JP2014019401A - 負圧ポンプ制御装置 - Google Patents

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Hiroaki Matsumoto
浩昭 松本
Takashi Kajitani
高 梶谷
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Abstract

【課題】 運転者に与える違和感を軽減可能な負圧ポンプ制御装置を提供する。
【解決手段】 車両に備えられる負圧ブースタ11の負圧室12内を負圧にする負圧ポンプ10を制御する負圧ポンプ制御装置80は、ブレーキペダル20等のブレーキが操作されているか否かを判定する判定手段81と、ブレーキが操作されている場合、負圧ポンプ10の制御する例えば負圧ポンプ10のON負圧閾値、OFF負圧閾値、回転速度等のパラメータを変更して、負圧ポンプ10の作動を抑制する変更手段82と、を備える。好ましくは、変更手段82は、例えば、ブレーキが操作されている時の負圧ポンプ10の作動を開始するON負圧閾値Aをブレーキが操作されていない時のON負圧閾値BASEよりも高く変更することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、負圧ポンプを制御する制御装置(負圧ポンプ制御装置)等に関し、特に、負圧ポンプ制御装置において、負圧ポンプを備える車両のブレーキ操作に応じて、負圧ポンプの作動を抑制可能な技術に関するものである。
自動車等の車両は、負圧ブースタの負圧室内を負圧にする負圧ポンプを備えることができ、負圧ブースタ等は、例えば倍力ブレーキ装置を構成する。倍力ブレーキ装置は、運転者のブレーキペダルの踏力を軽減し、小さな踏力で大きな制動力が得られる。
例えば特許文献1の図1は、ポンプ部6及びモータ7で構成される負圧ポンプ3を制御する負圧ポンプ制御装置12を開示している。特許文献1の段落[0018]の記載によれば、負圧ポンプ制御装置12は、負圧ブースタ1の負圧室内の絶対圧力がON負圧閾値(例えば0.4[バール絶対圧力]=40[kPa abs])を超える時にポンプ部6を作動可能に制御し、且つ絶対圧力がOFF負圧閾値(例えば0.2[バール絶対圧力]=20[kPa abs])を下回る時にポンプ部6を作動不能に制御する。
また、例えば特許文献2の図1も、負圧ポンプ7を制御する負圧ポンプ制御装置10を開示している。特許文献2の段落[0019]、[0031]の記載によれば、圧力センサ5が故障してON負圧閾値及びOFF負圧閾値で負圧ポンプ7を制御できない場合、ブレーキランプスイッチ3がOFFからONに変化する時から8秒間だけ、負圧ポンプ制御装置10は、負圧ポンプ7を作動可能に制御する。同様に、ブレーキランプスイッチ3がONからOFFに変化する時から8秒間だけ、負圧ポンプ制御装置10は、負圧ポンプ7を作動可能に制御する。
特表2008−502531号公報 特開2010−162914号公報
特許文献1の段落[0022]の記載によれば、負圧ポンプ制御装置12は、負圧ブースタ1の負圧室内の絶対圧力がON負圧閾値(例えば0.4[バール絶対圧力])を超える時にポンプ部6を最大回転速度で回転させて、絶対圧力をON負圧閾値まで下げる。さらに、絶対圧力がON負圧閾値(例えば0.4[バール絶対圧力])からOFF負圧閾値(例えば0.2[バール絶対圧力])に到達するまで、負圧ポンプ制御装置12は、ポンプ部6を最適な回転速度で回転させる。ここで、最適な回転速度は、車両の騒音レベルに応じて決定される。特許文献1の段落[0023]、[0024]の記載によれば、車両の騒音レベルは、車両の速度及び車両の走行ユニット(モータ)の回転速度等の走行状態に依存する。
このように、特許文献1では、ブレーキランプスイッチの状態とは無関係に、負圧ポンプ制御装置12は、ポンプ部6を作動可能又は作動不能に制御する。一方、特許文献2では、運転者がブレーキペダル2を踏んでブレーキランプスイッチ3がOFFからONに変化する時に負圧ポンプ制御装置10は、負圧ポンプ7を作動可能に制御する。この時、負圧ポンプ制御装置10は、ブレーキペダル2が吸い込まれるような違和感を運転者に与えてしまう。
