JP2014042432A - 平均電流モード制御によるブリッジレスpfcコンバータ - Google Patents

平均電流モード制御によるブリッジレスpfcコンバータ Download PDF

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Abstract

【課題】製造コストの増大を伴うこと無く入力電流を検出することができる、平均電流モード制御によるブリッジレスPFCコンバータを提供する。
【解決手段】ブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流の制限が実施される期間中に、入力される交流電力の位相情報を入力電圧に基づいて検出しておき、突入電流の制限が解除されてPFC昇圧制御が実行される期間中に、グランド側の出力端から上下アームのグランド側へと流れる電流を検出し、当該電流に基づいて入力電流を算出することにより、高価なホール電流センサや高耐圧差動アンプを用いること無く、平均電流モードによるPFC昇圧制御に必要なパラメータである入力電流を得る。
【選択図】図2

Description

本発明はスイッチング電源装置に関し、特に整流ブリッジ回路を設けないブリッジレスブースト式(BLB)の力率補正(PFC)トポロジーを用いるスイッチング電源装置に関する。
従来、例えばスイッチング電源を始めとする交流入力直流出力電力変換器(AC−DCコンバータ)(以降、単に「コンバータ」と称する場合がある)においては、例えば、ソフトスイッチング方式、同期整流方式、力率改善(PFC:Power Factor Correction)の導入等による電力損失の低減がなされてきた。加えて、更なる電力損失の低減を目的として、ブリッジ整流器の排除(ブリッジレス化)も広く行われている。
上記のような種々のコンバータの中でも、ブリッジレスPFCコンバータは、特に電力損失が小さいコンバータの1つとして挙げることができる。当該技術分野においては、ブリッジレスPFCコンバータの制御方式として、例えば、平均電流モード制御、ピーク電流モード制御、及びワンサイクル制御等の、種々の制御方法が開発されてきた(例えば、特許文献1を参照)。
上記のような種々の制御方式の中でも、平均電流モード制御は、その性能の高さ及び理解の容易さ故に、最も広く採用されている制御方式の1つとして挙げることができる。当該制御方式においては、出力電圧の偏差(指令電圧値と実際の出力電圧値との差)で入力電圧信号を乗算することによって電流基準が生成され、当該電流基準に追従させるようにインダクタの平均電流が制御される。即ち、当該制御方式においては、入力電圧、入力電流、及び出力電圧を制御用パラメータとして検出する必要がある。
従来技術に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力電流を検出する手段として、入力端に設けられたシャント抵抗と差動アンプとの組み合わせ又はホール電流センサが使用されることが一般的である。しかしながら、入力端に設けられたシャント抵抗と差動アンプとの組み合わせによって入力電流を検出する場合、高価な高耐圧差動アンプを採用する必要がある。また、ホール電流センサを採用する場合、ホール電流センサ自体が高価である。このように、何れの場合においても、入力電流を検出する手段が、ブリッジレスPFCコンバータの製造コストを増大させる要因となっていた。
また、当該技術分野においては、例えば、上記のように入力電流を測定するのではなく、スイッチング素子と整流素子との直列接続点と交流入力電源の入力端との間に挿入される昇圧コイル(ブーストインダクタ)の充電電流から入力電流を推定しようとする技術も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。しかしながら、このように推定される入力電流の値には、推定誤差が少なからず含まれるため、高い精度にて平均電流モード制御を行うことは困難である。
以上のように、当該技術分野においては、製造コストの増大を伴うこと無く入力電流を検出することができる、平均電流モード制御によるブリッジレスPFCコンバータに対する継続的な要求が存在する。
特表2007−527687号公報 特開2011−152017号公報
前述のように、当該技術分野においては、製造コストの増大を伴うこと無く入力電流を検出することができる平均電流モード制御によるブリッジレスPFCコンバータに対する継続的な要求が存在する。
本発明は、かかる要求に応えるために為されたものである。即ち、本発明は、製造コストの増大を伴うこと無く入力電流を検出することができる、平均電流モード制御によるブリッジレスPFCコンバータを提供することを1つの目的とする。
上記1つの目的は、
1対の出力端と、
1対の入力端と、
前記1対の出力端に対して並列に接続された平滑用コンデンサと、
前記1対の出力端に対して並列に接続された第1アームであって、前記1対の出力端のグランド側から順に、第1寄生ダイオードを備える第1スイッチング素子と第1整流素子とが第1接続点において直列に接続されてなる第1アームと、
前記1対の出力端に対して並列に接続された第2アームであって、前記1対の出力端のグランド側から順に、第2寄生ダイオードを備える第2スイッチング素子と第2整流素子とが第2接続点において直列に接続されてなる第2アームと、
前記1対の入力端の一方と前記第1接続点との間に接続される第1昇圧用コイルと、
前記1対の入力端の他方と前記第2接続点との間に接続される第2昇圧用コイルと、
前記1対の入力端に入力される交流電力の電圧である入力電圧を検出する入力電圧検出手段と、
前記1対の出力端に出力される直流電力の電圧である出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
電源投入時に一時的に流れる大電流である突入電流を制限する突入電流制限手段と、
前記入力端に入力される交流電力の電流である入力電流の値、前記入力電圧の値、前記出力電圧の値、及び前記入力電圧の位相情報に基づいて、平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行する、
制御手段と、
を備える、
ブリッジレスPFCコンバータであって、
前記1対の出力端のグランド側の端子と前記平滑用コンデンサのグランド側の端子との合流点から前記第1スイッチング素子のグランド側の端子と前記第2スイッチング素子のグランド側の端子との合流点へと流れる昇圧用コイルの放電電流を検出する放電電流検出手段を更に備え、
前記制御手段が、
前記突入電流制限手段による突入電流の制限が実施される突入電流制限実施期間において、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の両方を非導通状態とし、前記入力電圧の値に基づいて、前記入力電圧の位相情報を検出し、
前記突入電流制限手段による突入電流の制限が解除されて前記PFC昇圧制御が実行される突入電流制限解除期間において、
前記放電電流の値に基づいて、昇圧用コイルの充電電流の値を算出し、
前記放電電流の値及び前記充電電流の値に基づいて、入力電流の値を算出し、
前記入力電流の値、前記入力電圧の値、前記出力電圧の値、及び前記位相情報に基づいて、平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行する、
ブリッジレスPFCコンバータによって達成される。
本発明によれば、製造コストの増大を伴うこと無く入力電流を検出することができる、平均電流モード制御によるブリッジレスPFCコンバータを提供することができる。
従来技術に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す模式的な回路図である。 本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す模式的な回路図である。 本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が正半周である場合における、PFC昇圧制御実行時の電流の流れを表す模式的な回路図である。 本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が負半周である場合における、PFC昇圧制御実行時の電流の流れを表す模式的な回路図である。 本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流制限解除期間中に、放電電流検出手段によって検出される昇圧用コイルの放電電流の値に基づいて昇圧用コイルの充電電流の値を推測し、斯くして算出された充電電流及び放電電流の値に基づいて入力電流の値を導き出す手順を表すタイミング・チャートである。 本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの動作を説明するフローチャートである。 本発明のもう1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す模式的な回路図である。 本発明の更にもう1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す模式的な回路図である。 本発明の更にもう1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す模式的な回路図である。 本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流制限実施期間中に、入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値及び負半周成分に対応する半波整流後の値の何れか一方のみに基づいて、(a)入力電圧の絶対値を求める手順、及び(b)入力電圧の位相情報を表すフラグを導き出す手順、を表すタイミング・チャートである。 本発明の更にもう1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す模式的な回路図である。 本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が正半周であるか負半周であるかに拘わらず、第1スイッチング素子(FET1)及び第2スイッチング素子(FET2)を両方とも同じゲート駆動信号によって制御する場合における、昇圧用コイルの充電時の電流の流れを表す模式的な回路図である。 本発明の更にもう1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す模式的な回路図である。
前述のように、本発明の1つの目的は、製造コストの増大を伴うこと無く入力電流を検出することができる、平均電流モード制御によるブリッジレスPFCコンバータを提供することである。本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、ブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流の制限が実施される期間中に、入力される交流電力の位相情報を入力電圧に基づいて検出しておき、突入電流の制限が解除されてPFC昇圧制御が実行される期間中に、グランド側の出力端から上下アームのグランド側へと流れる電流を検出し、当該電流に基づいて入力電流を算出することにより、高価なホール電流センサや高耐圧差動アンプを用いること無く、平均電流モードによるPFC昇圧制御に必要なパラメータである入力電流を得ることができることを見出し、本発明を想到するに至ったものである。
即ち、本発明の第1の実施態様は、
1対の出力端と、
1対の入力端と、
前記1対の出力端に対して並列に接続された平滑用コンデンサと、
前記1対の出力端に対して並列に接続された第1アームであって、前記1対の出力端のグランド側から順に、第1寄生ダイオードを備える第1スイッチング素子と第1整流素子とが第1接続点において直列に接続されてなる第1アームと、
前記1対の出力端に対して並列に接続された第2アームであって、前記1対の出力端のグランド側から順に、第2寄生ダイオードを備える第2スイッチング素子と第2整流素子とが第2接続点において直列に接続されてなる第2アームと、
前記1対の入力端の一方と前記第1接続点との間に接続される第1昇圧用コイルと、
前記1対の入力端の他方と前記第2接続点との間に接続される第2昇圧用コイルと、
前記1対の入力端に入力される交流電力の電圧である入力電圧を検出する入力電圧検出手段と、
前記1対の出力端に出力される直流電力の電圧である出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
電源投入時に一時的に流れる大電流である突入電流を制限する突入電流制限手段と、
前記入力端に入力される交流電力の電流である入力電流の値、前記入力電圧の値、前記出力電圧の値、及び前記入力電圧の位相情報に基づいて、平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行する、
制御手段と、
を備える、
ブリッジレスPFCコンバータであって、
前記1対の出力端のグランド側の端子と前記平滑用コンデンサのグランド側の端子との合流点から前記第1スイッチング素子のグランド側の端子と前記第2スイッチング素子のグランド側の端子との合流点へと流れる昇圧用コイルの放電電流を検出する放電電流検出手段を更に備え、
前記制御手段が、
前記突入電流制限手段による突入電流の制限が実施される突入電流制限実施期間において、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の両方を非導通状態とし、前記入力電圧の値に基づいて、前記入力電圧の位相情報を検出し、
前記突入電流制限手段による突入電流の制限が解除されて前記PFC昇圧制御が実行される突入電流制限解除期間において、
前記放電電流の値に基づいて、昇圧用コイルの充電電流の値を算出し、
前記放電電流の値及び前記充電電流の値に基づいて、入力電流の値を算出し、
前記入力電流の値、前記入力電圧の値、前記出力電圧の値、及び前記位相情報に基づいて、平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行する、
ブリッジレスPFCコンバータである。
上記のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータは、ブリッジレスPFCコンバータとして一般的な構成を有する。より具体的には、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータは、
1対の出力端と、
1対の入力端と、
前記1対の出力端に対して並列に接続された平滑用コンデンサと、
前記1対の出力端に対して並列に接続された第1アームであって、前記1対の出力端のグランド側から順に、第1寄生ダイオードを備える第1スイッチング素子と第1整流素子とが第1接続点において直列に接続されてなる第1アームと、
前記1対の出力端に対して並列に接続された第2アームであって、前記1対の出力端のグランド側から順に、第2寄生ダイオードを備える第2スイッチング素子と第2整流素子とが第2接続点において直列に接続されてなる第2アームと、
前記1対の入力端の一方と前記第1接続点との間に接続される第1昇圧用コイルと、
前記1対の入力端の他方と前記第2接続点との間に接続される第2昇圧用コイルと、
前記1対の入力端に入力される交流電力の電圧である入力電圧を検出する入力電圧検出手段と、
