JP2014020381A - 焼結金属伝動輪 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この課題解決のため、中心部に回転軸挿通孔1を備えた焼結金属伝動輪において、回転軸挿通孔1を入口ガイド孔2と主挿通孔3とで構成し、入口ガイド孔2はその内径2Φが奥側に行くにつれて縮径するテーパ形状とし、入口ガイド孔2の奥端縁2aから回転軸挿通孔1の中心軸線1aと平行な向きに沿って主挿通孔3を導出した。回転軸挿通孔1の入口ガイド孔2のテーパ勾配角度Θを0.2°から5°の範囲に設定する。伝動輪本体部4とボス部5とを備え、伝動輪本体部4は外周に他の伝動体と係合する伝動係合部6を備え、ボス部5は伝動輪本体部4の端面4aから回転軸挿通孔1の中心軸線1aに沿って突出させ、ボス部5の突出端部5aにのみ入口ガイド孔2を設ける。
【選択図】 図2
Description
この種の焼結金属伝動輪によれば、焼結金属材料を用いることにより、低コストで高剛性の伝動輪を提供できる利点がある。
しかし、この従来技術では、図3に示すように、回転軸挿通孔(101)は、内径(101Φ)が同一径で、回転軸挿通孔(101)の中心軸線と平行な向きに沿う円柱周面形状であるため、問題がある。
図3に示すように、回転軸挿通孔(101)は、内径(101Φ)が同一径で、回転軸挿通孔(101)の中心軸線(101a)と平行な向きに沿う円柱周面形状であるため、回転軸挿通孔(101)と回転軸(108)との嵌め合いを締まり嵌めで行う場合、回転軸挿通孔(101)への回転軸(108)の圧入時に、回転軸挿通孔(101)の開口縁部(101b)に回転軸(108)の挿入端周縁部(108a)が突き当たり、回転軸(108)の周面(108b)にまくれが発生し、回転軸(108)が損傷するおそれがあった。また、回転軸挿通孔(101)の入口部(101b)にガイド機能がないため、回転軸挿通孔(101)への回転軸(108)の圧入時に、回転軸挿通孔(101)と回転軸(108)とが芯ずれを起こすおそれもあった。これらの問題を回避するためには、回転軸挿通孔(101)と回転軸(108)との締めしろを小さくする必要があり、その結果、回転軸(108)に対する焼結金属伝動輪(107)の固定強度が弱まり、焼結金属伝動輪(107)と回転軸(108)を用いた伝動機構の伝達力を大きくすることができなかった。
なお、回転軸挿通孔(101)と回転軸(108)との嵌め合いを締まり嵌めで行う場合には、回転軸(108)の外径(108Φ)は、回転軸挿通孔(101)の内径(101Φ)よりも大きくする。
図1(A)〜(C)に例示するように、中心部に回転軸挿通孔(1)を備えた焼結金属伝動輪において、
図1(A)または図2に例示するように、回転軸挿通孔(1)を入口ガイド孔(2)と主挿通孔(3)とで構成し、入口ガイド孔(2)はその内径(2Φ)が奥側に行くにつれて縮径するテーパ形状とし、入口ガイド孔(2)の奥端縁(2a)から回転軸挿通孔(1)の中心軸線(1a)と平行な向きに沿って主挿通孔(3)を導出した、ことを特徴とする焼結金属伝動輪。
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 伝動機構の伝達力を大きくすることができる。
図1(A)または図2に例示するように、回転軸挿通孔(1)と回転軸(8)との嵌め合いを締まり嵌めで行う場合、回転軸挿通孔(1)への回転軸(8)の圧入時に、テーパ形状の入口ガイド孔(2)で回転軸(8)の挿入端周縁部(8a)が案内され、回転軸(8)が回転軸挿通孔(1)と芯合わせされながら、回転軸挿通孔(1)に進入し、回転軸(8)が回転軸挿通孔(1)の内周面全周の焼結金属組織を均等に変形させながら、回転軸挿通孔(1)を押し広げる。このため、回転軸(8)の周面(8a)にまくれが発生せず、回転軸(8)の損傷が防止される。また、回転軸挿通孔(1)と回転軸(8)との芯ずれも防止される。このため、回転軸挿通孔(1)と回転軸(8)との締めしろを大きくすることができ、その結果、回転軸(8)に対する焼結金属伝動輪(7)の取付強度が高まり、焼結金属伝動輪(7)と回転軸(8)を用いた伝動機構の伝達力を大きくすることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 入口ガイド孔で回転軸の挿入端周縁部の案内をスムーズに行うことができるとともに、回転軸の周面にまくれが発生するのを防止することができる。
