JP2014029038A - 全芳香族ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プルロッドのようなFRP加工を経ずして太繊維径でありながら高弾性率を有し、かつ金属やセラミックに比べて軽量な繊維を提供し、それを用いた光ファイバやその他コード類のテンションメンバ、タイヤ補強資材を提供する。
【解決手段】溶融液晶性を示す芳香族ポリエステルから繊維径30μm以上、弾性率65GPa以上のフィラメントを製造する方法であって、該芳香族ポリエステルを溶融し、ノズルから押し、冷却液に通し、捲き取る工程からなり、紡糸速度をVs(m/sec)、ノズルから冷却液までの距離L(m)、ノズル径D(mm)と繊維径d(mm)の比D/dの2乗をψとすると、Vs/L・lnψが3以上、24以下の範囲内で紡糸する工程である。
【選択図】図1
【解決手段】溶融液晶性を示す芳香族ポリエステルから繊維径30μm以上、弾性率65GPa以上のフィラメントを製造する方法であって、該芳香族ポリエステルを溶融し、ノズルから押し、冷却液に通し、捲き取る工程からなり、紡糸速度をVs(m/sec)、ノズルから冷却液までの距離L(m)、ノズル径D(mm)と繊維径d(mm)の比D/dの2乗をψとすると、Vs/L・lnψが3以上、24以下の範囲内で紡糸する工程である。
【選択図】図1
Description
本発明は、太繊維径でありながら、高い弾性率を有する溶融液晶性ポリエステル繊維の製造方法に関する。
高弾性率および剛直性が必要とされる用途において使用される30μm以上の太い繊維径を有する繊維形状物としては、現在のところ、金属もしくはセラミックからなるものが一般的である。しかしながら、軽量、もしくは非金属であることが要求される一部用途では、有機ポリマーからなる比較的細い繊度の高弾性率マルチフィラメントを樹脂等で固めた、所謂FRP構造体が用いられている。現在のところ、高弾性率を有する有機ポリマー繊維の紡糸方法は溶液紡糸方法が主に用いられており、この紡糸方法では繊維径が太くなるほど凝固時の脱溶媒現象が行われにくい問題があった。このため、高弾性率発現のための構造形成が困難となる技術的な問題を有していた。
上記問題を解決する手段として、溶融紡糸法を用いて太繊維径を有する高弾性率モノフィラメントを作製する方法が考えられる。例えば、エンジニアリングプラスチックと称される高弾性率ポリマーに分類される溶融液晶性ポリエステルを用いた溶融紡糸の例が報告されている。しかし一般に溶融液晶性ポリエステルは加工性を良くするために、比較的低分子量にて紡糸するため、紡糸時に十分な伸張応力が得られず、自重による細化が進みすぎてしまうため、太繊維径化自体が難しい問題があった。
自重による細化を抑制する手法として、特許文献1では溶融液晶性ポリマーの製造条件において、ノズルからバスまでの冷却時間を規定し、冷却媒体による急冷を抑えて紡糸する技術が開示されている。この方法により、太い繊維径の繊維が得られるが、得られた繊維の弾性率は4500cN/Tex未満(比重を1.4とすると、63GPa)という低い値であった。弾性率が低い原因は使用しているポリマーの骨格の剛直性が低いためと考えられる。しかしながら、より高い弾性率を得るために、剛直性の高いポリマーを用いると、融点を低くするためにより分子量を低くする必要が生じ、それによる溶融粘度不足のため、自重による細化が進みやすくなり太繊維径化が難しくなる問題があった。
剛直性の高いポリマーを用いた場合、自重による細化を抑制するために冷却時間を短くする手法が考えられる。しかしながら冷却時間を短くしすぎる場合には高い弾性率が得られないという問題があった。冷却時間を短くして作成した繊維を光学顕微鏡にて確認したところ、繊維内部に螺旋状のラインが確認された(図1)。この螺旋状のラインは、繊維長軸方向に圧縮作用が働いた際に見られるものであり、分子鎖が均一な状態でないため、高い弾性率が得られないものと考えられる。このように溶融液晶性ポリマーの冷却時間を短くするだけでは、太繊維径と高い弾性率の両立を達成することは困難であった。
