JP2014037438A - カバノキ花粉アレルギーの処置のための連続重複ペプチド - Google Patents

カバノキ花粉アレルギーの処置のための連続重複ペプチド Download PDF

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Abstract

【課題】カバノキ花粉アレルギーの処置のための連続重複ペプチドの提供。
【解決手段】カバノキ花粉Betv1の主要アレルゲンの配列から、特異的免疫治療(SIT)によるアレルギー患者の処置のための連続重複ペプチド(COP)が提供される。そのようなペプチドは、全ての潜在的T細胞エピトープを提供する一方、原型アレルゲンの3D構造を欠き、従って、それらのIgEに結合する能力を減少する。例えば、一つの様相では、本発明はカバノキ花粉アレルギーの処置用組成物として連続重複ペプチド(COP)を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、その開示が本明細書に参照により組み込まれる、2009年2月9日に出願された米国仮出願番号61/151,045の利益を主張する。
本発明は、Betv1カバノキ花粉主要アレルゲン由来の連続重複ペプチド(COP)、および医学におけるそのような化合物の使用に関する。本発明の化合物および処置方法は、カバノキ花粉アレルギーの処置に及び、その治療を幅広く加速するのに有用であると考えられる。
IgE媒介アレルギー疾患は、特に、人口の4分の1もがアレルギー性鼻炎に影響されている工業国において非常に一般的であるように思われる。(非特許文献1)。さらに、アレルギー性鼻炎に苦しむ人々は、健常者よりも低い生活の質を呈し(非特許文献2)、ごくわずかしか自然的に回復しない。全てのアレルギー患者のおよそ25%が、木の花粉に反応する。これらのうち、90%がカバノキ花粉抽出物による皮膚試験に対する反応性を呈する(皮膚プリック試験、SPT)。アレルギーは、公知のペプチド配列の環境タンパク質によって引き起こされ、カバノキ花粉アレルギーについては、ほとんどの患者が、主要なカバノキ花粉アレルゲンであるBetv1に対して高感受性を呈する。Betv1は、植物防御において重要な役割を果たすタンパク質ファミリーの一部であり、従って、Betv1交差反応タンパク質はいくつかの植物において見出された(非特許文献3)。加えて、カバノキ花粉に対するアレルギーは、頻繁にブナ目ファミリーの他の樹木に対するアレルギー、およびヘーゼルナッツ、リンゴ、メロンおよびモモ等のある食物アレルギーと関連する(非特許文献4および非特許文献5)。
IgE媒介アレルギーの原因に対して向けられた唯一の処置は、特異的免疫治療(SIT)である。この処置は、アレルギー患者において寛容を誘導するために長期間(3〜5年)に亘ってアレルゲンの増加する用量を注射することからなる。いくつかの研究は、特に長期処置の際、アレルギー反応に対するこの療法の利点を示した(非特許文献6および非特許文献7)。しかしながら、特に超急速療法(ultra rush therapy)において多くの副作用が観察され、30%までの患者が療法の経過中、アレルギー症状に対して処置されなければならなかった(非特許文献8)。従って、許容できる安全性を有するより短期間の療法形態のSITの代替法に対する強い医学的必要性が存在する。
SITの安全性および有効性を向上するために異なるアプローチが試験されてきた。TH1免疫反応を増加する、MPL等のアジュバント(アレルギー療法)(非特許文献9)、DNA配列(非特許文献10)またはCpGと組み合わせられたバクテリオファージ(非特許文献11)を添加することによって、処方物または既存の抽出物が改良されてきており、従って、可能なアレルゲン抽出物の量の減少を可能とする。一定のアレルゲンは、全部の抽出物に代えて使用された。カバノキ花粉の場合、組換えBetv1を用いた治験は、全カバノキ花粉抽出物と同等の有効性を呈した(非特許文献12)。
処置の結果生じるアレルギー症状の発生を減少させるため、異なるグループが、低アレルギーの可能性を有する、すなわち低減されたIgE結合を呈する製品の使用を探索した。特に、制限された(ristricted)数のT細胞エピトープを含むペプチドは、限られた有効性しか有さないネコ鱗屑(cat dander)のアレルゲン免疫療法に使用された(非特許文献13)。しかしながら、アレルゲンは、患者のHLA型に部分的に依存する非常に多様なT細胞エピトープを抱える。例えば、T細胞エピトープは、短い領域以外で、Betv1配列を通して散在することが見出された(非特許文献14)。従って、有効な免疫療法製品は、好ましくは、選択されたT細胞エピトープよりも、アレルゲンの完全配列を含有するべきである。
ヒトIgEが、主に、アレルゲンの断片化によって分離され得る非連続エピトープを認識するという証拠に基づいて、アレルゲンのフラグメントの使用は、依然として魅力的である。Betv1の2つの連続するフラグメントまたは、Betv1の三量体形態は、ヒトにおける第I相研究で試験され、健康状態の改善傾向を呈するが、症状薬物スコア(symptom medication score)における顕著な改善は提供されなかった(非特許文献15)。しかしながら、その研究において、多くの有害事象が観察され、その大半は注射の数時間後に生じた(非特許文献16)。ハチ毒の主要アレルゲン、すなわちホスホリパーゼA2の3種のフラグメントもまた、ヒトにおいて試験され、低下したIgE結合に起因する優れた安全性を呈する一方、IgG4およびIL−10の上昇したレベルを誘導した(非特許文献17)。アレルゲンの全アミノ酸配列を共に形成し、従って、アレルゲンの全ての可能性のあるT細胞エピトープを提供する一方で、低下したIgE結合を有する、アレルギーの治療用連続重複ペプチド(COP)を選択するための、方法が考案された。(特許文献1)。そのような選択されたフラグメントは、アレルゲンの原型の三次元構造を再形成する低減された能力を呈し、もしあれば、低減されたIgEへの結合能力を結果として生じ、従って、ヒトにおけるアレルギー反応を誘発する。
国際公開第2004/081028号
