JP2014043859A - 点火装置 - Google Patents

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友則 漆原
Wataru Shionoya
亘 塩野谷
Ryuta Kono
隆太 河野
Yuji Watanabe
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Abstract

【課題】供給電力を低減することができると共に、ランニングコスト等のコストの低廉化を図ることができ、しかも、出力効率を高めることができ、さらに、アーク放電を効率よく維持させることができると共に、電極の消耗を抑制することができ、耐久性を向上させることができる点火装置を提供する。
【解決手段】接地電位とは絶縁体によって絶縁された中心電極と、接地電極と、中心電極と接地電極との間にパルス電圧を複数回印加し、放電を発生させる電源と、を有する点火装置において、電源の発生する各回の電流波形が、略三角形の前半部分106と、それに引き続く、前半部分106とは極性が逆転した後半部分108と、電流が概ね流れない電流停止部分110と、を有する。
【選択図】図10

Description

本発明は、車両用エンジン等に使用される点火装置に関する。
例えば車両用エンジンにおける点火装置は、特許文献1に記載されているように、碍子の貫通孔に挿入保持された中心電極と、碍子を取り囲む金属製ハウジングに取り付けた接地電極とを備え、前記中心電極と前記接地電極とをギャップを隔てて対向配置してある。そして、エンジンコントロールユニットからの点火信号により電源(パルス電源)から高電圧パルスを出力させ、該高電圧パルスを中心電極と接地電極との間に印加することによって、電極間に火花放電を発生させ、燃焼室内の混合気に着火するようにしている。
特開2002−313523号公報
しかしながら、従来の点火装置では、アーク放電が生じた後も、アーク放電を維持させるために、高電圧のパルスを短い周期で連続的に供給する必要があり、高電圧のパルスの供給電力が大きくなるという問題がある。これは、ランニングコストの高価格化につながり、コスト的にも不利である。また、高電圧のパルスを短い周期で連続的に供給することで、電極の消耗が増大するため、寿命が短くなる。すなわち、従来の点火装置は、耐久性の面でも改善が必要であった。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、供給電力を低減することができると共に、ランニングコスト等のコストの低廉化を図ることができ、しかも、出力効率を高めることができ、さらに、アーク放電を効率よく維持させることができると共に、電極の消耗を抑制することができ、耐久性を向上させることができる点火装置を提供することを目的とする。
[1] 本発明に係る点火装置は、絶縁体によって絶縁された中心電極と、接地電極と、前記中心電極と前記接地電極との間にパルス電圧を複数回印加し、放電を発生させる電源と、を有する点火装置において、前記電源の発生する各回の電流波形が、略三角形の前半部分と、それに引き続く、前記前半部分とは極性が逆転した後半部分と、電流が概ね流れない電流停止部分と、を有することを特徴とする。
[2] 本発明において、前記電源は、第1区間に、前記中心電極と前記接地電極間において放電破壊を促進させるための高エネルギーの1以上の第1パルス電圧を前記中心電極と前記接地電極間に印加し、前記中心電極と前記接地電極間に放電破壊が実現した後の第2区間に、前記第1パルス電圧よりも低エネルギーの2以上の第2パルス電圧を印加して、前記電極間での放電破壊を維持させ、前記電流波形は、前記第2区間において前記第2パルス電圧と同期してもよい。
[3] 本発明において、前記前半部分は、電流がランプ状に減衰する部分を有してもよい。
[4] 本発明において、前記電流波形のピーク値が0.5A以上2.0A以下であってもよい。
[5] 本発明において、前記電流波形の周期が2.5μsec以上1000μsec以下であってもよい。
[6] 本発明において、前記電流波形の周期に占める前記前半部分と前記後半部分の合計の時間的長さの割合が5/10以上8/10以下であってもよい。
[7] 本発明において、前記前半部分の電荷量をQ1、前記後半部分の電荷量をQ2としたとき、
0.7Q1≦Q2≦1.5Q1
であってもよい。
[8] 本発明において、前記電流波形の周期に占める前記電流停止部分の時間的長さの割合が2/10以上5/10以下であってもよい。
[9] 本発明において、前記絶縁体の表面に接して前記中心電極と前記接地電極とが離間して設置され、前記絶縁体の表面を介して沿面放電を行ってもよい。
[10] 本発明において、前記中心電極と前記接地電極とが空間を介して対向して配置され、前記中心電極と前記接地電極との間で火花放電を行ってもよい。
本発明に係る点火装置によれば、供給電力を低減することができると共に、ランニングコスト等のコストの低廉化を図ることができ、しかも、出力効率を高めることができる。さらに、アーク放電を効率よく維持させることができると共に、電極の消耗を抑制することができ、耐久性を向上させることができる。
図1は、本実施の形態に係る点火装置が使用されるエンジンの主要部を示す構成図である。 沿面放電型の点火プラグの一例を一部省略して示す断面図である。 沿面放電型の点火プラグの一例を一部省略して示す斜視図である。 火花放電型の点火プラグを示す側面図である。 パルス電源の一例を示すブロック図である。 パルス電源の一具体例を示すブロック図である。 パルス発生回路の動作を示すタイムチャートである。 インダクタンス変更部による制御の一例を示す説明図である。 本実施の形態に係る点火装置の処理動作を示すタイムチャートである。 放電破壊が実現した後の第2区間に出力される第2パルスの電流波形を示す拡大図である。 変形例に係るパルス電源の一具体例を示すブロック図である。