詳細な製造方法は開示されていないが、一部実用化された太繊維径・高弾性率繊維と称される繊維として、ポリアセタールからなる「テナック」(登録商標)(非特許文献1)や溶融液晶性ポリエステル「ベクトラ」(登録商標)からなるモノフィラメント(非特許文献2)が知られている。しかしながら、いずれも弾性率は65GPa未満であり、太い繊維径で、高弾性率(65GPa以上)を有する有機ポリマー繊維は現在のところ実用化されていなかった。
CMC出版「高機能繊維の開発」渡辺正元 監修(1988年)
CMC出版「液晶ポリマーの開発」小出直之 編集(1987年)
本発明は上述の従来技術を鑑み、太い単糸繊維径でありながら、高弾性率を有する溶融液晶性芳香族ポリエステル繊維を提供せんとするものである。本発明により、FRP化プロセスのような煩雑なプロセスを経ずして太い単糸繊維径でありながら高弾性率を有し、かつ金属やセラミックに比べて軽量な繊維を得ることができる。本発明で得られる繊維は光ファイバやその他コード類のテンションメンバ、タイヤ補強資材等に好適に使用することができる。
本発明者らは、剛直な分子骨格を有しながら溶融液晶性を示す芳香族ポリエステルに着目し、溶融紡糸法による太い単糸繊維径・高弾性率繊維の開発を鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願発明は溶融液晶性を示す芳香族ポリエステルから繊維径30μm以上、弾性率65GPa以上のフィラメントを製造する方法であって、下記プロセスを含む方法である。
a)溶融液晶性を示す芳香族ポリエステルを溶融する工程;
b)前記溶融したポリエステルをノズルから押し出す工程;
c)前記ノズルから押し出したポリエステルを冷却液に通す工程;
d)紡糸速度をVs[m/sec]、ノズルから冷却液までの距離L[m]、ノズル径D[mm]と繊維径d[mm]の比D/dの2乗をψとすると、Vs/L・lnψが3以上、24以下の範囲内で紡糸する工程である。
a)溶融液晶性を示す芳香族ポリエステルを溶融する工程;
b)前記溶融したポリエステルをノズルから押し出す工程;
c)前記ノズルから押し出したポリエステルを冷却液に通す工程;
d)紡糸速度をVs[m/sec]、ノズルから冷却液までの距離L[m]、ノズル径D[mm]と繊維径d[mm]の比D/dの2乗をψとすると、Vs/L・lnψが3以上、24以下の範囲内で紡糸する工程である。
本発明により、前述したように、太い単糸繊維径でありながら高弾性率を有する溶融液晶性ポリエステル繊維を得ることが可能となる。これにより軽量で太い単糸繊維径の高弾性率繊維をFRPプロセスのような複雑な工程を経ずして得ることができる。得られた繊維は、例えば光ファイバやその他コード類のテンションメンバや、タイヤ補強資材等に好適に使用することができる。
本発明は溶融液晶性を示すポリエステルからなる太い単糸繊維径・高弾性率繊維の製法に関するものであり、次の構成からなる。
1.溶融液晶性を示す芳香族ポリエステルから単糸フィラメントの繊維径30μm以上、弾性率65GPa以上のフィラメントを製造する方法。
a)溶融液晶性を示す芳香族ポリエステルを溶融する工程;
b)前記溶融したポリエステルをノズルから押し出す工程;
c)前記ノズルから押し出したポリエステルを冷却液に通す工程;
d)巻取り速度をVs(m/sec)、ノズル面から冷却液までの距離をL(m)、ノズル径D(mm)と繊維径d(mm)の比D/dの2乗をψとすると、Vs/L・lnψが3以上、24以下の範囲内である工程。
2.ノズル面から冷却液までの距離を0.5m以上とすることを特徴とする上記1記載の芳香族ポリエステル繊維の製造方法。
3.下記式(I)、(II)、(III)、(IV)を構成単位とし、少なくとも(I)、(II)、(III)を含むランダムコポリマーからなる芳香族ポリエステルを用い、上記1、2いずれかに記載の方法により繊維を製造する方法。
4.請求項3記載の(I)、(II)、(III)、(IV)を構成単位とし、全構成単位100モル%に対して、(I)の構成単位は50モル%以上、70モル%以下であり、(II)の構成単位は5モル%以上、30モル%以下であり、(III)の構成単位は10モル%以上、30モル%以下であり、(IV)の構成単位は0〜10モル%以下である芳香族ポリエステルから上記1〜3いずれか1項に記載の繊維を製造する方法。
