JP2014045133A - 集光型太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】導光技術を利用した集光型太陽電池モジュールにおいて、太陽光の入射方向の変化を考慮して光学手段を設計することにより、太陽追尾システムを用いることなく、高い性能指標をもつ集光型太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】入射した太陽光を集めて出射する集光手段2aと、太陽光の集光手段2aへの入射方向の変化により生じる集光手段2aから出射する光の方向の変化に応じて、光の経路を変化させて、光を所定範囲内に導く導光手段3と、所定範囲に配置される太陽電池4と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽光を集めて太陽電池に導く集光型太陽電池モジュールに関する。
1970年代のオイルショックの時代から太陽光発電の重要性はよく認知されている。このような太陽光発電に用いる太陽電池モジュールの太陽電池の素子としては、単結晶や多結晶のバルク半導体を使用するもの、アモルファスシリコン、CIGS(Copper Indium Gallium DiSelenide)、等の薄膜半導体を使用するものが実用化されているが、素子の製造コストが高いことが普及の足かせになっている。また、コスト面で有利な有機太陽電池が盛んに研究されているが、性能面に課題があって実用化には至っていない。
そこで、レンズなどの光学部品を用いて太陽光を小面積の太陽電池に集めることにより太陽電池素子の数量を減らすことができる集光型太陽電池モジュール(CPVシステム:concentrator photovoltaic system)が、高性能でコスト削減可能な太陽電池モジュールとして注目されている。すなわち、レンズなどの光学部品を用いて太陽光を小面積の太陽電池に集めることにより、太陽電池の素子の面積を減らすことができる。しかし、このような集光型太陽電池モジュールは、小面積の太陽電池の素子の位置に太陽光を集める必要があるので、高い精度で太陽を追尾する必要がある。したがって、集光型太陽電池モジュールは、多くの場合はコンピュータ制御の太陽追尾システムを付ける必要があり、この太陽追尾システムが開発コスト、製造コスト、設置コスト、およびランニングコスト,即ち総保有コスト(Total cost of ownership, TCO)を増加させる要因となる。
このような太陽追尾システムが不要な集光型太陽電池モジュールには少なくとも次の2つの従来技術が適用されている。第1の従来技術は、Luminescent Solar Concentrator(LSC)と呼ばれ、蛍光体と平板状の導光体とを用いる。LSC100は、図9に示すように、平板状の導光体101には蛍光体が含まれていて、一方の端部に太陽電池102が設けられ、他方の端部にミラー103が設置されている。これによると蛍光体は太陽光を吸収して、それよりも低いエネルギーの光が発せられる。この発光は等方的であるので、一部の光L1は導光体101の外部に漏れて損失となる。他の光L2は、導光体101の内部で全反射を繰り返して太陽電池102に至る。図9に示すように、太陽光の受光面の面積に比して太陽電池102の設置面積を小さく形成することができ、幾何学的集光度(Cgeo)は高く設計することができる。
第2の従来技術は、回折素子201と平板状の導光体203を用いる。これはHolographic Planar Concentration(HPC)と呼ばれている。図10は非特許文献2に記載されたHPCの構成である。HPC200は、回折素子201と表裏両面が有感な太陽電池202とを平板状の導光体203の中に埋め込んでいる。直接太陽電池202に入射した太陽光はもちろん、回折素子201に入射した太陽光が回折されて、その一部が導光体203の内部を伝搬して太陽電池202に至り、発電に寄与する。
W.G.J.H.M.Van Sark,et al,,"Luminescent SolarConcentrators-A review of recent results,"Opt.ExpressVol.16,pp.21773-21792,2008 Jose E.Castillo,et al.,"Thermaleffects of the extended hologphic regions for holographic planar concentrator,"J.Photon.Energy.1,015504,2011