以下、本発明に係る点火装置の実施の形態例を図1〜図11を参照しながら説明する。
先ず、本実施の形態に係る点火装置が使用されるエンジンの主要部について図1を参照しながら説明する。
エンジン1000は、例えば図1に示すように、吸気管1002、吸気バルブ1004、燃焼室1006、排気管1008、排気バルブ1010、シリンダ1012、ピストン1014及び本実施の形態に係る点火装置10を有する。点火装置10は、点火プラグ12と、パルス電源14とを有する。
点火プラグ12は、碍子16(絶縁体)と、接地電位とは碍子16によって絶縁された中心電極18と、主体金具20とを有し、碍子16の表面を介して沿面放電を行う。主体金具20は接地電極21として機能する。
碍子16は、図2及び図3に示すように、例えば円錐台形状の突出構造物22と例えば円筒状の絶縁構造物24(中心電極18と主体金具20とを電気的に絶縁するための構造物)とを備える。突出構造物22の表面は、絶縁体露出面26を構成する。
中心電極18は、先端に設けられたキャップ28と該キャップ28から碍子16を貫通する棒形状体30とを備える。キャップ28の表面、特に、碍子16の突出構造物22と対向する面と側周面は、第1導電体露出面32を構成し、沿面放電の始点又は終点となる。
中心電極18は、碍子16により、主体金具20から電気的に絶縁され、主体金具20の中心軸34に沿って機械的に固定される。
棒形状体30は、例えば丸棒形状を有する。棒形状体30は、碍子16に埋設され、中心軸34の方向に延在する。棒形状体30は、少なくとも突出構造物22の根元36(図2において破線で示す)から先端38までの区間の内部に埋設される。これにより、主体金具20と棒形状体30とが突出構造物22により隔てられ、沿面放電の放電経路が存在する空間に誘電体バリア放電が発生する。棒形状体30は、絶縁構造物24の内部にも至る。
特に、上述した碍子16の突出構造物22は、根元36から先端38へ向かって径が細くなる先細り形状(テーパー形状)を持つ。これにより、先端38側において棒形状体30を被覆する絶縁体が薄くなり、誘電体バリア放電が促進され、沿面放電が発生しやすくなる。また、主体金具20の開口に近づく根元36側において棒形状体30を被覆する絶縁体が厚くなり、棒形状体30の絶縁が容易になる。
キャップ28は、碍子16の外部に露出し、突出構造物22の先端38に配置される。キャップ28の先端側は、丸められる。これにより、キャップ28の先端側の磨耗が抑制される。キャップ28の根元から突出構造物22の絶縁体露出面26に沿って延びるつば(peak)40が設けられている。これにより、キャップ28の根元部分に末広がりの収容空間が形成される。収容空間には、突出構造物22の先端38が収容され、これにより、キャップ28が突出構造物22に固定される。
主体金具20は、例えば円筒形状を有し、碍子16の絶縁構造物24を収容する中空部42を有する。主体金具20の表面、特に、碍子16の突出構造物22と対向する面及び先端面は第2導電体露出面44を構成し、沿面放電の始点又は終点となる。
なお、突出構造物22の径が一定である場合、又は、突出構造物22が根元36から先端38へ向かって径が太くなる先太り形状(逆テーパー形状)を持つ場合であっても、プラズマを大きく広げるという点火プラグ12の効用は完全には失われない。
絶縁構造物24は、主体金具20の中空部42内に固定されることで、碍子16が主体金具20に対して固定される。突出構造物22が主体金具20の開口から突出する状態で保持される。なお、突出構造物22と絶縁構造物24とは一体物でなく、それぞれ別体でもよい。
碍子16を構成する絶縁体としては、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスが採用されてもよいし、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂等の樹脂が採用されてもよい。碍子16の材質は、望ましくは比誘電率が10以上の絶縁体から選択される。これにより、誘電体バリア放電が促進され、沿面放電が発生しやすくなる。
主体金具20及び中心電極18を構成する導電体としては、白金等の金属が採用されてもよいし、ステンレス鋼、ニッケル合金等の合金が採用されてもよいし、導電性セラミックスが採用されてもよい。
そして、点火プラグ12は、図1に示すように、その先端部分が燃焼室1006内に露出させて設置される。図1の例では、燃焼室1006のうち、ピストン1014の略軸線上の位置に点火プラグ12を設置した例を示す。
パルス電源14は、点火プラグ12の中心電極18と主体金具20(接地電極21)との間にパルス電圧を複数回印加し、放電を発生させる。パルス電源14の負極と点火プラグ12の接地電極21とがそれぞれ接地され、パルス電源14の正極と点火プラグ12の中心電極18とがケーブル等を介して電気的に接続される。
ここで、エンジン1000の動作を簡単に説明すると、先ず、吸気バルブ1004が開いて、ピストン1014が燃焼室1006から遠ざかる方向に移動することによって、燃焼室1006内に燃料(混合気)が導入される。このとき、燃焼室1006内では混合気の導入に伴って、混合気の流動(ガス流動)が発生する。その後、ピストン1014が下死点まで移動した段階で吸気バルブ1004を閉じる。この状態でも慣性によってガス流動が生じている。その後、ピストン1014が燃焼室1006に向かって移動することで、燃焼室1006の圧力が高められる。この状態でも慣性によってガス流動が生じている。このとき、パルス電源14において発生したパルス電圧が、点火プラグ12の中心電極18と接地電極21との間に印加される。パルス電圧が点火プラグ12の中心電極18と接地電極21との間に印加されると、突出構造物22の絶縁体露出面26に沿う沿面放電(アーク放電)が発生する。この沿面放電により、プラズマが生成する。プラズマの生成と同時に又はプラズマの生成の後に火炎が誘発され、燃焼室1006内の混合気への点火が行われ、混合気の流動(ガス流動)に沿ってアーク放電による火炎が進展、広がることとなる。混合気が燃焼すると、図示しないが、発生した排気ガスが排気バルブ1010及び排気管1008を介して外部へと排出されると共に、混合気が燃焼室1006内に再び導入されることになる。
