JP2014030436A - 薬剤注入具 - Google Patents
薬剤注入具 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014030436A JP2014030436A JP2010259308A JP2010259308A JP2014030436A JP 2014030436 A JP2014030436 A JP 2014030436A JP 2010259308 A JP2010259308 A JP 2010259308A JP 2010259308 A JP2010259308 A JP 2010259308A JP 2014030436 A JP2014030436 A JP 2014030436A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pusher
- respect
- injection
- distal end
- drug
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61B—DIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
- A61B17/00—Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets
- A61B17/56—Surgical instruments or methods for treatment of bones or joints; Devices specially adapted therefor
- A61B17/58—Surgical instruments or methods for treatment of bones or joints; Devices specially adapted therefor for osteosynthesis, e.g. bone plates, screws, setting implements or the like
- A61B17/88—Osteosynthesis instruments; Methods or means for implanting or extracting internal or external fixation devices
- A61B17/8802—Equipment for handling bone cement or other fluid fillers
- A61B17/8805—Equipment for handling bone cement or other fluid fillers for introducing fluid filler into bone or extracting it
- A61B17/8822—Equipment for handling bone cement or other fluid fillers for introducing fluid filler into bone or extracting it characterised by means facilitating expulsion of fluid from the introducer, e.g. a screw pump plunger, hydraulic force transmissions, application of vibrations or a vacuum
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Orthopedic Medicine & Surgery (AREA)
- Surgery (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Heart & Thoracic Surgery (AREA)
- Medical Informatics (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Infusion, Injection, And Reservoir Apparatuses (AREA)
Abstract
【課題】薬剤を目的の被注入空間に注入する際に、比較的小さな操作力で、迅速かつ精密に注入できる薬剤注入具を提供する。
【解決手段】薬剤注入具10Aは、先端に薬剤吐出口を有する中空状の筒体12と、筒体12の中空部に液密に挿入され、軸線方向に貫通する貫通孔30を有する第1押し子14と、第1押し子14の筒体12に対する回転に伴って第1押し子14を筒体12に対して軸線方向に変位させる送りネジ構造44と、貫通孔に軸線方向に液密に摺動可能に挿通された第2押し子16とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】薬剤注入具10Aは、先端に薬剤吐出口を有する中空状の筒体12と、筒体12の中空部に液密に挿入され、軸線方向に貫通する貫通孔30を有する第1押し子14と、第1押し子14の筒体12に対する回転に伴って第1押し子14を筒体12に対して軸線方向に変位させる送りネジ構造44と、貫通孔に軸線方向に液密に摺動可能に挿通された第2押し子16とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、薬剤を被注入空間に注入する際に薬剤を吐出するために使用する薬剤注入具に関する。
近年、骨粗鬆症や癌による椎体圧迫骨折に対して、骨折椎体に刺入した骨生検針を通して時間と共に硬化する充填材を注入する経皮的椎体形成術(PVP)が行われている。この充填材としては、例えば、X線造影性のあるリン酸カルシウム系骨セメントやポリメチルメタクリレート骨セメント等(以下、単に「骨セメント」ともいう)が用いられている。通常、骨セメントは非常に高い粘性を有しており、また骨セメントが充填される椎骨内は海綿質等により圧損が非常に大きいため、注入時には3MPa以上の高圧で少量ずつ注入する必要がある。
そこで、このような注入具として、一般的なピストン式や送りネジ式のシリンジによって高圧を付与しながら骨セメントを吐出する構成が用いられている。送りネジ式の注入具は、例えば、下記特許文献1に開示されている。
上記のように、例えば粘性が高い液状の薬剤(骨セメント)を骨内のように圧損の高い空間へと注入するために用いられる薬剤注入具は、高い圧力で適量ずつ前記薬剤を吐出できるように構成されることが望ましい。
しかしながら、骨セメントの注入に用いる通常のピストン式の注入具は、手動でも高圧を発生でき、少量ずつコントロールしながら精密に注入できるように、小径の1〜3mL程度の容量のシリンジとして構成されており、これを複数本用いて、最終的に5〜20mL程度の骨セメントを骨内に注入する。このため、ピストン式の注入具では、骨セメントを充填したシリンジを1つの骨あたり複数本用意する必要があり、煩雑である。
また、術者のX線被爆を抑えるため、生検針とシリンジの間に延長チューブを設け、シリンジから吐出した骨セメントを、当該延長チューブを介して骨内に注入するように構成された注入具が提案されている。しかし、高粘度の骨セメントを細長い延長チューブの内部を流すため圧力損失が大きく、シリンジ式の注入具では押圧操作に際して大きな操作力が必要となり注入が難しい。
