JP2014044181A - 歪みセンサーモジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】ドアパネル等の対象物の外力による変形を検出するとともに、過大な変形による歪みセンサー3の損傷を回避できるようにする。
【解決手段】歪みセンサーモジュール1は、回路基板からなる起歪板2と、半導体型歪みセンサー3と、回路部4と、コネクター5と、を有し、略中央の取り付けネジ6の1点において対象物に取り付けられる。起歪板2の一端部2aには、突起部材11によって突起部11aが形成されているので、取り付けネジ6で固定した初期状態では、起歪板2が僅かに撓み、プリロードが与えられる。対象物が外力により起歪板2へ向かって凸となる方向に変形すると、歪みセンサー3に生じていた歪みが減少するので、対象物の変形が検出される。対象物が同方向に過度に変形しても、起歪板2は撓まないので、歪みセンサー3の損傷は生じない。
【選択図】図1
【解決手段】歪みセンサーモジュール1は、回路基板からなる起歪板2と、半導体型歪みセンサー3と、回路部4と、コネクター5と、を有し、略中央の取り付けネジ6の1点において対象物に取り付けられる。起歪板2の一端部2aには、突起部材11によって突起部11aが形成されているので、取り付けネジ6で固定した初期状態では、起歪板2が僅かに撓み、プリロードが与えられる。対象物が外力により起歪板2へ向かって凸となる方向に変形すると、歪みセンサー3に生じていた歪みが減少するので、対象物の変形が検出される。対象物が同方向に過度に変形しても、起歪板2は撓まないので、歪みセンサー3の損傷は生じない。
【選択図】図1
Description
この発明は、セキュリティーシステム等に好適な歪みセンサーモジュールに関する。
例えばドアや窓等が不審者により無理やりに開けられたことを検出するために、従来は、振動センサーが多く用いられている(特許文献1)。しかし、この種の振動センサーは、外部から加わった衝撃による加速度に応答するものであるため、例えば外力が比較的緩やかに加えられてドアや窓のパネルフレーム等が徐々に変形していくような場合には、その異常を必ずしも検知できない。
そのため、このような態様の異常の検知のために、外力によるドアパネル等の歪みの発生を監視することが検討されている。
ここで、近年、従前の抵抗線式ストレインゲージに代えて、半導体基板に複数の拡散抵抗からなるホイートストンブリッジ回路を形成するとともに、増幅回路を同じ基板上に形成した半導体型歪みセンサーが種々提案されている(例えば特許文献2参照)。
また特許文献3には、肉薄部を有する起歪部材にストレインゲージの抵抗線を貼着してなるストレインゲージ式ロードセルにおいて、起歪部材を塑性変形が生じないセラミックにて形成することが開示されている。
上記の半導体型歪みセンサーは、従前の抵抗線式ストレインゲージに比べて遙かに感度が高く、外力によるドア・窓パネルフレーム等対象物の変形つまり歪みを精度よく検出することが可能であるが、その反面、脆い薄肉の半導体基板で構成されているため、過大な変形には追従できず、特に引張や曲げ方向の力に対しては、損傷し易い、という欠点がある。
なお、特許文献3では、肉薄部を有する中空の起歪部材を用いる構成であり、対象物に取り付けてその歪み検出を行う用途には適用することができない。
この発明は、対象物の表面に取り付けられ、設定した固定部位で固定される起歪板と、この起歪板の歪みに応答するように該起歪板に支持された歪みセンサーと、を備え、上記対象物の特定の方向の変形を検出する歪みセンサーモジュールであって、上記起歪板および対象物の固定部位と上記起歪板の一端部との間に上記歪みセンサーが配置されていることを特徴としている。
上記構成において、対象物が外力によって変形すると、該対象物の表面に取り付けられた起歪板が同様に撓み、これに応じて、歪みセンサーの出力信号が変化し、対象物の変形が検出される。