沿面放電による点火は、沿面放電以外の放電による点火と比較して、放電開始電圧が低くなる。そのため、中心電極18を被覆する絶縁体を薄くでき、点火プラグ12の径を細くすることができる。また、碍子16のくすぶり(carbon deposit)(混合気の燃焼によって碍子16の表面に付着した炭素)を、沿面放電により焼き払うことができる。これにより、くすぶりによる失火等を防止することができる。
突出構造物22は、根元36から先端38に向かって中心軸34に沿って延在する。中心電極18の中心軸34は、まっすぐに延在するが、若干曲がってもよい。
点火プラグ12を燃焼室1006に取り付ける場合、突出構造物22の絶縁体露出面26、主体金具20の第2導電体露出面44及びキャップ28の第1導電体露出面32を、外部空間の燃焼室1006に露出させる。これにより、突出構造物22の絶縁体露出面26に沿う沿面放電が発生した場合に、沿面放電により、燃焼室1006にプラズマが生成し、燃焼室1006を満たす混合気への点火が行われる。
突出構造物22の絶縁体露出面26は、根元36側の境界46から先端38側の境界48まで連続する。これにより、根元36側の境界46と先端38側の境界48とを結び突出構造物22の絶縁体露出面26に沿う沿面放電の経路が形成される。沿面放電の放電開始電圧は低い。従って、沿面放電の経路が形成された場合は、放電開始電圧が低くなり、放電距離が長くなる。放電距離が長くなった場合は、プラズマが大きく広がる。これにより、希薄燃焼が行われる場合等の難燃焼条件であっても混合気に安定して点火することができる。
突出構造物22の絶縁体露出面26と主体金具20の第2導電体露出面44とは、根元36側の境界46において接し、且つ、円周状の根元36側の境界46を挟んで連続する。これにより、主体金具20の第2導電体露出面44を始点又は終点とする放電が突出構造物22の絶縁体露出面26に沿って伸展する。
突出構造物22の絶縁体露出面26及びキャップ28の第1導電体露出面32は、先端38側の境界48において接し、且つ、円周状の先端38側の境界48を挟んで連続する。これにより、キャップ28の第1導電体露出面32を始点又は終点とする放電が突出構造物22の絶縁体露出面26に沿って伸展する。
根元36側の境界46と先端38側の境界48とは、中心軸34の方向に離間している。また、突出構造物22の最大径Dは、望ましくは、根元36側の境界46から先端38側の境界48までの中心軸34方向の最短距離Lより小さい。これにより、点火プラグ12の径が細くなり、点火プラグ12が占有する体積が減少する。但し、最大径Dが最短距離Lより細くない場合もプラズマを大きく広げるという点火プラグ12の効用は完全には失われない。突出構造物22の最大径Dは、中心軸34に垂直な径方向の突出構造物22の寸法の最大値である。突出構造物22の最大径Dが細くなることは、中心電極18の絶縁性を若干低下させる。しかし、点火プラグ12においては、沿面放電の利用により放電開始電圧が低下しているので、中心電極18の絶縁性が若干低下しても大きな問題は生じない。
点火プラグ12が占有する体積が減少することは、燃焼室1006に2個以上の点火プラグ12を取り付けることを容易にし、混合気への多点点火を容易にする。多点点火によれば、希薄燃焼が行われる場合等の難燃焼条件であっても混合気に安定して点火することができる。
点火プラグ12としては、上述した沿面放電型の点火プラグのほか、火花放電型の点火プラグ12aを用いてもよい。
火花放電型の点火プラグ12aは、図4に示すように、高電圧パルスが印加され、接地電位とは碍子16によって絶縁された概ね棒状の中心電極18と、該中心電極18の概ね延長上に放電ギャップ50(空間)を介して配置された接地電極21と、接地電極21が接続される主体金具20とを有する。すなわち、点火プラグ12aは、棒状の中心電極18と、該中心電極18を覆う筒状の碍子16と、該碍子16を保持する金属製の筒状の主体金具20と、該主体金具20に取付けた接地電極21と、中心電極18の後端部に電気的に接続した端子部52とを有する。主体金具20に接続された接地電極21は途中から屈曲し、その先端部21aが中心電極18の先端と対向するように延在している。
この場合も、パルス電圧が点火プラグ12aの中心電極18と接地電極21との間に印加されると、中心電極18と接地電極21間において火花放電(アーク放電)が発生し、このアーク放電により、プラズマが生成する。プラズマの生成と同時に又はプラズマの生成の後に火炎が誘発され、燃焼室1006内の混合気への点火が行われ、混合気の流動(ガス流動)に沿ってアーク放電による火炎が進展、広がることとなる。
そして、本実施の形態に係る点火装置10のパルス電源14は、図5に示すように、中心電極18と接地電極21間にパルス電圧を印加するパルス生成部54と、中心電極18と接地電極21間に放電を発生させるようにパルス生成部54を制御するパルス制御部56とを有する。
パルス生成部54は、例えば図6に示すようなパルス発生回路58を有する。このパルス発生回路58は、直流電源部60の両端に直列接続されたトランス62、SIサイリスタ64及びスイッチング素子66を有する。トランス62の一次巻線68における一方の第1端子68aに直流電源部60の正極が接続され、トランス62の一次巻線68における他方の第1端子68bにSIサイリスタ64のアノードが接続されている。また、SIサイリスタ64のゲートと一次巻線68の一方の第1端子68a間には、ダイオード70と抵抗72が並列に接続されている。なお、ダイオード70は、カソードが一次巻線68の一方の第1端子68aに接続され、アノードがSIサイリスタ64のゲートに接続されている。