Settipane,R.A.,Allergy Asthma Proc,22(4):185−9(2001) Bousquet,J.ら,J Allergy Clin Immunol,94(2):182−8(1994) Breiteneder,H.ら,J Allergy Clin Immunol,113(5):821−30(2004) Son,D.Y.ら,Eur J Nutr,38(4):201−15(1999) Jahn−Sclunidら,J Allergy Clin Immunol,116(l):213−9(2005) Drachenberg,K.J.ら,Allergol Immunopathol,31(2):77−82(2003) Dam Petersen,K.ら,Allergol Immunopathol 33(5)264−269(2005) Birnbaumら,Clin.Exp.Allergy,33(l):58−64(2003) Drachenberg,K.J.ら,Allergol Immunopathol,31(5):270−7(2003) Hartl,A.ら,Allergy,59(1):65−73(2004) Martinez Gomez,J.M.ら,Pharm.Res.,24(10):1927−35(2007) Pauli,G.ら,J.Allergy Clin.Immunol,122(5):951−60(2008) Campbell,JDら, J Exp Med.,206(7):1535−47(2009) Jahn−Schmid B.ら,J Allergy Clin Immunol,116(1):213−9(2005) Niederberger,V.ら,Proc Natl Acad Sci USA,101(2):14677−82(2004) Purohit,A.ら,Clin Exp Allergy(2008) Fellrathら,J.Allergy Clin.Immunol,111:854−861(2003)
一つの様相では、本発明はカバノキ花粉アレルギーの処置用組成物として連続重複ペプチド(COP)を提供する。具体的には、COPSは、全ての潜在的なT細胞エピトープを提供するが、原型アレルゲンの三次元構造を欠き、従って、それらのIgEに結合する能力を強力に低減する、カバノキ花粉Betv1の主要アレルゲンの配列から提供される。
さらに深い様相では、本発明は、短期間に亘る数回の投与の後アレルギー症状を低減することが可能な、特異的免疫治療(SIT)法に関する。この療法は、特異的COPを、カバノキ花粉アレルギーに罹患したヒトに反復して投与することからなる。投与は、全身、経皮、皮内、皮下、または経口経路、または舌下および腸管経路を包含する粘膜経路によって行われ得る。いくつかの実施態様において、現在のSITが3〜5年であるのに対し、投与は2カ月に亘って反復する5回であってもよい。活性産物(COP)の投与量は、SIT処置で3年に亘って投与されたBetv1量と同等のモル量での集積値に達し得る。
具体的には、本発明は、第1ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸2からアミノ酸42〜52の配列を含む第1ペプチド;第2ポリペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸42〜52からアミノ酸96〜131の配列を含む第2ポリペプチド、および第3ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸96〜131からアミノ酸160の配列を含む第3ペプチドを含む複数の連続重複ペプチドフラグメント含む組成物を提供する。本発明の好ましい様相によると、第1および第2ペプチドは、1〜11アミノ酸によって互いに重複する。本発明の他の好ましい様相では、第2および第3ペプチドは、5〜20アミノ酸によって互いに重複する。特に好ましい組成物は、配列番号1を有するペプチド、配列番号2を有するペプチドおよび配列番号3を有するペプチドの組み合わせ、または、配列番号6を有するペプチド、配列番号7を有するペプチドおよび配列番号8を有するペプチドの組み合わせを含む。
好ましいCOP組成物は、ヒトにおける投与の際、カバノキ花粉に感受性のある少なくとも15名のパネルにおいて処置前に存在するIgG4レベルに対し、カバノキ花粉アレルゲンBetv1に特異的なIgG4抗体の10倍の増加を誘導することが可能なペプチドを包含する。他の好ましい組成物は、前記ペプチドがヒトにおける投与に際し、カバノキ花粉に感受性のある少なくとも15名のパネルにおいて処置前に存在するIL−10レベルに対し、カバノキ花粉アレルゲンBetv1に対するIL−10の5倍を超える増加を誘導することが可能であることが特徴づけられる。
また、配列番号9のアミノ酸2からアミノ酸42〜52の配列を含むペプチド、それに対して90%および80%および70%の配列同一性を有するペプチドであって、カバノキ花粉に対してアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持されるペプチドが提供される。特に好ましくは、配列番号1または配列番号6の配列を有するペプチドである。
また、配列番号9のアミノ酸42〜52からアミノ酸96〜131の配列を含むペプチド、それに対して90%および80%および70%の配列同一性を有するペプチドであって、カバノキ花粉に対してアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持されるペプチドが提供される。特に好ましくは、配列番号2または配列番号7の配列を有するペプチドである。
また、配列番号9のアミノ酸96〜131からアミノ酸160の配列を含むペプチド、それに対して90%および80%および70%の配列同一性を有するペプチドであって、カバノキ花粉に対してアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持されるペプチドが提供される。特に好ましくは、配列番号3または配列番号8の配列を有するペプチドである。
そのようなペプチドは、化学合成または組換え手段を包含する様々なあらゆる方法によって得られることが可能である。
本発明のCOPおよびペプチドは、乾燥粉末形態で提供され得るが、許容される担体または希釈剤と組み合わせても提供され得る。加えて、前記組成物は、好ましいアジュバントである水酸化アルミニウムを有する、アジュバントをさらに含むことができる。そういうわけで前記組成物は、ワクチン組成物として特徴づけられ、かつワクチン組成物として使用され得る。
また、カバノキ花粉アレルギーに対する特異的免疫治療(SIT)方法であって、それを必要とする患者に、第1ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸2からアミノ酸42〜52の配列を含む第1ペプチド;第2ポリペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸42〜52からアミノ酸96〜131の配列を含む第2ポリペプチド、および第3ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸96〜131からアミノ酸160の配列を含む第3ペプチドからなる群より選択される1以上のアレルゲンを投与することを含む方法が提供される。
そのような方法は、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、静脈注射、経皮、経鼻、経口、舌下、眼内または髄腔内技術を用いてペプチドが投与される方法において実施される。
