JP2014034573A - 光学活性ピリジルチオウレア誘導体 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明の課題は光学活性アミン類、カルボン酸類の光学異性体をHPLC−MS/MSにて分離分析する際、娘イオンが測定対象物によらず、一定の値を示すジアステレオマー生成試薬を開発することにある。
【解決手段】
上記課題解決のため、MS/MSにて娘イオンを生じるN−芳香族置換カルバモイル基、ジアステレオマー間の良好な分離のためにピロリジン環の2−位あるいは3−位に不斉中心を有するジアステレオマー生成試薬を開発した。
【選択図】なし
本発明の課題は光学活性アミン類、カルボン酸類の光学異性体をHPLC−MS/MSにて分離分析する際、娘イオンが測定対象物によらず、一定の値を示すジアステレオマー生成試薬を開発することにある。
【解決手段】
上記課題解決のため、MS/MSにて娘イオンを生じるN−芳香族置換カルバモイル基、ジアステレオマー間の良好な分離のためにピロリジン環の2−位あるいは3−位に不斉中心を有するジアステレオマー生成試薬を開発した。
【選択図】なし
Description
本発明は光学活性ピリジルチオウレア誘導体に関するもので、分析化学の属する分野および他の分野において要求されている光学活性化合物の分離分析に供するものである。
医薬品や生体内分子などの生理活性物質は不斉中心を有するものが多く、これら不斉中心を有する化合物には光学異性体が存在する。光学異性体の間では生理活性が大きく異なる場合や生体内での挙動が異なる場合がある。従って、これらの光学異性体を分離、高感度で再現性よく定量することは重要な分析課題となっている。ことに光学活性アミン類、カルボン酸類は生理活性物質の主要な構成要素となっており、これら光学異性体を効率よく分離分析することが求められている。
光学活性アミン類あるいはカルボン酸類の光学異性体を分離分析する方法は、いくつか知られている。例えば、シフト試薬を用いるNMR法、ジアステレオマーによるNMR法、旋光分散法、光学活性固定相を用いるHPLC法、光学活性移動相を用いるHPLC法、ジアステレオマーを生成させてそれをHPLCで分離分析する方法などがある。中でもジアステレオマーを生成させてそれをHPLCで分離分析する方法は汎用性が高く、確実な方法として多用されている。
例えば、P.Marfeyは下記構造式
で示されるN−(5−フルオロ−2,4−ジニトロフェニル)−L−アラニンアミド(以下、Marfey試薬という)とアミノ酸を反応させ、ジアステレオマーを生成させ、これをHPLCで分離分析している(非特許文献1)。この時、ジアステレオマー間は良好な分離を示す。
木下らは、アミノ基を有する光学活性な化合物に対する蛍光キラル誘導体化法を報告している(特許文献1)。それによれば、アミノ基を有する光学活性な化合物とo−フタルアルデヒド、N−アセチル−L−システインを反応させ、インドール誘導体のジアステレオマーを生成させている。このジアステレオマーはHPLCで良好な分離を示す。この反応は第1級アミンに対して選択的で、また、反応に際してラセミ化を起こすことがない。
ピヨーンらは下記構造式
(式中、Rはアルキル基、トリフルオロメチル基から選択され、Xはハロゲン、アジド基、スクシンイミジル基から選択され、*は不斉炭素原子でエナンチオマーの一方を示す)で示される光学活性フルオレン誘導体を開発し、アミノ基を有する光学活性な化合物と反応させ、カルバミン酸誘導体のジアステレオマーを生成させている(特許文献2)。そして、このジアステレオマーをHPLCで分離し、良好な結果を得ている。
豊岡らは下記構造式
(式中、Rはニトロ基、ジメチルアミノスルホニル基から選択され、*は不斉炭素原子でエナンチオマーの一方を示す)で示される光学活性4−ニトロ−7−(3−インチオシアナートピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(以下、NBD−Py−NCSという)、光学活性4−(N,N−ジメチルアミノスルホニル)−7−(3−イソチオシアナートピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(以下、DBD−Py−NCSという)を開発し、それぞれ不斉炭素原子に直結したアミノ基、メルカプト基を有する化合物のHPLCによる光学純度測定法を報告している(非特許文献2)。NBD−Py−NCS、DBD−Py−NCSのいずれも不斉炭素原子に直結したアミノ基、メルカプト基と速やかに反応し、それぞれチオウレア、ジチオカルバメートのジアステレオマーを生成する。これらの一対のジアステレオマーはHPLCで分離し、長波長の強い蛍光を示す。
また、カルボン酸類の光学異性体の分離、分析用として、豊岡らは下記構造式
(式中、Rはニトロ基、ジメチルアミノスルホニル基から選択され、*は不斉炭素原子でエナンチオマーの一方を示す)で示される光学活性4−ニトロ−7−(3−アミノピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(以下、NBD−APyという)、光学活性4−(N,N−ジメチルアミノスルホニル)−7−(3−アミノピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(以下、DBD−APyという)を開発、その有用性を報告している(非特許文献3)。それによれば、NBD−APy、DBD−APyのいずれも温和な条件下、カルボキシル基を有する化合物と反応し、ジアステレオマーを生成する。このジアステレオマーはHPLC分離条件に安定で、良好な分離を示し、強い蛍光を有する。
磯部らは下記構造式
(式中、R1、R2はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、あるいはアラルキル基から選択され、*は不斉炭素原子でエナンチオマーの一方を示す)で示される光学活性1,3−オキサゾリン−2−チオン誘導体を開発し、カルボキシル基を有するケトプロフェンなどに存在する光学異性体のHPLC分離分析法を報告している(特許文献3)。
上記方法はHPLCの検出器としてUV検出器あるいは蛍光検出器を用いる方法である。近年、医薬品開発、生体成分の分析を中心として極めて微量のエナンチオマーの検出、定量が望まれており、これらの方法では到底満足できるものではない。
そうした要望に応える手法としてMSを検出器とするHPLC−MSが利用されつつある。例えば、S.A.FuchsらはMarfey試薬とセリンを反応させてジアステレオマーを生成させ、このジアステレオマーをHPLC−MSで分離分析している(非特許文献4)。その検出限界はD−セリンが0.20μmol、L−セリンが0.14μmolと報告されている。
D.Jinらは光学活性なDBD−Py−NCSとチロキシン(以下、T4という)を反応させてジアステレオマーを生成させ、このジアステレオマーをHPLC−MSで分離分析している(非特許文献5)。MSでの検出はネガティブイオンモードを使用し、D−T4の検出限界は28ng/ml、L−T4の検出限界は40ng/mlを得ている。
P.Marfey,Carlsberg Res.Commun.,49,591(1984)
