JP2014032153A - 温度計測装置及び化学分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の反応容器内の検査液の温度を個別に制御して個々に予め定められた温度とすること。
【解決手段】反応液52を密閉状に保持する反応容器50が密着してセットされる伝熱部41の容器セット部58を有し、温度制御部40にて制御電圧に応じて温度可変可能に熱を発熱し、この熱を伝熱部41の容器セット部58に伝達して反応容器50を加熱する。温度計測装置70を容器セット部58にセットし、この温度計測装置70は加熱された際に、温度センサで計測されるダミー物質の温度に応じた温度センサ電圧信号を、温度計測信号受信部90を介して温度制御部40へ出力する。温度制御部40は、その温度センサ電圧信号に応じてダミー物質の温度が目標の検査温度となるように制御電圧を制御して、ダミー物質の温度が検査温度となった際の制御電圧で、後に容器セット部58にセットされる反応容器50を加熱するように構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の反応容器内のダミー物質の温度を計測する温度計測装置及び、複数の反応容器内で検査液を検査温度に制御しながら分析する化学分析装置に関する。
従来の化学分析装置に係る背景技術として、特許文献1〜6に記載の技術がある。
特許文献1の技術は、回転軸線回りに回転可能なカローセルと、カローセルの円周状の縁に沿って保持された複数の反応容器と、反応容器に励起光を照射する光源と該反応容器内の反応液からの蛍光を検出する検出素子とを有する少なくとも1個の検出器と、を有する分析装置に関するもので、検出器は取り外し可能であり、所望の検出器をセットすることで、検査項目に応じた蛍光測定を行える。この技術によれば、複数の検査項目を並列的に検査することが可能であり、検査項目や測定対象の変更があっても高い検体処理効率を得ることができる、と記載されている(要約参照)。
特許文献2には、核酸の増殖反応の場として基板に形成される複数の容器にそれぞれ対応付けられる熱源素子の温度を、所定の周期毎に、当該熱源素子の周囲に所定間隔で設けられる複数の検温素子を用いて求め、周期の反転周期毎に、求めた温度に応じた熱量で、対応する各熱源素子に発熱作用を与える制御信号を生成する、と記載されている(要約参照)。
特許文献3には、化学分析装置(核酸増幅器)は、試料を入れる容器として使用される試料ウエルを複数配置した容器状部材と、容器状部材の試料を注入する面を覆うケース部材と、試料ウエルの底部を着脱可能に保持するべース側ウエル、ベース側ウエル毎に個別に加熱することが可能な発熱部を有するベースとから少なくとも構成される。核酸(DNA)の増幅反応が終了した後は、容器状部材のみを使い捨てにすることができ、ベース等は繰り返し使用することができる、と記載されている(要約参照)。
特許文献4には、核酸の増殖反応の場として基板に形成される複数の容器が収容される反応室に対して外部であって、大気に触れる位置に設けられる外部感温素子を用いて外気温を検出し、温度と、熱源素子での発熱に要する信号量とを示す一次関数の切片を、外気温に応じて決定し、該決定した切片でなる一次関数を用いて、熱源素子に与えるべき信号量を決定する、と記載されている(要約参照)。
特許文献5には、開口部面積1.2mm×1.2mm以下、もしくは深さ1.4mm以下のチャンバを多数配列し、各々のチャンバ内に独立に制御することの可能な温度調節機能を有する生化学反応装置。シリコンウェハに半導体プロセスにより多数の孔と、その内部に半導体ペルチェ素子を形成する。チャンバ毎に印加電圧を制御することにより、独立に温度調節可能としたものである、と記載されている(要約参照)。
特許文献6には、分析装置は、反応容器に取り付けられ、液体を攪拌する音波を出射する音波発生素子と、音波発生素子の駆動を制御する駆動制御回路と、反応容器内の液体の温度を検知する温度センサと、温度センサが検知した液体の温度をもとに駆動制御回路による音波発生素子の駆動を制御し、液体の温度を目標温度に調節する温度調節回路とを備え、音波発生素子は、出射する音波の音響エネルギーによって液体を加熱する、と記載されている(要約参照)。
特開2010−151665号公報 特開2009−278956号公報 特開2003−107094号公報 特開2010−41958号公報 特開平5−317030号公報 特開2007−303965号公報
ところで、上述した特許文献1〜6には次のような問題がある。
特許文献1では、ケーシング内に複数の反応容器を保持するカローセルが収納されており、反応容器内の反応液の温度を所定の温度に指示するための温度調節装置として、ファン、熱源及び温度センサが、ケーシングの天井付近に、或いはカローセルにも、同様に、熱源13及び温度センサが設けられている。しかし、各温度調節装置はケーシング内及びカローセル全体を所定の温度に制御するものであり、各々の反応容器内の反応液の温度を個別に制御することはできない。
特許文献2では、基準層となる反応基板に、核酸の増殖反応の場とされる容器(ウエル)が高密度に形成され、発熱基板は、反応基板に対して下側の層として配置され、反応基板と対向する面には、各ウエルにそれぞれ対応付けて熱源素子が配置され、これら熱源素子の周囲には複数の検温素子が配置されている。各ウエルに対応する熱源素子は、熱源素子を囲む複数の検温素子でセンシングされる温度に応じて個別に制御され、各ウエルに与えられる標的核酸の種が異なる等に起因して温度条件が異なる場合であっても、各ウエルの温度を、増殖サイクルとして規定される変性段階、アニーリング段階、伸長段階の各段階に要する温度を基準として高精度に調整することが可能なように成されている。しかし、各ウエル内で反応させる液量については記載がなく、液量が異なる場合の熱源素子の調整についても考慮されていないことから、各ウエル内の反応液の温度を個別に制御することができない。
特許文献3では、試料を入れる容器として使用される試料ウエルを複数配置した容器状部材と、容器状部材の試料を注入する面を覆うケース部材と、試料ウエルの底部を着脱可能に保持するベース側ウエル、ベース側ウエル毎に個別に加熱することが可能な発熱部を有するベースとから少なくとも構成されている。更に、ベースは、容器状部材を配置するためのベース側ウエルとベース側ウエル毎にそれぞれ備えられた発熱部を備え、ベース側ウエル下部に外面接触してそれぞれ熱電対が温度センサとして設けられており、発熱部(ヒータ)と熱電対は、制御装置に接続され、制御装置は熱電対からの測定結果が入力され、この入力値に基づいて発熱部(ヒータ)に通電される電流値となる信号を生成し、発熱部(ヒータ)にこの信号を出力している。しかし、温度センサとしての熱電対は、ウエル下部に外面接触させているため、ウエル内の温度を計測してはいない。また、熱電対はウエルの個数分必要であり、多数の熱電対の故障頻度や寿命を考慮すると、ウエルの数が増えるほど全ての温度測定結果の信頼性を保証することが難しくなる。更に、熱電対は装置に内蔵されるため、装置の稼働中に熱電対の動作を検証することができない。
特許文献4では、反応基板に核酸の増殖反応の場とされる容器(ウエル)が高密度に形成され、これらウエルには、増殖対象の標的核酸及びその標的核酸の増殖に要する各種物質(プライマー、緩衝液、酵素、dNTP、蛍光色素等)が与えられている。発熱基板は反応基板に対して下側の層として配置される基板であり、該基板のうち、反応基板と対向する面には、各ウエルにそれぞれ対応付けて熱源素子が配置され、これら熱源素子の周囲には複数の感温素子が配置されている。この熱源素子には例えばTFT(Thin Film Transistor)等が用いられ、感温素子には例えばピンダイオード等が用いられている。各ウエルに対応する熱源素子が、該熱源素子を囲む複数の感温素子でセンシングされる温度に応じて個別に制御される。しかし、感温素子はウエルを形成している反応基板の下の発熱基板に配置されており、ウエル内の温度を計測してはいない。また、感温素子はウエルの個数分必要であり、多数の感温素子の故障頻度や寿命を考慮すると、ウエルの数が増えるほど全ての温度測定結果の信頼性を保証することが難しくなる。更に、感温素子は装置に内蔵されるため、装置の稼働中に感温素子の動作を検証することができない。
特許文献5では、装置の母材はシリコンであり、異方性エッチングによってチャンバとなる適当な体積の孔を掘った後、底面に半導体ペルチェ素子を形成し、拡散法(半導体プロセス)により形成したP型及びN型半導体、リード線、ヒータ及び冷却プレート(温調プレート)、全ウエル共通の定温度接点を備え、定温度接点を適当な温度に制御しておき、リード線の両端に必要な電圧をかけることにより、温調プレートの温度をウエル毎に独立に制御する。或いは、リード線に電圧をかけず両端の電位差を測定すればこのペルチェ素子を温度計測用の熱電対として使用することも可能である。しかし、温度計測用のペルチェ素子はウエルの個数分必要であり、多数のペルチェ素子の故障頻度や寿命を考慮すると、ウエルの数が増えるほど全ての温度測定結果の信頼性を保証することが難しくなる。更に、温度計測用のペルチェ素子は装置に内蔵されるため、装置の稼働中にペルチェ素子の動作を検証することができない。
特許文献6では、温度センサは、試薬分注機構による試薬分注位置の近傍に鉛直方向に昇降自在に配置され、反応容器内の試薬と検体の攪拌時に反応容器に挿通されて攪拌された液体の温度を検知する。しかし、温度センサは鉛直方向に昇降することで反応容器内に位置決めされ、また反応容器も水平面内で移動することにより位置決めされるため、反応容器内の温度センサの位置は計測のたびに異なり、温度測定結果の再現性を得ることは難しい。更に、温度センサの変形や昇降機構の故障等による位置決め不良が発生し温度測定結果に影響があった場合、反応容器内の実際の温度変化と区別することができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数の反応容器内の検査液の温度を個別に制御して個々に予め定められた温度とすることができる温度計測装置及び化学分析装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の温度計測装置は、検査液と同等の熱容量及び熱伝導率を持つ液体又は固体のダミー物質を収容可能な内部空間を密閉状に閉塞可能な計測容器と、前記計測容器の外部から前記内部空間に挿通され、前記ダミー物質の温度を計測可能に当該計測容器に固定される温度センサとを備えて構成されている。
また、本発明の化学分析装置は、検査液を密閉状に保持する検査容器が密着してセットされる容器セット部と、制御電圧に応じて温度可変可能に熱を発熱し、この熱を前記容器セット部に伝達する発熱体とを有して、前記検査容器を前記制御電圧を制御して加熱する伝熱制御手段と、温度計測装置が、前記容器セット部にセットされた際に、当該温度計測装置の前記温度センサで計測されて出力される前記ダミー物質の温度に応じた温度センサ電圧信号を入力する入力手段とを備え、前記伝熱制御手段は、その温度センサ電圧信号に応じて前記ダミー物質の温度が目標温度となるように前記制御電圧を制御し、この制御により前記ダミー物質の温度が目標温度となった際の制御電圧で、後に前記容器セット部にセットされる前記検査容器を加熱するように構成されている。
