JP2014031012A - 白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法、白色熱収縮性ポリエステル系フィルム及び包装体 - Google Patents

白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法、白色熱収縮性ポリエステル系フィルム及び包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】ミシン目開封性が非常に良好で、光線カット性を有する白色熱収縮性ポリエステルフィルムとその生産性の高い製造方法を提供すること。
【解決手段】エチレンテレフタレートを主たる構成成分とし、全ポリエステル樹脂成分中において非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分を15モル%以上含有しているポリエステル系樹脂を含んでなる白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法、白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法及び包装体。
【選択図】なし

Description

本発明は、白色熱収縮性ポリエステル系フィルム、およびその製造方法、包装体に関するものであり、詳しくは、光線カット性を有し、ラベル用途に好適な白色熱収縮性ポリエステル系フィルム、およびその製造方法、ラベルを用いた包装体に関するものである。
近年、ガラス瓶やPETボトル等の保護と商品の表示を兼ねたラベル包装、キャップシール、集積包装等の用途に、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等からなる延伸フィルム(所謂、熱収縮性フィルム)が広範に使用されるようになってきている。そのような熱収縮性フィルムの内、ポリ塩化ビニル系フィルムは、耐熱性が低い上に、焼却時に塩化水素ガスを発生したり、ダイオキシンの原因となる等の問題がある。また、ポリスチレン系フィルムは、耐溶剤性に劣り、印刷の際に特殊な組成のインキを使用しなければならない上、高温で焼却する必要があり、焼却時に異臭を伴って多量の黒煙が発生するという問題がある。それゆえ、耐熱性が高く、焼却が容易であり、耐溶剤性に優れたポリエステル系の熱収縮性フィルムが、収縮ラベルとして広汎に利用されるようになってきており、PET容器の流通量の増大に伴って、使用量が増加している傾向にある。
また、熱収縮性フィルムとしては、ラベル製造時の取扱いの面から、一般的に、幅方向に大きく収縮させるものが利用される。それゆえ、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、加熱時に幅方向への十分な収縮力を発現させるために、幅方向へ高倍率の延伸することによって製造されていた。
ところが、従来の熱収縮性ポリエステルフィルムは、主収縮方向と直交する長手方向については、ほとんど延伸されていないため、機械的強度が低く、ラベルとしてペットボトル等に収縮させて被覆させた場合に、ラベルをミシン目に沿ってうまく引き裂くことができない(すなわち、ミシン目開封性が悪い)、という不具合がある。また、熱収縮性ポリエステルフィルムのミシン目開封性を良好なものとすべく、製造時にフィルムを長手方向に延伸すると、機械的強度が高くなり、ミシン目開封性はある程度向上するものの、長手方向に収縮力が発現してしまうため、ラベルとしてペットボトル等に収縮させて被覆させた場合に、非常に見栄え(収縮仕上がり性)が悪くなる、という不具合が露呈する。
それゆえ、熱収縮性ポリエステルフィルムのミシン目開封性を向上させるべく、熱収縮性ポリエステルフィルムの主原料中に非相溶な熱可塑性樹脂を混合する方法(特許文献1)等も提案されている。
特開2002−363312号公報
上記特許文献1の如き熱収縮性ポリエステルフィルムの主原料中に非相溶な熱可塑性樹脂を混合する方法によれば、熱収縮性ポリエステルフィルムのミシン目開封性がある程度向上するものの、必ずしもミシン目開封性が十分な熱収縮性ポリエステルフィルムが得られているとは言い難い。また、特許文献1の如き方法を採用した場合でも、製造時には幅方向にしか延伸することができないため、効率良く熱収縮性ポリエステルフィルムを製造することはできない。
本発明の目的は、上記従来の熱収縮性ポリエステルフィルムが有する問題点を解消し、ミシン目開封性が非常に良好な白色熱収縮性ポリエステルフィルムとそのきわめて生産性の高い製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、印刷や加工を施さなくとも光線カット性を有し、印刷を施した場合にも優れた美観を有する軽量な白色熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することにある。
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1. エチレンテレフタレートを主たる構成成分とし、全ポリエステル樹脂成分中において非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分を15モル%以上含有しているポリエステル系樹脂を含んでなる下記要件(1)及び)を満たす白色熱収縮性ポリエステル系フィルムを連続的に製造するための製造方法であって、下記(a)〜(f)の各工程を含むことを特徴とする白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
(1)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における幅方向の湯温熱収縮率が40%以上80%以下であること
内部に多数の空洞を有するX層の少なくとも片面にX層よりも空洞の少ないY層を有し、白色度が70以上であること
(a)未延伸フィルムを、Tg以上Tg+30℃以下の温度で長手方向に2.2倍以上3.0倍以下の倍率で延伸した後、Tg+10℃以上Tg+40℃以下の温度で長手方向に1.2倍以上1.5倍以下の倍率で延伸することにより、トータルで2.8倍以上4.5倍以下の倍率となるように縦延伸する縦延伸工程
(b)縦延伸後のフィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で130℃以上190℃以下の温度で1.0秒以上9.0秒以下の時間に亘って熱処理する中間熱処理工程
(c)中間熱処理後のフィルムを、前後の各ゾーンと遮断されており積極的な加熱操作を実行しない中間ゾーンを通過させることによって自然に冷却する自然冷却工程
(d)自然冷却後のフィルムを、表面温度が80℃以上120℃以下の温度となるまで積極的に冷却する積極冷却工程
(e)積極冷却後のフィルムを、Tg+10℃以上Tg+40℃以下の温度で幅方向に2.0倍以上6.0倍以下の倍率で延伸する横延伸工程
(f)横延伸後のフィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で80℃以上100℃以下の温度で1.0秒以上9.0秒以下の時間に亘って熱処理する最終熱処理工程
2.白色熱収縮性ポリエステル系フィルムが、下記要件(3)〜(5)をも満たすことを特徴とする上記第1に記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
(3)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向の湯温熱収縮率が0%以上15%以下であること
(4)80℃の温水中で幅方向に10%収縮させた後の単位厚み当たりの長手方向の直角引裂強度が90N/mm以上200N/mm以下であること
(5)長手方向の引張破壊強さが100MPa以上250MPa以下であること
3. 90℃に加熱したときの幅方向の収縮応力が3MPa以上15MPa以下であることを特徴とする上記第1又は第2に記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルム。
4. 幅方向の厚み斑が1.0%以上12.0%以下であることを特徴とする上記第1〜第3のいずれかに記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
5. 長手方向の厚み斑が1.0%以上12.0%以下であることを特徴とする上記第〜第4のいずれかに記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
6. 溶剤接着強度が2N/15mm幅以上15N/15mm幅以下であることを特徴とする上記第〜第5のいずれかに記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
7. 動摩擦係数が0.1以上0.55以下であることを特徴とする上記第〜第6のいずれかに記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
8. 全ポリステル樹脂成分中における非晶質成分となりうるモノマーの主成分が、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸の内のいずれかであることを特徴とする上記第〜第7のいずれかに記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
9. 見かけ密度が1.2g/cm以下であることを特徴とする上記第〜第8のいずれかに記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
10.上記第1〜第9のいずれかに記載された白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法により製造されてなることを特徴とする白色熱収縮性ポリエステル系フィルム。
11. 上記第10に記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムを基材とし、ミシン目あるいは一対のノッチが設けられたラベルを少なくとも外周の一部に被覆して熱収縮させてなることを特徴とする包装体。