1つのそのような方法により、第1ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸2からアミノ酸42〜52の配列を含む第1ペプチド;第2ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸42〜52からアミノ酸96〜131の配列を含む第2ペプチド、および第3ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸96〜131からアミノ酸160の配列を含む第3ペプチドの各々の組み合わせによって患者は処置される。1つの好ましい方法によると、第1および第2ペプチドは、少なくとも1〜11アミノ酸によって互いに重複する一方、第2および第3ペプチドは、少なくとも5〜20アミノ酸によって互いに重複する。他の好ましい実施態様によると、第1ペプチドは配列番号1からなり、第2ペプチドは配列番号2からなり、かつ第3ペプチドは配列番号3からなり、ならびに他の好ましい実施態様によると、第1ペプチドは配列番号6からなり、第2ペプチドは配列番号7からなり、かつ第3ペプチドは配列番号8からなる。
本発明の好ましい実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
第1ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸2からアミノ酸42〜52の配列を含む第1ペプチド;第2ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸42〜52からアミノ酸96〜131の配列を含む第2ペプチド;および第3ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸96〜131からアミノ酸160の配列を含む第3ペプチド:を含む複数の連続重複ペプチドフラグメントを含む組成物。
(項目2)
前記第1および第2ペプチドが1〜11アミノ酸によって互いに重複する、項目1の組成物。
(項目3)
前記第2および第3ペプチドが5〜20アミノ酸によって互いに重複する、項目1の組成物。
(項目4)
配列番号1を有するペプチド、配列番号2を有するペプチド、および配列番号3を有するペプチドの組み合わせを含む、項目1の組成物。
(項目5)
配列番号6を有するペプチド、配列番号7を有するペプチド、および配列番号8を有するペプチドの組み合わせを含む、項目1の組成物。
(項目6)
配列番号9のアミノ酸2からアミノ酸42〜52の配列を含むペプチドであって、ここで、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持されるペプチド。
(項目7)
配列番号1の配列を有する、項目6のペプチド。
(項目8)
配列番号6の配列を有する、項目6のペプチド。
(項目9)
項目6のペプチドと90%の配列同一性を有するペプチドであって、ここで、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持されるペプチド。
(項目10)
項目6のペプチドと70%の配列同一性を有するペプチドであって、ここで、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持されるペプチド。
(項目11)
配列番号9のアミノ酸42〜52からアミノ酸96〜131の配列を含むペプチドであって、ここで、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持されるペプチド。
(項目12)
配列番号2の配列を有する、項目11のペプチド。
(項目13)
配列番号7の配列を有する、項目11のペプチド。
(項目14)
項目11のペプチドと90%の配列同一性を有するペプチドであって、ここで、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持されるペプチド。
(項目15)
項目11のペプチドと70%の配列同一性を有するペプチドであって、ここで、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持されるペプチド。
(項目16)
配列番号9のアミノ酸96〜131からアミノ酸160の配列を含むペプチドであって、ここで、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持されるペプチド。
(項目17)
配列番号3の配列を有する、項目16のペプチド。
(項目18)
配列番号8の配列を有する、項目16のペプチド。
(項目19)
項目16のペプチドと90%の配列同一性を有するペプチドであって、ここで、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持されるペプチド。
(項目20)
項目16のペプチドと70%の配列同一性を有するペプチドであって、ここで、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持されるペプチド。
(項目21)
乾燥粉末形態で提供される、項目1、6、10または15のいずれかの組成物。
(項目22)
薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む、項目1、6、10または15のいずれかの組成物。
(項目23)
アジュバントをさらに含む、項目22の組成物。
(項目24)
アジュバントが水酸化アルミニウムである、項目23の組成物。
(項目25)
カバノキ花粉アレルギーに対する特異的免疫治療方法であって、それを必要とする患者に、第1ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸2からアミノ酸42〜52の配列を含む第1ペプチド;第2ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸42〜52からアミノ酸96〜131の配列を含む第2ペプチド、および第3ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸96〜131からアミノ酸160の配列を含む第3ペプチドからなる群より選択される1以上のアレルゲンを投与することを含む方法。
(項目26)
前記ペプチドが皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、静脈注射、経皮、経鼻、経口、舌下、眼内または髄腔内技術を用いて投与される、項目25の方法。
(項目27)
