JP2014047143A - ヒトtリンパ球向性ウイルスi型関連疾患検出用ポリペプチドとその利用 - Google Patents
ヒトtリンパ球向性ウイルスi型関連疾患検出用ポリペプチドとその利用 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】本発明のヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患検出用のポリペプチドは、特定のタンパク質の全長または部分断片を有している。
【選択図】なし
Description
1)以下の1.〜17.のいずれか1つのヒトタンパク質の全長または当該ヒトタンパク質に由来する部分である、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型(HTLV−I)関連疾患検出用ポリペプチド。1.Eosinophil lysophospholipase;2.10 kDa heat shock protein, mitochondrial;3.Bone marrow proteoglycan;4.Moesin;5.Myeloid cell nuclear differentiation antigen;6.Serine hydroxymethyltransferase, mitochondrial;7.Parathymosin;8.Triosephosphate isomerase;9.Heat shock 70 kDa protein 1A/1B;10.T-cell differentiation antigen CD6;11.Annexin A1;12.Annexin A6;13.Spectrin alpha chain, brain;14.HLA class II histocompatibility antigen, DRB1-1, 4, 10, 11, 13, 15, 16 beta chain;15.Calpain-2 catalytic subunit;16.Signal transducer and activator of transcription 1-alpha/beta;17.Platelet basic protein。
2)配列番号1〜19のいずれか1つに示されているアミノ酸配列を含み、上記ヒトタンパク質に由来する部分である、1)に記載のヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患検出用ポリペプチド。
3)生体から採取した試料に含まれている、1)または2)に記載のヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患検出用ポリペプチドを検出または測定する工程を包含している、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患を検出する方法。
4)上記ヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患は、HTLV−I関連脊髄症(HAM/TSP)または成人T細胞白血病(ATL)である、3)に記載の方法。
5)検出または測定する上記工程の結果に基づいて、上記試料が採取された上記生体が、HAM/TSPの患者、ATLの患者、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患を発症していないヒトTリンパ球向性ウイルスI型の感染者、またはヒトTリンパ球向性ウイルスI型の非感染者であることを識別する工程をさらに包含している、3)または4)に記載の方法。
6)検出または測定する上記工程は、異なる上記ヒトタンパク質に由来する2つ以上の上記ヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患検出用ポリペプチドを一度に検出または測定する工程である、3)〜5)のいずれかに記載の方法。
7)検出または測定する上記工程は、上記ヒトタンパク質に由来する部分としての上記ヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患検出用ポリペプチドを質量分析法によって検出または測定する工程である、6)に記載の方法。
8)上記試料は血液由来である、3)〜7)のいずれかに記載の方法。
9)上記試料は、CD3陽性、CD4陽性、CD25陽性およびCCR4陽性の単離されたT細胞である、3)〜8)のいずれかに記載の方法。
10)ヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患の患者に対する処置の効果を評価する方法であって、処置を施す前に生体から採取した試料A、および処置を施した後に生体から採取した試料Bに含まれている、1)または2)に記載のヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患検出用ポリペプチドを検出または測定する第1の工程と、検出または測定した上記ヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患検出用ポリペプチドについて、上記試料Aおよび試料Bの間において上記第1の工程における結果を比較する第2の工程とを包含している、方法。
11)成人T細胞白血病(ATL)を処置するための化合物の候補物質をスクリーニングする方法であって、Calpain-2遺伝子を発現している細胞を試験物質と接触させる工程と、接触させる上記工程の後に、Calpain-2遺伝子の発現量の変化またはCalpain-2の活性の変化を評価する工程とを包含している、方法。