この際、上記起歪板は、対象物に対して固定部位にて固定されているため、対象物が起歪板へ向かって凸となる方向へ変形したときには、起歪板の上記一端部が対象物の表面から離れようとする。そのため、この方向で対象物の過大な変形があったとしても、歪みセンサーに過大な歪みや曲げ力が作用することがなく、歪みセンサーの損傷は生じない。
(1)請求項1〜7に記載の発明によれば、対象物の外力による変形を確実に検出することができる。そして、対象物が起歪板へ向かって凸となる方向へ大きく変形したとしても、歪みセンサーが損傷を来すことがなく、歪みセンサーを確実に保護することができる。
(2)請求項5に記載の発明によれば、起歪板に付与するプリロードを任意に調整することができる。
(2)請求項5に記載の発明によれば、起歪板に付与するプリロードを任意に調整することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。
本発明では、対象物が変形していない初期状態において起歪板にプリロードを与えるか否かによって、検出し得る対象物の変形方向が定まる。
本発明の第1の態様では、起歪板の上記一端部に、対象物に局部的に接する突起部を備えており、設定した固定部位で起歪板を対象物に固定したときに、上記突起部により起歪板にプリロードが与えられる。つまり、起歪板の一部が固定部位において対象物の表面に接した状態に固定されるのに対し、上記一端部が上記突起部によって持ち上げられた形となり、これにより起歪板にプリロードが与えられる。従って、このプリロードによる起歪板の初期歪みに対応した出力信号が初期状態(つまり対象物が変形していない状態)において得られる。
この場合、対象物が起歪板へ向かって凸となる方向へ変形したときに、突起部が相対的に対象物の表面から離れる方向へ移動することとなるので、上記プリロードひいては初期歪みが減少する。突起部が対象物の表面から完全に離れれば、起歪板の歪みは0となる。
従って、上記プリロードによる上記起歪板の初期歪みの減少に基づいて、上記対象物の変形を検出することができる。
また、上記突起部により起歪板にプリロードが与えられている状態で、対象物が起歪板とは反対側へ凸となる方向へ変形した場合、起歪板は対象物に追従して撓み、これに応じて歪みセンサーの出力信号が変化し、これによって対象物の変形が検出される。
本発明の第2の態様では、上記プリロードの付与量を調整するプリロード調整手段を備えた。これによってプリロードを任意に調整することができ、例えばプリロードを大きく設定することにより、歪みセンサーの計測可能範囲を広くとることができる。
本発明の第3の態様では、プリロードを特に与えることなく、初期状態で起歪板が対象物の表面に自然に接した状態となって用いられる。この場合、対象物が起歪板とは反対側へ凸となる方向に変形すると、これに追従して起歪板が撓み変形し、その歪みに応じた出力信号が得られる。これにより、対象物の変形が検出される。
上記起歪板としては、金属板や硬質合成樹脂板など適宜な材料からなるものを用いることができる。好ましい一つの例では、起歪板が弾性変形可能な回路基板から形成されている。つまり、歪みセンサーや必要な回路部品等を実装した回路基板そのものを起歪板とすることができ、歪みセンサーモジュールの簡素化が図れる。
図1は、この発明に係る歪みセンサーモジュールの第1の実施例を示している。この実施例における歪みセンサーモジュール1は、必要な配線を備えた回路基板からなる起歪板2と、この起歪板2の表面に接着やハンダ付け等により固定された歪みセンサー3と、1チップマイクロコンピュータを含む回路部4と、外部配線との接続を行うコネクター5等を備えている。
上記起歪板2を構成する回路基板は、例えば銅板の表面に印刷回路の層を備えたいわゆるメタルベース基板からなり、少なくとも歪みセンサー3による検出範囲の変位については弾性変形となるように、起歪板として必要な弾性を備えている。この起歪板2は、平面が長方形状で平坦な帯状に形成され、その長手方向の略中央部に、該起歪板2をドアパネル等の対象物21(図2参照)の表面に取り付けるための単一の取り付けネジ6が設けられている。