本発明の1つの目的は、運転者に与える違和感を軽減可能な負圧ポンプ制御装置を提供することである。本発明の他の目的は、以下に例示する態様及び好ましい実施形態、並びに添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになるであろう。
以下に、本発明の概要を容易に理解するために、本発明に従う態様を例示する。
本発明に従う第1の態様は、
車両に備えられる負圧ブースタの負圧室内を負圧にする負圧ポンプを制御する負圧ポンプ制御装置であって、
ブレーキが操作されているか否かを判定する判定手段と、
前記ブレーキが操作されている場合、前記負圧ポンプを制御するパラメータを変更して、前記負圧ポンプの作動を抑制する変更手段と、
を備えることを特徴とする負圧ポンプ制御装置に関係する。
ブレーキが操作されている場合に負圧ポンプが作動する場合、負圧ポンプ制御装置は、運転者に違和感を与えてしまう。第1の態様では、ブレーキが操作されている場合、変更手段は、負圧ポンプを制御するパラメータを変更し、これにより、負圧ポンプの作動が抑制される。負圧ポンプの作動が抑制されることによって、運転者に与える違和感を軽減可能な負圧ポンプ制御装置を提供することができる。
本発明に従う第2の態様は、第1の態様において、
前記パラメータは、前記負圧ポンプの作動を開始する負圧閾値であるON負圧閾値を含んでもよく、
前記ブレーキが操作されている時の前記負圧ポンプの前記ON負圧閾値は、前記ブレーキが操作されていない時の前記負圧ポンプの前記ON負圧閾値よりも高く変更されてもよい。
第2の態様では、変更手段は、ブレーキが操作されている時の負圧ポンプのON負圧閾値をブレーキが操作されていない時のON負圧閾値よりも高く変更することができる。これにより、負圧ポンプの作動は、高いON負圧閾値で開始され難くなる。言い換えれば、運転者がブレーキペダルを踏んでも負圧ブースタの負圧室内の絶対圧力が高いON負圧閾値を超えない場合、負圧ポンプは、作動不能である。このように、負圧ポンプの作動による違和感を除去することができる。
本発明に従う第3の態様は、第1の態様又は第2の態様において、
前記パラメータは、前記負圧ポンプの作動を停止する負圧閾値であるOFF負圧閾値を含んでもよく、
前記ブレーキが操作されている時の前記負圧ポンプの前記OFF負圧閾値は、前記ブレーキが操作されていない時の前記負圧ポンプの前記OFF負圧閾値よりも高く変更されてもよい。
第3の態様では、変更手段は、ブレーキが操作されている時の負圧ポンプのOFF負圧閾値をブレーキが操作されていない時のOFF負圧閾値よりも高く変更することができる。これにより、負圧ポンプの作動時間(負圧室内の絶対圧力がON負圧閾値からOFF負圧閾値に到達するまでのポンプが連続して作動する期間)を短くすることができる。言い換えれば、違和感を運転者に与える時間を短縮することができる。
本発明に従う第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様の何れか1つにおいて、
前記パラメータは、前記負圧ポンプの回転速度を含んでもよく、
前記ブレーキが操作されている時の前記負圧ポンプの前記回転速度は、前記ブレーキが操作されていない時の前記負圧ポンプの前記回転速度よりも低く変更されてもよい。
第4の態様では、変更手段は、ブレーキが操作されている時の負圧ポンプの回転速度をブレーキが操作されていない時の回転速度よりも低く変更することができる。これにより、運転者に与える違和感を軽減することができる。
本発明に従う第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様の何れか1つにおいて、
前記車両の走行状態が所定の走行状態である場合、前記変更手段は、前記パラメータを変更しなくてもよい。