T.Toyo’oka,Y−M.Lin,Analyst,120,385(1995)
T.Toyo’oka,M.Ishibashi,T.Terao,J.Chromatogr.,625,357(1992)
S.A.Fuchs,et al.Clinical Chemistry,54,1443(2008)
D.Jin,A.P.Kumar,G−C.Song,Y−I.Lee,Microchemical Journal,88,62(2008)
しかしながら、S.A.FuchsらのMarfey試薬を用いる方法はD−セリン、L−セリンの分離は良好であるが、その検出限界はそれぞれ0.20μmol、0.41μmolである。高感度検出法とは言い難く、到底満足できるものではない。
D.Jinらの方法はナノグラムレベルの高い検出感度でチロキシンの光学異性体を検出、定量することができる優れた方法である。しかしながら、この方法は親イオン[M−H]−1129を選択イオンモニタリング(SIM)することで高感度検出を達成している。この親イオン[M−H]−1129はチロキシン誘導体由来のイオンである。そのため、類縁体であるトリヨードサイロニンの同時検出は不可能であり、到底満足できる手法ではない。高感度検出を達成させるには、MS/MS分析において娘イオンがジアステレオマー生成試薬由来となるようなジアステレオマー生成試薬が求められている。ジアステレオマー生成試薬由来の娘イオンで選択反応モニタリング(SRM)することで類縁体を含めた一群の測定対象物を同時に高感度で検出、定量することができる。
そこで、発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明化合物がHPLCによる光学活性アミン類、カルボン酸類の光学異性体を分離、定量するため優れたジアステレオマー生成試薬であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係る上記構造式で表される化合物からアミン類の光学異性体の分離、分析するためのジアステレオマー生成試薬の代表例として下記構造(1)を、カルボン酸類の光学異性体の分離、分析するためのジアステレオマー生成試薬の代表例として下記構造(2)を取り上げ、本発明の詳細を明らかにする。
本発明化合物N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸(1)の合成における第一工程は3−イソチオシアナートピリジンと光学活性なプロリンtert−ブチルを反応させ、tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートを得る工程で、使用しうる溶媒はジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、酢酸エチル、ヘキサンあるいはそれらの混合溶媒から適宜選択される。反応温度は室温から溶媒の還流温度の間で適宜選択され、反応に要する時間は使用する溶媒、反応温度などにより異なるが、30分から12時間の間で適宜選択される。第二工程はエステル結合を加水分解する工程で、例えばトリフルオロ酢酸水溶液などで加水分解し、目的とする本発明化合物光学活性N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸が得られる。
本発明化合物3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン(2)の合成における第一工程は3−イソチオシアナートピリジンと光学活性な3−Bocアミノピロリジンを反応させ、3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを得る工程で、使用しうる溶媒はジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、酢酸エチル、ヘキサンあるいはそれらの混合溶媒から適宜選択される。反応温度は室温から溶媒の還流温度の間で適宜選択され、反応に要する時間は使用する溶媒、反応温度などにより異なるが、30分から12時間の間で適宜選択される。第二工程はBocを脱離させる工程で、種々のBoc基の脱保護条件が利用できる。例えば、トリフルオロ酢酸を用いても定量的にBocが脱離し、目的とする本発明化合物光学活性3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンが得られる。
本発明化合物である光学活性N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸はアミン類と、光学活性3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンはカルボン酸類とそれぞれ縮合剤の存在下、反応結合する。縮合剤は2,2’ジピリジルジスルフィド−トリフェニルホスフィン、シアノホスホン酸ジエチル、ジフェニルホスホリルアジドなどから適宜選択される。アミン類、カルボン酸類が不斉炭素原子を有し、エナンチオマーの混合物である場合、反応生成物はジアステレオマーを形成する。このジアステレオマーはアキラルな逆相カラムを用いるHPLC−MSで良好な分離を示す。検出にはジアステレオマー生成試薬として用いられている本発明化合物由来のm/z137.0の選択反応モニタリング(SRM)により高感度で検出、定量することができる。
本発明化合物の有用性を明らかにするため、カルボン酸類の代表例としてイブプロフェンを、アミン類の代表例として1−ナフチルエチルアミンを取り上げ、エナンチオマーの分離、分析を参考例として示す。
3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを用いたイブプロフェンの誘導体化の方法は以下の通りである。
10μM(R,S)−イブプロフェン10μl(20.6ng)に10mM 2,2’ジピリジルジスルフィド(DPDS)、10mMトリフェニルホスフィン(TPP)、1mM 3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを其々10μl加え、混和した。その後60℃、120分加熱した。溶媒留去後、移動相に溶解し、希釈後、測定サンプルとした。
また、(S)−3−Bocアミノ−1−(2−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを用いてイブプロフェンの誘導体化を行うこともできる。その際の誘導体化の方法は以下の通りである。まず、アセトニトリルに溶解した1mM (S)−3−Bocアミノ−1−(2−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン10μlを氷冷下に静置し、そこにトリフルオロ酢酸を40μlを滴下し、60分間反応させた。溶媒を留去後、アンモニア水にて中和し、溶媒を再留去した。その後、残渣を10μlのアセトニトリルに再溶解した。これ以降の誘導体化の方法は先述した方法と同様とした。
調製したサンプルをUPLC−ESI−MS/MSにて測定した。(インジェクション量:イブプロフェン誘導体5fmol)