1.溶融液晶性を示す芳香族ポリエステルから単糸フィラメントの繊維径30μm以上、弾性率65GPa以上のフィラメントを製造する方法。
a)溶融液晶性を示す芳香族ポリエステルを溶融する工程;
b)前記溶融したポリエステルをノズルから押し出す工程;
c)前記ノズルから押し出したポリエステルを冷却液に通す工程;
d)巻取り速度をVs(m/sec)、ノズル面から冷却液までの距離をL(m)、ノズル径D(mm)と繊維径d(mm)の比D/dの2乗をψとすると、Vs/L・lnψが3以上、24以下の範囲内である工程。
2.ノズル面から冷却液までの距離を0.5m以上とすることを特徴とする上記1記載の芳香族ポリエステル繊維の製造方法。
3.下記式(I)、(II)、(III)、(IV)を構成単位とし、少なくとも(I)、(II)、(III)を含むランダムコポリマーからなる芳香族ポリエステルを用い、上記1、2いずれかに記載の方法により繊維を製造する方法。
4.請求項3記載の(I)、(II)、(III)、(IV)を構成単位とし、全構成単位100モル%に対して、(I)の構成単位は50モル%以上、70モル%以下であり、(II)の構成単位は5モル%以上、30モル%以下であり、(III)の構成単位は10モル%以上、30モル%以下であり、(IV)の構成単位は0〜10モル%以下である芳香族ポリエステルから上記1〜3いずれか1項に記載の繊維を製造する方法。
次に、製造工程について説明する。
a)の工程において、使用する芳香族ポリエステルの樹脂の形態はパウダー、ペレットいずれでも問題はないが、単軸押出機を使用する場合には、ペレットが好ましい。また、溶融時に芳香族ポリエステルの加水分解を抑制するため、使用する芳香族ポリエステル樹脂は予め真空下もしくは乾燥ガス雰囲気下において、100℃以上、150℃以下にて8時間以上乾燥しておく必要がある。これら前処理を行った樹脂を窒素雰囲気下において、押出機に投入し、320℃以上、360℃以下に加熱溶融させる。
a)の工程において、使用する芳香族ポリエステルの樹脂の形態はパウダー、ペレットいずれでも問題はないが、単軸押出機を使用する場合には、ペレットが好ましい。また、溶融時に芳香族ポリエステルの加水分解を抑制するため、使用する芳香族ポリエステル樹脂は予め真空下もしくは乾燥ガス雰囲気下において、100℃以上、150℃以下にて8時間以上乾燥しておく必要がある。これら前処理を行った樹脂を窒素雰囲気下において、押出機に投入し、320℃以上、360℃以下に加熱溶融させる。
b)の工程はギアポンプ等の計量装置を介して溶融樹脂をノズルへと押し出す工程である。使用するノズルのオリフィス径は、目標とする繊維径に合せて選択しなければならない。およそ、ノズルのオリフィス径D(mm)と目標繊維径d(mm)の比の2乗、すなわち、ノズルのオリフィス径D(mm)を単糸繊維径d(mm)で徐した値の2乗(ψと呼ぶ)が4以上、40以下であることが好ましく、さらに8以上、25以下であることがより好ましい。このψは捲き取り速度をノズルからの吐出速度で割った値(一般にはドラフトと呼ばれる)とほぼ同等のものとして利用される。ψが4よりも小さいと、初速度が速く、さらに自重による落下速度の加速による細化のため、太繊維径の繊維を得るのが難しい。また、25よりも大きいと、雨だれのような不安定紡糸現象が生じるため好ましくない。
c)の工程は、ノズルから溶融押出され、伸張された樹脂を液体の冷却媒体を用いて冷却固化させる工程である。前記したように、剛直性の高い溶融液晶性ポリエステルは、ノズルから押し出された後に、自重により急激に細化する。本細化挙動を抑制する方法としては、糸に対して重力と逆方向の力を加える、もしくは、細化する前に冷却固化させてしまうという方法が考えられ、その役割を担うのが本冷却バス内の液体状の冷却媒体である。すなわち、本冷却媒体は“浮力および流体摩擦力により重力と逆方向の力を糸に伝える役割”および、“冷却固化により糸の変形を抑制する役割”の2つの役割を担う。冷却媒体の種類は特に規定はないが、プロセスコストを考慮するならば、水が好ましい。また冷却媒体の温度に関しては0℃以上であれば問題ないが、プロセスコストを考慮するならば室温が好ましい。