車両の走行状態によっては車両に必要な制動力が低下しない方が好ましい。このような場合、第5の態様では、変更手段は、パラメータを変更しないで、負圧ポンプ制御装置によって準備される制動力の低下を回避することができる。
本発明に従う第6の態様は、第1の態様乃至第5の態様の何れか1つにおいて、
前記所定の走行状態は、前記車両の速度が所定の速度よりも大きいことを含んでもよい。
車両が高速で走行する状態から大きく減速しようとする場合、車両に必要な制動力を大きくする必要がある。このような場合、第6の態様では、変更手段は、パラメータを変更しないで、負圧ポンプ制御装置によって準備される制動力の低下を回避することができる。
本発明に従う第7の態様は、第5の態様又は第6の態様において、
前記所定の走行状態は、前記車両が下り走行する路面の勾配角が所定の勾配角よりも大きくてもよい。
車両が下り走行する路面の勾配角が大きい場合には、路面が平坦である場合よりも大きな制動力を必要とする場合がある。このような場合、第7の態様では、変更手段は、パラメータを変更しないで、負圧ポンプ制御装置によって準備される制動力の低下を回避することができる。
当業者は、例示した本発明に従う態様が、本発明の精神を逸脱することなく、さらに変更され得ることを容易に理解できるであろう。
本発明に従う負圧ポンプ制御装置の概略構成例を示す。 ON負圧閾値及びOFF負圧閾値の設定例を示す。 図3(A)は、負圧ポンプの作動が抑制されない状態でのブレーキ操作に応じた負圧室内の絶対圧力の時間変化例を示し、図3(B)、図3(C)及び図3(D)の各々は、負圧ポンプの作動が抑制される状態でのブレーキ操作に応じた負圧室内の絶対圧力の時間変化例を示す。 図1の制御装置の動作例を示すフローチャートを示す。
以下に説明する好ましい実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
図1は、本発明に従う負圧ポンプ制御装置の概略構成例を示す。図1の例において、負圧ポンプ制御装置100は、少なくとも制御装置80を備え、負圧ポンプ制御装置100は、負圧ポンプ10等を更に備えることができる。制御装置80は、例えば電子制御ユニット(ECU)等で構成され、負圧ポンプ10は、例えばモータ22及びポンプ部50等で構成される。負圧ポンプ10は、負圧ブースタ11の負圧室12内を負圧にすることができる。車両に備えられる負圧ブースタ11等は、例えば図1に示されるような倍力ブレーキ装置を構成し、倍力ブレーキ装置は、運転者のブレーキペダル20の踏力を軽減し、小さな踏力で大きな制動力が得られる。
まず、倍力ブレーキ装置の原理について以下に説明する。運転者がブレーキペダル20を踏むと、プッシュロッド16が押され、このプッシュロッド16の前進によりマスターシリンダ202を作動させ、マスターシリンダ202は、高圧のブレーキ液(図示せず)を矢印で示すように車輪ブレーキ(図示せず)に供給することができる。図1の例において、負圧ブースタ11は、ダイヤフラム14及びリターンばね15を収納し、負圧室12から負圧管13が延び、負圧管13の先端に負圧ポンプ10が接続されている。
負圧ポンプ10を作動させると、負圧管13、負圧室12及び変圧室19内が負圧になっている。この状態で運転者がブレーキペダル20を踏むと負圧室12と変圧室19とが、倍力ブレーキ装置内の図示しない調整バルブによって遮断され、変圧室19に空気が導入され、負圧室12と変圧室19との間の圧力差により、ダイヤフラム14がリターンばね15を圧縮させる側へ変形し、プッシュロッド16を押し出す。この時、負圧室12内の絶対圧力が低い程、負圧室12と変圧室19との間の圧力差が大きくなり、より大きな制動力が得られる。