10μM(R,S)−イブプロフェン10μl(20.6ng)に10mM 2,2’ジピリジルジスルフィド(DPDS)、10mMトリフェニルホスフィン(TPP)、1mM 3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを其々10μl加え、混和した。その後60℃、120分加熱した。溶媒留去後、移動相に溶解し、希釈後、測定サンプルとした。
また、(S)−3−Bocアミノ−1−(2−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを用いてイブプロフェンの誘導体化を行うこともできる。その際の誘導体化の方法は以下の通りである。まず、アセトニトリルに溶解した1mM (S)−3−Bocアミノ−1−(2−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン10μlを氷冷下に静置し、そこにトリフルオロ酢酸を40μlを滴下し、60分間反応させた。溶媒を留去後、アンモニア水にて中和し、溶媒を再留去した。その後、残渣を10μlのアセトニトリルに再溶解した。これ以降の誘導体化の方法は先述した方法と同様とした。
調製したサンプルをUPLC−ESI−MS/MSにて測定した。(インジェクション量:イブプロフェン誘導体5fmol)
この時のHPLC−MSの条件は次の通りである。
ステム
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 Column,1.7μm,2.1mm×100mm
カラム温度:40℃
溶出液:0.1%ギ酸含有水/0.1%ギ酸含有アセトニトリル=60/40
流速:0.3ml/min
注入量:2μl
質量分析計:LCT Premier XEまたはXevoTMTQ−S
ステム
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 Column,1.7μm,2.1mm×100mm
カラム温度:40℃
溶出液:0.1%ギ酸含有水/0.1%ギ酸含有アセトニトリル=60/40
流速:0.3ml/min
注入量:2μl
質量分析計:LCT Premier XEまたはXevoTMTQ−S
誘導体化は下記式に従って進行する。
分析結果は次の通りである。UPLC−TOF−MS分析におけるイブプロフェン誘導体(m/z411.2)のクロマトグラム[表1]とスペクトル[表2]を以下に示す。両ピークとも同様のスペクトルパターンを示し、良好な分離を達成していることがわかる。
次にイブプロフェン誘導体のXevoTMTQ−Sを用いたプロダクトイオンスキャンによるスペクトルとSRMモード(m/z411.2→137.0)のクロマトグラムを[表3][表4]に示す。
プロダクトイオンm/z137.0は誘導体化試薬由来であり、このプロダクトイオンを用い、SRMモードでの測定を行った。分離度Rsは3.4と完全分離を達成している。また、検出限界はおよそ0.4fmolであった。
プロダクトイオンm/z137.0は誘導体化試薬由来であり、このプロダクトイオンを用い、SRMモードでの測定を行った。分離度Rsは3.4と完全分離を達成している。また、検出限界はおよそ0.4fmolであった。
N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸を用いた1−ナフチルエチルアミンの誘導体化の方法は以下の通りである。
10μM(R,S)−1−ナフチルエチルアミン10μl(17.71ng)に10mM 2,2’ジピリジルジスルフィド(DPDS)、10mMトリフェニルホスフィン(TPP)、1mM N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸を其々10μl加え、混和した。その後60℃、120分加熱した。溶媒留去後、移動相に溶解し、希釈後、測定サンプルとした。
また、tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートを用いてナフチルエチルアミンの誘導体化を行うこともできる。その際の誘導体化の方法は以下の通りである。まず、アセトニトリルに溶解したtert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレート10μlを氷冷下に静置し、そこにトリフルオロ酢酸を40μlを滴下し、60分間反応させた。溶媒を留去後、アンモニア水にて中和し、溶媒を再留去した。その後、残渣を10μlのアセトニトリルに再溶解した。これ以降の誘導体化の方法は先述した方法と同様とした。
調製したサンプルをUPLC−ESI−MS/MSにて測定した。(インジェクション量:ナフチルエチルアミン誘導体5fmol)
10μM(R,S)−1−ナフチルエチルアミン10μl(17.71ng)に10mM 2,2’ジピリジルジスルフィド(DPDS)、10mMトリフェニルホスフィン(TPP)、1mM N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸を其々10μl加え、混和した。その後60℃、120分加熱した。溶媒留去後、移動相に溶解し、希釈後、測定サンプルとした。
また、tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートを用いてナフチルエチルアミンの誘導体化を行うこともできる。その際の誘導体化の方法は以下の通りである。まず、アセトニトリルに溶解したtert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレート10μlを氷冷下に静置し、そこにトリフルオロ酢酸を40μlを滴下し、60分間反応させた。溶媒を留去後、アンモニア水にて中和し、溶媒を再留去した。その後、残渣を10μlのアセトニトリルに再溶解した。これ以降の誘導体化の方法は先述した方法と同様とした。
調製したサンプルをUPLC−ESI−MS/MSにて測定した。(インジェクション量:ナフチルエチルアミン誘導体5fmol)
この時のHPLC−MSの条件は次の通りである。
ステム
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 Column,1.7μm,2.1mm×100mm
カラムオーブン:40℃
溶出液:0.1%ギ酸含有水/0.1%ギ酸含有アセトニトリル=72/28
流速:0.3ml/min
注入量:2μl
質量分析計:LCT Premier XEまたはXevoTMTQ−S
ステム
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 Column,1.7μm,2.1mm×100mm
カラムオーブン:40℃
溶出液:0.1%ギ酸含有水/0.1%ギ酸含有アセトニトリル=72/28
流速:0.3ml/min
注入量:2μl
質量分析計:LCT Premier XEまたはXevoTMTQ−S
分析結果は次の通りである。UPLC−TOF−MS分析におけるナフチルエチルアミン誘導体(m/z405.2)のクロマトグラムとスペクトルを[表5][表6]に示す。両ピークとも同様のスペクトルパターンを示し、良好な分離を達成していることがわかる。