d)は紡糸条件をより詳細に規定するものである。ヒートショックを抑制するためには、ノズルから押出されたポリマーを十分に空冷させた後に冷却バスを通過させれば良い、すなわちL/Vsが大きい条件に設定すれば良いが、L/Vsが大きすぎる条件では糸がたるみ、巻き取りが困難となるため好ましくない。例え巻き取れたとしても得られた糸は糸斑が大きくなるので好ましくない。すなわち、所望の糸を得るためには、ノズル径もL/Vsに対して適正な範囲を取る必要があることを見出したものである。発明者らは糸切れを抑制して、高弾性率・太繊維径繊維が得られるL/Vsとψの関係として、Vs/L・lnψを3以上、24以下で紡糸することが好ましく、さらに4以上、12以下であるとさらに好ましいことを見出したのである。また、L/Vsおよびlnψはそれぞれ、0.07≦L/Vs≦1、0.69≦lnψ≦1.84を満たしていることが好ましい。
参考までに、Vs/L・lnψというパラメータの意味するところについて、説明を加えておく。Vs/L・lnψはlnψをL/Vsで徐した物理量である。lnψはドラフト、すなわちノズルから押出されたポリマーの巻取りまでの変形量の自然対数を取った値であり、Vs/Lはノズルから押出されたポリマーが冷却バスに到達するまでの間の時間とほぼ同等と考えられる値の逆数である。すなわち、Vs/L・lnψはノズルから冷却媒体までの平均変形歪速度に関連のあるパラメータとなるのである。
3≦Vs/L・lnψ≦24の紡糸条件にて作製したフィラメントはヒートショックにより配向が乱されることなく分子鎖が繊維軸方向に高配向で並ぶため、高い弾性率を有するものと考えられる。それを示唆するデータとして、広角X線にて0.94以上の高い結晶配向度を示すことを確認している。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(1)強度、伸度、弾性率
JIS L1013 8.5.1に準拠して測定した。強度、弾性率は、株式会社オリエンテック製の「テンシロン万能試験機」を用い、試料長400mm(チャック間長さ)、伸張速度50%/minの条件で歪−応力曲線を雰囲気温度20℃、相対湿度65%条件下で測定し、強度(cN/dtex)、伸度(%)、曲線の原点付近の最大勾配を与える接線から弾性率(GPa)を計算して求めた。本願使用の樹脂においては、比重1.4g/cm3を用いた。このとき測定時にサンプルに印加する初荷重はデニール当たり0.1gfとした。各値は10回の測定値の平均値を使用した。
JIS L1013 8.5.1に準拠して測定した。強度、弾性率は、株式会社オリエンテック製の「テンシロン万能試験機」を用い、試料長400mm(チャック間長さ)、伸張速度50%/minの条件で歪−応力曲線を雰囲気温度20℃、相対湿度65%条件下で測定し、強度(cN/dtex)、伸度(%)、曲線の原点付近の最大勾配を与える接線から弾性率(GPa)を計算して求めた。本願使用の樹脂においては、比重1.4g/cm3を用いた。このとき測定時にサンプルに印加する初荷重はデニール当たり0.1gfとした。各値は10回の測定値の平均値を使用した。
(2)結晶配向度
X線発生装置として、理学電気株式会社製Rint2000を用いた。線源の出力は40kV、200mAとし、Niフィルター使用のCuKα線を使用した。赤道方向に18°から22°まで0.1°ステップで、各ステップの計数時間を2秒として、透過法にてスキャンを実行し、極大値の2θを記録した。次に、その位置で2θを固定し、方位角方向に0.2°ステップで、各ステップの計数時間を2秒として、40°から140°範囲のスキャンを行った。極大値の半分の強度におけるピークの角度幅をΔβ(°)とし、次式を用いて結晶配向度を求めた。
結晶配向度=(180−Δβ)/180
X線発生装置として、理学電気株式会社製Rint2000を用いた。線源の出力は40kV、200mAとし、Niフィルター使用のCuKα線を使用した。赤道方向に18°から22°まで0.1°ステップで、各ステップの計数時間を2秒として、透過法にてスキャンを実行し、極大値の2θを記録した。次に、その位置で2θを固定し、方位角方向に0.2°ステップで、各ステップの計数時間を2秒として、40°から140°範囲のスキャンを行った。極大値の半分の強度におけるピークの角度幅をΔβ(°)とし、次式を用いて結晶配向度を求めた。