ところで、負圧ポンプ10が停止した状態において、運転者がブレーキペダル20を強く踏むと、負圧管13及び負圧室12内が大気圧になる。従って、負圧室12内を負圧に保つために、制御装置80は、負圧ブースタ11の負圧室12内の絶対圧力が負圧閾値であるON負圧閾値を超える時にモータ22をONにしてポンプ部50を作動可能に制御することができる。また、制御装置80は、負圧室12内の絶対圧力が負圧閾値であるOFF負圧閾値を下回る時にモータ22をOFFにしてポンプ部50を作動不能に制御することができる。このように、負圧ポンプ10をON負圧閾値及びOFF負圧閾値で制御することによって、負圧室12内の絶対圧力は、ON負圧閾値からOFF負圧閾値までの範囲に保たれる。
負圧ポンプ10は、ON負圧閾値及びOFF負圧閾値の双方で制御されるが、ON負圧閾値だけで制御されてもよい。言い換えれば、負圧ポンプ10の作動が、ON負圧閾値で開始される場合、例えば必要な負圧を確保できる所定の時間が経過した後で、負圧ポンプ10の作動は、自動的に停止されてもよい。同様に、負圧ポンプ10は、OFF負圧閾値だけで制御されてもよく、負圧ポンプ10の作動が、OFF負圧閾値で停止される場合、例えば所定の時間が経過した後で、負圧ポンプ10の作動は、自動的に開始されてもよい。
なお、負圧室12内の圧力を絶対圧力で表す時、真空圧力は、ゼロ[kPa abs]であり、且つ大気圧力(1標準気圧)は、101.3[kPa abs]である一方、負圧室12内の圧力をゲージ圧力で表す時、真空圧力は、−101.3[kPa Gauge]であり、且つ大気圧力(1標準気圧)は、ゼロ[kPa Gauge]である。負圧室12内の圧力は、圧力センサ12sで検出される。
図1の例において、ポンプ部50は、カバー部54で囲われ、ポンプ部50とモータ22とが一体に形成されて、負圧ポンプ10は、車両の側のブラケット17にボルト18で固定される。モータ22の回転速度(単位時間当たりの回転数)は、ポンプ部50の回転速度と一致し、モータ22の回転速度は、モータ22を流れるモータ電流によって制御され、モータ電流は、例えばPWM(パルス幅変調)信号のデューティ比で決定される。
モータ22の電源がOFFされて、モータ22のモータ電流がゼロである間、制御装置80は、負圧室12内の絶対圧力がON負圧閾値を超えるか否かを判定することができる。負圧室12内の絶対圧力がON負圧閾値を超える瞬間、制御装置80は、モータ22の電源をONして、モータ22の通電を開始することができる。一方、モータ22の電源がONされて、モータ22のモータ電流が流れる間、制御装置80は、負圧室12内の絶対圧力がOFF負圧閾値を下回るか否かを判定することができる。負圧室12内の絶対圧力がOFF負圧閾値を下回る瞬間、制御装置80は、モータ22の電源をOFFして、モータ22の通電を停止することができる。
図1の例において、制御装置80は、例えばブレーキランプスイッチ20sで検出されるブレーキ操作の状態を入力することができ、ブレーキ操作の状態に合わせて負圧ポンプ10の作動を抑制することができる。本実施形態では、ブレーキ操作の状態は、ブレーキランプスイッチ20sで検出されるが、ストロークセンサ等によって検出されてもよい。判定手段81は、ブレーキペダル20等のブレーキが操作されているか否かを判定し、ブレーキが操作されている場合、変更手段82は、負圧ポンプ10を制御する例えばON負圧閾値、OFF負圧閾値等のパラメータ(制御パラメータ)を変更して、負圧ポンプ10の作動を抑制する。負圧ポンプ10の作動を抑制することによって、運転者に与える違和感を軽減可能な制御装置80又は負圧ポンプ制御装置100を提供することができる。
図1の例において、制御装置80は、例えば車速センサ210sで検出される車両の速度を入力することができ、車両の速度に合わせて例えばON負圧閾値、OFF負圧閾値等のパラメータ(制御パラメータ)を変更するか否かを判定することができる。また、制御装置80は、例えば勾配角センサ220sで検出される車両が下り走行する路面の勾配角を入力することができ、路面の勾配角に合わせて例えばON負圧閾値、OFF負圧閾値等のパラメータ(制御パラメータ)を変更するか否かを判定することができる。制御装置80は、車両の速度及び路面の勾配角の少なくとも1つで車両の走行状態を判定することができるが、判定手段81は、車両の速度及び路面の勾配角以外の他のパラメータ(走行パラメータ)で車両の走行状態を判定してもよい。