本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、主収縮方向である幅方向への収縮性が高く、幅方向と直交する長手方向における機械的強度も高い上、ラベルとした際のミシン目開封性が良好であり、開封する際に引き裂き初めから引き裂き完了に至るまでミシン目に沿って綺麗にカットすることができる。また、スティフネス(所謂“腰”の強さ)が高く、ラベルとした際の装着適性に優れている。加えて、印刷加工やチュービング加工をする際の加工特性が良好である。したがって、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ボトル等の容器のラベルとして好適に用いることができ、ラベルとして使用した際には、ボトル等の容器に短時間の内に非常に効率良く装着することができ、装着後に熱収縮させた際にシワや収縮不足のきわめて少ない良好な仕上がりを発現させることができる上、装着されたラベルが非常に良好なミシン目開封性を発現するものとなる。本発明の包装体は、被覆されたラベルの引き裂き具合が良好であり、被覆されたラベルを適度な力でミシン目に沿って綺麗に引裂くことができる。
本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、軽量で美観に優れ、印刷や加工を施さなくとも光線カット性を有し、印刷を施した場合にも優れた美観を有するものである。
加えて、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、縦横の二軸に延伸して製造されるものであるので、非常に効率良く生産することができる。
直角引裂強度の測定における試験片の形状を示す説明図である(なお、図中における試験片の各部分の長さの単位はmmである)。
本発明で使用するポリエステルは、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするものである。すなわち、エチレンテレフタレートを50モル%以上、好ましくは60モル%以上含有するものである。本発明のポリエステルを構成する他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および脂環式ジカルボン酸等を挙げることができる。
脂肪族ジカルボン酸(たとえば、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等)を含有させる場合、含有率は3モル%未満であることが好ましい。これらの脂肪族ジカルボン酸を3モル%以上含有するポリエステルを使用して得た白色熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、高速装着時のフィルム腰が不十分である。
また、3価以上の多価カルボン酸(たとえば、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物等)を含有させないことが好ましい。これらの多価カルボン酸を含有するポリエステルを使用して得た白色熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、必要な高収縮率を達成しにくくなる。
本発明で使用するポリエステルを構成するジオール成分としては、エチレングリコール、1−3プロパンジオール、1−4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール等を挙げることができる。
本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステルは、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の環状ジオールや、炭素数3〜6個を有するジオール(たとえば、1−3プロパンジオール、1−4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)のうちの1種以上を含有させて、ガラス転移点(Tg)を60〜80℃に調整したポリエステルが好ましい。
また、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステルは、全ポリステル樹脂中における多価アルコール成分100モル%中あるいは多価カルボン酸成分100モル%中の非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分の合計が15モル%以上であることが好ましく、17モル%以上であることがより好ましく、特に20モル%以上であることが好ましい。ここで、非晶質成分となりうるモノマーとしては、たとえば、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ジエチル1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル2−エチル1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル1,3−プロパンジオール、2,2−ジn−ブチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオールを挙げることができるが、その中でも、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールやイソフタル酸を用いるのが好ましい。
本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステル中には、炭素数8個以上のジオール(たとえばオクタンジオール等)、または3価以上の多価アルコール(たとえば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン等)を、含有させないことが好ましい。これらのジオール、または多価アルコールを含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、必要な高収縮率を達成しにくくなる。
また、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステル中には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールをできるだけ含有させないことが好ましい。
また、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成する樹脂の中には、必要に応じて各種の添加剤、たとえば、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成する樹脂の中には、滑剤として微粒子を添加することによりポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの作業性(滑り性)を良好なものとするのが好ましい。微粒子としては任意のものを選択することができるが、たとえば、無機系微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等を挙げることができる。また、有機系微粒子としては、たとえば、アクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等を挙げることができる。微粒子の平均粒径は、0.05〜3.0μmの範囲内(コールターカウンタにて測定した場合)で、必要に応じて適宜選択することができる。
白色熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成する樹脂の中に上記粒子を配合する方法としては、たとえば、ポリエステル系樹脂を製造する任意の段階において添加することができるが、エステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めるのが好ましい。また、ベント付き混練押出し機を用いてエチレングリコールまたは水等に分散させた粒子のスラリーとポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法、または混練押出し機を用いて、乾燥させた粒子とポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法等によって行うのも好ましい。
本発明において、適度な白色度を得るためには、例えば、内部に微細な空洞を含有させることが好ましい。例えば発泡材などを混合して押出してもよいが、好ましい方法としてはポリエステル中に非相溶な熱可塑性樹脂を混合し少なくとも1軸方向に延伸することにより、空洞を得ることである。本発明に用いられるポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂は任意であり、ポリエステルに非相溶性のものであれば特に制限されるものではない。具体的には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂などがあげられる。特に空洞の形成性からポリスチレン系樹脂あるいはポリメチルペンテン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリスチレン系樹脂とは、ポリスチレン構造を基本構成要素として含む熱可塑性樹脂を指し、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、アイソタクティックポリスチレン等のホモポリマーの外、その他の成分をグラフトあるいはブロック共重合した改質樹脂、例えば耐衝撃性ポリスチレン樹脂や変性ポリフェニレンエーテル樹脂等、更にはこれらのポリスチレン系樹脂と相溶性を有する熱可塑性樹脂例えばポリフェニレンエーテルとの混合物を含む。
また、ポリメチルペンテン系樹脂とは、80モル%以上、好ましくは90モル%以上が4−メチルペンテン−1から誘導される単位を有するポリマーであり、他の成分としてはエチレン単位、プロピレン単位、ブテン−1単位、3−メチルブテン−1等からの誘導単位が例示される。かかるポリメチルペンテンのメルトフローレートは200g/10分以下であることが好ましく、更に好ましくは30g/10分以下である。これは、メルトフローレートが200g/10分を超える場合には、フィルムの軽量化効果を得にくくなるからである。
また、本発明におけるポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン等のホモポリマーの外、その他の成分をグラフトあるいはブロック共重合した改質樹脂も含まれる。
前記ポリエステルと非相溶な樹脂を混合してなる重合体混合物の調製にあたっては、たとえば、各樹脂のチップを混合し押出機内で溶融混練した後押出してもよいし、予め混練機によって両樹脂を混練したものを更に押出機より溶融押出ししてもよい。また、ポリエステルの重合工程においてポリスチレン系樹脂を添加し、攪拌分散して得たチップを溶融押出してもかまわない。
本発明におけるフィルムは内部に多数の空洞を含有するX層の少なくとも片面にX層よりも空洞の少ないY層を設けることが好ましい。この構成にするためには異なる原料をX、Yそれぞれ異なる押出機に投入、溶融し、T−ダイの前またはダイ内にて溶融状態で貼り合わせ、冷却ロールに密着固化させた後、後に述べる方法で延伸することが好ましい。このとき、原料としてY層の非相溶な樹脂はX層よりも少ないことが好ましい。こうすることによりY層の空洞が少なく、また表面の荒れが少なくなり、印刷の美観を損なわないフィルムとなる。また、フィルム中に空洞が多数存在しない部分が存在するため、フィルムの腰が弱くならず装着性に優れるフィルムとなる。