しかし、非特許文献1に記載のLSC100の構成は、前述のように幾何学的集光度(Cgeo)は高くなるものの、導光する距離の増加ととともに、自己吸収による光の損失が増加して、発生した光子の数と発電に利用できる光子の数の比(光利用効率η)が劣化する。また、前述のように蛍光体で発生した光の78パーセントが導光されずに損失となる。システムの性能指標として重要なのは、幾何学的集光度と光利用効率の積(ηCgeo)である。例えば、非特許文献1には40×5×0.5cmの導光体を用いてηCgeoに相当する性能指標が4.18のLSCが記載されている。このように、導光体から漏れ出る光の存在と材料による吸収のため、この技術で高い性能指標を達成することは困難である。
また、非特許文献2に記載のHPC200の構成は、太陽電池202と回折素子201とを併置するために、レンズや反射ミラーを用いる集光型太陽電池モジュールのような幾何学的集光度を達成することは困難である。また、多くの回折光が導光体203から漏れ出て損失となる。
そこで、本発明は、導光技術を利用した集光型太陽電池モジュールにおいて、太陽光の入射方向の変化を考慮して光学手段を設計することにより、太陽追尾システムを用いることなく、高い性能指標をもつ集光型太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
請求項1に記載の集光型太陽電池モジュールは、入射した太陽光を集めて出射する集光手段と、前記太陽光の前記集光手段への入射方向の変化により生じる当該集光手段から出射する光の方向の変化に応じて、当該光の経路を変化させて、当該光を所定範囲内に導く導光手段と、前記所定範囲に配置される太陽電池と、を備えることを特徴としている。
請求項2に記載の集光型太陽電池モジュールは、前記導光手段は、前記集光手段と前記太陽電池との間の光経路上に配置される反射手段を含むことを特徴としている。
請求項3に記載の集光型太陽電池モジュールは、前記反射手段は、設置場所における太陽の赤緯及び時角の変化を含む所定の条件に基づいて決定される平面状の反射面の集合又は前記所定の条件に基づいて決定される曲面であることを特徴としている。
請求項4に記載の集光型太陽電池モジュールは、前記導光手段は、前記集光手段と前記太陽電池との間の光経路上に配置され、前記集光手段から出射される光を入射して、前記太陽電池側に出力する導光体を含み、当該導光体は、入射面が出力面よりも大きいことを特徴としている。
請求項5に記載の集光型太陽電池モジュールは、前記集光手段を複数設けるとともに、前記導光手段は、複数の前記集光手段毎に設けられ、それぞれの前記集光手段から出射した光を、第1の導光範囲内に導く複数の第1の導光手段と、前記第1の導光手段毎に設けられ、前記第1の導光範囲内に導かれた光を前記太陽電池に導く複数の第2の導光手段と、を含み、前記太陽電池は前記複数の第2の導光手段から導かれた光を受けることを特徴としている。
請求項6に記載の集光型太陽電池モジュールは、前記複数の第2の導光手段と、前記太陽電池との間に、当該複数の第2の導光手段が導く光の強度を平均化する光強度平均化手段が介在することを特徴としている。
請求項1に記載の集光型太陽電池モジュールによると、太陽光の集光手段への入射方向の変化により生じる当該集光手段から出射する光の方向の変化に応じて、導光手段が、光の経路を変化させて、当該光を太陽電池が設置されている位置に導くので、季節や時間の変化により太陽光の入射方向の変化があっても高い効率で太陽光を太陽電池に集めることができる。
請求項2に記載の集光型太陽電池モジュールによると、導光手段は、集光手段と太陽電池との間の光経路上に配置される反射手段を含むので、この反射手段により導光手段に入射した光を全反射させて効率的に太陽電池に集めることができる。
請求項3に記載の集光型太陽電池モジュールによると、反射手段は、設置場所における太陽の赤緯及び時角の変化を含む所定の条件に基づいて決定される平面の集合又は曲面であるので、季節や時間の変化による太陽光の入射方向の変化に対して確実に高い効率で太陽光を太陽電池に集めることができる。
請求項4に記載の集光型太陽電池モジュールによると、導光手段の入射面が出力面よりも大きいので、集光手段により光が集められるとともに、導光手段によっても光が集められるのでより効率的に光を集めることができる。
請求項5に記載の集光型太陽電池モジュールによると、複数の集光手段が集めた光は複数の第1の導光手段及び第2の導光手段を通って、1の太陽電池に導かれるので、太陽光の集光効率を高めることができる。また、第2の導光手段により集められた光を1つの太陽電池で電気に変換することで、第1に、光の形で伝送する距離を長く、電気に変換してから伝送する距離を短くすることができ、電気変換後のエネルギー損失を小さくすることができ、システムの効率を高めることができる。そして、これにより製品の寿命を勘案した総保有コストを大幅に低減することができる。さらに、電気配線を減らすことによりコストを下げることができる。