変更手段82は、判定手段81の判定結果、即ち車両の走行状態が所定の走行状態である場合、例えばON負圧閾値、OFF負圧閾値等のパラメータ(制御パラメータ)を変更しない。言い換えれば、制御装置80は、車両の走行状態によっては負圧ポンプ10の作動を抑制しない。
図2は、ON負圧閾値及びOFF負圧閾値の設定例を示す。図2の例において、例えば1組のON負圧閾値及びOFF負圧閾値が曲線上に示され、この曲線は、負圧ポンプ10の基本特性を表す。即ち、この曲線は、負圧室12内の絶対圧力が大気圧力である時刻t0でモータ22の通電を開始した時の負圧室12内の絶対圧力の時間変化を表す。時刻t0から負圧ポンプ10をONし続けると、負圧室12内の絶対圧力は、大気圧力からON負圧閾値BASEまで低下し、さらに、ON負圧閾値BASEからOFF負圧閾値BASEまで低下する。その後、負圧室12内の絶対圧力は、OFF負圧閾値BASEを下回り、負圧ポンプ10の能力に応じる時刻t以降、到達圧力で留まる。
図2の例において、変更手段82は、通常のON負圧閾値及びOFF負圧閾値として、ON負圧閾値BASE及びOFF負圧閾値BASEを選択している。一方、ブレーキが操作されている場合、変更手段82は、後述するように、例えばON負圧閾値、OFF負圧閾値等を変更して、負圧ポンプ10の作動を抑制することができる。
図3(A)は、負圧ポンプの作動が抑制されない状態でのブレーキ操作に応じた負圧室内の絶対圧力の時間変化例を示し、図3(B)、図3(C)及び図3(D)の各々は、負圧ポンプの作動が抑制される状態でのブレーキ操作に応じた負圧室内の絶対圧力の時間変化例を示す。
図3(A)の例(比較例)において、負圧ポンプ10をON負圧閾値及びOFF負圧閾値で制御することによって、時刻t1以前、負圧室12内の絶対圧力は、例えばON負圧閾値BASEからOFF負圧閾値BASEまでの範囲に保たれる。時刻t1で、負圧ポンプ10はOFFされ、且つブレーキランプスイッチ20sもOFFされている。言い換えれば、時刻t1で、モータ22の電源はOFFされてポンプ部50の回転が停止し、且つ運転者はブレーキペダル20を踏んでいない。時刻t2で、運転者がブレーキペダル20を踏んだ瞬間、ブレーキランプスイッチ20sがONされて、ブレーキランプスイッチ20sは、ブレーキペダル20が操作されていることを表す信号を出力する。この時、ブレーキペダル20等のブレーキの操作に応じて、負圧室12内の絶対圧力は、所定値だけ上昇してON負圧閾値BASEを超える。従って、時刻t2で、制御装置80は、モータ22の電源をONする。これにより、時刻t2で、負圧ポンプ10はONされ、負圧室12内の絶対圧力は、徐々に低下する。
図3(A)の例において、時刻t3で、負圧室12内の絶対圧力がOFF負圧閾値BASEに到達した瞬間、負圧ポンプ10はOFFされる。この時、負圧室12内の絶対圧力は、所定値だけ上昇し、時刻t3以降、一定に保たれる。時刻t4で、運転者がブレーキペダル20の操作を解除して、ブレーキランプスイッチ20sは、OFFされる。時刻t2から時刻t3までの期間、負圧ポンプ10がONされ続けて負圧室12内の絶対圧力が低下するので、ブレーキペダル2が吸い込まれるような違和感を運転者に与えてしまう。
図3(B)の例において、ブレーキペダル20等のブレーキが操作されている場合、制御装置80は、負圧ポンプ10のON負圧閾値をON負圧閾値BASEから例えばON負圧閾値Aに変更する。即ち、時刻t2から時刻t4までの間、変更手段82は、負圧ポンプ10のON負圧閾値AをON負圧閾値BASEよりも高く変更する。時刻t2で、負圧ポンプ10のON負圧閾値が高くなるので、負圧室12内の絶対圧力は、ON負圧閾値Aを超えない。従って、時刻t2で、負圧ポンプ10はOFFされ続ける。時刻t2から時刻t4までの期間、負圧ポンプ10がOFFされ続けて負圧室12内の絶対圧力が低下しないので、制御装置80は、図3(A)の時刻t2から時刻t3までの違和感を除去することができる。