スイッチング素子66は、例えばMOSFETやIGBT等によって構成され、そのゲート電極に入力端子74が接続され、この入力端子74にパルス制御部56からの制御信号(オン信号Son/オフ信号Soff)が供給されるようになっている。
また、トランス62の二次巻線76の一方の第2端子76aに接地電極21(主体金具20)が接続され、二次巻線76の他方の第2端子76bに中心電極18が接続されている。さらに、例えば二次巻線76の他方の第2端子76bと中心電極18との間にコンデンサ78が接続されている。
ここで、パルス発生回路58での回路動作を図7も参照しながら説明する。
先ず、図7のサイクル1の開始時点taにおいて、パルス制御部56からパルス発生回路58の入力端子74に対してオンを示す制御信号(オン信号Son:例えば高レベル信号)が供給されると、スイッチング素子66がオンとなり、これにより、SIサイリスタ64はターンオンを経てオンとなる。SIサイリスタ64がオンとなることによって、トランス62に直流電源部60の電圧Eと略同じ電圧が印加され、トランス62の一次インダクタンスをL1としたとき、トランス62の一次巻線68に流れる電流I1は勾配(E/L1)で時間の経過に伴って直線状に増加し、トランス62への誘導エネルギーの蓄積が行われる。
その後、一次側の電流I1の値が予め決められたピーク値(波高値)Ip1となった時点tbにおいて、パルス制御部56からパルス発生回路58の入力端子74に対してオフを示す制御信号(オフ信号Soff:例えば低レベル信号)が供給されると、スイッチング素子66がオフとなり、これにより、SIサイリスタ64はターンオフを経てオフとなる。SIサイリスタ64がターンオフとなることによって、中心電極18及び接地電極21間への高電圧パルスPの供給が開始される。ここで、直流電源部60の電圧をE、スイッチング素子66がオンとなっている期間(オン期間)をTon、トランス62の一次インダクタンスをL1としたとき、ピーク値Ip1は、
Ip1=E×Ton/L1
となる。
そして、SIサイリスタ64がオフになることによってトランス62にパルス状の誘導起電力Vp1が発生し、これに伴って、二次側の電流I2が急激に流れ、中心電極18及び接地電極21間には誘導起電力に応じたパルス状の高電圧Vp2(高電圧パルスP)が印加されることになる。
その後、高電圧Vp2のピークの時点を過ぎると、燃焼室1006においてエネルギーが消費されることから、二次側の電流I2は徐々に減衰し、予め決められたオフ期間Toff(スイッチング素子66をオフにする期間)が経過する前の時点で基準レベル(0(A))になる。従って、時点tbから基準レベルに到達する時点までの時間が電流の導通時間Tiとなる。
オフ期間Toffが経過した時点でサイクル2が開始され、上述したサイクル1と同様の動作が繰り返される。
次に、パルス制御部56について説明する。パルス制御部56は、図6に示すように、パルス発生回路58のスイッチング素子66にオン信号Son及びオフ信号Soffを供給するスイッチング制御部80と、第1制御部82と、第2制御部84と、第1時間計測部86と、制御切替部88とを有する。
第1制御部82は、放電処理の各サイクル(図7のサイクル1、サイクル2とは異なる)における第1区間T1(図9参照)において、高エネルギーの1以上の第1パルスP1(第1パルス電圧)を中心電極18及び接地電極21間に印加して、該中心電極18及び接地電極21間での放電破壊を促進させるように制御する。
この第1制御部82は、第1区間T1において、スイッチング素子66をオンさせるオンタイミング信号So1を生成する第1オンタイミング生成部90と、第1区間T1において、スイッチング素子66をオフさせるオフタイミング信号Sf1を生成する第1オフタイミング生成部92とを有する。例えば第1オフタイミング生成部92は、第1オンタイミング生成部90からのオンタイミング信号So1を、予め設定された時間だけ遅延させてオフタイミング信号Sf1として出力する。スイッチング制御部80は、第1オンタイミング生成部90からのオンタイミング信号So1に基づいてスイッチング素子66をオンにし、第1オフタイミング生成部92からのオフタイミング信号Sf1に基づいてスイッチング素子66をオフにする。従って、第1オフタイミング生成部92からのオフタイミング信号Sf1の出力周期が、第1パルスP1のパルス周期Ta(=1/パルス周波数)となる。また、図示しないがオンタイミング信号So1の出力時点からオフタイミング信号Sf1の出力時点までの時間が、第1パルスP1のための誘導エネルギーの蓄積期間に相当することとなる。
第2制御部84は、放電処理の各サイクル中、中心電極18及び接地電極21間で放電破壊が実現した後の第2区間T2(図9参照)において、第1パルスP1よりも低エネルギーの2以上の第2パルスP2(第2パルス電圧)を印加して、中心電極18及び接地電極21間での放電破壊を維持させるように制御する。
この第2制御部84は、第2区間T2において、スイッチング素子66をオンさせるオンタイミング信号So2を生成する第2オンタイミング生成部94と、第2区間T2において、スイッチング素子66をオフさせるオフタイミング信号Sf2を生成する第2オフタイミング生成部96とを有する。この場合も、例えば第2オフタイミング生成部96は、第2オンタイミング生成部94からのオンタイミング信号So2を、予め設定された時間だけ遅延させてオフタイミング信号Sf2として出力する。スイッチング制御部80は、第2オンタイミング生成部94からのオンタイミング信号So2に基づいてスイッチング素子66をオンにし、第2オフタイミング生成部96からのオフタイミング信号Sf2に基づいてスイッチング素子66をオフにする。従って、第2オフタイミング生成部96からのオフタイミング信号Sf2の出力周期が、第2パルスP2のパルス周期Tb(=1/パルス周波数)となる。また、図示しないが、オンタイミング信号So2の出力時点からオフタイミング信号Sf2の出力時点までの時間が、第2パルスP2のための誘導エネルギーの蓄積期間に相当することとなる。従って、第2オンタイミング生成部94及び第2オフタイミング生成部96は、誘導エネルギーの蓄積期間を変更する蓄積期間変更部98を構成することになる。