上記歪みセンサー3は、例えば特許文献2に開示されているように半導体基板に複数の拡散抵抗からなるホイートストンブリッジ回路を形成するとともに、増幅回路を同じ半導体基板上に形成した半導体型歪みセンサーからなり、例えば数mm角程度の1つのチップとして構成されている。この歪みセンサー3は、起歪板2の一端部2a側の部分の領域に配置されており、取り付けネジ6よりも一端部2aよりに位置している。なお、上記のような半導体型歪みセンサーは、特定の方向(一般には互いに直交する2方向)に沿った歪みに対し高い感度を有しているが、この歪み検出方向が上記起歪板2の長手方向の撓みに対応するように、歪みセンサー3が配置されている。なお、図示例はコネクター5を介して有線で歪みセンサーモジュール1が外部機器に接続されるが、ワイヤレス方式の給電ならびに出力信号の送受信を行うように構成することも可能である。
ここで、本実施例の歪みセンサーモジュール1は、初期状態で起歪板2にプリロードを与える構成となっており、そのために、起歪板2の一端部2aに、ネジ、リベットや樹脂モールド等からなる突起部材11が取り付けられている。この突起部材11は、起歪板2に設けた孔を貫通しているとともに、先端が起歪板2の裏面つまり取付面2c(図2,図3参照)から僅かに突出しており、該突出部位は突起部11a(図2,図3参照)を構成している。
取り付けネジ6、歪みセンサー3および突起部材11の三者は、起歪板2の長手方向の中心線に沿うように一列に並んで配置されており、図示例では、取り付けネジ6と突起部材11との間の略中央に歪みセンサー3が位置している。なお、起歪板2の裏面つまり取付面2cは、突起部11aと取り付けネジ6とを除いて、凹凸のない平面をなしている。
上記のように構成された歪みセンサーモジュール1は、図2に示すように、ドアパネル等の対象物21の平坦な表面21aに取り付けネジ6によって取り付けられる。なお、歪みセンサーモジュール1の取り付けネジ6を中心とする回転防止等のために、起歪板2のコネクター5寄りの部分を補助的に固定するようにしてもよい。
また、歪みセンサーモジュール1の起歪板2の長手方向両端部2a,2bに凹部を設け、対象物21の表面21aにおける、歪みセンサーモジュール1の取り付け部位に位置決め用として前記凹部と係合する凸部を設け、前記凹部と凸部を係合させて取り付けネジ6によるネジ止めを行なうようにしてもよい。
取り付けネジ6を締め付けることによって起歪板2の取付面2cは対象物21の表面21aに密接する。しかし、この実施例では、起歪板2の一端部2a寄りに突起部11aが存在するので、該突起部11aが対象物21の表面21aに接し、この結果、その付近の起歪板2の一端部2aは、図2に示すように、対象物21の表面21aから僅かに浮き上がる。これにより、起歪板2は初期状態において僅かに撓み、プリロードが与えられた状態となる。このとき、歪みセンサー3からは、このプリロードに対応した歪みの大きさを示す出力信号が得られる。
このような初期状態から対象物21が図2の矢印A方向に外力を受け、該対象物21が起歪板2へ向かって凸となる方向へ変形すると、図3に示すように突起部11aが対象物21の表面21aから離れようとし、プリロードによる起歪板2の撓みが減少していく。そして、最終的には、突起部11aが対象物21の表面21aから完全に離れ、起歪板2の撓みが実質的に0となって、歪みセンサー3からは、この歪み0を示す出力信号が得られる。
また、前記初期状態から対象物21が矢印B方向に外力を受け、該対象物21が起歪板2とは反対側へ向かって凸となる方向へ変形すると、図4に示すように起歪板2が対象物21に追従して撓み、その撓み量が増加する。これに伴って歪みセンサー3に圧縮方向の歪みが生じ、該歪みに対応した出力信号が得られる。
