JP2014025615A - 熱交換器及びこれを備えた熱サイクル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】特殊な部材や技術を用いることなく、伝熱管の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りを抑制でき、熱交換状態を均一化することが可能な熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器Aは、対向する一対の第一分流管1及び第二分流管2と、前記一対の分流管を連結するとともに分流管が延びる長手方向に沿って上下に配列された、一方の分流管から他方の分流管まで冷媒を導く冷媒流路を内部に有する複数の伝熱管3とを備える。複数の伝熱管3は、複数の伝熱管3の配列方向の最上位に配置した第一伝熱管31と、第一伝熱管31より下方に配置した第二伝熱管32と、を含む。第一伝熱管31は第二伝熱管32と同流量の冷媒が流通したときの管摩擦損失が第二伝熱管32より小さくなるように、第二伝熱管32と異なる断面形状を有する。
【選択図】図1
【解決手段】熱交換器Aは、対向する一対の第一分流管1及び第二分流管2と、前記一対の分流管を連結するとともに分流管が延びる長手方向に沿って上下に配列された、一方の分流管から他方の分流管まで冷媒を導く冷媒流路を内部に有する複数の伝熱管3とを備える。複数の伝熱管3は、複数の伝熱管3の配列方向の最上位に配置した第一伝熱管31と、第一伝熱管31より下方に配置した第二伝熱管32と、を含む。第一伝熱管31は第二伝熱管32と同流量の冷媒が流通したときの管摩擦損失が第二伝熱管32より小さくなるように、第二伝熱管32と異なる断面形状を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱交換器及びこれを備えた熱サイクル装置に関する。
ルームエアコンやカーエアコンなどといったヒートポンプ式の空気調和機は蒸発器或いは凝縮器として、内部を流れる冷媒と自身の周囲に流れる流体(多くの場合空気)との間で熱交換を行う熱交換器を備えている。この熱交換器としては、2本の分流管と、それら2本の分流管を連結する複数の伝熱管とを有するパラレルフロー型の熱交換器が多く用いられている。
ここで、従来のパラレルフロー型の熱交換器の構造について図面を参照して説明する。図10は従来のパラレルフロー型の熱交換器の一例を示す概略図である。図10に示す熱交換器Bは取り付け状態を示している。すなわち、熱交換器Bは空気調和機などの熱サイクル装置の一部として用いられるとき、図中上側が鉛直上で、図中下側が鉛直下となるように配置される。
従来の熱交換器Bは、図10に示すように一対の分流管(第一分流管91、第二分流管92)と、複数の伝熱管93と、フィン94とを備えている。第一分流管91及び第二分流管92は各々垂直方向に延びるとともに水平方向に並んで配置される。複数の伝熱管93は第一分流管91及び第二分流管92を連結するとともにそれら分流管の長手方向(上下方向)に沿って一定の間隔(ピッチ)で配列される。フィン94は上下方向に隣り合う伝熱管93の間に配置される。
第一分流管91及び第二分流管92は各々、内部に冷媒が流通する分配流路911、921を備える。伝熱管93は内部に冷媒が流通する冷媒流路931を備える。第一分流管91の分配流路911と第二分流管92の分配流路921とは伝熱管93の冷媒流路931で連通される。冷媒は冷媒流路931を介して分配流路911から分配流路921まで、或いはその逆方向に導かれる。
伝熱管93について新たな図面を参照して詳細に説明する。図11は図10に示した熱交換器BのW−W線で切断した斜視図であり、図12は図10に示した熱交換器Bの伝熱管93のW−W線で切断した断面図である。伝熱管93は、図11及び図12に示すように偏平形状をなしており、内部に並んで配置された複数(ここでは6個)の冷媒流路931を備える。冷媒流路931はすべて同じ断面形状、断面積を有する。これにより、伝熱管93は冷媒と伝熱管93の内面との接触面積を大きくし、さらに冷媒流路931の代表寸法を小さくすることで単位面積あたりの熱伝達係数を増加させ、熱交換効率を高めている。そして、伝熱管93はその長手方向が第一分流管91及び第二分流管92の長手方向と直交するように第一分流管91及び第二分流管92に接続される。
一般的にパラレルフロー型の熱交換器の入口部分では冷媒が気液二相状態で流動するため、冷媒は重力の作用により気相冷媒と液相冷媒とに分離する。これにより、パラレルフロー型の熱交換器では上方に気相冷媒が溜まり、下方に液相冷媒が溜まる。そして、複数の伝熱管のうち、上部の伝熱管には気相冷媒が多く流入し、下部の伝熱管には液相冷媒が多く流入する。気相冷媒と液相冷媒とが分かれることで、伝熱管の間で冷媒流量に偏りが生じる所謂偏流となることが多い。
偏流により冷媒が不足気味となった冷媒流路では出口において過熱冷媒となり熱伝達性能が低下する。一方、液相冷媒が多量に流れる冷媒流路では出口において未蒸発の冷媒が多量に存在するため、結露や圧縮機損傷といった悪影響が危惧され、冷媒循環の阻害要因となる。このような課題に関連して、従来の熱交換器が特許文献1及び2に開示されている。
特許文献1に記載された従来の熱交換器は上流側分流管のさらに上流部に気液分離器を設けることにより、液相冷媒だけを伝熱管に流入させて偏流を抑制している。特許文献2に記載された従来の熱交換器は上流側分流管と下流側分流管とを気液分離筒で接続することにより、液相冷媒だけを伝熱管に流入させて偏流を抑制している。これらのような構成とすることで、熱交換器の冷媒状態を均質化している。そして、熱交換器をより均等な分流状態とすることで、熱交換効率を向上させている。
しかしながら、特許文献1に記載された従来の熱交換器は独立した気液分離器が必要であり、コストアップ及び機器の占有体積増加という課題があった。また、特許文献2に記載された従来の熱交換器は伝熱管が水平方向に延びる一般的な家庭用エアコンの熱交換器に採用できないという問題があった。