また、第2制御部84は、第2区間T2の開始時点t2で、トランス62の少なくとも一次巻線68のインダクタンスL1を変更するインダクタンス変更部100を有する。一次巻線68のインダクタンスL1を変更する方式としては、例えば図8に示すように、トランス62の一次巻線68に1以上のタップ端子102を接続しておき、一次巻線68の他方の第1端子68b及び1以上のタップ端子102のうち、いずれかの端子をマルチプレクサ等のスイッチング装置104により、選択的にSIサイリスタ64のアノードに接続する方式を好ましく採用することができる。あるいは、特開2007−14089号公報の図11以降の実施の形態に示すように、2つのトランスを切り換え制御するようにしてもよい。
第1時間計測部86は、放電処理の各サイクルの開始時点(第1区間T1の開始時点t1)で第1切替信号Sc1を出力し、第1区間T1の開始時点t1から基準クロックclkを計数して、第1区間T1の開始時点t1から予め設定された時間が経過した時点(第2区間T2の開始時点t2)で第2切替信号Sc2を出力する。
制御切替部88は、第1時間計測部86からの第1切替信号Sc1の入力に基づいて、第2制御部84による制御を停止し、第1制御部82による制御を開始するように指示信号を出力する。また、第1時間計測部86からの第2切替信号Sc2の入力に基づいて、第1制御部82による制御を停止し、第2制御部84による制御を開始するように指示信号を出力する。
次に、本実施の形態に係る点火装置10の処理動作について図9のタイムチャートも参照しながら説明する。なお、図9においては、説明を簡潔にするために、トランス62の一次側での信号波形を省略し、トランス62の二次側に発生する電圧波形(図9の上段参照)と電流波形(図9の下段参照)を模式的に示す。
先ず、図9に示すように、放電処理の各サイクルの開始時点(第1区間T1の開始時点t1)において、第1制御部82による制御が開始され、パルス生成部54から高エネルギーの第1パルスP1が生成されて、中心電極18及び接地電極21間に印加される。第1パルスP1の電圧波形は、中心電極18及び接地電極21間でアーク放電が発生していない段階では、電圧V2が急峻に立ち上がり、且つ、急峻に立ち下がるインパルス的な電圧波形となり、第1パルスP1の電流波形は、電流I2が急峻に立ち上がり、電圧波形ほどではないが、やや急峻に立ち下がる電流波形となる。第1パルスP1の生成は少なくとも1回行われる。
中心電極18及び接地電極21間に高エネルギーの第1パルスP1が印加されると、中心電極18及び接地電極21間に放電が引き起こされる。すなわち、第1パルスP1の印加時間が所定時間に達すると、正イオンが陰極(接地電極21)に衝突する際に放出された2次電子によって新たな正イオンを発生させるグロー放電が引き起こされる。一方、第1パルスP1の立ち上がり時の電圧V2の上昇率(電圧上昇率(dV2/dt))が概ね30〜500kV/μsである場合、陽極(中心電極18)から陰極(接地電極21)へ向かうストリーマの成長が始まり、第1パルスP1の印加時間がさらに長くなると、ストリーマが本格的に成長し、陽極と陰極との間に枝分かれした長いストリーマが存在する状態となる。そして、第1パルスP1の印加時間がさらに長くなると、局部的な電流集中が発生し、最終的にアーク放電(放電破壊)が引き起こされる。1回の第1パルスP1の印加でアーク放電に達する場合もあるし、複数回の第1パルスP1の印加でアーク放電に達する場合もある。
アーク放電に達すると、中心電極18及び接地電極21において放電破壊が実現され、中心電極18及び接地電極21間のインピーダンスが低下する。そのため、放電破壊が実現した後の第1パルスP1は、ピーク電圧値が低下する。エネルギー保存の関係から、電流の導通時間が長くなり、そのため、電流はなだらかに時間をかけて立ち下がる電流波形となる。すなわち、放電破壊が実現した後の第1パルスP1は、中心電極18及び接地電極21間で放電破壊が実現されていない段階での第1パルスP1の波形とは異なった波形となる。なお、以下の説明では、放電破壊が実現した時点t3から第2区間T2の開始時点t2までの期間を放電破壊実現期間T3と記し、第1区間T1の開始時点t1から放電破壊が実現した時点t3までの期間を放電破壊準備期間T1−T3と記し、放電破壊実現期間T3に出力される第1パルスP1を第3パルスP3と記す。また、第2区間T2を放電破壊維持期間と記す場合もある。
そして、中心電極18及び接地電極21間で放電破壊が実現した後、第2区間T2の開始時点t2から、今度は第2制御部84による制御が開始される。
第2制御部84での制御が開始されると、第1パルスP1とは異なったパルス周期(=1/パルス周波数)あるいは第1パルスP1と同じパルス周期で低エネルギーの第2パルスP2が生成されて、中心電極18及び接地電極21間に印加される。第2パルスP2は、中心電極18及び接地電極21間で実現した放電破壊を低エネルギーで維持させるために印加される。
具体的には、第2パルスP2の電流波形は、ピーク電流値(尖頭電流値Ib)が第1パルスP1のピーク電流値Iaや第3パルスP3のピーク電流値Icよりも小さくなり、尖頭電流値Ib以外は、第3パルスP3の電流波形に類似した波形となる。すなわち、第2パルスP2の電流波形は、図10に拡大して示すように、略三角形の前半部分106と、それに引き続く、前半部分106とは極性が逆転した後半部分108と、電流が概ね流れない電流停止部分110とを有する。電流停止部分110での電流値は|0.2A|以下である。