前記1対の出力端に出力される直流電力の電圧である出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
電源投入時に一時的に流れる大電流である突入電流を制限する突入電流制限手段と、
前記入力端に入力される交流電力の電流である入力電流の値、前記入力電圧の値、前記出力電圧の値、及び前記入力電圧の位相情報に基づいて、平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行する、
制御手段と、
を備える、
ブリッジレスPFCコンバータである。
上記平滑用コンデンサは、上記1対の出力端に対して並列に接続されて、後述する昇圧コンバータからの出力電圧を平滑化することができる限り、如何なる構成を有するものであってもよい。かかる平滑用コンデンサは、例えばスイッチング電源を始めとする交流入力直流出力電力変換器(AC−DCコンバータ)等において平滑用コンデンサとして一般的に使用される種々のコンデンサの中から適宜選択することができる。例えば、上記平滑用コンデンサの一例としては、例えば、電解コンデンサ等を挙げることができる。
また、上記第1アーム及び第2アームは所謂「上下アーム」に該当し、上記第1アーム及び第2アームの何れか一方が上アーム、残る他方が下アームとなる。個々のアームを構成するスイッチング素子及び整流素子は、それぞれ、かかるコンバータにおけるスイッチング素子及び整流素子として一般的に使用される種々のスイッチング素子及び整流素子の中から適宜選択することができる。例えば、上記スイッチング素子の一例としては、例えば、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等を挙げることができる。また、上記整流素子の一例としては、例えば、ダイオード等を挙げることができる。
更に、上記第1昇圧用コイル及び第2昇圧用コイルは、ブーストインダクタとも称され、それぞれ上記第1アーム及び第2アームと共に、昇圧コンバータを構成することができる限り、如何なる構成を有するものであってもよい。
また、上記入力電圧検出手段及び出力電圧検出手段は、それぞれ、上記1対の入力端に入力される交流電力の電圧である入力電圧及び上記1対の出力端に出力される直流電力の電圧である出力電圧を検出することができる限り、如何なる構成を有するものであってもよい。かかる入力電圧検出手段及び出力電圧検出手段の一例としては、例えば、それぞれ上記1対の入力端及び上記1対の出力端に対して並列に接続された分配抵抗を用いて分配電圧を測定するタイプのものを挙げることができる。
尚、上記1対の入力端に入力される交流電力の電圧である入力電圧を検出する入力電圧検出手段は、例えば、入力端の少なくとも何れか一方とグランドとの間に接続された分配抵抗を用いて分配電圧を測定するタイプのものであってもよい。また、入力電圧検出手段は、例えば、1対の入力端の各々に入力される交流電圧を半波整流して得られる結果を(例えば、アナログ回路等を用いてアナログ的に)合成した後に電圧値を検出してもよく、あるいは1対の入力端の各々に入力される交流電圧を半波整流して得られる結果の電圧値を検出した後に、それぞれの電圧値の検出結果を(例えば、マイコン等の制御装置を用いてデジタル的に、又はアナログ的に)合成してもよい。
加えて、上記突入電流制限手段は、電源投入時に一時的に流れる大電流である突入電流(「始動電流」と称する場合もある)を制限することができる限り、如何なる構成を有するものであってもよい。かかる突入電流制限手段の一例としては、例えば、上記入力端の少なくとも一方に直列に抵抗素子を接続し、突入電流が流れる虞が十分に小さくなったら当該抵抗素子をバイパスするような構成を有するものを挙げることができる。
更に、上記制御手段は、前記入力端に入力される交流電力の電流である入力電流の値、入力電圧の値、出力電圧の値、及び入力電圧の位相情報に基づき、平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行することができる限り、如何なる構成を有するものであってもよい。例えば、上記制御手段は、指令電圧の値(Vdcref)と出力電圧の値(Vdc)との差異に基づき出力電流の指令電流の値(Idcref)を算出し、斯くして算出された出力電流の指令電流の値(Idcref)と入力電圧の絶対値(Vacabs)とから入力電流の指令電流の値(Iacref)を算出し、更に、斯くして算出された入力電流の指令電流の値(Iacref)と入力電流の絶対値(Iacabs)との差異に基づいて上記第1及び第2スイッチング素子をパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)によって制御するためのパルス信号のデューティ比を算出し、斯くして算出されたデューティ比を実現すべく、出力モジュールを介して上記第1及び第2スイッチング素子を制御することにより、平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行する。かかる制御手段の一例としては、例えば、マイコン等のデジタル式制御装置等を挙げることができる。
上記のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力電流の値、入力電圧の値、出力電圧の値、及び入力電圧の位相情報に基づき、制御手段が平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行する。当業者には周知であるように、PFC昇圧制御においては、入力電流の波形を入力電圧の波形に対して相似とすることが望ましい。従って、PFC昇圧制御を実行するためには、入力電圧の位相情報が必要である。
そこで、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、先ず、前記突入電流制限手段による突入電流の制限が実施される突入電流制限実施期間において、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の両方を非導通状態とし、前記入力電圧の値に基づいて、前記入力電圧の位相情報を検出する。
上記突入電流制限実施期間においては、上記のように、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の両方が非導通状態となる。この場合、第1スイッチング素子が備える第1寄生ダイオード及び第2スイッチング素子が備える第2寄生ダイオードと第1整流素子及び第2整流素子とは、所謂「単相ブリッジ形全波整流回路」を構成する。即ち、上記突入電流制限実施期間においては、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータは、昇圧動作は行わず、単なる全波整流動作を行う。
その結果、1対の入力端において、例えば、入力端に対して並列に接続された分配抵抗を用いて分配電圧を測定するタイプの入力電圧検出手段を用いて、交流電力の正半周及び負半周のそれぞれに対応する電圧を検出することができる。斯くして検出される入力電圧に基づいて、入力電圧が正半周及び負半周となるそれぞれのタイミングを含む位相情報を検出することができる。例えば、入力電圧の周波数及び位相の検出は、所謂「デジタル位相ロックループ(DPLL:Digital Phase Locked Loop)法」によっても実現することができる。
次に、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、前記突入電流制限手段による突入電流の制限が解除されて前記PFC昇圧制御が実行される突入電流制限解除期間において、前記制御部が、前記放電電流の値に基づいて、昇圧用コイルの充電電流の値を算出し、前記放電電流の値及び前記充電電流の値に基づいて、入力電流の値を算出し、前記入力電流の値、前記入力電圧の値、前記出力電圧の値、及び前記位相情報に基づいて、平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行する。
ところが、従来技術に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、前述のように、入力電流を検出する手段として、入力端に設けられたシャント抵抗と差動アンプとの組み合わせ又はホール電流センサが使用されることが一般的であった。しかしながら、入力端に設けられたシャント抵抗と差動アンプとの組み合わせによって入力電流を検出する場合、高価な高耐圧差動アンプを採用する必要がある。また、ホール電流センサを採用する場合、ホール電流センサ自体が高価である。このように、何れの場合においても、入力電流を検出する手段が、ブリッジレスPFCコンバータの製造コストを増大させる要因となっていた。
ここで、従来技術に係るブリッジレスPFCコンバータの構成及び動作について、添付図面を参照しながら、以下に説明する。図1は、前述のように、従来技術に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す模式的な回路図である。図1に示すように、従来技術に係るブリッジレスPFCコンバータは、1対の入力端の一方に配設されたホール電流センサによって入力電圧を検出する点を除き、基本的には、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータと同様の構成を有する。
即ち、図1に示すブリッジレスPFCコンバータにおいては、ホール電流センサによって直接的に検出された入力電流の値(Iac)をバイポーラ型のアナログ/デジタル変換器(A/Dコンバータ)によってデジタル化し、斯くしてデジタル化された入力電流の値(Iac)から入力電流の絶対値(Iacabs)を得ている。また、図1に示すブリッジレスPFCコンバータにおいては、1対の入力端に対して並列に接続された分配抵抗を用いて測定される分配電圧から導かれる入力電圧の値(Vac)をバイポーラ型のアナログ/デジタル変換器(A/Dコンバータ)によってデジタル化し、斯くしてデジタル化された入力電圧の値(Vac)から入力電圧の位相情報と共に、入力電圧の絶対値(Vacabs)を得ている。
上記において、図1に示すブリッジレスPFCコンバータは、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータとは異なるが、出力電圧の値(Vdc)を検出する方法については、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータと同様である。また、上記のようにして検出された入力電流の絶対値(Iacabs)、入力電圧の絶対値(Vacabs)、及び出力電圧の値(Vdc)に基づき、平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行する点についても、図1に示すブリッジレスPFCコンバータは、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータと同様である。
しかしながら、上述のように、図1に示すブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力電流を検出する手段として、高価なホール電流センサを使用することから、その分、当該ブリッジレスPFCコンバータの製造コストの増大が避けられないという問題があった。
一方、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータは、上述のように、前記1対の出力端のグランド側の端子と前記平滑用コンデンサのグランド側の端子との合流点から前記第1スイッチング素子のグランド側の端子と前記第2スイッチング素子のグランド側の端子との合流点へと流れる昇圧用コイルの放電電流を検出する放電電流検出手段を更に備える。即ち、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力端においてではなく、1対の出力端のグランド側の端子と前記平滑用コンデンサのグランド側の端子との合流点と、前記第1スイッチング素子のグランド側の端子と前記第2スイッチング素子のグランド側の端子との合流点と、の間において電流を検出する。
ここで、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例につき、添付図面を参照しながら、以下に説明する。図2は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す模式的な回路図である。図2に示す実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータは、負荷(RL)の両端に接続されている1対の出力端と、交流単相電源に接続されている1対の入力端(L及びN)と、前記1対の出力端に対して並列に接続された平滑用コンデンサ(C1)と、前記1対の出力端に対して並列に接続された第1アームであって、前記1対の出力端のグランド側から順に、第1寄生ダイオード(D7)を備える第1スイッチング素子(FET1)と第1整流素子(D1)とが第1接続点(VP1)において直列に接続されてなる第1アームと、前記1対の出力端に対して並列に接続された第2アームであって、前記1対の出力端のグランド側から順に、第2寄生ダイオード(D8)を備える第2スイッチング素子(FET2)と第2整流素子(D2)とが第2接続点(VP2)において直列に接続されてなる第2アームと、前記1対の入力端の一方(L)と前記第1接続点(VP1)との間に接続される第1昇圧用コイル(L1)と、前記1対の入力端の他方(N)と前記第2接続点(VP2)との間に接続される第2昇圧用コイル(L2)と、前記1対の入力端(L及びN)に入力される交流電力の電圧である入力電圧の値(Vac)を検出する入力電圧検出手段(整流素子(D3)及び分配抵抗(R1及びR2)を含む)と、前記1対の出力端に出力される直流電力の電圧である出力電圧を検出する出力電圧検出手段(分配抵抗R3及びR4を含む)と、電源投入時に一時的に流れる大電流である突入電流を制限する突入電流制限手段と、前記1対の入力端(L及びN)に入力される交流電力の電流である入力電流の値(Iac)、前記入力電圧の値(Vac)、前記出力電圧の値(Vdc)、及び前記入力電圧の位相情報に基づき、平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行する制御手段(マイコン)と、を備える。
加えて、図2に示す実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータは、前記1対の出力端のグランド側の端子と前記平滑用コンデンサ(C1)のグランド側の端子との合流点から前記第1スイッチング素子(FET1)のグランド側の端子と前記第2スイッチング素子(FET2)のグランド側の端子との合流点へと流れる昇圧用コイル(L1及びL2)の放電電流を検出する放電電流検出手段(RS1)を更に備える。当該放電電流検出手段(RS1)は、グランド側の出力端から上下アームのグランド側へと流れる電流(昇圧用コイルの放電電流)を検出する電流センサを備える。かかるセンサは、例えば、シャント抵抗を用いるタイプのものであってもよく、あるいは上記電流の流路に介装された一次コイルを有する電流検出用トランス(CT:Current Transformer)(「計器用変流器」とも称する場合がある)を用いるタイプのものであってもよい。これにより、図2に示す実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、グランド側の出力端から上下アームのグランド側へと流れる電流(昇圧用コイルの放電電流)を放電電流検出手段(RS1)によって検出することができる。