結晶配向度=(180−Δβ)/180
実施例1〜7、比較例1〜6
住友化学株式会社製E6000(ペレット)を真空下、140℃にて16時間乾燥を行った。単軸の押出機を用いて、353℃にて樹脂を溶融押出し、ギアポンプを用いて計量し、金属不織布フィルター(日本精線株式会社NF−07)を介してノズルへ押し出した。ノズル面の下方にヒーターを配置し、ノズル面の温度が353℃となるように設定した。さらにその下に、冷却バスを配置した。使用した冷却液体は水であり、水温は30℃であった。ノズルから押出された樹脂を冷却液体中に配置したフリーローラーを介して冷却媒体外の駆動ローラーへ導いた後、捲き取り機にて捲き取った。駆動ローラーの速度を紡糸速度とし、100m/minに設定した。紡糸条件および得られた繊維特性を表1に示した。
住友化学株式会社製E6000(ペレット)を真空下、140℃にて16時間乾燥を行った。単軸の押出機を用いて、353℃にて樹脂を溶融押出し、ギアポンプを用いて計量し、金属不織布フィルター(日本精線株式会社NF−07)を介してノズルへ押し出した。ノズル面の下方にヒーターを配置し、ノズル面の温度が353℃となるように設定した。さらにその下に、冷却バスを配置した。使用した冷却液体は水であり、水温は30℃であった。ノズルから押出された樹脂を冷却液体中に配置したフリーローラーを介して冷却媒体外の駆動ローラーへ導いた後、捲き取り機にて捲き取った。駆動ローラーの速度を紡糸速度とし、100m/minに設定した。紡糸条件および得られた繊維特性を表1に示した。
実施例1〜7においてはVs/L・lnψが3〜24の範囲であり、いずれも65GPa以上の弾性率を有している。比較例1、3、4、5は主にエア・ギャップ長(L)が短いために、ヒートショックにより弾性率低下が見られているものと考えられる。特に比較例3においては、結晶配向度が0.936と低く、配向が乱れていることが確認できる。光学顕微鏡観察においても、多数のキンクバンドが確認された。このことから急冷することにより繊維軸方向に配向が乱れ、弾性率の向上が見られない結果となった。
比較例2は実施例5と同じエア・ギャップ長であるが、ノズル直径が大きいために、ψの値が大きく、結果としてVs/L・lnψが26.8まで大きくなったために十分な弾性率が得られなかったものと考えられる。比較例6はノズル径が小さいにも関わらず、エアギャップ長を長く取ったため、自重により繊維の速度が速くなり、たるみが生じたため、捲き取ることができなかった。巻き取り時点の繊維径を計算により求めると、Vs/L・lnψが2.6となり、本願の範囲よりも小さい条件であった。
比較例2は実施例5と同じエア・ギャップ長であるが、ノズル直径が大きいために、ψの値が大きく、結果としてVs/L・lnψが26.8まで大きくなったために十分な弾性率が得られなかったものと考えられる。比較例6はノズル径が小さいにも関わらず、エアギャップ長を長く取ったため、自重により繊維の速度が速くなり、たるみが生じたため、捲き取ることができなかった。巻き取り時点の繊維径を計算により求めると、Vs/L・lnψが2.6となり、本願の範囲よりも小さい条件であった。
実施例8〜10、比較例7〜10
住友化学株式会社製E6000(ペレット)を真空下、140℃にて16時間乾燥を行った。単軸の押出機を用いて、353℃にて樹脂を溶融押出し、ギアポンプを用いて計量し、金属不織布フィルター(日本精線株式会社NF−07)を介してノズルへ押し出した。ノズル直下にはヒーターを配置し、ノズル温度が353℃となるように設定した。さらにその下に、冷却バスを配置した。使用した冷却液体は水であり、水温は30℃であった。ノズルから押出された樹脂を冷却液体中に配置したフリーローラーを介して冷却媒体外の駆動ローラーへ導いた後、捲き取り機にて捲き取った。本駆動ローラーの速度を紡糸速度とした。紡糸条件および得られた繊維特性を表2に示した。
住友化学株式会社製E6000(ペレット)を真空下、140℃にて16時間乾燥を行った。単軸の押出機を用いて、353℃にて樹脂を溶融押出し、ギアポンプを用いて計量し、金属不織布フィルター(日本精線株式会社NF−07)を介してノズルへ押し出した。ノズル直下にはヒーターを配置し、ノズル温度が353℃となるように設定した。さらにその下に、冷却バスを配置した。使用した冷却液体は水であり、水温は30℃であった。ノズルから押出された樹脂を冷却液体中に配置したフリーローラーを介して冷却媒体外の駆動ローラーへ導いた後、捲き取り機にて捲き取った。本駆動ローラーの速度を紡糸速度とした。紡糸条件および得られた繊維特性を表2に示した。