なお、図3(B)の例において、時刻t4で、運転者がブレーキペダル20の操作を解除して、負圧室12内の絶対圧力は、所定値だけ上昇してON負圧閾値BASEを超える。従って、時刻t4で、制御装置80は、負圧ポンプ10をONする。これにより、時刻t4以降、負圧室12内の絶対圧力は、徐々に低下する。
図3(C)の例において、ブレーキペダル20等のブレーキが操作されている場合、制御装置80は、負圧ポンプ10のOFF負圧閾値をOFF負圧閾値BASEから例えばOFF負圧閾値Aに変更する。即ち、時刻t2から時刻t4までの間、変更手段82は、負圧ポンプ10のOFF負圧閾値AをOFF負圧閾値BASEよりも高く変更する。時刻t2で、負圧室12内の絶対圧力は、徐々に低下するが、時刻t3'で、負圧室12内の絶対圧力がOFF負圧閾値Aに到達する。時刻t3'で、負圧ポンプ10がOFFされるので、制御装置80は、負圧ポンプ10の作動時間(=t3'−t2)を図3(A)の例で示される負圧ポンプ10の作動時間(=t3−t2)よりも短くすることができる。
なお、図3(C)の例において、時刻t3'で、負圧ポンプ10はOFFされて、負圧室12内の絶対圧力は、所定値だけ上昇する。図3の(C)の例を変形して、時刻t2から時刻t4までの間、変更手段82は、図3の(B)の例と同様に、負圧ポンプ10のON負圧閾値AをON負圧閾値BASEよりも高く変更してもよい。言い換えれば、時刻t2から時刻t4までの間、変更手段82は、負圧ポンプ10のON負圧閾値A及びOFF負圧閾値AをそれぞれON負圧閾値BASE及びOFF負圧閾値BASEよりも高く変更してもよい。
図3(D)の例において、時刻t2で負圧ポンプ10がONする時、制御装置80は、負圧ポンプ10の回転速度を低減する。これにより、時刻t2以降、負圧室12内の絶対圧力は、緩やかに低下するので、制御装置80は、図3(A)の時刻t2から時刻t3までの違和感を除去することができる。
なお、図3(D)の例において、時刻t4よりも遅い時刻t3''で、負圧室12内の絶対圧力がOFF負圧閾値BASEに到達する。時刻t3''で、負圧ポンプ10はOFFされて、負圧室12内の絶対圧力は、所定値だけ上昇する。図3の(D)の例を変形して、制御装置80は、ON負圧閾値及びOFF負圧閾値を設定しなくてもよい。言い換えれば、制御装置80は、ブレーキペダル20の操作のみに応じて、低減された回転速度で負圧ポンプ10をONしてもよい。
図4は、図1の制御装置80の動作例を示すフローチャートを示す。制御装置80の電源がONされると、図1の制御装置80は、例えば、負圧ポンプ10をONするON負圧閾値及び負圧ポンプ10をOFFするOFF負圧閾値の双方を設定又は変更するようにプログラム又は回路設計されている(図4のステップST1)。この時、負圧ポンプ10のON負圧閾値だけが制御装置80に設定されてもよく、又は負圧ポンプ10のOFF負圧閾値だけが制御装置80に設定されてもよい。或いは、ON負圧閾値、OFF負圧閾値以外の他のパラメータ(制御パラメータ)として、例えば負圧ポンプ10の回転速度が設定されてもよい。図4の例において、まず、制御装置80は、例えばブレーキランプスイッチ20sからの信号を入力し、ブレーキランプスイッチ20sがONされているか否か、即ちブレーキが操作されているか否かを判定する(図4のステップST2)。
図4のステップST2において、例えばブレーキランプスイッチ20sがONされていない場合、制御装置80は、負圧ポンプ10のON負圧閾値、OFF負圧閾値、回転速度等のパラメータ(制御パラメータ)をON負圧閾値BASE、OFF負圧閾値BASE、例えばPWM信号のデューティ比が100[%]である時の回転速度等の通常のパラメータ(制御パラメータ)に設定し、通常のパラメータ(制御パラメータ)を変更しない(図4のステップST6)。ブレーキが操作されていない場合、制御装置80は、運転者に違和感を与えないので、通常のパラメータ(制御パラメータ)を変更する必要がない。