次にナフチルエチルアミン誘導体のXevoTMTQ−Sを用いたプロダクトイオンスキャンによるスペクトルとSRMモード(m/z405.2→137.0)のクロマトグラムを[表7][表8]に示す。プロダクトイオンm/z137.0は誘導体化試薬由来であり、このプロダクトイオンを用い、SRMモードでの測定を行った。分離度Rsは5.3と完全分離を達成している。また、検出限界はおよそ1.1fmolであった。
以上のように本発明化合物はアミン類、カルボン酸類のエナンチオマーの分離分析に用いられる。標識体はHPLC−MSの分離条件に安定で、カラムの移動中に分解することはない。標識体であるジアステレオマーのアキラルカラムによる分離度は1.5以上で、良好な分離を示す。また、MS/MS分析における娘イオンは下記式に示すように本発明化合物由来の137.0で、一群のアミン類、あるいは一群のカルボン酸類を同時に分離分析することが可能である。したがって、本発明化合物はアミン類、カルボン酸類のエナンチオマーのHPLC−MSによる分離分析に極めて有用なジアステレオマー生成試薬である。
以下に本発明の好ましい実施例を記載するが、これは例示の目的であり、本発明を制限するものではない。本発明の範囲内で変形が可能なことは当業者には明らかであろう。
実施例1
tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートの合成
3−イソチオシアナートピリジン(1等量)とD−プロリンtert−ブチル(5等量)をジクロロメタンに溶解し、室温6時間攪拌した。その後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30/1)にて、tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートの白色結晶を得た。
tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートの合成
3−イソチオシアナートピリジン(1等量)とD−プロリンtert−ブチル(5等量)をジクロロメタンに溶解し、室温6時間攪拌した。その後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30/1)にて、tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートの白色結晶を得た。
得られたtert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートの主な物性値は次の通りである。
mp:155〜156℃
mp:155〜156℃
(S)−N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸の合成
tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートを少量のジクロロメタンに溶解し、氷冷下で攪拌した。そこにトリフルオロ酢酸を段階的に加え、さらに激しく60分間攪拌した。その後、溶媒留去することで、油状の(S)−N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸を得た。
tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートを少量のジクロロメタンに溶解し、氷冷下で攪拌した。そこにトリフルオロ酢酸を段階的に加え、さらに激しく60分間攪拌した。その後、溶媒留去することで、油状の(S)−N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸を得た。
tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレート、(S)−N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸、どちらを用いてもジアステレオマー生成試薬として有益な結果をもたらすことは先述した通りである。
実施例2
(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンの合成
3−イソチオシアナートピリジン(1等量)と(S)−3−Bocアミノピロリジン(5等量)をジクロロメタンに溶解し、室温6時間攪拌した。その後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30/1)にて、(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンの白色結晶を得た。
(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンの合成
3−イソチオシアナートピリジン(1等量)と(S)−3−Bocアミノピロリジン(5等量)をジクロロメタンに溶解し、室温6時間攪拌した。その後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30/1)にて、(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンの白色結晶を得た。
得られた(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンの主な物性値は次の通りである。
mp:97〜100℃
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(S)−3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンの合成
(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを少量のジクロロメタンに溶解し、氷冷下で攪拌した。そこにトリフルオロ酢酸を段階的に加え、さらに激しく60分間攪拌した。その後、溶媒留去し、飽和炭酸水素ナトリウム水にて中和した。液−液抽出(水/ジクロロメタン)を行い、ジクロロメタン層を濃縮することで油状の(S)−3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを得た。
(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを少量のジクロロメタンに溶解し、氷冷下で攪拌した。そこにトリフルオロ酢酸を段階的に加え、さらに激しく60分間攪拌した。その後、溶媒留去し、飽和炭酸水素ナトリウム水にて中和した。液−液抽出(水/ジクロロメタン)を行い、ジクロロメタン層を濃縮することで油状の(S)−3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを得た。
(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン、(S)−3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン、どちらを用いてもジアステレオマー生成試薬として有益な結果をもたらすことは先述した通りである。