図5は、上記歪みセンサーモジュール1から得られる出力信号の特性を示している。図の縦軸は、対象物21に加わった荷重の大きさを示しており、荷重0よりも下側が上記の矢印A方向の荷重に相当し、荷重0よりも上側が逆方向つまり図2の矢印B方向の荷重に相当する。横軸は、起歪板2の歪みに対応する出力信号の大きさを模式的に示しており、ここでは、便宜上、伸び方向の歪みを受けると出力が大となり、これとは逆の圧縮方向の歪みを受けると出力が低下するものとして示しているが、これとは逆の特性とすることも可能である。図中のa点が初期状態(対象物21の荷重が0)の特性であり、前述したように、歪みセンサー3は、プリロードに対応した歪みの大きさの信号を出力する。b点は、対象物21の変形に伴って突起部11aが対象物21の表面21aから離れる瞬間に相当し、これよりも対象物21の変形が増加しても歪みセンサー3の出力信号は変化しない。換言すれば、このときの出力信号が、歪みセンサー3の歪み0に対応する。
図3は、対象物21が矢印A方向の外力によって大きく変形した状態を示しているが、このように対象物21が過大に変形しても、歪みセンサーモジュール1は取り付けネジ6の1点のみで対象物21に固定されていることから、起歪板2は何ら撓むことがない。従って、歪みセンサー3に過大な力が作用することはなく、歪みセンサー3の損傷が確実に回避される。
仮に、図7に例示するように起歪板2が歪みセンサー3の両側の2点で対象物21に固定されていたとすると、矢印A方向の過大な外力により対象物21が大きく変形したときに、起歪板2が同様に大きく撓むため、脆弱な歪みセンサー3が損傷(チップの破断や断線など)する。特に、図示する方向の対象物21の変形では、歪みセンサー3に曲げと引張方向の荷重が作用するため、より損傷を生じやすい。
また、前記初期状態から、対象物21が図4に示すようにB方向に外力を受けると、起歪板2が対象物21に追従して撓み、歪みセンサー3に圧縮方向の歪みが生じ、図5のa点からc点へ向かって出力信号が変化する。c点は歪みセンサー3に損傷が生じた時点を表し、このc点において出力信号が0近傍の一定範囲内となる。
従って、この実施例では、対象物21に作用する荷重として、図5に示すL1の範囲(b点〜c点の範囲に対応する)が計測可能範囲となる。
図6は、対象物21の変形と歪みセンサー3の損傷との識別について説明するものであり、歪みセンサー3の出力レベルがステップ的に変化したときに、(a)のようにセンサー出力があるレベルに留まっていれば、対象物21の変形であると判断することができる。これに対し、(b)のようにセンサー出力が0付近まで低下した場合には、歪みセンサー3の損傷ないし断線等の異常であると判断することができる。なお、図5の例では、対象物21の変形に伴ってa点からb点へとセンサー出力が高くなるが、図6(a)では、理解を容易にするために、センサー出力が対象物21の変形に伴って低くなるように描いてある。
尚、前記歪みセンサー3および取り付けネジ6の間の距離と、歪みセンサー3および突起部11aの間の距離は、同一でも良いし異なる距離であっても良い。すなわち、対象物21の変形および起歪板2の変形を考慮して前記距離を設定することにより、歪みセンサー3の感度を任意に調整することができる。
以上のように、上記実施例では、ドアパネル等の対象物21が外力によって変形(起歪板2へ向かって凸となる方向と、起歪板2とは反対側へ向かって凸となる方向へ変形)したことを歪みセンサー3によって確実に検出することができる。特に、防犯用途で多用される振動センサーと異なり、徐々に外力を加えて対象物21を変形させていったような場合でも、確実な検出が可能である。また歪みセンサーモジュール1としてモジュール化したものを対象物21の適当な位置に取り付ければよいので、極めて容易に適用できる。そして、対象物21が外力によって過度に変形したような場合でも、歪みセンサー3の損傷を確実に回避することができる。
次に、1つの突起部材により前記プリロードの付与量を調整する手段を設けた第2の実施例を図8とともに説明する。図8において、図1〜図4と同一部分は同一符号をもって示している。
本実施例の歪みセンサーモジュール30では、円筒形状の突起部材31の表面にネジ切り加工を施すことによって雄ネジ部を形成し、起歪板2を貫通させた孔の内表面にネジ切り加工を施すことによって雌ネジ部を形成し、それら雄ネジ部と雌ネジ部を螺着してプリロード調整手段を構成している。この突起部材31以外の部分は前記第1の実施例の歪みセンサーモジュール1と同一に構成されている。