さらに、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムには、フィルム表面の接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したりすることも可能である。
また、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、90℃の温水中で無荷重状態で10秒間に亘って処理したときに、収縮前後の長さから、下式1により算出したフィルムの幅方向の熱収縮率(すなわち、90℃の湯温熱収縮率)が、40%以上80%以下であることが好ましい。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%)
・・・式1
90℃における幅方向の湯温熱収縮率が40%を下回ると、収縮量が小さいために、熱収縮した後のラベルにシワやタルミが生じてしまうので好ましくなく、反対に、90℃における幅方向の湯温熱収縮率が80%を上回ると、ラベルとして用いて場合に熱収縮時に収縮に歪みが生じ易くなったり、いわゆる“飛び上がり”が発生してしまうので好ましくない。なお、90℃における幅方向の湯温熱収縮率の下限値は、45%以上であると好ましく、50%以上であるとより好ましく、55%以上であると特に好ましい。また、90℃における幅方向の湯温熱収縮率の上限値は、75%以下であると好ましく、70%以下であるとより好ましく、65%以下であると特に好ましい。
また、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、90℃の温水中で無荷重状態で10秒間に亘って処理したときに、収縮前後の長さから、上式1により算出したフィルムの長手方向の熱収縮率(すなわち、90℃の湯温熱収縮率)が、0%以上15%以下であることが好ましく、13%以下であるとより好ましく、12%以下であると更に好ましく、11%以下であると一層好ましく、9%以下であると特に好ましい。
90℃における長手方向の湯温熱収縮率が0%未満であると(すなわち、収縮率が負の値であると)、ボトルのラベルとして使用する際に良好な収縮外観を得ることができないので好ましくなく、反対に、90℃における長手方向の湯温熱収縮率が15%を上回ると、ラベルとして用いた場合に熱収縮時に収縮に歪みが生じ易くなるので好ましくない。なお、90℃における長手方向の湯温熱収縮率の下限値は、1%以上であると好ましく、2%以上であるとより好ましく、3%以上であると特に好ましい。
また、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、90℃に加熱したときの幅方向の収縮応力が3MPa以上15MPa以下であると好ましい。90℃に加熱したときの幅方向の収縮応力が3MPaを下回ると、ボトルのラベルとして使用する際に良好な収縮外観を得ることができないので好ましくなく、反対に、90℃に加熱したときの幅方向の収縮応力が15MPaを上回ると、ラベルとして用いた場合に熱収縮時に収縮に歪みが生じ易くなるので好ましくない。なお、90℃に加熱したときの幅方向の収縮応力の下限値は、4MPa以上であるとより好ましく、5MPa以上であると一層好ましく、6MPa以上であると特に好ましい。また、90℃に加熱したときの幅方向の収縮応力の上限値は、15MPa以下であるとより好ましく、13MPa以下であると一層好ましく、11MPa以下であるとさらに好ましく、9MPa以下であると特に好ましい。
また、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、80℃の温水中で幅方向に10%収縮させた後に、以下の方法で単位厚み当たりの長手方向の直角引裂強度を求めたときに、その長手方向の直角引裂強度が90N/mm以上200N/mm以下であることが好ましい。
[直角引裂強度の測定方法]
80℃に調整された湯温中にてフィルムを幅方向に10%収縮させた後に、JIS−K−7128に準じて所定の大きさの試験片としてサンプリングする。しかる後に、万能引張試験機で試験片の両端を掴み、引張速度200mm/分の条件にて、フィルムの長手方向における引張破壊時の強度の測定を行う。そして、下式2を用いて単位厚み当たりの直角引裂強度を算出する。
直角引裂強度=引張破壊時の強度÷厚み ・・・式2
80℃の温水中で幅方向に10%収縮させた後の直角引裂強度が90N/mmを下回ると、ラベルとして使用した場合に運搬中の落下等の衝撃によって簡単に破れてしまう事態が生ずる可能性があるので好ましくなく、反対に、直角引裂強度が200N/mmを上回ると、ラベルを引き裂く際の初期段階におけるカット性(引き裂き易さ)が不良となるため好ましくない。なお、直角引裂強度の下限値は、110N/mm以上であるとより好ましく、130N/mm以上であると更に好ましい。また、直角引裂強度の上限値は、190N/mm以下であるとより好ましく、180N/mm以下であると更に好ましい。樹脂中の添加剤量を増やすなどしてフィルム中に空洞を作ることは、更に直角引裂強度を低く調節する上での工夫と言うことができる。
また、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、以下の方法で長手方向の引張破壊強さを求めたときに、その引張破壊強さが100MPa以上250MPa以下であることが好ましい。
[引張破壊強さの測定方法]
JIS−K7113に準拠し、所定の大きさの短冊状の試験片を作製し、万能引張試験機でその試験片の両端を把持して、引張速度200mm/分の条件にて引張試験を行い、フィルムの長手方向の引張破壊時の強度(応力)を引張破壊強さとして算出する。
長手方向の引張破壊強さが100MPaを下回ると、ラベルしてボトル等に装着する際の“腰”(スティフネス)が弱くなるので好ましくなく、反対に、引張破壊強さが250MPaを上回ると、ラベルを引き裂く際の初期段階におけるカット性(引き裂き易さ)が不良となるので好ましくない。なお、引張破壊強さの下限値は、120MPa以上であると好ましく、140MPa以上であるとより好ましく、150MPa以上であると特に好ましい。また、直角引裂強度の上限値は、240MPa以下であると好ましく、230MPa以下であるとより好ましく、220MPa以下であると特に好ましい。
また、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、幅方向の厚み斑(測定長を1mとした場合の厚み斑)が12%以下であることが好ましい。幅方向の厚み斑が12%を超える値であると、ラベル作成の際の印刷時に印刷斑が発生し易くなったり、熱収縮後の収縮斑が発生し易くなったりするので好ましくない。なお、幅方向の厚み斑は、10%以下であるとより好ましく、8%以下であると特に好ましい。なお、幅方向の厚み斑は小さいほど好ましいが、当該厚み斑の下限は、製膜装置の性能上から1%程度が限界であると考えている。
さらに、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは、特に限定するものではないが、ラベル用熱収縮性フィルムとして5〜200μmが好ましく、10〜70μmがより好ましい。
また、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、長手方向の厚み斑(測定長を10mとした場合の厚み斑)が12%以下であることが好ましい。長手方向の厚み斑が12%を超える値であると、ラベル作成の際の印刷時に印刷斑が発生し易くなったり、熱収縮後の収縮斑が発生し易くなったりするので好ましくない。なお、長手方向の厚み斑は、10%以下であるとより好ましく、8%以下であると特に好ましい。また、長手方向の厚み斑は小さいほど好ましいが、当該厚み斑の下限は、製膜装置の性能上から1%程度が限界であると考えている。
さらに、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、溶剤接着強度が2(N/15mm)以上であることが好ましく、4(N/15mm)以上であることが更に好ましい。溶剤接着強度が4(N/15mm)未満であると、ラベルが熱収縮した後に溶剤接着部から剥れ易くなるので好ましくない。なお、溶剤接着強度は、6(N/15mm)以上であるとより好ましく、8(N/15mm)以上であると特に好ましい。なお、溶剤接着強度は高いほど好ましいが、当該溶剤接着強度の上限は、製膜装置の性能上から15(N/15mm)程度が限界であると考えている。
また、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、動摩擦係数(熱収縮性ポリエステル系フィルムの表面と裏面とを接合させた場合の動摩擦係数)が0.1以上0.55以下であることが好ましい。動摩擦係数が0.1を下回ったり0.55を上回ったりすると、ラベルに加工する際の加工特性が悪くなるので好ましくない。なお、動摩擦係数の下限値は、0.15以上であるとより好ましく、0.2以上であると特に好ましい。また、動摩擦係数の上限値は、0.50以下であるとより好ましく、0.45以下であると特に好ましい。
本発明において、フィルムの見かけ密度は1.2g/cm以下であることが好ましく、より好ましくは1.18g/cm以下、さらに好ましくは1.16g/cm以下である。見かけ密度が小さく軽量であることはマスプロダクションにおいて大きな利点となり、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは内部に空洞が存在することにより、好ましい軽量性を実現できるものである。特に後記の縦-横延伸法を採用していることにより、従来の空洞を有する一軸延伸フィルムに比べて大きな面積延伸倍率を採用でき、更に小さい見かけ密度を得ることができるものである。しかしながら、あまりにも見かけ密度が小さいことは、フィルムそのものの強度を損なうことになるので、見かけ密度は0.6g/cm以上であることが好ましく、更に好ましくは0.7以上である。
本発明における分子配向比(MOR)は1.05以上3以下が好ましい。分子配向比が3より大きいと 長手方向の配向が低いことになり、フィルム長手方向の直角引裂強度を満足させることが困難となるのであまり好ましくない。好ましい分子配向比は2.8以下であり 更に好ましくは2.6以下である。分子配向比は1に近いほど好ましいが1.05以上であって構わない。
[分子配向比の測定方法]
フィルムを長手方向×幅方向=140mm×100mmのサンプルを採取した。そして、そのサンプルについて、王子計測機器株式会社製の分子配向角測定装置(MOA−6004)を用いて分子配向比(MOR)を測定した。