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、特殊な構造の部材や特殊な技術を用いることなく、伝熱管の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りを抑制することができ、熱交換状態を均一化することが可能なパラレルフロー型の熱交換器及びこれを備えた熱サイクル装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の熱交換器は、対向する一対の分流管と、前記一対の分流管を連結するとともに前記分流管が延びる長手方向に沿って上下に配列された、一方の前記分流管から他方の前記分流管まで冷媒を導く冷媒流路を内部に有する複数の伝熱管とを備え、前記複数の伝熱管は、前記複数の伝熱管の配列方向の最上位に配置した前記伝熱管及び/または最上位近傍に配置した前記伝熱管である第一伝熱管と、前記第一伝熱管より下方に配置した他の前記伝熱管である第二伝熱管と、を含み、前記第一伝熱管は、同流量の前記冷媒が前記冷媒流路を流通したときの管摩擦損失が前記第二伝熱管より小さくなる断面形状を有することを特徴としている。
この構成によれば、第一伝熱管は冷媒を流通させる能力が第二伝熱管より高くなる。そして、伝熱管の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが発生し難くなり、熱交換器の下部に液相冷媒が溜まる液溜りが抑制される。したがって、熱交換器の全体において均一に熱交換が行われ、全体としての熱交換効率が向上する。
また、上記構成の熱交換器において、前記第一伝熱管は、その前記冷媒流路の断面積が前記第二伝熱管の前記冷媒流路の断面積より大きいことを特徴としている。
また、上記構成の熱交換器において、前記複数の伝熱管は各々、内部に複数の前記冷媒流路を備え、前記第一伝熱管は、前記第一伝熱管一本当たりの前記冷媒流路の数が前記第二伝熱管一本当たりの前記冷媒流路の数より少ないことを特徴としている。
また、上記構成の熱交換器において、前記第一伝熱管は、その内部に単数の前記冷媒流路を備え、前記第二伝熱管は、その内部に複数の前記冷媒流路を備えることを特徴としている。
また、上記構成の熱交換器において、前記第一伝熱管は、その前記冷媒流路の断面のアスペクト比(=方形断面の長辺/短辺)が前記第二伝熱管の前記冷媒流路の断面のアスペクト比より小さいことを特徴としている。
また、上記構成の熱交換器において、前記第一伝熱管は、その一本が有するすべての前記冷媒流路を内包する最小面積の方形断面のアスペクト比(=方形の長辺/短辺)が、前記第二伝熱管一本が有するすべての前記冷媒流路を内包する最小面積の方形断面のアスペクト比より小さいことを特徴としている。
また、上記構成の熱交換器において、前記第一伝熱管は、その平均水力直径(=4×断面の前記冷媒流路の断面積/断面の冷媒接触部総長(濡れ縁長さ))が前記第二伝熱管の平均水力直径より大きいことを特徴としている。
また、上記構成の熱交換器において、前記第一伝熱管は、その一本が有するすべての前記冷媒流路に基づいて得られる平均水力直径(=4×断面の前記冷媒流路の断面積の総和/断面の冷媒接触部総長(濡れ縁長さ)の総和)が、前記第二伝熱管一本が有するすべての前記冷媒流路に基づいて得られる平均水力直径より大きいことを特徴としている。
また本発明では、熱サイクル装置が上記熱交換器を備えることとした。
この構成によれば、熱サイクル装置において伝熱管の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが抑制され、蒸発器として動作する熱交換器の全体で均一な熱交換が行われる。そして、蒸発器全体が均一或いは略均一に低温化し、蒸発器の表面に結露水が発生するまでの時間が長くなる。したがって、蒸発器の表面に結露水が付着することによる熱交換効率の低下が抑制され、熱サイクル装置の冷却効率及び/または加熱効率が向上する。
本発明の構成によれば、特殊な構造の部材や特殊な技術を用いることなく、伝熱管の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りを抑制することができ、熱交換状態を均一化することが可能なパラレルフロー型の熱交換器及びこれを備えた熱サイクル装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図1〜図9に基づき説明する。
<第1実施形態>
最初に、本発明の第1実施形態の熱交換器について、図1及び図2を用いてその構造の概略を説明する。図1は熱交換器の外観概略図、図2は図1に示す熱交換器のII−II線における垂直断面図である。以下の説明では、図1における左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とし、紙面奥行き方向をZ方向として説明する。図2のX方向、Y方向及びZ方向は図1の各方向と同じ方向を示す。なお、図1及び図2における上下方向(Y方向)は熱交換器自体の上下方向に一致する。
最初に、本発明の第1実施形態の熱交換器について、図1及び図2を用いてその構造の概略を説明する。図1は熱交換器の外観概略図、図2は図1に示す熱交換器のII−II線における垂直断面図である。以下の説明では、図1における左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とし、紙面奥行き方向をZ方向として説明する。図2のX方向、Y方向及びZ方向は図1の各方向と同じ方向を示す。なお、図1及び図2における上下方向(Y方向)は熱交換器自体の上下方向に一致する。
熱交換器Aは、図1に示すように2本の分流管(第一分流管1、第二分流管2)と、複数の伝熱管3と、フィン4とを備える。
第一分流管1、第二分流管2、伝熱管3及びフィン4は熱伝導性が比較的高く安価であり、加工性が良好であるなどのメリットを有している例えばアルミニウム、アルミニウム合金で形成される。なお、これらの構成要素の材料はアルミニウムやアルミニウム合金に限定されるわけではなく、その他、金、銅などといった熱伝導性が比較的高い金属を任意に用いても良いし、要素ごとに材料を替えても良い。
2本、すなわち対向する一対の第一分流管1及び第二分流管2は互いに図1においてY方向に延び、X方向に所定の間隔を空けて平行に配置される。第一分流管1及び第二分流管2は対向して概ね鏡像対称なる関係をなし、実質上同じ構造を備える。
第一分流管1は内部に冷媒が流通可能な分配流路11を備える。第一分流管1は上下方向の略中央部に、熱交換器Aの外側(図1のX方向左側)に向かって開口して分配流路11に連通する冷媒出入口12を備える。同様に、第二分流管2は内部に冷媒が流通可能な分配流路21を備える。第二分流管2は上下方向の略中央部に、熱交換器Aの外側(図1のX方向右側)に向かって開口して分配流路21に連通する冷媒出入口22を備える。