一方、送りネジ式の注入具では、延長チューブを用いた注入においても、比較的小さな操作力での回転操作により、高圧で比較的多くの量の注入が可能である。しかしながら、送りネジ式の注入具では、注入中はシリンダ内の高圧状態が開放されずに維持されるため、注入動作を止めたい場合に即座に止めることが難しく、精密な注入量の制御には適さない。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、薬剤を目的の被注入空間に注入する際に、比較的小さな操作力で、迅速かつ精密に注入することが可能な薬剤注入具を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、内部に充填された薬剤を吐出する薬剤注入具であって、先端に薬剤吐出口を有する中空状の筒体と、前記筒体の中空部に液密に挿入され、軸線方向に貫通する貫通孔を有する第1押し子と、前記第1押し子の前記筒体に対する回転に伴って前記第1押し子を前記筒体に対して軸線方向に変位させる送りネジ構造と、前記貫通孔に軸線方向に液密に摺動可能に挿通された第2押し子と、を備えることを特徴とする。
上記のように構成された薬剤注入具によれば、第1の操作方法として、大よその目標注入量までは第1押し子を回転操作して注入することで、小さい操作力で比較的多量の薬剤を吐出し、注入量が目標注入量に近くなった段階では、第2押し子を押圧操作して精密な注入が可能である。よって、迅速かつ精密な注入を行うことができる。また、第2の操作方法として、第2押し子を押圧操作して精密な注入を行い、第1押し子の回転操作は、第2押し子を元の位置に戻すために行い、これらの操作を交互に複数回行うことで、すべての注入において精密な注入が可能である。
上記の薬剤注入具において、前記筒体の基端部に係合可能であり雌ネジ部が貫通形成されたガイド部材をさらに備え、前記第1押し子の外周部には、前記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部が軸線方向に沿って形成され、前記送りネジ構造は、前記雌ネジ部と前記雄ネジ部とによって構成されるとよい。
これにより、第1押し子の雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を筒体に設ける必要がないため、送りネジ構造を簡単に構成することができる。
上記の薬剤注入具において、前記第1押し子の先端部又は先端部外周には、前記筒体の内周面に沿って液密に摺動可能な第1シール部材が設けられるとよい。
これにより、第1押し子と筒体との間の液密性が好適に確保できる。また、筒体に充填された薬剤が、雌ネジ部及び雄ネジ部と接触することがないため、第1押し子を回転操作する際の操作力が小さくて済む。
上記の薬剤注入具において、前記第2押し子が前記第1押し子に対して最も先端側に変位する位置を規制する第1位置決め手段と、前記第2押し子が前記第1押し子に対して最も基端側に変位する位置を規制する第2位置決め手段とをさらに備えるとよい。
上記の構成によれば、第2押し子の可動範囲が一定範囲に規制されているため、第2押し子を可動範囲の最基端側から最先端側まで押圧操作することによって一定量の注入を行うことができる。また、第2押し子を進出させ過ぎることがないとともに、第2押し子が前記第1押し子から基端側に抜けることが防止されるため、取り扱いやすい。
上記の薬剤注入具において、前記第2押し子の先端部又は先端部外周には、前記貫通孔の内周面に沿って液密に摺動可能な第2シール部材が設けられるとよい。
これにより、貫通孔の内周面と第2押し子との間の液密性が好適に確保できる。
上記の薬剤注入具において、前記第2押し子がその可動範囲内でどの位置にあっても、前記第2押し子の先端部が、前記第1押し子の貫通孔内に位置するとよい。
これにより、第2押し子を第1押し子に対して基端側に移動させた状態では第1押し子の貫通孔内に、薬剤の充填室が形成されるので、第2押し子を押圧操作することにより、貫通孔内の薬剤を押し出し、薬剤注入具から薬剤を確実に吐出することができる。
上記の薬剤注入具において、前記第1押し子の基端部外周には、外方に拡大したハンドルが設けられ、前記第2押し子の基端部外周には、外方に拡大したフランジ部が設けられるとよい。
これにより、例えば、ハンドルに親指以外の指を掛け、フランジ部を親指で押圧することで、第1押し子に対して第2押し子を先端側に移動させる際に、第2押し子に対する押圧操作を容易に行うことができる。
上記の薬剤注入具において、前記薬剤は、骨内に注入される骨セメントであるとよい。
これにより、骨セメントを迅速かつ精密に注入することができる。
上記の薬剤注入具において、前記第2押し子には、前記筒体内のエアーを排出するエアー排出通路が設けられているとよい。
これにより、エアー排出通路を介して筒体内と外部とを連通させることができるため、筒体を上方に向けなくても、筒体内のエアーを外部に排出することができる。
本発明に係る薬剤注入具によれば、薬剤を目的の被注入空間に注入する際に、比較的小さな操作力で、迅速かつ精密に注入することが可能である。
以下、本発明に係る薬剤注入具について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る薬剤注入具10Aを示す斜視図である。図2は、図1に示した薬剤注入具10Aの縦断面図である。薬剤注入具10Aは、薬剤(充填材、注入材)を所望の被注入空間に注入する際に薬剤を吐出するために使用する器具であり、例えば、経皮的椎体形成術において骨セメントを骨内に注入するために用いられる。前記薬剤としては、例えば、リン酸カルシウム系骨セメント(CPC)やポリメチルメタクリレート(PMMA)系骨セメント等の骨セメントを用いることができ、さらには、リン酸カルシウム系セラミックス、アルミナセラミックス、ジルコニアセラミックス及びチタン等の無機材料からなる顆粒等を用いることもできる。
図1及び図2に示すように、薬剤注入具10Aは、筒体12と、第1押し子14と、第2押し子16とを備える。筒体12は、軸線方向に延在する内腔(中空部)を有する胴体部18と、胴体部18の先端部から先端側に突出する先端管部20と、胴体部18の基端部から外方(半径方向外方)の両側に突出するフランジ部22とを有する。胴体部18、先端管部20及びフランジ部22は、一体的に形成されている。
胴体部18は、内径及び外径が軸線方向に沿って略一定の中空円筒状に形成され、その外周面には、薬剤の量を示す目盛り24が表示されている。胴体部18の内容積は、5〜20mL程度に設定される。
先端管部20は、薬剤吐出口を形成するものであり、ルアーコネクタとして構成されている。先端管部20の外側には、先端管部20と同心状に胴体部18の先端部から軸線方向に突出し、内周面に雌ネジ部26が形成されたロック部28が設けられている。このような先端管部20とロック部28により、薬剤を注入する際には、後述する延長チューブ92(図3A等参照)又は骨セメント注入針84に連結可能である。
上記のように構成された筒体12の内部には、筒体12、第1押し子14及び第2押し子16によって囲まれた空間により、薬剤を充填するための充填室19が形成される。
筒体12の構成材料は、特に限定されないが、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン1等のポリオレフィンや、ポリエステル、ナイロン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアセタール樹脂(POM)等の樹脂性材料や、ステンレス等の金属性材料、ガラス等で形成されるとよい。また、筒体12の構成材料は、内部の視認性を確保するために、実質的に透明であるのが好ましい。また、高圧に耐えられる強度や弾性、耐薬品性があることが好ましい。
第1押し子14は、筒体12の中空部に挿入されるものであり、軸線方向に直線状に貫通する貫通孔30を有する。この貫通孔30は、貫通孔30の先端側を構成する大径部30aと、貫通孔30の基端側を構成する小径部30bとからなり、図示例では、大径部30aと小径部30bとの境界部である段部32が、第1押し子14の軸線方向の中間点よりも若干だけ基端側の位置に設定されている。
