形態では、複数の分割領域RPa〜RPhの間での風速の変化に対応して、ピッチ角α1,α2,α3を最適角度に調整することができるので、高い効率で発電を行うことができる。
[D]変形例
本実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、ピッチ角α1,α2,α3を調整する場合について示したが、これに限定されない。第2実施形態の場合と同様に、ピッチ角α1,α2,α3を調整してもよい。つまり、一の分割領域での計測により出力された風速データV1,V2,V3,V4に基づいて、一の分割領域をブレードが通過後に当該一の分割領域に移動するブレードのピッチ角を、その一の分割領域の風速データV1,V2,V3,V4に応じて調整してもよい。
本実施形態では、4つの風向風速計測部5A,5B,5C,5Dが設けられているが、これに限らない。風向風速計測部は、4つ未満でもよく、4つを超えてもよい。
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…風力発電装置、2…タワー、3…ナセル、4…ロータ、5A,5B,5C,5D…風向風速計測部、21…基台、31…発電機、32…回転速度計測部、33A,33B,33C…可変ピッチ機構部、34…ヨー駆動部、41…ハブ、42A,42B,42C…ブレード、43…シャフト、51A,51B,51C…風速計、52A,52B,52C…風向計、61…制御部、RP…回転面、RPa〜RPh…分割領域、Sp1,Sp2,Sp3…ピッチ角制御信号、Sy…ヨー角制御信号、V1,V2,V3…風速データ、v1,v2,v3…風速計測データ、VS1,VS2,VS3,VS4…風速予測データ、α1,α2,α3…ピッチ角、αt1,αt2,αt3…目標ピッチ角、θty…目標ヨー角、θw…風向データ、θw1,θw2,θw3,θw4…風向計測データ、θy…ヨー角、ω…回転速度計測データ

Claims (15)