このように構成された突起部材31は、突起部材31本体を回転させることで、起歪板2の取付面2cからの、突起部31aの突出高さを変更することができ、これによって突起部31aが接する対象物21の表面21aと、突起部材31が存在する部位の取付面2cとの間の距離(高さ)を変更することが可能となる。
このため取付面2cからの突起部31aの突出高さを比較的低くとることにより、突起部材31の存在部位における起歪板2の取付面2cと対象物21の表面21aとの間の高さは、図8(a)に示すh1のように比較的低く設定され、起歪板2に対するプリロード付与量は比較的小さく設定される。
また、取付面2cからの突起部31aの突出高さを比較的高くとることにより、突起部材31の存在部位における起歪板2の取付面2cと対象物21の表面21aとの間の高さは、図8(b)に示すh2のように比較的高く設定され、起歪板2に対するプリロード付与量は比較的大きく設定される。
このように、起歪板2に対するプリロード付与量を任意に調整することができ、これによって図5に示す計測可能範囲L1(a点〜c点、a点〜b点の範囲)を任意に変更することができる。またプリロード付与量を大きく設定することにより、歪み量の測定可能範囲が広くなる。
次に、介在部材により前記プリロードの付与量を調整する手段を設けた第3の実施例を図9とともに説明する。図9において図1〜図4と同一部分は同一符号をもって示している。
本実施例の歪みセンサーモジュール40では、起歪板2と対象物21の間の取り付けネジ6の外周に、設定された厚みを有するワッシャ42(介在部材)を介在させることで、取付面2cから所定高さに突出し、且つ図2の突起部材11と同様に起歪板2の一端部2aに取り付けた突起部材41の突起部41aが接する対象物21の表面21aと、起歪板2の取付面2cとの間の高さを変更するように構成した。
このワッシャ42を介在させること以外は前記第1の実施例の歪みセンサーモジュール1と同一に構成されている。
図9(a)は歪みセンサーモジュール40にワッシャを設けていない場合を示し、この場合は、突起部材41の存在部位における起歪板2の取付面2cと対象物21の表面21aとの間の高さh3は、突起部材41の取付面2cからの突出高さのみで決定され、比較的高く設定される。このため起歪板2に対するプリロード付与量は比較的大きく設定される。
また図9(b)のように所定厚みを有したワッシャ42を設けた場合、突起部材41の存在部位における起歪板2の取付面2cと対象物21の表面21aとの間の高さは、突起部材41の取付面2cからの突出高さからワッシャ42の厚みを差し引いた高さh4となり、図9(a)の高さh3よりも低く設定される。このため起歪板2に対するプリロード付与量は比較的小さく設定される。
このように、突起部材41の取付面2cからの突出高さと、ワッシャ42の厚みとを任意に設定することにより、起歪板2に対するプリロード付与量を任意に調整することができる。
次に、2つの突起部材により前記プリロードの付与量を調整する手段を設けた第4の実施例を図10とともに説明する。図10において図1〜図4と同一部分は同一符号をもって示している。
本実施例の歪みセンサーモジュール50では、前記第1の実施例の歪みセンサーモジュール1の突起部材11と同様の突起部材を、起歪板2の一端部2a側のみならず他端部2b側にも設けた。
すなわち、起歪板2の一端部2a側には取付面2cから所定高さに突出させた突起部51aaを有する突起部材51aを図2の突起部材11と同様に取り付け、起歪板2の他端部2b側には取付面2cから所定高さに突出させた突起部51baを有する突起部材51bを図2の突起部材11と同様に取り付けた。これら突起部材51a,51b以外は前記第1の実施例の歪みセンサーモジュール1と同一に構成されている。
図10の構成において、取り付けネジ6を締め付けることによって突起部51aa,51baが対象物21の表面21aに各々接し、起歪板2の一端部2aおよび他端部2bが対象物21の表面21aから僅かに浮き上がる。