12)10 kDa heat shock protein, mitochondrial;Moesin;Serine hydroxymethyltransferase, mitochondrial;Parathymosin Spectrin alpha chain, brain;またはCalpain-2の成人T細胞白血病(ATL)の治療標的としての利用。
13)Annexin A1、またはSignal transducer and activator of transcription 1-alpha/betaのHTLV−I関連脊髄症(HAM/TSP)の治療標的としての利用。
14)以下の1.〜17.のいずれか1つのヒトタンパク質の全長または当該ヒトタンパク質に由来する部分であるポリペプチドと結合する抗体を含んでいる、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型(HTLV−I)関連疾患検査用試薬またはキット。1.Eosinophil lysophospholipase;2.10 kDa heat shock protein, mitochondrial;3.Bone marrow proteoglycan;4.Moesin;5.Myeloid cell nuclear differentiation antigen;6.Serine hydroxymethyltransferase, mitochondrial;7.Parathymosin;8.Triosephosphate isomerase;9.Heat shock 70 kDa protein 1A/1B;10.T-cell differentiation antigen CD6;11.Annexin A1;12.Annexin A6;13.Spectrin alpha chain, brain;14.HLA class II histocompatibility antigen, DRB1-1, 4, 10, 11, 13, 15, 16 beta chain;15.Calpain-2 catalytic subunit;16.Signal transducer and activator of transcription 1-alpha/beta;17.Platelet basic protein。
本発明に係るヒトTリンパ球向性ウイルスI型(HTLV−1)関連疾患検出用ポリペプチド(以下、単に本発明に係るポリペプチドと記載する)は、以下の1.〜17.のいずれか1つのヒトタンパク質の全長または部分(部分断片)である。当該ヒトタンパク質は、1.Eosinophil lysophospholipase;2.10 kDa heat shock protein, mitochondrial;3.Bone marrow proteoglycan;4.Moesin;5.Myeloid cell nuclear differentiation antigen;6.Serine hydroxymethyltransferase, mitochondrial;7.Parathymosin;8.Triosephosphate isomerase;9.Heat shock 70 kDa protein 1A/1B;10.T-cell differentiation antigen CD6;11.Annexin A1;12.Annexin A6;13.Spectrin alpha chain, brain;14.HLA class II histocompatibility antigen, DRB1-1, 4, 10, 11, 13, 15, 16 beta chain;15.Calpain-2 catalytic subunit;16.Signal transducer and activator of transcription 1-alpha/beta;および17.Platelet basic proteinである。
本発明に係るHTLV−I関連疾患を検出する方法は、生体(検出対象)から採取した試料に含まれている17の上記ヒトタンパク質またはその部分断片からなる群から選択される1つ以上のHTLV−I関連疾患検出用ポリペプチドを検出または測定する工程を包含している。つまり、本発明に係る上記方法は、他の具体的な工程、ならびに使用する器具および装置によって特に限定されない。
本発明に係るHTLV−I関連疾患の患者に対する処置の効果の評価方法は、処置を施す前に生体から採取した試料A、および処置を施した後に生体から採取した試料Bに含まれている、上述の項目1.に記載のポリペプチドを検出または測定する第1の工程と、検出または測定した上記ポリペプチドについて、上記試料Aおよび試料Bの間において上記第1の工程における結果を比較する第2の工程とを包含している。つまり、本発明に係る評価方法は、具体的な他工程の、ならびに使用する器具および装置によって限定されない。
本発明に係るATLの治療薬候補物質のスクリーニング方法の一例は、Calpain-2(Calpain-2)遺伝子を発現している細胞と試験物質とを接触させる接触工程と、上記接触工程の後に行われCalpain-2遺伝子の発現量の変化またはCalpain-2の活性の変化を評価する評価工程と、を含む方法である。
本発明はまた、ATLを処置する方法、およびATLの治療薬を提供する。ATL患者から採取したHTLV−I感染細胞では、非感染細胞と比較して、Calpain-2遺伝子の発現量が有意に低下している。HTLV−I感染細胞においてCalpain-2遺伝子の発現量を回復させるか、またはCalpain-2のプロテアーゼ活性を増強させれば、HTLV−I感染細胞を細胞死に誘導し得る(後述の実施例を参照)。つまり、本発明に係るATLを処置する方法は、Calpain-2遺伝子の発現量を増加させる薬剤、またはCalpain-2の活性を増強させる薬剤(“ATL治療薬”と総称する)の治療有効量を、ATLの患者に投与する工程を包含している方法である。