請求項6に記載の集光型太陽電池モジュールによると、複数の第2の導光手段と太陽電池との間に、複数の第2の導光手段が導く光の強度を平均化する光強度平均化手段が介在するので、太陽電池に過度の負荷が加わることを抑制することができる。
第1の実施形態の集光型太陽電池モジュールを示す斜視図。 (A)は、導光手段の態様を説明する図、(B)は導光手段としての反射手段の表面(S部分)を拡大した図。 太陽の赤緯及び時角を説明する図。 設定する反射面を説明する図。 第2の実施形態の集光型太陽電池モジュールを示す斜視図。 第2の実施形態の集光型太陽電池モジュールのxz面を示す一部省略拡大図。 第2の実施形態の集光型太陽電池モジュールのyz面を示す一部省略拡大図。 第3の実施形態の集光型太陽電池モジュールを示す斜視図。 従来の集光型太陽電池モジュールの一例を示す図。 従来の集光型太陽電池モジュールの他の例を示す図。
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の集光型太陽電池モジュール1の第1の実施形態について、図1及び図2を参照しつつ説明する。本実施形態の集光型太陽電池モジュール1は、入射した太陽光を集めて出射する集光手段としてのレンズ2aと、レンズ2aから出射する光を所定範囲内に導く導光手段3と、所定範囲に配置され、受けた光を電力に変換する太陽電池4と、を備えている。なお、ここで「所定範囲」は、太陽電池4を設置するために設定される位置のことであり、後述する太陽電池4の中心点Dを設定し、この中心点Dを太陽電池4の中心とした場合に、太陽電池4の受光面が設けられる範囲のことである。この集光型太陽電池モジュール1は、略直方体形状であり、上面にレンズ2aが設けられるとともに、その下側が光透過率の高い物質(例えばガラス)により形成されており、その内部に導光手段3としての反射手段3aが設けられている。反射手段3aは側面視略U字状に設けられており、集光型太陽電池モジュール1の両側の側面にはそれぞれ予め定められた所定の位置に太陽電池4が設けられている。
レンズ2aは例えば透明な樹脂により形成されたフレネルレンズである。これにより、レンズ2aを薄く形成することができるが、本発明の集光手段はフレネルレンズに限られるものではなく、平行な光束を集めることができれば、平凸レンズ、両凸レンズ、プリズム、複合レンズ等の屈折を利用して集光を行うレンズ、及び凹面鏡等の反射を利用して集光を行う反射鏡等の種々の集光手段を用いることができる。
導光手段3としての反射手段3aは、例えば銀膜などの光を反射させる素材により構成されている。この反射手段3aは、太陽光のレンズ2aへの入射方向の変化により生じる当該レンズ2aから出射する光の方向の変化に応じて、光の経路を変化させて、光を所定範囲内に導くものである。反射手段3aは、設置場所における太陽の赤緯δ及び時角Ηの変化を含む所定の条件に基づいて算出される平面状の反射面5の集合である。なお、反射手段3aは設置場所における太陽の赤緯δ及び時角Ηの変化を含む所定の条件に基づいて算出されるものであれば曲面であってもよい。
次に、図2(A)(B)を参照しつつ、反射面5を算出する所定条件について説明する。なお、図2(A)においては、図示の都合上、図1における集光型太陽電池モジュール1を構成する導光手段3の内、南側であって西側の4分の1の構成を取り出して図示している。集光型太陽電池モジュール1は、春分又は秋分の日の南中時刻にレンズ2aが設けられた入力面が太陽に正対するように設置される。また、反射手段3aは、東西方向に略U字状に設けられており、南北方向は開口している(反射面5が設けられていない)。なお、以下の説明及び各図において、x軸は南北方向を表わし、y軸は東西方向を表わし、z軸は春分又は秋分の日の太陽光の入射方向を表わしている。なお、太陽光の入射方向は時刻及び季節とともに変化し、赤緯δ及び時角Ηの2つの角度で表わされる。図3に示すように、赤緯δは、太陽光の方向を示すベクトルEをzx面に投射したベクトルGとz軸とが成す角度である。また、時角Ηは、太陽光の方向を示すベクトルEをyz面へ投影したベクトルKとz軸とが成す角度である。赤緯δが季節とともに変化し、時角Hが時刻とともに変化する。