以上の特性を満足するために本発明のフィルムは単一の層からなるものでもよいが、好ましくは層構成はX/Y、Y/X/Y、あるいはY/X/Zである。X層とY層の厚み比は好ましくはX/Y=2/1以上、より好ましくは4/1以上、さらに好ましくは6/1以上である。1/1未満では、印刷性の美観と密度を下げることの両立が困難である。Y/X/Yは収縮処理後の好ましくないカーリングを抑制する上で好ましい。
Z層を設ける場合は、空洞の含有量は任意であるが、収縮時のボトルとフィルムの滑りを制御するための粒子を添加することが可能である。
本発明のフィルムはクッション率が10%以上、好ましくは20%以上である。クッション率が低いと、瓶やボトルの破損防止効果が低下する。
加えて、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムを積層構造のものとする場合には、各層の厚みは特に限定されないが、それぞれ2μm以上とすることが好ましい。
本発明においては、全光線透過率は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。40%を超えると内容物が透けて見えたり、印刷物が見えにくかったりと外観に劣る場合があり、あまり好ましくいない。本発明においては、白色度は70以上、好ましくは75以上、より好ましくは80以上である。70未満では内容物が透けて見えたり、印刷物が見えにくかったりで外観に劣る場合があり、あまり好ましくない。
本発明で得られたフィルムは、チューブ状にしてフィルム端部を接合することができる。それに当たっては、1,3−ジオキソランまた又は1,3−ジオキソランと相溶する有機溶剤との混合液または溶解度パラメータが8.0〜13.8の範囲内にある溶剤または膨潤剤を塗布し、乾燥する前に70℃以下の温度で接合してチューブ状体を得ることで接着することが好ましい。溶解度パラメータは例えば溶剤ハンドブック(日本接着協会編、日刊工業新聞社刊)などに記されているものがあげられる。チューブにおける接合部は可能な限り細い接合幅のものから50mm以上に及ぶ広幅のものであってもよく、勿論容器類の大きさに応じて適宜定められるものであるが、通常の種類では1〜5mm幅が標準である。又接合部は一本の線状に接合されたものでもよいが、2本以上に渡って複数の線状接合が形成されたものでも良い。これらの接合部はフィルム基材にほとんど損傷を与えないものであるから、ポリエステル系重合体の特性をそのまま保持しており、耐衝撃性や耐破瓶性等の保護特性を有するに止まらず熱収縮による配向度の低下、又その後の熱処理による脆化現象を見ることもなく良好である。
このチューブを使用した装着物としては、容器、瓶(プラスチックボトルを含む)、缶棒状物(パイプ、棒、木材、各種棒状体)があるが、好ましくはポリエチレンテレフタレートを主体とするボトルに装着することにより、回収が容易となり、ポリエチレンテレフタレートボトルの再利用の際にボトル原料に微量混合されてしまっても、着色しにくいので有効である。
また、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法は特に限定されないが、例を挙げて説明する。上記したポリエステル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、その未延伸フィルムを以下に示す所定の方法により二軸延伸して熱処理することによって得ることができる。必要に応じて積層未延伸フィルムを得るべく、複数の樹脂組成物原料を共押出ししておくこともできる。
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのようにポリエステル原料を乾燥させた後に、押出機を利用して、200〜300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。かかる押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金より回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
さらに、得られた未延伸フィルムを、後述するように、所定の条件で長手方向に延伸し、その縦延伸後のフィルムを急冷した後に、一旦、熱処理し、その熱処理後のフィルムを所定の条件で冷却した後に、所定の条件で幅方向に延伸し、再度、熱処理することによって本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムを得ることが可能となる。以下、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムを得るための好ましい製膜方法について、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製膜方法との差異を考慮しつつ詳細に説明する。
[本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製膜方法]
上述したように、通常、熱収縮性ポリエステル系フィルムは、未延伸フィルムを収縮させたい方向(すなわち、主収縮方向、通常は幅方向)のみに延伸することによって製造される。本発明者らが従来の製造方法について検討した結果、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造においては、以下のような問題点があることが判明した。
・単純に幅方向に延伸するだけであると、上述の如く、長手方向の機械的強度が小さくなり、ラベルとした場合のミシン目開封性が悪くなる。その上、製膜装置のライン速度を上げることが困難である。
・幅方向に延伸した後に長手方向に延伸する方法を採用すると、どのような延伸条件を採用しても、幅方向の収縮力を十分に発現させることができない。さらに、長手方向の収縮力が同時に発現してしまい、ラベルとした際に収縮装着後の仕上がりが悪くなる。
・長手方向に延伸した後に幅方向に延伸する方法を採用すると、幅方向の収縮力は発現させることができるものの、長手方向の収縮力が同時に発現してしまい、ラベルとした際に収縮装着後の仕上がりが悪くなる。
さらに、上記従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造における問題点に基づいて、本発明者らが、ミシン目開封性が良好で生産性の高い白色熱収縮性ポリエステル系フィルムを得ることについてさらなる考察を進めた結果、次のような知見を得るに至った。
・ラベルとした際のミシン目開封性を良好なものとするためには、長手方向へ配向した分子をある程度残しておく必要があると考えられること
・ラベルとした際の収縮装着後の仕上がりを良好なものとするためには、長手方向への収縮力を発現させないことが不可欠であり、そのためには長手方向へ配向した分子の緊張状態を解消する必要があると考えられること
・フィルムに空洞を有する部分を設けると、ミシン目開封性に関して更に有利に働き、単純な空洞を有する一軸延伸フィルムと異なり、以下に記載する特殊な縦−横延伸法によって、面積延伸倍率を大きくでき、その効果が拡大すると考えられること
そして、本発明者らは、上記知見から、良好なミシン目開封性と収縮仕上がり性を同時に満たすためには、“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”をフィルム中に存在させる必要がある、と考えるに至った。そして、どのような延伸を施せば“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”をフィルム中に存在させることができるかに注目して試行錯誤した。その結果、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸する所謂、縦−横延伸法によるフィルム製造の際に、以下の手段を講じることにより、“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”をフィルム中に存在させることを実現し、良好なミシン目開封性と収縮仕上がり性を同時に満たす白色熱収縮性ポリエステル系フィルムを得ることが可能となり、本発明を案出するに至った。
(1)縦延伸条件の制御
(2)縦延伸後における中間熱処理
(3)中間熱処理と横延伸との間における自然冷却(加熱の遮断)
(4)自然冷却後のフィルムの強制冷却
(5)横延伸条件の制御
以下、上記した各手段について順次説明する。
(1)縦延伸条件の制御
本発明の縦−横延伸法によるフィルムの製造においては、本発明のフィルムロールを得るためには、縦延伸を二段で行うのが好ましい。すなわち、実質的に未配向のフィルムを、Tg以上Tg+30℃以下の温度で2.2倍以上3.0倍以下の倍率となるように縦延伸し(一段目の延伸)、Tg以下に冷却することなく、Tg+10以上Tg+40℃以下の温度で1.2倍以上1.5倍以下の倍率となるように縦延伸する(二段目の延伸)ことにより、トータルの縦延伸倍率(すなわち、一段目の縦延伸倍率×二段目の縦延伸倍率)が2.8倍以上4.5倍以下となるように縦延伸するのが好ましく、トータルの縦延伸倍率が3.0倍以上4.3倍以下となるように縦延伸するとより好ましい。
また縦延伸後のフィルルの長手方向の熱収縮応力が10MPa以下となるように、縦延伸の条件を調整するのが好ましい。そのような所定の条件の縦延伸を施すことにより、後述する中間熱処理、横延伸、最終熱処理時にフィルムの長手方向・幅方向への配向度合い、分子の緊張度合いをコントロールすることが可能となり、ひいては、フィルムに空洞が設けられることも作用して最終的なフィルムのミシン目開封性を良好なものとすることが可能となる。
上記の如く縦方向に延伸する際に、トータルの縦延伸倍率が高くなると、長手方向の収縮率が高くなってしまう傾向にあるが、上記の如く縦方向に二段で延伸することにより、長手方向の延伸応力を小さくすることが可能となり、長手方向の収縮率を低く抑えることが可能となる。また、トータルの縦延伸倍率が高くなると、幅方向の延伸時の応力が高くなってしまい、最終的な横方向の収縮率のコントロールが難しくなる傾向にあるが、二段で延伸することにより、横方向の延伸応力も小さくすることができ、横方向の収縮率のコントロールが容易なものとなる。
さらに、トータルの縦延伸倍率が高くなると、直角引裂強度が低くなり、長手方向の引張強さが高くなる。また、トータルの縦延伸倍率を横延伸倍率に近づけることによって、ラベルとした際のミシン目開封性を良好なものとすることができる。さらに、縦方向に二段で延伸することにより、横方向の延伸応力を低下できることに起因して、長手方向の配向を高くすることが可能となり、直角引裂強度が一層低くなり、長手方向の引張強さがより大きなものとなる。したがって、縦方向に二段で延伸し、トータルの縦延伸倍率を高くすることによって、非常にミシン目引裂性の良好なラベルを得ることが可能となる。