尚、図2に示す実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、例えば、ノイズ抑制等を目的として、前記1対の出力端のグランド側と前記入力端(L及びN)の各々との間に整流素子(D5及びD6)が接続されているが、かかる構成は必須の要件ではない。本発明の他の実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す他の模式的な回路図についても同様である。
上記のような構成を有する図2に示す実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータは、上述のように、突入電流制限手段による突入電流の制限が実施される突入電流制限実施期間において、第1スイッチング素子(FET1)及び第2スイッチング素子(FET2)の両方を非導通状態とし、入力電圧検出手段によって検出される入力電圧の値(Vac)に基づいて、入力端(L及びN)に入力される交流電力の入力電圧の位相情報を検出する。尚、図2に示す実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、1対の入力端(L及びN)の一方(L)に接続された整流素子(D3)を介して分配抵抗(R1及びR2)に入力電圧の正半周半波整流成分が伝達され、分配抵抗(R1及びR2)を構成する抵抗素子(R2)において生ずる電圧降下に基づいて、入力電圧の値(Vac)の正半周半波整流成分が検出され、斯くして検出された入力電圧の値(Vac)の正半周半波整流成分に基づいて負半周整流成分が推測され、これらに基づいて入力電圧の値(Vac)及び位相情報が検出される。
しかしながら、前述のように、入力電圧の値(Vac)を検出し、これに基づいて、入力端に入力される交流電力の入力電圧の絶対値及び位相情報を検出する具体的な方法は、上記に限定されるものではない。即ち、入力電圧の絶対値及び位相情報は、例えば、1対の入力端(L及びN)の各々における入力電圧の半波整流後の値に基づいて検出してもよく、あるいは、例えば、図2に示す実施態様におけるように、1対の入力端(L及びN)の何れか一方における入力電圧の半波整流後の値に基づいて検出してもよい。更には、入力電圧の位相情報は、1対の入力端(L及びN)の両方における入力電圧の全波整流後の値に基づいて検出してもよい(詳細については後述する)。
次いで、図2に示す実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータは、上述のように、前記突入電流制限手段による突入電流の制限が解除されて前記PFC昇圧制御が実行される突入電流制限解除期間において、前記制御手段が、前記放電電流の値に基づいて昇圧用コイルの充電電流の値を算出し、前記放電電流の値及び前記充電電流の値に基づいて入力電流の値(Iac)を算出し、前記入力電流の値(Iac)、前記入力電圧の値(Vac)、前記出力電圧の値(Vdc)、及び前記位相情報に基づいて、平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行する。尚、図2に示す実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、放電電流検出手段(RS1)による検出信号が制御手段(マイコン)に伝達され、ユニポーラ型のアナログ/デジタル変換器(A/Dコンバータ)によってデジタル化され、斯くしてデジタル化された放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)から充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c)を推測し、これらのデジタルデータを合成することにより、入力電流の絶対値(Iacabs)を得ている。
従って、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータが備える放電電流検出手段としては、高価な検出手段(例えば、高耐圧差動アンプとシャント抵抗との組み合わせ、ホール電流センサ等)を採用する必要が無い。換言すれば、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータが備える放電電流検出手段としては、安価な検出手段を採用することができる。かかる安価な検出手段の具体例としては、例えば、昇圧用コイルの放電電流の流路に介装されたシャント抵抗と安価な汎用の差動アンプとの組み合わせ、昇圧用コイルの放電電流の流路に介装された一次コイルを有する電流検出用トランス(CT)等、種々の構成を有する検出手段を挙げることができる(それぞれ、後に詳述する)。また、放電電流検出手段によって検出された検出信号に基づいて昇圧用コイルの放電電流の値を求める方法は、デジタル式であっても、あるいはアナログ式であってもよい。
但し、上記放電電流検出手段は、突入電流制限手段による突入電流の制限が解除されてPFC昇圧制御が実行される突入電流制限解除期間においては、昇圧用コイルの放電電流のみを検出する。換言すれば、PFC昇圧制御が実行される期間においては、上記放電電流検出手段は、昇圧用コイルの放電電流しか検出することができず、昇圧用コイルの充電電流は検出することができない。従って、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて入力電流を検出するためには、何等かの方法により昇圧用コイルの充電電流を特定し、当該充電電流及び上記放電電流に基づいて入力電流を求める必要がある。
ここで、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおける電流の流れの一例につき、添付図面を参照しながら、以下に説明する。図3は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が正半周である場合における、PFC昇圧制御実行時の電流の流れを表す模式的な回路図である。一方、図4は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が負半周である場合における、PFC昇圧制御実行時の電流の流れを表す模式的な回路図である。尚、以下の説明においては、出力端のグランド側から入力端へと向かう方向を負方向と規定し、負方向の逆の方向を正方向と規定するものとする。また、全ての電流値はベクトル値であるものとする。
前述のように、突入電流制限解除期間においては、突入電流制限手段による突入電流の制限を解除され、PFC昇圧制御が実行される。この際、入力電圧が正半周である場合は、第1スイッチング素子(FET1)のみをスイッチング動作させ、第2スイッチング素子(FET2)を非導通状態(OFF)に固定することができる。一方、入力電圧が負半周である場合は、第2スイッチング素子(FET2)のみをスイッチング動作させ、第1スイッチング素子(FET1)を非導通状態(OFF)に固定することができる。
そこで、先ず、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が正半周である場合における、昇圧制御実行時の電流の流れについて、図3を参照しながら詳しく説明する。この場合、上述のように、第2スイッチング素子(FET2)を非導通状態(OFF)に固定し、第1スイッチング素子(FET1)のみをスイッチング動作させる。この際、第1スイッチング素子(FET1)が導通状態(ON)にあるときは、図3(a)に示すように、正半周にある入力電流(Iac+)は、第1昇圧用コイル(L1)、第1スイッチング素子(FET1)、第2スイッチング素子(FET2)が備える第2寄生ダイオード(D8)、第2昇圧用コイル(L2)の順に流れる。この際、第1昇圧用コイル(L1)及び第2昇圧用コイル(L2)の充電が起こる。また、これらの昇圧用コイルの充電電流(IL1_c=IL2_c)は、放電電流検出手段(RS1)を通過しないため、放電電流検出手段(RS1)によって検出されない。
一方、第1スイッチング素子(FET1)が非導通状態(OFF)にあるときは、図3(b)に示すように、正半周にある入力電流(Iac+)は、第1昇圧用コイル(L1)、第1整流素子(D1)、負荷(RL)、放電電流検出手段(RS1)、第2スイッチング素子(FET2)が備える第2寄生ダイオード(D8)、第2昇圧用コイル(L2)の順に流れる。この際、第1昇圧用コイル(L1)及び第2昇圧用コイル(L2)からの放電が起こる。また、これらの昇圧用コイルの放電電流(IL1_rc=IL2_rc)は、放電電流検出手段(RS1)を通過するため、放電電流検出手段(RS1)によって検出される。
即ち、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が正半周である場合においては、上述のように、第2スイッチング素子(FET2)を非導通状態(OFF)に固定し、第1スイッチング素子(FET1)のみをスイッチング動作させる。この場合、第1スイッチング素子(FET1)が導通状態(ON)であるときは、昇圧用コイル(L1及びL2)の充電電流(IL1_c=IL2_c)は、放電電流検出手段(RS1)を通過しない。一方、第1スイッチング素子(FET1)が非導通状態(OFF)であるときは、昇圧用コイル(L1及びL2)の放電電流(IL1_rc=IL2_rc)は、放電電流検出手段(RS1)を通過する。従って、前述のように、突入電流制限解除期間において、入力電圧が正半周である場合は、放電電流検出手段(RS1)は、昇圧用コイル(L1及びL2)の放電電流(IL1_rc=IL2_rc)しか検出することができず、昇圧用コイルの充電電流(IL1_c=IL2_c)は検出することができない。
次に、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が負半周である場合における、昇圧制御実行時の電流の流れについて、図4を参照しながら詳しく説明する。この場合、上述のように、第1スイッチング素子(FET1)を非導通状態(OFF)に固定し、第2スイッチング素子(FET2)のみをスイッチング動作させる。この際、第2スイッチング素子(FET2)が導通状態(ON)にあるときは、図4(a)に示すように、負半周にある入力電流(Iac−)は、第2昇圧用コイル(L2)、第2スイッチング素子(FET2)、第1スイッチング素子(FET1)が備える第1寄生ダイオード(D7)、第1昇圧用コイル(L1)の順に流れる。この際、第1昇圧用コイル(L1)及び第2昇圧用コイル(L2)の充電が起こる。また、これらの昇圧用コイルの充電電流(IL1_c=IL2_c)は、放電電流検出手段(RS1)を通過しないため、放電電流検出手段(RS1)によって検出されない。
一方、第2スイッチング素子(FET2)が非導通状態(OFF)にあるときは、図4(b)に示すように、負半周にある入力電流(Iac−)は、第2昇圧用コイル(L2)、第2整流素子(D2)、負荷(RL)、放電電流検出手段(RS1)、第1スイッチング素子(FET1)が備える第1寄生ダイオード(D7)、第1昇圧用コイル(L1)の順に流れる。この際、第1昇圧用コイル(L1)及び第2昇圧用コイル(L2)からの放電が起こる。また、これらの昇圧用コイルの放電電流(IL1_rc=IL2_rc)は、放電電流検出手段(RS1)を通過するため、放電電流検出手段(RS1)によって検出される。
即ち、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が負半周である場合においては、上述のように、第1スイッチング素子(FET1)を非導通状態(OFF)に固定し、第2スイッチング素子(FET2)のみをスイッチング動作させる。この場合、第2スイッチング素子(FET2)が導通状態(ON)であるときは、昇圧用コイル(L1及びL2)の充電電流(IL1_c=IL2_c)は、放電電流検出手段(RS1)を通過しない。一方、第2スイッチング素子(FET2)が非導通状態(OFF)であるときは、昇圧用コイル(L1及びL2)の放電電流(IL1_rc=IL2_rc)は、放電電流検出手段(RS1)を通過する。従って、前述のように、突入電流制限解除期間において、入力電圧が負半周である場合もまた、放電電流検出手段(RS1)は、昇圧用コイル(L1及びL2)の放電電流(IL1_rc=IL2_rc)しか検出することができず、昇圧用コイルの充電電流(IL1_c=IL2_c)は検出することができない。
以上のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータは、昇圧用コイルの放電電流を検出する放電電流検出手段を備えているものの、入力電流そのもの又は昇圧用コイルの充電電流を検出する手段を備えていない。従って、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて入力電流を検出するためには、上述のように、何等かの方法により昇圧用コイルの充電電流を特定し、当該充電電流及び上記放電電流に基づいて入力電流を求める必要がある。
例えば、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて放電電流検出手段によって検出された放電電流の値に基づいて昇圧用コイルの充電電流の値を算出する処理を、マイコン等のデジタル式制御装置等によって行おうとする場合は、放電電流検出手段によって検出された放電電流の値に対応する信号を、アナログ/デジタル変換器(A/Dコンバータ)によってデジタル化する必要がある。
しかしながら、上述のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、突入電流制限解除期間中、入力電圧が正半周である場合は、第1スイッチング素子(FET1)が非導通状態(OFF)にあるときに、昇圧用コイルの放電電流(IL1_rc=IL2_rc)は放電電流検出手段(RS1)を通過して検出され、入力電圧が負半周である場合は、第2スイッチング素子(FET2)が非導通状態(OFF)にあるときに、昇圧用コイルの放電電流(IL1_rc=IL2_rc)は放電電流検出手段(RS1)を通過して検出される。つまり、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、突入電流制限解除期間中、スイッチング動作をさせるスイッチング素子が非導通状態(OFF)にあるときにのみ昇圧用コイルの放電電流(IL1_rc=IL2_rc)が流れ、放電電流検出手段(RS1)によって検出される。
従って、上述した放電電流検出手段によって検出された放電電流の値に対応する信号を例えばアナログ/デジタル変換器(A/Dコンバータ)等によってデジタル化する処理は、少なくともスイッチング動作をさせるスイッチング素子が非導通状態(OFF)にあるときにのみ有効(イネーブル)にすればよい。
ここで、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおける入力電流の導出手順の一例につき、添付図面を参照しながら、以下に説明する。図5は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流制限解除期間中に、放電電流検出手段によって検出される昇圧用コイルの放電電流の値に基づいて昇圧用コイルの充電電流の値を推測し、斯くして算出された充電電流及び放電電流の値に基づいて入力電流の値を導き出す手順を表すタイミング・チャートである。