図2(B)に示すように、反射手段3aは微小な反射面5の集合である。それぞれの反射面5は次の手順に基づいて算出する。まず、第1に太陽の赤緯δと時角Ηとを変化させ、それぞれの場合にレンズ2aに入射する太陽光の反射点M(x,y,z)を設定する。そして、第2に、各反射点の法線ベクトルを定めて、反射面5の方程式を決定する。第3に、図4に示すように、z=zとなるxy平面上に反射点M(x,y,z)を中心とする矩形領域Aを設定し、図4で三角の黒点で示しているこの矩形領域の4隅の点の座標を定める。以上により、赤緯δと時角Ηとに対応した微小な反射面5が決まる。以下、この過程をさらに詳しく説明する。
まず、反射点Mを設定する過程について詳細に説明する。反射点Mを求める際には、図2に示すように、レンズ2aの主点をC(0,0,h)、反射面5の中心である反射点をM(x,y,z)、法線ベクトルをベクトルn=(a,b,c)、太陽電池4の中心をD(−d,0,0)と定める。このとき、レンズ2aの主点Cから反射点までの距離CMと反射点から太陽電池4の中心までの距離MDとの和はレンズ2aの焦点距離fに等しいので、zは次の数式1により求めることができる。但し、数式1において、α,β,γ,A,Bは、それぞれ、以下の数式2から数式6に表わされる。
Figure 2014045133
Figure 2014045133
Figure 2014045133
Figure 2014045133
Figure 2014045133
Figure 2014045133
また、前述のとおり赤緯δは、図3に示すように、太陽光の方向を示すベクトルEをzx面に投射したベクトルGとz軸とが成す角度であり、時角Ηは、太陽光の方向を示すベクトルEをyz面へ投影したベクトルKとz軸とが成す角度であるので、x,yは、下記の数式7及び数式8により求めることができる。
Figure 2014045133
Figure 2014045133
これによって、赤緯δ及び時角Hが決まれば、反射点M(x,y,z)が定まる。
次に、各反射点Mの法線ベクトルを定めて、反射面5の方程式を求める過程について詳細に説明する。各反射点Mにおいて反射の法則が成り立つように、法線ベクトルn=(a,b,c)を数式9の通りに定める。但し、数式9において、p,qの値は数式10及び数式11の通りである。
Figure 2014045133
Figure 2014045133
Figure 2014045133
以上の数式9から数式11により、反射面5の方程式が、下記数式12のとおり定まる。
Figure 2014045133
例えば、レンズ2aの主点Cのz座標h=1、太陽電池4の中心Dのx座標d=1、レンズ2aの焦点距離f=2.5であって、赤緯δが1°≦δ≦23°、時角Hが1°≦Η≦60°であって、赤緯δ及び時角Ηをそれぞれ1°毎に変更した場合における反射面5の方程式を求めて、これら反射面5の集合を反射手段3aとする。
次に、動作原理を説明する。太陽光の入射方向は太陽の赤緯δ及び時角Ηにより定まる。レンズ2aの主点C(0,0,h)を通過した光は太陽の赤緯δ及び時角Η毎に設定された反射点M(x,y,z)に至る。ここで反射の法則により、反射光の方向が定まり、光は太陽電池4の中心点D(−d,0,0)に至る。レンズ2aの主点C以外の領域を通過した光はやや異なる角度でこの空間を伝搬して、反射点Mが設定された反射面5及びこの反射面5近傍の別の反射面5に至る。そして、反射点Mが設定された反射面5と、その反射面5の近傍の反射面5とは法線ベクトルnがほぼ同じ方向であるので、レンズ2aの主点C以外の領域を通過した光は太陽電池4の中心点D(−d,0,0)の近傍に至る。
集光型太陽電池モジュール1の性能指標として、幾何学的集光度Cgeoと光利用効率ηとの積が重要である。本実施形態の集光型太陽電池モジュール1は、以下のとおり概算できる。すなわち、例えば半径10cmのレンズ2aを用いて集光スポットが半径1mmになるとすれば、Cgeoは、約10000となる。次に、光利用効率について考える。レンズ2aに入射した光の多くは反射面5での1回の反射後に太陽電池4の中心点D及びその近傍に至るが、この確率は100パーセントではない。例えば、前述の数値例では、赤緯δの範囲は±23°以下と狭いため、赤緯δが変化してもほぼ全ての光を太陽電池へ導くことができる。しかし、時角Ηの範囲は、±60°以下に制限されている。角度60°で入射する光に対して、レンズ2aの入射面の面積は幾何学的にcos60°すなわち、0.5となるので、光利用効率ηは半分に減少する。また、厳密には斜めに入射する光に対しては、界面での反射率の変化や太陽光の強度の変化などを考慮する必要がある。そこでこれらの要因を保守的に見積もって、仮に光利用効率ηが10分の1であるとしても、最終的な性能評価指標ηCgeoは、従来のLSC100に比べてはるかに大きくすることができる。すなわち、本実施形態の幾何学的集光度Cgeoの増加は、光利用効率ηの若干の劣化を補って余りある。このように本実施形態によれば、従来のシステムを大幅に超える性能を実現できる。