本発明は光学活性ピリジルチオウレア誘導体に関するもので、分析化学の属する分野および他の分野において要求されている光学活性化合物の分離分析に供するものである。
医薬品や生体内分子などの生理活性物質は不斉中心を有するものが多く、これら不斉中心を有する化合物には光学異性体が存在する。光学異性体の間では生理活性が大きく異なる場合や生体内での挙動が異なる場合がある。従って、これらの光学異性体を分離、高感度で再現性よく定量することは重要な分析課題となっている。ことに光学活性アミン類、カルボン酸類は生理活性物質の主要な構成要素となっており、これら光学異性体を効率よく分離分析することが求められている。
光学活性アミン類あるいはカルボン酸類の光学異性体を分離分析する方法は、いくつか知られている。例えば、シフト試薬を用いるNMR法、ジアステレオマーによるNMR法、旋光分散法、光学活性固定相を用いるHPLC法、光学活性移動相を用いるHPLC法、ジアステレオマーを生成させてそれをHPLCで分離分析する方法などがある。中でもジアステレオマーを生成させてそれをHPLCで分離分析する方法は汎用性が高く、確実な方法として多用されている。
例えば、P.Marfeyは下記構造式
で示されるN−(5−フルオロ−2,4−ジニトロフェニル)−L−アラニンアミド(以下、Marfey試薬という)とアミノ酸を反応させ、ジアステレオマーを生成させ、これをHPLCで分離分析している(非特許文献1)。この時、ジアステレオマー間は良好な分離を示す。
木下らは、アミノ基を有する光学活性な化合物に対する蛍光キラル誘導体化法を報告している(特許文献1)。それによれば、アミノ基を有する光学活性な化合物とo−フタルアルデヒド、N−アセチル−L−システインを反応させ、インドール誘導体のジアステレオマーを生成させている。このジアステレオマーはHPLCで良好な分離を示す。この反応は第1級アミンに対して選択的で、また、反応に際してラセミ化を起こすことがない。
ピヨーンらは下記構造式
(式中、Rはアルキル基、トリフルオロメチル基から選択され、Xはハロゲン、アジド基、スクシンイミジル基から選択され、*は不斉炭素原子でエナンチオマーの一を示す)で示される光学活性フルオレン誘導体を開発し、アミノ基を有する光学活性な化合物と反応させ、カルバミン酸誘導体のジアステレオマーを生成させている(特許文献2)。そして、このジアステレオマーをHPLCで分離し、良好な結果を得ている。
豊岡らは下記構造式
(式中、Rはニトロ基、ジメチルアミノスルホニル基から選択され、*は不斉炭素原子でエナンチオマーの一方を示す)で示される光学活性4−ニトロ−7−(3−イソチオシアナートピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(以下、NBD−Py−NCSという)、光学活性4−(N,N−ジメチルアミノスルホニル)−7−(3−イソチオシアナートピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(以下、DBD−Py−NCSという)を開発し、それぞれ不斉炭素原子に直結したアミノ基、メルカプト基を有する化合物のHPLCによる光学純度測定法を報告している(非特許文献2)。NBD−Py−NCS、DBD−Py−NCSのいずれも不斉炭素原子に直結したアミノ基、メルカプト基と速やかに反応し、それぞれチオウレア、ジチオカルバメートのジアステレオマーを生成する。これらの一対のジアステレオマーはHPLCで分離し、長波長の強い蛍光を示す。
また、カルボン酸類の光学異性体の分離、分析用として、豊岡らは下記構造式
(式中、Rはニトロ基、ジメチルアミノスルホニル基から選択され、*は不斉炭素原子でエナンチオマーの一方を示す)で示される光学活性4−ニトロ−7−(3−アミノピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(以下、NBD−APyという)、光学活性4−(N,N−ジメチルアミノスルホニル)−7−(3−アミノピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(以下、DBD−APyという)を開発、その有用性を報告している(非特許文献3)。それによれば、NBD−APy、DBD−APyのいずれも温和な条件下、カルボキシル基を有する化合物と反応し、ジアステレオマーを生成する。このジアステレオマーはHPLC分離条件に安定で、良好な分離を示し、強い蛍光を有する。
磯部らは下記構造式
(式中、R1、R2はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、あるいはアラルキル基から選択され、*は不斉炭素原子でエナンチオマーの一方を示す)で示される光学活性1,3−オキサゾリン−2−チオン誘導体を開発し、カルボキシル基を有するケトプロフェンなどに存在する光学異性体のHPLC分離分析法を報告している(特許文献3)。
上記方法はHPLCの検出器としてUV検出器あるいは蛍光検出器を用いる方法である。近年、医薬品開発、生体成分の分析を中心として極めて微量のエナンチオマーの検出、定量が望まれており、これらの方法では到底満足できるものではない。
そうした要望に応える手法としてMSを検出器とするHPLC−MSが利用されつつある。例えば、S.A.FuchsらはMarfey試薬とセリンを反応させてジアステレオマーを生成させ、このジアステレオマーをHPLC−MSで分離分析している(非特許文献4)。その検出限界はD−セリンが0.20μmol、L−セリンが0.14μmolと報告されている。
D.Jinらは光学活性なDBD−Py−NCSとチロキシン(以下、T4という)を反応させてジアステレオマーを生成させ、このジアステレオマーをHPLC−MSで分離分析している(非特許文献5)。MSでの検出はネガティブイオンモードを使用し、D−T4の検出限界は28ng/ml、L−T4の検出限界は40ng/mlを得ている。
P.Marfey,Carlsberg Res.Commun.,49,591(1984)
T.Toyo’oka,Y−M.Lin,Analyst,120,385(1995)
T.Toyo’oka,M.Ishibashi,T.Terao,J.Chromatogr.,625,357(1992)
S.A.Fuchs,et al.Clinical Chemistry,54,1443(2008)
D.Jin,A.P.Kumar,G−C.Song,Y−I.Lee,Microchemical Journal,88,62(2008)
しかしながら、S.A.FuchsらのMarfey試薬を用いる方法はD−セリン、L−セリンの分離は良好であるが、その検出限界はそれぞれ0.20μmol、0.41μmolである。高感度検出法とは言い難く、到底満足できるものではない。