図5に示されている実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、放電電流検出手段によって検出された放電電流の値に対応する信号をデジタル化する処理の有効/無効を、図5の最上段に示されているスイッチング素子(FET)のゲート駆動用フラグのON/OFFに基づいて制御している。具体的には、図5に示す実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、図5の上から2段目に示されているように、スイッチング素子(FET)のゲート駆動用フラグがOFFになるタイミングに合わせて、放電電流の値に対応する信号のアナログ/デジタル変換(A/D変換)を有効(イネーブル)に設定し、スイッチング素子(FET)のゲート駆動用フラグが再びONになってから所定の短い時間が経過したタイミングにおいて、放電電流の値に対応する信号のアナログ/デジタル変換(A/D変換)を無効(ディスエイブル)に設定している。
上記により、図5に示されている実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、図5の上から3段目において太い実線によって示されているように、スイッチング素子(FET)が非導通状態(OFF)にあるときにのみ流れる放電電流(IL1_rc=IL2_rc)の値に対応する放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)が得られる。しかしながら、上述のように、スイッチング素子(FET)が導通状態(ON)にあるときに流れる充電電流(IL1_c=IL2_c)については、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータが備える放電電流検出手段によっては検出されない。従って、図5の上から3段目において細い破線によって示されている、スイッチング素子(FET)が導通状態(ON)にあるときに流れる充電電流(IL1_c=IL2_c)の値に対応する充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c)もまた、A/D変換によっては得られない。
しかしながら、スイッチング素子(FET)が導通状態(ON)にある特定の期間の前後には、スイッチング素子(FET)が非導通状態(OFF)にある期間が存在し、これらの期間においては放電電流(IL1_rc=IL2_rc)がそれぞれ検出され、これらの放電電流(IL1_rc=IL2_rc)の値に対応する放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)がそれぞれ得られる。従って、これらの放電電流(IL1_rc=IL2_rc)の値に対応する放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)に基づいて、充電電流(IL1_c=IL2_c)の値に対応する充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c)の値を算出することができる。これにより、これらの放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)及び充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c)に基づいて、入力電流(Iac)の絶対値(Iacabs)に対応するデジタルデータを算出し、入力電流(Iac)の絶対値(Iacabs)を求めることができる。
尚、昇圧用コイルの放電電流(IL1_rc=IL2_rc)の値(図5に示されている実施態様においては、放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc))に基づいて、昇圧用コイルの充電電流(IL1_c=IL2_c)の値(図5に示されている実施態様においては、充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c))を算出するための具体的な方法は特に限定されず、当該技術分野において知られている種々の方法から適宜選択することができる。例えば、スイッチング素子(FET)が導通状態(ON)にある特定の期間における充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c))を、当該期間の前後に存在する、スイッチング素子(FET)が非導通状態(OFF)にある期間における放電電流(IL1_rc=IL2_rc)の値に対応する放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)に基づく補間法(内挿法)によって算出してもよい。また、当該補間法(内挿法)は、例えば、線形補間法(線形内挿法)であってもよい。
尚、図5に示されている実施態様においては、線形補間法(線形内挿法)によって、放電電流(IL1_rc=IL2_rc)の値(放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc))から、充電電流(IL1_c=IL2_c)の値(充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c))を算出している。当該算出手順につき、ここで図5を再び参照しながら詳細に説明する。上述のように、図5の上から3段目において太い実線によって示されているように、スイッチング素子(FET)が非導通状態(OFF)にあるときにのみ流れる放電電流(IL1_rc=IL2_rc)の値に対応する放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)が得られる。しかしながら、上述のように、スイッチング素子(FET)が導通状態(ON)にあるときに流れる充電電流(IL1_c=IL2_c)については、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータが備える放電電流検出手段によっては検出されない。
ここで、突入電流制限解除期間における特定の制御周期において得られる放電電流は、昇圧用コイルに充電された電力が放電されるのに伴って小さくなる。従って、特定の制御周期における放電電流については、その初期値が最も大きく、その最終値が最も小さい。図5においては、n番目に得られた放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)について、初期値(最大値)Imax(n)が時刻tmax(n)において検出され、最終値(最小値)Imin(n)が時刻tmin(n)において検出されたこととする。従って、次のn+1番目に得られた放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)については、初期値(最大値)Imax(n+1)が時刻tmax(n+1)において検出され、最終値(最小値)Imin(n+1)が時刻tmin(n+1)において検出されたこととなる。
次に、上記n番目に得られた放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)とn+1番目に得られた放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)との間の期間(即ち、時刻tmin(n)と時刻tmax(n+1)との間の期間)における充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c)を線形補間法(線形内挿法)によって求める。上記のように、n番目に得られた放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)の時刻tmin(n)における最終値はImin(n)であり、n+1番目に得られた放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)の時刻tmax(n+1)における初期値はImax(n+1)である。
従って、線形補間法(線形内挿法)によれば、図5の最下段において太い実線によって表されているように、時刻tmin(n)と時刻tmax(n+1)との間の期間内の時刻tにおける充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c)は、n番目に得られた放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)の時刻tmin(n)における最終値Imin(n)と、n+1番目に得られた放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)の時刻tmax(n+1)における初期値Imax(n+1)とを結ぶ直線によって表すことができる。即ち、時刻tmin(n)と時刻tmax(n+1)との間の期間内の時刻tにおける充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c)は、以下の式(1)によって表すことができる。
Figure 2014042432
上記のように、図5に示されている実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)に基づいて充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c)を算出することができる。上述のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータへの入力電流としては、スイッチング素子(FET)が導通状態(ON)にある期間においては昇圧用コイルの充電電流(IL1_c=IL2_c)が流れ、スイッチング素子(FET)が非導通状態(OFF)にある期間においては昇圧用コイルの放電電流(IL1_rc=IL2_rc)が流れる。従って、充電電流(IL1_c=IL2_c)の値に対応する充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c)と放電電流(IL1_rc=IL2_rc)の値に対応する放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)とを合成することにより、入力電流(Iac)の絶対値(Iacabs)に対応するデジタルデータを算出し、入力電流(Iac)の絶対値(Iacabs)を求めることができる。また、入力電圧が正周期であるか否かに関する情報も得られる場合は、入力電流(Iac)の瞬時値もまた復調することができる。
但し、図5に示されている方法によって放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)に基づいて充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c)を算出する場合は、上記のように、n番目に得られた放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)の時刻tmin(n)における最終値Imin(n)が特定された後に、時刻tmin(n)と時刻tmax(n+1)との間の期間内の時刻tにおける充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c)が算出される。従って、かかる方法によって放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)に基づいて充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c)を算出する場合は、入力電流(Iac)の絶対値(Iacabs)は、PWM制御周期の1周期後に復調されることとなる。
また、図5に示されている実施態様においては、線形補間法(線形内挿法)によって、放電電流(IL1_rc=IL2_rc)の値(放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc))から、充電電流(IL1_c=IL2_c)の値(充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c))を算出したが、放電電流に基づいて充電電流を特定する具体的な手法は、上述のように、かかる線形補間法(線形内挿法)等に限定されるものではなく、当該技術分野において知られている種々の方法から適宜選択することができる。
以上のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、突入電流の制限が実施される期間中に、入力される交流電力の位相情報を入力電圧に基づいて検出しておき、突入電流の制限が解除されてPFC昇圧制御が実行される期間中に、グランド側の出力端から上下アームのグランド側へと流れる電流(放電電流)を検出し、当該放電電流に基づいて特定される充電電流及び放電電流から入力電流を算出することにより、高価なホール電流センサや高耐圧差動アンプを用いること無く、平均電流モードによるPFC昇圧制御に必要なパラメータである入力電流を得ることができる。結果として、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータによれば、製造コストの増大を伴うこと無く入力電流を検出して、平均電流モード制御にて、ブリッジレスPFCコンバータを制御することができる。
ここで、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの動作の一例について、添付図面を参照しながら、以下に説明する。図6は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの動作を説明するフローチャートである。図6に示すように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、先ず、当該ブリッジレスPFCコンバータにおいて突入電流制限手段による突入電流の制限が実施されている突入電流制限実施期間中に、ステップS01において、第1スイッチング素子(FET1)及び第2スイッチング素子(FET2)の両方を非導通状態(OFF)とし、入力電圧の値(Vac)に基づいて、入力電圧の位相情報を検出する。
ここで、入力電圧の位相情報とは、例えば、入力電圧の周期等を含む情報であり、例えば、入力電圧の最大振幅、波形、ゼロクロス点のタイミング、入力電圧が正周期であるか否か等に関する情報を更に含んでいてもよい。かかる入力電圧の位相情報は、例えば、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータが備える入力電圧検出手段によって検出される入力電圧の推移に基づいて特定することができる。尚、図6に示すフローチャートは、入力電圧が正周期であるか否か等に関する情報を含む場合における本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの動作を説明している。
