JP2014030630A - 噴霧器用メッシュノズル及び噴霧器 - Google Patents

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Abstract

【課題】薬液の粒子や粉末薬の粒子がくっ付きあって塊になると噴霧器用メッシュノズルからの噴霧量が低下するため、この点を改善することを目的とする。
【解決手段】複数の孔を有する基板を振動させることにより薬が基板の入口側から出口側へ孔を通過して噴霧される噴霧器用メッシュノズルにおいて、基板の入口側には粒子が互いにくっ付きあって塊となる粒子同士を分離するための複数の突起を形成するようにしたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、人体の呼吸器系疾患の治療のために、薬液又は粉末薬を噴霧するのに使用される噴霧器用メッシュノズル及びこのメッシュノズルを有する噴霧器に関するものである。
噴霧器は、薬液又は粉末薬が複数個の孔を有するメッシュノズルを通して噴霧され、人体気道内の患部に到達して患部の治療を行うのに使用されている。
かかる治療を適切に行うために、メッシュノズルの孔の径を変えることにより孔を通過する薬液の粒子の径や粉末薬の粒子の径を制御し、所望の患部へ到達させるようにする必要がある。すなわち、粒子径が大きいと咽喉等の太い気管に吸着し、粒子径が小さいと気管支等の細い気管に到達して吸着することになるが、メッシュノズルの孔の径を小さくすると薬の噴霧量が低下するため、孔の形状を改良したものが、例えば特許文献1で提案されている。
特開2006−297226号公報
しかしながら、薬液の粒子や粉末薬の粒子には粘度や粘着性があり、特に粒子径が小さいと孔の入口側において粒子同士がくっ付きあって塊になる可能性が高いため、粒子が孔を通過しなくなり噴霧量が低下する虞があることが判明した。この現象は、特に1μm〜20μmの超微粒子において顕著に発生することが実施品で確認された。
本発明は、かかる課題に鑑み、粒子同士がくっ付きあって塊になっても、この塊を崩して粒子をメッシュノズルの孔から噴霧するようにした斬新な噴霧器用メッシュノズル及びこのメッシュノズルを有する噴霧器を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、複数の孔を有する基板を振動させることにより薬が前記基板の入口側から出口側へ前記孔を通過して噴霧される噴霧器用メッシュノズルにおいて、前記基板の入口側には前記薬の粒子が互いにくっ付きあって塊となる粒子同士を分離するための複数の突起を形成することを特徴としている。
請求項1に記載の噴霧器用メッシュノズルでは、治療中に孔の入口側で薬の粒子が互いにくっ付きあって塊となっても、基板の粒子の入口側で基板とともに振動している突起にこの塊がぶつかりあうことにより塊が崩される。このため、粒子同士が分離して個々の粒となって、孔を通過するようになるので、円滑に噴霧され、噴霧量を充分確保することができる。
請求項2の発明は、請求項1に記載の噴霧器用メッシュノズルにおいて、前記孔の穴径が1μm〜150μmで、前記突起の高さ寸法が前記穴径の0.5〜3倍であることを特徴としている。
請求項2に記載の噴霧器用メッシュノズルでは、粒子同士がくっ付きあって塊となり易い1μm〜150μmの超微粒子を突起の強度を維持しつつ粒子の塊を効率良く崩すことができる。これは、突起を孔の穴径の3倍よりも高くすると突起の強度が弱まり、0.5倍よりも低くすると粒子の塊が孔を塞いでしまい、薬が噴霧されなくなる虞が高いからである。
請求項3の発明は、請求項1に記載の噴霧器用メッシュノズルにおいて、前記突起の先端の角度が2°〜65°で、この先端のRが0.1μm〜5μmRであることを特徴としている。
請求項3に記載の噴霧器用メッシュノズルでは、突起の先端の角度が2°〜65°の範囲であるため突起の先端が塊と衝突し易くなっており、しかも突起の先端のRが0.1μm〜5μmRであるため突起の先端で粒子が破砕されることがないようにしている。
請求項4の発明は、請求項1に記載の噴霧器用メッシュノズルにおいて、前記突起が合成樹脂、金属、セラミックの何れかで形成されていることを特徴としている。