実施例にも示されるように、10 kDa heat shock protein, mitochondrial;Moesin;Serine hydroxymethyltransferase, mitochondrial;Parathymosin Spectrin alpha chain, brain;またはCalpain-2は、ATLの治療標的として利用することができる。これらのヒトタンパク質は、ATLの患者において特異的な動態を示している。
(末梢血単核細胞(PBMC)および細胞株)
聖マリアンナ医科大学において、6人の健常者、5人の無症候性キャリア、および9人のHAM/TSP患者からPBMCを収集した。今村病院分院において9人のATL患者からPBMCを収集した。本研究におけるこれらのヒト試料の使用は、個々の機関の倫理委員会(理研の横浜研究所の倫理委員会、聖マリアンナ医科大学の倫理委員会、今村分院病院の施設内審査委員会)によって承認された。
CD3陽性、CD4陽性、CD25陽性およびCCR4陽性のT細胞を、PBSを用いて3回洗浄し、変性バッファー(50mMの重炭酸アンモニウム、8Mの尿素)に溶解させた。超音波処理の後に、5mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(Sigma-Aldrich)存在下、37℃における30分間の還元、および25mMのヨードアセトアミド(Sigma-Aldrich)存在下、室温における45分間のアルキル化処理を実施した。続いて、タンパク質:酵素が25:1の割合になるように、Trypsin GOLD(Promega、ウィスコンシン、米国)を加え、溶解物を37℃において12時間消化した。回収されたペプチド試料を、Vacuum Spin Drier (TAITEC Co., Ltd.、埼玉、日本)を用いて乾燥させ、質量分析に供した。
消化されたペプチドを、0.1%蟻酸存在下で95分の間に2%→35%、15分の間に35%→95%になるようにアセトニトリルの濃度勾配を2段階に設定し、0.1×200mmのC18カラムにおいて、200nL/分の流速において分離した。溶出ペプチドを、Analyst QSソフトウェア2.0(AB Sciex)のsmart information-dependent acquisition(SIDA)モードにおいてQSTAR Elite質量分析計(AB Sciex、カルフォルニア、米国)を用いて解析した。QSTAR Eliteにおける詳細なパラメータは、以下に示す通りである:DP=60、FP=265、DP2=15、AD=5、IRD=6、IRW=5、カーテンガス=20、およびイオン噴霧電圧=2000V。
CD3陽性、CD4陽性、CD25陽性およびCCR4陽性のT細胞のトリプシン消化物を、25%のアセトニトリルを含んでいる10mMの蟻酸アンモニウムに溶解させ、0.2×250mMのモノリス型の強カチオンイオン交換カラム(GL Science、東京、日本)によって分画した。ペプチドの溶出にはProminence HPLC装置(島津製作所株式会社、京都、日本)を用いた。より詳細には、Prominence HPLC装置の制御ソフトウェアであるLCsolution(島津製作所株式会社、京都、日本)上において蟻酸アンモニウム濃度勾配パターンを曲線値=3に設定し、蟻酸アンモニウム濃度勾配を10mM→1Mに変化させながらProminence HPLC装置(島津製作所株式会社、京都、日本)を用いて70分にわたって溶出した。溶出物を、保持時間に基づいて20画分に分画採取し、Ultimate 3000 nano-HPLC装置を組み合わせたLTQ-Orbitrap-Velos質量分析計(Thermo Scientific、ブレーメン、ドイツ)によって各分画ごとに解析した。分画されたペプチド試料を、上述のQSTAR-Eliteを用いたスクリーニング段階に使用したUltimate 3000 nano-HPLCの濃度勾配条件(0.1%蟻酸存在下で95分の間に2%→35%、15分の間に35%→95%になるように、2段階に設定されたアセトニトリルの濃度勾配)をそのまま用いて分離した。その上で、MS解像度=60,000を有しているFourier-transitionモードにおけるフルスキャン(MSスキャン)、および通常の解像度を有しているイオントラップモードにおけるデータインディペンデントスキャン(MS/MSスキャン)を行い、フルスキャン実行時に最も強く検出された20のプレカーサイオンについての同時のMS/MSスキャンを取得するプログラムを用いてLTQ-Orbitrap-Velosによって解析を実行した。重要な他のパラメータは、以下の通りである:キャピラリー温度=250、電源電圧=2kV、MSスキャン範囲=m/z 400〜1600、上位20の強度の前駆体についての取得データ依存的CID MS/MS、30秒間の動的排除の有効化。タンパク質同定のために、すべてのMS/MSスペクトルを、ProteomeDiscoverer 1.3ソフトウェア(ThermoScientific)上のSEQUESTアルゴリズムを用いて、SwissProtデータベース バージョン 2012_06(20,232のヒトタンパク質配列)において、以下のパラメータを用いて検索した:MS tolerance = 3 ppm、MS/MS tolerance = 0.8 Da、maximum missed cleavages = 2、Enzyme = Trypsin、Taxonomy = Homo sapiens、Fixed modification = arbamidomethylation (cysteine)、Variable modification = oxidation (methionine)。ProteomeDiscoverにおけるPercolator FDR評価アルゴリズムによって、1%未満の過誤率(FDR)を満たすタンパク質を、同定されたタンパク質と定義した。