尚、入力電圧の値(Vac)に基づいて、入力電圧の位相情報を検出する具体的な方法は、例えば、ブリッジレスPFCコンバータの構成等に応じて適宜選択することができる。位相情報を検出する方法の1つの例としては、例えば、入力電圧検出手段によって検出される1対の入力端のそれぞれについての入力電圧の半波整流後の値から特定される入力電圧の推移及びゼロクロス点に基づいて入力電圧の位相情報を検出する方法を挙げることができる。また、位相情報を検出する方法のもう1つの例としては、例えば、入力電圧検出手段によって検出される1対の入力端の何れか一方についての入力電圧の半波整流後の値から特定される入力電圧の推移及びゼロクロス点に基づいて入力電圧の位相情報を検出する方法を挙げることができる。更に、位相情報を検出する方法のもう1つの例としては、例えば、入力電圧検出手段によって検出される入力電圧の全波整流後の値から特定される入力電圧の推移及びゼロクロス点に基づいて、入力電圧の位相情報を検出する方法を挙げることができる。
上記のようにステップS01において入力電圧の位相情報を検出したら、次のステップS02において、突入電流制限手段による突入電流の制限を解除し、PFC昇圧制御が実行される突入電流制限解除期間へと移行する。次いで、ステップS03において、入力端に入力される交流電力の電圧(入力電圧)が正半周であるか否かを判定する。上記ステップS03において入力電圧が正半周ではない(即ち、負半周である)と判定される場合(ステップS03:No)、次のステップS04において、第1スイッチング素子(FET1)を非導通状態(OFF)とし、第2スイッチング素子(FET2)のみをスイッチング動作させる。一方、上記ステップS03において入力電圧が正半周であると判定される場合(ステップS03:Yes)、次のステップS05において、第2スイッチング素子(FET2)を非導通状態(OFF)とし、第1スイッチング素子(FET1)のみをスイッチング動作させる。
尚、入力電圧が正半周である場合及び負半周である場合の何れの場合においても、次のステップS06において、放電電流検出手段によって検出される昇圧用コイルの放電電流及び当該放電電流に基づいて推測される昇圧用コイルの充電電流から入力電流を導き出す。そして、斯くして導き出される入力電流、入力電圧検出手段によって検出される入力電圧、出力電圧検出手段によって検出される出力電圧、及び制御手段によって検出される位相情報を用いて、平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行することができる。
以上のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータによれば、突入電流の制限が実施される期間中に、入力される交流電力の位相情報を入力電圧に基づいて検出しておき、突入電流の制限が解除されてPFC昇圧制御が実行される期間中に、グランド側の出力端から上下アームのグランド側へと流れる電流(昇圧用コイルの放電電流)を検出し、当該電流に基づいて昇圧用コイルの充電電流を推測し、斯くして得られた放電電流と充電電流とを合成して、入力電流を導き出す。これにより、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータによれば、高価なホール電流センサや高耐圧差動アンプを用いること無く、平均電流モードによるPFC昇圧制御に必要なパラメータである入力電流を得ることができる。従って、本実施態様によれば、製造コストの増大を伴うこと無く入力電流を検出して平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行するブリッジレスPFCコンバータを提供することができる。
上記のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、突入電流の制限が解除されてPFC昇圧制御が実行される期間中に、グランド側の出力端から上下アームのグランド側へと流れる電流(昇圧用コイルの放電電流)を検出し、当該電流に基づいて昇圧用コイルの充電電流を推測し、斯くして得られた放電電流と充電電流とを合成して、入力電流を導き出す。図5を参照しながら説明したように、昇圧用コイルの放電電流から充電電流を推測する具体的な手法としては、例えば、スイッチング素子(FET)が導通状態(ON)にある特定の期間における充電電流デジタルデータ(Irs1dc_c))を、当該期間の前後に存在する、スイッチング素子(FET)が非導通状態(OFF)にある期間における放電電流(IL1_rc=IL2_rc)の値に対応する放電電流デジタルデータ(Irs1dc_rc)に基づく補間法(内挿法)によって算出する方法を挙げることができる。
従って、本発明の第2の実施態様は、
本発明の前記第1の実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータであって、
前記制御手段が、前記突入電流制限解除期間において、ある制御周期における放電電流の初期値と当該制御周知の直前の制御周期における放電電流の最終値とに基づく補間法により、当該制御周期における放電電流が流れた期間と当該制御周知の直前の制御周期における放電電流が流れた期間との間の期間における充電電流の値を算出する、
ブリッジレスPFCコンバータである。
上記のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、前記制御手段が、前記突入電流制限解除期間において、ある制御周期における放電電流の初期値と当該制御周知の直前の制御周期における放電電流の最終値とに基づく補間法(内挿法)により、当該制御周期における放電電流が流れた期間と当該制御周知の直前の制御周期における放電電流が流れた期間との間の期間における充電電流の値を算出する。これにより、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータによれば、突入電流制限手段による突入電流の制限が解除されてPFC昇圧制御が実行される突入電流制限解除期間において、放電電流検出手段によって検出される放電電流の値に基づいて、昇圧用コイルの充電電流の値を容易に算出することができる。従って、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータによれば、放電電流及び充電電流の値に基づいて入力電流の値を容易に算出することができる。また、上述のように、当該補間法(内挿法)は、例えば、線形補間法(線形内挿法)であってもよい。
従って、本発明の第3の実施態様は、
本発明の前記第2の実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータであって、
前記補間法が線形補間法である、
ブリッジレスPFCコンバータである。
上記のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、前記補間法(内挿法)が線形補間法(線形内挿法)である。これにより、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータによれば、突入電流制限手段による突入電流の制限が解除されてPFC昇圧制御が実行される突入電流制限解除期間において、放電電流検出手段によって検出される放電電流の値に基づいて、昇圧用コイルの充電電流の値をより一層容易に算出することができる。従って、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータによれば、放電電流及び充電電流の値に基づいて入力電流の値をより一層容易に算出することができる。
尚、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流制限解除期間において、ある制御周期における放電電流の初期値と当該制御周知の直前の制御周期における放電電流の最終値とに基づく線形補間法(線形内挿法)により、当該制御周期における放電電流が流れた期間と当該制御周知の直前の制御周期における放電電流が流れた期間との間の期間における充電電流の値を算出する具体的な手法については、図5を参照しながら既に説明したので、ここでは重複して説明はしない。
ところで、上述したように、本発明に係るブリッジレスPFCコンバータが備える放電電流検出手段の具体例としては、例えば、昇圧用コイルの放電電流の流路に介装されたシャント抵抗と安価な汎用の差動アンプとの組み合わせ、昇圧用コイルの放電電流の流路に介装された一次コイルを有する電流検出用トランス(CT)等、種々の構成を有する検出手段を挙げることができる。また、放電電流検出手段によって検出された検出信号に基づいて昇圧用コイルの放電電流の値を求める方法は、デジタル式であっても、あるいはアナログ式であってもよい。
従って、本発明の第4の実施態様は、
本発明の前記第1乃至前記第3の実施態様の何れか1つに係るブリッジレスPFCコンバータであって、
前記放電電流検出手段が、前記放電電流の経路に対して直列に接続された抵抗素子、及び当該抵抗素子の両端における電圧の差に基づく信号を増幅する差動アンプを含んでなり、これにより、前記放電電流の値に対応する信号を得る、
ブリッジレスPFCコンバータである。
上記のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、前記放電電流検出手段が、前記放電電流の経路に対して直列に接続された抵抗素子、及び当該抵抗素子の両端における電圧の差に基づく信号を増幅する差動アンプを含んでなる。これにより、放電電流の大きさに応じた電圧降下が抵抗素子において発生し、当該電圧降下に応じた電位差に基づく信号を差動アンプが増幅して、放電電流の値に対応する信号を得る。
ここで、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおける入力電流の導出手順の一例につき、添付図面を参照しながら、以下に説明する。図7は、前述のように、本発明のもう1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す模式的な回路図である。図7に示すように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、放電電流の値に対応する信号を得る手段として、放電電流の流路に介装されたシャント抵抗の両端における電圧の差に基づく信号を増幅する差動アンプと当該差動アンプからの出力信号に対してリミッタ処理を実施するリミッタとの組み合わせを含む構成が採用されている。
より詳しくは、図7に示す実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、1対の出力端のグランド(PGND1)側の端子と平滑用コンデンサ(C1)のグランド(PGND1)側の端子との合流点から第1スイッチング素子(FET1)のグランド(PGND)側の端子と第2スイッチング素子(FET2)のグランド(PGND)側の端子との合流点へと流れる昇圧用コイルの放電電流の経路に対して直列に接続された第1抵抗素子(RS1)、当該第1抵抗素子(RS1)の両端における電圧の差に基づく信号を増幅する第1差動アンプ(OPA1)、及び当該第1差動アンプ(OPA1)からの出力信号に対してリミッタ処理を実施する第1リミッタ(LMT1)を含んでなる。尚、図7に示す実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、第1抵抗素子(RS1)と第1差動アンプ(OPA1)との間にローパスフィルタ(LPF)が配設されているが、かかる構成は必須の要件ではない。
上記のような構成を有する本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、1対の出力端のグランド(PGND1)側の端子と平滑用コンデンサ(C1)のグランド(PGND1)側の端子との合流点から第1スイッチング素子(FET1)のグランド(PGND)側の端子と第2スイッチング素子(FET2)のグランド(PGND)側の端子との合流点に向かって(負方向に)第1抵抗素子(RS1)を流れる昇圧用コイルの放電電流が正の出力となるように、第1差動アンプ(OPA1)の極性が設定される。次に、第1差動アンプ(OPA1)からの出力のうち、負の出力をカットし、正の出力を通す(即ち、正電流をカットし、負電流を通す)ように、第1リミッタ(LMT1)が配設される。かかる構成により、昇圧用コイルの放電電流の値に対応する正の信号が得られる。
尚、図7に示した構成においては、上述のように、第1差動アンプ(OPA1)からの出力信号に対してリミッタ処理を実施する第1リミッタ(LMT1)が配設されている。当該第1リミッタ(LMT1)は、第1差動アンプ(OPA1)からの出力のうち(負方向に流れる放電電流に対応する)正の出力信号のみが流れるように第1差動アンプ(OPA1)からの出力を半波整流する。しかしながら、昇圧用コイルの放電電流は負方向にのみ流れるので、第1リミッタ(LMT1)を配設しなくても、第1差動アンプ(OPA1)からの出力信号は正の出力信号のみとなる。即ち、図7に示した構成において第1差動アンプ(OPA1)の出力側に設けられている第1リミッタ(LMT1)は、意図せぬ極性を有する信号が制御回路に入力されるのを防止するための保護回路として配設されているものであり、第1リミッタ(LMT1)は、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおける必須の構成要素ではない。
上記のようにして得られた昇圧用コイルの放電電流の値(に対応する正の出力信号)は、例えば、マイコン等のデジタル式制御装置等に送られ、上述のように、放電電流の値に基づいて、昇圧用コイルの充電電流の値が算出され、斯くして得られた放電電流及び充電電流の値に基づいて入力電流の値が算出され、斯くして得られた入力電流の値、入力電圧の値、出力電圧の値、及び入力電圧の位相情報に基づいて、平均電流モードにてPFC昇圧制御が実行される。この際、制御装置に送られる差動アンプからの出力信号は、上述のように、正の出力信号のみとなるように差動アンプの極性が設定される。また、負の出力信号が誤って制御装置に送られることを防止する保護回路として、差動アンプの出力側にリミッタを配設してもよい。従って、図7に示すような構成は、昇圧用コイルの放電電流に基づいて入力電流を導き出す処理を実行する制御装置(例えば、マイコン等)が、ユニポーラ型である場合に適している。
また、一般に、ユニポーラ型の制御装置を用いるシステムにおいては、負の信号が制御装置へと送られて制御装置の故障等を生ずる等の問題を招かないように、制御装置への入力信号の伝達経路にリミッタを配設することが広く行われている。従って、ユニポーラ型の制御装置を用いるブリッジレスPFCコンバータに対して、図7に示す実施態様を適用する場合にいては、既存のリミッタを使用することができるので、製造コストの増大を抑制することができる。
ところで、上述したように、本発明に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて昇圧用コイルの放電電流の値に対応する信号を得る手段の構成としては、当該放電電流の流路に介装された一次コイルを有する電流検出用トランス(CT)を含んでなる構成を挙げることができる。
従って、本発明の第5の実施態様は、
本発明の前記第1乃至前記第3の実施態様の何れか1つに係るブリッジレスPFCコンバータであって、
前記放電電流検出手段が、前記放電電流の経路に対して直列に接続された一次コイルを有する電流検出用トランスを含んでなり、これにより、前記放電電流の値に対応する信号を得る、
ブリッジレスPFCコンバータである。