一方、トータルの縦延伸倍率が4.5倍を上回ると、長手方向の配向が高くなって溶剤接着強度が低くなってしまうが、トータルの縦延伸倍率を4.5倍以下にコントロールすることによって、幅方向への配向を抑えて、溶剤接着強度を高く保持することが可能となる、また、トータルの縦延伸倍率が4.5倍を上回ると、表層の粗さが少なくなるため、動摩擦係数が高くなってしまうが、トータルの縦延伸倍率を4.5倍以下にコントロールすることによって、表層の粗さの減少を抑えて、動摩擦係数を低く保持することが可能となる。
また、縦方向に二段で延伸することにより、長手方向の延伸応力が小さくなるため、長手方向の厚み斑および幅方向の厚み斑が大きくなる傾向にあるが、トータルの縦延伸倍率が高くすることにより、長手方向の厚み斑を小さくすることができる。加えて、トータルの縦延伸倍率を高くすることによって、横延伸時の応力が高くなるため、幅方向の厚み斑も低減することができる。
加えて、トータルの縦延伸倍率が高くすることにより、長手方向への配向を高くすることができ、二軸延伸後のフィルムを最終的にロールに巻き取る際のスリット性を向上させることができる。
(2)縦延伸後における中間熱処理
上述の如く、“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”をフィルム内に存在させるためには、長手方向に配向した分子を熱緩和させることが好ましいが、従来、フィルムの二軸延伸において、一軸目の延伸と二軸目の延伸との間において、高温の熱処理をフィルムに施すと、熱処理後のフィルムが結晶化してしまうため、それ以上延伸することができない、というのが業界での技術常識であった。しかしながら、本発明者らが試行錯誤した結果、縦−横延伸法において、ある一定の条件で縦延伸を行い、その縦延伸後のフィルムの状態に合わせて中間熱処理を所定の条件で行い、さらに、その中間熱処理後のフィルムの状態に合わせて所定の条件で横延伸を施すことによって、横延伸時に破断を起こさせることなく、“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”をフィルム内に存在させ得る、という驚くべき事実が判明した。
すなわち、本発明の縦−横延伸法によるフィルムの製造においては、未延伸フィルムを縦延伸した後に、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、130℃以上190℃以下の温度で1.0秒以上9.0秒以下の時間に亘って熱処理(以下、中間熱処理という)することが好ましい。かかる中間熱処理を行うことによって、“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”をフィルム内に存在させることが可能となり、ひいては、ラベルとした場合にミシン目開封性が良好で収縮斑が生じないフィルムを得ることが可能となる。なお、どのような縦延伸を行った場合でも、“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”をフィルム内に存在させることが可能となるわけではなく、前述した所定の縦延伸を実施することによって、中間熱処理後に、初めて“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”をフィルム内に存在させることが可能となる。そして、後述する所定の自然冷却、強制冷却、横延伸を施すことによって、フィルム内に形成された“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”を保持したまま、幅方向へ分子を配向させて幅方向への収縮力を発現させることが可能となる。
なお、中間熱処理の温度の下限は、140℃以上であると好ましく、150℃以上であるとより好ましい。また、中間熱処理の温度の上限は、180℃以下であると好ましく、170℃以下であるとより好ましい。一方、中間熱処理の時間は、1.0秒以上9.0秒以下の範囲内で原料組成に応じて適宜調整することが好ましく、3.0秒以上7.0秒以下に調整するのが好ましい。
また、上記の如く中間熱処理する際には、中間熱処理後のフィルムの長手方向の熱収縮応力が0.5MPa以下となるように、中間熱処理の条件を調整するのが好ましい。さらに、中間熱処理後のフィルムの長手方向の引張破壊伸びが100%以上170%以下となるように、中間熱処理の条件を調整するのが好ましい。そのような所定の条件の中間熱処理を施すことにより、横延伸、最終熱処理時にフィルムの長手方向・幅方向への配向度合い、分子の緊張度合いをコントロールすることが可能となり、ひいては、最終的なフィルムのミシン目開封性を良好なものとすることが可能となる。なお、中間熱処理後のフィルムの長手方向の引張破壊伸びが100%を下回ると、フィルムが脆いために横延伸性が悪く、横延伸時に破断が起こり易くなってしまう。反対に、中間熱処理後のフィルムの長手方向の引張破壊伸びが170%を上回ると、横延伸、最終熱処理の条件を調整しても、ミシン目開封性の良好なフィルムを得ることが困難となる。
さらに、上記の如く中間熱処理する際には、中間熱処理後のフィルムの長手方向の直角引裂強度が200N/mm以下となるように、中間熱処理の条件を調整するのが好ましい。そのような所定の条件の中間熱処理を施すことにより、横延伸時における長手方向の直角引裂強度の急激な増加を抑えることが可能となり、最終的なフィルムのミシン目開封性を良好なものとすることが可能となる。
上記の如く中間熱処理する際に、処理温度を130℃以上に保つことにより、長手方向へ収縮する応力を低減することが可能となり、長手方向の収縮率をきわめて低くすることが可能となる。また、中間熱処理の温度を190℃より高くすると、横方向の収縮率のバラツキが大きくなってしまうが、中間熱処理の温度を190℃以下にコントロールすることによって、横方向の収縮率のバラツキを低減することが可能となる。
また、中間熱処理する際に、処理温度が190℃を上回ると、フィルムの表層が結晶化して溶剤接着強度が低くなってしまうが、中間熱処理の温度を190℃以下にコントロールすることによって、フィルムの表層の結晶化を抑えて溶剤接着強度を高く保つことが可能となる。加えて、処理温度を130℃以上に保つことにより、表層の表面粗度を適度に高くすることによって、摩擦係数を低くすることが可能となる。
さらに、中間熱処理する際に、処理温度が190℃を上回ると、フィルムに収縮斑が生じることにより、長手方向の厚み斑および幅方向の厚み斑が大きくなる傾向にあるが、中間熱処理の温度を190℃以下にコントロールすることによって、長手方向の厚み斑を小さく保つことが可能となる。加えて、中間熱処理する際に、処理温度が190℃を上回ると、フィルムが結晶化してしまい、横延伸時の応力がばらつくことに起因して、幅方向の厚み斑が大きくなる傾向にあるが、中間熱処理の温度を190℃以下にコントロールすることによって、フィルムの結晶化を抑えて幅方向の厚み斑を小さく保つことが可能となる。
また、中間熱処理する際に、処理温度が190℃を上回ると、フィルムに収縮斑が生じることに起因して、製造中にフィルムのスリット性が悪化したり、フィルムの破断が生じ易くなったりするが、中間熱処理の温度を190℃以下にコントロールすることによって、フィルムの破断を抑えて、良好なスリット性を保つことが可能となる。
(3)中間熱処理と横延伸との間における自然冷却(加熱の遮断)
本発明の縦−横延伸法によるフィルムの製造においては、上記の如く、縦延伸後に中間熱処理を施すことが好ましいが、その中間熱処理と横延伸との間において、0.5秒以上3.0秒以下の時間に亘って、積極的な加熱操作を実行しない中間ゾーンを通過させることが好ましい。すなわち、横延伸用のテンターの横延伸ゾーンの前方に中間ゾーンを設けておき、縦延伸後のフィルムをテンターに導き、所定時間をかけて当該中間ゾーンを通過させた後に、横延伸を実施するのが好ましい。加えて、その中間ゾーンにおいては、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、フィルムの流れに伴う随伴流および冷却ゾーンからの熱風を遮断するのが好ましい。なお、中間ゾーンを通過させる時間が0.5秒を下回ると、横延伸が高温延伸となり、横方向の収縮率を十分に高くすることができなくなるので好ましくない。反対に中間ゾーンを通過させる時間は3.0秒もあれば十分であり、それ以上の長さに設定しても、設備のムダとなるので好ましくない。なお、中間ゾーンを通過させる時間の下限は、0.7秒以上であると好ましく、0.9秒以上であるとより好ましい。また、中間ゾーンを通過させる時間の上限は、2.8秒以下であると好ましく、2.6秒以下であるとより好ましい。
(4)自然冷却後のフィルムの強制冷却
本発明の縦−横延伸法によるフィルムの製造においては、上記の如く自然冷却したフィルムをそのまま横延伸するのではなく、フィルムの温度が80℃以上120℃以下となるように急冷することが好ましい。かかる急冷処理を施すことによって、ラベルとした際のミシン目開封性が良好なフィルムを得ることが可能となる。なお、急冷後のフィルムの温度の下限は、85℃以上であると好ましく、90℃以上であるとより好ましい。また、急冷後のフィルムの温度の上限は、115℃以下であると好ましく、110℃以下であるとより好ましい。
上記の如くフィルムを急冷する際に、急冷後のフィルムの温度が120℃を上回ったままであると、フィルムの幅方向の収縮率が低くなってしまい、ラベルとした際の収縮性が不十分となってしまうが、冷却後のフィルムの温度が120℃以下となるようにコントロールすることによって、フィルムの幅方向の収縮率を高く保持することが可能となる。
また、フィルムを急冷する際に、急冷後のフィルムの温度が120℃を上回ったままであると、フィルムが結晶化してしまい、長手方向の引張強さが低下し、溶剤接着強度が低下する傾向にあるが、冷却後のフィルムの温度が120℃以下となるような急冷を施すことによって、長手方向の引張強さおよび溶剤接着強度を高く保持することが可能となる。
さらに、フィルムを急冷する際に、急冷後のフィルムの温度が120℃を上回ったままであると、冷却後に行う横延伸の応力が小さくなり、幅方向の厚み斑が大きくなり易い傾向にあるが、冷却後のフィルムの温度が120℃以下となるような急冷を施すことによって、冷却後に行う横延伸の応力を高めて、幅方向の厚み斑を小さくすることが可能となる。
加えて、フィルムを急冷する際に、急冷後のフィルムの温度が120℃を上回ったままであると、フィルムが結晶化することに起因して、フィルムの破断が生じ易くなってしまうが、冷却後のフィルムの温度が120℃以下となるような急冷を施すことによって、フィルムの破断を抑えることが可能となる。