図4のステップST2において、例えばブレーキランプスイッチ20sがONされている場合、制御装置80は、車速センサ210sからの信号を入力し、車両の速度fが所定値F[km/h]以下であるか否かを判定する(図4のステップST3)。図4のステップST3において、車両の速度fが所定値F[km/h]以下でない場合、制御装置80は、負圧ポンプ10の通常のパラメータ(制御パラメータ)を変更しない(図4のステップST6)。この場合、車両に必要な制動力を維持することができる。
図1の車速センサ210sは、例えば4つの車輪速度センサで構成され、4つの車輪速度センサの各々は、車輪の回転速度(車輪速度)を検出する。制御装置80は、例えば4つの車輪の回転速度を入力して、4つの車輪の回転速度のうちの最大の車輪の回転速度から車両の速度fを求めることができる。ここで、制御装置80は、例えば2つの副駆動輪の回転速度の平均を算出して、車両の速度fを求めてもよい。車両に備えられるすべての車輪の回転速度の最大値で車両の速度fを求める場合、車両に必要な制動力に余裕を持たせることができ、車両の安全性が向上する。なお、制御装置80は、例えば4つの車輪の回転速度をCAN(controller area network)等の車載ネットワーク200を介して入力してもよく、或いは、他の電子制御ユニット等の制御装置(図示せず)で求められた車両の速度fを車載ネットワーク200を介して入力してもよい。
図4のステップST3において、車両の速度fが所定値F[km/h]以下である場合、制御装置80は、勾配角センサ220sからの信号を入力し、車両が下り走行する路面の勾配角θが所定値Θ[degree]よりも大きいか否かを判定する(図4のステップST4)。路面の勾配角θが大きくなる程、車両に必要な制動力は大きくなるので、路面の勾配角θが所定値Θ[degree]よりも大きいか否かを判定する場合、車両に必要な制動力に適切に把握することができる。勾配角センサ220sは、例えば前後加速度センサ(1軸加速度センサ)で構成され、前後加速度センサは、車両の前後方向の加速度を検出する。例えば車両が下り坂で停止する場合、前方向の加速度に重力加速度成分が含まれるので、重力加速度成分の大きさから下り坂の勾配角θを求めることができる。ここで、制御装置80は、例えば前後左右上下加速度センサ(3軸加速度センサ)からの信号で、車両が下り走行する路面の勾配角θを求めることができる。制御装置80は、例えば重力加速度成分を車載ネットワーク200を介して入力してもよく、或いは、他の電子制御ユニット等の制御装置(図示せず)で求められた路面の勾配角θを車載ネットワーク200を介して入力してもよい。
図4のステップST4において、路面(下り坂)の勾配角θが所定値Θ[degree]よりも大きい場合、制御装置80は、負圧ポンプ10の通常のパラメータ(制御パラメータ)を変更しない(図4のステップST6)。車両が下り走行する路面の勾配角θが大きい場合、車両に必要な制動力を維持することができる。
図4のステップST4において、路面の勾配角θが所定値Θ[degree]よりも大きくない場合、制御装置80は、負圧ポンプ10のON負圧閾値を例えば図3(B)のON負圧閾値Aに設定する(図4のステップST5)。この時、制御装置80は、負圧ポンプ10のOFF負圧閾値を例えば図3(C)のOFF負圧閾値Aに設定してもよく、或いは、負圧ポンプ10の回転速度を例えば図3(D)のように低減してもよい。負圧ポンプ10の例えばON負圧閾値、OFF負圧閾値、回転速度等のパラメータ(制御パラメータ)を変更することで、負圧ポンプ10の作動を抑制し、運転者に与える違和感を軽減することができる。制御装置80は、例えばON負圧閾値、OFF負圧閾値、回転速度等のパラメータ(制御パラメータ)を例えばメモリ等の内部記憶部(図示せず)に記憶する。
図4のステップST6が実行されて、内部記憶部に例えばON負圧閾値BASE及びOFF負圧閾値BASEが予め記憶されている場合、ステップST5において制御装置80がON負圧閾値A及びOFF負圧閾値BASEを内部記憶部に設定すると、内部記憶部に記憶される負圧ポンプ10のON負圧閾値の内容は変更される。