本発明によれば、複数の反応容器内の検査液の温度を個別に制御して個々に予め定められた温度とすることができる温度計測装置及び化学分析装置を提供することができる。
本実施形態の温度計測装置を用いる遺伝子検査装置の構成を示し、(a)は遺伝子検査装置のケースを透視した平面図、(b)は遺伝子検査装置のケースを側面側から透視した断面図である。 本実施形態の遺伝子検査装置に反応容器をセットした際の構成を示し、(a)は遺伝子検査装置のケースを透視した平面図、(b)は遺伝子検査装置のケースを側面側から透視した断面図である。 本実施形態による温度計測装置70の構成を示す断面図である。 本実施形態の温度計測装置を校正する温度校正装置の構成を示し、(a)は温度校正装置のケースを透視した平面図、(b)はケースを側面側から透視した断面図である。 本実施形態の温度計測装置の校正手順、及び温度計測装置を用いた遺伝子検査装置1の温度制御部の調整及び検査手順を説明するためのフローチャートである。 本実施形態の温度計測装置を用いた遺伝子検査装置の温度制御部の調整又は検査を行う際の構成を示し、(a)は遺伝子検査装置のケースを透視した平面図、(b)はケースを側面側から透視した断面図である。 検査内容に応じて温度制御部による温度制御のパラメータ決定動作を説明するフローチャートである。 温度制御パラメータが決定されるまでに入力及び設定されるデータやテーブル等を示す図である。 検査内容に応じた温度制御部による温度制御パラメータの決定動作を説明するフローチャートである。 温度制御パラメータが決定されるまでに入力及び設定されるデータやテーブル等を示す図である。 検査内容に応じた温度制御部による温度制御パラメータの決定動作を説明するフローチャートである。 温度制御パラメータが決定されるまでに入力及び設定されるデータやテーブル等を示す図である。 本実施形態の他の温度計測装置の構成を示す断面図である。 本実施形態の他の温度計測装置を校正する温度校正装置の構成を示し、(a)は温度校正装置のケースを透視した平面図、(b)はケースを側面側から透視した断面図である。 本実施形態の変形例1による遺伝子検査装置の温度制御部による温度制御方法の説明図であり、(a)は反応液温度及びセンサ検出温度と時間との関係図、(b)は温度制御部の発熱量と時間の関係図、(c)は温度制御部の制御電圧と時間の関係図である。 本実施形態の変形例2による遺伝子検査装置の検査デバイスの構成を示し、(a)は検査デバイスの平面図、(b)は検査デバイスを側面から見た断面図である。 本実施形態の変形例2による遺伝子検査装置1Aの温度制御部40による温度制御方法の説明図であり、(a)は反応液温度と時間との関係図、(b)はモニタ部温度差と時間との関係図、(c)は温度制御部の発熱量と時間の関係図、(d)は温度制御部の制御電圧と時間の関係図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<実施形態の構成>
図1は本実施形態の温度計測装置を用いる遺伝子検査装置の構成を示し、(a)は遺伝子検査装置のケースを透視した平面図、(b)は遺伝子検査装置のケースを側面側から透視した断面図である。図2は本実施形態の遺伝子検査装置に反応容器をセットした際の構成を示し、(a)は遺伝子検査装置のケースを透視した平面図、(b)は遺伝子検査装置のケースを側面側から透視した断面図である。
図1に示す遺伝子検査装置1は、本発明の化学分析装置の一例であり、箱形のケース11の内部に検査デバイス10を備え、ケース11の外部に、温度計測信号受信部(入力手段)90と、温度計測装置70を保持する温度計測装置保持部80と、反応容器(検査容器)50を保持する反応容器保持部60と、温度計測装置70又は反応容器50を把持して移動させる容器移動機構110とを備えて構成されている。但し、ケース11は、内部の検査デバイス10等が見えるように一部省略して記載されている。
検査デバイス10は、ケース11内の底面中央部に図示せぬモータで回転自在に取り付けられた回転軸21と、回転軸21の上部に固定され、外周が多角形状の円盤型の恒温部20と、恒温部20の中央上部に配設された円盤型の恒温温調部30と、長方形の薄板形状を成し恒温温調部30の上に長方形面が対向状態に平行に配設された複数の放熱フィン31と、恒温部20の外周側面に固定された8つの温度制御部40と、各温度制御部40に固定された8つの伝熱部41と、伝熱部41の外側に配設された2つの受光部121と、伝熱部41の下方に配設された2つの照射部120と、ケース11の内部壁面に固定されたケース内温度センサ13とを備えて構成されている。なお、温度制御部40及び伝熱部41で、伝熱制御手段が構成されている。
恒温部20は、外周側面が16角形を成し、この16側面のうち1つ置きの8側面には、上述のように温度制御部40を介して伝熱部41が固定されており、これら全体が回転軸21で回転するようになっている。また、恒温部20の外周環状部分に内側から外側に向かって放射状に壁面で各温度制御部40を隔てる8つの断熱部22が埋め込まれている。恒温部20における各々の温度制御部40の近傍には各温度制御部温度センサ42が下面側から埋め込まれている。更に、恒温部20の上面で且つ恒温温調部30の円周側近傍には上方から1つの放熱温度センサ32が埋め込まれている。
なお、ケース内温度センサ13、放熱温度センサ32及び温度制御部温度センサ42を、単にセンサ13,32,42とも称す。
伝熱部41は、上方が大口径で下方に向かうに従い小口径となって上下に貫通するつぼ型貫通口による容器セット部58を備え、容器セット部58の内壁から伝熱部41の外壁に抜ける観測窓43が形成されている。観測窓43は、受光部121の受光面に対向する位置に形成されている。
容器セット部58には、このつぼ型貫通口形状と概略同形状を成して当該つぼ型貫通口形状に嵌め込まれるつぼ型の反応容器50又は温度計測装置70を、図2に示すように差し込んでセット可能となっている。反応容器50又は温度計測装置70は、容器セット部58に互いの側面が密着してセットされる。この密着したセットにより後述のように温度制御部40からの発熱が伝熱部41を介して反応容器50に効率良く伝達されるようになっている。
ケース11には、伝熱部41の上方位置に、容器搬入出口が開口されている。容器搬入出口は、容器搬入出扉(単に、扉ともいう)12で開閉できるようになっている。
温度計測信号受信部90は、ケース11の外側に配置されている。また、温度計測信号受信部90の更に外方には、温度計測装置保持部80及び反応容器保持部60が配置されている。温度計測装置保持部80は、凹部に温度計測装置70が差し込まれて保持されている。反応容器保持部60は、凹部に反応容器50が差し込まれて保持されている。
容器移動機構110は、棒状のガイド111に、垂直駆動モータ114、水平駆動モータ116及び把持モータ115と、平行な2本の容器把持部112,113とが組み込まれて構成されている。なお、垂直駆動モータ114、水平駆動モータ116及び把持モータ115を、単にモータ114,116,115とも称す。
垂直駆動モータ114は、ガイド111をケース11の平面に対して垂直方向に上下動させ、水平駆動モータ116は、ガイド111を反応容器保持部60の直線延長線方向(以降、前後方向ともいう)に水平に移動させる。把持モータ115は、容器把持部112,113の間隔を広げたり狭めたりするように作動させ、反応容器50又は温度計測装置70を把持する動作を行う。
即ち、容器移動機構110は、例えば図6に示すように容器把持部112,113で温度計測装置70を把持し、水平及び垂直動作により、開口された容器搬入出口から温度計測装置70を容器セット部58に差し込んでセットする。逆に、容器セット部58にセットされた温度計測装置70を把持し、容器搬入出口からケース11外へ搬出する動作も行う。これと同様に反応容器50に対しても搬入セット及び搬出動作を行う。
図1に示す反応容器50は、検査デバイス10による遺伝子検査が実施される前の反応容器保持部60に保持された状態であり、反応容器50には核酸(DNA又はRNA)を含む試料と検査試薬とを調整した反応液(検査液)52が入っており、蓋51で密閉されている。また、反応容器50は、内部の反応液52が光透過可能な材質で形成されている。
<遺伝子検査の手順>
遺伝子検査は、次に述べる手順で実施される。
まず、検査デバイス10の恒温部20を回転軸21を介して図示せぬモータで回転し、ケース11の容器搬入出口の直下に容器セット部58が配置されるように停止させる。
次に、容器移動機構110の容器把持部112,113を図面上の後方向に水平移動させ、更に垂直下降させて反応容器50を把持する。この反応容器50を垂直上昇させ、左方向に水平移動させて容器搬入出口に移動させる。そして容器把持部112,113を垂直下降させ、図2に示すように反応容器50を容器セット部58に差し込んでセットする。このセット後、容器把持部112,113を開き反応容器50を放し、当該容器把持部112,113を上昇させて容器搬入出口から退避させる。この後、容器搬入出扉12が閉まる。
次に、温度制御部40で伝熱部41の温度が制御され、容器セット部58にセットされた反応容器50内の反応液(試料と検査試薬との混合液)52の温度が、次のように遺伝子検査に必要な検査温度とされる。
但し、温度制御部40は、印加電圧の制御により発熱や冷却が可能なペルチェ素子や、発熱用のヒータ等の発熱体を備える。
また、温度制御部40は、何れも図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、記憶装置(HDD: Hard Disk Drive等)を備える一般的な構成となっており、例えばRAMや記憶装置等の記憶部に後述のように任意に記憶設定される反応液量や制御電圧(印加電圧)の値に基づき、ROMに書き込まれたプログラムをCPUが実行して、発熱体が発熱する際の温度制御を実現するように構成されている。
なお、本実施形態では、温度制御部40は8つ搭載されているので、各々に制御手段を設けてもよいが、制御手段を遺伝子検査装置1に1つ設け、1つの制御手段で、8つの温度制御部40における発熱や冷却の温度制御を個別に行うようにしてもよい。
反応液52を検査温度とする場合、温度制御部40に電圧を印加して発熱させ、この熱を伝熱部41に伝達する。これにより伝熱部41が加熱され、この熱が伝熱部41の容器セット部58にセットされた反応容器50へ伝わり、反応容器50内の反応液52が所定の検査温度となる。
ここで、代表的な遺伝子増幅法であるPCR(Polymerase Chain Reaction)法による遺伝子検査では、複数の温度(例えば高温の95℃と低温の59℃)に反応液の温度を周期的に制御することで、遺伝子検査を実現するようになっている。本実施形態においても、反応液52の温度を高温の95℃と低温の59℃の検査温度に周期的に制御する。