これによって、起歪板2は初期状態において一端部2a側、他端部2b側がともに僅かに撓み、これら両者の撓みに基づくプリロードが与えられた状態となる。したがって、突起部材51a,51bの取付面2cからの突出高さを各々任意に選定して起歪板2の撓み量を設定することにより、起歪板2に対するプリロード付与量を任意に調整することができる。
次に、2つの突起部材を用いた第5の実施例を図11、図12とともに説明する。図11、図12において図1〜図4、図9、図10と同一部分は同一符号をもって示している。図11は本実施例の歪みセンサーモジュール60の表面を示し、図12は裏面を示している。
起歪板2の一端部2a側には取付面2cから所定高さに突出させた突起部61aaを有する突起部材61aが図10の突起部材51aと同様に取り付けられ、起歪板2の他端部2b側には取付面2cから所定高さに突出させた突起部61baを有する突起部材61bが図10の突起部材51bと同様に取り付けられている。
起歪板2の取付面2c側の取り付けネジ6の外周には、図9(b)のワッシャ42と同様の、所定厚みを有したワッシャ62が設けられている。起歪板2の一端部2aの略中央部位には対象物21への取り付け時の位置きめ指標となる切り欠き部2aaが形成されている。
上記起歪板2の他端部2b側に設けた突起部材61bは、図10の突起部材51bと同様に、突起部61baを対象物21の表面21aに当接させて用いる場合は、突起部材61aとともに起歪板2に対するプリロード付与量調整手段として作用する。
このため、本実施例では、突起部61aa,61baの突出高さおよびワッシャ62の厚みを任意に決定することによって起歪板2に対するプリロード付与量を調整することができる。
また、突起部材61bは図4の矢印Bに示す方向に対象物が反った場合の追従性が良好である。
ワッシャ62は例えば規格品の歪みセンサーモジュールに感度、出力調整を行なう場合に使用可能であるが、ワッシャ62を設けない構成としても良い。
またこれに限らず、突起部61baと対向する対象物21の部位に凹部を設けて、該凹部に突起部61baを嵌合させるように構成すれば、突起部材61bは上記プリロード付与量調整用としてではなく取り付けネジ6を中心とする起歪板2の回り止め用として作用する。
また、対象物21の切り欠き部2aaと対向する部位にピンなどの凸部を設けておき、起歪板2を対象物21に取り付ける際に、該凸部を切り欠き部2aaに当接させることによって、起歪板2の回り止め用として作用する。
次に、取り付けネジを2本用いた第6の実施例を図13、図14とともに説明する。図13、図14において図11、図12と同一部分は同一符号をもって示している。
図13は本実施例の表面の斜視図を示し、図14は裏面の斜視図を示している。図13、図14において図11、図12と異なる点は、2本の取り付けネジ6a,6bを、歪みセンサー3の長手方向中心線から起歪板2の短辺方向(2a,2b方向)に所定距離隔てて線対称に設け、起歪板2の取付面2cにおいて取り付けネジ6a,6bの外周部位にワッシャ62a,62bを設けた点にあり、その他の部分は図11、図12と同一に構成されている。
本実施例によれば、2本の取り付けネジ6a,6bにより起歪板2を対象物21に取り付けるので、起歪板2の回転を防ぐことができる。
また、取り付けネジ6a,6bは歪みセンサー3の長手方向中心線に対して線対称に設けられているので、歪みセンサー3の特性を変化させることは無い。
次に、この発明の第7の実施例を図15〜図19とともに説明する。この実施例は、初期状態でプリロードを与えることなく用いるようにしたものであって、歪みセンサーモジュール80は、図15に示すように、起歪板2の一端部2aおよび他端部2bに突起部材を備えていない。この相違点以外は、基本的に前述した第1の実施例の歪みセンサーモジュール1と同一の構成を有している。起歪板2の裏面つまり取付面2cは、取り付けネジ6を除いて、凹凸のない平面をなしている。