LC/MS/MS解析によって得られたデータを、Expressionist RefinerMSモジュールに転送し、以下のデータ処理および関連する定量解析に用いた。29の臨床試料由来のLC/MS/MS解析のデータを、まず2次元(2D)平面(電荷−質量の割合(m/z)に対する保持時間(RT))上に展開した。クロマトグラム・グリッド機能を用いて、29試料由来のクロマトグラムに対して、m/zおよびRTから構成される共通の格子をすべての2D平面において適用した。これらを、以下のパラメータを用いて行った:スキャン数=10、多項式次数=3、RTスムージング=0。2D平面からバックグラウンドのノイズを除くために、Chromatogram Chemical Noise Subtractionを実行した。RTウィンドウ=50スキャン、変異値減算=50%の、RTスムージング=3スキャン。その後に、インテンシティ・スレッシュホールド機能を用いて、スパイクノイズのような単発的に生じる低強度のノイズを除くために、10未満の強度を有しているデータ点をすべて0に落とした。なお、10を超える強度のピークに関しては一切手を付けない。29の2D平面間のRTの微小なずれを、クロマトグラム・リテンションタイム・アラインメント機能によって調節した。これらは以下のパラメータを用いて行った:RT変換ウィンドウ=0.2分、RT検索間隔=5分、m/zウィンドウ=0.1Da、ギャップペナルティー=1。ピークを、Chromatogram Summed Peak Detection機能によって2段階に検出した。1段階目を、以下のパラメータを用いて行った:合計ウィンドウ=5スキャン、重複=50、最小ピークサイズ=4スキャン、最大結合距離=10点、ピークRT分裂=正確、強度分析=最大、ギャップ/ピーク比率=1%、改善閾値=5、整合性閾値=0.8、シグナル/ノイズ閾値=1。また、2段階目のChromatogram Isotopic Peak Clusteringを用いて同位体群に分類した。第1のパラメータは:最小電荷=1、最大電荷=10、最大不明ピーク=0、最初の許容されたギャップの位置=3、RTウィンドウ=0.1分、m/z耐性=0.05Da、同位体形状耐性=10、最小集団サイズ分配=1.2。第2のパラメータは;最小電荷=1、最大電荷=1、最大不明ピーク=0、最初の許容されたギャップの位置=3、RTウィンドウ=0.1分、m/z耐性=0.05Da、最小集団サイズ分配=0.6であった。
Δ19CAN2コンストラクトについて、CAPN2挿入配列を、pBlueBacIII CAPN2由来のプライマー(5’−CATGTCGACTCCCACGAGAGGGCCATCAAGT−3’および5’−CATTCTAGATCAAAGTACTGAGAAACAGAGCC−3’)を用いて、PCRによって増幅し、pEFBOS−Mycにクローン化した。クローン化に使用したCAPN2配列は、MGC配列(登録番号BC021303)と同一であることを確認した。CAPN2の強制発現にあたって、CAPN2挿入配列を含んでいる5μgのベクターDNAを1×106個の細胞に形質移入した。SPTAN1に対する低分子干渉RNA(siSPTAN1;アルファ−IIスペクトリンの遺伝子名)およびsiRNAのネガティブコントロールとして、Sigma-Aldrichから市販されているものを使用した。500pmolのsiRNAのオリゴヌクレオチドを1×106個の細胞に形質移入した。ベクターおよびsiRNAを、Amaxa Nucleoportator transfection Kit V(Lonza,Cologne、ドイツ)によってSO−4細胞、KOB細胞およびJurkat細胞に形質移入した。
細胞周期解析のために、1〜2×105個の細胞を、PBSを用いて洗浄した後に、100ng/mLのRNase(Sigma-Aldrich)を含んでいる0.1%のriton-X溶液(Sigma-Aldrich)に懸濁した。1μg/mlのヨウ化プロピジウムの添加に続いて、細胞周期をFACScalibur(Becton Dickinson、カルフォルニア、米国)を用いたフローサイトメトリーによって計測した。データ解析を、FlowJoソフトウェア(Tree Star, Inc.、オレゴン、米国)を用いて行った。細胞懸濁液は、凝集によって複数の細胞由来の核が一つに固まっている場合が多く、これらは本来の2N、4Nではなく、誤って4N、6N、8Nと認識されてしまう可能性を有している。この可能性を排除するために、細胞周期の解析前に、FL2−W/FL2−Aで展開したプロット上における適切なゲーティングによって、凝集していない集団のみを抽出した。Cell Counting Kit-8(同人化学研究所、熊本、日本)を用いて、製造業者の推奨プロトコルに従って、細胞代謝活性を測定することによって、細胞増殖を評価した。
細胞を溶解バッファー[1%のNP−40、2mMの EGTA、2mMの MgCl2、150mMの NaCl、20mMのTris−HCl(pH7.5)、10%のグリセロールであって、プロテアーゼ阻害剤カクテル(protease inhibitor cocktail)Complete(Roche、インディアナ、米国)を含有する]に溶解させ、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、PVDF膜に転写した。4%Block Ace(雪印乳業株式会社、東京、日本)によるブロッキングに続いて、膜を抗myc抗体(9E10、Sigma-Aldrich)または抗アルファ−IIスペクトリン抗体(abcam、ケンブリッジ、英国)とともに一晩振盪した。次に、膜をそれぞれHRP結合させた抗マウスIgG(GE Healthcare, NJ, USA)、または抗ウサギIgG(GE Healthcare)とともに60分振盪し、Western Lightning kit(Perkin Elmer, MA)を用いて可視化および現像を行った。