〔第2の実施形態〕
次に、図5から図7に基づいて、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態における集光型太陽電池モジュール1aは、図5に示すように、入射した太陽光を集めて出射する集光手段としての球レンズ2bと、球レンズ2bから出射する光を所定範囲内に導く導光手段としての導光体3bと、受けた光を電力に変換する太陽電池4aと、を備えている。
導光体3bは、一列に並んだ球レンズ2bの下側に設けられており、図6及び図7に示すように、入射面3bが球レンズ2bから当該球レンズ2bの焦点距離の分離れて円弧状に形成されている。すなわち、導光体3bの入射面3bは球レンズ2bから焦点距離分離れて、球レンズ2bの中心を中心とする円弧状に形成されている。導光体3bの側方に形成される面のうち、球レンズ2bの列方向に平行な面を側面3b、球レンズ2bの列方向に鉛直な面を端面3bとすると、導光体3bの入射面3bと側面3bとの間の縁部は上方から下方に向かって広がる斜面3bが形成されている。また、導光体3bの側面3bは、導光体3bが入射面3bから出力面3bに向かって徐々に狭くなるように傾斜して設けられており、出力面3bは入射面3bよりも狭く形成されている。導光体3bは側面3bが南北を向き、端面3bが東西を向いて設置される。図5から図7において、x軸は南北方向、y軸は東西方向、z軸は春分または秋分の日の南中時刻の太陽光の入射方向を表わしている。なお、本実施形態の集光型太陽電池モジュール1aでは、導光体3bの円弧状の入射面3bが3つ連なって形成されている例を示しているが、特にこれに限定されるものではなく、球レンズ2bに対応するよう複数連なって形成されていれば良い。また、図5では、導光体3bがx軸方向に3列設けられている例を示しているが、特にこれに限定されるものではなく、1列又は複数列設けられていれば良い。
球レンズ2bに太陽光が入射すると、図6に示すように、球レンズ2bからやや離れた導光体3bの入射面3b上の1点に光が集まる。光の入射方向が変化すると、この点は球レンズ2bの中心を中心とする円弧状に移動する。すなわち、導光体3bの入射面3b上を移動する。そして、光は、導光体3bの内部に入射し、導光体3bを通過して、導光体3bの出力面3bから太陽電池4aに導かれる。導光体3bの入射面3bと側面3bとの縁部に設けられた斜面3bは導光体3bの入射面3bに対して大きな角度で入射する光が導光体3bの外に漏れることを防止している。
なお、太陽の赤緯δの変化に基づく球レンズ2bに入射する光の入射角の変化は約23°であり、図6に示すように太陽の赤緯δが変化したとしても球レンズ2bで集めた光を導光体3b内部に入射させることができる。また、太陽の時角Ηの変化は赤緯δの変化に比べて大きく、大きな時角Ηの場合には、図7に示すように、球レンズ2bからの出射光が、導光体3bの隣の球レンズ2bの下側に入射することになる。したがって、時角Hが変化する方向であるy軸方向すなわち東西方向には導光体は連続体として形成されている。
ここで、まず、導光体3bの入射面3bと出力面3bとの面積比に基づく集光度の増加を考慮せずに、性能指標を概算する。まず、球レンズ2bの大円の面積と、太陽電池4aの面積の比として幾何学的集光度Cgeoを求める。球レンズ2bの半径をRとし、導光体3bの入射面3bの曲率をR´とすると、太陽電池4aの赤緯方向の辺の長さは2R´tanδの最大値すなわち2R´tan23°となり、時角の方向の辺については2R´sinΗの最大値すなわち2R´sin60°となる。更にR´=1.1Rと仮定すると、以下の数式13の通りとなる。したがって幾何学的集光度Cgeoは約3.1となる。そしてこの値に更に導光体3bの入射面3bと出力面3bとの面積比に基づく効果を考慮すると、Cgeoは、10を超える値となり、従来よりも性能の高い集光型太陽電池モジュール1aとすることができる。
Figure 2014045133
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態について図8を参照しつつ説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態の集光型太陽電池モジュール1bは、集光手段としてのレンズ2cを複数設けるとともに、導光手段は、レンズ2c毎に設けられ、それぞれのレンズ2cから出射した光を、第1の導光範囲内に導く複数の第1の導光手段3cと、第1の導光手段3c毎に設けられ、第1の導光範囲内に導かれた光を前記太陽電池4bに導く第2の導光手段3dと、を含んでいる。第2の導光手段3dは、例えば光ファイバであるがこれに限定されるものではなく、光を効率的に伝達できるものであれば、他の導光手段であってもよい。