第1押し子14の先端部である頭部34には、第1シール部材36が装着されている。図示した構成例では、周方向に延在する環状のシール溝37が頭部34の外周に間隔を置いて複数(図示例では2つ)形成され、各シール溝37にリング状の第1シール部材36(例えば、シリコーン製のOリング等)が配置されている。このような第1シール部材36が筒体12の内周面に密着しつつ軸線方向に摺動することで、液密性を確実に保持するとともに、摺動性の向上を図れる。なお、リング状の第1シール部材36の代わりに、第1押し子14の先端部に弾性樹脂材料で構成されたガスケットを取り付けてもよい。
第1押し子14の先端部の外径(図示例の場合、第1シール部材36が設けられる頭部34の外径)は、筒体12の胴体部18の内径と同じか僅かに小さく、例えば、5〜50mm程度に設定され、10〜20mm程度に設定されるのがより好ましい。第1押し子14の先端部の外径を大き過ぎると、高粘度の薬剤が充填された薬剤注入具10Aの第1押し子14を回転操作する際の操作力が大きくなり過ぎて、操作が難しくなる。また、第1押し子14の先端部の外径が小さすぎると、筒体12に対する1回転あたりの排除容積(吐出量)が少なくなり、迅速な注入が難しくなる。
第1押し子14において、頭部34よりも基端側の一定範囲には、雄ネジ部38が軸線方向に沿って形成されている。この雄ネジ部38の外径は、筒体12の胴体部18の内径よりも小さい。第1押し子14は、ガイド部材40に挿通されている。このガイド部材40には、雌ネジ部42が貫通形成され、雌ネジ部42と雄ネジ部38とが螺合することで、第1押し子14がガイド部材40に支持されている。すなわち、雌ネジ部42と雄ネジ部38とにより、筒体12に対する第1押し子14の回転に伴って筒体12に対して第1押し子14を軸線方向に変位させる送りネジ構造44が構成されている。
ガイド部材40において、雌ネジ部42の半径方向両外側には、筒体12のフランジ部22に係合可能な一対の係合部46が設けられるとともに、一対の係合部46の間には前方に開放する凹部48が設けられている。以下の説明では、ガイド部材40に関し、一対の係合部46の向かい合う方向を「長手方向」と呼び、雌ネジ部42の中心軸線に垂直な方向であって、一対の係合部46の向かい合う方向と垂直な方向を「短手方向」と呼ぶ。
係合部46は、フランジ部22が挿入可能な係合溝50を有する。図示例の各係合溝50は、凹部48の側壁面から外方向に窪む切欠きであって、雌ネジ部42の中心軸線を基準として線対称に形成されており、ガイド部材40の短手方向に延在している。また、各係合溝50は、その延在方向の一端がガイド部材40の側面で開口し、延在方向の他端は閉じられている。
ガイド部材40の基端部には、基端方向に突出する筒部52が設けられている。この筒部52の内径は、第1押し子14における雄ネジ部38及び中間部43の外径よりも大きい。第1押し子14は、筒部52の基端面とハンドル54の先端面とが当接する位置までガイド部材40に対して先端側に移動することができる。すなわち、筒部52の基端面とハンドル54の先端面とによって、第1押し子14がガイド部材40に対して最も先端側に変位する位置を規制する手段が構成されている。なお、筒部52を設けずに、第1押し子14に設けた雄ネジ部38の終点のみによって、その位置を規制するようにしてもよい。
上記のように構成されたガイド部材40と筒体12の軸線とを一致させ、かつ、ガイド部材40の長手方向と筒体12のフランジ部22の長手方向とを直交させた状態で、ガイド部材40の凹部48にフランジ部22を挿入し、次いで、ガイド部材40と筒体12とを相対回転させると、フランジ部22と係合部46とが係合する。これにより、図2に示すように、第1押し子14が筒体12の中空部に挿入された状態で、ガイド部材40と筒体12とが連結される。
第1押し子14の基端部には、外方(半径方向外方)に拡径したハンドル54(回転操作部)が設けられている。このハンドル54は、第1押し子14を筒体12に対して軸線を中心として回転させる際に使用者が手指で把持する(つまむ、握る)部分であり、図示例では、略円盤状に形成されている。使用者が把持して回転操作する際にすべりにくいように、ハンドル54の外周には、周方向に間隔をおいて複数の溝56が形成されている。なお、ハンドル54の形状は、円盤状に限定されず、第1押し子14の基端部から半径方向外方に突出するウイング状であってもよい。
第1押し子14の構成材料としては、上述した筒体12の構成材料として例示したものから選択することができる。また、第1シール部材36の構成材料としては、特に限定されないが、例えばオレフィン系エラストマーや、スチレン系エラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム等の加硫ゴム、さらにそれらにフッ素樹脂コートしたもの等で形成されるとよい。
第2押し子16は、規制された範囲内で軸線方向に変位自在に、第1押し子14の貫通孔30に挿通されている。第2押し子16は、第1押し子14の貫通孔30に摺動可能に挿通されたロッド58と、ロッド58の先端部に設けられた(取り付けられた)第2シール部材60と、ロッド58の基端部に設けられた(取り付けられた)フランジ部62とを有する。
ロッド58は、第1押し子14よりも細径に形成されている。ロッド58のうち、第1押し子14に対して第2押し子16が最も基端側に変位した状態で第1押し子14から基端側に突出する部分の外周面には、第2押し子16に対する軸線方向の位置(押し込み量、挿入量)を示す目盛り64が一定間隔で設けられている。目盛り64は、使用者が視認できるものであれば特にその形態は限定されず、例えば、周方向に延在する溝で構成されてもよく、あるいはロッド58とは異なる色のインク(塗料)により表示されたものであってもよい。
ロッド58の先端側には、他の部分よりも外径が若干だけ拡大した拡径部66が形成されている。この拡径部66と、拡径部66よりも基端側の部位(以下、細径部67という)との外径差によって段部68が形成されている。第2押し子16は、拡径部66の基端側の端面(段部68)と、第1押し子14の内周部に設けられた段部32とが当接する位置まで、第1押し子14に対して基端側に移動することができる。すなわち、本実施形態では、段部32と段部68によって、第2押し子16が第1押し子14に対して最も基端側に変位する位置を規制する第2位置決め手段70が構成されている。
図示例の第2シール部材60は、有底円筒形状であり、第2押し子16の先端部に形成されたキノコ型(フランジ型)の係合突起部72に取り付けられている。なお、第2シール部材60は、第2押し子16の先端部の外周に装着されるリング状に形成されていてもよい。第2シール部材60の構成材料は、上述した第1シール部材36の構成材料として例示したものから選択することができる。第2押し子16の第1押し子14に対するストローク(変位長)は、25〜100mm程度に設定される。
第1押し子14に対して第2押し子16が最も基端側に変位した状態での、第2押し子16よりも先端側の貫通孔30の内容積(すなわち、薬剤注入具10Aに薬剤が充填された状態で、第2押し子16を第1押し子14に対して最も基端側から最も先端側に移動させたときの第2押し子による薬剤の吐出量)は、1〜3mL程度に設定される。
第2押し子16の先端部の外径(図示例の場合、第2シール部材60の外径)は、例えば、2〜7mm程度に設定され、3〜6mm程度に設定されるのがより好ましい。第2押し子16の先端部の外径が大き過ぎると、高粘度の薬剤が充填された薬剤注入具10Aの第2押し子16を押圧操作する際の操作力が大きくなり過ぎて、操作が難しくなる。また、第2押し子16の先端部の外径が小さすぎると、軸線方向の単位移動量当たりの排除容積(吐出量)が少なくなり過ぎる。