前記患者が、第1ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸2からアミノ酸42〜52の配列を含む第1ペプチド;第2ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸42〜52からアミノ酸96〜131の配列を含む第2ペプチド、および第3ペプチドであって、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者のIgE抗体に対する前記ペプチドの反応性が排除される一方、カバノキ花粉にアレルギー性の被験者由来のTリンパ球との反応性は保持される配列番号9のアミノ酸96〜131からアミノ酸160の配列を含む第3ペプチドの各々の組み合わせによって処置される、項目25の方法。
(項目28)
前記第1および第2ペプチドが少なくとも1〜11アミノ酸によって互いに重複する、項目25の方法。
(項目29)
前記第2および第3ペプチドが少なくとも5〜20アミノ酸によって互いに重複する、項目25の方法。
(項目30)
前記第1ペプチドが配列番号1からなり、前記第2ペプチドが配列番号2からなり、および前記第3ペプチドが配列番号3からなる、項目25の方法。
(項目31)
前記第1ペプチドが配列番号6からなり、前記第2ペプチドが配列番号7からなり、および前記第3ペプチドが配列番号8からなる、項目25の方法。
図1は、Betv1と比較したIgEへの選択されたCOPの競合的結合を示す。組み合わせられた(パネルAおよびD)または個別の(パネルBおよびC)いずれかのCOPは、カバノキ花粉アレルギー被験者由来の血清と予めインキュベートされた。残存Betv1特異的IgEは、rBetv1でコーティングされたELISAプレートを使用してモニターされた。 図1は、Betv1と比較したIgEへの選択されたCOPの競合的結合を示す。組み合わせられた(パネルAおよびD)または個別の(パネルBおよびC)いずれかのCOPは、カバノキ花粉アレルギー被験者由来の血清と予めインキュベートされた。残存Betv1特異的IgEは、rBetv1でコーティングされたELISAプレートを使用してモニターされた。 図2は、皮膚プリック試験(SPT)欄に記載されるカバノキ花粉アレルギー被験者の右および左腕を示す。SPTは、様々なCOPおよびそれらの組み合わせを用いて行われた。ヒスタミンを、陽性コントロールとして使用した。カバノキ花粉および等価量のrBetv1は3種の濃度で試験された一方で、COPは10倍高い濃度まで同時に試験された。 図3は、カバノキ花粉アレルゲンを注射されたマウスの体温レベルを示す。大量のrBetv1が感作マウス(黒色四角)に注射され、結果として30分以内の体温低下を生じた。製品AllerT(白色ひし形)を形成する選択されたCOP(T1、T2およびT3)は、感作マウスにおいて体温低下を誘導しない。 図4は、Basotest(登録商標)アッセイにおける、rBetv1の好塩基球の脱顆粒を誘導する能力を示す。COPは、試験したどの濃度でも好塩基球脱顆粒を誘導しない。 図5は、処置後1カ月間および1カ月までの、PBMCsにおけるIL−10の増加を示す。水平バーは、個々の被験者(ドット)からの結果の平均値を表わす。 図6は、処置後1カ月間および1カ月までの、AllerTまたはプラセボにより処置された被験者の血清中のIgG4における増加を示す。水平バーは、個々の被験者(ドット)からの結果の平均値を表わす。 図7は、ローザンヌ地方における2009年の花粉シーズンとミニ鼻結膜炎生活の質質問事項(RQLQ、Juniper,E.F.ら,Clin.Exp.Allergy,30:132−140(2000))の平均スコアとの関連を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、下記実験的手法および結果を参照して、例として以下に記載される。
低減されたIgG結合を伴う製品を選択するため、全BetvIアレルゲンを含み、従って全ての可能性のあるT細胞エピトープを提供する、3セットの長い(30〜90アミノ酸)連続重複ペプチド(COP)が考案された。第1セットは、潜在的なIgEエピトープおよびBetv1の3次構造に基づく解析から得られた2次構造を形成する低減された能力を有する3種のペプチドAllerT1、−T2および−T3を含む。3種のCOPの第2セット、AllerT6、−T7および−T8が選択された。第3セットは、IgEエピトープおよび3次構造と無関係に、アレルゲンをほぼ2つの部分に分割する2つのCOP、AllerT4−T5を含有した。ペプチドの第1および第2セットは、in
vitro IgE競合試験およびヒトにおける皮膚プリック試験の組み合わせを通して試験された。BetvIとの反応性の非存在は、Betv1で感作されたマウスを用いると共に、ヒト好塩基球の脱顆粒を通してさらに試験された。第1セットはAllerTと名づけられ、カバノキ花粉アレルギー被験者を処置するためにヒトにおいてさらに使用された。
材料及び方法
アレルゲン
精製組換えBetv1は、BIOMAY(ヴィエナ、オーストラリア)から購入された。カバノキ花粉抽出物、Aquagel SQ(ALK Wassrig SQ)は、デンマーク、ホッショム(Hosshom)のALK Abelloから入手された。
ペプチドの選出および合成
目的は、B細胞エピトープの安定な3次構造の形成を防止する一方、Betv1配列内に存在する全てのT細胞エピトープを提示することである。結果として、Betv1配列に沿って重複する以下のCOPの第1セットが選択され、すなわち次の通りであった:
配列番号1
AllerT1:配列番号9のaa2〜50
GVFNYETETTSVIPAARLFKAFILDGDNLFPKVAPQAISSVENIEGNGG
理論上pI/Mw:4.36/5198.82

配列番号2
AllerT2:配列番号9のaa48−118
NGGPGTIKKISFPEGFPFKYVKDRVDEVDHTNFKYNYSVIEGGPIGDTLEKISNEIKIVATPDGGSILKIS
理論上pI/Mw:5.72/7742.76

配列番号3
AllerT3:配列番号9のaa106−160
VATPDGGSILKISNKYHTKGDHEVKAEQVKASKEMGETLLRAVESYLLAHSDAYN
理論上pI/Mw:6.29/6001.72

配列番号4
AllerT4:配列番号9のaa2−85
GVFNYETETTSVIPAARLFKAFILDGDNLFPKVAPQAISSVENIEGNGGPGTIKKISFPEGFPFKYVKDRVDEVDHTNFKYNYS
理論上pI/Mw:5.24/9348.49

配列番号5
AllerT5:配列番号9のaa65−160
FKYVKDRVDEVDHTNFKYNYSVIEGGPIGDTLEKISNEIKIVATPDGGSILKISNKYHTKGDHEVKAEQVKASKEMGETLLRAVESYLLAHSDAYN
理論上pI/Mw:5.77/10759.06

配列番号6
AllerT6 配列番号9のaa2−49
GVFNYETETTSVIPAARLFKAFILDGDNLFPKVAPQAISSVENIEGNG
理論上pI/Mw:4.36/5141.77

配列番号7