(5)横延伸条件の制御
本発明の縦−横延伸法によるフィルムの製造においては、縦延伸、中間熱処理、急冷後のフィルムを所定の条件で横延伸することが好ましい。すなわち、横延伸は、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、Tg+10℃以上Tg+40℃以下の温度で2.0倍以上6.0倍以下の倍率となるように行うことが好ましい。かかる所定条件での横延伸を施すことによって、縦延伸および中間熱処理によって形成された“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”を保持したまま、幅方向へ分子を配向させて幅方向の収縮力を発現させることが可能となり、ラベルとした際のミシン目開封性が良好なフィルムを得ることが可能となる。また、縦−横延伸法を採用することで、単純な一軸延伸の空洞を有する熱収縮性フィルムよりも更に大きな面積延伸倍率を与えることができ、一層ミシン目開封性を向上させることができる。このミシン目開封性の向上は、直角引裂強度の低下とよい対応を示すものである。なお、横延伸の温度の下限は、Tg+15℃以上であると好ましく、Tg+20℃以上であるとより好ましい。また、横延伸の温度の上限は、Tg+35℃以下であると好ましく、Tg+30℃以下であるとより好ましい。一方、横延伸の倍率の下限は、2.5倍以上であると好ましく、3.0倍以上であるとより好ましい。また、横延伸の倍率の上限は、5.5倍以下であると好ましく、5.0倍以下であるとより好ましい。縦−横延伸法を採用し、従来の一軸延伸法よりも大きな面積延伸倍率とすることは、より小さい見かけ密度を得る上からも好ましい。
上記の如く横方向に延伸する際に、横方向に延伸する際に、延伸温度を高くすると、長手方向の引張強さが大きくなり、長手方向の直角引裂強度が低くなり、ラベルとした際のミシン目開封性が良好なものとなる。
また、延伸温度がTg+40℃を上回ると、長手方向の収縮率が高くなるとともに、幅方向の収縮率が低くなってしまうが、延伸温度をTg+40℃以下にコントロールすることによって、長手方向の収縮率を低く抑えるとともに、幅方向の収縮率を高く保持することが可能となる。
さらに、横延伸における延伸温度が高くなると、横方向の配向が低くなって、溶剤接着強度が高くなるとともに、滑剤の圧潰を防止することが可能となり、摩擦係数を低く保つことが可能となる。
また、延伸温度がTg+40℃を上回ると、幅方向の厚み斑が大きくなり易い傾向にあるが、延伸温度をTg+40℃以下にコントロールすることによって、幅方向の厚み斑を小さくすることができる。
一方、延伸温度がTg+10℃を下回ると、幅方向への配向が高くなりすぎて、横延伸時に破断し易くなったり、二軸延伸後のフィルムを最終的にロールに巻き取る際のスリット性が悪くなったりするが、延伸温度をTg+10℃以上にコントロールすることによって、横延伸時における破断を低減し、巻き取り時のスリット性を改善することが可能となる。
[製造工程の相互作用がフィルム特性に与える影響]
本発明の本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造に当たっては、縦延伸工程、中間熱処理工程、自然冷却工程、強制冷却工程、横延伸工程の内の何れかの工程のみが、単独でフィルムの特性を良好なものとすることができるものではなく、縦延伸工程、中間熱処理工程、自然冷却工程、強制冷却工程、横延伸工程のすべてを所定の条件にて行うことにより、非常に効率的にフィルムの特性を良好なものとすることが可能となるものと考えられる。また、フィルムの特性の中でも、長手方向の直角引裂強度、長手方向の引張破壊強さ、幅方向の厚み斑、動摩擦係数、長手方向の厚み斑といった重要な特性は、特定の複数の工程同士の相互作用によって大きく数値が変動する。
すなわち、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、長手方向の直角引裂強度を90N/mm以上200N/mm以下、更に好ましくは130N/mm以上180N/mm以下に調節するものであるが、当該長手方向の直角引裂強度には、縦延伸工程と中間熱処理工程との相互作用が非常に大きく影響する。また、上述のように樹脂中の添加剤を増量することにより空洞を作れば、長手方向の直角引裂強度を小さく調節することができる。
また、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、長手方向の引張破壊強さを100MPa以上250MPa以下に調整することが好ましいが、当該長手方向の引張破壊強さには、縦延伸工程、中間熱処理工程、および横延伸工程という3つの工程の相互作用が非常に大きく影響する。
さらに、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、幅方向の厚み斑を1.0%以上12.0%以下に調整すると好ましいが、当該幅方向の厚み斑には、縦延伸工程、中間熱処理工程、および横延伸工程という3つの工程の相互作用が非常に大きく影響する。
加えて、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、動摩擦係数を0.1以上0.55以下に調整すると好ましいが、当該動摩擦係数には、縦延伸工程と中間熱処理工程との相互作用が非常に大きく影響する。
また、本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、長手方向の厚み斑を1.0%以上12.0%以下に調整すると好ましいが、当該幅方向の厚み斑には、縦延伸工程と中間熱処理工程との相互作用が非常に大きく影響する。
したがって、白色熱収縮性ポリエステル系フィルム長手方向の直角引裂強度、引張破壊強さ、幅方向の厚み斑、動摩擦係数、長手方向の厚み斑を本発明の範囲内に調整するためには、上記した工程同士の相互作用を考慮しつつ、上記(1)〜(5)のようなデリケートな条件調整を施すことが好ましい。
本発明の包装体は、前記のポリエステル系フィルムを基材とするミシン目が設けられたラベルを少なくとも外周の一部に被覆して熱収縮させてなるものであり、包装体の対象物としては、飲料用のペットボトルをはじめ、各種の瓶、缶、菓子や弁当等のプラスチック容器、紙製の箱等を挙げることができる(以下、これらを総称して包装対象物という)。なお、通常、それらの包装対象物に、白色熱収縮性ポリエステル系フィルムを基材とするラベルを熱収縮させて被覆させる場合には、当該ラベルを約2〜15%程度熱収縮させて包装体に密着させる。なお、包装対象物に被覆されるラベルには、印刷が施されていても良いし、印刷が施されていなくても良い。
ラベルを作成する方法としては、長方形状のフィルムの片面の端部から少し内側に有機溶剤を塗布し、直ちにフィルムを丸めて端部を重ね合わせて接着してラベル状にするか、あるいは、ロール状に巻き取ったフィルムの片面の端部から少し内側に有機溶剤を塗布し、直ちにフィルムを丸めて端部を重ね合わせて接着して、チューブ状体としたものをカットしてラベル状とする。接着用の有機溶剤としては、1,3−ジオキソランあるいはテトラヒドロフラン等の環状エーテル類が好ましい。この他、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素やフェノール等のフェノール類あるいはこれらの混合物が使用できる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。
フィルムの評価方法は下記の通りである。
[熱収縮率(湯温熱収縮率)]
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、所定温度±0.5℃の温水中において、無荷重状態で10秒間処理して熱収縮させた後、フィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下式1にしたがって、それぞれ熱収縮率を求めた。当該熱収縮率の大きい方向を主収縮方向とした。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%)
・・・式1
[最大熱収縮応力値]
延伸したフィルムを、主収縮方向(幅方向)×主収縮方向と直交する方向(長手方向)=200mm×15mmのサイズにカットした。しかる後、(株)ボールドウィン社製 万能引張試験機 STM−50を温度90℃に調整した上で、カットしたフィルムをセットし、10秒間保持したときの主収縮方向の応力値を測定した。
[直角引裂強度の測定方法]
80℃に調整された湯温中にてフィルムを幅方向に10%収縮させた後に、JIS−K−7128に準じて所定の大きさの試験片としてサンプリングする。しかる後に、万能引張試験機で試験片の両端を掴み、引張速度200mm/分の条件にて、フィルムの長手方向における引張破壊時の強度の測定を行う。そして、下式2を用いて単位厚み当たりの直角引裂強度を算出する。
直角引裂強度=引張破壊時の強度÷厚み ・・・式2
[引張破壊強さ]
JIS−K7113に準拠し、所定の大きさの短冊状の試験片を作製し、万能引張試験機でその試験片の両端を把持して、引張速度200mm/分の条件にて引張試験を行い、フィルムの長手方向の引張破壊時の強度(応力)を引張破壊強さとして算出した。
[白色度]
白色度JIS−L1015−1981−B法により、日本電色工業(株)Z−1001DPを用いて行った
[全光線透過率]
日本電色工業(株)製 NDH−1001DPにて全光線透過率を求めた。
[幅方向厚み斑]
フィルムを長さ40mm×幅1.2mの幅広な帯状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、5(m/分)の速度で、フィルム試料の幅方向に沿って連続的に厚みを測定した(測定長さは500mm)。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、下式3からフィルムの長手方向の厚み斑を算出した。
厚み斑={(Tmax.−Tmin.)/Tave.}×100 (%) ・・・式3
[長手方向厚み斑]
フィルムを長さ12m×幅40mmの長尺なロール状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、5(m/分)の速度でフィルム試料の長手方向に沿って連続的に厚みを測定した(測定長さは10m)。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、上式3からフィルムの長手方向の厚み斑を算出した。
[溶剤接着強度]
延伸したフィルムに1,3−ジオキソランを塗布して2枚を張り合わせることによってシールを施した。しかる後、シール部をフィルムの主収縮方向と直交する方向(以下、直交方向という)に15mmの幅に切り取り、それを(株)ボールドウィン社製 万能引張試験機 STM−50にセットし、引張速度200mm/分の条件で180°ピール試験を行った。そして、そのときの引張強度を溶剤接着強度とした。