上記のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、前記放電電流検出手段が、前記放電電流の経路に対して直列に接続された一次コイルを有する電流検出用トランスを含んでなる。これにより、電流検出用トランスにおいて、一次コイルに流れる放電電流の方向及び大きさに対応した誘導電流が二次コイルに誘起される。かかる構成を有する本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、1対の出力端のグランド(PGND1)側の端子と平滑用コンデンサ(C1)のグランド(PGND1)側の端子との合流点から第1スイッチング素子(FET1)のグランド(PGND)側の端子と第2スイッチング素子(FET2)のグランド(PGND)側の端子との合流点に向かって(負方向に)電流検出用トランスの一次コイルを流れる昇圧用コイルの放電電流が正の出力となるように、電流検出用トランスの極性が設定される。
ここで、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおける入力電流の導出手順の一例につき、添付図面を参照しながら、以下に説明する。図8は、前述のように、本発明の更にもう1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す模式的な回路図である。図8に示すように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、昇圧用コイルの放電電流の経路に対して直列に接続された一次コイルを有する第1電流検出用トランス(CT1)、及び当該第1電流検出用トランス(CT1)が有する二次コイルに対して直列に接続された第1トランス整流素子(TD1)を含む構成が採用されている。
より詳しくは、図8示す実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、1対の出力端のグランド(PGND1)側の端子と平滑用コンデンサ(C1)のグランド(PGND1)側の端子との合流点から第1スイッチング素子(FET1)のグランド(PGND)側の端子と第2スイッチング素子(FET2)のグランド(PGND)側の端子との合流点に向かって(負方向に)流れる昇圧用コイルの放電電流を検出する放電電流検出手段は、放電電流の経路に対して直列に接続された一次コイルを有する第1電流検出用トランス(CT1)を含んでなる。当該第1電流検出用トランス(CT1)においては、昇圧用コイルの充電電流が(負方向に)一次コイルに流れた場合に、正の信号を出力する方向の誘導電流が二次コイルに誘起されるように構成されている。次に、第1電流検出用トランス(CT1)からの出力のうち、負の出力をカットし、正の出力を通す(即ち、正電流をカットし、負電流を通す)ように、第1トランス整流素子(TD1)が配設される。かかる構成により、昇圧用コイルの放電電流の値に対応する正の信号が得られる。
尚、図8に示した構成においては、上述のように、第1電流検出用トランス(CT1)からの出力信号に対してリミッタ処理を実施する第1トランス整流素子(TD1)が配設されている。当該第1トランス整流素子(TD1)は、第1電流検出用トランス(CT1)からの出力のうち(負方向に流れる放電電流に対応する)正の出力信号のみが流れるように第1電流検出用トランス(CT1)からの出力を半波整流する。しかしながら、昇圧用コイルの放電電流は負方向にのみ流れるので、第1トランス整流素子(TD1)を配設しなくても、第1電流検出用トランス(CT1)からの出力信号は正の出力信号のみとなる。即ち、図8に示した構成において第1電流検出用トランス(CT1)の出力側に設けられている第1トランス整流素子(TD1)は、意図せぬ極性を有する信号が制御回路に入力されるのを防止するための保護回路として配設されているものであり、第1トランス整流素子(TD1)は、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおける必須の構成要素ではない。
上記のようにして得られた昇圧用コイルの放電電流の値(に対応する正の出力信号)は、例えば、マイコン等のデジタル式制御装置等に送られ、上述のように、放電電流の値に基づいて、昇圧用コイルの充電電流の値が算出され、斯くして得られた放電電流及び充電電流の値に基づいて入力電流の値が算出され、斯くして得られた入力電流の値、入力電圧の値、出力電圧の値、及び位相情報に基づいて、平均電流モードにてPFC昇圧制御が実行される。この際、制御装置に送られる電流検出用トランスからの出力信号は、上述のように、正の出力信号のみとなるように電流検出用トランスの極性が設定される。また、負の出力信号が誤って制御装置に送られることを防止する保護回路として、電流検出用トランスの出力側にトランス整流素子を配設してもよい。従って、図8に示すような構成もまた、昇圧用コイルの放電電流に基づいて入力電流を導き出す処理を実行する制御装置(例えば、マイコン等)が、ユニポーラ型である場合に適している。
ところで、前述のように、入力電圧の値(Vac)を検出し、これに基づいて、入力端に入力される交流電力の入力電圧の絶対値及び位相情報を検出する具体的な方法は、特に限定されるものではない。即ち、入力電圧の絶対値及び位相情報は、例えば、1対の入力端(L及びN)の各々における入力電圧の半波整流後の値に基づいて検出してもよく、あるいは、例えば、図2に示す実施態様におけるように、1対の入力端(L及びN)の何れか一方における入力電圧の半波整流後の値に基づいて検出してもよい。更には、入力電圧の位相情報は、1対の入力端(L及びN)の両方における入力電圧の全波整流後の値に基づいて検出してもよい。
例えば、昇圧用コイルの放電電流を検出する放電電流検出手段としてシャント抵抗と差動アンプとの組み合わせ及び電流検出用トランスをそれぞれ採用した上述の実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの具体例を示す添付図面(それぞれ、図7及び図8)においては、1対の入力端(L及びN)の各々における入力電圧の半波整流後の値(即ち、入力電圧の正半周及び負半周に対応する半波整流後の値)に基づいて、入力電圧の位相情報を検出する。かかる構成においては、入力電圧の正半周及び負半周のそれぞれについて半波整流された入力電圧を検出することができる。従って、かかる構成によれば、入力電圧の絶対値及び位相情報の何れをも容易に求めることができ、入力電圧が正半周であるか負半周であるかの区別も容易である。
従って、本発明の第6の実施態様は、
本発明の前記第1乃至前記第5の実施態様の何れか1つに係るブリッジレスPFCコンバータであって、
前記入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値及び前記入力電圧の負半周成分に対応する半波整流後の値の両方に基づいて前記入力電圧を検出する、
ブリッジレスPFCコンバータである。
上記のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、前記入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値及び前記入力電圧の負半周成分に対応する半波整流後の値の両方に基づいて前記入力電圧を検出する。これにより、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力電圧の絶対値及び位相情報の何れをも容易に求めることができ、入力電圧が正半周であるか又は負半周であるかをも容易に区別することができる。
尚、上記のように、入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値及び入力電圧の負半周成分に対応する半波整流後の値の両方に基づいて入力電圧を検出し、斯くして検出された入力電圧の値に基づいて入力電圧の位相情報を検出することができるブリッジレスPFCコンバータの構成の具体例としては、例えば、前述した図7及び図8に示したブリッジレスPFCコンバータを挙げることができる。尚、図7及び図8に示したブリッジレスPFCコンバータは、放電電流検出手段の構成が異なる点を除き、同じ構成を有するので、以下の説明においては、図7を参照しながら、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおける入力電圧検出手段の構成の一例について詳細に述べる。
図7に示した実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、1対の入力端の両方(L及びN)に接続された整流素子(それぞれ、D4及びD3)を介して分配抵抗(それぞれ、R1とR2との組み合わせ及びR1′とR2′との組み合わせ)に入力電圧の正半周半波整流成分及び正半周半波整流成分がそれぞれ伝達され、分配抵抗(それぞれ、R1とR2との組み合わせ及びR1′とR2′との組み合わせ)を構成する抵抗素子(それぞれ、R2及びR2′)において生ずる電圧降下に基づいて、入力電圧の値(Vac)の正半周半波整流成分及び正半周半波整流成分がそれぞれ検出される。
従って、図7に示した実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、上記のようにして検出された入力電圧の値(Vac)の正半周半波整流成分と正半周半波整流成分とを合成することにより、入力電圧の絶対値(Vacabs)を容易に導き出すことができる、これに加えて、図7に示した実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、整流素子D4及び分配抵抗(R1及びR2)を構成する抵抗素子R2を介して検出される入力電圧は正半周成分であり、整流素子D3及び分配抵抗(R1′及びR2′)を構成する抵抗素子R2′を介して検出される入力電圧は負半周成分である。従って、図7に示した実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力電圧が正半周であるか又は負半周であるかをも容易に区別することができる。
ところで、前述のように、入力電圧の値(Vac)を検出し、これに基づいて、入力端に入力される交流電力の入力電圧の絶対値及び位相情報を検出する具体的な方法は、特に限定されるものではない。即ち、入力電圧の絶対値及び位相情報は、例えば、1対の入力端(L及びN)の各々における入力電圧の半波整流後の値に基づいて検出してもよく、あるいは、例えば、図2に示す実施態様におけるように、1対の入力端(L及びN)の何れか一方における入力電圧の半波整流後の値に基づいて検出してもよい。更には、入力電圧の絶対値及び位相情報は、1対の入力端(L及びN)の両方における入力電圧の全波整流後の値に基づいて検出してもよい。
例えば、前述のように、図2に示した実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、1対の入力端(L及びN)の一方(L)に接続された整流素子(D3)を介して分配抵抗(R1及びR2)に入力電圧の正半周半波整流成分が伝達され、分配抵抗(R1及びR2)を構成する抵抗素子(R2)において生ずる電圧降下に基づいて、入力電圧の値(Vac)の正半周半波整流成分が検出され、斯くして検出された入力電圧の値(Vac)の正半周半波整流成分に基づいて負半周整流成分が推測され、これらに基づいて入力電圧の値(Vac)及び位相情報が検出される。
従って、本発明の第7の実施態様は、
本発明の前記第1乃至前記第5の実施態様の何れか1つに係るブリッジレスPFCコンバータであって、
前記入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値及び前記入力電圧の負半周成分に対応する半波整流後の値の何れか一方のみに基づいて前記入力電圧を検出する、
ブリッジレスPFCコンバータである。
上記のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、前記入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値及び前記入力電圧の負半周成分に対応する半波整流後の値の何れか一方のみに基づいて前記入力電圧を検出する。このため、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値及び入力電圧の負半周成分に対応する半波整流後の値の両方に基づいて入力電圧を検出する実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータとは異なり、入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値又は負半周成分に対応する半波整流後の値の何れか一方についてしか、入力電圧を検出できない。従って、入力電圧の絶対値及び位相情報を求めるためには、入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値又は負半周成分に対応する半波整流後の値の検出することができる一方に基づいて、検出することができない他方を何等かの方法によって推測して、これらを合成する必要がある。
しかしながら、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値及び入力電圧の負半周成分に対応する半波整流後の値の両方に基づいて入力電圧を検出する実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータと比較して、入力電圧検出手段の構成を大幅に簡素化することができる(例えば、入力電圧検出手段を構成する部品の点数は約半分となる)。その結果、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータによれば、簡素化された構成により製造コストを抑えつつ、入力電圧の絶対値及び位相情報の何れをも容易に求めることができ、入力電圧が正半周であるか又は負半周であるかをも容易に区別することができる。
ここで、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおける入力電圧の値及び位相情報の検出手順の一例につき、添付図面を参照しながら、以下に説明する。図9は、前述のように、本発明の更にもう1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す模式的な回路図である。尚、図9に示すブリッジレスPFCコンバータの構成は、1対の入力端(L及びN)の何れか一方における入力電圧の半波整流後の値に基づいて入力電圧の値及び位相情報を検出する点を除き、図7に示したブリッジレスPFCコンバータと同じ構成を有する。
図9に示すように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、例えば、図2に示した実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータと同様に、1対の入力端(L及びN)の一方(L)に接続された整流素子(D3)を介して分配抵抗(R1及びR2)に入力電圧の正半周半波整流成分が伝達され、分配抵抗(R1及びR2)を構成する抵抗素子(R2)において生ずる電圧降下に基づいて、入力電圧の値(Vac)の正半周半波整流成分が検出され、斯くして検出された入力電圧の値(Vac)の正半周半波整流成分に基づいて負半周整流成分が推測され、これらに基づいて入力電圧の値(Vac)及び位相情報が検出される。
上記のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータが備える入力電圧検出手段においては、入力電圧の負半周半波整流成分を直接検出することができないため、入力電圧の値(Vac)及び位相情報を求めるためには、入力電圧の負半周半波整流成分を何等かの方法により導き出し、正半周半波整流成分と合成する必要がある。