AllerT7 配列番号9のaa44−118
NIEGNGGPGTIKKISFPEGFPFKYVKDRVDEVDHTNFKYNYSVIEGGPIGDTLEKISNEIKIVATPDGGSILKIS
理論上pI/Mw:5.24/8156.19

配列番号8
AllerT8 配列番号9のaa103−160
IKIVATPDGGSILKISNKYHTKGDHEVKAEQVKASKEMGETLLRAVESYLLAHSDAYN
理論上pI/Mw:7.03/6356.22

配列番号9
Swissprot P15494により公開されたBetv1配列
MGVFNYETETTSVIPAARLFKAFILDGDNLFPKVAPQAISSVENIEGNGGPGTIKKISFPEGFPFKYVKDRVDEVDHTNFKYNYSVIEGGPIGDTLEKISNEIKIVATPDGGSILKISNKYHTKGDHEVKAEQVKASKEMGETLLRAVESYLLAHSDAYN
全ての8種のCOPは、IgE結合の判定および最初の動物試験を可能にする研究スケールで固相fmoc化学によって合成された。分取HPLCは、凍結乾燥された90%を超える精製ペプチドを得るために使用された。ペプチドは、2mg/mlで水に再懸濁され、分割量(aliquots)で凍結された。
競合ELISA
0.5μg/mlの組換えBetv1(Biomay、オーストリアから入手したrBetv1)は、96ウェルNunc Maxisorp(登録商標)免疫プレート(Life Technologies、バーゼル、スイス)上に一晩、コーティングされた。1%BSAによるブロッキングの後、患者血清の10倍希釈物が添加された。2μg/mlのラット抗マウスmAb IgE(PharMingen、BD−Bioscinces、サンディエゴ、カリフォルニア州)が、その後、添加され、抗体はextravidin結合アルカリフォスファターゼ(Sigma Diagnostic Inc.、セントルイス、ミズーリー州、アメリカ合衆国)によって明らかにされた。3名のアレルギー患者の血清は、高IgEレベルおよびバックグラウンドに対する明確なシグナルの為に選択され、ペプチドとの競合に関する試験に使用された。10μMから開始される各COP、すなわち、AllerT1、AllerT2、AllerT3、AllerT4、AllerT5、AllerT6、AllerT7およびAllerT8、またはAllerT1−3、AllerT4−5およびAllerT6−8の混合物の連続希釈物は、3種の選択された血清と共に4℃で一晩、予めインキュベートされた。その後、血清をrBetv1コーティング96ウェルプレート上でインキュベートし、残存IgE結合は上記のとおり測定された。rBetv1希釈物は、阻害に関するコントロールとして使用される一方、BSAは可能性のある非特異的阻害に関するコントロールとして使用された。
動物
4週齢雌BALB/cマウス(H−2d)は、Harlan(AD Horst、オランダ)から入手され、6〜8週齢において使用された。それらは、標準的な居住条件下で、オボアルブミン(OVA)を含まない食餌および自由飲水のもとで維持された。
免疫化プロトコル
マウスは、指示された間隔で、2mg Alum(Sigma Chemicals、セントルイス、ミズーリー州、アメリカ合衆国)上に吸着された指示された濃度のrBetv1(Biomay)の皮下(s.c.)注射によって感作された。注射は、腹部およびマウス尾部根元(the basis of the tail)において行われた。
マウスにおける抗体アイソタイプ
血清IgE、IgG1およびIgG2a抗体反応の動態は、記載された様にELISAによって測定された(von Garnier,C.ら,Eur J Immunol,30(6):1638−45 (2000)およびBarbey,C.ら,Clin Exp Allergy,34(4):65462(2004))。簡潔には、96ウェルNunc Maxisorp(登録商標)免疫プレート(Life Technologies、バーゼル、スイス)が、5mg/ml rBetv1によってコーティングされた。1%BSAによるブロッキングの後、マウス血清の最適希釈物、すなわち、それぞれIgEについて1:5、IgG1について1:500,000、IgG2aについて1:1,000が添加された。2mg/mlのラット抗マウスmAb IgE(PharMingen、BD Bioscinces、サンディエゴ、カリフォルニア州);または1:3000希釈の精製ポリクローナルヤギ抗マウスIgG1(Caltag、WBAG Resources、チューリッヒ、スイス);または1:3000希釈の精製ポリクローナルヤギ抗マウスIgG2a(Caltag)は二次抗体として添加され、アルカリフォスファターゼ(Sigma Diagnostic Inc.、セントルイス、ミズーリー州、アメリカ合衆国)によって明らかにされた。IgEアイソタイプについて、2mg/mlのラット抗マウスIgE(R35−72、PharMingen)でコーティングされたマイクロウェルにおいて、精製マウスIgE(27−74、PharMingen)が標準として使用された。結果は、任意の単位(arbitrary unit)としてng/mlで表わされた。
好塩基球脱顆粒試験
Basotest(登録商標)(ORPEGEN Pharma、ハイデルベルグ、ドイツ)が、in vitro好塩基球脱顆粒の定量的測定のために使用された。カバノキ花粉アレルギードナー由来のヘパリン添加血液(100μl)は、最初に刺激緩衝溶液と共に37℃で20分間インキュベートされ、その後、それぞれ、陽性および陰性コントロールとして、走化性ペプチドホルミルメチオニルロイシルフェニルアラニン(fMLP)を伴って、または伴わずにインキュベートされた。血液の分割量は、同時に、生理食塩水溶液中に希釈された100μlのアレルゲン溶液と共に、37℃で20分間インキュベートされた。用量反応曲線は、25、2.5、0.25、0.025および0.0025ナノモーラーrBetv1により実施され、同様にAllerT混合(AllerT1−T3、AllerT4−5およびAllerT6−8)により10倍高くから開始された。活性化プロセスは、血液試料を10分間4℃でインキュベートすることによって停止された。試料は、その後、20μlのフィコエリトリン(PE)結合抗IgEおよびフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合抗gp53(CD63)と共に、+4℃で20分間インキュベートされた。赤血球は、その後、2ml溶解溶液(Becton−Dickinson)の添加によって除去された。細胞は、PBS溶液で2回洗浄され、200μlのPBS溶液に再懸濁され、細胞蛍光測定法(cytofluorimetry)(FASCalibur、BectonDickinson)によって1時間以内に分析された。好塩基球集団は、PE抗IgE陽性細胞上にゲートされ(gated)、gp53(CD63)の発現がこの集団について分析された。収集は、各試料に対し、1,000細胞について行われ、結果は好塩基球(IgE陽性細胞)発現gp53(CD63)のパーセンテージとして与えられた。陽性脱顆粒は、Basotest(登録商用)報告に従って、15%のIgE陽性細胞発現CD63のカットオフにおいて設定された。