請求項4に記載の噴霧器用メッシュノズルでは、突起を金属、例えばニッケル、パラジューム、鉄、銅、金、銀等の合金を用いて、電鋳により形成することにより噴霧器用メッシュノズルを基板と同じ材質である金属と一体に同時に製造することができる。又、突起をスクリーン印刷により合成樹脂で形成することにより合成樹脂の柔軟性によって突起が粒子を傷つけないで塊を崩すことができる。又、突起をセラミックで形成することによりセラミック以外の例えば、有機物等の不純物を嫌う粒子を噴霧するときに有効である。
請求項5の発明は、請求項1〜請求項4のいずれに記載の噴霧器用メッシュノズルを噴霧器が有していることを特徴としている。
請求項5に記載の噴霧器では、液状の薬や粉末状の薬を噴霧させる際、液状の薬の粒子や薬の粉末の粒子が塊になっても突起で崩して粒子をメッシュノズルの孔から噴霧するため、噴霧量を充分確保でき、極めて有用である。
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の噴霧器用メッシュノズルによれば、薬の粒子が互いにくっ付きあって塊となっても、この塊を振動している突起により崩されて孔から噴霧されるため、噴霧量を充分確保でできる、という優れた効果が得られる。
請求項2に記載の噴霧器用メッシュノズルによれば、粒子同士がくっ付きあって塊となり易い1μm〜150μmの超微粒子を、突起の強度を維持しつつ粒子の塊を効率良く崩すことができる、という優れた効果が得られる。
請求項3に記載の噴霧器用メッシュノズルによれば、突起の先端が塊と衝突し易くなっており、しかも突起の先端で粒子が破砕されるのを防止することができる、という優れた効果が得られる。
請求項4に記載の噴霧器用メッシュノズルによれば、突起の材質を選定することにより、突起と基板とを電鋳により一体成形にて容易に製造でき、又は粒子の傷つきを防止できる、という優れた効果が得られる。
請求項5に記載の噴霧器用メッシュノズルによれば、薬の粒子が塊になっても突起で崩して粒子をメッシュノズルの孔から噴霧されるため、噴霧量を充分確保して治療効果を高めることができる、という優れた効果が得られる。
本発明の第1実施形態を示す噴霧器の断面図である。 本発明の第1実施形態を示す噴霧器用メッシュノズルの斜視図である。 第2図のA−A断面図である。 本発明の第1実施形態を示す噴霧器用メッシュノズルの動作説明図である。 本発明の第1実施形態を示す噴霧器用メッシュノズルの部分拡大図である。 本発明の第1実施形態を示す噴霧器用メッシュノズルの製造工程を示す説明図である。 本発明の第2実施形態を示す噴霧器用メッシュノズルの製造工程図である。 本発明の第2実施形態を示す噴霧器用メッシュノズルの製造工程図である。 本発明の第2実施形態を示す噴霧器用メッシュノズルの製造工程図である。 本発明の第2実施形態を示す噴霧器用メッシュノズルの製造工程図である。 本発明の第1実施形態を示す噴霧器用メッシュノズルの写真である。 本発明の第3実施形態を示す噴霧器用メッシュノズルの斜視図である。 第9図のB−B断面図である。 本発明の第3実施形態を示す噴霧器用メッシュノズルの動作説明図である。 本発明の第4実施形態を示す噴霧器用メッシュノズルの斜視図である 第12図のC−C断面図である。 本発明の第4実施形態を示す噴霧器用メッシュノズルの動作説明図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳述する。
[第1実施形態]
図1において、本実施形態に係る噴霧器1は、容器2と、圧電振動子3と、噴霧器用メッシュノズル4とを有している。容器2には、この容器2内に薬液6を開口21から供給する供給管22が設けられている。圧電振動子3は、高周波電圧を印加することにより振動する、例えば円環板状に形成されたセラミックス製の超音波振動子である。
噴霧器用メッシュノズル4は、ニッケル、パラジューム、鉄、銅、金、銀等の合金を用い後述する電鋳によって製作された金属製、又はスクリーン印刷によって製作された合成樹脂製であり、この基板41には容器2内の薬液6とこの薬液6内の粒子61とを下側から上側へ通過させて上方へ噴霧する複数の孔42が形成されている。この孔42の形状は図2に示すような四角穴形状に限定されず、三角穴形状、六角穴形状、丸穴形状等でも良い。また、この孔42は図3に示すように基板41の入口側411と出口側412の穴径を同一としたストレート形状にしているが、入口側411を出口側412よりも、逆に出口側412を入口側411よりも穴径を広くしても良い。
基板41には、粒子61が互いにくっ付きあって図4に示すように塊611となる粒子61同士を分離するための複数の円錐状の突起43が、基板41の入口側411に形成されている。