第一分流管1及び第二分流管2は各々冷媒出入口12、冷媒出入口22を介して不図示の異なる配管に接続され、内部が連通している。なお、冷媒出入口12及び冷媒出入口22が各々上下方向の略中央部に配置されていることとしたが、これらの配置は上下方向の略中央部に限定されるわけではなく、上部或いは下部であっても良い。
複数の伝熱管3は図1においてX方向に延び、Y方向に所定の間隔を空けて平行に配列されている。各伝熱管3は図1におけるX方向両端が第一分流管1、第二分流管2各々に接続される。伝熱管3の長手方向は第一分流管1、第二分流管2各々の長手方向に直交する。伝熱管3は金属(例えばアルミニウム)の押出成型体である。
複数の伝熱管3は、図1及び図2に示すように第一伝熱管31と第二伝熱管32とを含む。第一伝熱管31は複数の伝熱管3の配列方向の最上位に配置されている。第二伝熱管32は第一伝熱管31の下方に配列された他の複数の伝熱管3からなる。なお、この説明において特に限定する必要がある場合を除き、第一伝熱管31と第二伝熱管32とを総じて伝熱管3と称することがある。
第二伝熱管32は、図2に示すように断面で見た外形が略長方形状をなし、例えばその長辺が15mm、短辺が2mmの偏平チューブ形状で構成される。第二伝熱管32はその内部に、長手方向の一端から他端まで貫通して冷媒が流通する冷媒流路321を複数備える。
冷媒流路321は例えば断面で見た形状が直径1.5mmの円形状をなし、1本の第二伝熱管32に例えば6個設けられている。6個の冷媒流路321は図2におけるZ方向に互いに平行をなして所定の間隔で配列される。なお、冷媒流路31の断面形状は円形に限定されるものではなく、楕円、四角形、その他の多角形、或いはより複雑な他の形状などであっても良く、複数の冷媒流路321がそれぞれ異なる断面形状であっても良い。
一方、第一伝熱管31は第二伝熱管32と同流量の冷媒が流通したときの管摩擦損失が第二伝熱管32より小さくなるように、第二伝熱管32と異なる断面形状を有する。
すなわち、第一伝熱管31は、図2に示すように断面で見た外形が略長方形状をなし、例えばその長辺が15mm、短辺が4mmの偏平チューブ形状で構成される。第一伝熱管31はその内部に、長手方向の一端から他端まで貫通して冷媒が流通する単数の冷媒流路311を備える。冷媒流路311は例えば断面で見た形状が長辺14mm、短辺3mmである略長方形状をなす。
冷媒流路311及び冷媒流路321は各々長手方向の両端において分配流路11及び分配流路21に連通している。すなわち、熱交換器Aに流入した冷媒は冷媒流路311及び冷媒流路321を通って第一分流管1から第二分流管2まで、或いはその逆方向に流通する。
フィン4は図1におけるY方向に隣り合う伝熱管3どうしの間に配置され、伝熱管3に接合される。フィン4は平板を波形状(コルゲート形状)に成形した部材である。波形状をなすフィン4は図1における山の頂部が上側の伝熱管3に接触し、谷の底部が下側の伝熱管3に接触するように設けられる。フィン4は波形状をなすことにより外部空気との接触面積が広くなる。なお、熱交換器Aに対する通風方向は図1及び図2におけるZ方向である。また、フィン4は波形状をなすコルゲートフィンのほか、例えばプレートフィンやルーバーフィンなど他の形状で構成されていても良い。
第一分流管1、第二分流管2、伝熱管3及びフィン4は各々ロウ付け処理により接続される。これにより、熱交換器Aの内部を流通する冷媒の漏洩を防止することができ、伝熱管3とフィン4との間の熱伝導の効率を高めることができる。なお、各々ロウ付け処理に代えて、溶射処理や熱拡張、溶接などの接続処理方法を用いて各構成要素を連結しても良い。
上記構成の熱交換器Aに対して第一分流管1と第二分流管2との間で冷媒を流通させるとき、冷媒は複数の伝熱管3の内部を流通する。複数の伝熱管3では冷媒が冷媒流路311及び冷媒流路321に分かれて流通する。伝熱管3の内部の冷媒流路311及び冷媒流路321を流通する冷媒は伝熱管3及びフィン4を介して熱交換器Aの外部の流体(ここでは空気)と熱交換を行う。例えば、熱交換器Aを蒸発器として用いる場合、冷媒は外部の空気から熱を奪って蒸発(気化)する。一方、熱交換器Aを凝縮器として用いる場合、冷媒は外部の空気に対して熱を放出して凝縮(液化)する。
ここで、熱交換器Aの入り口側(例えば第一分流管1)に気液二相状態の冷媒が流入しているとすると、冷媒は重力の作用により液相冷媒が下方に移動し、気相冷媒が上方に移動して分離する。
図10〜図12を用いて説明した従来の熱交換器Bのように、熱交換器Bの上部及び下部の伝熱管93が各々同じ断面形状であると、第一分流管91の分配流路911の上部に気相冷媒が滞留し、下部に液相冷媒が滞留する。このため、上部に配置された伝熱管93には気相冷媒が多く流入し易く、下部に配置された伝熱管93には液相冷媒が多く流入し易くなる。したがって、従来の熱交換器Bは下部に液相冷媒が溜まる液溜まりが発生し、伝熱管93の設置位置によっては1本の伝熱管93内の複数の冷媒流路31を流れる冷媒の総流量に偏りが発生し易くなるという課題があった。すなわち、上部の伝熱管93では冷媒流量が比較的少なくなり、下部の伝熱管93では冷媒流量が比較的多くなる。
このような伝熱管の位置によって発生する冷媒流量の偏りを抑制するため、本発明の熱交換器Aは最上位及び/または最上位近傍の伝熱管3、すなわちここでは最上位に配置した第一伝熱管31が第二伝熱管32と同流量の冷媒が流通したときの管摩擦損失が第二伝熱管32より小さくなるように、第二伝熱管32と異なる断面形状を有する。
流体力学で一般的な管内流体の摩擦抵抗による圧力損失ΔP[Pa]を与えるダルシー・ワイスバッハの式によれば、
ΔP=λ×ρ×L×V2/Dh/2 ・・・(1)
である。
ΔP=λ×ρ×L×V2/Dh/2 ・・・(1)
である。
ここで、
λ :管摩擦損失係数
ブラジウスの式によれば乱流の場合、λ=0.316/Re^(1/4)
Re:レイノルズ数=V×Dh/ν
ν :流体の動粘性係数[m2/s]
ρ :流体の密度[kg/m3]
L :管の長さ[m]
V :管内の平均流速[m/s]=Q/S
Dh:平均水力直径[m]=4×S/a ・・・(2)
Q :管内の流体流量[m3/s]
S :管内の流路断面積[m2]
a :管内面への流体接触部総長(濡れ縁長さ)[m]
例えば、管内形状が半径rの円管であれば、a=2πr
管内形状が長辺s短辺tの長方形であれば、a=2×(s+t)
とする。
λ :管摩擦損失係数
ブラジウスの式によれば乱流の場合、λ=0.316/Re^(1/4)
Re:レイノルズ数=V×Dh/ν