アレルギー患者の皮膚プリック試験
カバノキ花粉症の期間中に季節性鼻結膜炎または喘息に苦しむ、平均年齢30.1歳(範囲23〜45歳)の7名の男性および13名の女性を含む、20名のボランティアが選択された。標準的皮膚プリック試験(SPT)により、全ての被験者はカバノキ花粉抽出物(Aquagen SQ)、およびrBetv1(Biomay)に反応した。CAP−RASTによって測定されるように、血清学的反応性(IgE抗体)もまた、カバノキ花粉およびBetv1に対して陽性であった。ペプチドのアレルギー性反応は、全ての患者に対し、各5ペプチド(AllerT1、AllerT2、AllerT3、AllerT4およびAllerT5)、および2セット(AllerT1−3およびAllerT4−5)を用いたSPTにより、in vivoで評価された。各ペプチドについて、3種の異なる濃度(10、1および0.1μM)で、20μl滴(drop)が前腕上に適用された。また、カバノキ花粉抽出物(Aquagen SQ、ALKAbello)およびBetv1(Biomay)も、ペプチドについて使用されたものよりも10倍低い3種の濃度、すなわちカバノキ花粉について100,000、10,000および1,000SQ、同様に、Betv1について1、0.1および0.01μMにおいて、SPTにより試験された。みみず腫れの直径は最大径をとることによって評価された。SPTは、紅斑を伴うみみず腫れの直径が4mm以上である場合に陽性と認められた(Hoffmann,A.ら,J Allergy Clin Immunol,99(2):227−32 (1997)。ミミズ腫れの直径が4mm未満であるが、2mmを超える結果を生じた反応も記録され、『疑わしい』と分類された。
実験結果
ペプチドの選出
Betv1は、第一メチオニンの除去後の159アミノ酸の成熟タンパク質(NCBI
X15877、Swissprot P15494)であり、カバノキ花粉粒上に異なるアイソフォームで存在する(Schenk,M.F.ら,BMC Genomics,7:168(2006))。加えて、Betv1ファミリーは、セロリ(NCBI:構造1BTV、1FM4_A、2BKO_A)等のいくつかの食物アレルゲンと配列相同性を呈する。強いアレルギー交差反応がブナ目種(カバノキ、ハシバミ、ハンノキおよびシデ)間で文書で証明されている。これらの種間のBetv1配列比較は、Spangfortら(Spangfort,M.D.ら,Int Arch Allergy Immunol,113(l−3):243−5(1997))によって提案されているように、アレルギー反応の原因となるB細胞エピトープの候補を表わす、特に高い配列保存の領域を呈した。配列番号9由来の3種の領域は、IgEに結合すると提案される可能性があり、すなわち第1領域、エピトープB1、アミノ酸(aa)97〜122とaa132−142との組み合わせ;第2領域、aa16〜24とaa143〜155との組み合わせを包含するエピトープB2;および第3領域、aa42〜53に位置するGTP結合配列GXGXXGに対する相同性を有するループを含有するエピトープB3である。一方、T細胞エピトープは、潜在的なGTP結合部位GXGXXGを含有するアミノ酸49〜60以外のBetv1配列を通して散在する。
潜在的なエピトープは、免疫エピトープおよびデータベースおよび解析供給源(IEDB)(http://immuneepitope.org/)において提案されている様にエピトープコンピューター予測ツールを使用して予測され得る。特に、ElliProは、タンパク質抗原の3D構造に基づいて直鎖および断続的な抗体エピトープを予測する。ElliProによって予測された直鎖エピトープ内で、1つの潜在的なエピトープが、Spangfortらによって予測されたエピトープB3(ループ41−52)に適合することが見出された。Spangfortら、1997によって提案されたものとは異なる、3つの断続的なエピトープがElliProによって予測された。1つ目のものはaa1〜4とaa123〜126の組み合わせを包含し;2つ目はaa92〜95と共にアミノ酸127を包含し;3つ目はaa10〜15と共にaa106〜114を包含する。
第1残基(residue)を欠損する成熟タンパク質に関する知識と、アミノ酸42〜53間の潜在的な直鎖エピトープの予測を組み合わせれば、第1COPはアミノ酸2で開始し、aa42〜52の間で終わらなければならない。第2COPは、原型直鎖エピトープの形成を防止するためにアミノ酸42〜52の間で開始しなければならず、第1COPへの重複を有する可能性がある。重複の程度は、aa49〜60の領域内でT細胞エピトープが全く見出されないという事実によって決定される。従って、重複は、第1COPの末端がアミノ酸49〜53の間である場合、最小0から、第1COPの末端がアミノ酸42〜48の間である場合、最大11の範囲まで及び得る。第2COPの末端はエピトープB1及び上記ElliProによって予測された第2エピトープの形成を防止するために、aa96〜131の間に位置しなければならない。第3COPの開始は、B細胞エピトープ形成を防止するという上記理由のため、aa96〜131の間に位置しなければならない。重複は、全ての可能性のあるT細胞エピトープを提供するために5〜20アミノ酸の範囲に及んでもよい。
治験用の組換え形態で他のものによって使用される(Pauli,G.ら,J Allergy Clin Immunol, 122(5):951−60(2008))配列P15494(Swissprot)および上記予測に基づき、3セットのペプチドは、完全Betv1配列を含んで考案された。AllerT1、−T2および−T3のセット(それぞれ、配列番号1、2および3)と及び、AllerT6、−T7および−T8(それぞれ、配列番号6、7および8)は、上記規則に従って考案され、すなわち、終末点および予測された断続的B細胞エピトープの形成を防止する重複を保有する。特に、ペプチドは、それぞれ、AllerT1−AllerT2およびAllerT2−AllerT3間の3および13アミノ酸によってそれらの先端で重複された。重複は、それぞれAllerT6−AllerT7およびAllerT7−AllerT8間のそれぞれ6および16アミノ酸である。他のCOPセット、すなわちAllerT4−T5は、上記予測を考慮することなく選出され、21アミノ酸によって重複する2つのペプチドのみで構成される。前述のエピトープB1およびB3は、AllerT5およびAllerT4にそれぞれ完全に存在する一方、ElliProによって予測された第2断続的エピトープはAllerT5上に存在する。全ての連続重複ペプチド(COP)は、さらなる実験において個別に、または等モル量で混合されて使用されたかのいずれかである。