この温度制御を迅速に行うため、ケース11内及び恒温部20を一定温度に保持しておく。これは、恒温温調部30で恒温部20を略一定温度に保持することにより、恒温部20の熱が、放熱フィン31でケース11内に放熱され、ケース11内が恒温部20の温度よりも低い温度に一定に保持される。この際、ケース11内の温度がケース内温度センサ13で検出(計測)され、恒温部20の温度が放熱温度センサ32で検出され、これら検出温度が各々一定温度(例えばケース11内が30℃、恒温部20が40℃)となるように恒温温調部30で温度制御が行われる。
このように検査初期状態では、ケース11内の温度を30℃、恒温部20の温度を40℃に制御し、反応容器50は伝熱部41に装着されていないが、伝熱部41は温度制御部40で所定の温度(例えば恒温部20と同じ40℃)に制御しておく。上記所定の温度に達したら、前述のように容器移動機構110で反応容器50を伝熱部41に設けてある容器セット部58に装着する。このとき、反応容器50の温度は伝熱部41と同じ温度(本実施例では40℃)に予め加熱してから装着するのが望ましい。
但し、恒温部20は、銅やアルミ等の熱伝導率の大きい材質で構成され、伝熱部41に比べて熱容量も十分大きくされており、温度制御部40からの放熱又は吸熱の影響が小さくなるように構成されている。このため、温度制御部40からの熱の影響は恒温部20に拡散し、更に恒温部20を恒温温調部30で温度制御しているので、恒温部20全体が40℃等の略一定温度に保持されるように成されている。
逆に、例えば伝熱部41が恒温部20の40℃よりも高温、例えば95℃の場合に、高温の95℃から低温の例えば59℃に冷却する場合は、伝熱部41の熱を恒温部20に伝達して冷却する。このように、伝熱部41にセットされた反応容器50内の反応液52を冷却して必要な検査温度とすることができる。
ここで、温度制御部40が例えばヒータである場合に、反応液52の温度を95℃の高温から59℃の低温にする場合、ヒータへの印加電圧を停止又は低くすることで、ヒータの発熱を停止又は発熱量を小さくする。この場合、恒温部20は熱容量が大きく反応液52よりも大幅に低温なので、反応液52の熱が伝熱部41から温度制御部40を介して恒温部20へ迅速に伝達される。これによって反応液52が迅速に冷却される。
また、温度制御部40がペルチェ素子であれば、そのペルチェ素子の温度制御電圧を冷却のための電圧とすればよい。この場合、反応液52はペルチェ素子で冷却されるが、同時に反応液52の熱が伝熱部41から恒温部20へも伝達されるので、反応液52が迅速に冷却される。
ところで、恒温部20や恒温温調部30は、遺伝子検査装置1の仕様によっては小型化する場合がある。この場合、その小型化の影響で、恒温部20における温度制御部40付近の温度を一定に保持することができず、このため隣接する温度制御部40同士で温度制御上悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、上記のように断熱部22を設け隣接する温度制御部40間での熱の影響を防止している。
本実施形態の遺伝子検査装置1では、前述したように、恒温部20の外周環状部分に各温度制御部40を壁面で隔てるように8つの断熱部22を設けることで、隣接する温度制御部40間で互いに及ぼす熱の影響を防止し、反応液52の温度を高精度に制御できるようになっている。断熱部22は、熱伝導率の小さい樹脂や発泡材等で構成すればよいが、この他、溝状にして空気で断熱する構造でもよい。なお、断熱部22は温度制御部40間での伝熱の影響がなければ設ける必要はない。
次に、上述した温度制御により反応液52が必要な検査温度となるタイミングで、反応容器50の下方から、図2の矢印Y1で示すように照射部120で反応液52に励起光を照射する。この照射に応じて反応液52から矢印Y2のように発せられる光を、観測窓43を通して受光部121で受光する。
PCR(Polymerase Chain Reaction)法によれば、反応液52の温度を高温(95℃)と低温(59℃)に繰り返し制御すると、反応容器50内に存在する検査対象である核酸が増幅する。増幅量は増幅前の核酸量と温度の繰り返し数に依存し、受光部121で受光する検出光量は核酸の増幅量に依存する。従って、温度の繰り返し数に対する検出光量を計測することで、反応容器50内に存在した初期の核酸量を決定し、遺伝子検査を終了する。
遺伝子検査が終了した反応容器50は、順次、扉12を開いて容器移動機構110で取り出し、次の検査対象の反応容器50を容器セット部58にセットし、上記同様に遺伝子検査を実施する。なお、本実施形態では、照射部120と受光部121を2組設けたが、1組以上であれば複数組設けて、複数の反応液52を同時に遺伝子検査できるようにしてもよい。また、遺伝子検査時には、遺伝子検査装置1における温度計測信号受信部90及び温度計測装置保持部80は取り外しておき、後述する出荷検査やメンテナンス時に搭載するようにしてもよい。
また、遺伝子検査において、恒温部20の温度は、放熱温度センサ32で恒温部20の温度を検出しながら恒温温調部30で制御しているが、温度制御部温度センサ42で恒温部20の外周側の温度を検出しながら、温度制御部40で恒温部20の温度を制御してもよい。恒温部20の温度は基本的に恒温温調部30で制御されるが、恒温部20の外周側面は温度制御部40に幅広い面積で当接しているため、温度制御部40の発熱量によっては恒温部20の内周側よりも高温となる。従って、その外周側の温度をセンサ42で検出しながら温度制御部40で制御することで、恒温部20の温度制御を、より高精度に実施することができる。
ここで、遺伝子検査対象である反応液52は試料と検査試薬との混合液であり、検査内容に応じて検査試薬が異なり、この異なる検査試薬毎に検査温度も異なる。上述した一例の遺伝子検査では、反応液52の温度を高温の95℃と低温の59℃に繰り返し制御することで検査が行われていた。しかし、その高温及び低温の温度と、これら温度を継続する時間は検査内容に応じて異なる。或いは、高温及び低温の2つの温度だけでなくその他の温度に制御する場合もある。更には遺伝子検査によっては反応液量が異なるため、その反応液量に応じた温度制御を行う場合もある。
これらの理由から、遺伝子検査装置1では、各反応容器50内の反応液52を独立に温度制御する。このため、反応容器50がセットされる伝熱部41毎に、温度制御部40を独立に設けてある。従って、異なる温度制御が必要な遺伝子検査を遺伝子検査装置1内で同時に実施することが可能となっている。
このように遺伝子検査装置1において、各反応容器50内の各々異なる反応液52を個別に温度制御するためには、各々の反応液52が、各々の温度制御部40により個別に正しく温度制御されることを確認しなければならない。例えば、遺伝子検査装置1をユーザに提供する前の出荷検査等の段階や、ユーザが使用している場所での動作チェックやメンテナンス等において、各温度制御部40により各反応液52が個別に正しく温度制御されることを確認することが望ましい。
そのためには、反応容器50内の温度を計測する必要があるが、検査中にセンサを反応液に挿入しておくことは、反応を阻害するため困難である。
そこで、本発明では、反応容器50内の反応液52の温度を予め定められた検査温度に制御できるようにするために、図3に示す温度計測装置70を考案した。
<温度計測装置70の構成>
図3は本実施形態による温度計測装置70の構成を示す断面図である。温度計測装置70は、反応容器50と材質及び形状が同一の計測容器74に、液体又は固体であるダミー物質72が保持され、このダミー物質72に、熱電対等による温度センサ73の一端部が差し込まれ、蓋71で密閉されている。蓋71には、温度センサ73を隙間なく挿通する貫通口が形成されており、この貫通口から温度センサ73の他端部が挿通されて付き出ている。
なお、計測容器74は、反応容器50と材質及び形状が同一のものであるが、温度計測装置70を伝熱部41の容器セット部58にセットした際に、計測容器74の周回側面である伝熱面接触部75が反応容器50と同様に容器セット部58の周回内側面に密着し、且つ容器セット部58から計測容器74への伝達熱量が略同一であれば、他の材質によるものでもよい。
温度センサ73は、熱電対、サーミスタ、測温抵抗体等を用いて構成されている。
ダミー物質72は、液体又は固体で、反応液52と同等の熱容量及び熱伝導率を持つことが望ましい。例えば、反応液52の主成分である水を反応液52と同量保持すればよく、或いは水に樹脂や金属等の伝熱物質を混入させて熱容量及び熱伝導率を反応液52と同等に調整してもよい。また、ダミー物質72は、各種の検査内容に応じて熱容量及び熱伝導率が異なる。このように異なる遺伝子検査を行う場合、検査内容に応じて異なる熱容量及び熱伝導率のダミー物質72を保持した温度計測装置70を複数用意する。
ところで、ダミー物質72の熱容量又は熱伝導率が反応液52と異なる場合でも、予め温度計測装置70を後述のように校正することで、温度制御部40の温度制御時の動作確認に使用することができる。例えば、ダミー物質72として個体(例えば樹脂)を用いた場合、固体と液体で熱伝導率が大きく異なることが多いが、固体であれば温度センサ73を計測容器74内の特定位置に固定することができ(温度センサ73を固体に保持させることができ)、温度計測装置70に衝撃が加わっても温度センサ73は動かない。また高温になっても、個体であれば蒸発しないので、温度センサ73を固定し続けることができるというメリットがある。
<温度計測装置70の校正>
次に、温度計測装置70の校正について図4を参照して説明する。
図4は本実施形態の温度計測装置70を校正する温度校正装置200の構成を示し、(a)は温度校正装置のケースを透視した平面図、(b)はケースを側面側から透視した断面図である。但し、図4に示す温度校正装置200は、上述の図1又は図2に示した遺伝子検査装置1と略同構成であるため、遺伝子検査装置1と同一部分には同符号を付し、その説明を適時省略する。
温度校正装置200が遺伝子検査装置1と異なる点は、実際の遺伝子検査を行う必要がないため、照射部120及び受光部121を備えない構成となっている。なお、容器移動機構110、反応容器保持部60、温度計測装置保持部80については、温度校正装置200に付随して設置することが望ましいが、必ずしも温度校正装置200と連動する必要はなく、遺伝子検査装置1と同構成である必要はないため、図4では省略してある。
また、温度校正装置200においては、温度計測装置70内のダミー物質72の温度を温度センサ73で検出して得られ、無線で送信される温度センサ電圧信号を、矢印Y3で示すように受信する温度計測信号受信部90を備える。更に、後述する校正用反応容器(校正用容器)50A内の校正用反応液(校正用液)54の温度を測定するための温度センサ(校正用温度センサ)53から無線で送信される温度センサ電圧信号を、矢印Y4で示すように受信する反応液温度計測信号受信部91を備えている。