(CD3陽性、CD4陽性、CD25陽性およびCCR4陽性のT細胞の定量的プロテオーム分析)
スクリーニングの概略的な全体図は、図1に示されている。HTLV−1に感染したT細胞に発現している治療に有効な標的を同定するために、6人の非感染健常者、5人の無症候性キャリア、9人のHAM/TSP患者、および9人のATL患者由来のCD3陽性、CD4陽性、CD25陽性およびCCR4陽性集団のPBMCを、フローサイトメトリーによって単離した(図2)。4つの臨床群のCD3陽性、CD4陽性のT細胞におけるCD25陽性およびCCR4陽性細胞の平均化した割合は、それぞれ6.48±2.46%の、13.17±13.06%の、20.55±10.73%の、および55.83±22.40%のであった。これは、ウイルスを保有している細胞による占有率が、病態の進行にともなって大きく変化したことを示唆している。この事実は、定量的な標的の精密な発見にとって、病原性細胞の濃縮の重要性を強く支持していた。
ATL群において特異的に変動しているタンパク質群の効率的なスクリーニングを行うために、2段階に分けた統計学的な抽出手法を実施した。第1段階として、4臨床群のうちの2群間において、有意差があるペプチドを抽出するために、4群クラスカルウォリス検定を行った(p<0.01)。この結果として1,170ペプチドが抽出された。
ATLの治療標的として同定されたペプチド群のうち、Calpain-2およびα2-spectrinは、細胞死に関連する多くの報告がなされている酵素と基質の関係にある。27検体の質量分析から得られた定量情報の相関を評価したところ、2つのペプチドは負の相関を示した(R2=0.395、図5A)。これらの細胞死に関連する酵素と基質の関係がATLにおいて重要であり、治療標的になり得るかを検討するために、まず、2つのATL細胞株であるSO−4およびKOBにおいて、活性型Calpain-2(Δ19CAN2)を過剰発現させた。MTT解析の結果、形質移入の36時間後に、細胞増殖の著しい阻害(図5Bおよび図5C)が検出され、sub−G1期に移行している細胞の増加が観察された(図5Dおよび図5E)。この増殖阻害活性はJurkat細胞では観察されなかった(図示せず)。また、活性型Calpain-2の過剰発現は、タンパク質レベルでα2-spectrinの発現低下を誘導した(図5F)。一方で、siSPTAN1を用いたα2-spectrinの発現低下はATL細胞における細胞増殖に影響を与えなかった(図示せず)。以上のことから、ATL細胞においてCalpain-2活性は、ATLの発症または進行に重要な役割を果たしている有望な治療標的であることが裏付けられた。
Claims (14)
- 以下の1.〜17.のいずれか1つのヒトタンパク質の全長または当該ヒトタンパク質に由来する部分である、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型(HTLV−I)関連疾患検出用ポリペプチド。
1.Eosinophil lysophospholipase;
2.10 kDa heat shock protein, mitochondrial;
3.Bone marrow proteoglycan;
4.Moesin;
5.Myeloid cell nuclear differentiation antigen;
6.Serine hydroxymethyltransferase, mitochondrial;
7.Parathymosin;
8.Triosephosphate isomerase;
9.Heat shock 70 kDa protein 1A/1B;
10.T-cell differentiation antigen CD6;
11.Annexin A1;
12.Annexin A6;
13.Spectrin alpha chain, brain;
14.HLA class II histocompatibility antigen, DRB1-1, 4, 10, 11, 13, 15, 16 beta chain;
15.Calpain-2 catalytic subunit;
16.Signal transducer and activator of transcription 1-alpha/beta;
17.Platelet basic protein。 - 配列番号1〜19のいずれか1つに示されているアミノ酸配列を含ふくんでおり、上記ヒトタンパク質に由来する部分である、請求項1に記載のヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患検出用ポリペプチド。
- 生体から採取した試料に含まれている、請求項1または2に記載のヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患検出用ポリペプチドを検出または測定する工程を包含している、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患を検出する方法。
- 上記ヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患は、HTLV−I関連脊髄症(HAM/TSP)または成人T細胞白血病(ATL)である、請求項3に記載の方法。
- 検出または測定する上記工程の結果に基づいて、上記試料が採取された上記生体が、HAM/TSPの患者、ATLの患者、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患を発症していないヒトTリンパ球向性ウイルスI型の感染者、またはヒトTリンパ球向性ウイルスI型の非感染者であることを識別する工程をさらに包含している、請求項3または4に記載の方法。