そして、図3に示すように孔42の穴径aは1μm〜150μmであり、突起43の高さ寸法bは孔42の穴径a1μm〜150μmの0.5〜3倍にすることにより、突起43の強度を維持しつつ粒子61の塊611を効率良く崩すようにしている。
これは、突起43を孔42の穴径の3倍よりも高くすると突起43の強度が弱まり、0.5倍よりも低くすると粒子61の塊611が突起43と接触しないで孔42に到達して孔42を塞いでしまい、噴霧されなくなる虞が高いからである。
突起43は図5に示すように先端431の角度θを2°〜65°とすることにより突起の先端431が塊611と衝突し易くしており、しかもこの先端431のRを0.1μm〜5μmRとすることにより突起43の先端431で粒子61が破砕されるのを防止している。
以下、噴霧器用メッシュノズル4の製造工程について、図6に基づき説明する。7はステンレス等の基盤で、この基盤7の上に第1段のレジスト(感光性樹脂)8をコートする。そして基盤7の上にニッケル9を電鋳で析出させると、ニッケル9がレジスト8の中心81に向かって外周から覆いかぶさって環状の庇部91が形成される。次に、ニッケル9の上の平坦部92に第2段のレジスト(感光性樹脂)10をコートする。
このコートされたレジスト10の間のニッケル9の上に離型剤を介してニッケル11を電鋳で析出させるとニッケル9の庇部91で囲まれている窪み93が埋まり、この埋まった部分が突起43となる。その後、レジスト10を溶剤で溶かすと、この溶けた部分が孔42となり、ニッケル11を取り外すと、図2及び図3に示す噴霧器用メッシュノズル4を製造することができる。
このように、突起43を噴霧器用メッシュノズル4と同じ材質である、例えばニッケル等の金属で形成するようにすると、突起43を噴霧器用メッシュノズル4の基板41と一体に同時に製作でき、製造工程を簡略化することができる。
尚、金属としてニッケルの代わりに、パラジューム、鉄、銅、金、銀等を用いても良い。
[第2実施形態]
突起43は、円錐状の突起43の孔形状を有するスクリーン印刷により、耐熱・耐久性のある合成樹脂で噴霧器用メッシュノズル4の基板41と一体に同時に製作することもできる。
以下、このスクリーン印刷による製造工程について、図7に基づいて説明する。
図7(a)に示すように、窪み121を有するニッケル基盤12上にワイヤ131とワイヤ132からなるスクリーンマスク13とスキージー14を用いてインク15によりメッシュを形成する。形成するインク15は、有機物(エポキシ、ポリウレタン、ポリイミド、紫外光硬化樹脂等)や、セラミック(アルミナ、シリカ、等)のスラリー状のものや、アルコキシドセラッミクの混合物で良い。
次に図7(b)に示すように、スクリーン印刷後はスクリーンマスク13を離型し、インク15を重合又は焼成する。一般には、Ni電鋳材が基盤12の場合はそれ自身に酸化皮膜があり離型性を有しているので、重合又は焼成後は容易に離型することができる。
しかし、必要によっては、弗素系の離型剤を予め薄くコートした方が好ましい。
次に、図7(c)に示すように、インク15を重合又は焼成したことによりメッシュが形成されるときに、窪み121にインク15が充填され、離型されればその充填個所が突起43となって形成される。
次に図7(d)に示すように、重合又は焼成されたインク15がメッシュとなって基盤12から離型されることにより、突起43が基板41と一体となって上述した有機物やセラミック等の素材で出来上がる。
この工法は、スクリーン印刷で基盤12上にインク15からなるメッシュと突起43を一体形成したが、この基盤12をベースにインジェクション成形でメッシュを製作すれば、突起43を有する有機物のメッシュを形成することもできる。
このように合成樹脂で形成することにより、突起43の先鋭部431で粒子61の塊611を崩すとき、合成樹脂の柔軟性によって粒子61を傷つけることはないので、好ましい。
また、突起43をセラミックで形成することによりセラミック以外の例えば、有機物等の不純物を嫌う粒子を噴霧するときに有効である。
そして、本発明に係る噴霧器用メッシュノズル4を噴霧器1に取り付け、圧電振動子3
によって上下方向に振動させると、薬液6の粒子61の粘性や吸着により粒子61同士が孔42の入口側411で粒子61が互いにくっ付きあって塊611となる場合がある。