ここで、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおける入力電圧の絶対値及び位相情報の検出手順の一例につき、添付図面を参照しながら、以下に説明する。図10は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流制限実施期間中に、入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値及び負半周成分に対応する半波整流後の値の何れか一方のみに基づいて、(a)入力電圧の絶対値を求める手順、及び(b)入力電圧の位相情報を表すフラグを導き出す手順、を表すタイミング・チャートである。
先ず、図10(a)を参照しながら、本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流制限実施期間中に、入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値に基づいて、入力電圧の負半周成分に対応する半波整流後を推測し、これらを合成して入力電圧の絶対値を求める手順について説明する。図10に係る実施態様においては、最上段に示すように、入力電圧の値(Vac)は正半周から始まる正弦波として表される。しかしながら、上述した図9に示したような構成を有する入力電圧検出手段においては、上述したように入力電圧の正半周半波整流成分(Vac+)しか検出することができない。斯くして検出される入力電圧の正半周半波整流成分(Vac+)を、図10(a)の上から2段目に示す。
しかしながら、交流電力である入力電圧の負半周半波整流成分(Vac−)は、入力電圧の正半周半波整流成分(Vac+)に対して、位相が180°遅れ、極性が逆になった成分である筈である。従って、交流電力である入力電圧の負半周半波整流成分(Vac−)の絶対値は、入力電圧の正半周半波整流成分(Vac+)に対して、位相が180°遅れた成分である筈である。そこで、図10(a)の上から3段目に示すように、入力電圧の正半周半波整流成分(Vac+)の位相を180°遅らせるだけで、入力電圧の負半周半波整流成分(Vac−)の絶対値を容易に導き出すことができる。斯くして導き出された入力電圧の負半周半波整流成分(Vac−)の絶対値を、入力電圧検出手段によって検出された入力電圧の正半周半波整流成分(Vac+)と合成することにより、図10(a)の最下段に示すように、入力電圧の絶対値(Vacabs)を得ることができる((Vac+)+(Vac−)=Vacabs)。
次に、図10(b)を参照しながら、本発明の1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流制限実施期間中に、入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値に基づいて、入力電圧の位相情報を表すフラグを導き出す手順について説明する。図10(b)においても、入力電圧の値(Vac)は、正半周から始まる正弦波として最上段に示されている。また、上述した図9に示したような構成を有する入力電圧検出手段において検出される入力電圧の正半周半波整流成分(Vac+)についても、図10(a)と同様に、上から2段目に示されている。
上記のように、入力電圧の負半周半波整流成分(Vac−)は検出されないが、入力電圧の正半周半波整流成分(Vac+)が検出されない期間においては、入力電圧は負半周にある筈である。従って、入力電圧のゼロクロス点を境として、入力電圧の正半周半波整流成分(Vac+)が検出される期間は正半周、入力電圧の正半周半波整流成分(Vac+)が検出されない期間は負半周とみなすことができる筈である。
より詳しくは、例えば、図10(b)の上から2段目及び最下段に示すように、1つ目のゼロクロス点が検出されたときに、その直前の半周において入力電圧の正半周整流成分(Vac+)の値が所定の閾値(Vref)を超えている期間が存在することから、その直前の半周は正半周であり、次の半周は負半周である筈であることを特定することができる。一方、2つ目のゼロクロス点が検出されたときには、その直前の半周において入力電圧の正半周整流成分(Vac+)の値が所定の閾値(Vref)を超えている期間が存在しないことから、その直前の半周は負半周であり、次の半周は正半周である筈であることを特定することができる。斯くして、図10(b)の上から3段目に示す入力電圧の負半周半波整流成分(Vac−)の絶対値を使用すること無く、入力電圧の極性フラグ(Vacpnfg)を生成することができる。これにより、入力電圧が正半周であるか負半周であるかの区別も容易となる。
ところで、前述のように、入力電圧の値(Vac)を検出し、これに基づいて、入力端に入力される交流電力の入力電圧の絶対値及び位相情報を検出する具体的な方法は、特に限定されるものではない。即ち、入力電圧の絶対値及び位相情報は、例えば、1対の入力端(L及びN)の各々における入力電圧の半波整流後の値に基づいて検出してもよく、あるいは、1対の入力端(L及びN)の何れか一方における入力電圧の半波整流後の値に基づいて検出してもよい。更には、入力電圧の絶対値及び位相情報は、1対の入力端(L及びN)の両方における入力電圧の全波整流後の値に基づいて検出してもよい。
従って、本発明の第8の実施態様は、
本発明の前記第1乃至前記第5の実施態様の何れか1つに係るブリッジレスPFCコンバータであって、
前記入力電圧の全波整流後の値に基づいて前記入力電圧を検出する、
ブリッジレスPFCコンバータである。
上記のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力電圧の全波整流後の値に基づいて入力電圧を検出する。従って、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力電圧検出手段によって検出される入力電圧は全波整流されているため、入力電圧が正半周であるか負半周であるかの区別を可能とする情報を得ることができない。
従って、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、図3及び図4を参照しながら上述したような、突入電流制限解除期間において、入力電圧が正半周である場合には第2スイッチング素子(FET2)を非導通状態(OFF)に固定し、第1スイッチング素子(FET1)のみをスイッチング動作させ、入力電圧が負半周である場合には第1スイッチング素子(FET1)を非導通状態(OFF)に固定し、第2スイッチング素子(FET2)のみをスイッチング動作させるという制御を行うことはできない。
しかしながら、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力電圧が正半周であるか負半周であるかに拘わらず、第1スイッチング素子(FET1)及び第2スイッチング素子(FET2)を両方とも同じゲート駆動信号によって制御することにより、平均電流モードにてPFC昇圧制御を問題無く実行することができる。結果として、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータによれば、1つのゲート駆動用回路により2つのスイッチング素子を制御することができ、入力電圧が正半周であるか負半周であるかを区別する必要も無いため、極めて簡素な制御機構により、平均電流モードにおけるPFC昇圧制御を実現することができる。
ここで、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおける入力電圧の値及び位相情報の検出手順の一例につき、添付図面を参照しながら、以下に説明する。図11は、前述のように、本発明の更にもう1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す模式的な回路図である。尚、図11に示すブリッジレスPFCコンバータの構成は、1対の入力端の両方(L及びN)にそれぞれ接続された整流素子(それぞれ、D4及びD3)を介して引き出された入力電圧の正半周整流成分及び負半周整流成分(絶対値)を分配抵抗(R1及びR2)の上流側(入力端側)で合流させてから分配抵抗(R1及びR2)に導く点を除き、図7に示したブリッジレスPFCコンバータと同じ構成を有する。
上記のように、図11に示す実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、1対の入力端(L及びN)のそれぞれに接続された整流素子(D4及びD3)により半波整流された入力電圧の正半周半波整流成分が合流された後に分配抵抗(R1及びR2)に伝達される。即ち、分配抵抗(R1及びR2)に伝達されるのは、全波整流後の入力電圧に対応する電流である。かかる電流が分配抵抗(R1及びR2)に伝達されるので、分配抵抗(R1及びR2)を構成する抵抗素子(R2)において生ずる電圧降下に基づいて、入力電圧の絶対値及び位相情報を検出することができる。
従って、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいても、入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値及び入力電圧の負半周成分に対応する半波整流後の値の両方に基づいて入力電圧を検出する実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータと比較して、入力電圧検出手段の構成を大幅に簡素化することができる(1対の入力端のそれぞれに接続される整流素子を除き、入力電圧検出手段を構成する部品の点数は約半分となる)。その結果、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータによれば、簡素化された構成により製造コストを抑えつつ、入力電圧の絶対値及び位相情報の何れをも容易に求めることができる。
しかしながら、上述のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力電圧検出手段によって検出される入力電圧は全波整流されているため、入力電圧が正半周であるか負半周であるかの区別を可能とする情報を得ることができない。その結果、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、図3及び図4に示したような、入力電圧の極性(正半周であるか負半周であるか)に応じて、第1スイッチング素子(FET1)と第2スイッチング素子(FET2)とで異なるゲート駆動制御を実行することはできない。
にも拘わらず、上述のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、極めて簡素な制御機構により、平均電流モードにおけるPFC昇圧制御を実現することができる。ここで、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおける突入電流制限解除期間中のPFC昇圧制御実行時の電流の流れにつき、図3及び図4を再び参照しながら、以下に説明する。
図3は、前述のように、本実施態様とは異なる別の実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が正半周である場合における、PFC昇圧制御実行時の電流の流れを表す模式的な回路図である。一方、図4は、前述のように、本実施態様とは異なる別の実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいて、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が負半周である場合における、PFC昇圧制御実行時の電流の流れを表す模式的な回路図である。尚、以下の説明においても、出力端のグランド側から入力端へと向かう方向を負方向と規定し、負方向の逆の方向を正方向と規定するものとする。また、全ての電流値はベクトル値であるものとする。
前述のように、突入電流制限解除期間においては、突入電流制限手段による突入電流の制限を解除され、PFC昇圧制御が実行される。この際、図3及び図4に示した実施態様においては、入力電圧が正半周である場合は、第1スイッチング素子(FET1)のみをスイッチング動作させ、第2スイッチング素子(FET2)を非導通状態(OFF)に固定することができる。一方、入力電圧が負半周である場合は、第2スイッチング素子(FET2)のみをスイッチング動作させ、第1スイッチング素子(FET1)を非導通状態(OFF)に固定することができる。しかしながら、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、上述のように、入力電圧検出手段によって検出される入力電圧は全波整流されているため、入力電圧が正半周であるか負半周であるかの区別を可能とする情報を得ることができない。
そこで、先ず、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が正半周である場合における、昇圧制御実行時の電流の流れについて、図3を参照しながら改めて説明する。この場合、前述のように、図3に示した実施態様においては、第2スイッチング素子(FET2)を非導通状態(OFF)に固定し、第1スイッチング素子(FET1)のみをスイッチング動作させる。この際、第1スイッチング素子(FET1)が導通状態(ON)にあるときは、図3(a)に示したように、正半周にある入力電流(Iac+)は、第1昇圧用コイル(L1)、第1スイッチング素子(FET1)、第2スイッチング素子(FET2)が備える第2寄生ダイオード(D8)、第2昇圧用コイル(L2)の順に流れる。
しかしながら、この際、図3(a)とは異なり、第2スイッチング素子(FET2)が第1スイッチング素子(FET1)と同様に導通状態(ON)になっていても、正半周にある入力電流(Iac+)が、第2スイッチング素子(FET2)が備える第2寄生ダイオード(D8)ではなく、第2スイッチング素子(FET2)そのものを介して流れる点を除き、上記と同様の経路を流れることができる(図12(a)を参照)。
一方、第1スイッチング素子(FET1)が非導通状態(OFF)にあるときは、図3(b)に示したように、正半周にある入力電流(Iac+)は、第1昇圧用コイル(L1)、第1整流素子(D1)、負荷(RL)、放電電流検出手段(RS1)、第2スイッチング素子(FET2)が備える第2寄生ダイオード(D8)、第2昇圧用コイル(L2)の順に流れる。この際、図3(b)に示したように、第2スイッチング素子(FET2)は第1スイッチング素子(FET1)と同様に非導通状態(OFF)になっている。
以上のように、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が正半周である場合において、図3を参照しながら前述したように第2スイッチング素子(FET2)を非導通状態(OFF)に固定し且つ第1スイッチング素子(FET1)のみをスイッチング動作させるのではなく、第1スイッチング素子(FET1)及び第2スイッチング素子(FET2)の両方を同様にスイッチング動作させても、正半周にある入力電流(Iac+)が流れる経路は基本的に変わらないことが判る。