図2に例示するように、回転軸挿通孔(1)の入口ガイド孔(2)のテーパ勾配角度Θを0.2°未満とした場合には、テーパ勾配角度Θが小さすぎ、回転軸挿通孔(1)への回転軸(8)の圧入時に、入口ガイド孔(2)での圧入抵抗が大きくなり、入口ガイド孔(2)で回転軸(8)の挿入端周縁部(8a)の案内をスムーズに行うことができないことがあり、上記テーパ勾配角度Θを5°超えとした場合には、テーパ勾配角度Θが大きすぎ、入口ガイド孔(2)の奥端縁(2a)の強度を確保する必要上、入口ガイド孔(2)の奥端縁(2a)に径方向に沿う円環面(円環面(2b)と同様のもの)を形成する必要があり、回転軸(8)の圧入時に円環面に回転軸(8)の挿入端周縁部(8a)が突き当たり、回転軸(8)の周面(8b)にまくれが発生するおそれがある。これに対し、上記テーパ勾配角度Θを0.2°から5°の範囲に設定した場合には、このような問題が発生せず、入口ガイド孔(2)で回転軸(8)の挿入端周縁部(8a)の案内をスムーズに行うことができるとともに、回転軸(8)の周面(8b)でまくれが発生するのを防止することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 伝動機構の伝達力をより大きくすることができる。
図1(A)〜(C)に例示するように、テーパ形状の入口ガイド部(2)はボス部(5)の突出端部(5a)にのみあり、伝動輪本体部(4)にはないため、回転軸(8)に対する伝動輪本体部(4)の取付強度が高まり、焼結金属伝動輪(7)と回転軸(8)を用いた伝動機構の伝達力をより大きくすることができる。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》入口ガイド孔で回転軸と回転軸挿通孔との芯合わせを適正に行うことができるとともに、回転軸に対する焼結金属伝動輪の取付強度を高く維持することができる。
図2に例示するように、入口ガイド孔(2)の長さGLに関する値GL/TLの百分率を2%未満とした場合には、入口ガイド孔(2)の長さGLの割合が小さすぎ、入口ガイド孔(2)で回転軸(8)と回転軸挿通孔(1)との芯合わせを適正に行うことができないことがあり、上記値GL/TLの百分率を10%超えとした場合には、主挿通孔MLの割合を小さくせざるを得ず、回転軸(8)に対する焼結金属伝動輪の取付強度が不十分になることがある。これに対し、上記値GL/TLの百分率を2%から10%の範囲に設定した場合には、このような問題が発生せず、入口ガイド孔(2)で回転軸(8)と回転軸挿通孔(1)との芯合わせを適正に行うことができるとともに、回転軸(8)に対する焼結金属伝動輪(7)の取付強度を高く維持することができる。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 回転軸に対する焼結金属伝動輪の取付強度を高く維持することができるとともに、入口ガイド孔で回転軸と回転軸挿通孔との芯合わせを適正に行うことができる。
図2に例示するように、主挿通孔(3)の長さMLに関する値ML/TLの百分率を86%未満とした場合には、主挿通孔(3)の長さMLの割合が小さすぎ、回転軸(8)に対する焼結金属伝動輪(7)の取付強度が不十分になることがあり、上記値ML/TLの百分率を94%超えとした場合には、入口ガイド孔(2)の長さGLの割合を小さくせざるを得ず、入口ガイド孔(2)で回転軸(8)と回転軸挿通孔(1)との芯合わせを適正に行うことができないことがある。これに対し、上記値ML/TLの百分率を86%から94%の範囲に設定した場合には、このような問題が発生せず、回転軸(8)に対する焼結金属伝動輪(7)の取付強度を高く維持することができるとともに、入口ガイド孔(2)で回転軸(8)と回転軸挿通孔(1)との芯合わせを適正に行うことができる。
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》回転軸の周面にまくれが発生するのを防止することができる。
回転軸挿通孔(1)の内周面部分を構成する焼結金属組織に潤滑剤を保有させたので、回転軸挿通孔(1)への回転軸(8)の圧入時に、回転軸(8)の摺動抵抗が小さくなり、回転軸(8)の周面(8b)にまくれが発生するのを防止することができる。