ν :流体の動粘性係数[m2/s]
ρ :流体の密度[kg/m3]
L :管の長さ[m]
V :管内の平均流速[m/s]=Q/S
Dh:平均水力直径[m]=4×S/a ・・・(2)
Q :管内の流体流量[m3/s]
S :管内の流路断面積[m2]
a :管内面への流体接触部総長(濡れ縁長さ)[m]
例えば、管内形状が半径rの円管であれば、a=2πr
管内形状が長辺s短辺tの長方形であれば、a=2×(s+t)
とする。
ダルシー・ワイスバッハの式(1)に、λ=0.316/Re^(1/4)、Re=V×Dh/ν、V=Q/Sを代入して整理すると、
ΔP=0.316/2×ρ×ν^(1/4)×L/4^(5/4)×Q^(7/4)×a^(5/4) /S^3
・・・(3)
となる。
ΔP=0.316/2×ρ×ν^(1/4)×L/4^(5/4)×Q^(7/4)×a^(5/4) /S^3
・・・(3)
となる。
また、式(3)に平均水力直径Dh=4×S/a(式(2))の関係を代入して整理すると、
ΔP=0.316/2×ρ×ν^(1/4)×L/Dh^(5/4)×Q^(7/4)/S^(7/4)
・・・(4)
となる。
ΔP=0.316/2×ρ×ν^(1/4)×L/Dh^(5/4)×Q^(7/4)/S^(7/4)
・・・(4)
となる。
前述のように、第二伝熱管32の冷媒流路321は断面で見た形状が直径1.5mmの円形状をなして6個設けられ、第一伝熱管31の冷媒流路311は断面で見た形状が長辺14mm、短辺3mmである略長方形状をなして1個設けられている。式(4)においてρ、L、Qが等しいとすると、(第一伝熱管31での圧力損失ΔP1)/(第二伝熱管32での圧力損失ΔP2)=1/49.4となる。
第一伝熱管31及び第二伝熱管32は上流で分配流路11に連通し、下流で分配流路21に連通している。したがって、実際には圧力損失ΔP1と圧力損失ΔP2とが等しくなるように、第一伝熱管31を流動する冷媒流量Q1は第二伝熱管32を流動する冷媒流量Q2より大きくなる。式(4)においてΔP ∝ Q^(7/4)であることから考えると、Q1=9.3×Q2となり、第一伝熱管31の1本は第二伝熱管32の9本分以上の冷媒を流通させる能力を有することになる。
第一分流管1の分配流路11から第二分流管2の分配流路21に流通する冷媒は冷媒を流通させる能力が第二伝熱管32より高い、分配流路11の上部に配置した第一伝熱管31に多く流入する。これにより、伝熱管3の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが発生し難くなり、熱交換器Aの下部に液相冷媒が溜まる液溜りを抑制することが可能となる。そして、熱交換器Aはその伝熱管3のほぼ全体を占める第二伝熱管32で均一に熱交換を行う。その結果、熱交換器A全体としての熱交換効率も高くなる。
続いて、本発明の熱交換器Aを備える熱サイクル装置の一例である空気調和機について、図3を用いてその構成を説明する。図3は熱交換器Aを備える熱サイクル装置の一例である空気調和機を示す概略構成図である。
空気調和機80は、図3に示すように室内機81と室外機82とを備える。空気調和機80は室内機81と室外機82とを配管を接続することで閉回路が形成され、その回路の内部に冷媒が封入される。室内機81は室内熱交換器A1を備える。室外機82は室外熱交換器A2、膨張弁83、レシーバー84及び圧縮式の圧縮機85を備える。室内熱交換器A1及び室外熱交換器A2に本発明の熱交換器Aが採用されている。
次に、空気調和機80における冷媒の流れについて説明する。
まず、冷房運転のときの冷媒の流れについて説明する。空気調和機80が冷房運転を行っているとき、圧縮機85で圧縮された冷媒は高温高圧の気相冷媒として室外熱交換器A2に流入する。室外熱交換器A2において、冷媒は室外熱交換器A2に通風される室外空気との間で熱交換を行い、室外空気に対して放熱して凝縮する。この凝縮により冷媒は液化する。
室外熱交換器A2で液化した冷媒は冷媒を気液分離するレシーバー84を介して膨張弁83に流入し、絞られて低温低圧の液相冷媒となり室内熱交換器A1に流入する。室内熱交換器A1において、冷媒は室内熱交換器A1に通風される室内空気との間で熱交換を行い、室内空気に対して吸熱して蒸発、気化する。すなわち、室内機81は室内熱交換器A1に通風される室内空気から熱を奪って室内空気を冷却し、その空気を室内で循環させることにより室内を冷たくする。このようにして、空気調和機80が冷房運転を行っているとき、室内熱交換器A1は蒸発器として動作し、室外熱交換器A2は凝縮器として動作する。
空気調和機80が冷房運転を行っているとき、蒸発器として動作する室内熱交換器A1は内部に低温の冷媒が流れているので表面が室内空気の露点以下になることがある。そのとき、室内熱交換器A1の表面に室内熱交換器A1に通風される空気に含まれる水分が凝縮し、結露水が付着する。室内熱交換器A1として本発明の熱交換器Aを採用することで、伝熱管3の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが抑制され、室内熱交換器A1全体で均一な熱交換が行われる。そのため、室内熱交換器A1全体が均一或いは略均一に低温化し、室内熱交換器A1の表面に結露水が発生するまでの時間が長くなる。これにより、室内熱交換器A1の表面に結露水が付着することによる熱交換効率の低下が抑制され、空気調和機80の冷房効率の低下が抑制される。
続いて、暖房運転のときの冷媒の流れについて説明する。暖房運転時の冷媒の流れは冷房運転時と逆方向になる。すなわち、空気調和機80が暖房運転を行っているとき、圧縮機85で圧縮された冷媒は高温高圧の気相冷媒として室内熱交換器A1に流入する。室内熱交換器A1において、冷媒は室内熱交換器A1に通風される室内空気との間で熱交換を行い、室内空気に対して放熱して凝縮する。すなわち、室内機81は室内熱交換器A1に通風される室内空気に対して熱を与えて室内空気を加熱し、その空気を室内で循環させることにより室内を暖める。
凝縮された冷媒は膨張弁83で絞られて低温低圧の液相冷媒(或いは気液二相冷媒)となり、冷媒を気液分離するレシーバー84を介して室外熱交換器A2に流入する。室外熱交換器A2に流入する冷媒は気液二相冷媒であり、室外熱交換器A2に通風される空気との間で熱交換を行い、室外空気に対して吸熱して蒸発、気化する。このようにして、空気調和機80が暖房運転を行っているとき、室内熱交換器A1は凝縮器として動作し、室外熱交換器A2は蒸発器として動作する。