フランジ部62は、第2押し子16を先端側に押圧操作する際に使用者が手指(例えば親指)で押圧する部分であり、押圧しやすいように適度な大きさを有する。これにより、例えば、ハンドル54に人差し指と中指を掛け、フランジ部62を親指で押圧することで、第1押し子14に対して第2押し子16を先端側に移動させる際に、第2押し子16に対する押圧操作を容易に行うことができる。
フランジ部62は、ロッド58の基端部に嵌合して連結されている。ロッド58とフランジ部62との嵌合による連結構造は、ネジ嵌合、凹凸嵌合(テーパ嵌合)のいずれでもよい。なお、ロッド58とフランジ部62との連結構造は、嵌合構造に限らず、接着、熱融着等により固着された構成でもよい。また、ロッド58とフランジ部62は、一体になっていてもよく、この場合には第2押し子16の先端部分が2部品で構成される。
第2押し子16は、フランジ部62の先端面62aと、ハンドル54の基端面54aとが当接する位置まで、第1押し子14に対して移動することができる。すなわち、本実施形態では、フランジ部62の先端面62aと、ハンドル54の基端面54aとによって、第2押し子16が第1押し子14に対して最も先端側に変位する位置を規制する第1位置決め手段74が構成されている。図示した構成例では、第2押し子16が第1押し子14に対して最も先端側に移動したとき、第2押し子16の最先端部(第2シール部材60の先端面)は、第1押し子14の最先端部と略一致する。
薬剤注入具10Aでは、第2押し子16がその可動範囲内でどの位置にあっても、第2押し子16の先端部(図示例では、第2シール部材60)が、第1押し子14の貫通孔30内に位置する。これにより、第2押し子16を第1押し子14に対して基端側に移動させた状態では第1押し子14の貫通孔30内に、薬剤の充填室19が形成されるので、第2押し子16を押圧操作することにより、貫通孔30内の薬剤を押し出し、薬剤注入具10Aから薬剤を確実に吐出することができる。
ロッド58及びフランジ部62の構成材料としては、上述した筒体12の構成材料として例示したものから選択することができる。
本発明の第1実施形態に係る薬剤注入具10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について、薬剤注入具10Aを経皮的椎体形成術において使用する場合を例に説明する。
まず、薬剤注入具10Aの第1の使用方法(操作方法)について説明する。図3Aに示すように、予め充填室19内に所定量(例えば、5〜20mL)の骨セメント80を充填しておく。この充填は、例えば、事前に調製した骨セメント80を筒体12の後端(又は先端)から充填し、次に、予め第2押し子16及びガイド部材40が装着された第1押し子14を筒体12に装着する。この際に、第2押し子16は、その先端が第1押し子14の先端に位置し、ガイド部材40は、第1押し子14の先端側に位置した状態である。そして、筒体12の先端を上方に向け、第1押し子14を回転させて前進させることにより、筒体12内のエアーを外部に排出する。なお、図3Aでは、第2押し子16を第1押し子14に対して基端側に移動して、貫通孔30内にも骨セメント80を充填した状態を示している。
次いで、薬剤注入具10Aの筒体12と、骨セメント80の注入対象である骨82に穿刺された骨セメント注入針84の注入ポート86とを、延長チューブ92を介して連結する。この延長チューブ92を用いることで、術者(使用者)の手をX照射領域の外に退避させた状態で、薬剤注入具10Aを操作することが可能となる。
ここで、骨セメント注入針84は、例えば、金属材料で構成された中空構造の穿刺針85と、穿刺針85の基端部に固定された、例えば、樹脂材料で構成されたハブ87とを有する。ハブ87の上部には、穿刺針85の内腔(中空部)と連通した注入ポート86が設けられている。延長チューブ92の一端には、注入ポート86と着脱可能に連結するコネクタ88が設けられ、延長チューブ92の他端には、筒体12の先端管部20と着脱可能なコネクタ90が設けられている。
延長チューブ92は、可撓性があるチューブ壁内あるいは外面にケブラー(登録商標)、ナイロン、ポリフェニレンサルファイド、ステンレス等の糸を網あるいはコイル状に巻いた構成であると、耐圧の点から好適であるが、内面にのみ耐水性のあるポリプロピレンやフッ素樹脂を配置した多層チューブとしてもよい。延長チューブ92の長さは、術者(使用者)の手をX照射領域の外に確実に退避できるように、200〜500mm程度に設定されるのがよい。また、延長チューブ92の先端部分がアングル付けされているとよい。
図3Aでは、このような延長チューブ92の一端に設けられたコネクタ88がハブ87の注入ポート86に連結され、延長チューブ92の他端に設けられたコネクタ90が筒体12の先端管部20に連結されている。
このような状態で、X線透視下で薬剤注入具10Aに充填された骨セメント80を吐出し、骨82内に注入する。この注入操作に際して、第1の使用方法では、まず、第1押し子14を回転操作して、筒体12に対して先端側に移動させていく。そうすると、第1押し子14の筒体12に対する先端側への移動に伴って、充填室19が高圧に加圧され、骨セメント80が先端管部20、延長チューブ92及び骨セメント注入針84を介して骨82内に注入される。第1押し子14の先端側への移動は、回転操作によって行うことができることから、比較的小さな操作力で骨セメント80を注入でき、しかも、第1押し子14は比較的大径であるため、比較的多くの骨セメント80を迅速に注入することが可能である。また、第1押し子14の1回転あたりの骨セメント80の注入量を所定量(例えば、0.25〜2mL)に設定してもよい。
なお、第1押し子14を回転操作する前において、第2押し子16は、第1押し子14に対して先端側に変位させた状態としてもよい。このような場合、第1押し子14を回転操作することに伴って、第2押し子16が骨セメント80から圧力を受けるため、結局、第2押し子16は第1押し子14に対して基端側に移動する。
第1押し子14に対する回転操作によって骨セメント80を大よその目標注入量まで注入したら、次に、図4に示すように、第2押し子16を押圧操作して、第1押し子14に対して先端側に移動させていく。そうすると、第2押し子16の第1押し子14に対する先端側への移動に伴って、充填室19が高圧に加圧され、骨セメント80が先端管部20、延長チューブ92及び骨セメント注入針84を介して骨82内に注入される。この第2押し子16の押圧操作により、骨セメント80を目標注入量まで注入する。第2押し子16は第1押し子14よりも小径であることから、小さな操作力で高圧を発生できるとともに、精密な注入が可能である。第2押し子16の最大注入量を所定量(例えば、0.5〜3mL)に設定してもよい。
第2押し子16の押圧操作による注入の最中に、注入を急停止したい場合には、第2押し子16に対する押圧操作を停止すればよい。そうすると、系内の圧力が確実に開放されるため、注入を確実に急停止でき、精密な注入を担保できる。
次に、図5A〜図6Bを参照し、薬剤注入具10Aの第2の使用方法(操作方法)について説明する。第2の使用方法では、第1の使用方法と同様に、まず、薬剤注入具10Aに骨セメント80を充填する。図5Aに示すように、第2の使用方法では、第1押し子14に対する回転操作によって骨セメント80が吐出することを防止するため、活栓94を用いることが好ましい。