但し、温度計測信号受信部90と反応液温度計測信号受信部91は同等の機能を有しており、個別に設ける必要はなく、例えば反応液温度計測信号受信部91を省略してもよい。この省略した場合、温度計測信号受信部90で温度センサ73からの温度センサ電圧信号を受信した後、恒温部20を回転させて校正用反応容器50Aを温度計測信号受信部90の位置に配置して温度センサ53からの温度センサ電圧信号を受信する。
校正用反応容器50Aは、温度校正装置200で温度計測装置70を校正する場合にのみ用いられるものであり、反応容器50と同じもの、又は反応容器50と形状が同じで伝熱特性が同じ材質によるものであり、温度センサ53が上蓋に形成された貫通口から隙間無く内部へ差し込まれている。内部には反応液52又は反応液52と同等の校正用反応液54が入っている。
つまり、温度校正装置200では、反応液52の温度を実際に計測するため、校正用反応容器50A内には、実際の反応液52又は反応液52と略同等の密度、比熱、熱伝導率等の物性を有する液体(これを校正用反応液54と呼ぶ)を保持している。
温度校正装置200により温度計測装置70の校正を行う場合、まず、校正用反応容器50Aを伝熱部41の容器セット部58にセットする。このセットされた校正用反応容器50A内の校正用反応液54の温度を温度センサ53で検出し、この検出された温度センサ電圧信号Vsを反応液温度計測信号受信部91で受信しながら、校正用反応液54の温度を温度制御部40で所定温度に制御する。
例えば校正用反応液54の温度が所定時間t1〜t2の間では95±1℃の目標温度、他の時間t3〜t4の間では59±1℃の目標温度となるように、温度制御部40自体の発熱温度を制御電圧Vcで制御する。なお、目標温度とは、ここでは遺伝子検査時の検査温度である。
この際、温度制御部40は、その制御電圧Vcと、目標温度(又は検査温度)Trと、この目標温度Trとするための制御電圧Vcの印加時間tとの相関関係を、制御パラメータとして記憶部(図示せず)に記憶する。
次に、制御パラメータが決定した温度制御部40に対応付けられた伝熱部41に温度計測装置70をセットし、その制御パラメータで温度制御部40を制御しながら温度計測装置70内のダミー物質72の温度を温度センサ73で検出する。この温度センサ電圧信号を温度計測信号受信部90で受信し、温度計測装置70を校正する。
この校正とは、温度制御部40の制御パラメータと温度センサ73の温度センサ電圧信号との関係を把握することである。更に言及すると、後述のように反応液温度(Tr)と、温度センサ電圧信号(Vs)との関係を把握することである。
温度計測装置70の校正手順、及び温度計測装置70を用いた遺伝子検査装置1の温度制御部40の調整及び検査手順の処理を図5を参照して説明する。
図5は本実施形態の温度計測装置70の校正手順、及び温度計測装置70を用いた遺伝子検査装置1の温度制御部40の調整及び検査手順を説明するためのフローチャートである。なお、遺伝子検査装置1に搭載された複数の温度制御部40(本実施例では8個)は、それぞれ性能にばらつきがあると考えられるため、個々に調整することが望ましい。
温度校正装置200では、簡易校正と詳細校正が行われる。簡易校正は、ステップS1において、メーカ等の検査者が、温度制御部40に対応付けられた伝熱部41の容器セット部58に温度計測装置70をセットし、恒温温調部30で恒温部20および伝熱部41を一定温度に保持することにより、ダミー物質72を一定温度に制御する。この際、ダミー物質72の温度検出結果である温度センサ電圧信号Vsと、ダミー物質72の温度(ダミー物質温度)Tdとの関係を、次式(1)として把握する。
Vs=F1(Td) …(1)
なお、ダミー物質温度Tdが恒温部20と同じ温度になっていることは、放熱温度センサ32あるいは温度制御部温度センサ42で確認すればよい。
詳細校正は、実際の遺伝子検査で使用する検査項目毎に異なる制御パラメータにて、温度制御部40による温度制御を次のステップS2,S3で行う。
ステップS2において、校正用反応液54の温度(反応液温度)Trと、温度制御部40の制御信号Vcとの関係を、次式(2)として把握する。
Tr(t)=F2{Vc(t)} …(2)
ステップS3において、温度計測装置70の温度センサ73の出力である温度センサ電圧信号Vsと制御信号Vcとの関係を、次式(3)として把握する。
Vs(t)=F3{Vc(t)} …(3)
次に、ステップS4において、上記ステップS2,S3で得られた制御電圧Vcに対する、反応液温度Trと、温度センサ電圧信号Vsとの関係{式(2)及び式(3)}から、検査項目毎に想定される制御パラメータで温度制御部40が温度制御を行った際の、反応液温度Trと温度センサ電圧信号Vsとの関係が、次式(4)のように定まる。
Tr(t)=F4{Vs(t)} …(4)
なお、温度校正装置200に搭載された複数の温度制御部40(本実施例では8個)は、それぞれ性能にばらつきがあると考えられるため、上式(2)及び(3)は温度制御部40毎に異なる。しかし、式(2)及び(3)の関係を同じ温度制御部40で実施すれば、反応液温度Trと温度センサ電圧信号Vsとの関係を示す式(4)は、制御電圧Vcを含まないため、温度制御部40に依存しない。
このようにして、温度計測装置70が校正され、この校正結果に基づき、温度センサ電圧信号Vsから反応液温度Trを求めることができる。
従って、ダミー物質72の熱容量又は熱伝導率が校正用反応液54と異なる場合でも、温度計測装置70で校正用反応液54の温度を計測することは可能であるが、熱容量又は熱伝導率が大きく異なる場合には、式(4)の誤差が無視できなくなるため、ダミー物質72と校正用反応液54との熱容量及び熱伝導率は略同一であることが望ましい。
温度計測装置70の校正方法として、簡易校正と詳細校正を述べたが、式(1)の関係を求める簡易校正は、次に述べる温度計測装置70の簡易検査を実施する場合に必要であり、温度計測装置70の簡易検査を実施しない場合には簡易校正は必要ない。
簡易検査とは、温度センサ73が正常であることを確認する検査であり、温度計測装置70を校正した後、長期間経過したり、頻繁に使用した後で、必要に応じて実施すればよく、温度センサ73の断線等を検査するものである。即ち、伝熱部41の容器セット部58に温度計測装置70をセットした後、ダミー物質72を一定温度に制御し、温度センサ73が所定の温度センサ電圧信号Vsを出力しているか否かを判断する。言い換えれば、式(1)の関係が維持されているか否かを判断する。
この結果、式(1)の関係が維持されていない場合、温度計測装置70が正常に動作しないと判断し、遺伝子検査装置1への使用は行わない。一方、維持されている場合は、後述の遺伝子検査装置1への使用を行う。
一方簡易検査だけでは不十分と判断した場合は温度計測装置70の詳細検査を行う。詳細検査とは、温度センサ73とダミー物質72との接触不良や、温度計測装置70の伝熱面接触部75が変形して容器セット部58の面に密着しなくなった伝熱不良等も含めて、温度計測装置70が正常であるかどうかを確認する検査である。即ち、式(2)の関係が把握されている温度制御部40を用いて、ステップS3を実施し、式(4)の関係が維持されているか否かを判断する。
この結果、式(4)の関係が維持されていない場合、温度計測装置70が正常に動作しないと判断し、遺伝子検査装置1への使用は行わない。一方、維持されている場合は、後述の遺伝子検査装置1への使用を行う。
上記ステップで校正された温度計測装置70は、実際の遺伝子検査に使用される遺伝子検査装置1の伝熱部41の容器セット部58にセットされ、次に説明する温度制御部40の校正及び検査に使用される。この校正や検査は、遺伝子検査装置1の出荷時や、現場への据付時等に実施される。
なお、温度計測装置70を校正するに当たって、温度計測信号受信部90を8つの伝熱部41の数だけ設置し、全伝熱部41に温度計測装置70をセットして、校正を同時に実施してもよい。この場合、校正時間を短縮することができる。
<温度制御部40の調整又は検査>
次に、ステップS11において、遺伝子検査装置1の出荷時等の温度制御部40の校正時に、上記のように温度計測装置70のセットを行った後、温度制御部40により、式(4)の関係に基き、所定の温度センサ電圧信号Vsを実現する制御電圧Vcを求め、この温度センサ電圧信号Vsと、制御電圧Vcと、制御電圧Vcの印加時間tとの関係を示す次式(5)を定める。
Vs(t)=F5{Vc(t)} …(5)
ここでは、上述したように遺伝子検査装置1には8つの温度制御部40が搭載されており、それぞれ性能にばらつきがあると考えられるので、温度制御部40の校正は個々に実施する必要がある。そこで、遺伝子検査装置1において、温度制御部40で、ある制御電圧Vcに設定すると、温度計測装置70内のダミー物質72の温度Tdが変化し、これを温度センサ73で検出した温度センサ電圧信号Vsが計測される。
温度計測装置70は、温度校正装置200により校正されているため、式(4)により温度センサ電圧信号Vsから実際の反応液52の温度である反応液温度Trに換算することができる。即ち、目的とする所定の反応液温度Trは、式(4)で温度センサ電圧信号Vsに換算され、この換算された温度センサ電圧信号Vsを実現する制御電圧Vcが求められる。この温度センサ電圧信号Vsと、制御電圧Vc及び当該制御電圧Vcの印加時間tとの関係が式(5)となる。この式(5)の関係を、温度制御部40の図示せぬ記憶部にテーブル形式で記憶する。同様に、上式(1)〜(4)の関係も記憶される。
このように遺伝子検査装置1の各温度制御部40の校正が終了すると、出荷される。
次に、ステップS12において、温度制御部40の正常性の検査を行う。これは、出荷後に据え付け先等で実施するもので、上式(5)の関係が維持されているか否かを判断する。この検査は、定期点検やメンテナンスの際にも実施する。即ち、温度計測装置70を伝熱部41にセットした後、温度制御部40を制御電圧Vcで制御して温度センサ73から温度センサ電圧信号Vsを得る。この制御電圧Vcと温度センサ電圧信号Vsとの関係が、式(5)の関係を維持していないと判断された場合、温度制御部40に異常があるため、ステップS13において、温度制御部40の調整や交換を行う。一方、式(5)の関係を維持していれば、温度制御部40は正常に作動していると判断される。この場合、ステップS14において、遺伝子検査を実施する。
ここで、上記ステップS12における温度計測装置70を用いた温度制御部40の検査又は校正について、図6を参照して更に説明する。
図6は本実施形態の温度計測装置70を用いた遺伝子検査装置1の温度制御部40の校正又は検査を行う際の構成を示し、(a)は遺伝子検査装置のケースを透視した平面図、(b)はケースを側面側から透視した断面図である。なお、図6は遺伝子検査のための説明図ではないため、反応容器保持部60には反応容器50は保持されていないものとする。
図6に示す遺伝子検査装置1には、校正済(或いは、簡易又は詳細検査済)の温度計測装置70が3つ使用されている。1つ目は、恒温部20の外周側に互いに対向配設されたうち1つの受光部121と対向する伝熱部41にセットされている。2つ目は、蓋12が開いた容器搬入出口からケース11内に挿入され、伝熱部41の容器セット部58にセットされる直前の状態となっている。3つ目は、温度計測装置保持部80に保持されている。