D.Jinらの方法はナノグラムレベルの高い検出感度でチロキシンの光学異性体を検出、定量することができる優れた方法である。しかしながら、この方法は親イオン[M−H]−1129を選択イオンモニタリング(SIM)することで高感度検出を達成している。この親イオン[M−H]−1129はチロキシン誘導体由来のイオンである。そのため、類縁体であるトリヨードサイロニンの同時検出は不可能であり、到底満足できる手法ではない。高感度検出を達成させるには、MS/MS分析において娘イオンがジアステレオマー生成試薬由来となるようなジアステレオマー生成試薬が求められている。ジアステレオマー生成試薬由来の娘イオンで選択反応モニタリング(SRM)することで類縁体を含めた一群の測定対象物を同時に高感度で検出、定量することができる。
そこで、発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明化合物がHPLCによる光学活性アミン類、カルボン酸類の光学異性体を分離、定量するため優れたジアステレオマー生成試薬であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係る上記構造式で表される化合物からアミン類の光学異性体の分離、分析するためのジアステレオマー生成試薬の代表例として下記構造(1)を、カルボン酸類の光学異性体の分離、分析するためのジアステレオマー生成試薬の代表例として下記構造(2)を取り上げ、本発明の詳細を明らかにする。
本発明化合物N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸(1)の合成における第一工程は3−イソチオシアナートピリジンと光学活性なプロリンtert−ブチルを反応させ、tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートを得る工程で、使用しうる溶媒はジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、酢酸エチル、ヘキサンあるいはそれらの混合溶媒から適宜選択される。反応温度は室温から溶媒の還流温度の間で適宜選択され、反応に要する時間は使用する溶媒、反応温度などにより異なるが、30分から12時間の間で適宜選択される。第二工程はエステル結合を加水分解する工程で、例えばトリフルオロ酢酸水溶液などで加水分解し、目的とする本発明化合物光学活性N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸が得られる。
本発明化合物3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン(2)の合成における第一工程は3−イソチオシアナートピリジンと光学活性な3−Bocアミノピロリジンを反応させ、3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを得る工程で、使用しうる溶媒はジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、酢酸エチル、ヘキサンあるいはそれらの混合溶媒から適宜選択される。反応温度は室温から溶媒の還流温度の間で適宜選択され、反応に要する時間は使用する溶媒、反応温度などにより異なるが、30分から12時間の間で適宜選択される。第二工程はBocを脱離させる工程で、種々のBoc基の脱保護条件が利用できる。例えば、トリフルオロ酢酸を用いても定量的にBocが脱離し、目的とする本発明化合物光学活性3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンが得られる。
本発明化合物である光学活性N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸はアミン類と、光学活性3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンはカルボン酸類とそれぞれ縮合剤の存在下、反応結合する。縮合剤は2,2’ジピリジルジスルフィド−トリフェニルホスフィン、シアノホスホン酸ジエチル、ジフェニルホスホリルアジドなどから適宜選択される。アミン類、カルボン酸類が不斉炭素原子を有し、エナンチオマーの混合物である場合、反応生成物はジアステレオマーを形成する。このジアステレオマーはアキラルな逆相カラムを用いるHPLC−MSで良好な分離を示す。検出にはジアステレオマー生成試薬として用いられている本発明化合物由来のm/z137.0の選択反応モニタリング(SRM)により高感度で検出、定量することができる。
本発明化合物の有用性を明らかにするため、カルボン酸類の代表例としてイブプロフェンを、アミン類の代表例として1−ナフチルエチルアミンを取り上げ、エナンチオマーの分離、分析を参考例として示す。
3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを用いたイブプロフェンの誘導体化の方法は以下の通りである。
10μM(R,S)−イブプロフェン10μl(20.6ng)に10mM 2,2’ジピリジルジスルフィド(DPDS)、10mMトリフェニルホスフィン(TPP)、1mM 3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを其々10μl加え、混和した。その後60℃、120分加熱した。溶媒留去後、移動相に溶解し、希釈後、測定サンプルとした。
また、(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを用いてイブプロフェンの誘導体化を行うこともできる。その際の誘導体化の方法は以下の通りである。まず、アセトニトリルに溶解した1mM(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン10μlを氷冷下に静置し、そこにトリフルオロ酢酸を40μlを滴下し、60分間反応させた。溶媒を留去後、アンモニア水にて中和し、溶媒を再留去した。その後、残渣を10μlのアセトニトリルに再溶解した。これ以降の誘導体化の方法は先述した方法と同様とした。
調製したサンプルをUPLC−ESI−MS/MSにて測定した。(インジェクション量:イブプロフェン誘導体5fmol)
10μM(R,S)−イブプロフェン10μl(20.6ng)に10mM 2,2’ジピリジルジスルフィド(DPDS)、10mMトリフェニルホスフィン(TPP)、1mM 3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを其々10μl加え、混和した。その後60℃、120分加熱した。溶媒留去後、移動相に溶解し、希釈後、測定サンプルとした。
また、(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを用いてイブプロフェンの誘導体化を行うこともできる。その際の誘導体化の方法は以下の通りである。まず、アセトニトリルに溶解した1mM(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン10μlを氷冷下に静置し、そこにトリフルオロ酢酸を40μlを滴下し、60分間反応させた。溶媒を留去後、アンモニア水にて中和し、溶媒を再留去した。その後、残渣を10μlのアセトニトリルに再溶解した。これ以降の誘導体化の方法は先述した方法と同様とした。
調製したサンプルをUPLC−ESI−MS/MSにて測定した。(インジェクション量:イブプロフェン誘導体5fmol)