この活栓94は、第1ポート96と、第2ポート98と、コック100を有し、コック100を回動操作することで、第1ポート96と第2ポート98との間の通路が連通する開通状態と、第1ポート96と第2ポート98との間の通路が遮断される閉塞状態とを選択的に切り替えることができる二方活栓として構成されている。このような活栓94は、延長チューブ92の、骨セメント注入針84に接続される側の端部と、薬剤注入具10Aに接続される側の端部のいずれに設けてもよいが、図5A等に示すように、薬剤注入具10Aに接続される側の端部に設けられると、骨セメント80の注入時にX線照射領域の外で活栓94のコック100に対する回動操作を行うことができ、X線の被爆を好適に回避することができる。
このような状態で、X線透視下で薬剤注入具10Aに充填された骨セメント80を吐出し、骨82内に注入する。この注入操作に際して、第2の使用方法では、まず、図5Bに示すように、活栓94を開放状態としたうえで、第2押し子16を押圧操作して、第2押し子16を筒体12に対して先端側に移動させていく。そうすると、第2押し子16の第1押し子14に対する先端側への移動に伴って、充填室19が高圧に加圧され、骨セメント80が先端管部20、延長チューブ92及び骨セメント注入針84を介して骨82内に注入される。第2押し子16は第1押し子14よりも小径であることから、小さな操作力で高圧を発生できるとともに、精密な注入が可能である。
次に、図6Aに示すように、コック100を回転操作して活栓94を閉塞状態としてから、第2押し子16を回転操作して、第2押し子16を筒体12に対して先端側に移動させる。このとき、第2押し子16が骨セメント80から圧力を受けることにより、第1押し子14に対して基端側に移動する。また、この場合、骨セメント80は活栓94により薬剤注入具10Aからの吐出が阻止されていることから、第1押し子14の回転操作に伴って骨セメントが薬剤注入具10Aから吐出されることがない。第1押し子14に対する回転操作は、第2押し子16が最も基端側の位置に後退するまで行う。
次に、図6Bに示すように、活栓94を開通状態としてから、第2押し子16を押圧操作して、骨セメント80を骨82内に注入する。その後、図6Aの場合と同様に、第1押し子14を再び回転操作して第2押し子16を元の位置に復帰させる。
以上のように、第2の使用方法では、第2押し子16の先端側への押し込みにより少量を注入する操作を行った後に、第1押し子14を回転操作することで第2押し子16を元の位置に復帰させ、このような2つの操作を交互に複数回繰り返し、目標注入量の骨セメント80を注入する。従って、すべての注入において精密な注入が可能である。
なお、第2押し子16の押圧操作による注入の最中に、注入を急停止したい場合には、第2押し子16に対する押圧操作を停止すればよい。そうすると、系内の圧力が確実に開放されるため、注入を確実に急停止でき、精密な注入を担保できる。
上述した薬剤注入具10Aの第1の使用方法及び第2の使用方法では、X線透視下で骨セメント80を注入する際にX線の被爆を避けるために、延長チューブ92を用いたが、例えば、CT透視下で骨セメント80を注入する場合には、延長チューブ92を省略し、薬剤注入具10Aの筒体12の先端管部20と骨セメント注入針84の注入ポート86とを直接連結してもよい。なお、この点は、次に説明する第2実施形態に係る薬剤注入具10Bの使用方法においても同様である。
上述した薬剤注入具10Aにおいて、第2押し子16に代えて、図7に示す変形例に係る第2押し子120を採用してもよい。図7に示すように変形例に係る第2押し子120は、規制された範囲内で軸線方向に変位自在に、第1押し子14の貫通孔30に挿通されている。第2押し子120は、第1押し子14の貫通孔30に摺動可能に挿通されたロッド122と、ロッド122の基端部に設けられた(取り付けられた)フランジ部124とを有する。
ロッド122には、軸線方向に沿ってエアー排出通路126が貫通形成されている。ロッド122の先端には、第1押し子14の貫通孔30よりも僅かに小径の拡径部128が設けられ、この拡径部128の外周部に周方向に延在形成された環状溝に、リング状の第2シール部材121が装着されている。第2シール部材121は、貫通孔30に対して密着しており、これにより、第2押し子120が貫通孔30内で第1押し子14に対して液密に軸線方向に摺動可能となっている。
ロッド122の基端部は、第1押し子14の小径部30bよりも大径の後端拡径部123として構成されている。後端拡径部123は、基端側に開放した円筒凹部125を有した有底円筒形をなす部分であり、当該円筒凹部125の内周部には雌ネジ部125aが形成され、エアー排出通路126の基端部が円筒凹部125の底部に臨んでいる。円筒凹部125には、側孔127が半径方向に貫通形成されている。
フランジ部124の先端部には、雌ネジ部125aに螺合可能な雄ネジ部129aが形成された円筒凸部129が設けられている。当該円筒凸部129には、一端が円筒凸部129の先端面で開口し、他端が円筒凸部129の側面で開口する通路140が形成されている。図7Aに示すように、ロッド122に対してフランジ部124を最も先端側に螺合させた状態では、円筒凸部129の通路140と円筒凹部125の側孔127とが連通しないため、筒体12内と外部とは連通しない。すなわち、エアー排出通路126が閉塞状態となっている。一方、図7Bに示すように、ロッド122に対してフランジ部124を所定角度だけ回転させると、円筒凸部129の通路140と円筒凹部125の側孔127とが連通し、筒体12内と外部とが連通する。すなわち、エアー排出通路126が開通状態となる。このように、円筒凸部129の通路140と円筒凹部125の側孔127とにより、エアー排出通路126の開通状態と閉塞状態を切り替える開閉手段が構成される。
上記のように第2押し子120を構成すると、第2押し子120及びガイド部材40が装着された第1押し子14を、骨セメント80を充填した筒体12に装着した後に行うエアー排出作業において、第2押し子120を回転させることにより、エアー排出通路126を介して筒体12内と外部とを連通させることができるため、筒体12を上方に向けなくても、エアー排出通路126を通して筒体12内のエアーを外部に排出することができる。
なお、図7A及び図7Bに示した構成では、ロッド122の基端部に雌ネジ部125aを有する円筒凹部125を設け、フランジ部124の先端部に雄ネジ部129aを有する円筒凸部129を設けたが、ネジのオスメスを逆の関係にしてもよい。すなわち、ロッド122の基端部に雄ネジ部を有する円筒凸部を設け、フランジ部124の先端部に雌ネジ部を有する円筒凹部を設けてもよい。
図8は、本発明の第2実施形態に係る薬剤注入具10Bの縦断面図である。薬剤注入具10Bは、第1実施形態に係る薬剤注入具10Aと同様に、薬剤(充填材、注入材)を所望の被注入空間に注入する際に薬剤を吐出するために使用する器具である。図8に示すように、薬剤注入具10Bは、中空状の筒体102と、筒体102に挿入される第1押し子104と、第1押し子104に挿入される第2押し子106とを備える。
筒体102は、軸線方向に延在する内腔(中空部)を有する胴体部108と、胴体部108の先端部から先端側に突出する先端管部110とを有し、全体形状が円筒状をなす部材である。胴体部108及び先端管部110は、一体的に形成されている。
胴体部108は、先端側を構成する小径部112と、後端側を構成しかつ小径部112に対して内径及び外径が拡径した大径部114とを有する。小径部112と大径部114の軸線は一致している。小径部112の内容積は、1〜3mL程度に設定され、大径部114の内容積は、5〜20mL程度に設定される。大径部114の内周面には、軸線方向の所定範囲に亘って雌ネジ部116が形成されている。大径部114の外周面には、図1に示した目盛り24と同様の目盛りが設けられている。