- 検出または測定する上記工程は、異なる上記ヒトタンパク質に由来する2つ以上の上記ヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患検出用ポリペプチドを一度に検出または測定する工程である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 検出または測定する上記工程は、上記ヒトタンパク質に由来する部分としての上記ヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患検出用ポリペプチドを質量分析法によって検出または測定する工程である、請求項6に記載の方法。
- 上記試料は血液由来である、請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 上記試料は、CD3陽性、CD4陽性、CD25陽性およびCCR4陽性の単離されたT細胞である、請求項3〜8のいずれか1項に記載の方法。
- ヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患の患者に対する処置の効果を評価する方法であって、
処置を施す前に生体から採取した試料A、および処置を施した後に生体から採取した試料Bに含まれている、請求項1または2に記載のヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患検出用ポリペプチドを検出または測定する第1の工程と、
検出または測定した上記ヒトTリンパ球向性ウイルスI型関連疾患検出用ポリペプチドについて、上記試料Aおよび試料Bの間において上記第1の工程における結果を比較する第2の工程とを包含している、方法。 - 成人T細胞白血病(ATL)を処置するための化合物の候補物質をスクリーニングする方法であって、
Calpain-2遺伝子を発現している細胞を試験物質と接触させる工程と、
接触させる上記工程の後に、Calpain-2遺伝子の発現量の変化またはCalpain-2の活性の変化を評価する工程とを包含している、方法。 - 10 kDa heat shock protein, mitochondrial;Moesin;Serine hydroxymethyltransferase, mitochondrial;Parathymosin Spectrin alpha chain, brain;またはCalpain-2の成人T細胞白血病(ATL)の治療標的としての利用。
- Annexin A1、またはSignal transducer and activator of transcription 1-alpha/betaのHTLV−I関連脊髄症(HAM/TSP)の治療標的としての利用。
- 以下の1.〜17.のいずれか1つのヒトタンパク質の全長または当該ヒトタンパク質に由来する部分であるポリペプチドと結合する抗体を含んでいる、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型(HTLV−I)関連疾患検査用試薬またはキット。
1.Eosinophil lysophospholipase;
2.10 kDa heat shock protein, mitochondrial;
3.Bone marrow proteoglycan;
4.Moesin;
5.Myeloid cell nuclear differentiation antigen;
6.Serine hydroxymethyltransferase, mitochondrial;
7.Parathymosin;
8.Triosephosphate isomerase;
9.Heat shock 70 kDa protein 1A/1B;
10.T-cell differentiation antigen CD6;
11.Annexin A1;
12.Annexin A6;
13.Spectrin alpha chain, brain;
14.HLA class II histocompatibility antigen, DRB1-1, 4, 10, 11, 13, 15, 16 beta chain;
15.Calpain-2 catalytic subunit;
16.Signal transducer and activator of transcription 1-alpha/beta;
17.Platelet basic protein。
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JP2016059348A (ja) * | 2014-09-19 | 2016-04-25 | 国立大学法人京都大学 | T細胞リンパ腫の検査方法 |
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2012
- 2012-08-29 JP JP2012189318A patent/JP2014047143A/ja active Pending
Non-Patent Citations (1)
Title |
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JPN6016029250; Cancer Research [online], AACR 103rd Annual Meeting 2012 , 20120415, Abstract 4803 * |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016059348A (ja) * | 2014-09-19 | 2016-04-25 | 国立大学法人京都大学 | T細胞リンパ腫の検査方法 |
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