なお、空気調和機80において、圧縮機85より吐出された冷媒は図示を省略した四方弁を切り替えることにより室内熱交換器A1または室外熱交換器A2に送られる構成となっている。
空気調和機80が暖房運転を行っているときも、冷房運転を行っているとき同様、蒸発器として動作する室外熱交換器A2の表面に結露水が付着する。室外熱交換器A2も本発明の熱交換器Aを採用することで、その表面に結露水が発生するまでの時間が長くなる。これにより、室外熱交換器A2の表面に結露水が付着することによる熱交換効率の低下が抑制され、空気調和機80の暖房効率の低下が抑制される。
また、空気調和機80において、暖房運転は寒冷期に行われることがほとんどである。寒冷期の低温な室外気温の中で、蒸発器として動作する室外熱交換器A2が連続して熱交換を行うと、その表面の温度が結露水の凝固点よりも低くなることがある。これにより、結露した水分が凍結して霜が付着する所謂着霜が発生する。熱交換器に着霜が発生すると、フィン4の間が霜で埋まり通風が阻害されて熱交換効率が低下する。
本発明の熱交換器Aを室外熱交換器A2として用いている場合、室外熱交換器A2の表面温度に偏り難くなっている。これにより、室外熱交換器A2の表面の一部の温度が極度に低下してその部分から着霜し、着霜が全体に広がることを抑制することができる。したがって、室外熱交換器A2の着霜によりフィン4が目詰まりを起こすまでの時間を長くすることが可能である。なおここで、目詰まりとはフィン4の隙間に流れる空気の流量が着霜が発生していない状態のときに対して予め決められた割合になった状態のことを示す。
しかしながら、暖房運転を長時間続けると、本発明の室外熱交換器A2においてもフィン4の隙間で着霜による目詰まりを発生する場合がある。この場合、室外熱交換器A2に付着した霜を取り除く除霜運転を行う。空気調和機80の除霜運転は暖房運転と逆、すなわち冷房運転を行って高温の冷媒を室外熱交換器A2に流通させ、室外熱交換器A2の表面温度を上げてその表面に付着した霜を溶融させる。このとき、室外熱交換器A2では伝熱管3の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが抑制され、室内熱交換器A2全体で均一或いは略均一に冷媒が流通する。したがって、室外熱交換器A2の全体を均等或いは略均等に加熱することができ、室外熱交換器A2の表面に付着した霜を短時間で取り除くことが可能である。
上記のように、熱交換器Aは複数の伝熱管3がそれらの配列方向の最上位に配置した第一伝熱管31と、第一伝熱管31より下方に配置した第二伝熱管32と、を含み、第一伝熱管31が第二伝熱管32と同流量の冷媒が流通したときの管摩擦損失が第二伝熱管32より小さくなるように、第二伝熱管32と異なる断面形状を有する。これにより、第一伝熱管31は冷媒を流通させる能力が第二伝熱管32より高くなる。そして、伝熱管3の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが発生し難くなり、熱交換器Aの下部に液相冷媒が溜まる液溜りを抑制することが可能となる。したがって、熱交換器Aはその全体において均一に熱交換を行うことができ、全体としての熱交換効率を向上させることが可能である。
また、第一伝熱管31は冷媒流路311の断面積が第二伝熱管32の冷媒流路321の断面積より大きい。また、第一伝熱管31はその内部に単数の冷媒流路311を備え、第二伝熱管32はその内部に複数の冷媒流路321を備える。このように、第一伝熱管31は第二伝熱管32と異なる断面形状を有することで、第二伝熱管32と同流量の冷媒が流通したときの管摩擦損失が第二伝熱管32より小さくなる。したがって、第一伝熱管31は冷媒を流通させる能力が第二伝熱管32より高くなる。
また、空気調和機80が熱交換器Aを備えるので、伝熱管3の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが抑制され、蒸発器として動作する室内熱交換器A1または室外熱交換器A2の全体で均一な熱交換が行われる。これにより、蒸発器全体が均一或いは略均一に低温化し、蒸発器の表面に結露水が発生するまでの時間が長くすることができる。したがって、蒸発器の表面に結露水が付着することによる熱交換効率の低下を抑制することができ、空気調和機80の冷房効率及び暖房効率を向上させることが可能である。
さらに、着霜によりフィン4が目詰まりを起こすまでの時間を長くすることができるので、除霜運転の頻度を低減させることができ、除霜運転に要する時間も短縮化させることが可能である。したがって、熱サイクルの効率の低下を抑制することができ、空気調和機80の消費電力の削減、すなわち省エネルギー化を推進することが可能である。
そして、本発明の上記実施形態の構成によれば、特殊な構造の部材や特殊な技術を用いることなく、伝熱管3の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りを抑制することができ、熱交換状態を均一化することが可能なパラレルフロー型の熱交換器A及びこれを備えた空気調和機80を提供することができる。
なお、上述の実施形態では、本発明の熱交換器Aの適用対象として空気調和機80の室外機82の室内熱交換器A1及び室外熱交換器A2を一例に掲げて説明しているが、熱交換器Aの適用対象はこれらに限定されるわけではなく、他の機器であっても良い。例えば、冷却庫の庫内に配置される蒸発器、乾燥器の室外側ユニットの熱交換器など、冷媒と外気との間で熱交換を行うとともに、表面が外気の露点以下となるような熱交換器に対して採用することが可能である。
また、本発明の熱サイクル装置の適用対象として空気調和機80を一例に掲げて説明しているが、熱サイクル装置の適用対象はこれに限定されるわけではなく、他の装置であっても良い。例えば、内部で食品等の物品を冷却する冷却庫の冷凍機、洗濯機や給湯器に用いられるヒートポンプなど、結露、着霜が発生し易い熱交換器を備えた装置に広く採用することが可能である。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態の熱交換器について、図4を用いて説明する。図4は熱交換器の伝熱管の垂直断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
次に、本発明の第2実施形態の熱交換器について、図4を用いて説明する。図4は熱交換器の伝熱管の垂直断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