ここでは、温度計測装置70を2台使用し、1台は予備としているが、例えば出荷検査のように計測数が多い場合には、全ての(例えば8個の)伝熱部41に温度計測装置70をセットして同時に計測してもよい。又は、装置検査者がメンテナンスのために温度計測装置70を持ち運ぶ場合には、1台の温度計測装置70を、容器移動機構110により全ての伝熱部41に移動させることで、全ての温度制御部40の検査を実施してもよい。
さて、温度計測装置70を用いた温度制御部40の調整又は検査は、上述した遺伝子検査と略同様の手順になる。例えば、恒温温調部30の温度制御によりケース11内を30℃、恒温部20を40℃と予め定められた温度に略一定に保持しておく。この時点で、伝熱部41の容器セット部58に事前にセットされた温度計測装置70が、恒温部20と同じ温度に保持されるようにしてもよい。
このように所定温度の40℃とされた温度計測装置70に対して、温度制御部40で制御電圧Vcを制御することにより、温度計測装置70内のダミー物質温度Tdが、遺伝子検査に必要な高温と低温(例えば95℃と59℃)とに所定時間交互に達せられるようにする。この際、温度センサ73の温度センサ電圧信号Vsが無線により温度計測信号受信部90で受信され、これが温度制御部40へ出力されて上式(5)の関係が確認される。式(5)の関係が維持されていれば、温度制御部40の温度制御動作の正常性が保証される。
<反応液52の温度制御>
次に、上述したように温度制御部40の温度制御動作が保証された遺伝子検査装置1により、遺伝子検査項目に応じた反応液52の温度制御を行う処理を説明する。以降、遺伝子検査を単に検査とも表現する。
<反応液量及び反応液検査温度の入力指定時の温度制御パラメータ決定動作>
図7は検査内容に応じて温度制御部40による温度制御のパラメータ決定動作を説明するフローチャートである。図8は温度制御パラメータが決定されるまでに入力及び設定されるデータやテーブル等を示す図である。
図7及び図8を参照して、実際の分析を行うオペレータが反応液量と反応液検査温度を入力指定した後に、温度制御部40により温度制御のパラメータが決定されるまでの動作を説明する。
図7に示すステップS21において、オペレータが遺伝子検査装置1の図8(a)に示す操作部1aで、検査内容に対応した反応液量Qと、反応液検査温度である高温温度Tra及び低温温度Trbとを入力したとする。
次に、ステップS22において、温度制御部40は、図8(b)に示す記憶部40aに記憶された各温度テーブルTra1,Tra2,Trb,Trcの中から、ステップS21で入力された高温温度Traに対応する温度テーブルTra1,Tra2を検索する。各温度テーブルTra1,Tra2,Trb,Trcには、所定の反応液量(例えばQ1,Q2,Q3,…)毎に、反応液検査温度(例えばTra)とする制御電圧(例えばVc1,Vc2,Vc3,…)と、この制御電圧Vc1,Vc2,Vc3,…の印加時間(例えばt1,t2,t3,…)とが対応付けられて記憶されている。
各温度テーブルTra1,Tra2,Trb,Trcは、上述のステップS2で説明した式(5)が数値データとして記憶部40aに登録されたものである。式(5)は制御電圧Vcと温度センサ電圧Vsとの関係であるが、式(4)を用いて温度センサ電圧Vsは反応液温度Trに変換されている。
ここで、本実施形態では高温温度Traの例えば95℃への加熱制御は、上述したように恒温部20からの伝達熱で伝熱部41を40℃とした初期温度から加熱する場合と、低温温度Trbの例えば59℃から加熱する場合とで異なる。このため、高温温度Traへの加熱制御用の温度テーブルとして、初期温度からの加熱開始用の温度テーブルTra1と、低温温度からの加熱開始用の温度テーブルTra2との2種類が用意されている。
次に、ステップS23において、温度制御部40は、ステップS22で検索した温度テーブルTra1,Tra2に、ステップS21で入力された反応液量Qが登録されているか否かを判断する。この結果、未登録と判断された場合、ステップS24において、温度制御部40は、入力反応液量Qに対してデータを補間する。即ち、現在、温度テーブルTra1,Tra2に登録されている反応液量に対応する制御電圧及び印加時間の相関関係を基に、入力反応液量Qに対する制御電圧Vca1,Vca2及び印加時間ta1,ta2を導き出す補間を行う。
この補間後、ステップS25において、温度制御部40は、図8(c)に示すように、先の補間で得た制御電圧Vca1,Vca2と印加時間ta1,ta2とを対応付けて記憶部40bに記憶して設定する。
一方、ステップS23において、登録されていると判断された場合、ステップS25において、温度制御部40は、入力反応液量Qに対応する制御電圧Vca1,Vca2と印加時間ta1,ta2とを、図8(c)に示すように記憶部40bに設定する。
これと同様の処理を低温温度Trbに対しても行う。
即ち、ステップS26において、温度制御部40は、図8(b)に示す記憶部40aに記憶された各温度テーブルTra1,Tra2,Trb,Trcの中から、上記ステップS21で入力された低温温度Trbに対応する温度テーブルTrbを検索する。
次に、ステップS27において、温度制御部40は、ステップS26で検索した温度テーブルTrbに、ステップS21で入力された反応液量Qが登録されているか否かを判断する。この判断結果、未登録と判断された場合、ステップS28において、温度制御部40は、反応液量Qに対してデータを補間する。即ち、現在、温度テーブルTrbに登録されている反応液量に対応する制御電圧及び印加時間の相関関係から、入力反応液量Qに対する制御電圧Vcb及び印加時間tbを導き出す補間を行う。
この補間後、ステップS29において、温度制御部40は、図8(c)に示すように制御電圧Vcbと印加時間tbとを対応付けて記憶部40bに記憶して設定する。
一方、ステップS27において、登録されていると判断された場合、ステップS29において、温度制御部40は、入力反応液量Qに対応する制御電圧Vcbと印加時間tbとを、図8(c)に示すように記憶部40bに設定する。
この設定後、ステップS30において、温度制御部40は、図8(c)に示すように記憶部40bに設定された制御電圧Vca1,Vca2,Vcbと印加時間ta1,ta2,tbとに応じて、反応液52を検査温度とする温度制御を開始する。
このような図7及び図8においては、オペレータが反応液量と反応液検査温度を入力指定したが、反応液検査温度は検査試薬で決まっている場合が多い。このため、温度制御部40の記憶部(図示せず)に検査項目毎に反応液検査温度を予め登録しておき、検査時にオペレータが反応液量と検査項目とを入力指定するようにしてもよい。
<反応液量及び検査項目の入力指定時の温度制御パラメータ決定動作>
オペレータが反応液量と検査項目とを入力指定する場合に、温度制御部40による温度制御のパラメータ決定動作を図9及び図10を参照して説明する。図9は検査内容に応じた温度制御部40による温度制御パラメータの決定動作を説明するフローチャートである。図10は温度制御パラメータが決定されるまでに入力及び設定されるデータやテーブル等を示す図である。
図9に示すステップS41において、オペレータが遺伝子検査装置1の図10(a)に示す操作部1aで、反応液量Q及び検査項目I1を入力したとする。
次に、ステップS42において、温度制御部40は、図10(b)に示す記憶部40cに記憶された各検査項目テーブルI1Q,I2Q,I3Qの中から、ステップS41で入力された検査項目I1に対する検査項目テーブルI1Qを検索する。各検査項目テーブルI1Q,I2Q,I3Qには、遺伝子検査装置1で検査可能な検査項目毎に検査温度(例えば第1検査温度Tra,第2検査温度Trb,…)が登録されている。ここで、検査項目テーブルI1Qには、2つの検査温度Tra,Trbが登録されているとする。
次に、ステップS43において、温度制御部40は、ステップS42で検索した検査項目テーブルI1Qに登録された2つの検査温度Tra,Trbを、図10(c)に示す記憶部40dに設定する。
次に、ステップS44において、温度制御部40は、図10(d)に示す記憶部40aに記憶された各温度テーブルTra1,Tra2,Trb,Trcの中から、ステップS43で設定された2つの内の1つである検査温度Traに対応する温度テーブルTra1,Tra2を検索する。なお、検査温度Traには前述の図7の処理で説明したように温度テーブルTra1,Tra2が対応している。
次に、ステップS45において、温度制御部40は、ステップS44で検索した温度テーブルTra1,Tra2に、ステップS41で入力された反応液量Qが登録されているか否かを判断する。この結果、未登録と判断された場合、ステップS46において、温度制御部40は、入力反応液量Qに対してデータを補間する。即ち、現在、温度テーブルTra1,Tra2に登録されている反応液量に対応する制御電圧及び印加時間の相関関係を基に、入力反応液量Qに対する制御電圧Vca1,Vca2及び印加時間ta1,ta2を導き出す補間を行う。
この補間後、ステップS47において、温度制御部40は、図10(e)に示すように、補間で得た制御電圧Vca1,Vca2と印加時間ta1,ta2とを対応付けて記憶部40bに記憶して設定する。
一方、ステップS45において、登録されていると判断された場合、ステップS47において、温度制御部40は、入力された反応液量Qに対応する制御電圧Vca1,Vca2と印加時間ta1,ta2とを、図10(e)に示すように記憶部40bに設定する。これと同様の処理を低温温度Trbに対しても行う。
即ち、ステップS48において、温度制御部40は、図10(d)に示す記憶部40aに記憶された各温度テーブルTra1,Tra2,Trb,Trcの中から、上記ステップS43で設定された低温温度Trbに対応する温度テーブルTrbを検索する。
次に、ステップS49において、温度制御部40は、ステップS48で検索した温度テーブルTrbに、ステップS41で入力された反応液量Qが登録されているか否かを判断する。この判断結果、未登録と判断された場合、ステップS50において、温度制御部40は、反応液量Qに対してデータを補間する。即ち、現在、温度テーブルTrbに登録されている反応液量に対応する制御電圧及び印加時間の相関関係から、入力反応液量Qに対する制御電圧Vcb及び印加時間tbを導き出す補間を行う。
この補間後、ステップS51において、温度制御部40は、図10(e)に示すように制御電圧Vcbと印加時間tbとを対応付けて記憶部40bに設定する。
一方、ステップS49において、登録されていると判断された場合、温度制御部40は、ステップS51において、入力された反応液量Qに対応する制御電圧Vcbと印加時間tbとを、図10(e)に示すように記憶部40bに設定する。
この設定後、ステップS52において、温度制御部40は、図10(e)に示すように記憶部40bに設定された制御電圧Vca1,Vca2,Vcbと印加時間ta1,ta2,tbとに応じて、反応液52を検査温度とする温度制御を開始する。