上記の歪みセンサーモジュール80は、中央の取付ネジ6によって対象物21の表面21aに取り付けられる。この第7の実施例では、前述した突起部(11a)を具備しないことから、図16に示すように、起歪板2の取付面2cの全体が対象物21の表面21aに密接し、起歪板2は撓んでいない状態となる。つまり初期状態では、歪みセンサー3の歪みは実質的に0であり、図19のd点で示すような歪み0に対応した出力信号が得られる。尚、図15は前記図5と同様に、歪みセンサーモジュール80から得られる出力信号の特性を示している。
図17は、対象物21が図12の矢印B方向に外力を受けて、該対象物21が起歪板2とは反対側へ向かって凸となるように変形した状態を示している。この方向の対象物21の変形においては、取り付けネジ6によって対象物21に固定されている起歪板2が対象物21に追従して撓み、歪みセンサー3に圧縮方向の歪みが生じる。これにより、図19のd点からe点へ向かって出力信号が変化する。なお、対象物21が上記の方向に過度に大きく変形すると、歪みセンサー3の損傷が生じ得る。図19の特性例では、e点において歪みセンサー3の損傷が生じ、出力信号が0近傍の一定範囲となる。
一方、図18は、図17とは反対方向つまり図16の矢印A方向の外力が対象物21に作用し、該対象物21が起歪板2へ向かって凸となる方向へ変形したときの状態を示している。この方向への対象物21の変形においては、図示するように対象物21の表面21aが起歪板2の取付面2cから離れるため、起歪板2の撓みは生じない。そのため、前述した実施例と同様に、この方向へ対象物21が過度に変形したとしても、歪みセンサー3の損傷が生じることがない。なお、この図18の方向の変形は、この第7の実施例の歪みセンサーモジュール80では検出できない。従って、この第7の実施例では、対象物21に作用する荷重として、図19に示すL2の範囲(d点〜e点の範囲に対応する)が計測可能範囲となる。
このように、上述した第7の実施例と第1〜第6の実施例は、対象物21に対して同一の面に取り付けるものと仮定すれば、それぞれ逆方向の変形を検出することができる。実際の適用に際しては、用途や適用箇所等に応じて、2つの異なる形式の歪みセンサーモジュール1(又は30又は40又は50又は60又は70)と80を組み合わせて用いたり、同じ対象物21の両側に配置することも可能である。なお、第1〜第6の実施例の歪みセンサーモジュール1,30,40,50,60,70と第7の実施例の歪みセンサーモジュール80とは突起部材の有無が異なるので、起歪板2そのものを、その他の部品と同様に両者に共通なものとすることもでき、また、プリロードの付与量を変え、図5に示す範囲(a点〜c点、a点〜b点、の範囲)を変えて、矢印A方向および矢印B方向の外力を1つのひずみセンサーモジュールで検出することもでき、その検出態様を選択するようにすることもできる。
次に、この発明の第8の実施例を図20、図21とともに説明する。図20、図21において図11、図12と同一部分は同一符号をもって示している。図20、図21では、図11、図12における起歪板2の一端部2a側に突起部材61aを設けない構成としたものであり、その他の部分は図11、図12と同一に構成されている。
本実施例における起歪板2の他端部2b側の突起部材61bは、これと対向する対象物21の部位に設けた凹部に突起部材61bを嵌合させて使用するように構成した場合は、起歪板2に対するプリロードは付与しない。このため本実施例の動作は前記第7の実施例(図15〜図19)と同様であるが、ワッシャ62の作用のみが異なる。
すなわち、ワッシャ62は、起歪板2を対象物21に取り付けた際には、ワッシャ62の厚みの分だけ起歪板2と対象物21の表面21aの間に隙間が生じた状態となり、微小な変形に対しては歪みセンサー3の出力は変化せず、ある程度以上の変形が生じてから歪みセンサー3の出力が変化する、というように歪みセンサー3の出力調整用として作用する。
また、図10の突起部材51bと同様に、突起部61baを対象物21の表面21aに当接させて使用し、起歪板2に対してプリロードを付与するように構成しても良い。