第2実施形態の熱交換器Aにおいて第一伝熱管33は、図4に示すように断面で見た外形が円形状をなす。第一伝熱管33はその内部に、長手方向の一端から他端まで貫通して冷媒が流通する単数の冷媒流路331を備える。冷媒流路331は例えば断面で見た形状が直径6mmの円形状をなす。前記式(2)によれば、第一伝熱管33の1本は第二伝熱管32の7.2本分の冷媒を流通させる能力を有する。
この構成によれば、複数の伝熱管3において、冷媒は冷媒を流通させる能力が第二伝熱管32より高い第一伝熱管33に多く流入する。これにより、伝熱管3の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが発生し難くなり、熱交換器Aの下部に液相冷媒が溜まる液溜りを抑制することが可能となる。したがって、熱交換器Aはその全体において均一に熱交換を行うことができ、全体としての熱交換効率を向上させることが可能である。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態の熱交換器について、図5を用いて説明する。図5は熱交換器の伝熱管の垂直断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
次に、本発明の第3実施形態の熱交換器について、図5を用いて説明する。図5は熱交換器の伝熱管の垂直断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
第3実施形態の熱交換器Aにおいて伝熱管3は、図5に示すように内部に2個の冷媒流路341を有するす第一伝熱管34を1本備える。2個の冷媒流路341は断面で見た形状がともに同じ略長方形状をなし、熱交換器Aに対する通風方向(図5のZ方向)に並べて配置される。
この構成によれば、複数の伝熱管3において、冷媒は冷媒を流通させる能力が第二伝熱管32より高い第一伝熱管34に多く流入する。これにより、伝熱管3の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが発生し難くなり、熱交換器Aの下部に液相冷媒が溜まる液溜りを抑制することが可能となる。したがって、熱交換器Aはその全体において均一に熱交換を行うことができ、全体としての熱交換効率を向上させることが可能である。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態の熱交換器について、図6を用いて説明する。図6は熱交換器の伝熱管の垂直断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
次に、本発明の第4実施形態の熱交換器について、図6を用いて説明する。図6は熱交換器の伝熱管の垂直断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
第4実施形態の熱交換器Aにおいて伝熱管3は、図6に示すように断面で見た外形が円形状をなす第一伝熱管33を2本備える。2本の第一伝熱管33は外径及び内径(冷媒流路331の直径)がともに同じ円形をなし、熱交換器Aに対する通風方向(図6のZ方向)に並べて配置される。
この構成によれば、複数の伝熱管3において、冷媒は冷媒を流通させる能力が第二伝熱管32より高い2本の第一伝熱管33に多く流入する。これにより、伝熱管3の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが発生し難くなり、熱交換器Aの下部に液相冷媒が溜まる液溜りを抑制することが可能となる。したがって、熱交換器Aはその全体において均一に熱交換を行うことができ、全体としての熱交換効率を向上させることが可能である。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態の熱交換器について、図7を用いて説明する。図7は熱交換器の伝熱管の垂直断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
次に、本発明の第5実施形態の熱交換器について、図7を用いて説明する。図7は熱交換器の伝熱管の垂直断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
第5実施形態の熱交換器Aにおいて伝熱管3は、図7に示すように断面で見た外形が円形状をなす第一伝熱管33を2本備える。2本の第一伝熱管33は外径及び内径(冷媒流路331の直径)がともに同じ円形をなし、上下方向(図7のY方向)に並べて配置される。すなわち、2本の第一伝熱管33は複数の伝熱管3の配列方向の最上位及び最上位近傍に配置される。
この構成によれば、複数の伝熱管3において、冷媒は冷媒を流通させる能力が第二伝熱管32より高い2本の第一伝熱管33に多く流入する。これにより、伝熱管3の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが発生し難くなり、熱交換器Aの下部に液相冷媒が溜まる液溜りを抑制することが可能となる。したがって、熱交換器Aはその全体において均一に熱交換を行うことができ、全体としての熱交換効率を向上させることが可能である。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態の熱交換器について、図8を用いて説明する。図8は熱交換器の伝熱管の垂直断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
次に、本発明の第6実施形態の熱交換器について、図8を用いて説明する。図8は熱交換器の伝熱管の垂直断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
第6実施形態の熱交換器Aにおいて伝熱管3は、図8に示すように断面で見た外形が円形状をなす第一伝熱管33、35を1本ずつ備える。第一伝熱管33、35は熱交換器Aの上下方向(図8のY方向)に並べて配置される。第一伝熱管33、35のうち下側に配置された第一伝熱管33の直径は第一伝熱管35の直径より大きく、冷媒流路331の直径も冷媒流路351の直径より大きい。前記式(2)によれば、第一伝熱管35の冷媒を流通させる能力も第二伝熱管32の冷媒を流通させる能力を上回っている。