rBetv1と比較される選択されたCOPのIgE結合
COPは、最初に、材料および方法において記載された様に競合ELISAによって減少されたIgE結合に対してin vitroで試験された。図1に見られるように、rBetv1は、ドナーの血清に依存する10−10〜10−5M(50%阻害)の範囲に及ぶ濃度で血清中に存在するIgEと競合する一方、BSAは全ての試験された濃度において検出可能な阻害を呈さなかった。AllerT1、T2およびT3単独(図1B)または等モルの組み合わせ(図1A)のいずれも、競合を呈さなかった。同様の結果が、同様の規則に従って選択されたペプチド、すなわちAllerT6、T7およびT8について得られた(図1D)。AllerT4およびT5単独は、類似の結果を呈した(図1C)が、驚くべきことに、rBetv1よりも少なくとも1,000倍高い濃度であるにもかかわらず、AllerT4とAllerT5の組み合わせはいくらかの阻害を呈した(図1AおよびC)。競合アッセイは、3名のアレルギー患者由来の血清を用いて行われ、IgE結合について、AllerT1、T2およびT3と及び、AllerT6、T7およびT8の組み合わせセットとBetv1との競合がないことを確認した(データ非表示)。
Betv1に対して感作されたマウスにおける選択されたCOPの効果
第1系列のマウスは、Hufnagl,K.ら,J Allergy Clin Immunol,116(2):370−6(2005)によって開発されたプロトコルに従って処置され、すなわち、3回の腹腔内(i.p.)注射によって処置され、木の花粉エアロゾルによって挑戦された。我々の手元において、注射期間の後、Betv1に対するIgEは検出不可能であり、マウスが感作されていなかったことを示唆した。従って、木の花粉の挑戦は、気管支肺胞洗浄液における好酸球の存在を増加できなかった(データ非表示)。従って、我々は、ハチ毒PLA2に対する以前のネズミの研究に使用された感作プロトコル(von Garnier,C.ら,Eur J Immunol,30(6):1638−45(2000))を適用した。マウスは、2週間間隔で、水酸化アルミニウム中のrBetv1の6回の皮下注射によって感作された。0.1〜10μgの範囲に及ぶ濃度が試験された。興味深いことに、Betv1特異的IgEは、0.1μgで感作されたマウスにおける4回目の注射の後のみ、顕著に増加し、おそらく、何故以前の試験が失敗したかを説明している。IgG2レベル(ヒトにおける防御IgG4に対応する)は4回目の注射の後増加し始め、その後着実に増加し、6回の注射の後最高値を呈した。Betv1特異的IgG2aは、IgE特異的レベルよりもわずかに後に増加するように見えた。
マウスの感作は、高用量(30μg)のrBetv1のi.p.注射および直腸温度の記録によって試験された。図3に示されている様に、体温低下はrBetv1の注射後30分以内に観察され、強い全身性アレルギー反応を呈した。150μgのAllerTの注射は、体温シフトを導かず、従って、少なくとも動物において、rBetv1を上回る、COPに基づくアプローチの増加された安全性を示唆している。0.1、1.0または1
0μgのrBetv1を用いて感作されたマウス間で顕著な相違は観察されたなかった(データ非表示)。従って、rBetv1に対して感作されたマウスは、ヒトにおけるアナフェラキシーショックに類似する試験である、AllerTを用いて挑戦された場合、体温減少を呈さなかった。
好塩基球脱顆粒試験
AllerTの安全性をさらに確認するため、COPは好塩基球脱顆粒アッセイ(Basotest(登録商標))において試験された。濃度依存的方式においてrBetv1によって刺激された場合、好塩基球は脱顆粒した(図4)。反対に、個別のCOP(AllerT1〜AllerT8)および組み合わせは、陰性コントロールによって観察されたレベルを超えて脱顆粒を誘導することができなかった。最大半量の脱顆粒を誘導することが可能なBetv1濃度の1,000倍までのCOP濃度範囲を通して、いかなる脱顆粒も観察されなかった(図4)。好塩基球の脱顆粒の非存在は、ヒトに適用した際の即時のアレルギー反応の潜在的に低減されたリスクを示す。
皮膚プリック試験(SPT)
AllerT COPを用いたSPTは、陽性CAP RASTおよび/またはカバノキ花粉に対する陽性皮膚反応のいずれかによって確認されたアレルギー性鼻炎症状を呈する20名のボランティアにおいて行われた(表I)。期待された通り、それぞれ、100,000SQおよび1μMの濃度における、カバノキ花粉抽出物または組換えBetv1のいずれかによって、SPTは全てのボランティアにおいて陽性であった(表IIA)。より低い濃度において、80〜85%の被験者が、10倍希釈物に対して陽性反応を呈する一方、カバノキ花粉またはrBetv1の100倍希釈物に対して、5〜10%の被験者が反応性を呈した。rBetv1に対して10倍高い濃度のペプチドが試験された(10μMまで)。COPのいずれもが、一定の閾値を越えても陽性皮膚反応、すなわち紅斑を伴う4mmを超えるみみず腫れを呈さなかった(1名の被験者の腕の例が図2に示される)。
一定の閾値を下回る皮膚反応は、時折、数人の被験者において観察された。そのような疑わしい反応は、紅斑を伴うまたは伴わない4mm未満の検出可能なみみず腫れが観察された場合に得点された(表IIB)。そのような反応は、低濃度のカバノキ花粉またはrBetv1に観察された(データ非表示)。プリック試験は、数人の被験者において製品(product)と無関係の局所的な刺激を誘発する可能性がある。実際、一定の閾値を下回る一つの反応が、散発的にどちらか一方のボランティアにおいて得点された。そのような反応をバックグラウンドと仮定すれば、統計学的な予防策によると、3名を超える被験者における疑わしい反応を、場合によっては有意であると定義するように導かれる。AllerT4−T5の組み合わせは、6名のボランティアにおいて最も高濃度で反応を誘発し(表IIB)、従って、競合ELISAにおいて観察されたその低いものの顕著なIgE結合能力を確認した
マウスにおける毒物学研究