先端管部110は、小径部112に対して縮径した管状をなす部分であり、図1に示した先端管部20と同様に構成されている。また、小径部112の先端部には、図1に示したロック部28と同様のロック部111が設けられている。
筒体102の構成材料は、上述した筒体12の構成材料として例示した材料から選択することができる。上記のように構成された筒体102の内部には、筒体102、第1押し子104及び第2押し子106によって囲まれた空間により、薬剤を充填するための充填室107が形成される。
第1押し子104は、筒体102の中空部に挿入されるものであり、軸線方向に直線状に貫通する円形の貫通孔118を有する。この貫通孔118の内径(大きさ)は、軸線方向に沿って一定である。第1押し子104の先端部には、拡径した頭部120が設けられており、当該頭部120の外周面には、筒体102の内周面に形成された雌ネジ部116に螺合可能な雄ネジ部122が形成されている。すなわち、雌ネジ部116と雄ネジ部122とにより、筒体102に対する第1押し子104の回転に伴って筒体102に対して第1押し子104を軸線方向に変位させる送りネジ構造124が構成されている。
第1押し子104の基端外周には、拡径したハンドル126が設けられている。第1押し子104を筒体102に対して回転操作する際には、このハンドル126を把持して回転操作することができる。また、第2押し子106を第1押し子104に対して相対的に移動操作する際、すなわち、第2押し子106を押圧操作する際には、このハンドル126に指を掛けて操作を行うことができる。
第2押し子106は、規制された範囲内で軸線方向に変位自在に、第1押し子104の貫通孔118に挿通されている。第2押し子106は、第1押し子104よりも長尺で細径に形成された断面円形のロッド131と、ロッド131の基端部に設けられたフランジ部130とを有する。ロッド131の外径は、第1押し子104の頭部120の外径よりも小さい。また、ロッド131の外径は、貫通孔118の内径と略同一に設定され、これにより、第1押し子104を第2押し子106に対して押圧操作した際には、ロッド131の外周面と貫通孔118の内周面とが密着した状態で摺動する。
ロッド131のうち、第1押し子104に対して第2押し子106が最も基端側に変位した状態で第1押し子104から基端側に突出する部分の外周面には、第2押し子106に対する軸線方向の位置(押し込み量、挿入量)を示す目盛り132が一定間隔で設けられている。目盛り132は、使用者が視認できるものであれば特にその形態は限定されず、周方向に延在する溝で構成されてもよく、あるいはロッド131とは異なる色のインク(塗料)により表示されたものであってもよい。
ロッド131の先端外周には、外方(半径方向外方)に突出するリブ134(突起部)が設けられている。図示した構成例に係るリブ134は、周方向に複数(2つ)設けられているが、周方向に1つだけ設けられてもよい。リブ134は、ロッド131に一体的に形成されてもよく、ロッド131とは別部材として形成されて、接着、熱融着等により固着されたものであってもよい。
また、図示した構成例に係るリブ134は、ロッド131の外周部において周方向に部分的に突起する構成であるが、周方向の全周(360°)に延在する環状(フランジ状)に構成されてもよい。ロッド131及びリブ134の外径は、小径部112の内径よりも小さく、これにより、第1押し子104が筒体102に対して先端側に移動した状態では、第2押し子106は、小径部112の内腔に挿入可能となっている。
第2押し子106は、リブ134の基端面と第1押し子104の先端面(頭部120の先端面120a)が当接する位置まで、第1押し子104に対して基端側に移動することができる。すなわち、本実施形態では、リブ134の基端面と頭部120の先端面120aとによって、第2押し子106が第1押し子104に対して最も基端側に変位する位置を規制する第2位置決め手段136が構成されている。
フランジ部130は、第2押し子106を先端側に押圧操作する際に使用者が手指(例えば親指)で押圧する部分であり、押圧しやすいように適度な大きさを有する。フランジ部130は、ロッド131の基端部に嵌合して連結されている。ロッド131とフランジ部130との嵌合による連結構造は、ネジ嵌合、凹凸嵌合(テーパ嵌合)のいずれでもよい。なお、ロッド131とフランジ部130材との連結構造は、嵌合構造に限らず、接着、熱融着等により固着された構成でもよい。
第2押し子106は、フランジ部130の先端面130aと、ハンドル126の基端面126aとが当接する位置まで、第1押し子104に対して移動することができる。すなわち、本実施形態では、フランジ部130の先端面130aと、ハンドル126の基端面126aとによって、第2押し子106が第1押し子104に対して最も先端側に変位する位置を規制する第1位置決め手段138が構成されている。
ロッド131及びフランジ部130の構成材料としては、上述した第1実施形態に係る薬剤注入具10Aの筒体12の構成材料として例示したものから選択することができる。
本発明の第2実施形態に係る薬剤注入具10Bは、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について、薬剤注入具10Bを経皮的椎体形成術において使用する場合を例に説明する。
まず、薬剤注入具10Bの第1の使用方法(操作方法)について説明する。図9Aに示すように、予め充填室107内に所定量(例えば、5〜20mL)の骨セメント80を充填しておく。次いで、薬剤注入具10Bの筒体102と、骨セメント80の注入対象である骨82に穿刺された骨セメント注入針84の注入ポート86とを、延長チューブ92を介して連結する。
このような状態で、X線透視下で薬剤注入具10Bに充填された骨セメント80を吐出し、骨82内に注入する。この注入操作に際して、薬剤注入具10Bの第1の使用方法では、まず、図9Bに示すように、第1押し子104を回転操作して筒体102に対して先端側に移動させていく。そうすると、第1押し子104の筒体102に対する先端側への移動に伴って、充填室107が高圧に加圧され、骨セメント80が先端管部110、延長チューブ92及び骨セメント注入針84を介して骨82内に注入される。第1押し子104の先端側への移動は、回転操作によって行うことができることから、比較的小さな操作力で骨セメント80を注入でき、しかも、第1押し子104は比較的大径であるため、比較的多くの骨セメント80を迅速に注入することが可能である。
第1押し子104に対する回転操作によって骨セメント80を大よその目標注入量まで注入したら、次に、図10に示すように、第2押し子106を押圧操作して、第1押し子104に対して先端側に移動させていく。そうすると、第2押し子106の第1押し子104に対する先端側への移動に伴って、充填室107が高圧に加圧され、骨セメント80が先端管部110、延長チューブ92及び骨セメント注入針84を介して骨82内に注入される。この第2押し子106の押圧操作により、骨セメント80を目標注入量まで注入する。第2押し子106は第1押し子104よりも小径であることから、小さな操作力で高圧を発生できるとともに、精密な注入が可能である。
第2押し子106の押圧操作による注入の最中に、注入を急停止したい場合には、第2押し子106に対する押圧操作を停止すればよい。そうすると、系内の圧力が確実に開放されるため、注入を確実に急停止でき、精密な注入を担保できる。
次に、図11A〜図12Bを参照し、薬剤注入具10Bの第2の使用方法(操作方法)について説明する。第2の使用方法では、第1の使用方法と同様に、まず、薬剤注入具10Bに骨セメント80を充填する。図11Aに示すように、第2の使用方法では、第1押し子104に対する回転操作によって骨セメント80が吐出することを防止するため、活栓94を用いることが好ましい。この活栓94は、図5A等に示した活栓94と同じである。