この構成によれば、複数の伝熱管3において、冷媒は冷媒を流通させる能力が第二伝熱管32より高い第一伝熱管33、35に多く流入する。これにより、伝熱管3の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが発生し難くなり、熱交換器Aの下部に液相冷媒が溜まる液溜りを抑制することが可能となる。したがって、熱交換器Aはその全体において均一に熱交換を行うことができ、全体としての熱交換効率を向上させることが可能である。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態の熱交換器について、図9を用いて説明する。図9は熱交換器の伝熱管の垂直断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
次に、本発明の第7実施形態の熱交換器について、図9を用いて説明する。図9は熱交換器の伝熱管の垂直断面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図3を用いて説明した前記第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
第7実施形態の熱交換器Aにおいて第一伝熱管31は、図9に示すように最上位ではなく最上位近傍、すなわち最上位から2番目に配置される。この場合、第一伝熱管31より上方に配置した第二伝熱管32は第一伝熱管31より下方に配置した他の第二伝熱管32より1本あたりの熱交換効率が低下する虞がある。しかしながら、熱交換器Aの製造や機器への固定などの都合で第一伝熱管31を最上位に配置できない場合、この実施形態の構造にすることも可能である。
この構成によれば、複数の伝熱管3において、冷媒は冷媒を流通させる能力が第二伝熱管32より高い第一伝熱管31に多く流入する。これにより、第一伝熱管31より下方に関して、伝熱管3の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが発生し難くなり、熱交換器Aの下部に液相冷媒が溜まる液溜りを抑制することが可能となる。したがって、熱交換器Aはその全体において略均一に熱交換を行うことができ、全体としての熱交換効率を向上させることが可能である。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、第一伝熱管及び第二伝熱管の形状や寸法、数量は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、第一伝熱管が、同流量の冷媒が流通したときの管摩擦損失が第二伝熱管より小さくなる断面形状を有するのであれば他の構成であっても良い。例えば、第二伝熱管に対して、平均水力直径が10%大きく、冷媒流路の断面積が10%大きい断面形状は同流量の冷媒が流通したときの管摩擦損失が小さくなる。
また、第二伝熱管に対して、平均水力直径が10%小さいが、冷媒流路の断面積が10%大きい管断面形状も同流量の冷媒が流通したときの管摩擦損失が小さくなる。このことは、前述の式(4)で示したように、圧力損失ΔPに対する平均水力直径Dhの寄与率が−5/4乗なのに対し、冷媒流路の断面積Sの寄与率は−7/4乗であり、冷媒流路の断面積Sの寄与率のほうが大きいことに基づく。すなわち、増減の割合が同じであれば、冷媒流路の断面積を大きくしたときの効果が平均水力直径を小さくしたときの効果を上回る。
また、例えばここで、第一伝熱管31の冷媒流路311は断面で見た形状が一辺3mmの1個の略正方形状であって、第二伝熱管32の冷媒流路321は断面で見た形状が長辺9mm、短辺1mmの1個の略長方形状であるとする。冷媒流路311と冷媒流路321の断面積Sは9mm2で等しい。
冷媒流路311は断面形状のアスペクト比が長辺3mm/短辺3mm=1であり、管内面への流体接触部総長がa=2×(3+3)=12mmである。冷媒流路311の平均水力直径Dh(式(2))は4×9/12=3mmである。
一方、冷媒流路321は断面形状のアスペクト比が長辺9mm/短辺1mm=9であり、管内面への流体接触部総長がa=2×(9+1)=20mmである。冷媒流路321の平均水力直径Dh(式(2))は4×9/20=1.8mmである。
前述の式(4)においてρ、L、Q、Sが等しいとすると、(第一伝熱管31での圧力損失ΔP1)/(第二伝熱管32での圧力損失ΔP2)=1/1.89となる。したがって、式(4)によればρ、L、Q、Sが等しいとすると、平均水力直径Dhが大きくなる、すなわち管内面への流体接触部総長aが小さくなる(アスペクト比が小さくなる)に従って圧力損失ΔPが低減することが分かる。
このようにして、第一伝熱管31の平均水力直径Dhを第二伝熱管32の平均水力直径Dhより大きくする、または第一伝熱管31の冷媒流路311の断面のアスペクト比を第二伝熱管32の冷媒流路321の断面のアスペクト比より小さくすることにより、第一伝熱管31は第二伝熱管32と同流量の冷媒が流通したときの管摩擦損失が小さくなる。これにより、第一伝熱管31は冷媒を流通させる能力が第二伝熱管32より高くなる。そして、伝熱管3の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが発生し難くなり、熱交換器Aの下部に液相冷媒が溜まる液溜りを抑制することが可能となる。したがって、熱交換器Aはその全体において均一に熱交換を行うことができ、全体としての熱交換効率を向上させることが可能である。
これに関連して、第一伝熱管が単数または複数の冷媒流路を備え、第二伝熱管が複数の冷媒流路を有する場合、第一伝熱管はその一本が有するすべての冷媒流路を内包する最小面積の方形断面のアスペクト比(=方形の長辺/短辺)が、第二伝熱管一本が有するすべての冷媒流路を内包する最小面積の方形断面のアスペクト比より小さい。同様に、第一伝熱管が単数または複数の冷媒流路を備え、第二伝熱管が複数の冷媒流路を有する場合、第一伝熱管はその一本が有するすべての冷媒流路に基づいて得られる平均水力直径(=4×断面の前記冷媒流路の断面積の総和/断面の冷媒接触部総長(濡れ縁長さ)の総和)が、第二伝熱管一本が有するすべての冷媒流路に基づいて得られる平均水力直径より大きい。
アスペクト比に関して説明すると、例えば第一実施形態の第一伝熱管31の冷媒流路311はアスペクト比が4.67(=長辺14mm/短辺3mm)である。一方、第二伝熱管32一本が有する6個の冷媒流路321を内包する最小面積の方形断面(図2に破線で描画、長辺は第一伝熱管31と同じ、短辺は冷媒流路321の直径と同じ)のアスペクト比は9.33(=長辺14mm/短辺1.5mm)である。したがって、第一伝熱管31はその一本が有する1個の冷媒流路311のアスペクト比が、第二伝熱管32一本が有する6個の冷媒流路321を内包する最小面積の方形断面のアスペクト比より小さい。