  1. タワーと、
    前記タワーの上端部に設置されているナセルと、
    前記ナセルの側端部に回転可能に支持されており、ブレードがハブに取り付けられているロータと、
    前記ブレードのピッチ角を調整する制御部と
    を備え、
    前記制御部は、前記ブレードの回転面を通過する風の風速を実測することによって得た風速データに応じて、前記ブレードのピッチ角を調整することを特徴とする、
    風力発電装置。
  2. 風向及び風速を計測する風向風速計測部と、
    前記ロータの回転速度を計測する回転速度計測部と
    を備え、
    前記風向風速計測部は、前記ブレードに設置されており、
    前記制御部は、前記風向風速計測部から出力される風向計測データ及び風速計測データと、前記回転速度計測部から出力される回転速度計測データとに基づいて、前記回転面を通過する風の風速データを算出することを特徴とする、
    請求項1に記載の風力発電装置。
  3. 前記風向風速計測部は、前記ブレードの先端部分に設置されており、前記ブレードの回転面のうち外周側に位置する部分の風向及び風速を計測することを特徴とする、
    請求項2に記載の風力発電装置。
  4. 前記ロータは、前記ハブに複数の前記ブレードが取り付けられており、
    前記風向風速計測部は、前記複数のブレードのすべてに設置されており、
    前記制御部は、前記複数のブレードのピッチ角を個別に調整することを特徴とする、
    請求項2または3に記載の風力発電装置。
  5. 前記風向風速計測部は、前記回転面を回転方向で分割した複数の分割領域の風速及び風向を前記ブレードが回転するときに順次計測し、
    前記回転速度計測部は、前記複数の分割領域の回転速度を前記ブレードが回転するときに順次計測し、
    前記制御部は、前記複数の分割領域のうち一の分割領域での計測によって出力された風向計測データ、風速計測データ、及び、回転速度計測データから前記一の分割領域の風速データを算出し、前記一の分割領域の前方に隣接する他の分割領域の風速予測データを前記一の分割領域の風速データに基づいて算出し、前記ブレードが前記他の分割領域を移動するときのピッチ角を前記風速予測データに応じて調整することを特徴とする、
    請求項2から4のいずれかに記載の風力発電装置。
  6. 前記風向風速計測部は、前記一の分割領域において、複数回、風速及び風向を計測し、
    前記回転速度計測部は、前記一の分割領域において、複数回、回転速度を計測し、
    前記制御部は、前記一の分割領域での計測によって出力された複数の風速計測データ、複数の風向計測データ、及び、複数の回転速度計測データから前記風速データを複数算出し、当該複数の風速データの平均値に基づいて前記風速予測データを算出することを特徴とする、
    請求項5に記載の風力発電装置。
  7. 前記風向風速計測部は、前記回転面を回転方向で分割した複数の分割領域の風速及び風向を前記ブレードが回転するときに順次計測し、
    前記回転速度計測部は、前記複数の分割領域の回転速度を前記ブレードが回転するときに順次計測し、
    前記制御部は、前記複数の分割領域のうち一の分割領域での計測により出力された風向計測データ、風速計測データ、及び、回転速度計測データから前記一の分割領域の風速データを算出し、前記一の分割領域をブレードが通過後に当該一の分割領域に移動するブレードのピッチ角を前記一の分割領域の風速データに応じて調整することを特徴とする、
    請求項2から4のいずれかに記載の風力発電装置。
  8. 前記風向風速計測部は、前記一の分割領域において、複数回、風速及び風向を計測し、
    前記回転速度計測部は、前記一の分割領域において、複数回、回転速度を計測し、
    前記制御部は、前記一の分割領域での計測により出力された複数の風速計測データ、複数の風向計測データ、及び、複数の回転速度計測データから前記風速データを複数算出し、当該複数の風速データの平均値に基づいて前記一の分割領域に移動するブレードのピッチ角を調整することを特徴とする、
    請求項7に記載の風力発電装置。
  9. 風向及び風速を計測する風向風速計測部
    を備え、
    前記風向風速計測部は、前記回転面を通過する風の風向及び風速についてレーザを用いて計測し、前記風向データ及び前記風速データを出力するレーザ流速計を含み、前記ハブに設置されていることを特徴とする、
    請求項1に記載の風力発電装置。
  10. 前記風向風速計測部は、前記ブレードの回転面において外周側に位置する部分の風向及び風速を計測することを特徴とする、
    請求項9に記載の風力発電装置。
  11. 前記風向風速計測部は、複数が前記ハブに設置されていることを特徴とする、
    請求項9または10に記載の風力発電装置。
  12. 前記制御部は、前記回転面を回転方向で分割した複数の分割領域のうち一の分割領域での計測により出力された風速データに基づいて、前記一の分割領域の前方に隣接する他の分割領域の風速予測データを算出し、前記ブレードが前記他の分割領域を移動するときのピッチ角を前記風速予測データに応じて調整することを特徴とする、
    請求項9から11のいずれかに記載の風力発電装置。
  13. 前記制御部は、前記回転面を回転方向で分割した複数の分割領域のうち一の分割領域での計測により出力された風速データに基づいて、前記一の分割領域を前記ブレードが通過後に当該一の分割領域に移動する前記ブレードのピッチ角を前記一の分割領域の風速データに応じて調整することを特徴とする、
    請求項9から11のいずれかに記載の風力発電装置。
  14. 前記ナセルは、前記タワーの軸方向を回転軸として回転可能に支持されており、
    前記制御部は、前記ブレードの回転面を通過する風の風向を実測することによって得た風向データに応じて、前記ナセルのヨー角を調整することを特徴とする、
    請求項1から13のいずれかに記載の風力発電装置。
  15. タワーと、前記タワーの上端部に回転可能に設置されているナセルと、前記ナセルの側端部に設けられており、ブレードがハブに取り付けられているロータとを備える風力発電装置の制御方法であって、
    前記ブレードの回転面を通過する風の風速を実測することによって得た風速データに応じて、前記ブレードのピッチ角を調整することを特徴とする、
    風力発電装置の制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112255428A (zh) * 2020-11-13 2021-01-22 中国华能集团清洁能源技术研究院有限公司 一种基于热线风速感测的风电机组风速测量系统及方法
CN114200163A (zh) * 2021-12-15 2022-03-18 哈电风能有限公司 一种风力发电机组风速计异常识别方法与系统

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