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 回転軸の周面にまくれが発生するのを防止することができる。
回転軸挿通孔(1)の入口ガイド孔(2)の内周面部分を構成する焼結金属組織の密度Gρを小さくすることができるため、回転軸挿通孔(1)への回転軸(8)の圧入時に、入口ガイド孔(2)の内周面部分の金属合金組織が変形しやすく、回転軸(8)の周面(8b)にまくれが発生するのを防止することができる。
伝動係合部(6)を構成する焼結金属組織の密度Cρを大きくすることができるため、伝動係合部(6)の剛性を高く維持することができる。
請求項8に係る発明は、請求項7に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 回転軸の圧入時に伝動輪と回転軸とが芯ずれするのを防止することができるとともに、回転軸の周面にまくれが発生するのを防止することができる。
入口ガイド孔(2)の内周面部分を構成する焼結金属組織の密度Gρを5.6g/cm3未満とした場合には、入口ガイド孔(2)の剛性が低すぎ、回転軸(8)の圧入時に、入口ガイド孔(2)の内周面部分が過剰に変形し、入口ガイド孔(2)で回転軸(8)と回転軸挿通孔(1)との芯合わせを適正に行うことができないことがあり、上記密度Gρを6.2g/cm3超えとした場合には、入口ガイド孔(2)の剛性が高くなりすぎ、回転軸(8)の圧入時に入口ガイド孔(2)での圧入抵抗が大きすぎ、回転軸(8)の周面(8b)にまくれが発生するおそれがある。これに対し、上記密度Gρを5.6g/cm3から6.2g/cm3の範囲に設定した場合には、このような問題が発生せず、回転軸(8)の圧入時に焼結金属伝動輪(7)と回転軸(8)とが芯ずれするのを防止することができるとともに、回転軸(8)の周面(8b)にまくれが発生するのを防止することができる。
伝動係合部(6)を構成する焼結金属組織の密度Cρを6.6g/cm3未満とした場合には、その密度が低すぎ、伝動係合部(6)の剛性が不十分になることがあり、上記密度Cρを7.3g/cm3超えとした場合には、その密度が高すぎ、焼結金属伝動輪(7)が高重量となることがある。これに対し、上記密度を6.6g/cm3から7.3g/cm3の範囲に設定した場合には、このような問題が発生せず、伝動係合部(6)の剛性を高く維持することができるとともに、焼結金属伝動輪(7)の重量を低く維持することができる。
図1(A)または図2に示すように、回転軸挿通孔(1)を入口ガイド孔(2)と主挿通孔(3)とで構成し、入口ガイド孔(2)はその内径(2Φ)が奥側に行くにつれて縮径するテーパ形状とし、入口ガイド孔(2)の奥端縁(2a)から回転軸挿通孔(1)の中心軸線(1a)と平行な向きに沿って主挿通孔(3)を導出している。
図2に示すように、回転軸挿通孔(1)の内径、すなわち、入口ガイド孔(2)の内径(2Φ)と主挿通孔(3)の内径(3Φ)よりも、回転軸(8)の外径(8Φ)を大きくし、回転軸挿通孔(1)と回転軸(8)の嵌め合いを締まり嵌めで行うようになっている。
主挿通孔(3)は、回転軸挿通孔(1)の中心軸線(1a)と平行な向きで、内径(3Φ)が同一の円柱周面形状となっている。主挿通孔(3)は、成型の精度上、内径(3Φ)が完全に同一の円柱周面形状にならず、若干のテーパが形成される場合でも、そのテーパ勾配角度は、0.2°未満とすることが望ましい。
図1(B)に示すように、回転軸(8)のキー溝(8c)にキー(9)を嵌合させ、このキー(9)を回転軸挿通孔(1)のキー溝(1b)に嵌合させている。
入口ガイド孔(2)に向けた入口面取部(7a)を形成する場合には、入口ガイド孔(2)の入口端縁部の強度を確保するため、入口端縁部に径方向に沿う円環面(2b)を形成する必要がある。
なお、焼結金属伝動輪(7)の出口端部には、主挿通孔(3)に向け出口面取部(7c)が形成されている。この出口面取部(7c)のテーパ勾配角度も60°に設定している。この出口面取部(7c)のテーパ勾配角度も40°〜80°に設定するのが望ましく、45°〜75°に設定するのがより望ましく、50°〜70°に設定するのが最も望ましい。
このテーパ勾配角度Θは、回転軸挿通孔(1)と平行な基準線(1b)に対する入口ガイド孔(2)のの勾配角度である。
テーパ勾配角度Θは、0.6°から4.6°の範囲とするのが望ましく、1.0°から4.2°の範囲とするのがより望ましく、1.4°から3.8°の範囲とするのが最も望ましい。