このような図9及び図10においては、オペレータが反応液量と検査項目を入力指定したが、反応液量は検査試薬で決まっている場合が多い。このため、温度制御部40の記憶部(図示せず)に検査項目毎に反応液量と反応液検査温度とを予め登録しておき、検査時にオペレータが検査項目のみを入力指定するようにしてもよい。
<検査項目の入力指定時の温度制御パラメータ決定動作>
オペレータが検査項目のみを入力指定する場合に、温度制御部40による温度制御のパラメータ決定動作を図11及び図12を参照して説明する。図11は検査内容に応じた温度制御部40による温度制御パラメータの決定動作を説明するフローチャートである。図12は温度制御パラメータが決定されるまでに入力及び設定されるデータやテーブル等を示す図である。
図11に示すステップS61において、オペレータが遺伝子検査装置1の図12(a)に示す操作部1aで、検査項目I1を入力したとする。
次に、ステップS62において、温度制御部40は、図12(b)に示す記憶部40cに記憶された各検査項目テーブルI1Q,I2Q,I3Qの中から、上記ステップS61で入力された検査項目I1に対する検査項目テーブルI1Qを検索する。各検査項目テーブルI1Q,I2Q,I3Qには、遺伝子検査装置1で検査可能な検査項目毎に、反応液量Qと検査温度(例えば第1検査温度Tra,第2検査温度Trb,…)が登録されている。ここで、検査項目テーブルI1Qには、反応液量Qと、2つの検査温度Tra,Trbが登録されているとする。
次に、ステップS63において、温度制御部40は、ステップS62で検索した検査項目テーブルI1Qに登録された反応液量Qと、2つの検査温度Tra,Trbを、図12(c)に示す記憶部40eに設定する。
次に、ステップS64において、温度制御部40は、図12(d)に示す記憶部40aに記憶された各温度テーブルTra1,Tra2,Trb,Trcの中から、上記ステップS63で設定された2つの内の1つである検査温度Traに対応する温度テーブルTra1,Tra2を検索する。
次に、ステップS65において、温度制御部40は、ステップS64で検索した温度テーブルTra1,Tra2に、ステップS63で検索した反応液量Qが登録されているか否かを判断する。この結果、未登録と判断された場合、ステップS66において、温度制御部40は、反応液量Qに対してデータを補間する。即ち、現在、温度テーブルTra1,Tra2に登録されている反応液量に対応する制御電圧及び印加時間の相関関係を基に、入力反応液量Qに対する制御電圧Vca1,Vca2及び印加時間ta1,ta2を導き出す補間を行う。
この補間後、ステップS67において、温度制御部40は、図12(e)に示すように、補間で得た制御電圧Vca1,Vca2と印加時間ta1,ta2とを対応付けて記憶部40bに設定する。
一方、ステップS65において、登録されていると判断された場合、ステップS67において、温度制御部40は、入力された反応液量Qに対応する制御電圧Vca1,Vca2と印加時間ta1,ta2とを、図12(e)に示すように記憶部40bに設定する。これと同様の処理を低温温度Trbに対しても行う。
即ち、ステップS68において、温度制御部40は、図12(d)に示す記憶部40aに記憶された各温度テーブルTra1,Tra2,Trb,Trcの中から、上記ステップS63で設定された低温温度Trbに対応する温度テーブルTrbを検索する。
次に、ステップS69において、温度制御部40は、ステップS68で検索した温度テーブルTrbに、ステップS63で検索された反応液量Qが登録されているか否かを判断する。この判断結果、未登録と判断された場合、ステップS70において、温度制御部40は、反応液量Qに対してデータを補間する。即ち、現在、温度テーブルTrbに登録されている反応液量に対応する制御電圧及び印加時間の相関関係から、入力反応液量Qに対する制御電圧Vcb及び印加時間tbを導き出す補間を行う。
この補間後、ステップS71において、温度制御部40は、図12(e)に示すように制御電圧Vcbと印加時間tbとを対応付けて記憶部40bに記憶して設定する。
一方、ステップS69において、登録されていると判断された場合、温度制御部40は、ステップS71において、入力された反応液量Qに対応する制御電圧Vcbと印加時間tbとを、図12(e)に示すように記憶部40bに設定する。
この設定後、ステップS72において、温度制御部40は、図12(e)に示すように記憶部40bに設定された制御電圧Vca1,Vca2,Vcbと印加時間ta1,ta2,tbとに応じて、反応液52を検査温度とする温度制御を開始する。
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、温度計測装置70を、計測容器74内に予め定められた反応液52と同等の熱容量及び熱伝導率を持つ液体又は固体のダミー物質72を保持し、温度センサ73を計測容器74の外部から内部空間にダミー物質72の温度を計測可能に挿通して構成した。従って、温度計測装置70は、温度センサ73でダミー物質72の温度を検出することができるので、まず、化学分析装置1にセットし、ダミー物質72の検出温度が目標の検査温度となるように加熱用の制御電圧を制御して設定しておく。これにより、実際の検査に用いられる反応容器50内に密閉状に保持された反応液52を、その制御電圧として加熱を行えば、適正に検査温度とすることができる。
また、計測容器74は、反応容器50と同一形状で、当該反応容器50と少なくとも熱伝導率を同一とした。このため、化学分析装置1に反応容器50をセットする状態と同一の状態で計測容器74をセットできるので、温度計測装置70を化学分析装置1に適正な状態でセットすることができる。
また、ダミー物質72を、少なくとも反応液52の主成分を保持し、この主成分に樹脂や金属を含む伝熱物質を混入して熱容量及び熱伝導率が反応液52と同等となるように調整した。従って、ダミー物質72の加熱時に反応液52と同等の温度再現性を得ることができる。
また、本実施形態の化学分析装置1は、反応液52を密保持する反応容器50が密着してセットされる容器セット部58を有する伝熱部41と、制御電圧に応じて温度可変可能に熱を発熱し、この熱を伝熱部41を介して容器セット部58にセットされた反応容器50へ伝達する温度制御部40とを備えて構成した。
従って、温度計測装置70を容器セット部58にセットし、この温度計測装置70を、温度制御部40から伝熱部41を介して加熱した際に、ダミー物質72の温度が温度センサ73で検出され、この温度センサ電圧信号Vsが温度制御部40へ出力される。温度制御部40は、その温度センサ電圧信号Vsに応じてダミー物質72の温度が目標温度である検査温度となるように制御電圧Vcを制御する。この制御によりダミー物質72の温度が検査温度となった際の制御電圧Vc1で、後に容器セット部58にセットされる反応容器50内の反応液52を加熱する。この加熱により反応液52をダミー物質72と同じ検査温度とすることができる。
また、伝熱部41及び温度制御部40の組は、複数設けられているので、複数の反応容器50内のダミー物質72を全て同一の検査温度とすることができる。また、複数のダミー物質72の検査項目が各々異なってその検査温度が異なる場合でも、各ダミー物質72を個別に温度制御して所定の検査温度とすることができる。従って、検査項目の異なる多くの反応液52を一度に高精度に検査することができる。
また、複数の伝熱部41及び温度制御部40の組は、隣接する温度制御部40の熱が相互に影響しない状態に設けられているので、互いに他の熱の影響を受けることなく、適正な温度制御を行うことができる。
更に、温度計測装置70の校正を次のように実施することにした。即ち、反応容器50と形状及び伝熱特性が同等であり、反応液52と同等の校正用反応液54を密閉状に保持し、この保持された校正用反応液54の温度を計測可能に外部から挿通された温度センサ53を有する校正用反応容器50Aを、容器セット部58にセットする。
温度制御部40は、そのセットされた校正用反応容器50A内の校正用反応液54の温度が温度センサ53で計測された際の温度センサ電圧信号に応じて、校正用反応液54の温度が検査温度となるように制御電圧Vcで制御し、この制御により校正用反応液54の温度が検査温度となった際の制御電圧Vc2と、この際の校正用反応液54の温度との関係を設定する。更に、容器セット部58に温度計測装置70がセットされた後、先に設定された制御電圧Vc2とした際の、温度計測装置70のダミー物質72の温度と、この温度が温度センサ73で検出された際の温度センサ電圧信号Vsとの関係を把握する校正を行うようにした。
従って、ダミー物質72の温度が、実検査で用いると同等の校正用反応液54の温度と同様に制御されているか否かを確認することができるので、温度計測装置70が正常動作を行うか否かを容易に判断することができる。
<本実施形態の他の温度計測装置170>
図13は本実施形態の他の温度計測装置170の構成を示す断面図である。温度計測装置170は、計測容器174内にダミー物質としての温度検出液172を保持し、蓋171で密封されている。温度検出液172は、光が照射された際に、温度に依存して波長の異なる光を発する感温液晶や色素等の液体である。温度計測装置170の周回側面である伝熱面接触部175は、温度計測装置70と同様、反応容器50と同形状となっており、温度計測装置170を伝熱部41の容器セット部58にセットした際に容器セット部58の面に密着状に当接する。
図14は本実施形態の他の温度計測装置170を校正する温度校正装置200Aの構成を示し、(a)は温度校正装置200Aのケース11を透視した平面図、(b)はケース11を側面側から透視した断面図である。但し、図14に示す温度校正装置200Aが、上述の図4に示した温度校正装置200と異なる点は、温度計測信号受信部90に代え、照射部120及び受光部121を設けたことにある。照射部120は、矢印Y1で示すように、温度検出液172に励起光を照射し、この照射に応じて温度検出液172から矢印Y2で示すように発せられる光を、観測窓43を通して受光部121で受光するようになっている。
この受光による検出光の波長は温度に依存する。従って、温度制御部40の図示せぬ記憶部に、各々異なる温度と、これら温度に依存する波長との関係を示す温度波長テーブル(図示せず)を保持しておき、検出光の波長に対応する温度を温度波長テーブルから検索することで、現在の温度検出液172の温度を知ることが可能となっている。
このような温度校正装置200Aにより温度計測装置170の校正を行う場合、まず、校正用反応容器50Aを伝熱部41にセットする。次に、セットされた校正用反応容器50A内の校正用反応液54の温度を温度センサ53で検出し、この検出された温度センサ電圧信号Vsを矢印Y4で示すように反応液温度計測信号受信部91で受信しながら、校正用反応液54の温度を温度制御部40で所定温度に制御する。