このうち、前半部分106は、電流がランプ状に減衰する部分を有する。また、前半部分106のピーク電流値(尖頭電流値Ib)は、大きいほどアーク放電を維持しやすくなるが、電極の消耗が増大する。反対に、小さいほど電極の消耗は少なくなるが、アーク放電を維持し難くなる。そこで、尖頭電流値Ibは、0.5A以上2.0A以下が好ましい。本実施の形態では、尖頭電流値Ibを1.0Aとした。
第2パルスP2の電流の導通時間、すなわち、前半部分106と後半部分108の合計の時間的長さTi2は、第2制御部84における第2オンタイミング生成部94からのオンタイミング信号So2の出力時点から第2オフタイミング生成部96からのオフタイミング信号Sf2の出力時点までの時間、すなわち、第2パルスP2のための誘導エネルギーの蓄積期間に応じて設定することができ、電流波形の立ち下りの傾きは、第2制御部84におけるインダクタンス変更部100による例えば一次巻線68のインダクタンスL1を変更する(この場合、小さくする)ことによって設定することができる。前半部分106の時間的長さTia及び傾きを適宜変更することで、前半部分106の電荷量Q1(電流の時間積算量)も変更することができる。また、後半部分108は、トランス62の二次インダクタンス(二次側漏れインダクタンス及び二次側励磁インダクタンス)とコンデンサ78とによる共振波形であるため、コンデンサ78の値を適宜変更することで、後半部分108の時間的長さTib及び電荷量Q2を変更することができる。
さらに、第2パルスP2のパルス周波数は、電流I2の導通時間が設定された後のオンタイミング信号So2の出力周波数を設定することにより実現される。第2パルスP2のパルス周波数に応じて、電流停止部分110の時間的長さTicも変更することができる。もちろん、第2パルスP2のパルス周波数を一定にしておき、前半部分106の時間的長さTia及び/又は後半部分108の時間的長さTibを適宜変更することで、電流停止部分110の時間的長さTicを変更することができる。
第2パルスP2のパルス周波数(=1/パルス周期Tb)は1〜400kHzが好ましく、さらに好ましくは5〜200kHzであり、特に好ましくは10〜150kHzである。パルス周期Tbで示すと、2.5μsec以上1000μsec以下が好ましく、さらに好ましくは5μsec以上200μsec以下であり、特に好ましくは6.7μsec以上100μsec以下である。本実施の形態では、10μsecを採用した。
第2パルスP2の電流の導通時間Ti2(前半部分106と後半部分108の合計の時間的長さ)は、長いほど、イオンの発生が増大し、アーク放電を維持しやすくなる。しかし、尖頭電流値Ib、第2パルスP2のパルス周波数等の兼ね合いにより、極端に長い時間を設定することはできない。そこで、第2パルスP2の電流の導通時間Ti2は、1μsec以上が好ましく、さらに好ましくは2μsec以上、より好ましくは4μsec以上である。そして、パルス周期に占める前半部分106と後半部分108の合計の時間的長さの割合は5/10以上8/10以下であることが好ましい。本実施の形態では、パルス周期10μsecに対して、第2パルスP2の電流の導通時間Ti2を7μsecとした。割合は7/10である。
後半部分108の逆電流は、金属蒸気を電極に再付着させ、電極の消耗を抑制する働きがある。従って、逆電流の時間的積算値である電荷量Q2が多いほど電極の消耗を抑制するため好ましい。しかし、尖頭電流値Ib、第2パルスP2の電流の導通時間Ti2、二次側インダクタンス等の兼ね合いにより、極端に多い電荷量を設定することはできない。そこで、前半部分106の電荷量をQ1、後半部分108の電荷量をQ2としたとき、0.7Q1≦Q2≦1.5Q1が好ましく、さらに好ましくは、0.8Q1≦Q2≦1.3Q1であり、より好ましくは、0.9Q1≦Q2≦1.1Q1である。本実施の形態では、Q2=Q1に設定した。
電流停止部分110は、第2パルスP2の前半部分106及び後半部分108で発生したイオンを減衰させる期間であり、短いほどアーク放電を維持することができる。しかし、尖頭電流値Ib、第2パルスP2の電流の導通時間Ti2等の兼ね合いにより、極端に短い時間を設定することはできない。そこで、パルス周期Tbに占める電流停止部分110の時間的長さTicの割合は2/10以上5/10以下であることが好ましい。本実施の形態では、パルス周期10μsecに対して、電流停止部分110の時間的長さTicを3μsecとした。割合は3/10である。
第2制御部84によって設定される電流I2の導通時間Ti2、前半部分106の立ち下りの傾き、第2パルスP2のパルス周期Tbは、事前に、点火プラグ12の種類、燃焼室1006の形状、点火プラグ12の設置位置等に基づいて実験、シミュレーション等を行って、それぞれ最適な範囲を求めておき、実施される点火プラグ12の種類、燃焼室1006の形状、点火プラグ12の設置位置等に基づいて、予め求めておいた最適な範囲から適宜選択して設定することが好ましい。
次に、本実施の形態の他の好ましい態様について説明する。
先ず、第1パルスP1のピーク電圧値をVa、第2パルスP2のピーク電圧値をVbとしたとき、
Va>Vb
である。
この場合、(1/3000)×Va<Vb<Vaであることが好ましく、さらに好ましくは(1/1000)×Va<Vb<(3/4)×Vaであり、特に好ましくは、(1/600)×Va<Vb<(1/2)×Vaである。また、第2パルスP2の尖頭電流値Ibは、第1パルスP1のピーク電流値Iaよりも低いことから、上述の範囲に設定することで、第2パルスP2が出力される第2区間T2の単位時間当たりの供給電力は、第1パルスP1が出力される第1区間T1の単位時間当たりの供給電力よりも低くなる。
第1パルスP1のパルス周期をTa、第2パルスP2のパルス周期をTbとしたとき、