連続重複ペプチド(COP)は、ハチ毒アレルギー患者において優れた安全性を呈した(Fellrathら,J Allergy Clin.Immunol,111:854−861(2003))。免疫反応は、SITを適用した場合に得られたものに類似し、可能性のある有効性を示唆したが、証明はしなかった。カバノキ花粉アレルギーに対する同様のアプローチの適用が、本明細書に提示される。驚くべきことに、Betv1配列由来の一組のCOPは、残存IgE結合(residual IgE binding)を呈した。このセット、すなわちAllerT4およびAllerT5を構成するペプチドは、それ自身、そのような結合を呈さないことから、溶液中の2つペプチドの相互作用が、IgEによって認識されるB細胞エピトープの出現の最も確実らしい原因である。そのような残存結合(residual binding)は、プリック試験によって試験された6名のボランティア及び、2名の患者からの血清を用いた競合アッセイにおいて観察された。AllerT4−T5の混合が、原型Betv1の高次構造を伴う少数の分子を結果として生じるかどうか、または、再構築されたB細胞エピトープが低親和性を有するIgEによって部分的に認識されるかどうかは、まだ示されていない。一方のAllerT1、T2およびT3を組み合わせるCOP、もう一方のAllerT6、T7およびT8を組み合わせるCOPの2組のCOPは、競合ELISA、脱顆粒アッセイまたは皮膚プリック試験のいずれを使用しても、検出可能なIgE結合を呈さなかった。従って、AllerTと名づけられた、AllerT1、T2およびT3の組み合わせは、ヒトにおいてIgE媒介アレルギー反応を誘発しないことが期待され得る。
調節性の毒物学試験は、ヒトにおける治験を準備するため、CERB(フランス)によってマウスにおいて行われた。研究は、雄10匹および雌10匹の2つの群に分けられた40匹の動物を含み、1群にビヒクル、すなわち水酸化アルミニウムを投与し、他方に40μg/動物のAllerT(AllerT1、AllerT2およびAllerT3COPの等モル混合物)を投与した。処置に対する各動物の割り当ては、研究の開始前にランダムに決定された。群の均質性は、雄および雌別々に、ランダム化の日に計測された体重の基準により確認された。動物1匹あたり40μgの用量は、ヒトにおいて使用されることが予期される維持用量(160μg)の4分の1に相当する。AllerTまたはそのビヒクルは、1、4、8、12および26日目のおよそ同じ時間に、皮下経路によって投与された。各投与につき、200μlのAllerTまたはビヒクルが動物1匹あたりについて投与された。ビヒクルまたはAllerTのいずれを投薬された動物においても死亡は観察されなかった。摂食または体重において変化は認められなかった。
一般的な観察の間、ビヒクルまたはAllerTが投与された動物において臨床的兆候は認められなかった。ビヒクル群と比較した場合、AllerTが投薬されたマウスにおいて血液学および凝固パラメーターに及ぼす影響は認められなかった。性別に関係なく、AllerTが投与された動物において、臨床化学パラメーターまたは検尿上のいずれについても影響は認められなかった。ビヒクルまたはAllerTに帰する異常は、剖検で検査された器官において認められなかった。従って、採用された実験条件下において、40μg/動物でのAllerTによる処置に帰する死亡はなく、毒性兆候も認められなかった。アジュバント水酸化アルミニウムの使用に起因する注射部位における組織学的変化以外、ペプチドまたは組換え産物による処置の標的となる器官においていかなる解剖学的および組織学的変化も観察されなかった。制限された免疫原性試験は、期待されたように、AllerT注射がマウスにおいて、IgG2を包含する特異的IgGの両方を誘導したことを示した。
治験第I/IIa相におけるAllerTによるヒト被験者の処置
単一施設の、ランダム化された、プラセボコントロール第I/IIa相治験は、主要カバノキ花粉アレルゲンであるBetv1由来連続重複ペプチド(COP)に基づいて、AllerTの安全性、免疫原性および潜在的有効性を評価するため、カバノキ花粉アレルギー性鼻炎および喘息を有するボランティアを包含し、ローザンヌ(スイス)において実施された。花粉シーズンの前に、アジュバント水酸化アルミニウム中のAllerTが15名の成人ボランティア(18〜45歳)に0日目、7日目、14日目、21日目および51日目に皮下注射された。コントロールボランティア(n=5)は、プラセボとして水酸化アルミニウムを単独で受けた。免疫学的エンドポイントおよび/または生物学的安全性試験は、処置後1カ月までの各訪問(visit)後に行われた。2009年のカバノキ花粉シーズンの間、ボランティアは32項目の鼻炎および生活の質質問事項(MiniRQLQ)および喘息症状に基づいて評価された。
全体的にAllerTは安全であり、全ての被験者は注射プロトコルを完了した。局所的な有害事象は軽度であり、プラセボと異ならなかった。重篤な有害事象、即時性アレルギー反応およびAllerT関連の臨床的に顕著に異常な検査室値(lab value)は報告されなかった。活性な群において、AllerTは、ワクチン関連INFガンマによって表わされる活発な初期Betv1特異的細胞免疫反応、およびPBMCについて判定される様にIL−10分泌の5倍を超える増加を誘導した(図5)。これは、抗Betv1特異的IgG4レベル増加に少なくとも10倍の増加(図6)に寄与する一方、IgE反応は制限された。季節性の露出の間、プラセボに比較して、MiniRQLQおよび喘息症状スコアにおける全体的な著しい改善が観察された。従って、Betv1由来の3種のCOP(AllerT)の混合物による免疫治療は、カバノキ花粉アレルギー性鼻炎および喘息を有するボランティアにおいて安全でかつ免疫原性があり、季節性症状および生活の質の著しい改善を導いた(図7)。
これらの実験より、AllerT、3種のペプチドAllerT1、T2およびT3の組み合わせは、AllerT4およびT5の組み合わせよりもカバノキ花粉アレルギーの処置についてより良好な候補を提示すると結論付けられ得る。また、そのホモログを産生するための各ペプチド内のアミノ酸変化によるAllerT1、T2およびT3COPのホモログもまた、考慮され、ここで、カバノキ花粉に対してアレルギー性である患者のIgE抗体に対するホモログの反応性が排除される一方、Tリンパ球との反応性はいまだ保持される。さらに、カバノキ花粉主要アレルゲンBetv1内のCOPの制限をシフトすることによって、COPのホモログが考慮される。そのようなホモログは、検出不可能なIgE結合およびTリンパ球活性と同等の特性を有する製品を結果として生じるであろう。そのような製品は、ヒトにおいてAllerTと安全性および有効性に対する同じ潜在的能力を提示し、他に示されない限り、処置の機会という観点から等価物として認められ得るであろう。抗カバノキ花粉IgE抗体に対する反応性はないが、Tリンパ球に対する反応性を保持することにより特徴づけられる好適なホモログは、本明細書に記載される方法によって同定され得る。
本発明の実施における多数の改良および変化は、現在のその好ましい実施態様の考慮の際、当業者に対して生じることが期待される。その結果、本発明の範囲について置かれるべき単なる制限は、添付の請求項において現れるものである。

Claims (1)

  1. 本願明細書に記載された発明。
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