この際、温度制御部40は、校正用反応液54の温度が所定時間t1〜t2の間では例えば95±1℃の目標温度、他の時間t3〜t4の間では例えば59±1℃の目標温度(遺伝子検査時の検査温度)となるように、温度制御部40自体の発熱温度を制御電圧Vcで制御する。ここで、温度制御部40は、その制御電圧Vcと、目標温度(又は検査温度)Trと、この目標温度Trとするための制御電圧Vcの印加時間tとの相関関係を、制御パラメータとして記憶部(図示せず)に記憶する。
次に、制御パラメータが決定した温度制御部40に対応付けられた伝熱部41に温度計測装置170をセットし、その制御パラメータで温度制御部40を制御しながら、温度計測装置170内の温度検出液172に照射部120から励起光を照射する。この照射に応じて温度検出液172から発せられる光を受光部121で受光する。温度制御部40は、その受光された検出光の波長に対応する温度を温度波長テーブルから検索することにより、現在の温度検出液172の温度を検出し、この検出温度が目標温度Trとなるように制御電圧Vcを制御する。
このように、温度制御部40の制御パラメータと、受光部121で受光される検出光の波長に対応する温度との関係を把握することで、温度計測装置170の校正が実施される。この校正は、更に言及すると、温度検出液172の温度と、受光部121の検出光の波長に対応する温度との関係を把握することである。
この校正された温度計測装置170を用いて遺伝子検査装置1の温度制御部40の調整及び検査を実施する。
即ち、温度計測装置170を伝熱部41の容器セット部58にセットする。このセットされた温度計測装置170は、温度制御部40での温度制御で加熱された際に、照射部120からの照射光が当該温度計測装置170内の温度検出液172を透過した光を、受光部121で受光する。この温度制御部40は、その検出光の波長に対応する温度検出液172の温度を、温度波長テーブルで把握しながら、その温度が目標温度となるように制御電圧Vcを制御する。この制御により温度検出液172の温度が目標温度となれば、温度制御部40の温度制御は適正と判断される。この適正な制御電圧Vcで、後に容器セット部58にセットされる反応容器50内の反応液52を所定の検査温度とする。
このような温度計測装置170によれば次の効果が得られる。即ち、温度計測装置170を、計測容器174内に予め定められた反応液52と同等の熱容量及び熱伝導率を持つ温度検出液172を保持する構成とした。温度検出液172は外部から特定波長の光を照射されると温度に応じた波長の光を発する。
従って、まず、温度計測装置170を化学分析装置1にセットし、温度検出液172の検出温度が目標の検査温度となるように加熱用の制御電圧を制御し、この際、温度検出液172に照射部120から光を照射して温度検出液172を透過した光を受光部121で受光する。この受光による検出光の波長に対応する温度検出液172の温度が検査温度となる制御電圧Vc3を設定しておく。これにより、実際の検査に用いられる反応容器50内に密閉状に保持された反応液52を、その制御電圧Vc3として加熱を行えば、適正に検査温度とすることができる。
また、温度制御部40は、校正用反応容器50Aを用いた制御電圧Vc3と校正用反応液54の温度との関係を設定した後に、容器セット部58に温度計測装置170がセットされた後、先に設定された制御電圧Vc3とし、照射部120から照射を行った際の、当該温度計測装置170の温度検出液172の温度と、この温度に対応する受光部121の検出光の波長との関係を把握する校正を行うようにした。
従って、温度検出液172の温度が、実検査で用いると同等の校正用反応液54の温度と同様に制御されているか否かを確認することができるので、温度計測装置170が正常動作を行うか否かを容易に判断することができる。
なお、上記実施形態では、温度計測装置70及び170は、化学分析装置として遺伝子検査装置1に用いられる場合について述べたが、複数の反応容器50を搭載する分析装置全般に適用可能である。また、上記実施形態のように、複数の反応容器50を独立に温度制御する分析装置だけでなく、複数の反応容器50を同一温度に制御する装置(例えば図1の温度制御部40がなく、全ての伝熱部41の温度が高温温調部30で制御されるような装置)にも適用可能であり、温度計測装置70及び170を使用することで、検査デバイス10内での温度むら等を確認することができる。
<変形例1>
図15は本実施形態の変形例1による遺伝子検査装置1の温度制御部40による温度制御方法の説明図であり、(a)は反応液温度及びセンサ検出温度と時間との関係図、(b)は温度制御部の発熱量と時間の関係図、(c)は温度制御部の制御電圧と時間の関係図である。
遺伝子検査装置1が、上述したように隣接する温度制御部40間の相互の熱の影響を断熱部22で遮断する構成ではなく、断熱部22を備えない構成の場合、次のように温度制御を行ってもよい。但し、各温度制御部40間の相互の熱の影響を断熱部22で遮断する構成、言い換えれば、隣の温度制御部40の熱の影響を受けない状態を、温度制御部40が熱的に独立した状態と表現する。
まず、各温度制御部40が熱的に独立した状態の場合は、温度制御部40は、上述の図12(d)に示した温度テーブルTra1,Tra2,Trb,Trcに登録された反応液量Q、制御電圧V及び印加時間tに応じて、温度制御を行う。これは、例えば温度制御部40が、制御電圧Vを図15(c)に線V1で示すように制御することで、温度制御部40から伝熱部41へ伝達される発熱量が図15(b)に曲線H1で示すようになり、この発熱量H1により加熱される反応液52の温度が、図15(a)に曲線T1で示す所定温度となる。この時、自温度制御部40の近傍に対応付けられた温度制御部温度センサ42の検出温度は、直線T3のように略一定である。
なお、制御電圧V1での制御時において時刻t0〜t1までは、制御電圧V1を高くすることにより、それまで低温であった反応液52に、高い発熱量H1を伝達することで反応液52をT1のように急激に温める様子を示してある。
一方、遺伝子検査装置1が断熱部22を備えず、温度制御部40が熱的に独立していない状態の場合に、例えば、隣接する温度制御部(図示せぬが40Nとする)がペルチェ素子を用いた構成で冷却を行っていると、この近傍では恒温部20が冷却される。このため、自温度制御部40に対応付けられた近傍の温度制御部温度センサ42での検出温度は、上記した図15(a)のT3から、T4で示すように低下する。
このため、その遺伝子検査装置1が断熱部22を備えず、温度制御部40が熱的に独立していない構成の場合に伝熱部41への発熱量が図15(b)に曲線H2で示すように低下する。従って、当該伝熱部41にセットされた反応容器50内の反応液52の温度は、図15(a)に曲線T2で示すように、実際に必要な温度T1よりも低温で推移する。
そこで、自温度制御部40では、次のような温度制御を行う。自温度制御部40は、センサ42の検出温度が、本来の検出温度T3から下がってT4となり所定温度低下したことを時刻t2で検出した場合、それまで図15(c)に示すV1で制御していた制御電圧を、その検出時刻t2において、V2で示すように上昇させる修正を行う。この修正後の制御電圧V2により、発熱量がH2からH1に戻るので、反応液52の温度が、低下した温度T2から本来の所定温度T1に戻る。
このように遺伝子検査装置1が断熱部22を備えず、温度制御部40が、隣接温度制御部40Nの冷却熱の影響を受けた場合でも、制御電圧Vを上記のように高めに制御することにより、反応液52を高精度に温度制御することができる。
<変形例2>
図16は本実施形態の変形例2による遺伝子検査装置1Aの検査デバイス10Aの構成を示し、(a)は検査デバイス10Aの平面図、(b)は検査デバイス10Aを側面から見た断面図である。
遺伝子検査装置1Aが、上述の遺伝子検査装置1と異なる点は、伝熱部41Aに、伝熱部温度センサ45を搭載したモニタ部44を設けたことにある。なお、モニタ部44及び伝熱部温度センサ45の双方でモニタ手段が構成されている。
伝熱部温度センサ45は、熱電対による細長い棒状を成し、筒型のモニタ部44に内蔵されている。モニタ部44は、反応容器50と同じ熱伝導率の材料で形成され、伝熱部41Aにおける温度制御部40の当接端部と反対側の端部に上面から埋め込まれており、反応容器50内の反応液52の温度を模擬的に実現するものである。この模擬的に実現される温度を、モニタ温度という。モニタ温度は、伝熱部温度センサ45で検出される。
また、モニタ部44が埋め込まれた伝熱部41Aの外壁部分には、観測窓43と同等の放熱特性を持つ放熱部46が設けられており、モニタ部44の熱が放熱部46から放熱されるようになっている。放熱部46により、伝熱部41Aの観測窓43から外部へ放熱される熱を模擬的に実現する。
このモニタ部44を伝熱部41に有する遺伝子検査装置1Aの温度制御部40で反応液52の温度を制御する方法を、図17を参照して説明する。図17は本実施形態の変形例2による遺伝子検査装置1Aの温度制御部40による温度制御方法の説明図であり、(a)は反応液温度と時間との関係図、(b)はモニタ部温度差と時間との関係図、(c)は温度制御部の発熱量と時間の関係図、(d)は温度制御部の制御電圧と時間の関係図である。
まず、図17(b)に直線T5で示すように、後述するモニタ部温度差(モニタ温度差)が0Kのとき、温度制御部40は熱的独立状態にある。熱的独立状態とは、例えば装置出荷前に、出荷検査の対象となる温度制御部40に隣接する温度制御部40Nの印加電圧を0Vとして発熱を行わない状態とし、対象の温度制御部40を熱的に独立させた状態である。モニタ部温度差とは、温度制御部40が熱的独立状態で測定したモニタ部44の温度(モニタ温度)と、実際の検査時に測定されるモニタ温度との差である。
このような熱的独立状態にあって、温度制御部40は、複数の印加電圧Vと、これらに対応するモニタ部温度との関係をテーブル化して、図示せぬ記憶部に記憶しておく。その後、実際の検査において、温度制御部40は、印加電圧がVjの時に温度制御部温度センサ42で検出されたモニタ温度が、予め印加電圧Vjに対応付けられた温度Tjと同じであれば、モニタ部温度差が0Kと認識する。
この0Kの熱的独立状態にあって、温度制御部40が、上述した図12(d)に示した温度テーブルTra1,Tra2,Trb,Trcに登録された反応液量Q、制御電圧V及び印加時間tに応じて、温度制御を行う。例えば、温度制御部40の制御電圧Vを図17(d)に線V1で示すように制御することで、温度制御部40から伝熱部41へ伝達される発熱量が図17(c)に曲線H1で示すようになり、この発熱量H1により加熱される反応液52の温度が、図17(a)に曲線T1で示す所定温度となる。
なお、制御電圧V1での制御時において時刻t0〜t1までは、制御電圧V1を高くすることにより、それまで低温であった反応液52に高い発熱量H1を伝達することで、反応液52をT1のように急激に温める様子を示してある。