Ta≧Tb
である。
この場合、第2パルスP2のパルス周波数(=1/パルス周期Tb)は1〜400kHzが好ましく、さらに好ましくは5〜200kHzであり、特に好ましくは10〜150kHzである。第2パルスP2のパルス周波数が低すぎると、中心電極18及び接地電極21間で実現した放電破壊を維持できなくなる。パルス周波数が高すぎると、単位時間当たりの供給電力が大きくなり、供給電力の低減化が不十分になるおそれがある。
第1パルスP1のピーク電圧値Va、第3パルスP3のピーク電圧値Vc、第1パルスP1の電流I2の導通時間Ti1、第3パルスP3の電流I2の導通期間Ti3は、
Va>Vc
Ti1<Ti3
の関係を有することが好ましい。
第2パルスP2の尖頭電流値Ib、第3パルスP3のピーク電流値Ic、第2パルスP2の電流I2の導通時間Ti2、第3パルスP3の電流I2の導通期間Ti3は、
Ib<Ic
Ti2<Ti3
の関係を有することが好ましい。
これにより、第2パルスP2が出力される第2区間T2の単位時間当たりの供給電力は、第3パルスP3が出力される放電破壊実現期間T3の単位時間当たりの供給電力よりも低くなる。この場合、第2パルスP2のピーク電流値Ibの上限は、(5/6)×Icが好ましく、さらに好ましくは(2/3)×Icであり、特に好ましくは(1/2)×Icである。また、(1/100)×Ti3<Ti2<(5/6)×Ti3が好ましく、さらに好ましくは(1/50)×Ti3<Ti2<(2/3)×Ti3であり、特に好ましくは(1/20)×Ti3<Ti2<(1/2)×Ti3である。
第1パルスP1のパルス周期Ta、第2パルスP2のパルス周期Tb、第3パルスP3のパルス周期Tcは、
Ta=Tc
Tb≦Tc
であることが好ましい。なお、第2パルスP2のパルス周波数(=1/パルス周期Tb)は、上述したように、1〜400kHzが好ましく、さらに好ましくは5〜200kHzであり、特に好ましくは10〜150kHzである。
また、第1パルスP1のパルス数は10以下であることが好ましい。第1パルスP1のパルス数が多すぎると、高エネルギーの期間が長くなり、供給電力の低減化が不十分になるおそれがある。上述したように、第1パルスP1のパルス数が0の場合もあり得る。これは、1回目の第1パルスP1の印加でアーク放電に達した場合、この第1回目の第1パルスP1は、第3パルスP3として中心電極18及び接地電極21間に印加されることになるからである。
第3パルスP3のパルス数は1〜10であることが好ましい。第3パルスP3は、実質的には高エネルギーの第1パルスP1であるから、パルス数が多すぎると、高エネルギーの期間が長くなり、供給電力の低減化が不十分になるおそれがある。
上述の第1パルスP1の数及び第3パルスP3の数は、第1パルスP1のパルス周期Taと、第1時間計測部86に設定される時間(第1区間T1の開始時点t1から第2区間T2の開始時点t2までの時間)とによって決定される。
ここで、以下に示す参考例と実施例の出力効率の違いについて説明する。
参考例は、中心電極18及び接地電極21間の放電破壊が実現した後の第2区間T2も第3パルスP3を中心電極18及び接地電極21間に連続供給して放電破壊を維持させた。実施例は、中心電極18及び接地電極21間の放電破壊が実現した後の第2区間T2に第2パルスP2を中心電極18及び接地電極21に連続供給して放電破壊を維持させた。
第3パルスP3と第2パルスP2のパラメータの違いは以下の通りである。すなわち、第3パルスP3について、パルス周波数をF3、ピーク電圧値をVc、ピーク電流値をIc、電流の導通時間をTi3とし、第2パルスP2について、パルス周波数をF2、ピーク電圧値をVb、ピーク電流値(尖頭電流値)をIb、電流の導通時間をTi2としたとき、以下の関係を有する。
F3=100kHz
F2=100kHz
Vc=Vb
Ic>Ib
Ti2=Ti3/10
この場合、実施例は、参考例と比して、ピーク電流値が低く、しかも、電流の導通時間が1/10で済んでいるため、単位時間当たりの供給電力(中心電極18及び接地電極21への供給電力)を参考例の1/10よりもさらに低く抑えることができる。
つまり、放電破壊を維持することができる出力電力をPx、参考例の供給電力をPyとしたとき、参考例の出力効率はPx/Pyであるのに対して、実施例では、供給電力がPy/10よりもさらに低くなることから、実施例の出力効率は10Px/Pyよりもさらに低くなり、出力効率を向上させることができることがわかる。また、実施例について、第2パルスP2のピーク電圧値Vb、尖頭電流値Ib、パルス周波数F2、電流の導通時間Ti2を、上述した好ましい範囲内で適宜選択することで、単位時間当たりの供給電力の低減の度合いを様々に変化させることができる。
上述のように、本実施の形態に係る点火装置10は、第1区間T1において、高エネルギーの1以上の第1パルスP1を中心電極18及び接地電極21間に印加して、中心電極18及び接地電極21間での放電破壊を促進させるように制御する第1制御部82と、中心電極18及び接地電極21間で放電破壊が実現した後の第2区間T2に、第1パルスP1よりも低エネルギーの2以上の第2パルスP2を印加して、中心電極18及び接地電極21間での放電破壊を維持させるように制御する第2制御部84とを有するようにしたので、供給電力を低減することができると共に、ランニングコスト等のコストの低廉化を図ることができ、しかも、出力効率を高めることができる。
特に、第2パルスP2の電流波形を、略三角形の前半部分106と、それに引き続く、前半部分106とは極性が逆転した後半部分108と、電流が概ね流れない電流停止部分110とを有するようにしたので、アーク放電を効率よく維持させることができると共に、電極の消耗を抑制することができ、上述した供給電力の低減化に加えて、点火装置10の長寿命化を向上させることができ、耐久性を向上させることができる。