[動摩擦係数]
JIS K−7125に準拠し、引張試験機(ORIENTEC社製テンシロン)を用い、23℃・65%RH環境下で、フィルムの表面と裏面とを接合させた場合の動摩擦係数μdを求めた。なお、上側のフィルムを巻き付けたスレッド(錘)の重量は、1.5kgであり、スレッドの底面積の大きさは、縦63mm×横63mmであった。また、摩擦測定の際の引張速度は、200mm/min.であった。
[Tg(ガラス転移点)]
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、未延伸フィルム5mgを、−40℃から120℃まで、昇温速度10℃/分で昇温し、得られた吸熱曲線より求めた。吸熱曲線の変曲点の前後に接線を引き、その交点をTg(ガラス転移点)とした。
[フィルムの見かけ密度]
フィルムを5.0cm四方の正方形に4枚切り出して試料とした。この試料を4枚重ねにして、マイクロメーターを用いて有効数字4桁で、総厚みを場所を変えて10点測定し、総厚みの平均値を求めた。この平均値を4で除して有効数字3桁に丸め、一枚あたりの平均厚みt(μm)とした。同試料4枚の質量w(g)を有効数字4桁で自動上皿天秤を用いて測定し、次式4より見かけ密度を求めた。なお、見かけ密度は有効数字3桁に丸めた。
見かけ密度(g/cm3)=w/(5.0×5.0×t×10-4×4)
=w×100/t ・・・式4
[分子配向比]
フィルムを長手方向×幅方向=140mm×100mmのサンプルを採取した。そして、そのサンプルについて、王子計測機器株式会社製の分子配向角測定装置(MOA−6004)を用いて分子配向比(MOR)を測定した。
[収縮仕上り性]
熱収縮性フィルムに、予め東洋インキ製造(株)の草・金・白色のインキで3色印刷を施した。そして、印刷したフィルムの両端部をジオキソランで接着することにより、円筒状のラベル(熱収縮性フィルムの主収縮方向を周方向としたラベル)を作成した。しかる後、Fuji Astec Inc製スチームトンネル(型式;SH−1500−L)を用い、通過時間2.5秒、ゾーン温度80℃で、500mlのPETボトル(胴直径 62mm、ネック部の最小直径25mm)に熱収縮させることにより、ラベルを装着した。なお、装着の際には、ネック部においては、直径40mmの部分がラベルの一方の端になるように調整した。収縮後の仕上がり性の評価は目視で行い、基準は下記の通りとした。
◎:シワ,飛び上り、収縮不足の何れも未発生で、かつ色の斑も見られない
○:シワ,飛び上り、または収縮不足が確認できないが、若干、色の斑が見られる
△:飛び上り、収縮不足の何れも未発生だが、ネック部の斑が見られる
×:シワ、飛び上り、収縮不足が発生
[ラベル密着性]
上記した収縮仕上り性の測定条件と同一の条件でラベルを装着した。そして、装着したラベルとPETボトルとを軽くねじったときに、ラベルが動かなければ○、すり抜けたり、ラベルとボトルがずれたりした場合には×とした。
[ミシン目開封性]
予め主収縮方向とは直向する方向にミシン目を入れておいたラベルを、上記した収縮仕上り性の測定条件と同一の条件でPETボトルに装着した。ただし、ミシン目は、長さ1mmの孔を1mm間隔で入れることによって形成し、ラベルの縦方向(高さ方向)に幅22mm、長さ120mmに亘って2本設けた。その後、このボトルに水を500ml充填し、5℃に冷蔵し、冷蔵庫から取り出した直後のボトルのラベルのミシン目を指先で引裂き、縦方向にミシン目に沿って綺麗に裂け、ラベルをボトルから外すことができた本数を数え、全サンプル50本に対する割合(%)を算出した。
また、実施例、比較例で使用したポリエステル原料の性状、組成、実施例、比較例におけるフィルムの製造条件(延伸・熱処理条件等)を、それぞれ表1、表2に示す。
<ポリエステル原料の調製>
撹拌機、温度計及び部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、二塩基酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%とを、グリコールがモル比でメチルエステルの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)を用いて、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.025モル%(酸成分に対して)添加し、280℃で26.6Pa(0.2トール)の減圧条件下、重縮合反応を行い、固有粘度0.70dl/gのポリエステルAを得た。このポリエステルはポリエチレンテレフタレートである。また、上記と同様な方法により、表1に示すポリエステル(B,C,D)を合成した。なお、表中、NPGがネオペンチルグリコール、CHDMが1,4−シクロヘキサンジメタノール、BDが1,4−ブタンジオールである。それぞれのポリエステルの固有粘度は、Bが0.72dl/g、Cが0.80dl/g、Dが1.15dl/gであった。なお、各ポリエステルは、適宜チップ状にした。
[実施例1]
上記したポリエステルAとポリエステルBとポリエステルDとを重量比10:80:10で混合してY層の原料とした。X層の原料は前記同様ポリエステルAとポリエステルBとポリエステルDとを重量比10:80:10で混合するに際し更にポリスチレン樹脂(G797N 日本ポリスチレン製)10重量%及び二酸化チタン(TA−300富士チタン製)10重量%を加えて混合した。X層及びY層の原料をそれぞれ別々の2軸スクリュー押出機に投入、混合、溶融したものをフィードブロックで接合したものをT−ダイスより280℃で溶融押出しし、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが484μmでY/X/Yの積層構造を持つ未延伸フィルムを得た(Y/X/Y=121μm/242μm/121μm)。このときの未延伸フィルムの引取速度(金属ロールの回転速度)は、約20m/min.であった。また、未延伸フィルムのTgは67℃であった。
そして、上記の如く得られた未延伸フィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、ロールの回転速度差を利用して、縦方向に二段階で延伸した。すなわち、未延伸フィルムを、予熱ロール上でフィルム温度が78℃になるまで予備加熱した後に、表面温度78℃に設定された低速回転ロールと表面温度78℃に設定された中速回転ロールとの間で回転速度差を利用して2.6倍に延伸した(1段目の縦延伸)。さらに、その縦延伸したフィルムを、表面温度95℃に設定された中速回転ロールと表面温度30℃に設定された高速回転ロールとの間で回転速度差を利用して1.4倍に縦延伸した(2段目の縦延伸)(したがって、トータルの縦延伸倍率は、3.64倍であった)。
上記の如く縦延伸直後のフィルムを、表面温度30℃に設定された冷却ロール(二段目の縦延伸ロールの直後に位置した高速ロール)によって、40℃/秒の冷却速度で強制的に冷却した後に、冷却後のフィルムをテンターに導き、中間熱処理ゾーン、第一中間ゾーン(自然冷却ゾーン)、冷却ゾーン(強制冷却ゾーン)、第二中間ゾーン、横延伸ゾーン、最終熱処理ゾーンを連続的に通過させた。なお、当該テンターにおいては、第一中間ゾーンの長さを、約40cmに設定し、中間熱処理ゾーンと第一中間ゾーンとの間、第一中間ゾーンと冷却ゾーンとの間、冷却ゾーンと第二中間ゾーンとの間、第二中間ゾーンと横延伸ゾーンとの間に、それぞれ遮蔽板を設けた。さらに、第一中間ゾーンおよび第二中間ゾーンにおいては、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、中間熱処理ゾーンからの熱風、冷却ゾーンからの冷却風および横延伸ゾーンからの熱風を遮断した。加えて、フィルムの通紙時には、フィルムの流れに伴う随伴流の大部分が、中間熱処理ゾーンと第一中間ゾーンとの間に設けられた遮蔽板によって遮断されるように、フィルムと遮蔽板との距離を調整した。加えて、フィルムの通紙時には、中間熱処理ゾーンと第一中間ゾーンとの境界、および、冷却ゾーンと第二中間ゾーンとの境界においては、フィルムの流れに伴う随伴流の大部分が遮蔽板によって遮断されるようにフィルムと遮蔽板との距離を調整した。
そして、テンターに導かれた縦延伸フィルムを、まず、中間熱処理ゾーンにおいて、160℃の温度で5.0秒間に亘って熱処理した後に、その中間熱処理後のフィルムを第一中間ゾーンに導き、当該ゾーンを通過させることによって(通過時間=約1.0秒)自然冷却した。しかる後に、自然冷却後のフィルムを冷却ゾーンに導き、フィルムの表面温度が100℃になるまで、低温の風を吹き付けることによって積極的に冷却し、その冷却後のフィルムを第二中間ゾーンに導き、当該ゾーンを通過させることによって(通過時間=約1.0秒)再度自然冷却した。さらに、その第二中間ゾーンを通過した後のフィルムを横延伸ゾーンに導き、フィルムの表面温度が95℃になるまで予備加熱した後に、95℃で幅方向(横方向)に4.0倍に延伸した。
しかる後、その横延伸後のフィルムを最終熱処理ゾーンに導き、当該最終熱処理ゾーンにおいて、85℃の温度で5.0秒間に亘って熱処理した後に冷却し、両縁部を裁断除去して幅500mmでロール状に巻き取ることによって、約40μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
[実施例2]
実施例1においてX層の原料に添加したポリスチレン樹脂10重量%に代えて結晶性ポリプロピレン樹脂(FO−50F グランドポリマー性)10重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によって白色熱収縮性フィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。実施例1と同様に良好なフィルムであった。
[実施例3]
上記したポリエステルA,ポリエステルB,ポリエステルC,ポリエステルDを、重量比が10:15:65:10となるように混合してX層、Y層の原料ポリエステルを得て、各々押出機に投入した。混合時にX層原料にのみ実施例1と同様にポリスチレン樹脂(G797N 日本ポリスチレン製)10重量%及び二酸化チタン(TA−300富士チタン製)10重量%を加えた。しかる後、各々混合樹脂を実施例1と同様の条件で溶融押し出しすることによって未延伸フィルムを形成した。未延伸フィルムのTgは67℃であった。その未延伸フィルムを、実施例1と同様な条件で製膜することによって、約40μmの二軸延伸フィルムを幅500mmで連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
[実施例4]