次に、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が負半周である場合における、昇圧制御実行時の電流の流れについて、図4を参照しながら改めて説明する。この場合、前述のように、図4に示した実施態様においては、第1スイッチング素子(FET1)を非導通状態(OFF)に固定し、第2スイッチング素子(FET2)のみをスイッチング動作させる。この際、第2スイッチング素子(FET2)が導通状態(ON)にあるときは、図4(a)に示したように、負半周にある入力電流(Iac−)は、第2昇圧用コイル(L2)、第2スイッチング素子(FET2)、第1スイッチング素子(FET1)が備える第1寄生ダイオード(D7)、第1昇圧用コイル(L1)の順に流れる。
しかしながら、この際、図4(a)とは異なり、第1スイッチング素子(FET1)が第2スイッチング素子(FET2)と同様に導通状態(ON)になっていても、負半周にある入力電流(Iac−)が、第1スイッチング素子(FET1)が備える第1寄生ダイオード(D7)ではなく、第1スイッチング素子(FET1)そのものを介して流れる点を除き、上記と同様の経路を流れることができる(図12(b)を参照)。
一方、第2スイッチング素子(FET2)が非導通状態(OFF)にあるときは、図4(b)に示したように、負半周にある入力電流(Iac−)は、第2昇圧用コイル(L2)、第2整流素子(D2)、負荷(RL)、放電電流検出手段(RS1)、第1スイッチング素子(FET1)が備える第1寄生ダイオード(D7)、第1昇圧用コイル(L1)の順に流れる。この際、図4(b)に示したように、第1スイッチング素子(FET1)は第2スイッチング素子(FET2)と同様に非導通状態(OFF)になっている。
以上のように、突入電流制限解除期間中に、入力電圧が負半周である場合においても、図4を参照しながら前述したように第1スイッチング素子(FET1)を非導通状態(OFF)に固定し且つ第2スイッチング素子(FET2)のみをスイッチング動作させるのではなく、第1スイッチング素子(FET1)及び第2スイッチング素子(FET2)の両方を同様にスイッチング動作させても、負半周にある入力電流(Iac−)が流れる経路は基本的に変わらないことが判る。
即ち、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、上述のように、入力電圧が正半周であるか負半周であるかに拘わらず、第1スイッチング素子(FET1)及び第2スイッチング素子(FET2)を両方とも同じゲート駆動信号によって制御することにより、平均電流モードにてPFC昇圧制御を問題無く実行することができる。結果として、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータによれば、1つのゲート駆動用回路(例えば、図11に示すFETドライバ回路)により2つのスイッチング素子を制御することができ、入力電圧が正半周であるか負半周であるかを区別する必要も無いため、極めて簡素な制御機構により、平均電流モードにおけるPFC昇圧制御を実現することができる。
従って、本発明の第9の実施態様は、
本発明の前記第8の実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータであって、
前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の両方を1つのゲート駆動用回路によって制御する、
ブリッジレスPFCコンバータである。
上記のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、本発明の前記第8の実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータと同様に、入力電圧の全波整流後の値に基づいて入力電圧を検出する。従って、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力電圧検出手段によって検出される入力電圧は全波整流されているため、入力電圧が正半周であるか負半周であるかの区別を可能とする情報を得ることができない。しかしながら、上述のように、入力電圧が正半周であるか負半周であるかに拘わらず、第1スイッチング素子(FET1)及び第2スイッチング素子(FET2)を両方とも同じゲート駆動信号によって制御することにより、平均電流モードにてPFC昇圧制御を問題無く実行することができる。
結果として、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力電圧が正半周であるか負半周であるかを区別する必要も無いため、1つのゲート駆動用回路により2つのスイッチング素子を制御することができる。即ち、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータによれば、極めて簡素な機構により、入力電圧の検出及びスイッチング素子の制御を実行することができるので、極めて低いコストで、平均電流モードによるPFC昇圧制御を実現することができる。
ここで、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおける平均電流モードによるPFC昇圧制御の一例につき、添付図面を参照しながら、以下に説明する。図13は、前述のように、本発明の更にもう1つの実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成の一例を示す模式的な回路図である。尚、図13に示すブリッジレスPFCコンバータの構成は、平均電流モードによるPFC昇圧制御を実行する制御手段としてのデジタル式制御装置(ディジタル・コントローラ)(例えば、マイコン等)をブロック図として詳しく記載した点を除き、図11に示したブリッジレスPFCコンバータと基本的には同じ構成を有する。
図11に示したブリッジレスPFCコンバータと同様に、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいても、1対の入力端(L及びN)のそれぞれに接続された整流素子(D4及びD3)により半波整流された入力電圧の正半周半波整流成分が合流された後に分配抵抗(R1及びR2)に伝達される。即ち、分配抵抗(R1及びR2)に伝達されるのは、全波整流後の入力電圧に対応する電流である。かかる電流が分配抵抗(R1及びR2)に伝達されるので、分配抵抗(R1及びR2)を構成する抵抗素子(R2)において生ずる電圧降下に基づいて、入力電圧の絶対値及び位相情報を検出することができる。
斯くして検出された入力電圧の絶対値及び位相情報と、別途検出された入力電流の値、及び出力電圧の値に基づいて平均電流モードによるPFC昇圧制御を実行する手順は、図2及び図11に示したブリッジレスPFCコンバータと同様であるので、ここでは詳細には説明しない。但し、上述のように、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、入力電圧が正半周であるか負半周であるかを区別する必要も無いため、第1スイッチング素子(FET1)及び第2スイッチング素子(FET2)の両方を1つのゲート駆動用回路によって制御する。従って、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、制御手段(ディジタル・コントローラ)が備える出力モジュールからスイッチング素子のゲート駆動用回路に対して、第1スイッチング素子(FET1)及び第2スイッチング素子(FET2)のそれぞれについての2系統の制御信号を出力するのではなく、第1スイッチング素子(FET1)及び第2スイッチング素子(FET2)に共通の1系統の制御信号のみを出力すればよい。加えて、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、上述のように、入力電圧が正半周であるか負半周であるかを区別する必要が無いため、平均電流モードによるPFC昇圧制御を実行する制御手段においても入力電圧の極性(正半周であるか負半周であるか)を検出する必要が無い。
結果として、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータにおいては、1つのゲート駆動用回路により2つのスイッチング素子を制御することができる。即ち、本実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータによれば、上述のように、極めて簡素な機構により、入力電圧の検出及びスイッチング素子の制御を実行することができるので、極めて低いコストで、平均電流モードによるPFC昇圧制御を実現することができる。
ところで、これまで説明してきた本発明の種々の実施態様に係るブリッジレスPFCコンバータの構成からも明らかであるように、入力電圧及び入力電流の何れか又は両方を検出する際に、これらの検出信号の極性が常に一定(例えば、正)となるように検出手段を構成することができる。この場合、例えば、差動アンプ、制御手段(マイコン)等の関連機器において、単電源を採用したり、A/D変換をユニポーラとしたりすることができる。その結果、例えば、検出用回路及び電源の構成を簡素化することができるので、かかるブリッジレスPFCコンバータの製造コストを抑えることができる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施態様について説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることができることは言うまでも無い。

Claims (9)

  1. 1対の出力端と、
    1対の入力端と、
    前記1対の出力端に対して並列に接続された平滑用コンデンサと、
    前記1対の出力端に対して並列に接続された第1アームであって、前記1対の出力端のグランド側から順に、第1寄生ダイオードを備える第1スイッチング素子と第1整流素子とが第1接続点において直列に接続されてなる第1アームと、
    前記1対の出力端に対して並列に接続された第2アームであって、前記1対の出力端のグランド側から順に、第2寄生ダイオードを備える第2スイッチング素子と第2整流素子とが第2接続点において直列に接続されてなる第2アームと、
    前記1対の入力端の一方と前記第1接続点との間に接続される第1昇圧用コイルと、
    前記1対の入力端の他方と前記第2接続点との間に接続される第2昇圧用コイルと、
    前記1対の入力端に入力される交流電力の電圧である入力電圧を検出する入力電圧検出手段と、
    前記1対の出力端に出力される直流電力の電圧である出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
    電源投入時に一時的に流れる大電流である突入電流を制限する突入電流制限手段と、
    前記入力端に入力される交流電力の電流である入力電流の値、前記入力電圧の値、前記出力電圧の値、及び前記入力電圧の位相情報に基づいて、平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行する、
    制御手段と、
    を備える、
    ブリッジレスPFCコンバータであって、
    前記1対の出力端のグランド側の端子と前記平滑用コンデンサのグランド側の端子との合流点から前記第1スイッチング素子のグランド側の端子と前記第2スイッチング素子のグランド側の端子との合流点へと流れる昇圧用コイルの放電電流を検出する放電電流検出手段を更に備え、
    前記制御手段が、
    前記突入電流制限手段による突入電流の制限が実施される突入電流制限実施期間において、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の両方を非導通状態とし、前記入力電圧の値に基づいて、前記入力電圧の位相情報を検出し、
    前記突入電流制限手段による突入電流の制限が解除されて前記PFC昇圧制御が実行される突入電流制限解除期間において、
    前記放電電流の値に基づいて、昇圧用コイルの充電電流の値を算出し、
    前記放電電流の値及び前記充電電流の値に基づいて、入力電流の値を算出し、
    前記入力電流の値、前記入力電圧の値、前記出力電圧の値、及び前記位相情報に基づいて、平均電流モードにてPFC昇圧制御を実行する、
    ブリッジレスPFCコンバータ。
  2. 請求項1に記載のブリッジレスPFCコンバータであって、
    前記制御手段が、前記突入電流制限解除期間において、ある制御周期における放電電流の初期値と当該制御周知の直前の制御周期における放電電流の最終値とに基づく補間法により、当該制御周期における放電電流が流れた期間と当該制御周知の直前の制御周期における放電電流が流れた期間との間の期間における充電電流の値を算出する、
    ブリッジレスPFCコンバータ。
  3. 請求項2に記載のブリッジレスPFCコンバータであって、
    前記補間法が線形補間法である、
    ブリッジレスPFCコンバータ。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載のブリッジレスPFCコンバータであって、
    前記放電電流検出手段が、前記放電電流の経路に対して直列に接続された抵抗素子、及び当該抵抗素子の両端における電圧の差に基づく信号を増幅する差動アンプを含んでなり、これにより、前記放電電流の値に対応する信号を得る、
    ブリッジレスPFCコンバータ。
  5. 請求項1乃至3の何れか1項に記載のブリッジレスPFCコンバータであって、
    前記放電電流検出手段が、前記放電電流の経路に対して直列に接続された一次コイルを有する電流検出用トランスを含んでなり、これにより、前記放電電流の値に対応する信号を得る、
    ブリッジレスPFCコンバータ。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載のブリッジレスPFCコンバータであって、
    前記入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値及び前記入力電圧の負半周成分に対応する半波整流後の値の両方に基づいて前記入力電圧を検出する、
    ブリッジレスPFCコンバータ。
  7. 請求項1乃至5の何れか1項に記載のブリッジレスPFCコンバータであって、
    前記入力電圧の正半周成分に対応する半波整流後の値及び前記入力電圧の負半周成分に対応する半波整流後の値の何れか一方のみに基づいて前記入力電圧を検出する、
    ブリッジレスPFCコンバータ。
  8. 請求項1乃至5の何れか1項に記載のブリッジレスPFCコンバータであって、
    前記入力電圧の全波整流後の値に基づいて前記入力電圧を検出する、
    ブリッジレスPFCコンバータ。
  9. 請求項8に記載のブリッジレスPFCコンバータであって、
    前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の両方を1つのゲート駆動用回路によって制御する、
    ブリッジレスPFCコンバータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106093533A (zh) * 2016-07-28 2016-11-09 深圳茂硕电子科技有限公司 一种无桥pfc电流型采样电路
WO2022045781A1 (ko) * 2020-08-28 2022-03-03 삼성전자 주식회사 공통 모드 노이즈 및 도통 손실이 적은 역률 개선 컨버터 및 이를 포함하는 전자 장치

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