次に、点火装置10におけるパルス電源14の変形例について図11を参照しながら説明する。この変形例に係るパルス電源14aは、図11に示すように、上述したパルス電源14と略同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
すなわち、パルス制御部56は、さらに、放電破壊検出部112を有し、上述した第1時間計測部86に代えて第2時間計測部114を有する。
放電破壊検出部112は、中心電極18及び接地電極21間の電圧に基づいて、中心電極18及び接地電極21間で放電破壊が実現したことを検出する。具体的には、例えば中心電極18及び接地電極21間の電圧が予め設定されたしきい値電圧以下になった時点で検出信号Sdを出力する。しきい値電圧は、予め中心電極18及び接地電極21間に高電圧パルスを印加して放電破壊が生じた際の中心電極18及び接地電極21間の電圧を測定する作業を複数回行って、その平均値をとり、さらに、平均値に例えば平均値の1/100〜1/10の電圧を加算してしきい値電圧とする。1/100〜1/10のうち、いずれの割合を採用するかは、点火プラグ12の種類、燃焼室1006の形状、点火プラグ12の設置位置等によって適宜選択することができる。
第2時間計測部114は、放電処理の各サイクルの開始時点(第1区間T1の開始時点t1)で第1切替信号Sc1を出力し、放電破壊検出部112からの検出信号Sdの入力に基づいて、該検出信号Sdの入力時点から予め設定された時間(第1時間計測部86での予め設定された時間とは異なり、0時間を含む)が経過した時点で第2切替信号Sc2を出力する。
この変形例においては、放電破壊が確実に実現してから第2制御部84での制御へ移行させることができるため、信頼性の向上を図ることができる。
なお、本発明に係る点火装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…点火装置 12…点火プラグ
14…パルス電源 16…碍子
18…中心電極 20…主体金具
21…接地電極 50…放電ギャップ
52…端子部 54…パルス生成部
56…パルス制御部 58…パルス発生回路
80…スイッチング制御部 82…第1制御部
84…第2制御部 86…第1時間計測部
88…制御切替部 98…蓄積時間変更部
100…インダクタンス変更部 102…タップ端子
104…スイッチング装置 106…前半部分
108…後半部分 110…電流停止部分
112…放電破壊検出部 114…第2時間計測部

Claims (10)

  1. 絶縁体によって絶縁された中心電極と、
    接地電極と、
    前記中心電極と前記接地電極との間にパルス電圧を複数回印加し、放電を発生させる電源と、を有する点火装置において、
    前記電源の発生する各回の電流波形が、
    略三角形の前半部分と、
    それに引き続く、前記前半部分とは極性が逆転した後半部分と、
    電流が概ね流れない電流停止部分と、を有することを特徴とする点火装置。
  2. 請求項1記載の点火装置において、
    前記電源は、
    第1区間に、前記中心電極と前記接地電極間において放電破壊を促進させるための高エネルギーの1以上の第1パルス電圧を前記中心電極と前記接地電極間に印加し、
    前記中心電極と前記接地電極間に放電破壊が実現した後の第2区間に、前記第1パルス電圧よりも低エネルギーの2以上の第2パルス電圧を印加して、前記電極間での放電破壊を維持させ、
    前記電流波形は、前記第2区間において前記第2パルス電圧と同期していることを特徴とする点火装置。
  3. 請求項1又は2記載の点火装置において、
    前記前半部分は、電流がランプ状に減衰する部分を有することを特徴とする点火装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の点火装置において、
    前記電流波形のピーク値が0.5A以上2.0A以下であることを特徴とする点火装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の点火装置において、
    前記電流波形の周期が2.5μsec以上1000μsec以下であることを特徴とする点火装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の点火装置において、
    前記電流波形の周期に占める前記前半部分と前記後半部分の合計の時間的長さの割合が5/10以上8/10以下であることを特徴とする点火装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の点火装置において、
    前記前半部分の電荷量をQ1、前記後半部分の電荷量をQ2としたとき、
    0.7Q1≦Q2≦1.5Q1
    であることを特徴とする点火装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の点火装置において、
    前記電流波形の周期に占める前記電流停止部分の時間的長さの割合が2/10以上5/10以下であることを特徴とする点火装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の点火装置において、
    前記絶縁体の表面に接して前記中心電極と前記接地電極とが離間して設置され、
    前記絶縁体の表面を介して沿面放電を行うことを特徴とする点火装置。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の点火装置において、
    前記中心電極と前記接地電極とが空間を介して対向して配置され、
    前記中心電極と前記接地電極との間で火花放電を行うことを特徴とする点火装置。
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