この場合は、突起部61baの突出高さとワッシャ62の厚み(ワッシャ62を用いない場合は突起部61baの突出高さのみ)によって起歪板2に対するプリロード付与量を調整することができる。
以上、この発明の実施例を説明したが、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、ネジやリベット等からなる突起部材(11)を用いているが、接着あるいはハンダ付け等によって起歪板2の取付面2cに突起部を形成してもよく、あるいは、起歪板2そのものの一部に段部を形成して突起部とすることもできる。また、起歪板2として回路基板とは別に適宜な材質の板状部材を用い、これに回路基板を固定するようにしてもよい。
また、対象物(21)と起歪板(2)は取り付けネジにより固定するに限らず、貼り付け、接着などにより対象物と起歪板を面で固定するようにしてもよい。その際、対象物の変形および起歪板の変形を考慮して対象物と起歪板の固定面積を設定することにより、歪みセンサーの感度を任意に調整することができる。
なお、この発明の歪みセンサーモジュールは、建物のドアや窓、自動販売機等のドアや外装パネル、等におけるセキュリティ用途に適しているが、その他、種々の部材の何らかの原因による変形を検出する用途に広く適用することができる。
1,30,40,50,60,70,80,90…歪みセンサーモジュール
2…起歪板
3…歪みセンサー
4…回路部
5…コネクター
6,6a,6b…取り付けネジ
11,31,41,51a,51b,61a,61b…突起部材
11a,31a,41a,51aa,51ba,61aa,61ba…突起部
42,62,62a,62b…ワッシャ
2…起歪板
3…歪みセンサー
4…回路部
5…コネクター
6,6a,6b…取り付けネジ
11,31,41,51a,51b,61a,61b…突起部材
11a,31a,41a,51aa,51ba,61aa,61ba…突起部
42,62,62a,62b…ワッシャ
Claims (7)
- 対象物の表面に取り付けられ、設定した固定部位で固定される起歪板と、この起歪板の歪みに応答するように該起歪板に支持された歪みセンサーと、を備え、上記対象物の特定の方向の変形を検出する歪みセンサーモジュールであって、
上記起歪板および対象物の固定部位と上記起歪板の一端部との間に上記歪みセンサーが配置されていることを特徴とする歪みセンサーモジュール。 - 上記起歪板の一端部に、上記対象物に局部的に接する突起部を備え、上記固定部位で固定したときに上記突起部により上記起歪板にプリロードが与えられることを特徴とする請求項1に記載の歪みセンサーモジュール。
- 上記プリロードによる上記起歪板の初期歪みの減少に基づいて、上記対象物の変形を検出することを特徴とする請求項2に記載の歪みセンサーモジュール。
- 上記対象物が上記起歪板側へ凸となる方向と上記起歪板とは反対側へ凸となる方向への上記対象物の変形を検出することを特徴とする請求項2又は3に記載の歪みセンサーモジュール。
- 上記プリロードの付与量を調整するプリロード調整手段を備えたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の歪みセンサーモジュール。
- 上記対象物が上記起歪板とは反対側へ凸となる方向への上記対象物の変形を検出することを特徴とする請求項1に記載の歪みセンサーモジュール。
- 上記起歪板が、弾性変形可能な回路基板から形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の歪みセンサーモジュール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012188241A JP2014044181A (ja) | 2012-08-29 | 2012-08-29 | 歪みセンサーモジュール |
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