この場合、図4に示すように基板41と一緒に振動している突起43の先鋭部431にこの塊611がぶつかりあって塊611が崩され、粒子61同士が分離して矢印のように孔42を通過するようになるため、図1に示すように孔42から薬液6の粒子61が噴出され、噴霧量を充分確保することができた。このことは、次に示す性能試験の結果から立証できた。
本発明に係る噴霧器1の性能試験の結果を説明する。
図8の写真で示すように、穴径が14μmで30ピッチの孔4が850個/1平方インチあり、高さ30μmの多数の突起43をライン幅に設けた噴霧器用メッシュノズル4を用意した。
そして、この噴霧器用メッシュノズル4を周波数35kHzの振とう機で10分間振動させると粒径5〜14μmの薬液6の粒子61が孔42から噴出するが、時間経過とともに粒子61がくっ付きあった粒子61の塊611が突起43の先鋭部431により崩されて分離分散していることが目視でき、14μm以下の粒子を回収したところ、突起43を有さない従来の噴霧器用メッシュノズルと比較すると、1.5〜2倍も噴霧量が多いことが確認できた。
[第3実施形態]
図9〜図11は本発明の第3実施形態を示すもので、突起43の形状を三角錐形状にしたものであり、突起43以外の他の構成部品については図2〜図4と同一符号を付して詳細な説明は省略する。
尚、突起43は図5に示したように先端431の角度θを2°〜65°とすることにより突起の先端431が塊611と衝突し易くしており、しかもこの先端431のRを0.1μm〜5μmRとすることにより突起43の先端431で粒子61が破砕されるのを防止している。
この第3実施形態においても、図11に示すように、図4で上述した実施形態の場合と同様に基板41と一緒に振動している突起43の先鋭部431に粒子61の塊611がぶつかりあって塊611が崩され、粒子61同士が分離して矢印のように孔42を通過して薬液6の粒子61が噴出され、噴霧量を充分確保することができる。
[第4実施形態]
図12〜図14は本発明の第4実施形態を示すもので、突起43の形状を円柱形状にしたものであり、突起43以外の他の構成部品については図2〜図4と同一符号を付して詳細な説明は省略する。
この第4実施形態においても、図14に示すように、図4で上述した実施形態の場合と同様に基板41と一緒に振動している突起43の先端部431に粒子61の塊611がぶつかりあって塊611が崩され、粒子61同士が分離して矢印のように孔42を通過して薬液6の粒子61が噴出され、噴霧量を充分確保することができる。
尚、突起43の先端部431が平坦であるため、図4及び図11の場合と比較して塊611が崩されにくい虞があるため、突起43の個数を上述した実施形態よりも多くした方が好ましい。
このように、突起43は何れの形状であっても塊611を崩すことは可能であり、突起形状であれば他の異なる形状でも適用することができる。
尚、上記実施形態では薬液6の粒子61について詳述したが、粉末状の薬の粒子であっても適用することができる。
本発明は、上述の如く、薬液の粒子や粉末状の薬の粒子が粘性や吸着によりくっ付いてもこの塊を崩すことができるので、噴霧量を充分確保することができ、噴霧器として極めて有効である。
1 噴霧器
4 噴霧器用メッシュノズル
41 基板
411 入口側
412 出口側
42 孔
43 突起
61 粒子
611 塊

Claims (5)

  1. 複数の孔を有する基板を振動させることにより薬が前記基板の入口側から出口側へ前記
    孔を通過して噴霧される噴霧器用メッシュノズルにおいて、前記基板の入口側には前記薬の
    粒子が互いにくっ付きあって塊となる粒子同士を分離するための複数の突起を形成したことを特徴とする噴霧器用メッシュノズル。
  2. 前記孔の穴径が1μm〜150μmで、前記突起の高さ寸法が前記穴径の0.5〜3倍であることを特徴とする請求項1に記載の噴霧器用メッシュノズル。
  3. 前記突起の先端の角度が2°〜65°で、この先端のRが0.1μm〜5μmRであることを特徴とする請求項1に記載の噴霧器用メッシュノズル。
  4. 前記突起が金属、合成樹脂、セラミックの何れかで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の噴霧器用メッシュノズル。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれに記載の噴霧器用メッシュノズルを有していることを特徴とする噴霧器。
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