なお、ここで「第1の導光範囲」は、第1の実施形態における「所定範囲」と同様に設定される。また、反射手段3a’の反射面5の算出は、第1の実施形態における太陽電池4の中心点D(−d,0,0)に代えて、第1の導光範囲の中心を(−d,0,0)として算出する。
具体的には、第1の実施形態にける集光型太陽電池モジュール1の集光手段としてのレンズ2a及び導光手段3と同じものを複数設置しており、第1の実施形態の集光型太陽電池モジュール1における導光手段を第1の導光手段3cとするとともに、第1の実施形態の集光型太陽電池モジュール1における太陽電池4の中心点D、すなわち、本実施形態における第1の導光範囲の中心に光ファイバなどの第2の導光手段3dの一端を設置し、第2の導光手段3dの他端を太陽電池4bに向くように設置している。第2の導光手段3dの他端と太陽電池4bとの間には光強度平均化手段として例えばガラスなどの透明材料6を挿入して、各第2の導光手段3dから出力される光の強度を平均化している。
このように複数のレンズ2c、複数の第1の導光手段3c、複数の第2の導光手段3dにより集められた光を1つの太陽電池4bで電気に変換する。この構成には次の利点がある。第1に、光の形で伝送するほうが電気に変換してから伝送するよりもエネルギー損失を小さくすることができ、システム稼動中の効率に優れている。これにより製品の寿命を勘案した総保有コストを大幅に低減することができる。第2に複数の第2の導光手段3dから出力される光を透明材料6を介在させて平均化することで、太陽電池4bへの負荷が軽減される。すなわち、レンズ2cに入射する太陽光の強度の差を平均化することができる。第3に、複数の太陽電池と複数の電気配線を行う場合のコストに比べて、1つの太陽電池4bと複数の光ファイバなどの第2の導光手段3dを用いる構成の方がコストを下げることができる。
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
本発明に係る集光型太陽電池モジュールは、建築物の屋根や屋上に設置する集光型太陽電池モジュールとして好適に用いることができる。
1,1a,1b 太陽電池モジュール
2a,2c レンズ(集光手段)
2b 球レンズ(集光手段)
3,3b 導光手段
3c 第1の導光手段
3d 第2の導光手段
4,4a,4b 太陽電池
5 反射面
6 透明材料

Claims (6)

  1. 入射した太陽光を集めて出射する集光手段と、
    前記太陽光の前記集光手段への入射方向の変化により生じる当該集光手段から出射する光の方向の変化に応じて、当該光の経路を変化させて、当該光を所定範囲内に導く導光手段と、
    前記所定範囲に配置される太陽電池と、
    を備えることを特徴とする集光型太陽電池モジュール。
  2. 前記導光手段は、前記集光手段と前記太陽電池との間の光経路上に配置される反射手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽電池モジュール。
  3. 前記反射手段は、設置場所における太陽の赤緯及び時角の変化を含む所定の条件に基づいて決定される平面状の反射面の集合又は前記所定の条件に基づいて決定される曲面であることを特徴とする請求項2に記載の集光型太陽電池モジュール。
  4. 前記導光手段は、前記集光手段と前記太陽電池との間の光経路上に配置され、前記集光手段から出射される光を入射して、前記太陽電池側に出力する導光体を含み、当該導光体は、入射面が出力面よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽電池モジュール。
  5. 前記集光手段を複数設けるとともに、
    前記導光手段は、
    複数の前記集光手段毎に設けられ、それぞれの前記集光手段から出射した光を、第1の導光範囲内に導く複数の第1の導光手段と、
    前記第1の導光手段毎に設けられ、前記第1の導光範囲内に導かれた光を前記太陽電池に導く複数の第2の導光手段と、
    を含み、
    前記太陽電池は前記複数の第2の導光手段から導かれた光を受けることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の集光型太陽電池モジュール。
  6. 前記複数の第2の導光手段と、前記太陽電池との間に、当該複数の第2の導光手段が導く光の強度を平均化する光強度平均化手段が介在することを特徴とする請求項5に記載の集光型太陽電池モジュール。
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