活栓94は、延長チューブ92の一端と他端のいずれに設けてもよいが、図11A等に示すように、薬剤注入具10Bに接続される側の端部に設けられると、骨セメント80の注入時にX線照射領域の外で活栓に対する操作を行うことができ、X線の被爆を好適に回避することができる。
このような状態で、X線透視下で薬剤注入具10Bに充填された骨セメント80を吐出し、骨82内に注入する。この注入操作に際して、第2の使用方法では、まず、図11Bに示すように、活栓94を開放状態としたうえで、第2押し子106を押圧操作して、筒体102に対して先端側に移動させていく。そうすると、第2押し子106の第1押し子104に対する先端側への移動に伴って、充填室107が高圧に加圧され、骨セメント80が先端管部110、延長チューブ92及び骨セメント注入針84を介して骨82内に注入される。第2押し子106は第1押し子104よりも小径であることから、小さな操作力で高圧を発生できるとともに、精密な注入が可能である。
薬剤注入具10Bは、第2押し子106を押圧操作すると第2押し子106が第1押し子104の先端から突出する構成であるが、第2押し子106が筒体102の小径部112に挿入可能となっているので、デッドボリュームが抑制され、第2押し子106のストロークを最大限利用して骨セメント80を効率的に注入することが可能である。
次に、図12Aに示すように、コック100を回転操作して活栓94を閉塞状態としてから、第2押し子106を回転操作して、筒体102に対して先端側に移動させる。このとき、第2押し子106が骨セメント80から圧力を受けることにより、第1押し子104に対して基端側に移動する。また、この場合、骨セメント80は活栓94により薬剤注入具10Bからの吐出が阻止されていることから、第1押し子104の回転操作に伴って骨セメント80が薬剤注入具10Bから吐出されることがない。第1押し子104に対する回転操作は、第2押し子106が第1押し子104に対して最も基端側の位置に後退するまで行う。
次に、図12Bに示すように、活栓94を開通状態としてから、第2押し子106を押圧操作して、骨セメント80を骨82内に注入する。その後、図12Aの場合と同様に、再び第1押し子104を回転操作して第2押し子106を元の位置に復帰させる。
以上のように、第2の操作方法では、第2押し子106の先端側への押し込みにより少量を注入する操作を行った後に、第1押し子104を回転操作することで第2押し子106を元の位置に復帰させ、このような2つの操作を交互に複数回繰り返し、目標注入量の骨セメントを注入する。従って、すべての注入において精密な注入が可能である。
なお、第2押し子106の押圧操作による注入の最中に、注入を急停止したい場合には、第2押し子106に対する押圧操作を停止すればよい。そうすると、系内の圧力が確実に開放されるため、注入を確実に急停止でき、精密な注入を担保できる。
第2実施形態に係る薬剤注入具10Bにおいて、図7A及び図7Bに示した変形例に係る第2押し子120と同様に、第2押し子106にエアー排出通路126を設け、ロッド131及びフランジ部130とにそれぞれ側孔127及び通路140を設けて互いに螺合可能な構造とし、フランジ部130をロッド131に対して回転させることで、筒体102内と外部とをエアー排出通路126を介して連通可能な構成としてもよい。
上記において、本発明について好適な実施の形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10A、10B…薬剤注入具 12、102…筒体
14、104…第1押し子 16、106…第2押し子
30、118…貫通孔 36…第1シール部材
38、122…雄ネジ部 42、116…雌ネジ部
40…ガイド部材 44、124…送りネジ構造
54、126…ハンドル 60、121…第2シール部材
62、130…フランジ部 70、136…第2位置決め手段
74、138…第1位置決め手段
14、104…第1押し子 16、106…第2押し子
30、118…貫通孔 36…第1シール部材
38、122…雄ネジ部 42、116…雌ネジ部
40…ガイド部材 44、124…送りネジ構造
54、126…ハンドル 60、121…第2シール部材
62、130…フランジ部 70、136…第2位置決め手段
74、138…第1位置決め手段
Claims (9)
- 内部に充填された薬剤を吐出する薬剤注入具であって、
先端に薬剤吐出口を有する中空状の筒体と、
前記筒体の中空部に液密に挿入され、軸線方向に貫通する貫通孔を有する第1押し子と、
前記第1押し子の前記筒体に対する回転に伴って前記第1押し子を前記筒体に対して軸線方向に変位させる送りネジ構造と、
前記貫通孔に軸線方向に液密に摺動可能に挿通された第2押し子と、を備える、
ことを特徴とする薬剤注入具。 - 請求項1記載の薬剤注入具において、
前記筒体の基端部に係合可能であり雌ネジ部が貫通形成されたガイド部材をさらに備え、
前記第1押し子の外周部には、前記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部が軸線方向に沿って形成され、
前記送りネジ構造は、前記雌ネジ部と前記雄ネジ部とによって構成される、
ことを特徴とする薬剤注入具。 - 請求項2記載の薬剤注入具において、
前記第1押し子の先端部又は先端部外周には、前記筒体の内周面に沿って液密に摺動可能な第1シール部材が設けられる、
ことを特徴とする薬剤注入具。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤注入具において、
前記第2押し子が前記第1押し子に対して最も先端側に変位する位置を規制する第1位置決め手段と、
前記第2押し子が前記第1押し子に対して最も基端側に変位する位置を規制する第2位置決め手段とをさらに備える、
ことを特徴とする薬剤注入具。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬剤注入具において、
前記第2押し子の先端部又は先端部外周には、前記貫通孔の内周面に沿って液密に摺動可能な第2シール部材が設けられる、
ことを特徴とする薬剤注入具。 - 請求項4記載の薬剤注入具において、
前記第2押し子がその可動範囲内でどの位置にあっても、前記第2押し子の先端部が、前記第1押し子の貫通孔内に位置する、
ことを特徴とする薬剤注入具。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬剤注入具において、
前記第1押し子の基端部外周には、外方に拡大したハンドルが設けられ、
前記第2押し子の基端部外周には、外方に拡大したフランジ部が設けられる、
ことを特徴とする薬剤注入具。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬剤注入具において、
前記薬剤は、骨内に注入される骨セメントである、
ことを特徴とする薬剤注入具。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の薬剤注入具において、
前記第2押し子には、前記筒体内のエアーを排出するエアー排出通路が設けられている、
ことを特徴とする薬剤注入具。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010259308A JP2014030436A (ja) | 2010-11-19 | 2010-11-19 | 薬剤注入具 |