図4のステップST5又はステップST6が実行されると、制御装置80は、ステップST2の実行に戻る。
本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されず、また、当業者は、上述の例示的な実施形態を特許請求の範囲に含まれる範囲まで、容易に変更することができるであろう。
10・・・負圧ポンプ、11・・・負圧ブースタ、12・・・負圧室、12s・・・圧力センサ、13・・・負圧管、14・・・ダイヤフラム、15・・・リターンばね、16・・・プッシュロッド、17・・・ブラケット、18・・・ボルト、19・・・変圧室、20・・・ブレーキペダル、20s・・・ブレーキランプスイッチ、22・・・モータ、50・・・ポンプ部、54・・・カバー部、80・・・制御装置、100・・・負圧ポンプ制御装置、200・・・車載ネットワーク、202・・・マスターシリンダ、210s・・・車速センサ、220s・・・勾配角センサ。

Claims (7)

  1. 車両に備えられる負圧ブースタの負圧室内を負圧にする負圧ポンプを制御する負圧ポンプ制御装置であって、
    ブレーキが操作されているか否かを判定する判定手段と、
    前記ブレーキが操作されている場合、前記負圧ポンプを制御するパラメータを変更して、前記負圧ポンプの作動を抑制する変更手段と、
    を備えることを特徴とする負圧ポンプ制御装置。
  2. 請求項1に記載の負圧ポンプ制御装置であって、
    前記パラメータは、前記負圧ポンプの作動を開始する負圧閾値であるON負圧閾値を含み、
    前記ブレーキが操作されている時の前記負圧ポンプの前記ON負圧閾値は、前記ブレーキが操作されていない時の前記負圧ポンプの前記ON負圧閾値よりも高く変更されることを特徴とする負圧ポンプ制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の負圧ポンプ制御装置であって、
    前記パラメータは、前記負圧ポンプの作動を停止する負圧閾値であるOFF負圧閾値を含み、
    前記ブレーキが操作されている時の前記負圧ポンプの前記OFF負圧閾値は、前記ブレーキが操作されていない時の前記負圧ポンプの前記OFF負圧閾値よりも高く変更されることを特徴とする負圧ポンプ制御装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の負圧ポンプ制御装置であって、
    前記パラメータは、前記負圧ポンプの回転速度を含み、
    前記ブレーキが操作されている時の前記負圧ポンプの前記回転速度は、前記ブレーキが操作されていない時の前記負圧ポンプの前記回転速度よりも低く変更されることを特徴とする負圧ポンプ制御装置。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の負圧ポンプ制御装置であって、
    前記車両の走行状態が所定の走行状態である場合、前記変更手段は、前記パラメータを変更しないことを特徴とする負圧ポンプ制御装置。
  6. 請求項5に記載の負圧ポンプ制御装置であって、
    前記所定の走行状態は、前記車両の速度が所定の速度よりも大きいことを含むことを特徴とする負圧ポンプ制御装置。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の負圧ポンプ制御装置であって、
    前記所定の走行状態は、前記車両が下り走行する路面の勾配角が所定の勾配角よりも大きいことを含むことを特徴とする負圧ポンプ制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017171150A (ja) * 2016-03-24 2017-09-28 三菱自動車工業株式会社 車両の制動装置

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