この時のHPLC−MSの条件は次の通りである。
ステム
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 Column,1.7μm,2.1mm×100mm
カラム温度:40℃
溶出液:0.1%ギ酸含有水/0.1%ギ酸含有アセトニトリル=60/40
流速:0.3ml/min
注入量:2μl
質量分析計:LCT Premier XEまたはXevoTMTQ−S
ステム
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 Column,1.7μm,2.1mm×100mm
カラム温度:40℃
溶出液:0.1%ギ酸含有水/0.1%ギ酸含有アセトニトリル=60/40
流速:0.3ml/min
注入量:2μl
質量分析計:LCT Premier XEまたはXevoTMTQ−S
誘導体化は下記式に従って進行する。
分析結果は次の通りである。UPLC−TOF−MS分析におけるイブプロフェン誘導体(m/z411.2)のクロマトグラム[表1]とスペクトル[表2]を以下に示す。両ピークとも同様のスペクトルパターンを示し、良好な分離を達成していることがわかる。
次にイブプロフェン誘導体のXevoTMTQ−Sを用いたプロダクトイオンスキャンによるスペクトルとSRMモード(m/z411.2→137.0)のクロマトグラムを[表3][表4]に示す。プロダクトイオンm/z137.0は誘導体化試薬由来であり、このプロダクトイオンを用い、SRMモードでの測定を行った。分離度Rsは3.4と完全分離を達成している。また、検出限界はおよそ0.4fmolであった。
N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸を用いた1−ナフチルエチルアミンの誘導体化の方法は以下の通りである。
10μM(R,S)−1−ナフチルエチルアミン10μl(17.71ng)に10mM 2,2’ジピリジルジスルフィド(DPDS)、10mM トリフェニルホスフィン(TPP)、1mM N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸を其々10μl加え、混和した。その後60℃、120分加熱した。溶媒留去後、移動相に溶解し、希釈後、測定サンプルとした。
また、tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートを用いてナフチルエチルアミンの誘導体化を行うこともできる。その際の誘導体化の方法は以下の通りである。まず、アセトニトリルに溶解したtert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレート10μlを氷冷下に静置し、そこにトリフルオロ酢酸を40μlを滴下し、60分間反応させた。溶媒を留去後、アンモニア水にて中和し、溶媒を再留去した。その後、残渣を10μlのアセトニトリルに再溶解した。これ以降の誘導体化の方法は先述した方法と同様とした。
調製したサンプルをUPLC−ESI−MS/MSにて測定した。(インジェクション量:ナフチルエチルアミン誘導体5fmol)
10μM(R,S)−1−ナフチルエチルアミン10μl(17.71ng)に10mM 2,2’ジピリジルジスルフィド(DPDS)、10mM トリフェニルホスフィン(TPP)、1mM N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸を其々10μl加え、混和した。その後60℃、120分加熱した。溶媒留去後、移動相に溶解し、希釈後、測定サンプルとした。
また、tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートを用いてナフチルエチルアミンの誘導体化を行うこともできる。その際の誘導体化の方法は以下の通りである。まず、アセトニトリルに溶解したtert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレート10μlを氷冷下に静置し、そこにトリフルオロ酢酸を40μlを滴下し、60分間反応させた。溶媒を留去後、アンモニア水にて中和し、溶媒を再留去した。その後、残渣を10μlのアセトニトリルに再溶解した。これ以降の誘導体化の方法は先述した方法と同様とした。
調製したサンプルをUPLC−ESI−MS/MSにて測定した。(インジェクション量:ナフチルエチルアミン誘導体5fmol)
この時のHPLC−MSの条件は次の通りである。
ステム
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 Column,1.7μm,2.1mm×100mm
カラムオーブン:40℃
溶出液:0.1%ギ酸含有水/0.1%ギ酸含有アセトニトリル=72/28
流速:0.3ml/min
注入量:2μl
質量分析計:LCT Premier XEまたはXevoTMTQ−S
ステム
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 Column,1.7μm,2.1mm×100mm
カラムオーブン:40℃
溶出液:0.1%ギ酸含有水/0.1%ギ酸含有アセトニトリル=72/28
流速:0.3ml/min
注入量:2μl
質量分析計:LCT Premier XEまたはXevoTMTQ−S
分析結果は次の通りである。UPLC−TOF−MS分析におけるナフチルエチルアミン誘導体(m/z405.2)のクロマトグラムとスペクトルを[表5][表6]に示す。両ピークとも同様のスペクトルパターンを示し、良好な分離を達成していることがわかる。
次にナフチルエチルアミン誘導体のXevoTMTQ−Sを用いたプロダクトイオンスキャンによるスペクトルとSRMモード(m/z405.2→137.0)のクロマトグラムを[表7][表8]に示す。プロダクトイオンm/z137.0は誘導体化試薬由来であり、このプロダクトイオンを用い、SRMモードでの測定を行った。分離度Rsは5.3と完全分離を達成している。また、検出限界はおよそ1.1fmolであった。
以上のように本発明化合物はアミン類、カルボン酸類のエナンチオマーの分離分析に用いられる。標識体はHPLC−MSの分離条件に安定で、カラムの移動中に分解することはない。標識体であるジアステレオマーのアキラルカラムによる分離度は1.5以上で、良好な分離を示す。また、MS/MS分析における娘イオンは下記式に示すように本発明化合物由来の137.0で、一群のアミン類、あるいは一群のカルボン酸類を同時に分離分析することが可能である。したがって、本発明化合物はアミン類、カルボン酸類のエナンチオマーのHPLC−MSによる分離分析に極めて有用なジアステレオマー生成試薬である。
以下に本発明の好ましい実施例を記載するが、これは例示の目的であり、本発明を制限するものではない。本発明の範囲内で変形が可能なことは当業者には明らかであろう。
実施例1
tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートの合成