PCT/JP2011/074480 WO2012066905A1 (ja) | 2010-11-19 | 2011-10-25 | 薬剤注入具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010259308A JP2014030436A (ja) | 2010-11-19 | 2010-11-19 | 薬剤注入具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014030436A true JP2014030436A (ja) | 2014-02-20 |
Family
ID=46083844
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010259308A Withdrawn JP2014030436A (ja) | 2010-11-19 | 2010-11-19 | 薬剤注入具 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014030436A (ja) |
WO (1) | WO2012066905A1 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015503394A (ja) * | 2011-12-29 | 2015-02-02 | オムリックス・バイオファーマシューティカルズ・リミテッドOmrix Biopharmaceuticals Ltd. | 流体を送達するためのシステム及びその使用 |
JP7483243B2 (ja) | 2020-03-16 | 2024-05-15 | 株式会社トクヤマデンタル | シリンジのプランジャー操作補助具 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10172660B2 (en) | 2013-03-13 | 2019-01-08 | Nordson Corporation | Assembly for dispensing biomaterial, plunger therefor, and related methods |
US9456861B2 (en) * | 2013-06-24 | 2016-10-04 | Nordson Corporation | Dispensing assembly having mixing and plunging assembly, and related methods |
EP3548114A4 (en) * | 2016-12-28 | 2020-07-15 | SanBio, Inc. | CELL RELEASE SYSTEM AND METHOD FOR THE OPERATION THEREOF |
IT201700010432A1 (it) * | 2017-01-31 | 2018-07-31 | Accademind S R L | Dispositivo di iniezione di cemento osseo |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US2515956A (en) * | 1949-01-21 | 1950-07-18 | Charles J Greenberg | Syringe |
IL67736A0 (en) * | 1983-01-23 | 1983-05-15 | Porat Amir | A syringe |
US6547432B2 (en) * | 2001-07-16 | 2003-04-15 | Stryker Instruments | Bone cement mixing and delivery device for injection and method thereof |
-
2010
- 2010-11-19 JP JP2010259308A patent/JP2014030436A/ja not_active Withdrawn
-
2011
- 2011-10-25 WO PCT/JP2011/074480 patent/WO2012066905A1/ja active Application Filing
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015503394A (ja) * | 2011-12-29 | 2015-02-02 | オムリックス・バイオファーマシューティカルズ・リミテッドOmrix Biopharmaceuticals Ltd. | 流体を送達するためのシステム及びその使用 |
JP7483243B2 (ja) | 2020-03-16 | 2024-05-15 | 株式会社トクヤマデンタル | シリンジのプランジャー操作補助具 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2012066905A1 (ja) | 2012-05-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7604618B2 (en) | High pressure injection syringe | |
AU2009270307B2 (en) | Bone cement injection device | |
US10413672B2 (en) | Dispensing device with selectable flow channels and seal | |
JP2014030436A (ja) | 薬剤注入具 | |
JP5385074B2 (ja) | 薬剤注入具 | |
EP3650062B1 (en) | Discharger | |
US11832862B2 (en) | Methods of delivering bone cement using an access cannula with valve | |
KR20140037035A (ko) | 뼈 시멘트를 위한 유압식 주입 시스템 | |
CA2539785A1 (en) | Flush syringe having anti-reflux stopper | |
KR102336039B1 (ko) | 주사기 | |
JP6023185B2 (ja) | 薬剤注入具 | |
WO2013141187A1 (ja) | 薬剤注入具 | |
JP4874728B2 (ja) | 補填材充填器具 | |
WO2013141188A1 (ja) | 薬剤注入具 | |
US10420892B2 (en) | Drive mechanism for a medicament delivery device | |
JP2015066070A (ja) | 薬剤注入具 | |
US11679002B2 (en) | Bone graft material loading assembly and associated devices, systems, and methods | |
US10398844B2 (en) | Controlled injection devices, systems, and methods | |
JP2014057780A (ja) | 薬剤注入具 | |
JP2024504138A (ja) | カートリッジから材料を送達するためのディスペンシングガン | |
CA2910564C (en) | Bone cement delivery assembly with leakage prevention valve | |
JP4414296B2 (ja) | カニューレ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20140304 |