一方、温度制御部40が熱的に独立しておらず、隣接する温度制御部40Nの熱の影響を受ける場合について説明する。温度制御部40が熱的に独立していない場合、例えば、隣接温度制御部40Nがペルチェ素子を用いた構成で冷却を行っていると、この近傍では恒温部20が冷却されるため、自温度制御部40もその冷却熱の影響を受ける。この場合、自温度制御部40の発熱が低下するので、自温度制御部40に当接する伝熱部41Aへ伝達される発熱量も図17(c)に曲線H3で示すように低下する。この結果、当該伝熱部41Aのモニタ部44の温度は、図17(a)に曲線T7で示すように、実際に必要な温度T1よりも低温で推移する。このため、自温度制御部40においては、モニタ部温度差が上記したT5から、T6で示すように低下する。
この低下時、自温度制御部40では、熱的独立状態に比べて冷却されるので、伝熱部41Aへの発熱量が図17(c)に曲線H3で示すように低下する。このため、当該伝熱部41Aの反応液52の温度は、図17(a)に曲線T7で示すように、実際に必要な温度T1よりも低温で推移する。
そこで、自温度制御部40では、次のような温度制御を行う。自温度制御部40は、上記のようにモニタ部温度差が、本来の温度T5からT6に下がっていることを所定時間経過した時刻t2で検出した場合、それまで図17(d)に示すV1で制御していた制御電圧を、その検出時刻t2において、V3で示すように上昇させる修正を行う。この修正後の制御電圧V3より、発熱量がH3からH1に戻るので、反応液52の温度が、低下した温度T7から本来必要な温度T1に戻る。
このように遺伝子検査装置1Aの伝熱部41Aに、伝熱部温度センサ45を搭載したモニタ部44を設けた構成によれば、温度制御部40が、隣接温度制御部40Nの冷却熱の影響を受けた場合でも、モニタ部温度差の変化を検出することにより、制御電圧Vを上記のように高めに制御して、反応液52を高精度に温度制御することができる。
また、本変形例2では、反応容器50と同じ熱伝導率の材料で構成したモニタ部44を伝熱部41Aに設け、モニタ部44の温度を伝熱部温度センサ45で検出したが、モニタ部44を設けず伝熱部温度センサ45のみを設けた構成としてもよい。この構成の伝熱部を41Bとする。この伝熱部41Bの伝熱部温度センサ45で直接、伝熱部41B自体の温度を検出しても上記制御は可能である。この場合には、図17を参照したように、温度制御部40が熱的独立状態で測定した温度との差(モニタ部温度差に対応)を利用するが、モニタ部44が存在する場合と異なり、熱変化の応答が速いため適当な時間で移動平均をとる必要がある。
また、反応液52の温度及び伝熱部41Bの温度には前の温度サイクルの履歴が残り、両者の温度履歴状態が異なる可能性がある。特に反応液52では観測窓43による周囲への伝熱があるため、伝熱部41Bに伝熱部温度センサ45のみ設ける場合も、伝熱部41Aでモニタ部44に対して放熱部46を設けたのと同様の、観測窓43と同等の伝熱特性要素を設けるのが望ましい。
更に、予め反応液52の温度と伝熱部温度センサ45の信号との対応関係を把握して温度制御部40の記憶部に登録しておけば、恒温部20の温度が変化しても、伝熱部温度センサ45の信号から反応液52の温度を予測し、反応液52を高精度に温度制御することができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部(制御部)、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SD(Secure Digital memory)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1,1A 遺伝子検査装置(化学分析装置)
10,10A 検査デバイス
11 ケース
12 容器搬入出扉
13 ケース内温度センサ
20 恒温部
21 回転軸
22 断熱部
30 恒温温調部
31 放熱フィン
32 放熱温度センサ
40,40N 温度制御部(伝熱制御手段)
41,41A 伝熱部(伝熱制御手段)
42 温度制御部温度センサ
43 観測窓
44 モニタ部
45 伝熱部温度センサ
46 放熱部
50 反応容器
51 蓋
52 反応液(検査液)
53 温度センサ(校正用温度センサ)
58 容器セット部
60 反応容器保持部
70 温度計測装置
71 蓋
72 ダミー物質
73 温度センサ(検査容器に固定される温度センサ)
74 計測容器
75 伝熱面接触部
80 温度計測装置保持部
90 温度計測信号受信部(入力手段)
91 反応液温度計測信号受信部
110 容器移動機構
111 ガイド
112,113 容器把持部
114 垂直駆動モータ
115 把持モータ
116 水平駆動モータ
120 照射部
121 受光部
170 温度計測装置
171 蓋
172 温度検出液
174 計測容器
175 伝熱面接触部
200,200A 温度校正装置

Claims (13)

  1. 検査液と同等の熱容量及び熱伝導率を持つ液体又は固体のダミー物質を収容可能な内部空間を密閉状に閉塞可能な計測容器と、
    前記計測容器の外部から前記内部空間に挿通され、前記ダミー物質の温度を計測可能に当該計測容器に固定される温度センサと
    を備えることを特徴とする温度計測装置。
  2. 内部空間を密閉状に閉塞可能で、光を透過する計測容器と、
    前記計測容器内に保持され、光照射時に温度に依存して波長の異なる光を発する温度検出液と
    を備えることを特徴とする温度計測装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の温度計測装置であって、
    前記計測容器は、前記検査液又は前記温度検査液が密閉状に保持される検査容器と同一形状を成し、当該検査容器と少なくとも熱伝導率が同一であることを特徴とする温度計測装置。
  4. 請求項1又は請求項3に記載の温度計測装置であって、
    前記ダミー物質は、少なくとも前記検査液の主成分を保持し、この主成分に樹脂や金属を含む伝熱物質が混入されて熱容量及び熱伝導率が当該検査液と同等に調整されていることを特徴とする温度計測装置。
  5. 検査液を密閉状に保持する検査容器が密着してセットされる容器セット部と、制御電圧に応じて温度可変可能に熱を発熱し、この熱を前記容器セット部に伝達する発熱体とを有して、前記検査容器を前記制御電圧を制御して加熱する伝熱制御手段と、
    請求項1,3,4のいずれか1項に記載の温度計測装置が、前記容器セット部にセットされた際に、当該温度計測装置の前記温度センサで計測されて出力される前記ダミー物質の温度に応じた温度センサ電圧信号を入力する入力手段と
    を備え、
    前記伝熱制御手段は、その温度センサ電圧信号に応じて前記ダミー物質の温度が目標温度となるように前記制御電圧を制御し、この制御により前記ダミー物質の温度が目標温度となった際の制御電圧で、後に前記容器セット部にセットされる前記検査容器を加熱する
    ことを特徴とする化学分析装置。
  6. 請求項5に記載の化学分析装置であって、
    前記伝熱制御手段を、複数備えることを特徴とする化学分析装置。
  7. 請求項6に記載の化学分析装置であって、
    前記複数の伝熱制御手段が個別に固定され、この固定された各伝熱制御手段との固定面積が広く、当該伝熱制御手段に比べて熱容量が大きく、且つ予め定められた温度に保持制御が可能な恒温手段を更に備えることを特徴とする化学分析装置。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の化学分析装置であって、
    前記複数の伝熱制御手段は、隣接する伝熱制御手段の熱が相互に影響しない状態に設けられていることを特徴とする化学分析装置。
  9. 請求項5〜8のいずれか1項に記載の化学分析装置であって、
    前記検査容器と形状及び伝熱特性が同等であり、前記検査液と同等の校正用液を密閉状に保持し、この保持された校正用液の温度を計測可能に外部から挿通された校正用温度センサを有する校正用容器を、前記容器セット部にセットし、
    前記伝熱制御手段は、そのセットされた校正用容器内の校正用液の温度が前記校正用温度センサで計測された際の前記入力手段を介して入力される温度センサ電圧信号に応じて、当該校正用液の温度が目標温度となるように前記制御電圧で制御し、この制御により当該校正用液の温度が当該目標温度となった際の制御電圧と、この際の校正用液の温度との関係を設定し、
    前記容器セット部に前記温度計測装置がセットされた後、前記設定された制御電圧とした際の、当該温度計測装置の前記ダミー物質の温度と、この温度が前記温度センサで検出された際の温度センサ電圧信号との関係を把握する校正を行う
    ことを特徴とする化学分析装置。
  10. 請求項5〜9のいずれか1項に記載の化学分析装置であって、
    光を照射する照射部と、
    光を受光する受光部と
    を更に備え、
    前記容器セット部は、前記照射部からの照射光が当該容器セット部にセットされた透明容器を透過して前記受光部で受光できる光入射口と光出射口とを備え、
    請求項2又は請求項3(請求項1を引用するものを除く)に記載の温度計測装置を前記容器セット部にセットし、
    当該セットされた温度計測装置は、当該温度計測装置が前記伝熱制御手段で加熱された際に、前記照射部からの照射光が当該温度計測装置内の温度検出液を透過した光を前記受光部で受光し、この受光による検出光を、前記伝熱制御手段へ出力し、
    前記伝熱制御手段は、その検出光の波長に対応する前記温度検出液の温度が目標温度となるように前記制御電圧を制御し、この制御により前記温度検出液の温度が目標温度となった際の制御電圧で、後に前記容器セット部にセットされる前記検査容器を加熱する
    ことを特徴とする化学分析装置。
  11. 請求項10に記載の化学分析装置であって、
    前記伝熱制御手段は、前記校正用容器を用いた前記制御電圧と前記校正用液の温度との関係を設定した後に、前記容器セット部に前記温度計測装置がセットされた後、前記設定された制御電圧とし、前記照射部から照射を行った際の、当該温度計測装置の前記温度検出液の温度と、この温度に対応する前記受光部の検出光の波長との関係を把握する校正を行う
    ことを特徴とする化学分析装置。
  12. 請求項5〜11のいずれか1項に記載の化学分析装置であって、
    前記伝熱制御手段の温度を計測するセンサを備え、
    前記伝熱制御手段は、前記センサの検出温度が、当該伝熱制御手段での本来の制御電圧に対応した発熱温度よりも低い場合に、前記制御電圧を高くすることを特徴とする化学分析装置。
  13. 請求項5〜11のいずれか1項に記載の化学分析装置であって、
    前記伝熱制御手段は、前記検査液の温度を模擬的に実現して計測するモニタ手段を備え、
    前記伝熱制御手段は、前記隣接する伝熱制御手段の熱が相互に影響しない状態に設けられている場合に前記モニタ手段において計測された温度と、予め定められた検査時に前記モニタ手段において計測された温度との差であるモニタ温度差が、予め定められた値よりも低い場合に、前記制御電圧を高くすることを特徴とする化学分析装置。
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