平均水力直径に関して説明すると、例えば第一伝熱管31の冷媒流路311は平均水力直径Dhが4.94である。一方、第二伝熱管32一本が有する6個の冷媒流路321に基づいて得られる平均水力直径Dhは3である。したがって、第一伝熱管31はその一本が有する1個の冷媒流路311の平均水力直径Dhが、第二伝熱管32一本が有する6個の冷媒流路321に基づいて得られる平均水力直径Dhより大きい。
これらの構成であっても、第一伝熱管は第二伝熱管と同流量の冷媒が流通したときの管摩擦損失が小さくなる。これにより、第一伝熱管は冷媒を流通させる能力が第二伝熱管より高くなる。そして、伝熱管の設置位置によって発生する冷媒流量の偏りが発生し難くなり、熱交換器の下部に液相冷媒が溜まる液溜りを抑制することが可能となる。したがって、熱交換器はその全体において均一に熱交換を行うことができ、全体としての熱交換効率を向上させることが可能である。
本発明は、熱交換器及びこれを備えた熱サイクル装置において利用可能である。例えば、居室や自動車の空気調和機、冷却庫、乾燥機などといった熱サイクルを利用した装置の熱交換器として利用することが可能である。
A 熱交換器
1 第一分流管
2 第二分流管
3 伝熱管
4 フィン
11、21 分配流路
31、33、34、35 第一伝熱管
32 第二伝熱管
311、321、331、341、351 冷媒流路
80 空気調和機(熱サイクル装置)
81 室内機
82 室外機
A1 室内熱交換器
A2 室外熱交換器
1 第一分流管
2 第二分流管
3 伝熱管
4 フィン
11、21 分配流路
31、33、34、35 第一伝熱管
32 第二伝熱管
311、321、331、341、351 冷媒流路
80 空気調和機(熱サイクル装置)
81 室内機
82 室外機
A1 室内熱交換器
A2 室外熱交換器
Claims (9)
- 対向する一対の分流管と、
前記一対の分流管を連結するとともに前記分流管が延びる長手方向に沿って上下に配列された、一方の前記分流管から他方の前記分流管まで冷媒を導く冷媒流路を内部に有する複数の伝熱管とを備え、
前記複数の伝熱管は、前記複数の伝熱管の配列方向の最上位に配置した前記伝熱管及び/または最上位近傍に配置した前記伝熱管である第一伝熱管と、前記第一伝熱管より下方に配置した他の前記伝熱管である第二伝熱管と、を含み、
前記第一伝熱管は、同流量の前記冷媒が前記冷媒流路を流通したときの管摩擦損失が前記第二伝熱管より小さくなる断面形状を有することを特徴とする熱交換器。 - 前記第一伝熱管は、その前記冷媒流路の断面積が前記第二伝熱管の前記冷媒流路の断面積より大きいことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
- 前記複数の伝熱管は各々、内部に複数の前記冷媒流路を備え、
前記第一伝熱管は、前記第一伝熱管一本当たりの前記冷媒流路の数が前記第二伝熱管一本当たりの前記冷媒流路の数より少ないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器。 - 前記第一伝熱管は、その内部に単数の前記冷媒流路を備え、前記第二伝熱管は、その内部に複数の前記冷媒流路を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器。
- 前記第一伝熱管は、その前記冷媒流路の断面のアスペクト比(=方形断面の長辺/短辺)が前記第二伝熱管の前記冷媒流路の断面のアスペクト比より小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器。
- 前記第一伝熱管は、その一本が有するすべての前記冷媒流路を内包する最小面積の方形断面のアスペクト比(=方形の長辺/短辺)が、前記第二伝熱管一本が有するすべての前記冷媒流路を内包する最小面積の方形断面のアスペクト比より小さいことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の熱交換器。
- 前記第一伝熱管は、その平均水力直径(=4×断面の前記冷媒流路の断面積/断面の冷媒接触部総長(濡れ縁長さ))が前記第二伝熱管の平均水力直径より大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器。
- 前記第一伝熱管は、その一本が有するすべての前記冷媒流路に基づいて得られる平均水力直径(=4×断面の前記冷媒流路の断面積の総和/断面の冷媒接触部総長(濡れ縁長さ)の総和)が、前記第二伝熱管一本が有するすべての前記冷媒流路に基づいて得られる平均水力直径より大きいことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の熱交換器。
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の熱交換器を備えたことを特徴とする熱サイクル装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016109358A (ja) * | 2014-12-08 | 2016-06-20 | 株式会社デンソー | 熱交換器及び熱交換器の製造方法 |
CN113574342A (zh) * | 2019-03-26 | 2021-10-29 | 三菱电机株式会社 | 热交换器及制冷循环装置 |
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2012
- 2012-07-25 JP JP2012164549A patent/JP2014025615A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016109358A (ja) * | 2014-12-08 | 2016-06-20 | 株式会社デンソー | 熱交換器及び熱交換器の製造方法 |
CN113574342A (zh) * | 2019-03-26 | 2021-10-29 | 三菱电机株式会社 | 热交换器及制冷循环装置 |
CN113574342B (zh) * | 2019-03-26 | 2023-08-18 | 三菱电机株式会社 | 热交换器及制冷循环装置 |
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