上記したポリエステルA,ポリエステルC,ポリエステルDを、重量比が10:80:10となるように混合してX層、Y層の原料ポリエステルを得て、各々押出機に投入した。混合時にX層原料にのみ実施例1と同様にポリスチレン樹脂(G797N 日本ポリスチレン製)10重量%及び二酸化チタン(TA−300富士チタン製)10重量%を加えた。しかる後、各々混合樹脂を実施例1と同様の条件で溶融押し出しすることによって未延伸フィルムを形成した。未延伸フィルムのTgは67℃であった。その未延伸フィルムを、実施例1と同様な条件で製膜することによって、約40μmの二軸延伸フィルムを幅500mmで連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
[実施例5]
実施例1に対して吐出量を調節してフィルム厚みが532μmでY/X/Yの積層構造を持つ未延伸フィルム(Y/X/Y=133μm/266μm/133μm)に変更した他は実施例1と同様にして未延伸フィルムを得た。その未延伸フィルムを1段目の縦延伸倍率を2.9倍としてトータルの縦延伸倍率は、4.06倍に変更し、中間熱処理ゾーンにおいて、170℃の温度で8.0秒間に亘って熱処理した他は実施例1と同様な条件で製膜することによって、約40μmの二軸延伸フィルムを幅500mmで連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
[実施例6]
実施例1と吐出量を変更する他は同様にしてフィルム厚みが400μmでY/X/Yの積層構造を持つ未延伸フィルムを得た(Y/X/Y=100μm/200μm/100μm)の未延伸フィルムを得た。その未延伸フィルムを1段目の縦延伸倍率を2.2倍としてトータルの縦延伸倍率を2.94倍に変更し、中間熱処理ゾーンにおいて、155℃の温度で熱処理した他は、実施例1と同様な条件で製膜することによって、約40μmの二軸延伸フィルムを幅500mmで連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
[実施例7]
実施例1に対してX層の二酸化チタン(TA−300富士チタン製)の添加量を14重量%に変更する他は、実施例1と同様な条件で製膜することによって、約40μmの二軸延伸フィルムを幅500mmで連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
[比較例1]
実施例1と同じポリエステル原料を実施例1と同様に溶融押し出しする際に、未延伸フィルム厚みが480μmでY/X/Yの積層構造を持つ未延伸フィルム(Y/X/Y=120μm/240μm/120μm)となるように押出機の吐出量を調整した。それ以外は実施例1と同様にして未延伸フィルムを得た。そして、未延伸フィルムを、表面温度82℃に設定された中速回転ロールと表面温度30℃に設定された高速回転ロールとの間で回転速度差を利用して3.7倍に一段で縦延伸した。しかる後、中間熱処理で125℃の温度を付与した以外は実施例1と同様に、自然冷却、強制冷却、横延伸、最終熱処理をフィルムに施し、両縁部を裁断除去することによって、約40μmの二軸延伸フィルムを幅500mmで連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
[比較例2]
実施例1と吐出量を変更した他は同様にして得られたフィルム厚みが144μmでY/X/Yの積層構造を持つ未延伸フィルム(Y/X/Y=36μm/72μm/36μm)を、フィルムの表面温度が75℃になるまで予備加熱した後に、75℃で幅方向(横方向)に4.0倍に横一軸延伸した。 しかる後、その横延伸後のフィルムを最終熱処理ゾーンに導き、当該最終熱処理ゾーンにおいて、85℃の温度で5.0秒間に亘って熱処理した後に冷却し、両縁部を裁断除去して幅500mmでロール状に巻き取ることによって、約40μmの横一軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
表3から明らかなように、実施例1〜7で得られたフィルムは、いずれも、主収縮方向である幅方向への収縮性が高く、主収縮方向と直交する長手方向への収縮性は非常に低かった。また、実施例1〜7で得られたフィルムは、いずれも、十分な光線カット性を有し、溶剤接着強度が高く、長手方向の厚み斑が小さく、ラベルとした場合に、ラベル密着性が良好で、収縮斑も見られず、ミシン目開封性が良好であった。さらに、実施例1〜7で得られたフィルムロールには、シワが発生することがなかった。すなわち、実施例で得られた白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、いずれもラベルとしての品質が高く、きわめて実用性の高いものであった。
それに対して、比較例1で得られた熱収縮性フィルムは、長手方向の熱収縮率が高く、ラベルとした際に収縮斑が発生した。また、比較例2で得たフィルムは、分子配向比(MOR)の値が大きいため、直角引裂強度が大きく、直交方向(長手方向)の引張破壊強さが小さく、ミシン目開封性が良くなかった。すなわち、比較例で得られた熱収縮性ポリエステル系フィルムは、いずれもラベルとしての品質に劣り、実用性の低いものであった。
本発明の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ミシン目易カット性や光線カット性、軽量性などの優れたれた特性を有しているので、ボトルのラベル用途に好適に用いることができる。
F・・フィルム

Claims (11)

  1. エチレンテレフタレートを主たる構成成分とし、全ポリエステル樹脂成分中において非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分を15モル%以上含有しているポリエステル系樹脂を含んでなる下記要件(1)及び)を満たす白色熱収縮性ポリエステル系フィルムを連続的に製造するための製造方法であって、下記(a)〜(f)の各工程を含むことを特徴とする白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
    (1)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における幅方向の湯温熱収縮率が40%以上80%以下であること
    内部に多数の空洞を有するX層の少なくとも片面にX層よりも空洞の少ないY層を有し、白色度が70以上であること
    (a)未延伸フィルムを、Tg以上Tg+30℃以下の温度で長手方向に2.2倍以上3.0倍以下の倍率で延伸した後、Tg+10℃以上Tg+40℃以下の温度で長手方向に1.2倍以上1.5倍以下の倍率で延伸することにより、トータルで2.8倍以上4.5倍以下の倍率となるように縦延伸する縦延伸工程
    (b)縦延伸後のフィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で130℃以上190℃以下の温度で1.0秒以上9.0秒以下の時間に亘って熱処理する中間熱処理工程
    (c)中間熱処理後のフィルムを、前後の各ゾーンと遮断されており積極的な加熱操作を実行しない中間ゾーンを通過させることによって自然に冷却する自然冷却工程
    (d)自然冷却後のフィルムを、表面温度が80℃以上120℃以下の温度となるまで積極的に冷却する積極冷却工程
    (e)積極冷却後のフィルムを、Tg+10℃以上Tg+40℃以下の温度で幅方向に2.0倍以上6.0倍以下の倍率で延伸する横延伸工程
    (f)横延伸後のフィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で80℃以上100℃以下の温度で1.0秒以上9.0秒以下の時間に亘って熱処理する最終熱処理工程
  2. 白色熱収縮性ポリエステル系フィルムが、下記要件(3)〜(5)をも満たすことを特徴とする請求項1に記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
    (3)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向の湯温熱収縮率が0%以上15%以下であること
    (4)80℃の温水中で幅方向に10%収縮させた後の単位厚み当たりの長手方向の直角引裂強度が90N/mm以上200N/mm以下であること
    (5)長手方向の引張破壊強さが100MPa以上250MPa以下であること
  3. 90℃に加熱したときの幅方向の収縮応力が3MPa以上15MPa以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
  4. 幅方向の厚み斑が1.0%以上12.0%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
  5. 長手方向の厚み斑が1.0%以上12.0%以下であることを特徴とする請求項〜4のいずれかに記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
  6. 溶剤接着強度が2N/15mm幅以上15N/15mm幅以下であることを特徴とする請求項〜5のいずれかに記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
  7. 動摩擦係数が0.1以上0.55以下であることを特徴とする請求項〜6のいずれかに記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
  8. 全ポリステル樹脂成分中における非晶質成分となりうるモノマーの主成分が、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸の内のいずれかであることを特徴とする請求項〜7のいずれかに記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
  9. 見かけ密度が1.2g/cm以下であることを特徴とする請求項〜8のいずれかに記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載された白色熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法により製造されてなることを特徴とする白色熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  11. 請求項10に記載の白色熱収縮性ポリエステル系フィルムを基材とし、ミシン目あるいは一対のノッチが設けられたラベルを少なくとも外周の一部に被覆して熱収縮させてなることを特徴とする包装体。
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