3−イソチオシアナートピリジン(1等量)とD−プロリンtert−ブチル(5等量)をジクロロメタンに溶解し、室温6時間攪拌した。その後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30/1)にて、tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートの白色結晶を得た。
tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートの合成
3−イソチオシアナートピリジン(1等量)とD−プロリンtert−ブチル(5等量)をジクロロメタンに溶解し、室温6時間攪拌した。その後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30/1)にて、tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートの白色結晶を得た。
得られたtert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートの主な物性値は次の通りである。
mp:155〜156℃
mp:155〜156℃
(R)−N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸の合成
tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートを少量のジクロロメタンに溶解し、氷冷下で攪拌した。そこにトリフルオロ酢酸を段階的に加え、さらに激しく60分間攪拌した。その後、溶媒留去することで、油状の(R)−N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸を得た。
tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレートを少量のジクロロメタンに溶解し、氷冷下で攪拌した。そこにトリフルオロ酢酸を段階的に加え、さらに激しく60分間攪拌した。その後、溶媒留去することで、油状の(R)−N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸を得た。
tert−ブチルN−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボキシレート、(R)−N−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン−2−カルボン酸、どちらを用いてもジアステレオマー生成試薬として有益な結果をもたらすことは先述した通りである。
実施例2
(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンの合成
3−イソチオシアナートピリジン(1等量)と(S)−3−Bocアミノピロリジン(5等量)をジクロロメタンに溶解し、室温6時間攪拌した。その後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30/1)にて、(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンの白色結晶を得た。
(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンの合成
3−イソチオシアナートピリジン(1等量)と(S)−3−Bocアミノピロリジン(5等量)をジクロロメタンに溶解し、室温6時間攪拌した。その後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30/1)にて、(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンの白色結晶を得た。
得られた(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンの主な物性値は次の通りである。
mp:97〜100℃
mp:97〜100℃
(S)−3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンの合成
(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを少量のジクロロメタンに溶解し、氷冷下で攪拌した。そこにトリフルオロ酢酸を段階的に加え、さらに激しく60分間攪拌した。その後、溶媒留去し、飽和炭酸水素ナトリウム水にて中和した。液−液抽出(水/ジクロロメタン)を行い、ジクロロメタン層を濃縮することで油状の(S)−3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを得た。
(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを少量のジクロロメタンに溶解し、氷冷下で攪拌した。そこにトリフルオロ酢酸を段階的に加え、さらに激しく60分間攪拌した。その後、溶媒留去し、飽和炭酸水素ナトリウム水にて中和した。液−液抽出(水/ジクロロメタン)を行い、ジクロロメタン層を濃縮することで油状の(S)−3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジンを得た。
(S)−3−Bocアミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン、(S)−3−アミノ−1−(3−ピリジルチオカルバモイル)ピロリジン、どちらを用いてもジアステレオマー生成試薬として有益な結果をもたらすことは先述した通りである。
Claims (3)
- Arがピリジル、R1がカルボキシル基、活性エステル体、カルボニルクロリドから選択され、R2が水素である光学活性ピリジルチオウレア誘導体。
- Arがピリジル、R1が水素、R2がアミノ基である光学活性ピリジルチオウレア誘導体。
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JP2012185829A JP2014034573A (ja) | 2012-08-09 | 2012-08-09 | 光学活性ピリジルチオウレア誘導体 |
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-
2012
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WO2017057433A1 (ja) * | 2015-10-02 | 2017-04-06 | 味の素株式会社 | 鏡像異性体の分析方法 |
JPWO2017057433A1 (ja) * | 2015-10-02 | 2018-07-19 | 味の素株式会社 | 鏡像異性体の分析方法 |
US11327060B2 (en) | 2015-10-02 | 2022-05-10 | Ajinomoto Co., Inc. | Method for analyzing enantiomer |
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