実施例8〜10においてはVs/L・lnψが3〜24の範囲であり、いずれも65GPa以上の弾性率を有している。実施例8、10に関しては結晶配向度も0.96以上の高い値が得られている。比較例7、8、9、10はいずれもキンクバンドが多数確認されたことから、紡糸速度に対してエア・ギャップ長(L)が短かすぎたためにヒートショックが発生し、高い弾性率が得られなかったものと考える。
実施例11〜15
住友化学株式会社製E6000(ペレット)を真空下、140℃にて16時間乾燥を行った。単軸の押出機を用いて、353℃にて樹脂を溶融押出し、ギアポンプを用いて計量し、金属不織布フィルター(日本精線株式会社NF−07)を介してノズルへ押し出した。ノズル直下にはヒーターを配置し、ノズル温度が353℃となるように設定した。さらにその下に、冷却バスを配置した。使用した冷却液体は水であり、水温は20℃であった。ノズルから押出された樹脂を冷却液体中に配置したフリーローラーを介して冷却媒体外の駆動ローラーへ導いた後、捲き取り機にて捲き取った。本駆動ローラーの速度を紡糸速度とした。紡糸条件および得られた繊維特性を表3に示した。
住友化学株式会社製E6000(ペレット)を真空下、140℃にて16時間乾燥を行った。単軸の押出機を用いて、353℃にて樹脂を溶融押出し、ギアポンプを用いて計量し、金属不織布フィルター(日本精線株式会社NF−07)を介してノズルへ押し出した。ノズル直下にはヒーターを配置し、ノズル温度が353℃となるように設定した。さらにその下に、冷却バスを配置した。使用した冷却液体は水であり、水温は20℃であった。ノズルから押出された樹脂を冷却液体中に配置したフリーローラーを介して冷却媒体外の駆動ローラーへ導いた後、捲き取り機にて捲き取った。本駆動ローラーの速度を紡糸速度とした。紡糸条件および得られた繊維特性を表3に示した。
実施例11〜15いずれもVs/L・lnψが3〜24の範囲であり、65GPa以上の高い弾性率が得られている。
Claims (4)
- 溶融液晶性を示す芳香族ポリエステルから単糸フィラメントの繊維径30μm以上、弾性率65GPa以上のフィラメントを製造する方法。
a)溶融液晶性を示す芳香族ポリエステルを溶融する工程;
b)前記溶融したポリエステルをノズルから押し出す工程;
c)前記ノズルから押し出したポリエステルを冷却液に通す工程;
d)巻取り速度をVs(m/sec)、ノズル面から冷却液までの距離をL(m)、ノズル径D(mm)と繊維径d(mm)の比D/dの2乗をψとすると、Vs/L・lnψが3以上、24以下の範囲内である工程。 - ノズル面から冷却液までの距離を0.5(m)以上とすることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリエステル繊維の製造方法。
- 下記式(I)、(II)、(III)、(IV)を構成単位とし、少なくとも(I)、(II)、(III)を含むランダムコポリマーからなる芳香族ポリエステルを用い、請求項1、2いずれかに記載の方法により繊維を製造する方法。
- 請求項3記載の(I)、(II)、(III)、(IV)を構成単位とし、全構成単位100モル%に対して、(I)の構成単位は50モル%以上、70モル%以下であり、(II)の構成単位は5モル%以上、30モル%以下であり、(III)の構成単位は10モル%以上、30モル%以下であり、(IV)の構成単位は0〜10モル%以下である芳香族ポリエステルから請求項1〜3いずれか1項に記載の繊維を製造する方法。
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CN108085771A (zh) * | 2017-12-14 | 2018-05-29 | 陈逊 | 一种聚酯液晶纤维的纺丝工艺 |
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