他の伝動体は、この実施形態の場合、アイドルギヤ等の伝動ギヤである。伝動係合部(6)は、ギヤの歯である。
潤滑剤としては、二硫化モリブデン、樹脂、グリース等を用いることができ、二硫化モリブデンや樹脂は、焼結金属の原料粉末に混入させることにより、グリースは、焼結後に焼結品に含浸させることにより、回転軸挿通孔(1)の内周面部分を構成する焼結金属組織に保有させることができる。
(1a) 中心軸線
(2) 入口ガイド孔
(2a) 奥端縁
(3) 主挿通孔
(4) 伝動輪本体部
(4a) 端面
(5) ボス部
(5a) 突出端部
(6) 伝動係合部
(7) 焼結金属伝動輪
(8) 回転軸
(8a) 挿入端周縁部
GL 入口ガイド孔の長さ
TL 焼結金属伝動輪の全長長さ
GL/TL GLに関する値
ML 主挿通孔の長さ
ML/TLMLに関する値
Gρ 密度
Cρ 密度
Claims (8)
- 中心部に回転軸挿通孔(1)を備えた焼結金属伝動輪において、
回転軸挿通孔(1)を入口ガイド孔(2)と主挿通孔(3)とで構成し、入口ガイド孔(2)はその内径(2Φ)が奥側に行くにつれて縮径するテーパ形状とし、入口ガイド孔(2)の奥端縁(2a)から回転軸挿通孔(1)の中心軸線(1a)と平行な向きに沿って主挿通孔(3)を導出した、ことを特徴とする焼結金属伝動輪。 - 請求項1に記載した焼結金属伝動輪において、
回転軸挿通孔(1)の入口ガイド孔(2)のテーパ勾配角度Θを0.2°から5°の範囲に設定した、ことを特徴とする焼結金属伝動輪。 - 請求項1または請求項2に記載した焼結金属伝動輪において、
伝動輪本体部(4)とボス部(5)とを備え、伝動輪本体部(4)は外周に他の伝動体と係合する伝動係合部(6)を備え、ボス部(5)は伝動輪本体部(4)の端面(4a)から回転軸挿通孔(1)の中心軸線(1a)に沿って突出させ、ボス部(5)の突出端部(5a)にのみ入口ガイド孔(2)を設けた、ことを特徴とする焼結金属伝動輪。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載した焼結金属伝動輪において、
回転軸挿通孔(1)の入口ガイド孔(2)の長さGLを、焼結金属伝動輪(7)の全長長さTLで除した入口ガイド孔(2)の長さGLに関する値GL/TLの百分率を2%から10%の範囲に設定した、ことを特徴とする焼結金属伝動輪。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載した焼結金属伝動輪において、
回転軸挿通孔(1)の主挿通孔(3)の長さMLを、焼結金属伝動輪(7)の全長長さTLで除した主挿通孔(3)の長さMLに関する値ML/TLの百分率を86%から94%の範囲に設定した、ことを特徴とする焼結金属伝動輪。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載した焼結金属伝動輪において、
回転軸挿通孔(1)の内周面部分を構成する焼結金属組織に潤滑剤を保有させた、ことを特徴とする焼結金属伝動輪。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載した焼結金属伝動輪において、
回転軸挿通孔(1)の入口ガイド孔(2)の内周面部分を構成する焼結金属組織の密度Gρを、伝動係合部(6)を構成する焼結金属組織の密度Cρよりも小さくした、ことを特徴とする焼結金属伝動輪。 - 請求項7に記載した焼結金属伝動輪において、
回転軸挿通孔(1)の入口ガイド孔(2)の内周面部分を構成する焼結金属組織の密度Gρを5.6g/cm3から6.2g/cm3の範囲に設定し、伝動係合部(6)を構成する焼結金属組織の密度Cρを6.6g/cm3から7.3g/cm3の範囲に設定した、ことを特徴とする焼結金属伝動輪。
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JP2012156290A JP2014020381A (ja) | 2012-07-12 | 2012-07-12 | 焼結金属伝動輪 |
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2012
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